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特許7516396酸素、ランタン、アルミニウム及びコバルトを含む混合酸化物を含む成形物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】酸素、ランタン、アルミニウム及びコバルトを含む混合酸化物を含む成形物
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/83 20060101AFI20240708BHJP
   B01J 37/00 20060101ALI20240708BHJP
   B01J 37/04 20060101ALI20240708BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20240708BHJP
   C01B 3/40 20060101ALI20240708BHJP
   C01G 51/00 20060101ALI20240708BHJP
   C04B 35/117 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
B01J23/83 M
B01J37/00 D
B01J37/04 102
B01J37/08
C01B3/40
C01G51/00 A
C04B35/117
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021544305
(86)(22)【出願日】2020-01-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-24
(86)【国際出願番号】 EP2020052296
(87)【国際公開番号】W WO2020157202
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2023-01-30
(31)【優先権主張番号】19154736.3
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァブ,エッケハルト
(72)【発明者】
【氏名】カウフマン レチュルスキ,マルセロ ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ディートリッヒ,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】マグナス,サンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ボルヒャース,サビーネ
(72)【発明者】
【氏名】シュンク,ステファン エー
(72)【発明者】
【氏名】クレツスカ,クリスティアーネ
(72)【発明者】
【氏名】シュローター,マリー カトリン
(72)【発明者】
【氏名】リュー,シュー
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン,トルステン
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-533169(JP,A)
【文献】特表2015-511209(JP,A)
【文献】特開平02-074505(JP,A)
【文献】特開2015-006961(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 - 38/74
C01B 3/40
C01G 51/00
C04B 35/117
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合酸化物を含む成形物であって、混合酸化物が、酸素、ランタン、アルミニウム及びコバルトを含み、混合酸化物中、コバルトとアルミニウムとの重量比が、元素として計算して少なくとも0.17:1であり、元素として計算して、混合酸化物の17.5~20重量%がランタンからなる成形物。
【請求項2】
混合酸化物中、コバルトとアルミニウムとの重量比が、元素として計算して、0.17:1~0.24:1の範囲にある、請求項1に記載の成形物。
【請求項3】
混合酸化物中、コバルトとランタンとの重量比が、元素として計算して、0.35:1~0.48:1の範囲にある、請求項1又は2に記載の成形物。
【請求項4】
混合酸化物の99~100重量%が、酸素、ランタン、アルミニウム、及びコバルトからなる、請求項1から3のいずれか一項に記載の成形物。
【請求項5】
混合酸化物が、LaCoAl11O19結晶相及びLaAl(Co)O3結晶相のうちの1つ以上を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の成形物。
【請求項6】
混合酸化物がLaCoAl11O19結晶相及びLaAl(Co)O3結晶相を含み、混合酸化物中、LaCoAl11O19とLaAl(Co)O3との重量比が、5:1~30:1の範囲にある、請求項5に記載の成形物。
【請求項7】
成形物の99~100重量%が混合酸化物からなる、請求項1から6のいずれか一項に記載の成形物。
【請求項8】
1~10m2/gの範囲のBET比表面積を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の成形物。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の混合酸化物を含む成形物を調製する方法であって、
(i)ランタン塩、コバルト塩、酸化物アルミニウム化合物及び酸を含む混合物を調製する工程であって、ランタン塩及びコバルト塩のうちの1つ以上が硝酸塩ではない、工程、
(ii)(i)から得られた混合物から成形物を調製する工程であって、
(ii.1)(i)から得られた混合物を成形方法で処理して、第1の成形物を得ること
(ii.3)(ii.1)又は(ii.2)から得られた第1の成形物を、350~470℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼すること
を含む工程
(iv)(ii)から得られた成形物を、1100~1400℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼して、混合酸化物を含む成形物を得る工程
を含む方法。
【請求項10】
(iii)(ii)から得られたか焼された第1の成形物を再成形方法で処理して、第1の成形物のジオメトリとは異なるジオメトリを有する第2の成形物を得る工程さらに(iv)が、(iii)から得られた成形物を、1100~1400℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼して、混合酸化物を含む成形物を得る工程を含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
(i)による酸が、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、硝酸、亜硝酸、クエン酸、酒石酸及びシュウ酸のうちの1つ以上である、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
(i)で調製した混合物中、酸とコバルトとのモル比が、1:2~9:1の範囲にある、請求項9から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
(i)、(ii)及び(iv)からなる、請求項9、11、及び12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
媒活性材料としての、触媒成分としての又は触媒としての、請求項1から8のいずれか一項に記載の成形物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素、ランタン、アルミニウム及びコバルトを含む混合酸化物を含む成形物、その調製(preparation)方法、並びに特に蒸気及び二酸化炭素の存在下で炭化水素を合成ガスに転化(conversion)させる合成手順におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
合成ガスへの炭化水素の改質は、Ni又はCoを含有する酸化物ベース触媒を使用する公知の触媒反応である。概して、コスト最小化を迫る圧力ゆえ、コスト効率のよい解決策が多大な経済的潜在力を有する。したがって、特に水素及び一酸化炭素を含む合成ガスへの炭化水素の改質に関する製造コストは、より高活性且つ高選択的な混合酸化物を不均一系酸化物改質触媒として使用することにより、更には、触媒の安定性を高めること及び触媒製造のコストを改善することによっても低下され得る。
【0003】
国際公開第2013/118078号は、ヘキサアルミン酸塩を含有する炭化水素改質用触媒並びに改質方法を開示する。触媒に関しては、該触媒が、アルミニウム及びコバルトに加えて更に、Ba、Sr及びLaからなる群からの少なくとも1つの元素を含むと開示されている。更に、触媒中のコバルトとアルミニウムとのモル比が、0.03~0.17の範囲にあると開示されている。実施例によると、コバルト及びランタンの硝酸塩から触媒を調製することが特に好ましい。
【0004】
米国特許第9,259,712号明細書は、改質触媒の製造方法及びメタンの改質に関する。該触媒は、ニッケル・マグネシウム混合酸化物、及び場合により水酸化酸化アルミニウムを含む。触媒の調製は、好ましくは、出発原料として硝酸ニッケルを使用して達成される。更に、付加的な金属が調製品中に含まれていてもよく、特に、アルミニウム、ランタン及びコバルトが開示される。
【0005】
前記の改質反応用の触媒活性種として利用される混合酸化物の調製方法は、現在のところ、例えば水溶液からの沈殿によるか、又は固体としての出発原料の混合、すなわち固体混合経路によるかのいずれかで行う。現状技術の両経路とも、出発原料としての対応する水溶性金属塩の使用を含む。通常、コバルト及び/又はニッケルの硝酸塩が使用される。次いで、混合酸化物が、成形物の形成に使用され得る。その代わりに、適切な支持材を含む成形物を調製してもよく、次いでその支持材を、コバルト及び/又はニッケルを含む水溶液で浸透加工する。コバルト及び/又はニッケルの供給源としては、その任意の水溶性塩を使用できる。浸透加工それ自体は、一般的な方法により達成され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2013/118078号
【文献】米国特許第9,259,712号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの経路は、著しい量の硝酸塩含有廃棄物を生み出すという欠点を有する。環境への硝酸塩含有水又はNOxの排出を回避するためには、これらの廃棄物を中和する必要がある。例えば、固体混合経路での金属硝酸塩の使用は、触媒前駆体の熱酸化処理中に形成されるオフガス中での大量のNOxの形成をもたらす。したがって、後者のオフガスは、環境へのNOxの排出を回避するためには多大な労力を費やして浄化される必要がある。
【0008】
代案として、特に、不均一系酸化物改質触媒としてのより高活性且つ高選択的な混合酸化物への、硝酸塩フリー触媒製造経路は、炭化水素から合成ガスへの改質の経済性を著しく改善するであろう。したがって、本発明の主題は、炭化水素を合成ガスに改質するための成形物において有用な混合酸化物のそのような調製方法の開発であった。本発明の更なる主題は、特に、例えば前記で開示した改質反応用の触媒活性材料として、触媒成分として又は触媒として、改善された特性を示す、酸素、ランタン、アルミニウム及びコバルトを含む混合酸化物を含む新規成形物の提供であった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
驚くべきことに、特に固体混合経路を使用して、出発原料として、好ましくはアルミナ源と組み合わせた非水溶性硝酸塩フリー金属塩を、出発原料としての水性酸と組み合わせて使用すると、混合酸化物を含む成形物の改善された調製方法を達成できることが見出された。非水溶性硝酸塩フリー金属塩としての炭酸塩の使用が特に好ましい。
【0010】
特に、非水溶性硝酸塩フリー金属塩として炭酸塩を使用する場合、適切な量の液体を酸と共に使用すると、その酸の少量の使用が可能になる。
【0011】
成形物の本発明による調製方法の更なる利点は、か焼工程と、好ましくは打錠によって行われる高密度化工程との特定の組合せによって達成される。驚くべきことに、打錠は比較的低い作用力を必要とすること、且つそれでもなおより硬い錠剤(tablet)を得ることができることが見出された。
【0012】
更に、驚くべきことに、混合酸化物を含む本発明の成形物は、特に、一酸化炭素及び水素を含む合成ガスを調製するための触媒活性材料として、触媒成分として又は触媒として、改善された特性を有することが見出された。特に、混合酸化物を含む本発明の成形物は、特に、合成ガスを調製するための触媒又は触媒成分としてのその使用時に低いコークス生成を示すことから、改善された長期安定性を示すことが見出された。
【0013】
したがって、本発明は、混合酸化物を含む成形物であって、混合酸化物が、酸素、ランタン、アルミニウム及びコバルトを含み、混合酸化物中、コバルトとアルミニウムとの重量比が、元素として計算して、少なくとも0.17:1である成形物に関する。
【0014】
本発明によると、成形物とは、成形方法から得られる三次元物と理解され、それゆえ、用語「成形物」は、用語「成形体」と同義で使用する。
【0015】
更に、本発明は、本明細書中で開示される混合酸化物を含む成形物、好ましくは前記で開示されたような成形物を調製する方法であって、
(i)ランタン塩、コバルト塩、酸化物アルミニウム化合物(oxidic aluminum compound)及び酸を含む混合物を調製する工程であって、ランタン塩及びコバルト塩のうちの1つ以上が、好ましくはランタン塩もコバルト塩も硝酸塩ではない、工程、
(ii)(i)から得られた混合物から成形物を調製する工程であって、
(ii.1)(i)から得られた混合物を成形方法で処理して、第1の成形物を得ること、
(ii.2)好ましくは、(ii.1)から得られた第1の成形物を、ガス雰囲気中で乾燥させること、
(ii.3)(ii.1)又は(ii.2)、好ましくは(ii.2)から得られた第1の成形物を、350~470℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼すること
を含む工程、
(iii)好ましくは、(ii)から得られたか焼された第1の成形物を再成形方法で処理して、第1の成形物のジオメトリ(geometry)とは異なるジオメトリを有する第2の成形物を得る工程、
(iv)(ii)又は(iii)、好ましくは(iii)から得られた成形物を、1100~1400℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼して、混合酸化物を含む成形物を得る工程
を含む方法に関する。
【0016】
更に、本発明は、前記の方法によって得ることができる、又は得られる成形物、好ましくは前記の成形物に関する。
【0017】
更に、本発明は、好ましくは、1つ以上の炭化水素を改質するための触媒活性材料としての、触媒成分としての又は触媒としての前記成形物の使用に関する。
【0018】
成形物中に含まれる混合酸化物に関しては、混合酸化物中、コバルトとアルミニウムとの重量比が、元素として計算して、0.17:1~0.24:1の範囲、更に好ましくは0.18:1~0.23:1の範囲、更に好ましくは0.19:1~0.22:1の範囲にあることが好ましい。更に、混合酸化物中、コバルトとランタンとの重量比が、元素として計算して、0.35:1~0.48:1の範囲、更に好ましくは0.38:1~0.45:1の範囲、更に好ましくは0.40:1~0.43:1の範囲にあることが好ましい。
【0019】
混合酸化物中に含まれる混合酸化物が、実質的に酸素、ランタン、アルミニウム、コバルト、及び場合により水素からなることが好ましい。混合酸化物の99~100重量% (weight-%)、更に好ましくは99.5~100重量%、更に好ましくは99.9~100重量%が、酸素、ランタン、アルミニウム、コバルト、及び場合により水素からなることが特に好ましい。
【0020】
成形物中に含まれる混合酸化物中のコバルト、ランタン及びアルミニウムの含有量に関しては、特別な制限は当てはまらない。元素として計算して、混合酸化物の6~9重量%、更に好ましくは6.5~8.5重量%、更に好ましくは7~8重量%がコバルトからなることが好ましい。更に、元素として計算して、混合酸化物の15~20重量%、更に好ましくは16~19重量%、更に好ましくは17~18重量%、更に好ましくは17.5~17.8重量%がランタンからなることが好ましい。更に、元素として計算して、混合酸化物の33~40重量%、更に好ましくは34~38重量%、更に好ましくは35~37重量%、更に好ましくは35.5~36.5重量%がアルミニウムからなることが好ましい。
【0021】
混合酸化物は、非晶相、1つ以上の結晶相、又は非晶相及び1つ以上の結晶相を含んでもよい。本発明によると、混合酸化物は、特に参考例3に記載されるように、X線回折によって測定可能な特定の特性を示す。混合酸化物が、1つ以上の結晶相、更に好ましくは少なくとも2つの結晶相、更に好ましくは少なくとも3つの結晶相を含むことが好ましい。混合酸化物の80~100重量%、更に好ましくは90~100重量%、更に好ましくは92~100重量%が結晶形であることが好ましい。
【0022】
更に、混合酸化物が、LaCoAl11O19結晶相及びLaAl(Co)O3結晶相のうちの1つ以上を含むことが好ましい。混合酸化物がLaCoAl11O19結晶相及びLaAl(Co)O3結晶相を含む場合、LaCoAl11O19とLaAl(Co)O3との重量比が、参考例3に記載されるようにXRDで測定して、5:1~30:1の範囲、更に好ましくは10:1~25:1の範囲、更に好ましくは12:1~22:1の範囲、更に好ましくは13:1~20:1の範囲、更に好ましくは13:1~15:1の範囲にあることが好ましい。混合酸化物が更なる結晶相La(OH)3を含むことが特に好ましい。更に、混合酸化物が更なる結晶相LaAlO3を含むことが特に好ましい。
【0023】
更に、混合酸化物が更なる結晶相CoAl2O4を含むことが好ましい。混合酸化物が少なくともLaCoAl11O19結晶相及び結晶相CoAl2O4を含む場合、混合酸化物中、LaCoAl11O19とCoAl2O4との重量比が、参考例3に記載されるようにXRDで測定して、8:1~35:1の範囲、更に好ましくは10:1~30:1の範囲、更に好ましくは12:1~30:1の範囲、更に好ましくは15:1~27:1の範囲、更に好ましくは17:1~25:1の範囲、更に好ましくは20:1~22:1の範囲にあることが好ましい。
【0024】
本発明によると、か焼されていない成形物は、特に参考例4に記載されるように、UV/Vis分光法により測定可能な特異性を示す。か焼されていない成形物が、参考例4に記載されるように測定して、UV/Visスペクトルの2300~2400nmの範囲に最小を有するピークを示すことが好ましい。
【0025】
好ましくは、混合酸化物を含む成形物が、実質的にイオウを含まない。好ましくは、成形物が、イオウを、元素Sとして計算して、成形物1kg当たり0~10mgの範囲、更に好ましくは1kg当たり0~5mgの範囲、更に好ましくは1kg当たり0~3mgの範囲、更に好ましくは1kg当たり0~2.5mgの範囲、更に好ましくは1kg当たり~2mgの範囲で含む。
【0026】
成形物の少なくとも50重量%、好ましくは50~100重量%、更に好ましくは60~100重量%、更に好ましくは70~100重量%、更に好ましくは80~100重量%、更に好ましくは90~100重量%、更に好ましくは95~100重量%、更に好ましくは99~100重量%が混合酸化物及び場合により少なくとも1つの適切なバインダからなることが好ましい。更に好ましくは成形物の99~100重量%、更に好ましくは99.5~100重量%、更に好ましくは99.9~100重量%が混合酸化物からなる。
【0027】
概して、成形物の形状及び成形物を調製する成形方法は、いかなる特定の制限の対象でもなく、成形物の用途に基づく特定の要求に合わせられる。好ましくは、成形物を打錠方法により調製する。したがって、成形物は好ましくは錠剤である。
【0028】
好ましくは、成形物の断面が1つ、2つ、3つ、4つ以上の穴を含む。更に好ましくは、成形物が、とりわけ錠剤である場合には四つ穴断面を有する。成形物が、四つ穴断面を有し、且つ1つ以上の四つ縦溝(four flutes)、例えば1つ、2つ、3つの四つ縦溝(one, two, three of four flutes)を有する錠剤であることが特に好ましい。更に好ましくは、成形物が、四つ穴断面を有し、且つ四つ縦溝を有する錠剤である。
【0029】
第1の特定の代案によると、成形物が、四つ穴断面を有し、且つ四つ縦溝を有する錠剤であり、成形物は、15~19mmの範囲、好ましくは16~18mmの範囲、更に好ましくは16.7~16.8mmの範囲の直径及び9~11mmの範囲、好ましくは9.5~10.5mmの範囲、更に好ましくは9.7~10.0mmの範囲の高さを有する。
【0030】
第1の代案の成形物がか焼成形物であることが好ましい。成形物が、そのか焼を、350~450℃の範囲、好ましくは360~440℃の範囲、更に好ましくは375~425℃の範囲、更に好ましくは390~410℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行ったか焼成形物であることが更に好ましい。更に、ガス雰囲気が酸素を含むことが好ましく、更に好ましくは酸素、空気又は希薄空気(lean air)の1つ以上である。好ましくは、か焼を、0.5~20h、更に好ましくは1~15h、更に好ましくは2~10h、更に好ましくは3~5hにわたり行った。
【0031】
第1の代案によると、成形物は特異性、特に特有の破砕強さを示す。特に、破砕強さは、錠剤(table)の相対する側面の各ペアについて、参考例5に記載されるように測定できる。成形物が、参考例5に記載されるように測定して、少なくとも70N、更に好ましくは70~250Nの範囲、更に好ましくは70~130Nの範囲のサイドクラッシュ強度1(SCS1)を有することが好ましい。好ましくは、成形物が、四つ穴断面を有し、且つ四つ縦溝を有する錠剤であり、4つの円筒状セグメントが、2つの縦溝間にある区域内に位置し、サイドクラッシュ強度(side crushing strength)1は、参考例5に応じて、成形物が、縦溝がある(sided by a flute)2つの円筒状セグメントに接して立つ状態で測定する。好ましくは、成形物が、参考例5に記載されるように測定して、少なくとも60N、更に好ましくは60~200Nの範囲、更に好ましくは60~88Nの範囲のサイドクラッシュ強度2(SCS2)を有する。更に好ましくは、成形物が、四つ穴断面を有し、且つ四つ縦溝を有する錠剤であり、4つの円筒状セグメントが、各々2つの縦溝間にある区域内に位置し、サイドクラッシュ強度2(SCS2)は、参考例5に応じて、成形物が、1つの円筒状セグメントに接して立つ状態で測定する。好ましくは、成形物が、参考例5に記載されるように測定して、少なくとも190N、更に好ましくは190~350Nの範囲、更に好ましくは190~240Nの範囲のサイドクラッシュ強度3(SCS3)を有する。更に好ましくは、成形物が、四つ穴断面を有し、且つ四つ縦溝を有する錠剤であり、4つの円筒状セグメントが、2つの縦溝間にある区域内に位置し、サイドクラッシュ強度3(SCS3)は、参考例5に応じて、円筒状セグメントの区域が、成形物に印加される力の方向に対して直角をなす状態で測定する。
【0032】
第2の特定の代案によると、成形物が、四つ縦溝を有し、且つ四つ穴断面を有する錠剤であり、成形物は、13~18mmの範囲、好ましくは14.5~16.0mmの範囲、更に好ましくは15.0~15.5mmの範囲の直径及び7~11mmの範囲、好ましくは8.2~9.4mmの範囲、更に好ましくは8.6~9.0mmの範囲の高さを有する。
【0033】
第2の代案の成形物がか焼成形物であることが好ましい。成形物が、そのか焼を、1100~1400℃の範囲、更に好ましくは1125~1275℃の範囲、更に好ましくは1150~1250℃の範囲、更に好ましくは1175~1225℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行ってあり、ガス雰囲気が好ましくは酸素を含み、更に好ましくは酸素、空気又は希薄空気の1つ以上であるか焼成形物であることが更に好ましい。好ましくは、か焼を、0.5~20h、更に好ましくは1~15h、更に好ましくは2~10h、更に好ましくは3~5hにわたり行った。
【0034】
第2の代案によると、成形物は特異性、特に特有の破砕強さを示す。好ましくは、破砕強さは、相対する側面の各ペアについて、参考例1に記載されるように測定できる。成形物が、参考例1に記載されるように測定して、少なくとも366N、好ましくは少なくとも400N、更に好ましくは400~800Nの範囲、更に好ましくは400~600Nの範囲、更に好ましくは400~570Nの範囲のサイドクラッシュ強度1(SCS1)を有することが好ましい。更に好ましくは、成形物が、四つ穴断面を有し、且つ四つ縦溝を有する錠剤であり、4つの円筒状セグメントが、2つの縦溝間にある区域内に位置し、サイドクラッシュ強度1は、参考例1に応じて、成形物が、縦溝がある2つの円筒状セグメントに接して立つ状態で測定する。好ましくは、成形物が、参考例1に記載されるように測定して、少なくとも170N、更に好ましくは少なくとも190N、更に好ましくは190~450Nの範囲、更に好ましくは190~300Nの範囲、更に好ましくは190~270Nの範囲のサイドクラッシュ強度2(SCS2)を有する。更に好ましくは、成形物が、四つ穴断面を有し、且つ四つ縦溝を有する錠剤であり、4つの円筒状セグメントが、各々2つの縦溝間にある区域内に位置し、サイドクラッシュ強度2は、参考例1に応じて、成形物が、1つの円筒状セグメントに接して立つ状態で測定する。更に、成形物が、参考例1に記載されるように測定して、少なくとも345N、更に好ましくは少なくとも500N、更に好ましくは500~950Nの範囲、更に好ましくは500~800Nの範囲、更に好ましくは500~770Nの範囲のサイドクラッシュ強度3(SCS3)を有することが好ましい。更に好ましくは、成形物が、四つ穴断面を有し、且つ四つ縦溝を有する錠剤であり、4つの円筒状セグメントが、各々2つの縦溝間にある区域内に位置し、サイドクラッシュ強度3は、参考例1に応じて、円筒状セグメントの区域が、成形物に印加される力の方向に対して直角をなす状態で測定する。
【0035】
更に、本発明の成形物に関して、成形物が、参考例2に応じて測定して、1~10m2/gの範囲、更に好ましくは5~10m2/gの範囲、更に好ましくは7~10m2/gの範囲、更に好ましくは7.5~9.6m2/gの範囲のBET比表面積を有することが好ましい。
【0036】
更に、成形物が、参考例2に記載されるように測定して、1~15m2/gの範囲、更に好ましくは5~15m2/gの範囲、更に好ましくは10~15m2/gの範囲、更に好ましくは11.0~13.5m2/gの範囲、更に好ましくは11.2~13.3m2/gの範囲のラングミュア比表面積を有することが好ましい。
【0037】
更に、本発明は、本明細書中で開示される混合酸化物を含む成形物を調製する方法であって、
(i)ランタン塩、コバルト塩、酸化物アルミニウム化合物及び酸を含む混合物を調製する工程であって、ランタン塩及びコバルト塩のうちの1つ以上が、好ましくはランタン塩もコバルト塩も硝酸塩ではない、工程、
(ii)(i)から得られた混合物から成形物を調製する工程であって、
(ii.1)(i)から得られた混合物を成形方法で処理して、第1の成形物を得ること、
(ii.2)好ましくは、(ii.1)から得られた第1の成形物を、ガス雰囲気中で乾燥させること、
(ii.3)(ii.1)又は(ii.2)、好ましくは(ii.2)から得られた第1の成形物を、350~470℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼すること
を含む工程、
(iii)好ましくは、(ii)から得られたか焼された第1の成形物を再成形方法で処理して、第1の成形物のジオメトリとは異なるジオメトリを有する第2の成形物を得る工程、
(iv)(ii)又は(iii)、好ましくは(iii)から得られた成形物を、1100~1400℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼して、混合酸化物を含む成形物を得る工程
を含む方法に関する。
【0038】
ランタン塩が、炭酸ランタン、シュウ酸ランタン、酢酸ランタン、酒石酸ランタン、ギ酸ランタン、硫酸ランタン、硫化ランタン、フッ化ランタン、塩化ランタン、臭化ランタン及びヨウ化ランタンの1つ以上を含む、更に好ましくは炭酸ランタン、シュウ酸ランタン、酢酸ランタン、酒石酸ランタン、ギ酸ランタン、硫酸ランタン、硫化ランタン、フッ化ランタン、塩化ランタン、臭化ランタン及びヨウ化ランタンの1つ以上であることが好ましく、更に好ましくは炭酸ランタンを含む又は炭酸ランタンであり、炭酸ランタンは、更に好ましくはLa2(CO3)3・xH2Oを含む、更に好ましくはLa2(CO3)3・xH2Oである(式中、0≦x≦10、好ましくは0≦x≦6)。
【0039】
コバルト塩が、炭酸コバルト、シュウ酸コバルト、酢酸コバルト、酒石酸コバルト、ギ酸コバルト、硫酸コバルト、硫化コバルト、フッ化コバルト、塩化コバルト、臭化コバルト及びヨウ化コバルトの1つ以上を含む、更に好ましくは炭酸コバルト、シュウ酸コバルト、酢酸コバルト、酒石酸コバルト、ギ酸コバルト、硫酸コバルト、硫化コバルト、フッ化コバルト、塩化コバルト、臭化コバルト及びヨウ化コバルトの1つ以上であることが好ましく、更に好ましくは炭酸コバルトを含む又は炭酸コバルトであり、炭酸コバルトは、更に好ましくはCoCO3・yH2Oを含む、更に好ましくはCoCO3・yH2Oである(式中、0≦y≦7、好ましくは0≦y≦6)。
【0040】
酸化物アルミニウム化合物が、AlOOH(ベーマイト)、Al2O3及びAl(OH)3の1つ以上を含む、更に好ましくはAlOOH(ベーマイト)、Al2O3及びAl(OH)3の1つ以上であることが好ましく、更に好ましくは酸化物アルミニウム化合物が、AlOOHを含む、更に好ましくはAlOOHである。更に、酸化物アルミニウム化合物が、参考例2に応じて測定して、150~220m2/gの範囲、更に好ましくは170~200m2/gの範囲、更に好ましくは180~190m2/gの範囲のBET比表面積を有することが好ましい。更に、酸化物アルミニウム化合物が、0.40~0.60g/mlの範囲、更に好ましくは0.45~0.53g/mlの範囲、更に好ましくは0.47~0.51g/mlの範囲のかさ密度を有することが好ましい。
【0041】
(i)で調製した混合物中、元素として計算したランタンと元素として計算したアルミニウムとの重量比La:Alが、0.37:1~1:1の範囲、更に好ましくは0.5:1~1:1の範囲、更に好ましくは0.6:1~0.9:1の範囲、更に好ましくは0.65:1~0.8:1の範囲、更に好ましくは0.70:1~0.75:1の範囲にあることが好ましい。
【0042】
(i)で調製した混合物中、元素として計算したランタンと元素として計算したコバルトとの重量比La:Coが、1.5:1~5:1の範囲、更に好ましくは2:1~5:1の範囲、更に好ましくは3:1~4:1の範囲、更に好ましくは3.5:1~3.75:1の範囲、更に好ましくは3.55:1~3.70:1の範囲、更に好ましくは3.59:1~3.63:1の範囲にあることが好ましい。
【0043】
(i)で調製した混合物中、元素として計算したアルミニウムと元素として計算したコバルトとの重量比Al:Coが、3:1~8:1の範囲、更に好ましくは3.5:1~7:1の範囲、更に好ましくは4:1~6:1の範囲、更に好ましくは4.75:1~5.25:1の範囲、更に好ましくは4.9:1~5.1:1の範囲にあることが好ましい。
【0044】
(i)による酸が、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、硝酸、亜硝酸、クエン酸、酒石酸及びシュウ酸のうちの1つ以上である、更に好ましくはギ酸及び硝酸のうちの1つ以上である、更に好ましくはギ酸であることが好ましい。
【0045】
(i)で調製した混合物中、酸とコバルトとのモル比が、好ましくは1:2~9:1の範囲、更に好ましくは1:2~8:1の範囲、更に好ましくは1:1~7:1の範囲、更に好ましくは2:1~7:1の範囲、更に好ましくは3.5:1~5:1の範囲、更に好ましくは4.0:1~4.4:1の範囲、更に好ましくは4.1:1~4.3:1の範囲にある。
【0046】
(i)で調製した混合物は、更なる成分、例えば、混合物中に存在する成分の少なくとも一部の溶解に効果的であり得る液体を含んでもよい。(i)で調製した混合物が、更に水を含むことが好ましく、(i)で調製した混合物の更に好ましくは20~40重量%、更に好ましくは25~37.5重量%、更に好ましくは30~35重量%が水からなる。
【0047】
好ましくは、(i)で調製した混合物が、実質的に、ランタン塩、コバルト塩、酸化物アルミニウム化合物、酸、及び好ましくは水からなる。第1の代案によると、(i)で調製した混合物の95~100重量%、更に好ましくは98~100重量%、更に好ましくは99~100重量%が、ランタン塩、コバルト塩、酸化物アルミニウム化合物、酸、及び好ましくは水からなることが好ましい。第2の代案によると、(i)で調製した混合物の65~95重量%、更に好ましくは75~95重量%、更に好ましくは85~95重量%が、ランタン塩、コバルト塩、酸化物アルミニウム化合物、酸、及び好ましくは水からなることが好ましい。
【0048】
更に、本発明は、本明細書中で開示される混合酸化物を含む成形物を調製する方法であって、
(i)ランタン塩、コバルト塩、酸化物アルミニウム化合物及び酸を含む混合物を調製する工程であって、ランタン塩及びコバルト塩のうちの1つ以上が、好ましくはランタン塩もコバルト塩も硝酸塩ではなく、
(i.1)ランタン塩、コバルト塩、酸化物アルミニウム化合物、及び場合により水を含む予混合物(premixture)を調製すること、
(i.2)酸、及び好ましくは水を、(i.1)で調製した予混合物と混合して、混合物を得ること
を含む工程、
(ii)(i)から得られた混合物から成形物を調製する工程であって、
(ii.1)(i)から得られた混合物を成形方法で処理して、第1の成形物を得ること、
(ii.2)好ましくは、(ii.1)から得られた第1の成形物を、ガス雰囲気中で乾燥させること、
(ii.3)(ii.1)又は(ii.2)、好ましくは(ii.2)から得られた第1の成形物を、350~470℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼すること
を含む工程、
(iii)好ましくは、(ii)から得られたか焼された第1の成形物を再成形方法で処理して、第1の成形物のジオメトリとは異なるジオメトリを有する第2の成形物を得る工程、
(iv)(ii)又は(iii)、好ましくは(iii)から得られた成形物を、1100~1400℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼して、混合酸化物を含む成形物を得る工程
を含む方法に関する。
【0049】
(i)による、混合物の調製が、混合物の捏和を含むことが好ましい。
【0050】
更に、(i)から得られた混合物を、(ii.1)により成形方法にさらす工程が、押出成形を含む、更に好ましくは押出成形からなることが好ましい。
【0051】
(ii.2)による乾燥に関する第1の代案によると、第1の成形物を、好ましくは50~150℃の範囲、更に好ましくは70~140℃の範囲、更に好ましくは80~110℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で乾燥させることが好ましく、ガス雰囲気は、好ましくは酸素を含み、更に好ましくは酸素、空気又は希薄空気の1つ以上であり、(ii.2)による乾燥を、好ましくは0.5~30h、更に好ましくは1~30h、更に好ましくは5~25h、更に好ましくは10~20hにわたり行う。
【0052】
(ii.2)による乾燥に関する第2の代案によると、第1の成形物を、好ましくは80~150℃の範囲、更に好ましくは85~145℃の範囲、更に好ましくは90~140℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で乾燥させることが好ましく、ガス雰囲気は、好ましくは酸素を含み、更に好ましくは酸素、空気又は希薄空気の1つ以上であり、(ii.2)による乾燥を、好ましくは0.2~2h、更に好ましくは0.3~1.2h、更に好ましくは0.4~1.1h、更に好ましくは0.5~1hにわたり行い、乾燥を、好ましくはベルト乾燥機を使用して行う。
【0053】
(ii.3)によるか焼に関する第1の代案によると、第1の成形物を、350~450℃の範囲、更に好ましくは360~440℃の範囲、更に好ましくは375~425℃の範囲、更に好ましくは390~410℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼させることが好ましい。更に、ガス雰囲気が、酸素を含む、更に好ましくは酸素、空気又は希薄空気の1つ以上であることが好ましい。更に、(ii.3)によるか焼を、好ましくは0.5~20h、更に好ましくは1~15h、更に好ましくは2~10h、更に好ましくは3~5hにわたり行う。
【0054】
(ii.3)によるか焼に関する第2の代案によると、第1の成形物を、350~450℃の範囲、更に好ましくは360~440℃の範囲、更に好ましくは375~425℃の範囲、更に好ましくは390~410℃の範囲の温度を有する、ロータリーキルン内のガス雰囲気中で(ii.3)によりか焼させることが好ましい。更に、ガス雰囲気が、酸素を含む、更に好ましくは酸素、空気又は希薄空気の1つ以上であることが好ましい。第1の成形物を、本明細書中で開示するように(ii.3)によりか焼する場合、か焼が、更に好ましくは二酸化炭素洗浄機による、ガス流からの二酸化炭素の分離を含むことが好ましい。
【0055】
(iii)による再成形に関して、(iii)による再成形が、(ii)から得られたか焼された成形物を破砕し、得られた破砕材料を再成形方法で処理して、第2の成形物を得る工程を含むことが好ましく、破砕は、更に好ましくはミリングにより行う。
【0056】
再成形が、(ii)から得られたか焼成形物を破砕し、得られた破砕材料を再成形方法で処理して、第2の成形物を得る工程を含む場合、(ii)から得られたか焼成形物の破砕後、且つ得られた破砕材料を、(iii)により再成形方法で処理する前に、本方法が、破砕材料と、1つ以上のバインダ、更に好ましくはグラファイト、多糖、糖アルコール及び合成ポリマーのうちの1つ以上、更に好ましくはグラファイト、糖アルコール、合成ポリマー、セルロース、変性セルロース及びデンプンのうちの1つ以上、更に好ましくはグラファイト、糖アルコール、合成ポリマー、微結晶セルロース、セルロースエーテル、更に好ましくはグラファイト、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)とを含む混合物を調製する工程を更に含むことが特に好ましい。これに関して、第1の代案によると、混合物中、1つ以上のバインダと破砕材料との重量比が、好ましくは1:10~1:20の範囲、更に好ましくは1:12~1:18の範囲、更に好ましくは1:13~1:17の範囲にあることが好ましい。第2の代案によると、混合物中、1つ以上のバインダの重量が、混合物の総重量に対して計算して、0.5~10重量%の範囲、更に好ましくは2~9重量%の範囲、更に好ましくは4~8重量%の範囲、更に好ましくは5~7重量%の範囲にあることが好ましい。
【0057】
更に、再成形が、(ii)から得られたか焼成形物を破砕し、得られた破砕材料を再成形方法で処理して第2の成形物を得る工程を含む場合、(ii)から得られたか焼成形物の破砕後、且つ(iii)による再成形方法の前に、本方法が、破砕材料の粒子を、そのサイズにより、2つ以上の画分に分離する工程を更に含むことが好ましい。好ましくは、最小サイズを有する粒子の複数画分を、好ましくは最小サイズを有する粒子の一画分を再成形方法にさらす。好ましくは、最小サイズを有する粒子が、2.0mmの最大径、更に好ましくは1.5mmの最大径、更に好ましくは1.0mmの最大径を有する。より小さい最大サイズさえ、例えば0.75mm又は0.5mmを有する画分も概してあり得る。
【0058】
最小サイズを有さない粒子の一画分又は複数画分を分離する場合、前記一画分又は複数画分を、(iii)による、再成形方法にさらす工程に向けて、最小サイズを有する粒子の複数画分、好ましくは、最小サイズを有する粒子の一画分を分離するために再度破砕することが特に好ましい。前記に従い、最小サイズを有する粒子が、2.0mmの最大径、更に好ましくは1.5mmの最大径、更に好ましくは1.0mmの最大径を有することが好ましく、より小さい最大サイズさえ、例えば0.75mm又は0.5mmを有する画分もあり得る。
【0059】
再成形が、(ii)から得られたか焼成形物を破砕し、得られた破砕材料を再成形方法で処理して第2の成形物を得る工程を含み、(iii)による再成形方法の前に、本方法が、破砕材料の粒子を、そのサイズにより、2つ以上の画分に分離する工程を更に含む場合、本方法が、最小サイズを有さない画分(複数可)の粒子の少なくとも一部を、ランタン塩、コバルト塩、酸化物アルミニウム化合物、酸、更に好ましくは水と前記画分の少なくとも一部とを含む(i)による混合物の調製を含む本方法の工程(i)にリサイクルする工程を更に含むことが好ましい。
【0060】
更に、(i)で調製した混合物の65~95重量%、更に好ましくは75~95重量%、更に好ましくは85~95重量%が、ランタン塩、コバルト塩、酸化物アルミニウム化合物、酸、及び更に好ましくは水からなり、且つ混合物の5~35重量%、更に好ましくは5~25重量%、更に好ましくは5~15重量%が前記画分からなることが特に好ましい。
【0061】
最小サイズを有さない画分(複数可)の粒子を、好ましくは圧縮により再凝集することが特に好ましい。更に好ましくは、得られた再凝集粒子を、(iii)による再成形でリサイクルする。第1の代案として、得られた再凝集粒子を単独で、したがって、(ii)から得られたか焼された第1の成形物として、(iii)による再成形でリサイクルする。第2の代案として、得られた再凝集粒子を、(ii)から得られたか焼された第1の成形物と合わせて、(iii)による再成形でリサイクルする。
【0062】
更に、(iii)による再成形方法が、打錠を含む、更に好ましくは打錠からなることが好ましい。
【0063】
(ii)又は(iii)から得られた成形物の、(iv)によるか焼に関して、(iv)が、か焼に先立ち、(ii)又は(iii)から、更に好ましくは(iii)から得られた成形物の、50~250℃の範囲、更に好ましくは75~150℃の範囲、更に好ましくは80~100℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中での乾燥を含むことが好ましく、ガス雰囲気は、酸素を含む、更に好ましくは酸素、空気又は希薄空気の1つ以上であり、乾燥を、更に好ましくは0.5~30、更に好ましくは1~25h、更に好ましくは5~22h、更に好ましくは10~20hにわたり行う。
【0064】
(iv)による第2の成形物のか焼に関して、第2の成形物を、1125~1275℃の範囲、更に好ましくは1150~1250℃の範囲、更に好ましくは1175~1225℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼することが好ましく、ガス雰囲気は、更に好ましくは酸素を含む、更に好ましくは酸素、空気又は希薄空気の1つ以上であり、(iv)によるか焼を、更に好ましくは0.5~20h、更に好ましくは1~15h、更に好ましくは2~10h、更に好ましくは3~5hにわたり行う。
【0065】
本明細書中で開示される混合酸化物を含む成形物を調製するための本発明の方法に関して、本方法が、工程(i)、(ii)、(iii)及び(iv)からなることが好ましく、(iv)は好ましくは前記のとおり乾燥を含む。これに関して、(i)を、更に好ましくは(ii)の前に行うことが好ましく、(ii)を、更に好ましくは(iii)の前に行い、(iii)を、更に好ましくは(iv)の前に行い、(ii)を、更に好ましくは(i)の後に行い、(iii)を、更に好ましくは(ii)の後に行い、(iv)を、更に好ましくは後に行う。
【0066】
更に、本発明は、本明細書中で開示される方法によって得ることができる、又は得られる、混合酸化物を含む成形物、好ましくは本明細書中で開示される混合酸化物を含む成形物に関する。
【0067】
更に、本発明は、本明細書中で開示される方法によって得ることができる、又は得られる、混合酸化物を含む成形物、好ましくは本明細書中で開示される混合酸化物を含む成形物に関し、本明細書中で開示される混合酸化物を含む成形物を調製するための本明細書中で開示される方法によって得ることができる、又は得られる成形物は、四つ穴断面を有し、該方法は、
(i)ランタン塩、コバルト塩、酸化物アルミニウム化合物及び酸を含む混合物を調製する工程であって、ランタン塩及びコバルト塩のうちの1つ以上が、好ましくはランタン塩もコバルト塩も硝酸塩ではない、工程、
(ii)(i)から得られた混合物から成形物を調製する工程であって、
(ii.1)(i)から得られた混合物を成形方法で処理して、第1の成形物を得ること、
(ii.2)好ましくは、(ii.1)から得られた第1の成形物をガス雰囲気中で乾燥させること、
(ii.3)(ii.1)又は(ii.2)、好ましくは(ii.2)から得られた第1の成形物を、350~470℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼すること
を含む工程、
(iii)(ii)から得られたか焼された第1の成形物を再成形方法で処理して、第1の成形物のジオメトリとは異なるジオメトリを有する第2の成形物を得る工程
からなる。
【0068】
更に、本発明は、好ましくは、1つ以上の炭化水素を、好ましくは二酸化炭素の存在下で、水素及び一酸化炭素を含む合成ガスに改質するための触媒活性材料としての、触媒成分としての又は触媒としての、本明細書中で開示される成形物の使用に関し、炭化水素が、好ましくは、メタン、エタン、プロパン、ブタン、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、炭化水素が更に好ましくはメタンである。
【0069】
更に、本発明は、1つ以上の炭化水素、好ましくはメタンを、水素及び一酸化炭素を含む合成ガスに改質する方法であって、
(a)本明細書中で記載される実施形態のいずれか1つに記載の成形物を含む反応ゾーンを含む反応器を用意する工程、
(b)(a)から得られた反応ゾーン中に、1つ以上の炭化水素、二酸化炭素及び水を含む反応ガス流を送り、前記反応ガス流を、前記反応ゾーン内の改質条件にさらし、水素及び一酸化炭素を含む生成物流を、前記反応ゾーンから取り出す工程
を含む方法に関する。
【0070】
単位バール(abs)は、絶対圧に関し、1バールは105Paに等しい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1】サイドクラッシュ強度1(SCS1)を測定するための配置の側面図を左側に、サイドクラッシュ強度2(SCS2)を測定するための配置の側面図を中央に、及びサイドクラッシュ強度3(SCS3)を測定するための配置の側面図を右側に示す。
図2】本発明の実施例1による成形物のスプリット(0.5~1.0mmの粉末画分)を使用した、合成ガスの製造方法に関する、二酸化炭素及びメタンの転化率(%)を縦座標(左側)に示す。更に、温度(℃)、反応ガス流の組成(体積%(volume-%))及び気体時空間速度(GHSV、h-1)を縦座標(右側)に示す。タイムオンストリーム(TOS)を横座標に示す。
図3】本発明の実施例1による成形物のスプリット(0.5~1.0mmの粉末画分)を使用した、合成ガスの製造方法に関する、二酸化炭素及びメタンの相対転化率(%)を縦座標(左側)に示す。更に、温度(℃)、反応ガス流の組成(体積%)及び気体時空間速度(GHSV、h-1)を縦座標(右側)に示す。タイムオンストリーム(TOS)を横座標に示す。
図4】比較例2による成形物のスプリット(0.5~1.0mmの粉末画分)を使用した、合成ガスの製造方法に関する、二酸化炭素及びメタンの転化率(%)を縦座標(左側)に示す。更に、温度(℃)、反応ガス流の組成(体積%)及び気体時空間速度(GHSV、h-1)を縦座標(右側)に示す。タイムオンストリーム(TOS)を横座標に示す。
図5】比較例2による成形物のスプリット(0.5~1.0mmの粉末画分)を使用した、合成ガスの製造方法に関する、二酸化炭素及びメタンの相対転化率(%)を縦座標(左側)に示す。更に、温度(℃)、反応ガス流の組成(体積%)及び気体時空間速度(GHSV、h-1)を縦座標(右側)に示す。タイムオンストリーム(TOS)を横座標に示す。
【発明を実施するための形態】
【0072】
本発明を更に、次の一式の、実施形態並びに記載されるような従属性及び後方参照(back-reference)から生じる実施形態の組合せにより示す。特に、幅広い実施形態に言及する各々の場合において、例えば「実施形態1から4のいずれか1つに記載の成形物」のような用語に関連して、この範囲のあらゆる実施形態が当業者に対して明確に開示されることを意味し、すなわちこの用語の表現は、当業者によって「実施形態1、2、3及び4のいずれか1つに記載の成形物」と同義であると理解されるものと明記する。
【0073】
1.混合酸化物を含む成形物であって、混合酸化物が、酸素、ランタン、アルミニウム及びコバルトを含み、混合酸化物中、コバルトとアルミニウムとの重量比Co:Alが、元素として計算して、少なくとも0.17:1である成形物。
【0074】
2.混合酸化物中、コバルトとアルミニウムとの重量比Co:Alが、元素として計算して、0.17:1~0.24:1の範囲、好ましくは0.18:1~0.23:1の範囲、更に好ましくは0.19:1~0.22:1の範囲にある、実施形態1に記載の成形物。
【0075】
3.混合酸化物中、コバルトとランタンとの重量比Co:Laが、元素として計算して、0.35:1~0.48:1の範囲、好ましくは0.38:1~0.45:1の範囲、更に好ましくは0.40:1~0.43:1の範囲にある、実施形態1又は2に記載の成形物。
【0076】
4.混合酸化物の99~100重量%、好ましくは99.5~100重量%、更に好ましくは99.9~100重量%が、酸素、ランタン、アルミニウム、コバルト、及び場合により水素からなる、実施形態1から3のいずれか1つに記載の成形物。
【0077】
5.元素として計算して、混合酸化物の6~9重量%、好ましくは6.5~8.5重量%、更に好ましくは7~8重量%がコバルトからなる、実施形態1から4のいずれか1つに記載の成形物。
【0078】
6.元素として計算して、混合酸化物の15~20重量%、好ましくは16~19重量%、更に好ましくは17~18重量%、更に好ましくは17.5~17.8重量%がランタンからなる、実施形態1から5のいずれか1つに記載の成形物。
【0079】
7.元素として計算して、混合酸化物の33~40重量%、好ましくは34~38重量%、更に好ましくは35~37重量%、更に好ましくは35.5~36.5重量%がアルミニウムからなる、実施形態1から6のいずれか1つに記載の成形物。
【0080】
8.混合酸化物の80~100重量%、好ましくは90~100重量%、更に好ましくは92~100重量%が結晶形である、実施形態1から7のいずれか1つに記載の成形物。
【0081】
9.混合酸化物が、1つ以上の結晶相、更に好ましくは少なくとも2つの結晶相、更に好ましくは少なくとも3つの結晶相を含む、実施形態1から8のいずれか1つに記載の成形物。
【0082】
10.混合酸化物が、LaCoAl11O19結晶相及びLaAl(Co)O3結晶相のうちの1つ以上を含む、実施形態1から9のいずれか1つに記載の成形物。
【0083】
11.混合酸化物がLaCoAl11O19結晶相及びLaAl(Co)O3結晶相を含み、混合酸化物中、LaCoAl11O19とLaAl(Co)O3との重量比が、参考例3に記載されるようにXRDで測定して、5:1~30:1の範囲、好ましくは10:1~25:1の範囲、更に好ましくは12:1~22:1の範囲、更に好ましくは13:1~20:1の範囲、更に好ましくは13:1~15:1の範囲にある、実施形態10に記載の成形物。
【0084】
12.混合酸化物が更なる結晶相La(OH)3を含む、実施形態10又は11に記載の成形物。
【0085】
13.混合酸化物が結晶相LaAlO3を更に含む、実施形態10から12のいずれか1つに記載の成形物。
【0086】
14.混合酸化物が結晶相CoAl2O4を更に含む、実施形態10から13のいずれか1つに記載の成形物。
【0087】
15.混合酸化物がLaCoAl11O19結晶相を含み、混合酸化物中、LaCoAl11O19とCoAl2O4との重量比が、参考例3に記載されるようにXRDで測定して、8:1~35:1の範囲、好ましくは10:1~30:1の範囲、更に好ましくは12:1~30:1の範囲、更に好ましくは15:1~27:1の範囲、更に好ましくは17:1~25:1の範囲、更に好ましくは20:1~22:1の範囲にある、実施形態14に記載の成形物。
【0088】
16.成形物がか焼されておらず、参考例4に記載されるように測定して、UV/Visスペクトルの2300~2400nmの範囲に最小を有するピークを示す、実施形態1から15のいずれか1つに記載の成形物。
【0089】
17.イオウを、成形物1kg当たり0~10mg、好ましくは1kg当たり0~5mg、更に好ましくは1kg当たり0~3mg、更に好ましくは1kg当たり0~2.5mg、更に好ましくは1kg当たり0~2mg含む、実施形態1から16のいずれか1つに記載の成形物。
【0090】
18.イオウを、好ましくは成形物1kg当たり最高で10mg、更に1kg当たり最高で5mg、更に好ましくは1kg当たり最高で3mg、更に好ましくは1kg当たり最高で2.5mg、更に好ましくは1kg当たり最高で2mg含む、実施形態1から17のいずれか1つに記載の成形物。
【0091】
19.成形物の99~100重量%、好ましくは99.5~100重量%、更に好ましくは99.9~100重量%が混合酸化物からなる、実施形態1から18のいずれか1つに記載の成形物。
【0092】
20.錠剤である、実施形態1から19のいずれか1つに記載の成形物。
【0093】
21.四つ穴断面を有する成形物であって、成形物が好ましくは四つ穴断面を有する錠剤である、成形物が更に好ましくは四つ穴断面を有し、且つ四つ縦溝を有する錠剤である、更に好ましくは成形物が、15~19mmの範囲、更に好ましくは16~18mmの範囲、更に好ましくは16.7~16.8mmの範囲の直径及び9~11mmの範囲、更に好ましくは9.5~10.5mmの範囲、更に好ましくは9.7~10.0mmの範囲の高さを有する四つ穴断面を有する錠剤である、実施形態1から20のいずれか1つに記載の、好ましくは実施形態20に記載の成形物。
【0094】
22.か焼成形物である成形物であって、か焼を、好ましくは、350~450℃の範囲、更に好ましくは360~440℃の範囲、更に好ましくは375~425℃の範囲、更に好ましくは390~410℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行ってあって、ガス雰囲気が、更に好ましくは酸素を含み、更に好ましくは酸素、空気又は希薄空気の1つ以上であって、か焼を、更に好ましくは0.5~20、更に好ましくは1~15h、更に好ましくは2~10h、更に好ましくは3~5hにわたり行った、実施形態21に記載の成形物。
【0095】
23.参考例5に記載されるように測定して、少なくとも70N、好ましくは70~250Nの範囲、更に好ましくは70~130Nの範囲のサイドクラッシュ強度1(SCS1)を有する成形物であって、成形物が、更に好ましくは、四つ穴断面を有し、且つ四つ縦溝を有する錠剤であり、4つの円筒状セグメントが、各々2つの縦溝間にある区域内に位置し、サイドクラッシュ強度1は、参考例5に応じて、成形物が、縦溝がある2つの円筒状セグメントに接して立つ状態で測定する、実施形態21又は22に記載の成形物。
【0096】
24.参考例5に記載されるように測定して、少なくとも60N、好ましくは60~200Nの範囲、更に好ましくは60~88Nの範囲のサイドクラッシュ強度2(SCS2)を有する成形物であって、成形物が、更に好ましくは、四つ穴断面を有し、且つ四つ縦溝を有する錠剤であり、4つの円筒状セグメントが、各々2つの縦溝間にある区域内に位置し、サイドクラッシュ強度2は、参考例5に応じて、成形物が、1つの円筒状セグメントに接して立つ状態で測定する、実施形態21から23のいずれか1つに記載の成形物。
【0097】
25.参考例5に記載されるように測定して、少なくとも190N、好ましくは190~350Nの範囲、更に好ましくは190~240Nの範囲のサイドクラッシュ強度3(SCS3)を有する成形物であって、成形物が、更に好ましくは、四つ穴断面を有し、且つ四つ縦溝を有する錠剤であり、4つの円筒状セグメントが、各々2つの縦溝間にある区域内に位置し、サイドクラッシュ強度3は、参考例5に応じて、円筒状セグメントの区域が、成形物に印加される力の方向に対して直角をなす状態で測定する、実施形態21から24のいずれか1つに記載の成形物。
【0098】
26.四つ穴断面を有する成形物であって、成形物が、好ましくは、四つ穴断面を有する錠剤であり、成形物が、更に好ましくは、四つ穴断面を有し、且つ四つ縦溝を有する錠剤であり、更に好ましくは、成形物が、13~18mmの範囲、更に好ましくは14.5~16.0mmの範囲、更に好ましくは15.0~15.5mmの範囲の直径及び7~11mmの範囲、更に好ましくは8.2~9.4mmの範囲、更に好ましくは8.6~9.0mmの範囲の高さを有する四つ穴断面を有する錠剤である、実施形態1から20のいずれか1つに記載の、好ましくは実施形態20に記載の成形物。
【0099】
27.か焼成形物である成形物であって、か焼を、好ましくは、1100~1400℃の範囲、更に好ましくは1125~1275℃の範囲、更に好ましくは1150~1250℃の範囲、更に好ましくは1175~1225℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行ってあって、ガス雰囲気が更に好ましくは酸素を含み、更に好ましくは酸素、空気又は希薄空気の1つ以上であって、か焼を、更に好ましくは0.5~20h、更に好ましくは1~15h、更に好ましくは2~10h、更に好ましくは3~5hにわたり行った、実施形態26に記載の成形物。
【0100】
28.参考例1に記載されるように測定して、少なくとも366N、好ましくは少なくとも400N、更に好ましくは400~800Nの範囲、更に好ましくは400~600Nの範囲、更に好ましくは400~570Nの範囲のサイドクラッシュ強度1(SCS1)を有する成形物であって、
成形物が、更に好ましくは、四つ穴断面を有し、且つ四つ縦溝を有する錠剤であり、4つの円筒状セグメントが、各々2つの縦溝間にある区域内に位置し、サイドクラッシュ強度1は、参考例1に応じて、成形物が、縦溝がある2つの円筒状セグメントに接して立つ状態で測定する、実施形態26又は27に記載の成形物。
【0101】
29.参考例1に記載されるように測定して、少なくとも170N、好ましくは少なくとも190N、更に好ましくは190~450Nの範囲、更に好ましくは190~300Nの範囲、更に好ましくは190~270Nの範囲のサイドクラッシュ強度2(SCS2)を有する成形物であって、
成形物が、更に好ましくは、四つ穴断面を有し、且つ四つ縦溝を有する錠剤であり、4つの円筒状セグメントが、各々2つの縦溝間にある区域内に位置し、サイドクラッシュ強度2は、参考例1に応じて、成形物が、1つの円筒状セグメントに接して立つ状態で測定する、実施形態26から28のいずれか1つに記載の成形物。
【0102】
30.参考例1に記載されるように測定して、少なくとも345N、好ましくは少なくとも500N、更に好ましくは500~950Nの範囲、更に好ましくは500~800Nの範囲、更に好ましくは500~770Nの範囲のサイドクラッシュ強度3(SCS3)を有する成形物であって、
成形物が、更に好ましくは、四つ穴断面を有し、且つ四つ縦溝を有する錠剤であり、4つの円筒状セグメントが、各々2つの縦溝間にある区域内に位置し、サイドクラッシュ強度3は、参考例1に応じて、円筒状セグメントの区域が、成形物に印加される力の方向に対して直角をなす状態で測定する、実施形態26から29のいずれか1つに記載の成形物。
【0103】
31.参考例2に応じて測定して、1~10m2/gの範囲、好ましくは5~10m2/gの範囲、更に好ましくは7~10m2/gの範囲、更に好ましくは7.5~9.6m2/gの範囲のBET比表面積を有する、実施形態1から30のいずれか1つに記載の成形物。
【0104】
32.参考例2に記載されるように測定して、1~15m2/gの範囲、好ましくは5~15m2/gの範囲、更に好ましくは10~15m2/gの範囲、更に好ましくは11.0~13.5m2/gの範囲、更に好ましくは11.2~13.3m2/gの範囲のラングミュア比表面積を有する、実施形態1から31のいずれか1つに記載の成形物。
【0105】
33.実施形態1から32のいずれか1つに記載の混合酸化物を含む成形物を調製する方法であって、
(i)ランタン塩、コバルト塩、酸化物アルミニウム化合物及び酸を含む混合物を調製する工程であって、ランタン塩及びコバルト塩のうちの1つ以上が、好ましくはランタン塩もコバルト塩も硝酸塩ではない、工程、
(ii)(i)から得られた混合物から成形物を調製する工程であって、
(ii.1)(i)から得られた混合物を成形方法で処理して、第1の成形物を得ること、
(ii.2)好ましくは、(ii.1)から得られた第1の成形物を、ガス雰囲気中で乾燥させること、
(ii.3)(ii.1)又は(ii.2)、好ましくは(ii.2)から得られた第1の成形物を、350~470℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼すること
を含む工程、
(iii)好ましくは、(ii)から得られたか焼された第1の成形物を再成形方法で処理して、第1の成形物のジオメトリとは異なるジオメトリを有する第2の成形物を得る工程、
(iv)(ii)又は(iii)、好ましくは(iii)から得られた成形物を、1100~1400℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼して、混合酸化物を含む成形物を得る工程
を含む方法。
【0106】
34.(iii)を含む、実施形態33に記載の方法。
【0107】
35.ランタン塩が、炭酸ランタン、シュウ酸ランタン、酢酸ランタン、酒石酸ランタン、ギ酸ランタン、硫酸ランタン、硫化ランタン、フッ化ランタン、塩化ランタン、臭化ランタン及びヨウ化ランタンの1つ以上を含む、好ましくは炭酸ランタン、シュウ酸ランタン、酢酸ランタン、酒石酸ランタン、ギ酸ランタン、硫酸ランタン、硫化ランタン、フッ化ランタン、塩化ランタン、臭化ランタン及びヨウ化ランタンの1つ以上であり、更に好ましくは炭酸ランタンを含む又は炭酸ランタンであり、炭酸ランタンが、更に好ましくはLa2(CO3)3・xH2Oを含む、更に好ましくはLa2(CO3)3・xH2Oである(式中、0≦x≦10、更に好ましくは0≦x≦6)、実施形態33又は34に記載の方法。
【0108】
36.コバルト塩が、炭酸コバルト、シュウ酸コバルト、酢酸コバルト、酒石酸コバルト、ギ酸コバルト、硫酸コバルト、硫化コバルト、フッ化コバルト、塩化コバルト、臭化コバルト及びヨウ化コバルトの1つ以上を含む、好ましくは炭酸コバルト、シュウ酸コバルト、酢酸コバルト、酒石酸コバルト、ギ酸コバルト、硫酸コバルト、硫化コバルト、フッ化コバルト、塩化コバルト、臭化コバルト及びヨウ化コバルトの1つ以上であり、更に好ましくは炭酸コバルトを含む又は炭酸コバルトであり、炭酸コバルトが、更に好ましくはCoCO3・yH2Oを含む、更に好ましくはCoCO3・yH2Oである(式中、0≦y≦7、好ましくは0≦y≦6)、実施形態33から35のいずれか1つに記載の方法。
【0109】
37.酸化物アルミニウム化合物が、AlOOH(ベーマイト)、Al2O3及びAl(OH)3の1つ以上を含む、好ましくはAlOOH(ベーマイト)、Al2O3及びAl(OH)3の1つ以上であり、更に好ましくは酸化物アルミニウム化合物が、AlOOHを含む、更に好ましくはAlOOHである、実施形態33から36のいずれか1つに記載の方法。
【0110】
38.酸化物アルミニウム化合物が、参考例2に応じて測定して、150~220m2/gの範囲、好ましくは170~200m2/gの範囲、更に好ましくは180~190m2/gの範囲のBET比表面積を有する、実施形態33から37のいずれか1つに記載の方法。
【0111】
39.酸化物アルミニウム化合物が、0.40~0.60g/mlの範囲、好ましくは0.45~0.53g/mlの範囲、更に好ましくは0.47~0.51g/mlの範囲のかさ密度を有する、実施形態33から38のいずれか1つに記載の方法。
【0112】
40.(i)で調製した混合物中、元素として計算したランタンと元素として計算したアルミニウムとの重量比La:Alが、0.37:1~1:1の範囲、好ましくは0.5:1~1:1の範囲、更に好ましくは0.6:1~0.9:1の範囲、更に好ましくは0.65:1~0.8:1の範囲、更に好ましくは0.70:1~0.75:1の範囲にある、実施形態33から39のいずれか1つに記載の方法。
【0113】
41.(i)で調製した混合物中、元素として計算したランタンと元素として計算したコバルトとの重量比La:Coが、1.5:1~5:1の範囲、好ましくは2:1~5:1の範囲、更に好ましくは3:1~4:1の範囲、更に好ましくは3.5:1~3.75:1の範囲、更に好ましくは3.55:1~3.70:1の範囲、更に好ましくは3.59:1~3.63:1の範囲にある、実施形態33から40のいずれか1つに記載の方法。
【0114】
42.(i)で調製した混合物中、元素として計算したアルミニウムと元素として計算したコバルトとの重量比Al:Coが、3:1~8:1の範囲、好ましくは3.5:1~7:1の範囲、更に好ましくは4:1~6:1の範囲、更に好ましくは4.75:1~5.25:1の範囲、更に好ましくは4.9:1~5.1:1の範囲にある、実施形態33から41のいずれか1つに記載の方法。
【0115】
43.(i)による酸が、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、硝酸、亜硝酸、クエン酸、酒石酸及びシュウ酸のうちの1つ以上である、好ましくはギ酸及び硝酸のうちの1つ以上である、更に好ましくはギ酸である、実施形態33から42のいずれか1つに記載の方法。
【0116】
44.(i)で調製した混合物中、酸とコバルトとのモル比が、1:2~9:1の範囲、好ましくは1:2~8:1の範囲、更に好ましくは1:1~7:1の範囲、更に好ましくは2:1~6:1の範囲、更に好ましくは3.5:1~5:1の範囲、更に好ましくは4.0:1~4.4:1の範囲、更に好ましくは4.1:1~4.3:1の範囲にある、実施形態33から43のいずれか1つに記載の方法。
【0117】
45.(i)で調製した混合物が、更に水を含み、(i)で調製した混合物の好ましくは20~40重量%、更に好ましくは25~37.5重量%、更に好ましくは30~35重量%が水からなる、実施形態33から44のいずれか1つに記載の方法。
【0118】
46.(i)で調製した混合物の95~100重量%、好ましくは98~100重量%、更に好ましくは99~100重量%が、ランタン塩、コバルト塩、酸化物アルミニウム化合物、酸、及び好ましくは水からなる、実施形態33から45のいずれか1つに記載の方法。
【0119】
47.(i)で調製した混合物の65~95重量%、好ましくは75~95重量%、更に好ましくは85~95重量%が、ランタン塩、コバルト塩、酸化物アルミニウム化合物、酸、及び好ましくは水からなる、実施形態33から45のいずれか1つに記載の方法。
【0120】
48.(i)が、
(i.1)ランタン塩、コバルト塩、酸化物アルミニウム化合物、及び場合により水を含む予混合物を調製する工程、
(i.2)酸、及び好ましくは水を、(i.1)で調製した予混合物と混合し、混合物を得る工程
を含む、実施形態33から47のいずれか1つに記載の方法。
【0121】
49.(i)による、混合物の調製が、混合物の捏和を含む、実施形態33から48のいずれか1つに記載の方法。
【0122】
50.(i)から得られた混合物を、(ii.1)により成形方法にさらす工程が、押出成形を含む、好ましくは押出成形からなる、実施形態33から49のいずれか1つに記載の方法。
【0123】
51.(ii.2)により、第1の成形物を、50~150℃の範囲、更に好ましくは70~140℃の範囲、更に好ましくは80~110℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で乾燥させ、ガス雰囲気が、好ましくは酸素を含む、更に好ましくは酸素、空気又は希薄空気の1つ以上であり、(ii.2)による乾燥を、好ましくは0.5~30h、更に好ましくは1~30h、更に好ましくは5~25h、更に好ましくは10~20hにわたり行う、実施形態33から50のいずれか1つに記載の方法。
【0124】
52.(ii.2)により、第1の成形物を、80~150℃の範囲、更に好ましくは85~145℃の範囲、更に好ましくは90~140℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で乾燥させ、ガス雰囲気が、好ましくは酸素を含む、更に好ましくはガス雰囲気が酸素、空気又は希薄空気の1つ以上であり、(ii.2)による乾燥を、更に好ましくは0.2~2h、更に好ましくは0.3~1.2h、更に好ましくは0.4~1.1h、更に好ましくは0.5~1hにわたり行い、乾燥を、好ましくはベルト乾燥機を使用して行う、実施形態33から50のいずれか1つに記載の方法。
【0125】
53.(ii.3)により、第1の成形物を、350~450℃の範囲、好ましくは360~440℃の範囲、更に好ましくは375~425℃の範囲、更に好ましくは390~410℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼させ、ガス雰囲気が、好ましくは酸素を含む、更に好ましくはガス雰囲気が酸素、空気又は希薄空気の1つ以上であり、(ii.3)によるか焼を、好ましくは0.5~20h、更に好ましくは1~15h、更に好ましくは2~10h、更に好ましくは3~5hにわたり行う、実施形態33から52のいずれか1つに記載の方法。
【0126】
54.(ii.3)により、第1の成形物を、350~450℃の範囲、好ましくは360~440℃の範囲、更に好ましくは375~425℃の範囲、更に好ましくは390~410℃の範囲の温度を有する、ロータリーキルン内のガス雰囲気中でか焼させ、ガス雰囲気が、好ましくは酸素を含む、更に好ましくは酸素、空気又は希薄空気の1つ以上である、実施形態33から52のいずれか1つに記載の方法。
【0127】
55.か焼が、好ましくは二酸化炭素洗浄機(carbon dioxide washer)による、ガス流からの二酸化炭素の分離を含む、実施形態53又は54に記載の方法。
【0128】
56.(iii)による再成形が、(ii)から得られたか焼成形物を破砕し、得られた破砕材料を再成形方法で処理して、第2の成形物を得る工程を含み、破砕を、好ましくはミリングにより行う、実施形態33から55のいずれか1つに記載の方法。
【0129】
57.(ii)から得られたか焼成形物の破砕後、且つ得られた破砕材料を、(iii)により再成形方法にさらす前に、本方法が更に、破砕材料と、1つ以上のバインダ、好ましくはグラファイト、多糖、糖アルコール及び合成ポリマーのうちの1つ以上、更に好ましくはグラファイト、糖アルコール、合成ポリマー、セルロース、変性セルロース及びデンプンのうちの1つ以上、更に好ましくはグラファイト、糖アルコール、合成ポリマー、微結晶セルロース、セルロースエーテル、更に好ましくはグラファイト、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)とを含む混合物を調製する工程を含み、
混合物中、1つ以上のバインダと破砕材料との重量比が、好ましくは1:10~1:20の範囲、更に好ましくは1:12~1:18の範囲、更に好ましくは1:13~1:17の範囲にある、実施形態56に記載の方法。
【0130】
58.(ii)から得られたか焼成形物の破砕後、且つ得られた破砕材料を、(iii)により再成形方法にさらす前に、本方法が更に、破砕材料と1つ以上のバインダ、好ましくはグラファイト、多糖、糖アルコール及び合成ポリマーのうちの1つ以上、更に好ましくはグラファイト、糖アルコール、合成ポリマー、セルロース、変性セルロース及びデンプンのうちの1つ以上、更に好ましくはグラファイト、糖アルコール、合成ポリマー、微結晶セルロース、セルロースエーテル、更に好ましくはグラファイト、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)とを含む混合物を調製する工程を含み、
混合物中、1つ以上のバインダの重量が、混合物の総重量に対して計算して、0.5~10重量%の範囲、更に好ましくは2~9重量%の範囲、更に好ましくは4~8重量%の範囲、更に好ましくは5~7重量%の範囲にある、実施形態56に記載の方法。
【0131】
59.(ii)から得られたか焼成形物の破砕後、且つ得られた破砕材料を、(iii)により再成形方法で処理する前に、本方法が、破砕材料の粒子を、そのサイズにより、2つ以上の画分に分離する工程を更に含み、最小サイズを有する粒子の画分を、好ましくは再成形方法にさらす、実施形態56から58のいずれか1つに記載の方法。
【0132】
60.最小サイズを有する粒子が、2.0mmの最大径、好ましくは1.5mmの最大径、更に好ましくは1.0mmの最大径を有する、実施形態59に記載の方法。
【0133】
61.最小サイズを有さない粒子の画分(複数可)を分離し、前記画分(複数可)を、(iii)による、再成形方法にさらす工程に向けて、最小サイズを有する粒子の複数画分、好ましくは、最小サイズを有する粒子の一画分を分離するために再度破砕し、最小サイズを有する粒子が、好ましくは2.0mmの最大径、更に好ましくは1.5mmの最大径、更に好ましくは1.0mmの最大径を有する、実施形態59又は60に記載の方法。
【0134】
62.更に、最小サイズを有さない画分(複数可)の粒子の少なくとも一部を、ランタン塩、コバルト塩、酸化物アルミニウム化合物、酸、好ましくは水と前記画分の少なくとも一部とを含む(i)による混合物の調製を含む本方法の工程(i)にリサイクルする工程を含む、実施形態59から61のいずれか1つに記載の方法。
【0135】
63.(i)で調製した混合物の65~95重量%、好ましくは75~95重量%、更に好ましくは85~95重量%が、ランタン塩、コバルト塩、酸化物アルミニウム化合物、酸、及び好ましくは水からなり、且つ混合物の1~35重量%、好ましくは3~25重量%、更に好ましくは5~15重量%が、少なくとも、最小サイズを有さない画分(複数可)からなる、実施形態62に記載の方法。
【0136】
64.最小サイズを有さない画分(複数可)の粒子を、好ましくは圧縮により再凝集し、得られた再凝集粒子を、好ましくは、(iii)による再成形でリサイクルする、実施形態59から63のいずれか1つに記載の方法。
【0137】
65.得られた再凝集粒子を、(ii)から得られたか焼された第1の成形物として、(iii)による再成形でリサイクルする、実施形態64に記載の方法。
【0138】
66.得られた再凝集粒子を、(ii)から得られたか焼された第1の成形物と合わせて、(iii)による再成形でリサイクルする、実施形態64に記載の方法。
【0139】
67.(iii)による再成形方法が、打錠を含む、好ましくは打錠からなる、実施形態33から66のいずれか1つに記載の方法。
【0140】
68.(iv)が、か焼に先立ち、(ii)又は(iii)から、好ましくは(iii)から得られた成形物の、50~250℃の範囲、好ましくは75~150℃の範囲、更に好ましくは80~100℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中での乾燥を含み、ガス雰囲気が、好ましくは酸素を含む、更に好ましくは酸素、空気又は希薄空気の1つ以上であり、乾燥を、好ましくは0.5~30h、更に好ましくは1~25h、更に好ましくは5~22h、更に好ましくは10~20hにわたり行う、実施形態33から67のいずれか1つに記載の方法。
【0141】
69.(iv)により、第2の成形物を、1125~1275℃の範囲、好ましくは1150~1250℃の範囲、更に好ましくは1175~1225℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼し、ガス雰囲気が、好ましくは酸素を含む、更に好ましくは酸素、空気又は希薄空気の1つ以上であり、(iv)によるか焼を、好ましくは0.5~20h、更に好ましくは1~15h、更に好ましくは2~10h、更に好ましくは3~5hにわたり行う、実施形態33から68のいずれか1つに記載の方法。
【0142】
70.工程(i)、(ii)、(iii)及び(iv)からなり、(i)を、好ましくは(ii)の前に行い、(ii)を、更に好ましくは(iii)の前に行い、(iii)を、更に好ましくは(iv)の前に行い、(ii)を、更に好ましくは(i)の後に行い、(iii)を、更に好ましくは(ii)の後に行い、(iv)を、更に好ましくは後に行う、実施形態33から69のいずれか1つに記載の方法。
【0143】
71.実施形態33から70のいずれか1つに記載の方法によって得ることができる、又は得られる、酸素、ランタン、アルミニウム及びコバルトを含む混合酸化物を含む成形物、好ましくは、実施形態1から32のいずれか1つに記載の成形物。
【0144】
72.実施形態33から69のいずれか1つに記載の方法によって得ることができる、又は得られる、成形物、好ましくは実施形態21から25のいずれか1つに記載の成形物であって、実施形態33に記載の方法が工程(i)、(ii)及び(iii)からなる、成形物。
【0145】
73.好ましくは、1つ以上の炭化水素を、好ましくは二酸化炭素の存在下に、水素及び一酸化炭素を含む合成ガスに改質するための触媒活性材料としての、触媒成分としての又は触媒としての、実施形態1から32及び71から72のいずれか1つに記載の成形物の使用であって、炭化水素が、好ましくは、メタン、エタン、プロパン、ブタン、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、炭化水素が更に好ましくはメタンである使用。
【0146】
74.1つ以上の炭化水素、好ましくはメタンを、水素及び一酸化炭素を含む合成ガスに改質する方法であって、
(a)実施形態1から32及び71から72のいずれか1つに記載の成形物を含む反応ゾーンを含む反応器を用意する工程、
(b)(a)から得られた反応ゾーン中に、1つ以上の炭化水素、二酸化炭素及び水を含む反応ガス流を送り、前記反応ガス流を、前記反応ゾーン内の改質条件にさらし、水素及び一酸化炭素を含む生成物流を、前記反応ゾーンから取り出す工程
を含む方法。
【実施例
【0147】
本発明を更に、以下の実施例及び参考例により説明する。
【0148】
[参考例1]サイドクラッシュ強度の測定
サイドクラッシュ強度は、半自動錠剤試験システムSotaxST-50 WTDHを用いて測定した。サイドクラッシュ強度は、0.05mm/sの一定速度で測定した。0~800Nの範囲を測定できた。各測定につき、水平回転テーブルを用いて試料の向きを調整し、微調整は手動で行った。更に、該当する場合、試料の向き及び特性に応じて、いくつかの測定パラメータ、例えば質量、高さ/厚さ、直径及び破断強度を調整した。得られたデータは、科学的プログラムq-doc prolab(バージョン4fsp2(4.10))を用いて評価した。四つ穴断面を有する成形物を試験し、互いに直角をなす、サイドクラッシュ強度1、サイドクラッシュ強度2及びサイドクラッシュ強度3の測定を可能にする3つの位置を調べた。クラッシュ強度1、2及び3の相対標準偏差は7.48%であった。
【0149】
図1から分かるように、サイドクラッシュ強度1は、半自動錠剤試験システムにおける成形物の、試料が回転テーブル上で、縦溝がある2つの円筒状セグメントに接して立つ位置に関し、サイドクラッシュ強度2は、試料が回転テーブル上で、1つの円筒状セグメントに接して立つ位置に関し、サイドクラッシュ強度3は、穴が、試験中に試料に印加される力の方向に対して平行にある位置に関する。
【0150】
[参考例2]BET比表面積及びラングミュア比表面積の測定
BET比表面積及びラングミュア比表面積は、DIN 66131に開示される方法に準拠して、77Kでの窒素物理吸着により測定した。
【0151】
[参考例3]XRDによる結晶化度の測定
粉末X線回折(PXRD)データは、実験室系回折装置(D8 Discover、Bruker AXS GmbH、Karlsruhe)を使用して収集した。計器は、モリブデンX線管を用いて設定した。特性Kα線は、湾曲ゲルマニウム(bent Germanium)ヨハンソン型一次モノクロメータを使用して単色化した。データは、Bragg-Brentano反射配置で収集した。散乱X線信号の収集にはLYNXEYE面検出器を利用した。
【0152】
粉末は、IKAチューブミル及びMT40.100使い捨て粉砕チャンバを使用して粉砕した。粉末を、試料ホルダに配置して、ガラス板を用いて平らにした。データ分析は、DIFFRAC.EVA V4及びDIFFRAC.TOPAS V4ソフトウェア(Bruker AXS GmbH)を使用して行った。DIFFRAC.EVAを結晶化度の評価に使用した。デフォルト値を、アルゴリズムに対する入力として使用した(DIFFRAC.EVAユーザマニュアル、2014、Bruker AXS GmbH、Karlsruhe)。その他の全パラメータは、DIFFRAC.TOPASを使用して測定した。全回折パターンは、六方晶系LaCoAl11O19、菱面体晶系LaAlO3、立方晶系CoAl2O4、六方晶系La(OH)3、立方晶系CoドープLaAlO3及びコランダムの結晶構造を使用してシミュレーションを行った。シミュレーション中、シミュレーションした回折を測定データに対してフィットさせるために29のパラメータを精密化した。
【0153】
パラメータを、次の表1に列挙する。
【0154】
【表1】
【0155】
使用したすべての結晶構造は、無機結晶構造データベース(ICSD)(ICSD、FIZ Karlsruhe(https://icsd.fiz-karlsruhe.de/))又はPearson's Crystal Data(PCD)(Pearson's Crystal Data-無機化合物の結晶構造データベース、2016/2017リリース、ASM International、Materials Park、Ohio、米国)で検索した。次の表2は、使用した構造の参照番号を列挙する。
【0156】
【表2】
【0157】
結晶子サイズ値は、DIFFRAC.TOPASのLvol-FWHMとして報告される値である。確実な結晶子サイズ値を確保するためには、ファンダメンタルパラメータアプローチに基づく計器分解能(instrumental resolution)の計算を可能にする、回折装置の配置をソフトウェアに入力した(DIFFRAC.TOPASユーザマニュアル、2014、Bruker AXS GmbH、Karlsruhe)。スケール因子は、DIFFRAC.TOPASにより、質量百分率値に再計算して報告された。
【0158】
[参考例4]UV/Visスペクトルの測定
UV/Visデータは、分光光度計(Cary 5000分光光度計、出力範囲175~3300 nm、Cary WinUVソフトウェアにより制御)を使用して収集した。装置は、白色標準を用いて較正した。試料は、試料セルを使用して試験した。更に、外部拡散反射アクセサリ(DRA)及び粉末セルキットを使用した。粉末セルキットは、反射標準として使用するプレパック型PTFEセル及び試料測定用の空の粉末セルホルダを含有した。各セルは、石英窓を有し、200~2500nmの波長範囲にわたって試料を測定する。
【0159】
[参考例5]サイドクラッシュ強度の測定
サイドクラッシュ強度は、錠剤試験システム(BZ2.5/TS1S型、Zwick)を用いて測定した。サイドクラッシュ強度は、パンチ具を使用して測定した。試料が破断したらすぐにサイドクラッシュ強度を記録した。各測定につき、水平テーブル上で試料の向きを手動で調整した。パンチ具は、上方から打つように配置した。更に、該当する場合、試料の向き及び特性に応じて、いくつかの測定パラメータ、例えば質量、高さ/厚さ、直径及び破断強度を調整した。四つ穴断面を有する成形物を試験し、互いに直角をなす、サイドクラッシュ強度1、サイドクラッシュ強度2及びサイドクラッシュ強度3の測定を可能にする3つの位置を調べた。図1から分かるように、サイドクラッシュ強度1は、半自動錠剤試験システムにおける成形物の、試料が回転テーブル上で、縦溝がある2つの円筒状セグメントに接して立つ位置に関し、サイドクラッシュ強度2は、試料が回転テーブル上で、1つの円筒状セグメントに接して立つ位置に関し、サイドクラッシュ強度3は、穴が、試験中に試料に印加される力の方向に対して平行にある位置に関する。
【0160】
[実施例1]本発明による成形物の調製
水性AlOOH(Disperal、Sasol、Al2O3として計算してAl77.6重量%を含有)70kg、炭酸コバルト(II)水和物(CoOとして計算してCo55.92重量%を含有、Umicore)13.04kg、炭酸ランタン(III)水和物(La2O3として計算してLa49.26重量%を含有、Inner Mongolia)49.27kgを、数分間にわたりKoller又はミキサー中で予混合した。次いで、水性ギ酸(ギ酸37重量%を含有、98~100重量%を有するギ酸に基づく、Bernd Kraft GmbH、CAS番号:64-18-6)50.79gを、混合下に3回に分けて添加した際、第1の部分は水性ギ酸総量の約50重量%を含有し、第2及び第3の部分は各々、約25重量%を含有し、練り粉状の均質なピンク色の塊が形成された。得られた塊を、次いで、直径4mmのストランドに押出成形した。押出成形物を、90℃で16時間にわたり乾燥させた。続いて、乾燥された押出成形物を、空気中、400℃で4時間にわたりか焼した。その後、か焼された押出成形物を細砕した。次いで、1000マイクロメートルのメッシュの篩を使用して材料を篩過した。篩過された粉末を、次いで、グラファイト(Asbury Graphite 3160)3重量%及び微結晶セルロース(Vivapur SCG102)3重量%と混合した。結果として生じた混合物を、図1に示されるような、四つ穴断面を有する成形物に打錠した。成形物の10個の試料を、サイドクラッシュ強度、直径及び高さに関して特性化した。成形物は、参考例1に応じて測定して、(100±29)Nのサイドクラッシュ強度1、(75±11.9)Nのサイドクラッシュ強度2、及び(217±22.1)Nのサイドクラッシュ強度3を有した。成形物の直径は16.74mmであり、高さは9.84mmであった。か焼するために、成形物を、700℃の温度に3時間以内に加熱し、前記温度を1時間にわたり維持した。次いで、成形物を更に、1170~1200℃の範囲の温度に加熱し、該温度を、その範囲で4時間にわたり維持した。か焼は、焼鈍炉中で行った。それぞれ元素として計算して、か焼成形物のコバルト含有量は7.4重量%であり、ランタン含有量は17.7重量%であり、アルミニウム含有量は36重量%であった。実施例1の最終的なか焼成形物の5個の試料を、参考例1に応じて測定して、サイドクラッシュ強度1、2及び3に関して特性化した。その結果を以下の表1に列挙する。更に、各試料の直径、高さ及び質量を表3に列挙する。
【0161】
【表3】
【0162】
実施例1のか焼成形物の4個の試料を、参考例2に応じて測定して、BET比表面積及びラングミュア比表面積に関して特性化した。その結果を以下の表4に列挙する。
【0163】
【表4】
【0164】
[比較例2]触媒活性の比較に関する、先行技術による成形物の調製
比較例2は、WO 2013/118078 A1に従って調製した。
【0165】
水性AlOOH(Disperal、Sasol、Al2O3として計算してAl78.1重量%を含有)6.000kg、硝酸コバルト(II)六水和物(CoOとして計算してCo25.7重量%を含有、Merck)2.042kg、硝酸ランタン(III)六水和物(La2O3として計算してLa37.6重量%を含有、Sigma-Aldrich)4.962kgを、数分間にわたりニーダー又はミキサー中で混合した。次いで、脱イオン水0.68kgを添加した。混合下、練り粉状の均質なピンク色の塊が形成された。得られた塊を、次いで、直径4mmのストランドに押出成形した。押出成形物を、105℃で16時間にわたり乾燥させた。続いて、乾燥された押出成形物を、空気中、520℃で2時間にわたりか焼した。その後、か焼された押出成形物を細砕した。0.5~1.0mmの間のスプリット画分(split fraction)をか焼した。スプリットを、1100℃の温度に4.5時間以内に加熱し、前記温度を30時間にわたり維持した。か焼は、焼鈍炉中で行った。それぞれ元素として計算して、か焼成形物のコバルト含有量は5.4重量%であり、ランタン含有量は22.6重量%であり、アルミニウム含有量は35重量%であった。
【0166】
[比較例3]機械強度の比較に関する、先行技術による成形物の調製
比較例3は、WO 2013/118078 A1に従って調製した。
【0167】
水性AlOOH(Disperal、Sasol、Al2O3として計算してAl78.0重量%を含有)21.57kg、Al2O3(Puralox SCCa 150/200、Sasol、Al2O3として計算してAl99.1重量%を含有)39.01kg、硝酸コバルト(II)六水和物(元素として計算してCo20.0重量%を含有、Sheperd)22.9kg、硝酸ランタン(III)六水和物(La2O3として計算してLa37.5重量%を含有、Treibacher)56.52kgを、数分間にわたりニーダー又はミキサー中で混合した。次いで、脱イオン水9.8kgを添加した。混合下、練り粉状の均質なピンク色の塊が形成された。得られた塊を、次いで、直径4mmのストランドに押出成形した。押出成形物を、140℃で16時間にわたり乾燥させた。続いて、乾燥された押出成形物を、空気中、550℃で4時間にわたりか焼し、昇温中、280℃で2時間、Nox発生させた。次いで、1000マイクロメートルのメッシュの篩を使用して材料を篩過した。篩過された粉末を、次いで、グラファイト(Asbury Graphite 3160)3重量%及び微結晶セルロース(Spheres 2000)3重量%と混合した。結果として生じた混合物を、図1に示されるような、四つ穴断面を有する成形物に打錠した。成形物の10個の試料を、サイドクラッシュ強度、直径及び高さに関して特性化した。成形物は、参考例5に応じて測定して、(175±53)Nのサイドクラッシュ強度1、(57±6)Nのサイドクラッシュ強度2を有した。成形物の直径は16.79mmであり、高さは10.50mmであった。か焼するために、成形物を、1200℃の温度に5時間以内に加熱し、前記温度を4時間にわたり維持した。か焼は、焼鈍炉中で行った。それぞれ元素として計算して、か焼成形物のコバルト含有量は5.6重量%であり、ランタン含有量は22.2重量%であり、アルミニウム含有量は36重量%であった。最終的なか焼成形物の10個の試料を、参考例5に応じて測定して、サイドクラッシュ強度1、2及び3に関して特性化した。その結果を以下の表5に列挙する。更に、各試料の直径、高さ及び質量を表5に列挙する。
【0168】
【表5】
【0169】
表3に示されるような、本発明の実施例1に従う成形物のサイドクラッシュ強度1、2及び3の結果を、上記の表5に示されるような、比較例3の結果と比較すると、比較例3の成形物は、本発明の実施例1によるのと同じ条件下で打錠及びか焼されたにもかかわらず、サイドクラッシュ強度1、2及び3の各々が明らかに低いことが認められる。したがって、本発明による成形物は、特に、機械強度に関して、先行技術を代表する比較例3による成形物と比べて優れた特性を示す。
【0170】
[実施例4]本発明による実施例1及び比較例2の触媒性能
触媒試験は、単一反応器試験ユニットを用いて行った。このユニットは、1100℃及び20バール(ゲージ圧)までの幅広い温度・圧力領域での試験条件を可能にした。ガス供給としては、二酸化炭素(二酸化炭素流入(carbon dioxide-in)又はCO2流入とも呼ぶ)、メタン(メタン流入又はCH4流入とも呼ぶ)、水素(水素流入とも呼ぶ)、窒素(窒素流入とも呼ぶ)、及びアルゴン(アルゴン流入とも呼ぶ)を供給し、マスフローコントローラ(MFC)によりオンライン制御した。水は、貯水器に接続された蒸発器により、蒸気として供給流に添加した。生成ガス組成の分析は、アルゴンを内部標準として使用するオンラインガスクロマトグラフィーにより行った。ガスクロマトグラフィー分析は、水素、一酸化炭素、二酸化炭素(CO2流出とも呼ぶ)、メタン(CH4流出とも呼ぶ)及びC2の各成分の定量を可能にした。ガスクロマトグラフィー方法の持続時間は、24分間に設定した。触媒試験には、調製した成形物を分割し(0.5~1.0mm)、次いでスプリットの15mlを、触媒として試験した。セラミックフィッティングを使用して試料を反応器の等温ゾーンに配置した。実験を開始する前に、背圧を測定した。触媒を、表6に従う標準試験プロトコルにより試験した。
【0171】
【表6】
【0172】
期間1.a)及び1.b)は始動期間であった。期間3は、タイムオンストリーム(time on stream)の関数としてのある一定速度で転化率(conversion)が上昇した活性化期間であった。期間4~8では、触媒の性能が完全に発揮され、転化率値が、触媒の不活性化の進行により低下したか、又は反応時間の増大と共に一定に保たれたかのいずれかであった。生成ガス流の定量に基づいて、メタン転化率[1]、二酸化炭素転化率[2]、水素/一酸化炭素比、並びに生成ガス組成及びC2成分画分を計算した。
【0173】
メタン転化率: X(CH4)=1-(CH4流出/CH4流入) [1]
二酸化炭素転化率: X(CO2)=1-(CO2流出/CO2流入) [2]
【0174】
加えて、メタンの相対転化率[3]及び二酸化炭素の相対転化率[4]を計算し、熱力学的最大転化率X_max(平衡組成)に対する転化率を表す。それゆえ、平衡組成は、試験条件を考慮に入れて計算した。
【0175】
メタン相対転化率: X_rel(CH4)=X(CH4)/X_max(CH4) [3]
二酸化炭素相対転化率: X_rel(CO2)=X(CO2)/X_max(CO2) [4]
【0176】
メタン及び二酸化炭素の相対転化率に関する実験値は、方程式[5]及び[6]に従って、各反応期間のタイムオンストリーム(n=測定点数)にわたって平均した(平均メタンはa-CH4と呼び、平均二酸化炭素はa-CO2と呼ぶ)。
【0177】
a-CH4=1/nΣ[X_rel(CH4)] [5]
a-CO2=1/nΣ[X_rel(CO2)] [6]
【0178】
本発明の実施例1に関する図2から分かるように、絶対転化率は、4000h-1の気体時空間速度に対して約95%のレベルに達し、8000h-1の気体時空間速度では転化率はなおも80%超であった。比較例2に関する図4から分かるように、転化率は、4000h-1の気体時空間速度に対して70%未満のレベルに達し、8000h-1の気体時空間速度では、メタンの転化率並びに二酸化炭素の転化率の両方ともに関して、転化率が約45%に下がり、50%のレベルを下回り続けた。
【0179】
図2及び4に示される絶対転化率に関して、本発明の実施例1に従う触媒は、二酸化炭素及びメタンに関して、15~20hの間のタイムオンストリーム(TOS)後に初めて80%超の転化レベルに達したのに対して、比較例2に従う触媒は、二酸化炭素及びメタンに関して、25~30hの間のタイムオンストリーム(TOS)後に初めて60%超の転化レベルに達し、転化の最高レベルは、比較例2の場合、タイムオンストリーム全体にわたって70%を下回ったことは言うまでもない。前記結果は、比較例2に従う触媒と比べた、本発明の実施例1に従う触媒の優れた活性を明確に示す。
【0180】
更に、4000h-1の気体時空間速度でのメタン及び二酸化炭素に関する相対転化率が、本発明の実施例1では、約20hのタイムオンストリームにおいて初めて約95%の最高レベルに達したが、比較例2では、相対転化率が、約55~60hのタイムオンストリームにおいて初めて約80%の最高レベルに達したことが図3及び5に示される。更に、気体時空間速度が8000h-1であった場合、本発明の実施例1の相対転化率は80~90%の範囲にとどまったのに対して、比較例2では、気体時空間速度が8000h-1であった場合、相対転化率は50~60%の範囲にとどまった。前記結果は、本発明に従う触媒が、比較例2に従う触媒と比べて、メタン及び二酸化炭素の転化に関して優れた触媒活性を示すことを明確に示す。
【0181】
したがって、本発明の実施例1に従う触媒は、先行技術を代表する比較例2に従う触媒と比べて優れた触媒特性を示すことが明確に認められる。
本発明は、以下の態様を含む。
[項1]
混合酸化物を含む成形物であって、混合酸化物が、酸素、ランタン、アルミニウム及びコバルトを含み、混合酸化物中、コバルトとアルミニウムとの重量比が、元素として計算して少なくとも0.17:1である成形物。
[項2]
混合酸化物中、コバルトとアルミニウムとの重量比が、元素として計算して、0.17:1~0.24:1の範囲、好ましくは0.18:1~0.23:1の範囲、更に好ましくは0.19:1~0.22:1の範囲にある、項1に記載の成形物。
[項3]
混合酸化物中、コバルトとランタンとの重量比が、元素として計算して、0.35:1~0.48:1の範囲、好ましくは0.38:1~0.45:1の範囲、更に好ましくは0.40:1~0.43:1の範囲にある、項1又は2に記載の成形物。
[項4]
混合酸化物の99~100重量%、好ましくは99.5~100重量%、更に好ましくは99.9~100重量%が、酸素、ランタン、アルミニウム、コバルト、及び場合により水素からなる、項1から3のいずれか一項に記載の成形物。
[項5]
混合酸化物が、LaCoAl 11 O 19 結晶相及びLaAl(Co)O 3 結晶相のうちの1つ以上を含む、項1から4のいずれか一項に記載の成形物。
[項6]
混合酸化物がLaCoAl 11 O 19 結晶相及びLaAl(Co)O 3 結晶相を含み、混合酸化物中、LaCoAl 11 O 19 とLaAl(Co)O 3 との重量比が、5:1~30:1の範囲、好ましくは10:1~25:1の範囲、更に好ましくは12:1~22:1の範囲、更に好ましくは13:1~20:1の範囲、更に好ましくは13:1~15:1の範囲にある、項5に記載の成形物。
[項7]
成形物の99~100重量%、好ましくは99.5~100重量%、更に好ましくは99.9~100重量%が混合酸化物からなる、項1から6のいずれか一項に記載の成形物。
[項8]
1~10m 2 /gの範囲、好ましくは5~10m 2 /gの範囲、更に好ましくは7~10m 2 /gの範囲、更に好ましくは7.5~9.6m 2 /gの範囲のBET比表面積を有する、項1から7のいずれか一項に記載の成形物。
[項9]
項1から8のいずれか一項に記載の混合酸化物を含む成形物を調製する方法であって、
(i)ランタン塩、コバルト塩、酸化物アルミニウム化合物及び酸を含む混合物を調製する工程であって、ランタン塩及びコバルト塩のうちの1つ以上が、好ましくはランタン塩もコバルト塩も硝酸塩ではない、工程、
(ii)(i)から得られた混合物から成形物を調製する工程であって、
(ii.1)(i)から得られた混合物を成形方法で処理して、第1の成形物を得ること、
(ii.2)好ましくは、(ii.1)から得られた第1の成形物をガス雰囲気中で乾燥させること、
(ii.3)(ii.1)又は(ii.2)、好ましくは(ii.2)から得られた第1の成形物を、350~470℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼すること
を含む工程、
(iii)好ましくは、(ii)から得られたか焼された第1の成形物を再成形方法で処理して、第1の成形物のジオメトリとは異なるジオメトリを有する第2の成形物を得る工程、
(iv)(ii)又は(iii)、好ましくは(iii)から得られた成形物を、1100~1400℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でか焼して、混合酸化物を含む成形物を得る工程
を含む方法。
[項10]
(iii)を含む、項9に記載の方法。
[項11]
(i)による酸が、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、硝酸、亜硝酸、クエン酸、酒石酸及びシュウ酸のうちの1つ以上である、好ましくはギ酸及び硝酸のうちの1つ以上である、更に好ましくはギ酸である、項9又は10に記載の方法。
[項12]
(i)で調製した混合物中、酸とコバルトとのモル比が、1:2~9:1の範囲、好ましくは1:2~8:1の範囲、更に好ましくは1:1~7:1の範囲、更に好ましくは2:1~6:1の範囲、更に好ましくは3.5:1~5:1の範囲、更に好ましくは4.0:1~4.4:1の範囲、更に好ましくは4.1:1~4.3:1の範囲にある、項9から11のいずれか一項に記載の方法。
[項13]
(i)、(ii)及び(iii)からなる、好ましくは(i)、(ii)、(iii)及び(iv)からなる、項9から12のいずれか一項に記載の方法。
[項14]
項9から13のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる、又は得られる、酸素、ランタン、アルミニウム及びコバルトを含む混合酸化物を含む成形物、好ましくは、項1から8のいずれか一項に記載の成形物。
[項15]
好ましくは、1つ以上の炭化水素を、好ましくは二酸化炭素の存在下で、水素及び一酸化炭素を含む合成ガスに改質するための触媒活性材料としての、触媒成分としての又は触媒としての、項1から8又は14のいずれか一項に記載の成形物の使用であって、炭化水素が、好ましくは、メタン、エタン、プロパン及びブタンからなる群から選択され、炭化水素が更に好ましくはメタンである使用。
図1
図2
図3
図4
図5