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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/51 20060101AFI20240708BHJP
   A61F 13/472 20060101ALI20240708BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20240708BHJP
   A61F 13/511 20060101ALI20240708BHJP
   A61F 13/56 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
A61F13/51
A61F13/472
A61F13/53 300
A61F13/511 110
A61F13/511 300
A61F13/56 110
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020148777
(22)【出願日】2020-09-04
(65)【公開番号】P2022043481
(43)【公開日】2022-03-16
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松井 紗恵子
(72)【発明者】
【氏名】林 俊久
(72)【発明者】
【氏名】渡子 直紀
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-000717(JP,A)
【文献】特表2009-532164(JP,A)
【文献】特開2020-039842(JP,A)
【文献】特開2019-162526(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/51
A61F 13/472
A61F 13/53
A61F 13/511
A61F 13/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向と幅方向と厚さ方向とを有し、
前記厚さ方向において、最も肌側に位置する肌側シートと、
前記厚さ方向において、最も非肌側に位置する非肌側シートと
を有する吸収性物品であって、
前記厚さ方向における前記肌側シートと前記非肌側シートの間に中間部材を有し、
前記中間部材の少なくとも肌側面は、染色処理が施されておらず、且つ、有色であり、
前記幅方向において、前記中間部材の長さが、前記肌側シートの長さと同じである
ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品であって、
前記肌側シートの色は、前記中間部材の色より薄いことを特徴とする吸収性物品。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の吸収性物品であって、
前記厚さ方向に見て、
前記肌側シートと前記中間部材とが同じ大きさであることを特徴とする吸収性物品。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の吸収性物品であって、
前記肌側シートと前記非肌側シートとの間に、吸収体としての不織布からなる吸収シートを有し、
前記中間部材は、前記肌側シートと前記吸収シートとの間に設けられた中間シートであり、
前記肌側シートと前記中間シートとは、異なる素材で形成されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項5】
請求項4に記載の吸収性物品であって、
前記厚さ方向に見て、
前記肌側シート、前記中間シート、及び前記吸収体とが同じ大きさであることを特徴とする吸収性物品。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の吸収性物品であって、
前記肌側シートの繊維密度は、前記中間シートの繊維密度より低いことを特徴とする吸収性物品。
【請求項7】
請求項4から6のいずれか1項に記載の吸収性物品であって、
前記中間シートは、前記肌側シートより疎水性が高いことを特徴とする吸収性物品。
【請求項8】
請求項1から3のいずれか1項に記載の吸収性物品であって、
前記中間部材は、前記肌側シートと前記非肌側シートとの間に設けられた、吸収体としての不織布からなる吸収シートであることを特徴とする吸収性物品。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の吸収性物品であって、
前記肌側シートは、繊維について、
所定の坪量を備える高坪量部と、
前記高坪量部より、坪量が小さい低坪量部とを有することを特徴とする吸収性物品。
【請求項10】
請求項9に記載の吸収性物品であって、
複数の前記低坪量部は、前記肌側シートの全域に亘って設けられていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の吸収性物品であって、
前記肌側シートは、前記厚さ方向に圧搾された圧搾部を備えることを特徴とする吸収性物品。
【請求項12】
請求項11に記載の吸収性物品であって、
前記圧搾部は、前記肌側シートと前記中間部材とが前記厚さ方向に圧搾されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載に記載の吸収性物品であって、
前記肌側シートの周縁部と前記中間部材の周縁部には、前記肌側シートと前記中間部材を互いに接合するための複数の接合部が設けられていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項14】
長手方向と幅方向と厚さ方向とを有し、
前記厚さ方向において、最も肌側に位置する肌側シートと、
前記厚さ方向において、最も非肌側に位置する非肌側シートと
を有する吸収性物品であって、
前記厚さ方向における前記肌側シートと前記非肌側シートの間に中間部材を有し、
前記中間部材の少なくとも肌側面は、染色処理が施されておらず、且つ、有色であり、
前記長手方向又は前記幅方向の少なくとも一方において、前記中間部材の長さが、前記
肌側シートの長さと同じであり、
前記肌側シートの周縁部と前記中間部材の周縁部には、前記肌側シートと前記中間部材を互いに接合するための複数の接合部が設けられており、
前記接合部は、前記肌側シート及び前記中間部材の少なくとも一方を前記厚さ方向に圧縮した部分であり、
前記肌側シートは、繊維について、
所定の坪量を備える高坪量部と、
前記高坪量部より、坪量が小さい低坪量部とを有し、
前記厚さ方向に見て、
前記低坪量部は、前記接合部と重なる部分を有することを特徴とする吸収性物品。
【請求項15】
長手方向と幅方向と厚さ方向とを有し、
前記厚さ方向において、最も肌側に位置する肌側シートと、
前記厚さ方向において、最も非肌側に位置する非肌側シートと
を有する吸収性物品であって、
前記厚さ方向における前記肌側シートと前記非肌側シートの間に中間部材を有し、
前記中間部材の少なくとも肌側面は、染色処理が施されておらず、且つ、有色であり、
前記長手方向又は前記幅方向の少なくとも一方において、前記中間部材の長さが、前記
肌側シートの長さと同じであり、
前記肌側シートの周縁部と前記中間部材の周縁部には、前記肌側シートと前記中間部材を互いに接合するための複数の接合部が設けられており、
所定の坪量を備える高坪量部と、
前記高坪量部より、坪量が小さい低坪量部とを有し、
前記接合部の前記長手方向の長さは、前記低坪量部の前記長手方向の長さより長いことを特徴とする吸収性物品。
【請求項16】
長手方向と幅方向と厚さ方向とを有し、
前記厚さ方向において、最も肌側に位置する肌側シートと、
前記厚さ方向において、最も非肌側に位置する非肌側シートと
を有する吸収性物品であって、
前記厚さ方向における前記肌側シートと前記非肌側シートの間に中間部材を有し、
前記中間部材の少なくとも肌側面は、染色処理が施されておらず、且つ、有色であり、
前記長手方向又は前記幅方向の少なくとも一方において、前記中間部材の長さが、前記
肌側シートの長さと同じであり、
前記肌側シートの周縁部と前記中間部材の周縁部には、前記肌側シートと前記中間部材を互いに接合するための複数の接合部が設けられており、
所定の坪量を備える高坪量部と、
前記高坪量部より、坪量が小さい低坪量部とを有し、
前記肌側シートの周縁部と前記中間部材の周縁部は、複数の前記接合部が設けられた接合領域であり、
前記長手方向又は前記幅方向の少なくとも一方に隣接する前記低坪量部の中心間の距離は、前記接合領域の接合幅の最大値より短いことを特徴とする吸収性物品。
【請求項17】
長手方向と幅方向と厚さ方向とを有し、
前記厚さ方向において、最も肌側に位置する肌側シートと、
前記厚さ方向において、最も非肌側に位置する非肌側シートと
を有する吸収性物品であって、
前記厚さ方向における前記肌側シートと前記非肌側シートの間に中間部材を有し、
前記中間部材の少なくとも肌側面は、染色処理が施されておらず、且つ、有色であり、
前記長手方向又は前記幅方向の少なくとも一方において、前記中間部材の長さが、前記
肌側シートの長さと同じであり、
前記非肌側シートの非肌側面に、前記幅方向に沿った粘着部を備え、
前記粘着部は、前記長手方向に間隔を空けて複数設けられており、
前記肌側シートは、繊維について、
所定の坪量を備える高坪量部と、
前記高坪量部より、坪量が小さい低坪量部とを有し、
前記低坪量部の前記長手方向の長さが、前記長手方向に隣接する前記粘着部同士の間隔より短いことを特徴とする吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
尿やおりものなどの排泄物を吸収する吸収性物品として生理用ナプキン、軽失禁パッド、パンティライナー等が知られている。例えば、特許文献1には、吸収体を構成する資材がリグニン成分を含み、薄茶色を呈することで、ナプキンに使用する化学物質を減少させて着用者に感じさせる安全性を向上させつつ、経血の赤色や尿の黄色等の排泄物の色味を抑制することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のナプキンは、着用者は、着用により変色した吸収体より外側の領域の色を視認することになり、着用者に不快感を与える恐れがあった。
【0005】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、排泄物による汚れだけでなく、着用による汚れを目立ちにくくさせつつ、染色処理がされていない素材による安心感を与える吸収性物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、
長手方向と幅方向と厚さ方向とを有し、
前記厚さ方向において、最も肌側に位置する肌側シートと、
前記厚さ方向において、最も非肌側に位置する非肌側シートと
を有する吸収性物品であって、
前記厚さ方向における前記肌側シートと前記非肌側シートの間に中間部材を有し、
前記中間部材の少なくとも肌側面は、染色処理が施されておらず、且つ、有色であり、
前記幅方向において、前記中間部材の長さが、前記肌側シートの長さと同じである
ことを特徴とする吸収性物品である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。

【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、有色の中間部材によって、排泄物による汚れだけでなく、着用による汚れを目立ちにくくさせつつ、中間部材の肌側面に染色処理が施されていないことで着用者に安心感を与えやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】パンティライナー1を肌側から見た平面図である。
図2】パンティライナー1を非肌側から見た平面図である。
図3図1の中心線CLでのパンティライナー1の断面模式図である。
図4】パンティライナー1の構成を説明する図である。
図5図5Aは、図1中の部分Xにおける接合部21について説明する図である。図5Bは、図1中の部分Xにおける肌側シート11について説明する図である。図5Cは、図1中の部分Xにおける接合部21と肌側シート11について説明する図である。
図6】パンティライナー100を肌側から見た平面図である。
図7図6の中心線CLでのパンティライナー100の断面模式図である。
図8】パンティライナー100の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
長手方向と幅方向と厚さ方向とを有し、前記厚さ方向において、最も肌側に位置する肌側シートと、前記厚さ方向において、最も非肌側に位置する非肌側シートとを有する吸収性物品であって、前記厚さ方向における前記肌側シートと前記非肌側シートの間に中間部材を有し、前記中間部材の少なくとも肌側面は、染色処理が施されておらず、且つ、有色であり、前記長手方向又は前記幅方向の少なくとも一方において、前記中間部材の長さが、前記肌側シートの長さと同じであることを特徴とする吸収性物品である。
【0010】
このような吸収性物品によれば、有色の中間部材によって、排泄物による汚れだけでなく、着用による汚れを目立ちにくくさせつつ、中間部材の肌側面に染色処理が施されていないことで着用者や介助者に安心感を与えやすくなる。
【0011】
かかる吸収性物品であって、前記肌側シートの色は、前記中間部材の色より薄いことが望ましい。
【0012】
このような吸収性物品によれば、より色の濃い中間部材を視認しやすくなり、有色の中間部材によって汚れを見立ちにくくすることができる。
【0013】
かかる吸収性物品であって、前記厚さ方向に見て、前記肌側シートと前記中間部材とが同じ大きさであることが望ましい。
【0014】
このような吸収性物品によれば、有色の中間部材によって、排泄物による汚れだけでなく、着用による擦れや汗染みによる汚れを目立ちにくくすることができる。
【0015】
かかる吸収性物品であって、前記肌側シートと前記非肌側シートとの間に吸収体を有し、前記中間部材は、前記肌側シートと前記吸収体との間に設けられた中間シートであり、前記肌側シートと前記中間シートとは、異なる素材で形成されていることが望ましい。
【0016】
このような吸収性物品によれば、有色の中間シートによって、排泄物による汚れだけでなく、着用による汚れを目立ちにくくさせつつ、染色処理が施されていない中間シートを用いることで着用者や介助者に安心感を与えやすくなる。
【0017】
かかる吸収性物品であって、前記厚さ方向に見て、前記肌側シート、前記中間シート、及び前記吸収体とが同じ大きさであることが望ましい。
【0018】
このような吸収性物品によれば、有色の中間シートによって、排泄物による汚れだけでなく、着用による擦れや汗染みによる汚れを目立ちにくくすることができる。
【0019】
かかる吸収性物品であって、前記肌側シートの繊維密度は、前記中間シートの繊維密度より低いことが望ましい。
【0020】
このような吸収性物品によれば、より色の濃い中間シートを視認しやすくなり、有色の中間シートによって汚れを見立ちにくくすることができる。
【0021】
かかる吸収性物品であって、前記中間シートは、前記肌側シートより疎水性が高いことが望ましい。
【0022】
このような吸収性物品によれば、まず、肌側シートが素早く排泄物を吸収し、より疎水性が高い中間シートで、排泄物の吸収体への移動速度を遅くして、排泄物を平面的に拡散しやすくし、吸収体のより広い範囲で排泄物を吸収させやすくする。
【0023】
かかる吸収性物品であって、前記中間部材は、前記肌側シートと前記非肌側シートとの間に設けられた吸収体であることが望ましい。
【0024】
このような吸収性物品によれば、有色の吸収体によって、排泄物による汚れだけでなく、着用による汚れを目立ちにくくさせつつ、吸収体の肌側面に染色処理が施されていないことで着用者や介助者に安心感を与えやすくなる。
【0025】
かかる吸収性物品であって、前記肌側シートは、繊維について、所定の坪量を備える高坪量部と、前記高坪量部より、坪量が小さい低坪量部とを有することが望ましい。
【0026】
このような吸収性物品によれば、肌側シートの低坪量部では、中間部材の有色を視認しやすくなり、汚れを目立ちにくくすることができる。
【0027】
かかる吸収性物品であって、複数の前記低坪量部は、前記肌側シートの全域に亘って設けられていることが望ましい。
【0028】
このような吸収性物品によれば、肌側シート全域で有色の中間部材を視認できるため、肌側シートのどの場所に汚れが生じても有色の中間部材によって、排泄物による汚れを目立ちにくくさせることができる。
【0029】
かかる吸収性物品であって、前記肌側シートは、前記厚さ方向に圧搾された圧搾部を備えることが望ましい。
【0030】
このような吸収性物品によれば、中間部材の有色だけでなく、肌側シートに立体感が生じるため、肌側シートの汚れによる色を緩和させやすくなる。
【0031】
かかる吸収性物品であって、前記圧搾部は、前記肌側シートと前記中間部材とが前記厚さ方向に圧搾されていることが望ましい。
【0032】
このような吸収性物品によれば、圧搾部において、肌側シートと中間部材とが密接しているため、中間部材の有色を視認しやすくなり、汚れを目立ちにくくすることができる。
【0033】
かかる吸収性物品であって、前記肌側シートの周縁部と前記中間部材の周縁部には、前記肌側シートと前記中間部材を互いに接合するための複数の接合部が設けられていることが望ましい。
【0034】
このような吸収性物品によれば、接合部における肌側シートと中間部材の繊維密度が高くなるため、肌側シート及び中間部材の周縁部で排泄物が塞き止められて、排泄物が吸収性物品の外側に漏れてしまう恐れを軽減させることができる。
【0035】
かかる吸収性物品であって、前記接合部は、前記肌側シート及び前記中間部材の少なくとも一方を前記厚さ方向に圧縮した部分であり、前記肌側シートは、繊維について、所定の坪量を備える高坪量部と、前記高坪量部より、坪量が小さい低坪量部とを有し、前記厚さ方向に見て、前記低坪量部は、前記接合部と重なる部分を有することが望ましい。
【0036】
このような吸収性物品によれば、強度が低い低坪量部であっても、接合部(圧縮した部分)と重なる部分を有することで、肌側シートと中間部材との接合をより強固にすることができる。
【0037】
かかる吸収性物品であって、所定の坪量を備える高坪量部と、前記高坪量部より、坪量が小さい低坪量部とを有し、前記接合部の前記長手方向の長さは、前記低坪量部の前記長手方向の長さより長いことが望ましい。
【0038】
このような吸収性物品によれば、低坪量部の長手方向の少なくとも一方の外側において、接合部と高坪量部とが厚さ方向に重なった部分が設けられるため、肌側シートと中間部材とをより強固に接合することができる。
【0039】
かかる吸収性物品であって、所定の坪量を備える高坪量部と、前記高坪量部より、坪量が小さい低坪量部とを有し、前記肌側シートの周縁部と前記中間部材の周縁部は、複数の前記接合部が設けられた接合領域であり、前記長手方向又は前記幅方向の少なくとも一方に隣接する前記低坪量部の中心間の距離は、前記接合領域の接合幅の最大値より短いことが望ましい。
【0040】
このような吸収性物品によれば、肌側シートが複数の低坪量部を備え、その強度が低下していても、高坪量部と重なる接合領域によって、中間部材との接合をより強固にすることができる。
【0041】
かかる吸収性物品であって、前記非肌側シートの非肌側面に、前記幅方向に沿った粘着部を備え、前記粘着部は、前記長手方向に間隔を空けて複数設けられており、前記肌側シートは、繊維について、所定の坪量を備える高坪量部と、前記高坪量部より、坪量が小さい低坪量部とを有し、前記低坪量部の前記長手方向の長さが、前記長手方向に隣接する前記粘着部同士の間隔より短いことが望ましい。
【0042】
着用状態において、粘着部が設けられた部分は着衣に固定され、粘着部が設けられていない部分は、粘着部が設けられた部分よりも着用者の身体に沿いやすいため、粘着部が設けられていない部分に対応する肌側面は、着用者の肌に接しやすい部分となる。このような吸収性物品によれば、低坪量部の長手方向の長さが、長手方向に隣接する粘着部同士の間隔より短いことで、粘着部が設けられていない部分に対応する肌側面において、低坪量部の長手方向の少なくとも一方の外側には高坪量部が設けられるため、中間部材が直接着用者の肌に当接することを軽減することができる。これによって、例えば、低坪量部の繊維を0として、着用者の肌に直接中間部材が当接する場合よりも、肌側シートにより排泄物を吸収しやすくなり、着用時の濡れ感を軽減させやすくなる。
【0043】
===第1実施形態===
以下、第1実施形態に係る吸収性物品の一例として、パンティライナーを例に挙げて説明する。ただし、吸収性物品はパンティライナーに限定されず、他の吸収性物品として、例えば、生理用ナプキンや軽失禁パッド等が挙げられる。
【0044】
<<<第1実施形態のパンティライナー1の基本構成>>>
図1は、パンティライナー1を肌側から見た平面図である。図2は、パンティライナー1を非肌側から見た平面図である。図3は、図1の中心線CLでのパンティライナー1の断面模式図である。図4は、パンティライナー1の構成を説明する図である。なお、図3では、パンティライナー1の長手方向の中央(中心線CL)における断面の構成を示しており、便宜上、長手方向の中央より長手方向の腹側(背側)の視認可能な部分を一部省略して示している。
【0045】
パンティライナー1は、長手方向と幅方向と厚さ方向を有する。厚さ方向において着用者の肌に当接する側が肌側であり、その反対側が非肌側である。図1等に示す中心線C-Cは、幅方向におけるパンティライナー1の中心を示し、中心線CLは、長手方向におけるパンティライナー1の中心を示す。本実施形態のパンティライナー1の外形は長手方向に対称であり(中心線CLに対して対称)、幅方向に対称(中心線C-Cに対して対称)である。そのため、パンティライナー1の長手方向の一方側が着用者の腹側となってもよいし、着用者の背側となってもよい。
【0046】
パンティライナー1は、肌側シート11、中間シート12、吸収シート13、非肌側シート14を有する。パンティライナー1は、図3及び図4に示すように、肌側シート11、中間シート12、吸収シート13、非肌側シート14が同じ形状で、且つ、同じ大きさであり、厚さ方向において、肌側から順に、肌側シート11、中間シート12、吸収シート13、非肌側シート14が重ね合されている。肌側シート11、中間シート12、吸収シート13、及び非肌側シート14は、それぞれ長手方向の中央部に、最も幅狭部分を有する略楕円形状である。厚さ方向に互いに隣接する各資材はホットメルト等の接着剤で接合されている。図3等では、便宜上、各資材を接合する接着剤を省略して示している。また、説明のために、図4の有色の中間シート12をドットのハッチングで示している。
【0047】
肌側シート11は、液透過性のシートであり、パンティライナー1において最も肌側に位置する部材である。本実施形態の肌側シート11は、中間シート12より色が薄く、綿繊維からなる白色の親水性の不織布シートである。肌側シート11を綿製の不織布とすることで、着用者に肌触りの良さを感じさせやすくなる。また、肌側シート11は、着用者の肌に直接当接するため、綿からなる不織布シートを用いることで、着用者の肌との接触による肌側シート11の損傷を軽減させることができる。なお、肌側シート11としては、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等の合成繊維からなる不織布(例えばエアスルー不織布やスパンボンド不織布等)や、貫通孔を有する合成樹脂フィルム等を用いても良い。
【0048】
中間シート12は、肌側シート11と吸収シート13との間に位置しており、肌側シート11と非肌側シート14との間に位置する中間部材である。中間部材としての中間シート12は、漂白処理及び染色処理が施されていない、有色の液透過性のティッシュ等が挙げられる。中間シート12は、肌側シート11と異なる素材で形成されている。具体的には、本実施形態の中間シート12は、針葉樹や広葉樹を原料として得られる木材パルプ繊維からなり、木材パルプ繊維は、リグニン成分を有するため、薄茶色を呈している。
【0049】
一般的に、木材パルプ繊維からなる吸収性物品に用いるティッシュは、複数種類の薬品を使用してパルプを漂白する工程を経ることで白色の漂白パルプで形成されている。例えば、原料チップ処理工程を経た後に、原料チップに薬品を加えて高温・高圧下で煮沸してリグニンを蒸解する蒸解工程、パルプ中の異物を除去するスクリーン工程、蒸解工程において残存したリグニンを酵素で分解する酵素晒し工程の、一連のパルプ繊維の漂白工程を経ることで、白色のティッシュとなる。「リグニン」とは、木材を形成するための主要成分の一つであり、茶色の色素を有する成分である。
【0050】
これに対し、上記のような漂白を行っていないティッシュからなる中間シート12は、リグニン成分を有している。また、この中間シート12(ティッシュ)には、染色処理を施していないため、染色によってその色が変えられることなく、木材本来のリグニン成分である薄茶色の有色のシートとなっている。つまり、中間シート12は、肌側面及び非肌側面が薄茶色である。
【0051】
中間シート12の原料としては、針葉樹又は広葉樹を原料とする木材パルプ繊維に限らず、竹、リンター、マニラ、麻、ケナフ、藁、バナナを原料とする非木材パルプ繊維を用いてもよい。
【0052】
吸収シート13は、中間シート12と非肌側シート14との間に位置する吸収体である。吸収シート13は、排泄物を吸収して内部に保持する。吸収シート13は、液体吸収性繊維であるパルプ繊維やセルロース系吸収性繊維を、接着剤等を用いてシート状に成形した所謂エアレイド不織布である。本実施形態の吸収シート13には、漂白処理が行われた白色のパルプ繊維を用いている。
【0053】
非肌側シート14は、例えば、ポリエチレン(PE)の樹脂フィルム等の液不透過性のシートであり、パンティライナー1において最も非肌側に位置する部材である。図2に示すように、非肌側シート14の非肌側面に、複数の粘着部14aを備えるが、パンティライナー1の「部材」としては、非肌側シート14が最も非肌側に設けられている。図2に示すように、幅方向に沿った長方形の複数の粘着部14aが、長手方向に間隔Pを空けて配置されている。パンティライナー1には、長手方向の長さ3mm、幅方向の長さ45mmの長方形の粘着部14aが、長手方向に沿って30個設けられている。なお、粘着部14aの形状、数、寸法及び配置はこれに限られない。パンティライナー1の使用時に、粘着部14aが下着等の着衣の肌側面に貼り付けられることで、パンティライナー1は着衣に固定される。
【0054】
肌側シート11、中間シート12、吸収シート13、及び非肌側シート14は、各部材の周縁部に、接合領域20が設けられている。接合領域20には、肌側シート11、中間シート12、吸収シート13、非肌側シート14の各部材が互いに接合された複数の接合部21が設けられており、複数の接合部21によって、肌側シート11、中間シート12、吸収シート13、及び非肌側シート14が接合された領域を接合領域20といい、接合領域20は、肌側シート11、中間シート12、吸収シート13、及び非肌側シート14は、各部材の周縁部に相当する。
【0055】
図5Aは、図1中の部分Xにおける接合部21について説明する図である。便宜上、図5Aでは、接合領域20における接合部21のみを示している。具体的には、予め接着剤等で互いに接合した状態の肌側シート11、中間シート12、吸収シート13、及び非肌側シート14を、複数の凸部を有する凸ローラー(不図示)と、表面が平らなアンビルローラー(不図示)との間のロール間隙に通して、各部材の周縁部に熱と圧力を加えて各部材を溶着させて、複数の接合部21を形成することで、接合領域20が形成される。パンティライナー1には、複数の略ひし形の接合部21が、千鳥状に配置されている。なお、接合領域20の形状及び配置はこれに限られない。
【0056】
複数の接合部21は、肌側シート11の周縁部と中間シート12の周縁部を互いに接合しているため、接合部21では、肌側シート11と中間シート12の繊維密度が高くなっている。そのため、パンティライナー1の着用中に、排泄物が肌側シート11又は中間シート12の周縁部まで達したとしても、繊維密度が高い接合部21が設けられた肌側シート11及び中間シート12の周縁部で排泄物を堰き止めやすくなる。これによって、排泄物がパンティライナー1の外側に漏れてしまう恐れを軽減させることができる。
【0057】
図1等に示すように、パンティライナー1は、線状圧搾部30、複数の花柄圧搾部41、及び複数の円形圧搾部42を有する。線状圧搾部30は、パンティライナー1の外形に沿った形状であり、肌側シート11、中間シート12、吸収シート13、非肌側シート14が、厚さ方向に圧搾されている。花柄圧搾部41及び円形圧搾部42は、それぞれ花柄の圧搾部と円形の圧搾部であり、肌側シート11と中間シート12とが厚さ方向に圧搾されている。各圧搾部30、41、42は、圧搾加工を施す部材を、それぞれ複数の凸部を有する凸ローラーと、表面が平らなアンビルローラーとの間のロール間隙に通して、圧搾することで形成することができる。
【0058】
<<<パンティライナー1の特徴>>>
パンティライナー1は、厚さ方向において、肌側シート11と非肌側シート14との間に設けられた中間シート12の少なくとも肌側面は、染色処理が施されておらず、有色であり、長手方向又は幅方向の少なくとも一方において、中間シート12の長さが肌側シート11の長さと同じである。
【0059】
本実施形態のパンティライナー1は、漂白処理及び染色処理が施されていない中間シート12とすることで、木材パルプ繊維のリグニンの薄茶色を呈したが、これに限られない。中間シート12は、染色処理を施すことなく、有色であればよいため、漂白処理を行っていてもよい。例えば、木材パルプ繊維の茶色が残存する程度に、木材の不純物を取り除くための漂白処理を行った中間シート12を用いてもよい。なお、「染色処理」とは、繊維等に色素を吸着、結合させるための処理をいう。
【0060】
「有色」とは、無色透明及び白以外の色とする。白色とは、例えば、マンセル表色系で「N9.5」と表される色や、RGB色空間で「255,255,255」と表される色(所謂、真っ白)に加え、真っ白との色差が12未満である色も白色に含まれるものとする。白色についての色差の測定は、例えば、色差測定器として、Konica Minolta社製 CR-300を用いることができ、測定機器の光源としては、C光源(国際照明委員会(CIE)の規格)を用いることができる。この場合の測定機器の測定窓の直径は、40mmである。色差は、白色基準板に対する(L*a*b*)色空間のΔL、Δa及びΔbである。白色基準板に対する色差は、白色基準板のlab値と対象サンプルのlab値をそれぞれ測定して算出できる。白色基準板は、(X93.19、Y95.20、Z112.28)でlab0に設定する。ここでLは、明るさを指標する値であり、a、bは、色度の平面座標である。白色基準板のLab値をL0、a0、b0とし、対象サンプルのL1、a1、b1とすると、ΔL=L0‐L1、Δa=a0‐a1、Δb=b0‐b1によって算出できる。
【0061】
具体的には、図4等に示すように、中間シート12は、肌側シート11と吸収シート13との間に設けられている。また、中間シート12は全域において、リグニン成分由来の薄茶色である。そして、長手方向において、肌側シート11の長さと中間シート12の長さが同じであり、幅方向において、肌側シート11の長さと中間シート12の長さが同じである。
【0062】
一般的に、パンティライナー等の吸収性物品は、肌側面から視認することができる面が白色であるため、経血、おりもの、尿等の排泄物による汚れだけでなく、着用によって生じる着用者の汗による汗染みや、着用者の肌と吸収性物品との擦れによる黒ずみ等の汚れが目立ってしまい、着用者、又は介護者や育児者等の介助者(以下、「着用者等」ともいう。)に不快感を与えてしまうことがあった。
【0063】
これに対し、本実施形態のパンティライナー1は、長手方向又は幅方向の少なくとも一方において、有色の中間シート12を肌側シート11の長さと同じとすることで、パンティライナー1のうち着用者の尿や経血等の排泄物が排泄される排泄口に当接する部分(パンティライナー1の長手方向及び幅方向における中央部分)だけでなく、長手方向又は幅方向の少なくとも一方の端部におけるパンティライナー1の汚れ(例えば、汗染みや着用者の肌との接触による黒ずみ)が、中間シート12の色によって目立ちにくくなる。これによって、着用者が汚れを視認した際に感じる不快感を軽減させることができる。また、中間シート12の色は、中間シート12の原料由来の色であり、染色処理が施されていないため、着用者等に対して、染色処理がされていない素材を用い、化学的な処理が少ない製品であるという印象を与えやすくなり、着用における安心感を与えやすくなる。
【0064】
本実施形態のパンティライナー1においては、中間シート12には、漂白処理及び染色処理が施されておらず、木材パルプ繊維の主要成分の1つであるリグニン成分を含むため、中間シート12が薄茶色を呈している。そのため、着用者等は、原料由来の色を視認することで、化学処理が少ない製品であることを認識しやすくなり、着用に対する安心感を得やすくなる。また、肌側シート11を通して視認できる中間シート12の薄茶色によって、経血の赤色、おりもの、尿、汗等の黄色、皮膚接触による黒ずみ等の汚れの色を目立ちにくくすることができるため、着用者等に、不快感を与えにくくなる。
【0065】
なお、パンティライナー1では、中間シート12の原料に木材パルプ繊維を用いることで、中間シート12の色を薄茶色としたが、これに限られない。中間シート12の色を竹、リンター、マニラ、麻、ケナフ、藁、バナナを原料とする非木材パルプ繊維を原料として、茶色、薄茶色、淡黄色等の有色に呈しても良い。
【0066】
パンティライナー1において、肌側シート11の色が中間シート12の色より薄いことが好ましい。肌側シート11は、中間シート12より肌側に設けられており、着用者等は、肌側シート11を通して中間シート12の色を視認するため、肌側シート11の色が中間シート12の色より薄いことで、肌側シート11より色が濃い中間シート12の色を視認しやすくなる。これによって、着用による汚れの色をより目立ちにくくすることができ、着用者等に与える不快感を軽減することができる。
【0067】
肌側シート11と中間シート12の色の濃淡を比較する方法の一例を説明する。まず、肌側シート11と中間シート12の各肌側面を市販のカメラを用いて撮像する。そして、撮像した画像をスキャナーに読み取らせ、読み取りデータを取得する。この読み取りデータは、スキャナーの読み取り解像度に応じた画素データが2次元に並んだデータであり、各画素データは、肌側シート11及び中間シート12の肌側面の色の濃度を多段階の階調値(以下、読み取り階調値)で示すものである。当該画素データの示す読み取り階調値が大きいほど色の濃度がシートの濃く、読み取り階調値が小さいほどシートの色の濃度が淡いものとする。なお、画素データの示す読み取り階調値は、例えば、輝度やL*値(明度)によって表されてもよい。
【0068】
また、肌側シート11の繊維密度が、中間シート12の繊維密度より低いことが好ましい。このような肌側シート11を用いることで、肌側シート11の繊維密度が中間シート12の繊維密度より高い場合よりも、肌側シート11を通して中間シート12の色を視認しやすくなる。そのため、中間シート12の色によって、パンティライナー1の汚れを目立ちにくくすることができる。本実施形態の肌側シート11の繊維密度は、0.12g/mであり、中間シート12の繊維密度は、0.18g/mである。
【0069】
各シート11、12の繊維密度の比較は周知の方法で行うとよい。例えば、各シート11、12の繊維密度を均一として測定するが、均一でない場合には、複数箇所を測定し、その平均密度で比較する。繊維密度の比較方法としては、例えば、パンティライナー1から、肌側シート11と中間シート12をそれぞれサンプルとして所定の大きさを切り出し、各サンプルの面積と質量を測定し、単位面積あたりの質量である坪量(g/m2)を算出する。また、上記の方法で各サンプルの厚みも測定し、サンプルの坪量(g/m2)を厚み(m)で除することで、密度を算出することができる(g/m3)。
【0070】
厚さ方向に見て、肌側シート11と中間シート12とが同じ大きさであることが好ましい。肌側シート11と中間シート12とが同じ大きさであることで、肌側シート11の全域に亘って、中間シート12の色を視認可能となる。これによって、経血、おりもの、尿等が排出される着用者の排出口に当接する領域だけでなく、着用者の汗による汗染みや着用者の肌との擦れによって生じる黒ずみ等を、肌側シート11の全域に亘って目立ちにくくすることができる。
【0071】
さらに、厚さ方向に見て、肌側シート11と中間シート12と吸収シート13とが同じ大きさであることがより好ましい。肌側シート11と吸収シート13とが同じ大きさであることで、吸収シート13で排泄物を吸収可能な範囲を中間シート12が覆うことができるため、吸収シート13で吸収した排泄物による汚れの色を中間シート12の色で目立ちにくくすることができる。さらに、肌側シート11と中間シート12とが同じ大きさであることで、肌側シート11の全域に亘って、中間シート12の色を視認可能となる。これによって、経血、おりもの、尿等が排出される着用者の排出口に当接する領域だけでなく、着用者の汗による汗染みや着用者の肌との擦れによって生じる黒ずみ等を、肌側シート11の全域に亘って目立ちにくくすることができる。
【0072】
図4に示すように、本実施形態では、肌側シート11と中間シート12と吸収シート13と非肌側シート14とが同じ大きさである。そのため、中間シート12の色によって吸収シート13で吸収した排泄物を目立ちにくくしつつ、着用者の汗による汗染みや着用者の肌との擦れによって生じる黒ずみ等を、パンティライナー1の全域に亘って目立ちにくくすることができる。また、肌側シート11と中間シート12と吸収シート13と非肌側シート14とが同じ大きさであるため、パンティライナー1の周縁部の接合領域20において、肌側シート11と中間シート12と吸収シート13と非肌側シート14とを接合することができるため、各シート11~14の形状を維持しやすくなる。
【0073】
なお、中間シート12は、肌側シート11より疎水性が高いことが好ましい。具体的には、パンティライナー1の中間シート12は、木材由来のリグニンを有する。リグニンを有する木材パルプ繊維は、肌側シート11の綿繊維より疎水性が高い。着用時において、パンティライナー1は、まず、肌側シート11が排泄物を吸収する。そして、肌側シート11と吸収シート13との間に位置する中間シート12が、肌側シート11より疎水性が高いことで、厚さ方向への排泄物の移動速度を緩やかにすることができ、排泄物を平面的に拡散しやすくなる。そのため、吸収シート13におけるより広い範囲で排泄物を吸収することができ、吸収シート13において局所的に吸収し、吸収しきれない排泄物が着用者の肌に接して、不快感を与えてしまう恐れを軽減させることができる。
【0074】
各シート11、12の疎水性の比較は、以下の方法で行うことができる。
(1)濾紙を5枚重ねて水平に置き、濾紙の上に測定対象の試験片(所定の大きさの各シート11、12)を載せる。
(2)縦方向及び横方向のそれぞれにおいて、2cm間隔で試験片に印を付す。ピペットで人工尿1滴(約0.05g)を20箇所に滴下する。人工尿の滴下は、1分10秒で20箇所に行う。人工尿としては、イオン交換水10Lに、尿素200g、塩化ナトリウム80g、硫酸マグネシウム8g、塩化カルシウム3g、及び青色1号色素約1gを溶解させることにより調整されたものを用いる。
(3)20箇所滴下終了から30秒放置した後、試験片に吸収されている箇所を数える。試験片の吸収箇所が少ないほど、疎水性が高いものとなる。
【0075】
また、図1及び図3に示すように、肌側シート11は、厚さ方向に圧搾された圧搾部(線状圧搾部30、花柄圧搾部41、円形圧搾部42)を備えている。線状圧搾部30、花柄圧搾部41、円形圧搾部42は、肌側シート11の肌側面において、窪んだ部分となっている。そのため、肌側シート11に立体感が生じ、中間シート12の色に加えて、肌側シート11の立体感によって、肌側シート11の表面から視認可能な汚れによる色を緩和させやすくなる。
【0076】
さらに、線状圧搾部30、花柄圧搾部41、円形圧搾部42は、少なくとも肌側シート11と中間シート12とが厚さ方向に圧搾されている。圧搾によって、各圧搾部(肌側面から窪んだ部分)30、41、42は、肌側シート11と中間シート12とが密接しているため、肌側シート11を通して中間シート12の色を視認しやすくなり、パンティライナー1の汚れを目立ちにくくすることができる。
【0077】
肌側シート11は、その繊維について、所定の坪量を備える高坪量部110と、高坪量部110より坪量が小さい低坪量部111とを有することが好ましい。中間シート12の色は、肌側シート11を通して視認することができることから、肌側シート11において、低坪量部111は、高坪量部110より繊維の坪量を小さくすることで、高坪量部110よりも中間シート12の色を視認しやすくなる。パンティライナー1は、図5Bに示すように、綿繊維の肌側シート11は、低坪量部111として孔部111を有している。図5Bは、図1中の部分Xにおける肌側シート11について説明する図である。孔部111は、直径0.4~0.7mmの略円形で、厚さ方向に貫通した貫通孔である。なお、図5Bでは、便宜上、孔部111を円形として示したが、孔部111の形状は必ずしも円形に限らない。例えば、製造過程において、柔らかい綿繊維シートのシート部材に円柱状のピン等の突部を貫通させることで肌側シート11に孔部111を形成した場合でも、孔部111の形状は必ずしも円形に限らず、略楕円形や、多角形等、様々な形状の貫通孔となり得る。パンティライナー1の場合、貫通孔である孔部111によって、低坪量部111における坪量は、0である。そのため、低坪量部111の繊維の坪量は、明らかに高坪量部110の繊維の坪量より小さい。着用者等は、孔部111から、直接的に中間シート12の色を視認可能であるため、パンティライナー1の着用による汚れが目立ちにくくなる。
【0078】
本実施形態のパンティライナー1では、低坪量部111を貫通孔として、その繊維が0とし、明らかに高坪量部110より繊維の坪量を小さくしたが、低坪量部111が任意の繊維量を備える場合には、肌側シート11における高坪量部110と低坪量部111の繊維密度の比較は、周知の方法(例えば、上述の坪量の測定)で行うと良い。
【0079】
さらに、複数の低坪量部111(孔部111)が、肌側シート11の全域に亘って設けられていることがより好ましい。肌側シート11の全域において、中間シート12の色を視認しやすくなるため、例えば、肌側シート11の着用者の排泄口と接する部分だけでなく、肌側シート11のどの部分に汚れが生じても、中間シート12の色によって、排泄物による汚れだけでなく着用によって生じる汚れを目立ちにくくすることができる。
【0080】
また、厚さ方向に見て、肌側シート11の低坪量部111が、接合部21と重なる部分を有することが好ましい。図5Cは、図1中の部分Xにおける接合部21と肌側シート11について説明する図である。肌側シート11の低坪量部111は、高坪量部110より強度が低い。そのため、これに対し、パンティライナー1は、図5Cに示すように、略ひし形の接合部21と、略円形の低坪量部111とが重なる部分が設けられていることで、肌側シート11と中間シート12との接合をより強固にすることができ、肌側シート11と中間シート12との接合が剥がれてしまう恐れを軽減させることができる。
【0081】
さらに、接合部21の長手方向の長さL21が、低坪量部111の長手方向の長さL111より長いことがより好ましい。具体的には、図5Cに示すように、接合部21の長さL21(図5A)が、低坪量部111の長手方向の長さL111(図5B)より長い。これによって、低坪量部111の長手方向の少なくとも一方側の外側には、接合部21と高坪量部110とが重なる部分が設けられることになる。低坪量部111と接合部21とが重なる部分より、高坪量部110と接合部21とが重なる部分の方が、肌側シート11と中間シート12との接合がより強固であるため、接合部21の長手方向の長さL21を、低坪量部111の長手方向の長さL111より長くして、接合部21と高坪量部110とが重なる部分が設けられることで、肌側シート11と中間シート12との接合をより強固にすることができる。
【0082】
低坪量部111について、長手方向又は幅方向の少なくとも一方に隣接する低坪量部111の中心間の距離(a111、b111)が、接合領域20の接合幅の最大値20Wより短いことがより好ましい。本実施形態では、長手方向又は幅方向の少なくとも一方に隣接する低坪量部111の中心間の距離(a111、b111)は、それぞれ0.7~1.0mmであり、接合領域20の接合幅は、約4.0mmである。図1において、接合領域の接合幅の最大値W20をパンティライナー1の幅方向の一方側の側端部としたが、この部分に限らない。接合領域20の接合幅は、製造過程に応じて多少変動する場合がある。接合領域20の接合幅の最大値20Wとしては、パンティライナー1の接合領域20中の最大値となる部分である。複数の低坪量部111を備えることで、その強度が低下した肌側シート11であっても、低坪量部111の中心間の距離(a111、b111)を、接合領域20の接合幅の最大値20Wより短くすることで(a111<20W、b111<20W)、厚さ方向に見て、高坪量部110と重なる部分を備える接合領域20を設けることができるため、肌側シート11と中間シート12との接合をより強固にすることができる。なお、より好ましくは、低坪量部111の中心間の距離(a111、b111)を、接合領域20の接合幅の最小値より短くするとよい。これによって、接合領域20における高坪量部110をより広く設けることができるため、肌側シート11と中間シート12との接合をより強固にすることができる。
【0083】
また、低坪量部111の長手方向の長さL111(図5B)が、長手方向に隣接する粘着部14a同士の間隔P(図2)より短いことが好ましい。着用状態では、粘着部14aが設けられた部分は、着用者の下着等の着衣に固定されるため、粘着部14aが設けられた部分に対応する肌側面は、着衣(非肌側)に向かって引っ張られやすい部分となる。一方、粘着部14aが設けられていない部分は、着用者の着衣に固定されていないため、粘着部14aが設けられていない部分に対応する肌側面は、着用者の肌に接しやすい部分となる。このとき、仮に、粘着部14aが設けられていない部分に対応する肌側面に、低坪量部111のみを設けると、例えば、本実施形態のように低坪量部の繊維を0として、低坪量部111を孔部111とすると、着用者の肌に直接中間シート12が着用者の肌に接しやすくなり、肌側シート11で排泄物を吸収しない分、着用時の吸収性が低下して、濡れ感等の不快感を与えやすくなってしまう。そのため、低坪量部111の長手方向の長さL111を、長手方向に隣接する粘着部14a同士の間隔Pより短くすることで(L111<P)、粘着部14aが設けられていない部分に対応する肌側面には、低坪量部111の長手方向の少なくとも一方の外側に高坪量部110が設けられることになる。着用者の肌に高坪量部110が接しやすくすることで、排泄物は、まず肌側シート11で吸収されやすくなり、着用時の濡れ感を軽減させることができる。
【0084】
<<<第1実施例の変形例>>>
第1実施形態では、エアレイド不織布からなるシート状の吸収シート13を用いたが、これに限らず、所定の厚みを備えた直方体状の吸収体であってもよい。吸収体としては、例えば、粉砕パルプ等の液体吸収性繊維を有する吸収性コアを備えており、必要に応じて、吸収性コアをティッシュ等のコアラップで覆ったものを用いてもよい。また、有色のティッシュからなるコアラップを用いて吸収性コアを覆ってもよい。
【0085】
第1実施形態では、吸収シート13を、肌側シート11及び中間シート12と同じ大きさとしたが、これに限られない。吸収シート13(又は吸収体)が、肌側シート11より小さくてもよい。具体的には、吸収シート13の長手方向の長さが、肌側シート11の長手方向の長さより短くてもよく、又は、吸収シート13の幅方向の長さが、肌側シート11の幅方向の長さより短くてもよく、吸収シート13の長手方向及び幅方向の長さが、肌側シート11の長手方向及び幅方向の長さより短くてもよい。
【0086】
また、第1実施形態では、吸収シート13の液体吸収性繊維として、漂白処理済みのパルプ繊維を用いたが、これに限られない。吸収シート13又は吸収性コアを備える吸収体に用いる液体吸収性繊維が、染色処理が施されておらず、且つ、有色であってもよい。具体的には、肌側から順に、綿繊維からなる白色の肌側シート11、リグニン成分を備えた薄茶色のティッシュからなる中間シート12、リグニン成分を備えた薄茶色のパルプ繊維をシート状に形成した吸収シート13、液不透過性の非肌側シート14とを重ね合わせたパンティライナー1(吸収性物品)であってもよい。このように、有色の中間シート12に加えて、有色の吸収シート13とすることで、中間シート12の色と吸収シート13の色によって、排泄物の汚れや着用による汚れを目立ちにくくすることができる。
【0087】
なお、有色の吸収シート13又は吸収体の原料としては、必ずしもパルプ繊維のような天然繊維のみに限られない。吸収シート13又は吸収体が、液体吸収性繊維として、天然繊維と合成繊維を備えるものであってもよい。このとき、天然繊維は、染色処理が施されておらず、且つ、有色である繊維とする。また、第1実施形態の天然繊維には、漂白処理がされていないものを用いているが、これに限られない。天然繊維としては、染色処理を施すことなく、有色のものであればよいため、漂白処理を行ったものでもよい。例えば、木材パルプ繊維の茶色が残存する程度に、木材の不純物を取り除くための漂白処理を行った繊維を用いても良い。吸収シート13又は吸収体が天然繊維と合成繊維を備える場合にも、中間シート12の色に加えて、吸収シート13(又は吸収体)の色によって、排泄物の汚れや着用による汚れを目立ちにくくすることができる。また、液体吸収性繊維として、天然繊維だけでなく、合成繊維を備えることで、吸収シート13(又は吸収体)が備える繊維の量を増やすことができ、さらに、合成繊維を備えることで、天然繊維の間に合成繊維が入り込んで、空間を形成しやすくなるため、吸収シート13(又は吸収体)をより柔らかくすることができる。また、より繊維の量を増やすと、吸収シート13(又は吸収体)に圧搾部等の溝を形成した場合には、凹凸がより深く形成されるため、肌側シート11(肌側面)に立体感が生じやすくなり、排泄物の汚れや着用による汚れを目立ちにくくすることができる。吸収シート13(又は吸収体)が、天然繊維と合成繊維を備える場合、天然繊維と合成繊維とを均一に拡散させた状態であってもよいし、吸収シート13(又は吸収体)の肌側に天然繊維の層を形成し、非肌側に合成繊維の層を形成したものであってもよい。また、その逆で、肌側に合成繊維の層を形成し、非肌側に天然繊維の層を形成したものであってもよい。
【0088】
さらに、有色の吸収シート13(又は吸収体)としては、吸収シート13(又は吸収体)が、天然繊維の液体吸収性繊維に加えて、液体吸収性粒状物である高吸収性ポリマー(所謂SAP)を備えるものであってもよい。天然繊維の液体吸収性繊維は、漂白処理が行われておらず、染色処理が施されておらず、且つ、有色である繊維である。中間シート12の色と吸収シート13の色によって、排泄物の汚れや着用による汚れを目立ちにくくさせつつ、高吸収性ポリマーを備えることで、より多くの排泄物を保持できる。
【0089】
また、有色の吸収シート13(又は吸収体)としては、吸収シート13(又は吸収体)が、天然繊維と合成繊維の液体吸収性繊維と、液体吸収性粒状物である高吸収性ポリマー(所謂SAP)を備えるものであってもよい。天然繊維の液体吸収性繊維は、漂白処理が行われておらず、染色処理が施されておらず、且つ、有色である繊維である。これによって、中間シート12の色と吸収シート13の色で、排泄物の汚れや着用による汚れを目立ちにくくさせることができる。また、高吸収性ポリマーを備えることで、より多くの排泄物の保持を可能にしつつ、液体吸収性繊維として、天然繊維と合成繊維とを備えることで、吸収シート13(又は吸収体)をより柔らかくすることができる。
【0090】
===第2実施形態===
<<<第2実施形態のパンティライナー100の基本構成>>>
以下、第2実施形態に係る吸収性物品の一例として、パンティライナー100を例に挙げて説明する。以下の説明において、第1実施形態のパンティライナー1と同じ部材等は同じ符号とし、第1実施形態と共通する部分の説明は省略する。図6は、パンティライナー100を肌側から見た平面図である。図7は、図6の中心線CLでのパンティライナー100の断面模式図である。図8は、パンティライナー100の構成を説明する図であるなお、図7では、パンティライナー100の長手方向の中央(中心線CL)における断面の構成を示しており、便宜上、長手方向の中央より長手方向の腹側(背側)の視認可能な部分を一部省略して示している。
【0091】
パンティライナー1と同様に、パンティライナー100は、長手方向と幅方向と厚さ方向を有する。厚さ方向において着用者の肌に当接する側が肌側であり、その反対側が非肌側である。図6等に示す中心線C-Cは、幅方向におけるパンティライナー100の中心を示し、中心線CLは、長手方向におけるパンティライナー100の中心を示す。本実施形態のパンティライナー100の外形は長手方向に対称であり(中心線CLに対して対称)、幅方向に対称(中心線C-Cに対して対称)である。そのため、パンティライナー100の長手方向の一方側が着用者の腹側となってもよいし、着用者の背側となってもよい。
【0092】
パンティライナー100は、第1実施形態における中間シート12を有しておらず、肌側シート11、吸収シート13、非肌側シート14を有する。図7及び図8に示すように、肌側シート11、吸収シート13、非肌側シート14が同じ形状で、且つ、同じ大きさであり、厚さ方向において、肌側から順に、肌側シート11、吸収シート13、非肌側シート14が重ね合されている。肌側シート11、吸収シート13、及び非肌側シート14は、それぞれ長手方向の中央部に、最も幅狭部分を有する略楕円形状である。厚さ方向に互いに隣接する各資材はホットメルト等の接着剤で接合されている。図7等では、便宜上、各資材を接合する接着剤を省略して示している。また、説明のために、図8の有色の吸収シート13をドットのハッチングで示している。
【0093】
第1実施形態と同様に、肌側シート11は、液透過性のシートであり、パンティライナー100において最も肌側に位置する部材である。パンティライナー100の肌側シート11は、吸収シート13より色が薄く、綿繊維からなる白色の親水性の不織布シートである。なお、第2実施形態においても、肌側シート11として、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等の合成繊維からなる不織布(例えばエアスルー不織布やスパンボンド不織布等)や、貫通孔を有する合成樹脂フィルム等を用いても良い。
【0094】
パンティライナー100は、第1実施形態における中間シート12を有さず、吸収シート13が、肌側シート11と非肌側シート14との間に位置する中間部材である。吸収シート13は、排泄物を吸収して内部に保持する吸収体である。中間部材としての吸収シート13は、漂白処理及び染色処理が施されていないが、有色のパルプ繊維で形成を、接着剤等を用いてシート状に成形した所謂エアレイド不織布である。具体的には、本実施形態の吸収シート13は、針葉樹や広葉樹を原料として得られる木材パルプ繊維の液体吸収繊維からなり、漂白処理及び染色処理を施していないため、木材パルプ繊維は、リグニン成分による薄茶色を呈している。
【0095】
非肌側シート14は、例えば、ポリエチレン(PE)の樹脂フィルム等の液不透過性のシートであり、パンティライナー100において最も非肌側に位置する部材である。図2に示すように、非肌側シート14の非肌側面に、複数の粘着部14aを備えるが、パンティライナー100の「部材」としては、非肌側シート14が最も非肌側に設けられている。パンティライナー100の使用時に、粘着部14aが下着等の着衣の肌側面に貼り付けられることで、パンティライナー100は着衣に固定される。
【0096】
肌側シート11、吸収シート13、及び非肌側シート14は、各部材の周縁部に、接合領域20が設けられている。接合領域20には、肌側シート11、吸収シート13、非肌側シート14の各部材が互いに接合された複数の接合部21が設けられており、複数の接合部21によって、肌側シート11、吸収シート13、及び非肌側シート14が接合された領域を接合領域20といい、接合領域20は、肌側シート11、吸収シート13、及び非肌側シート14は、各部材の周縁部に相当する。
【0097】
複数の接合部21は、肌側シート11の周縁部と吸収シート13の周縁部を互いに接合しているため、接合部21では、肌側シート11と吸収シート13の繊維密度が高くなっている。そのため、パンティライナー100の着用中に、排泄物が肌側シート11又は吸収シート13の周縁部まで達したとしても、繊維密度が高い接合部21が設けられた肌側シート11及び吸収シート13の周縁部で排泄物を堰き止めやすくなる。これによって、排泄物がパンティライナー100の外側に漏れてしまう恐れを軽減させることができる。
【0098】
図6等に示すように、パンティライナー100は、複数の花柄圧搾部41及び複数の円形圧搾部42を有する。花柄圧搾部41及び円形圧搾部42は、それぞれ花柄の圧搾部と円形の圧搾部であり、肌側シート11と吸収シート13とが厚さ方向に圧搾されている。
【0099】
<<<パンティライナー100の特徴>>>
パンティライナー100は、厚さ方向において、肌側シート11と非肌側シート14との間に設けられた吸収シート13の少なくとも肌側面は、有色であり、長手方向又は幅方向の少なくとも一方において、吸収シート13の長さが肌側シート11の長さと同じである。
【0100】
具体的には、図8等に示すように、吸収シート13は、肌側シート11と非肌側シート14との間に設けられている。また、吸収シート13は全域において、リグニン成分由来の薄茶色である。そして、長手方向において、肌側シート11の長さと吸収シート13の長さが同じであり、幅方向において、肌側シート11の長さと吸収シート13の長さが同じである。
【0101】
本実施形態のパンティライナー100は、長手方向又は幅方向の少なくとも一方において、有色の吸収シート13を肌側シート11の長さと同じとすることで、パンティライナー100のうち着用者の尿や経血等の排泄物が排泄される排泄口に当接する部分(パンティライナー100の長手方向及び幅方向における中央部分)だけでなく、長手方向又は幅方向の少なくとも一方の端部におけるパンティライナー100の汚れ(例えば、汗染みや着用者の肌との接触による黒ずみ)が、吸収シート13の色によって目立ちにくくなる。そのため、着用者が汚れを視認した際に感じる不快感を軽減させることができる。また、吸収シート13の色は、吸収シート13の原料由来の色であり、染色処理が施されていないため、着用者等に対して、染色処理がされていない素材を用い、化学的な処理が少ない製品であるという印象を与えやすくなり、着用における安心感を与えやすくなる。
【0102】
本実施形態のパンティライナー100においては、吸収シート13には、漂白処理及び染色処理が施されておらず、木材パルプ繊維の主要成分の1つであるリグニン成分を含むため、吸収シート13が薄茶色を呈している。そのため、着用者等は、原料由来の色を視認することで、化学処理が少ない製品であることを認識しやすくなり、着用に対する安心感を得やすくなる。また、肌側シート11を通して視認できる吸収シート13の薄茶色によって、経血の赤色、おりもの、尿、汗等の黄色、皮膚接触による黒ずみ等の汚れの色を目立ちにくくすることができるため、着用者等に、不快感を与えにくくなる。なお、吸収シート13は、染色処理を施しておらず、且つ、有色であれば、本実施形態のものに限られない。例えば、染色処理を施さず、有色の状態を維持する程度に漂白処理やゴミ等の不純物除去処理を行った木材パルプ繊維を用いた吸収シート13であってもよい。
【0103】
なお、パンティライナー100では、吸収シート13の原料に木材パルプ繊維を用いることで、吸収シート13の色を薄茶色としたが、これに限られない。吸収シート13の色を竹、リンター、マニラ、麻、ケナフ、藁、バナナを原料とする非木材パルプ繊維を原料として、茶色、薄茶色、淡黄色等の有色に呈しても良い。
【0104】
パンティライナー100において、肌側シート11の色が吸収シート13の色より薄いことが好ましい。肌側シート11は、吸収シート13より肌側に設けられており、着用者等は、肌側シート11を通して吸収シート13の色を視認するため、肌側シート11の色が吸収シート13の色より薄いことで、肌側シート11より色が濃い吸収シート13の色を視認しやすくなる。これによって、着用による汚れの色をより目立ちにくくすることができ、着用者等に与える不快感を軽減することができる。肌側シート11と吸収シート13の色の濃淡を比較する方法は、例えば、上述の方法を採用することができる。
【0105】
また、肌側シート11の繊維密度が、吸収シート13の繊維密度より低いことが好ましい。このような肌側シート11を用いることで、肌側シート11の繊維密度が吸収シート13の繊維密度より高い場合よりも、肌側シート11を通して吸収シート13の色を視認しやすくなる。そのため、吸収シート13の色によって、パンティライナー100の汚れを目立ちにくくすることができる。各シート11、13の繊維密度の比較は周知の方法で行うことができ、例えば、上述の方法を採用することができる。
【0106】
厚さ方向に見て、肌側シート11と吸収シート13とが同じ大きさであることが好ましい。肌側シート11と吸収シート13とが同じ大きさであることで、肌側シート11の全域に亘って、吸収シート13の色を視認可能となる。これによって、経血、おりもの、尿等が排出される着用者の排出口に当接する領域だけでなく、着用者の汗による汗染みや着用者の肌との擦れによって生じる黒ずみ等を、肌側シート11の全域に亘って目立ちにくくすることができる。
【0107】
図8に示すように、本実施形態では、肌側シート11と吸収シート13と非肌側シート14とが同じ大きさである。そのため、吸収シート13の色によって吸収シート13で吸収した排泄物を目立ちにくくしつつ、着用者の汗による汗染みや着用者の肌との擦れによって生じる黒ずみ等を、パンティライナー100の全域に亘って目立ちにくくすることができる。また、肌側シート11と吸収シート13と非肌側シート14とが同じ大きさであるため、パンティライナー100の周縁部の接合領域20において、肌側シート11と吸収シート13と非肌側シート14とを接合することができるため、各シート11、13、14の形状を維持しやすくなる。
【0108】
また、図6及び図7に示すように、肌側シート11は、厚さ方向に圧搾された圧搾部(花柄圧搾部41、円形圧搾部42)を備えている。花柄圧搾部41、円形圧搾部42は、肌側シート11の肌側面において、窪んだ部分となっている。そのため、肌側シート11に立体感が生じ、吸収シート13の色に加えて、肌側シート11の立体感によって、肌側シート11の表面から視認可能な汚れによる色を緩和させやすくなる。
【0109】
さらに、花柄圧搾部41、円形圧搾部42は、少なくとも肌側シート11と吸収シート13とが厚さ方向に圧搾されている。圧搾によって、各圧搾部(肌側面から窪んだ部分)41、42は、肌側シート11と吸収シート13とが密接しているため、肌側シート11を通して吸収シート13の色を視認しやすくなり、パンティライナー100の汚れを目立ちにくくすることができる。
【0110】
<<<第2実施例の変形例>>>
第2実施形態では、第1実施形態と同様に、エアレイド不織布からなるシート状の吸収シート13を用いたが、これに限らず、所定の厚みを備えた直方体状の吸収体であってもよい。吸収体としては、例えば、粉砕パルプ等の液体吸収性繊維を有する吸収性コアを備えており、必要に応じて、吸収性コアをティッシュ等のコアラップで覆ったものを用いてもよい。また、有色のティッシュからなるコアラップを用いて吸収性コアを覆ってもよい。
【0111】
第2実施形態では、吸収シート13を、肌側シート11と同じ大きさとしたが、これに限られない。吸収シート13の長手方向の長さが、肌側シート11の長手方向の長さより短くてもよいし、吸収シート13の幅方向の長さが、肌側シート11の幅方向の長さより短くても良い。
【0112】
また、第2実施形態では、吸収シート13(又は吸収性コアを備える吸収体に用いる液体吸収性繊維)を、染色処理が施されておらず、且つ、有色の天然の木材パルプ繊維からなるとしたが、これに限られない。吸収シート13(又は吸収体)が、液体吸収性繊維として、天然繊維と合成繊維を備えるものであってもよい。このとき、天然繊維は、染色処理が施されておらず、且つ、有色である繊維とする。また、天然繊維には、漂白処理もされていないものとする。吸収シート13(又は吸収体)が天然繊維と合成繊維(一般的に、白色の繊維)を備える場合にも、吸収シート13(又は吸収体)の色によって、排泄物の汚れや着用による汚れを目立ちにくくすることができる。また、液体吸収性繊維として、天然繊維だけでなく、合成繊維を備えることで、吸収シート13(又は吸収体)が備える繊維の量を増やすことができ、吸収シート13(又は吸収体)をより柔らかくすることができる。また、繊維の量を増やすと、吸収シート13(又は吸収体)に圧搾部等の溝を形成した場合には、凹凸がより深く形成されるため、肌側シート11(肌側面)に立体感が生じやすくなり、排泄物の汚れや着用による汚れを目立ちにくくすることができる。吸収シート13(又は吸収体)が、天然繊維と合成繊維を備える場合、天然繊維と合成繊維とを均一に拡散させた状態であってもよいし、吸収シート13(又は吸収体)の肌側に天然繊維の層を形成し、非肌側に合成繊維の層を形成したものであってもよい。
【0113】
さらに、有色の吸収シート13(又は吸収体)としては、吸収シート13(又は吸収体)が、天然繊維の液体吸収性繊維に加えて、液体吸収性粒状物である高吸収性ポリマー(所謂SAP)を備えるものであってもよい。天然繊維の液体吸収性繊維は、漂白処理が行われておらず、染色処理が施されておらず、且つ、有色である繊維である。吸収シート13の色によって、排泄物の汚れや着用による汚れを目立ちにくくさせつつ、高吸収性ポリマーを備えることで、より多くの排泄物を保持できる。
【0114】
また、有色の吸収シート13(又は吸収体)としては、吸収シート13(又は吸収体)が、天然繊維と合成繊維の液体吸収性繊維と、液体吸収性粒状物である高吸収性ポリマー(所謂SAP)を備えるものであってもよい。天然繊維の液体吸収性繊維は、漂白処理が行われておらず、染色処理が施されておらず、且つ、有色である繊維である。これによって、吸収シート13の色で排泄物の汚れや着用による汚れを目立ちにくくさせることができる。また、高吸収性ポリマーを備えることで、より多くの排泄物の保持を可能にしつつ、液体吸収性繊維として、天然繊維と合成繊維とを備えることで、吸収シート13(又は吸収体)をより柔らかくすることができる。
【0115】
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。
【0116】
上述の実施形態では、中間部材(中間シート12、吸収シート13)の全域について、有色としたが、これに限られない。少なくとも中間部材の肌側面を有色とすることで、着用者等に自然由来の資材を用いていることによる安心感を与えやすく、着用による汚れを目立ちにくくさせることができる。
【0117】
また、上述の実施形態では、有色の中間部材(中間シート12、吸収シート13)が、肌側シート11と同じ大きさとしたが、これに限られない。長手方向又は幅方向の少なくとも一方において、中間部材(中間シート12、吸収体13)の長さを、肌側シート11の長さと同じとすることで、長手方向又は幅方向の少なくとも一方の領域において、排泄物による汚れ及び着用による汚れを目立ちにくくすることができる。
【符号の説明】
【0118】
1 パンティライナー(吸収性物品)、
100 パンティライナー(吸収性物品)、
11 肌側シート、
12 中間シート(中間部材)、
13 吸収シート(吸収体)、
14 非肌側シート、
14a 粘着部、
20 接合領域、
30 線状圧搾部、
41 花柄圧搾部、
42 円形圧搾部、
110 高坪量部、
111 低坪量部(孔部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8