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特許7515001予測的に較正をスケジュール設定する装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-03
(45)【発行日】2024-07-11
(54)【発明の名称】予測的に較正をスケジュール設定する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01S 3/10 20060101AFI20240704BHJP
   G01J 3/12 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
H01S3/10
G01J3/12
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023501410
(86)(22)【出願日】2021-07-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-06
(86)【国際出願番号】 US2021043552
(87)【国際公開番号】W WO2022039898
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2023-03-01
(31)【優先権主張番号】63/066,888
(32)【優先日】2020-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/151,411
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513192029
【氏名又は名称】サイマー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】モヘビ,モハマド,タギ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ,スペンサー,ライアン
【審査官】百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-033932(JP,A)
【文献】特開2009-009955(JP,A)
【文献】特開2003-214949(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0141471(US,A1)
【文献】特表平10-506185(JP,A)
【文献】特開2011-142187(JP,A)
【文献】特開2019-192756(JP,A)
【文献】国際公開第2020/161865(WO,A1)
【文献】特開2000-114621(JP,A)
【文献】特開2006-324557(JP,A)
【文献】特開2017-195343(JP,A)
【文献】特開2017-191833(JP,A)
【文献】特開2017-092206(JP,A)
【文献】特開2016-206085(JP,A)
【文献】特開2018-006713(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 3/00-3/30
G01J 1/00-11/00
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源における光デバイスに関する較正をスケジュール設定する方法であって、
前記光デバイスが較正されている間、前記光デバイスに関連付けられた特性を受け取ることと、
前記光デバイスの挙動をモデル化する現在の劣化メトリックを少なくとも前記特性に基づいて計算することと、
前記現在の劣化メトリックに基づいて、前記光デバイスの劣化が閾値を超えるであろうときを推定することと、
光デバイス劣化の前記推定に少なくとも部分的に基づいて、前記光デバイスの較正をスケジュール設定することと、を含み、
前記推定に基づいて前記光デバイスの前記較正を前記スケジュール設定することは、前記特性が前記光デバイスの使用量に対して非線形に変化するかどうかを調べることを含み、
前記特性が前記光デバイスの使用量に対して非線形に変化するかどうかを調べることは、前記現在の劣化メトリックにおける信頼度を解析することを含む、方法。
【請求項2】
前記推定に基づいて前記光デバイスの前記較正を前記スケジュール設定することは、前記光デバイスの較正を実施すべきときを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記現在の劣化メトリックを前記計算することは、較正特性に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記光デバイスは、前記光源によって生成された光ビームのスペクトル特徴を測定する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記光デバイスが較正されている間に前記特性を前記受け取ることは、前記光デバイスが較正されている間、前記光源によって生成された光ビームのスペクトル特徴に関連付けられた誤差測定値を受け取ることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
記特性に基づいて前記現在の劣化メトリックを前記計算することは、線形関数であって、以前の劣化メトリックが前記線形関数のスロープである、線形関数に基づいて、前記特性における誤差を推定することを含み、
前記線形関数は、前記光デバイスの使用量の以前の値と、前記特性における前記誤差の累積和と、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記光デバイスの前記較正を前記スケジュール設定した後、スケジュール設定されている次の較正が実施されるときに前記特性を更新することと、前記現在の劣化メトリックを以前の劣化メトリックに割り当てることと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記光デバイスが較正されている間に前記特性を前記受け取ることは、直接測定値から間接値への変換を実施する、前記光デバイスに関連付けられた測定スケールを受け取ることを含み、
前記直接測定値は、前記光デバイスが較正されている間に前記光源によって生成される光ビームに関する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
光源によって生成された光ビームに関する態様を測定する光デバイスを較正する較正装置と通信する予測装置であって、
前記光デバイスが較正されている間、前記光ビームの前記測定された態様に関連付けられた測定された特性を前記光デバイスから受け取るように構成された入力モジュールと、
前記測定された特性を前記入力モジュールから受け取り、前記光デバイスの挙動をモデル化する現在の劣化メトリックを、少なくとも前記測定された特性に基づいて計算し、及び前記現在の劣化メトリックに基づいて、前記光デバイスの劣化が閾値を超えるであろうときを推定するように構成された適応モジュールと、
前記適応モジュールからの前記推定に基づいて前記光デバイスの較正をスケジュール設定し、及び前記スケジュールに基づいて前記光デバイスを較正するように前記較正装置に命令するように構成された出力モジュールと、を備え
前記出力モジュールは、前記推定に基づいて前記光デバイスの前記較正を前記スケジュール設定する際に、前記測定された特性が前記光デバイスの使用量に対して非線形に変化するかどうかを調べ、前記現在の劣化メトリックにおける信頼度を解析するように構成されている、予測装置。
【請求項10】
光源によって生成された光ビームに関する態様を測定する光デバイスを較正する較正装置と、前記較正装置と通信する予測コントローラと、を備える較正システムであって、
前記予測コントローラは、
前記光デバイスが較正されている間、前記光デバイスに関連付けられた特性を前記光デバイスから受け取るように構成された入力モジュールと、
記特性を前記入力モジュールから受け取り、前記光デバイスの挙動をモデル化する現在の劣化メトリックを少なくとも前記特性に基づいて計算し、及び前記現在の劣化メトリックに基づいて、前記光デバイスの劣化が閾値を超えるであろうときを推定するように構成された適応モジュールと、
前記適応モジュールからの前記推定に基づいて前記光デバイスの較正をスケジュール設定し、及び前記スケジュールに基づいて前記光デバイスを較正するように前記較正装置に命令するように構成された出力モジュールと、を有し、
前記出力モジュールは、前記推定に基づいて前記光デバイスの前記較正を前記スケジュール設定する際に、前記特性が前記光デバイスの使用量に対して非線形に変化するかどうかを調べ、前記現在の劣化メトリックにおける信頼度を解析するように構成されている、較正システム。
【請求項11】
前記光デバイスは、測定スケールに基づいて光ビームのエネルギーの推定を提供する、請求項10に記載の較正システム。
【請求項12】
前記較正装置は、
前記光デバイスに導かれる前記光ビームの少なくとも一部分を受け取るパワーメータであって、測定されたパワーを出力するパワーメータと、
前記光源のパルス反復率及び前記パワーメータから出力された前記測定されたパワーに基づいて、前記光ビームのパルスにおけるエネルギーを計算することと、計算されたエネルギーを、前記光デバイスからの前記光ビームの推定されたエネルギーと比較することと、を行うプロセッサと、
を有する、請求項11に記載の較正システム。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記比較に基づいて、前記光デバイスの前記測定スケールにおけるドリフトを推定する、請求項12に記載の較正システム。
【請求項14】
前記劣化メトリックは、前記光デバイスの前記測定スケールの傾向のスロープの局所的線形近似に対応する、請求項11に記載の較正システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2020年8月18日に出願された「PREDICTIVE CALIBRATION SCHEDULING APPARATUS AND METHOD」という名称の米国特許出願第63/066888号及び2021年2月19日に出願された「PREDICTIVE CALIBRATION SCHEDULING APPARATUS AND METHOD」という名称の米国特許出願第63/151,411号に対する優先権を主張し、これらの両方は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 開示される主題は、光源における光デバイスの較正を実施すべきときを予測するための装置に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] フォトリソグラフィで使用されるガス放電用光源の一種は、エキシマ光源又はレーザーと称される。典型的には、エキシマレーザーは、アルゴン、クリプトン又はキセノンを含み得る1つ以上の希ガスと、フッ素又は塩素を含み得る反応性ガスとの組み合わせを使用する。エキシマレーザーは、電気的シミュレーション(エネルギー供給されている)及び(ガス混合物の)高圧の適切な条件下でエキシマ、すなわち擬似分子を形成することができ、エキシマは、エネルギーを与えられた状態でのみ存在する。エネルギーを与えられた状態のエキシマは、紫外線範囲の増幅光を生成する。エキシマ光源は、単一のガス放電チャンバ又は複数のガス放電チャンバを使用することができる。エキシマ光源が稼働しているとき、エキシマ光源は、遠紫外(DUV)光ビームを生成する。DUV光は、例えば、約100ナノメートル(nm)~約400nmの波長を含み得る。
【0004】
[0004] DUV光ビームは、所望のパターンを基板(例えば、シリコンウェハー)の目標部分に適用する機械であるフォトリソグラフィ露光装置又はスキャナに導かれ得る。DUV光ビームは、投影光学システムと相互作用し、投影光学システムは、DUV光ビームを、マスクを通してウェハーのフォトレジスト上に投影する。このようにして、1層以上のチップ設計がフォトレジスト上にパターニングされ、その後、ウェハーは、エッチング及びクリーニングされる。
【発明の概要】
【0005】
[0005] いくつかの一般的な態様では、光源における光デバイスに関する較正をスケジュール設定する方法が実施される。本方法は、光デバイスが較正されている間、光デバイスに関連付けられた特性を受け取ることと、光デバイスの挙動をモデル化する現在の劣化メトリックを少なくとも光デバイス特性に基づいて計算することと、現在の劣化メトリックに基づいて、光デバイスの劣化が閾値を超えるであろうときを推定することと、光デバイスの劣化の推定に少なくとも部分的に基づいて、光デバイスの較正をスケジュール設定することと、を含む。
【0006】
[0006] 実装形態は、以下の特徴の1つ以上を含み得る。例えば、光デバイスの較正は、光デバイスの較正を実施すべきときを決定することによってスケジュール設定され得る。
【0007】
[0007] 現在の劣化メトリックは、較正特性に基づいて計算され得る。
【0008】
[0008] 光デバイスは、光源によって生成された光ビームのスペクトル特徴を測定するように構成され得る。光ビームの測定されたスペクトル特徴は、光ビームの波長であり得る。
【0009】
[0009] 光デバイスが較正されている間、光源によって生成された光ビームのスペクトル特徴に関連付けられた誤差測定値を受け取ることにより、光デバイス特性を受け取ることができる。誤差測定値は、光ビームの測定されたスペクトル特徴と、基準スペクトル特徴と、の間の差である。
【0010】
[0010] 現在の劣化メトリックは、光デバイス特性が光デバイスの使用量の変化に対してどの程度変化するかを推定することによって計算され得る。光デバイスの使用量の変化に対して光デバイス特性がどの程度変化するかを推定することは、光デバイス特性の以前の値及び以前の劣化メトリックに関するデータに基づく誤差を推定することを含み得る。
【0011】
[0011] 現在の劣化メトリックは、光デバイス特性が光デバイスの使用量の変化に対して線形に変化すると想定することによって計算され得る。現在の劣化メトリックは、線形関数であって、以前の劣化メトリックがその線形関数のスロープである、線形関数に基づいて、光デバイス特性における誤差を推定することによって計算され得、線形関数は、光デバイスの使用量の以前の値と、光デバイス特性における誤差の累積和とを含む。現在の劣化メトリックは、光デバイス特性における誤差を推定することによって計算され得る。現在の劣化メトリックは、光デバイス特性がどのような傾向を有しているかを解析することによって計算され得る。
【0012】
[0012] 劣化メトリックは、光デバイスの傾向挙動をモデル化することができる。
【0013】
[0013] 光デバイスの較正は、光デバイスの使用量に対して光デバイス特性が非線形に変化するかどうかを調べることによってスケジュール設定され得る。光デバイス特性が光デバイスの使用量に対して非線形に変化するかどうかを調べることは、現在の劣化メトリックにおける信頼度を解析することを含む。
【0014】
[0014] 光デバイスの劣化が閾値を超えるであろうときを推定することは、光デバイスに関連付けられた光デバイス特性における誤差が閾値を超えるであろうときを推定することを含み得る。推定に基づいて光デバイスの較正をスケジュール設定することは、較正を必要とする前に許容可能であろう光デバイスの追加的な使用量を推定することを含み得る。
【0015】
[0015] 本方法は、光デバイスの較正をスケジュール設定した後、スケジュール設定されている次の較正が実施されるとき、光デバイスに関連付けられた光デバイス特性を更新することと、現在の劣化メトリックを以前の劣化メトリックに割り当てることとを含み得る。
【0016】
[0016] 劣化メトリックは、光デバイス特性のスロープの局所的線形近似に対応し得る。
【0017】
[0017] 光デバイスは、光源によって生成された光ビームのエネルギー推定するように構成され得る。直接測定値から間接値への変換を実施する、光デバイスに関連付けられた測定スケールを受け取ることにより、光デバイスが較正されている間に光デバイス特性を受け取ることができ、直接測定値は、光デバイスが較正されている間に光源によって生成される光ビームに関する。光デバイス特性におけるドリフトがドリフト閾値を超えるであろうときを推定することにより、光デバイスの劣化が閾値を超えることを推定し得る。間接値に関連付けられた誤差閾値に基づいてドリフト閾値を計算することにより、光デバイス特性におけるドリフトがドリフト閾値を超えることを推定し得る。
【0018】
[0018] 他の一般的な態様では、較正システムは、光源によって生成された光ビームに関する態様を測定するように構成される光デバイスを較正するように構成される較正装置と、較正装置と通信する予測コントローラと、を含む。予測コントローラは、入力モジュール、適応モジュール及び出力モジュールを含む。入力モジュールは、光デバイス較正されている間、光ビームの測定された態様に関連付けられた測定された特性を光デバイスから受け取るように構成される。適応モジュールは、測定された特性を入力モジュールから受け取り、光デバイスの挙動をモデル化する現在の劣化メトリックを、少なくとも測定された特性に基づいて計算し、及び現在の劣化メトリックに基づいて、光デバイスの劣化が閾値を超えるであろうときを推定するように構成される。出力モジュールは、適応モジュールからの推定に基づいて光デバイスの較正をスケジュール設定し、及びスケジュールに基づいて光デバイスを較正するように較正装置に命令するように構成される。
【0019】
[0019] 実装形態は、以下の特徴の1つ以上を含み得る。例えば、光デバイスに関連付けられた測定された特性は、光源によって生成された光ビームのスペクトル特徴の測定値を含む。
【0020】
[0020] 較正装置は、既知のエネルギー遷移を有する光学遷移プロファイルを有する較正材料を含み得る。光デバイスは、光源によって生成された光ビームのスペクトルプロファイルを感知するように構成されるスペクトル解析モジュールを含み得、較正装置は、較正材料を使用してスペクトル解析モジュールを較正するように構成され得る。光デバイスの劣化の推定は、スペクトル解析モジュールの較正におけるドリフトの指標であり得る。較正装置が光デバイスを較正するように構成されることは、スペクトル解析モジュールの1つ以上の動作パラメータを調整することを含み得る。
【0021】
[0021] 劣化メトリックは、測定された特性の傾向のスロープの局所的線形近似に対応し得る。
【0022】
[0022] 他の一般的な態様では、予測装置は、光源によって生成された光ビームに関する態様を測定するように構成される光デバイスを較正するように構成される較正装置と通信する。予測装置は、光デバイスが較正されている間、光ビームの測定された態様に関連付けられた測定された特性を光デバイスから受け取るように構成される入力モジュールと、測定された特性を入力モジュールから受け取り、光デバイスの挙動をモデル化する現在の劣化メトリックを、少なくとも測定された特性に基づいて計算し、現在の劣化メトリックに基づいて、光デバイスの劣化が閾値を超えるであろうときを推定するように構成される適応モジュールと、適応モジュールからの推定に基づいて光デバイスの較正をスケジュール設定し、及びスケジュールに基づいて光デバイスを較正するように較正装置に命令するように構成される出力モジュールと、を含む。
【0023】
[0023] 他の一般的な態様では、較正システムは、光源によって生成された光ビームに関する態様を測定するように構成される光デバイスを較正するように構成される較正装置と、較正装置と通信する予測コントローラと、を含む。予測コントローラは、光デバイスが較正されている間、光デバイスに関連付けられた特性を光デバイスから受け取るように構成される入力モジュールと、光デバイス特性を入力モジュールから受け取り、光デバイスの挙動をモデル化する現在の劣化メトリックを少なくとも光デバイス特性に基づいて計算し、及び現在の劣化メトリックに基づいて、光デバイスの劣化が閾値を超えるであろうときを推定するように構成される適応モジュールと、適応モジュールからの推定に基づいて光デバイスの較正をスケジュール設定し、及びスケジュールに基づいて光デバイスを較正するように較正装置に命令するように構成される出力モジュールと、を含む。
【0024】
[0024] 実装形態は、以下の特徴の1つ以上を含み得る。例えば、光デバイスは、測定スケールに基づいて光ビームのエネルギーの推定を提供するように構成され得る。光デバイス特性は、測定スケールを含み得る。測定スケールは、光ビームの特性の直接測定値から光ビームのエネルギーの間接値への変換を可能にし得る。
【0025】
[0025] 較正装置は、光デバイスに導かれる光ビームの少なくとも一部分を受け取るパワーメータであって、測定されたパワーを出力するパワーメータと、プロセッサと、を含み得る。プロセッサは、光源のパルス反復率及びパワーメータから出力された測定されたパワーに基づいて、光ビームのパルスにおけるエネルギーを計算し、及び正確に計算されたエネルギーを、光デバイスからの光ビームの推定されたエネルギーと比較するように構成される。プロセッサは、比較に基づいて、光デバイスの測定スケールにおけるドリフトを推定するように構成され得る。較正装置が光デバイスを較正するように構成されることは、比較に基づいて光デバイスの測定スケールを調整することを含み得る。光デバイスの劣化は、光デバイスの測定スケールにおけるドリフトの推定によって示され得る。劣化メトリックは、光デバイスの測定スケールの傾向のスロープの局所的線形近似に対応し得る。
【0026】
[0026] 他の一般的な態様では、較正装置と通信する予測装置は、光源によって生成された光ビームに関する態様を測定するように構成される光デバイスを較正するように構成される。予測装置は、光デバイスが較正されている間、光デバイスに関連付けられた特性を光デバイスから受け取るように構成される入力モジュールと、光デバイス特性を入力モジュールから受け取り、光デバイスの挙動をモデル化する現在の劣化メトリックを少なくとも光デバイス特性に基づいて計算し、及び現在の劣化メトリックに基づいて、光デバイスの劣化が閾値を超えるであろうときを推定するように構成される適応モジュールと、適応モジュールからの推定に基づいて光デバイスの較正をスケジュール設定し、及びスケジュールに基づいて光デバイスを較正するように較正装置に命令するように構成される出力モジュールと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】[0027]光デバイス、光ビームを生成する光源並びに較正装置及び予測コントローラを含む較正システムのブロック図である。
図2】[0028]較正装置と、入力モジュール、適応モジュール及び出力モジュールを含む予測コントローラの実装形態と、を含む図1の較正システムの実装形態のブロック図である。
図3】[0029]光分離装置を含み、図1の光源によって生成された光ビームのスペクトル特徴を感知するように構成されるスペクトル解析モジュールである、図1の光デバイスの実装形態のブロック図である。
図4】[0030]図3の光学分離装置の実装形態を含む、図3のスペクトル解析モジュールの実装形態のブロック図である。
図5】[0031]光デバイス、光源及び図1の較正システムの実装形態のブロック図であり、較正システムの実装形態は、予測コントローラ及び図1の較正装置の実装形態を含む。
図6】[0032]検出器と、較正材料を保持するセルと、を含む図5の較正装置の実装形態である。
図7】[0033]図1の較正システム又は図5の較正システムの実装形態によって実施される、図1の光デバイスに関する較正をスケジュール設定するための手順のフローチャートである。
図8A】[0034]第1の光源に関連付けられた第1のスペクトル解析モジュールの光路長の挙動を第1のスペクトル解析モジュールの使用量に対して示す第1のグラフと、第1の光源とは別個で異なる第2の光源に関連付けられた、第1のスペクトル解析モジュールとは別個で異なる第2のスペクトル解析モジュールの光路長の挙動を第2のスペクトル解析モジュールの使用量に対して示す第2のグラフと、を示す。
図8B】[0035]図8Aの第1のスペクトル解析モジュールで測定された特性の累積和の挙動を、図8Aの第1のスペクトル解析モジュールの同じ使用量に対して示す第1のグラフと、図8Aの第2のスペクトル解析モジュールで測定された特性の累積和の挙動を、図8Aの第2のスペクトル解析モジュールの同じ使用量に対して示す第2のグラフと、を示す。
図9】[0036]図7の手順の作業を、図3のスペクトル解析モジュールの累積和の値として、使用量の局所的ウィンドウにおけるスペクトル解析モジュールの使用量に対して示すグラフである。
図10】[0037]図7の手順を使用して、光デバイスに関する較正をスケジュール設定した後に実施される手順のフローチャートである。
図11】[0038]フォトリソグラフィ露光装置に導かれる光ビームを生成する照明システム、図1の光デバイス及び図1の較正システムを含むフォトリソグラフィシステムである。
図12】[0039]図1の光デバイス及び較正システムの実装形態のブロック図である。
図13】[0040]図12の光デバイス及び較正システムを使用して、任意選択で図1及び図5の光デバイス及び較正システムを使用して較正をスケジュール設定するための手順のフローチャートである。
図14】[0041]図13の手順の作業、特に図12の光デバイスの測定スケールの値を、使用量の局所的ウィンドウにおける図12の光デバイスの使用量に対して示すグラフである。
図15】[0042]図13の手順を使用して、図12の光デバイスに関する較正をスケジュール設定した後に実施される手順のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[0043] 図1を参照すると、光デバイス105に対して較正システム100が配置されている。光デバイス105は、光源102によって生成される光ビーム101に関する態様L105を測定又は感知するように構成され、光ビーム101は、出力デバイス104に提供され、それにより使用される。光ビーム101に関する測定又は感知された態様L105は、光源102、出力デバイス104又は光源102及び出力デバイス104の1つ以上に関連付けられた制御装置に提供され得る。光デバイス105は、診断用光ビーム103を受け取る。診断用光ビームは、光ビーム101であり得るか、又は光ビーム101から分割された光ビーム101の一部分であり得る。
【0029】
[0044] 動作中、様々な望ましくない効果のため、光デバイス105が使用されるにつれて、光デバイス105によって実施される測定の精度が劣化する可能性がある。例えば、光デバイス105は、光ビーム101の光スペクトルのスペクトル特徴(例えば、中心波長)を測定するために、診断用光ビーム103が光デバイス105内で経験する光路長に依存し得る。測定された態様L105は、この測定されたスペクトル特徴に対応し得る。光路長は、診断用光ビーム103がたどる、光デバイス105を通る経路の幾何学的長さだけでなく、診断用光ビーム103が伝搬する媒体の屈折率にも関係する。使用量に伴い、光デバイス105内の光路長が変化する可能性があり、これらの変化は、屈折率及び幾何学的経路長の1つ以上の変化に起因し得る。診断用光ビーム103が経験する光路長の変化により、光デバイス105によって実施される診断用光ビーム103のスペクトル特徴の測定において誤差が生じる。その結果、光ビーム101のスペクトル特徴及び光スペクトルを制御することが困難になる。出力デバイス104は、このような制御を必要とする場合がある。
【0030】
[0045] 光デバイス105によって実施される測定の精度を維持するために、光デバイス105は、適切に較正されなければならない。この目的のため、較正システム100は、光デバイス105を較正するように構成される較正装置110を含む。較正中、光デバイス105の1つ以上の動作パラメータは、使用に起因する、光デバイス105におけるこの劣化を補償するように調整される。光デバイス105の較正は、数秒又は1分以上を要する可能性がある。例えば、較正は、1分、2分又は更に5分を要する可能性がある。更に、較正中、光ビーム101は、出力デバイス104による使用において利用可能ではない。したがって、出力デバイス104の動作時間は、較正を実施するために停止される。
【0031】
[0046] これまで、較正装置110は、光デバイス105の使用量の予め設定された値のみに基づいて、光デバイス105の較正を開始していた。例えば、光源102が光ビーム101のパルスを生成するパルス光源である場合、光デバイス105の使用量は、光ビーム101のパルスの総数、したがって光デバイス105によって感知される診断用光ビーム103のパルスの総数により決定することができる。したがって、従来の較正システムでは、較正装置110は、光ビーム101のX個のパルスごとに較正を実施することができた。場合により、Xの値は、数億程度であり得た。例えば、いくつかの光源102では、較正装置は、光デバイス105の較正を光ビーム101の3億個のパルスごとに実施することになる。
【0032】
[0047] 光デバイス105の使用量の予め構成される値又は予め決定された値のみに基づいて較正を開始することは、較正が不必要なときに光デバイス105の較正を実施すること又は較正が必要なときに光デバイス105の較正を実施しないことにつながり得る。光デバイス105の不必要な較正を実施することは、出力デバイス104にとって過剰で不必要なダウンタイムを意味する。これに対して、較正が必要なときに光デバイス105の較正を実施しないことは、光ビーム101が、出力デバイス104によって必要とされる仕様から逸脱して動作している可能性があることを意味する。
【0033】
[0048] したがって、較正システム100は、較正装置110及び光デバイス105と通信する予測コントローラ130を含む。予測コントローラ130は、光デバイス105の較正を、較正が必要なときにスケジュール設定し、較正が不要なときにスケジュール設定しないように構成される。更に、予測コントローラ130は、光デバイス105の使用量の予め設定された値のみに基づくことなく、光デバイス105の動作中に較正スケジュールを決定する。予測コントローラ130は、光デバイス105の以前の又は過去の性能に基づいて、較正するかどうか及び較正すべきときに関して決定する。予測コントローラ130は、光デバイス105の較正間において及び光源102の動作中にリアルタイムで、光デバイス105のその後の又は次の較正をスケジュール設定すべきときを決定する。
【0034】
[0049] 図面では、2つの要素を接続する実線は、データ(例えば、情報及び/又は指令信号)が流れ得るデータ経路を示す。データは、無線接続又は有線接続を介して流れ得る。したがって、予測コントローラ130、較正装置110及び光デバイス105間を流れるデータ又はこれらの構成要素のそれぞれの中を流れるデータは、無線接続又は配線接続を介することができる。更に、点線は、光が伝搬できる光路を示す。
【0035】
[0050] この目的のため、図2を更に参照すると、予測コントローラ130は、入力モジュール232、適応モジュール234及び出力モジュール236を含む。更なる実装形態では、予測コントローラ130は、メモリ238を含み得るか又はメモリ238にアクセスすることができる。測定された特性が入力モジュール232で受け取られるたびに、メモリ238は、測定された特性の値を保存するように構成され得る。メモリ238は、出力モジュール236からの較正スケジュールを伴う出力命令、光デバイス105からの他の情報又は更に適応モジュール234からの劣化メトリックを保存するように構成され得、そのような情報は、動作中、予測コントローラ130による様々な使用のために利用可能である。メモリ238は、読み出し専用メモリ及び/又はランダムアクセスメモリであり得、コンピュータプログラムの命令及びデータを有形に具体化するのに好適な記憶装置を提供することができる。
【0036】
[0051] 入力モジュール232は、光デバイス105と通信し、光デバイス105の以前の又は過去の性能に関する情報を受け取る。一般には、以下で更に詳細に論じるように、入力モジュール232は、診断用光ビーム103の測定された態様に関連付けられた測定された特性を光デバイス105から受け取るように構成される。適応モジュール234は、測定された特性を入力モジュール232から受け取り、測定された特性に基づいて、光デバイス105の劣化が閾値を超えるであろうときを推定するように構成される。加えて、適応モジュール234は、光デバイス105の劣化が閾値を超えるであろうときを、現在の測定された特性だけでなく、以前の測定された特性にも基づいて推定することができる。例えば、適応モジュール234は、光デバイス105の劣化が閾値を超えるであろうときを、現在の測定された特性と、全て又はいくつかの以前の測定された特性との累積和に基づいて推定することができ、このような累積和は、メモリ238に保存される。出力モジュール236は、適応モジュール234からの推定に基づいて光デバイス105の較正をスケジュール設定するように構成される。
【0037】
[0052] 予測コントローラ130は、1つ以上のプログラマブルプロセッサを含むか又はそれへのアクセスを有し得、それぞれは、命令のプログラムを実行して、測定された特性を光デバイス105から受け取り、較正スケジュールを含む、較正装置110への出力命令を生成することを含む所望の機能を実施することができる。予測コントローラ130(及びモジュール232、234、236のいずれか1つ)は、デジタル電子回路、コンピュータハードウェア、ファームウェア又はソフトウェアのいずれかで実装することができる。較正装置110は、1つ以上の入力装置及び1つ以上の出力デバイスも含み得る。
【0038】
[0053] 図3を参照すると、いくつかの実装形態では、光デバイス105は、スペクトル解析モジュール305である。スペクトル解析モジュール305は、光学分離装置342及びセンサ344を含む。他の実装形態では、スペクトル解析モジュール305は、図示されない他の構成要素、例えば1つ以上のディフューザ、ウィンドウ及び反射型又は屈折型光学部品を含む。光学分離装置342の実装形態を、図4を参照して以下で説明する。
【0039】
[0054] 図3の例では、スペクトル解析モジュール305に関連付けられた測定された特性は、光源102によって生成された診断用光ビーム103のスペクトル特徴の測定値を含む。スペクトル解析モジュール305は、診断用光ビーム103のスペクトルプロファイル308を感知し、解析することにより、診断用光ビーム103のスペクトル特徴を感知するように構成される。光スペクトルとも称されるスペクトルプロファイル308は、診断用光ビーム103の波長(又は周波数)の関数としての診断用光ビーム103(及び光ビーム101)のスペクトル形状又は強度スペクトルである。したがって、スペクトルプロファイル308は、光ビーム101又は103の光エネルギー又はパワーが様々な波長(又は周波数)にわたってどのように分布するかという情報を含む。
【0040】
[0055] 診断用光ビーム103は、スペクトル解析モジュール305のアパーチャ341を通して光学分離装置342に導かれる。診断用光ビーム103は、光学分離装置342内の光路長により画定される光路に沿って進む。光学分離装置342は、診断用光ビーム103と相互作用し、診断用光ビーム103のスペクトル成分に対応する複数の空間成分306を出力する。スペクトル成分は、光ビーム103のスペクトルプロファイル308内に存在する。動作時、スペクトル解析モジュール305は、光ビーム103の波長を変化させ、特定の波長範囲にわたってスキャンすることにより、スペクトルプロファイル308を生成することができる。
【0041】
[0056] スペクトル成分は、スペクトル強度303iとして示される、光ビーム103の光エネルギー又はパワーの値が様々な波長303wにわたってどのように分布するかに対応する。空間成分306は、二次元空間にマッピングされたスペクトル強度303iの値に対応する。このようにして、光学分離装置342は、光ビーム103のスペクトル情報、例えば波長を、センサ344により感知又は検出することができる空間情報に変換する。変換は、スペクトル情報がセンサ344により観察することができるように、スペクトル情報を空間における異なる位置にマッピングする。光学分離装置342の伝送が干渉縞パターン307で示され、これがスペクトルプロファイル308を生成する。
【0042】
[0057] センサ344は、出力された空間成分306を受け取り、感知する。センサは、その感知領域の活性領域を概ね示す平面により画定することができる。感知領域の平面は、空間成分306の伝搬方向に対して垂直であり得る。センサ344は、出力された空間成分306を受け取り、感知する検出器であり得る。例えば、一次元に沿って測定するために使用することができる好適な検出器の一種は、線形フォトダイオードアレイである。線形フォトダイオードアレイは、1つのパッケージ内に等間隔で線形配置において形成された同一サイズの複数の要素からなる。フォトダイオードアレイは、光ビーム103の波長に敏感であり、光ビーム103が深紫外線範囲の波長を有する場合、フォトダイオードアレイは、深紫外線範囲の波長を有する光に敏感である。別の例として、センサ344は、二次元センサ、例えば二次元電荷結合素子(CCD)又は二次元相補型金属酸化物半導体(CMOS)センサであり得る。センサ344は、十分に高速な速度、例えば約6kHzでデータを読み取ることが可能である。
【0043】
[0058] センサ344の出力は、制御モジュール350に接続され、制御モジュール350は、空間成分306の特性を測定し、測定された特性を解析して光ビーム103のスペクトル特徴の推定値を計算する。上で論じたように、診断用光ビーム103及び光ビーム101のスペクトル特徴の推定値は、光源102、出力デバイス104又は光源102及び出力デバイス104の1つ以上に関連付けられた制御装置に提供される。制御モジュール350は、データ接続部を通してセンサ344に接続することができ、更に光源102及び/又は出力デバイス104と通信することができる。制御モジュール350は、光ビーム103の各パルス又は光ビームのパルスの組に対して測定、解析及び計算を実施することができる。制御モジュール350は、較正システム100の較正装置110及び予測コントローラ130(図1及び図2)に接続することもできる。制御モジュール350は、光ビーム103の測定された特性(測定された特性の解析を含む)のデータを、データ接続部を通して較正装置110及び予測コントローラ130に送ることができる。
【0044】
[0059] 図3の例では、スペクトル特性の計算された推定値は、光ビーム103の波長λ305である。推定された波長λ305は、光ビーム103のスペクトルプロファイル308の中心波長309に対応し得るか又はそれに基づき得る。動作中、スペクトル解析モジュール305の光学分離装置342は、中心波長309を含むスペクトルプロファイル308の態様を感知又は測定する。光ビーム103の推定された波長λ305の値は、この測定された中心波長309に基づき得、中心波長309は、センサ344により感知された空間成分306に関する測定値及び光学分離装置342の光路長の較正されたモデルに依存する。例えば、中心波長309は、空間成分306において見えるリングの直径及び光学分離装置342の光路長に依存する。使用量に伴い、すなわちスペクトル解析モジュール305の動作中、光学分離装置342内の光路長は、屈折率及び幾何学的経路長の1つ以上の変化に起因して変化し得る。診断用光ビーム103のスペクトル特徴の測定値は、光学分離装置342の光路長の精密なモデルに依存するため、診断用光ビーム103が経験する光路長の変化により、スペクトル解析モジュール305によって実施される、診断用光ビーム103のスペクトルプロファイル308の中心波長309を含むスペクトル特徴の測定において誤差が生じる。
【0045】
[0060] 図2も参照すると、較正システム100は、動作中にスペクトル解析モジュール305と通信してスペクトル解析モジュール305を較正することができ、それにより使用に起因するスペクトル解析モジュール305の劣化を補償することができる。具体的には、較正装置110は、スペクトル解析モジュール305の1つ以上の動作パラメータを調整することにより、スペクトル解析モジュール305(すなわち図3の例における光デバイス)を較正する。例えば、較正装置110は、スペクトル解析モジュール305のソフトウェアパラメータ、制御パラメータ及び物理的パラメータのいずれか1つ以上を調整することができる。いくつかの実装形態では、較正装置110は、スペクトル解析モジュール305内の制御モジュール350が診断用光ビーム103の波長λ305を推定するために使用する光路長のモデルを修正又は更新することにより、スペクトル解析モジュール305を較正する。
【0046】
[0061] 予測コントローラ130は、スペクトル解析モジュール305の較正をスケジュール設定する。したがって、予測コントローラ130は、(出力モジュール236を介して)スペクトル解析モジュール305の次の又は以降の較正を実施するかどうか及び実施すべきときに関する命令を較正装置110に送る。予測コントローラ130は、較正が必要であるときを決定し、更に較正が不必要であるときを決定する。
【0047】
[0062] 図4を参照すると、スペクトル解析モジュール305の実装形態405は、光学分離装置442及びセンサ444を含む。光学分離装置442は、光学分離装置342(図3)の実装形態であり、センサ444は、センサ344(図3)の実装形態である。図示する実装形態では、光学分離装置442は、入力レンズ461、エタロン462である光学的周波数分離装置及び出力レンズ463を含む。他の実装形態では、他の構成が用いられる。スペクトル解析モジュール405のアパーチャ441は、診断用光ビーム103を入力するための機構を提供する。アパーチャ441は、入力レンズ461の焦点面に配置することができる。入力レンズ461の焦点面にスペクトル解析モジュール440のアパーチャ441を配置することにより、焦点面からの各ポイントが点光源として機能し、それに応じて、入力レンズ461は、エタロン462に入る前に診断用光ビーム103をコリメートするように機能する。出力レンズ463は、出力レンズ463の焦点面がセンサ444の活性領域と重なり合うように、エタロン462の出口に配置される。
【0048】
[0063] エタロン462は、部分反射性のガラス又は光学平板462A、462Bの対を含み、これらは、反射面が互いに面して、短い距離(例えば、数ミリメートル~数センチメートル)だけ間隔を空けることができる。他の実装形態では、エタロン462は、2つの平行な反射面を有する単一のプレートを含む。平板462A、462Bは、背面が干渉縞を生じさせることを防止するためにウェッジ形状に作製することができる。背面は、反射防止コーティングも有し得る。対になった平板462A、462Bを光ビーム103が通過するとき、光ビーム103が多重反射され、複数の透過光線が生成され、透過光線が出力レンズ463により集光され、センサ444の活性領域に至る。スペクトル解析モジュール405は、センサ444が出力レンズ463の焦点面に存在することを確実にするために、出力レンズ463とセンサ444との間に光リレーを含み得る。
【0049】
[0064] エタロン462は、光ビーム103と相互作用し、光ビーム103のスペクトル成分に対応する複数の空間成分(例えば、図3の空間成分306)を出力する。エタロン462は、光ビーム103の波長を含むスペクトル情報を、センサ444により感知又は検出することができる空間情報に変換する。エタロン462によって生成される空間成分は、同心リング(例えば、空間成分306)の組として現れる干渉パターンである。アパーチャ441上の光ビーム103の強度分布がより同一である場合、干渉パターンは、より均一な強度分布を含む。具体的には、リングの鮮明度は、エタロン462の平板462A、462Bの反射率に依存する。したがって、平板462A、462Bの反射率が高く、光ビーム103がモノクロの光ビームである場合、エタロン462は、暗い背景に対して狭く明るいリングの組を生成する。波長の関数としてのエタロン462の透過は、光ビーム103のスペクトルプロファイル(例えば、図3のスペクトルプロファイル308)を生成する干渉縞パターン(例えば、図3の干渉縞パターン307)である。
【0050】
[0065] センサ444は、出力された空間成分を受け取り、感知する。制御モジュール350は、感知された空間成分をセンサ444から受け取り、受け取ったデータを測定及び/又は解析する。制御モジュール350は、測定及び/又は解析データ(例えば、推定された波長λ305)を較正システム100(図1)に送る。較正システム100は、スケジュール設定された時間にスペクトル解析モジュール405を較正し、この測定及び/又は解析データに少なくとも部分的に基づいてスペクトル解析モジュール405の次の又は以降の較正を予測する。較正システムは、スペクトル解析モジュール305のソフトウェアパラメータ、制御パラメータ及び物理的パラメータなどの1つ以上の動作パラメータを調整することにより、スペクトル解析モジュール405を較正することができる。一例として、エタロン462の光路長のモデルを調整することができる。別の例として、エタロン462の各平板462A、462Bの位置を調整して、エタロン462内の光ビーム103の光路長を調整することができる。このようにして、較正システム100は、スペクトル解析モジュール405における診断用光ビーム103が経験する光路長を修正する。更に、較正システム100は、次の又は以降の較正も予測するため(それにより従来方法と比較して実施される較正の数が減るため)、スペクトル解析モジュール405に対して実施される較正が少なくなることから、スペクトル解析モジュール405が動作し得る継続時間が増加する。
【0051】
[0066] 図5を参照すると、較正システム100の実装形態500は、予測コントローラ130(図1)及び較正装置110(図1)の実装形態510を含む。光デバイス105(図1)は、較正システム500に対して配置され、光デバイス105が光源102から診断用光ビーム103を受け取るときに通過するアパーチャ541oを含む。較正装置510は、アパーチャ541c、較正材料512、少なくとも1つの検出器514及び較正制御モジュール516を含む。較正材料512は、既知のエネルギー遷移を有する光学遷移プロファイルを有する既知の較正材料である。他の実装形態では、較正装置510は、図5に示すよりも多くの構成要素を含み得る。較正制御モジュール516は、1つ以上のデータ接続部552を介して検出器514、光デバイス105及び予測コントローラ130と通信し、データ接続部の各々は、有線又は無線であり得る。
【0052】
[0067] 較正装置510は、診断用光ビーム103を、アパーチャ541cを介して光源102から受け取る。診断用光ビーム103は、較正材料512と相互作用して、材料512のエネルギー遷移の遷移(例えば、吸収)プロファイル515を生成し、検出器514がこの遷移プロファイル515を検出する。遷移プロファイル515は、診断用光ビーム103と材料512との間の相互作用に関連付けられた特徴と、診断用光ビーム103の波長との関係を示す。したがって、遷移プロファイル515は、診断用光ビーム103の波長に対する(検出器514で測定される)特徴のグラフとして示される。遷移プロファイル515を検出するために、診断用光ビーム103の波長は、エネルギー遷移全体にわたってスキャンされる。
【0053】
[0068] 較正材料512は、診断用光ビーム103(更に光ビーム101)の波長範囲と一致する既知のエネルギー遷移を有する任意の材料で作製することができる。したがって、光ビーム103が深紫外線範囲(DUV)の波長を有する場合、材料512が選択され、既知のエネルギー遷移は、同じDUV範囲内に存在するように選択される。光ビーム101及び診断用光ビーム103がDUV範囲内の波長を有するいくつかの実装形態では、材料512は、193.4ナノメートル(nm)のピーク吸収値λrefを有する既知の遷移を有するプラチナである。材料512内でモニタされる既知のエネルギー遷移は、電子遷移、振動遷移又は回転遷移であり得る。これらのエネルギー遷移は、材料512内の粒子(例えば、原子又は分子)が、エネルギー準位と呼ばれるエネルギーの特定の離散値をとるという事実に起因する。用語「エネルギー準位」は、原子核の電界によって束縛されている原子、イオン又は分子における電子のエネルギー準位について使用される。代わりに、用語「エネルギー準位」は、原子核のエネルギー準位又は分子における振動若しくは回転エネルギー準位を指し得る。
【0054】
[0069] 材料512は、蒸気セル又は筐体内にあり得る。いくつかの実装形態では、材料512は、放出プラズマとして生成され、材料512の放電プラズマと光ビーム103との間の共鳴現象を利用するオプトガルバニックセンサであるレーザーガルバトロンの一部である。これは、図6を参照して次に更に詳細に論じる。
【0055】
[0070] 図6を参照すると、較正装置510の実装形態610は、アパーチャ641、較正材料612を保持するセル618及び検出器614を含む。光ビーム103は、アパーチャ641を通して較正装置510内に導かれる。セル618は、剛性であり、及び化学的に不活性な物質で作製された壁611により画定され、閉じられており、それにより較正材料612が収納及び保持される空洞を画定する。壁611の物質は、材料612又は光ビーム103と相互作用しない。更に、セル618は、少なくとも、診断用光ビーム103が通過できる入力ウィンドウ611i及び出力ウィンドウ611oを含む。セル618は、壁611により画定される空洞内に材料612を収容するために外部環境から封止されている(壁611の設計により)。検出器614は、診断用光ビーム103が材料612を通して導かれるとき及び診断用光ビーム103の波長が既知のエネルギー遷移全体にわたってスキャンされている間、材料612と診断用光ビーム103との間の相互作用に関連付けられた特徴を検出するように構成される。
【0056】
[0071] いくつかの実装形態では、較正装置610は、光学分光学の原理を使用して動作する。これらの実装形態では、検出器614は、材料612を通過した診断用光ビーム103の強度を測定する光学検出器、例えばフォトダイオード検出器又は光電子増倍管である。この測定値は、遷移プロファイル515(図5)に対応する。
【0057】
[0072] 他の実装形態では、較正装置610は、ガルバトロンとして動作し得、ガルバトロンでは、材料612は、ガスであるか又は材料612から作られたプラズマ放電(電極から生成された)であり、セル618内に配置されている。いくつかの実装形態では、オプトガルバニック分光法を使用することができる。オプトガルバニック分光法では、光ビーム103が、ガス放電における励起原子又は分子についての許容される遷移の周波数にわたってチューニングされるにつれて、(材料612である)ガス放電を通過する電流が検出器614によりモニタされる。光ビーム103が、例えば、原子又は分子を低い状態からより高い励起状態に共鳴励起させるとき、原子又は分子は、束縛がより弱い状態に励起され、それにより原子又は分子が放電衝突によりイオン化されて放電電流の増加に寄与するであろう確率が増加する。放電電流の小さい変化は、検出器614により高感度で検出することができる。光ビーム103と材料612との間の相互作用に関連付けられた特徴を検出するために使用することができる他の分光法とは対照的に、オプトガルバニック分光法は、原子遷移スペクトルを得るための光学検出器(例えば、光電子増倍管又はフォトダイオード検出器)を必要とせず、なぜなら、ガス放電が共鳴光検出器として機能するからである。
【0058】
[0073] 図5を再度参照すると、較正装置510は、較正材料512を使用して光デバイス510を較正する。具体的には、光デバイス105を較正するために、光源102は、較正材料512のエネルギー遷移全体にわたって光ビーム101(したがって光ビーム101から形成される診断用光ビーム103)の波長をスキャンし、検出器514は、遷移プロファイル515を検出する。光ビーム101の波長がスキャンされるにつれて、(図3のスペクトル解析モジュール305であり得る)光デバイス105は、診断用光ビーム103の波長を測定する。一例として、スペクトル解析モジュール305は、図3に示すように、光ビーム103のスペクトルプロファイル308の中心波長309を測定する。加えて、光ビーム101の波長が光源102によりスキャンされるにつれて、スペクトル解析モジュール305は、(中心波長309に基づいて)診断用光ビーム103の推定された波長λ305を較正制御モジュール516に出力する。上で論じたように、スペクトル解析モジュール305は、センサ344により感知された空間成分306に関する測定値及び光学分離装置342の光路長の較正されたモデルに基づいて、光ビーム101の波長λ305を推定する。更に、光ビーム101の波長が光源102によりスキャンされるにつれて、検出器514は、診断用光ビーム103の測定された特徴を較正制御モジュール516に出力する。具体的には、検出器514は、遷移プロファイル515を較正制御モジュール516に出力する。
【0059】
[0074] 較正制御モジュール516は、遷移プロファイル515がピーク値(又は既知のエネルギー遷移)λrefにある瞬間を決定する。較正制御モジュール516は、遷移プロファイル515がピーク値λrefにあると較正制御モジュール516が判定した時点で、スペクトル解析モジュール305から出力された光ビーム103の波長λ305pを比較する。換言すれば、波長λ305pは、遷移プロファイル515がピーク値λrefにあると較正制御モジュール516が判定した時点で、スペクトル解析モジュール305内の制御モジュール350(図3)により計算され、制御モジュール350から出力される波長である。較正制御モジュール516は、波長λ305pがピーク値λrefに等しいと決定するまで、スペクトル解析モジュール305の1つ以上の動作パラメータを調整する。これらの2つの値(λ305p及びλref)が等しくなると、スペクトル解析モジュール305は、較正されている。
【0060】
[0075] 一般に、これらの2つの値(すなわちλref及びλ305p)が互いに等しいか又は互いの許容可能な範囲内にある場合、スペクトル解析モジュール305は、診断用光ビーム103の波長λ305の正確な測定値を出力している。しかしながら、これらの2つの値(λref及びλ305p)が等しくなく、及び互いの許容可能な範囲内にない場合、スペクトル解析モジュール305の精度が許容可能ではないことを意味する。2つの値(λref及びλ305p)が各々の許容可能な範囲内にない状態にスペクトル解析モジュール305が入る前に、較正が実施されなければならない。これに対して、2つの値λref及びλ305pの値が等しいか又は極めて近い場合、較正は、不必要となる。
【0061】
[0076] 許容可能な範囲は、絶対波長誤差を定量化し、λrefとλ305pとの間の絶対差Δλにより定義することができる。具体的には、許容可能な範囲は、動作中に許容されるであろう絶対波長誤差Δλの上側の値又は最大値であり得る。換言すれば、例えば2つの値、すなわちλrefとλ305pとの絶対差Δλが0.2pm未満、0.3pm未満又は0.4pm未満である場合、2つの値、すなわちλref及びλ305pは、各々の許容可能な範囲内にある。したがって、それまで絶対波長差Δλが実質的に0.2pm未満であったとしても、較正装置510は、較正を実施した可能性がある。例えば、それまで絶対波長差Δλが0.007pm未満であった状況でも、較正装置510は、不必要な較正を実施した可能性がある。しかし、そのような状況では、較正装置510は、較正を実施する必要がないであろう。したがって、既存の状況では、多くの不必要な較正をあり、これがシステムのダウンタイムを増加させ、システムの稼働率を低下させる。これに対して、これらの2つの値λref及びλ305p間の絶対差Δλが限界(0.2pm、0.3pm又は0.4pm)に近いが、限界を超えない場合、較正装置510は、スペクトル解析モジュール305に較正を実施していなければならない。
【0062】
[0077] 較正装置510によって実施されるスペクトル解析モジュール305の較正は、実施して完了するのに数分を要する可能性がある。例えば、較正は、実施して完了するのに1~5分を要する可能性がある。スペクトル解析モジュール305の較正中、出力デバイス104は、必要な仕様の範囲内で光ビーム101を受け取っておらず、したがって出力デバイス104は、動作していない。較正に起因する、出力デバイス104の動作におけるこのダウンタイムは、出力デバイス104の出力及び生産量を減らす。この理由から、次に論じるように、較正システム100及び予測コントローラ130は、較正が不必要なときではなく、較正が必要なときに光デバイス105及びスペクトル解析モジュール305の較正をスケジュール設定するための手順を実施する。予測コントローラ130は、最後の数個(例えば、3個、4個、5個又はより多く)の較正からのデータを見て、2つの値(λref及びλ305p)が将来的に各々の許容可能な範囲から外れることになるときを予測し、したがって次の較正が行われなければならないときを予測して、スペクトル解析モジュール305が許容可能な精度で動作し、絶対差Δλが許容可能な範囲を超える状況を回避することを確実にする。図7を参照すると、光デバイス104に関する較正をスケジュール設定するために手順770が実施される。手順770は、較正システム100(図1及び2)又は較正システム500(図5)によって実施される。
【0063】
[0078] 手順770は、光デバイス105が較正されている間、光デバイス105に関連付けられた測定された特性を受け取ることを含む(772)。光デバイス105に関連付けられた測定された特性は、予測コントローラ130(図2)の入力モジュール232が受け取ることができる。いくつかの実装形態では、較正制御モジュール516は、測定された特性を予測コントローラ130の入力モジュール232に提供する。一例では、較正制御モジュール516は、誤差測定値又は波長誤差、すなわち診断用光ビーム103の測定された波長λ305pと、較正装置510における材料512の既知のエネルギー遷移に関連付けられた基準中心波長λrefとの間の差である絶対差Δλを提供する。誤差測定値は、式1により与えられる。
Δλ=λ305p-λref 式(1)
λrefは、較正材料512の既知のエネルギー遷移の基準波長であり、λ305pは、光源102が、基準波長λrefを有する光ビーム101を出力したときにスペクトル解析モジュール305から出力される診断用光ビーム103の波長の推定値である。波長誤差Δλは、スペクトル解析モジュール305内の1つ以上のパラメータが使用に起因して変化するとき、スペクトル解析モジュール305の精度がどの程度ドリフトするかを定量化する。スペクトル解析モジュール305が較正されている間、較正制御モジュール516は、波長誤差Δλを計算することができ、予測コントローラ130の入力モジュール232は、制御モジュール516から波長誤差Δλを受け取る。
【0064】
[0079] 次に、図7を再び参照すると、少なくとも測定された特性に基づいて、現在の劣化メトリックαが計算される(774)。例えば、予測コントローラ130の適応モジュール234は、測定された特性を入力モジュール232から受け取り、適応モジュール234は、少なくとも測定された特性(本例では波長誤差Δλ)に基づいて、現在の劣化メトリックαを計算する。劣化メトリックαは、光デバイス105の挙動をモデル化する。具体的には、適応モジュール234は、測定された特性が光デバイス105の使用量の変化に対してどの程度変化するかを推定することができる。換言すれば、光デバイス105が光源102の動作中に長期間にわたって使用されるにつれて、測定された特性は、値が変化する可能性がある。一例では、図3及び図4を参照すると、スペクトル解析モジュール305内の光ビーム103の光路長は、較正システム500の動作中に生じる屈折率及び幾何学的経路長のいずれか1つ以上の変化に起因して変化し、それによりスペクトル解析モジュール305による波長λ305の測定値において誤差が生じる可能性がある。波長誤差Δλにおいて現れるこの測定誤差は、測定された特性の値に変化を生じさせ、この測定誤差は、適応モジュール234により劣化メトリックとしてモデル化することができる。
【0065】
[0080] 劣化メトリックαは、現在の波長誤差Δλに、制御モジュール516から出力された1つ以上の波長誤差Δλpを加えた累積和Σに基づき得る。現在の劣化メトリックαは、測定された特性の傾向のスロープの局所的線形近似に対応し得る。例えば、傾向は、線形傾向又は非線形傾向であり得る。スロープの局所的線形近似は、スロープが正又は負である場合、それぞれ正又は負であり得る。このように、測定された特性は、光デバイス105の使用量の変更に対して線形に変化すると想定される。特に、現在の波長誤差Δλと、制御モジュール516から出力される1つ以上の波長誤差Δλpとの累積和Σは、波長誤差Δλの傾向に関する情報を提供する。
【0066】
[0081] 次に、予測コントローラ130は、現在の劣化メトリックα(i)に基づいて、光デバイス105の劣化が所定の閾値MaxErrを超えるであろうときを推定する(776)。ここで、iは、スペクトル解析モジュール305で実施される直近の(及び現在の)較正イベントに対応する。したがって、i-1は、較正イベントiの直前に生じた、スペクトル解析モジュール305で実施された較正イベントであり、i+1は、予測コントローラ130によりスケジュール設定されることになる次の較正イベントである。予測コントローラ130の適応モジュール234は、(774からの)計算された現在の劣化メトリックαに基づいて解析を実施し、光デバイス105の精度が容認できなくなるであろうときを推定する。予測コントローラ130は、光デバイス105の劣化の推定に少なくとも部分的に基づいて、光デバイス105の較正をスケジュール設定する(778)。例えば、適応モジュール234は、(776からの)劣化推定に基づいて較正をスケジュール設定し、このスケジュール設定されたイベントを出力モジュール236に提供することができる。適応モジュール234は、光デバイス105の劣化が閾値MaxErrを超えるまで、光ビーム101の何個のパルスが生成され得るか、UsePredict(i+1)を推定する。この推定は、以下の式で表現することができる。
【数1】
【0067】
[0082] 述べたように、ステップ774において、適応モジュールは、光デバイス105の挙動をモデル化する劣化メトリックαを計算する。この推定は、現在の劣化メトリックαが、測定された特性の傾向のスロープの局所的線形近似に対応するという想定に依存する。測定された特性の傾向の局所的挙動が線形でない場合、計算された劣化メトリックαは、測定された特性の傾向の局所的挙動を適切に捕捉しない場合がある。この場合、適応モジュール234は、それが光デバイス105の挙動のモデルの信頼性を考慮するように、それが光デバイス105の較正をどのようにスケジュール設定するかを調整することができる。手順770のステップに関する詳細が例を参照して次に論じられる。
【0068】
[0083] 図8Aを参照すると、グラフ856_1、856_2は、対応する光源802_1、802_2に関連付けられた対応する別個のスペクトル解析モジュール805_1、805_2の光路長PLの挙動をそのスペクトル解析モジュール805_1、805_2の使用量855uに対して示す。グラフ856_1、856_2の各データポイントは、スペクトル解析モジュール805_1又は805_2が較正装置110により較正される較正イベントに対応する。直近及び現在の較正イベントは、iとラベル付けされ、直近の1つ前の較正イベントは、i-1であり、将来の又は計画されている次の較正イベントは、i+1である。スペクトル解析モジュール805_1、805_2の使用量855uは、光源802_1、802_2によって生成された光ビーム801_1、801_2のパルス数及び更に対応するスペクトル解析モジュール805_1、805_2により解析された診断用光ビーム803_1、803_2のパルス数に対応し得る。これらのグラフ856_1、856_2から明らかなように、スペクトル解析モジュール805_1、805_2の光路長PLは、使用量に伴ってドリフトする。更に、光路長PLは、連続的に及び滑らかにドリフトする傾向がある。これらの例では、このドリフトは、光ビーム801_1、801_2の多数のパルスにわたってゆっくりと生じる。特に、グラフ856_1、856_2に示す使用量のスケールΔuは、光ビーム801_1、801_2の数百万個又は何十億個程度のパルスである。
【0069】
[0084] スペクトル解析モジュール805_1の光路長PLの挙動は、使用量855uに伴って低下し、横ばいになる傾向があり、その挙動は、グラフ856_1に示す使用量の期間において変曲点を欠いている。これは、スペクトル解析モジュール805_1の光路長PLが一方向に変化する傾向があることを意味する。これに対して、スペクトル解析モジュール805_2の光路長PLの挙動は、グラフ856_2に示す使用量の期間中に初期的に低下し、次いで変曲点PL_IPを通り、その後、上昇している。これは、スペクトル解析モジュール805_2の光路長PLが使用量855uの異なる瞬間において2つの方向に変化していることを意味する。
【0070】
[0085] グラフ856_1及び856_2の形の非線形性は、それぞれのスペクトル解析モジュール805_1、805_2の特性の変化によって生じる可能性がある。例えば、スペクトル解析モジュール405は、有機材料の酸化を受ける可能性があり、これは、モジュール405内での屈折率を変化させる可能性があり、これは、エタロン内の光路長に影響を及ぼす可能性がある。グラフ856_2が変曲点PL_IPを有するスペクトル解析モジュール805_2について、下向きのPL軌道は、「ゲッターフェーズ」を反映する場合があり、その間、モジュール805_2における有機材料を酸素が酸化させて、ガスインデックスが減少している。また、連続的なメタノールのアウトガスにより、酸素が消費されると、エタロンの空洞上に有機物質が堆積され始め、これがPL軌道を逆転させて、軌道が上昇し始める。
【0071】
[0086] 図8Bを参照すると、グラフ850_1、850_2は、対応するスペクトル解析モジュール805_1、805_2に関する測定された特性の対応する累積和Σ855pの挙動を、使用量855uに対して、グラフ856_1、856_2が生成されている同じ使用量855uにわたって示す。上記のように、グラフ850_1、850_2の各データポイントは、スペクトル解析モジュール805_1又は805_2が較正装置110により較正される較正イベントに対応する。直近及び現在の較正イベントは、iとラベル付けされ、直近の1つ前の較正イベントは、i-1であり、将来の又は計画されている次の較正イベントは、i+1である。グラフ850_1、850_2は、グラフ856_1、856_2のように、連続的に及び滑らかにドリフトする。更に、ドリフトは、光ビーム801_1、801_2の多数のパルスにわたってゆっくりと生じる。グラフ850_1の傾向は、グラフ856_1の傾向に形状が類似しているが、反転したものであり、グラフ850_2の傾向は、グラフ856_2の傾向に形状が類似しているが、反転したものである。
【0072】
[0087] グラフ850_1/850_2に示す挙動は、対応するグラフ856_1/856_2に示す挙動に関連するため、測定された特性の累積和Σ855pの形状及び傾向は、光路長PLにおけるドリフトを理解するために使用することができる。また、光路長PLのドリフトは、スペクトル解析モジュール805_1、805_2の劣化に直接関連するため、測定された特性の累積和Σ855pに基づいてスペクトル解析モジュール805_1、805_2の劣化を予測することが可能である。これは、有用であり、なぜなら、(例えば、手順770のステップ774において)スペクトル解析モジュール305の劣化のモデルを開発するために、測定された特性の累積和Σ855pは、単位変換を必要とせず、更にスペクトル解析モジュール305の性能のより直観的な理解を提供するからである。特に、測定された特性の累積和Σ855pにおける2つのデータポイントの各々の差は、それら2つのポイント間で較正が実施されなかった場合に経験し得る波長誤差がどの程度であるかを示す。
【0073】
[0088] スペクトル解析モジュール805_1の光路長PLの挙動と同様に、スペクトル解析モジュール805_1の測定された特性の累積和Σ855pは、使用量855uに伴って上昇し、次いで横ばいになる傾向があり、グラフ850_1に示す使用量の期間において変曲点を欠いている。これは、スペクトル解析モジュール805_1の測定された特性の累積和Σ855pが使用中に一方向に変化する傾向があることを意味する。スペクトル解析モジュール805_1の測定された特性の累積和Σ855pの挙動は、小さい使用量ウィンドウにおいて、例えばある較正イベントから隣接する較正イベントまで観察した場合、使用中に常に線形近似することができる。
【0074】
[0089] これに対して、スペクトル解析モジュール805_2の測定された特性の累積和Σ855pは、初期的に上昇し、次いで変曲点Σ_IPを通り、その後、低下する。これは、スペクトル解析モジュール805_2の測定された特性の累積和Σ855pが使用量855uの異なる瞬間において2つの方向に変化していることを意味する。スペクトル解析モジュール805_2の測定された特性の累積和Σ855pの挙動は、変曲点Σ_IPに近くない特定の小さい使用量ウィンドウで観察した場合、線形で近似することができ、小さい使用量ウィンドウは、ある較正イベントから隣接する較正イベントまでを含む。スペクトル解析モジュール805_2の測定された特性の累積和Σ855pは、変曲点Σ_IPに近いか又はそれと重なり合う特定の小さい使用量ウィンドウで観察した場合、非線形で近似される必要があり得、小さい使用量ウィンドウは、ある較正イベントから隣接する較正イベントまでを含む。
【0075】
[0090] 図9を参照すると、手順770の動作を示すために、スペクトル解析モジュール305の累積和Σの値が使用量の局所的ウィンドウ950Wにおける使用量955uに対して示される。この図では、現在の及び直近の較正イベントは、iであり、使用量Uiで生じている。更に、i-1は、較正イベントiの直前に生じた、スペクトル解析モジュール305で実施された較正イベントであり、i+1は、予測コントローラ130によりスケジュール設定されることになる次の較正イベントである。現在の劣化メトリックα(i)は、使用量Uiで生じる現在の及び直近の較正イベントを境界とする小さい使用量ウィンドウにおける累積和Σのスロープの推定値を提供する。現在の劣化メトリックα(i)は、直角三角形の斜辺を形成し、そのとき、値(i)からのこの小さい使用量ウィンドウにおいて累積和Σが線形に変化すると想定している。グラフ形式で表現すると、使用量UsePredict(i+1)は、最後の較正イベントiにおける累積和Σ955pの値から、斜辺を、計算されたスロープα(i)に沿って所定の閾値MaxErrに対応する使用量だけ延長して、直角三角形を形成することにより推定される。
【0076】
[0091] 次に、測定された特性(ステップ774)に基づいて現在の劣化メトリックα(i)を計算するための適応的方法が記載される。以下の議論では、測定された特性は、以前の波長誤差Δλ(i-1)であり、これは、(以前の較正イベントi-1でスペクトル解析モジュール305から出力された)診断用光ビーム103の測定された波長λ305p(i-1)と、較正装置510における材料512の既知のエネルギー遷移に関連付けられる基準中心波長λrefとの間の差に対応する。累積和Σの最後の値は、Σ(i-1)で与えられ、これは、以前の波長誤差を、波長誤差Δλ(i-1)を含めて、この値まで合計したものに対応する。
【0077】
[0092] スペクトル解析モジュール305が最初に開始され、最初の較正がi=1に対応する場合など、適応的方法の初期化において以下の値が設定される:α(1)=0;EstErr(1)=0;Σ(1)=Δλ(1);EstΣ(1)=Σ(1);及びMaxErr=0.1pm。MaxErrは、例えば、顧客からの所望の要件の二分の一となるように設定することができ、したがって所望の要件の値の二分の一の安全マージンが可能になる。EstErrは、現在の較正イベントiについて実施されている適応的方法の信頼性の指標である。Estは、現在の較正イベントiについての累積波長誤差の推定値である。各繰り返しと、現在の及び直近の較正イベントiとについて、推定された累積波長誤差Est(i)は、式3により与えられる。
EstΣ(i)=Σ(i-1)+α(i-1)*U(i) 式(3)
次に、現在の及び直近の較正イベントiについての信頼性推定値EstErr(i)の値は、式4により与えられる。
EstErr(i)=Σ(i)-EstΣ(i) 式(4)
式中、Σ(i)は、以前の波長誤差を、現在の波長誤差Δλ(i)を含めて、この値まで合計したものに対応する。信頼性推定値EstErr(i)は、局所的線形近似がどの程度信頼できるかに関する指標を提供し、したがって、この信頼性推定値EstErr(i)は、累積和Σの局所的傾向が線形で近似することができるかどうか、又は累積和Σの線形近似が(変曲点Σ_IP(図8B)のように)不適切であるかどうかに関する指標を提供し得る。現在の劣化メトリックα(i)は、この信頼性推定値に基づいて以下のように計算される(774)。
α(i)=α(i-1)+ηEstErr(i) 式(5)
式中、ηは、低域フィルタの利得として機能する定数である。定数ηは、0<η<1となるように選択することができ、設定可能なパラメータであり得る。
【0078】
[0093] 上で論じたように、適応モジュール234は、例えば、どの程度の数の光ビーム101のパルスを生成することができるかを最初に推定することにより、この劣化メトリックα(i)(778)に基づいて較正をスケジュール設定する。上記の式によるUsePredict1(i+1)(776)は、次に、式6として再生成される。
【数2】
UsePredict1(i+1)のための値が推定されると(776)、次に論じるように、それを使用して次の較正をスケジュール設定することができる(778)。
【0079】
[0094] いくつかの実装形態では、次の較正は、UsePredict1(i+1)の実際の値に基づいてスケジュール設定される(778)。すなわち、次の較正は、UsePredict1(i+1)において決定されたパルス数で生じるようにスケジュール設定される。
【0080】
[0095] 他の実装形態では、次の較正のスケジュール設定(778)は、UsePredict1(i+1)の値だけでなく、信頼性推定値EstErr(i)も考慮する。例えば、UsePredict2(i+1)の第2の値は、信頼性推定値EstErr(i)と、距離(波長)を単位にして与えられる1つ以上の閾値Thr(例えば、Thr1、Thr2、Thr3、Thr4)とを比較することにより決定することができる。閾値Thrのための値は、設定可能であり、修正され得る。一例では、Thr1=0.4pm、Thr2=0.2pm、Thr3=0.01及びThr4=0.005である。EstErr(i)の絶対値>Thr1である場合、UsePredict2(i+1)=UseValue1であり、これは、光ビーム101の3億個のパルスであり得る。Thr2<EstErr(i)の絶対値<Thr1である場合、UsePredict2(i+1)=UseValue2であり、これは、光ビーム101の6億個のパルスであり得る。Thr3<EstErr(i)の絶対値<Thr2である場合、UsePredict2(i+1)=UseValue3であり、これは、光ビーム101の12億個のパルスであり得る。一般に、Thr(n-1)<EstErr(i)の絶対値<Thr(n)であり、nが1、2、3、4又はそれを上回る場合、UsePredict2(i+1)=UseValue(n)であり、これは、300×2であり得る。次の較正は、UsePredict1(i+1)とUsePredict2(i+1)との間の最小値を決定することによりスケジュール設定される。
【0081】
[0096] このようにして、出力モジュール236は、スペクトル解析モジュール305の次の又は以降の較正を実施すべきときを決定する。出力モジュール236は、このスケジュールに基づいてスペクトル解析モジュール305を較正するように較正装置510に命令することができる。このように、予測コントローラ130は、スペクトル解析モジュール305の次の較正が有利にスケジュール設定されていなければならないときを決定し、較正が必要である場合、較正装置510と通信してスペクトル解析モジュール305を較正する。更に、スペクトル解析モジュール305が較正される必要がない場合、スペクトル解析モジュール305は、較正されず、それによりスペクトル解析モジュール305が稼働不能である(較正中である)時間を減少させる。
【0082】
[0097] 図10も参照すると、手順770のステップ778において、(スペクトル解析モジュール305であり得る)光デバイス105の較正をスケジュール設定した後、手順1071が実施される。スペクトル解析モジュール305の次の較正がスケジュール設定された(778)後、予測コントローラ130の出力モジュール236は、次の較正を実施すべきときに関する命令を較正装置510に送る(1073)。更に、現在の劣化メトリックα(i)は、以前の劣化メトリックα(i-1)に割り当てられ、上で論じた適応的方法における他の変数は、同様に更新することができる(1077)。次いで、この次の較正に関連付けられた現在の劣化メトリックα(i)は、例えば、手順770を用いて、更新されたメトリックとして計算することができる。
【0083】
[0098] 図11を参照すると、フォトリソグラフィシステム1180は、光ビーム1101を生成する照明システム1102を含み、光ビーム1101は、名目上、中心波長にある波長を有し、ビーム導入及びビーム変更光学部品を含み得るビーム準備システム1183により、フォトリソグラフィ露光装置又はスキャナ1104に導かれる。照明システム1102は、光源102の実装形態であり、露光装置1104は、光デバイス104(図1)の実装形態である。フォトリソグラフィシステム1180は、光デバイス105及び光デバイス105に対して配置される較正システム100も含む。光デバイス105は、診断用光ビーム103を受け取る。診断用光ビームは、ビームスプリッタ1182により光ビーム101から分割された光ビーム101の一部分である。
【0084】
[0099] 光ビーム1101は、光源1184によって生成され、露光装置1104内のウェハー1186に導かれ、それによりマイクロ電子フィーチャがウェハー1186上にパターニングされる。光ビーム1101は、深紫外線(DUV)範囲、例えば約248ナノメートル(nm)又は約193nmの波長を有する。ウェハー1186上にパターニングされるマイクロ電子フィーチャのサイズは、光ビーム1101の波長に依存し、波長がより短いと、より小さい最小サイズが得られる。光ビーム1101の波長が248nm又は193nmである場合、マイクロ電子フィーチャの最小サイズは、例えば、50nm以下であり得る。
【0085】
[0100] 様々な外乱(例えば、気温勾配、気圧勾配、光学的歪み)が光源1184及び光ビーム1101に作用して、光ビーム1101のスペクトル特性又は特徴(例えば、波長)が変更される。したがって、リソグラフィシステム1180は、例えば、スペクトル特徴選択システム1181、光ビーム1101に関する態様(例えば、波長)を測定するように構成される光デバイス105及び制御システム1188などの他の構成要素を含み、これらを組み合わせて使用して、光ビーム1101への外乱の影響を決定し、光ビーム1101への外乱の影響を補正する。
【0086】
[0101] いくつかの実装形態では、光源1184は、(レーザービームであり得る)パルス光ビーム1101を出力するエキシマ光源である。パルス光ビーム1101がフォトリソグラフィ露光装置1104に入ると、投影光学システム1185を通して導かれ、ウェハー1186上に投影されて、ウェハー1186上のフォトレジスト上に1つ以上のマイクロ電子フィーチャが形成される。フォトリソグラフィ露光装置1104は、照明システム1102の制御システム1188と通信することができるコントローラ1187も含む。
【0087】
[0102] 図示する実装形態では、光源1184は、シード光ビームをパワー増幅器(PA)1184PAに供給する主発振器(MO)1184MOを含む2ステージシステムである。MO 1184MO及びPA 1184PAは、光源1184のサブシステム又は光源1184の一部であるシステムと見なすことができる。パワー増幅器1184PAは、主発振器1184MOからシード光ビームを受け取り、シード光ビームを増幅して、フォトリソグラフィ露光装置1104で使用するための光ビーム1101を生成する。例えば、主発振器1184MOは、1パルス当たり約1ミリジュール(mJ)のシードパルスエネルギーを有するパルスシード光ビームを放出することができ、これらのシードパルスは、パワー増幅器1184PAにより約10~15mJに増幅することができる。
【0088】
[0103] 主発振器1184MOは、(励起機構を構成する)2つの細長い電極と、ガス混合物である利得媒体と、電極間でガスを循環させるためのファンとを有するMO放電チャンバを含む。共振器は、主発振器1184MOの一方の側にあるスペクトル特徴選択システム1181と、放電チャンバ主発振器1184MOの第2の側にある出力カプラとの間に形成される。パワー増幅器1184PAは、主発振器1184MOからシード光ビームを受け取り、シード光ビームを、PA放電チャンバを通してビーム回転光学要素に導くビーム結合光学システムを含み、ビーム回転光学要素は、シード光ビームがPA放電チャンバ内に送り返されるように、シード光ビームの方向を変更するか又は変化させる。PA放電チャンバは、細長い電極の対と、ガス混合物である利得媒体と、電極間でガス混合物を循環させるためのファンとを含む。
【0089】
[0104] それぞれの放電チャンバ内で使用される利得媒体のガス混合物は、出力デバイス(フォトリソグラフィ露光装置1104)での用途に必要な波長及び帯域幅で光ビームを生成させるのに好適な任意のガスであり得る。エキシマ源の場合、ガス混合物は、例えば、アルゴン又はクリプトンなどの希ガス(希ガス)、例えばフッ素又は塩素などのハロゲン並びにバッファガスとしてのヘリウム及び/又はネオン以外の微量のキセノンを含み得る。ガス混合物の具体例としては、約193nmの波長で発光するフッ化アルゴン(ArF)、約248nmの波長で発光するフッ化クリプトン(KrF)又は351nmの波長で発光する塩化キセノン(XeCl)が挙げられる。エキシマ利得媒体(ガス混合物)は、対応する細長い電極に電圧を印加することにより、高電圧放電において短い(例えば、ナノ秒の)電流パルスでポンピングされる。
【0090】
[0105] 光ビーム1101は、パルス光ビームであり、時間的に互いに分離されたパルスの1つ以上のバーストを含み得る。各バーストは、1つ以上の光パルスを含み得る。いくつかの実装形態では、バーストは、数百個のパルス、例えば100~400個のパルスを含む。
【0091】
[0106] 上で論じたように、電極に電圧を印加することによりMO及びPA内の利得媒体がポンピングされる場合、MO又はPAの利得媒体は、光を放出する。電極に電圧がパルス状に印加されると、利得媒体から放出される光もパルス状になる。したがって、パルス光ビーム1101の反復率は、電極に電圧が印加される周波数によって決定され、電圧の印加ごとに光パルスが生成される。光パルスは、利得媒体を通して伝搬し、出力カプラを通してチャンバを出る。したがって、電極に電圧を周期的に繰り返し印加することにより、パルスの列が形成される。パルスの反復率は、約500Hz~6,000Hzの範囲であり得る。いくつかの実装形態では、反復率は、6,000Hzより大きく、例えば12,000Hz以上であり得る。パルス光ビーム1101は、数十ワットの範囲、例えば約50W~約130Wの平均出力パワーを有し得る。出力における光ビーム1101の放射照度(すなわち単位面積当たりの平均パワー)は、60W/cm~80W/cmの範囲であり得る。
【0092】
[0107] 図12を参照すると、いくつかの実装形態では、光デバイス105は、エネルギー解析モジュール1205であり、較正システム100は、エネルギー解析モジュール1205とインターフェースするための較正システム1200として構成される。エネルギー解析モジュール1205は、光源102から診断用光ビーム103を受け取るように構成され、診断用光ビーム103は、主光ビーム101から分割される。エネルギー解析モジュール1205は、光検出器1205Aと、光検出器1205Aと通信する変換モジュール1205Bとを含む。変換モジュール1205Bからの出力は、光ビーム101のエネルギーを制御するために、光源102に関連付けられた又は光源102内にあるエネルギー制御構成要素1206に提供される。
【0093】
[0108] 光検出器1205Aは、電流値又は電圧値を出力するフォトダイオードを含み得、この値は、デジタル値Mに変換される。診断用光ビーム103は、光ビーム101から分割された部分であるため、デジタル値Mは、光ビーム101のエネルギーに比例する。デジタル値Mは、変換モジュール1205Bに出力される。変換モジュール1205Bは、このデジタル値Mをエネルギー値Eに変換し、エネルギー値Eは、主光ビーム101のエネルギーの推定であり、光ビーム101のエネルギーを制御するためにエネルギー制御構成要素1206により使用される。
【0094】
[0109] 較正システム1200は、較正装置110の実装形態1210及び予測コントローラ130の実装形態1230を含む。予測コントローラ1230は、図2の予測コントローラ130のように設計することができる。較正装置1210は、例えば、光パワーメータなどの測定デバイス1214と、光パワーメータ1214と通信する較正制御モジュール1216とを含む。較正装置1210は、予測コントローラ1230、更に光デバイス1205と通信する。較正制御モジュール1216は、パワーメータ1214と同一位置にあるように示されているが、代わりに較正制御モジュール1216が光デバイス1205と同一位置にあること又は光デバイス1205内に組み込まれることも可能である。
【0095】
[0110] パワーメータ1214は、主光ビーム101のパワー(単位時間当たりに伝達されるエネルギー)を直接測定するために配置されたデバイス又は機器である。いくつかの実装形態では、パワーメータ1214は、(パルス反復率が既知である場合に)主光ビーム101の一連のパルスの平均パワーを測定する較正されたセンサを含む。パワーメータ1214は、移動して主光ビーム101の経路に入るか又は経路から出るパワーセンサを含むセンサヘッドを含む。パワーセンサは、主光ビーム101の波長を包含する波長範囲を有するフォトダイオード又は他の好適な光検出器であり得る。更に、パワーメータ1214は、アナログ信号を、主光ビーム101のパワーPmを推定又は測定するデジタル信号に変換するための追加の電子機器も含み得る。測定されたパワーPmは、較正制御モジュール1216に提供される。較正制御モジュール1216は、パワーメータ1214及び光デバイス1205と通信して、以下で詳述するように光デバイス1205の較正を実施する。
【0096】
[0111] 上で論じたように、変換モジュール1205Bは、(光検出器1205Aによる診断用光ビーム103の直接測定値に基づく)デジタル値Mをエネルギー値Eに変換し、エネルギー値Eは、主光ビーム101のエネルギーの間接推定値である。この変換は、以下の式に従って実施することができる。
E=MS+O 式(7)
式中、Sは、測定スケールであり、Oは、オフセットである。測定スケールSは、複数の目的に役立つスケールである。第1に、光検出器1205Aから出力されたデジタル値Mをエネルギー値に変換するために、測定スケールSが使用される。第2に、診断用光ビーム103に関連付けられた値から主光ビーム101に関連付けられた推定値までエネルギー値のスケールを拡大するために、測定スケールSが使用される。上で論じたように、診断用光ビーム103が主光ビーム101の光エネルギーの一部分又は一部であるため、診断用光ビーム103のエネルギーが主光ビーム101のエネルギーより低いことから、測定スケールSが必要である。
【0097】
[0112] 測定スケールSは、経時的にドリフトする可能性がある。それに応じて、光デバイス1205は、センサスケールSにおけるこのドリフトに対処するか又はそれを補償するために、定期的に較正される必要がある。較正中、パワーメータ1214は、主光ビーム101の経路中に配置され、それにより主光ビーム101のパワーPmを測定する。この測定されたパワーPmは、較正制御モジュール1216に提供され、較正制御モジュール1216は、この値を主光ビーム101の反復率で割ることにより、この値をエネルギー値Emに変換する。較正制御モジュール1216は、パワーメータ1214からの測定されたエネルギー値Emと、光デバイス1205からの推定されたエネルギー値Eとを比較して、2つの値が等しくなるように測定スケールSをどのように調整又は修正するかを決定する。較正制御モジュール1216は、測定スケールSが調整された後、最終的な確認ステップを更に実施して、調整が正しいことを確認することができる。
【0098】
[0113] 較正装置1200によって実施される光デバイス1205の較正は、実施して完了するのに数分を要する可能性がある。更に、光デバイス1205の較正中、出力デバイス104は、必要な仕様の範囲内で光ビーム101を受け取っておらず、したがって、出力デバイス104は、動作していない。較正に起因する、出力デバイス104の動作におけるこのダウンタイムは、出力デバイス104の出力及び生産量を減らす。この理由から、次に論じるように、較正システム1200及び予測コントローラ1230は、較正が不必要なときではなく、較正が必要なときに光デバイス1205の較正をスケジュール設定するための手順を実施する。予測コントローラ1230は、最後の数回の較正(例えば、3回、4回、5回又はより多くの較正)からのデータを見て、測定スケールSが将来的に許容可能なドリフト範囲から外れることになるときを予測し、したがって光デバイス1205の次の較正が行われなければならないときを予測して、光デバイス1205が許容可能な精度で動作し、測定スケールSのドリフトが許容可能なドリフト範囲を超える状況を回避することを確実にする。測定スケールSにおける最大許容ドリフトは、MaxErr(S)により与えられる。測定スケールSにおける最大許容ドリフトMaxErr(S)は、エネルギー測定値MaxErr(E)における最大許容誤差から計算することができ、これは主光ビーム101のエネルギーの測定値であり、以下のとおりである。
【数3】
式中、ETは、名目エネルギー値から得ることができるエネルギーターゲットであり、Oは、光検出器1205Aのための測定オフセットである。
【0099】
[0114] 図13を参照すると、光デバイス1205の較正をスケジュール設定するために手順1370が実施される。手順1370は、手順770が手順1370を実行する1つの方法である点で手順770と類似している。手順1370は、較正システム1200によって実施される。論じていないが、手順1370は、較正システム100(図1及び図2)又は較正システム500(図5)によって実施することができる。
【0100】
[0115] 手順1370は、光デバイス1205が較正されている間、光デバイス1205に関連付けられた特性を受け取ることを含む(1372)。光デバイス特性は、予測コントローラ1230(図2及び図12)の入力モジュール232が受け取ることができる。いくつかの実装形態では、較正制御モジュール1216は、光デバイス特性を予測コントローラ1230の入力モジュール232に提供する。他の実装形態では、予測コントローラ1230は、光デバイス1205から直接光デバイス特性にアクセスする。一例では、較正が実施されたことを予測コントローラ1230が検出すると、予測コントローラ1230は、光デバイス1205からの較正に関連付けられたデータ[data(cal)]を要求する。光デバイス1205は、data(cal)を予測コントローラ1230に提供する。data(cal)は、測定スケールS(i)の現在の値、測定オフセットOの値及び光デバイス1205の最後の較正以降に生成された光ビーム101のパルス数[UsePredict(i)]を含む。
【0101】
[0116] 次に、少なくとも光デバイス特性に基づいて、現在の劣化メトリックα(i)が計算される(1374)。例えば、予測コントローラ1230の適応モジュール234は、入力モジュール232から光デバイス特性(測定スケールS(i)を含む)を受け取り、適応モジュール234は、少なくとも光デバイス特性に基づいて現在の劣化メトリックα(i)を計算する。劣化メトリックαは、光デバイス1205の挙動をモデル化する。具体的には、適応モジュール234は、光デバイス特性(測定スケールS)が光デバイス1205の使用量の変化に対してどの程度変化するかを推定することができる。換言すれば、光デバイス1205が光源102の動作中に長期間にわたって使用されるにつれて、光デバイス特性Sは、値が変動(又はドリフト)する可能性がある。Sにおけるこのドリフトは、推定されたエネルギーEの値の変化を生じさせ、このドリフトは、適応モジュール234により劣化メトリックとしてモデル化することができる。
【0102】
[0117] 劣化メトリックαは、測定スケールSの傾向のスロープの局所的線形近似に対応し得る。例えば、傾向は、線形傾向又は非線形傾向であり得る。スロープの局所的線形近似は、スロープが正又は負である場合、それぞれ正又は負であり得る。このように、光デバイス特性は、光デバイス1205の使用量の変更に対して線形に変化すると想定される。
【0103】
[0118] 次に、予測コントローラ1230は、現在の劣化メトリックα(i)に基づいて、光デバイス1205の劣化が所定の閾値MaxErr(S)を超えるであろうときを推定する(1376)。ここで、iは、光デバイス1205で実施される直近の(及び現在の)較正イベントに対応する。したがって、i-1は、較正イベントiの直前に生じた、光デバイス1205で実施された較正イベントであり、i+1は、予測コントローラ1230によりスケジュール設定されることになる次の較正イベントである。予測コントローラ1230の適応モジュール234は、(1374からの)計算された現在の劣化メトリックαに基づいて解析を実施し、光デバイス1205の精度が容認できなくなるであろうときを推定する。予測コントローラ1230は、光デバイス1205の劣化の推定に少なくとも部分的に基づいて、光デバイス1205の較正をスケジュール設定する(1378)。例えば、適応モジュール234は、(1376からの)劣化推定に基づいて較正をスケジュール設定し、このスケジュール設定されたイベントを出力モジュール236に提供することができる。適応モジュール234は、光デバイス1205の劣化が閾値MaxErr(S)を超えるまで、光ビーム101の何個のパルスが生成され得るか、UsePredict(i+1)を推定する。この推定は、以下の式で表現することができる。
【数4】
【0104】
[0119] 述べたように、ステップ1374において、適応モジュールは、光デバイス1205の挙動をモデル化する劣化メトリックαを計算する。この推定は、現在の劣化メトリックαが測定スケールSの傾向のスロープの局所的線形近似に対応するという想定に依存する。測定スケールSの傾向の局所的挙動が線形でない場合、計算された劣化メトリックαは、測定スケールSの傾向の局所的挙動を適切に捕捉しない場合がある。この場合、適応モジュール234は、それが光デバイス1205の挙動のモデルの信頼性を考慮するように、それが光デバイス1205の較正をどのようにスケジュール設定するかを調整することができる。
【0105】
[0120] 図14を参照すると、手順1370の動作を示すために、光デバイス1205の測定スケールSの値が使用量の局所的ウィンドウ1450Wにおける使用量1455uに対して示される。この図では、現在の及び直近の較正イベントは、iであり、使用量Uiで生じている。更に、i-1は、較正イベントiの直前に生じた、光デバイス1205で実施された較正イベントであり、i+1は、予測コントローラ1230によりスケジュール設定されることになる次の較正イベントである。現在の劣化メトリックα(i)は、使用量Uiで生じる現在の及び直近の較正イベントを境界とする小さい使用量ウィンドウにおける測定スケールSのスロープの推定値を提供する。現在の劣化メトリックα(i)は、直角三角形の斜辺を形成し、そのとき、値(i)からのこの小さい使用量ウィンドウにおいて、測定スケールSが線形に変化すると想定している。グラフ形式で表現すると、使用量UsePredict(i+1)は、最後の較正イベントiにおける測定スケールSの値1455pから、斜辺を、計算されたスロープα(i)に沿って所定の閾値MaxErr(S)に対応する使用量だけ延長して、直角三角形を形成することにより推定される。
【0106】
[0121] 次に、光デバイス特性に基づいて現在の劣化メトリックα(i)を計算するための適応的方法(ステップ1374)が記載される。以下の議論では、光デバイス特性は、測定スケールSである。測定スケールSの最後の値は、S(i-1)によって与えられる。
【0107】
[0122] スペクトル解析モジュール305が最初に開始され、最初の較正がi=1に対応する場合など、適応的方法の初期化において劣化メトリックの値が以下のように設定される。
【数5】
式中、U(1)は、使用量の初期値である。EstErrは、現在の較正イベントiについて実施されている適応的方法の信頼性の指標である。Estは、現在の較正イベントiについての測定スケールSの推定値である。各繰り返しと、現在の及び直近の較正イベントiとについて、推定された測定スケールEstS(i)は、式11により与えられる。
EstS(i)=S(i-1)+α(i-1)×U(i) 式(11)
次に、現在の及び直近の較正イベントiについての信頼性推定値EstErr(i)の値は、式12により与えられる。
EstErr(i)=S(i)-EstS(i) 式(12)
式中、S(i)は、現在の測定スケールSに対応する。信頼性推定値EstErr(i)は、局所的線形近似がどの程度信頼できるかに関する指標を提供し、したがって、この信頼性推定値EstErr(i)は、測定スケールSの局所的傾向が線形で近似することができるかどうか、又は測定スケールSの線形近似が(変曲点の近くのように)不適切であるかどうかに関する指標を提供する。現在の劣化メトリックα(i)は、この信頼性推定値に基づいて以下のように計算される(1374)。
α(i)=α(i-1)+ηEstErr(i) 式(13)
式中、ηは、低域フィルタの利得として機能する定数である。定数ηは、任意の実数となるように選択することができ、設定可能なパラメータであり得る。
【0108】
[0123] 上で論じたように、適応モジュール234は、例えば、どの程度の数の光ビーム101のパルスを生成することができるかを最初に推定することにより、この劣化メトリックα(i)に基づいて較正をスケジュール設定する(1378)。上記の式によるUsePredict1(i+1)(1376)は、次に、式14として再生成される。
【数6】
UsePredict1(i+1)のための値が推定されると(1376)、次に論じるように、それを使用して次の較正をスケジュール設定することができる(1378)。
【0109】
[0124] いくつかの実装形態では、次の較正は、UsePredict1(i+1)の実際の値に基づいてスケジュール設定される(1378)。すなわち、次の較正は、UsePredict1(i+1)において決定されたパルス数で生じるようにスケジュール設定される。
【0110】
[0125] 他の実装形態では、次の較正のスケジュール設定(1378)は、UsePredict1(i+1)の値だけでなく、信頼性推定値EstErr(i)も考慮する。例えば、UsePredict2(i+1)の第2の値は、信頼性推定値EstErr(i)と、絶対エネルギー誤差を単位として(パーセントで)与えられる1つ以上の閾値Thr(例えば、Thr1、Thr2、Thr3、Thr4)とを比較することにより決定することができる。閾値Thrのための値は、設定可能であり、修正され得る。一例では、Thr1=2.1%、Thr2=1.4%、Thr3=0.93%及びThr4=0.6%である。
【0111】
[0126] UsePredict2(i+1)の第2の値は、EstErr(i)の値に基づく減少関数である。具体的な一実装形態では、EstErr(i)の絶対値>Thr1である場合、UsePredict2(i+1)=UseValue1であり、これは、光ビーム101の5億個のパルスであり得る。Thr2<EstErr(i)の絶対値<Thr1である場合、UsePredict2(i+1)=UseValue2であり、これは、光ビーム101の10億個のパルスであり得る。Thr(3)<EstErr(i)の絶対値<Thr(2)である場合、UsePredict3(i+1)=UseValue3であり、これは、光ビーム101の20億個のパルスであり得る。Thr(4)<EstErr(i)の絶対値<Thr(3)である場合、UsePredict4(i+1)=UseValue4であり、これは、光ビーム101の40億個のパルスであり得る。Thr(5)<EstErr(i)の絶対値<Thr(4)である場合、UsePredict5(i+1)=UseValue5であり、これは、光ビーム101の60億個のパルスであり得る。次の較正は、UsePredict1(i+1)とUsePredict2(i+1)との間の最小値を決定することによりスケジュール設定される。
【0112】
[0127] このようにして、出力モジュール236は、光デバイス1205の次の又は以降の較正を実施すべきときを決定する。出力モジュール236は、このスケジュールに基づいて光デバイス1205を較正するように較正装置1210に命令することができる。このように、予測コントローラ1230は、光デバイス1205の次の較正が有利にスケジュール設定されていなければならないときを決定し、較正が必要である場合、較正装置1210と通信して光デバイス1205を較正する。更に、光デバイス1205が較正される必要がない場合、光デバイス1205は、較正されず、それにより光デバイス1205が稼働不能である(較正中である)時間が減少する。
【0113】
[0128] 図15も参照すると、手順1370のステップ1378において、光デバイス1205の較正をスケジュール設定した後、手順1571が実施される。光デバイス1205の次の較正がスケジュール設定された(1378)後、予測コントローラ1230の出力モジュール236は、次の較正を実施すべきときに関する命令を較正装置1210に送る(1573)。更に、現在の劣化メトリックα(i)は、以前の劣化メトリックα(i-1)に割り当てられ、上で論じた適応的方法における他の変数は、同様に更新することができる(1577)。次いで、この次の較正に関連付けられた現在の劣化メトリックα(i)は、例えば、手順1370を用いて、更新されたメトリックとして計算することができる。
【0114】
[0129] 他の実装形態では、較正システム1200内の構成要素のいくつかを、上述した他の較正システムの構成要素のいくつかに組み込むことができる。例えば、構成要素のいくつかは、エネルギー解析モジュール1205と共に使用するために専用であり、構成要素の他のものは、スペクトル解析モジュール305などの光デバイスと共に使用するために専用である。
【0115】
[0130] 他の実装形態では、較正装置1210は、パワーメータ1214の代わりに光エネルギーメータを含み得、光エネルギーメータは、光ビーム101のパルスの実際のエネルギーを測定する。
【0116】
[0131] 実装形態及び/又は実施形態は、以下の条項を使用して更に説明され得る。
1.光源における光デバイスに関する較正をスケジュール設定する方法であって、
光デバイスが較正されている間、光デバイスに関連付けられた特性を受け取ることと、
光デバイスの挙動をモデル化する現在の劣化メトリックを少なくとも光デバイス特性に基づいて計算することと、
現在の劣化メトリックに基づいて、光デバイスの劣化が閾値を超えるであろうときを推定することと、
光デバイス劣化の推定に少なくとも部分的に基づいて、光デバイスの較正をスケジュール設定することと、
を含む、方法。
2.推定に基づいて光デバイスの較正をスケジュール設定することは、光デバイスの較正を実施すべきときを決定することを含む、条項1に記載の方法。
3.現在の劣化メトリックを計算することは、較正特性に基づく、条項1に記載の方法。
4.光デバイスは、光源によって生成された光ビームのスペクトル特徴を測定するように構成される、条項1に記載の方法。
5.光ビームの測定されたスペクトル特徴は、光ビームの波長である、条項4に記載の方法。
6.光デバイスが較正されている間に光デバイス特性を受け取ることは、光デバイスが較正されている間、光源によって生成された光ビームのスペクトル特徴に関連付けられた誤差測定値を受け取ることを含む、条項1に記載の方法。
7.誤差測定値は、光ビームの測定されたスペクトル特徴と、基準スペクトル特徴と、の間の差である、条項6に記載の方法。
8.少なくとも光デバイス特性に基づいて現在の劣化メトリックを計算することは、光デバイスの使用量の変化に対して光デバイス特性がどの程度変化するかを推定することを含む、条項1に記載の方法。
9.光デバイスの使用量の変化に対して光デバイス特性がどの程度変化するかを推定することは、光デバイス特性の以前の値及び以前の劣化メトリックに関するデータに基づく誤差を推定することを含む、条項8に記載の方法。
10.少なくとも光デバイス特性に基づいて現在の劣化メトリックを計算することは、光デバイスの使用量の変化に対して光デバイス特性が線形に変化すると想定することを含む、条項1に記載の方法。
11.光デバイス特性に基づいて現在の劣化メトリックを計算することは、線形関数であって、以前の劣化メトリックが線形関数のスロープである、線形関数に基づいて、光デバイス特性における誤差を推定することを含み、
線形関数は、光デバイスの使用量の以前の値と、光デバイス特性における誤差の累積和と、を含む、条項1に記載の方法。
12.光デバイス特性に基づいて現在の劣化メトリックを計算することは、光デバイス特性における誤差を推定することを含む、条項11に記載の方法。
13.少なくとも光デバイス特性に基づいて現在の劣化メトリックを計算することは、光デバイス特性がどのような傾向を有しているかを解析することを含む、条項1に記載の方法。
14.劣化メトリックは、光デバイスの傾向挙動をモデル化する、条項1に記載の方法。
15.推定に基づいて光デバイスの較正をスケジュール設定することは、光デバイス特性が光デバイスの使用量に対して非線形に変化するかどうかを調べることを含む、条項1に記載の方法。
16.光デバイス特性が光デバイスの使用量に対して非線形に変化するかどうかを調べることは、現在の劣化メトリックにおける信頼度を解析することを含む、条項15に記載の方法。
17.光デバイスの劣化が閾値を超えるであろうときを推定することは、光デバイス特性における誤差が閾値を超えるときを推定することを含む、条項1に記載の方法。
18.推定に基づいて光デバイスの較正をスケジュール設定することは、較正を必要とする前に許容可能であろう光デバイスの追加的な使用量を推定することを含む、条項1に記載の方法。
19.光デバイスの較正をスケジュール設定した後、スケジュール設定されている次の較正が実施されるときに光デバイス特性を更新することと、現在の劣化メトリックを以前の劣化メトリックに割り当てることと、を更に含む、条項1に記載の方法。
20.劣化メトリックは、光デバイス特性のスロープの局所的線形近似に対応する、条項1に記載の方法。
21.光デバイスは、光源によって生成される光ビームのエネルギーを推定するように構成される、条項1に記載の方法。
22.光デバイスが較正されている間に光デバイス特性を受け取ることは、直接測定値から間接値への変換を実施することを含み、
直接測定値は、光デバイスが較正されている間に光源によって生成される光ビームに関する、条項1に記載の方法。
23.光デバイスの劣化が閾値を超えるであろうときを推定することは、光デバイス特性におけるドリフトがドリフト閾値を超えるであろうときを推定することを含む、条項22に記載の方法。
24.光デバイス特性におけるドリフトがドリフト閾値を超えるであろうときを推定することは、間接値に関連付けられた誤差閾値に基づいてドリフト閾値を計算することを含む、条項23に記載の方法。
25.光源によって生成された光ビームに関する態様を測定するように構成される光デバイスを較正するように構成される較正装置と、
較正装置と通信する予測コントローラであって、
光デバイスが較正されている間、光ビームの測定された態様に関連付けられた測定された特性を光デバイスから受け取るように構成される入力モジュールと、
測定された特性を入力モジュールから受け取り、光デバイスの挙動をモデル化する現在の劣化メトリックを、少なくとも測定された特性に基づいて計算し、現在の劣化メトリックに基づいて、光デバイスの劣化が閾値を超えるであろうときを推定するように構成される適応モジュールと、
適応モジュールからの推定に基づいて光デバイスの較正をスケジュール設定し、及びスケジュールに基づいて光デバイスを較正するように較正装置に命令するように構成される出力モジュールと、
を含む予測コントローラと、
を含む、較正システム。
26.光デバイスに関連付けられた測定された特性は、光源によって生成された光ビームのスペクトル特徴の測定値を含む、条項25に記載の較正システム。
27.較正装置は、既知のエネルギー遷移を有する光学遷移プロファイルを有する較正材料を含む、条項25に記載の較正システム。
28.光デバイスは、光源によって生成された光ビームのスペクトルプロファイルを感知するように構成されるスペクトル解析モジュールを含み、
較正装置は、較正材料を使用してスペクトル解析モジュールを較正するように構成される、条項27に記載の較正システム。
29.光デバイスの劣化の推定は、スペクトル解析モジュールの較正におけるドリフトの指標である、条項28に記載の較正システム。
30.較正装置が光デバイスを較正するように構成されることは、スペクトル解析モジュールの1つ以上の動作パラメータを調整することを含む、条項28に記載の較正システム。
31.劣化メトリックは、測定された特性の傾向のスロープの局所的線形近似に対応する、条項25に記載の較正システム。
32.光源によって生成された光ビームに関する態様を測定するように構成される光デバイスを較正するように構成される較正装置と通信する予測装置であって、
光デバイスが較正されている間、光ビームの測定された態様に関連付けられた測定された特性を光デバイスから受け取るように構成される入力モジュールと、
測定された特性を入力モジュールから受け取り、光デバイスの挙動をモデル化する現在の劣化メトリックを、少なくとも測定された特性に基づいて計算し、及び現在の劣化メトリックに基づいて、光デバイスの劣化が閾値を超えるであろうときを推定するように構成される適応モジュールと、
適応モジュールからの推定に基づいて光デバイスの較正をスケジュール設定し、及びスケジュールに基づいて光デバイスを較正するように較正装置に命令するように構成される出力モジュールと、
を含む、予測装置。
33.光源によって生成された光ビームに関する態様を測定するように構成される光デバイスを較正するように構成される較正装置と、
較正装置と通信する予測コントローラであって、
光デバイスが較正されている間、光デバイスに関連付けられた特性を光デバイスから受け取るように構成される入力モジュールと、
光デバイス特性を入力モジュールから受け取り、光デバイスの挙動をモデル化する現在の劣化メトリックを少なくとも光デバイス特性に基づいて計算し、及び現在の劣化メトリックに基づいて、光デバイスの劣化が閾値を超えるであろうときを推定するように構成される適応モジュールと、
適応モジュールからの推定に基づいて光デバイスの較正をスケジュール設定し、及びスケジュールに基づいて光デバイスを較正するように較正装置に命令するように構成される出力モジュールと、
を含む予測コントローラと、
を含む、較正システム。
34.光デバイスは、測定スケールに基づいて光ビームのエネルギーの推定を提供するように構成される、条項33に記載の較正システム。
35.光デバイス特性は、測定スケールを含む、条項34に記載の較正システム。
36.測定スケールは、光ビームの特性の直接測定値から光ビームのエネルギーの間接値への変換を可能にする、条項34に記載の較正システム。
37.較正装置は、
光デバイスに導かれる光ビームの少なくとも一部分を受け取るパワーメータであって、測定されたパワーを出力するパワーメータと、
光源のパルス反復率及びパワーメータから出力された測定されたパワーに基づいて、光ビームのパルスにおけるエネルギーを計算することと、正確に計算されたエネルギーを、光デバイスからの光ビームの推定されたエネルギーと比較することと、を行うように構成されるプロセッサと、
を含む、条項34に記載の較正システム。
38.プロセッサは、比較に基づいて、光デバイスの測定スケールにおけるドリフトを推定するように構成される、条項37に記載の較正システム。
39.較正装置が光デバイスを較正するように構成されることは、比較に基づいて光デバイスの測定スケールを調整することを含む、条項38に記載の較正システム。
40.光デバイスの劣化は、光デバイスの測定スケールにおけるドリフトの推定によって示される、条項38に記載の較正システム。
41.劣化メトリックは、光デバイスの測定スケールの傾向のスロープの局所的線形近似に対応する、条項34に記載の較正システム。
42.光源によって生成された光ビームに関する態様を測定するように構成される光デバイスを較正するように構成される較正装置と通信する予測装置であって、
光デバイスが較正されている間、光デバイスに関連付けられた特性を光デバイスから受け取るように構成される入力モジュールと、
光デバイス特性を入力モジュールから受け取り、光デバイスの挙動をモデル化する現在の劣化メトリックを少なくとも光デバイス特性に基づいて計算し、及び現在の劣化メトリックに基づいて、光デバイスの劣化が閾値を超えるであろうときを推定するように構成される適応モジュールと、
適応モジュールからの推定に基づいて光デバイスの較正をスケジュール設定し、及びスケジュールに基づいて光デバイスを較正するように較正装置に命令するように構成される出力モジュールと、
を含む、予測装置。

図1
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図8B
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