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特許7514603検査装置のための検査データ処理装置、および該検査データ処理装置のためのコンピュータープログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】検査装置のための検査データ処理装置、および該検査データ処理装置のためのコンピュータープログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240704BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
G06Q50/10
G01N33/48 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019073448
(22)【出願日】2019-04-08
(65)【公開番号】P2019185782
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2022-01-21
【審判番号】
【審判請求日】2023-10-10
(31)【優先権主張番号】P 2018074256
(32)【優先日】2018-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000155023
【氏名又は名称】株式会社堀場製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(72)【発明者】
【氏名】横田 晴香
(72)【発明者】
【氏名】瀬藤 義則
(72)【発明者】
【氏名】西森 正志
【合議体】
【審判長】佐藤 智康
【審判官】田中 寛人
【審判官】木方 庸輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-298518(JP,A)
【文献】特開2010-049552(JP,A)
【文献】特開2017-044648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N33/48-33/98
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験動物の検体の検査値を含んだ検査データを1以上の検査装置から受け入れて処理するための検査データ処理装置であって、当該検査データ処理装置は、
前記検査データを受け入れる、検査データ受入れ部と、
前記被験動物の種類に関係付けられた検査値表示フォーマットを保持する、表示フォーマット保持部と、
前記検査データ受入れ部によって受け入れられた検査データに対応する被験動物の種類を、ユーザーの入力に基づいて決定するか、または、該検査データに関連付けられる種類情報に基づいて決定する、種類決定部と、
前記表示フォーマット保持部を参照し、前記種類決定部によって決定された前記種類に関係付けられた検査値表示フォーマットを決定する、表示フォーマット決定部と、
前記表示フォーマット決定部で決定された検査値表示フォーマットに従って、少なくとも前記検査値を表示するための表示用データを出力する、検査値出力部と
を有し、
前記検査値表示フォーマットが、表形式のフォーマットであり、
前記表示用データが、前記表形式のフォーマットに従って前記検査値を検査値関連事項と共に表示するように形成されたデータであることを特徴とする、前記検査データ処理装置。
【請求項2】
少なくとも2種類の前記被験動物に対応する前記検査値表示フォーマットにおいて、一方に含まれるが他方に含まれない検査項目が存在する、請求項1に記載の検査データ処理装置。
【請求項3】
前記検査値表示フォーマットをユーザーが編集するための、表示フォーマット編集部をさらに有する、請求項1または2に記載の検査データ処理装置。
【請求項4】
当該検査データ処理装置が、検査項目を1以上含んだ検査オーダーを、該検査オーダーの送付元から受け入れる検査オーダー受信部をさらに有し、
前記検査値出力部は、検査オーダーに含まれた全ての検査項目に対応する検査値が得られた場合に、その全ての検査値を表示するための表示用データを出力する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の検査データ処理装置。
【請求項5】
当該検査データ処理装置が、
各被験動物の検査値を、該被験動物の識別情報である被験動物識別情報、および、測定時情報と共に保持する検査値保持部と、
前記検査データに対応する被験動物の被験動物識別情報を受け入れる被験動物識別情報受入れ部と、
検査値保持部を参照し、前記被験動物識別情報に基いて、該検査値保持部に保持された該被験動物の過去の所定期間の検査値を読み込む、過去データ検索部と
をさらに有し、
前記検査値出力部は、前記検査データ受入れ部によって受け入れられた検査データに含まれた検査値を、前記過去データ検索部によって読み込まれた、過去の所定期間の検査値と共に表示するための表示用データを出力する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の検査データ処理装置。
【請求項6】
該検査データ処理装置は、前記表示用データを保存する表示用データ保存部をさらに有し、該表示用データ保存部によって、前記表示用データは、所定の編集用ソフトウェアにて編集可能なデータ形式にて保存される、
請求項1~5のいずれか1項に記載の検査データ処理装置。
【請求項7】
1以上の検査装置からコンピューターに送られてくる被験動物の検体の検査値を含んだ検査データの処理を、該コンピューターに実行させるためのコンピュータープログラムであって、
該コンピューターを、
前記検査データを受け入れる、検査データ受入れ部、
前記被験動物の種類に関係付けられた検査値表示フォーマットを保持する、表示フォーマット保持部、
前記検査データ受入れ部によって受け入れられた検査データに対応する被験動物の種類を、ユーザーの入力に基づいて決定するか、または、該検査データに関連付けられる種類情報に基づいて決定する、種類決定部、
前記表示フォーマット保持部を参照し、前記種類決定部によって決定された前記種類に関係付けられた検査値表示フォーマットを決定する、表示フォーマット決定部、
前記表示フォーマット決定部で決定された検査値表示フォーマットに従って、少なくとも前記検査値を表示するための表示用データを出力する、検査値出力部
として機能させ
前記検査値表示フォーマットが、表形式のフォーマットであり、
前記表示用データが、前記表形式のフォーマットに従って前記検査値を検査値関連事項と共に表示するように形成されたデータである、前記コンピュータープログラム。
【請求項8】
前記表示フォーマット決定部によって前記表示フォーマット保持部から読み込まれた前記検査値表示フォーマットをユーザーが編集するための、表示フォーマット編集部として、前記コンピューターを機能させるプログラムをさらに有する、請求項7に記載のコンピュータープログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置から出力される検査データ(検査値を含んだデータ)を処理するための検査データ処理装置、および、該検査データ処理装置をコンピューターで構成するためのコンピュータープログラムに関するものであり、とりわけ、被験動物の検体の検査値をプリンター等へ適切に出力するための検査データ処理装置およびコンピュータープログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
被験者から採取された検体(血液、尿、便など)を、1以上の検査項目に関して自動的に検査(分析や測定)する検査装置が知られている(例えば、特許文献1など)。
一方、前記の検査装置から出力される検査データを処理する検査データ処理装置や、医師側のコンピューターと検査装置とを仲介する検査オーダー処理装置もまた知られている(例えば、特許文献2など)。これらの処理装置は、通常、検査データや検査オーダーを管理するためのプログラムが実行されるコンピューターである。例えば、電子カルテが導入された比較的大掛かりなオンラインシステムでは、図9に簡単な構成例を示すように、該処理装置320は、電子カルテのプログラムが実行される医師側のコンピューター310と、検査部門側の1以上の検査装置410~440との間に介在して、医師側のコンピューターからの検査オーダーを適切な検査装置へと振り分け、各検査装置からの検査データを順番にまたは1つに統合して検査オーダーへの応答として医師側のコンピューターに送り返す。該処理装置320によって、たとえ検査装置が簡単な表示部と検査データ出力ポートしか備えていないような小型の装置であっても、そこから出力される検査データの処理、スクリーンへの表示、印刷などが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-215210号公報
【文献】WO 2017-073567
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した検査装置は、ヒトを対象とする医療の分野のみならず、伴侶動物や産業動物などを対象とする獣医学の分野でも用いられている。ところが、本発明者らが獣医学の分野における検査装置と処理装置の使用状況をより詳細に検討したところ、検査装置から出力される検査データの処理について、獣医学の分野に固有の次のような改善すべき問題が存在することが新たに分かった。
【0005】
検査装置によって得られた検査値は、検査報告書などとして、上記の処理装置からプリンターに出力される場合がある。図10は、ヒトを対象とする医療の分野における検査値の印刷例を示す図である。複数の検査項目についての検査値を印刷する場合、図10に例示するように、検査値(a10~h10)のみならず、それらが何についての値かが分かるように、検査項目(A10~H10)もいっしょに印刷される。さらには、検査項目の基準範囲(a10s~a20s、...、h10s~h20s)や、各検査項目に関する説明もいっしょに印刷される場合もある。図10の例のように、検査値のみならず、それに関連する項目をも印刷すれば、見る者にとって検査値が示す意味が分かり易い。以下、図10に例示したような、検査項目、各検査項目の基準範囲(基準値)、各検査項目に関する説明など、検査値に関連する他の事項を、検査値関連事項と呼ぶ。
【0006】
ヒトを対象とする医療では、被験者が異なっても、検査値関連事項は被験者同士の間で互いに同じであるから、図10に例示するレイアウトでの検査値と検査値関連事項の印刷は容易である。このようなレイアウトでの表示結果を得るためには、例えば、検査値関連事項が予め所定の位置に配置された印刷用のテンプレートを用い、該テンプレートの所定の位置に検査値を配置して、白紙に印刷してもよいし、または、検査値関連事項が予め印刷されたシートの所定の位置(検査値のための欄)に検査値を印刷してもよい。
【0007】
これに対して、例えば、伴侶動物等の診療を行う診療施設(いわゆる動物病院)では、被験動物は、哺乳類、鳥類、爬虫類など、多くの種類にわたる。それらの被験動物のそれぞれの検査値関連事項は、各被験動物の種類ごとに固有であって、例えば、哺乳類と鳥類のそれぞれの検査値関連事項を比較すると、検査項目の組合せが互いに異なり、同じ検査項目についてもその基準範囲が互いに異なり、各検査項目に関する説明も互いに異なる。また、同じ哺乳類であってもイヌとネコでは、各検査項目の基準範囲が互いに異なる。
よって、動物病院において、被験動物の検体の検査値を、図10の例のように検査値関連事項と共に印刷しようとすると、被験動物の種類ごとにその種類に応じて検査値関連事項を変更する必要があり、非常に手間がかかる。これが上記した獣医学の分野に固有の改善すべき問題である。このような問題は、動物病院のみならず、産業動物の診療を行う診療施設などにおいて、複数種類の被験動物の検体検査を行う場合にも同様に存在する問題である。また、このような問題は、印刷のみならず、種々の表示装置の表示画面に検査値を検査値関連事項と共に表示する場合にも同様に生じる問題である。
【0008】
本発明の課題は、上記の問題を解消し、被験動物の種類が複数であっても、検査装置から得られた検査値をそれぞれの被験動物の種類に固有の検査値関連事項と共に、表示装置やプリンターへと容易に出力し得る処理装置を提供し、かつ、該処理装置のためのコンピュータープログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の主たる構成は、次のとおりである。
〔1〕被験動物の検体の検査値を含んだ検査データを1以上の検査装置から受け入れて処理するための検査データ処理装置であって、当該検査データ処理装置は、
前記検査データを受け入れる、検査データ受入れ部と、
前記被験動物の種類に関係付けられた検査値表示フォーマットを保持する、表示フォーマット保持部と、
前記検査データ受入れ部によって受け入れられた検査データに対応する被験動物の種類を、ユーザーの入力に基づいて決定するか、または、該検査データに関連付けられる種類情報に基づいて決定する、種類決定部と、
前記表示フォーマット保持部を参照し、前記種類決定部によって決定された前記種類に関係付けられた検査値表示フォーマットを決定する、表示フォーマット決定部と、
前記表示フォーマット決定部で決定された検査値表示フォーマットに従って、少なくとも前記検査値を表示するための表示用データを出力する、検査値出力部と
を有することを特徴とする、前記検査データ処理装置。
〔2〕少なくとも2種類の前記被験動物に対応する前記検査値表示フォーマットにおいて、一方に含まれるが他方に含まれない検査項目が存在する、前記〔1〕に記載の検査データ処理装置。
〔3〕前記検査値表示フォーマットをユーザーが編集するための、表示フォーマット編集部をさらに有する、前記〔1〕または〔2〕に記載の検査データ処理装置。
〔4〕当該検査データ処理装置が、検査項目を1以上含んだ検査オーダーを、該検査オーダーの送付元から受け入れる検査オーダー受信部をさらに有し、
前記検査値出力部は、検査オーダーに含まれた全ての検査項目に対応する検査値が得られた場合に、その全ての検査値を表示するための表示用データを出力する、
前記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の検査データ処理装置。
〔5〕当該検査データ処理装置が、
各被験動物の検査値を、該被験動物の識別情報である被験動物識別情報、および、測定時情報と共に保持する検査値保持部と、
前記検査データに対応する被験動物の被験動物識別情報を受け入れる被験動物識別情報受入れ部と、
検査値保持部を参照し、前記被験動物識別情報に基いて、該検査値保持部に保持された該被験動物の過去の所定期間の検査値を読み込む、過去データ検索部と
をさらに有し、
前記検査値出力部は、前記検査データ受入れ部によって受け入れられた検査データに含まれた検査値を、前記過去データ検索部によって読み込まれた、過去の所定期間の検査値と共に表示するための表示用データを出力する、
前記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の検査データ処理装置。
〔6〕前記検査値表示フォーマットが、表形式のフォーマットであり、
前記表示用データが、前記表形式のフォーマットに従って少なくとも前記検査値を表示するように形成されたデータであり、
当該検査データ処理装置は、前記表示用データを保存する表示用データ保存部をさらに有し、該表示用データ保存部によって、前記表示用データは、所定の編集用ソフトウェアにて編集可能なデータ形式にて保存される、
前記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の検査データ処理装置。
〔7〕1以上の検査装置からコンピューターに送られてくる被験動物の検体の検査値を含んだ検査データの処理を、該コンピューターに実行させるためのコンピュータープログラムであって、
該コンピューターを、
前記検査データを受け入れる、検査データ受入れ部、
前記被験動物の種類に関係付けられた検査値表示フォーマットを保持する、表示フォーマット保持部、
前記検査データ受入れ部によって受け入れられた検査データに対応する被験動物の種類を、ユーザーの入力に基づいて決定するか、または、該検査データに関連付けられる種類情報に基づいて決定する、種類決定部、
前記表示フォーマット保持部を参照し、前記種類決定部によって決定された前記種類に関係付けられた検査値表示フォーマットを決定する、表示フォーマット決定部、
前記表示フォーマット決定部で決定された検査値表示フォーマットに従って、少なくとも前記検査値を含む表示用データを出力する、検査値出力部
として機能させる、前記コンピュータープログラム。
〔8〕前記表示フォーマット決定部によって前記表示フォーマット保持部から読み込まれた前記検査値表示フォーマットをユーザーが編集するための、表示フォーマット編集部として、前記コンピューターを機能させるプログラムをさらに有する、前記〔7〕に記載のコンピュータープログラム。
【発明の効果】
【0010】
本発明の検査データ処理装置(当該処理装置ともいう)、または、本発明のコンピュータープログラム(当該プログラムともいう)によって、検査装置から送られてくる検査値が、異なる種類の被験動物の検査値であっても、それぞれの検査値を少なくとも含んだ表示用データを、その検査値に関連する被験動物の種類に固有の検査値関連事項と共に、表示装置やプリンターへと容易に出力することが可能になる。
【0011】
また、当該処理装置または当該プログラムは、被験動物の種類に応じた検査値表示フォーマットを、ユーザーがさらに編集する機能を有しているので、予め用意した検査値表示フォーマットを、特別な被験動物の種類に適合するよう編集し、表示、印刷することも容易である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明による検査データ処理装置の構成の好ましい一例を示すブロック図である。当該処理装置と外部装置(プリンター、検査オーダーの送付元、検査報告の送付先、検査装置)との通信関係は、破線で示している。図1の例では、検査オーダーの送付元は、検査報告の送付先でもある。
図2図2は、本発明の好ましい態様において、検査装置から送られてきた検査データを印刷する場合に、ユーザーが操作するために表示装置に表示される、印刷操作用画面の一例を示す図である。
図3図3は、当該処理装置の好ましい態様によって実施される、検査オーダーの処理の流れを示したフローチャートである。該フローチャートは、本発明のコンピュータープログラムによる検査データの処理の流れを示したフローチャートでもある。
図4図4は、本発明の好ましい態様において、検査値表示フォーマットをユーザーが編集するための編集画面(表計算プログラムの編集画面)の一例を示す図である。表中の「フラグ」、「基準範囲」、「単位」、「説明」の各セル内に表示される数値、記号、文言等は、図示を省略しており、検査装置から受け入れる検査値を「結果」のセル内に表示するために、該セルに埋め込んだタグ(「@_WBC」など)の例だけを図示している。
図5図5は、図4に示された編集画面による編集結果を印刷した場合の、紙面の印刷結果を示す図である。表中の各セル内に表示される検査値や基準範囲の数値等は、図示を省略している。
図6図6は、本発明による検査データ処理装置の他の好ましい態様例を、部分的に示すブロック図である。図6に示された構成は、図1に示された構成中に適宜組み込むことができる。
図7図7は、本発明による検査データ処理装置のさらなる他の好ましい態様例を、部分的に示すブロック図である。
図8図8は、図7に示す態様例において、表示用データを保存させる命令をユーザーが入力するための構成を例示する図である。同図に示す例は、図2に示した印刷操作用画面を改良した一例でもある。
図9図9は、従来における、医師側のコンピューターと、中間の処理装置(コンピューター)と、各種検査装置との接続状態を例示したブロック図である。同図では、医師側のコンピューターと処理装置の各表示装置に、検査オーダーに含まれる事項(検査オーダーID、検査対象者ID、検査項目)が示されており、これらの事項がデータとしてコンピューター間で送受信されていることを示唆している。破線は、各コンピューター(検査装置の制御部としてのコンピューターを含む)同士の間の通信経路を示している。
図10図10は、ヒトを対象とする医療の分野における、従来の検査値の印刷例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明による検査データ処理装置(以下、当該処理装置ともいう)を構成する各部は、それぞれに、電子回路、電気回路、独立した処理装置を組み合わせて構築してもよいが、コンピューターを用い、各部を該コンピューターとそこで実行されるプログラムとによって構成するのが好ましい態様である。以下に、当該処理装置をコンピューターを用いて構成した場合の実施例を挙げて、各部の好ましい態様とその効果を説明する。
【0014】
図1は、当該処理装置または本発明によるプログラムの構成の一実施例を示すブロック図である。ユーザーが当該処理装置を操作するための表示装置や入力装置(キーボード、マウス、タッチパネルなど)は、図示を省略している。
図1に例示するように、当該処理装置10は、被験動物の検体の検査値を含んだ検査データを1以上の検査装置(図1の例では、検査装置41~44)から受け入れ、被験動物の種類に応じた適切な印刷または表示に用いる表示用データを出力するための装置である。該検査装置41~44は、検査データを所定のインターフェースを通じて出力する機能を持っており、該インターフェースを介して当該処理装置10に接続され、当該処理装置10は、これらの検査装置から検査データを受け取ることができる。図1に例示するように、当該処理装置10は、検査データ受入れ部120と、表示フォーマット保持部130と、種類決定部140と、表示フォーマット決定部150と、検査値出力部180とを少なくとも有する。図1の例では、当該処理装置10は、好ましい態様として、検査オーダー受信部110、表示フォーマット編集部160、表示用データ作成部170、検査報告送信部190をさらに有する。
【0015】
(検査データ受入れ部)
検査データ受入れ部120は、検査装置41~44から出力される検査データを受け入れる。検査装置には、単一の検査項目についての検体検査を行い、単一の検査値を含んだ検査データを出力する装置や、複数の検査項目についての検体検査を行い、複数の検査値を含んだ検査データを出力する装置が含まれる。また、各検査装置から出力される検査データは、それぞれの検査装置の仕様に応じて、検査値だけを含むデータや、さらには、検査項目、被験動物の種類、検体ID、被験動物の名前、検査日時、および、その他の事項から選ばれる1以上の検査値関連事項をも含むデータであってもよい。検査データが検査値だけを含むデータに対しては、検査項目や検体IDなど、該検査値を識別するために必要な検査値関連事項を、ユーザーが該検査値に関連付けることができるように、検査データ受入れ部を構成することが好ましい。
【0016】
(表示フォーマット保持部)
表示フォーマット保持部130は、被験動物の複数の種類と、該複数の種類のそれぞれに関係付けられた検査値表示フォーマットとを保持する。図1の例では、表示フォーマット保持部の実体は記憶装置であって、該記憶装置に、所定の被験動物の種類(図の例では、イヌ、ネコ、ウサギ、ハムスター、その他)と、各種類にそれぞれに適合する検査値表示フォーマットf1、f2、f3、f4、f5とを関係付けた関係付け情報が、コンピューターが参照可能なデータベース(以下、関係付けデータベースともいう)として格納され、表示フォーマット保持部として機能している。該表示フォーマット保持部は、プログラム中に設けられてもよい。
該表示フォーマット保持部に保持される被験動物の種類は、ユーザー等が予め任意に決定してよく、動物病院、畜産業、水産業、動物園、水族館など、用途に応じた必要な種類が予め決定され、保持されてよい。
この関係付けデータベースの構造は、特に限定はされないが、テーブルなどが好ましく、被験動物の種類と検査値表示フォーマットとの関係付けがより速く容易に参照し得る形式が好ましい。検査値表示フォーマットとは、検査値を見る者に分かり易く表示するために、該検査値とそれに関連付けられた検査値関連事項を表示するためのレイアウトの規定、または、その規定に基づいてレイアウトされた文書や表自体(例えば、表示用の文書や表示用の表のテンプレート)である。検査値表示フォーマットには、少なくとも検査項目、および、検査値が表示される領域が含まれ、好ましくは、各検査項目の基準範囲、検査値の単位、表示上の配置、各検査項目の説明文などが含まれる。なお、ここでいう「表示」は、表示装置の画面への表示、および、印刷による紙面上での表示を含む。
また、表示フォーマット保持部は、検査値表示フォーマットのリストを保持してもよく、後述の種類決定部で決定された検査値表示フォーマットに対応するフォーマットを外部装置から取得しても良い。さらに、表示フォーマット保持部自体が、処理装置10の外部に設置されていても良い。
【0017】
(検査値表示フォーマット)
検査値表示フォーマットは、例えば、表示用紙(表示画面)に対して、検査項目を何行目、何文字目に表示し、検査値を何行目、何文字目に表示し、その他の必要な検査値関連事項を何行目、何文字目に表示するといったように、文字列を配置するための位置データを列挙した配列仕様であってもよい。また、検査値表示フォーマットは、文書や表のテンプレートのように、表示された結果のレイアウトされた文書や表自体であってもよい。
表示すべき画面や印刷用紙に予め何も表示されていない場合には、検査値表示フォーマットは、図4に例示するように、検査項目、結果(検査値)を含み、さらにフラグ、基準範囲、単位、説明などを含み、それらが出力されるように規定されていることが好ましい。ここで、フラグは検査値に留意事項があることを示す目印であり、例えば、検査値が基準範囲よりも高い場合はHフラグ(High)、低い場合はLフラグ(Low)を表示することができる。また、装置の不具合等があった場合に検査値が疑わしいことを示すフラグを表示しても良い。検査値以外の表示内容(検査値関連事項)は、適宜選択してよい。
一方、表示すべき画面や印刷用紙に、被験動物の種類ごとに所定の検査値関連事項が予め表示されている場合(例えば、所定の検査値関連事項が予め表示された画面や印刷された専用印刷シートを用いる場合)には、検査値表示フォーマットは、検査値だけを適当な位置に表示するための位置パラメーターを含むだけでもよいし、印刷に先立って、図5のように、検査値と検査値関連事項とを含んだレイアウト全体をユーザーに見せてもよい。
【0018】
(種類決定部)
種類決定部140は、検査データ受入れ部120によって受け入れられた検査データに対応する被験動物の種類を、ユーザーの入力に基づいて決定するか、または、該検査データに関連付けられる種類情報に基づいて自動的に決定する。
検査装置によっては、そこから出力される検査データには、被験動物の種類に関する情報が含まれていない場合がある。そのような場合でも、種類決定部140は、図2に操作用画面の一例を示すように、ユーザーが被験動物の種類を選択して入力するための入力画面を提示する。図2の例では、血球計数装置から受け入れられた検体ID「A1001」に関する検査データが選択され、被験動物の種類として、イヌ、ネコ、ウサギ、ハムスター、その他が選択可能に提示されており、マウスとポインターとによって、検体ID「A1001」の被験動物の種類を選択し入力することが可能になっている。
一方、検査装置から出力される検査データに被験動物の種類に関する情報が含まれている場合や、検査装置から出力される検査データに被験動物の種類に関する情報が含まれていないが、検査オーダーと検査データとを関連付けたときに、検査オーダーから被験動物の種類に関する情報が判明するような場合、種類決定部140は、ユーザーに被験動物の種類の入力を要求することなしに該種類を決定することができる。その場合、図2のような操作用画面は、確認用としてユーザーに表示されてもよい。
図2に示す操作用画面の左下に設けられた「設定」ボタンは、当該プログラム外で編集したフォーマットを当該プログラムに適用するボタンである。また、図2に示す操作用画面の右下に設けられた「印刷」ボタンは、検査値等の印刷開始の命令を入力するボタンである。なお、表示装置や外部コンピューターに表示画面を出力するボタンが設けられていても良い。
【0019】
(表示フォーマット決定部)
表示フォーマット決定部150は、表示フォーマット保持部130を参照し、種類決定部140によって決定された種類(例えば「ネコ」)に基づいて、表示フォーマット保持部130の関係付けデータベースの種々の検査値表示フォーマットの中から、ネコに関係付けられた検査値表示フォーマットを決定する。ネコに関係付けられた検査値表示フォーマットには、ネコに固有の検査項目、基準範囲、単位、説明が含まれており、これに実測された検査値を加えることで、今回検査されたネコに適合した検査値関連事項と検査値を、ネコに関係の無い事項を含むことなく、適切なレイアウトにて表示(ここでは印刷)することができる。
表示フォーマット保持部には、被験動物の種類に応じて適切な検査値表示フォーマットが用意されていてよい。ここで、表示フォーマット保持部に保持された2以上の被験動物(互いに種類が異なる)の検査値表示フォーマットを比較したとき、一つの検査値表示フォーマットに含まれる検査項目が、他の検査値表示フォーマットには含まれない場合があってもよい。例えば、炎症性疾患を確認する場合、被験動物がイヌである場合には、C反応性蛋白(CRP)を使用するのに対し、被験動物がネコである場合には、炎症状態を反映してCRPが変化しないため、血清アミロイドA蛋白(SAA)を使用する。そのため
、イヌ用の検査値表示フォーマットではCRPを表示させるようにし、ネコ用の検査値表示フォーマットではCRPに代えてSAAを表示させることで、検査者が確認しやすいレイアウトとすることができる。
また、基準範囲についても被験動物の種類によって異なる場合があり、ヘモグロビン濃度(Hgb)の基準範囲の一例として、イヌが12.6~19.4g/dL、ネコが9.5~14.5g/dLであることが挙げられる。被験動物の種類に応じて基準範囲を異ならせることで、検査値の評価が容易になる。
さらに、検査項目の説明文を被験動物の種類によって異ならせることができる。これにより、各種の被験動物の特性に合った説明を、被験動物の飼い主等に提供することができる。
【0020】
(表示用データ作成部)
表示用データ作成部170は、得られた検査値を少なくとも用い、かつ、前記検査値表示フォーマットを用いて表示用データを作成するように作動し、例えば、検査値表示フォーマットに少なくとも検査値を埋め込んで、表示用データを作成する。
表示用データは、表示画面や印刷紙面に表示すべき項目(即ち、少なくとも検査値)が検査値表示フォーマットに従って表示されるように構成されたデータである。表示用データが表示装置やプリンター等に出力されると、表示画面や印刷紙面には表示すべき項目が前記検査値表示フォーマットに従って表示または印刷される。
検査値表示フォーマットは、後述のとおり、種々のソフトウェア(Java(登録商標)やHTMLなど、従来公知のウェブサイトの表示画像の作成に用いられる種々のプログラミング言語や、種々のワードプロセッサーソフトウェア、表計算ソフトウェア、スクリーンエディタ、テキストエディタなど)によって定められたレイアウトの規定、または、その規定に基づいたレイアウト自体である。よって、表示用データもまた、前記種々のソフトウェアによって生成されたデータである。表示用データには、表示すべき項目(少なくとも検査値)と、それを検査値表示フォーマットに従って表示するための配列規定とが含まれる。この配列規定は、前記の種々のソフトウェアに応じたものであってよく、表示すべき項目とは別に設けられる規定(例えば、表示すべき項目の配列パターン、表の罫線、区切り記号などを記述した規定)であってもよいし、表示すべき項目の配列そのもの(例えば、表示すべき項目が、表示すべき配置パターンにて順番に記述される場合の該配置パターンや該順番それ自体)であってもよい。
検査値表示フォーマットの好ましい態様(即ち、表示すべき項目の好ましい表示のレイアウト)としては、ユーザーにとって分かり易い点、編集が容易である点などから、表形式のフォーマット(表形式のレイアウト)が挙げられる。該表形式のフォーマット(または表形式のレイアウト)としては、表計算ソフトウェア(例えば、マイクロソフト社のExcel(登録商標)、フリーソフトであるOpenOfficeのCalcなど)によって生成される表形式のフォーマット(または表形式のレイアウト)が例示される。よって、表示用データの好ましい態様としては、前記表計算ソフトウェアを用いて作成されたワークシートやスプレッドシート(これらの所定の位置には表示すべき項目が含まれている)のデータが挙げられる。これらワークシートやスプレッドシートをコンピューター読取り可能に保存する場合のデータ形式(ファイル形式)は、特に限定はされないが、例えば、前記Excelであれば、拡張子として「.xls」、「.xlsx」、「.xlsm」などを持ったデータ形式が挙げられ、前記Calcであれば、拡張子として「.ods」を持ったデータ形式が挙げられる。
表示用データは、テキストデータ、画像データ、または、これらが混合されたデータであってもよい。
図4に例示する検査値表示フォーマットはセルが行列状に配置された表(例えば、前記Calcによって生成された表形式のスプレッドシート)であり、検査装置から受け入れられる検査値を、所定のセル中に表示するために、予めそのセルには所定のタグが埋め込まれている。該タグは、検査値表示フォーマットのセル中に表示すべき事項や値を識別するための標識である。表示フォーマット作成部は、各セル中のタグを認識し、それに対応する検体値をタグの代わりにセル中に導入する。例えば、図4の「結果」の欄の各セルに例示するように、「白血球」の「結果」に対応するセルには「@_WBC」というタグが埋め込まれ、「リンパ球%」の「結果」に対応するセルには「@_LYM」というタグが埋め込まれ、これらのタグに対応する各検査値が、タグに置き換わって、各セルに導入される。
表示用データ作成部は、対象の検査値表示フォーマット内を検索してタグを見出し、該タグに対応する検査値を検査データから得た検査値のなかから抽出し、かつ、その検査値を、前記タグが埋め込まれたセル中に、該タグの代わりに導入する。このようにして、表示用データ作成部は、全てのタグに対して検査値への置き換えを実施し、表示用データを作成する。
前記の説明は、タグを検査値の表示に用いた例であるが、タグは、検査値に限らず、図4における、フラグ、単位、検査日時、検体ID、名前に用いてもよく、さらには、基準範囲、説明などにも用いても良い。
タグに対応するデータの抽出元は、検査データに限らず、検査データとは別個に保持された各検査値関連事項についての参照用データであっても良い。
【0021】
(検査値出力部)
検査値出力部180は、表示フォーマット決定部150で決定された検査値表示フォーマットに従って、少なくとも前記検査値をプリンター20や表示装置(図示せず)に供するための表示用データを出力するように作動する。プリンターや表示装置は、当該処理装置の出力ポートに有線/無線にて直接的に接続されたものだけでなく、ローカルエリアネットワークやインターネットなどの通信回線を介して接続された、任意のプリンターや表示装置であってよい。例えば、検査値出力部180が前記の検査値表示フォーマットに従った前記の表示用データをインターネットのウェブサーバーにいったん出力し、被験動物の飼い主が該ウェブサーバーにアクセスしログインして、該検査値を表示画面で閲覧する態様や、プリンターで印刷するといった態様であってもよい。
【0022】
(当該処理装置の操作例および作動例)
上記した当該処理装置の具体的な好ましい動作やユーザーの操作を、図1のブロック図および図3のフローチャートに沿って説明する。
ステップS1では、検査データ受入れ部120が、検査装置41~44から出力される検査データを受け入れる。該検査データには、被験動物の検体の検査値が含まれている。
ステップS2では、種類決定部140が、前記検査データ受入れ部によって受け入れられた検査データに対応する被験動物の種類を、ユーザーの入力に基づいて決定する。他の態様では、種類決定部140は、検査データに関連付けられる種類情報に基づいて、被験動物の種類を自動的に決定する。図3のフローチャートの例では、検査データに関連付けられた種類情報(I)があり、かつそれを使用する場合、その種類情報(I)にさらなる修正が必要かどうかがユーザーに問い合わせられる。該修正が必要であれば、ユーザーによる修正入力が受け付けられて、修正された種類情報(II)によって種類が決定される。一方、該修正が必要なければ、もとの種類情報(I)によって種類が決定される。
ステップS3では、表示フォーマット決定部150が、上記した表示フォーマット保持部130を参照し、種類決定部140によって決定された種類に関係付けられた検査値表示フォーマットを決定する。
ステップS4では、好ましい態様として、ユーザーが、表示フォーマット編集部160の機能(例えば、図4の表計算ソフトウェア)を利用して、検査値表示フォーマットを編集する。これにより、ユーザーは、表示フォーマット決定部150が表示フォーマット保持部130から読み込んだ検査値表示フォーマットを、被験動物の新たな種類や、基準範囲の改正などに応じて、適宜に編集することができる。図3のフローチャートの例では、検査値表示フォーマットの編集が必要かどうかがユーザーに問い合わせられ、編集が必要なければ、ステップS4は実行されず、次のステップS5が実行される。
ステップS5では、好ましい態様として、表示用データ作成部170が、表示フォーマット決定部150で決定された(または、後述の表示フォーマット編集部160で編集された)検査値表示フォーマットに従って、少なくとも検査値を表示するための表示用データを作製する。
ステップS6では、検査値出力部180が、表示用データ作成部170で作成された表示用データを、表示装置またはプリンターに出力する。
【0023】
(当該処理装置の好ましい態様1:検査値表示フォーマットの編集)
図1に好ましい態様を例示するように、当該処理装置は、表示フォーマット編集部160をさらに有する。該表示フォーマット編集部160は、表示フォーマット決定部150によって表示フォーマット保持部130から読み込まれた前記検査値表示フォーマットをユーザーが表示画面上で編集するための編集機能を、該ユーザーに提供するように作動する。この編集機能によって、予め表示フォーマット保持部に保持された検査値表示フォーマットが処理すべき被験動物の種類に適合しない場合であっても、ユーザーは、他の種類についての検査値表示フォーマットを読み込んで、該処理すべき被験動物の種類に適合するように改変することができるので、予め保持していない種々の種類に対して、容易に対応することができる。該処理すべき被験動物の種類に適合するように改変された検査値表示フォーマットは、被験動物の種類と共に、表示フォーマット保持部130の関係付けデータベースに蓄積されることが好ましい。
表示フォーマット編集部は、表示フォーマット保持部に予め記憶させておくための検査値表示フォーマットの作成や編集に用いても良い。
【0024】
(編集機能)
検査値表示フォーマットを編集するためのコンピュータープログラムは、特に限定はされないが、Java(登録商標)やHTMLなど、従来公知のウェブサイトの表示画像の作成に用いられる種々のプログラミング言語や、種々のワードプロセッサーソフトウェア、表計算ソフトウェア、スクリーンエディタ、テキストエディタが利用可能である。
図5に示すように、検査値表示フォーマットに基づいた検査値の好ましい表示のレイアウトは、表形式のレイアウトである。よって、公知の表計算ソフトウェア(例えば、マイクロソフト社のExcel(登録商標)や、図4に操作用画面を例示する、フリーソフトであるOpenOfficeのCalcなど)は、表示のレイアウトを直観的に知ることができ、ユーザーにとって編集の操作が簡単であるという点から好ましいコンピュータープログラムである。編集機能として、ExcelやCalcなどといった表計算ソフトウェアを用いる場合、上記検査値表示フォーマットは、該表計算ソフトウェアの各セルに所定の数値や文言が記入されたワークシートやスプレッドシートの態様であってもよいし、白紙のワークシートやスプレッドシートと、その各セルに入るように設定された所定の数値や文言の組合せの態様であってもよい。
【0025】
(当該処理装置の好ましい態様2:電子カルテとの連携)
図1に好ましい態様を例示するように、当該処理装置は、検査オーダー受信部110をさらに有する。当該処理装置は、電子カルテのプログラムが実行される医師側のコンピューター等(検査オーダーの送付元30)に接続され、検査オーダー受信部110が検査オーダーを受信する。検査オーダーには1以上の検査項目が含まれ、その検査項目に対応する検査装置が選択されて、その検査装置で検体検査が行われ、その検査装置から出力された検査データが、上記した検査データ受入れ部で受け入れられる。
検査オーダーには、通常、被験動物の種類情報、被験動物の名前、検体ID、検査項目などの検査値関連事項が含まれている。該検査オーダーに含まれる情報は、従来公知の検査オーダーに含まれる情報と同様であってよい。上記した前記種類決定部140は、検査オーダーに含まれた該種類情報に基いて、検査装置から送られてきた検査値に対応する被験動物の種類を自動的に決定する。また、検査値出力部180は、検査オーダーに含まれた全ての検査項目に対応する全ての検査値が、種々の検査装置から送られてきた検査データから得られた場合に(即ち、全ての検査項目の検査値が検査装置から返って来た場合に)、その全ての検査値を、上記した検査値表示フォーマットに従って、表示装置またはプリンターに出力するように作動する。
【0026】
検査オーダーに含まれた検査項目と、その検査項目について検体の検査を実行する検査装置との関係付けは、上記特許文献2に記載されたような「関係付け情報」(検査オーダーに含まれる1以上の検査項目と、それに適合する検査装置に関係付ける情報)を予め保持しておき、該「関係付け情報」を参照することで、該検査項目と該検査装置との関係付けを行ってもよい。また、検査装置から受け入れた検査値と、もとの検査オーダーに含まれた検査項目とを、ユーザーが手動で関連付けるように動作する(検査オーダー/検査装置)関係付け部が設けられてもよい。
【0027】
また、前記の(検査オーダー/検査装置)関係付け部の改変態様では、該(検査オーダー/検査装置)関係付け部は、
(1)検査オーダーに関係付けられた検査装置の中から、ユーザーの入力によってまたは自動的な選択によって、検査を行わせるべき検査装置とそれに関係付けられた1以上の検査オーダーを決定し、
(2)前記の決定された検査装置から受け入れた1以上の検査結果を、前記ユーザーの入力の順番に応じて(または、前記の自動的な選択の順番に応じて)、検査装置に関係付けられた前記の検査オーダーに関係付けてもよい。
このような態様によって、検査結果と検査オーダーとの手動による関係付け作業(検査オーダーIDの入力など)は不要になり、検査オーダーIDの文字列の入力ミスの防止や、関係付けミスの防止が可能になる。また、従来の検査オーダー処理装置において、検査オーダーID送受信非対応の検査装置から検査結果を受信するまで、該関係付け作業を待たねばならなかったという、時間的なロスの問題が解消される。
【0028】
当該処理装置10が検査オーダーの送付元30に接続される場合、図1に示すように、検査報告送信部190がさらに設けられてもよい。検査報告送信部190は、検査オーダーの検査項目に関係付けられた検査値を所定の送付先(例えば、検査オーダーの送付元30など)へと送る。検査オーダーの検査項目に関係付けられた検査値は、例えば、複数の検査を要求する検査オーダーへの検査報告の一部として、単独で(1つの検査報告に統合されることなしに)送付先に送られてもよいし、同じ検査オーダー中の複数の検査項目に関係付けられた複数の検査値を1つに統合して、検査オーダーの要求を全て満たす検査報告として送付先に送られてもよい。検査オーダーに含まれた検査項目が1つの検査装置だけに対応する場合、該1つの検査装置からの検査結果が、検査オーダーの要求を満たす検査報告となる。
【0029】
(当該処理装置の好ましい態様3:過去の検査値の表示)
好ましい態様では、当該処理装置は、検査データ受入れ部によって受け入れられた検査データに含まれた検査値(以下、今回の検査値ともいう)を表示する際に、被験動物の過去の検査値と共に表示する。この態様では、図6に例示するように、検査値保持部200と、被験動物識別情報受入れ部(被験動物ID受入れ部ともいう)210と、過去データ検索部220とをさらに有する。
検査値保持部200は、各被験動物の検査値を、それぞれの被験動物の識別情報である被験動物識別情報(被験動物IDともいう)、および、測定時情報(例えば、検査のための測定が行われた年月日や時刻など)と共に、累積的に保持する。検査値保持部の実体は、記憶装置である。
図6の例では、被験動物ID受入れ部210は、今回の検査結果である検査データに対応する被験動物の被験動物IDを入力するための入力画面を表示装置11に表示し、該被験動物IDの入力をユーザーに要求し、入力機器を通じてユーザーによって入力された被験動物IDを受け入れる。
過去データ検索部220は、前記検査値保持部200を参照し、前記入力された被験動物IDに基いて、該検査値保持部200に保持された該被験動物の過去の所定期間の検査値を読み込んで、ユーザーに表示する。過去の所定期間の検査値は、特に限定はされないが、例えば、1年に1回程度の検診であれば、過去1回(過去1年間)の検査値などが挙げられる。
図1に示した検査値出力部180は、今回の検査値を、過去の所定期間の検査値と共に、前記表示装置またはプリンターに出力する。この表示態様によれば、個体差により一般的な基準範囲から外れる被験動物(患者)であっても、過去データとの相対的な比較を行うことにより、適切な診断を行うことができる。
【0030】
(当該処理装置の好ましい態様4:表示用データの保存)
上記したように、当該処理装置は、検査装置から得られた検査値を少なくとも用い、かつ、検査値表示フォーマットを用いて表示用データを作成するように作動する。
しかしながら、実際の医療機関等では、必ずしも全ての検査装置が当該処理装置とデータ通信を行い検査データを当該処理装置に渡すことができるとは限らない。検査装置の中には、当該処理装置とデータ通信ができないもの(即ち、データ通信機能が当該処理装置と適合しないものや、データ通信機能自体を持たないものなど)がある。以下、当該処理装置とデータ通信を行い検査データを当該処理装置に渡すことができる検査装置を「データ通信可能な検査装置」とも呼び、当該処理装置とデータ通信を行うことができない検査装置を「データ通信不能な検査装置」とも呼ぶ。
動物病院など人間以外の動物の診断、検査、治療等を行う分野では、多数の検査装置をホストコンピューターに接続してそれら検査装置からの測定データを処理するシステム(例えば、電子カルテシステムなど)が十分に導入されていない医療機関が未だ多く存在し、そのような医療機関では、各検査装置は個々に作動しているだけの場合が多く、よって、データ通信可能な検査装置とデータ通信不能な検査装置とが混在する場合も多い。そのような場合には、全ての検査装置から得られた検査値を1つの表示フォーマット中に統合して表示することができない。
そこで、好ましい態様4では、図7に例示するように、当該処理装置には表示用データ保存部230が設けられる。該表示用データ保存部は、データ通信可能な検査装置から得た検査値を少なくとも用いて形成された表示用データを、ユーザーが所定の編集用ソフトウェアを用いて編集可能なデータ形式にて記憶装置等に保存するように作動する。これにより、ユーザーは、保存された表示用データを、前記所定の編集用ソフトウェアによって読み出し、編集することができるようになる。よって、当該処理装置が自動的に形成した表示用データに、データ通信不能な検査装置の検査値を加えることが可能になるので、データ通信可能/不能の全ての検査装置から得られた検査値を、1つの表示フォーマット中にまとめることができるようになり、かつ、それをプリンター等に出力することができるようになる。
【0031】
検査値表示フォーマットの好ましい態様としては、上記したように、表形式のフォーマットが挙げられる。よって、当該好ましい態様4においても、データ通信可能な検査装置から得た少なくとも検査値を表形式のフォーマットを用いて表示用データを形成することが好ましい。よって、ユーザーが表示用データを編集するための編集用ソフトウェアもまた、上記した表計算ソフトウェア(例えば、マイクロソフト社のExcel(登録商標)、フリーソフトであるOpenOfficeのCalcなど)が好ましく、かつ、表示用データ保存部230によって保存される表示用データのデータ形式も、例えば、編集用ソフトウェアが前記Excelであれば、拡張子として「.xls」、「.xlsx」、「.xlsm」などを持ったデータ形式が挙げられ、編集用ソフトウェアが前記Calcであれば、拡張子として「.ods」を持ったデータ形式が挙げられる。
【0032】
図7は、当該好ましい態様4および後述の好ましい態様5の構成例を部分的に示すブロック図である。図7に示された表示用データ保存部230の構成は、図1または図6に示された構成中に適宜組み込むことができる。同図に例示するように、表示用データ保存部230は、保存命令受入れ部231と、表示用データ書込み部232と、表示用データ保持部233とを有する。
【0033】
保存命令受入れ部231は、表示用データ作成部170が形成した表示用データを保存させる命令をユーザーから受け入れるように構成される。図8は、表示用データを保存させる命令をユーザーが入力するための構成例を示す図である。同図の例では、図2に示した印刷操作用画面に、さらに、ユーザーが保存命令を入力するためのボタンが加えられている。該印刷操作用画面は、タッチパネルの表示画面(ユーザーが画面上のボタンにタッチして入力する構成)であってもよいし、タッチパネル機能なしの通常の表示画面(ユーザーがマウス等とポインターとによって該ボタンを押して入力する構成)であってもよい。ユーザーが保存命令を入力するための構成は、図8の例には限定されず、音声や物理ボタンによって入力する構成であってもよい。
表示用データ書込み部232は、保存命令受入れ部231が受け入れた保存命令に応じて、表示用データを、上記した編集可能なデータ形式にて表示用データ保持部233に移送するように作動する。表示用データ保持部233の好ましい態様は記憶装置であるが、該表示用データ保持部は、プログラム中に確保された記憶領域であってもよい。該記憶装置は、当該処理装置内に設けられたものや、当該処理装置に接続された外部記憶装置であってもよいし、当該処理装置とデータ通信可能な外部のコンピューター(サーバーコンピューターなど)の記憶装置であってもよい。また、表示用データ保持部233は、上記した検査値保持部200と同じ記憶装置であってもよい。
【0034】
(当該処理装置の好ましい態様5:保存された表示用データを編集する機能)
上記の好ましい態様4では、表示用データ保存部230によって、表示用データが所定の編集用ソフトウェアにて編集可能なデータ形式にて保存される。この保存された表示用データは、外部のコンピューターで実行される編集用ソフトウェアによって読み出し、編集し得るように構成されてよいが、好ましい態様5では、図7に例示するように、該保存された表示用データを読みだして編集する表示用データ編集部240が設けられる。図7に示された表示用データ編集部240の構成は、図1または図6に示された構成中に適宜組み込むことができる。同図に例示するように、表示用データ編集部240は、読込み命令受入れ部241と、表示用データ読込み部242と、編集用ソフトウェア実行部243とを有する。
【0035】
読込み命令受入れ部241は、表示用データ保存部230によって保存された編集可能な表示用データを読み込む命令をユーザーから受け入れるように構成される。該読み込む命令をユーザーが入力するための構成は、特に限定はされず、例えば、図8に示した印刷操作用画面に、さらに、ユーザーが読込み命令を入力するためのボタン(図示せず)が加えられてもよい。
表示用データ読込み部242は、読込み命令受入れ部241が受け入れた保存命令に応じて、表示用データ保持部233に保存された編集可能な表示用データを読み込むように作動する。
編集用ソフトウェア実行部243は、所定の編集用ソフトウェアを実行すると共に、該編集用ソフトウェアに読み込んだ表示用データを引き渡す。表示用データを開いた編集用ソフトウェアは、表示画面(図示せず)に編集操作用画面を出力し、ユーザーの編集を受け付ける。編集用ソフトウェアの編集機能は、公知のソフトウェアの機能を参照することができる。
編集用ソフトウェアによってユーザーが編集した表示用データは、ユーザーが入力する保存命令に従って(または、自動的に)、もとの表示用データに上書きされてもよいし、別の名前が付けられて保存されてもよい。編集した表示用データの保存先は、特に限定はされないが、表示用データ保持部233が例示される。編集された表示用データは、編集用ソフトウェアによって編集可能なデータ形式にて、再度保存されるように構成することが好ましい。また、編集された表示用データは、ユーザーが入力する命令に従って、検査値出力部180によって、プリンターや表示装置に出力されてもよい。
【0036】
(当該処理装置の好ましい態様6:検索する機能)
図8に例示する操作用画面における検索ボックスのように、当該処理装置の好ましい態様6では、該操作用画面に表示された検査結果の一覧に対して、検体IDや、日付など、任意の項目を検索クエリーとして検索を行い、該検索クエリーに該当する検査結果を表示する機能が付与される。図8の例では、検索ボックスだけが示されているが、該検索ボックスの近傍に、検索を開始させる命令を入力する検索ボタンがさらに設けられてもよい。検索を開始させる命令は、当該処理装置に設けられる入力装置の入力キー(エンターキー)によって入力されてもよい。
この検索機能によって、図8に例示する操作用画面に表示された検査一覧に、多数の検査結果が表示され、表示欄外に続くような状態となっても、表示したい検査結果をすばやく表示欄内に表示することが可能になる。
【0037】
(本発明のコンピュータープログラム)
当該プログラムは、上記した本発明の検査データ処理装置の各部をコンピューターを用いて構成するためのものである。当該プログラムは、コンピューターを、少なくとも、上記検査データ受入れ部120、上記種類決定部140、上記表示フォーマット決定部150、上記検査値出力部180として機能させるように構成されたコンピュータープログラムである。各部120、140、150、180の動作の詳細は上記したとおりである。
上記表示フォーマット保持部130は、別途、記憶装置を用いて構成されてもよいし、当該プログラム中に構成されてもよい。
また、好ましい態様として、当該プログラムには、前記コンピューターを、上記検査オーダー受信部110、上記表示フォーマット編集部160、上記表示用データ作成部170、上記検査報告送信部190として機能させるように構成されたコンピュータープログラムが加えられてもよい。各部110、160、170、190の動作の詳細は上記したとおりである。
当該プログラムは、上記した種々の好ましい態様として機能するように、適宜改変され得る。当該プログラムは、コンピューターが読み取り可能な記録媒体に格納されてユーザーに供給もよいし、インターネット等を通じてユーザーのコンピューターに供給されてもよい。
【0038】
ユーザーは、例えば、検査従事者、医師(獣医師を含む)、当該処理装置を操作する専任の操作者など、当該処理装置を操作する者であってよい。
【0039】
(検査オーダーの送付元)
図1に示した検査オーダーの送付元30は、特に限定はされず、当該処理装置と通信可能な装置(とりわけ、コンピューター)であればよく、医師等が電子カルテの作成などで使用する端末コンピューター(検査オーダーの発行元)や、該端末コンピューターから検査オーダーを受信して当該処理装置に検査オーダーを送信する管理部門のコンピューターなど、当該処理装置を使用する機関のネットワークに応じた送付元であってよい。
【0040】
(検査結果の送付先)
検査報告または検査結果を送る相手である所定の送付先は、特に限定はされず、当該処理装置と通信可能なコンピューターであればよく、医師等が使用する端末コンピューターや、当該処理装置から検査報告を受信して医師等の端末コンピューターに検査報告を伝達する管理部門の端末コンピューターなど、当該処理装置を使用する機関のネットワークや検査報告の流れに応じて予め定められた送付先であってよい。一般的な医療機関のネットワークシステムでは、検査オーダーの送付元(発行元)が検査報告の送付先でもある場合が多いが(例えば、医師の端末コンピューター(発行元)から検査オーダーが送付され、該医師の端末コンピューターに検査報告を送り返す場合など)、当該処理装置から見たときの検査オーダーの送付元と検査報告の送付先とは、互いに異なっていてもよい。
【0041】
送付元や送付先は、当該処理装置自体に含まれていてもよい。例えば、当該処理装置は、医師などが使用するコンピューターを兼用するものであってよく、電子カルテプログラムなど、検査オーダーを発注するプログラムと、本発明によるプログラムとが、同じコンピューターで実行されてもよい。その場合、検査オーダーを発注するプログラムは、本発明のプログラムの検査オーダー受信部110に検査オーダーのデータを引き渡すように構成され、検査報告送信部190は、検査オーダーを発注するプログラムに検査結果を引き渡すように構成されてもよい。
【0042】
(その他の事項)
被験動物は、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、昆虫など、検体を採取すべき動物が挙げられる。被験動物は、ヒトであっても、ヒト以外の動物であってもよい。とりわけ、伴侶動物または産業動物は、複数の種類であっても1つの医療機関(いわゆる、動物病院や家畜病院など)において診療が行われる場合が多い。よって、そのような伴侶動物や産業動物を診断の対象とする前記医療機関では、本発明の有用性が特に顕著になる。
伴侶動物(ペットと呼ばれる動物や鑑賞魚も含む)は特に限定はされないが、本発明の有用性が顕著となる動物としては、イヌ、ネコ、ウサギ、げっ歯類などが挙げられる。また、産業動物は特に限定はされないが、本発明の有用性が顕著となる動物としては、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギなどが挙げられる。
被験動物は、疾患を有する動物だけでなく、疾患を有しない動物も含まれ得る。例えば、健康診断などでは、疾患の有無にかかわらず、被験動物を対象とし、所定の検査項目についての検査データが取得される。
【0043】
(検査オーダーに含まれる検査項目)
検査項目は、特に限定はされず、検査対象者から採取される検体(血液、尿、便、細胞など)を検査対象とする検体検査に関する検査項目や、検査対象者の身体を検査対象とする心電計測、超音波診断、放射線検査、CTスキャンなどの検査項目など、種々の検査オーダーに含まれるものであればよい。本発明の有用性が特に顕著になるのは、検査項目が検体検査に関連する場合である。
【0044】
検体検査に関連する検査項目としては、例えば、血液学的な検査、生化学的な検査、免疫学的な検査、遺伝学的な検査についての検査などが挙げられる。以下に例示する具体的な検査項目は、必ずしも前記の検査のいずれか1つだけに分類されるわけではなく、例えば、血液学的な検査と生化学的複数の検査の両方などに分類される場合もある。
血算に関連する検査項目としては、白血球数、赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値、平均赤血球容積、平均赤血球ヘモグロビン量、平均赤血球ヘモグロビン濃度、血小板数、赤血球粒度分布幅、平均血小板容積、血小板粒度分布幅、血小板クリット値、リンパ球数、リンパ球比率、単球数、単球比率、顆粒球数、顆粒球比率、好中球数、好中球比率、好酸球数、好酸球比率、好塩基球数、好塩基球比率、異型リンパ球数、異型リンパ球比率、大型幼若細胞数、大型幼若細胞比率、反応性蛋白質濃度、血糖値、アンモニア、ナトリウム、カリウム、クロールなどが例示される。
また、ヘモグロビンA1c(HbA1c)に関連する検査項目としては、グリコヘモグロビンA1c、ヘモグロビンF(HbF)、尿アルブミン、尿クレアチニン、尿AC比、高感度C反応性蛋白質(高感度CRP)濃度、シスタチンなどが例示される。
尿を対象とする検査項目としては、色調、混濁、糖、蛋白質、ビリルビン、ウロビリノーゲン、pH、比重、潜血、ケトン体、亜硝酸塩、白血球検査、アスコルビン酸、クレアチニン、μアルブミン、p/c比(蛋白質・クレアチニン比)、a/c比(アルブミン・クレアチニン比)、尿素窒素、尿酸、総コレステロール、アンモニア、中性脂肪、総蛋白質、アルブミン、総ビリルビン、カルシウム、無機リン、直接ビリルビン、HDLコレステロール、マグネシウム、γグルタミルトランスペプチターゼ、AST(GOT)、ALT(GPT)、クレアチンキナーゼ、乳酸脱水素酵素、アルカリホスファターゼ、ロイシンアミノペプチダーゼ、CK-MB、コリンエステラーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、ナトリウム、カリウム、クロールなどが例示される。
生化学的な検査項目としては、総蛋白質、アルブミン、中性脂肪、総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、AST(GOT)、ALT(GPT)、γグルタミルトランスペプチターゼ、アルカリホスファターゼ、乳酸脱水素酵素、コリンエステラーゼ、総ビリルビン、直接ビリルビン、ロイシンアミノペプチダーゼ、アンモニア、アミラーゼ、リパーゼ、尿素窒素、クレアチニン、尿酸、ブドウ糖、クレアチンキナーゼ、カルシウム、無機リン、マグネシウム、ヘモグロビンA1c、ナトリウム、カリウム、クロール、ケトン体、SAA、C反応性蛋白質(CRP)、ヘモグロビン濃度、CK-MB、cCRP、フルクトサミン、リウマトイド因子定量などが例示される。
遺伝学的な検査項目としては、遺伝子検査、染色体検査、DNA検査、RNA検査などが例示される。
【0045】
(検査装置)
検査装置は、当該処理装置に検査データを送信し得るよう通信可能に接続され、上記した検査項目に関する測定や分析が可能な装置が好ましい。また、当該処理装置とのデータ通信ができない検査装置であっても、そのような検査装置によって得られた検査値を上記した好ましい態様4によって容易に利用できる。これにより、データ送信可能な検査装置から得た検査値と、データ送信不能な検査装置から得た検査値とを、1つの検査値表示フォーマットに従って表示することが可能となる。
検体検査に関する検査装置としては、血球計数装置、血液分析装置、濃度測定装置、免疫測定装置、遺伝学的な分析を行う装置などが挙げられ、1つの検査装置がただ1つの検査項目を処理し得るものであってもよいし、1つの検査装置が複数の検査項目を処理し得るものであってもよい。当該処理装置には、接続され得る検査装置の数は、1以上であればよい。
【0046】
当該処理装置と検査装置との接続は特に限定されず、有線または無線によるLAN、USB、RS-232C、GPIB、ブルートゥース(登録商標)、インターネットを介した接続、これらを組み合わせた接続など、コンピューターと外部機器とのデータ通信が可能なあらゆる接続が利用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明によれば、1つの医療機関において複数の種類の被験動物の検体検査を行うような場合であっても、検査装置から得られた検査値をそれぞれの被験動物の種類に固有の検査値関連事項と共に、適切な表示フォーマットにて、表示装置やプリンターへと容易に出力することができる。よって、当該処理装置および当該プログラムは、伴侶動物や産業動物を診断の対象とする医療機関において、特に有用となる。
【符号の説明】
【0048】
10 検査データ処理装置
20 プリンター
30 検査オーダーの送付元
41~44 検査装置
110 検査オーダー受信部
120 検査データ受入れ部
130 表示フォーマット保持部
140 種類決定部
150 表示フォーマット決定部
160 表示フォーマット編集部
170 表示用データ作成部
180 検査値出力部
190 検査報告送信部
図1
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図10