(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】粉体収容容器、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20240704BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240704BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240704BHJP
B65D 83/06 20060101ALI20240704BHJP
G03G 9/097 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
G03G15/08 343
G03G15/00 550
G03G21/16 176
B65D83/06 Z
G03G9/097 374
(21)【出願番号】P 2020098425
(22)【出願日】2020-06-05
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】野村 誠仁
(72)【発明者】
【氏名】田中 勇太
(72)【発明者】
【氏名】寺澤 誠司
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-198717(JP,A)
【文献】特開2016-161769(JP,A)
【文献】特開平09-062081(JP,A)
【文献】特開2000-352840(JP,A)
【文献】特開平07-020705(JP,A)
【文献】特開2014-228647(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0219262(US,A1)
【文献】米国特許第05774772(US,A)
【文献】米国特許第06356729(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0001485(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
G03G 15/00
G03G 21/16
B65D 83/06
G03G 9/097
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を収容する筒状の粉体収容容器であって、
軸線を中心に回転可能に形成されるとともに、内部に螺旋状の突起が形成され、
平面部を有する凸部が、内壁面から内部に突出するように形成され、
前記平面部は、当該平面部を含む仮想平面が前記軸線を通るように形成
され、
前記平面部が形成された前記凸部は、前記平面部の反対側の面が、前記内壁面から頂部にかけて凸曲面状に形成されたことを特徴とする粉体収容容器。
【請求項2】
粉体を収容する筒状の粉体収容容器であって、
軸線を中心に回転可能に形成されるとともに、内部に螺旋状の突起が形成され、
平面部を有する凸部が、内壁面から内部に突出するように形成され、
前記平面部は、当該平面部を含む仮想平面が前記軸線を通るように形成されるとともに、パーティングラインに対して略直交するように、内壁面から内部に向けて起立
することを特徴とする粉体収容容器。
【請求項3】
前記平面部は、前記軸線に直交する断面でみたときに、当該粉体収容容器の回転方向に対して下流側に対向するように形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の粉体収容容器。
【請求項4】
前記平面部は、前記軸線に直交する断面でみたときに、前記軸線を挟んで互いに対向する位置にそれぞれ形成されたことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の粉体収容容器。
【請求項5】
前記平面部が形成された凸部は、その幅が、前記内壁面から内部に向けて漸減するように形成されたことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の粉体収容容器。
【請求項6】
前記平面部は、軸方向の略全域にわたって形成されたことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の粉体収容容器。
【請求項7】
前記平面部は、軸方向に分割されて複数形成されたことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の粉体収容容器。
【請求項8】
複数の前記平面部は、前記軸線を含む断面でみたときに、前記軸線を挟んで互いに対向する位置に軸方向に交互に形成されたことを特徴とする請求項7に記載の粉体収容容器。
【請求項9】
前記粉体は、酸化チタンを含まないトナーであることを特徴とする請求項1~請求項8のいずれかに記載の粉体収容容器。
【請求項10】
請求項1~請求項9のいずれかに記載の粉体収容容器が着脱可能に設置されたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トナーなどの粉体を収容する筒状の粉体収容容器と、それを備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機等の画像形成装置において、筒状の粉体収容容器(トナーボトル)が着脱可能に設置されたものが広く知られている(例えば、特許文献1参照。)。
このような粉体収容容器は、内部に螺旋状の突起(螺旋溝)が形成されている。そして、粉体収容容器が軸線を中心に回転駆動されることで、内部に収容された粉体(トナー)が軸方向に搬送されて、容器の開口部から外部に排出されることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の粉体収容容器は、内部に収容された粉体を軸方向に搬送する能力(搬送性)は充分である反面、粉体を撹拌する能力(撹拌性)が充分ではなかった。そのため、容器の内壁面に粉体が付着してしまう不具合や、内部に収容された粉体のすべてを使い切ることができずに容器内の粉体の残量が多くなってしまう不具合などが生じてしまうことがあった。
特に、このような不具合は、流動性が高くない粉体が用いられる場合に顕著になっていた。
【0004】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、内部に収容された粉体が充分に撹拌されながら軸方向に搬送される、粉体収容容器、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明における粉体収容容器は、粉体を収容する筒状の粉体収容容器であって、軸線を中心に回転可能に形成されるとともに、内部に螺旋状の突起が形成され、平面部を有する凸部が、内壁面から内部に突出するように形成され、前記平面部は、当該平面部を含む仮想平面が前記軸線を通るように形成され、前記平面部が形成された前記凸部は、前記平面部の反対側の面が、前記内壁面から頂部にかけて凸曲面状に形成されたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、内部に収容された粉体が充分に撹拌されながら軸方向に搬送される、粉体収容容器、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
【
図3】トナー補給装置にトナー容器が設置された状態を示す模式図である。
【
図4】トナー容器収容部にトナー容器が設置される状態を示す概略斜視図である。
【
図5】トナー容器とトナー補給装置の要部とを示す斜視図である。
【
図6】トナー容器を軸線に直交する断面でみた断面図である。
【
図7】トナー容器を軸線を含む断面でみた断面図である。
【
図8】変形例としての、トナー容器を軸線を含む断面でみた断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0009】
まず、画像形成装置100の全体の構成・動作について説明する。
図1(及び、
図3)に示すように、画像形成装置本体100の上方にあるトナー容器収容部70には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した4つの粉体収容容器としてのトナー容器32Y、32M、32C、32Kが着脱可能(交換可能)に設置されている。
トナー容器収容部70の下方には中間転写ユニット15が配設されている。その中間転写ユニット15の中間転写ベルト8に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部6Y、6M、6C、6Kが並設されている。
トナー容器32Y、32M、32C、32Kの下方には、それぞれ、粉体補給装置としてのトナー補給装置60Y、60M、60C、60Kが設置されている。そして、トナー容器32Y、32M、32C、32K(粉体収容容器)に収容されたトナーは、それぞれ、トナー補給装置60Y、60M、60C、60Kによって、作像部6Y、6M、6C、6Kの現像装置内に補給される。
【0010】
図2を参照して、イエローに対応した作像部6Yは、感光体ドラム1Y(像担持体)と、感光体ドラム1Yの周囲にそれぞれ設置された帯電装置4Y、現像装置5Y、クリーニング装置2Y、除電装置、等で構成されている。そして、感光体ドラム1Y上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程、除電工程)がおこなわれて、感光体ドラム1Yの表面にイエロー画像が形成されることになる。
【0011】
なお、他の3つの作像部6M、6C、6Kも、使用されるトナーの色が異なる以外は、イエローに対応した作像部6Yとほぼ同様の構成となっていて、それぞれのトナー色に対応した画像が形成される。以下、他の3つの作像部6M、6C、6Kの説明を適宜に省略して、イエローに対応した作像部6Yのみの説明をおこなうことにする。
【0012】
図2を参照して、感光体ドラム1Yは、モータによって
図2の時計方向に回転駆動される。そして、帯電装置4Yの位置で、感光体ドラム1Yの表面が一様に帯電される(帯電工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、露光装置7(
図1参照)から発せられるレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によってイエローに対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
【0013】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、現像装置5Yとの対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、イエローのトナー像が形成される(現像工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、中間転写ベルト8及び1次転写ローラ9Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上のトナー像が中間転写ベルト8上に転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム1Y上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
【0014】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、クリーニング装置2Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード2aによって機械的に回収される(クリーニング工程である。)。
最後に、感光体ドラム1Yの表面は、除電装置(不図示)との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム1Y上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
【0015】
なお、上述した作像プロセスは、他の作像部6M、6C、6Kでも、イエロー作像部6Yと同様におこなわれる。すなわち、作像部の下方に配設された露光装置7から、画像情報に基づいたレーザ光Lが、各作像部6M、6C、6Kの感光体ドラム上に向けて照射される。
その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト8上に重ねて転写する。こうして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
【0016】
ここで、
図1を参照して、中間転写ユニット15は、中間転写ベルト8、4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9K、2次転写対向ローラ12、複数のテンションローラ、中間転写クリーニング装置、等で構成される。中間転写ベルト8は、複数のローラ部材によって張架・支持されるとともに、1つのローラ部材12の回転駆動によって
図1中の矢印方向に無端移動される。
【0017】
4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kに、トナーの極性とは逆の転写バイアスが印加される。
そして、中間転写ベルト8は、矢印方向に走行して、4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y、1M、1C、1K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写される。
【0018】
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト8は、2次転写ローラ19との対向位置に達する。この位置では、2次転写対向ローラ12が、2次転写ローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んで2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト8上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された用紙等のシートP上に転写される。このとき、中間転写ベルト8には、シートPに転写されなかった未転写トナーが残存する。
その後、中間転写ベルト8は、中間転写クリーニング装置の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト8上の未転写トナーが回収される。
こうして、中間転写ベルト8上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
【0019】
ここで、2次転写ニップの位置に搬送されるシートPは、装置本体100の下方に配設された給紙装置26から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送されるものである。
詳しくは、給紙装置26には、用紙等のシートPが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が
図1の反時計方向に回転駆動されると、一番上のシートPがレジストローラ対28のローラ間に向けて給送される。
【0020】
レジストローラ対28に搬送されたシートPは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されて、シートPが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、シートP上に、所望のカラー画像が転写される。
【0021】
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写されたシートPは、定着装置20の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ローラ及び加圧ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像がシートP上に定着される。
その後、シートPは、排紙ローラ対29のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対29によって装置外に排出されたシートPは、出力画像として、スタック部30上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0022】
次に、
図2にて、作像部における現像装置の構成・動作について、さらに詳しく説明する。
現像装置5Yは、感光体ドラム1Yに対向する現像ローラ51Y、現像ローラ51Yに対向するドクターブレード52Y、現像剤収容部53Y、54Y内に配設された2つの搬送スクリュ55Y、現像剤中のトナー濃度を検知する濃度検知センサ56Y、等で構成される。現像ローラ51Yは、内部に固設されたマグネットや、マグネットの周囲を回転するスリーブ等で構成される。現像剤収容部53Y、54Y内には、キャリアとトナーとからなる2成分現像剤Gが収容されている。現像剤収容部54Yは、その上方に形成された開口を介してトナー搬送管64Y(トナー搬送経路)に連通している。
【0023】
このように構成された現像装置5Yは、次のように動作する。
現像ローラ51Yのスリーブは、
図2の矢印方向に回転している。そして、マグネットにより形成された磁界によって現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、スリーブの回転にともない現像ローラ51Y上を移動する。
【0024】
ここで、現像装置5Y内の現像剤Gは、現像剤中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように調整される。詳しくは、現像装置5Y内のトナー消費に応じて、トナー容器32Yに収容されている粉体としてのトナーが、トナー補給装置60Y(
図3、
図5等参照)を介して現像剤収容部54Y内に補給される。
なお、トナー補給装置60Yの構成・動作については、後で詳しく説明する。
【0025】
その後、現像剤収容部54Y内に補給されたトナーは、2つの搬送スクリュ55Yによって、現像剤Gとともに混合・撹拌されながら、2つの現像剤収容部53Y、54Yを循環する(
図2の紙面垂直方向の移動である。)。そして、現像剤G中のトナーは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、現像ローラ51Y上に形成された磁力によりキャリアとともに現像ローラ51Y上に担持される。
【0026】
現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、
図2中の矢印方向に搬送されて、ドクターブレード52Yの位置に達する。そして、現像ローラ51Y上の現像剤Gは、この位置で現像剤量が適量化された後に、感光体ドラム1Yとの対向位置(現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界によって、感光体ドラム1Y上に形成された潜像にトナーが吸着される。その後、現像ローラ51Y上に残った現像剤Gはスリーブの回転にともない現像剤収容部53Yの上方に達して、この位置で現像ローラ51Yから離脱される。
【0027】
次に、
図3~
図5等を用いて、トナー補給装置60Y、60M、60C、60Kについて詳述する。
図3等を参照して、装置本体100のトナー容器収容部70に設置された各トナー容器32Y、32M、32C、32K内に収容された粉体としてのトナーは、各色の現像装置内のトナー消費に応じて、トナー色ごとに設けられたトナー補給装置60Y、60M、60C、60Kによって適宜に各現像装置内に補給される。
なお、4つのトナー補給装置60Y、60M、60C、60Kやトナー容器32Y、32M、32C、32Kは、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外はほぼ同一構造であるので、イエローに対応したトナー補給装置60Yやトナー容器32Yのみの説明をおこない、他の3つの色に対応したトナー補給装置60M、60C、60Kやトナー容器32M、32C、32Kの説明を適宜に省略する。
【0028】
図4に示すように、トナー容器32Y、32M、32C、32Kが装置本体100のトナー容器収容部70に装着(矢印Qに沿った移動である。)されると、その装着動作に連動して、トナー容器32Y、32M、32C、32Kのシャッタ部材34d(
図3参照)が移動してトナー排出口Wが開放されるとともに、トナー容器収容部70(トナー補給装置60Y、60M、60C、60K)のトナー補給口72w(
図3参照)とトナー排出口Wとが連通する。これにより、トナー容器32Y、32M、32C、32K内に収容されたトナーが、トナー排出口Wから排出されて、トナー容器収容部70(トナー補給装置60Y、60M、60C、60K)のトナー補給口72wからトナータンク部61Y内に貯溜されることになる。
【0029】
ここで、
図3、
図5等を参照して、粉体収容容器としてのトナー容器32Yは、略円筒状のトナーボトルであって、主として、トナー容器収容部70に非回転で保持されるキャップ部34Yと、ギア33cが一体的に形成された容器本体33Y(ボトル本体)と、で構成される。容器本体33Yは、キャップ部34Yに対して相対的に回転可能に保持されていて、駆動機構(駆動モータ91やギア81、82等で構成されている。)によって
図3、
図5、
図6の矢印方向に回転駆動される。そして、容器本体33Y自体が軸線Xを中心に回転することで、容器本体33Yの内壁面(内周面)に螺旋状に形成された突起33b(
図5参照)によって、トナー容器32Y(容器本体33Y)の内部に収容されたトナーが軸方向(長手方向)に搬送されて(
図3の左方から右方への搬送である。)、容器本体33Yの開口部33aからキャップ部34Yにトナーが排出され、さらにキャップ部34Yのトナー排出口Wから容器外にトナーが排出される。すなわち、駆動モータ91によってトナー容器32Yの容器本体33Yが適宜に回転駆動されることで、トナータンク部61Yにトナーが適宜に供給される。なお、トナー容器32Y、32M、32C、32Kは、それぞれ、寿命に達したとき(収容するトナーがほとんどすべて消費されて空になったときである。)に新品のものに交換される。
【0030】
図3、
図5を参照して、粉体補給装置としてのトナー補給装置60Y、60M、60C、60Kは、トナー容器収容部70、トナータンク部61Y、搬送部材としての搬送コイル62Y、トナーエンドセンサ66Y、駆動モータ91、ギア8~84、等で構成されている。
トナータンク部61Yは、トナー容器32Yのトナー排出口Wの下方に設置されていて、トナー容器32Yのトナー排出口Wから排出されたトナーが貯留される。トナータンク部61Yの底部は、トナー搬送管64Yの上流部に接続されている。
また、トナータンク部61Yの壁面(底部から所定高さの位置である。)には、トナータンク部61Yに貯留されたトナーが所定量以下になったことを検知するトナーエンドセンサ66Yが設置されている。トナーエンドセンサ66Yとしては、圧電センサ等を用いることができる。そして、トナーエンドセンサ66Yによってトナータンク部61Yに貯留されたトナーが所定量以下になったことが制御部90にて検知(トナーエンド検知)されると、制御部90の制御により駆動モータ91によってトナー容器32Yの容器本体33Yを所定時間回転駆動してトナータンク部61Yへのトナー補給をおこなう。さらに、このような制御を繰り返してもトナーエンドセンサ66Yによるトナーエンド検知が解除されない場合には、トナー容器32Y内にトナーがないものとして、装置本体100の外装部に設置された表示パネルにトナー容器32Yの交換を促す旨の表示をおこなう。
【0031】
図3、
図5に示すように、搬送コイル62Yは、トナー搬送管64Yに回転可能に内設されていて、トナータンク部61Yに貯留されたトナーをトナー搬送管64Yを介して現像装置5Yに向けて搬送するものである。詳しくは、搬送コイル62Yは、駆動モータ91による回転駆動されることで、トナータンク部61Yの底部(最下点)から現像装置5Yの上方に向けてトナーをトナー搬送管64Yに沿って搬送する。そして、搬送コイル62Yによって搬送されたトナーは、現像装置5Y(現像剤収容部54Y)内に補給される。
なお、本実施の形態において、搬送コイル62Yの駆動源は、トナー容器32Y(容器本体33Y)の駆動源と共通化されている。すなわち、駆動モータ91が回転駆動されると、トナー容器32Yが回転するとともに搬送コイル62Yも回転することになる。
【0032】
また、
図4を参照して、トナー容器収容部70は、主として、トナー容器32Yのキャップ部34Yを保持するためのキャップ受部73と、トナー容器32Yの容器本体33Yを保持するためのボトル受部72と、で構成されている。
ここで、
図1を参照して、装置本体100の手前側(
図1の紙面垂直方向手前側である。)の上方に設置された本体カバー(不図示)を開放すると、トナー容器収容部70が露呈される。そして、各トナー容器32Y、32M、32C、32Kの軸方向(長手方向)を水平方向とした状態で、装置本体100の手前側上方からの各トナー容器32Y、32M、32C、32Kの着脱操作(トナー容器の長手方向を着脱方向とする着脱操作である。)がおこなわれる。
詳しくは、装置本体100への装着時には、各トナー容器32Y、32M、32C、32Kは、本体カバーが開放された状態の装置本体100の上方からトナー容器収容部70上に載置され、その後にキャップ部34Yを先頭にして水平方向に押し込まれることになる(
図4の矢印Qに沿った移動である。)。これに対して、装置本体100からの離脱時には、各トナー容器32Y、32M、32C、32Kは、装着時と逆の操作がおこなわれることになる。
【0033】
以下、本実施の形態における粉体収容容器としてのトナー容器32Yの、特徴的な構成・動作について詳述する。
先に
図3~
図5等を用いて説明したように、本実施の形態におけるトナー容器32Yは、粉体としてのトナーを収容する筒状の粉体収容容器であって、軸線X(長手方向(軸方向)に延びる回転中心軸である。)を中心に回転可能に形成されるとともに、その内部に螺旋状の突起33bが形成されている。
具体的に、本実施の形態において、螺旋状の突起33bは、容器の外周面の側から内周面の側に溝状(凹状)に形成されている(
図4、
図5等参照)。そして、先に説明したように、トナー容器32Y(容器本体33Y)が回転駆動されることで、螺旋状の突起33bによるスクリュ効果によって、容器内に収容されたトナーが開口部33aに向けて軸方向(長手方向)に良好に搬送されることになる。
【0034】
ここで、
図6、
図7に示すように、本実施の形態におけるトナー容器32Y(粉体収容容器)は、平面部33d1を有する凸部33dが、内壁面33eから内部に突出するように形成されている。すなわち、トナー容器32Yの内壁面33eには、上述した螺旋状の突起33bに加えて、平面部33d1を有する凸部33dが、それぞれ内部に突出するように形成されている。
そして、凸部33dの平面部33d1は、平面部33d1を含む仮想平面Nが軸線Xを通るように形成されている。すなわち、平面部33d1は、内壁面33eから軸線X(回転中心軸)に向けて略垂直に起立するように形成されている。
なお、
図6、
図7では、凸部33dの理解を容易とするため、螺旋状の突起33bの図示は省略している。
【0035】
このように構成された平面部33d1をトナー容器32Y(容器本体33Y)の内部に設けることで、トナー容器32Y(容器本体33Y)が
図6の矢印方向に回転することによって、内部に収容されたトナーが、螺旋状の突起33bによって軸方向(軸線Xが延びる方向であって、長手方向である。)に良好に搬送されるとともに、凸部33dの平面部33d1によって充分に撹拌されることになる。
特に、平面部33d1を含む仮想平面Nが軸線Xを通るように形成されているため、平面部33d1でトナーが充分なグリップ力で保持されながら矢印方向に移動して、良好に撹拌されることになる。
【0036】
すなわち、トナー容器32Yの内壁面33eに、螺旋状の突起33bのみが形成されていて、平面部33d1(凸部33d)が形成されていない場合には、内部に収容されたトナーを軸方向に搬送する能力(搬送性)は充分になるが、トナーを撹拌する能力(撹拌性)が不充分になってしまう。
これに対して、本実施の形態では、トナー容器32Yの内壁面33eに、螺旋状の突起33bに加えて、平面部33d1(凸部33d)も形成しているため、トナーの搬送性に加えてトナーの撹拌性も充分に確保することができる。したがって、トナー容器32Yの内部に収容されたトナーを充分に撹拌しながら軸方向に搬送することができる。そのため、開口部33aから容器外に良好にトナーが排出されない不具合(トナー排出不良)が生じにくくなるとともに、内壁面33eにトナーが付着してしまう不具合や、内部に収容されたトナーのすべてを使い切ることができずに容器内のトナー残量が多くなってしまう不具合なども生じにくくなる
【0037】
ここで、
図6に示すように、平面部33d1は、軸線Xに直交する断面でみたときに、容器本体33Y(トナー容器32Y)の回転方向に対して、上流側ではなくて、下流側に対向するように形成されている。
このような構成により、容器本体33Yの回転にともない、平面部33d1によってトナーを回転方向下流側に搬送することができるため、上述したトナーの撹拌性が高められる効果が良好に発揮されることになる。
【0038】
また、本実施の形態では、近年において指摘される安全性に対する懸念を排除することを目的として、トナー容器32Yに収容されたトナー(粉体)として、酸化チタンを含まないトナーを用いている。酸化チタンを含まないトナーは、酸化チタンを含むものに比べて、流動性が低くトナーを充分に撹拌する必要がある。そのため、本実施の形態のように、平面部33d1(凸部33d)を設ける構成が有用になる。
なお、本実施の形態におけるトナーは、外添剤として酸化チタンを用いていない点を除き、従来において公知に用いられていたトナーと同等のものを用いている。
【0039】
ここで、本実施の形態におけるトナー容器32Yにおいて、平面部33d1は、
図6に示すように、パーティングラインSに対して略直交するように、内壁面33eから内部に向けて起立するように形成されたものである。すなわち、先に説明した仮想平面Nと、射出成形時のパーティングラインSと、が略直交していることになる。
筒状のトナー容器32Y(特に、容器本体33Yの部分である。)は、ブロー成形(射出ブロー成形)にて形成される。具体的に、パーティングラインSにて分割可能な金型に、溶融された樹脂(バリソン)を流し込んで空気で膨らませることで狙いの形状に成形した後に、パーティングラインSにて金型を開いて容器を取り出す。
このとき、本実施の形態では、平面部33d1をパーティングラインSに対して略直交するように形成しているため、パーティングラインSにて金型を開いてトナー容器32Y(容器本体33Y)を簡単に取り出すことが可能になる。
【0040】
ここで、
図6に示すように、平面部33d1は、軸線Xに直交する断面でみたときに、軸線Xを挟んで互いに対向する位置にそれぞれ形成されている。
すなわち、軸線Xに直交する断面でみたときに、2つの平面部33d1が、内壁面33eにおいて180度位相がずれた位置に配置されている。
このように構成することにより、2つの平面部33d1によって、容器内に収容されたトナーをバランスよく撹拌することが可能になる。
【0041】
また、
図6に示すように、平面部33d1が形成された凸部33dは、その幅が、内壁面33eから内部に向けて漸減するように略山状に形成されている。
具体手的には、凸部33dにおいて、平面部33d1の反対側の面(回転方向上流側に対向する面である。)は、内壁面33eから頂部にかけて、凸曲面状に形成されている。
このように構成することで、平面部33d1の反対側の面を平面状に形成したり凹曲面状に形成したりする場合に比べて、容器内にトナーが滞留するデッドスペースが形成されにくくなるため、良好なトナー搬送性とトナー撹拌性とが維持されることになる。また、凸部33dを略山状に形成することで、パーティングラインSにて金型を開いてトナー容器32Y(容器本体33Y)を簡単に取り出すことが可能になる。
【0042】
ここで、
図7を参照して、本実施の形態において、平面部33d1(凸部33d)は、軸方向の略全域にわたって形成されている。
このように構成することにより、トナー容器32Y内のトナーを軸方向全域にわたって万遍なく均一に撹拌することが可能になる。
【0043】
<変形例>
図8に示すように、変形例におけるトナー容器32Yは、平面部33d1(凸部33d)が、軸方向に分割されて複数形成されている。
詳しくは、
図8の例では、10個の凸部33dが、軸方向に隙間をあけて配置されている。
このように複数の凸部33d(平面部33d1)を設けることで、トナー容器32Y(容器本体33Y)の回転にともない、螺旋状の突起33bによってトナーが軸方向に搬送されながら、適当な頻度でトナーが撹拌されることになる。このような構成は、トナー撹拌性の程度を調整したいときに有用である。
また、
図8に示すように、変形例において、複数の平面部33d1(凸部33d)は、軸線Xを含む断面でみたときに、軸線Xを挟んで互いに対向する位置に軸方向に交互に形成されている。具体的に、
図8に示すように、複数の凸部33dが、内壁面33eにおける一方の側(上部)と他方の側(下部)とに交互に設けられている。
このように構成することで、トナー容器32Y(容器本体33Y)の回転にともない、トナー容器32Y内のトナーを軸方向全域にわたってバランスよく撹拌することが可能になる。
【0044】
以上説明したように、本実施の形態におけるトナー容器32Yは、トナー(粉体)を収容する筒状の粉体収容容器であって、軸線Xを中心に回転可能に形成されるとともに、内部に螺旋状の突起33bが形成されている。また、平面部33d1を有する凸部33dが、内壁面33eから内部に突出するように形成されている。そして、平面部33d1は、平面部33d1を含む仮想平面Nが軸線Xを通るように形成されている。
これにより、トナー容器32Yの内部に収容されたトナーを充分に撹拌しながら軸方向に搬送することができる。
【0045】
なお、本実施の形態では、トナー容器32Y、32M、32C、32K内に粉体としてのトナーを収容したが、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤を現像装置に適宜に供給する画像形成装置に対してはトナー容器32Y、32M、32C、32K内に粉体としての2成分現像剤を収容することもできる。
また、本実施の形態では、トナー容器32Yとして容器本体33Yとキャップ部34Yとからなるものを用いたが、トナー容器32Y(粉体収容容器)の構成はこれに限定されることなく、回転駆動により内部に収容されたトナー(粉体)を容器外に排出する筒状のものであれば、それらのすべてに本発明を適用することができる。
そして、それらのような場合であっても、本実施の形態ものと同様の効果を得ることができる。
【0046】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0047】
5Y 現像装置、
32Y、32M、32C、32K トナー容器(現像剤容器)、
33Y 容器本体、
33a 開口部、
33b 突起(螺旋状の突起)、
33d 凸部、
33d1 平面部、
33e 内壁面、
34Y キャップ部、
100 画像形成装置(画像形成装置本体)、
X 軸線、 N 仮想平面、 S パーティングライン。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0048】