(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-04
(45)【発行日】2024-07-12
(54)【発明の名称】調理野菜および調理果物用ドリップ抑制剤、並びに調理野菜および調理果物のドリップ抑制方法
(51)【国際特許分類】
A23L 19/00 20160101AFI20240705BHJP
A23B 7/154 20060101ALI20240705BHJP
A23B 7/16 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
A23L19/00 Z
A23B7/154
A23B7/16
(21)【出願番号】P 2019031593
(22)【出願日】2019-02-25
【審査請求日】2021-08-02
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-20
(31)【優先権主張番号】P 2018037073
(32)【優先日】2018-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000103840
【氏名又は名称】オリエンタル酵母工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 千夏
【合議体】
【審判長】加藤 友也
【審判官】磯貝 香苗
【審判官】淺野 美奈
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-113145(JP,A)
【文献】特開平5-184328(JP,A)
【文献】特開2002-209547(JP,A)
【文献】特開2013-201931(JP,A)
【文献】特開2016-131509(JP,A)
【文献】特開2017-42164(JP,A)
【文献】特開2000-333636(JP,A)
【文献】特開2012-44987(JP,A)
【文献】特開2018-171036(JP,A)
【文献】国際公開第2013/061653(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/152320(WO,A1)
【文献】米国特許第4207347(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳化剤および増粘多糖類を有効成分として含
み、
前記乳化剤が、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、および有機酸モノグリセリドからなる群から選択される少なくとも1種類を含み、
前記増粘多糖類が、ウェランガム、カラギーナン、キサンタンガム、スクシノグリカン、およびローカストビーンガムからなる群から選択される少なくとも1種類を含み、
野菜類および果物類に対して、前記乳化剤を0.1~0.5質量%および前記増粘多糖類を0.01~0.1質量%の量で用いられることを特徴とする調理野菜および調理果物用ドリップ抑制剤。
【請求項2】
前記乳化剤が、グリセリン脂肪酸エステルおよび有機酸モノグリセリドからなる群から選択される少なくとも1種類を含む請求項1に記載のドリップ抑制剤。
【請求項3】
前記増粘多糖類が、ウェランガムおよびカラギーナンからなる群から選択される少なくとも1種類を含む請求項1または2に記載のドリップ抑制剤。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載のドリップ抑制剤を調理前から調理後のいずれかの段階で野菜類および果物類に添加することを含むことを特徴とする調理野菜および調理果物のドリップ抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理野菜および調理果物用ドリップ抑制剤、並びにこれを用いる調理野菜および調理果物のドリップ抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者の健康志向の高まりなどにより、コンビニエンスストアやスーパーなどで販売される調理野菜や調理果物を使用した弁当や惣菜、サラダの市場が伸びている。しかしながら、皮むきやカット等の加工処理、炒め、茹でといった加熱処理をされた調理野菜や調理果物は、調理中から調理後喫食されるまでの間にドリップ(以下、「離水」と称することがある。)が生じ、見た目や食感が悪くなり、更には、歩留りが低下するという問題がある。
【0003】
また、調理後喫食までの時間が長くなるほど、また冷凍保存後に解凍されるとドリップ液の流出量は増加してしまうため、保存期間が長くなるほど品質が低下し、商品価値が下がってしまうことから、調理野菜や調理果物を使用した商品の保存期間は短く設定され、その結果、廃棄処分となる商品の増加につながるリスクがあるという問題もある。更に、廃棄処分となる商品が多いと、商品の補充回数が多くなるという問題もある。そのため、商品価値の低下を抑え、保存期間を長くするという観点からも、調理中のみならず、保存中のドリップの発生を抑制することが重要である。
【0004】
これまでに、増粘剤、澱粉およびトレハロースを配合した調味料組成物を用いることで、具材から出るドリップをある程度吸収する技術(例えば、特許文献1参照)、アルファー化された澱粉を混入することにより、野菜サラダやサンドイッチ等の惣菜における野菜類からの離水を防止する技術(例えば、特許文献2参照)、くん液、絹たん白加水分解物、アルコール類および糖類を含む液を用いることで、冷凍食品の凍結中や解凍中に生じるドリップの発生を防止する技術(例えば、特許文献3参照)、低粘度ガラクトキシログルカン(タマリンドシードガム)を含有するドリップ防止剤を用いることで、生野菜、惣菜又は具材からのドリップを抑制する技術(例えば、特許文献4参照)、キサンタンガムおよびローカストビーガムを配合した調味料組成物を調理時に添加することで、食材からのドリップを抑制する技術(例えば、特許文献5参照)が提案されている。
しかしながら、これらの提案の技術では、調理中から調理後喫食までの間における調理野菜や調理果物からのドリップを十分に抑制することができていないのが現状である。
【0005】
したがって、調理中から調理後喫食までの間における調理野菜や調理果物からのドリップを抑制することができる技術の速やかな開発が強く求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2002-209547号公報
【文献】特開平2-163054号公報
【文献】特開2001-37458号公報
【文献】特開2008-141972号公報
【文献】特開2013-201931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような要望に応え、現状を打破し、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、調理前から調理後のいずれかの段階で野菜類や果物類に単に添加するだけで、調理中から調理後喫食までの間において、調理野菜や調理果物からのドリップ液の流出を抑制することができる調理野菜および調理果物用ドリップ抑制剤、並びに調理野菜および調理果物のドリップ抑制方法を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記目的を達成するべく鋭意検討を行った結果、調理前から調理後のいずれかの段階で野菜類や果物類に乳化剤および増粘多糖類を添加することにより、調理中から調理後喫食までの間において、調理野菜や調理果物からのドリップ液の流出を抑制することができることを知見した。
【0009】
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 乳化剤および増粘多糖類を有効成分として含むことを特徴とする調理野菜および調理果物用ドリップ抑制剤である。
<2> 野菜類および果物類に対して、乳化剤を0.01~5質量%および増粘多糖類を0.001~1質量%の量で用いられる前記<1>に記載のドリップ抑制剤である。
<3> 乳化剤が、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、酵素処理レシチン、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウムおよびオクテニルコハク酸デンプンまたはその塩からなる群から選択される1種類以上である前記<1>または<2>に記載のドリップ抑制剤である。
<4> 増粘多糖類が、アラビアガム、キサンタンガム、ウェランガム、タマリンドシードガム、カラギーナン、カードラン、ローカストビーンガム、タラガム、スクシノグリカン、ペクチン、アルギン酸塩およびアルギン酸エステルからなる群から選択される1種類以上である前記<1>~<3>のいずれかに記載のドリップ抑制剤である。
<5> 前記<1>~<4>のいずれかに記載のドリップ抑制剤を調理前から調理後のいずれかの段階で野菜類および果物類に添加することを含むことを特徴とする調理野菜および調理果物のドリップ抑制方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、従来における前記諸問題を解決することができ、調理前から調理後のいずれかの段階で野菜類や果物類に単に添加するだけで、調理中から調理後喫食までの間において、調理野菜や調理果物からのドリップ液の流出を抑制することができる調理野菜および調理果物用ドリップ抑制剤、並びに調理野菜および調理果物のドリップ抑制方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(調理野菜および調理果物用ドリップ抑制剤)
本発明の調理野菜および調理果物用ドリップ抑制剤(以下、「ドリップ抑制剤」と称することがある)は、乳化剤と、増粘多糖類とを有効成分として含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
【0012】
<乳化剤>
前記乳化剤としては、食品用途に使用できるもの(グレード)であれば特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、酵素処理(以下、「分解」と称することもある)レシチン、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、オクテニルコハク酸デンプンまたはその塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機酸モノグリセリドの具体例としては、例えば、酢酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記オクテニルコハク酸デンプンの塩の具体例としては、例えば、ナトリウム塩などが挙げられる。
前記乳化剤は市販されており、市販品を適宜使用することができる。
【0013】
前記乳化剤の前記ドリップ抑制剤における含有量としては、特に制限はなく、野菜類や果物類に対する使用量(以下、「添加量」と称することがある)などに応じて適宜選択することができる。
【0014】
<増粘多糖類>
前記増粘多糖類としては、食品用途に使用できるもの(グレード)であれば特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、アラビアガム、キサンタンガム、ウェランガム、タマリンドシードガム、カラギーナン、カードラン、ローカストビーンガム、タラガム、スクシノグリカン、ペクチン、アルギン酸塩、アルギン酸エステルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アルギン酸塩の具体例としては、例えば、ナトリウム塩、カルシウム塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記増粘多糖類の中でも、調理野菜や調理果物のドリップをより抑制することができる点で、ウェランガム、カラギーナン、キサンタンガム、スクシノグリカン、ローカストビーンガムが好ましい。
前記増粘多糖類は市販されており、市販品を適宜使用することができる。
【0015】
前記増粘多糖類の前記ドリップ抑制剤における含有量としては、特に制限はなく、野菜類や果物類に対する使用量などに応じて適宜選択することができる。
【0016】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、澱粉(未処理の澱粉の他に、α化澱粉、エーテル化、エステル化、架橋及びこれらの組合せの加工処理した加工澱粉等)、糖類(単糖類、二糖類、マルトトリオース、マルトテトラオース、オリゴ糖、デキストリンの他に、糖アルコール、トレハロース等の糖誘導体)、蛋白質加水分解物、ペプチド、穀粉類、セルロースなどが挙げられる。前記その他の成分は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、調理野菜や調理果物の日持向上剤と併用してもよい。
前記その他の成分は、市販品を適宜使用することができる。
前記その他の成分の前記ドリップ抑制剤における含有量としては、特に制限はなく、野菜類や果物類に対する使用量などに応じて適宜選択することができる。
【0017】
<態様>
前記ドリップ抑制剤は、前記乳化剤と、前記増粘多糖類と、必要に応じて前記その他の成分とを同一の包材に含む態様であってもよいし、前記各成分を別々の包材に入れ、使用時に併用する態様であってもよい。
前記ドリップ抑制剤の形状としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、粉末状、液体状などが挙げられる。
【0018】
<使用>
-使用量-
前記ドリップ抑制剤の使用量としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、野菜類や果物類に対して、0.05~5.0質量%の量で用いることができる。
【0019】
--乳化剤--
前記乳化剤の使用量としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、野菜類や果物類に対して、0.01~5質量%の量で用いられることが好ましく、0.05~2質量%の量で用いられることがより好ましく、0.1~0.5質量%の量で用いられることが更に好ましい。前記使用量が0.01質量%未満であると、調理野菜や調理果物のドリップ抑制効果が十分に得られない可能性があり、5質量%を超えると食品の食味や食感が好ましくないものとなる可能性がある。
【0020】
--増粘多糖類--
前記増粘多糖類の使用量としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、野菜類や果物類に対して、0.001~1質量%の量で用いられることが好ましく、0.005~0.5質量%の量で用いられることがより好ましく、0.01~0.1質量%の量で用いられることが更に好ましい。前記使用量が0.001質量%未満であると、調理野菜や調理果物のドリップ抑制効果が十分に得られない可能性があり、1質量%を超えると食品の食感が好ましくないものとなる可能性がある。
【0021】
-使用時期-
前記ドリップ抑制剤を野菜類や果物類に添加する時期としては、特に制限はなく、調理前から調理後のいずれかの段階から適宜選択することができ、調理前、調理中および調理後の少なくともいずれかの時期に添加することができる。
添加の回数としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、1回であってもよいし、複数回であってもよい。
【0022】
-使用方法-
前記ドリップ抑制剤の使用方法(以下、「添加方法」と称することもある)としては、特に制限はなく、食品の種類に応じて適宜選択することができ、例えば、調理前または調理中の野菜類や果物類に添加して混ぜたり、調理後の調理野菜や調理果物に添加して混ぜたり、前記ドリップ抑制剤を含有する液に調理前または調理中の野菜類や果物類、若しくは調理後の調理野菜や調理果物を浸漬させたり、前記ドリップ抑制剤を含有する液を調理前または調理中の野菜類や果物類、若しくは調理後の調理野菜や調理果物に噴霧、塗布したりするなどが挙げられる。
なお、本発明において、調理とは、野菜類や果物類を加工する処理全般をいい、例えば、皮むき、カット、加熱処理などが挙げられる。また、前記加熱処理は野菜類や果物類に熱を加える調理法全般をいい、例えば、炒める、茹でる、焼く、蒸すなどが挙げられる。
【0023】
前記ドリップ抑制剤は、単独で使用してもよいし、例えば、日持向上剤などのその他の製剤などと共に使用してもよい。
【0024】
<野菜類、果物類>
本発明が対象とする野菜類としては、皮むきやカットされ、あるいは加熱調理される野菜類であれば特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、もやし、豆苗等の発芽野菜、ニラ、キャベツ、ほうれん草、白菜、チンゲンサイ、小松菜、シュンギク、菜の花、レタス等の葉菜類、玉ネギ、ネギ、アスパラガス、ウド、タケノコ等の茎菜類、ニンジン、大根、カブ等の根菜類、トマト、キュウリ、ウリ、ピーマン、ナス、ズッキーニ、アボガド等の果菜類、ブロッコリー、カリフラワー、食用菊等の花菜類などが挙げられる。
本発明が対象とする果物類としては、皮むきやカットされ、あるいは加熱調理される果物類であれば特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、ミカン、オレンジ、グレープフルーツ等の柑橘類、パイナップル、ナシ、リンゴ、ブドウ、スイカ、キウィフルーツ、マンゴ、パパイヤ、メロン、モモ、ビワなどが挙げられる。
これらは、例えば通常の加工処理や調理野菜や調理果物のレシピ等に従い1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0025】
前記野菜類または果物類を用いた調理野菜や調理果物およびこれらを含む食品(以下、これらを総称して「惣菜」と称することもある)としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、もやし、キャベツ、タマネギ、白菜、ピーマン等を炒めた調理野菜を含む惣菜;ほうれん草や小松菜等の葉菜類の和えもの、おひたし等の茹でた調理野菜を含む惣菜;蒸した調理野菜を含む惣菜;餃子、春巻き、焼売等の調理野菜を含む点心類;焼きそば、焼きうどん、パスタ等の炒めた調理野菜や茹でた調理野菜を含む麺類;皮むきやカットされた調理野菜や調理果物を含むサラダ、漬物等の未加熱食品などが挙げられる。
前記食品は、製造後に冷凍される食品であってもよい。
【0026】
本発明のドリップ抑制剤によれば、調理前から後のいずれかの段階で野菜類や果物類に単に添加するだけで、調理中から調理後喫食までの間における調理野菜や調理果物からのドリップ液の流出を抑えることができるので、保存期間を長くした場合や冷凍保存後に解凍した場合でも、見た目や食感の低下を抑制し、また、歩留りの低下をも抑え、商品価値の低下を防ぐことができる。
【0027】
(調理野菜および調理果物のドリップ抑制方法)
本発明の調理野菜および調理果物のドリップ抑制方法(以下、「ドリップ抑制方法」と称することがある)は、本発明の調理野菜および調理果物用ドリップ抑制剤を調理前から調理後のいずれかの段階で野菜類や果物類に添加する。
【0028】
前記ドリップ抑制剤の添加は、上記した本発明のドリップ抑制剤の<使用>の項目に記載したものと同様である。
【0029】
前記野菜類や果物類は、上記した本発明のドリップ抑制剤の<野菜類、果物類>の項目に記載したものと同様である。
【0030】
本発明のドリップ抑制方法によれば、調理前から後のいずれかの段階で野菜類や果物類に単に添加するだけで、調理中から調理後喫食までの間における調理野菜や調理果物からのドリップ液の流出を抑えることができ、保存期間を長くした場合や冷凍保存した場合でも、見た目や食感の低下を抑制し、また、歩留りの低下をも抑え、商品価値の低下を防ぐことができる。したがって、本発明は、本発明のドリップ抑制剤を調理前から調理後のいずれかの段階で野菜類や果物類に添加することを含む調理野菜および調理果物の品質向上方法にも関する。
【実施例】
【0031】
以下、試験例を示して本発明を説明するが、本発明はこれらの試験例に何ら限定されるものではない。
【0032】
(試験例1:増粘多糖類の検討)
特にドリップが問題になる野菜としてもやしを選択し、次のようにしてもやし炒めを製造した。サラダ油を5cc塗布したフライパンを加熱した後、もやし200gをフライパンに投入し、もやしに対して、0.2gの乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル(S-170、ショ糖ステアリン酸エステル、三菱ケミカルフーズ株式会社製))と、0.1gの下記のいずれかの増粘多糖類とを添加し、1分30秒間炒め、次いで市販のタレ30gを投入し、1分30秒間炒め、調理野菜(もやし炒め)を製造した。製造した調理野菜を下記の評価基準により外観と食感について評価するとともに、調理直後のドリップ率と保存時のドリップ率を測定した。結果を表1に示す。
なお、乳化剤および増粘多糖類を加えない以外は試験例と同様に調理したものを対照とした。
-増粘多糖類-
・ ウェランガム(試験例1-1)
・ キサンタンガム(試験例1-2)
・ タマリンドシードガム(試験例1-3)
・ κカラギーナン(試験例1-4)
・ ローカストビーンガム(試験例1-5)
【0033】
<評価>
-評価基準-
--外観(ドリップ)--
A:ドリップ液がほとんど目立たない。
B:ドリップがやや目立つ。
C:ドリップがやや多い。
D:ドリップが多い。
--食感(歯応え)--
A:適度な歯応えがあり、良好。
B:歯応えがややあり、やや良好。
C:歯応えにやや劣り、やや不良。
D:歯応えがなく、不良。
--調理直後のドリップ率--
調理野菜(炒めたもやし)を室温まで冷却した後、これから生じたドリップ質量(調理直後に生じたドリップ質量(g))を測定し、下記式から調理直後のドリップ率を算出した。
調理直後のドリップ率(%)=[調理直後に生じたドリップ質量(g)]/[調理前の野菜の質量(g)]×100
--保存時のドリップ率--
調理直後のドリップを除去した調理野菜100gをトレーに入れ、10℃で4日間保存したときに生じたドリップ質量(保存時に生じたドリップ質量(g))を測定し、下記式から保存時のドリップ率を算出した。
保存時のドリップ率(%)=[保存時に生じたドリップ質量(g)]/[調理直後のドリップを除去した調理野菜の質量(g)]×100
--全ドリップ率--
下記式から全ドリップ率を算出した。
全ドリップ率(%)=調理直後のドリップ率(%)+保存時のドリップ率(%)
【0034】
【0035】
表1の結果から、乳化剤と、各種増粘多糖類とを組み合わせることで、調理直後および保存時における調理野菜のドリップを抑制できることが確認された。これらの中でも、全ドリップ率(調理直後のドリップ率と保存時のドリップ率との合計)の観点からは、ウェランガム、κカラギーナン、ローカストビーンガムが好ましいことが確認され、ウェランガムが最も低い値となった。また、試験例1-1~5の調理野菜は、調理直後および保存後において、対照と比べて外観にも優れ、食感も良好であった。また、調理直後のドリップ率と保存後のドリップ率は、外観の評価と相関することが示された。
【0036】
(試験例2:乳化剤の検討)
試験例1における乳化剤を下記のいずれかの乳化剤に代え、増粘多糖類をウェランガムとした以外は、試験例1と同様にして調理野菜(もやし炒め)を製造した。また、試験例1と同様にして対照の調理野菜(もやし炒め)を製造した。
-乳化剤-
・ ショ糖脂肪酸エステル(S-1670、ショ糖ステアリン酸エステル、三菱ケミカルフーズ株式会社製:試験例2-1)
・ グリセリン脂肪酸エステル(エマルジーMS、理研ビタミン株式会社製:試験例2-2)
・ 有機酸モノグリセリド(エマルジーMM100、理研ビタミン株式会社製:試験例2-3)
・ 有機酸モノグリセリド(サンソフトNo.681SPV、コハク酸モノステアリン酸グリセリン、太陽化学株式会社製:試験例2-4)
【0037】
-評価-
製造した調理野菜(もやし炒め)について、試験例1と同様にして外観と食感を評価した。結果を表2に示す。
【0038】
【0039】
表2の結果から、様々な乳化剤を用いた場合でも、増粘多糖類と組み合わせることで、調理直後および保存時における調理野菜のドリップを抑制できることが確認された。また、試験例2-1~4の調理野菜は、保存後において、対照と比べて、食感も良好であった。
【0040】
(試験例3-1:添加量の検討)
試験例1において、乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル)の添加量を、調理前のもやしに対して、0.005質量%、0.05質量%、0.1質量%、0.5質量%、2質量%または10質量%とし、増粘多糖類をウェランガムとした以外は、試験例1と同様にして調理野菜(もやし炒め)を製造した。
【0041】
-評価-
製造した調理野菜(もやし炒め)について、試験例1と同様にして外観と食感を評価した。結果を表3-1に示す。
【0042】
【0043】
表3-1の結果から、乳化剤の量を変えた場合でも、増粘多糖類と組み合わせることで、調理直後および保存時の少なくともいずれかにおける調理野菜のドリップを抑制できることが確認された。また、試験例3-1-2~5の調理野菜(もやし炒め)は、調理直後および保存後において、外観にも優れ、食感も良好であった。
【0044】
(試験例3-2:添加量の検討)
試験例1において、増粘多糖類をウェランガムとし、その添加量を、調理前のもやしに対して、0.0005質量%、0.005質量%、0.01質量%、0.1質量%、0.5質量%または2質量%とした以外は、試験例1と同様にして調理野菜(もやし炒め)を製造した。
【0045】
-評価-
製造した調理野菜(もやし炒め)について、試験例1と同様にして外観と食感を評価した。結果を表3-2に示す。
【0046】
【0047】
表3-2の結果から、増粘多糖類の量を変えた場合でも、乳化剤と組み合わせることで、調理直後および保存時の少なくともいずれかにおける調理野菜のドリップを抑制できることが確認された。また、試験例3-2-2~5の調理野菜(もやし炒め)は、調理直後および保存後において、外観にも優れ、食感も良好であった。
【0048】
(試験例4)
<ドリップ抑制剤>
下記の配合にて、ドリップ抑制剤を製造した。
・ 乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル) ・・・ 30質量%
・ 増粘多糖類(ウェランガム) ・・・ 5質量%
・ 増粘多糖類(キサンタンガム) ・・・ 5質量%
・ マルトデキストリン ・・・ 60質量%
【0049】
<調理野菜の製造>
フライパンに下記の材料A15gを入れ、炒めた後、2~3cm幅にカットした豆苗100gを入れた。次いで、下記の材料B5.4gを入れ10秒間絡めた後、前記ドリップ抑制剤0.75gを入れ10秒間絡めた。その後、蓋をして30秒間蒸し、調理野菜(豆苗炒め)を製造した。
なお、ドリップ抑制剤を添加しなかった以外は同様にして製造したものを対照とした。
-材料A-
・ にんにくみじん切り ・・・ 2質量部
・ サラダ油 ・・・ 10質量部
・ ごま油 ・・・ 2.5質量部
・ 塩 ・・・ 0.4質量部
-材料B-
・ 鶏ガラスープの素 ・・・ 0.4質量部
・ 水 ・・・ 5質量部
【0050】
-評価-
試験例1と同様にして、外観と食感を評価し、また、調理直後のドリップ率、保存時のドリップ率および全ドリップ率を算出した。また、以下のようにして、調理直後の歩留り率を算出した。結果を表4に示す。
--調理直後の歩留り率--
調理直後の調理野菜の質量(g)を測定し、下記式から調理直後の歩留まり率を算出し、ドリップ抑制剤無添加の場合を100%とした場合の相対値を求めた。結果を表4に示す。
調理直後の歩留り率(%)=[調理野菜の質量(g)]/[調理前の野菜の質量(g)]×100
【0051】
【0052】
(試験例5)
<ドリップ抑制剤>
下記の配合にて、ドリップ抑制剤を製造した。
・ 乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル) ・・・ 30質量%
・ 増粘多糖類(ウェランガム) ・・・ 5質量%
・ 増粘多糖類(タマリンドシードガム) ・・・ 5質量%
・ マルトデキストリン ・・・ 60質量%
【0053】
<調理野菜の製造>
豚ひき肉90gに下記配合の餡用調味液を入れ、混ぜ合わせた後、キャベツ・ニラ・玉ネギ450gと、前記ドリップ抑制剤2.7g(対餡(キャベツ・ニラ・玉ネギ、豚ひき肉)で0.5質量%)とを入れ、粘りが出るまで混ぜ合わせた。
調製した餡を10gずつ皮に包んだ。
フライパンに野菜餃子を並べて1分30秒間焼成後、水を50mLフライパンに入れ、2分間蒸し焼きし、調理野菜(野菜餃子)を製造した。
なお、ドリップ抑制剤を添加しなかった以外は同様にして製造したものを対照とした。
-餡用調味液-
・ しょうゆ ・・・ 15g
・ ごま油 ・・・ 15g
・ 酒 ・・・ 7.5g
・ 砂糖 ・・・ 5g
・ 塩・こしょう ・・・ 0.5g
【0054】
-評価-
試験例1と同様にして、外観と食感を評価し、また、以下のようにして、歩留り率を算出した。結果を表5に示す。
--歩留り率--
焼成した野菜餃子を10℃で3日間保存後の餡の質量(保存後の餡質量(g))を測定し、(1)野菜餃子の焼成前の餡質量に対する保存後の餡質量に基づく歩留り率と、(2)野菜餃子の焼成直後の餡質量に対する保存後の餡質量に基づく歩留り率を、ドリップ抑制剤無添加の場合を100%とした場合の相対値として求めた。結果を表5に示す。
【0055】
【0056】
(試験例6)
<ドリップ抑制剤>
下記の配合にて、ドリップ抑制剤を製造した。
・ 乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル) ・・・ 30質量%
・ 増粘多糖類(κカラギーナン) ・・・ 5質量%
・ 増粘多糖類(ローカストビーンガム) ・・・ 5質量%
・ マルトデキストリン ・・・ 60質量%
【0057】
<調理野菜の製造>
沸騰水にほうれん草を投入し、1分30秒間茹で、ボイルほうれん草を作製した。ボイルほうれん草をザルに上げ、流水で冷却後、軽く絞り、水切りを行った。その後、ボイルほうれん草を約3cm幅にカットした。
カットしたボイルほうれん草100gに、味付きゴマ和えの素10gと、前記ドリップ抑制剤0.5gとを加え、絡め、調理野菜(ほうれん草のゴマ和え)を製造した。
なお、ドリップ抑制剤を添加しなかった以外は同様にして製造したものを対照とした。
【0058】
-評価-
試験例1と同様にして、外観と食感を評価し、また、保存時のドリップ率を以下のようにして算出した。結果を表6に示す。
--保存時のドリップ率--
調理直後のドリップを除去した調理野菜(ほうれん草のゴマ和え)50gをトレーに入れ、10℃で3日間保存した以外は試験例1と同様にして、保存時のドリップ率を算出した。
【0059】
【0060】
(試験例7)
<ドリップ抑制剤>
下記の配合にて、ドリップ抑制剤を製造した。
・ 乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル) ・・・ 30質量%
・ 増粘多糖類(ウェランガム) ・・・ 5質量%
・ 増粘多糖類(κカラギーナン) ・・・ 5質量%
・ マルトトリオース ・・・ 60質量%
【0061】
<調理野菜の製造>
試験例1における乳化剤および増粘多糖類を前記ドリップ抑制剤に代え、その添加量を1g(もやしに対して0.5質量%)とした以外は、試験例1と同様にして調理野菜(もやし炒め)を製造した。
なお、ドリップ抑制剤を添加しなかった以外は同様にして製造したものを対照とした。
【0062】
-評価-
試験例1と同様にして外観と食感を評価し、調理直後のドリップ率を算出した。また、保存期間を10℃で3日間とした以外は試験例1と同様にして、保存時のドリップ率を算出した。さらに、試験例4と同様にして調理直後の歩留り率を算出した。結果を表7に示す。
【0063】
【0064】
(試験例8)
<ドリップ抑制剤>
試験例4と同様にしてドリップ抑制剤を製造した。
【0065】
<調理野菜の製造>
下記材料を混ぜ合わせ、調理野菜(コールスロー)を製造した。
なお、ドリップ抑制剤を添加しなかった以外は同様にして製造したものを対照とした。
-材料-
・ キャベツ(千切り) ・・・ 100g
・ 玉ねぎ(薄切り) ・・・ 8.3g
・ ニンジン ・・・ 10g
・ ホールコーン ・・・ 16.7g
・ 塩 ・・・ 0.7g
・ ホワイトペッパー ・・・ 0.1g
・ マヨネーズ ・・・ 24g
・ ドリップ抑制剤 ・・・ 0.7g
【0066】
-評価-
試験例1と同様にして、外観と食感を評価し、また、保存時のドリップ率を算出した。結果を表8に示す。
【0067】
【0068】
(試験例9)
<ドリップ抑制剤>
試験例4と同様にしてドリップ抑制剤を製造した。
【0069】
<調理果物の製造>
カットしたパイナップル50gにドリップ抑制剤0.5gを絡め、調理果物(カットパイナップル)を製造した。
なお、ドリップ抑制剤を添加しなかった以外は同様にして製造したものを対照とした。
【0070】
-評価-
調理野菜を調理果物に代え、保存期間を4日間から5日間に変えた以外は試験例1と同様にして、保存時のドリップ率を算出した。結果を表9に示す。
【0071】
【0072】
(試験例10)
<ドリップ抑制剤>
試験例6と同様にしてドリップ抑制剤を製造した。
【0073】
<調理野菜の製造>
カットしたトマト100gにドリップ抑制剤0.5gをふりかけ、全体的にかき混ぜ、調理野菜(カットトマト)を製造した。
なお、ドリップ抑制剤を添加しなかった以外は同様にして製造したものを対照とした。
【0074】
-評価-
保存期間を4日間から5日間に変えた以外は試験例1と同様にして、保存時のドリップ率を算出した。結果を表10に示す。
【0075】
【0076】
(試験例11)
<ドリップ抑制剤>
試験例4と同様にしてドリップ抑制剤を製造した。
【0077】
<調理野菜の製造>
約5cm幅にカットした白菜609gに対して、市販の浅漬けの素を3.0g混ぜ合わせ、20分間漬け込んだ。その後、液切りを行い、100gずつに小分けし、ドリップ抑制剤0.5gと混ぜ合わせ、調理野菜(白菜の浅漬け)を製造した。
なお、ドリップ抑制剤を添加しなかった以外は同様にして製造したものを対照とした。
【0078】
-評価-
試験例1と同様にして、外観と食感を評価し、また、保存期間を4日間から3日間に変えた以外は試験例1と同様にして、保存時のドリップ率を算出した。結果を表11に示す。
【0079】
【0080】
(試験例12)
<ドリップ抑制剤>
試験例4と同様にしてドリップ抑制剤を製造した。
【0081】
<調理野菜の製造>
下記材料のうちのゆでたけのこ、ピーマン及び赤ピーマンに対して、ドリップ抑制剤0.51gを絡めた。
油10ccを塗布したフライパンを加熱した後、ドリップ抑制剤を絡めたピーマン及び赤ピーマンをフライパンに投入し、中火で1分間ほど炒め、少ししんなりしたところで取り出した。
油5ccを塗布したフライパンを加熱した後、豚肉に片栗粉をまぶして入れ、ほぐすように炒め、豚肉の色が変わったところでドリップ抑制剤を絡めたゆでたけのこを加えて炒めた。次いで、下記調味液を加えて炒め、混ぜ合わせた後、上記した炒めたピーマン及び赤ピーマンを入れ、さらに混ぜ合わせ、調理野菜(青椒肉絲)を製造した。
なお、ドリップ抑制剤を添加しなかった以外は同様にして製造したものを対照とした。
-材料-
・ 豚もも薄切り肉(1cm幅にカットしたもの) ・・・ 50g
・ 片栗粉 ・・・ 4g
・ ゆでたけのこ(3~5mm幅にカットしたもの) ・・・ 27g
・ ピーマン(6~8mm幅にカットしたもの) ・・・ 45g
・ 赤ピーマン(6~8mm幅にカットしたもの) ・・・ 30g
-調味液-
・ 酒 ・・・ 6g
・ オイスターソース ・・・ 6g
・ こしょう ・・・ 0.08g
【0082】
-評価-
--解凍時のドリップ率--
調理直後のドリップを除去した調理野菜(青椒肉絲)をトレーに入れ、-20℃で12日間保存した。保存後の調理野菜(青椒肉絲)を電子レンジにて解凍(500W、1分間×2)したときに生じたドリップ質量(解凍時に生じたドリップ質量(g))を測定し、下記式から解凍時のドリップ率を算出した。結果を表12に示す。
解凍時のドリップ率(%)=[解凍時に生じたドリップ質量(g)]/[保存後、解凍前の調理野菜の質量(g)]×100
【0083】
【0084】
(試験例13)
<ドリップ抑制剤>
試験例4と同様にしてドリップ抑制剤を製造した。
【0085】
<調理野菜の製造>
ドリップ抑制剤を試験例4と同様にして製造したドリップ抑制剤に代えた以外は、試験例6と同様にして調理野菜(ほうれん草のゴマ和え)を製造した。
なお、ドリップ抑制剤を添加しなかった以外は同様にして製造したものを対照とした。
【0086】
-評価-
解凍条件を500W、2分間×2に変えた以外は試験例13と同様にして、解凍時のドリップ率を算出した。結果を表13に示す。
【0087】
【0088】
(試験例14)
下記の配合にて、ドリップ抑制剤(i)及び(ii)を製造した。
<ドリップ抑制剤(i)>
・ 乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル) ・・・ 30質量%
・ 増粘多糖類(スクシノグリカン) ・・・ 10質量%
・ マルトデキストリン ・・・ 60質量%
<ドリップ抑制剤(ii)>
・ 乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル) ・・・ 30質量%
・ 増粘多糖類(スクシノグリカン) ・・・ 5質量%
・ 増粘多糖類(キサンタンガム) ・・・ 5質量%
・ マルトデキストリン ・・・ 60質量%
【0089】
<調理野菜の製造>
試験例1における乳化剤および増粘多糖類を前記ドリップ抑制剤(i)または(ii)に代え、その添加量を1g(もやしに対して0.5質量%)とした以外は、試験例1と同様にして調理野菜(もやし炒め)を製造した。
なお、ドリップ抑制剤を添加しなかった以外は同様にして製造したものを対照とした。
【0090】
-評価-
試験例1と同様にして外観と食感を評価し、調理直後のドリップ率を算出した。また、保存期間を10℃で3日間とした以外は試験例1と同様にして、保存時のドリップ率を算出した。結果を表14に示す。
【0091】
【0092】
試験例4~14の結果からも、本発明のドリップ抑制剤を用いることで、様々な調理野菜や調理果物において、調理中から調理後喫食までの間におけるドリップ液の流出を抑制できることが確認された。また、本発明のドリップ抑制剤を用いることで、歩留り率を向上させることができ、さらに、外観に優れ、食感も良好なものとすることができることも確認された。