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特許7514876基板処理装置、半導体装置の製造方法及び基板支持具
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  • 特許-基板処理装置、半導体装置の製造方法及び基板支持具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】基板処理装置、半導体装置の製造方法及び基板支持具
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20240704BHJP
   H01L 21/302 20060101ALI20240704BHJP
   H01L 21/673 20060101ALI20240704BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
H01L21/31 F
H01L21/302 201A
H01L21/68 V
C23C16/44 J
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022049853
(22)【出願日】2022-03-25
(65)【公開番号】P2023142776
(43)【公開日】2023-10-05
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寿崎 健一
(72)【発明者】
【氏名】池田 優真
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-079481(JP,A)
【文献】特開2013-175641(JP,A)
【文献】国際公開第2020/261466(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H01L 21/302
H01L 21/673
C23C 16/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を支持する基板支持柱と、
前記基板支持柱の基板支持領域の下方に設けられた断熱部と、
前記基板支持柱及び前記断熱部を収容する処理容器と、
を備え、
前記断熱部は、前記処理容器の内壁に対向する筒状の側壁部と、前記基板支持領域に面して前記側壁部の上端を閉塞する上端部と、を有し、且つ、前記側壁部及び前記上端部により囲まれた中空構造を有し、
前記上端部のうち前記基板支持領域に対向する面の少なくとも一部が、前記側壁部の上端及び前記基板支持柱を形成する第2材料よりも熱伝導率が大きい第1材料により形成された上面部により構成されている、基板処理装置。
【請求項2】
前記基板支持柱は、複数の前記基板を水平姿勢で互いに間隔を開けた状態で支持可能に構成されている、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記処理容器の内壁と前記側壁部との間に不活性ガスを供給する不活性ガス供給系を更に備えている、請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
基板を支持する基板支持柱と、
前記基板支持柱の基板支持領域の下方に設けられた断熱部と、
前記基板支持柱及び前記断熱部を収容する処理容器と、
を備え、
前記断熱部は、前記処理容器の内壁に対向する筒状の側壁部と、前記基板支持領域に面して前記側壁部の上端を閉塞する上端部と、を有し、
前記上端部のうち前記基板支持領域に対向する面の少なくとも一部が、前記側壁部の上端及び前記基板支持柱を形成する第2材料よりも熱伝導率が大きい第1材料により形成された上面部により構成され、
前記上面部は、前記上端部の少なくとも中央を含むように設けられ、
前記上端部の外縁は、前記第2材料により形成されている、基板処理装置。
【請求項5】
基板を支持する基板支持柱と、
前記基板支持柱の基板支持領域の下方に設けられた断熱部と、
前記基板支持柱及び前記断熱部を収容する処理容器と、
を備え、
前記断熱部は、前記処理容器の内壁に対向する筒状の側壁部と、前記基板支持領域に面して前記側壁部の上端を閉塞する上端部と、を有し、
前記上端部のうち前記基板支持領域に対向する面の少なくとも一部が、前記側壁部の上端及び前記基板支持柱を形成する第2材料よりも熱伝導率が大きい第1材料により形成された上面部により構成され、
前記上面部は、前記上端部に設けられた支持部に着脱可能に設けられ、前記第1材料により形成された板状体により構成されている、基板処理装置。
【請求項6】
前記支持部は、凹部を有し、
前記板状体は、前記凹部に嵌め込まれるように装着される、請求項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記支持部は、前記第2材料により形成されている、請求項又は請求項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記第1材料は炭化シリコンであり、前記第2材料は石英である、請求項1~請求項の何れか1項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記側壁部には、前記断熱部の内部空間に連通する開口が設けられている、請求項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記断熱部の外周空間又は内部空間の少なくとも何れかに対して不活性ガスを供給する不活性ガス供給系を備えている、請求項又は請求項に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記基板支持柱は、前記断熱部の最下部に位置する基部の上に立設されている、請求項1~請求項10の何れか1項に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記断熱部の外側であって、かつ前記基板支持領域に面する位置に設けられたヒータを更に備えている、請求項1~請求項11の何れか1項に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記処理容器内に成膜ガスを供給するよう構成された成膜ガス供給部を更に備え、
前記成膜ガスが前記処理容器内に供給されることにより前記処理容器の内壁及び前記上面部に堆積する膜の熱膨張率は、前記第2材料の熱膨張率よりも、前記第1材料の熱膨張率に近い、請求項1~請求項12の何れか1項に記載の基板処理装置。
【請求項14】
基板を支持する基板支持柱と、前記基板支持柱の基板支持領域の下方に設けられた断熱部と、を備え、前記断熱部は、処理容器の内壁に対向する筒状の側壁部と、前記基板支持領域に面して前記側壁部の上端を閉塞する上端部と、を有し、且つ、前記側壁部及び前記上端部により囲まれた中空構造を有し、前記上端部のうち前記基板支持領域に対向する面の少なくとも一部が、前記側壁部の上端及び前記基板支持柱を形成する第2材料よりも熱伝導率が大きい第1材料により形成された上面部により構成されている基板支持具に前記基板を支持させる工程と、
前記基板を支持した状態の前記基板支持具が収容された前記処理容器内に、成膜ガスを供給する工程と、
前記基板支持具から前記基板を取り出す工程と、
前記基板を支持していない状態の前記基板支持具が収容された前記処理容器内に、エッチングガスを供給する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項15】
基板を支持する基板支持柱と、前記基板支持柱の基板支持領域の下方に設けられた断熱部と、を備え、前記断熱部は、処理容器の内壁に対向する筒状の側壁部と、前記基板支持領域に面して前記側壁部の上端を閉塞する上端部と、を有し、前記上端部のうち前記基板支持領域に対向する面の少なくとも一部が、前記側壁部の上端及び前記基板支持柱を形成する第2材料よりも熱伝導率が大きい第1材料により形成された上面部により構成されており、前記上面部は、前記上端部の少なくとも中央を含むように設けられ、前記上端部の外縁は、前記第2材料により形成されている基板支持具に前記基板を支持させる工程と、
前記基板を支持した状態の前記基板支持具が収容された前記処理容器内に、成膜ガスを供給する工程と、
前記基板支持具から前記基板を取り出す工程と、
前記基板を支持していない状態の前記基板支持具が収容された前記処理容器内に、エッチングガスを供給する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項16】
基板を支持する基板支持柱と、前記基板支持柱の基板支持領域の下方に設けられた断熱部と、を備え、前記断熱部は、処理容器の内壁に対向する筒状の側壁部と、前記基板支持領域に面して前記側壁部の上端を閉塞する上端部と、を有し、前記上端部のうち前記基板支持領域に対向する面の少なくとも一部が、前記側壁部の上端及び前記基板支持柱を形成する第2材料よりも熱伝導率が大きい第1材料により形成された上面部により構成されており、前記上面部は、前記上端部に設けられた支持部に着脱可能に設けられ、前記第1材料により形成された板状体により構成されている基板支持具に前記基板を支持させる工程と、
前記基板を支持した状態の前記基板支持具が収容された前記処理容器内に、成膜ガスを供給する工程と、
前記基板支持具から前記基板を取り出す工程と、
前記基板を支持していない状態の前記基板支持具が収容された前記処理容器内に、エッチングガスを供給する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項17】
基板を支持する基板支持柱と、
前記基板支持柱の基板支持領域の下方に設けられた断熱部と、を備え、
前記断熱部は、処理容器の内壁に対向する筒状の側壁部と、前記基板支持領域に面して前記側壁部の上端を閉塞する上端部と、を有し、且つ、前記側壁部及び前記上端部により囲まれた中空構造を有し、
前記上端部のうち前記基板支持領域に対向する面の少なくとも一部が、前記側壁部の上端及び前記基板支持柱を形成する第2材料よりも熱伝導率が大きい第1材料により形成された上面部により構成されている、基板支持具。
【請求項18】
基板を支持する基板支持柱と、
前記基板支持柱の基板支持領域の下方に設けられた断熱部と、を備え、
前記断熱部は、処理容器の内壁に対向する筒状の側壁部と、前記基板支持領域に面して前記側壁部の上端を閉塞する上端部と、を有し、
前記上端部のうち前記基板支持領域に対向する面の少なくとも一部が、前記側壁部の上端及び前記基板支持柱を形成する第2材料よりも熱伝導率が大きい第1材料により形成された上面部により構成されており、
前記上面部は、前記上端部の少なくとも中央を含むように設けられ、
前記上端部の外縁は、前記第2材料により形成されている、基板支持具。
【請求項19】
基板を支持する基板支持柱と、
前記基板支持柱の基板支持領域の下方に設けられた断熱部と、を備え、
前記断熱部は、処理容器の内壁に対向する筒状の側壁部と、前記基板支持領域に面して前記側壁部の上端を閉塞する上端部と、を有し、
前記上端部のうち前記基板支持領域に対向する面の少なくとも一部が、前記側壁部の上端及び前記基板支持柱を形成する第2材料よりも熱伝導率が大きい第1材料により形成された上面部により構成されており、
前記上面部は、前記第1材料により形成され、前記上端部に設けられた支持部に着脱可能に設けられている板状体により構成されている、基板支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、半導体装置の製造方法及び基板支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程の一工程として、基板を処理する処理室内にエッチングガスを供給して、処理室内に付着した堆積物等を除去するクリーニング工程が行われる場合がある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-26660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、エッチング工程によって堆積物が十分に除去されないことにより、除去されなかった堆積物がパーティクル等となり、基板への処理に影響を及ぼすことがある。
【0005】
本開示の目的は、エッチングガスを用いた堆積物除去の際に、堆積物の除去効率を向上させ、堆積物の残渣に起因するパーティクル等の発生を低減させることが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、基板を支持する基板支持柱と、前記基板支持柱の基板支持領域の下方に設けられた断熱部と、前記基板支持柱及び前記断熱部を収容する処理容器と、
を備え、前記断熱部は、前記処理容器の内壁に対向する筒状の側壁部と、前記基板支持領域に面して前記側壁部の上端を閉塞する上端部と、を有し、前記上端部のうち前記基板支持領域に対向する面の少なくとも一部が、前記側壁部の上端及び前記基板支持柱を形成する第2材料よりも熱伝導率が大きい第1材料により形成された上面部により構成されている技術が提供される。
【発明の効果】
【0007】
エッチングガスを用いた堆積物除去の際に、堆積物の除去効率を向上させ、堆積物の残渣に起因するパーティクル等の発生を低減させることが可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一態様である基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を縦断面図で示す図である。
図2】本開示の一態様である基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を図1のA-A線断面図で示す図である。
図3】本開示の一態様である基板支持具を示す斜視図である。
図4】本開示の一態様である基板支持具の断熱部の一例を示す断面図である。
図5】本開示の一態様である基板支持具の断熱部の他の例を示す縦断面図である。
図6】本開示の一態様である基板処理装置のコントローラの概略構成図であり、コントローラの制御系をブロック図で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1図6を参照しながら説明する。なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0010】
(1)基板処理装置の構成
図1に示されているように、処理炉202は加熱手段(加熱機構)としてのヒータ207を有する。ヒータ207は円筒形状であり、保持板に支持されることにより垂直に据え付けられている。ヒータ207は、ガスを熱で活性化(励起)させる活性化機構(励起部)としても機能する。ヒータ207は、後述する断熱部218の外側であって、かつ基板支持領域402に面する位置に設けられている。すなわち、本実施形態では、ヒータ207は、断熱部218の内部には設けられていない。
【0011】
ヒータ207の内側には、ヒータ207と同心円状に反応容器(処理容器)を構成する反応管が配設されている。反応管は、インナーチューブ(内筒、内管)204と、インナーチューブ204を同心円状に取り囲むアウターチューブ(外筒、外管)203と、を備えた2重管構成を有している。インナーチューブ204およびアウターチューブ203は、それぞれ、例えば石英(SiO)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料により構成され、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。
【0012】
インナーチューブ204の筒中空部(反応容器の内側)には、基板としてのウエハ200に対する処理が行われる処理室201が形成される。処理室201は、ウエハ200を処理室201内の一端側(下方側)から他端側(上方側)へ向けて配列させた状態で収容可能に構成されている。処理室201内は、複数の領域に分けて考えることができる。本態様では、処理室201内において複数枚のウエハ200が配列される領域を、基板支持領域204(ウエハ支持領域)とも称する。基板支持領域204を、基板配列領域(ウエハ配列領域)とも称する。基板支持領域204は、ウエハ200を均等に処理するために、ヒータ207により温度が均一に保たれる領域、すなわち均熱領域T1を含んでいる。また、処理室201内において、基板支持領域204を包含する領域であってヒータ207により取り囲まれる領域、すなわち、処理室201内における比較的温度の高い領域を、高温領域とも称する。また、処理室201内において、基板支持領域204を包含しない領域であってヒータ207により実質的に取り囲まれていない領域(後述する断熱部218周辺の領域)、すなわち、処理室201内における比較的温度の低い領域を、低温領域とも称する。具体的には、低温領域は、断熱部218の上面よりも下方側の処理室201内の領域である。また、処理室201内においてウエハ200が配列される方向を、基板配列方向(ウエハ配列方向)とも称する。
【0013】
アウターチューブ203の下方には、アウターチューブ203と同心円状にマニホールド(インレットフランジ)209が配設されている。インナーチューブ204およびアウターチューブ203は、それぞれ、マニホールド209によって下方から支持されている。マニホールド209は、例えばステンレス(SUS)等の金属材料により構成され、上端および下端が開口した円筒形状に形成されている。アウターチューブ203の下端は、マニホールド209の上端に当接している。図1に示すように、マニホールド209とアウターチューブ203との間には、シール部材としてのOリング220aが設けられている。マニホールド209がヒータベースに支持されることにより、アウターチューブ203は垂直に据え付けられた状態となる。主に、アウターチューブ203と、インナーチューブ204と、マニホールド209とにより反応容器が構成される。
【0014】
インナーチューブ204の筒中空部には、予備室(ノズル収容室)201aが形成されている。予備室201aは、インナーチューブ204の側壁からインナーチューブ204の径方向外側に向かって突出し、垂直方向に沿って延在(延伸)するチャンネル形状(溝形状)に形成されている。予備室201aの内壁は、処理室201の内壁の一部を構成している。平面視において、予備室201aと処理室201とは、インナーチューブ204に設けられた開口201bを介して互いに連通されているともいえる。
【0015】
インナーチューブ204及び予備室201aのそれぞれの内壁には、内壁に沿うように、且つ、内壁からインナーチューブ204の中心軸に向かって突出するように形成された、ガスの流路を制限するガス流路制限部であるカバー204bが設けられている。カバー204bは、例えば石英やSiC等により構成することができる。カバー204bは、断熱部218の側面(側壁部404)の少なくとも一部に対向する範囲に設けられる。すなわち、上方から見た場合、カバー204bは、断熱部218の外周を囲うように設けられている。カバー204bは、後述するガス供給管342fから供給される不活性ガスが下方から上方に向かって流れる流路を、断熱部218の側面との間に形成することで、基板支持領域204に供給された原料ガスや反応ガスが、断熱部218の側面や下方に接触することを抑制する。これにより、断熱部218の側面や下方、その内部への堆積物の形成を抑制することができる。なお、本形態においては、ガス流路制限部をカバー204bとして構成しているが、カバー形状に限らず、ブロック形状や、インナーチューブ204を内側に突出する形状とすることにより構成してもよい。
【0016】
予備室201a内には、ガス供給部としてのノズル410,420がそれぞれ収容されている。ノズル410,420は、それぞれが、例えば石英またはSiC等の耐熱性材料により構成され、それぞれが、L字型のロングノズルとして構成されている。ノズル410,420の水平部はマニホールド209の側壁を貫通するように設けられている。ノズル410,420の垂直部は、予備室201aの内壁の下部より上部に沿って、ウエハ配列方向上方に向かって立ち上がるようにそれぞれ設けられている。すなわち、図2に示すように、ノズル410,420は、基板支持領域204の側方の、基板支持領域を水平に取り囲む領域に、基板支持領域204に沿うようにそれぞれ設けられている。図1に示すように、ノズル410,420は、それらの上端部の高さ位置が後述するボート217の天井付近の高さ位置まで達するように設けられている。本開示では、ノズル410,420を、それぞれ、第1ノズル、第2ノズルとも称する。
【0017】
ノズル410,420の側面には、ガスを供給するガス供給孔(開口部)410a,420aがそれぞれ設けられている。ノズル410,420におけるガス供給孔410a,420aは、それぞれ、ウエハ200と対向する位置に、すなわち、基板支持領域204のウエハ配列方向における全域に対応するように、ノズル410,420の上部から下部にわたって複数設けられている。すなわち、ガス供給孔410a,420aは、後述するボート217の下部から上部までの高さの位置に複数設けられており、ボート217に収容された全てのウエハ200にガスを噴出することが可能となっている。
【0018】
本態様では、円筒状の空間である予備室201a内に配置したノズル410,420を経由してガスを搬送している。そして、ノズル410,420にそれぞれ開口されたガス供給孔410a,420aから、処理室201内へガスを噴出させている。そして、インナーチューブ204内におけるガスの主たる流れを、ウエハ200の表面と平行な方向、すなわち水平方向としている。このような構成とすることで、各ウエハ200に均一にガスを供給することが可能となる。ウエハ200の表面上を流れたガスは、後述する排気孔204aの方向に向かって流れる。但し、このガスの流れの方向は、排気孔204aの位置によって適宜特定され、水平方向に限ったものではない。
【0019】
ノズル410,420には、ガス供給管342a,342dが接続されている。このように、インナーチューブ204には2本のノズル410,420と、2本のガス供給管342a,342dが、それぞれ接続されており、処理室201内へ複数種類のガスを供給することができるように構成されている。
【0020】
マニホールド209の下方には、ガス供給管342fが接続されている。ガス供給管342fは、マニホールド209およびインナーチューブ204の側壁下部を貫通するように設けられている。
【0021】
ガス供給管342a,342dには、それぞれ、ガス供給管342b及び342cと、ガス供給管342eが合流するように接続されている。ガス供給管342a~342fには、ガス流の上流側から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)341a~341f、開閉弁であるバルブ343a~343fが、それぞれ設けられている。
【0022】
ガス供給管342aからは、処理ガスである原料ガスとして、ウエハ200上に形成される膜を構成する主元素となる所定元素を含むガス、すなわち、所定元素含有ガスを処理室201内のウエハ処理領域へ供給することが可能となっている。原料ガスとは、気体状態の原料、例えば、常温常圧下で液体状態である原料を気化することで得られるガスや、常温常圧下で気体状態である原料等のことである。所定元素含有ガスは、成膜ガス、すなわち、所定元素ソースとして作用する。
【0023】
ガス供給管342bからは、後述するクリーニング工程において用いられるエッチングガス(クリーニングガス)を、処理室201内へ供給することが可能となっている。
【0024】
ガス供給管342dからは、処理ガスである反応ガス(リアクタント)を、処理室201内のウエハ処理領域へ供給することが可能となっている。反応ガスは、例えば酸化ガスや窒化ガスであり、成膜ガスとして作用する。
【0025】
ガス供給管342c,342eからは、不活性ガスを、それぞれ処理室201内のウエハ処理領域へ供給することが可能となっている。当該不活性ガスは、パージガス、希釈ガス、或いはキャリアガスとして作用する。
【0026】
ガス供給管342fからは、不活性ガスを、処理室201内の低温領域へ供給することが可能となっている。当該不活性ガスはパージガスとして作用する。ガス供給管342fから供給される不活性ガスは、例えば処理室201の内壁201Aと側壁部404との間に供給される。また、当該不活性ガスは、断熱部218の外周空間又は内部空間の少なくとも何れかに対して供給される。なお、断熱部218の側壁部404をパージする不活性ガス供給系(ノズル)と、内部空間404Bをパージする不活性ガス供給系(ノズル)は、1つでも良いし、それぞれ個別に設けられていても良い。また、ガス供給管342fを、後述する回転機構267に接続し、回転軸255の外周から処理室201内の低温領域へ不活性ガスを供給するようにしてもよい。
【0027】
主に、ガス供給管342a、MFC341a、バルブ343aにより、原料ガス供給系(金属含有原料ガス供給系)が構成される。ノズル410を原料ガス供給系に含めて考えてもよい。主に、ガス供給管342d、MFC341d、バルブ343dにより、反応ガス供給系(酸素含有ガス供給系)が構成される。ノズル420を反応ガス供給系に含めて考えてもよい。原料ガス供給系および反応ガス供給系をまとめて処理ガス供給系(ガス供給系)と考えてもよい。また、原料ガス供給系または反応ガス供給系の少なくともいずれかを処理ガス供給部として考えてもよい。主に、ガス供給管342c,342e、MFC341c,341e、バルブ343c,343eにより、第1の不活性ガス供給系(パージガス供給系、希釈ガス供給系、キャリアガス供給系)が構成される。主に、ガス供給管342f、MFC341f、バルブ343fにより、第2の不活性ガス供給系(パージガス供給系)が構成される。主に、ガス供給管342b、MFC341b、バルブ343bにより、エッチングガス供給系(クリーニングガス供給系)が構成される。
【0028】
図1に示すように、インナーチューブ204の側壁には、例えばスリット状の貫通孔として構成された排気孔(排気スリット)204aが、垂直方向に細長く開設されている。排気孔204aは、正面視において例えば矩形であり、インナーチューブ204の側壁の下部から上部にわたって、ウエハ配列領域のウエハ配列方向における全域に対応するように設けられている。なお、排気孔204aはスリット状の貫通孔として構成される場合に限らず、複数個の孔により構成されていてもよい。処理室201内と、インナーチューブ204とアウターチューブ203との間の円環状の空間(隙間)により構成される排気路206とは、排気孔204aを介して連通されている。
【0029】
図2に示すように、平面視において、予備室201aと排気孔204aとは、処理室201内に収容されたウエハ200の中心を挟んで対向している(180度反対側の位置にある)。また、ノズル410,420と排気孔204aとは、処理室201内に収容されたウエハ200の中心を挟んで対向している。
【0030】
図1に示すように、マニホールド209には、排気路206を介して処理室201内の雰囲気を排気する排気管231が接続されている。排気管231には、排気路206内、すなわち、処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245および圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ243を介して、真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されている。APCバルブ243は、真空ポンプ246を作動させた状態で弁を開閉することで、処理室201内の真空排気および真空排気停止を行うことができ、更に、真空ポンプ246を作動させた状態で、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づいて弁開度を調節することで、処理室201内の圧力を調整することができるように構成されている。主に、排気管231、APCバルブ243、圧力センサ245により、排気系すなわち排気ラインが構成される。排気孔204a、排気路206、真空ポンプ246を排気系に含めて考えてもよい。
【0031】
マニホールド209の下端開口は、処理炉202の炉口として構成されており、後述するボートエレベータ115によりボート217が上昇した際に、Oリング220bを介して蓋体としてのシールキャップ219により気密に封止される。シールキャップ219は、SUS等の金属材料により構成され、円盤状に形成されている。シールキャップ219の下方には、ボート217を回転させる回転機構267が設置されている。回転機構267の回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート217に接続されている。回転機構267は、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。シールキャップ219は、アウターチューブ203の外部に垂直に設置された昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されている。ボートエレベータ115は、シールキャップ219を昇降させることで、ボート217により支持されたウエハ200を処理室201内外に搬入および搬出(搬送)する搬送装置(搬送機構)として構成されている。
【0032】
基板保持具としてのボート217は、複数枚のウエハ200を水平姿勢でかつ互いに中心を揃えた状態で整列させて多段に保持するように構成されている。ボート217は、ウエハ200を支持する基板支持柱400と、基板支持柱400の基板支持領域402の下方に設けられた断熱部218と、を備えている。プロセスチューブ203は、基板支持柱400及び断熱部218を有するボート217を収容可能である。
【0033】
断熱部218は、処理室201の内壁201Aに対向する筒状の側壁部404と、基板支持領域402に面して側壁部404の上端を閉塞する上端部406と、を有し、上端部406のうち基板支持領域402に対向する面の少なくとも一部が、側壁部404の上端及び基板支持柱400を形成する第2材料よりも熱伝導率が大きい第1材料により形成された上面部408により構成されている。
【0034】
上面部408は、上端部406の少なくとも中央を含むように設けられていてもよい。この「中央」を「中心点」と言い換えることもできる。また、上端部406の外縁406Aが、第2材料により形成されていてもよい。上面部408は、第1材料により形成された板状体409により構成されていてもよい。図示の例では、板状体409は円板状に構成されている。第1材料は、例えば炭化シリコン(SiC)であり、第2材料は、例えば石英(SiO)である。
【0035】
板状体409は、上端部406に設けられた支持部406Bに着脱可能に設けられていてもよい。具体的には、支持部406Bが凹部406Cを有し、板状体409は、凹部406Cに嵌め込まれるように装着されてもよい。支持部406Bは、第2材料により形成されていてもよい。
【0036】
図5に示されるように、板状体409は、その下面が断熱部218の内部空間404Bに面する(露出する)ように設けられていてもよい。支持部406Bに貫通部406Dが形成され、鍔状に残った支持部406Bに板状体409が支持されている。これにより、板状体409の下面が断熱部218の内部空間404Bに面している。
【0037】
断熱部218は、側壁部404及び上端部406により囲まれた中空構造(すなわち、断熱板やヒータ等の構成が格納されていない構造)であることが好ましい。断熱部218の内部に断熱板(図示せず)は支持されていないが、断熱板が1枚以上支持されていてもよい。
【0038】
側壁部404には、断熱部218の内部空間404Bに連通する開口404Aが設けられていてもよい。図3に示されるように、開口404Aは、例えば側壁部404の下端部に設けられ、かつ側壁部404の周方向の複数箇所に設けられている。
【0039】
基板支持柱400は、複数のウエハ200を水平姿勢で互いに間隔を開けた状態で支持可能に構成されている。図3に示されるように、基板支持柱400は、断熱部218の最下部に位置する基部412の上に立設されていてもよい。また、基板支持柱400は、上端部406における例えば外縁406Aの上に立設されていてもよい。換言すれば、基板支持柱400は、上面部408に非接触に設けられる。
【0040】
プロセスチューブ203内には温度検出器としての温度センサ263が設置されている。
【0041】
図6に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a,RAM(Random Access Memory)121b,記憶装置121c,I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b,記憶装置121c,I/Oポート121dは、内部バスを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
【0042】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、液体原料の温度を制御する制御プログラム、基板処理装置の動作を制御する制御プログラム、後述する半導体装置の製造方法の手順や条件などが記載されたプロセスレシピ、などの少なくともいずれかが、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する半導体装置の製造方法における各工程(各ステップ)を、コンピュータとして構成されたコントローラ121によって基板処理装置に実行させ、所定の結果を得ることができるように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピ、制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、プロセスレシピおよび制御プログラムの組み合わせを含む場合がある。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0043】
I/Oポート121dは、上述のMFC341a~341f、バルブ343a~343f、圧力センサ245、APCバルブ243、真空ポンプ246、ヒータ207、温度センサ263、回転機構267、ボートエレベータ115等の少なくともいずれかに接続されている。
【0044】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからレシピ等を読み出すように構成されている。CPU121aは、読み出したレシピの内容に沿うように、MFC341a~341fによる各種ガスの流量調整動作、バルブ343a~343fの開閉動作、APCバルブ243の開閉動作およびAPCバルブ243による圧力センサ245に基づく圧力調整動作、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、回転機構267によるボート217の回転および回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作、ボート217へのウエハ200の収容動作等を制御することが可能なように構成されている。
【0045】
コントローラ121は、外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)123に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、それら両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0046】
制御部は、成膜ガスを処理室201(処理容器)内に供給して処理室201内に収容されたウエハ200(基板)上に膜を形成する処理と、エッチングガスを処理室201内に供給して、処理室201内に堆積した膜を除去する処理と、を実行させるように処理ガス供給系及びエッチングガス供給系を制御可能に構成されている。
【0047】
(2)基板処理工程
次に、本実施形態に係る半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、上述の基板処理装置10を用い、ウエハ上に膜を形成して半導体装置(デバイス)を製造する方法の一例について説明する。以下の説明において、基板処理装置10を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
【0048】
請求項17
半導体装置の製造方法は、
上記ボート217(基板支持具)にウエハ200を支持させる工程と、
ウエハ200を支持した状態のボート217が収容された処理室201内に、成膜ガスを供給する工程と、
ボート217からウエハ200を取り出す工程と、
ウエハ200を支持していない状態のボート217が収容された処理室201内に、エッチングガスを供給する工程と、
を有する。
【0049】
なお、本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのもの」を意味する場合や、「ウエハとその表面に形成された所定の層や膜等との積層体(集合体)」を意味する場合(すなわち、表面に形成された所定の層や膜等を含めてウエハと称する場合)がある。また、本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)」を意味する場合や、「ウエハ上に形成された所定の層や膜等の表面、すなわち、積層体としてのウエハの最表面」を意味する場合がある。なお、本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
【0050】
(A)成膜工程
基板処理装置10を用いて、ウエハ200に成膜ガスを供給して、ウエハ200上に所定元素を含む膜を形成する場合を用いて説明する。本態様では、複数のウエハ200がボート217に支持された状態で収容された処理室201を所定温度で加熱する。そして、処理室201に、成膜ガスとしての所定元素を含む原料ガスを供給する原料ガス供給ステップと、成膜ガスとしての反応ガスを供給する反応ガス供給ステップと、を所定回数(n回)行う。
【0051】
(ウエハ搬入)
複数枚のウエハ200を処理室201内に搬入(ボートロード)する。具体的には、複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)されると、図2に示されているように、複数枚のウエハ200を支持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内に搬入される。この状態で、シールキャップ219はOリング220を介してマニホールド209の下端開口を閉塞した状態となる。
【0052】
(圧力調整および温度調整)
処理室201内が所望の圧力(真空度)となるように真空ポンプ246によって真空排気される。この際、処理室201内の圧力は、圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づき、APCバルブ243がフィードバック制御される(圧力調整)。真空ポンプ246は、少なくともウエハ200に対する処理が完了するまでの間は常時作動させた状態を維持する。また、処理室201内が所望の温度となるようにヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電量がフィードバック制御される(温度調整)。ヒータ207による処理室201内の加熱は、少なくともウエハ200に対する処理が完了するまでの間は継続して行われる。
【0053】
さらに、ボート217およびウエハ200が、回転機構267により回転する。回転機構267によるボート217およびウエハ200の回転は少なくとも、ウエハ200に対する処理が完了するまでの間は継続して行われる。
【0054】
(成膜工程)
その後、原料ガス供給ステップ(第1ガス供給ステップ)、残留ガス除去ステップ、反応ガス供給ステップ(第2ガス供給ステップ)、残留ガス除去ステップをこの順で所定回数行う。
【0055】
(原料ガス供給ステップ)
バルブ343aを開き、ガス供給管310へ原料ガスを流す。原料ガスは、MFC341aにより流量調整され、処理室201内へ供給される。このとき同時に、バルブ343cを開き、ガス供給管342a内に不活性ガスであるキャリアガスを流す。キャリアガスは、MFC341cにより流量調整され、原料ガスと一緒に処理室201内に供給され、排気管231から排気される。さらに、ガス供給管342dへの原料ガスの侵入を防止(逆流を防止)するため、バルブ343eを開き、ガス供給管342d内へキャリアガスを流す。さらに、断熱部218の側壁部404及び/または断熱部218の内部への原料ガスの接触を抑制するため、バルブ343fを開き、ガス供給管342fから処理室201の炉口部へパージガスとしての不活性ガスを供給する。
【0056】
このとき、APCバルブ243を適正に調整して、処理室201の圧力を、例えば1~1000Pa、好ましくは1~100Pa、より好ましくは10~50Paの範囲内の圧力とする。なお、本明細書における「1~1000Pa」のような数値範囲の表記は、下限値および上限値がその範囲に含まれることを意味する。よって、例えば、「1~1000Pa」とは「1Pa以上1000Pa以下」を意味する。他の数値範囲についても同様である。
【0057】
MFC341aで制御する原料ガスの供給流量は、例えば、10~2000sccm、好ましくは50~1000sccm、より好ましくは100~500sccmの範囲内の流量とする。
【0058】
MFC341cで制御するキャリアガスの供給流量は、例えば、1~30slmの範囲内の流量とする。原料ガスをウエハ200に対して供給する時間は、例えば、1~60秒、好ましくは1~20秒、より好ましくは2~15秒の範囲内とする。ここで、キャリアガスとして用いる不活性ガスとしては、例えば、窒素(N)ガスや、アルゴン(Ar)ガス、ヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、キセノン(Xe)ガス等の希ガスを用いることができる。不活性ガスとしては、これらのうち1以上を用いることができる。この点は、後述する他の不活性ガスにおいても同様である。
【0059】
ヒータ207は、ウエハ200の温度が、例えば、200~600℃、好ましくは350℃~550℃、より好ましくは400~550℃の範囲内となるように加熱する。
【0060】
原料ガスとしては、例えば、所定元素として金属元素であるアルミニウム(Al)を含む、金属含有ガスであるAl含有原料ガス(Al含有原料、Al含有ガス)が用いられる。Al含有原料ガスとしては、例えば、塩化アルミニウム(AlCl)ガス等のハロゲン系Al含有ガスや、トリメチルアルミニウム((CHAl、TMA)ガス等の有機系Al含有ガスを用いることができる。
【0061】
前述の条件下で処理室201へ原料ガスを供給することにより、ウエハ200の最表面上に、第1層が形成される。例えば、原料ガスとしてAl含有ガスを用いた場合、第1層としてAl含有層が形成される。Al含有層は、Al含有ガスやAl含有ガスの一部が分解した吸着層(物理吸着層や化学吸着層)であってもよく、Al堆積層(Al層)であってもよい。
【0062】
(残留ガス除去ステップ)
次に、バルブ343aを閉じ、原料ガスの供給を停止する。このとき、APCバルブ243は開いたままとして、真空ポンプ246により処理室201を真空排気し、処理室201に残留する未反応又は層形成に寄与した後の原料ガスを処理室201から排除する。バルブ343c,343e,343fは開いた状態でキャリアガスの処理室201への供給を維持する。
【0063】
(反応ガス供給ステップ)
処理室201の残留ガスを除去した後、バルブ343dを開き、ガス供給管342d内に反応ガスを流す。反応ガスは、MFC341dにより流量調整され、ガス供給管342dから処理室201内のウエハ200に対して供給され、排気管231から排気される。すなわちウエハ200は反応ガスに暴露される。
【0064】
このとき、バルブ343eを開き、ガス供給管342e内にキャリアガスを流す。キャリアガスは、MFC341eにより流量調整され、反応ガスと共に処理室201内に供給されて、排気管231から排気される。このとき、ガス供給管342a内への反応ガスの侵入を防止(逆流を防止)するために、バルブ343cを開き、ガス供給管342a内へキャリアガスを流す。さらに、原料ガス供給ステップと同様に、断熱部218の側壁部404及び/または断熱部218の内部への反応ガスの接触を抑制するため、バルブ343fを開いた状態とし、ガス供給管342fから処理室201の炉口部へパージガスとしての不活性ガスを供給する。但し、本ステップでは、ガス供給管342fからのパージガスの供給は、原料ガス供給ステップに比べて供給流量を小さくするか、若しくは停止するようにしてもよい。
【0065】
このとき、APCバルブ243を適正に調整して、処理室201の圧力を、例えば1~1000Paの範囲内の圧力とする。MFC341dで制御する反応ガスの供給流量は、例えば、5~40slm、好ましくは5~30slm、より好ましくは10~20slmの範囲内の流量とする。反応ガスをウエハ200に対して供給する時間は、例えば、1~60秒の範囲内とする。その他の処理条件は、前述の原料ガス供給ステップと同様の処理条件とする。
【0066】
反応ガスとしては、原料ガスと反応するガスであって、例えば、酸化ガスが用いられる。酸化ガスとしては、酸素(O)ガス、オゾン(O)ガス、プラズマ励起されたO(O*)ガス、Oガス+水素(H)ガス、水蒸気(HOガス)、過酸化水素(H)ガス、亜酸化窒素(NO)ガス、一酸化窒素(NO)ガス、二酸化窒素(NO)ガス、一酸化炭素(CO)ガス、二酸化炭素(CO)ガス等の酸素(O)含有ガス等を用いることができる。酸化ガスとしては、これらのうち1以上を用いることができる。
【0067】
このとき処理室201に流しているガスは、反応ガスと不活性ガスのみである。反応ガスは、原料ガス供給ステップでウエハ200上に形成された第1層の少なくとも一部と反応する。すなわち、原料ガス供給ステップで形成された第1層としてのAl含有層は酸化され、第2層であり金属酸化層としてAlとOとを含むアルミニウム酸化層(AlO層)が形成される。すなわちAl含有層はAlO層へと改質される。
【0068】
(残留ガス除去ステップ)
次に、バルブ324を閉じて、反応ガスの供給を停止する。そして、原料ガス供給ステップ後の残留ガス除去ステップと同様の処理手順により、処理室201内に残留する未反応もしくは第2層の形成に寄与した後の反応ガスや反応副生成物を処理室201内から排除する。
【0069】
以上説明した原料ガス供給ステップ、残留ガス除去ステップ、反応ガス供給ステップ、残留ガス除去ステップを順に行うサイクルを予め決められた回数(1回以上)行う。このように、バッチ処理され(複数の工程が複数回行われ)ることで、ウエハ200上に膜が形成される。これにより、ウエハ200上に、例えばAlおよびOを含む膜としてアルミニウム酸化膜(AlO膜)が形成される。
【0070】
また、以上の成膜工程において、原料ガスや反応ガスが接触する処理室201の内壁等(例えば、インナーチューブ204の内壁やマニホールド209の内壁、等を含むことがある)や、断熱部218の上面部408の表面には膜(堆積物)が付着(堆積)する。このようにして処理室201内に付着した膜は、その後の成膜工程においてパーティクル(異物)発生の要因となり、ウエハ200上に形成される膜やデバイスの品質低下を招くことがある。そのため、本実施形態における半導体装置の製造方法では、後述するクリーニング工程において、処理室201内に付着した膜を除去する。なお、処理室内等に付着する堆積物は、ウエハ200上に形成された膜と同じ成分の膜の他、成膜工程において生成される副生成物などを含むこともある。更に、インナーチューブ204の内側表面から剥落した石英等の成分を含むこともある。なお、本実施形態では、カバー204bを設けることにより、断熱部218の側壁部404の表面への堆積物の付着を抑制することができるため、基板支持領域402に面する部位に付着する堆積物を後述するクリーニング工程において除去するだけで、堆積物に起因するパーティクル等の発生を効率的に抑制することができる。
【0071】
なお、バッチ処理とは、原料ガス供給ステップ、残留ガス除去ステップ、反応ガス供給ステップ、残留ガス除去ステップを順に行うサイクルを予め決められた回数行い、ウエハ200上に膜を形成させる処理である。そして、1バッチで、ウエハ200上に膜が形成される。
【0072】
(アフターパージおよび大気圧復帰)
ガス供給管342a,342d,342fのそれぞれから不活性ガスを処理室201内へ供給し、排気管231から排気する。不活性ガスはパージガスとして作用し、これにより処理室201内が不活性ガスでパージされ、処理室201内に残留するガスや副生成物が処理室201内から除去される(アフターパージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0073】
(ウエハ搬出)
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降されて、マニホールド209の下端が開口される。そして、処理済ウエハ200がボート217に支持された状態でプロセスチューブ203の下端からプロセスチューブ203の外部に搬出(ボートアンロード)される。その後、処理済のウエハ200は、ボート217より取り出される(ウエハディスチャージ)。
【0074】
(B)クリーニング工程
次に、成膜工程において処理室201内等に付着した膜をエッチングする工程(クリーニング工程)について説明する。
【0075】
(ボートの収容(ボートロード))
処理室201内からボート217を搬出し、ボート217からウエハ200を取り出した後、空となったボート217を処理室201に戻す。この状態で、シールキャップ219はOリング220を介してマニホールド209の下端開口を閉塞した状態となる。
【0076】
(圧力調整および温度調整)
処理室201内が所望の圧力(真空度)となるように真空ポンプ246によって真空排気される。この際、処理室201内の圧力は、圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づき、APCバルブ243がフィードバック制御される(圧力調整)。真空ポンプ246は、少なくともウエハ200に対する処理が完了するまでの間は常時作動させた状態を維持する。また、処理室201内が所望の温度となるようにヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電量がフィードバック制御される(温度調整)。ヒータ207による処理室201内の加熱は、少なくともエッチング処理が完了するまでの間は継続して行われる。
【0077】
(エッチング(クリーニング)工程)
処理室201内等に付着した膜をエッチングして処理室201内をクリーニングするステップを実行する。
【0078】
(エッチングステップ)
バルブ343bを開き、ガス供給管342a内にエッチングガス(クリーニングガス)を流す。エッチングガスは、MFC341bにより流量調整され、ガス供給管342bからノズル410を介して処理室201内に供給され、排気管231から排気される。このとき同時にバルブ343cを開き、ガス供給管342a内に不活性ガスを流す。ガス供給管342a内を流れた不活性ガスは、MFC341cにより流量調整され、希釈ガス(もしくはキャリアガス)としてエッチングガスと一緒に処理室201内に供給され、排気管231から排気される。なお、このとき、ガス供給管342d,342f内へのエッチングガスの侵入を防止するために、バルブ343d,343fを開き、ガス供給管342d,342f内に不活性ガスを流すようにしてもよい。
【0079】
エッチングガスとして、例えば、三塩化ホウ素(BCl)、四塩化ケイ素(SiCl)、塩化水素(HCl)、塩素(Cl)、フッ素(F)、フッ化水素(HF)、四フッ化ケイ素(SiF)、三フッ化窒素(NF)、三フッ化塩素(ClF)、三臭化ホウ素(BBr)、四臭化ケイ素(SiBr)および臭素(Br)等のハロゲン含有ガスを用いることができる。エッチングガスとしては、これらのうち1以上を用いることができる。
【0080】
エッチングガスの供給により、処理室201内等に付着した堆積物(特に、基板支持領域402に面する、インナーチューブ204の内壁、ボート217の基板支持柱400及び上面部408の表面に付着した堆積物)とエッチングガスとが反応して、処理室201から除去される。例えばエッチングガスとしてSiClガスを用いた場合、SiClガスの供給により、処理室201内に付着したAlO膜の少なくとも一部とSiClガスとが反応して、処理室201から除去される。
【0081】
このとき、コントローラ121によりヒータ207を制御して、処理室201内を例えば、200~800℃であって、好ましくは400~650℃の範囲内の所定温度に加熱して、エッチングガスを活性化させる。ここで、断熱部218の上面部408は、熱伝導率の大きい第1材料で形成された板状体409で構成されているため、ヒータ207によって面内において均一に加熱される。これにより、上面部408の表面に付着した堆積物を、効率的に、且つムラなく除去することができる。また、このとき、APCバルブ243を閉じるか、処理に影響を及ぼさない程度に実質的に閉じ、エッチングガスを処理室201内に封じ込める。エッチングガスを封じ込めることにより、上述の反応遅延によるエッチングへの影響を少なくすることができる。そして、処理室201内の圧力を第1の圧力であって、例えば、1~40000Paであって、好ましくは10000~30000Pa、より好ましくは20000~30000Paの範囲内の所定圧力に維持する。MFC341bで制御するエッチングガスの供給流量は、例えば1~10slmであって、好ましくは3~8slmの範囲内の流量とする。エッチングガスを処理室201に供給する時間は、例えば60~600秒間の範囲内の時間とする。
【0082】
(残留ガス除去ステップ)
所定時間、エッチングガスを処理室201に供給した後、バルブ343bを閉じて、エッチングガスの供給を停止する。APCバルブ243を閉じるか、処理に影響を及ぼさない程度に実質的に閉じていた場合は、APCバルブ243を開ける。そして、上述した成膜工程時の残留ガス除去ステップと同様の処理手順により、処理室201内に残留する未反応もしくは膜の除去に寄与した後のエッチングガスを処理室201内から排除する
【0083】
(所定回数実施)
上記したステップを順に行うサイクルを1回以上(所定回数(m回))行うことにより、処理室201内に付着した膜を除去する。上述のサイクルは、複数回繰り返すのが好ましい。
【0084】
(3)作用効果
本開示によれば、断熱部218の上面の少なくとも一部を、断熱部218の他の部分を構成する第2材料よりも熱伝導率の大きい第1材料で構成することにより、断熱部218の側壁部404の上端への熱逃げと、上面の温度低下及び温度ムラの少なくとも一方を抑制することができる。これにより、エッチングガスを用いた堆積膜除去の際に、上面上に堆積した堆積膜の除去効率を向上させ、上面上の堆積膜の残渣に起因するパウダ状のパーティクルを低減させることができる。
【0085】
成膜処理の際に、側壁部404の表面を不活性ガスによりパージすることにより、側壁部404への膜堆積が抑制されるため、実質的に膜堆積が生じるクリーニング対象領域を上端部のみに限定できる。これにより、本実施形態のように熱伝導率の大きい部位を上端部406のみに設けたとしても、パーティクル等の低減の効果を十分に得ることができる。
【0086】
成膜処理の際に、不活性ガスを側壁部404の下端から上端に向けて流すことで、成膜ガスが処理室201の内壁と側壁部404との間の空間に流れ込むことを抑制することができる。
【0087】
上面部408が上端部406の少なくとも中央を含む場合には、最も温度低下が起きやすい中央近傍の表面の温度低下を抑制することができる。
【0088】
上端部406の外縁406Aが第2材料により形成されている場合には、外縁406Aを介した側壁部404への熱逃げによって上面部408の温度低下や温度ムラが発生することを抑制することができる。
【0089】
板状体409は、その下面が断熱部218の内部空間404Bに面するように設けられている場合には、第2材料で形成された支持部406Bと上面部408の下面とが接する面積を減らして、接触面を介して生じる熱逃げを低減することで、上面部408の温度低下や温度ムラが発生することを更に抑制することができる。
【0090】
上記したように、第1材料が炭化シリコン(SiC)であり、第2材料が石英(SiO)であってもよい。例えば実施形態のように、堆積膜としてのAlO膜をエッチングするエッチングガスとしてBClガスを用いる場合、BClガスによるエッチングがされにくいSiCを第1材料として選択することが望ましい。第1材料としては、その他に石英よりも熱伝導率の大きいSiやAlOなどの材料を用いることができる。ただし、堆積膜除去の際に用いられるエッチングガスに応じて、エッチングされない、もしくはエッチングされにくい材料を選択することが望ましい。
【0091】
断熱部218が、側壁部404及び上端部406により囲まれた中空構造である場合には、断熱部218の内部空間404Bのパージを容易かつ効率的に行うことが可能となる。ただし、内部にヒータや断熱体を有していないため、断熱部218上面から断熱体内部空間への熱放射等による熱逃げが生じやすいという課題がある。本開示技術では、特にこのような、断熱部218の内部が中空構造であることに起因する熱逃げによる断熱部218の上面の温度低下や温度ムラを抑制することができる。
【0092】
側壁部404に断熱部218の内部空間404Bに連通する開口404Aが設けられ、成膜工程において、ガス供給管342fから不活性ガスが断熱部218の外周空間に対して供給される場合には、この不活性ガスが断熱部218の側壁部404に設けられた開口404Aを介して内部空間404B内に流入する。これにより、断熱部218の内部空間404Bを不活性ガスによりパージすることができる。また、成膜工程において、不活性ガスが断熱部218の内部空間に対して直接供給されるように構成されている場合(例えば不活性ガスを供給するノズルが内部空間に設けられている場合、等)にも、内部空間404Bを不活性ガスによりパージすることができる。したがって、内部空間404Bに成膜ガスが流入して膜堆積が生じることを抑制することができる。すなわち、堆積膜に起因するパーティクル等の発生をより抑制することができる。
【0093】
基板支持柱400が上面部408に非接触に設けられることで、上面部408から基板支持柱400への熱逃げを低減することができる。
【0094】
成膜ガスが処理室201内に供給されることにより処理室201の内壁、及び断熱部218の上面部408に堆積する膜の熱膨張率は、第2材料の熱膨張率よりも、第1材料の熱膨張率に近いことが好ましい。この場合、上面部408上での堆積膜のクラックが発生しにくくなり、クラックに起因する堆積膜のパウダ状パーティクルの他、堆積膜のクラックに伴って生じる上面部408の表面のクラックに起因する、上面部408を構成する材料のパウダ状パーティクル発生も抑制することができる。
【0095】
(プログラム)
プログラムは、
上記ボート217にウエハ200を支持させるステップと、
ウエハ200を支持した状態のボート217が収容された処理室201内に、成膜ガスを供給するステップと、
ボート217からウエハ200を取り出すステップと、
ウエハ200を支持していない状態のボート217が収容された処理室201内に、エッチングガスを供給するステップと、
をコンピュータによって、基板処理装置に実行させるものである。
このプログラムは、記録媒体に記録されていてもよい。
【0096】
また、上述の態様では、ウエハ200上にAlO膜を形成させて、炉内に堆積されたAlO膜を、エッチングガスを用いてエッチング(除去)する例について説明したが、本開示では、膜種は特に限定されない。また、原料ガス、反応ガス等の成膜工程において用いられるガス種も特に限定されない。
【0097】
これらの各種薄膜の形成に用いられるプロセスレシピ(処理手順や処理条件等が記載されたプログラム)は、基板処理、クリーニング処理等の内容(形成する薄膜の膜種、組成比、膜質、膜厚、処理手順、処理条件等)に応じて、それぞれ個別に用意する(複数用意する)ことが好ましい。そして、基板処理、クリーニング処理等を開始する際、基板処理、クリーニング処理等の内容に応じて、複数のプロセスレシピ、クリーニングレシピ等の中から、適正なプロセスレシピ、クリーニングレシピ等を適宜選択することが好ましい。具体的には、基板処理、クリーニング処理等の内容に応じて個別に用意された複数のプロセスレシピ、クリーニングレシピ等を、電気通信回線や当該プロセスレシピ、クリーニングレシピ等を記録した記録媒体(外部記憶装置123)を介して、基板処理装置が備える記憶装置121c内に予め格納(インストール)しておくことが好ましい。そして、基板処理を開始する際、基板処理装置が備えるCPU121aが、記憶装置121c内に格納された複数のプロセスレシピ、クリーニングレシピ等の中から、基板処理の内容に応じて、適正なプロセスレシピ、クリーニングレシピ等を適宜選択することが好ましい。このように構成することで、1台の基板処理装置で様々な膜種、組成比、膜質、膜厚の薄膜を汎用的に、かつ、再現性よく形成できるようになる。また、オペレータの操作負担(処理手順や処理条件等の入力負担等)を低減でき、操作ミスを回避しつつ、基板処理を迅速に開始できるようになる。
【0098】
また、本開示は、例えば、既存の基板処理装置のプロセスレシピ、クリーニングレシピ等を変更することでも実現できる。プロセスレシピ、クリーニングレシピ等を変更する場合は、本開示に係るプロセスレシピ、クリーニングレシピ等を電気通信回線や当該プロセスレシピ、クリーニングレシピ等を記録した記録媒体を介して既存の基板処理装置にインストールしたり、また、既存の基板処理装置の入出力装置を操作し、そのプロセスレシピ、クリーニングレシピ等自体を本開示に係るプロセスレシピ、クリーニングレシピ等に変更したりすることも可能である。
【0099】
以上、本開示の一態様及び変形例を具体的に説明した。しかしながら、本開示は上述の態様及び変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0100】
10 基板処理装置
200 ウエハ(基板)
201 処理室(処理容器)
203 プロセスチューブ(処理容器)
217 ボート(基板支持具)
218 断熱部
図1
図2
図3
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図5
図6