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特許7515781活性エネルギー線重合開始剤、活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク、インク収容容器、像形成装置、像形成方法、及び、活性エネルギー線重合開始剤の製造方法
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  • 特許-活性エネルギー線重合開始剤、活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク、インク収容容器、像形成装置、像形成方法、及び、活性エネルギー線重合開始剤の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】活性エネルギー線重合開始剤、活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク、インク収容容器、像形成装置、像形成方法、及び、活性エネルギー線重合開始剤の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/50 20060101AFI20240708BHJP
   C09D 11/101 20140101ALI20240708BHJP
   B29C 64/112 20170101ALI20240708BHJP
   B29C 64/264 20170101ALI20240708BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20240708BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240708BHJP
   B29C 64/255 20170101ALI20240708BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240708BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
C08F2/50
C09D11/101
B29C64/112
B29C64/264
B33Y70/00
B33Y30/00
B29C64/255
B41J2/01 501
B41J2/01 129
B41M5/00 100
B41M5/00 120
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020162187
(22)【出願日】2020-09-28
(65)【公開番号】P2022054914
(43)【公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100116713
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 正己
(72)【発明者】
【氏名】原田 成之
(72)【発明者】
【氏名】廣川 悠哉
(72)【発明者】
【氏名】齋賀 拓也
【審査官】藤井 明子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-044030(JP,A)
【文献】特表2017-524750(JP,A)
【文献】特開昭55-154970(JP,A)
【文献】特開平11-256085(JP,A)
【文献】特表2020-519561(JP,A)
【文献】特開2022-014723(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00-2/60
C09D 11/00-13/00
B29C 64/00-64/40、67/00-67/08、
67/24-69/02、73/00-73/34
B33Y 10/00-99/00
B41J 2/01、2/165-2/20、2/21-2/215
B41M 5/00、5/50、5/52
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される構造を有することを特徴とする活性エネルギー線重合開始剤。
【化1】
(前記一般式(1)中、Rは炭素数1以上3以下の炭化水素基又はメトキシ基を表し、nは0以上3以下の整数を表し、Linkは-(CH-(OC-を表し、前記xは2以上12以下の整数を表し、前記yは0以上11以下の整数を表し、Zは3級アミンを表す。)
【請求項2】
前記一般式(1)中、-O-Link基は下記式(1)で表されるチオキサントン構造における位置2、3、又は4に結合している請求項1に記載の活性エネルギー線重合開始剤。
【化2】
【請求項3】
請求項1又は2に記載の活性エネルギー線重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の活性エネルギー線重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化型インク。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の活性エネルギー線重合開始剤を含む水系の活性エネルギー線硬化型インク。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の活性エネルギー線硬化型インクを収容した収容容器。
【請求項7】
請求項6に記載の収容容器と、前記収容容器に収容されている前記活性エネルギー線硬化型インクを吐出する吐出手段と、吐出された前記活性エネルギー線硬化型インクに対して350nm以上400nm以下の波長領域にピークを有する活性エネルギー線を照射する活性エネルギー線照射手段と、を有する像形成装置。
【請求項8】
請求項4又は5に記載の活性エネルギー線硬化型インクを吐出する吐出工程と、吐出された前記活性エネルギー線硬化型インクに対して350nm以上400nm以下の波長領域にピークを有する活性エネルギー線を照射する活性エネルギー線照射工程と、を有する像形成方法。
【請求項9】
下記一般式(2)で表されるチオキサントン化合物とフタル酸とを反応させて中間体を得る第一の工程と、前記中間体と3級アミンとを反応させて下記一般式(1)で表される構造を有する活性エネルギー線重合開始剤を得る第二の工程と、を有することを特徴とする、下記一般式(1)で表される構造を有する活性エネルギー線重合開始剤の製造方法。
【化1】
(前記一般式(1)中、Rは炭素数1以上3以下の炭化水素基又はメトキシ基を表し、nは0以上3以下の整数を表し、Linkは-(CH -(OC -を表し、前記xは2以上12以下の整数を表し、前記yは0以上11以下の整数を表し、Zは3級アミンを表す。)
【化3】
(前記一般式(2)中、Rは炭素数1以上3以下の炭化水素基又はメトキシ基を表し、nは0以上3以下の整数を表し、Linkは-(CH-(OC-を表し、前記xは2以上12以下の整数を表し、前記yは0以上11以下の整数を表す。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線重合開始剤、活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク、インク収容容器、像形成装置、及び像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、揮発性有機化合物の使用は、大気汚染の原因の一つとして懸念され、法的な制限を受ける場合がある。そのため、印刷用インクにおいても、ビヒクルとして水を主体とした水系インク組成物が必要とされている。
【0003】
水系インクの多くは、媒体に画像を定着させるために、熱可塑性の樹脂エマルジョンを含有し、加熱乾燥により樹脂エマルジョンが造膜し、画像が形成される。また、画像の耐性、例えば、印刷時の滲み(ビーディング)防止性、画像形成後のエタノール等の接触による画像の滲み防止性、及び物理的な引っかきや擦れに対する耐性を、より強固にするために、電子線(EB)や紫外線(UV)などの活性エネルギー線で重合可能な、水溶性モノマー、水溶性オリゴマー、及び樹脂エマルジョン等から選択される少なくとも1つと、活性エネルギー線によりフリーラジカルを発生する水溶性の活性エネルギー線重合開始剤と、を含む水系インクが使用される。
【0004】
なお、活性エネルギー線の光源は、省エネルギー及び省スペースの点で、350nm~400nmのUV発光ダイオード(LED)であることが望ましい。
【0005】
特許文献1は、紫外線に対する高い感度と、水に対する高い溶解性と、を併せ持ち、水溶性の光重合開始剤として有用な化合物を開示している。また、特許文献1は、当該化合物の極大吸収波長(λmax)が301nm~318nmであることについても開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来から開示されている活性エネルギー線重合開始剤では、極大吸収波長(λmax)の点で、UV-LED光源から照射されるピーク波長領域が350nm以上400nm以下である活性エネルギー線に対して十分な感度を有さない課題と、水に対する高い溶解性を得ることが困難である課題と、がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記一般式(1)で表される構造を有することを特徴とする活性エネルギー線重合開始剤に関する。
【化1】
(前記一般式(1)中、Rは炭素数1以上8以下の炭化水素基又はメトキシ基を表し、nは0以上3以下の整数を表し、Linkは-(CH-(OC-を表し、前記xは2以上12以下の整数を表し、前記yは0以上11以下の整数を表し、Zは3級アミンを表す。)
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ピーク波長領域が350nm以上400nm以下である活性エネルギー線に対する高い感度と、水に対する高い溶解性と、を有する活性エネルギー線重合開始剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の活性エネルギー線重合開始剤の吸収スペクトルの一例を示す図である。
図2】従来の活性エネルギー線重合開始剤の吸収スペクトルの一例を示す図である。
図3】従来の活性エネルギー線重合開始剤の吸収スペクトルの一例を示す図である。
図4】従来の活性エネルギー線重合開始剤の吸収スペクトルの一例を示す図である。
図5】像形成装置の一例を示す概略図である。
図6】別の像形成装置の一例を示す概略図である。
図7】さらに別の像形成装置の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について説明するが、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0011】
<<活性エネルギー線重合開始剤>>
本開示において「活性エネルギー線重合開始剤」とは、活性エネルギー線を照射されることでフリーラジカルを発生させ、重合反応を開始させる材料である。また、活性エネルギー線は、重合反応を進める上で必要なエネルギーを付与できるものであればよく、特に限定されないが、例えば、紫外線、電子線、α線、β線、γ線、及びX線等が挙げられるが、紫外線であることが好ましい。紫外線を照射する照射手段としては、例えば、紫外線発光ダイオード(UV-LED)及び紫外線レーザダイオード(UV-LD)などが挙げられる。
【0012】
本発明の活性エネルギー線重合開始剤は、下記一般式(1)で表される構造を有する。
【化2】
【0013】
一般式(1)中、Rは炭素数1以上3以下の炭化水素基又は炭素数1以上3以下のメトキシ基を表す。
【0014】
一般式(1)中、nは0以上3以下の整数を表す。
【0015】
一般式(1)中、Linkは-(CH-(OC-を表す。また、xは2以上12以下の整数を表し、yは0以上11以下の整数を表す。このLinkはアルキレン基である構造、又はアルキレン基とポリオキシエチレン基とを有する構造のいずれかであるが、活性エネルギー線重合開始剤に水溶性を付与する観点から、アルキレン基とポリオキシエチレン基とを有する構造(言い換えると、yが1以上である構造)が好ましい。
【0016】
一般式(1)中、Zは3級アミンを表す。この3級アミンを含む一般式(1)中の-OZHで表されるイオン結合部は、活性エネルギー線重合開始剤に水溶性を付与する。
【0017】
一般式(1)で表される構造を有する活性エネルギー線重合開始剤は、-(R)で表されるアルキル基及び-O-Link-で表されるアルコキシ基を有するチオキサントン部が光を吸収し、活性エネルギー線重合開始剤自身が、又は光吸収した活性エネルギー線重合開始剤以外の化合物から水素を引き抜くことで、フリーラジカルを発生させる。チオキサントン部による水素引き抜きは、窒素原子に隣接した炭化水素から起こりやすいため、一般式(1)のZで表される3級アミンの窒素原子に隣接した炭化水素が有効に作用する。
【0018】
また、一般式(1)で表される構造を有する活性エネルギー線重合開始剤における-O-Link基は下記式(1)で表されるチオキサントン構造における位置2、位置3、又は位置4に結合していることが好ましい。位置2、位置3、又は位置4に-O-Link基が結合している場合、位置1に-O-Link基が結合している場合と異なり、隣接する位置にカルボニル酸素がないため、カルボニル酸素と-O-Link基との相互作用により生じるカルボニル酸素と引き抜かれた水素との結合阻害が抑制され、結果としてラジカルの生成効率が向上するためである。なお、「-O-Link基」は下記式(2)で表される構造を表す。
【化3】
【化4】
【0019】
一般式(1)のZで表される3級アミンとしては、特に限定されないが、例えば、トリエチルアミン、N,N-ジメチルエチルアミン、N,N-ジメチルプロパン-1-アミン、N,N-ジメチルイソプロピルアミン、N,N-ジメチルアリルアミン、N,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール、N-ブチルジメチルアミン、(ジメチルアミノ)アセトアルデヒドジメチルアセタール、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジメチル-n-オクチルアミン、N,N-ジメチルデシルアミン、N,N-ジメチドデシルアミン、N,N-ジメチルテトラデシルアミン、N,N-ジメチルヘキサデシルアミン、N,N-ジメチル-n-オクタデシルアミン、N,N-ジエチルメチルアミン、ジデシルメチルアミン、N-メチルジ-n-オクチルアミン、N,N-ジドデシルメチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、N,N-ジプロピルエチルアミン、N,N-ジエチルグリシンメチルエステル、トリプロピルアミン、トリイソブチルアミン、1-(2-メトキシエチル)ピペラジン、4-イソブチルモルホリン、4-ブチルモルホリン、4-(3-クロロプロピル)モルホリン、N,N-ジベンジルグリシンエチルエステル、3-(モルホリノ)プロパン酸エチルエステル、4-[2,2,2-トリフルオロ-1-[(トリメチルシリル)オキシ]エチル]モルホリン、2-(ジメチルアミノ)エタノール、3-(ジメチルアミノ)-1-プロパノール、1-ジメチルアミノ-2-プロパノール、2-(ジメチルアミノ)-2-メチル-1-プロパノール、2-ジエチルアミノエタノール、3-ジエチルアミノ-1-プロパノール、1-ジメチルアミノ-2-プロパノール、2-(ジメチルアミノ)-2-メチル-1-プロパノール、2-ジエチルアミノエタノール、3-ジエチルアミノ-1-プロパノール、1-(ジエチル)-1,2-プロパンジオール、2-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]エタノール、2-(N-エチルアニリノ)エタノール、1-エチル-3-ピロジノール、(R)-1-ベンジル-3-ピロジノール、(S)-1-ベンジル-3-ピロジノール、1-ベンジル-3-ピロジノール、1-エチル-3-ヒドロキシピペリジン、(R)-1-ベンジル-3-ヒドロキシピペリジン、1-ベンジル-3-ヒドロキシピペリジン、2-(ジイソプロピルアミノ)エタノール、1-イソプロピル-3-ピロジノール、2-(ジブチルアミノ)エタノール、N.N-ジベンジル-2-アミノエタノール、4-(2-ヒドロキシエチル)モルホリン、N-(2-ヒドロキシプロピル)モルホリン、1-(2-ヒドロキシエチル)ピロリジン、1-ピペラジンエタノール、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピロリドン、1-(3-ヒドロキシプロピル)-2-ピロリドン、N-(2-シアノエチル)-N-(2-ヒドロキシエチル)アニリン、N-エチル-N-2-ヒドロキヂエチル-m-トルイジン、1-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペラジン、4-(3-ヒドロキシプロピル)モルホリン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、N-t-ブチルジエタノールアミン、N-ブチルジオエタノールアミン、ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン、N-ラウリルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、N-フェニルジエタノールアミン、N-ベンジルジエタノールアミン、p-トルイルジエタノールアミン、m-トルイルジエタノールアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-クロロアニリン、N,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)アニリン、1-(2-ヒドロキシエチル)-4-(3-ヒドロキシプロピル)ピペリジン、4-ヒドロキシ-1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、3-モルホリノ-1,2-プロパンジオール、トリエタノールアミン、1-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-プロパノール、N-(3-アミノプロピル)ジエタノールアミン、4-ジメチルアミノブチロニトリル、3-ジメチルアミノプロピオニトリル、ジエチルアミノアセトニトリル、モルホリノアセトニトリル、N-(2-シアノエチル)モルホリン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N,N,N’-トリメチルエチレンジアミン、N,N-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、N,N,2,2,-テトラメチル-1,3-プロパンジアミン、N,N-ジエチルエチレンジアミン、N,N-ジエチル-N‘-メチルエチレンジアミン、N,N,N’-トリエチルエチレンジアミン、N,N-ジエチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N-ジイソプロピルエチレンジアミン、N,N-ジブチルエチレンジアミン、3-(ジブチルアミノ)プロピルアミン、2,2’-ジアミノ-N-メチルジエチルアミン、N,N’,N’’-トリメチルジエチレントリアミン、3,3‘-ジアミノ-N-メチルジプロピルアミン、トリス(2-アミノエチル)アミン、トリス(3-アミノプロピル)アミン、N-(3-アミノプロピル)モルホリン、及び4-(2-アミノエチル)モルホリンなどが挙げられる。
【0020】
一般式(1)で表される構造を有する活性エネルギー線重合開始剤の極大吸収波長(λmax)は、350nm以上であることが好ましく、360nm以上であることがより好ましく、370nm以上であることが更に好ましく、380nm以上であることが特に好ましい。また、450nm以下であることが好ましく、440nm以下であることがより好ましく、430nm以下であることが更に好ましく、420nm以上であることが特に好ましい。極大吸収波長(λmax)が上記範囲であることで、UV-LED光源から照射されるピーク波長領域が350nm以上400nm以下である活性エネルギー線に対して、一般式(1)で表される構造を有する活性エネルギー線重合開始剤が十分な感度を有することができるためである。また、活性エネルギー線重合開始剤の感度をより向上させるために、UV-LED光源から照射されるピーク波長領域は、360nm以上400nm以下であることが好ましく、380nm以上400nm以下であることがより好ましく、390nm以上400nm以下であることが更に好ましい。
活性エネルギー線重合開始剤の極大吸収波長(λmax)の測定方法としては、特に限定されないが、例えば、活性エネルギー線重合開始剤を50ppmの濃度で塩化メチレンに溶解させ、溶解液の吸収スペクトルを紫外可視近赤外分光光度V-680(日本分光(株)社製)により測定する方法等が挙げられる。
【0021】
一般式(1)で表される構造を有する活性エネルギー線重合開始剤は上記の通り水溶性を有する。これにより、一般式(1)で表される構造を有する活性エネルギー線重合開始剤は、水への溶解性を求められる用途において好適に用いることができる。
なお、本開示において「水溶性を有する」とは、イオン交換水とメタノールとを1:1の質量基準で混合した20℃の混合液に対して活性エネルギー線重合開始剤を加えたときに、活性エネルギー線重合開始剤が混合液の質量に対して1.5質量%以上溶解することを表し、5.0質量%以上溶解することが好ましい。
【0022】
<活性エネルギー線重合開始剤の製造方法>
本発明の活性エネルギー線重合開始剤は、少なくとも、下記一般式(2)で表されるチオキサントン化合物、フタル酸、及び3級アミンを用いて合成される。具体的には、活性エネルギー線重合開始剤の製造方法は、少なくとも、下記一般式(2)で表されるチオキサントン化合物およびフタル酸を反応させて中間体を得る第一の工程と、得られた中間体および3級アミンを反応させて上記一般式(1)で表される活性エネルギー線重合開始剤を得る第二の工程と、を有する。
【化5】
【0023】
一般式(2)中、Rは炭素数1以上3以下の炭化水素基又は炭素数1以上3以下のメトキシ基を表す。
【0024】
一般式(2)中、nは0以上3以下の整数を表す。
【0025】
一般式(2)中、Linkは-(CH-(OC-を表す。また、xは2以上12以下の整数を表し、yは0以上11以下の整数を表す。
【0026】
一般式(2)中、Zは3級アミンを表す。
【0027】
なお、フタル酸は、合成の容易性の観点から無水フタル酸であることが好ましい。
また、3級アミンは、一般式(1)のZで表される3級アミンと同様のものを用いることができる。
【0028】
<<活性エネルギー線硬化型組成物>>
活性エネルギー線硬化型組成物は、上記の一般式(1)で表される構造を有する活性エネルギー線重合開始剤と、重合生成物の所望の特性に応じて適宜選択される他の成分と、を含む。他の成分としては、特に限定されないが、例えば、重合性モノマー、一般式(1)以外の構造を有する重合開始剤、有機溶剤、水、界面活性剤、樹脂などが挙げられる。また、活性エネルギー線硬化型組成物を、活性エネルギー線硬化型インクとして用いる場合は、更に、必要に応じて色材を含んでもよい。
本開示において「活性エネルギー線硬化型組成物」とは、光などの活性エネルギー線を照射されることで硬化して硬化物を形成する液体組成物である。
【0029】
<一般式(1)で表される構造を有する活性エネルギー線重合開始剤>
活性エネルギー線硬化型組成物において、一般式(1)で表される構造を有する活性エネルギー線重合開始剤の含有量は、活性エネルギー線硬化型組成物の用途等によって適宜決定すればよいが、活性エネルギー線硬化型組成物の質量に対して1.0質量%以上30.0質量%以下が好ましく、5.0質量%以上15.0質量%以下がより好ましい。
【0030】
<重合性モノマー>
重合性モノマーとして、特に限定されないが、例えば、以下のような(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテルなどを使用することができる。
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、γ-ブチロラクトンアクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ホルマール化トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリル酸安息香酸エステル、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート〔CH2=CH-CO-(OC2H4)n-OCOCH=CH2(n≒4)〕、同(n≒9)、同(n≒14)、同(n≒23)、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート〔CH2=C(CH3)-CO-(OC3H6)n-OCOC(CH3)=CH2(n≒7)〕、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン、プロピレンオキサイド変性テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性グリセリルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルテトラ(メタ)アクリレート、ポリエステルペンタ(メタ)アクリレート、ポリエステルポリ(メタ)アクリレート、ポリウレタンジ(メタ)アクリレート、ポリウレタントリ(メタ)アクリレート、ポリウレタンテトラ(メタ)アクリレート、ポリウレタンペンタ(メタ)アクリレート、ポリウレタンポリ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルピロリドン、N-ビニルホルムアミド、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ジシクロペンタジエンビニルエーテル、トリシクロデカンビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、エチルオキセタンメチルビニルエーテルなど。
【0031】
活性エネルギー線硬化型組成物において、重合性モノマーの含有量は、活性エネルギー線硬化型組成物の用途等によって適宜決定すればよいが、活性エネルギー線硬化型組成物の質量に対して70.0質量%以上99.0質量%以下が好ましく、85.0質量%以上95.0質量%以下がより好ましい。
【0032】
<一般式(1)以外の構造を有する重合開始剤>
活性エネルギー線硬化型組成物は、一般式(1)以外の構造を有する重合開始剤を含有してもよい。重合開始剤としては、活性エネルギー線のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、重合性化合物(モノマーやオリゴマー)の重合を開始させることが可能なものであればよい。このような重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤やカチオン重合開始剤、塩基発生剤等を、1種単独もしくは2種以上を組み合わせて用いることができる。中でもラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルフォスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物など)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物などが挙げられる。
【0033】
活性エネルギー線硬化型組成物において、一般式(1)以外の構造を有する重合開始剤の含有量は、活性エネルギー線硬化型組成物の用途等によって適宜決定すればよいが、活性エネルギー線硬化型組成物の質量に対して0質量%以上5.0質量%以下が好ましい。
【0034】
なお、上記重合開始剤に加え、重合促進剤(増感剤)を併用することもできる。重合促進剤としては、特に限定されないが、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p-ジエチルアミノアセトフェノン、p-ジメチルアミノ安息香酸エチル、p-ジメチルアミノ安息香酸-2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルベンジルアミンおよび4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどのアミン化合物が好ましく、その含有量は、使用する重合開始剤やその量に応じて適宜設定すればよい。
【0035】
<有機溶剤>
活性エネルギー線硬化型組成物は、有機溶剤を含有してもよい。また、上記一般式(1)で表される活性エネルギー線重合開始剤が水溶性を示すため、親水性の有機溶剤と併用することも可能である。
【0036】
水溶性有機溶剤の具体例としては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、エチル-1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-ブタントリオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ε-カプロラクタム、γ-ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
【0037】
活性エネルギー線硬化型組成物において、有機溶剤の含有量は、活性エネルギー線硬化型組成物の用途等によって適宜決定すればよいが、活性エネルギー線硬化型組成物の質量に対して10.0質量%以上60.0質量%以下が好ましい。
【0038】
<水>
活性エネルギー線硬化型組成物は、上記一般式(1)で表される活性エネルギー線重合開始剤が水溶性を示すため、水を含有してもよい。活性エネルギー線硬化型組成物において、水の含有量は、活性エネルギー線硬化型組成物の用途等によって適宜決定すればよいが、活性エネルギー線硬化型組成物の質量に対して10.0質量%以上60.0質量%以下が好ましい。なお、本開示では、水の含有量が活性エネルギー線硬化型組成物の質量に対して15.0質量%以上であるものを水系の活性エネルギー線硬化型組成物と称する。また、水系の活性エネルギー線硬化型組成物は、水の含有量が活性エネルギー線硬化型組成物の質量に対して20.0質量%以上であることが好ましく、25.0質量%以上であることがより好ましい。更に、水系の活性エネルギー線硬化型組成物は、水及び水溶性有機溶剤の合計含有量が活性エネルギー線硬化型組成物の質量に対して30.0質量%以上であることが好ましく、40.0質量%以上であることがより好ましく、50.0質量%以上であることが更に好ましい。
【0039】
<界面活性剤>
活性エネルギー線硬化型組成物は、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。中でも高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(C
CHOH)等が挙げられる。
【0040】
活性エネルギー線硬化型組成物において、界面活性剤の含有量は、活性エネルギー線硬化型組成物の用途等によって適宜決定すればよいが、活性エネルギー線硬化型組成物の質量に対して1.0質量%以上5.0質量%以下が好ましい。
【0041】
<樹脂>
活性エネルギー線硬化型組成物は、樹脂を含有してもよい。また、樹脂は、樹脂粒子が水を分散媒として分散している樹脂エマルジョンを含有してもよい。
樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられる。また、これらは、1種を単独で用いても、2種類以上の樹脂粒子を組み合わせて用いてもよい。
【0042】
活性エネルギー線硬化型組成物において、樹脂の含有量は、活性エネルギー線硬化型組成物の用途等によって適宜決定すればよいが、活性エネルギー線硬化型組成物の質量に対して10.0質量%以上90.0質量%以下が好ましい。
【0043】
<色材>
活性エネルギー線硬化型組成物を活性エネルギー線硬化型インクとして用いる場合は、色材を含有してもよい。なお、活性エネルギー線硬化型組成物が色材を含有する場合、色材の種類と量に依存して色材が活性エネルギー線を吸収するため、それに合わせて活性エネルギー線重合開始剤の量を調整することが好ましい。
【0044】
色材としては特に限定されず、顔料、染料を使用可能である。顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、混晶を使用してもよい。
【0045】
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンダ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
【0046】
無機顔料として、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
【0047】
また、有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性のよいものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
【0048】
顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料があげられる。
【0049】
更に、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、等がある。
【0050】
染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー9,45,249、C.I.アシッドブラック1,2,24,94、C.I.フードブラック1,2、C.I.ダイレクトイエロー1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック3,4,35が挙げられる。
【0051】
活性エネルギー線硬化型組成物において、色材の含有量は、活性エネルギー線硬化型組成物の用途等によって適宜決定すればよいが、活性エネルギー線硬化型組成物の質量に対して1.0質量%以上15.0質量%以下が好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下がより好ましい。
【0052】
顔料を分散させて活性エネルギー線硬化型組成物を得るためには、顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法、顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法、分散剤を用いて分散させる方法、などが挙げられる。
顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、顔料(例えばカーボン)にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加することで、水中に分散可能とする方法が挙げられる。
顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能とする方法が挙げられる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、用いられる顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料が含まれてもよい。
分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。分散剤としては、顔料に応じて例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を使用することが可能である。竹本油脂社製RT-100(ノニオン系界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。分散剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0053】
<その他成分>
活性エネルギー線硬化型組成物は、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、及びpH調整剤等のその他成分を含有してもよい。
【0054】
-消泡剤-
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
【0055】
-防腐防黴剤-
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンなどが挙げられる。
【0056】
-防錆剤-
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0057】
-pH調整剤-
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
【0058】
<活性エネルギー線硬化型組成物の物性>
活性エネルギー線硬化型組成物の物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
活性エネルギー線硬化型組成物の25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE-80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
活性エネルギー線硬化型組成物の表面張力としては、活性エネルギー線硬化型組成物が付与される対象物上で好適にレベリングされ、乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
活性エネルギー線硬化型組成物のpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7~12が好ましく、8~11がより好ましい。
【0059】
<活性エネルギー線硬化型組成物の作製方法>
活性エネルギー線硬化型組成物は、上記の各種成分を用いて作製することができ、その調製手段や条件は特に限定されないが、例えば、重合性モノマー、顔料、分散剤等をボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミル、ダイノーミルなどの分散機に投入し、分散させて顔料分散液を調製し、当該顔料分散液にさらに重合性モノマー、活性エネルギー線重合開始剤、重合禁止剤、界面活性剤などを混合させることにより調製することができる。
【0060】
<<用途>>
活性エネルギー線硬化型組成物の用途は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、成形用樹脂、塗料、接着剤、絶縁材、離型剤、コーティング材、シーリング材、各種レジスト、各種光学材料などが挙げられる。
【0061】
また、活性エネルギー線硬化型組成物は、活性エネルギー線硬化型インクとして用いて2次元の文字や画像、各種基材への意匠塗膜を形成するだけでなく、3次元の立体像(立体造形物)を形成するための立体造形用材料としても用いることができる。この立体造形用材料は、例えば、粉体層の硬化と積層を繰り返して立体造形を行う粉体積層法において用いる粉体粒子同士のバインダーとして用いてもよい。また、図6図7に示すような積層造形法(光造形法)において用いる立体構成材料(モデル材)や支持部材(サポート材)として用いてもよい。なお、図6は、活性エネルギー線硬化型組成物を所定領域に吐出し、活性エネルギー線を照射して硬化させたものを順次積層して立体造形を行う方法であり(詳細後述)、図7は、活性エネルギー線硬化型組成物5の貯留プール(収容部)1に活性エネルギー線4を照射して所定形状の硬化層6を可動ステージ3上に形成し、これを順次積層して立体造形を行う方法である。
【0062】
活性エネルギー線硬化型組成物を用いて立体造形物を造形するための立体造形装置としては、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、活性エネルギー線硬化型組成物の収容手段、供給手段、吐出手段、及び活性エネルギー線照射手段等を備えるものが挙げられる。
【0063】
また、活性エネルギー線硬化型組成物を用いて造形される立体造形物には、活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させて得られた硬化物を加工して得られる成形加工品も含まれる。成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された硬化物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形することが必要な用途に好適に使用される。
【0064】
活性エネルギー線硬化型組成物が付与される基材としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、及びこれらの複合材料などが挙げられ、加工性の観点からはプラスチック基材が好ましい。
【0065】
<<収容容器>>
収容容器は、活性エネルギー線硬化型組成物が収容されている状態の容器を意味し、上記のような用途に供する際に好適である。例えば、活性エネルギー線硬化型組成物が活性エネルギー線硬化型インクである場合、収容容器は、インクカートリッジやインクボトルとして使用することができ、これにより、インク搬送やインク交換等の作業において、インクに直接触れる必要がなくなり、手指や着衣の汚れを防ぐことができる。また、活性エネルギー線硬化型インクへのごみ等の異物の混入を防止することができる。また、容器それ自体の形状や大きさ、材質等は、用途や使い方に適したものとすればよく、特に限定されないが、その材質は光を透過しない遮光性材料であるか、または容器が遮光性シート等で覆われていることが望ましい。
【0066】
<<像形成方法、像形成装置>>
像形成方法は、活性エネルギー線硬化型組成物を吐出する吐出工程と、吐出された活性エネルギー線硬化型組成物に対して活性エネルギー線を照射する活性エネルギー線照射工程と、を有する。このとき、活性エネルギー線は、上記の通り、350nm以上400nm以下の波長領域にピークを有することが好ましい。
また、像形成装置は、収容容器に収容されている活性エネルギー線硬化型組成物を吐出する吐出手段と、吐出された活性エネルギー線硬化型組成物に対して活性エネルギー線を照射する活性エネルギー線照射手段と、を有する。このとき、活性エネルギー線は、上記の通り、350nm以上400nm以下の波長領域にピークを有することが好ましい。
以下、活性エネルギー線硬化型組成物が活性エネルギー線硬化型インク(以下、単に「インク」とも称する)である場合を一例として像形成方法および像形成装置について説明する。
【0067】
図5は、インクジェット吐出手段を備えた像形成装置の一例である。イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の活性エネルギー線硬化型インクのインクカートリッジと吐出ヘッドとを備える各色印刷ユニット23a、23b、23c、23dにより、供給ロール21から供給された記録媒体22にインクが吐出される。その後、重合反応によりインクを硬化させるための光源24a、24b、24c、24dから活性エネルギー線を照射し、カラー画像を形成する。その後、記録媒体22は、加工ユニット25、印刷物巻取りロール26へと搬送される。各印刷ユニット23a、23b、23c、23dには、インク吐出部でインクが液状化するように、加温機構を設けてもよい。また必要に応じて、接触又は非接触により記録媒体を室温程度まで冷却する機構を設けてもよい。また、インクジェット記録方式としては、吐出ヘッド幅に応じて間欠的に移動する記録媒体に対し、ヘッドを移動させて記録媒体上にインクを吐出するシリアル方式や、連続的に記録媒体を移動させ、一定の位置に保持されたヘッドから記録媒体上にインクを吐出するライン方式のいずれであっても適用することができる。なお、本実施形態では吐出手段がインクジェット方式である場合を一例に説明したが、これに限られず、サーマル方式、静電方式等であってもよい。
記録媒体22は、特に限定されないが、紙、フィルム、セラミックスやガラス、金属、これらの複合材料等が挙げられ、シート状であってもよい。また片面印刷のみを可能とする構成であっても、両面印刷も可能とする構成であってもよい。一般的な記録媒体として用いられるものに限られず、ダンボール、壁紙や床材等の建材、コンクリート、Tシャツなど衣料用等の布、テキスタイル、皮革等を適宜使用することができる。
更に、光源24a、24b、24cからの活性エネルギー線照射を微弱にするか又は省略し、複数色を印刷した後に、光源24dから活性エネルギー線を照射してもよい。これにより、省エネ、低コスト化を図ることができる。
なお、インクにより形成される記録物(硬化物の一態様)としては、通常の紙や樹脂フィルムなどの平滑面に印刷されたものだけでなく、凹凸を有する被印刷面に印刷されたものや、金属やセラミックなどの種々の材料からなる被印刷面に印刷されたものも含む。また、2次元の画像を積層することで、一部に立体感のある画像(2次元と3次元からなる像)や立体物を形成することもできる。
【0068】
図6は、別の像形成装置(3次元立体像の形成装置)の一例を示す概略図である。図6の像形成装置39は、インクジェットヘッドを配列したヘッドユニット(AB方向に可動)を用いて、造形物用吐出ヘッドユニット30から第一の活性エネルギー線硬化型インクを、支持体用吐出ヘッドユニット31、32から第一の活性エネルギー線硬化型インクとは組成が異なる第二の活性エネルギー線硬化型インクを吐出し、隣接した紫外線照射手段33、34でこれら各組成物を重合しながら積層するものである。より具体的には、例えば、造形物支持基板37上に、第二の活性エネルギー線硬化型インクを支持体用吐出ヘッドユニット31、32から吐出し、活性エネルギー線を照射して硬化させて溜部を有する第一の支持体層を形成した後、当該溜部に第一の活性エネルギー線硬化型インクを造形物用吐出ヘッドユニット30から吐出し、活性エネルギー線を照射して固化させて第一の造形物層を形成する工程を、積層回数に合わせて、上下方向に可動なステージ38を下げながら複数回繰り返すことで、支持体層と造形物層を積層して立体造形物35を製作する。その後、必要に応じて支持体積層部36は除去される。なお、図6では、造形物用吐出ヘッドユニット30は1つしか設けていないが、2つ以上設けることもできる。
【実施例
【0069】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0070】
<活性エネルギー線重合開始剤前駆体の調製>
(合成例1)
100mLのフラスコに25mLのメチルエチルケトン(MEK)を入れ、2.29g(10.0mmol)の2-ヒドロキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(Chemieliva Pharmaceutical Co.,Ltd社製)、1.88g(15.0mmol)の2-ブロモエタノール(東京化成社製)、及び2.08g(15.0mmol)の炭酸カリウムを加え、10時間加熱環流した。室温まで冷却した後、50mLの酢酸エチルで希釈し、ろ紙でろ過した。ろ液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてトルエン/酢酸エチル(10/0~6/4(v/v))を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2.34gの2-(2-ヒドロキシエトキシ)-9H-チオキサンテン-9-オンを得た。
50mLのフラスコに20mLの超脱水ジクロロメタン(MDC)、及び0.445g(3.0mmol)の無水フタル酸を入れ、N気流下で溶解した。0.82g(3.0mmol)の2-(2-ヒドロキシエトキシ)-9H-チオキサンテン-9-オンを加え溶解した後、0.367g(3.0mmol)のジメチルアミノピリジンを加え、N気流下室温で24時間撹拌した。150mLのMDCを加え、150mLの塩水で3回洗浄した後、有機相を単離し、溶媒を留去した。残留物をトルエン/イソプロパノール(1/3(v/v))に加熱溶解し、再結晶化して0.96gの下式の活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX1)を得た。
【化6】
【0071】
(合成例2)
100mLのフラスコに25mLのMEKを入れ、2.29g(10.0mmol)の2-ヒドロキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(Chemieliva Pharmaceutical Co.,Ltd社製)、2.72g(15.0mmol)の6-ブロモヘキサノール(東京化成社製)、及び1.59g(15.0mmol)の炭酸カリウムを加え、10時間加熱環流した。室温まで冷却した後、50mLの酢酸エチルで希釈し、ろ紙でろ過した。ろ液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてトルエン/酢酸エチル(10/0~6/4(v/v))を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2.95gの2-(6-ヒドロキシヘキサノキシ)-9H-チオキサンテン-9-オンを得た。
50mLのフラスコに20mLの超脱水MDC、及び0.445g(3.0mmol)の無水フタル酸を入れ、N気流下で溶解した。0.99g(3.0mmol)の2-(6-ヒドロキシヘキサノキシ)-9H-チオキサンテン-9-オンを加え溶解した後、0.367g(3.0mmol)のジメチルアミノピリジンを加え、N気流下室温で24時間撹拌した。150mLのMDCを加え、150mLの塩水で3回洗浄した後、有機相を単離し、溶媒を留去した。残留物をトルエン/イソプロパノール(1/3(v/v))に加熱溶解し、再結晶化して1.19gの下式の活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX2)を得た。
【化7】
【0072】
(合成例3)
100mLのフラスコに25mLのMEKを入れ、2.29g(10.0mmol)の2-ヒドロキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(Chemieliva Pharmaceutical Co.,Ltd社製)、3.99g(15.0mmol)の12-ブロモドデカノール(東京化成社製)、及び2.08gの炭酸カリウム(15.0mmol)を加え、10時間加熱環流した。室温まで冷却した後、50mLの酢酸エチルで希釈し、ろ紙でろ過した。ろ液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてトルエン/酢酸エチル(10/0~6/4(v/v))を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、3.44gの2-(12-ヒドロキシドデカノキシ)-9H-チオキサンテン-9-オンを得た。
50mLのフラスコに20mLの超脱水MDC、及び0.445g(3.0mmol)の無水フタル酸を入れ、N気流下で溶解した。0.99g(3.0mmol)の2-(12-ヒドロキシドデカノキシ)-9H-チオキサンテン-9-オンを加え溶解した後、0.367g(3.0mmol)のジメチルアミノピリジンを加え、N気流下室温で24時間撹拌した。150mLのMDCを加え、150mLの塩水で3回洗浄した後、有機相を単離し、溶媒を留去した。残留物をトルエン/イソプロパノール(1/3(v/v))に加熱溶解し、再結晶化して1.46gの下式の活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX3)を得た。
【化8】
【0073】
(合成例4)
100mLのフラスコに25mLのMEKを入れ、2.29g(10.0mmol)の2-ヒドロキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(Chemieliva Pharmaceutical Co.,Ltd社製)、2.54g(15.0mmol)の2-(2-ブロモエトキシ)エタノール(AstaTech社製)、及び2.08gの炭酸カリウム(15.0mmol)を加え、10時間加熱環流した。室温まで冷却した後、ろ紙でろ過し、ろ液に30mLのMDC及び40mLのイオン交換水を加え、10分間撹拌した。有機相を単離し、溶媒を留去し、残留物を溶離液としてMDC/メタノール(100/0~95/5(v/v))を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2.44gの2-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ]-9H-チオキサンテン-9-オンを得た。
50mLのフラスコに20mLの超脱水MDC、及び0.445g(3.0mmol)の無水フタル酸を入れ、N気流下で溶解した。0.95g(3.0mmol)の2-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ]-9H-チオキサンテン-9-オンを加え、溶解した後、0.367g(3.0mmol)のジメチルアミノピリジンを加え、N気流下室温で24時間撹拌した。150mLのMDCを加え、150mLの塩水で3回洗浄した後、有機相を単離し、溶媒を留去した。残留物をトルエン/イソプロパノール(1/2(v/v))に加熱溶解し、再結晶化して、1.05gの下式の活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX4)を得た。
【化9】
【0074】
(合成例5)
100mLのフラスコに25mLのMEKを入れ、2.29g(10.0mmol)の2-ヒドロキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(Chemieliva Pharmaceutical Co.,Ltd社製)、5.20g(15.0mmol)の17-ブロモ-3,6,9,12,15-ペンタオキサヘプタデカン-1-オール(AstaTech社製)、及び2.08gの炭酸カリウム(15.0mmol)を加え、10時間加熱環流した。室温まで冷却した後、ろ紙でろ過し、ろ液に30mLのMDC及び40mLのイオン交換水を加え、10分間撹拌した。有機相を単離し、溶媒を留去し、残留物を溶離液としてMDC/メタノール(100/0~95/5(v/v))を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、3.88gの2-[2-(2-(2-(2-(2-(2ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ]-9H-チオキサンテン-9-オンを得た。
50mLのフラスコに20mLの超脱水MDC、及び0.445g(3.0mmol)の無水フタル酸を入れ、N気流下で溶解した。1.48g(3.0mmol)の2-[2-(2-(2-(2-(2-(2ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ]-9H-チオキサンテン-9-オンを加え、溶解した後、0.367g(3.0mmol)のジメチルアミノピリジンを加え、N気流下室温で24時間撹拌した。150mLのMDCを加え、150mLの塩水で3回洗浄した後、有機相を単離し、溶媒を留去した。残留物をトルエン/イソプロパノール(1/2(v/v))に加熱溶解し、再結晶化して、1.43gの下式の活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX5)を得た。
【化10】
【0075】
(合成例6)
100mLのフラスコに25mLのMEKを入れ、2.29g(10.0mmol)の2-ヒドロキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(Chemieliva Pharmaceutical Co.,Ltd社製)、9.17g(15.0mmol)の35-ブロモ-3,6,9,12,15,21,24,27,30,33-ウンデカオキサペンタトリアコンタン-1-オール(Acrotein ChemBio社製)、及び2.08gの炭酸カリウム(15.0mmol)を加え、10時間加熱環流した。室温まで冷却した後、ろ紙でろ過し、ろ液に30mLのMDC及び40mLのイオン交換水を加え、10分間撹拌した。有機相を単離し、溶媒を留去し、残留物を溶離液としてMDC/メタノール(100/0~95/5(v/v))を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、5.71gの2-[2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ]-9H-チオキサンテン-9-オンを得た。
50mLのフラスコに20mLの超脱水MDC、及び0.445g(3.0mmol)の無水フタル酸を入れ、N気流下で溶解した。2.27g(3.0mmol)の2-[2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ]-9H-チオキサンテン-9-オンを加え、溶解した後、0.367g(3.0mmol)のジメチルアミノピリジンを加え、N気流下室温で24時間撹拌した。150mLのMDCを加え、150mLの塩水で3回洗浄した後、有機相を単離し、溶媒を留去した。残留物をトルエン/イソプロパノール(1/2(v/v))に加熱溶解し、再結晶化して、1.95gの下式の活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX6)を得た。
【化11】
【0076】
(合成例7)
100mLのフラスコに25mLのMEKを入れ、2.43g(10.0mmol)の2-ヒドロキシ-1-メチル-9H-チオキサンテン-9-オン(Chemieliva Pharmaceutical Co.,Ltd社製)、2.30g(15.0mmol)の4-ブロモブタノール(東京化成社製)、及び2.08g(15.0mmol)の炭酸カリウムを加え、10時間加熱環流した。室温まで冷却した後、50mLの酢酸エチルで希釈し、ろ紙でろ過した。ろ液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてトルエン/酢酸エチル(10/0~6/4(v/v))を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2.63gの2-(4-ヒドロキシブタノキシ)-1-メチル-9H-チオキサンテン-9-オンを得た。
50mLのフラスコに20mLの超脱水MDC、及び0.445g(3.0mmol)の無水フタル酸を入れ、N気流下で溶解した。0.95g(3.0mmol)の2-(4-ヒドロキシブタノキシ)-1-メチル-9H-チオキサンテン-9-オンを加え溶解した後、0.367g(3.0mmol)のジメチルアミノピリジンを加え、N気流下室温で24時間撹拌した。150mLのMDCを加え、150mLの塩水で3回洗浄した後、有機相を単離し、溶媒を留去した。残留物をトルエン/イソプロパノール(1/3(v/v))に加熱溶解し、再結晶化して1.11gの下式の活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX7)を得た。
【化12】
【0077】
(合成例8)
100mLのフラスコに25mLのMEKを入れ、2.43g(10.0mmol)の2-ヒドロキシ-3-メチル-9H-チオキサンテン-9-オン(Chemieliva Pharmaceutical Co.,Ltd社製)、2.30g(15.0mmol)の4-ブロモブタノール(東京化成社製)、及び2.08g(15.0mmol)の炭酸カリウムを加え、10時間加熱環流した。室温まで冷却した後、50mLの酢酸エチルで希釈し、ろ紙でろ過した。ろ液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてトルエン/酢酸エチル(10/0~6/4(v/v))を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2.55gの2-(4-ヒドロキシブタノキシ)-3-メチル-9H-チオキサンテン-9-オンを得た。
50mLのフラスコに20mLの超脱水MDC、及び0.445g(3.0mmol)の無水フタル酸を入れ、N気流下で溶解した。0.95g(3.0mmol)の2-(4-ヒドロキシブタノキシ)-3-メチル-9H-チオキサンテン-9-オンを加え溶解した後、0.367g(3.0mmol)のジメチルアミノピリジンを加え、N気流下室温で24時間撹拌した。150mLのMDCを加え、150mLの塩水で3回洗浄した後、有機相を単離し、溶媒を留去した。残留物をトルエン/イソプロパノール(1/3(v/v))に加熱溶解し、再結晶化して1.21gの下式の活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX8)を得た。
【化13】
【0078】
(合成例9)
100mLのフラスコに25mLのMEKを入れ、2.43g(10.0mmol)の2-ヒドロキシ-4-メチル-9H-チオキサンテン-9-オン(Chemieliva Pharmaceutical Co.,Ltd社製)、2.30g(15.0mmol)の4-ブロモブタノール(東京化成社製)、及び2.08g(15.0mmol)の炭酸カリウムを加え、10時間加熱環流した。室温まで冷却した後、50mLの酢酸エチルで希釈し、ろ紙でろ過した。ろ液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてトルエン/酢酸エチル(10/0~6/4(v/v))を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2.48gの2-(4-ヒドロキシブタノキシ)-4-メチル-9H-チオキサンテン-9-オンを得た。
50mLのフラスコに20mLの超脱水MDC、及び0.445g(3.0mmol)の無水フタル酸を入れ、N気流下で溶解した。0.95g(3.0mmol)の2-(4-ヒドロキシブタノキシ)-4-メチル-9H-チオキサンテン-9-オンを加え溶解した後、0.367g(3.0mmol)のジメチルアミノピリジンを加え、N気流下室温で24時間撹拌した。150mLのMDCを加え、150mLの塩水で3回洗浄した後、有機相を単離し、溶媒を留去した。残留物をトルエン/イソプロパノール(1/3(v/v))に加熱溶解し、再結晶化して1.16gの下式の活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX9)を得た。
【化14】
【0079】
(合成例10)
100mLのフラスコに25mLのMEKを入れ、2.71g(10.0mmol)の2-ヒドロキシ-4-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン(Chemieliva Pharmaceutical Co.,Ltd社製)、2.30g(15.0mmol)の4-ブロモブタノール(東京化成社製)、及び2.08g(15.0mmol)の炭酸カリウムを加え、10時間加熱環流した。室温まで冷却した後、50mLの酢酸エチルで希釈し、ろ紙でろ過した。ろ液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてトルエン/酢酸エチル(10/0~6/4(v/v))を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、3.06gの2-(4-ヒドロキシブタノキシ)-4-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オンを得た。
50mLのフラスコに20mLの超脱水MDC、及び0.445g(3.0mmol)の無水フタル酸を入れ、N気流下で溶解した。1.03g(3.0mmol)の2-(4-ヒドロキシブタノキシ)-4-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オンを加え溶解した後、0.367g(3.0mmol)のジメチルアミノピリジンを加え、N気流下室温で24時間撹拌した。150mLのMDCを加え、150mLの塩水で3回洗浄した後、有機相を単離し、溶媒を留去した。残留物をトルエン/イソプロパノール(1/3(v/v))に加熱溶解し、再結晶化して1.15gの下式の活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX10)を得た。
【化15】
【0080】
(合成例11)
100mLのフラスコに25mLのMEKを入れ、2.57g(10.0mmol)の2-ヒドロキシ-1,3-ジメチル-9H-チオキサンテン-9-オン(Chemieliva Pharmaceutical Co.,Ltd社製)、2.30g(15.0mmol)の4-ブロモブタノール(東京化成社製)、及び2.08g(15.0mmol)の炭酸カリウムを加え、10時間加熱環流した。室温まで冷却した後、50mLの酢酸エチルで希釈し、ろ紙でろ過した。ろ液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてトルエン/酢酸エチル(10/0~6/4(v/v))を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2.85gの2-(4-ヒドロキシブタノキシ)-1,3-ジメチル-9H-チオキサンテン-9-オンを得た。
50mLのフラスコに20mLの超脱水MDC、及び0.445g(3.0mmol)の無水フタル酸を入れ、N気流下で溶解した。0.99g(3.0mmol)の2-(4-ヒドロキシブタノキシ)-1,3-ジメチル-9H-チオキサンテン-9-オンを加え溶解した後、0.367g(3.0mmol)のジメチルアミノピリジンを加え、N気流下室温で24時間撹拌した。150mLのMDCを加え、150mLの塩水で3回洗浄した後、有機相を単離し、溶媒を留去した。残留物をトルエン/イソプロパノール(1/3(v/v))に加熱溶解し、再結晶化して1.27gの下式の活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX11)を得た。
【化16】
【0081】
(合成例12)
100mLのフラスコに25mLのMEKを入れ、2.57g(10.0mmol)の2-ヒドロキシ-1,4-ジメチル-9H-チオキサンテン-9-オン(Chemieliva Pharmaceutical Co.,Ltd社製)、2.30g(15.0mmol)の4-ブロモブタノール(東京化成社製)、及び2.08g(15.0mmol)の炭酸カリウムを加え、10時間加熱環流した。室温まで冷却した後、50mLの酢酸エチルで希釈し、ろ紙でろ過した。ろ液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてトルエン/酢酸エチル(10/0~6/4(v/v))を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2.79gの2-(4-ヒドロキシブタノキシ)-1,4-ジメチル-9H-チオキサンテン-9-オンを得た。
50mLのフラスコに20mLの超脱水MDC、及び0.445g(3.0mmol)の無水フタル酸を入れ、N気流下で溶解した。0.99g(3.0mmol)の2-(4-ヒドロキシブタノキシ)-1,4-ジメチル-9H-チオキサンテン-9-オンを加え溶解した後、0.367g(3.0mmol)のジメチルアミノピリジンを加え、N気流下室温で24時間撹拌した。150mLのMDCを加え、150mLの塩水で3回洗浄した後、有機相を単離し、溶媒を留去した。残留物をトルエン/イソプロパノール(1/3(v/v))に加熱溶解し、再結晶化して1.20gの下式の活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX12)を得た。
【化17】
【0082】
(合成例13)
100mLのフラスコに25mLのMEKを入れ、2.57g(10.0mmol)の2-ヒドロキシ-3,4-ジメチル-9H-チオキサンテン-9-オン(Chemieliva Pharmaceutical Co.,Ltd社製)、2.30g(15.0mmol)の4-ブロモブタノール(東京化成社製)、及び2.08g(15.0mmol)の炭酸カリウムを加え、10時間加熱環流した。室温まで冷却した後、50mLの酢酸エチルで希釈し、ろ紙でろ過した。ろ液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてトルエン/酢酸エチル(10/0~6/4(v/v))を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2.88gの2-(4-ヒドロキシブタノキシ)-3,4-ジメチル-9H-チオキサンテン-9-オンを得た。
50mLのフラスコに20mLの超脱水MDC、及び0.445g(3.0mmol)の無水フタル酸を入れ、N気流下で溶解した。0.99g(3.0mmol)の2-(4-ヒドロキシブタノキシ)-3,4-ジメチル-9H-チオキサンテン-9-オンを加え溶解した後、0.367g(3.0mmol)のジメチルアミノピリジンを加え、N気流下室温で24時間撹拌した。150mLのMDCを加え、150mLの塩水で3回洗浄した後、有機相を単離し、溶媒を留去した。残留物をトルエン/イソプロパノール(1/3(v/v))に加熱溶解し、再結晶化して1.09gの下式の活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX13)を得た。
【化18】
【0083】
(合成例14)
100mLのフラスコに25mLのMEKを入れ、2.71g(10.0mmol)の2-ヒドロキシ-1,3,4-トリメチル-9H-チオキサンテン-9-オン(Chemieliva Pharmaceutical Co.,Ltd社製)、2.30g(15.0mmol)の4-ブロモブタノール(東京化成社製)、及び2.08g(15.0mmol)の炭酸カリウムを加え、10時間加熱環流した。室温まで冷却した後、50mLの酢酸エチルで希釈し、ろ紙でろ過した。ろ液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてトルエン/酢酸エチル(10/0~6/4(v/v))を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2.98gの2-(4-ヒドロキシブタノキシ)-1,3,4-トリメチル-9H-チオキサンテン-9-オンを得た。
50mLのフラスコに20mLの超脱水MDC、及び0.445g(3.0mmol)の無水フタル酸を入れ、N気流下で溶解した。1.03g(3.0mmol)の2-(4-ヒドロキシブタノキシ)-1,3,4-トリメチル-9H-チオキサンテン-9-オンを加え溶解した後、0.367g(3.0mmol)のジメチルアミノピリジンを加え、N気流下室温で24時間撹拌した。150mLのMDCを加え、150mLの塩水で3回洗浄した後、有機相を単離し、溶媒を留去した。残留物をトルエン/イソプロパノール(1/3(v/v))に加熱溶解し、再結晶化して1.22gの下式の活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX14)を得た。
【化19】
【0084】
(合成例15)
100mLのフラスコに25mのMEKを入れ、2.29g(10.0mmol)の3-ヒドロキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(Chemieliva Pharmaceutical Co.,Ltd社製)、1.88g(15.0mmol)の2-ブロモエタノール(東京化成社製)、及び2.08g(15.0mmol)の炭酸カリウムを加え、10時間加熱環流した。室温まで冷却した後、50mLの酢酸エチルで希釈し、ろ紙でろ過した。ろ液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてトルエン/酢酸エチル(10/0~6/4(v/v))を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2.21gの3-(2-ヒドロキシエトキシ)-9H-チオキサンテン-9-オンを得た。
50mLのフラスコに20mLの超脱水ジクロロメタン(MDC)、及び0.445g(3.0mmol)の無水フタル酸を入れ、N気流下で溶解した。0.82g(3.0mmol)の3-(2-ヒドロキシエトキシ)-9H-チオキサンテン-9-オンを加え溶解した後、0.367g(3.0mmol)のジメチルアミノピリジンを加え、N気流下室温で24時間撹拌した。150mLのMDCを加え、150mLの塩水で3回洗浄した後、有機相を単離し、溶媒を留去した。残留物をトルエン/イソプロパノール(1/3(v/v))に加熱溶解し、再結晶化して0.91gの下式の活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX15)を得た。
【化20】
【0085】
(合成例16)
100mLのフラスコに25mLのMEKを入れ、2.29g(10.0mmol)の3-ヒドロキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(Chemieliva Pharmaceutical Co.,Ltd社製)、3.99g(15.0mmol)の12-ブロモドデカノール(東京化成社製)、及び2.08gの炭酸カリウム(15.0mmol)を加え、10時間加熱環流した。室温まで冷却した後、50mLの酢酸エチルで希釈し、ろ紙でろ過した。ろ液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてトルエン/酢酸エチル(10/0~6/4(v/v))を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、3.50gの3-(12-ヒドロキシドデカノキシ)-9H-チオキサンテン-9-オンを得た。
50mLのフラスコに20mLの超脱水MDC、及び0.445g(3.0mmol)の無水フタル酸を入れ、N気流下で溶解した。0.99g(3.0mmol)の3-(12-ヒドロキシドデカノキシ)-9H-チオキサンテン-9-オンを加え溶解した後、0.367g(3.0mmol)のジメチルアミノピリジンを加え、N気流下室温で24時間撹拌した。150mLのMDCを加え、150mLの塩水で3回洗浄した後、有機相を単離し、溶媒を留去した。残留物をトルエン/イソプロパノール(1/3(v/v))に加熱溶解し、再結晶化して1.40gの下式の活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX16)を得た。
【化21】
【0086】
(合成例17)
100mLのフラスコに25mLのMEKを入れ、2.29g(10.0mmol)の3-ヒドロキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(Chemieliva Pharmaceutical Co.,Ltd社製)、2.54g(15.0mmol)の2-(2-ブロモエトキシ)エタノール(AstaTech社製)、及び2.08gの炭酸カリウム(15.0mmol)を加え、10時間加熱環流した。室温まで冷却した後、ろ紙でろ過し、ろ液に30mLのMDC及び40mLのイオン交換水を加え、10分間撹拌した。有機相を単離し、溶媒を留去し、残留物を溶離液としてMDC/メタノール(100/0~95/5(v/v))を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2.39gの3-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ]-9H-チオキサンテン-9-オンを得た。
50mLのフラスコに20mLの超脱水MDC、及び0.445g(3.0mmol)の無水フタル酸を入れ、N気流下で溶解した。0.95g(3.0mmol)の3-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ]-9H-チオキサンテン-9-オンを加え、溶解した後、0.367g(3.0mmol)のジメチルアミノピリジンを加え、N気流下室温で24時間撹拌した。150mLのMDCを加え、150mLの塩水で3回洗浄した後、有機相を単離し、溶媒を留去した。残留物をトルエン/イソプロパノール(1/2(v/v))に加熱溶解し、再結晶化して、1.11gの下式の活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX17)を得た。
【化22】
【0087】
(合成例18)
100mLのフラスコに25mLのMEKを入れ、2.29g(10.0mmol)の3-ヒドロキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(Chemieliva Pharmaceutical Co.,Ltd社製)、9.17g(15.0mmol)の35-ブロモ-3,6,9,12,15,21,24,27,30,33-ウンデカオキサペンタトリアコンタン-1-オール(Acrotein ChemBio社製)、及び2.08gの炭酸カリウム(15.0mmol)を加え、10時間加熱環流した。室温まで冷却した後、ろ紙でろ過し、ろ液に30mLのMDC及び40mLのイオン交換水を加え、10分間撹拌した。有機相を単離し、溶媒を留去し、残留物を溶離液としてMDC/メタノール(100/0~95/5(v/v))を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、5.45gの3-[2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ]-9H-チオキサンテン-9-オンを得た。
50mLのフラスコに20mLの超脱水MDC、及び0.445g(3.0mmol)の無水フタル酸を入れ、N気流下で溶解した。2.27g(3.0mmol)の3-[2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ]-9H-チオキサンテン-9-オンを加え、溶解した後、0.367g(3.0mmol)のジメチルアミノピリジンを加え、N気流下室温で24時間撹拌した。150mLのMDCを加え、150mLの塩水で3回洗浄した後、有機相を単離し、溶媒を留去した。残留物をトルエン/イソプロパノール(1/2(v/v))に加熱溶解し、再結晶化して、1.86gの下式の活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX18)を得た。
【化23】
【0088】
(合成例19)
100mLのフラスコに25mLのMEKを入れ、2.43g(10.0mmol)の3-ヒドロキシ-1-メチル-9H-チオキサンテン-9-オン(Aurora Fine Chemicals社製)、2.30g(15.0mmol)の4-ブロモブタノール(東京化成社製)、及び2.08g(15.0mmol)の炭酸カリウムを加え、10時間加熱環流した。室温まで冷却した後、50mLの酢酸エチルで希釈し、ろ紙でろ過した。ろ液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてトルエン/酢酸エチル(10/0~6/4(v/v))を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2.55gの3-(4-ヒドロキシブタノキシ)-1-メチル-9H-チオキサンテン-9-オンを得た。
50mLのフラスコに20mLの超脱水MDC、及び0.445g(3.0mmol)の無水フタル酸を入れ、N気流下で溶解した。0.95g(3.0mmol)の3-(4-ヒドロキシブタノキシ)-1-メチル-9H-チオキサンテン-9-オンを加え溶解した後、0.367g(3.0mmol)のジメチルアミノピリジンを加え、N気流下室温で24時間撹拌した。150mLのMDCを加え、150mLの塩水で3回洗浄した後、有機相を単離し、溶媒を留去した。残留物をトルエン/イソプロパノール(1/3(v/v))に加熱溶解し、再結晶化して1.01gの下式の活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX19)を得た。
【化24】
【0089】
(合成例20)
100mLのフラスコに25mLのMEKを入れ、2.29g(10.0mmol)の4-ヒドロキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(Chemieliva Pharmaceutical Co.,Ltd社製)、1.88g(15.0mmol)の2-ブロモエタノール(東京化成社製)、及び2.08g(15.0mmol)の炭酸カリウムを加え、10時間加熱環流した。室温まで冷却した後、50mLの酢酸エチルで希釈し、ろ紙でろ過した。ろ液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてトルエン/酢酸エチル(10/0~6/4(v/v))を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2.11gの4-(2-ヒドロキシエトキシ)-9H-チオキサンテン-9-オンを得た。
50mLのフラスコに20mLの超脱水ジクロロメタン(MDC)、及び0.445g(3.0mmol)の無水フタル酸を入れ、N気流下で溶解した。0.82g(3.0mmol)の4-(2-ヒドロキシエトキシ)-9H-チオキサンテン-9-オンを加え溶解した後、0.367g(3.0mmol)のジメチルアミノピリジンを加え、N気流下室温で24時間撹拌した。150mLのMDCを加え、150mLの塩水で3回洗浄した後、有機相を単離し、溶媒を留去した。残留物をトルエン/イソプロパノール(1/3(v/v))に加熱溶解し、再結晶化して1.02gの下式の活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX20)を得た。
【化25】
【0090】
(合成例21)
100mLのフラスコに25mLのMEKを入れ、2.29g(10.0mmol)の4-ヒドロキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(Chemieliva Pharmaceutical Co.,Ltd社製)、3.99g(15.0mmol)の12-ブロモドデカノール(東京化成社製)、及び2.08gの炭酸カリウム(15.0mmol)を加え、10時間加熱環流した。室温まで冷却した後、50mLの酢酸エチルで希釈し、ろ紙でろ過した。ろ液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてトルエン/酢酸エチル(10/0~6/4(v/v))を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、3.45gの4-(12-ヒドロキシドデカノキシ)-9H-チオキサンテン-9-オンを得た。
50mLのフラスコに20mLの超脱水MDC、及び0.445g(3.0mmol)の無水フタル酸を入れ、N気流下で溶解した。0.99g(3.0mmol)の4-(12-ヒドロキシドデカノキシ)-9H-チオキサンテン-9-オンを加え溶解した後、0.367g(3.0mmol)のジメチルアミノピリジンを加え、N気流下室温で24時間撹拌した。150mLのMDCを加え、150mLの塩水で3回洗浄した後、有機相を単離し、溶媒を留去した。残留物をトルエン/イソプロパノール(1/3(v/v))に加熱溶解し、再結晶化して1.35gの下式の活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX21)を得た。
【化26】
【0091】
(合成例22)
100mLのフラスコに25mLのMEKを入れ、2.29g(10.0mmol)の4-ヒドロキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(Chemieliva Pharmaceutical Co.,Ltd社製)、2.54g(15.0mmol)の2-(2-ブロモエトキシ)エタノール(AstaTech社製)、及び2.08gの炭酸カリウム(15.0mmol)を加え、10時間加熱環流した。室温まで冷却した後、ろ紙でろ過し、ろ液に30mLのMDC及び40mLのイオン交換水を加え、10分間撹拌した。有機相を単離し、溶媒を留去し、残留物を溶離液としてMDC/メタノール(100/0~95/5(v/v))を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2.49gの4-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ]-9H-チオキサンテン-9-オンを得た。
50mLのフラスコに20mLの超脱水MDC、及び0.445g(3.0mmol)の無水フタル酸を入れ、N気流下で溶解した。0.95g(3.0mmol)の4-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ]-9H-チオキサンテン-9-オンを加え、溶解した後、0.367g(3.0mmol)のジメチルアミノピリジンを加え、N気流下室温で24時間撹拌した。150mLのMDCを加え、150mLの塩水で3回洗浄した後、有機相を単離し、溶媒を留去した。残留物をトルエン/イソプロパノール(1/2(v/v))に加熱溶解し、再結晶化して、1.01gの下式の活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX22)を得た。
【化27】
【0092】
(合成例23)
100mLのフラスコに25mLのMEKを入れ、2.29g(10.0mmol)の4-ヒドロキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(Chemieliva Pharmaceutical Co.,Ltd社製)、9.17g(15.0mmol)の35-ブロモ-3,6,9,12,15,21,24,27,30,33-ウンデカオキサペンタトリアコンタン-1-オール(Acrotein ChemBio社製)、及び2.08gの炭酸カリウム(15.0mmol)を加え、10時間加熱環流した。室温まで冷却した後、ろ紙でろ過し、ろ液に30mLのMDC及び40mLのイオン交換水を加え、10分間撹拌した。有機相を単離し、溶媒を留去し、残留物を溶離液としてMDC/メタノール(100/0~95/5(v/v))を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、5.62gの4-[2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ]-9H-チオキサンテン-9-オンを得た。
50mLのフラスコに20mLの超脱水MDC、及び0.445g(3.0mmol)の無水フタル酸を入れ、N気流下で溶解した。2.27g(3.0mmol)の4-[2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ]-9H-チオキサンテン-9-オンを加え、溶解した後、0.367g(3.0mmol)のジメチルアミノピリジンを加え、N気流下室温で24時間撹拌した。150mLのMDCを加え、150mLの塩水で3回洗浄した後、有機相を単離し、溶媒を留去した。残留物をトルエン/イソプロパノール(1/2(v/v))に加熱溶解し、再結晶化して、1.88gの下式の活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX23)を得た。
【化28】
【0093】
(合成例24)
100mLのフラスコに25mLのMEKを入れ、2.43g(10.0mmol)の4-ヒドロキシ-1-メチル-9H-チオキサンテン-9-オン(Chemieliva Pharmaceutical Co.,Ltd社製)、2.30g(15.0mmol)の4-ブロモブタノール(東京化成社製)、及び2.08g(15.0mmol)の炭酸カリウムを加え、10時間加熱環流した。室温まで冷却した後、50mLの酢酸エチルで希釈し、ろ紙でろ過した。ろ液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてトルエン/酢酸エチル(10/0~6/4(v/v))を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2.43gの4-(4-ヒドロキシブタノキシ)-1-メチル-9H-チオキサンテン-9-オンを得た。
50mLのフラスコに20mLの超脱水MDC、及び0.445g(3.0mmol)の無水フタル酸を入れ、N気流下で溶解した。0.95g(3.0mmol)の4-(4-ヒドロキシブタノキシ)-1-メチル-9H-チオキサンテン-9-オンを加え溶解した後、0.367g(3.0mmol)のジメチルアミノピリジンを加え、N気流下室温で24時間撹拌した。150mLのMDCを加え、150mLの塩水で3回洗浄した後、有機相を単離し、溶媒を留去した。残留物をトルエン/イソプロパノール(1/3(v/v))に加熱溶解し、再結晶化して0.92gの下式の活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX24)を得た。
【化29】
【0094】
(合成例25)
100mLのフラスコに25mLのMEKを入れ、2.59g(10.0mmol)の4-ヒドロキシ-1-メトキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(Chemieliva Pharmaceutical Co.,Ltd社製)、2.30g(15.0mmol)の4-ブロモブタノール(東京化成社製)、及び2.08g(15.0mmol)の炭酸カリウムを加え、10時間加熱環流した。室温まで冷却した後、50mLの酢酸エチルで希釈し、ろ紙でろ過した。ろ液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてトルエン/酢酸エチル(10/0~6/4(v/v))を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2.51gの4-(4-ヒドロキシブタノキシ)-1-メトキシ-9H-チオキサンテン-9-オンを得た。
50mLのフラスコに20mLの超脱水MDC、及び0.445g(3.0mmol)の無水フタル酸を入れ、N気流下で溶解した。0.95g(3.0mmol)の4-(4-ヒドロキシブタノキシ)-1-メトキシ-9H-チオキサンテン-9-オンを加え溶解した後、0.367g(3.0mmol)のジメチルアミノピリジンを加え、N気流下室温で24時間撹拌した。150mLのMDCを加え、150mLの塩水で3回洗浄した後、有機相を単離し、溶媒を留去した。残留物をトルエン/イソプロパノール(1/3(v/v))に加熱溶解し、再結晶化して1.11gの下式の活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX25)を得た。
【化30】
【0095】
(合成例26)
100mLのフラスコに25mLのMEKを入れ、2.57g(10.0mmol)の4-ヒドロキシ-1,2-ジメチル-9H-チオキサンテン-9-オン(Chemieliva Pharmaceutical Co.,Ltd社製)、2.30g(15.0mmol)の4-ブロモブタノール(東京化成社製)、及び2.08g(15.0mmol)の炭酸カリウムを加え、10時間加熱環流した。室温まで冷却した後、50mLの酢酸エチルで希釈し、ろ紙でろ過した。ろ液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてトルエン/酢酸エチル(10/0~6/4(v/v))を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2.65gの4-(4-ヒドロキシブタノキシ)-1,3-ジメチル-9H-チオキサンテン-9-オンを得た。
50mLのフラスコに20mLの超脱水MDC、及び0.445g(3.0mmol)の無水フタル酸を入れ、N気流下で溶解した。0.99g(3.0mmol)の4-(4-ヒドロキシブタノキシ)-1,2-ジメチル-9H-チオキサンテン-9-オンを加え溶解した後、0.367g(3.0mmol)のジメチルアミノピリジンを加え、N気流下室温で24時間撹拌した。150mLのMDCを加え、150mLの塩水で3回洗浄した後、有機相を単離し、溶媒を留去した。残留物をトルエン/イソプロパノール(1/3(v/v))に加熱溶解し、再結晶化して1.09gの下式の活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX26)を得た。
【化31】
【0096】
(合成例27)
100mLのフラスコに25mLのMEKを入れ、2.57g(10.0mmol)の2-ヒドロキシ-1,3-ジメチル-9H-チオキサンテン-9-オン(Chemieliva Pharmaceutical Co.,Ltd社製)、2.30g(15.0mmol)の4-ブロモブタノール(東京化成社製)、及び2.08g(15.0mmol)の炭酸カリウムを加え、10時間加熱環流した。室温まで冷却した後、50mLの酢酸エチルで希釈し、ろ紙でろ過した。ろ液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてトルエン/酢酸エチル(10/0~6/4(v/v))を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2.72gの4-(4-ヒドロキシブタノキシ)-1,3-ジメチル-9H-チオキサンテン-9-オンを得た。
50mLのフラスコに20mLの超脱水MDC、及び0.445g(3.0mmol)の無水フタル酸を入れ、N気流下で溶解した。0.99g(3.0mmol)の4-(4-ヒドロキシブタノキシ)-1,3-ジメチル-9H-チオキサンテン-9-オンを加え溶解した後、0.367g(3.0mmol)のジメチルアミノピリジンを加え、N気流下室温で24時間撹拌した。150mLのMDCを加え、150mLの塩水で3回洗浄した後、有機相を単離し、溶媒を留去した。残留物をトルエン/イソプロパノール(1/3(v/v))に加熱溶解し、再結晶化して1.12gの下式の活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX27)を得た。
【化32】
【0097】
(合成例28)
100mLのフラスコに25mLのMEKを入れ、2.29g(10.0mmol)の1-ヒドロキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(Chemieliva Pharmaceutical Co.,Ltd社製)、1.88g(15.0mmol)の2-ブロモエタノール(東京化成社製)、及び2.08g(15.0mmol)の炭酸カリウムを加え、10時間加熱環流した。室温まで冷却した後、50mLの酢酸エチルで希釈し、ろ紙でろ過した。ろ液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてトルエン/酢酸エチル(10/0~6/4(v/v))を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2.22gの1-(2-ヒドロキシエトキシ)-9H-チオキサンテン-9-オンを得た。
50mLのフラスコに20mLの超脱水ジクロロメタン(MDC)、及び0.445g(3.0mmol)の無水フタル酸を入れ、N気流下で溶解した。0.82g(3.0mmol)の1-(2-ヒドロキシエトキシ)-9H-チオキサンテン-9-オンを加え溶解した後、0.367g(3.0mmol)のジメチルアミノピリジンを加え、N気流下室温で24時間撹拌した。150mLのMDCを加え、150mLの塩水で3回洗浄した後、有機相を単離し、溶媒を留去した。残留物をトルエン/イソプロパノール(1/3(v/v))に加熱溶解し、再結晶化して0.89gの下式の活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX28)を得た。
【化33】
【0098】
(合成例29)
100mLのフラスコに25mLのMEKを入れ、2.29g(10.0mmol)の1-ヒドロキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(Chemieliva Pharmaceutical Co.,Ltd社製)、3.99g(15.0mmol)の12-ブロモドデカノール(東京化成社製)、及び2.08gの炭酸カリウム(15.0mmol)を加え、10時間加熱環流した。室温まで冷却した後、50mLの酢酸エチルで希釈し、ろ紙でろ過した。ろ液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてトルエン/酢酸エチル(10/0~6/4(v/v))を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、3.58gの1-(12-ヒドロキシドデカノキシ)-9H-チオキサンテン-9-オンを得た。
50mLのフラスコに20mLの超脱水MDC、及び0.445g(3.0mmol)の無水フタル酸を入れ、N気流下で溶解した。0.99g(3.0mmol)の1-(12-ヒドロキシドデカノキシ)-9H-チオキサンテン-9-オンを加え溶解した後、0.367g(3.0mmol)のジメチルアミノピリジンを加え、N気流下室温で24時間撹拌した。150mLのMDCを加え、150mLの塩水で3回洗浄した後、有機相を単離し、溶媒を留去した。残留物をトルエン/イソプロパノール(1/3(v/v))に加熱溶解し、再結晶化して1.41gの下式の活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX29)を得た。
【化34】
【0099】
(合成例30)
100mLのフラスコに25mLのMEKを入れ、2.29g(10.0mmol)の1-ヒドロキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(Chemieliva Pharmaceutical Co.,Ltd社製)、2.54g(15.0mmol)の2-(2-ブロモエトキシ)エタノール(AstaTech社製)、及び2.08gの炭酸カリウム(15.0mmol)を加え、10時間加熱環流した。室温まで冷却した後、ろ紙でろ過し、ろ液に30mLのMDC及び40mLのイオン交換水を加え、10分間撹拌した。有機相を単離し、溶媒を留去し、残留物を溶離液としてMDC/メタノール(100/0~95/5(v/v))を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2.28gの1-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ]-9H-チオキサンテン-9-オンを得た。
50mLのフラスコに20mLの超脱水MDC、及び0.445g(3.0mmol)の無水フタル酸を入れ、N気流下で溶解した。0.95g(3.0mmol)の1-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ]-9H-チオキサンテン-9-オンを加え、溶解した後、0.367g(3.0mmol)のジメチルアミノピリジンを加え、N気流下室温で24時間撹拌した。150mLのMDCを加え、150mLの塩水で3回洗浄した後、有機相を単離し、溶媒を留去した。残留物をトルエン/イソプロパノール(1/2(v/v))に加熱溶解し、再結晶化して、1.12gの下式の活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX30)を得た。
【化35】
【0100】
(合成例31)
100mLのフラスコに25mLのMEKを入れ、2.29g(10.0mmol)の1-ヒドロキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(Chemieliva Pharmaceutical Co.,Ltd社製)、9.17g(15.0mmol)の35-ブロモ-3,6,9,12,15,21,24,27,30,33-ウンデカオキサペンタトリアコンタン-1-オール(Acrotein ChemBio社製)、及び2.08gの炭酸カリウム(15.0mmol)を加え、10時間加熱環流した。室温まで冷却した後、ろ紙でろ過し、ろ液に30mLのMDC及び40mLのイオン交換水を加え、10分間撹拌した。有機相を単離し、溶媒を留去し、残留物を溶離液としてMDC/メタノール(100/0~95/5(v/v))を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、5.45gの1-[2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ]-9H-チオキサンテン-9-オンを得た。
50mLのフラスコに20mLの超脱水MDC、及び0.445g(3.0mmol)の無水フタル酸を入れ、N気流下で溶解した。2.27g(3.0mmol)の1-[2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(2-(ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ]-9H-チオキサンテン-9-オンを加え、溶解した後、0.367g(3.0mmol)のジメチルアミノピリジンを加え、N気流下室温で24時間撹拌した。150mLのMDCを加え、150mLの塩水で3回洗浄した後、有機相を単離し、溶媒を留去した。残留物をトルエン/イソプロパノール(1/2(v/v))に加熱溶解し、再結晶化して、1.73gの下式の活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX31)を得た。
【化36】
【0101】
(合成例32)
100mLのフラスコに25mLのMEKを入れ、2.43g(10.0mmol)の1-ヒドロキシ-3-メチル-9H-チオキサンテン-9-オン(Chemieliva Pharmaceutical Co.,Ltd社製)、2.30g(15.0mmol)の4-ブロモブタノール(東京化成社製)、及び2.08g(15.0mmol)の炭酸カリウムを加え、10時間加熱環流した。室温まで冷却した後、50mLの酢酸エチルで希釈し、ろ紙でろ過した。ろ液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてトルエン/酢酸エチル(10/0~6/4(v/v))を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2.69gの1-(4-ヒドロキシブタノキシ)-3-メチル-9H-チオキサンテン-9-オンを得た。
50mLのフラスコに20mLの超脱水MDC、及び0.445g(3.0mmol)の無水フタル酸を入れ、N気流下で溶解した。0.95g(3.0mmol)の1-(4-ヒドロキシブタノキシ)-3-メチル-9H-チオキサンテン-9-オンを加え溶解した後、0.367g(3.0mmol)のジメチルアミノピリジンを加え、N気流下室温で24時間撹拌した。150mLのMDCを加え、150mLの塩水で3回洗浄した後、有機相を単離し、溶媒を留去した。残留物をトルエン/イソプロパノール(1/3(v/v))に加熱溶解し、再結晶化して1.18gの下式の活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX32)を得た。
【化37】
【0102】
(合成例33)
100mLのフラスコに25mLのMEKを入れ、2.59g(10.0mmol)の1-ヒドロキシ-4-メトキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(Chemieliva Pharmaceutical Co.,Ltd社製)、2.30g(15.0mmol)の4-ブロモブタノール(東京化成社製)、及び2.08g(15.0mmol)の炭酸カリウムを加え、10時間加熱環流した。室温まで冷却した後、50mLの酢酸エチルで希釈し、ろ紙でろ過した。ろ液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてトルエン/酢酸エチル(10/0~6/4(v/v))を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2.44gの1-(4-ヒドロキシブタノキシ)-4-メトキシ-9H-チオキサンテン-9-オンを得た。
50mLのフラスコに20mLの超脱水MDC、及び0.445g(3.0mmol)の無水フタル酸を入れ、N気流下で溶解した。0.95g(3.0mmol)の1-(4-ヒドロキシブタノキシ)-4-メトキシ-9H-チオキサンテン-9-オンを加え溶解した後、0.367g(3.0mmol)のジメチルアミノピリジンを加え、N気流下室温で24時間撹拌した。150mLのMDCを加え、150mLの塩水で3回洗浄した後、有機相を単離し、溶媒を留去した。残留物をトルエン/イソプロパノール(1/3(v/v))に加熱溶解し、再結晶化して1.00gの下式の活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX33)を得た。
【化38】
【0103】
(合成例34)
100mLのフラスコに25mLのMEKを入れ、2.57g(10.0mmol)の1-ヒドロキシ-2,4-ジメチル-9H-チオキサンテン-9-オン(Chemieliva Pharmaceutical Co.,Ltd社製)、2.30g(15.0mmol)の4-ブロモブタノール(東京化成社製)、及び2.08g(15.0mmol)の炭酸カリウムを加え、10時間加熱環流した。室温まで冷却した後、50mLの酢酸エチルで希釈し、ろ紙でろ過した。ろ液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてトルエン/酢酸エチル(10/0~6/4(v/v))を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2.71gの1-(4-ヒドロキシブタノキシ)-2,4-ジメチル-9H-チオキサンテン-9-オンを得た。
50mLのフラスコに20mLの超脱水MDC、及び0.445g(3.0mmol)の無水フタル酸を入れ、N気流下で溶解した。0.99g(3.0mmol)の1-(4-ヒドロキシブタノキシ)-2,4-ジメチル-9H-チオキサンテン-9-オンを加え溶解した後、0.367g(3.0mmol)のジメチルアミノピリジンを加え、N気流下室温で24時間撹拌した。150mLのMDCを加え、150mLの塩水で3回洗浄した後、有機相を単離し、溶媒を留去した。残留物をトルエン/イソプロパノール(1/3(v/v))に加熱溶解し、再結晶化して1.17gの下式の活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX34)を得た。
【化39】
【0104】
(合成例35)
100mLのフラスコに25mLのMEKを入れ、2.57g(10.0mmol)の1-ヒドロキシ-3,4-ジメチル-9H-チオキサンテン-9-オン(Chemieliva Pharmaceutical Co.,Ltd社製)、2.30g(15.0mmol)の4-ブロモブタノール(東京化成社製)、及び2.08g(15.0mmol)の炭酸カリウムを加え、10時間加熱環流した。室温まで冷却した後、50mLの酢酸エチルで希釈し、ろ紙でろ過した。ろ液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてトルエン/酢酸エチル(10/0~6/4(v/v))を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2.81gの1-(4-ヒドロキシブタノキシ)-3,4-ジメチル-9H-チオキサンテン-9-オンを得た。
50mLのフラスコに20mLの超脱水MDC、及び0.445g(3.0mmol)の無水フタル酸を入れ、N気流下で溶解した。0.99g(3.0mmol)の1-(4-ヒドロキシブタノキシ)-3,4-ジメチル-9H-チオキサンテン-9-オンを加え溶解した後、0.367g(3.0mmol)のジメチルアミノピリジンを加え、N気流下室温で24時間撹拌した。150mLのMDCを加え、150mLの塩水で3回洗浄した後、有機相を単離し、溶媒を留去した。残留物をトルエン/イソプロパノール(1/3(v/v))に加熱溶解し、再結晶化して1.08gの下式の活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX35)を得た。
【化40】
【0105】
(合成例36)
100mLのフラスコに25mLのMEKを入れ、2.57g(10.0mmol)の1-ヒドロキシ-2-メトキシ-4-メチル-9H-チオキサンテン-9-オン(Chemieliva Pharmaceutical Co.,Ltd社製)、2.30g(15.0mmol)の4-ブロモブタノール(東京化成社製)、及び2.08g(15.0mmol)の炭酸カリウムを加え、10時間加熱環流した。室温まで冷却した後、50mLの酢酸エチルで希釈し、ろ紙でろ過した。ろ液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてトルエン/酢酸エチル(10/0~6/4(v/v))を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、3.01gの1-(4-ヒドロキシブタノキシ)-2-メトキシ-4-メチル-9H-チオキサンテン-9-オンを得た。
50mLのフラスコに20mLの超脱水MDC、及び0.445g(3.0mmol)の無水フタル酸を入れ、N気流下で溶解した。0.99g(3.0mmol)の1-(4-ヒドロキシブタノキシ)- 2-メトキシ-4-メチル-9H-チオキサンテン-9-オンを加え溶解した後、0.367g(3.0mmol)のジメチルアミノピリジンを加え、N気流下室温で24時間撹拌した。150mLのMDCを加え、150mLの塩水で3回洗浄した後、有機相を単離し、溶媒を留去した。残留物をトルエン/イソプロパノール(1/3(v/v))に加熱溶解し、再結晶化して1.14gの下式の活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX36)を得た。
【化41】
【0106】
上記の合成した活性エネルギー線重合開始剤前駆体を表1にまとめた。
【0107】
【表1】
【0108】
(比較合成例1)
4.57g(20mmol)の2-ヒドロキシチオキサントン、5.99g(24mmol)の1-ブロモドデカン、及び4.15gの炭酸カリウムを60mLのMEKに加え、10時間加熱環流した後、冷却した。得られた反応溶液を600mLの酢酸エチルで希釈し、ろ紙でろ過した。ろ液を濃縮し、残留物を溶離液としてトルエンを用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、活性エネルギー線重合開始剤(Ref-1)として6.98gの2-ドデシルオキシチオキサントンを得た。
【化42】
【0109】
(比較合成例2)
3.97g(20mmol)の2-ヒドロキシベンゾフェノン(富士フィルム和光純薬社製)、5.90(24mmol)の12-ブロモドデカン(東京化成社製)、及び4.15gの炭酸カリウムを60mLのメチルエチルケトンに加え、10時間加熱還流した後、室温まで冷却した。得られた反応溶液をろ紙でろ過した。ろ液を濃縮し、残留物を溶離液としてトルエンを用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、活性エネルギー線重合開始剤(Ref-2)として6.32gの(2-(ドデシルオキシ)フェニル)(フェニル)メタノンを得た。
【化43】
【0110】
<活性エネルギー線重合開始剤の調製>
(実施例1~7)
活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX1)と、三級アミン(Z)として2-(ジメチルアミノ)エタノール(Z1)、2-(ジメチルアミノ)-1-プロパノール(Z2)、2-(ジエチルアミノ)エタノール(Z3)、2-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]エタノール(Z4)、N-メチルジエタノールアミン(Z5)、N-エチルジエタノールアミン(Z6)、又は1-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-プロパノール(Z7)とを、それぞれ等モル量で混合することにより、実施例1~7の活性エネルギー線重合開始剤(TX1-Z1)、(TX1-Z2)、(TX1-Z3)、(TX1-Z4)、(TX1-Z5)、(TX1-Z6)及び(TX1-Z7)を得た。
【0111】
(実施例8~9)
活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX2)又は(TX3)と、三級アミン(Z)として2-(ジメチルアミノ)エタノール(Z1)とを、それぞれ等モル量で混合することにより、実施例8~9の活性エネルギー線重合開始剤(TX2-Z1)、及び(TX3-Z1)を得た。
【0112】
(実施例10~16)
活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX4)と、三級アミン(Z)として2-(ジメチルアミノ)エタノール(Z1)、2-(ジメチルアミノ)-1-プロパノール(Z2)、2-(ジエチルアミノ)エタノール(Z3)、2-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]エタノール(Z4)、N-メチルジエタノールアミン(Z5)、N-エチルジエタノールアミン(Z6)、又は1-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-プロパノール(Z7)とを、それぞれ等モル量で混合することにより、実施例10~16の活性エネルギー線重合開始剤(TX4-Z1)、(TX4-Z2)、(TX4-Z3)、(TX4-Z4)、(TX4-Z5)、(TX4-Z6)及び(TX4-Z7)を得た。
【0113】
(実施例17~48)
活性エネルギー線重合開始剤前駆体(TX5)~(TX36)と、三級アミン(Z)として2-(ジメチルアミノ)エタノール(Z1)とを、それぞれ等モル量で混合することにより、実施例17~48の活性エネルギー線重合開始剤(TX5-Z1)~(TX36-Z1)を得た。
【0114】
(比較例1~3)
比較合成例1により得られた活性エネルギー線重合開始剤(Ref-1)を比較例1の活性エネルギー線重合開始剤とした。
比較合成例2により得られた活性エネルギー線重合開始剤(Ref-2)を比較例2の活性エネルギー線重合開始剤とした。
2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン(東京化成社製、活性エネルギー線重合開始剤(Ref-3)とする)を比較例3の活性エネルギー線重合開始剤とした。
【0115】
<活性エネルギー線重合開始剤の評価>
[吸収スペクトル]
活性エネルギー線重合開始剤TX1-Z1を50ppmの濃度で塩化メチレンに溶解し、吸収スペクトルを紫外可視近赤外分光光度V-680(日本分光(株)社製)により測定した。結果を図1に示す。
また、活性エネルギー線重合開始剤Ref-1、Ref-2、及びRef-3の吸収スペクトルを、上記と同様に測定した。結果をそれぞれ図2図3、及び図4に示す。
【0116】
図1及び図2より、活性エネルギー線重合開始剤TX1-Z1及び活性エネルギー線重合開始剤Ref-1は、400nm以下の波長の光を十分に吸収し、活性エネルギー線重合開始剤として365nm、385nm、及び395nmのLED光源に対応していることを確認した。
【0117】
一方、図3より、活性エネルギー線重合開始剤Ref-2は、400nm以下の光を吸収するが、活性エネルギー線重合開始剤TX1-Z1より著しく弱く、活性エネルギー線重合開始剤として365nm、385nm、及び395nmのLED光源に対応していないことを確認した。
また、図4より、活性エネルギー線重合開始剤Ref-3は、350nm以上の光を全く吸収せず、活性エネルギー線重合開始剤として365nm、385nm、及び395nmのLED光源に対応していないことを確認した。
【0118】
[反応性(感度)]
365nmのUV-LED照射装置(LIGHTINGCURETM LC-L1、浜松ホトニクス社製)、385nmのUV-LED照射装置(UV-LED LIGHT SOURCE EXECURE-H-1VCII、HOYA社製)、又は395nmのUV-LED照射装置(JOL-1205AIT)を備えた、高感度型示差走査熱量計(DSC7020、SIIナノテクノロジー(株)社製)を用いて、活性エネルギー線重合開始剤の機能を評価した。
実施例1~48の活性エネルギー線重合開始剤(TX1-Z1~TX36-Z1)又は比較例1~3の活性エネルギー線重合開始剤(Ref-1~Ref-3)と、N-ビニルアセトアミド(東京化成社製)と、イオン交換水と、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミドと、を、5:35:30:30の質量基準で混合し、得られた混合物の10mgをアルミニウム製パン上に秤量し、20mW/cmの365nm、385nm、又は395nmの紫外線を室温で30秒間照射して、最大発熱量(Hmax[mW/mg])と最大発熱量になるまでの時間(Tmax[sec])を測定した。
表2に示した結果から、実施例の活性エネルギー線重合開始剤は、比較例の活性エネルギー線重合開始剤と比較して、各波長の紫外線に適用できることが明らかとなった。
【0119】
[水溶性]
イオン交換水とメタノールとを1:1の質量基準で混合した溶液に、実施例1~48の活性エネルギー線重合開始剤(TX1-Z1~TX36-Z1)又は比較例1~3の活性エネルギー線重合開始剤(Ref-1~Ref-3)を加えて、水溶性を評価し、以下のように判定した。
A:混合溶液に対して、5質量%以上溶解する
B:混合溶液に対して、1.5質量%以上5質量%未満溶解する
C:混合溶液に対して、0.5質量%以上1.5質量%未満溶解する
D:混合溶液に対して、0.5質量%未満溶解する
表2に示した結果から、実施例の活性エネルギー線重合開始剤は、比較例の活性エネルギー線重合開始剤と比較して、水溶性が高いことが明らかとなった。
【0120】
【表2】
【0121】
なお、表2において、Z1は2-(ジメチルアミノ)エタノール、Z2は2-(ジメチルアミノ)-1-プロパノール、Z3は2-(ジエチルアミノ)エタノール、Z4は2-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]エタノール、Z5はN-メチルジエタノールアミン、Z6はN-エチルジエタノールアミン、Z7は1-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-プロパノールである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0122】
【文献】特許第6318111号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7