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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20240704BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20240704BHJP
   H05B 3/03 20060101ALI20240704BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
G03G21/16 104
G03G21/16 152
G03G15/20 510
H05B3/03
G03G21/00 530
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2020042989
(22)【出願日】2020-03-12
(65)【公開番号】P2021144152
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100207181
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 朋
(72)【発明者】
【氏名】井上 大輔
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-231696(JP,A)
【文献】特開2018-097286(JP,A)
【文献】特開2019-168497(JP,A)
【文献】特開2007-286163(JP,A)
【文献】特開平06-095543(JP,A)
【文献】特開2008-076857(JP,A)
【文献】特開2019-101342(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 15/20
H05B 3/03
G03G 21/00
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置側吸気口および装置側排気口を有する画像形成装置本体の筐体と、
送風口を有し、前記装置側吸気口から吸気する送風手段と、
被給電部材と、
前記被給電部材に給電する給電部材と、を備えた画像形成装置であって、
前記給電部材は、
前記被給電部材に接触して給電する給電端子と、
前記給電端子を保持する保持部材と、を備え、
前記保持部材は、前記給電端子が挿入された貫通孔を備え、
前記貫通孔の開口端のうち、前記給電端子と前記被給電部材との接触部の側の開口端である一方側の開口端と、前記接触部の側とは反対側の開口端である他方側の開口端と、を備え、
前記貫通孔の前記他方側の開口端に交わり、前記給電端子の長手方向に直交する仮想面を境にして、前記送風口の中央を前記接触部の側と反対側に設けるとともに、前記装置側排気口の少なくとも一部を前記接触部の側に設け
記送風手段によって形成された気流が、前記貫通孔を前記他方側の開口端から前記一方側の開口端へ通過して前記接触部へ流れることにより、前記接触部において、腐食性ガスによる前記給電端子あるいは前記被給電部材の少なくともいずれかの腐食を抑制し、
前記被給電部材は、前記給電端子に接触する被給電部を備え、
前記給電端子の前記被給電部材に接触する表面部分と前記被給電部の表面とを形成する材料が共通の金属元素を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記装置側吸気口を複数有し、
前記装置側吸気口から吸気する送風手段を複数有する請求項1記載の画像形成装置であって、
複数の前記送風手段のうち少なくとも一方を、前記仮想面を境にして、前記送風手段を前記接触部の側と反対側に設け、
複数の前記送風手段のうち一方を前記被給電部材の長手方向の一方側、前記送風手段の他方を前記被給電部材の長手方向の他方側に設けた画像形成装置。
【請求項3】
装置側吸気口および装置側排気口を有する画像形成装置本体の筐体と、
送風路と、
前記装置側吸気口から吸気し、前記送風路内へ送風する送風手段と、
被給電部材と、
前記被給電部材に給電する給電部材と、を備えた画像形成装置であって、
前記給電部材は、
前記被給電部材に接触して給電する給電端子と、
前記給電端子を保持する保持部材と、を備え、
前記保持部材は、前記給電端子が挿入された貫通孔を備え、
前記貫通孔の開口端のうち、前記給電端子と前記被給電部材との接触部の側の開口端である一方側の開口端と、前記接触部の側とは反対側の開口端である他方側の開口端と、を備え、
前記送風路は、その開口端のうち、前記送風手段による送風方向下流側の開口端である下流側開口端を有し、
前記貫通孔の前記他方側の開口端に交わり、前記給電端子の長手方向に直交する仮想面を境にして、前記送風路の下流側開口端の中央を前記接触部の側と反対側に設けるとともに、前記装置側排気口の少なくとも一部を前記接触部の側に設け
記送風手段によって形成された気流が、前記貫通孔を前記他方側の開口端から前記一方側の開口端へ通過して前記接触部へ流れることにより、前記接触部において、腐食性ガスによる前記給電端子あるいは前記被給電部材の少なくともいずれかの腐食を抑制し、
前記被給電部材は、前記給電端子に接触する被給電部を備え、
前記給電端子の前記被給電部材に接触する表面部分と前記被給電部の表面とを形成する材料が共通の金属元素を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
加熱装置をさらに備えた請求項1から3いずれか1項に記載の画像形成装置であって、
前記加熱装置は、
前記被給電部材としての加熱部材と、
前記給電部材と、を備え、
前記加熱部材は、
発熱体と、
前記給電端子に接触し、前記発熱体に電力を供給する、被給電部としての電極部と、を備えた画像形成装置。
【請求項5】
前記送風手段に近い側から、前記給電部材、前記加熱装置の被加熱物通過領域の順で配置される請求項1または2に係る請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記貫通孔の他方側の開口端は、前記加熱装置を通過する被加熱物の搬送方向上流側へ向けて開口している請求項4または5記載の画像形成装置。
【請求項7】
吸気口を有し、前記装置側排気口から排気する第2の送風手段をさらに有する請求項1、2、1または2に係る4、5、6いずれか1項に記載の画像形成装置であって、
前記仮想面を境にして、前記第2の送風手段の前記吸気口の中央を前記接触部と同じ側に設けた画像形成装置。
【請求項8】
吸気路と、
前記吸気路から吸気する第2の送風手段をさらに有する請求項1から6いずれか1項に記載の画像形成装置であって、
前記吸気路の開口端のうち、前記第2の送風手段による吸気方向上流側の開口端の中央を、前記仮想面を境にして、前記接触部と同じ側に設けた画像形成装置。
【請求項9】
装置側吸気口および装置側排気口を有する画像形成装置本体の筐体と、
吸気口を有し、前記装置側排気口から排気する送風手段と、
被給電部材と、
前記被給電部材に給電する給電部材と、を備えた画像形成装置であって、
前記給電部材は、
前記被給電部材に接触して給電する給電端子と、
前記給電端子を保持する保持部材と、を備え、
前記保持部材は、前記給電端子が挿入された貫通孔を備え、
前記貫通孔の開口端のうち、前記給電端子と前記被給電部材との接触部の側の開口端である一方側の開口端と、前記接触部の側とは反対側の開口端である他方側の開口端と、を備え、
前記貫通孔の前記他方側の開口端に交わり、前記給電端子の長手方向に直交する仮想面を境にして、前記送風手段の前記吸気口の中央を前記接触部の側と同じ側に設けるとともに、前記装置側吸気口の少なくとも一部を前記接触部の側と反対側に設け
記送風手段によって形成された気流が、前記貫通孔を前記他方側の開口端から前記一方側の開口端へ通過して前記接触部へ流れることにより、前記接触部において、腐食性ガスによる前記給電端子あるいは前記被給電部材の少なくともいずれかの腐食を抑制され、
前記被給電部材は、前記給電端子に接触する被給電部を備え、
前記給電端子の前記被給電部材に接触する表面部分と前記被給電部の表面とを形成する材料が共通の金属元素を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
装置側吸気口および装置側排気口を有する画像形成装置本体の筐体と、
吸気路と、
前記吸気路から吸気し、前記装置側排気口から排気する送風手段と、
被給電部材と、
前記被給電部材に給電する給電部材と、を備えた画像形成装置であって、
前記給電部材は、
前記被給電部材に接触して給電する給電端子と、
前記給電端子を保持する保持部材と、を備え、
前記保持部材は、前記給電端子が挿入された貫通孔を備え、
前記貫通孔の開口端のうち、前記給電端子と前記被給電部材との接触部の側の開口端である一方側の開口端と、前記接触部の側とは反対側の開口端である他方側の開口端と、を備え、
前記吸気路は、その開口端のうち、前記送風手段による吸気方向上流側の開口端である上流側開口端を有し、
前記貫通孔の前記他方側の開口端に交わり、前記給電端子の長手方向に直交する仮想面を境にして、前記吸気路の上流側開口端の中央を前記接触部の側と同じ側に設けるとともに、前記装置側吸気口の少なくとも一部を前記接触部の側と反対側に設け
記送風手段によって形成された気流が、前記貫通孔を前記他方側の開口端から前記一方側の開口端へ通過して前記接触部へ流れることにより、前記接触部において、腐食性ガスによる前記給電端子あるいは前記被給電部材の少なくともいずれかの腐食を抑制され、
前記被給電部材は、前記給電端子に接触する被給電部を備え、
前記給電端子の前記被給電部材に接触する表面部分と前記被給電部の表面とを形成する材料が共通の金属元素を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
加熱装置をさらに備えた請求項9または10記載の画像形成装置であって、
前記加熱装置は、
前記被給電部材としての加熱部材と、
前記給電部材と、を備え、
前記加熱部材は、
発熱体と、
前記給電端子に接触し、前記発熱体に電力を供給する、被給電部としての電極部と、を備えた画像形成装置。
【請求項12】
前記送風手段に近い側から、前記加熱装置の被加熱物通過領域、前記給電部材の順で配置される請求項9に係る請求項11記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記貫通孔の他方側の開口端は、前記加熱装置を通過する被加熱物の搬送方向上流側へ向けて開口している請求項11または12記載の画像形成装置。
【請求項14】
送風口を有し、前記装置側吸気口から吸気する第2の送風手段を有する請求項9から13いずれか1項に記載の画像形成装置であって、
前記仮想面を境にして、前記第2の送風手段の前記送風口の中央を前記接触部と反対側に設けた画像形成装置。
【請求項15】
送風路と、
前記送風路へ送風する第2の送風手段と、をさらに有する請求項9から13いずれか1項に記載の画像形成装置であって、
前記送風路の開口端のうち、前記第2の送風手段による送風方向下流側の開口端の中央を、前記仮想面を境にして、前記接触部と反対側に設けた画像形成装置。
【請求項16】
前記貫通孔の他方側の開口端が前記接触部よりも重力方向下側にある請求項1から15いずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記他方側の開口端を通過する気流のうち、前記給電端子の長手方向と平行な方向の成分が、前記他方側の開口端の側から前記一方側の開口端の側を向いている請求項1から16いずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記他方側の開口端を通過する気流の方向において、前記他方側の開口端が前記一方側の開口端の上流側に配置される請求項1から17いずれか1項に記載の画像形成装置
【請求項19】
前記他方側の開口端を通過する気流の、前記仮想面に対する角度が45度~90度の範囲である請求項1から18いずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項20】
前記装置側排気口は前記接触部よりも重力方向とは反対方向である上側に設けられる請求項16記載の画像形成装置。
【請求項21】
前記装置側吸気口は前記接触部よりも重力方向下側に設けられる請求項16または20記載の画像形成装置。
【請求項22】
前記給電部材は、前記給電端子に接続される電線をさらに備え、
前記給電端子の表面は、前記被給電部材に接触する部分と前記電線に接続される側の部分とが同じ材料で形成される請求項1から21いずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項23】
前記給電端子の表面を形成する材料に含まれる金属元素が銀である請求項1から22いずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項24】
前記被給電部の表面を形成する材料に含まれる金属元素が銀である請求項1から23いずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項25】
前記保持部材は、前記貫通孔以外の開口部として他の開口部のみを有し、
前記他の開口部は、前記接触部を挟んで、前記貫通孔と反対側に設けられる請求項1から24いずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項26】
前記給電端子は弾性力により前記被給電部材に接触する請求項1から25いずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ等の画像形成装置において、用紙上のトナーを熱により定着させる定着装置や用紙上のインクを乾燥させる乾燥装置などに用いられる加熱部材として、面状の抵抗発熱体を有する面状ヒータが知られている。
【0003】
被給電部材としての面状ヒータには、抵抗発熱体に電力を供給するため、板バネなどの弾性部材を有する給電部材が接続される。給電部材の給電端子が面状ヒータに設けられた電極部に対して弾性的に接触することで、給電端子と電極部との接触部において導通が確保され、電源部から抵抗発熱体への給電が可能となる。
【0004】
ところで、上記のような構成では、給電端子と被給電部材(ヒータの電極部)との接触部を給電部材のハウジングによって密閉できないため、接触部が装置内の大気に含まれた腐食性ガスに曝露され、接触部の腐食の原因となってしまう。
【0005】
例えば特許文献1(特開2014-142606号公報)では、用紙上のトナーに含有された離型剤(ワックス)が、エアフローにのって機内の広範囲に拡散することを防ぐ目的で、装置内のエアフローの経路と用紙搬送経路とを分離する発明が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
給電部材と被給電部材との接触部が腐食するという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明は、装置側吸気口および装置側排気口を有する画像形成装置本体の筐体と、送風口を有し、前記装置側吸気口から吸気する送風手段と、被給電部材と、前記被給電部材に給電する給電部材と、を備えた画像形成装置であって、前記給電部材は、前記被給電部材に接触して給電する給電端子と、前記給電端子を保持する保持部材と、を備え、前記保持部材は、前記給電端子が挿入された貫通孔を備え、前記貫通孔の開口端のうち、前記給電端子と前記被給電部材との接触部の側の開口端である一方側の開口端と、前記接触部の側とは反対側の開口端である他方側の開口端と、を備え、前記貫通孔の前記他方側の開口端に交わり、前記給電端子の長手方向に直交する仮想面を境にして、前記送風口の中央を前記接触部の側と反対側に設けるとともに、前記装置側排気口の少なくとも一部を前記接触部の側に設け、前記送風手段によって形成された気流が、前記貫通孔を前記他方側の開口端から前記一方側の開口端へ通過して前記接触部へ流れることにより、前記接触部において、腐食性ガスによる前記給電端子あるいは前記被給電部材の少なくともいずれかの腐食を抑制し、前記被給電部材は、前記給電端子に接触する被給電部を備え、前記給電端子の前記被給電部材に接触する表面部分と前記被給電部の表面とを形成する材料が共通の金属元素を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
給電部材と被給電部材との接触部における腐食を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】画像形成装置の概略構成図である。
図2】定着装置の概略構成図である。
図3】定着装置の斜視図である。
図4】定着装置の分解斜視図である。
図5】加熱ユニットの斜視図である。
図6】加熱ユニットの分解斜視図である。
図7】ヒータの平面図である。
図8】ヒータの分解斜視図である。
図9】ヒータおよびヒータホルダにコネクタを装着した状態を示す斜視図である。
図10】ヒータおよびヒータホルダにコネクタを装着した状態を示す断面図である。
図11】画像形成装置本体のレイアウトの一例を示す断面図である。
図12】コネクタを通過する気流の一例を示す図である。
図13】本発明の第一実施形態に係る画像形成装置において、コネクタを通過する気流の方向を示す図である。
図14】本発明の第二実施形態に係る画像形成装置において、コネクタを通過する気流の方向を示す図である。
図15】本発明の第三実施形態に係る画像形成装置において、コネクタを通過する気流の方向を示す図である。
図16】本発明の第四実施形態に係る画像形成装置において、コネクタを通過する気流の方向を示す図である。
図17】本発明の第五実施形態に係る画像形成装置において、コネクタを通過する気流の方向を示す図である。
図18】本発明の第六実施形態に係る画像形成装置において、コネクタを通過する気流の方向を示す図である。
図19】他の定着装置の構成を示す図である。
図20】さらに他の定着装置の構成を示す図である。
図21】さらに別の定着装置の構成を示す図である。
図22】他方側の開口端周辺の気流の方向を示す図である。
図23】他方側の開口端の有効な配置を示す図である。
図24】ハウジングの変形例を示す図で、(a)図が斜視図、(b)がコネクタとして組み立て状態の断面図である。
図25】ハウジングの別の変形例を示す斜視図である。
図26】試験後のコネクタの外観を示す図である。
図27】電極部表面の状態を示す図である。
図28】時間経過に伴う、コネクタと電極間の抵抗の上昇値を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。以下、各実施形態の説明において、加熱装置として、トナーを熱により定着させる定着装置として説明する。
【0011】
図1に示すモノクロの画像形成装置100には、感光体ユニット2(PCDU:Photo Conductor Drum Unit)が設けられる。感光体ユニット2は、感光体ドラム10と、帯電ローラ11と、現像装置12とクリーニングブレード13等を有する。
【0012】
感光体ドラム10は、表面上に現像剤としてのトナーを担持可能なドラム状の回転体であり、図の矢印方向に回転する。感光体ドラム10の周囲には、感光体ドラム10の表面を一様に帯電させる帯電ローラ11と、感光体ドラム10の表面にトナーを供給する現像ローラ7等を備えた現像装置12と、感光体ドラム10の表面をクリーニングするためのクリーニングブレード13等が配置されている。
【0013】
感光体ドラム10の上方には、露光部が配置されている。露光部が画像データに基づいて発したレーザ光Lbが、ミラー14を介して感光体ドラム10の表面に照射される。
【0014】
また、感光体ドラム10に対向する位置に配置され、転写チャージャを備えた転写手段15が配置されている。転写手段15は、感光体ドラム10表面上の画像を用紙Pに転写する。
【0015】
画像形成装置100の下部には給紙部4が位置しており、記録媒体あるいは被加熱物としての用紙Pを収容した給紙カセット16や、給紙カセット16から用紙Pを搬送路5へ搬出する給紙ローラ17等からなっている。給紙ローラ17の搬送方向下流側にはレジストローラ18が配置されている。
【0016】
定着装置9は、後述する加熱部材によって加熱される定着ベルト20、その定着ベルト20を加圧可能な加圧ローラ21等を有している。
【0017】
以下、図1を参照して上記画像形成装置100の基本的動作について説明する。
【0018】
印刷動作(画像形成動作)が開始されると、まず感光体ドラム10が帯電ローラ11によってその表面を帯電される。そして、画像データに基づいて露光部からレーザービームLbが照射され、照射された部分の電位が低下して静電潜像が形成される。静電潜像が形成された感光体ドラム10には、現像装置12から表面部分にトナーが供給され、トナー画像(現像剤像)として可視像化される。そして、転写後の感光体ドラム10に残されたトナー等は、クリーニングブレード13によって取り除かれる。
【0019】
一方、印刷動作が開始されると、画像形成装置100の下部では、給紙部4の給紙ローラ17が回転駆動することによって、給紙カセット16に収容された用紙Pが搬送路5に送り出される。
【0020】
搬送路5に送り出された用紙Pは、レジストローラ18によってタイミングを計られ、感光体ドラム10表面上のトナー画像と向かい合うタイミングで転写手段15と感光体ドラム10との対向部である転写部へ搬送され、転写手段15による転写バイアス印加によりトナー画像が転写される。
【0021】
トナー画像が転写された用紙Pは、定着装置9へと搬送され、加熱されている定着ベルト20と加圧ローラ21とによって加熱および加圧されて、トナー画像が用紙Pに定着される。そして、トナー画像が定着された用紙Pは、定着ベルト20から分離され、定着装置9の下流側に設けられた搬送ローラ対によって搬送され、装置外側に設けられた排紙トレイへと排出される。
【0022】
続いて、定着装置9のより詳細な構成について説明する。
【0023】
図2に示すように、本実施形態に係る定着装置9は、被加熱部材あるいは回転部材あるいは定着部材としての、無端状のベルト部材から成る定着ベルト20と、定着ベルト20の外周面に接触してニップ部Nを形成する対向部材としての加圧ローラ21と、定着ベルト20を加熱する加熱ユニット19と、を備えている。また、加熱ユニット19は、加熱部材としての面状のヒータ22と、ヒータ22を保持する加熱部材保持部材としてのヒータホルダ23と、ヒータホルダ23を長手方向に渡って補強する補強部材としてのステー24等で構成されている。定着ベルト20、加圧ローラ21、ヒータ22、ヒータホルダ23、およびステー24は、図2の紙面に垂直な方向(図3の両矢印F方向参照)にそれぞれ延在しており、この方向を定着ベルト20の幅方向、あるいはその他の部材や定着装置、加熱ユニットの長手方向とも呼ぶ。
【0024】
定着ベルト20は、例えば外径が25mmで厚みが40~120μmのポリイミド(PI)製の筒状基体を有している。定着ベルト20の最表層には、耐久性を高めて離型性を確保するために、PFAやPTFE等のフッ素系樹脂による厚みが5~50μmの離型層が形成される。基体と離型層の間に厚さ50~500μmのゴム等からなる弾性層を設けてもよい。また、定着ベルト20の基体はポリイミドに限らず、PEEKなどの耐熱性樹脂やニッケル(Ni)、SUSなどの金属基体であってもよい。定着ベルト20の内周面に摺動層としてポリイミドやPTFEなどをコートしてもよい。
【0025】
加圧ローラ21は、例えば外径が25mmであり、中実の鉄製芯金21aと、この芯金21aの表面に形成された弾性層21bと、弾性層21bの外側に形成された離型層21cとで構成されている。弾性層21bはシリコーンゴムで形成されており、厚みは例えば3.5mmである。弾性層21bの表面は離型性を高めるために、厚みが例えば40μm程度のフッ素樹脂層による離型層21cを形成するのが望ましい。
【0026】
ヒータ22は、定着ベルト20の幅方向に渡って長手状に設けられ、定着ベルト20の内周面に接触するように配置されている。ヒータ22は、定着ベルト20に対して非接触、あるいは低摩擦シートなどを介して間接的に接触する場合であってもよいが、ヒータ22を定着ベルト20に対して直接接触させる方が定着ベルト20への熱伝達効率がよくなる。また、ヒータ22を定着ベルト20の外周面に接触させることもできるが、定着ベルト20の外周面がヒータ22との接触により傷付くと定着品質が低下する虞があるため、ヒータ22は定着ベルト20の内周面に接触している方がよい。ヒータ22は、基材層50と、基材層50のニップ部N側に順次積層される、第1絶縁層51、発熱部60を有する導体層52、第2絶縁層53と、基材層50の反対側に積層された第3絶縁層54と、で構成されている。
【0027】
ヒータホルダ23およびステー24は、定着ベルト20の内周側に配置されている。ステー24は、金属製のチャンネル材で構成され、その両端部分が定着装置9の両側壁部に支持されている。ステー24によってヒータホルダ23のヒータ22側とは反対側の面が支持されていることで、ヒータ22およびヒータホルダ23は加圧ローラ21の加圧力に対して大きく撓むことなく保たれ、定着ベルト20と加圧ローラ21との間にニップ部Nが形成される。また、本実施形態では、ヒータ22が、加圧ローラ21との間で定着ベルト20を挟んでニップ部Nを形成するニップ形成部材として機能することで、後述の図18に示すような、ニップ形成部材91とヒータ22とが別部材の構成に比べて小型化を図れる。
【0028】
ヒータホルダ23は、ヒータ22の熱によって高温になりやすいため、耐熱性の材料で形成されることが望ましい。例えば、ヒータホルダ23をLCPやPEEKなどの低熱伝導性の耐熱性樹脂で形成した場合は、ヒータ22からヒータホルダ23への伝熱が抑制され効率的に定着ベルト20を加熱することが可能である。
【0029】
加圧ローラ21と定着ベルト20は、付勢部材としてのバネによって互いに圧接されている。これにより、定着ベルト20と加圧ローラ21との間にニップ部Nが形成される。また、加圧ローラ21は、画像形成装置本体103に設けられた駆動手段から駆動力が伝達されて回転駆動する駆動ローラとして機能する。一方、定着ベルト20は、加圧ローラ21の回転に伴って従動回転するように構成されている。回転時、定着ベルト20はヒータ22に対して摺動する。定着ベルト20の摺動性を高めるために、ヒータ22と定着ベルト20との間にオイルやグリースなどの潤滑剤を介在させてもよい。
【0030】
印刷動作が開始されると、加圧ローラ21が回転駆動され、定着ベルト20が従動回転を開始する。また、ヒータ22に電力が供給されることで、定着ベルト20が加熱される。そして、定着ベルト20の温度が所定の目標温度(定着温度)に到達した状態で、図2に示すように、未定着トナー画像が担持された用紙Pが矢印E方向に搬送されて定着ベルト20と加圧ローラ21との間(ニップ部N)に進入することで、用紙P上の未定着トナー画像が加熱および加圧されて用紙Pに定着される。
【0031】
図3は、定着装置の斜視図、図4は、その分解斜視図である。
【0032】
図3および図4に示すように、定着装置9の装置フレーム40は、一対の側壁部28と前壁部27とから成る第1装置フレーム25と、後壁部29から成る第2装置フレーム26と、を備えている。一対の側壁部28は、定着ベルト20の幅方向の一端部側と他端部側とに配置されており、両側壁部28によって、加圧ローラ21および加熱ユニット19の両端部側が支持される。各側壁部28には、複数の係合突起28aが設けられ、各係合突起28aが後壁部29に設けられた係合孔29aに係合することで、第1装置フレーム25と第2装置フレーム26とが組み付けられる。
【0033】
また、各側壁部28は、加圧ローラ21の回転軸などを挿通させるための挿通溝28bが設けられている。挿通溝28bは、後壁部29側で開口し、これとは反対側では開口しない突き当て部となっている。この突き当て部側の端部には、加圧ローラ21の回転軸を支持する軸受30が設けられている。加圧ローラ21は、その回転軸の両端部がそれぞれ軸受30に装着されることで、両側壁部28によって回転可能に支持される。
【0034】
また、加圧ローラ21の回転軸の一端部側には、駆動伝達部材としての駆動伝達ギヤ31が設けられている。駆動伝達ギヤ31は、加圧ローラ21が両側壁部28に支持された状態で、側壁部28よりも外側に露出した状態で配置される。これにより、定着装置9が画像形成装置本体103に搭載された際、駆動伝達ギヤ31が画像形成装置本体103に設けられているギヤと連結し、駆動源からの駆動力を伝達可能な状態となる。なお、加圧ローラ21に駆動力を伝達する駆動伝達部材としては、駆動伝達ギヤ31のほか、駆動伝達ベルトを張架するプーリやカップリング機構などであってもよい。
【0035】
加熱ユニット19の長手方向の両端部には、定着ベルト20などを支持する一対の支持部材32が設けられている。この支持部材32は、加熱ユニット19の装置フレームであると共に、定着装置9の装置フレーム40の一部でもある。定着ベルト20は、支持部材32によって、非回転状態では基本的に周方向の張力が付与されない状態、いわゆるフリーベルト方式で支持されている。また、各支持部材32には、ガイド溝32aが設けられており、このガイド溝32aを側壁部28の挿通溝28bの縁に沿って進入させることで、側壁部28に対して組み付けられる。
【0036】
また、各支持部材32と後壁部29との間には、付勢部材としての一対のバネ33が設けられている。各バネ33によってステー24や支持部材32が加圧ローラ21側に付勢されることで、定着ベルト20が加圧ローラ21に押し当てられ、定着ベルト20と加圧ローラ21との間にニップ部Nが形成される。
【0037】
また、図4に示すように、第2装置フレーム26を構成する後壁部29の長手方向の一端部側には、画像形成装置本体103に対する定着装置本体の位置決めを行う位置決め部としての孔部29bが設けられている。定着装置本体を画像形成装置本体103に取り付ける際、画像形成装置本体103に設けられた位置決め部としての突起101が、定着装置9の孔部29bに対して挿入されることで、突起101と孔部29bが嵌合し、画像形成装置本体103に対する定着装置本体の長手方向(定着ベルト20の幅方向)の位置決めがなされる。なお、後壁部29の孔部29bが設けられた端部側とは反対の端部側には、位置決め部は設けられていない。これにより、温度変化に伴う定着装置本体の長手方向の伸縮が拘束されないようにしている。
【0038】
図5は、加熱ユニット19の斜視図、図6は、その分解斜視図である。
【0039】
図5および図6に示すように、ヒータホルダ23の定着ベルト20側(ニップ部N側)の面には、ヒータ22を収容するための矩形の収容凹部23aが設けられている。ヒータ22は、その収容凹部23a内に収容された状態で、後述のコネクタによってヒータホルダ23と一緒に挟まれることで保持される。
【0040】
一対の支持部材32は、定着ベルト20の内周に挿入されて定着ベルト20を支持するC字状のベルト支持部32bと、定着ベルト20の端面に接触して幅方向の移動(片寄り)を規制するフランジ状のベルト規制部32cと、ヒータホルダ23およびステー24の両端部側が挿入されてこれらを支持する支持凹部32dと、を有している。
【0041】
また、図5および図6に示すように、ヒータホルダ23の長手方向一端部側には、位置決め部としての位置決め凹部23eが設けられている。この位置決め凹部23eに対して、図5および図6の左側に示される支持部材32の嵌合部32eが嵌合することで、ヒータホルダ23と支持部材32との長手方向の位置決めがなされる。なお、図5および図6の右側に示される支持部材32には、嵌合部32eは設けられておらず、ヒータホルダ23との長手方向の位置決めはされない。これにより、温度変化に伴うヒータホルダ23の長手方向の伸縮が拘束されないようにしている。
【0042】
また、図4に示すように、支持部材32は、そのガイド溝32aを側壁部28の挿通溝28bに沿って進入させることで、両側壁部28に対して組み付けられる。図4に示す2つの支持部材32のうち、ヒータホルダ23に対して長手方向の位置決めがなされる支持部材32は、奥側の支持部材32である。この奥側の支持部材32が側壁部28に対して組み付けられることで、側壁部28に対するヒータホルダ23の長手方向の位置決めがなされる。このように、側壁部28および支持部材32は、ヒータホルダ23の長手方向の位置決めを行う定着装置本体の位置決め部として機能する。
【0043】
ステー24は、支持部材32に対して長手方向の位置決めはされない。図6に示すように、ステー24は、その両端部側に、各支持部材32に対する長手方向の移動(脱落)を規制する段差部24aが設けられているが、各段差部24aは各支持部材32の少なくとも一方に対して長手方向の隙間を介して配置される。すなわち、ステー24は、温度変化に伴う長手方向の伸縮が拘束されないように、両方の支持部材32に対して長手方向にガタを有するように組み付けられており、支持部材32の一方に対して位置決めされるようには構成されていない。
【0044】
図7は、ヒータ22の平面図、図8は、その分解斜視図である。
なお、以下の説明において、ヒータ22の、定着ベルト20側(ニップ部N側)を「表側」と称し、ヒータホルダ23側を「裏側」と称して説明する。
【0045】
図7および図8に示すように、ヒータ22は、板状の基材層50と、基材層50の表側に設けられた第1絶縁層51と、第1絶縁層51の表側に設けられた導体層52と、導体層52の表側を被覆する第2絶縁層53と、基材層50の裏側に設けられた第3絶縁層54との、複数の構成層が積層されて構成されている。導体層52は、面状の抵抗発熱体で構成された一対の発熱部60(発熱体60)と、各発熱部60の長手方向一端部側に設けられた一対の電極部61(被給電部61)と、電極部61と発熱部60との間および発熱部60同士を接続する複数の給電線62とで構成されている。また、図7に示すように、各電極部61は、後述のコネクタとの接続を確保するため、少なくとも一部が第2絶縁層53に被覆されておらず露出した状態となっている。
【0046】
各発熱部60は、例えば、銀パラジウム(AgPd)やガラス粉末などを調合したペーストをスクリーン印刷等により基材層50に塗工し、その後、当該基材層50を焼成することによって形成することができる。発熱部60の材料として、これら以外に、銀合金(AgPt)や酸化ルテニウム(RuO2)の抵抗材料を用いてもよい。本実施形態では、各発熱部60が互いに平行に基材層50の長手方向に伸びるように設けられている。各発熱部60の一端部(図7における右端部)同士は、給電線62を介して互いに電気的に接続され、各発熱部60の他端部(図7における左端部)は、それぞれ別の給電線62を介して電極部61に対して電気的に接続されている。給電線62は、発熱部60よりも小さい抵抗値の導体で構成されている。給電線62や電極部61の材料としては、銀(Ag)もしくは銀パラジウム(AgPd)などを用いることができ、このような材料をスクリーン印刷するなどによって給電線62や電極部61が形成されている。
【0047】
基材層50は、ステンレス(SUS)や鉄、アルミニウム等の金属材料で構成されている。また、基材層50の材料として、金属材料のほか、セラミック、ガラス等を用いることも可能である。基材層50にセラミックなどの絶縁材料を用いた場合は、基材層50と導体層52との間の第1絶縁層51を省略することが可能である。一方、金属材料は、急速加熱に対する耐久性に優れ、加工もしやすいため、低コスト化を図るのに好適である。金属材料の中でも、特にアルミニウムや銅は熱伝導性が高く、温度ムラが発生しにくい点で好ましい。また、ステンレスはこれらに比べて安価に製造できる利点がある。
【0048】
各絶縁層51,53,54は、耐熱性ガラスで構成されている。また、これらの材料として、セラミックあるいはポリイミド(PI)等を用いることも可能である。
【0049】
図9は、ヒータ22およびヒータホルダ23に、給電部材としてのコネクタ70を装着した状態を示す斜視図である。
【0050】
図9に示すように、コネクタ70は、保持部材としてのハウジング71と、給電端子としてのコンタクト端子72と、電線としてのハーネス73とを有している。
【0051】
ハウジング71は樹脂材料によって形成される。コンタクト端子72は、ハウジング71に固定された板バネである。コンタクト端子72はヒータ22の各電極部61に接触する一対の接点部72aを有する。またコンタクト端子72には給電用のハーネス73が接続(圧着)されている。
【0052】
コネクタ70は、ヒータ22とヒータホルダ23とを表側と裏側とから一緒に挟むようにして取り付けられる。これにより、コンタクト端子72の各接点部72aがヒータ22の電極部61に対してコンタクト端子72の弾性力により接触(圧接)する。これにより、コネクタ70を介して発熱部60と画像形成装置に設けられた電源部とが電気的に接続され、電源部から発熱部60へ電力が供給可能な状態となる。このように、ヒータ22は、コネクタ70から電力を供給される被給電部材である。
【0053】
図10に示すように、ハウジング71は貫通孔71aを有する。貫通孔71aは、コンタクト端子72を図の右側からハウジング内へ挿入するための挿入孔であり、図の左右方向に貫通している。貫通孔71aの図の上下方向の幅は、コンタクト端子72の先端の接点部72aよりも大きい幅で設けられる。またハウジング71は、貫通孔71aと異なる開口部として、他の開口部71cを有する。他の開口部71cは、ハウジング71の両側面の側(図10の紙面直交方向両側)、および、接触部Cの側(図の左側)に開口した開口部である。ハウジング71に設けられた開口部は、貫通孔71aと他の開口部71cの2つであり、貫通孔71aからハウジング71内に流入した気流は、他の開口部71cからハウジング71外へ流れていく(詳しくは後述する)。
【0054】
以下、貫通孔71aの開口端のうち、コンタクト端子72とヒータ22の電極部との接触部Cの側の開口端71a1を一方側の開口端とし、接触部Cと反対側の開口端71a2を他方側の開口端71a2とする。また、ハウジング71の面71bは、開口端71a2を含む面である。
【0055】
ヒータ22の電極部、および、コンタクト端子72表面の電極部に接触する部分およびその周辺部(接点部72a)に、金属製のメッキが施されている。メッキの材料としては、金、銀、銅、白金、ニッケル、スズ、亜鉛、クロム等を用いることができる。耐熱性や摺動性を考慮すると、銀をメッキの材料とすることがより好ましい。本実施形態では、コンタクト端子72およびヒータ22の電極部に銀のメッキが施されている。
【0056】
またコンタクト端子72の表面は、電極部に接触する部分に限らず、その他の部分、例えば、ハーネス73に接続される側の部分(図10の右側の部分)を電極部に接触する部分と同一の材料によりメッキを施すことがより好ましい。これにより、電極部に接触する部分を腐食させる腐食性ガスを、コンタクト端子72の接触部以外の部分で効率的に消費することができる(詳しくは後述する)。腐食性ガスとしては、硫化水素(HS)、二酸化窒素(NO)、塩素(Cl)等が挙げられる。本実施形態では、コンタクト端子72の表面全体に銀のメッキが施されている。
【0057】
また、コンタクト端子72の表面とヒータ22の電極部とを同一の材料によりメッキすることがより好ましい。これにより、コンタクト端子72とヒータ22の電極部との接触部Cの腐食を抑制し、ヒータ22の発熱量の低減を防止できる。つまり、コンタクト端子72とヒータ22の電極部とが異種材料の場合、接触界面で異種金属の接触が生じ、電気化学反応である腐食が促進される。コンタクト端子72とヒータ22の電極部との接触部Cが腐食した場合、その部分の接触抵抗が大きくなってヒータ22に流れる電流値が小さくなるおそれがある。コンタクト端子72とヒータ22の電極部とを同一の材料によりメッキすることでこのような不具合を防止できる。
【0058】
図11は画像形成装置内部の断面図であり、画像形成装置をその上下方向に垂直な平面で切断した断面図である。
図11に示すように、感光体ユニット2に対して、図の上側に定着装置9が、図の左側に高圧基板41および電源部(PSU:Power Supply Unit)42が配置されている。また、画像形成装置100は送風手段あるいは吸気手段としての吸気ファン43を有する。吸気ファン43は、感光体ユニット2に対して図の右側に配置されている。
【0059】
高圧基板41は、感光体ユニット2の帯電ローラなどに電力を供給する。電源部42は外部から供給された電力を吸気ファン43等に供給する。高圧基板41や電源部42は通電により発熱する部分である。
【0060】
画像形成装置本体103には、その前面(図の上側の面)に開口部110、左右両側面の一方(図の左側の面)に開口部111、そして、他方の側面(図の右側の面)に開口部112が設けられる。本実施形態では、開口部112が吸気口115A、開口部110,111が排気口115Bとして機能する。吸気ファン43は、吸気口115Aに対向して設けられ、吸気口115A側から画像形成装置内への気流を生じさせるファンである。
【0061】
電源部42から供給される電力により吸気ファン43は駆動し、画像形成装置本体103内部に図11の矢印で示す方向の気流を発生させる。具体的には、開口部112から開口部110,111に向かう気流を生じさせる。つまり、開口部112から画像形成装置本体103内に外部の空気が吸入され、開口部110,111を通して画像形成装置本体103内の空気が排気される。このとき、画像形成装置本体103内を通過する空気が、定着装置9や高圧基板41、および電源部42などの熱を奪って装置外に排出されることで、定着装置9や高圧基板41、および電源部42が冷却され温度上昇が抑制される。
【0062】
ところで、本実施形態のように、コネクタ70によってヒータ22等を挟み込んでヒータ22の電極部とコンタクト端子72を接触させる構成の場合、ハウジング71によって、コンタクト端子72とヒータ22の電極部との接触部C(図10参照)を密閉して外部から遮蔽することができず、接触部Cが画像形成装置本体103内の空気に曝露されることになる。従って、装置内の腐食性ガスに接触部Cが晒され、接触部Cの部分でコンタクト端子72やヒータ22の電極部が腐食するおそれがある。そして、この接触部Cにおける腐食によってこれらの部分の電気抵抗が増加することにより、ヒータ22に断線が生じる等してヒータ22への導通不良の原因となるおそれがある。
【0063】
上記課題を解決するための本実施形態の構成について、以下に説明する。
【0064】
図12に示すように、定着装置9は、その一端側に取り付けられたコネクタ70(ハーネス73等)を介して画像形成装置本体に接続されている。
【0065】
画像形成装置本体103の吸気口115Aに対向して吸気ファン43が設けられる。吸気ファン43は、吸気口115Aと反対側(図の左側)に、風を送り出すための送風口43aを有する。画像形成装置本体103の吸気口115Aの側と反対側の側面(図の左側の側面)には、排気口115Bが設けられる。吸気ファン43により、吸気口115Aから排気口115Bの側(図の右側から左側)への気流が形成される。コネクタ70は、吸気ファン43の送風方向の下流側に配置される。
【0066】
貫通孔71aの他方側の開口端71a2の少なくとも一部に交わり、給電端子72の長手方向に直交する仮想面B(図12では一点鎖線B)を境にして、給電端子72とヒータの電極部との接触部Cの側(図の上側で、以下、単に接触部Cの側とも呼ぶ)とその反対側(図の下側で、以下ハーネス73の側とも呼ぶ)とに分割すると、本実施形態では、吸気ファン43(特に吸気ファン43の送風口43aの中央位置43a1)がハーネス73の側に配置される。なお、上記の給電端子72の長手方向とは、図の上下方向であり、貫通孔71aの開口方向あるいは給電端子72のハウジング71に対する挿入方向であり、本実施形態では画像形成装置100の前後方向でもある。本実施形態では、仮想面Bはハウジング71の図の下側の端面71bを延長した面でもある。
【0067】
吸気ファン43がハーネス73の側に配置されることで、図12に矢印で示すように、吸気ファン43によって形成された気流のうちコネクタ70を通過する気流は、主に貫通孔71aを通ってコンタクト端子72とヒータ22の電極部との接触部Cへと流れる。
【0068】
このような気流により、画像形成装置100内の腐食性ガスがまずコンタクト端子72のハーネス73側のメッキ部分を腐食させるなど、腐食性ガスが貫通孔71a付近で消費される。従って、より腐食性ガスの濃度が低い気流が接触部Cを通過することになり、接触部Cにおけるコンタクト端子72やヒータ22の電極部の腐食を抑制することができる。これにより、ヒータ22に対する導通不良を防止できる。
【0069】
特に本実施形態のように、コンタクト端子72に銀メッキを施した場合、より長期にわたって接触部Cにおける腐食の抑制効果を得ることができる。つまり、銀が腐食すると硫化銀を発生させるが、硫化銀は不働態膜ではないため、硫化銀の生成によってコンタクト端子72表面の腐食が止まることがない。従って、貫通孔71a付近での腐食が止まらず、貫通孔71a付近で持続的に腐食性ガスが消費されることになる。これにより、長期にわたって接触部Cにおける腐食の抑制効果を得ることができる。
【0070】
また定着装置9を通過する用紙は、感光体ユニット2の側から定着装置9の側、つまり、図の下側から上側へ流れる(矢印E方向参照)。そして、貫通孔71aは図の下側、つまり、用紙搬送方向の上流側へ開口している。従って、用紙搬送による生じる気流のうちコネクタ70を通過する気流が、主に貫通孔71aを介して接触部Cへ流れる。これにより、画像形成装置内の腐食性ガスにより、接触部Cにおけるコンタクト端子72やヒータ22の電極部が腐食することを抑制できる。従って、ヒータ22に対する導通不良を防止できる。
【0071】
さらに、画像形成装置内に通紙された用紙等から発生した水蒸気が接触部Cに付着すると、接触部Cが結露してコンタクト端子72やヒータ22の電極部の腐食を促進するおそれがある。しかし本実施形態では、吸気ファン43に近い側から、コネクタ70(あるいは接触部Cやコネクタ70の他方側の開口端71a2)、定着装置9における通紙領域D、の順で配置されている。これにより、吸気ファン43からの気流が、接触部Cを通過した後で通紙領域Dを通過するため、定着装置9において用紙等から発生した水蒸気が接触部Cに付着することを防止できる。これにより、接触部Cにおけるコンタクト端子72やヒータ22の電極部の腐食を抑制できる。
【0072】
なお、本実施形態では吸気ファン43のみを設ける構成としたが、排気ファンを設けてもよい(後述の図13の実施形態も同様である)。排気ファンは仮想面Bを境にして接触部Cの側で、排気口115Bに対向配置することができる。また、吸気路を設ける構成の場合、吸気路の吸気方向上流側開口端(図16の開口端46a参照)を、仮想面Bを境にして接触部Cの側に配置する(詳しくは後述する)。
【0073】
次に、上記実施形態と吸気ファンなどの構成が異なる実施形態を順に説明する。
【0074】
図13に示すように、本実施形態では、吸気ファン43が仮想面Bを境にして接触部Cの側に配置される。さらに、送風路としてのダクト44が設けられる。ダクト44は、吸気ファン43からの気流を特定の方向へ流すことができる。
【0075】
ダクト44は、吸気ファン43側の開口端で、吸気ファン43の送風方向上流側の開口端44a(以下、上流側開口端44aとも呼ぶ)が、吸気ファン43に対向し、吸気ファン43に向けて開口している。また、吸気ファン43とは離れた側の開口端で、ダクト44の送風方向下流側の開口端44b(以下、下流側開口端44bとも呼ぶ)の中央位置44b1が、仮想面Bを境にしてハーネス73の側に配置される。特に本実施形態では、下流側開口端44bは、貫通孔71aの他方側の開口端71a2に向けて開口している。
【0076】
下流側開口端44bの中央位置44b1が、仮想面Bを境にしてハーネス73の側に配置されることで、吸気ファン43によって形成された気流のうちコネクタ70を通過する気流が、図13の矢印方向で示すように、主に貫通孔71aを介して接触部Cへ流れる。従って、画像形成装置内の腐食性ガスにより、接触部Cにおけるコンタクト端子72やヒータ22の電極部が腐食することを抑制できる。これにより、ヒータ22に対する導通不良を防止できる。
【0077】
このように、ダクト44を上記配置とすることで、吸気ファン43の配置によらず、吸気ファン43によって形成された気流のうちコネクタ70を通過する気流を、貫通孔71aを介して接触部Cへ流すことができる。
【0078】
図14に示すように、本実施形態では、送風手段あるいは排気手段としての排気ファン45が設けられる。排気ファン45は、排気口115Bに対向配置される。排気ファン45は、排気口115Bと反対側(図の左側)に、吸気口45aを有する。排気ファン45は、排気口115Bから画像形成装置内の空気を排出する方向の気流を発生させる。また、コネクタ70は、排気ファン45よりも排気ファン45による吸気方向の上流側に配置される。
【0079】
排気ファン45、特に排気ファン45の吸気口45aの中央位置45a1が、仮想面Bを境にして接触部Cの側に配置される。これにより、図の矢印方向に示すように、排気ファン45によって形成される気流のうち、コネクタ70を通過する気流が、主に貫通孔71aを介して接触部Cの側へ流れる。これにより、前述した実施形態と同様、画像形成装置内の腐食性ガスにより、接触部Cにおけるコンタクト端子72やヒータ22の電極部が腐食することを抑制できる。これにより、ヒータ22に対する導通不良を防止できる。
【0080】
図15に示すように、本実施形態では、図14の実施形態と異なる点として、排気ファン45に近い順から、定着装置9における通紙領域D、コネクタ70の順で配置される。これにより、排気ファン45へ流れる気流が、接触部Cを通過した後で通紙領域Dを通過するため、定着装置9において用紙等から発生した水蒸気が接触部Cに付着することを防止できる。これにより、接触部Cにおけるコンタクト端子72やヒータ22の電極部の腐食を抑制できる。
【0081】
また図16に示すように、本実施形態では、吸気路としてのダクト46が設けられる。ダクト46は、排気ファン45に流れる気流を特定の方向から流すことができる。本実施形態では、排気ファン45、特に排気ファン45の上下方向の中央位置が、仮想面Bを境にしてハーネス73の側に設けられる。
【0082】
ダクト46は、排気ファン45とは離れた側の開口端で、排気ファン45の吸気方向(図の矢印方向参照)上流側の開口端46a(以下、上流側開口端46aとも呼ぶ)の中央位置46a1が、仮想面Bを境にして接触部Cの側に配置される。特に本実施形態では、上流側開口端46aは、接触部Cに向けて開口している。また、排気ファン45の側の開口端で、排気ファン45の吸気方向下流側の開口端46b(以下、下流側開口端46bとも呼ぶ)が排気ファン45に対向し、排気ファン45に向けて開口している。
【0083】
上流側開口端46aの中央位置46a1が、仮想面Bを境にして接触部Cの側に配置されることで、排気ファン45によって形成された気流のうちコネクタ70を通過する気流が、図16の矢印方向で示すように、主に貫通孔71aを介して接触部Cへ流れる。従って、画像形成装置内の腐食性ガスにより、接触部Cにおけるコンタクト端子72やヒータ22の電極部が腐食することを抑制できる。これにより、ヒータ22に対する導通不良を防止できる。
【0084】
このように、ダクト46を上記配置とすることで、排気ファン45の配置によらず、排気ファン45によって形成された気流のうちコネクタ70を通過する気流を、貫通孔71aを介して接触部Cへ流すことができる。
【0085】
なお、図14図16の実施形態では排気ファン45のみを設ける構成としたが、吸気ファンを設けてもよい。吸気ファンは、吸気口115Aに対向する位置で、仮想面Bを境にしてハーネス73の側に配置することができる。また、図13のように、ダクト44を設ける構成の場合、ダクト44の下流側開口端44bが、仮想面Bを境にしてハーネス73の側に配置することができる。
【0086】
また、複数の吸気ファン43を設ける構成とすることもできる。例えば図17に示すように、吸気ファン43が画像形成装置の左右両側で、定着装置9あるいはヒータ22の長手方向(図の両矢印F参照)の一方側と他方側とにそれぞれ設けられる。それぞれの吸気ファン43は、画像形成装置本体103の吸気口115Aに対向配置される。それぞれの吸気ファン43の送風口43aの中央位置43a1は、仮想面Bを境にしてハーネス73の側に設けられる。
【0087】
図の上側には排気口115B(あるいは、紙詰まり処理のための開閉部でもよい)が設けられる。図17の矢印方向で示すように、それぞれの吸気ファン43により形成された気流は、図の上側へ流れる。また用紙の搬送方向も、感光体ユニット2から定着装置9の方向(図の下側から上側の方向)であり、用紙搬送によって生じる気流もこの方向に流れる。
【0088】
本実施形態においても、吸気ファン43によって形成された気流のうちコネクタ70を通過する気流が、主に貫通孔71aを介して接触部Cへ流れる。従って、画像形成装置内の腐食性ガスにより、接触部Cにおけるコンタクト端子72やヒータ22の電極部が腐食することを抑制できる。これにより、ヒータ22に対する導通不良を防止できる。
【0089】
本実施形態では、両側の吸気ファン43の送風口43aの中央位置43a1が仮想面Bを境にしてハーネス73の側に設けられる場合を示したが、少なくともいずれか一方の吸気ファン43の中央位置43a1がハーネス73の側に設けられる構成であればよい。
【0090】
以上の実施形態において、図22に示すように、画像形成装置内で生じる気流のうち、他方側の開口端71a2周辺の気流Rは、他方側の開口端71a2の側から一方側の開口端71a1の側へ流れる。つまり、気流Rを、仮想面Bに垂直な方向の成分R1と、この方向に垂直で互いに直交する二つの方向の成分R2,R3とにそれぞれ分けると、成分R1が他方側の開口端71a2の側から一方側の開口端71a1の側へ向いている。これにより、コネクタ70を通過する気流を貫通孔71の側から接触部Cの側へ流すことができる。従って、画像形成装置内の気流が接触部Cを通過するまでに、前述のように腐食性ガスを消費することができ、上記腐食性ガスにより、接触部Cにおけるコンタクト端子72やヒータ22の電極部が腐食することを抑制できる。従って、ヒータ22に対する導通不良を防止できる。
【0091】
また、それぞれの実施形態において、他方側の開口端71a2を通過する気流Rの仮想面Bに対する角度αは、45度~90度の範囲であることが好ましく、70度~90度の範囲であることがより好ましい。これにより、コネクタ70を通過する気流を、貫通孔71の側から接触部Cの側へより確実に流すことができる。従って、画像形成装置内の気流が接触部Cを通過するまでに、前述のように腐食性ガスを消費することができ、上記腐食性ガスにより、接触部Cにおけるコンタクト端子72やヒータ22の電極部が腐食することを抑制できる。従って、ヒータ22に対する導通不良を防止できる。なお、図22では、便宜上、気流Rが紙面に平行な方向の場合(成分R3が0の場合)の角度αを示している。
【0092】
図12あるいは図17の実施形態において、吸気口115A~吸気ファン43~コネクタ70~排気口115Bへと流れる送風方向において、他方側の開口端71a2は一方側の開口端71a1の送風方向上流側、つまり風上に配置されている。また、図13の実施形態において、吸気口115A~吸気ファン43~ダクト44~コネクタ70~排気口115Bへと流れる送風方向において、他方側の開口端71a2は一方側の開口端71a1の送風方向上流側、つまり風上に配置されている。さらに、図14の実施形態において、吸気口115A~コネクタ70~排気ファン45~排気口115Bへと流れる送風方向において、他方側の開口端71a2は一方側の開口端71a1の送風方向上流側、つまり風上に配置されている。さらに、図16の実施形態において、吸気口115A~コネクタ70~ダクト44~排気ファン45~排気口115Bへと流れる送風方向において、他方側の開口端71a2は一方側の開口端71a1の送風方向上流側、つまり風上に配置されている。以上のそれぞれの配置により、コネクタ70を通過する気流を貫通孔71の側から接触部Cの側へ流すことができる。従って、画像形成装置内の気流が接触部Cを通過するまでに、前述のように腐食性ガスを消費することができ、上記腐食性ガスにより、接触部Cにおけるコンタクト端子72やヒータ22の電極部が腐食することを抑制できる。従って、ヒータ22に対する導通不良を防止できる。
【0093】
また図18に示すように、本実施形態では、画像形成装置内において、接触部Cに対して貫通孔71aの他方側の開口端71a2を重力方向下側(図の下側)に配置する。なお、本実施形態では、上記配置のため、用紙の搬送方向や定着装置の向きが図1とは異なっている。
【0094】
定着装置9に設けられたヒータ22等により、定着装置9やコネクタ70を通過する気流は暖められるため、自然対流により図の矢印に示すような上方向への気流が生じる。従って、上記配置により、自然対流のうちコネクタ70を通過する気流が、主に貫通孔71aを介して接触部Cへ流れる。従って、画像形成装置内の腐食性ガスにより、接触部Cにおけるコンタクト端子72やヒータ22の電極部が腐食することを抑制できる。これにより、ヒータ22に対する導通不良を防止できる。特に、接触部Cに対して、他方側の開口端71a2を重力方向の直下へ延びる垂線から20度の位置に配置することで、上記効果を効果的に得ることができる。なお、図23に示すように、「他方側の開口端71a2を重力方向の直下へ延びる垂線から20度の位置に配置する」とは、少なくともいずれか1つの接触部Cの中央位置C0を頂点、重力方向直下に延びる垂線Lを回転軸、中心角を20度とした直円錐の領域M内に、他方側の開口端71a2の少なくとも一部を配置することである。
【0095】
特に本実施形態では、画像形成装置本体の開口部(図11の開口部110~112参照)のうち、吸気口となる開口部を、接触部Cよりも重力方向下側に配置することがより好ましい。これにより、自然対流が貫通孔71aを介して接触部Cへ流れやすくすることができる。また、排気口となる開口部を、接触部Cよりも重力方向下側と反対側に配置することがより好ましい。これにより、自然対流が貫通孔71aを介して接触部Cへ流れやすくすることができる。特に、接触部Cに対して、画像形成装置本体の開口部を重力方向の直下へ延びる垂線から20度の位置に配置することで、上記効果を効果的に得ることができる。
【0096】
また、図12図17のように、吸気ファンや排気ファンによって形成される気流の方向を、貫通孔71aを介して接触部Cへ流れる方向とする構成と、本実施形態のように、接触部Cに対して貫通孔71aの他方側の開口端71a2を重力方向下側(図の下側)に配置する構成とを組み合わせてもよい。
【0097】
以上のように本発明では、画像形成装置内のコネクタ70を通過する気流を、貫通孔71aから接触部Cの方向へ流れる気流とすることで、接触部Cにおけるコンタクト端子72やヒータ22の電極部が腐食することを抑制できる。これにより、ヒータ22に対する導通不良を防止できる。
【0098】
また、図24(a)および図24(b)に示すように、ハウジング71は薄板状の厚みであってもよい。このハウジング71には、厚み部分を貫通する貫通孔71が設けられる。さらに、図25に示すように、板状の第1部材711と、第2部材712とを組み付けてハウジング71を形成してもよい。第2部材712は、第1部材711に対向する板状部712aと、第1部材711側に突出する2つの突出部712bと、を有する。第1部材711と第2部材712とを組み付けることにより、板状部712a、2つの突出部712b、そして第1部材711によって囲まれる部分として、貫通孔71aが形成される。
【0099】
次に、接触部C以外の部分で腐食性ガスが消費された場合について、電極部61表面の腐食の状態やそれに伴う電極部61の抵抗値の変化について説明する。
【0100】
試験条件は以下のとおりである。コネクタが暴露されるガスの濃度は、硫化水素(HS)が1.5ppm、二酸化窒素(NO)が3.0ppmであり、環境温度は30度、湿度は70%に設定される。以上の条件で、コネクタ70とヒータ22とを図9のように組み付け、コネクタ70に貫通孔71aから接触部Cの側へ流れる気流を発生させる。そして、コネクタとヒータの電極部との4日間の腐食の度合いを観察した。コネクタとして、その表面全体に銀メッキを施したもの(以下、コネクタA)と施さないもの(コネクタB)とを試験している。
【0101】
以上の試験を行った後の、コネクタAの外観図を図26(a)、そして、コネクタBの外観図を図26(b)に示している。変色部分は図に色付けして表示している。コネクタAの表面はその全体が変色しているのに対して、コネクタBは目立った変色を確認することができなかった。つまり、コネクタAでは接触部C以外の部分で腐食性ガスが消費されていることがわかる。
【0102】
次に、図27(a)が試験前の電極部61表面の状態である。これに対して、図27(b)がコネクタAと接触して試験を下電極部61表面の4日後の状態、図27(c)がコネクタBと接触して試験を下電極部61表面の4日後の状態である。腐食部分は図に色付けして表示している。コネクタAと接触した電極部61はその表面にほとんど腐食が見られないのに対して、コネクタBと接触した電極部61は腐食がその表面全体に広がっている。
【0103】
以上の各電極部61の時間経過に伴うコネクタA―電極部61間の抵抗の上昇値を示したのが図28であり、図の横軸が時間(h)で縦軸が上昇値(mΩ)である。図のAで示す線がコネクタA―電極部61間の抵抗の上昇値、図のBで示す線がコネクタA―電極部61間の抵抗の上昇値である。図28に示すように、コネクタAの場合は電極部61表面がほとんど腐食されずその抵抗値がほとんど上昇しないのに対して、コネクタBの場合は4日間で50mΩ以上、上昇している。
【0104】
以上のように、貫通孔71aから接触部Cの側へ気流を流し、接触部C以外の部分で腐食性ガスを消費させることで、電極部61における腐食を大幅に抑制することができる。これにより、電極部61における抵抗値の増加を防止できる。従って、ヒータ22に対する導通不良を防止できる。
【0105】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0106】
また、本発明は、前述の定着装置のほか、図19図21に示すような定着装置にも適用可能である。以下、図19図21に示す各定着装置の構成について簡単に説明する。
【0107】
まず、図19に示す定着装置9は、定着ベルト20に対して加圧ローラ21側とは反対側に、押圧ローラ90が配置されており、この押圧ローラ90とヒータ22とによって定着ベルト20を挟んで加熱するように構成されている。一方、加圧ローラ21側では、定着ベルト20の内周にニップ形成部材91が配置されている。ニップ形成部材91は、ステー24によって支持されており、ニップ形成部材91と加圧ローラ21とによって定着ベルト20を挟んでニップ部Nを形成している。
【0108】
図19に示す定着装置9においても、前述の実施形態で説明したように、ヒータ22に通電するためのコネクタが設けられる。このコネクタの貫通孔と吸気ファンや排気ファンなどを前述の各実施形態のように配置することで、画像形成装置内の腐食性ガスによる、コンタクト端子と電極部との接触部におけるメッキ部分の腐食を抑制できる。これにより、ヒータ22に対する導通不良を防止できる。
【0109】
次に、図20に示す定着装置9では、前述の押圧ローラ90が省略されており、定着ベルト20とヒータ22との周方向接触長さを確保するために、ヒータ22が定着ベルト20の曲率に合わせて円弧状に形成されている。その他は、図19に示す定着装置9と同じ構成である。
【0110】
最後に、図21に示す定着装置9では、定着ベルト20のほかに加圧ベルト92が設けられ、加熱ニップ(第1ニップ部)N1と定着ニップ(第2ニップ部)N2とを分けて構成している。すなわち、加圧ローラ21に対して定着ベルト20側とは反対側に、ニップ形成部材91とステー93とを配置し、これらニップ形成部材91とステー93を内包するように加圧ベルト92を回転可能に配置している。そして、加圧ベルト92と加圧ローラ21との間の定着ニップN2に用紙Pを通紙して加熱および加圧して画像を定着する。その他は、図2に示す定着装置9と同じ構成である。
【0111】
図21に示す定着装置9においても、前述の実施形態で説明したように、ヒータ22に通電するためのコネクタが設けられる。このコネクタの貫通孔と吸気ファンや排気ファンなどを前述の各実施形態のように配置することで、画像形成装置内の腐食性ガスによる、コンタクト端子と電極部との接触部におけるメッキ部分の腐食を抑制できる。これにより、ヒータ22に対する導通不良を防止できる。
【0112】
本発明に係る画像形成装置は、図1に示すモノクロ画像形成装置に限らず、カラー画像形成装置や、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等であってもよい。
【0113】
記録媒体としては、用紙P(普通紙)の他、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ、OHPシート、プラスチックフィルム、プリプレグ、銅箔等が含まれる。
【0114】
また、画像形成装置に設けられた定着装置は、上記の実施形態で説明したような定着装置に限らず、用紙に塗布されたインクを乾燥させる乾燥装置、さらには、被覆部材としてのフィルムを用紙等のシートの表面に熱圧着するラミネータや、包材のシール部を熱圧着するヒートシーラーなどの熱圧着装置のような加熱装置を有する画像形成装置にも本発明を適用可能である。これにより、コンタクト端子と電極部との接触部におけるメッキ部分の腐食を抑制できる。
【符号の説明】
【0115】
2 感光体ユニット
9 定着装置
20 定着ベルト(被加熱部材あるいは回転部材あるいは定着部材)
21 加圧ローラ(対向部材)
22 ヒータ(加熱部材あるいは被給電部材)
41 高圧基板
42 電源部
43 吸気ファン(送風手段あるいは吸気手段)
43a 送風口
44 ダクト(送風路)
44b 下流側開口端
45 排気ファン(送風手段あるいは排気手段)
45a 吸気口
46 ダクト(吸気路)
46a 上流側開口端
60 発熱部(発熱体)
61 電極部(被給電部)
70 コネクタ(給電部材)
71 ハウジング(保持部材)
71a 貫通孔
71a2 貫通孔の他方側の開口端
71b 貫通孔の他方側の開口端を含む面
71c 他の開口部
72 コンタクト端子(給電端子)
72a 接点部
73 ハーネス(電線)
100 画像形成装置
103 画像形成装置本体
110 開口部
111 開口部
112 開口部
115A 吸気口
115B 排気口
B 仮想面
C 接触部
D 定着装置における通紙領域
E 用紙搬送方向(被加熱物搬送方向)
F 定着装置の長手方向
P 用紙(記録媒体あるいは被加熱物)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0116】
【文献】特開2014-142606号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
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図28