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特許7514338広帯域放射を発生させるための方法並びに関連する広帯域源及びメトロロジデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】広帯域放射を発生させるための方法並びに関連する広帯域源及びメトロロジデバイス
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20240703BHJP
   G02F 1/365 20060101ALI20240703BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20240703BHJP
   G02B 6/032 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G03F7/20 501
G02F1/365
G02B6/02 451
G02B6/032 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022580737
(86)(22)【出願日】2021-07-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-05
(86)【国際出願番号】 EP2021068602
(87)【国際公開番号】W WO2022028796
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-02-17
(31)【優先権主張番号】20189212.2
(32)【優先日】2020-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】20198713.8
(32)【優先日】2020-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ニー,ヨンフェン
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-083558(JP,A)
【文献】米国特許第09160137(US,B1)
【文献】国際公開第2018/127266(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/083624(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
G02B 6/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空コアフォトニック結晶ファイバの内部の作動媒体を励起することによって広帯域出力放射を発生させる方法であって、
50fs~400fsの範囲の持続時間を有し、0fs未満の立ち上がり時間を有するパルスを含む入力放射を発生させることと、
前記入力放射を用いて前記作動媒体を励起することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記立ち上がり時間は、20fs未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各パルスの立ち下がりエッジは、ガウス関数又は対数正規関数の立ち下がりエッジに近似する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記パルスは、矩形関数信号でトランケーションされたローレンツ型スペクトルを発生させることによって取得される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記パルスは、各々、上部が平らなパルスを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
各パルスの前記持続時間は、50fs~150fsの範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記パルスの繰り返し率は、6MHz~15MHzの間である、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記パルスの繰り返し率は、8MHz~12Mhzの間である、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記出力放射は、400nmよりも小さい波長を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記出力放射は、350nmよりも小さい波長を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
広帯域出力放射を発生させるための広帯域放射源であって、
50fs~400fsの範囲の持続時間を有し、0fs未満の立ち上がり時間を有するパルスを含む入力放射を発生させるように動作可能な入力放射源と、
作動媒体及び前記作動媒体を励起して前記広帯域出力放射を発生させるように前記入力放射を受光するための光入力を含む、中空コアフォトニック結晶ファイバと、
を含む、広帯域放射源。
【請求項12】
前記入力放射源は、ガウス関数又は対数正規関数の立ち下がりエッジに近似する立ち下がりエッジを有するパルスを発生させるように動作可能である、請求項11に記載の広帯域放射源。
【請求項13】
請求項11に記載の広帯域放射源を含むメトロロジデバイスであって、
前記放射源は、基板上に投影するための放射を発生させるように構成されている、メトロロジデバイス。
【請求項14】
スキャトロメータ、アライメントセンサ又はレベリングセンサのうちの1つである、請求項13に記載のメトロロジデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、2020年8月3日出願の欧州特許出願公開第20189212.2号及び2020年9月28日出願の欧州特許出願公開第20198713.8号の優先権を主張するものである。
【0002】
[0002] 本発明は、光源、及び光源、特に、リソグラフィ装置又はメトロロジツールで使用される広帯域光源を動作させるための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に施すように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用可能である。リソグラフィ装置は、例えば、パターニングデバイス(例えば、マスク)にあるパターン(「デザインレイアウト」又は「デザイン」と呼ばれることも多い)を、基板(例えば、ウェーハ)上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層に投影し得る。
【0004】
[0004] リソグラフィ装置は、基板にパターンを投影するために電磁放射を使用し得る。この放射の波長により、基板上に形成できるフィーチャの最小サイズが決まる。現在使用されている典型的な波長は、365nm(i線)、248nm、193nm及び13.5nmである。波長が4~100nmの範囲、例えば6.7nm又は13.5nmである極端紫外線(EUV)の放射を使用するリソグラフィ装置であれば、例えば、波長が193nmである放射を使用するリソグラフィ装置よりも小さいフィーチャを基板上に形成することが可能である。
【0005】
[0005] リソグラフィ装置の古典的な解像限界より小さい寸法を有するフィーチャをプロセスするために、低kリソグラフィが用いられ得る。そのようなプロセスでは、解像度の式は、CD=k×λ/NAで表され得、ここで、λは、使用される放射線の波長であり、NAは、リソグラフィ装置の投影光学系の開口数であり、CDは、「クリティカルディメンジョン」であり(一般には印刷される最小フィーチャサイズであるが、この場合にはハーフピッチ)、kは、経験的な解像度ファクタである。一般に、kが小さいほど、特定の電気的な機能性及び性能を達成するために回路設計者が計画した形状及び寸法に似せたパターンを基板上に複写することが困難になる。このような困難を克服するために、高度な微調整ステップがリソグラフィ投影装置及び/又はデザインレイアウトに適用され得る。そのようなステップとして、例えば、NAの最適化、照明方式のカスタマイズ、位相シフトパターニング装置の使用、デザインレイアウトの様々な最適化、例えば、デザインレイアウトにおける光近接効果補正(OPC(「光学及びプロセス補正」と呼ばれることもある))又は他の一般的に「解像度向上技術」(RET)と定義される方法があるが、これらに限定されない。代わりに、低kでのパターン複写を改善するために、リソグラフィ装置の安定性を管理する厳格管理ループが用いられ得る。
【0006】
[0006] メトロロジ装置は、基板上の構造の関心対象パラメータの測定に使用することができる。例えば、メトロロジ装置を使用して、クリティカルディメンジョン、基板上の層間のオーバーレイ、及び基板上のパターンの非対称性などのパラメータを測定することができる。測定放射の放射線を使用して基板を照明する。放射は基板上の構造によって回折される。回折された放射は対物レンズによって集光され、センサによって捕捉される。
【0007】
[0007] 測定放射の放射線は、光源によって発せられる光により供給される。この光は、ビームスプリッタを介して基板、及び基板から回折された放射を集光する対物レンズ上に向かう。
【0008】
[0008] 測定放射を供給する光源は、広帯域光源とすることができる。広帯域光源は、ガス入り光ファイバを使用して生成してもよい。レーザ源を光源の光ファイバの入力に結合させ、パルスレーザパルスによる励起によって光ファイバ内でスペクトル拡大させてもよい。
【発明の概要】
【0009】
[0009] 光ファイバ内でスペクトル拡大する1つ又は複数の特性を向上させることが望ましい。
【0010】
[0010] 第1の態様によれば、中空コアファイバの内部の作動媒体を励起することによって広帯域出力放射を発生させる方法であって、50fs~400fsの範囲の持続時間を有し、60fs未満の立ち上がり時間を有する入力放射のパルスを発生させることと、上記入力放射のパルスを用いて上記作動媒体を励起することと、を含む方法が提供される。
【0011】
[0011] 本発明の第2の態様によれば、広帯域出力放射を発生させるための広帯域放射源であって、50fs~400fsの範囲の持続時間を有し、60fs未満の立ち上がり時間を有する入力放射のパルスを発生させるように動作可能な入力放射源と、作動媒体、及び上記作動媒体を励起して上記広帯域出力放射を発生させるように上記入力放射を受光するための光入力を含む中空コアファイバと、を含む広帯域放射源が提供される。
【0012】
[0012] 以下では、添付の概略図面を参照して、本発明の実施形態をあくまで例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】リソグラフィ装置の概略的概要を示す。
図1B】リソグラフィセルの概略的概要を示す。
図2】ホリスティックリソグラフィの概略図を示し、半導体製造を最適化するための3つの重要な技術間の協調を表す。
図3A】アライメントセンサの概略的ブロック図を示す。
図3B】レベルセンサの概略的ブロック図を示す。
図4】一実施形態による、放射源の一部を形成し得る中空コア光ファイバの、横断面(すなわち、光ファイバの軸に垂直)における概略的断面図である。
図5】一実施形態による、広帯域出力放射を供給するための放射源の概略図を示す。
図6A】一実施形態による、放射源の一部を形成し得る、スーパーコンティニウム生成のための中空コアフォトニック結晶ファイバ(HC-PCF)の設計の例の横断面図を概略的に示す。
図6B】一実施形態による、放射源の一部を形成し得る、スーパーコンティニウム生成のための中空コアフォトニック結晶ファイバ(HC-PCF)の設計の例の横断面図を概略的に示す。
図7】HC-PCFの内部の作動媒体を励起するために使用される先行技術のパルスを図示する、時間に対する入力放射強度のプロットである。
図8】HC-PCFの内部の作動媒体を励起するために使用され得る本発明の第1の実施形態によるパルスを図示する、時間に対する入力放射強度のプロットである。
図9】HC-PCFの内部の作動媒体を励起するために使用され得る本発明の第2の実施形態によるパルスを図示する、時間に対する入力放射強度のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0013] 本文書では、「放射」及び「ビーム」という用語は、あらゆるタイプの電磁放射を包含するように使用され、そのような電磁放射には、紫外線(例えば、365、248、193、157又は126nmの波長を有する)及びEUV(例えば、約5~100nmの範囲の波長を有する極端紫外線)が含まれる。
【0015】
[0014] 本明細書で使用される「レチクル」、「マスク」又は「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分に作成されるべきパターンに対応するパターン化された断面を、入射する放射ビームに提供するために使用可能な一般的なパターニングデバイスを意味するものとして広義に解釈され得る。これに関連して「ライトバルブ」という用語も使用される場合がある。古典的なマスク(透過型又は反射型のマスク、バイナリマスク、位相シフトマスク、ハイブリッドマスク等)に加えて、他のそのようなパターニングデバイスの例として、プログラマブルミラーアレイ及びプログラマブルLCDアレイがある。
【0016】
[0015] 図1Aは、リソグラフィ装置LAを概略的に示す。リソグラフィ装置LAは、放射ビームB(例えば、UV放射、DUV放射又はEUV放射)を調節するように構成された(イルミネータとも呼ばれる)照明システムILと、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するように構築されて、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続されたマスク支持部(例えば、マスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構築されて、特定のパラメータに従って基板支持部を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板支持部(例えば、ウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを基板Wの(例えば、1つ以上のダイを含む)ターゲット部分Cに投影するように構成された投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSと、を含む。
【0017】
[0016] 本明細書で使用される「投影システム」PSという用語は、様々なタイプの投影システムを包含するものとして広義に解釈されたい。そのようなシステムには、使用されている露光放射の必要に応じて及び/又は他の要因(例えば、液浸液の使用又は真空の使用)の必要に応じて、屈折型、反射型、反射屈折型、アナモルフィック型、磁気型、電磁型及び/又は静電光学型のシステム又はこれらの任意の組み合わせが含まれ得る。本明細書で「投影レンズ」という用語が使用されている場合、それらは、全てより一般的な用語である「投影システム」PSと同義であると見なされ得る。
【0018】
[0017] 基板支持部WTに加えて、リソグラフィ装置LAは測定ステージを含んでよい。測定ステージは、センサ及び/又はクリーニング装置を保持するように構成されている。センサは、投影システムPSの特性、又は放射ビームBの特性を測定するように構成されてよい。測定ステージは複数のセンサを保持してよい。クリーニング装置は、リソグラフィ装置の一部、例えば、投影システムPSの一部、又は液浸液を供給するシステムの一部をクリーニングするように構成されてよい。測定ステージは、基板支持部WTが投影システムPSから離れているときに、投影システムPSの下を動いてよい。
【0019】
[0018] 稼働中は、放射ビームBが、パターニングデバイス(例えば、マスク支持物MT上に保持されたマスクMA)に入射し、パターニングデバイスMA上にあるパターン(設計レイアウト)によってパターニングされる。放射ビームBは、マスクMAを横断した後、投影システムPSを通り抜け、投影システムPSは、ビームを基板Wのターゲット部分C上にフォーカスさせる。第2のポジショナPW及び位置測定システムIFの支援により、基板支持部WTは正確に動くことが可能であり、例えば、様々なターゲット部分Cが、放射ビームBの経路中のフォーカス及びアライメントされる位置に位置決めされるように正確に動くことが可能である。同様に、パターニングデバイスMAを放射ビームBの経路に対して正確に位置決めするために、第1のポジショナPMと、場合によっては別の位置センサ(これは図1Aに明示されていない)と、が使用されてよい。パターニングデバイスMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2、及び基板アライメントマークP1、P2を使用してアライメントされてよい。基板アライメントマークP1、P2は、図示されたように専用ターゲット部分を占有するが、ターゲット部分間の空間に配置されてよい。基板アライメントマークP1、P2は、ターゲット部分C間に配置される場合には、スクライブラインアライメントマークと呼ばれる。
【0020】
[0019] 図1Bに示されるように、リソグラフィ装置LAは、リソグラフィセルLC(リソセル又は(リソ)クラスタと呼ばれることもある)の一部をなし得、リソグラフィセルLCは、基板Wに対して露光前プロセス及び露光後プロセスを実施するための装置も含むことが多い。従来、そのような装置として、レジスト層を堆積させるスピンコータSC、露光したレジストを現像するデベロッパDE、冷却プレートCH及びベークプレートBK(これらは、例えば、基板Wの温度を調節するものであり、それは、例えば、レジスト層中の溶剤を調節するために行われる)がある。基板ハンドラ(即ちロボット)ROが基板Wを入出力ポートI/O1、I/O2からピックアップし、それらの基板Wを様々なプロセス装置間で動かし、それらの基板Wをリソグラフィ装置LAのローディングベイLBまで送達する。リソセル内のデバイスは、まとめてトラックと呼ばれることも多く、典型的にはトラック制御ユニットTCUの管理下にあり、トラック制御ユニットTCU自体は、監視制御システムSCSによって制御され得、監視制御システムSCSは、リソグラフィ装置LAも(例えば、リソグラフィ制御ユニットLACUを介して)制御し得る。
【0021】
[0020] リソグラフィ装置LAによって露光される基板Wが正確且つ確実に露光されるために、基板を検査して、パターン形成された構造の特性、例えば連続する層間のオーバーレイエラー、線の太さ、クリティカルディメンジョン(CD)等を測定することが望ましい。そのため、検査ツール(図示せず)がリソセルLCに含まれ得る。エラーが検出された場合、例えば、連続する基板の露光又は基板Wに対して実施されるべき他のプロセスステップに対する調節が行われ得、これは、特に同じバッチ又はロットの他の基板Wが引き続き露光又はプロセスされる前に検査が行われる場合に行われ得る。
【0022】
[0021] メトロロジ装置と呼ばれることもある検査装置は、基板Wの特性を測定するために使用され、特に異なる複数の基板Wの特性がどのようにばらつくか、又は同じ基板Wの異なる複数の層に関連付けられた特性が層ごとにどのようにばらつくかを測定するために使用される。検査装置は、代わりに、基板W上の欠陥を識別するように構築され得、例えばリソセルLCの一部分であり得るか、又はリソグラフィ装置LAに組み込まれ得るか、又はスタンドアロン装置であり得る。検査装置は、潜像(露光後のレジスト層内の像)に関する特性、又は半潜像(露光後ベーク工程PEB後のレジスト層内の像)に関する特性、又は現像されたレジスト像(レジストの露光部分又は非露光部分が除去されている)に関する特性、又は更に(エッチング等のパターン転写工程後の)エッチングされた像に関する特性を測定し得る。
【0023】
[0022] 典型的には、リソグラフィ装置LAにおけるパターニングプロセスは、基板W上の構造の寸法決定及び配置に高い精度を必要とする、処理のなかで最もクリティカルなステップの1つである。この高い精度を確保するために、図2に概略的に示されるように、3つのシステムをいわゆる「ホリスティック」管理環境として組み合わせ得る。これらのシステムの1つは、リソグラフィ装置LAであり、これは、メトロロジツールMT(第2のシステム)及びコンピュータシステムCL(第3のシステム)と(仮想的に)接続される。そのような「ホリスティック」環境の鍵は、これらの3つのシステム間の協調を最適化して、プロセスウィンドウ全体を強化し、厳格管理ループを実現することにより、リソグラフィ装置LAによって実施されるパターニングがプロセスウィンドウ内にとどまるようにすることである。プロセスウィンドウは、プロセスパラメータ(例えば、ドーズ、フォーカス、オーバーレイ)の範囲を規定し、この範囲内で特定の製造プロセスが規定の結果(例えば、機能する半導体デバイス)を産出し、典型的には、この範囲内でリソグラフィプロセス又はパターニングプロセスのプロセスパラメータが変動し得る。
【0024】
[0023] コンピュータシステムCLは、パターニングされるデザインレイアウト(の一部)を使用することにより、何れの解像度向上技術を使用すべきかを予測することが可能であり、且つ計算機リソグラフィのシミュレーション及び計算を実施して、パターニングプロセスのプロセスウィンドウ全体の最大化を達成するマスクレイアウト及びリソグラフィ装置設定を決定することが可能である(図2において第1のスケールSC1の両方向矢印で示されている)。典型的には、解像度向上技術は、リソグラフィ装置LAのパターニング可能性に適合するように用意される。コンピュータシステムCLは、プロセスウィンドウ内の何れの箇所でリソグラフィ装置LAが現在動作しているかを(例えば、メトロロジツールMTからの入力を使用して)検出することにより、(例えば、準最適な処理のために)欠陥が存在する可能性があるかどうかを予測することが更に可能である(図2において第2のスケールSC2の「0」を指す矢印で示されている)。
【0025】
[0024] メトロロジツールMTは、正確なシミュレーション及び予測を可能にする入力をコンピュータシステムCLに与えることが可能であり、(例えば、リソグラフィ装置LAの較正ステータスにおいて)起こり得るドリフトを識別するフィードバックをリソグラフィ装置LAに与えることが可能である(図2において第3のスケールSC3の複数の矢印で示されている)。
【0026】
[0025] リソグラフィプロセスでは、作成された構造を(例えば、プロセスの管理及び検証のために)頻繁に測定することが望ましい。そのような測定を行うメトロロジ装置MTとして様々なタイプが知られており、例えば走査電子顕微鏡又は様々な形式のスキャトロメータメトロロジ装置MTがある。
【0027】
[0026] スキャトロメータは、リソグラフィプロセスのパラメータの測定を可能にする多目的計器であり、測定は、スキャトロメータの対物レンズの瞳若しくは瞳に対する共役面にセンサを有すること(通常、瞳ベースの測定と呼ばれる測定)により、又は像面若しくは像面に対する共役面にセンサを有すること(この場合、通常、像ベース若しくはフィールドベースの測定と呼ばれる測定)により行われる。そのようなスキャトロメータ及び関連する測定技術については、参照によって全体として本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第20100328655号、同第2011102753A1号、同第20120044470A号、同第20110249244号、同第20110026032号又は欧州特許第1,628,164号に詳述されている。前述のスキャトロメータは、本文書で説明されている光源の実施形態からの光を使用して格子を測定することができる。
【0028】
[0027] 特定のターゲットを使用するリソグラフィパラメータの全体的な測定品質は、少なくとも部分的には、このリソグラフィパラメータの測定に使用される測定レシピによって決まる。「基板測定レシピ」という用語は、測定自体の1つ以上のパラメータ、測定された1つ以上のパターンの1つ以上のパラメータ又はその両方を包含し得る。例えば、基板測定レシピで行われる測定が回折ベースの光学的測定であれば、この測定のパラメータの1つ以上は、放射線の波長、放射線の偏光、基板に対する放射線の入射角、基板上のパターンに対する放射線の方位等を含み得る。測定レシピを選択する際の基準の1つは、例えば、何れかの測定パラメータの、プロセス変動に対する感受性であり得る。更なる例は、参照によって全体として本明細書に組み込まれる米国特許出願第2016-0161863号及び公開済みの米国特許出願第2016/0370717A1号に記載されている。本文書の光源は、これらの基板測定レシピの光源要件に関して制御可能であるように構成することができる。
【0029】
[0028] リソグラフィ装置は、1つ又は複数の(例えば、複数の)アライメントセンサを含むことができ、そのアライメントセンサによって基板上に提供されたアライメントマークの位置を高い精度で測定することが可能である。アライメント(又は位置)センサは、回折及び干渉などの光学現象を使用して、基板上に形成されたアライメントマークから位置情報を取得することができる。現在のリソグラフィ装置で使用されているアライメントセンサの一例は、米国特許第6961116号に記載の自己参照干渉計に基づいている。例えば、米国特許出願公開第2015261097A1号に開示されているように、位置センサの様々な強化及び修正が開発されている。これらの全ての公開物の内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0030】
[0029] マーク又はアライメントマークは、基板上に提供されているか、又は基板内に(直接)形成されている層の上、若しくは層の中に形成された一連のバーを含むことができる。バーは一定間隔であり得るとともに格子線として作用し得るので、マークは、周知の空間周期(ピッチ)を有する回折格子と見なすことができる。これらの格子線の方位に応じて、マークは、X軸に沿った、又は(X軸に実質的に垂直に方向付けられた)Y軸に沿った位置の測定を可能にするように設計することができる。X軸及びY軸の両方に対して+45度及び/又は-45度で配置されたバーを含むマークにより、参照によって組み込まれている米国特許出願公開第2009/195768A号に記載の技法を使用したX及びYの組み合わせ測定が可能になる。
【0031】
[0030] アライメントセンサは、放射のスポットを用いて各マークを光学的に走査して、正弦波のような周期的に変化する信号を取得する。この信号の位相は、アライメントセンサに対するマークの位置、したがって基板の位置を判定するために分析され、これが次に、リソグラフィ装置の基準フレームに対して固定される。いわゆる粗いマーク及び微細なマーク(coarse and fine marks)を異なる(粗い及び微細な)マーク寸法に対して設けることができ、これにより、アライメントセンサは、サイクルが異なる周期信号を区別するだけでなく、サイクル内の正確な位置(位相)も区別することができるようになる。この目的のためにピッチの異なるマークを使用してもまたよい。
【0032】
[0031] マークの位置を測定することは、例えば、ウェーハグリッドの形でマークが設けられている基板の変形についての情報もまた提供することができる。基板の変形は、例えば、基板テーブルへの基板の静電気クランプ及び/又は基板が放射にさらされるときの基板の加熱によって起こり得る。
【0033】
[0032] 図3Aは、例えば、参照によって組み込まれる米国特許第6961116号に記載されているような、既知のアライメントセンサASの一実施形態の概略的ブロック図である。放射源RSOは、1つ又は複数の波長の放射のビームRBを供給し、これが、変向光学部品(diverting optics)によって、照明スポットSPとして、基板W上に位置するマークAMなどのマーク上へと変向される。この例では、変向光学部品はスポットミラーSM及び対物レンズOLを含む。放射源RSOは、本文書の開示の光源の実施形態によって設けることができる。マークAMが照明される照明スポットSPは、直径がマーク自体の幅よりもわずかに小さくてもよい。
【0034】
[0033] マークAMによって回折された放射は、(この例では対物レンズOLを介して)情報伝達ビームIBへとコリメートされる。「回折される」という用語は、マークからのゼロ次数回折(反射と呼ばれる場合がある)を含むことを意図している。自己参照干渉計SRI、例えば、上述の米国特許第6961116号に開示されているタイプのものは、それ自体ビームIBに干渉し、その後ビームは光検出器PDによって受光される。放射源RSOによって2つ以上の波長を生成する場合には、別個のビームを供給するために、追加の光学部品(図示せず)が含まれてもよい。光検出器は、単一の要素であってもよいし、又は所望の場合には複数のピクセルを含むことができる。光検出器はセンサアレイを含むことができる。
【0035】
[0034] 基板(又はウェーハ)の上面のトポグラフィを測定するために、トポグラフィ測定システム、レベルセンサ又は高さセンサが配置されるが、これらはリソグラフィ装置に組み込むことができる。基板の高さを基板上の位置の関数として示すこれらの測定値から、高さマップとも呼ばれる、基板のトポグラフィのマップを生成することができる。続いて、基板上の適正焦点位置にパターニングデバイスの空間像を提供するために、この高さマップを使用して基板上にパターンを転写する際に基板の位置を補正することができる。この文脈において、「高さ」とは、基板に対して広く平面外の次元(Z軸とも呼ばれる)を指すことが理解されるであろう。典型的には、レベルセンサ又は高さセンサは(自身の光学系に対して)固定された場所で測定を実行し、基板とレベルセンサ又は高さセンサの光学系との間の相対移動の結果として基板全体にわたる場所での高さ測定値が得られる。
【0036】
[0035] 当技術分野において既知のレベルセンサ又は高さセンサLSの一例が、図3Bに概略的に示されているが、同図は動作の原理のみを図示している。この例では、レベルセンサは光学系を含み、この光学系は投影ユニットLSP及び検出ユニットLSDを含む。投影ユニットLSPは、投影ユニットLSPの投影格子PGRによって付与される放射のビームLSBを供給する放射源LSOを含む。放射源LSOは、本文書の開示の一実施形態を含むことができる。
【0037】
[0036] 本開示は、光源の動作可能な耐用年数、特に、中空コアフォトニック結晶ファイバ(HC-PCF)を含む広帯域光源の動作可能な耐用年数の向上に照準を合わせたものである。本開示の広帯域光源は、上記で説明したようなスキャトロメータ、アライメントセンサ、高さセンサ又はレベルセンサなどのメトロロジツールにおいて使用することができる。
【0038】
[0037] 上述のスキャトロメータ、トポグラフィ測定システム、又は位置測定システムなどのメトロロジツールMTは、測定を実行するために放射源から発せられる放射を使用することができる。メトロロジツールによって使用される放射の特性は、実行され得る測定のタイプ及び品質に影響を与える可能性がある。いくつかの用途については、基板を測定するために、複数の放射周波数を使用することが有利な場合があり、例えば、広帯域放射を使用することができる。複数の異なる周波数は、他の周波数との干渉なしに、又は最小限の干渉でメトロロジターゲットを伝搬、照射、及び散乱させることができる場合がある。したがって、異なる周波数は、例えば、より多くのメトロロジデータを同時に取得するために使用することができる。異なる放射周波数は、メトロロジターゲットの異なる特性を照会及び発見することもまたできる場合がある。広帯域放射は、例えば、レベルセンサ、アライメントマーク測定システム、スキャトロメトリツール、又は検査ツールなどのメトロロジシステムMTで有用な場合がある。広帯域放射源は、スーパーコンティニウム源とすることができる。
【0039】
[0038] 高品質広帯域放射、例えば、スーパーコンティニウム放射は、生成が困難な場合がある。広帯域放射を発生させるための1つの方法は、例えば、非線形の高次効果を使用して、高出力狭帯域又は単一周波数入力放射を拡大することである場合がある。入力放射(レーザを使用して発生させてもよい)は、ポンプ放射と呼ばれる場合がある。代替的に、入力放射はシード放射と呼ばれる場合がある。効果を拡大するための高出力放射を取得するために、放射を小さなエリアに閉じ込めることで、強力に局所化された高強度放射が達成されるようにしてもよい。それらのエリアでは、放射は拡大構造及び/又は材料と相互作用し、広帯域出力放射を生み出すように非線形媒体を形成することができる。高強度放射エリアでは、異なる材料及び/又は構造を使用して、適切な非線形媒体を提供することにより、放射拡大を使用可能にすること、及び/又は向上させることができる。
【0040】
[0039] いくつかの実装形態では、広帯域出力放射はフォトニック結晶ファイバ(PCF)に生じる。いくつかの実施形態では、そのようなフォトニック結晶ファイバは、そのファイバコアの周囲に、ファイバを通って移動する放射をファイバコア内に閉じ込めることを補助する微細構造を有する。ファイバコアは、非線形特性を有する固体材料であって、高強度ポンプ放射がファイバコアを通して伝送されるときに、広帯域放射を発生させることが可能な固体材料で作ることができる。ソリッドコアのフォトニック結晶ファイバで広帯域放射を発生させることは実現可能であるが、固体材料を使用することには、いくつかの欠点があり得る。例えば、UV放射がソリッドコアに発生する場合、この放射は大部分の固体材料によって吸収されるため、放射はファイバの出力スペクトルに存在しない可能性がある。
【0041】
[0040] いくつかの実装形態では、図5を参照して以下で更に説明するように、入力放射を拡大するための方法及び装置は、入力放射を閉じ込めるため、及び入力放射を拡大して広帯域放射を出力するためにファイバを使用することができる。ファイバは中空コアファイバでもよく、ファイバ内での放射の効果的な誘導及び閉じ込めを達成するための内部構造を含むことができる。ファイバは、中空コアフォトニック結晶ファイバ(HC-PCF)でもよく、これは、高い放射強度を達成しながら、放射をファイバの主に中空コアの内部に強力に閉じ込めるのに特に適している。ファイバの中空コアは、入力放射を拡大するための拡大媒体として作用するガス又はガス混合物で満たすことができる。そのようなファイバ及びガス混合物の配置は、スーパーコンティニウム放射源を生み出すために使用することができる。ファイバへの放射入力は、電磁放射、例えば、赤外線、可視、UV、及び極端UVスペクトルのうちの、1つ又は複数の放射とすることができる。出力放射は、本明細書では白色光と呼ばれる場合がある広帯域放射で構成してもよいし、又は広帯域放射を含んでもよい。出力放射は、UV、可視及び近赤外線範囲をカバーすることができる。出力放射の正確なスペクトル及び電力密度は、ファイバ構造、ガス混合組成、ガス圧力、入力放射のエネルギー、入力放射のパルス持続時間及びパルス波形などの複数のパラメータによって決まることになる。
【0042】
[0041] いくつかの実施形態は、光ファイバを含むそのような広帯域放射源の新たな設計に関する。光ファイバは中空コアフォトニック結晶ファイバ(HC-PCF)である。特に、光ファイバは、放射を閉じ込めるための反共振構造を含むタイプの中空コアフォトニック結晶ファイバでもよい。反共振構造を含むそのようなファイバは、反共振ファイバ、管状ファイバ、単一リングファイバ、負曲率ファイバ又は結合抑制ファイバ(inhibited coupling fiber)として当技術分野において既知である。そのようなファイバの様々な異なる設計は当技術分野において既知である。代替的に、光ファイバは、フォトニックバンドギャップファイバ(HC-PBF、例えば、カゴメファイバ)でもよい。
【0043】
[0042] 複数のタイプのHC-PCFはそれぞれ、異なる物理的ガイダンス機構に基づいて設計開発することができる。2つのそのようなHC-PCFには、中空コアフォトニックバンドギャップファイバ(HC-PBF)、及び中空コア反共振反射ファイバ(HC-ARF)が含まれる。HC-PCFの設計及び製造の詳細は、米国特許出願公開第2004/015085A1号(HC-PBFの場合)及び国際公開第2017/032454A1号(中空コア反共振反射ファイバの場合)に見出すことができ、これらは参照によって本明細書に組み込まれる。図6(a)は、カゴメ格子構造を含むカゴメファイバを示す。
【0044】
[0043] これより、放射源で使用するための光ファイバの一例を、図4を参照して説明するが、これは、横断面における光ファイバOFの概略的断面図である。国際公開第2017/0324541号では図4のファイバの実践事例に類似した更なる実施形態を開示している。
【0045】
[0044] 光ファイバOFは、ファイバOFの1つの次元が他の2つの次元と比較して長くなっている、長尺状の本体を含む。この長い方の次元は、軸方向と呼ばれる場合があり、光ファイバOFの軸を規定することができる。他の2つの次元は、横断面と呼ばれる場合がある平面を規定する。図4は、この横断面(すなわち、軸に垂直)における光ファイバOFの断面を示し、それは、x-y平面と表示されている。光ファイバOFの横方向断面は、ファイバ軸に沿って実質的に一定とすることができる。
【0046】
[0045] 光ファイバOFはある程度の柔軟性を有し、したがって、軸の方向は、概して、光ファイバOFの長さに沿って均一にならないことが認識されるであろう。光軸、横断面等の用語は、局所的な光軸、局所的な横断面などを意味することが理解されるであろう。更に、コンポーネントが円柱状又は管状であると説明される場合、これらの用語は、光ファイバOFを曲げたときに歪んだような形状を包含することが理解されるであろう。
【0047】
[0046] 光ファイバOFは任意の長さを有してもよく、光ファイバOFの長さは用途によって決まり得ることが認識されるであろう。光ファイバOFは、例えば、1cm~10mの間の長さ、又は0.1cm~10mの間の長さを有してもよく、光ファイバOFは、10cm~100cmの間の長さを有することができる。
【0048】
[0047] 光ファイバOFは、中空コアCORと、中空コアCORを取り囲むクラッド部分と、クラッド部分を取り囲み、支持する支持部分SPと、を含む。光ファイバOFは、中空コアCORを有する本体(クラッド部分及び支持部分SPを含む)を含むと見なすことができる。クラッド部分は、中空コアCORを通して放射を誘導するための複数の反共振要素を含む。特に、この複数の反共振要素は、光ファイバOFを通って伝搬する放射を主に中空コアHCの内部に閉じ込め、光ファイバOFに沿って放射を誘導するように配置される。光ファイバOFの中空コアHCは、光ファイバOFの実質的に中心領域に設けられてもよく、これにより、光ファイバOFの軸は、光ファイバOFの中空コアHCの軸もまた規定し得るようになる。
【0049】
[0048] クラッド部分は、光ファイバOFを通って伝搬する放射を誘導するための複数の反共振要素を含む。特に、この実施形態では、クラッド部分は、6つの管状キャピラリCAPからなる単一のリングを含む。管状キャピラリCAPはそれぞれ、反共振要素として作用する。
【0050】
[0049] キャピラリCAPは、チューブとも呼ばれる場合もある。キャピラリCAPは、断面が円形であってもよいし、又は別の形状を有してもよい。各キャピラリCAPは、光ファイバOFの中空コアHCを少なくとも部分的に規定し、中空コアHCをキャピラリのキャビティCCから分離する、概して円柱状の壁部分WPを含む。壁部分WPは、中空コアHCを通って伝搬する(そして、かすめ入射角度で壁部分WPに入射する)放射のための反射防止ファブリペロー共振器として作用し得ることが認識されるであろう。壁部分WPの厚さを適切にし、確実に中空コアHC内へと戻る反射が概ね増強され、その一方で、キャピラリのキャビティCC内への透過が概ね抑えられるようにすることができる。いくつかの実施形態では、キャピラリ壁部分WPは、0.01~10.0μmの間の厚さを有することができる。
【0051】
[0050] 本明細書で使用される場合、クラッド部分という用語は、光ファイバOFを通って伝搬する放射を誘導するための光ファイバOFの一部(すなわち、上記放射を中空コアCOR内に閉じ込めるキャピラリCAP)を意味することを意図していることが認識されるであろう。放射は、ファイバ軸に沿って伝搬する横モードの形で閉じ込めることができる。
【0052】
[0051] 支持部分は概して管状であり、クラッド部分の6つのキャピラリCAPを支持する。6つのキャピラリCAPは、内側支持部分SPの場合、内側表面の周囲に均一に分布している。6つのキャピラリCAPは、概して六角形の編成で設けられているものとして記載することができる。
【0053】
[0052] キャピラリCAPは、各キャピラリが他のキャピラリCAPの何れとも接触しないように配置される。キャピラリCAPはそれぞれ、内側支持部分SPと接触し、リング構造内の隣接するキャピラリCAPから離間している。そのような配置は、光ファイバOFの伝送帯域幅を(例えば、キャピラリが互いに接触している配置と比較して)増加させ得るので、有益な場合がある。代替的に、いくつかの実施形態では、キャピラリCAPはそれぞれ、リング構造内の隣接するキャピラリCAPと接触していてもよい。
【0054】
[0053] クラッド部分の6つのキャピラリCAPは、中空コアCORの周囲にリング構造で設けられている。キャピラリCAPのリング構造の内側表面は、光ファイバOFの中空コアHCを少なくとも部分的に規定する。中空コアHCの直径d(対向するキャピラリ間の最小寸法として定義され得る、矢印dによって示される)は、10~1000μmの間とすることができる。中空コアHCの直径dは、モードフィールド直径、衝突損失、分散、モードの複数性(modal plurality)、及び中空コア光ファイバOFの非線形特性に影響し得る。
【0055】
[0054] この実施形態では、クラッド部分は、(反共振要素として作用する)単一のリング構成のキャピラリCAPを含む。したがって、中空コアHCの中心から光ファイバOFの外側までの任意の半径方向の線は、たった1つのキャピラリCAPのみを貫通する。
【0056】
[0055] 他の実施形態には、構成の異なる反共振要素が提供され得ることが認識されるであろう。これらは、複数のリングからなる反共振要素を有する構成、及び入れ子状の反共振要素を有する構成を含むことができる。更に、図4に示される実施形態は、6つのキャピラリからなるリングを含むが、他の実施形態では、任意の数の反共振要素(例えば4、5、6、7、8、9、10、11又は12個のキャピラリ)を含む1つ又は複数のリングがクラッド部分に提供されてもよい。
【0057】
[0056] 図6(b)は、上記で説明した、単一のリングからなる管状キャピラリを有するHC-PCFの修正実施形態を示す。図6(b)の例では、2つの同軸リングからなる管状キャピラリ21がある。管状キャピラリ21の内側リング及び外側リングを保持するために、支持チューブSTがHC-PCFに含まれている場合がある。支持チューブはシリカで作られていてもよい。
【0058】
[0057] 図4並びに図6(a)及び(b)の例の管状キャピラリは、円形の断面形状を有することができる。管状キャピラリには、楕円形の断面又は多角形の断面のような他の形状もまた可能である。追加的に、図4並びに図6(a)及び(b)の例の管状キャピラリの固体材料は、PMAのようなプラスチック材料、シリカ又は軟質ガラスのようなガラスを含んでもよい。
【0059】
[0058] 図5は、広帯域出力放射を供給するための放射源RDSを示す。放射源RDSは、パルスポンプ放射源PRS又は所望の長さ及びエネルギーレベルの短パルスを発生させることが可能な任意の他のタイプの放射源と、中空コアCORを有する(例えば、図4に示されるタイプの)光ファイバOFと、中空コアCOR内に設けられた作動媒体WM(例えば、ガス)と、を含む。図5では、放射源RDSは図4に示される光ファイバOFを含むが、代替実施形態では、他のタイプの中空コア光ファイバを使用してもよい。
【0060】
[0059] パルスポンプ放射源PRSは、入力放射IRDを供給するように構成されている。光ファイバOFの中空コアHCは、パルスポンプ放射源PRSから入力放射IRDを受光し、それを拡大して出力放射ORDを供給するように配置される。作動媒体WMによって、広帯域出力放射ORDを供給するように受光した入力放射IRDの周波数範囲の拡大が可能になる。
【0061】
[0060] 放射源RDSは、リザーバRSVを更に含む。光ファイバOFは、リザーバRSVの内部に設けられる。リザーバRSVは、ハウジング、容器又はガスセルとも呼ばれる場合がある。リザーバRSVは、作動媒体WMを収容するように構成されている。リザーバRSVは、リザーバRSVの内部の作動媒体WM(ガスでもよい)の組成を制御、調整、及び/又はモニタリングするための、当技術分野において既知の、1つ又は複数のフィーチャを含むことができる。リザーバRSVは、第1の透明ウィンドウTW1を含むことができる。使用中、光ファイバOFがリザーバRSVの内部に設けられることで、第1の透明ウィンドウTW1が、光ファイバOFの入力端部IEに近接して位置するようになっている。第1の透明ウィンドウTW1は、リザーバRSVの壁の一部を形成することができる。第1の透明ウィンドウTW1は、少なくとも受光した入力放射周波数に対して透明とすることができ、これにより、受光した入力放射IRD(又は少なくともその大部分)が、リザーバRSVの内部に位置する光ファイバOFの中に結合されるようにすることができる。入力放射IRDを光ファイバOFの中に結合させるために、光学部品(図示せず)を設けてもよいことが認識されるであろう。
【0062】
[0061] リザーバRSVは、リザーバRSVの壁の一部を形成する第2の透明ウィンドウTW2を含む。使用中、光ファイバOFがリザーバRSVの内部に設けられるとき、第2の透明ウィンドウTW2は、光ファイバOFの出力端部OEに近接して位置する。第2の透明ウィンドウTW2は、装置の少なくとも広帯域出力放射ORDの周波数に対して透明とすることができる。
【0063】
[0062] 代替的に、別の実施形態では、光ファイバOFの2つの対向する端部は、異なるリザーバの内部に配置することができる。光ファイバOFは、入力放射IRDを受光するように構成された第1の端部区域と、広帯域出力放射ORDを出力するための第2の端部区域と、を含むことができる。第1の端部区域は、作動媒体WMを含む第1のリザーバの内部に配置することができる。第2の端部区域は、第2のリザーバの内部に配置することができ、第2のリザーバもまた作動媒体WMを含むことができる。リザーバの機能は、上記で図5に関して説明した通りとすることができる。第1のリザーバは、入力放射IRDに対して透明であるように構成された第1の透明ウィンドウを含むことができる。第2のリザーバは、広帯域出力広帯域放射ORDに対して透明であるように構成された第2の透明ウィンドウを含むことができる。第1のリザーバ及び第2のリザーバは、光ファイバOFを部分的にリザーバの内部に、及び部分的にリザーバの外部に配置することができるように、封止可能な開口を含むこともまた可能であり、これにより、ガスをリザーバの内部に封止することが可能になる。光ファイバOFは、リザーバの内部に収容されない中間区域を更に含むことができる。2つの別個のガスリザーバを使用するこのような配置は、光ファイバOFが相対的に長い(例えば、長さが1mを超えるとき)実施形態には特に好都合である場合がある。2つの別個のガスリザーバを使用するこのような配置の場合、2つのリザーバ(2つのリザーバの内部のガスの組成を制御、調整、及び/又はモニタリングするための、当技術分野において既知の1つ又は複数のフィーチャを含むことができる)は、光ファイバOFの中空コアHC内に作動媒体WMを供給するための装置を提供すると見なしてもよいことが認識されるであろう。
【0064】
[0063] この文脈において、ウィンドウは、ウィンドウ上のその周波数の入射放射の少なくとも50%、75%、85%、90%、95%又は99%が、ウィンドウを通して伝送される場合、周波数に対して透明とすることができる。
【0065】
[0064] 第1の透明ウィンドウTW1及び第2の透明ウィンドウTW2はどちらも、作動媒体WM(ガスでもよい)がリザーバRSVの内部に収容され得るように、リザーバRSVの壁の内部に気密封止を形成することができる。ガスWMは、リザーバRSVの周囲圧力と異なる圧力でリザーバRSVの内部に収容できることが認識されるであろう。
【0066】
[0065] 作動媒体WMは、アルゴン、クリプトン、及びキセノンなどの希ガス、水素、重水素及び窒素などのラマン活性ガス、又はアルゴン/水素混合物、キセノン/重水素混合物、クリプトン/窒素混合物、クリプトン/ヘリウム若しくは窒素/水素混合物などのガス混合物を含むことができる。充填ガスのタイプに応じて、非線形の光プロセスは、変調不安定性(MI:modulational instability)、ソリトン自己圧縮、ソリトン分裂、カー効果、ラマン効果及び分散波生成を含むことができ、それらの詳細が、国際公開第2018/127266A1号及び米国特許第9160137B1号に記載されている(これらはどちらも参照によって本明細書に組み込まれる)。充填ガスの分散は、リザーバRSR内の作動媒体WMの圧力(すなわち、ガスセル圧力)を変えることにより調整可能であるので、発生した広帯域パルスダイナミクス及び関連するスペクトル拡大特性は、周波数変換を最適化するように調節することができる。
【0067】
[0066] 1つの実装形態では、作動媒体WMは、広帯域出力放射ORDを生成するために、少なくとも入力放射IRDを受光する間に、中空コアHCの内部に設けることができる。光ファイバOFが広帯域出力放射を生成するための入力放射IRDを受光していない間、ガスWMは中空コアCORに全面的又は部分的に存在しないことが認識されるであろう。
【0068】
[0067] 周波数拡大を達成するために、高強度の放射が望ましい場合がある。中空コア光ファイバOFを有することの利点は、光ファイバOFを通って伝搬する放射の強力な空間的閉じ込めによって高強度の放射を達成し、局所化された高い放射強度を達成し得るという点である。光ファイバOFの内部の放射強度は、例えば、受光した入力放射の強度が高いことにより、及び/又は光ファイバOFの内部の放射の強力な空間的閉じ込めにより、高い場合がある。中空コア光ファイバの利点は、ソリッドコアファイバよりも広い波長領域を有する放射を誘導することができ、特に、中空コア光ファイバは、紫外線領域及び赤外線領域の両方で放射を誘導することができるという点である。
【0069】
[0068] 中空コア光ファイバOFを使用することの利点は、光ファイバOFの内部に誘導される放射の大部分が、中空コアCORに閉じ込められるという点とすることができる。したがって、光ファイバOFの内部の放射の相互作用の大部分は、光ファイバOFの中空コアHCの内部に提供されている作動媒体WMとの相互作用である。その結果、放射に対する作動媒体WMの拡大効果を増大させることができる。
【0070】
[0069] 受光した入力放射IRDは、電磁放射であってもよい。入力放射IRDは、パルス放射として受光することができる。例えば、入力放射IRDは、例えば、レーザによって生じた超高速度パルスを含むことができる。
【0071】
[0070] 入力放射IRDは、コヒーレント放射とすることができる。入力放射IRDは、コリメートされた放射とすることができ、その利点は、光ファイバOF内への入力放射IRDの結合を容易にし、その効率を高めることとすることができる。入力放射IRDは、単一の周波数、又は狭い範囲の周波数を含むことができる。入力放射IRDは、レーザによって発生させることができる。同様に、出力放射ORDはコリメートすることができ、及び/又は、コヒーレントであってもよい。
【0072】
[0071] 出力放射ORDの広帯域範囲は、放射周波数の連続範囲を含む連続範囲とすることができる。出力放射ORDは、スーパーコンティニウム放射を含むことができる。連続放射は、複数の用途、例えば、メトロロジ用途での使用に有益な場合がある。例えば、周波数の連続範囲を使用して、多数の特性を照会することができる。例えば、周波数の連続範囲を使用して、測定される特性の周波数依存性を判定、及び/又は除去することができる。スーパーコンティニウム出力放射ORDは、例えば、100nm~4000nmの波長範囲、又は更に最大10μmにまでわたる電磁放射を含むことができる。広帯域出力放射ORDの周波数範囲は、例えば、400nm~900nm、500nm~900nm、又は200nm~2000nmとすることができる。スーパーコンティニウム出力放射ORDは、白色光を含むことができる。
【0073】
[0072] パルスポンプ放射源PRSによって供給される入力放射IRDは、パルス化することができる。パルスポンプ放射源PRSは、レーザとすることができる。光ファイバOFに沿って伝送されるそのようなレーザパルスの時空的伝送特性、例えば、そのスペクトルの振幅及び位相は、変更可能であり、(ポンプ)レーザのパラメータ、作動コンポーネントWMの変動、及び光ファイバOFのパラメータを調節して調整することが可能である。上記時空的伝送特性は、出力電力、出力モードプロファイル、出力時間プロファイル、出力時間プロファイルの幅(又は出力パルス幅)、出力スペクトルプロファイル、及び出力スペクトルプロファイルの帯域幅(又は出力スペクトル帯域幅)のうちの、1つ又は複数を含むことができる。上記パルスポンプ放射源PRSのパラメータは、ポンプの波長、ポンプのパルスエネルギー、ポンプのパルス幅、ポンプのパルス繰り返し率のうちの1つ又は複数を含むことができる。上記光ファイバOFのパラメータは、光ファイバの長さ、中空コア101のサイズ及び形状、キャピラリのサイズ及び形状、中空コアを取り囲むキャピラリの壁の厚さのうちの1つ又は複数を含むことができる。上記作動コンポーネントWM、例えば、充填ガスのパラメータは、ガスタイプ、ガス圧力及びガス温度のうちの、1つ又は複数を含むことができる。
【0074】
[0073] 放射源RDSによって供給される広帯域出力放射ORDは、少なくとも1Wの平均出力電力を有することができる。平均出力電力は、少なくとも5Wとすることができる。平均出力電力は、少なくとも10Wとすることができる。広帯域出力放射ORDは、パルス広帯域出力放射ORDとすることができる。広帯域出力放射ORDは、少なくとも0.01mW/nmの出力放射の全波長帯域における電力スペクトル密度を有することができる。広帯域出力放射の全波長帯域における電力スペクトル密度は、少なくとも3mW/nmとすることができる。
【0075】
[0011] 本明細書に記載の全ての実施形態では、パルスポンプ放射は、200nm~2μmの間の1つ又は複数の周波数の電磁放射を含むことができる。パルスポンプ放射は、例えば、1.03μmの波長を有する電磁放射を含むことができる。パルス放射の繰り返し率は、1kHz~100MHzのオーダーの大きさとすることができる。パルスエネルギーは、0.1μJ~100μJのオーダーの大きさ、例えば、1~10μJの大きさを有することができる。入力放射IRDのパルス持続時間(例えば、FWHMパルス幅)は、10fs~10psの間、又は例えば、50~400fs若しくは100~400fsとすることができる。ポンプ放射の平均電力は、100mWから数100Wまでの間とすることができる。入力放射IRDの平均電力は、例えば、20~50Wとすることができる。
【0076】
[0012] 図7は、中空コアファイバの内部の作動媒体WMを励起するために使用される一般的な形式の入力放射IRDのレーザパルスを図示する時間tに対する入力放射強度Iのプロットである。パルスは、時間tにおいてピークに達している、時間PWのパルス幅(FWHM)を有する典型的なガウス形状を有することができる。このパルスは、先行する段落に記載されている範囲のうちの1つ又は複数以内のパラメータ値を有することができる。例えば、250~300fsのパルス幅(FWHM)を有するパルスの場合であれば、(ピークの10%からピークの90%までの時間として全体にわたって定義し得る)立ち上がり時間は、250fsよりも長い(例えば、約300fs)。
【0077】
[0013] 広帯域発生プロセスの非線形性が高いため、パルス強度がある特定の閾値に達したときにのみ、連続体の発生が起こる。この閾値に達するまでは、ポンプレーザ放射は変換されず、出力スペクトルのわずかに赤方偏移された鋭いピークとしてシステムを出ていくことになり、これは多くの用途で望ましくない。主要生成パルスに先立って前パルスを使用して、例えば、作動媒体をコンディショニングするとき、変換されないポンプ放射が更に増加し、すなわち、ポンプの電力損失が増加することになる。
【0078】
[0014] 加えて、スペクトルの紫外線側に向けて波長生成を拡張することが望ましい場合が多い。これは、典型的には、中空ファイバを先細りにすること、又は異なるガスタイプに切り換えることにより行われる。これらの選択肢はどちらも端的なものではない。
【0079】
[0015] HC-PCFなどの中空コアファイバの内部の作動媒体を励起するために、鋭い立ち上がりエッジを有する入力放射パルスを使用することが本明細書で提案されている。そのような形状を有するパルスが、ポンプレーザ波長前後で変換されない放射を減らし、紫外線範囲内の値(例えば、400nm未満の波長)に向けて出力スペクトルを拡張することが認められている。したがって、この文脈内での入力放射パルスは、立ち上がり時間が60fsよりも短い、50fsよりも短い、40fsよりも短い、30fsよりも短い、20fsよりも短い、又は10fsよりも短いものとすることができる。図8は、一実施形態による、成形入力放射パルスを図示している。それは、非常に短い(例えば、10fsよりも短い)立ち上がり時間を含む。このパルスは、図7のガウスパルスと同じパルスエネルギー、同じパルス幅PW及び同じピーク強度を有することができる。一実施形態では、パルスの立ち下がりエッジは、対数正規関数の立ち下がりエッジに近似させることができる。例えば、それは、ローレンツ関数(Lorentzian function)の立ち下がりエッジを含むことができる。
【0080】
[0016] 短い立ち上がり時間を有するように入力パルスを成形することの恩恵には、出力放射のスペクトル拡大の発生がはるかに早くなること、及び変換されない入力放射(ポンプ放射)が少なくなることが含まれる。鋭い立ち上がりエッジを有するパルスは、強度閾値に速く到達することで、光変換を早めることができる。また、出力スペクトルは、(例えば、400nm未満の波長及び/又は約300nmの波長で有意な寄与を含むように)UV方向に拡張することができる。これは、多くのメトロロジ用途にとって特に有益である。そのため、400nm未満の波長を取得するためにガスタイプを変更する必要もないし、先細りのファイバを使用する必要もない。また、出力スペクトルを赤外領域に拡張することができる。
【0081】
[0017] 一実施形態では、本明細書に開示されている概念は、より短いパルス、例えば、50fs~200fs、又は50fs~150fs、又は100fs~150fsの範囲のパルス幅/持続時間を有するようなパルスを使用することを含むことができる。より短いパルスを使用することの恩恵は、必要なパルスエネルギーが少なくてすみ、したがって、繰り返し率を高めることができる点である。電離が原因で、繰り返し率が高過ぎると変換効率が低下することが知られている。公称パルス長267fsと比較してパルス当たりのエネルギーを少なくすると、電離効果を低くすることができ、これにより繰り返し率を高めることが可能になる。そのため、(例えば、本明細書に定義されているような)より短いパルスの繰り返し率は、(例えば、公称パルス長に対する)パルス長の減少係数と同じ係数だけ増加することができる。公称パルス長267fsの公称繰り返し率は、ファイバ及びガスのパラメータによって決まる。しかしながら、例示的な公称繰り返し率は、1MHz~10MHzの間、3MHz~8MHzの間、4MHz~6MHzの間、又は5MHzの範囲内とすることができる。そのため、半分のエネルギー及び半分の長さ(例えば134fs)のパルスであれば、繰り返し率は、2倍の速さ(例えば、6MHz~20MHzの間、6MHz~15MHzの間、8MHz~12MHzの間、10MHzの範囲内)となり得る。
【0082】
[0018] 図9は、使用し得る立ち上がり時間が短い別の入力放射パルス波形を含む。この実施形態は、上部が平らなパルスを使用することを含む。そのような上部が平らなパルスは、実質的に対称的であるか、又は図8のパルスと比較して少なくとも相対的に対称的とすることができる。上部が平らなパルスを使用すると、出力スペクトルは、UV方向及びIR方向の両方向に、より効率的に広がる。
【0083】
[0019] これより、図8に図示されているような、立ち上がり時間が短いパルスを発生させるための方法について記載する。このパルス波形は、片側指数分布又は対数正規分布を有すると見なすことができる。片側指数分布を例にとると、時間パルスをフーリエ変換するとローレンツ型スペクトルが得られる。理想的なローレンツ型スペクトルは無限大に拡張するが、実際には、わずかにトランケーションされたものになる。トランケーションされたローレンツ型スペクトルを変換して時間領域に戻すと、片側指数(例えば、理想的なローレンツ型曲線の高速フーリエ変換FFT)及びsinc関数(2乗トランケーション関数のFFT)のたたみ込みが得られる。
【0084】
[0020] したがって、対数正規パルスをターゲットとして使用すると、これは、2乗関数で(例えば、32THzの範囲で)トランケーションされたローレンツ関数によって、極めて近似させることができる。atan位相に近い入力の元の位相を選ぶことができる。また、atan位相は直接適用することができる。
【0085】
[0021] 本発明の更なる実施形態が、以下に列挙される番号を付された条項に開示される。
1.中空コアファイバの内部の作動媒体を励起することによって広帯域出力放射を発生させる方法であって、
60fs未満の立ち上がり時間を有する入力放射のパルスを発生させることと、
入力放射のパルスを用いて作動媒体を励起することと、
を含む、方法。
2.立ち上がり時間が40fs未満である、条項1に記載の方法。
3.立ち上がり時間が20fs未満である、条項1に記載の方法。
4.各パルスの立ち下がりエッジが、ガウス関数又は対数正規関数の立ち下がりエッジに近似する、先行する条項の何れか一項に記載の方法。
5.パルスが、2乗関数信号でトランケーションされたローレンツ型スペクトルを発生させることによって取得される、先行する条項の何れか一項に記載の方法。
6.パルスがそれぞれ、上部が平らなパルスを含む、条項1~3の何れか一項に記載の方法。
7.各パルスの持続時間が50fs~400fsの範囲にある、先行する条項の何れか一項に記載の方法。
8.各パルスの持続時間が50fs~150fsの範囲にある、先行する条項の何れか一項に記載の方法。
9.パルスの繰り返し率が6MHz~15MHzの間である、条項8に記載の方法。
10.パルスの繰り返し率が8MHz~12Mhzの間である、条項8に記載の方法。
11.出力放射が400nmよりも小さい波長を含む、先行する条項の何れか一項に記載の方法。
12.出力放射が350nmよりも小さい波長を含む、先行する条項の何れか一項に記載の方法。
13.中空コアファイバが中空コアフォトニック結晶ファイバを含む、先行する条項の何れか一項に記載の方法。
14.広帯域出力放射を発生させるための広帯域放射源であって、
60fs未満の立ち上がり時間を有する入力放射のパルスを発生させるように動作可能な入力放射源と、
作動媒体及び作動媒体を励起して広帯域出力放射を発生させるように入力放射を受光するための光入力を含む、中空コアファイバと、
を含む、広帯域放射源。
15.立ち上がり時間が40fs未満である、条項14に記載の広帯域放射源。
16.立ち上がり時間が20fs未満である、条項14に記載の広帯域放射源。
17.入力放射源が、ガウス関数又は対数正規関数の立ち下がりエッジに近似する立ち下がりエッジを有するパルスを発生させるように動作可能である、条項14~16の何れか一項に記載の広帯域放射源。
18.入力放射源が、2乗関数信号でトランケーションされたローレンツ型スペクトルを発生させることによりパルスを発生させるように動作可能である、条項14~17の何れか一項に記載の広帯域放射源。
19.入力放射源が、各パルスを上部が平らなパルスとして発生させるように動作可能である、条項14~16の何れか一項に記載の広帯域放射源。
20.各パルスの持続時間が50fs~400fsの範囲にある、条項14~19の何れか一項に記載の広帯域放射源。
21.各パルスの持続時間が50fs~150fsの範囲にある、条項14~20の何れか一項に記載の広帯域放射源。
22.入力放射源が、6MHz~15MHzの間の繰り返し率を有するパルスを発生させるように動作可能である、条項21に記載の広帯域放射源。
23.入力放射源が、8MHz~12MHzの間の繰り返し率を有するパルスを発生させるように動作可能である、条項21に記載の広帯域放射源。
24.出力放射が400nmよりも小さい波長を含む、条項14~23の何れか一項に記載の広帯域放射源。
25.出力放射が350nmよりも小さい波長を含む、条項14~24の何れか一項に記載の広帯域放射源。
26.中空コアファイバが中空コアフォトニック結晶ファイバを含む、条項14~25の何れか一項に記載の広帯域放射源。
27.条項14に記載の広帯域放射源を含むメトロロジデバイスであって、
放射源が基板上に投影するための放射を発生させるように構成されている、メトロロジデバイス。
28.スキャトロメータ、アライメントセンサ又はレベリングセンサのうちの1つである、条項27に記載のメトロロジデバイス。
【0086】
[0074] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及することができるが、本明細書で説明するリソグラフィ装置は他の用途を有することができるということを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用ガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造である。当業者は、こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてもよいことを認識するであろう。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジツール及び/又は検査ツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、そのような、及びその他の基板処理ツールに適用することができる。更に基板は、例えば、多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に1つ又は複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
【0087】
[0075] 上記で本発明の特定の実施形態について説明してきたが、本発明は、説明されている以外の方法で実践し得ることが認識されるであろう。
【0088】
[0076] 上記の説明は、限定的ではなく、例示的であることを意図している。したがって、以下に示される特許請求の範囲から逸脱することなく、記載された本発明に対する修正がなされ得ることが当業者には明らかであろう。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6(a)】
図6(b)】
図7
図8
図9