(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】二液型シーリング材組成物
(51)【国際特許分類】
C09K 3/10 20060101AFI20240704BHJP
C08G 18/61 20060101ALI20240704BHJP
C08L 75/04 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
C09K3/10 D
C08G18/61
C08L75/04
(21)【出願番号】P 2020028642
(22)【出願日】2020-02-21
【審査請求日】2023-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】506416400
【氏名又は名称】シーカ テクノロジー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100166637
【氏名又は名称】木内 圭
(72)【発明者】
【氏名】神田 彩香
(72)【発明者】
【氏名】高原 英之
(72)【発明者】
【氏名】中松 隼人
【審査官】林 建二
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-149801(JP,A)
【文献】特開2006-111805(JP,A)
【文献】特開2004-123900(JP,A)
【文献】特開平04-089862(JP,A)
【文献】特開2012-193285(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/10-3/12
C09D 1/00-201/10
C08K 3/00-13/18
C08L 1/00-101/14
C08G 18/00-18/87
C08G 71/00-71/04
E04B 1/62/1/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイソシアネートとポリオールとを反応させることで得られ、NCO基を分子末端に有するウレタンプレポリマーを含む基剤
(ただし、ポリイソシアネートとモノオールとの反応物を実質的に含むものを除く)と、
ポリオールを含む硬化剤(ただし、芳香族ポリアミンが含まれるものを除く)と、
シリケートオリゴマーとを
備え、
前記シリケートオリゴマーは、下記式(2):
(上記式(2)中、R
1は、同一又は異なっていてよく、炭素数1~5の脂肪族炭化水素基を表し、R
2は、同一又は異なっていてよく、
炭素数1~5の脂肪族炭化水素基を表し、mは、3~100の整数を表す)で表される重合体であり、
水系塗料と密着させて用いるためのものであるシーリング材組成物
であって、
前記シーリング材組成物100質量%に対して、前記ウレタンプレポリマーが5~30質量%であり、前記ポリオールが5~30質量%であり、前記シリケートオリゴマーが0.10~10質量%であるシーリング材組成物。
【請求項2】
前記ウレタンプレポリマーと前記ポリオールとの合計に対する前記シリケートオリゴマーの割合が、0.2~5.0質量%であり、
前記ポリオールに対する前記シリケートオリゴマーの割合が、0.4~10.0質量%であり、
前記シリケートオリゴマーのSiO
2含有量が、40質量%以上60質量%以下であり、
前記シリケートオリゴマーの重量平均分子量が、700以上3500以下である、請求項1に記載のシーリング材組成物。
【請求項3】
前記式(2)において、mで表される単位中の2つ前記R
1の少なくとも1つがメチル基である、請求項1に記載のシーリング材組成物。
【請求項4】
前記ポリオールに対する前記シリケートオリゴマーの割合が、1.125~10.0質量%である、請求項1に記載のシーリング材組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二液型シーリング材組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
シーリング材は、建築物等において各種部材間の目地を充填し、水密性や気密性等と確保する目的で幅広く使用されている。ここで、上記部材を塗装する場合、上記部材の表面とともに、目地に充填されたシーリング材の表面も塗装する場合がある。そのため、塗料との密着性は、部材(例えば、外壁)との間だけでなく、シーリング材との間についても重要となる。このようななか、例えば、特許文献1には、特定のシーリング材を用いることでシーリング材に対する塗料の密着性を向上させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今、環境や健康等の観点から、塗料として水系塗料の使用が増えてきている。
このようななか、本発明者らが特許文献1等を参考に、シーリング材が充填された目地を有する部材を水系塗料で塗装したところ、シーリング材部分の塗料の密着性は必ずしも十分とは言えないことが明らかになった。
【0005】
そこで、本発明は、上記実情に鑑みて、水系塗料との密着性(以下、単に「塗料密着性」とも言う)に優れるシーリング材組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、二液型シーリング材組成物においてシリケートオリゴマーを配合することによって上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
【0007】
(1) ウレタンプレポリマーを含む基剤と、
ポリオールを含む硬化剤と、
シリケートオリゴマーとを含有する、二液型シーリング材組成物。
(2) 上記ウレタンプレポリマーと上記ポリオールとの合計に対する上記シリケートオリゴマーの割合が、0.2~5.0質量%である、上記(1)に記載の二液型シーリング材組成物。
(3) 上記ポリオールに対する上記シリケートオリゴマーの割合が、0.4~10.0質量%である、上記(1)又は(2)に記載の二液型シーリング材組成物。
(4) 上記シリケートオリゴマーにおいて、Si原子に、メトキシ基、エトキシ基及びブトキシ基からなる群より選択される少なくとも1種のアルコキシ基が結合している、上記(1)~(3)のいずれかに記載の二液型シーリング材組成物。
(5) 上記シリケートオリゴマーのSiO2含有量が、40質量%以上60質量%以下である、上記(1)~(4)のいずれかに記載の二液型シーリング材組成物。
(6) 上記シリケートオリゴマーの重量平均分子量が、700以上3500以下である、上記(1)~(5)のいずれかに記載の二液型シーリング材組成物。
【発明の効果】
【0008】
以下に示すように、本発明によれば、水系塗料との密着性に優れるシーリング材組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の二液型シーリング材組成物について説明する。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、各成分は、1種を単独でも用いても、2種以上を併用してもよい。ここで、各成分について2種以上を併用する場合、その成分について含有量とは、特段の断りが無い限り、合計の含有量を指す。
また、本明細書において、硬化後の二液型シーリング材組成物をシーリング材とも言う。
なお、硬化剤のポリオールに対するシリケートオリゴマーの含有量を「シリケートオリゴマー/ポリオール」とも言い、基剤のウレタンプレポリマーと硬化剤のポリオールとの合計に対するシリケートオリゴマーの含有量を「シリケートオリゴマー/樹脂」とも言う。
【0010】
本発明の二液型シーリング材組成物(以下、「本発明の組成物」とも言う)は、
ウレタンプレポリマーを含む基剤と、
ポリオールを含む硬化剤と、
シリケートオリゴマーとを含有する、二液型シーリング材組成物である。
上記シリケートオリゴマーは、上記基剤に含まれていても、上記硬化剤に含まれていても、上記基剤と上記硬化剤の両方に含まれていてもよいし、上記基剤及び上記硬化剤とは別の成分であって基剤と硬化剤との混合時に配合するもの(すなわち、使用時に上記基剤と上記硬化剤と上記シリケートオリゴマーとを混合する態様)であってもよい。
【0011】
本発明の組成物はこのような構成をとるため、上述した効果が得られるものと考えられる。その理由は明らかではないが、およそ以下のとおりと推測される。
上述のとおり、本発明の組成物では、二液型シーリング材組成物においてシリケートオリゴマーを配合する。そのため、本発明の組成物の硬化物であるシーリング材に水系塗料が塗布されると、シリケートオリゴマーが加水分解してシラノール基を生成するものと考えられる。生成されたシラノール基は水との親和性が高いため、シーリング材に水系塗料が十分に濡れ、結果として、優れた塗料密着性を示すものと推測される。
【0012】
以下、本発明の組成物に含有される各成分について説明する。
【0013】
[基剤]
上記基剤は、ウレタンプレポリマーを含む。
【0014】
〔ウレタンプレポリマー〕
上記ウレタンプレポリマーは、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、ポリイソシアネートとポリオールとを、ポリオールの水酸基(OH基)に対してポリイソシアネートのイソシアネート基(NCO基)が過剰になるように反応させることで得られる、NCO基を分子末端に有するウレタンプレポリマーが挙げられる。
より具体的には、例えば、ポリイソシアネートとポリオールとを、NCO基/OH基の当量比が1.2~2.5になるように、好ましくは1.5~2.0になるように反応させて得られるものが挙げられる。その結果、0.5~5質量%のNCO基を分子末端に含有するウレタンプレポリマーが得られ、粘度が5.0~30.0Pa・s、好ましくは8.0~15.0Pa・sとなり、基剤としての流動性が適当になる。
【0015】
<ポリイソシアネート>
上記ポリイソシアネートは、分子内にイソシアネート基を2個以上有するものであれば特に限定されない。
ポリイソシアネートとしては、例えば、TDI[例えば、2,4-トリレンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トリレンジイソシアネート(2,6-TDI)]、MDI[例えば、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4′-MDI)、2,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4′-MDI)]、1,4-フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネートのような芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)のような脂肪族ポリイソシアネート;トランスシクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)のような脂環式ポリイソシアネート;これらのカルボジイミド変性ポリイソシアネート;これらのイソシアヌレート変性ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0016】
このようなポリイソシアネートは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらのうち、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)が好ましく、トリレンジイソシアネート(TDI)が、得られるウレタンプレポリマーが低粘度となり、ウレタンプレポリマーを含む基剤の取扱いが容易となる理由から特に好ましい。
【0017】
<ポリオール>
上記ポリオールは、ヒドロキシ基を2個以上有するものであれば特に限定されない。
ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、その他のポリオール、これらの混合ポリオール等が挙げられる。
【0018】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等の付加重合体であるポリエーテルに、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,1,1-トリメチロールプロパン、1,2,5-ヘキサントリオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオールおよびペンタエリスリトールからなる群から選ばれる少なくとも1種のポリオールを付加して得られるが、具体的には、ポリプロピレンエーテルジオール、ポリプロピレンエーテルトリオールが好適である。
上記ポリエーテルポリオールは、本発明の効果がより優れる理由から、ポリアルキレンエーテルポリオール(ポリアルキレングリコール)が好ましく、ポリエチレンエーテルポリオール(ポリエチレングリコール)、ポリプロピレンエーテルポリオール(ポリプロピレングリコール)(PPG)がより好ましく、ポリプロピレンエーテルポリオール(ポリプロプレングリコール)(PPG)がさらに好ましく、ポリプロピレンエーテルジオール、ポリプロピレンエーテルトリオールが特に好ましい。
【0019】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、1,1,1-トリメチロールプロパンおよびその他の低分子ポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種のポリオールと、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、その他の脂肪族カルボン酸およびオリゴマー酸からなる群から選ばれる少なくとも一種のポリカルボン酸との縮合重合体;プロピオンラクトン、バレロラクトンなどの開環重合体等が挙げられる。
【0020】
その他のポリオールとしては、例えば、ポリマーポリオール、ポリカーボネートポリオール;ポリブタジエンポリオール;水素添加されたポリブタジエンポリオール;アクリルポリオール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオールのような低分子量のポリオール等が挙げられる。
【0021】
このようなポリオールは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらのうち、ポリプロピレンエーテルジオール、ポリプロピレンエーテルトリオールが、基剤の粘度を好適範囲にすることができ、また、これらを基剤に用いて得られる本発明のシーリング材の硬化物の伸びと強度が適当で、水浸漬後の膨潤による物性の低下が少ないという理由から好ましい。
【0022】
上記ウレタンプレポリマーは、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)およびジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)からなる群から選ばれる少なくとも1種と、ポリプロピレンエーテルジオールおよび/またはポリプロピレンエーテルトリオールとの組合せによるものが好適である。ウレタンプレポリマーは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0023】
上記ウレタンプレポリマーの製造方法は特に限定されず、例えば、上述した当量比のポリイソシアネートとポリオールとを、50~130℃で加熱攪拌することによって製造される。また、必要に応じて、例えば、有機錫化合物、有機ビスマス、アミンのようなウレタン化触媒を用いることができる。
【0024】
<含有量>
上記基剤に対する上記ウレタンプレポリマーの含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、10質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましく、70質量%以上であることが特に好ましく、90質量%以上であることが最も好ましい。上記基剤に対するウレタンプレポリマーの含有量の上限は特に制限されず100質量%である。
【0025】
また、シーリング材組成物全体に対する上記ウレタンプレポリマーの含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、1~50質量%であることが好ましく、5~30質量%であることがより好ましく、10~20質量%であることがさらに好ましい。
【0026】
[硬化剤]
上記硬化剤は、ポリオールを含む。
【0027】
〔ポリオール〕
上述のとおり、上記硬化剤はポリオールを含む。
ポリオールの定義、具体例及び好適な態様は、上述したウレタンプレポリマーの製造に使用されるポリオールと同じである。
【0028】
<含有量>
上記硬化剤に対する上記ポリオールの含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、1~90質量%であることが好ましく、5~50質量%であることがより好ましく、10~40質量%であることがさらに好ましく、20~30質量%であることが特に好ましい。
【0029】
また、シーリング材組成物全体に対する上記ポリオールの含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、1~50質量%であることが好ましく、5~30質量%であることがより好ましく、10~20質量%であることがさらに好ましい。
【0030】
[ウレタンプレポリマーとポリオールとの量比]
本発明の組成物において、上述した基剤のウレタンプレポリマーと上述した硬化剤のポリオールとの質量比(ウレタンプレポリマー/ポリオール)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、50~200質量%であることが好ましく、80~120質量%であることがより好ましい。
【0031】
本発明の組成物において、上述した基剤のウレタンプレポリマーのイソシアネート基と上述した硬化剤のポリオールの水酸基との当量比(イソシアネート基/水酸基)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、0.8~1.3であることが好ましく、0.9~1.2であることがより好ましい。
【0032】
[シリケートオリゴマー]
本発明の組成物は、シリケートオリゴマーを含有する。
なお、上述のとおり、上記シリケートオリゴマーは、上述した基剤に含まれていても、上述した硬化剤に含まれていても、上述した基剤と上述した硬化剤の両方に含まれていてもよいし、上述した基剤及び上述した硬化剤とは別の成分であって基剤と硬化剤との混合時に配合するもの(すなわち、使用時に上述した基剤と上述した硬化剤と上記シリケートオリゴマーとを混合する態様)であってもよい。
【0033】
上記シリケートオリゴマーは、シリケート(例えば、アルキルシリケート)の縮合物である。
【0034】
〔特定重合体〕
上記シリケートオリゴマーは、本発明の効果がより優れる理由から、下記式(1)で表される単位を有する重合体(以下、「特定重合体」とも言う)であることが好ましい。
上記特定重合体は、本発明の効果がより優れる理由から、下記式(1)で表される単位を少なくとも2つ以上有する重合体であることが好ましく、下記式(1)で表される単位を少なくとも3つ以上有する重合体であることがより好ましい。下記式(1)で表される単位の数の上限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、200以下であることが好ましく、100以下であることがより好ましく、50以下であることがさらに好ましい。
上記特定重合体は、本発明の効果がより優れる理由から、ポリシロキサンであることが好ましい。
【0035】
<式(1)で表される単位>
【0036】
【0037】
式(1)中、R1は、炭化水素基を表す。
上記炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、またはこれらを組み合わせた基などが挙げられる。
上記脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。上記脂肪族炭化水素基の具体例としては、直鎖状または分岐状のアルキル基(特に、炭素数1~30)、直鎖状または分岐状のアルケニル基(特に、炭素数2~30)、直鎖状または分岐状のアルキニル基(特に、炭素数2~30)などが挙げられる。
上記芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などの炭素数6~18の芳香族炭化水素基などが挙げられる。
上記炭化水素基は、本発明の効果がより優れる理由から、脂肪族炭化水素基(特に、炭素数1~5)であることが好ましく、直鎖状の脂肪族炭化水素基(特に、炭素数1~5)であることがより好ましく、メチル基、エチル基及びブチル基であることがさらに好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
複数存在するR1は同一であっても異なっていてもよい。
【0038】
特定重合体の全繰り返し単位のうち、上記式(1)で表される単位が占める割合は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、90モル%以上であることがさらに好ましい。
【0039】
<その他の単位>
特定重合体は上記式(1)で表される単位以外の単位を有していてもよい。そのような単位としては、例えば、-(Si(OR1)(R3)-O)-や-(Si(R3)2-O)-が挙げられる。ここで、R1の定義、具体例及び好適な態様は上記式(1)中のR1と同じである。また、R3は炭化水素基を表す。炭化水素基の具体例及び好適な態様は上記式(1)中のR1と同じである。複数存在するR3は同一であっても異なっていてもよい。
【0040】
<特定重合体の好適な態様>
上記特定重合体は、下記式(2)で表される重合体であることが好ましい。
【0041】
【0042】
式(2)中、R1は、炭化水素基を表す。R2は、水素原子又は置換基を表す。mは、2以上の整数を表す。
【0043】
上述のとおり、式(2)中、R1は、炭化水素基を表す。
上記炭化水素基の具体例及び好適な態様は、上述した式(1)中のR1と同じである。
複数存在するR1は同一であっても異なっていてもよい。
【0044】
上述のとおり、式(2)中、R2は、水素原子又は置換基を表す。
上記置換基は1価の置換基であれば特に制限されないが、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アミノ基、メルカプト基、アシル基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、シリル基、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基などが挙げられる。
上記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
上記ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基のヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子などが挙げられる。
上記ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基の具体例及び好適な態様は、上述した式(1)中のR1と同じである。
上記R2は、本発明の効果がより優れる理由から、炭化水素基であることが好ましく、脂肪族炭化水素基(特に、炭素数1~5)であることがより好ましく、直鎖状の脂肪族炭化水素基(特に、炭素数1~5)であることがさらに好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
複数存在するR2は同一であっても異なっていてもよい。
【0045】
上述のとおり、式(2)中、mは、2以上の整数を表す。
上記mは、本発明の効果がより優れる理由から、3~100の整数であることが好ましく、5~80の整数であることがより好ましく、8~50の整数であることがさらに好ましい。
【0046】
〔SiO2含有量〕
上記シリケートオリゴマーのSiO2含有量は、本発明の効果がより優れる理由から、40質量%以上60質量%以下であることが好ましい。
なお、上記SiO2含有量は、シリケートオリゴマー総重量に対するSiO2の含有量と定義される。
【0047】
〔分子量〕
上記シリケートオリゴマーの重量平均分子量(Mw)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、500~10,000であることが好ましく、500~5,000であることがより好ましく、500~3,500であることがさらに好ましい。
なお、上記重量平均分子量は、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定値をもとにした標準ポリスチレン換算値である。
【0048】
〔含有量〕
上述した基剤のウレタンプレポリマーと上述した硬化剤のポリオールとの合計に対する上記シリケートオリゴマーの含有量(「シリケートオリゴマー/樹脂))は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、0.2~20.0質量%であることが好ましく、0.4~15.0質量%であることがより好ましく、0.5~10.0質量%であることがさらに好ましく、1.0~5.0質量%であることが特に好ましい。
【0049】
また、上述した硬化剤のポリオールに対する上記シリケートオリゴマーの含有量(「シリケートオリゴマー/ポリオール」)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、0.4質量%以上であることが好ましく、0.8質量%以上であることがより好ましく、1.0質量%以上であることがさらに好ましく、2.0質量%以上であることが特に好ましい。上記「シリケートオリゴマー/ポリオール」の上限は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、30.0質量%以下であることが好ましく、20.0質量%以下であることがより好ましく、15.0質量%以下であることがさらに好ましく、10.0質量%以下であることが特に好ましい。
【0050】
また、本発明の組成物全体に対する上記シリケートオリゴマーの含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、0.01~10質量%であることが好ましく、0.10~5.00質量%であることがより好ましく、0.20~4.00質量%であることがさらに好ましく、0.30~3.00質量%であることが特に好ましい。
【0051】
[任意成分]
本発明の組成物は、上述した成分以外の成分(任意成分)を含有していてもよい。
上記任意成分としては、例えば、可塑剤、バルーン(中空体)、硬化触媒、老化防止剤、酸化防止剤、反応調整剤、充填剤、希釈剤(溶剤)、チクソトロピー剤、増粘剤、分散剤、顔料等が挙げられる。
なお、上記任意成分は、基剤にしてもよいし、硬化剤に添加してもよいし、基剤と硬化剤の混合時に
なお、上記任意成分は、上述した基剤に含まれていても、上述した硬化剤に含まれていても、上述した基剤と上述した硬化剤の両方に含まれていてもよいし、上述した基剤及び上述した硬化剤とは別の成分であって基剤と硬化剤との混合時に配合するもの(すなわち、使用時に上述した基剤と上述した硬化剤と上記任意成分とを混合する態様)であってもよい。
【0052】
〔硬化触媒〕
上述した硬化剤は、本発明の効果がより優れる理由から、硬化触媒を含むのが好ましいい。
上記硬化触媒としては、例えば、有機金属系触媒が挙げられる。
有機金属系触媒としては、例えば、オクテン酸鉛、オクチル酸鉛のような鉛系触媒;オクチル酸亜鉛のような有機亜鉛化合物;ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズラウレートのような有機スズ化合物;オクチル酸カルシウム、ネオデカン酸カルシウムのような有機カルシウム化合物;有機バリウム化合物;有機ビスマス化合物等が挙げられる。
硬化触媒は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0053】
上記硬化触媒の含有量は、硬化剤全量に対して0.2~5質量%であることが好ましい。
なお、硬化触媒は、可塑剤とともに硬化剤中に配合してもよいし、基剤と硬化剤の混合時に添加してもよい。
【0054】
〔老化防止剤〕
上記老化防止剤としては、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシトルエンアニソール(BHA)、ベンゾトリアゾール等を挙げることができる。
【0055】
〔酸化防止剤〕
上記酸化防止剤としては、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシトルエンアニソール(BHA)、ジフェニルアミン、フェニレンジアミン、亜リン酸トリフェニル等を挙げることができる。
【0056】
〔反応調製剤〕
上記反応調整剤は可使時間と硬化性のバランスを整えるものであり、オクチル酸、ネオデカン酸、ステアリン酸等のカルボン酸が適している。また、カルボン酸と水酸化カルシウムとの当量配合によって得られるカルボン酸のカルシウム塩等を反応調整剤として使用することもできる。配合量は硬化剤全量に対して0.1~2.0質量%が好ましく、0.1~0.5質量%がより好ましい。
【0057】
〔充填剤〕
上記充填剤は充填効果のほかに、シーリング材の硬化物に伸びと強度を付与し、補強効果をもたらす。上記充填剤は特に限定されないが、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化ケイ素、タルク、クレー、生石灰、カオリン、ゼオライト、けいそう土、微粉末シリカ、疎水性シリカ、カーボンブラック等が挙げられる。
上記充填剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を併用して使用することができる。好ましいのは硬化剤および可塑剤との濡れ性の観点から、酸化チタン、疎水性シリカ、カーボンブラック、炭酸カルシウムである。充填剤の含有量は、硬化物の破断伸びに優れ、破断強度を補うという観点から、上述したウレタンプレポリマー100質量部に対して40~160質量部、好ましくは50~150質量部である。
【0058】
〔希釈剤〕
上記希釈剤(溶剤)としては、例えば、ヘキサン、トルエンのような炭化水素化合物;テトラクロロメタンのようなハロゲン化炭化水素化合物;アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル;酢酸エチルのようなエステル;ミネラルスピリット等が挙げられる。配合量は特に制限されないが、硬化剤全量に対して10質量%以下が好ましく、5.0質量%以下がより好ましい。
【0059】
〔チクソトロピー剤〕
上記チクソトロピー剤は特に限定されないが、合成炭酸カルシウム(沈降性炭酸カルシウム)が好適である。合成炭酸カルシウムとしては、コロイダル炭酸カルシウム等が挙げられる。チクソトロピー剤は、硬化剤全量に対して15~60質量%、好ましくは25~55質量%配合される。
【0060】
〔可塑剤〕
上記可塑剤としては、例えば、アジピン酸ジイソノニル(DINA)、フタル酸ジイソノニル(DINP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジラウリルフタレート(DLP)、ジブチルベンジルフタレート(BBP)、ジオクチルアジペート(DOA)、ジイソデシルアジペート(DIDA)、トリオクチルフォスフェート(TOP)、トリス(クロロエチル)フォスフェート(TCEP)、トリス(ジクロロプロピル)フォスフェート(TDCPP)、アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステル等が挙げられる。
上述した基剤に対する上記可塑剤の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、1~30質量%であることが好ましく、5~20質量%であることがより好ましい。
上述した硬化剤に対する上記可塑剤の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、1~50質量%であることが好ましく、2~30質量%であることがより好ましく、3~20質量%であることがさらに好ましい。
【0061】
〔顔料〕
上記顔料は、無機顔料と有機顔料とに大別される。
無機顔料としては、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、酸化亜鉛、群青、ベンガラのような金属酸化物;リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウムの硫化物、これらの塩酸塩またはこれらの硫酸塩等が挙げられる。
有機顔料としては、具体的には、例えば、アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料等が挙げられる。
【0062】
〔バルーン〕
上記バルーン(中空体)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、中空体の外殻が樹脂またはガラス状物質によって構成されているものが好ましい。例えば、中空体の内部に液体を内包させてこれを加熱し、外殻となる樹脂を膨張させ、かつ、内部の液体を気化させて得られる熱膨張性の樹脂中空体が挙げられる。
【0063】
上記樹脂中空体の外殻を構成する樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂等の熱硬化性樹脂;ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、(メタ)アクリロニトリル(共)重合体等の熱可塑性樹脂が挙げられる。これらのうち、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデンおよび(メタ)アクリロニトリル(共)重合体からなる群から選択される少なくとも一種であるのが好ましい。
【0064】
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデンのようなハロゲン含有化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリルのようなニトリル化合物;ベンジルアクリレート、ノルボルナンアクリレートのようなアクリレート化合物;メチルメタクリレート、ノルボルナンメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートのようなメタクリレート化合物;スチレン系モノマー;酢酸ビニル;ブタジエン;ビニルピリジン;クロロプレン等の化合物のホモポリマーや、これらの化合物のコポリマー等が挙げられる。
これらのうち、耐候性、耐熱性の観点から、アクリロニトリル共重合体(例えば、アクリロニトリルとメタクリロニトリルとの共重合体、アクリロニトリルとアクリロニトリルと共重合可能なブタジエン、スチレンのようなビニル系モノマーとの共重合体等)、ポリ塩化ビニリデン樹脂が好ましい。
【0065】
上記樹脂中空体に内包される液体としては、例えば、n-ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ブタン、イソブタン、ヘキサン、石油エーテルのような炭化水素類;塩化メチル、塩化メチレン、ジクロロエチレン、トリクロロエタン、トリクロルエチレンのような塩素化炭化水素が挙げられる。
【0066】
[シーリング材組成物の製造方法]
本発明の組成物の製造方法は特に制限されないが、例えば、ウレタンプレポリマーを含む基剤と、ポリオールを含む硬化剤とを別々に窒素ガス雰囲気下で十分に混合する方法が挙げられる。
【0067】
[使用方法]
本発明の組成物の使用方法は特に制限されないが、上述した基剤と上述した硬化剤の少なくとも一方が上述したシリケートオリゴマーを含む場合には基剤と硬化剤とを混合する方法、上述したシリケートオリゴマーが上述した基剤及び上述した硬化剤とは別の成分である場合は基剤と硬化剤とシリケートオリゴマーとを混合する方法等が挙げられる。
【実施例】
【0068】
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0069】
〔二液型シーリング材組成物の調製〕
下記表1に示される各成分を同表に示される割合(質量部)で混合することで二液型シーリング材組成物(基剤、硬化剤、シリケートオリゴマー)を調製した。なお、シリケートオリゴマーは硬化剤及び基剤とは別の成分であり、使用時に基剤と硬化剤とシリケートオリゴマーとを混合する態様とした。
【0070】
〔塗料密着性〕
得られた二液シーリング材組成物を金型に流し込み、20℃で7日間放置して硬化させた。次いで、シーリング材の表面に水系塗料(自己乳化型のカチオン系エマルジョン)を塗布した。7日後(20℃)に、JIS K5600-5-6に準じて碁盤目試験(25マス)及びクロスカット試験を行った。そして、下記判定基準に従って、塗料密着性を評価した。実用上、2~5であることが好ましく、3~5であることがより好ましく、4~5であることがさらに好ましく、5であることが特に好ましい。
・1 碁盤目試験:0~4マス、クロスカット試験:食いつき無し
・2 碁盤目試験:0~4マス、クロスカット試験:食いつき少し有り
・3 碁盤目試験:5~7マス、クロスカット試験:食いつき少し有り
・4 碁盤目試験:8~20マス、クロスカット試験:食いつき少し有り
・5 碁盤目試験:21~25マス、クロスカット試験:食いつき有り
【0071】
【0072】
表1中の各成分の詳細は以下のとおりである。
・ウレタンプレポリマー:下記のとおり合成したウレタンプレポリマー
ポリプロピレンエーテルトリオール(「エクセノール3030」、質量平均分子量3,000、AGC社製)とポリプロピレンエーテルジオール(「エクセノール2020」、質量平均分子量2000、AGC社製)とを合計で80質量部、減圧下で110℃に加熱し、6時間脱水を行った。次いで、脱水後の反応容器内を80℃に加熱し、窒素雰囲気下で、トリレンジイソシアネート(「TDI-80」、三井化学社製)10質量部をNCO基/OH基の当量比が2.0となるように攪拌しながら添加し、さらに24時間攪拌混合し、ウレタンプレポリマーを合成した。得られたウレタンプレポリマーのNCO基の含有量は、ウレタンプレポリマー全質量に対して3.0質量%であった。
・可塑剤1:ジェイ・プラス社製DINA(可塑剤、アジピン酸ジイソノニル)
・ポリオール:エクセノール3020(PPG、AGC社製)/エクセノール5030(PPG、AGC社製)=65/35(質量比)
・可塑剤2:三洋化成社製GPA-3000(可塑剤、希釈用ポリオキシアルキレン系樹脂)
・溶剤:昭和インターナショナル社製メルベイユ40(脂肪族炭化水素を含有する混合炭化水素類)
・硬化触媒:日本化学産業社製プキャット10/日本化学産業社製ニッカオクチックス亜鉛8%EH=1.5/1.5(質量比)
・充填剤1:丸尾カルシウム社製スーパーSS(炭酸カルシウム)/丸尾カルシウム社製MCコートS-20(炭酸カルシウム)=125/15(質量比)
・充填剤2:丸尾カルシウム社製MS-900(表面処理炭酸カルシウム)
・バルーン:松本油脂社製MFL-SE100(樹脂中空体)
・MS58B30:三菱ケミカル社製MKCシリケートMS58B30(上述した式(2)で表される重合体。ここで、R1:メチル基又はブチル基(メチル基/ブチル基=70/30(モル比)、R2:メチル基又はブチル基(メチル基/ブチル基=70/30(モル比)、m:22~28、SiO2含有量:49.0~55.0質量%、重量平均分子量:2650~3250)
・MS51:三菱ケミカル社製MKCシリケートMS51(上述した式(2)で表される重合体。ここで、R1:メチル基、R2:メチル基、m:8~12、SiO2含有量:51.0~53.0質量%、重量平均分子量:800~1100)
・MS56:三菱ケミカル社製MKCシリケートMS56(上述した式(2)で表される重合体。ここで、R1:メチル基、R2:メチル基、m:15~24、SiO2含有量:55.5~57.5質量%、重量平均分子量:1450~2250)
・MS57:三菱ケミカル社製MKCシリケートMS57(上述した式(2)で表される重合体。ここで、R1:メチル基、R2:メチル基、m:24~29、SiO2含有量:57.5~59.5質量%、重量平均分子量:2250~2700)
・MS56S:三菱ケミカル社製MKCシリケートMS56S(上述した式(2)で表される重合体。ここで、R1:メチル基、R2:メチル基、m:30~38、SiO2含有量:58.0~60.0質量%、重量平均分子量:2850~3500)
・エチルシリケート40:コルコート社製エチルシリケート40(上述した式(2)で表される重合体。ここで、R1:エチル基、R2:エチル基、m:5、SiO2含有量:40.0~40.4質量%、重量平均分子量:745)
【0073】
表1中、「シリケートオリゴマー/樹脂」は、上述した「シリケートオリゴマー/樹脂」を表す。
【0074】
表1から分かるように、シリケートオリゴマーを使用しなかった比較例1と比較して、シリケートオリゴマーを使用した実施例1~13は、優れた塗料密着性を示した。なかでも、「シリケートオリゴマー/樹脂」が0.4質量%以上である実施例2~6、8及び10~13は、より優れた塗料密着性を示した。
実施例1~12の対比(シリケートオリゴマーが式(1)で表される単位(ここでR1の少なくとも一部はメチル基)を有する重合体である態様同士の対比)から、「シリケートオリゴマー/樹脂」が0.4質量%以上である実施例2~6、8及び10~12は、より優れた塗料密着性を示した。なかでも、「シリケートオリゴマー/樹脂」が0.5質量%以上である実施例3~6、8及び11~12は、さらに優れた塗料密着性を示した。そのなかでも、「シリケートオリゴマー/樹脂」が1.0質量%以上である実施例4~6、8及び11~12は、特に優れた塗料密着性を示した。
実施例4と実施例8と実施例11と実施例12と実施例13との対比(シリケートオリゴマーの種類のみが異なる態様同士の対比)から、シリケートオリゴマーが式(1)で表される単位(ここでR1の少なくとも一部はメチル基)を有する重合体である実施例4、8、11及び12は、より優れた塗料密着性を示した。