(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】気相化学反応器およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
C23C 16/52 20060101AFI20240708BHJP
B01J 19/18 20060101ALI20240708BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240708BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
C23C16/52
B01J19/18
H01L21/31 C
C23C16/455
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019104195
(22)【出願日】2019-06-04
【審査請求日】2022-05-20
(32)【優先日】2018-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【氏名又は名称】田村 義行
(72)【発明者】
【氏名】アンティ・ユハニ・ニスカネン
【審査官】今井 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-014952(JP,A)
【文献】特開2013-042077(JP,A)
【文献】特開2017-157705(JP,A)
【文献】特開2009-209435(JP,A)
【文献】特開2017-183393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/52
B01J 19/18
H01L 21/31
C23C 16/455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気相化学反応器であって、
基材を処理するための反応チャンバと、
前記基材を受ける開口部および前記開口部をシールするバルブを備える充填/取出チャンバと、
前記基材を受けるために上面を有するサセプタであって、前記サセプタが前記充填/取出チャンバ内で可動であり、前記サセプタの上面が、前記基材が処理位置にある時に前記反応チャンバの底部の少なくとも一部を画定するサセプタと、
前記充填/取出チャンバを排気するための真空源と、
前駆体送達プロセスおよび排気プロセスを制御するための制御器であって、前記制御器が、前記制御器が以下の:
前記サセプタが前記処理位置にある間、
前記充填/取出チャンバを前記真空源で排気しながら、前記反応チャンバに前駆体を提供し、前記反応チャンバへの前記前駆体の流れを止め、浸漬期間の間、前記前駆体を前記反応チャンバ内に保持するステップと、
前記浸漬期間後、前記サセプタを前記充填/取出チャンバ内に移動させることによって前記反応チャンバを排気するステップと、を実行することを可能にするようにプログラムされるメモリを備える制御器と、
前記充填/取出チャンバの内面で前記開口部の鉛直上方に設けられるガイドであって、前記反応チャンバの排気中に、前記反応チャンバからのガスの流れを前記バルブから遠ざけるように導くために、前記内面から前記充填/取出チャンバへ外側に延びる傾斜面または曲面を含むガイドと、を備える、気相化学反応器。
【請求項2】
前記バルブのプレートに連結されて前記バルブを保護するための保護シールドをさらに備える、請求項1に記載の気相化学反応器。
【請求項3】
不活性ガス源をさらに備え、前記不活性ガス源からの不活性ガスが前記充填/取出チャンバの内側壁と前記保護シールドの表面との間に提供される、請求項2に記載の気相化学反応器。
【請求項4】
前記サセプタを動かすためのシャフトおよび前記シャフトの少なくとも一部の周りに保護カバーをさらに備える、請求項1に記載の気相化学反応器。
【請求項5】
前記保護カバーがベローズを備える、請求項4に記載の気相化学反応器。
【請求項6】
前記基材が処理位置にある時に、シールが前記反応チャンバと前記充填/取出チャンバとの間に形成される、請求項1に記載の気相化学反応器。
【請求項7】
前記充填/取出チャンバの内部容積と前記反応チャンバの内部容積の比が5:1より大きい、請求項1に記載の気相化学反応器。
【請求項8】
前記サセプタを前記充填/取出チャンバに移動するステップが、前記基材を前記反応チャンバ内の第一の圧力よりも低い前記充填/取出チャンバの第二の圧力に曝露することを含む、請求項1に記載の気相化学反応器。
【請求項9】
前記バルブが開位置から閉位置へと移動する時に、前記保護シールドが前記充填/取出チャンバの内側壁に触れない、請求項2に記載の気相化学反応器。
【請求項10】
請求項1に記載の気相化学反応器を含むシステム。
【請求項11】
ダイレクトプラズマ装置をさらに備える、請求項
10に記載のシステム。
【請求項12】
リモートプラズマ装置をさらに備える、請求項
11に記載のシステム。
【請求項13】
シャワーヘッドガス分配装置をさらに備える、請求項
12に記載のシステム。
【請求項14】
前記基材を前記気相化学反応器外から前記開口部を通して前記サセプタに搬送するロボットアームをさらに備える、請求項
10に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に気相装置およびプロセスに関する。より具体的には、本開示の例示的な実施形態は、前駆体浸漬用途に適した気相化学反応器、このような反応器を含むシステム、ならびに反応器およびシステムの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
気相化学反応器は、基材の表面上に材料を堆積および/またはエッチングするためなどの様々な用途に使用することができる。典型的な気相化学反応器は、反応チャンバと、基材を受けるように開き、基材処理中に閉じるゲートバルブと、反応チャンバに連結された一つまたは複数のガス源とを含む。
【0003】
基材処理中に、一つまたは複数の前駆体が反応チャンバに流れ、材料を基材表面上に堆積させ、かつ/または基材表面上の材料と反応して材料をエッチングする。一般的に、基材処理中に、ガスの流れは定常状態に達し、連続的である、すなわち、一定期間後、ガスが反応チャンバに導入されると、未反応のガスおよび任意の気体副産物が反応チャンバから連続的に除去される。
【0004】
例として、典型的な原子層堆積(ALD)プロセスの間、ステップ中に未反応の第一の前駆体および/または第一の前駆体の任意の気体副産物が取り除かれるように、第一の前駆体はある期間またはステップの連続的な方法で反応チャンバに提供される。これにより、前駆体がステップ中に基材の表面全体に流れるのを容易にする。その後、パージステップ中に過剰な前駆体および/または副産物をさらに除去するために、基材を減圧および/またはパージガスに曝露する。これらのステップは、所望の厚さのフィルムが得られるまで、同じおよび/または追加的な前駆体に対して必要に応じて繰り返すことができる。
【0005】
このような技術は一部の用途に対して比較的良好であるが、他の用途では、基材処理中に一つまたは複数の前駆体を連続的に流すことで、望ましくない特性を有する未反応の前駆体、望ましくない長い基材処理時間、および/またはフィルムの無駄を生じ得る。さらに、こうした技術を使用することで、一部の反応を促進するために望ましい濃度、部分圧力、および/または絶対反応チャンバの圧力を得ることが困難であり得る。例えば、いくつかのALDプロセス(例えば、SAM.24(空気液体)をシリコン前駆体として使用することで、前駆体は迅速に初期成長速度飽和レベルに達することができるが、比較的長いパルス時間であっても、前駆体は一般的な前駆体の分圧における完全な成長速度飽和度に達しない可能性があり、したがって、堆積したフィルムの成長速度は所望よりも低くてもよい。他のプロセスでは、所望の速度での反応を促進するために、一つまたは複数の前駆体の比較的高濃度/部分圧力が望ましい(例えば、TiCl4およびNH3からのTiNの堆積の場合、NH3は、副産物が望ましくない/中毒の種を生成する前に、膜形成反応を完了させるために、比較的高い濃度または部分圧力を有することが望ましい)。こうした高い部分圧力は、典型的な反応器で達成するのが困難であり得る。さらに、自己組織化単分子層の形成は、比較的長い曝露時間および/または所望のフィルム特性を達成するための比較的高い前駆体濃度/部分圧力を必要とすることができ、こうした条件は典型的な反応器で得ることが困難であり得る。さらに、化学気相反応器は、基材表面全体にガスを均一に分配するために比較的高価なガス分配装置を用いることがよくあるが、こうした設計は、前駆体が基材表面を横切って連続的に流れる時に望ましい場合がある。従って、気相化学処理のための改善された装置および方法が望まれる。
【0006】
この節において提供される問題の考察は、本発明に関する文脈を提供する目的のみに本開示に含まれており、本発明がなされた時点での考察の一部またはすべてが既知であるとの承認として取られるべきではない。
【発明の概要】
【0007】
本開示の様々な実施形態は、気相化学反応器の反応チャンバ内の一つまたは複数の前駆体の拡張滞留時間、部分圧力、および/または絶対圧力を提供できる装置および方法を提供する。以下により詳細に記載されるように、様々なシステムおよび方法により、従来の装置および方法と比較して、比較的少ない前駆体の使用および排出が可能になり、基材を処理するのに関連する費用を低減することができる。例示的なシステムおよび方法はまた、高い成長速度および/または他に起こり得ない反応の促進を容易にすることができる。追加的または代替的に、例示的な実施形態は、気相化学反応器内の反応領域またはチャンバからのガスの比較的急速なポンピング/排気を提供することができる。さらに、一部の例示的なシステムおよび方法は、望ましいプロセスの均一性を達成するために比較的高価なガス分配装置の使用を必要としない。
【0008】
本開示の少なくとも一つの例示的な実施形態によると、気相化学反応器は、基材を処理するための反応チャンバと、基材およびバルブ(例えば、ゲートバルブ)を受けて開口部をシールするための開口部を備える充填/取出チャンバと、基材を受けるための上面を有するサセプタであって、サセプタが充填/取出チャンバ内で可動であり、サセプタの上面が基材が処理位置にある時に反応チャンバの底部の少なくとも一部を画定するサセプタと、充填/取出チャンバを排気するための真空源とを含む。気相化学反応器は、例えば、前駆体送達プロセスおよび排気プロセスを制御する制御器をさらに含むことができる。制御器が以下のステップを実行できるようにプログラムされているメモリを備えた制御器。サセプタが処理位置にある間に充填/取出チャンバを排気しながら、前駆体を反応チャンバに供給するステップ、前駆体の流れを止めるステップ、サセプタを充填/取出チャンバ内に移動させることによって反応チャンバを排気するステップ。さらに、気相化学反応器は、バルブを保護するための保護シールド(例えば、プレート)を含み得る。保護シールドはバルブに取り付けることができる。これらの実施形態の様々な態様によれば、保護シールドは、ゲートバルブの少なくとも上面を越えて延在する。さらなる例示的な態様によれば、気相化学反応器は、不活性ガス源を含み、不活性ガス源からの不活性ガスは、充填/取出チャンバの内側壁と保護シールドの表面との間に提供される。気相化学反応器はまた、サセプタに連結された可動なシャフトを含むことができる。これらの場合、気相化学反応器は、充填/取出チャンバの底部内の可動なシャフトの少なくとも一部およびシャフト開口部の周りに保護カバー(例えば、ベローズ)を含むことができる。以下でより詳細に論じるように、様々な例によると、反応チャンバおよび充填/取出チャンバの容積は、反応チャンバの急速なポンピングを促進するように構成され得る。例えば、反応チャンバの内部容積の充填/取出チャンバの内部容積に対する体積比は、約1:5~約1:160、約1:10~約1:80、または約1:20~約1:60の範囲であり得る。本明細書に記載の気相化学反応器は、シャワーヘッドガス分配装置を含むことができる。少なくとも一部の事例では、例示的な気相化学反応器は、シャワーヘッドガス分配装置または類似の装置を含まない場合があり、従って他の気相化学反応器より複雑でなく、かつ/または安価である場合がある。さらなる態様によれば、気相化学反応器は、反応チャンバから充填/取出チャンバへ、例えば、パージステップの間にガスの流れを導くためのガイドを含む。ガイドは、充填/取出チャンバの壁に接触する反応チャンバからのガスを軽減するようにさらに構成され得る。これらの場合、気相化学反応器は保護シールドを含まない場合がある。
【0009】
本開示の追加的かつ例示的な実施形態によると、システムは、本明細書に記載される気相化学反応器などの気相化学反応器と、真空源、一つまたは複数の前駆体源、一つまたは複数のパージガス源、一つまたは複数のキャリアガス源、搬送またはロボットアームなどの一つまたは複数の他の構成要素とを含む。
【0010】
本開示のなおもさらなる例示的な実施形態によると、方法(例えば、基材を処理するための)は、サセプタを充填/取出位置から処理位置へと移動するステップと、サセプタが処理位置にある間に、反応チャンバに前駆体を提供するステップと(例えば、真空を提供することによって、または充填/取出チャンバ内の真空を維持することによって、充填取出チャンバを排気することによって)、前駆体の流れを止めるステップと、サセプタを充填/取出チャンバ内に移動させるステップとを含む。基材が充填/取出チャンバに移動する時、基材は、例えば、第一の圧力よりも低い第二の圧力に暴露され得る。方法はさらに、バルブを開き基材を受けるステップ、バルブを閉じて開口部をシールするステップ、および/またはバルブを保護シールドで保護するステップをさらに含み得る。追加的にまたは代替的に、方法は、前駆体を提供するステップのすべてまたは一部の間にキャリアガスを提供することを含み得る。
【0011】
前述の発明の概要および以下の発明を実施するための形態は、例示および説明のみであり、本開示も請求項に係わる発明も限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本開示の実施形態のより完全な理解は、以下の例示的な図面に関連して考慮される場合、発明を実施するための形態および特許請求の範囲を参照することによって得られることができる。
【0013】
【
図1】
図1は、本開示の少なくとも一つの実施形態による充填/取出位置における気相化学反応器を含むシステムを示す。
【
図2】
図2は、本開示の少なくとも一つの実施形態による処理位置における気相化学反応器を含むシステムを示す。
【
図3】
図3は、本開示の少なくとも一つの実施形態によるパージ位置における気相化学反応器を含むシステムの一部を示す。
【
図4】
図4は、本開示の少なくとも一つの実施形態によるバルブおよび保護シールドを示す。
【
図5】
図5は、本開示の少なくとも一つの実施形態による方法を示す。
【
図6】
図6は、本開示の少なくとも一つの実施形態による圧力線図を示す。
【
図7】
図7は、本開示の少なくとも一つの実施形態による気相化学反応器を含む別のシステムの一部を示す。
【0014】
図面の要素は、簡潔かつ明瞭にするために例示されており、必ずしも縮尺通りに描かれていないことが理解されよう。例えば、図面中のいくつかの要素の寸法は、本開示の例示された実施形態の理解の向上に役立つために、他の要素に対して誇張されてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0015】
下記に提供される反応器、システム、および方法の例示的な実施形態の記述は、単に例示であって、また説明のみを意図しており、下記の記述は本開示または特許請求の範囲を限定することを意図したものではない。更に、記載された特徴を有する複数の実施形態の列挙は、追加の特徴を有する他の実施形態も、記載された特徴の異なる組み合わせを組み込む他の実施形態をも排除することを意図していない。
【0016】
本開示に示された任意の範囲は、終点を含む、または除外することができる。更に、示された変数の任意の値は(それらが「約」で示されているか否かにかかわらず)、正確な値またはおおよその値を指し、等価物を含み、平均値、中央値、代表値、または大多数等を指してもよい。
【0017】
本明細書で使用される場合、前駆体は化学反応に関与する一つまたは複数のガスを指す。化学反応は、気相中および/または気相と基材の表面の間および/または基材の表面上の種において行われ得る。
【0018】
本明細書に記載されるシステム、反応器、および方法は、例えば、反応チャンバ内の一つまたは複数の前駆体などの一つまたは複数のガスの比較的高濃度、比較的高い部分圧力、および/または比較的高い滞留時間など、様々な用途に使用できることが望ましく、そうでない場合起こり得る前駆体廃棄物の軽減が望ましく、および/または反応チャンバ内での比較的高い絶対圧力が望ましい。例として、例示的なシステム、反応器、および方法は、典型的な原子層堆積(ALD)加工技術を使用して前駆体が軟質の成長速度飽和度(例えば、酸素プラズマでSAM.24前駆体を使用する)に達する場合など、一つまたは複数の前駆体の部分的な圧力および/または濃度の増加が望まれるALD用途において、フィルム形成プロセスを推進するためおよび/または望ましくない副産物形成/中毒、例えば、TiCl4およびNH3を使用したTiNのALD堆積を軽減するために、高い部分圧力が望まれるALD反応において、自己組織化単分子層の形成中など、前駆体の高い部分圧力が望ましい反応(例えば、単一前駆体反応)において、および従来的のALDプロセス(例えば、トリメチルアルミニウム(TMA)および水などの酸化剤からの酸化アルミニウムの形成)であって、比較的高価なガス分配装置(例えば、シャワーヘッド)が基材の表面にわたって一つまたは複数の前駆体を分配するためにしばしば使用される場合に使用され得る。システム、反応器、および方法は、ALD反応器の文脈で以下に記載されているが、別段の記載がない限り、システム、反応器、および方法は限定されない。
【0019】
ここで図を参照すると、
図1~3は本開示の少なくとも一つの実施形態によるシステム100を示す。
図1は、充填/取出位置のシステム100を示す。
図2は、処理位置にあるシステム100を示す。
図3は、パージ位置にあるシステム100の一部を示す。
【0020】
システム100は、反応チャンバ104および充填/取出チャンバ106を含む気相化学反応器102、第一の前駆体源107、第二の前駆体源108、パージガス源110、ガス分配装置112、サセプタ114、真空源116、および制御器134を含む。システム100はまた、充填/取出チャンバ106内の開口部120をシールするバルブ(例えば、ゲートバルブ)124と、反応チャンバ104内で使用され、充填/取出チャンバ106を通してパージされる処理ガスへの暴露からバルブ124を保護する保護シールド126とを含む。制御器134に連結され得るバルブアクチュエータ136は、バルブ124を開閉させるために使用できる。システム100は、一つまたは複数のガス前駆体源1~7、1~8および/またはパージ/キャリア供給源110を起動するために、リモートプラズマユニット144を随意に含むことができる。追加的にまたは代替的に、システム100はダイレクトプラズマシステムを含むことができ、例えば、サセプタ144またはその一部はダイレクトプラズマ装置の電極を形成し、ガス分配装置112は別の電極を形成することができ、および/またはシステム100が誘導結合プラズマ装置を含むことができる。
【0021】
以下でより詳細に説明するように、システム100の動作中、基材(図示せず)は、開口部120を通して充填/取出チャンバ106内のサセプタ114に搬送され、反応チャンバ104に移動される(例えば、シャフト128を使用)。処理期間中、反応チャンバ104を充填/取出チャンバ106から分離することができ、また基材は反応チャンバ104内の一つまたは複数の前駆体(例えば、源107、108)に曝露することができる一方で、真空(例えば、反応チャンバ104内の圧力より低い圧力)が充填/取出チャンバ106内に維持される。本明細書で使用される場合、分離されたという用語は、完全なシールを必要としないが、前駆体源107、108からのガスが連続的に反応チャンバ104を通って流れないように、実質的なシールおよび/または反応チャンバ104と充填/取出チャンバ106の間を流れる蛇行経路を含むこともできるが、むしろ前駆体の量は、浸漬期間中ある期間にわたって上昇し続け、実質的に一定のままであり得る(例えば、反応チャンバ104内で、ピーク値の10パーセント、5パーセント、または1パーセント以内から化学反応による減少を差し引いたもの)。浸漬期間中、前駆体は反応チャンバ104内に導入されている間、基材は反応チャンバ104内に留まることができる。本明細書で使用される場合、浸漬期間は前駆体源からのガスの流れを止めた後の期間を意味し、一方で反応チャンバ104は充填/取出チャンバ106から分離され、そのため前駆体流が止められた後の期間、基材は反応チャンバ104内の前駆体と接触したままである。浸漬期間の終了時に、基材は充填/取出チャンバ106内に下げられる。この時点で、反応チャンバ104と充填/取出チャンバ106と真空源116によって提供される真空との間の圧力差を使用して、反応チャンバ104を排気することができる。パージガス(例えば、パージガス源110からの)は、任意の未反応の前駆体および/または副産物のパージをさらに容易にするために随意に提供され得る。所望のフィルムが基材の表面上に形成されるまで、同一または異なる前駆体に対してこれらのステップを繰り返すことができる。
【0022】
再び
図1を参照すると、反応器102は、例えば、ステンレス鋼、チタンおよび/またはアルミニウムなどで形成され得る。さらに、反応器102は、独立して動作する反応器であり得、または類似のもしくは異なる反応チャンバを含み得るクラスタツールの一部を形成することができる。本開示の例示的な実施形態によれば、反応チャンバ104は比較的小さい(例えば、約300mmの直径を有する基材を処理するために、反応チャンバ104の内部容積は約0.5~約1または約0.7dm
3)であり得る。)。比較的小さな内部容積により、比較的少量の前駆体を使用して、高い部分圧力および/または絶対圧力に急速に達することができ、これによって急速で安価な基材の加工が促進される。さらなる例によれば、反応チャンバ104の内部容積に対する充填/取出チャンバ106の内部容積の内部容積比は、比較的高くなることがある。例えば、反応チャンバ104の内部容積に対する充填/取出チャンバ106の内部容積の内部容積比は、約5:1~約160:1、約10:1~約80:1、もしくは約20:1~約60:1の範囲、または5、60、もしくは160より大きくなり得る。比較的高い体積比は、反応チャンバ104の急速なパージを可能にし、充填/取出チャンバ106が反応チャンバ104よりも低い圧力で維持されると、基材の急速な加工を促進する。
【0023】
本開示の一部の実施例によれば、充填/取出チャンバ106は、比較的単純な設計、例えば底部(例えば、ゲートがアクチュエータ136に取り付けられる場所の下の充填/取出チャンバの一部)は底部を有する実質的に中空円筒の形状を有し得る。これにより、底部を簡単に取り外して交換および/または清掃することができる。追加的にまたは代替的に、システム100は、
図7に示すように、取り外し可能な(例えば、使い捨ての)ライナーを含み得る。追加的にまたは代替的に、充填/取出チャンバ106は、反応チャンバ104との境界面付近のパージガス入口を含み得る。反応物質のパージをさらに容易にし、充填/取出チャンバ106の内部表面との反応物質の接触を軽減する。充填/取出チャンバ106の壁、例えば、壁146、148、および/または150のうちの一つまたは複数を加熱して、その上の任意の凝縮を軽減することができる(例えば、前駆体および/または任意の反応副産物の凝縮温度よりも高い温度まで)。
【0024】
第一および第二の前駆体源107、108は、気相反応に適した任意の物質を含み得る。源107、108内の前駆体は、当初は固体、液体または気体であってもよい。固体および液体の場合、前駆体は加熱すること、バブラーを使用することなどによってガス状態に変換することができる。
【0025】
パージ/キャリアガス源110は、反応チャンバ104をパージすることができ、かつ/またはキャリアガスとして適しているガスになる任意の適切なガスまたは材料を含むことができる。例示的なパージおよび/またはキャリアガスは、アルゴン、窒素、および/または水素を含む。キャリアガスが提供される時、キャリアガスは、例えば、第一の前駆体源107および/または第二の前駆体源108から、ミキサー122で、および/またはミキサー122の前で一つまたは複数のガスと混合され得る。システム100は、二つの前駆体源および一つのパージ/キャリアガス源を用いて図示されているが、システム100は、任意の適切な数の前駆体源、パージガス源、および/またはキャリアガス源を含むことができ、場合によっては、パージガス源および/またはキャリアガス源を含む必要はない。さらに、ガス分配装置112に連結されたものとして例示されるが、以下に記述するように、パージガス源110または別のパージガス源は、追加的にまたは代替的に、充填/取出チャンバ106に連結されるか、充填/取出チャンバ106を直接パージするため、かつ/またはガスカーテンとして使用するために連結され得る。
【0026】
ガス分配装置112は、(図示したように)垂直または水平のガスの流れを反応チャンバ104へ提供するように構成され得る。例示的なガス混合物およびガス分配装置は、2012年4月10日に発行された「Gas Mixer and Manifold Assembly for ALD Reactor」と題する米国特許第8,152,922号に記載されており、その内容は本開示と矛盾しない範囲で、その内容が参照により本明細書に組み込まれる。一例として、ガス分配装置112はシャワーヘッドを含み得る。しかしながら、他の実施形態によれば、ガス分配装置112はシャワーヘッドを含む必要はないが、比較的単純なガス入口を含んでもよい。
【0027】
サセプタ114を、例えば、SiCまたはSiC被覆グラファイトで形成することができる。本開示の一部の実施例によれば、サセプタ114は、処理中にリフトピンがサセプタ114内に格納され、基材搬送プロセス中にサセプタ114の上面115上に突出するように開口部を含み得る。例示的なサセプタおよびリフトピン機構は、「SUBSTRATE LIFT MECHANISM AND REACTOR INCLUDING SAME」と題する、米国特許出願第15/672,096号に記載され、その内容は本開示と矛盾しない範囲内で、その内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0028】
真空源116は、反応チャンバ104に所望の圧力を供給することができる任意の適切な真空源を含むことができる。真空源116は、例えば、乾燥真空ポンプ単独またはターボ分子ポンプと組み合わせて含むことができる。本開示の様々な実施例によると、真空源116は、反応器102内に圧力を、特に約1~約10-6、約0.1~約10-4、または約10-2~約10-3 Torrの充填/取出チャンバ106を提供するよう構成される。一つまたは複数の真空源116は、反応チャンバ104および/または充填/取出チャンバ106に連結され得る。
【0029】
バルブ124は、充填/取出チャンバ106内の開口部120をシールするために、ゲートバルブなどの任意の適切なバルブを含み得る。本開示の例示的な実施形態によれば、バルブ124は、
図4に示したプレート402を含むゲートバルブである。バルブ124は、制御器134に連結することができるアクチュエータ136を使用して、開閉させる(例えば、上下に移動する)ことができる。
【0030】
種が反応チャンバ104から充填/取出チャンバ106へパージされる時、保護シールド126を使用して、バルブ124を反応種から保護することができる。保護シールド126は、バルブ124よりも高さ(H)および/または長さ(L)でわずかに(例えば、約2%、5%、10%、15%、または20%)大きい寸法を有する、例えば、ステンレス鋼、チタンまたはアルミニウムで形成され得る。
図4に示すように、保護シールド126は、例えば、溶接部、ボルト、ねじなどであり得るか、またはそれを含むことができる一つまたは複数の締め具404、406を使用して、谷124に固定してまたは取り外し可能に取り付けられ得る。別の方法として、バルブ124および保護シールド126は単一構造であり得る。バルブ124をさらに保護するために、不活性ガス(例えば、窒素、アルゴンなど)の流れ(例えば、25~100sccm)をバルブ124および/または反応器102/充填/取出チャンバ106の内側壁137と保護シールド126の間に提供し、パージプロセス中にバルブ124に到達する反応チャンバ104からのガスを防止または軽減するガスカーテンを形成することができる。さらに、保護シールド126は、保護シールド126が動く時、保護シールド126が充填/取出チャンバ106の内側壁に触れないように構成され得る。別の方法として、保護シールド126は、保護シールド126が充填/取出チャンバ106の最上部の内部表面(例えば、開口部120の上方)に硬いシールを形成し、バルブ124が閉じた時、部分的にまたは完全に、密封ガス流のニーズを軽減するように構成され得る。
【0031】
シャフト128は、開口部120を通して基材の充填および取出を容易にし、反応チャンバ104内の処理位置に基材を移動させるように上下に移動するように構成され得る。いくつかの実施形態では、シャフト128も、基材処理中および/または基材充填/取出操作中に回転することができるが、一部の実施例では、シャフト128を回転させる必要がないかまたは望ましくない場合がある。シャフト128はまた、例えば、サセプタ114、熱電対などに組み込まれ、かつ/または取り付けられたヒーターのために、様々な配線を受け、かつ保持することができる。システム100は、本開示の他の例示的な実施形態に従って上下に動くシャフトに関連して説明しているが、サセプタは充填/取出チャンバと反応チャンバの間を水平に移動することができ、またサセプタは静止したままになることがあり、反応チャンバおよび/または充填/取出チャンバはサセプタに対し動くことができる。
【0032】
図示した例では、システム100はまた、シャフト128および充填/取出チャンバ106を反応器102の外側環境からシールし、シャフトの一部および/またはそれに取り付けられた構成要素)を化学物質への暴露から保護する保護カバー130(例えば、ベローズ)を含む。
【0033】
システム100はまた、パージプロセス中に反応チャンバ104から充填/取出チャンバ106へ、かつバルブ120から離れるように、ガスの流れを向けるためのガイド132を含むことができる。ガイド132は、例えば、ステンレス鋼、チタンまたはアルミニウムで形成され得、バルブ124から離れる反応チャンバ104からガスの流れを向ける傾斜または曲面を含むことができる。
【0034】
制御器134は、シャフト128、バルブアクチュエータ136および/またはバルブ138~142の一つまたは複数、第一の前駆体源107、第二の前駆体源108、およびパージ/キャリア源110などのうちの一つまたは複数に連結されたマスフロー制御器に連結され、本明細書に記載される様々なステップを実施することができる。例えば、制御器134は、制御器134が以下の:
サセプタが処理位置にある間、
充填/取出チャンバを真空源で排気しながら、反応チャンバに前駆体を提供するステップと、
前駆体の流れを止めるステップと、
サセプタを充填/取出チャンバ内に移動させることによって反応チャンバを排気するステップと、を実行するようにプログラムされているメモリを含むことができる。
前駆体の流れを止めた後に、制御器が以下の:
浸漬期間の間、反応チャンバ内の前駆体に基材を曝露するステップと、
浸漬期間後、サセプタを充填/取出チャンバに移動させることによって反応チャンバを排気するステップと、を実行できるようにメモリをプログラムすることができる。
追加的にまたは代替的に、制御器134は、システム100が本明細書に記載される方法のいずれかを自動的に実行するように構成され得る。
【0035】
上述のように、
図1は、充填/取出位置のシステム100を示す。この位置において、バルブ124は開位置にあり、ロボットまたは搬送アーム118を使用して、基材がサセプタ114の表面115上に装填および/または取り外されることを可能にする。基材がサセプタ上に充填されると、バルブ124を閉じて充填/取出チャンバ106をシールし、充填/取出チャンバ106(および反応チャンバ104)が真空源116に曝露する。例えば、充填/取出チャンバ106を真空源116に曝露して、充填/取出チャンバ106内の圧力を約1~約10
-6、約0.1~約10
-4、または約10
-2~約10-
3 Torrにすることができる。
【0036】
基材がサセプタ114に充填された後、
図2に示すように、サセプタ114は処理位置に上昇する。この位置では、サセプタ114の上面115は、反応チャンバ104の少なくとも一部または底部を形成する。基材が処理位置にあると、一つまたは複数の前駆体ガスが基材の表面にわたって流れる。次に、前駆体の流れは浸漬期間中停止することができる。この期間中、反応チャンバ104内の一つまたは複数の前駆体および/または絶対圧力の部分圧力は、反応チャンバ104を充填/取出チャンバ106から密封することによって比較的高いレベルに維持することができる。シールは、サセプタ表面302と反応チャンバ104の内部表面304との間に形成され得る。表面302および304は、反応チャンバ104と充填/取出チャンバ106との間の実質的なシールを提供するために、機械加工および嵌合(例えば、図示されるように線形の嵌合した傾斜表面を有する)することができる。
【0037】
次に、
図3に示すように、サセプタ114を下げ反応チャンバ104にパージすることができる。反応チャンバ104のパージは、少なくとも部分的に、充填/取出チャンバ106と反応チャンバ104との間の圧力差から、および/またはパージガス源を、例えばバージガス源110から、ガス分配装置112を通して供給することによって生じ得る。
【0038】
図7は本開示の例示的な実施形態による別のシステム700を示す。システム700は、システム700が、ガス分配装置112ではなく、比較的単純な入口ポート722を含むことを除いてシステム100と類似している。システム700はまた、ガス分配装置ではなく、反応チャンバの上面702によって画定される反応チャンバ704を含む。この比較的簡単な設計は、システム100に対して製造がより簡単かつ/またはより安価であり得る。システム700はまた、ライナー740および冷却器/凝縮器プレート716を用いて例示され、これはパージステップ中に前駆体および/または副産物をゲッターするのに使用することができる。ライナー740と冷却器/凝縮器プレート716の任意の組み合わせを、同様にシステム100に含めることができる。
【0039】
図5は、本開示の例示的な実施形態による方法500を示す。方法500は、基材をサセプタ上に充填すること(ステップ502)、バルブを閉じること(ステップ504)、反応器の充填/取出チャンバの圧力を低減すること(ステップ506)、サセプタを処理位置に移動すること(ステップ508)、任意で低減、すなわち反応チャンバ内の圧力を低減すること(ステップ510)、前駆体ガスの流れを開始すること(ステップ512)、キャリアガスを任意で流すこと(ステップ514)、前駆体ガスの流れを止めること、およびキャリアガスの流れを任意で止めること(ステップ516)、一つまたは複数の前駆体の存在下で基材を浸漬すること(ステップ518)、サセプタを下げてパージ処理を開始すること(ステップ520)、同一または異なる前駆体についてステップ506~520を任意で繰り返すことと(ステップ522)、ならびに基材を取り出すこと(ステップ524)とを含む。
【0040】
ステップ502の間、バルブ(例えば、バルブ124)は、反応器の充填/取出チャンバ(例えば、充填/取出チャンバ106)内のサセプタ(例えば、サセプタ114)上に基材を置くことができるように開位置にある。次に、バルブはステップ504の間に閉じられる。バルブが閉じられると、不活性ガスは、バルブまたは反応器の内部表面(例えば、充填/取出チャンバの内部表面)と保護プレートとの間に提供され、基材処理中に使用される化学物質からバルブを保護することができる。別の方法として、ガスカーテンは、バルブ/内部表面と保護プレートの間に連続的に提供されることができ、またはパージプロセスの前に任意の時間提供されることができる。バルブが閉じた後、ステップ506の間に、反応器および/または充填/取出チャンバ内の所望の圧力を得るために、充填/取出チャンバ、ならびに反応チャンバを真空源(例えば、真空源116)に曝露することができる。その後、ステップ508の間にサセプタを移動することによって基材を反応チャンバ内に置くことができ、反応チャンバは、ステップ510の間、同一または異なる真空源に随意に曝露され得る。ステップ508の間に、チャンバ間で比較的少ないガスが流れるように、シールまたは実質的なシール(例えば、蛇行経路)を反応チャンバと充填/取出チャンバとの間に形成することができる。別の方法として、下記に説明する浸漬ステップに加えて、またはその代わりに実施できる流量タイプの反応ステップ中に、反応チャンバと充填/取出チャンバとの間の小さなスペースを維持することができる。ステップ512で、一つまたは複数の前駆体ガスが一定期間の間、基材表面上に流れる。一つまたは複数の前駆体の提供を容易にするために、熱を一つまたは複数の前駆体源に適用することができ、かつ/またはバブラーを使用することができる。キャリアガスは、一つまたは複数の前駆体ガスと同時に流れることができ、ミキサー122および/またはキャリアで混合することができ、前駆体源(例えば、源107、108)内の前駆体ガスと混合することができる。本開示の一部の実施例によれば、キャリアガスは、前駆体ガスが流動している時間の一部、例えば、後半分部分のみに対して流れる。ステップ516で、浸漬期間(ステップ518)のために、前駆体ガスおよび任意のキャリアガスの流れが停止される。浸漬期間中、反応チャンバは非等熱性を実行してもよく、例えば、サセプタは一つの温度にしてもよく、反応チャンバの上面は別の温度であってもよく、前駆体、キャリア、および/またはパージガスが反応チャンバに導入される時、反応チャンバ内の温度を変化させる。例えば、反応チャンバの上面の温度は、サセプタの温度より高いことがあり、サセプタが処理位置に移動するにつれて、基材表面が上面から熱を受けさせることがある。同様に、基材は上面から離れるように冷却される可能性がある。浸漬期間(ステップ518)の持続時間は、適用によって変化し、例えば、約0.2~約600、約1~約60、または約5~約30秒の範囲であり得る。浸漬期間の後、サセプタは、未反応の前駆体および/または反応副産物が反応チャンバから、充填/取出チャンバを通って、真空源に向かってパージされ得るように下げられる(ステップ520)。ステップ520の間、サセプタが移動すると、ステップ506~520の間、反応チャンバおよび/または充填/取出チャンバは、反応チャンバのパージを容易にするために、真空源に曝露し続けることができる。例えば、充填/取出チャンバは、ステップ506~518または520のうちの一つまたは複数の間に望ましい圧力で維持され得る。追加的にまたは代替的に、反応チャンバは、サセプタを移動する前に真空源に曝されることができ、これは、充填/取出チャンバを比較的清潔に保つという利点を有する。図示するように、方法500は、同一(例えば、自己組織化単分子層の)または異なる前駆体(例えば、ALD堆積で使用される異なる前駆体)のためのステップ506~520を繰り返すことができる。パージステップを促進するために、一つまたは複数のパージガスを反応チャンバおよび/または充填/取出チャンバに供給することができる。その後、サセプタを充填/取出位置に移動し、ステップ524でバルブを開くことによって、基材を取り外すことができる。
【0041】
ステップ520の間のパージ時間は比較的短くすることができる。例として、パージ時間は、約0.1~約300、約1~約60、または約2~約10秒の範囲であり得る。
【0042】
反応チャンバおよび/または充填/取出チャンバなどのシステムの部分を洗浄することが望ましい場合がある。これらの場合、いずれの堆積反応物質も充填/取出チャンバ内で大きく希釈され、反応の滞留時間はずっと低くなる可能性が高いため、充填/取出チャンバは一般的に、反応チャンバよりも少ない頻度で清掃する必要がある。任意の例示的な洗浄化合物はNF3を含む。
【0043】
図6は、充填/取出チャンバ(例えば、充填/取出チャンバ106)内の例示的圧力602、反応チャンバ(例えば、反応チャンバ104)内の圧力604、およびプロセス中の前駆体源容器内の圧力606を示す、圧力図を示す。図示されたプロセスは、サセプタが処理位置にあると開始される。図示したように、充填/取出チャンバ内の圧力は、プロセスの開始時に減少し、圧力が低い値に達するまで前駆体が流れるにつれて減少し続けることができる)。圧力は、パージプロセスが開始するまで、低い値またはその付近で維持することができ、その時点で圧力は充填/取出チャンバ内で上昇する。一方、反応チャンバ内の圧力は最初は低くてもよく、前駆体および/またはキャリアガスが反応チャンバに導入されると上昇する。図示した例では、キャリアガス流は、前駆体流が始まった後に始まる。その後、圧力は浸漬期間中に反応チャンバ内で実質的に一定のままとなることができ、次いで基材が処理位置からパージ位置(例えば、
図3に示すように)へと移動される。反応チャンバ内の圧力を、浸漬期間後に、かつ、サセプタを移動するステップの前に、またはそのステップの間に真空源に反応チャンバを曝露することをさらに減少することができる。また、前駆体源容器内の圧力は、当初高く(例えば、容器を加熱する結果として)なり得、前駆体ガスが反応チャンバに導入されると低くなり得る。前駆体源容器内の圧力は、例えば、ソース前駆体が反応チャンバから遮断された時(例えば、浸漬期間の開始時に)および/または浸漬期間の終了時に、再び上昇することができる。
【0044】
上述のように、いくつかのタイプの反応については、一つまたは複数の前駆体の比較的高い部分圧力、および/または反応チャンバ内の高い絶対圧力を有することが望ましい場合がある。所望の前駆体部分圧力を得るための一つの技術は、前駆体源を加熱して前駆体の蒸発速度を増加し、前駆体の飽和蒸気圧を増加させることである。追加的にまたは代替的に、不活性ガスパッドを使用して、浸漬期間中に反応チャンバ内の圧力を増加させることができる。例示的な不活性ガスパッドは、「PRECURSOR DELIVERY SYSTEM」と題する米国特許出願番号第12/763,037号に開示され、その内容は本開示と矛盾しない範囲で、その内容が本明細書に組み込まれる。ガスパッドの使用は必ずしも反応チャンバ内の前駆体の用量を増加させることはない一方で、ガスパッドを使用して反応内の合計圧力を増大させることができ、従って前駆体ガスパッドを使用してガス表面衝突の量を増大させることができる。
【0045】
本開示の例示的な実施形態が本明細書に記載されているが、本開示はそれに限定されないことを理解されたい。例えば、装置および方法は様々な特定の構成要素に関連して記載されているが、本開示は必ずしもこれらの構成に限定されない。本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の装置および方法の様々な変更、変形、および強化を行うことができる。