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  • 特許-一成分封止剤又は接着剤組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】一成分封止剤又は接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 71/04 20060101AFI20240708BHJP
   C08G 18/83 20060101ALI20240708BHJP
   C09J 175/04 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
C08G71/04
C08G18/83 070
C09J175/04
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021545811
(86)(22)【出願日】2020-02-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-22
(86)【国際出願番号】 EP2020053317
(87)【国際公開番号】W WO2020161355
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2023-02-10
(31)【優先権主張番号】19156254.5
(32)【優先日】2019-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティール,アンドル
(72)【発明者】
【氏名】ワーム,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】カフィ,アヒム
(72)【発明者】
【氏名】ワルサー,ブルクハルト
(72)【発明者】
【氏名】ブルッヒマン,ベルント
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ランガンキ,ジェンス
【審査官】今井 督
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105219125(CN,A)
【文献】特表2022-519712(JP,A)
【文献】特許第7396979(JP,B2)
【文献】特許第7358333(JP,B2)
【文献】特表2019-532164(JP,A)
【文献】特表2009-518518(JP,A)
【文献】特開昭63-156805(JP,A)
【文献】特公昭46-030711(JP,B1)
【文献】REYNOLDS,D.D. et al.,Mercaptoethylation. II. Preparation of 2-Mercaptoethyl Carbamates and Oligoethylene Sulfides,J.Org.Chem,Vol.26(12),1961,p.5111-5115
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G
C07D
C09J
C09D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレタン基及び硬化性ケイ素官能基を含むプレポリマーを調製する方法であって、
a)少なくとも1個の5員環式モノチオカーボネート基を有する化合物A)、
及び第一級若しくは第二級アミノ基又はブロックされた第一級若しくは第二級アミノ基から選択される少なくとも1個のアミノ基を有する化合物B)、
及び任意選択で基-SHと反応する少なくとも1個の官能基を有する化合物C)
を出発材料として使用する工程、
ここで、出発材料として使用される化合物の少なくとも1種はケイ素官能基を含む、
及び、化合物A)、B)及び任意選択でC)を、
b)水分の排除下で化合物A)及びB)及び任意選択でC)を反応させて、硬化性のケイ素官能基を有するプレポリマーを得ること
によって処理する工程
を含み、
化合物A)が、式
【化1】
(式中、
R 1a ~R 4a は互いに独立して水素又は最大50個の炭素原子を有する有機基であり、
該有機基はアルキル基、基-CH 2 -O-R 5a 、基-CH 2 -O-C(=O)-R 6a 又は基-CH 2 -NR 7a R 8a から選択され、
R 5a ~R 8a は任意選択で酸素を含む脂肪族又は芳香族基である)
の化合物、又は式
【化2】
(式中、
基R 1b ~R 4b の3個は水素であり、
基R 1b ~R 2b の1個はZへの連結基であり、
nは少なくとも2の整数であり、
Zは、式
(V-O-) m V (G1)
(式中、VはC 2 ~C 20 アルキレン基であり、mは少なくとも1の整数であり、末端アルキレン基Vは連結基に結合される)
のポリアルコキシレン基、

【化3】
(式中、Wは、-CH 2 -、-CH(CH 3 )-、-C(CH 3 ) 2 -、-C(CH 3 )(C 2 H 5 )-又は-SO 2 -から選択される二価の有機基であり、R 10b ~R 17b は、互いに独立してH又はC 1 ~C 4 アルキル基であり、R 10b ~R 17b の少なくとも6個はHであり、Wに対してパラ位の水素原子は、連結基への結合によって置き換えられる)
の二価の基、及び
アルキレン基である、基G3
から選択される、最大50個の炭素原子を有するn価の有機基である)
の化合物であり、
プレポリマーが、
(a)式
【化4】
(式中、
R 1 はR 1a 又はR 1b であり、
R 2 はR 2a 又はR 2b であり、
R 3 はR 3a 又はR 3b であり、
R 4 はR 4a 又はR 4b であり、
R 9 は、水素又はC 1 ~C 4 アルキル又はC 1 ~C 4 アルキレン-N(C 1 ~C 4 アルキル) 2 である)
の基、及び
(b)硬化性ケイ素官能基、ここで、該ケイ素官能基は、式
-SiR 1s R 2s R 3s (III)
(式中、
基R 1s ~R 3s の2個又は3個はアルコキシ基であり、残りの基R 1s ~R 3s はアルキル基、ビニル基、又はアリル基である)
の基である、
を含む、方法。
【請求項2】
化合物B)が1~5個のアミノ基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
化合物B)が1、2又は3個のアミノ基を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
-SHと反応する化合物C)の官能基が非芳香族エチレン性不飽和基である、請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項5】
化合物B)又は化合物C)がケイ素官能基を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
出発材料として使用される化合物A)、B)又は任意選択でC)の少なくとも1種がポリエーテル基又は有機ポリスルフィド基から選択されるセグメントを含み、
有機ポリスルフィド基が2-ハロエタノール、ホルムアルデヒド及び多硫化ナトリウムNa 2 S x (x≧2)の反応、又はビスハロエチルホルマールと多硫化ナトリウムとの反応によって入手可能な脂肪族ポリスルフィドポリマーに由来する脂肪族ポリスルフィドポリマー基である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
化合物A)、B)及び任意選択でC)の混合物が21℃及び100kPa(1バール)で液体である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
プレポリマー中のケイ素の含有量が、プレポリマー100gあたり0.001~0.3molのケイ素である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
(a)式
【化5】
(式中、
R1はR1a又はR1bであり、
R2はR2a又はR2bであり、
R3はR3a又はR3bであり、
R4はR4a又はR4bであり、
R1a~R4a 及びR 1b ~R 4b 請求項1に定義される通りであり、
R9は、水素又はC1~C4アルキル又はC1~C4アルキレン-N(C1~C4アルキル)2である)
の基、及び
(b)硬化性ケイ素官能基、ここで、該ケイ素官能基は、式
-SiR 1s R 2s R 3s (III)
(式中、
基R 1s ~R 3s の2個又は3個はアルコキシ基であり、残りの基R 1s ~R 3s はアルキル基、ビニル基、又はアリル基である)
の基である、
を含むプレポリマー。
【請求項10】
ポリエーテル基又は請求項6に定義される有機ポリスルフィド基から選択されるセグメント(c)を、プレポリマーの全重量に対して50~95wt%の量で含む、請求項9に記載のプレポリマー。
【請求項11】

【化6】
(式中、
R9は水素、C1~C4アルキル又はC1~C4アルキレン-N(C1~C4アルキル)2であり、
R10は、C1~C18アルキレン基であり、該アルキレン基は任意選択でO、S又はNR13によって中断されており、
R11は非芳香族エチレン性不飽和基に由来する基であり、
R12はp価のポリエーテル又は請求項6に定義される有機ポリスルフィド基であり、
R13は水素又はC1~C4アルキルであり、
pは2~6の整数である)
の基、又は式
【化7】
(式中、
R9は水素又はC1~C4アルキルであり、
R10は、C1~C18アルキレン基であり、該アルキレン基は任意選択でO、S又はNR13によって中断されており、
R11は非芳香族エチレン性不飽和基に由来する基であり、
R12はp'価のポリエーテル基又は請求項6に定義される有機ポリスルフィド基であり、
R13は水素又はC1~C4アルキルであり、
p'は2~5の整数である)
の基を含む、請求項9又は10に記載のプレポリマー。
【請求項12】
pが2又は3の整数であり、p'が2~3の整数である、請求項11に記載のプレポリマー。
【請求項13】
請求項912のいずれか一項に定義されるプレポリマーを含む組成物。
【請求項14】
一成分封止剤又は接着剤組成物の成分としての、請求項912のいずれか一項に定義されるプレポリマー又は請求項13に定義される組成物の使用。
【請求項15】
請求項1~8のいずれか一項に定義される化合物A)、化合物B)及び任意選択で化合物C)に由来するモノマー単位を含む架橋ポリマーであって、ポリマーが架橋ポリマー100gあたり0.001~0.3molのケイ素を含む架橋ポリマー。
【請求項16】
ウレタン基及びシロキサン結合を含む架橋ポリマーを調製する方法であって、
請求項1~8のいずれか一項に定義される工程a)及びb)、並び
程b)で得られるプレポリマーを表面、空隙又は三次元鋳型に塗布し、周囲水分によってケイ素官能基を硬化させる工程b2)
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレタン基及び硬化性ケイ素官能基を含むプレポリマーを調製する方法、前記基を含むプレポリマー、並びに一成分封止剤又は接着剤組成物の成分としてのその使用に関する。さらに本発明は、架橋ポリマー100gあたり0.001~0.3molのケイ素の含有量を有するウレタン基及びシロキサン結合を含む架橋ポリマー、並びにウレタン基及びシロキサン結合を含む架橋ポリマーを調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンは重要な工業用ポリマーである。ポリウレタンは非常に良好な機械的特性を有し、したがって多くの技術的用途において、例えば発泡体として又はコーティング若しくは接着剤のバインダー若しくは樹脂として使用される。
【0003】
ポリウレタンは、特にアルコキシシラン基であるシリル基で変性されている。そのようなシリル変性ポリウレタンは湿気硬化性であり、例えばコーティング、接着剤又は封止剤の一成分(1K)バインダーとして使用されている。
【0004】
一成分封止剤は、種々の手段によって調製することができる。例えば、シラン末端プレポリマーを湿気下での加水分解後にシロキサンに変換してもよい。公知の系は、例えば米国特許第3,971,751号に記載されるシラン末端ポリエーテルに基づくカネカ製MS-ポリマーである。
【0005】
別のクラスの封止剤は、接着剤、封止剤及びコーティングの製造業者にとってますます魅力的なものになっているシラン変性ポリウレタン、いわゆるSPUR(シラン-PURハイブリッド)である。前記高性能ハイブリッド技術は、シランの硬化機構とポリウレタン骨格の特性、すなわち良好な機械的特性及び性能特性との間の相乗作用の結果である。シラン末端ポリウレタンに基づく配合物により、例えば室温での速硬化、良好な耐久性、最小限のみの気体の放出を伴う硬化、並びに添加剤及び接着促進剤の種類の増加が可能になる。
【0006】
米国特許第3,632,557号によると、イソシアネート末端プレポリマーとアミノシランとを反応させることによってケイ素末端ポリウレタンが得られる。そのようなポリマーは、尿素基の存在のために高い粘度を有する傾向にある。
【0007】
米国特許第4,625,012号及び米国特許第6,355,127号は、イソシアナート-オルガノシランを使用してシリル変性ポリウレタンを得る方法について開示している。そのようなポリマーは、同様に高い粘度及び低い伸びを有する傾向にある。
【0008】
国際公開第2012/003187号では、水素-ケイ素結合及び架橋性基を有するケイ素化合物を使用してポリウレタンを変性させる。
【0009】
欧州特許第2468791号の目的は、酸素及び硫黄を含む5員環式環系を有する化合物、特に1,3-オキサチオラン-2-チオンを含むエポキシ組成物である。
【0010】
D.D. Reynolds, D.L. Fields and D.L. Johnson, Journal of Organic Chemistry, 1961, pages 5111 to 5115は、5員環式モノチオ-カーボネート環系を有する化合物及びその反応について開示している。とりわけ、アミノ化合物との反応が言及される。
【0011】
国際公開第2019/034468号及び国際公開第2019/034469号は、少なくとも1個のモノチオカーボネート基を有する化合物の合成方法に関する。
【0012】
国際公開第2019/034470号及び国際公開第2019/034473号は、少なくとも1個のモノチオカーボネート基を有する化合物を反応させることによって得られるポリマーに関する。
【0013】
ポリエーテルに基づく構造単位を封止剤のソフトセグメントとして使用することは、例えば米国特許第6,103,850号に記載されるように十分に確立されている。
【0014】
しかし、ウレタン基及び湿気硬化性シリル基を有するプレポリマー、特に前記ポリマーの技術的用途を改善させ且つ/又は技術的用途の分野を拡張することを可能にする、追加的なヘテロ原子又は官能性を有するポリマーに対する必要性が依然として存在する。さらに、毒性学的問題を回避するために、イソシアネートを使用せずにシリル変性ポリウレタンを調製する方法の必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】米国特許第3,632,557号
【文献】米国特許第4,625,012号
【文献】米国特許第6,355,127号
【文献】国際公開第2012/003187号
【文献】欧州特許第2468791号
【文献】国際公開第2019/034468号
【文献】国際公開第2019/034469号
【文献】国際公開第2019/034470号
【文献】国際公開第2019/034473号
【文献】米国特許第6,103,850号
【非特許文献】
【0016】
【文献】D.D. Reynolds, D.L. Fields and D.L. Johnson, Journal of Organic Chemistry, 1961, pages 5111 to 5115
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、本発明の目的は、経済的且つ適応性のあるシリル末端ウレタン基含有プレポリマーを調製する方法を提供することである。
【0018】
さらに、本発明の目的は、無水条件下で安定であり、湿気に曝露された場合に室温での速硬化を可能にし、様々な技術的用途に好適なシリル末端ウレタン基含有プレポリマーを提供することである。
【0019】
さらに、本発明の目的は、様々な技術的用途に使用するのに好適なシリル変性ウレタン基含有ポリマーを提供することである。
【0020】
さらに、本発明の目的は、経済的且つ適応性のあるシリル変性ウレタン基含有ポリマーを調製する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
環式チオカーボネートを使用することにより、シラン官能性と組み合わされたウレタン単位及びチオエーテル単位又はジスルフィド単位を含むポリマーハイブリッドを入手するための固有の費用対効果が高い方法が得られることが今般見出された。そのようなプレポリマーは、向上した化学的安定性、向上した屈折率及び透明性などの改善された特性を有する一成分封止剤又は接着剤組成物に使用するのに特に好適である。
【0022】
したがって第1の態様では、本発明はウレタン基及び硬化性ケイ素官能基を含むプレポリマーを調製する方法であって、
a)少なくとも1個の5員環式モノチオカーボネート基を有する化合物A)、
及び第一級若しくは第二級アミノ基又はブロックされた(blocked)第一級若しくは第二級アミノ基から選択される少なくとも1個のアミノ基を有する化合物B)、
及び任意選択で基-SHと反応する少なくとも1個の官能基を有する化合物C)
を出発材料として使用する工程、
ここで、出発材料として使用される化合物の少なくとも1種はケイ素官能基を含む、
及び、化合物A)、B)及び任意選択でC)を、
b)水分の排除下で化合物A)及びB)及び任意選択でC)を反応させて、硬化性のケイ素官能基を有するプレポリマーを得ること
によって処理する工程
を含む方法に関する。
【0023】
さらなる態様では、本発明は、本明細書のいずれかの態様で定義される方法工程a)及びb)によって入手可能なウレタン基及び硬化性ケイ素官能基を含むプレポリマーに関する。
【0024】
さらなる態様では、本発明は、
(a)式
【0025】
【化1】
【0026】
の基、及び
(b)硬化性ケイ素官能基
を含むプレポリマーに関する。
【0027】
さらなる態様では、本発明は、本明細書のいずれかの態様で定義されるプレポリマーを含む組成物、特に一成分封止剤又は接着剤組成物に関する。
【0028】
さらなる態様では、本発明は、組成物、好ましくは一成分封止剤又は接着剤組成物の成分としての本明細書のいずれかの態様で定義されるプレポリマーの使用に関する。
【0029】
さらなる態様では、本発明は、化合物A)、化合物B)及び任意選択で化合物C)に由来するモノマー単位を含む架橋ポリマーであって、ポリマーが架橋ポリマー100gあたり0.001~0.3molのケイ素を含む、本明細書のいずれかの態様で定義される架橋ポリマーに関する。
【0030】
さらなる態様では、本発明は、ウレタン基及びシロキサン結合を含む架橋ポリマーを調製する方法であって、
請求項1から10のいずれか一項に定義される工程a)及びb)、並びに
b2)b)で得られるプレポリマーを表面、空隙又は三次元鋳型に塗布し、周囲水分によってケイ素官能基を硬化させる工程
を含む方法に関する。
【0031】
さらなる態様では、本発明は、本明細書のいずれかの態様で定義される方法工程a)、b)及びb2)によって入手可能な架橋ポリマーに関する。
【0032】
本明細書で使用される用語「ポリマーハイブリッド」は、硬化された無機ネットワークと硬化された有機ネットワークの両方を有するポリマーを意味する。
【0033】
本明細書で使用される用語「一成分封止剤組成物」は、表面/基材(基板)に塗布されることを意図する、硬化性基を有するプレポリマーを含有する組成物を意味する。
【0034】
本明細書で使用される用語「一成分接着剤組成物」は、2つの基材の間に塗布されることを意図する、硬化性基を有するプレポリマーを含有する組成物を意味する。
【0035】
本明細書で使用される用語「封止剤」は、最終的に表面/基材に塗布される架橋ポリマーを含有する組成物を意味する。
【0036】
本明細書で使用される用語「接着剤」は、最終的に2つの基材の間に塗布される架橋ポリマーを含有する組成物を意味する。
【0037】
本明細書で使用される場合、単数形の冠詞「a」、「an」及び「the」は、内容が別段明確に指示しない限り、複数形を含む。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は、200~1000nmの透過スペクトルを示すグラフである(破線:2枚のガラスプレートの間の実施例8、実線:比較としての2枚のガラスプレート)。
【発明を実施するための形態】
【0039】
ウレタン基及び硬化性ケイ素官能基を含むプレポリマーを調製する本発明の方法は、化合物A)、化合物B)及び任意選択で化合物C)によってなされる。一般的に、プレポリマーはS-官能基、特にチオエーテル基及び/又はジスルフィド基を含む。
【0040】
本発明の方法はまた、ウレタン基及び硬化性ケイ素官能基を含む1種以上のプレポリマーを含む組成物を提供する。
【0041】
したがってさらなる態様では、本発明は、ウレタン基及び硬化性ケイ素官能基を含む1種以上のプレポリマーを含む組成物を調製する方法であって、
a)少なくとも1個の5員環式モノチオカーボネート基を有する化合物A)、
及び第一級若しくは第二級アミノ基又はブロックされた第一級若しくは第二級アミノ基から選択される少なくとも1個のアミノ基を有する化合物B)、
及び任意選択で基-SHと反応する少なくとも1個の官能基を有する化合物C)
を出発材料として使用する工程、
ここで、出発材料として使用される化合物の少なくとも1種はケイ素官能基を含む、
及び、化合物A)、B)及び任意選択でC)を、
b)水分の排除下で化合物A)及びB)及び任意選択でC)を反応させて、硬化性のケイ素官能基を有する1種以上のプレポリマーを含む組成物を得ること
によって処理する工程
を含む方法に関する。
【0042】
化合物A)は、少なくとも1個の5員環式モノチオカーボネート基を含む。
【0043】
5員環式モノチオカーボネート基は、5員を有する環系であり、5員のうち3員はモノチオカーボネート-O-C(=O)-S-に由来し、さらに2員は5員環を閉じる炭素原子である。
【0044】
化合物A)は、低分子化合物又はポリマー化合物であってもよく、且つ例えば最大1000個、特に最大500個、好ましくは最大100個の5員環式モノチオカーボネート基を含んでもよい。
【0045】
好ましい実施形態では、化合物A)は、1~3個の環式モノチオカーボネート基を含む。
【0046】
最も好ましい実施形態では、化合物A)は、1又は2個の5員環式モノチオカーボネート基を含む。
【0047】
好ましい化合物A)は、最大10000g/mol、特に最大5000g/mol、とりわけ最大1000g/molの分子量を有する。最大500g/molの分子量を有する化合物A)が最も好ましい。
【0048】
化合物A)は他の官能基、例えば非芳香族エチレン性不飽和基、エーテル基、チオエーテル基若しくはカルボン酸エステル基又はケイ素官能基を含んでもよい。
【0049】
好ましい実施形態では、化合物A)は、環式モノチオカーボネート基、非芳香族エチレン性不飽和基、エーテル基、チオエーテル基、カルボン酸エステル基又はケイ素官能基以外の他の官能基を含まない。
【0050】
好ましい化合物A)は、式(I)及び/又は式(II)の化合物である。
【0051】
好ましい化合物A)は、式
【0052】
【化2】
【0053】
(式中、
R1a~R4aは互いに独立して水素又は最大50個の炭素原子を有する有機基であり、
代替的に、R2a、R4a及びチオカーボネート基の2個の炭素原子はまた一緒になって5~10員の炭素環を形成してもよい)
の化合物、又は式
【0054】
【化3】
【0055】
(式中、
R1b~R4bは互いに独立して水素又は最大50個の炭素原子を有する有機基であり、
代替的に、R2b、R4b及びモノチオカーボネート基の2個の炭素原子はまた一緒になって5~10員の炭素環を形成してもよく、
基R1b~R4bの1個はZへの連結基であり、
nは少なくとも2の整数であり、
Zはn価の有機基である)
の化合物である。
【0056】
式(I)の化合物A)は、1個の5員環式モノチオカーボネート基のみを有する。
【0057】
R1a~R4aのいずれかが有機基である場合、そのような有機基は好ましくは最大30個、より好ましくは最大20個の炭素原子を有する有機基である。
【0058】
さらなる好ましい実施形態では、R2a及びR4aは、チオカーボネート基の2個の炭素原子と一緒になって5~10員の炭素環を形成しない。
【0059】
R1a~R4aのいずれかが有機基である場合、そのような有機基は、ヘテロ原子及び官能基を含んでもよい。官能基の例は、例えば非芳香族エチレン性不飽和基、エーテル基、チオエーテル基、カルボン酸エステル基又はケイ素官能基である。好適なヘテロ原子として、有機基はO、N、S、Si及び/又はClを含んでもよい。R1a~R4aは、酸素を、例えばエーテル基、ヒドロキシ基、アルデヒド基、ケト基又はカルボキシ基の形態で含んでもよい。好ましい実施形態では、有機基は、O、N又はCl、特に酸素を含みうる最大30個の炭素原子を有する脂肪族有機基である。
【0060】
プレポリマー又はプレポリマーを含む組成物中の反応される化合物A)は、硬化性ケイ素官能基と適合性である、すなわち無水条件下で安定であるべきである。
【0061】
より好ましい実施形態では、有機基はアルキル基から、基-CH2-O-R5a又は基-CH2-O-C(=O)-R6a又は基-CH2-NR7aR8aから選択され、R5a~R8aは最大30個の炭素原子、好ましくは最大20個の炭素原子を有する有機基である。特にR5a~R8aは、酸素を、例えばエーテル基の形態で含みうる脂肪族又は芳香族基である。好ましい実施形態では、R5a~R8aは脂肪族炭化水素基、例えば1~10個の炭素原子を有するアルキル基、アルコキシ基又はポリアルキレンオキシ基である。最も好ましい実施形態では、R5a~R8aは脂肪族炭化水素基、特に1~10個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0062】
最も好ましい実施形態では、有機基はアルキル基、基-CH2-O-R5a又は基-CH2-O-C(=O)-R6aであり、R5a及びR6aは1~10個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0063】
好ましくは、式(I)中のR1a~R4aの2個~4個すべてがHであり、残りの基R1a~R4aは有機基である。
【0064】
より好ましくは、式(I)中のR1a~R4aの2個又は3個がHであり、残りの基R1a~R4aは有機基、特にアルキル基、基-CH2-O-R5a又は基-CH2-O-C(=O)-R6aである。
【0065】
最も好ましくは、式(I)中のR1a~R4aの3個がHであり、R1a~R4aの残りの基は有機基である。好ましい実施形態では、R1a又はR2aは有機基、特にアルキル基、基-CH2-O-R5a又は基-CH2-O-C(=O)-R6aを表す残りの基である。
【0066】
1個の5員環式モノチオカーボネート基を有する好ましい化合物A)として、例えば式
【0067】
【化4】
【0068】
の化合物A)を挙げることができる。
【0069】
置換基「C12/14」は、C12/C14脂肪アルコールに由来する置換基を意味する。
【0070】
式(II)の化合物A)は、少なくとも2個の5員環式モノチオカーボネート基を有する。
【0071】
R1b~R4bのいずれかが有機基である場合、そのような有機基は好ましくは最大30個の炭素原子を有する有機基である。さらなる好ましい実施形態では、R2b及びR4bは、チオカーボネート基の2個の炭素原子と一緒になって5~10員の炭素環を形成しない。
【0072】
R1b~R4bのいずれかが有機基である場合、そのような有機基は炭素及び水素以外の他の元素を含んでもよい。特に、有機基はO、N、S、Si又はClを含んでもよい。好ましい実施形態では、有機基はO又はClを含んでもよい。R1b~R4bは、酸素を、例えばエーテル基、ヒドロキシ基、アルデヒド基、ケト基又はカルボキシ基の形態で含んでもよい。
【0073】
プレポリマー又はプレポリマーを含む組成物中の反応される化合物A)は、硬化性ケイ素官能基と適合性である、すなわち無水条件下で安定であるべきである。
【0074】
基R1b~R4bの1個はZへの連結基である。
【0075】
好ましくは、連結基は単結合又は-CH2-、-CH2-O-、-CH2-O-C(=O)-若しくは-CH2-NR5b-から選択される基であり、R5bは脂肪族基、特に最大20個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0076】
より好ましくは、連結基は単結合又は-CH2-、-CH2-O-若しくは-CH2-O-C(=O)-から選択される基である。最も好ましい実施形態では、連結基は基-CH2-O-である。
【0077】
好ましくは、式(II)中の基R1b~R4bの2個又は3個がHである。
【0078】
最も好ましい実施形態では、基R1b~R4bの3個がHを表し、R1b~R4bの残りの基はZへの連結基である。
【0079】
最も好ましい実施形態では、基R1b又はR2bはZへの連結基である。
【0080】
nは少なくとも2の整数である。例えば、nは2~1000、特に2~100、とりわけ2~10の整数であってもよい。
【0081】
好ましい実施形態では、nは2~5の整数であり、特にnは2又は3である。
【0082】
最も好ましい実施形態では、nは2である。
【0083】
Zはn価の有機基である。nが大きい数、例えば10~1000の場合、Zはポリマー基、特にポリマー骨格、例えば重合又は共重合、例えばエチレン性不飽和モノマーのラジカル重合、重縮合又は重付加によって得られる、ポリマー基、特にポリマー骨格であってもよい。例えば、ポリエステル又はポリアミドは、水分又はアルコールの脱離下で重縮合によって得られ、ポリウレタン又はポリウレアは重付加によって得られる。
【0084】
式(II)のそのような化合物は、例えばモノチオカーボネート基を含むエチレン性不飽和モノマー、又はその後モノチオカーボネート基に変換されるエポキシ基を含むモノマーのラジカル重合又は共重合によって得られるポリマーである。
【0085】
好ましい実施形態では、Zは最大50個の炭素原子、特に最大30個の炭素原子を有し、炭素及び水素以外の他の元素を含んでもよいn価の有機基であり、nは2~5の整数、特に2又は3、最も好ましくは2である。
【0086】
特に好ましい実施形態では、Zは最大50個の炭素原子、特に最大30個の炭素原子を有し、炭素、水素及び任意選択で酸素のみを含み、さらなる元素は含まないn価の有機基であり、nは2~5の整数、特に2又は3、最も好ましくは2である。
【0087】
好ましい実施形態では、Zは式
(V-O-)mV (G1)
(式中、
VはC2~C20アルキレン基であり、mは少なくとも1の整数である)
のポリアルコキシレン基である。末端アルキレン基Vは、基R1b~R4bの1個である連結基に結合される。
【0088】
好ましくは、C2~C20アルキレン基はC2~C4アルキレン基、特にエチレン又はプロピレンである。mは、例えば1~100、特に1~50の整数であってもよい。
【0089】
さらなる好ましい実施形態では、Zは式
【0090】
【化5】
【0091】
(式中、
Wは最大10個の炭素原子を有する二価の有機基であり、nは2(式(II)内で)であり、R10b~R17bは、互いに独立してH又はC1~C4アルキル基であり、Wに対してパラ位の2個の水素原子は、基R1b~R4bの1個である連結基への結合によって置き換えられる)
の二価の基である。
【0092】
好ましくは、R10b~R17bの少なくとも6つがHである。最も好ましい実施形態では、R10b~R17bのすべてがHである。
【0093】
基Wは、例えば-CH2-、-CH(CH3)-、-C(CH3)2-、-C(CH3)(C2H5)-又は-SO2-である。
【0094】
好ましくは、Wは炭素及び水素のみからなる有機基である。
【0095】
最も好ましくは、WはビスフェノールAの構造に対応するC(CH3)2である。
【0096】
さらなる好ましい実施形態では、Zは基G3であり、G3はアルキレン基、特にC2~C8アルキレン基である。そのようなアルキレン基の好ましい例はエチレン(CH2-CH2)、n-プロピレン(CH2-CH2-CH2)、特にn-ブチレン(CH2-CH2-CH2-CH2)である。
【0097】
少なくとも2個の5員環式モノチオカーボネート基を有する化合物A)は、例えば式
【0098】
【化6】
【0099】
(式中、Gは2~10個、特に2~6個の炭素原子を有するアルキレン基を表す)
の化合物である。
【0100】
式(IIa)の好ましい化合物は、式
【0101】
【化7】
【0102】
を有するビス-1,3-オキサチオラン-2-オン-5,5'-[1,4-ブタンジイルビス(オキシメチレン)]である。
【0103】
化合物A)は、異なる化合物A)の混合物であってもよい。
【0104】
異なる化合物A)の混合物は、1種以上の式(I)の化合物、好ましくは1又は2種の式(I)、特に式(Ia)~(Ie)の化合物、又は式(I)の化合物A)と式(II)、例えば式(IIa)、特に式(IIb)の化合物A)との混合物であってもよい。
【0105】
式(I)の化合物A)の混合物がさらに好ましく、ここで、式(I)中のR1a~R4aの3個は水素であり、R1a~R4aの残りの基は有機基であり、
R1a又はR2aは有機基、特にアルキル基、基-CH2-O-R5a又は基-CH2-O-C(=O)-R6aを表す残りの基であり、
R5a及びR6aは1~10個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0106】
式(I)の化合物A)と、化合物A)の全重量に対して最大30重量%(wt%)、好ましくは最大20wt%の量で存在しうる、式(II)、例えば式(IIa)、特に式(IIb)の化合物A)との混合物がさらに好ましい。
【0107】
より好ましくは、式(I)の化合物A)の混合物、特に式(Ia)~(Ie)の化合物A)の混合物、特に式(Ia)~(Ic)の化合物の混合物が使用される。
【0108】
化合物A)、それぞれ、化合物A)の混合物は、21℃、1バールで液体である。1つの好ましい実施形態では、液体化合物A)は、21℃、1バールで固体の化合物A)を、21℃、1バールで液体の化合物A)中に溶解することによって得られる。
【0109】
好ましい実施形態では、化合物A)は21℃、1バールで液体である。
【0110】
1個のモノチオカーボネート基を有する化合物A)を合成する一部の方法が先行技術に記載されている。
【0111】
米国特許第3,072,676号及び米国特許第3,201,416号によると、2工程方法によってエチレンモノチオカーボネートを調製することができる。第1の工程では、メルカプトエタノールとクロロカルボキシレートとを反応させてヒドロキシエチルチオカーボネートを得て、これを第2の工程で金属塩触媒の存在下で加熱し、エチレンモノチオカーボネートにする。
【0112】
米国特許第3,517,029号によると、メルカプトエタノールと炭酸ジエステルとをトリウムの触媒活性塩の存在下で反応させることにより、アルキレンモノチオカーボネートが得られる。
【0113】
米国特許第3,349,100号に開示される方法によると、エポキシドと硫化カルボニルとを反応させることによってアルキレンモノチオカーボネートが得られる。硫化カルボニルの入手可能性は限定的である。得られるアルキレンモノチオカーボネートの収率及び選択性は低い。
【0114】
ホスゲンを出発材料として使用する合成は、米国特許第2,828,318号から公知である。ホスゲンをヒドロキシメルカプタンと反応させる。モノチオカーボネートの収率はやはり低く、重合からの副生成物が観察される。
【0115】
化合物A)及びC)を調製する好ましい方法は、
a)少なくとも1個のエポキシ基を有する化合物(簡潔にエポキシ化合物と称される)を出発材料として使用し、
b)化合物をホスゲン又はクロロぎ酸アルキルと反応させることによって付加物を得て、
c)付加物をアニオン性硫黄を含む化合物と反応させ、少なくとも1個の5員環式モノチオカーボネート基を有する化合物を得る、
方法である。
【0116】
この方法は、国際公開第2019/034469号に詳述される。
【0117】
化合物B)は、第一級若しくは第二級アミノ基又はブロックされた第一級若しくは第二級基から選択される少なくとも1個のアミノ基を有する化合物である。本明細書で使用される用語「アミノ基」は、別段指示されない場合又は内容から別段明らかでない場合、第一級又は第二級アミノ基を意味する。
【0118】
化合物B)は、いずれのモノチオカーボネート基を含まない。
【0119】
化合物B)は、例えば最大500,000g/molの分子量を有してもよい。これは、化合物B)が高分子化合物、例えばアミノ基を含むポリマーである場合に該当する場合がある。
【0120】
ポリマーの場合、本明細書で使用される用語「分子量」は、一般的に標準としてのポリスチレンに対してゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される数平均分子量Mnを意味する。
【0121】
化合物B)は付加物、例えば環式モノチオカーボネート基を有する化合物と第一級又は第二級アミノ基を有する化合物とを反応させることによって得られるウレタン基を含む付加物であってもよく、ここで、アミノ基はモノチオカーボネート基と比較して化学量論的過剰であり、したがって第一級又は第二級アミノ基を依然として有するが、モノチオカーボネート基を本質的に有さないウレタン基を含む付加物が得られる。
【0122】
好ましい化合物B)は、最大10000g/mol、特に最大5000g/mol、とりわけ最大1000g/molの分子量を有する。60g/mol~500g/molの分子量を有する化合物B)が最も好ましい。
【0123】
化合物B)は、例えば重合性エチレン性不飽和基、エーテル基又はカルボン酸エステル基又はケイ素官能基を含んでもよい。
【0124】
好ましい実施形態では、化合物B)は、第一級若しくは第二級アミノ基、第三級アミノ基、重合性エチレン性不飽和基、エーテル基又はケイ素官能基以外のいかなる他の官能基も含まない。
【0125】
好ましい実施形態では、化合物B)は1~10個のアミノ基、好ましくは1~5個、それぞれ1~3個のアミノ基を含み、最も好ましい実施形態では、化合物B)は1~2個のアミノ基を含む。
【0126】
好ましい実施形態では、化合物B)のアミノ基の少なくとも1個が第一級アミノ基である。
【0127】
最も好ましい実施形態では、化合物B)のすべてのアミノ基が第一級アミノ基である。
【0128】
1個のアミノ基を有する化合物B)は、例えば第一級アミノ基を有するモノアルキルアミン、例えばC1~C20アルキルアミン又はシクロアルキルアミン又はエーテルアミン、例えば2-メトキシエチルアミン又は3-メトキシプロピルアミン又はジ若しくはポリエーテルアミン、例えばジ若しくはポリグリコールアミン、ポリオキシプロピレンアミンである。
【0129】
1個より多くのアミノ基を有する化合物B)は、例えば
- アルキレン-ジアミン又はアルキレン-ポリアミン、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ネオペンタンジアミン、オクタメチレンジアミン、1,3-ジアミノペンタン、2-メチルペンタン-1,5-ジアミン、又は1,1,1-トリス(アミノメチル)エタン、
- エーテル基を含むアルキレン-ジアミン又はアルキレン-ポリアミン(ポリエーテルアミン)、例えばポリグリコールジアミン又はポリオキシプロピレンジアミン、
- 脂環式ジアミン、例えばシクロヘキシルジアミン、例えば1,2-ジアミノ-シクロヘキサン、1-メチル-2,4-ジアミノシクロヘキサン、1-メチル-2,6-ジアミノシクロヘキサン又はそれらの混合物、イソホロンジアミン、ビス(4-アミノ-シクロヘキシル)メタン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2,5-ビスアミノメチル-テトラヒドロフラン又は3,3'-ジメチル-4,4'ジアミノ-ジシクロヘキシルメタン、
- 芳香族ジアミン、例えば1,2-フェニレンジアミン又は1,4フェニレンジアミン、トルエンジアミン、4,4'ジアミノ-ジフェニルメタン、4,4'ジアミノジフェニルスルホン、2,5-ビスアミノメチル-フラン
である。
【0130】
化合物B)はまた、アミノ基が保護基で保護された形態で使用されてもよい。それが必要とされる又は所望されるとすぐに保護基が除去され、その結果遊離アミノ基を有する上記の化合物B)が得られる。通常、保護基の除去は反応条件下で生じる。アミノ基に関して通常保護されたアミノ基は、例えばケチミン、アルジミン、イミダソリジン、オキサゾリジン、ルイス酸錯体化アミン、カルバメート、ベンジルオキシカルボニルアミン、アシルオキシム又はホルムアニリドである。脱保護反応は、例えば温度、光、pH又は水分/湿度の存在のいずれかによって誘発することができる。
【0131】
さらなる好適な化合物B)は、例えば国際公開第2019/034470号及び国際公開第2019/034473号に列挙される。
【0132】
化合物B)は、異なる化合物B)の混合物であってもよい。
【0133】
化合物C)は、チオール基-SHと反応する少なくとも1個の官能基を有する化合物である。
【0134】
化合物C)は、5員環式モノチオカーボネート基を含まず、且つアミノ基を含まない。
【0135】
化合物C)は、例えば最大500,000g/molの分子量を有してもよい。これは、化合物C)が高分子化合物、例えばポリマーである場合に該当する場合がある。
【0136】
好ましい化合物C)は、最大10000g/mol、特に最大5000g/mol、とりわけ最大1000g/molの分子量を有する。60g/mol~500g/molの分子量を有する化合物C)が最も好ましい。
【0137】
化合物C)は、例えば基-SHと反応する最大1000個の官能基、特に基-SHと反応する最大500個、好ましくは最大100個の官能基を有してもよい。
【0138】
好ましい実施形態では、化合物C)は1~10個、特に2~6個の基-SHと反応する官能基を含む。
【0139】
最も好ましい実施形態では、化合物C)は2個又は3個の基-SHと反応する官能基を含む。
【0140】
好ましい実施形態では、化合物C)の官能基と基-SHの反応により、硫黄-炭素結合の形成が生じる。
【0141】
化合物C)の官能基と基-SHの反応は、付加反応、縮合反応又は求核置換反応であってもよい。
【0142】
基-SHとの付加反応を経る化合物C)は、例えば非芳香族エチレン性不飽和基を有する化合物、又はエポキシ基を有する化合物、又は官能基としてイソシアネート基を有する化合物である。非芳香族エチレン性不飽和基は、非芳香族炭素-炭素二重結合又は炭素-炭素三重結合である。
【0143】
基-SHとの縮合反応を経る化合物C)は、例えば官能基としてカルボニル基を有する化合物、例えばモノカルボニル化合物又はジカルボニル化合物、例えばジアルデヒド又はジケトンである。
【0144】
基-SHとの求核置換反応を経る化合物C)は、例えば官能基としてハロゲン化物、特に塩化物を有する化合物である。
【0145】
本明細書で使用される用語<<ハロゲン化物>>は、共有結合されたハロゲン原子、好ましくはCl原子の通称である。本明細書で使用される用語「塩化物」は、共有結合されたCl原子の通称である。
【0146】
基-SHと反応する好ましい官能基は、非芳香族エチレン性不飽和基又はエポキシ基、より好ましくは非芳香族エチレン性不飽和基である。
【0147】
重合性エチレン性不飽和基の好ましい例は、ビニル基H2C=CH-、エチニル基HC≡C-、オレフィン基-HC=CH-であり、二重結合の2個の炭素原子はそれぞれ1個の水素のみで置換され、さらなる置換基は、特に環系の炭素原子を含む炭素原子、基-C≡C-、及びアクリル又はメタクリル基(簡潔に(メタ)アクリル基と称される)である。本明細書で使用される用語「ビニル基」は(メタ)アクリル基を含まない。
【0148】
より好ましい化合物C)は、ビニル基、(メタ)アクリル基又はエポキシ基、最も好ましくはビニル基、エチニル基又は(メタ)アクリル基、特に(メタ)アクリル基、とりわけメタクリル基を有する化合物である。
【0149】
プレポリマー又はプレポリマーを含む組成物中の反応される化合物C)は、硬化性ケイ素官能基と適合性である、すなわち無水条件下で安定であるべきである。
【0150】
ビニル基、(メタ)アクリル基又はエポキシ基を有する化合物は周知である。
【0151】
好適な化合物C)は、例えば国際公開第2019/034470号及び国際公開第2019/034473号に列挙される。
【0152】
化合物C)は、付加物、例えばヒドロキシ置換(メタ)アクリル酸エステルとアルキレンジイソシアネートとを反応させ、それにより末端(メタ)アクリレート基を有するウレタン基含有付加物を生じることによって得られるウレタン基含有付加物であってもよい。好適な化合物は、例えばジウレタンジメタクリレートである。付加物はまた、ヒドロキシ置換ビニル化合物を反応させることによって入手可能である。
【0153】
化合物C)は、異なる化合物C)の混合物であってもよい。
【0154】
反応される化合物の少なくとも1種は、ケイ素官能基を含む。
【0155】
化合物A)とB)が反応される場合、化合物A)又はB)の少なくとも1種はケイ素官能基を含む。
【0156】
化合物A)、B)及びC)が反応される場合、化合物A)、B)又はC)の少なくとも1種はケイ素官能基を含む。
【0157】
A)及びB)、それぞれ、A)、B)及びC)のうちの1種より多くの化合物がケイ素官能基を含んでもよい。好ましくは、反応される化合物の1種のみがケイ素官能基を含む化合物である。
【0158】
本明細書の上記で言及されたように、化合物A)、B)及びC)は異なる化合物A)、B)及びC)の混合物であってもよい。したがって、化合物A)、B)及び任意選択でC)から得られるポリマー中のケイ素官能基の所望の含有量を、ケイ素官能基を有する化合物とケイ素官能基を有さない化合物との混合物を使用することによって容易に得ることができる。
【0159】
好ましい実施形態では、化合物B)又は化合物C)はケイ素官能基を含む。
【0160】
ケイ素官能基は、好ましくは少なくとも1個のケイ素原子及び少なくとも1個のシラノール架橋反応によって架橋可能な基を有する基である。
【0161】
ケイ素官能基は、1個より多くのケイ素原子を含んでもよい。ケイ素原子は、互いに直接又は酸素架橋を介して結合されてもよい。好ましい実施形態では、ケイ素官能基は1~3個のケイ素原子を含む。ケイ素原子を1個のみ有するケイ素官能基が最も好ましい。
【0162】
シラノール架橋反応によって架橋可能な基は、好ましくはヒドロキシ基及び加水分解性基、特にアルコキシ基であり、アルコキシ基、特にC1~C10アルコキシ基が好ましい。
【0163】
ケイ素官能基は、1個より多くのシラノール架橋反応によって架橋可能な基を含んでもよい。シラノール架橋反応によって架橋可能な基の可能な数は、ケイ素官能基中のケイ素原子の数に依存する。
【0164】
ケイ素官能基は、ケイ素原子に結合される、水素、アルキル又はアルキレン-ビニル基をさらに含んでもよい。好ましい実施形態では、ケイ素官能基はアルキル又はアルキレン-ビニル基を含んでもよいが、ケイ素原子に結合される水素を含まない。
【0165】
好ましくは、ケイ素官能基は、ケイ素、シラノール架橋反応によって架橋可能な基、いずれもケイ素に結合される水素、アルキル又はアルキレン-ビニル基及びケイ素原子間の可能性のある架橋としての酸素以外の任意の他の構成要素を含まない。
【0166】
より好ましくは、ケイ素官能基は、式
-SiR1sR2sR3s (III)
(式中、
基R1s~R3sの少なくとも1個はアルコキシ基であり、他の基R1s~R3sは水素、アルキル基又はアルキレン-ビニル基である)
のアルコキシシラン基である。
【0167】
最も好ましくは、ケイ素官能基は、式
-SiR1sR2sR3s (III)
(式中、
基R1s~R3sの少なくとも1個はアルコキシ基であり、他の基R1s~R3sはアルキル基又はアルキレン-ビニル基、特に1個のアルキル基である)
のアルコキシシラン基である。
【0168】
アルコキシ基は、好ましくはC1~C10アルコキシ基、特にC1~C4アルコキシ基、例えばブトキシ、プロポキシ、エトキシ又はメトキシ基である。最も好ましくは、アルコキシ基はエトキシ又はメトキシ基である。
【0169】
アルキル基は、好ましくはC1~C10アルキル基、特にC1~C4アルキル基、例えばブチル、n-プロピル、エチル又はメチル基である。最も好ましくは、アルキル基はエチル又はメチル基である。
【0170】
アルキレン-ビニル基は、好ましくはC2~C8アルキレン-ビニル基、特にC1~C2アルキレン-ビニル基、より好ましくはビニル又はアリル基である。
【0171】
好ましくは、基R1s~R3sの2個又は3個がアルコキシ基であり、残りの基R1s~R3sは水素、アルキル基又はアルキレン-ビニル基である。
【0172】
より好ましくは、基R1s~R3sの2個又は3個がアルコキシ基であり、任意の残りの基R1s~R3sはアルキル基又はアルキレン-ビニル基である。例えば、基R1s~R3sの2個又は3個はメトキシ又はエトキシであり、任意の残りの基R1s~R3sはメチル、エチル、ビニル又はアリルである。
【0173】
最も好ましくは、基R1s~R3sの2個がアルコキシ基であり、任意の残りの基R1s~R3sはアルキル基又はアルキレン-ビニル基、好ましくはアルキル基である。
【0174】
ケイ素官能基を有する好ましい化合物A)は、1個又は2個の5員環式モノチオカーボネート基、特に1個の5員環式モノチオカーボネート基及び1個のアルコキシシラン基-SiR1sR2sR3sを含む。
【0175】
特に好ましい化合物は、式(VII)
【0176】
【化8】
【0177】
(式中、R1s~R3sは上記の意味を有し、Spは1~20個、特に1~10個、好ましくは1~6個、特に1~3個の炭素原子を有する有機基であるスペーサー基である)
の化合物である。Spは炭素及び水素以外の他の原子、例えば窒素、酸素又は硫黄を含んでもよい。好ましくは、Spは酸素を例えばエーテル基の形態で含んでもよいが、他のヘテロ原子は含まない炭化水素基である。特に好ましい実施形態では、Spは1~20個、特に1~10個、最も好ましくは1~6個、特に1~3個の炭素原子を有するアルキレン基である。
【0178】
式(VIIa)の化合物の特定の例は、以下:
【0179】
【化9】
【0180】
の化合物である。
【0181】
式(VII)の化合物は、国際公開第2019/024469号に記載される方法によって調製することができる。
【0182】
ケイ素官能基を有する好ましい化合物B)は、1個又は2個のアミノ基、特に1個のアミノ基及び1個のアルコキシシラン基-SiR1sR2sR3sを含む。
【0183】
ケイ素官能基を有する化合物B)の好適な例は、3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(N,N-ジメチルアミノプロピル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン又は3-(N,N-ジメチルアミノプロピル)アミノプロピルトリメトキシシランである。
【0184】
ケイ素官能基を有する好ましい化合物C)は、基-SHと反応する1個又は2個の官能基及び1個のアルコキシシラン基-SiR1sR2sR3sを含む。
【0185】
ケイ素官能基を有する化合物C)の好適な例は、3-トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、3-(ジメトキシメチルシリル)プロピルメタクリレート、トリメトキシシリルプロピルアクリレート又は3-(ジメトキシメチルシリル)プロピルアクリレート、好ましくはトリメトキシシリルプロピルメタクリレート又は3-(ジメトキシメチルシリル)プロピルメタクリレートである。
【0186】
さらに好適なものは、式
-SiR1sR2sR3s (III)
(式中、
基R1s~R3sの2個がアルコキシ基であり、R1s~R3sの残りの基はアルキレン-ビニル基、特にビニル又はアリル基である)
のケイ素官能基を有する化合物C)である。
【0187】
さらに好適なものは、式
-SiR1sR2sR3s (III)
(式中、
R1sはアルコキシ基であり、R2sはアルキル基であり、R3sはアルキレン-ビニル基、特にビニル又はアリル基である)
のケイ素官能基を有する化合物C)である。
【0188】
プレポリマー又はプレポリマーを含む組成物中の反応される化合物C)がケイ素官能基と適合性である、すなわち無水条件下で安定であるべき場合、トリメトキシシリルプロピルグリシジルエーテルがエポキシ基及びケイ素官能基を有する好適な化合物C)である。
【0189】
化合物A)、B)又は任意選択でC)の少なくとも1種は、ソフトセグメントを含んでもよい。
【0190】
好ましくは、出発材料として使用される化合物A)、B)又は任意選択でC)の少なくとも1種は、ポリエーテル基又は有機ポリスルフィド基(脂肪族ポリスルフィド基)から選択されるセグメントを含む。
【0191】
したがって好ましい態様では、本発明は、ウレタン基及び硬化性ケイ素官能基を含むプレポリマーを調製する方法であって、出発材料として使用される化合物A)、B)又は任意選択でC)の少なくとも1種がポリエーテル基又は有機ポリスルフィド基から選択されるセグメントを含む方法に関する。
【0192】
本明細書で使用される用語「有機ポリスルフィド基」又は「脂肪族ポリスルフィド基」は、2-ハロエタノール、ホルムアルデヒド及び多硫化ナトリウムNa2Sx(x≧2)の反応、又はビスハロエチルホルマールと多硫化ナトリウムとの反応によって入手可能な脂肪族ポリスルフィドポリマーに由来する脂肪族ポリスルフィドポリマー基を意味する。2-ハロエタノールは通常2-クロロエタノールであり、ビスハロエチルホルマールは通常ビスクロロエチルホルマールである。
【0193】
ポリエーテル基又は有機ポリスルフィド基は、化合物A)、化合物B)及び/又は化合物C)、好ましくは化合物B)及び/又は化合物C)、より好ましくは化合物B)に含まれてもよい。
【0194】
ポリエーテル基は、少なくとも2個のオキシアルキレン単位を含む。
【0195】
ポリエーテル基は、式
-(R14-O)q- (VIII)
(式中、
R14は、1~14個の炭素原子を含有する二価の直鎖又は分岐のアルキレン基、好ましくは2~4個の炭素原子の直鎖又は分岐アルキレン基、例えばエチレン、プロピレン又はブチレンであり、
qは2~70、好ましくは2~40である)
の単位を有する。
【0196】
望ましくは、ポリエーテル基は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールコポリマー、ポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール-ポリプロピレングリコールコポリマー又はポリテトラメチレングリコール/ポリプロピレングリコールコポリマーに基づく。
【0197】
望ましくは、有機ポリスルフィド基は、2-クロロエタノール、ホルムアルデヒド及び多硫化ナトリウムNa2Sx(x≧2、好ましくはNa2S2)の反応、又はビスクロロエチルホルマールとNa2Sxとの反応によって入手可能な脂肪族ポリスルフィドポリマーに由来する脂肪族ポリマー基を含み、ポリスルフィドポリマーは、x=2の場合、一般式
HS-(CH2CH2OCH2OCH2CH2SS)r-CH2CH2OCH2OCH2CH2-SH (IX)
(式中、rは約4~25である)
によって表される。ポリスルフィドポリマーは約800~約5000g/molの平均分子量を有し、ポリスルフィドポリマーは任意選択でさらに架橋される。
【0198】
例えば、任意選択で架橋される式(IX)のポリマーは、Thiokol(登録商標)ポリマーとして市販されている。
【0199】
したがって、ウレタン基及び硬化性ケイ素官能基を含むプレポリマーを調製する方法であって、出発材料の少なくとも1種が式
-(R14-O)q - (VIII)
(式中、
R14は1~14個の炭素原子を含有する二価の直鎖又は分岐のアルキレン基、好ましくは2~4個の炭素原子の直鎖又は分岐アルキレン基、例えばエチレン、プロピレン又はブチレンであり、
qは2~70、好ましくは2~40である)
の単位を有するポリエーテル基のセグメント、又は
2-クロロエタノール、ホルムアルデヒド及びNa2S2の反応、又はビスクロロエチルホルマールとNa2S2との反応によって入手可能な脂肪族ポリスルフィドポリマーに由来する脂肪族ポリマー基を含む有機ポリスルフィド基のセグメントであって、ポリスルフィドポリマーが一般式
HS-(CH2CH2OCH2OCH2CH2SS)r-CH2CH2OCH2OCH2CH2-SH (IX)
(式中、rは約4~25である)
によって表され、ポリスルフィドポリマーが約800~約5000g/molの平均分子量を有し、ポリスルフィドポリマーが任意選択でさらに架橋されるセグメント
を含む方法が好ましい。
【0200】
一般的に、ポリエーテル基又は有機ポリスルフィド基は、ヒドロキシ又はカルボキシ基を含まない。
【0201】
好ましくは、プレポリマーは、ポリエーテル基のセグメントを含む。
【0202】
したがって、ウレタン基及び硬化性ケイ素官能基を含むプレポリマーを調製する方法であって、出発材料の少なくとも1種が式
-(R14-O)q- (VIII)
(式中、
R14は1~14個の炭素原子を含有する二価の直鎖又は分岐のアルキレン基、好ましくは2~4個の炭素原子の直鎖又は分岐アルキレン基、例えばエチレン、プロピレン又はブチレンであり、
qは2~70、好ましくは2~40である)
の単位を有するポリエーテル基のセグメントを含む方法が好ましい。
【0203】
ポリエーテル基のセグメントを含む出発材料として使用される好適な化合物A)は、式(II)の化合物A)であってもよく、式中、Zは式
(V-O-)mV (G1)
(式中、
VはC2~C4アルキレン基であり、mは少なくとも2の整数である)
のポリアルコキシレン基である。末端アルキレン基Vは、本明細書の上記で定義される基R1b~R4bの1個である連結基に結合される。
【0204】
前記化合物A)は、国際公開第2019/034469号に記載される方法と同様に調製されてもよい。
【0205】
一般的に、化合物A)は、ポリエーテル基のセグメントを含む出発材料としてのみ使用される。
【0206】
したがって好ましい態様では、本発明は、ウレタン基及び硬化性ケイ素官能基を含むプレポリマーを調製する方法であって、
出発材料として使用される化合物A)、B)又は任意選択でC)の少なくとも1種が、ポリエーテル基又は有機ポリスルフィド基から選択されるセグメントを含み、
ただし化合物A)が出発材料として使用される場合、化合物A)は有機ポリスルフィド基のセグメントを含まない
方法に関する。
【0207】
ポリエーテル基のセグメントを含む出発材料として使用される好適な化合物B)は、少なくとも2個のエーテル基を含むアルキレン-ジアミン又はアルキレン-ポリアミンなどの化合物であってもよい。
【0208】
少なくとも2個のエーテル基を含むアルキレン-ジアミン又はアルキレン-ポリアミンは、ポリオキシアルキレンアミン(ポリエーテルアミン)である。前記ポリオキシアルキレンアミンは、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールコポリマー、ポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール/ポリプロピレングリコールコポリマー又はポリテトラメチレングリコール/ポリプロピレングリコールコポリマーに基づく。
【0209】
好適なポリオキシアルキレンジアミンは、式
H2N-R15-O-(R16-O)s-R17-NH2 (X)
(式中、
R15、R16及びR17は互いに独立して各出現においてC2~C4アルキレンであり、
sは1~70、好ましくは1~40であってもよい)
によって定義されてもよい。
【0210】
好ましくは、R15~R17は同じC2~C4アルキレンであるか、又はR15及びR17は同じであり、R16はR15及びR17とは異なるC2~C4アルキレンであってもよい。
【0211】
C2~C4アルキレンは、エチレン、プロピレン又はブチレンである。
【0212】
したがって好ましい態様では、ポリエーテル基を含む出発材料として使用される化合物B)は、式
H2N-R15-O-(R16-O)s-R17-NH2 (X)
(式中、
R15、R16及びR17は互いに独立して各出現においてC2~C4アルキレンであり、
sは1~70、好ましくは1~40であってもよい)
のポリオキシアルキレンジアミンである。
【0213】
好適なポリオキシアルキレンアミンは、商品名Jeffamine(登録商標)、例えばJeffamine D-230、D-400、D-2000、D-4000、EXTJ-502、EXTJ-511、THF-100又はTHF-170(Huntsmanから入手可能)で市販されている。さらなる市販のポリオキシアルキレンアミンは、例えばポリエーテルアミンD 230、D 400、D 403、D 2000 (BASFから入手可能)である。
【0214】
ポリオキシアルキレンアミン(polyoxalkyleneamine)は、ポリオキシアルキレントリアミンであってもよく、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又はブチレンオキシドベースである又はそれらの混合物であってもよく、それらとトリオール開始剤、例えばグリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン又は1,3,6-ヘキサントリオールとを反応させ、次に末端ヒドロキシル基をアミノ化することによって調製されてもよい。
【0215】
そのようなポリオキシアルキレントリアミンの例は、Jeffamine T-403、Jeffamine T-50000及びJeffamine XTJ-509、ポリエーテルアミンT 403及びT 5000である。
【0216】
対応するジアミンは、ジオール開始剤から出発して同様に調製されてもよい。代替的に、ポリエーテルの末端ヒドロキシ基がアミノ化されてもよい。さらに、アルデヒド又はケトンの還元的アミノ化によって末端アミンが得られてもよい。そのような反応は当技術分野で周知である。
【0217】
したがって好ましい態様では、ポリエーテル基を含む出発材料として使用される化合物B)は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールコポリマー、ポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール-ポリプロピレングリコールコポリマー又はポリテトラメチレングリコール/ポリプロピレングリコールコポリマーに基づくポリエーテルジアミン又はポリエーテルトリアミンである。
【0218】
脂肪族ポリスルフィド基のセグメントを含む出発材料として使用される化合物Bは、市販のThiokol(登録商標)ポリマーに由来してもよい。例えば、末端SH基は、従来の方法によってアリルアミンを付加することでアミンに変換されてもよい。
【0219】
化合物B)はまた、本明細書の上記に記載されるように、アミノ基が保護基で保護された形態で使用されてもよい。
【0220】
化合物B)は、異なる化合物B)の混合物であってもよい。好ましくは化合物B)は、ケイ素官能基を有する化合物B)とポリエーテル基又は有機ポリスルフィド基から選択されるセグメント、好ましくはポリエーテル基のセグメントを含む化合物B)との混合物であってもよい。
【0221】
例えば、ケイ素官能基を有する化合物B)とポリエーテル基又は有機ポリスルフィド基から選択されるセグメントを含む化合物B)との重量比は、5:95~50:50であってもよい。
【0222】
好ましくは、ケイ素官能基を有する化合物B)とポリエーテル基のセグメントを含む化合物B)との重量比は、5:95~50:50であってもよい。
【0223】
ポリエーテル基又は有機ポリスルフィド基のセグメントを含む出発材料として使用される好適な化合物C)は、少なくとも2個の末端非芳香族エチレン性不飽和基、好ましくは2~6個の非芳香族エチレン性不飽和基を有するポリエーテル基又は有機ポリスルフィド基に基づく化合物であってもよい。
【0224】
(メタ)アクリレート基又はビニル基、より好ましくは(メタ)アクリレート基を有する化合物C)が好ましい。
【0225】
ポリエーテル-ジ(メタ)アクリレート又はポリエーテル-トリ(メタ)アクリレートであるポリエーテル基のセグメントを含む出発材料として使用される化合物C)が最も好ましい。
【0226】
ポリエーテル(メタ)アクリレートは、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールコポリマー、ポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール/ポリプロピレングリコールコポリマー又はポリテトラメチレングリコール/ポリプロピレングリコールコポリマーに基づく。
【0227】
好適なポリエーテル(メタ)ジアクリレートは、式
【0228】
【化10】
【0229】
(式中、
R18及びR19は互いに独立して各出現においてC2~C4アルキレンであり、
R20及びR21は互いに独立してH又はメチルであり、
tは1~70、好ましくは1~40であってもよい)
によって定義されてもよい。
【0230】
好ましくは、R18及びR19は同じC2~C4アルキレン、例えばエチレン、プロピレン又はブチレンである。
【0231】
好ましくはR20及びR21は同じであり、より好ましくはR20及びR21はCH3である。
【0232】
したがって好ましい態様では、ポリエーテル基を含む出発材料として使用される化合物C)は、式
【0233】
【化11】
【0234】
(式中、
R18及びR19は互いに独立して各出現においてC2~C4アルキレンであり、
R20及びR21は互いに独立してH又はメチルであり、
tは1~70、好ましくは1~40であってもよい)
のポリエーテル-ジ(メタ)アクリレートである。
【0235】
ポリエーテル(メタ)アクリレートは、ポリエーテルトリ(メタ)アクリレートであってもよく、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又はブチレンオキシドベースである又はそれらの混合物であってもよく、それらとトリオール開始剤、例えばグリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン又は1,3,6-ヘキサントリオールとを反応させ、次に末端ヒドロキシル基と(メタ)アクリル酸又はその誘導体とを反応させることによって調製されてもよい。反応は当技術分野で周知である。
【0236】
対応するジ(メタ)アクリレートは、ジオール開始剤から出発して同様に調製されてもよい。代替的に、ポリエーテルの末端ヒドロキシ基を(メタ)アクリル酸又はその誘導体と反応させてもよい。そのような反応は当技術分野で周知である。
【0237】
したがって好ましい態様では、ポリエーテル基を含む出発材料として使用される化合物C)は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールコポリマー、ポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール-ポリプロピレングリコールコポリマー又はポリテトラメチレングリコール/ポリプロピレングリコールコポリマーに基づくポリエーテル-ジ(メタ)アクリレート又はポリエーテル-トリ(メタ)アクリレートである。
【0238】
例えば、式(IX)の脂肪族ポリスルフィド基のセグメントを含む出発材料として使用される化合物C)は、市販のThiokol(登録商標)ポリマーに由来してもよい。末端SH基をアセチレンと反応させ、末端ビニル基を得てもよい。例えば、市販のエポキシ末端ポリスルフィドを(メタ)アクリル酸又はその誘導体によって変換させてもよい。
【0239】
化合物C)は、異なる化合物C)の混合物であってもよい。好ましくは化合物C)は、ケイ素官能基を有する化合物C)とポリエーテル基又は有機ポリスルフィド基から選択されるセグメント、好ましくはポリエーテル基のセグメントを含む化合物C)との混合物であってもよい。
【0240】
例えば、ケイ素官能基を有する化合物C)とポリエーテル基又は有機ポリスルフィド基から選択されるセグメントを含む化合物C)との重量比は、5:95~50:50であってもよい。
【0241】
好ましくは、ケイ素官能基を有する化合物C)とポリエーテル-ジ(メタ)アクリレート又はポリエーテル-トリ(メタ)アクリレートである化合物C)との重量比は、5:95~50:50であってもよい。
【0242】
本発明の方法によると、少なくとも1個の5員環式モノチオカーボネート基を有する化合物A)、及び第一級若しくは第二級アミノ基又はブロックされた第一級若しくは第二級アミノ基から選択される少なくとも1個のアミノ基(以下、アミノ基と称される)を有する化合物B)、及び任意選択で基-SHと反応する少なくとも1個の官能基を有する化合物C)が出発材料として使用され、
出発材料として使用される化合物の少なくとも1種は、ケイ素官能基を含む。
【0243】
化合物A)、B)及び任意選択でC)の反応の原理、並びに反応のパラメータの詳細は、国際公開第2019/034470号及び国際公開第2019/034473号に記載される。
【0244】
化合物A)の5員環式モノチオカーボネート基の環系は、化合物B)のアミノ基によって開環され、結果としてウレタン基及び基-SHを含む付加物が生じる。
【0245】
付加物の基-SHを、-SH反応性基、特に化合物C)の、又はさらには非芳香族エチレン性不飽和基を含む化合物A)又はB)も存在する場合は化合物A)及びB)の非芳香族エチレン性不飽和基又はエポキシ基、例えば5-(メタクリロイルオキシ)メチル-1,3-オキサチオラン-2-オン又は5-(アクリロイルオキシ)メチル-1,3-オキサチオラン-2-オン(化合物C)、アリルアミン又はアミノアルキルビニルエーテル(化合物B)とさらに反応させてもよい。
【0246】
基-SHは-SH反応性基と反応する。例えば、非芳香族エチレン性不飽和基の-SHへの付加は、マイケル付加又はチオール-エン反応として公知である。
【0247】
反応されない基-SHは、酸化してジスルフィド架橋を形成しうることが言及されるべきである。そのような酸化は、室温で酸素又は他の酸化剤の存在下で生じる場合がある。ジスルフィド架橋は、得られるポリマーの機械的特性を改善させる可能性がある。
【0248】
化合物B)は、好ましくは反応混合物中の化合物A)の5員環式モノチオカーボネート基1molあたり0.8~1.2molの化合物B)のアミノ基を有する量で使用される。
【0249】
好ましくは、-SHと反応する官能基の量は、化合物A)の5員環式モノチオカーボネート基1molあたり0.5~1.2molである。
【0250】
好ましくは、-SHと反応する官能基は、化合物C)の基である。
【0251】
好ましくは、出発材料は化合物A)、B)及びC)である。
【0252】
方法工程で反応される化合物A)、B)及びC)の組合せの例が以下に列挙され、官能基は以下のように略記される:
化合物A)の環式モノチオカーボネート基:CTC
化合物B)の第一級アミノ基:PA
化合物C)、A)又はB)の-SHと反応する官能基:FG
ケイ素官能基:SIL
【0253】
- 1個のCTCを有する化合物A)、1個のPA及び1個のSILを有する化合物B)、並びに1~6個のFG、好ましくは2~3個のFGを有する化合物C)、
- 1個のCTCを有する化合物A)、少なくとも2個のPAを有する化合物B)、並びに1個のFG及び1個のSILを有する化合物C)、
- 1個のCTCを有する化合物A)、少なくとも2個のPAを有する化合物B)、並びに1個のPA及び1個のSILを有する化合物B)、
- 1個のCTCを有する化合物A)、少なくとも2個のPAを有する化合物B)、1個のFG及び1個のSILを有する化合物C)並びに2個のFGを有する化合物C)。
【0254】
好ましくは、化合物A)、B)及び任意選択でC)は、21℃、1バールで液体のA)、B)及び任意選択でC)の混合物が生じるように選択される。そのような混合物は、液体になるために追加の溶媒を必要としない。A)、B)及び任意選択でC)の液体混合物では、化合物A)、B)及びC)の少なくとも1種、好ましくは2種が液体であり、したがって残りの固体化合物A)、B)又はC)のための溶媒であれば十分である。
【0255】
化合物A)、B)又は任意選択でC)の混合物は溶媒を含んでもよい。好ましい実施形態では、溶媒は必要とされない。
【0256】
化合物A)、B)及び任意選択でC)は方法工程b)によって処理され、プレポリマーが得られる。
【0257】
方法工程b)では、化合物A)及びB)及び任意選択でC)を反応させプレポリマーを形成する。方法工程b)は、水分の排除下で実施される。湿度を回避するために、方法工程b)は不活性ガス下で実施されてもよい。得られるプレポリマーは、水分、特に湿度によって依然として硬化可能なケイ素官能基を含む。
【0258】
工程b)の化合物A)、B)及び任意選択でC)の間の反応は、一般的に早くも室温(約20~25℃)で開始し、室温で完了する場合がある。反応は、組成物の温度を例えば100℃まで上昇させることによって援助されてもよい。代替的に又は加えて、高エネルギー放射線、例えば可視又はUV光によって反応のための任意の活性化エネルギーが提供されてもよい。本発明の利点は、反応が低温で容易に生じ、顕著なさらなるエネルギー、例えば高温又は高エネルギー放射線の供給が必要ないことである。
【0259】
ビニル又はエチニル基を有する化合物C)の場合、ラジカル開始剤が添加されるべきである。
【0260】
したがって、さらなる態様では、本発明は、本明細書のいずれかの態様で定義される、方法工程a)及びb)によって入手可能なプレポリマーに関する。
【0261】
したがって本発明は、ウレタン基及び硬化性ケイ素官能基を含むプレポリマーであって、
a)少なくとも1個の5員環式モノチオカーボネート基を有する化合物A)、
及び第一級若しくは第二級アミノ基又はブロックされた第一級若しくは第二級アミノ基から選択される少なくとも1個のアミノ基を有する化合物B)、
及び任意選択で基-SHと反応する少なくとも1個の官能基を有する化合物C)
を出発材料として使用する工程、
ここで、出発材料として使用される化合物の少なくとも1種はケイ素官能基を含む、
及び、化合物A)、B)及び任意選択でC)を、
b)水分の排除下で化合物A)及びB)及び任意選択でC)を反応させて、硬化性のケイ素官能基を有するプレポリマーを得ること
によって処理する工程
を含む方法によって入手可能である、プレポリマーに関する。
【0262】
本発明はまた、ウレタン基及び硬化性ケイ素官能基を含む1種以上のプレポリマーを含む組成物を提供することができる。
【0263】
したがって、さらなる態様では、本発明は、本明細書のいずれかの態様で定義される方法工程a)及びb)によって入手可能な、ウレタン基及び硬化性ケイ素官能基を含む1種以上のプレポリマーを含む組成物に関する。
【0264】
したがって本発明は、ウレタン基及び硬化性ケイ素官能基を含む1種以上のプレポリマーを含む組成物であって、
a)少なくとも1個の5員環式モノチオカーボネート基を有する化合物A)、
及び第一級若しくは第二級アミノ基又はブロックされた第一級若しくは第二級アミノ基から選択される少なくとも1個のアミノ基を有する化合物B)、
及び任意選択で基-SHと反応する少なくとも1個の官能基を有する化合物C)
を出発材料として使用する工程、
ここで、出発材料として使用される化合物の少なくとも1種はケイ素官能基を含む、
及び、化合物A)、B)及び任意選択でC)を、
b)水分の排除下で化合物A)及びB)及び任意選択でC)を反応させて、硬化性のケイ素官能基を有するプレポリマーを得ること
によって処理する工程
を含む方法によって入手可能である、組成物に関する。
【0265】
得られるプレポリマーは、硫黄原子がエチレン基を介してウレタン基の酸素に結合したウレタン基を構造要素として含む。この構造要素は、以下の一般式:
【0266】
【化12】
【0267】
(式中、すべての破線結合は任意の可能な置換基を有してもよい)
によって表されてもよい。
【0268】
構造要素は、化合物A)と化合物B)との反応生成物に対応する。
【0269】
したがって、さらなる態様では、本発明は
(a)式
【0270】
【化13】
【0271】
(式中、
R1はR1a又はR1bであり、
R2はR2a又はR2bであり、
R3はR3a又はR3bであり、
R4はR4a又はR4bであり、
R1a~R4aは互いに独立して水素又は最大50個の炭素原子を有する有機基であるか、又は
代替的に、R2a、R4a及び2個の連結炭素原子は一緒になって5~10員の炭素環を形成し、
R1b~R4bは互いに独立して水素又は最大50個の炭素原子を有する有機基であり、代替的に、R2b、R4b及びモノチオカーボネート基の2個の炭素原子はまた一緒になって5~10員の炭素環を形成してもよく、
基R1b~R4bの1個はZへの連結基であり、
nは少なくとも2の整数であり、
Zはn価の有機基であり、
R9は水素又はC1~C4アルキル又はC1~C4アルキレン-N(C1~C4アルキル)2である)
の二価の基、及び
(b)硬化性ケイ素官能基
を含むプレポリマーに関する。
【0272】
好ましくは、プレポリマーは式(I)の化合物A)に由来する。したがって、プレポリマーは
(a)式
【0273】
【化14】
【0274】
(式中、
R1a~R4aは互いに独立して水素又は最大50個の炭素原子を有する有機基であるか、又は
代替的に、R2a、R4a及び2個の連結炭素原子は一緒になって5~10員の炭素環を形成し、
R9は水素又はC1~C4アルキル又はC1~C4アルキレン-N(C1~C4アルキル)2である)
の基、及び
(b)硬化性ケイ素官能基
を含む。
【0275】
好ましくは、R1a~R4aの有機基はアルキル基、基-CH2-O-R5a又は基-CH2-O-C(=O)-R6aであり、R5a及びR6aは1~10個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0276】
より好ましくは、式(IVa)中のR1a~R4aの2個~4個すべてが水素であり、残りの基R1a~R4aは、好ましくはアルキル基、基-CH2-O-R5a又は基-CH2-O-C(=O)-R6aから選択される有機基である。
【0277】
最も好ましくは、式(IVa)中のR1a~R4aの3個がHであり、残りの基R1a~R4aは有機基、特にアルキル基、基-CH2-O-R5a又は基-CH2-O-C(=O)-R6aである。特にR1a又はR2aは、有機基、特にアルキル基、基-CH2-O-R5a又は基-CH2-O-C(=O)-R6aを表す残りの基である。
【0278】
基R9は、好ましくは水素又はC1~C4アルキル、より好ましくは水素である。
【0279】
好ましい態様では、プレポリマーは式
-SiR1sR2sR3s (III)
(式中、
基R1s~R3sの少なくとも1個はアルコキシ基であり、他の基R1s~R3sは水素、アルキル基又はアルキレン-ビニル基である)
の硬化性ケイ素官能基を含む。
【0280】
より好ましくは、基R1s~R3sの2個又は3個がC1~C4アルコキシ基であり、残りの基R1s~R3sはC1~C4アルキル基又はC1~C2アルキレン-ビニル基、特に1個のアルキル基である。
【0281】
より好ましくは、基R1s~R3sの2個又は3個がアルコキシ基であり、任意の残りの基R1s~R3sはアルキル基又はアルキレン-ビニル基である。例えば、基R1s~R3sの2個又は3個はメトキシ又はエトキシであり、任意の残りの基R1s~R3sはメチル、エチル、ビニル又はアリルである。
【0282】
最も好ましくは、基R1s~R3sの2個がC1~C4アルコキシ基であり、任意の残りの基R1s~R3sはC1~C4アルキル基である。
【0283】
出発材料の1種は、ポリエーテル基又は有機ポリスルフィド基から選択されるセグメントを含んでもよい。
【0284】
したがって好ましい態様では、プレポリマーは、ポリエーテル基又は有機ポリスルフィド基から選択されるセグメント(c)を含む。
【0285】
プレポリマーは、好ましくはポリエーテル基又は有機ポリスルフィド基から選択されるセグメント(c)を、プレポリマーの全重量に対して40~95wt%、より好ましくは50~90wt%、最も好ましくは55~90wt%の量で含む。
【0286】
したがって、ウレタン基及び硬化性ケイ素官能基を含むプレポリマーであって、式
-(R14-O)q - (VIII)
(式中、
R14は1~14個の炭素原子を含有する二価の直鎖又は分岐アルキレン基、好ましくは2~4個の炭素原子数の直鎖又は分岐アルキレン基、例えばエチレン、プロピレン又はブチレンであり、
qは2~70、好ましくは2~40である)
の単位を有するポリエーテル基のセグメント(C)、又は
2-クロロエタノール、ホルムアルデヒド及びNa2S2の反応、若しくはビスクロロエチルホルマールとNa2S2との反応によって入手可能な脂肪族ポリスルフィドポリマーに由来する脂肪族ポリマー基を含む有機ポリスルフィド基のセグメント(C)を含むプレポリマーが好ましい。
【0287】
ウレタン基及び硬化性ケイ素官能基を含むプレポリマーであって、式
-(R14-O)q- (VIII)
(式中、
R14は1~14個の炭素原子を含有する二価の直鎖又は分岐アルキレン基、好ましくは2~4個の炭素原子の直鎖又は分岐アルキレン基、例えばエチレン、プロピレン又はブチレンであり、
qは2~70、好ましくは2~40である)
の単位を有するポリエーテル基のセグメント(C)を含むプレポリマーがより好ましい。
【0288】
ウレタン基及び硬化性ケイ素官能基を含むプレポリマーであって、出発材料として使用される化合物B)及び/又はC)、特に化合物B)又はC)、とりわけ化合物B)に由来する式(VIII)の単位を有するポリエーテル基のセグメント(C)を含むプレポリマーが最も好ましい。
【0289】
望ましくは、プレポリマーはポリエーテル基のセグメント(c)をプレポリマーの全重量に対して50~95wt%、より好ましくは55~90wt%の量で含む。
【0290】
プレポリマーは、一般的にプレポリマー100gあたり0.001~0.3molのケイ素含有量を含む。
【0291】
好ましくは、プレポリマー中のケイ素の含有量は、プレポリマー100gあたり0.001~0.4molのSi、より好ましくは0.005~0.2molのSi、最も好ましくは0.01~0.15molのSiである。
【0292】
Siの含有量は、工程b)で得られるプレポリマー、並びに方法工程b)及びb2)によって最終的に得られる架橋ポリマーに当てはまる。
【0293】
ケイ素含有量(モル単位)は、出発材料の使用量に基づき、すなわちケイ素/出発材料の全重量として計算される。
【0294】
プレポリマーは、化合物A)及び化合物B)に、又は化合物A)、化合物B)及び化合物C)に由来してもよい。
【0295】
化合物A)及び化合物B)に由来するプレポリマーは、一般的にジスルフィド基、硬化性ケイ素官能基及び任意選択でポリエーテル基又は有機ポリスルフィド基から選択されるセグメントを含有する。
【0296】
例えばプレポリマーは、式(I)の化合物A)、硬化性ケイ素官能基を含有するモノアミン及びポリエーテルジアミンに由来してもよい。プレポリマーは、SH基を介してジスルフィド基によって連結されてもよい以下の式の要素
【0297】
【化15】
【0298】
(式中、
R1a~R4aは互いに独立して水素又は最大50個の炭素原子を有する有機基であり、
基R1s~R3sの2個又は3個はC1~C4アルコキシ基であり、残りの基R1s~R3sはC1~C4アルキル基又はC1~C2アルキレン-ビニル基、特に1個のアルキル基であり、
R9は水素、C1~C4アルキル又はC1~C4アルキレン-N(C1~C4アルキル)2であり、
R10は、任意選択でO、S又はNR13によって中断されるC1~C18アルキレン基であり、
R12は二価のポリエーテル基又は有機ポリスルフィド基である)
を含んでもよい。
【0299】
プレポリマーは、好ましくは式(XII)及び(XIII)
(式中、
基R1s~R3sの2個はC1~C4アルコキシ基であり、任意の残りの基R1s~R3sはC1~C4アルキル基であり、
R1aはアルキル基、基-CH2-O-R5a又は基-CH2-O-C(=O)-R6aから選択される有機基であり、
R2a~R4aはHであり、
R5a及びR6aは1~10個の炭素原子を有するアルキル基であり、
R9はH又はメチル又はエチルであり、
R10はC2~C8アルキレン、より好ましくはC3~C6アルキレンであり、
R12は二価のポリエーテル基である)
の要素を含んでもよい。
【0300】
例えば、ケイ素官能基を有する化合物B)とポリエーテル基のセグメントを含む化合物B)との重量比は、5:95~50:50であってもよい。
【0301】
プレポリマーは、化合物A)、化合物B)及び化合物C)に由来してもよい。
【0302】
したがって、好ましい態様では、本発明は、式
【0303】
【化16】
【0304】
(式中、
R9は水素、C1~C4アルキル又はC1~C4アルキレン-N(C1~C4アルキル)2であり、
R10は、C1~C18アルキレン基であり、このアルキレン基は任意選択でO、S又はNR13によって中断されており、
R11は非芳香族エチレン性不飽和基に由来する基であり、
R12はp価のポリエーテル又は有機ポリスルフィド基であり、
R13は水素又はC1~C4アルキルであり、
pは2~6、好ましくは2又は3の整数である)
の基、又は式
【0305】
【化17】
【0306】
(式中、
R9は水素又はC1~C4アルキルであり、
R10は、C1~C18アルキレン基であり、このアルキレン基は任意選択でO、S又はNR13によって中断されており、
R11は非芳香族エチレン性不飽和基に由来する基であり、
R12はp'価のポリエーテル基又は有機ポリスルフィド基であり、
R13は水素又はC1~C4アルキルであり、
p'は2~5、好ましくは2~3の整数である)
の基を含むプレポリマーに関する。
【0307】
代替的に、好ましくはp及びp'は2である。
【0308】
基R10は、C1~C18アルキレン基、又はO、S若しくはNR13によって1回以上、好ましくは1、2若しくは3回中断されるC1~C18アルキレン基である。
【0309】
好ましくは、R12は式
-(R14-O)q- (VIII)
(式中、
R14は1~14個の炭素原子を含有する二価の直鎖又は分岐アルキレン基、好ましくは2~4個の炭素原子の直鎖又は分岐アルキレン基、例えばエチレン、プロピレン又はブチレンであり、
qは2~70、好ましくは2~40である)
の単位を有する二価又は三価のポリエーテル基、又は
2-クロロエタノール、ホルムアルデヒド及びNa2S2の反応、又はビスクロロエチルホルマールとNa2S2との反応によって入手可能な脂肪族ポリスルフィドポリマーに由来する脂肪族ポリマー基を含む二価又は三価の有機ポリスルフィド基である。
【0310】
より好ましくは、R12は式
-(R14-O)q- (VIII)
(式中、
R14は1~14個の炭素原子を含有する二価の直鎖又は分岐アルキレン基、好ましくは2~4個の炭素原子の直鎖又は分岐アルキレン基、例えばエチレン、プロピレン又はブチレンであり、
qは2~70、好ましくは2~40である)
の単位を有する二価又は三価のポリエーテル基である。
【0311】
特に、R11はビニル基、エチニル基又は(メタ)アクリル基、特にビニル基又は(メタ)アクリル基、とりわけメタクリル基に由来する基である。
【0312】
式(V)の基は、化合物A)、化合物B)及び化合物C)に由来するモノマー単位を含み、
化合物A)は式(I)のものであり、
化合物B)は式R1sR2sR3sSi-R10-NR9Hであり、
化合物C)は式R11'-(R12)pのものであり、
R9は水素、C1~C4アルキル又はC1~C4アルキレン-N(C1~C4アルキル)2であり、
R10は、C1~C18アルキレン基であり、このアルキレン基は任意選択でO、S又はNR13によって中断されており、
R11'は非芳香族エチレン性不飽和基であり、
R11は非芳香族エチレン性不飽和基に由来する基であり、
R12はp価のポリエーテル基又はp価の有機ポリスルフィド基であり、
R13は水素又はC1~C4アルキルであり、
pは2~6、好ましくは2又は3の整数である。
【0313】
式(VI)の基は、化合物A)、化合物B)及び化合物C)に由来するモノマー単位を含み、
化合物A)は式(I)のものであり、
化合物B)は式(R12)p'-NR9Hのものであり、
化合物C)は式R1sR2sR3sSi-R10-R11'のものであり、
R9は水素、C1~C4アルキル又はC1~C4アルキレン-N(C1~C4アルキル)2であり、
R10は、C1~C18アルキレン基であり、このアルキレン基は任意選択でO、S又はNR13によって中断されており、
R11'は非芳香族エチレン性不飽和基であり、
R11は非芳香族エチレン性不飽和基に由来する基であり、
R12はp'価のポリエーテル基又はp'価の有機ポリスルフィドであり、
R13は水素又はC1~C4アルキルであり、
p'は2~5、好ましくは2~3の整数である。
【0314】
式(V)
(式中、
R9は水素又はC1~C4アルキル、好ましくは水素又はメチル、特に水素であり、
R10はC2~C8アルキレン基、より好ましくはC2~C6アルキレン基であり、
R11は非芳香族エチレン性不飽和基に由来する基であり、
R12はp価のポリエーテル基であり、
pは2~3の整数である)
のプレポリマー、
又は式(VI)
(式中、
R9は水素又はC1~C4アルキル、好ましくは水素又はメチル、特に水素であり、
R10はC2~C8アルキレン基であり、
R11は非芳香族エチレン性不飽和基に由来する基であり、
R12はp'価のポリエーテル基であり、
p'は2~3の整数である)
のプレポリマーがより好ましい。
【0315】
代替的に、好ましくはp及びp'は2である。
【0316】
特に、R11はビニル基、エチニル基又は(メタ)アクリル基、特にビニル基又は(メタ)アクリル基、とりわけメタクリル基に由来する基である。
【0317】
硬化性ケイ素官能基を含むプレポリマーをさらに反応させてもよい。工程b)で得られるプレポリマーは、コーティング、充填物又は任意の他の三次元体である所望の形態にされる。ケイ素官能基は、任意の周囲水分、例えば湿度又は供給される水分の存在下で互いに架橋する。一般的に、完全に架橋したポリマーを最終的に得るために常湿で十分である。架橋プロセスは、さらなる水分を付与することによって加速させてもよい。例えば、工程b2)の開始直前にプレポリマーに水分を添加してもよい。
【0318】
したがってさらなる態様では、本発明は、ウレタン基及びシロキサン結合を含む架橋ポリマーを調製する方法であって、
本明細書においていずれかの態様で定義される工程a)及びb)、並びに
工程b2)工程b)で得られるプレポリマーを表面、空隙又は三次元鋳型に塗布し、周囲水分によってケイ素官能基を硬化させる工程
を含む方法に関する。
【0319】
工程b2)で得られるポリマーは、シロキサン結合を有する完全に硬化したポリマーである。
【0320】
したがってさらなる態様では、本発明は、本明細書のいずれかの態様で定義される、化合物A)、化合物B)及び任意選択で化合物C)に由来するモノマー単位を含む架橋ポリマーであって、
ポリマーが、架橋ポリマー100gあたり0.001~0.3molのケイ素を含む架橋ポリマーに関する。
【0321】
好ましくは、架橋ポリマー中のケイ素の含有量は、架橋ポリマー100gあたり0.001~0.4molのSi、より好ましくは0.005~0.2molのSi、最も好ましくは0.01~0.15molのSiである。
【0322】
さらなる態様では、本発明は
本明細書においていずれかの態様で定義される工程a)及びb)、並びに
工程b2)工程b)で得られるプレポリマーを表面、空隙又は三次元鋳型に塗布し、周囲水分によってケイ素官能基を硬化させる工程
を含む方法によって入手可能な架橋ポリマーに関する。
【0323】
本発明のプレポリマーは、種々の用途のための組成物、例えば一成分封止剤又は接着剤組成物に使用されてもよい。好ましくは、プレポリマーは一成分封止剤又は接着剤組成物に使用される。
【0324】
したがって本発明は、本明細書のいずれかの態様で定義されるプレポリマーを含む組成物に関する。
【0325】
好ましい態様では、本発明は、本明細書のいずれかの態様で定義されるプレポリマーを含む一成分封止剤又は接着剤組成物に関する。
【0326】
一般的に、組成物、好ましくは一成分封止剤又は接着剤組成物は、プレポリマーを、封止剤又は接着剤が基材上を封止する、又は2つの基材を一緒に結合させることが可能になるように十分な量、例えば組成物の全重量に対して10~100wt%、好ましくは20~70wt%の量で含む。
【0327】
一成分封止剤又は接着剤組成物は、一般的に当技術分野で周知の添加剤を含有する。粘度を低減させるために、さらなる溶媒が存在してもよい。
【0328】
存在する場合、溶媒は、所期の使用レベルで非水性であり、プレポリマーと非反応性であるべきである。例として、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、メチルエチルケトン、アセトン、ヘプタン、トルエン、トリクロロエタン、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸t-ブチルなどが挙げられる。前記溶媒の混合物も使用することができる。溶媒は、組成物の全重量に対して0~30wt%、好ましくは0~15wt%の量で存在してもよい。
【0329】
好適な添加剤の例は、触媒、ラジカル開始剤、脱水剤、可塑剤、充填剤、チキソトロピー変性剤、接着促進剤、安定化剤、又は架橋ポリマーの所期の最終用途に所望される又は必要な添加剤、例えば着色剤又は誘電物質である。
【0330】
好適な触媒、好ましくはシラノール縮合触媒の例は、例えば有機スズ化合物、例えば2-エチルヘキサン酸スズ(II)、ジラウリン酸(dilaureate)ジオクチルスズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、マレイン酸ジブチルスズ又は二酢酸ジブチルスズ、フッ素含有化合物、例えばトリエトキシフルオロシラン、第三級アミン、例えば1,8-ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデカ-7-エン(DBU)、1-アザビシクロ[3.3.0]オクタン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、トリアルキルアミン又はN-置換ピペリジン、チタネート、例えばアルキルチタネート若しくは有機ケイ素チタネート又はこれらの組合せである。
【0331】
好ましくは、シラノール縮合触媒は一般的に湿度への曝露時にポリマーを硬化させるのに十分な量、例えば硬化されるプレポリマーの全重量に対して0.005~5wt%、好ましくは0.1~2wt%の量で存在する。触媒は、プレポリマーの調製の間又は後に添加されてもよい。
【0332】
代替的に、シラノール縮合触媒は存在しないことが好ましい。
【0333】
好適な脱水剤の例は、例えば組成物の全重量に対して0~5wt%、好ましくは0~3wt%又は0.1~2wt%の量のビニルシラン、例えばビニルトリメトキシシラン又はビニルトリエトキシシランである。
【0334】
好適な可塑剤の例は、例えばフタレート、例えばフタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジウンデシル又はフタル酸ジブチルベンジル、アジペート、例えばアジピン酸ジアルキル、ホスフェート、例えばリン酸トリオクチル若しくはリン酸トリクレジル、又はスルホンアミド、例えばN-ブチル-p-トルエン-スルホンアミドである。可塑剤は、好ましくは組成物の全重量に対して0~30wt%、より好ましくは5~20wt%の量で使用される。
【0335】
好適な充填剤の例は、例えば補強充填剤、例えばシリカ、Aerosol(登録商標)などのヒュームドシリカ、シリカエアロゲル、粘土、炭酸カルシウム、二酸化チタン、タルク、炭酸マグネシウム又はガラス繊維である。着色剤の例は、例えば顔料又は色素、例えばカーボンブラック、好ましくは透明顔料又は色素である。誘電物質の例は、例えばグラファイト又はカーボンブラックである。充填剤、着色剤及び誘電物質の全量は、組成物の全重量に対して一般的に約0~60wt%、好ましくは5~50wt%である。
【0336】
好適なチキソトロピック剤の例は、例えばアルミナ、石灰石、酸化亜鉛、酸化硫黄、炭酸カルシウム、パーライト、NaCl又はシクロデキストリンである。チキソトロピック剤の全量は、組成物の全重量に対して一般的に約0~10wt%、好ましくは0~2wt%、より好ましくは0.1~2wt%である。
【0337】
好適な安定化剤は、例えば殺生物剤、UV安定化剤、熱安定化剤又は酸化防止剤である。例は、立体障害フェノール、チオエーテル、置換ベンゾトリアゾール、HALS型の立体障害アミン又はこれらの組合せである。安定化剤は、一般的に組成物の全重量に対して0~2.5wt%の量で存在する。
【0338】
添加剤は、プレポリマーに、それらの調製の前、間又は後に添加されてもよい。添加剤は、乾燥形態で実質的に無水条件下で添加されるべきである。組成物の成分は、好適な混合機中、不活性雰囲気下で、酸素及び周囲湿気の非存在下でブレンドされてもよい。一成分封止剤又は接着剤組成物が配合されると、周囲湿気及び酸素から保護するために、好適な容器に包装される。
【0339】
本発明の一成分封止剤又は接着剤組成物を使用して様々な基材を封止又は結合させることができる。例として、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、金属、コーティング基材、例えばプライマーコーティング基材が挙げられる。形態は、表面、空隙又は三次元鋳型であってもよい。
【0340】
接着剤組成物を基材に塗布し、その後第1の基材上の接着剤組成物を第2の基材と接触させる。
【0341】
一般的に、一成分封止剤又は接着剤組成物は、周囲温度で、周囲湿気の存在下で基材に塗布される。周囲湿気への曝露は、封止剤又は接着剤組成物の硬化を生じさせ、本発明の架橋ポリマーをもたらすのに十分である。硬化した生成物は、比較的短時間のうちにタックフリーになる。
【0342】
一成分封止剤又は接着剤組成物は、湿潤された又は湿った表面に塗布されてもよい。
【0343】
硬化は、追加の水分を添加する又は熱を加えることによって加速されてもよい。好ましくは封止剤又は接着剤組成物は、作業時間が湿気の含有量に依存して最大3~8時間になるように配合される。完全な硬化は、最大5日必要とする場合がある。
【0344】
架橋ポリマーは、封止剤又は接着剤の成分として使用するのに好適である。
【0345】
したがって、さらなる態様では、本発明は、封止剤又は接着剤の成分としての本明細書の上記のいずれかの態様で定義される架橋ポリマーの使用に関する。
【0346】
例えば、本発明の組成物は、建設、建築、輸送、例えば自動車産業に好適に適用される。
【0347】
本発明の方法により、ウレタン及び硫黄官能性を有するシリル変性ポリマーが容易且つ経済的に得られる。これらの基のすべてにより、封止剤及び接着剤を生成するのに有用な特に所望の特性が組み合わされる。
【0348】
本発明のプレポリマーは、本発明の方法によって容易且つ経済的に入手可能である。本方法は、さらなるエネルギー供給を伴わずに室温で実施することができる。本方法は、イソシアネート又はメルカプタン基を有する出発材料を使用する必要がない。
【0349】
本方法により、様々な製品、特に硫黄、ウレタン及びシリル架橋の含有量から得られる利益、例えば耐薬品性、バリア特性、帯電防止性及び耐食性との組合せの機械的特性を有するポリマーハイブリッドを調製することが可能になる。
【0350】
特にポリエーテル基又は有機ポリスルフィド基のソフトセグメントを有する架橋ポリマーは、弾性特性が良好であり、高い可撓性、さらに、透明な充填剤又は顔料を充填しさえすれば透明性を示す。
【0351】
硬化は、室温で顕著な収縮を伴わずに急速に行うことができ、タックフリー生成物が得られる。さらに、架橋ポリマーは高い屈折率を示し、これは例えばガラス基材内において有益である。
【0352】
プレポリマー中に存在する無機ケイ素官能基に由来する架橋は、架橋ポリマーハイブリッドの種々の基材、例えば通常プライマーが必要とされるガラス又は金属への強靭な接着を促進する。
【0353】
プレポリマーにおけるシリル置換基の性質及びシリル基の濃度により、特性は一成分封止剤又は接着剤組成物の調製に使用するために適したものになりうる。プレポリマーは、窒素雰囲気下の予備硬化後に粘性且つ保存可能な材料として得られてもよい。
【0354】
プレポリマーは、無水保存条件下で長期間安定であり続ける。さらに、末端ケイ素官能基上のアルコキシ-加水分解性基は、硬化時に湿気の存在下でアルコールの不活性副生成物を生じるため、他の加水分解性基より好ましい。
【0355】
一成分封止剤又は接着剤組成物は、一度混合されると取扱い不能になる前に素早く使用されなければならないという、粘性材料のその場の混合において生じる欠点を有さない。
【0356】
本明細書の上記で言及された顔料に与えられる定義及び選好は、任意の組合せ及び本発明の他の態様のための任意の組合せに適用される。
【0357】
ここで、以下の実施例を参照して本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は限定的であると解釈されるべきではない。別段述べられない限り、「%」は常に重量%(wt%)である。
【実施例
【0358】
[実施例]
ショアA硬度
ショアA硬度試験機HDA100-1(Sauter GmbH)によって硬度測定を行った。3mmの試料を硬質表面上に置き、試料表面上の異なる4箇所で硬度を試験した。異なる試料間の比較のための硬度として4つの値の平均を示す。
【0359】
粘度
粘度は、MCR301レオメータ(Anton Paar GmbH)を用いてプレート-プレート(25mm)回転実験において測定した。せん断速度を一定温度で1~250 1/sまで上昇させた。
【0360】
ガラス転移温度Tg
ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)によって、-170~600℃の温度範囲で、10k/分の加熱速度において、空気雰囲気中で決定した(Perkin-Elmer Pyris-1)。
【0361】
熱重量分析(TGA)
開始温度Tonsetは、STA 449 F5(Netzsch Geraetebau GmbH)によって、50~650℃の温度範囲で、10K/分の加熱速度において、空気雰囲気中で決定した。
【0362】
実施例で使用する成分
化合物A
A-1 国際公開第2019/034469号の実施例3に従い調製された、5-(ブトキシメチル)-1,3-オキサチオラン-2-オン。
【0363】
【化18】
【0364】
A-2 国際公開第2019/034469号の実施例1に従い調製された、5-メチル-1,3-オキサチオラン-2-オン。
【0365】
【化19】
【0366】
化合物B
B-1 Jeffamine THF-170アミン(Mn約1700g/mol)
Huntsmanから入手可能な[ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)]/(ポリプロピレングリコール)コポリマーに基づくアミン
Jeffamine THF-170(室温で白色固体)を50℃で溶融させ、室温まで再び冷却して実施例に使用した。これは、数時間液体のままであった。
【0367】
B2 3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン
【0368】
【化20】
【0369】
B3 4,9-ジオキサ-1,12-ドデカンジアミン
【0370】
【化21】
【0371】
化合物C
C-1 3-(ジメトキシメチルシリル)プロピルメタクリレート
【0372】
【化22】
【0373】
C-2 3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート
【0374】
【化23】
【0375】
C-3 ポリ(プロピレングリコール)ジメタクリレート(Mn≒560g/mol)
【0376】
【化24】
【0377】
C-4 ジウレタンジメタクリレート
【0378】
【化25】
【0379】
合成例1
C-5 ポリテトラヒドロフランジメタクリレート(PTHF-DMA、Mn約3200g/mol)
ポリテトラヒドロフラン(Mn約3000g/mol、60g、20mmol)を開放フラスコ中で90℃に加熱した。その後、MgOナノ粒子(平均粒径:20nm、330mg、約0.5wt%)を撹拌しながら添加した。10分の撹拌後、メタクリル酸無水物(6.3mL、42mmol、2.1当量)を開放フラスコ中に一度に添加した。2時間後、混合物を室温に冷却し、ジクロロメタン(150mL)で希釈し、飽和NaHCO3水溶液で3回抽出した。分離した有機層を、混合物が清澄になるまでNa2SO4で乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、PTHF-DMA(60g、およそ95%収率)を清澄な無色油状物として得、これを室温で固化させて白色固体にした。生成物を50℃で溶融させ、再び室温に冷却して実施例に使用した。これは、数時間液体のままであった。
【0380】
【化26】
【0381】
合成例2:国際公開第2019/034469号に記載される方法による式(VIIa)の化合物の合成。
第1の工程:[1-(クロロメチル)-2-(3-トリメトキシシリルプロポキシ)エチル]カルボノクロリデートの合成
2つの凝縮器(-30℃及び-78℃(ドライアイス))、ホスゲンディップ管及び内部温度計を備えた0.25Lの撹拌タンクガラス反応器を乾燥窒素で終夜パージした。その後、113.6g(0.47mol、1.00当量)の3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを窒素雰囲気下で導入した。タンク反応器の冷却をオンにし、15℃に調整した。反応器がこの温度に到達すると、1.30g(0.005mol、1.00mol%)のテトラブチルアンモニウムクロリド(TBACl)を出発材料に懸濁させた。その後、ホスゲン(全部で61g、0.67mol、1.31当量)をディップ管を介して反応器に添加した。反応混合物の温度を継続的にモニタリングし、ホスゲンの添加速度を注意深く調整することによって20℃未満に保った。添加は、全体でおよそ4時間かかった。ホスゲンの添加終了後、反応器の最初の冷却をオフにし、反応器をゆっくり室温に到達させた。その後、反応混合物をさらに2時間室温で撹拌した。最後に、反応混合物を乾燥アルゴンによって室温でストリッピングし、4時間以内にホスゲンを脱着した。得られた無色油状物(151g、0.45mol、96%収率、位置異性体純度:>95%)を、さらに精製することなくチオカーボネートの形成に直接使用した。
【0382】
第2の工程:5-(3-トリメトキシシリルプロポキシメチル)1,3-オキサチオラン-2-オンの合成
[1-(クロロメチル)-2-(3-トリメトキシシリルプロポキシ)エチル]カルボノクロリデート(20g、0.06mol)及びアセトニトリル(50mL)を、KPG三日月型スターラー、滴下漏斗、温度計及び還流凝縮器を備えた250mLの4つ口丸底フラスコ中に入れた。溶液を氷浴で0℃に至るまで冷却し、その後固体Na2S(1当量)をゆっくり添加し、温度を5℃に維持した。添加終了後、氷浴を除去して反応混合物を室温に温めた。4時間撹拌して懸濁液を濾過し、溶媒を減圧下で除去した。粗環式チオカーボネートを清澄な油状物(17g、95%)として得た。
【0383】
[実施例1]
5-メチル-1,3-オキサチオラン-2-オン(295mg、2.5mmol、1当量)
Jeffamine THF-170(2.13g、1.25mmol、0.5当量)
3-(ジメトキシメチルシリル)プロピルメタクリレート(349mg、1.50mmol)
ポリ(プロピレングリコール)ジメタクリレート(Mn約560g/mol、280mg、0.5mmol)
【0384】
すべての物質をガラスバイアル中でスパチュラを用いて室温(約20~25℃)で混合した。均質化後、シラノール縮合触媒としてのトリエトキシフルオロシラン(1滴、約1mol%)を窒素雰囲気下で添加して、混合物を再び混合し、窒素が充填された蓋付きガラスバイアル中に80℃で保存した。80℃で24時間後、得られた粘性プレポリマーをアルミニウム型(60mm×17mm×3mm)中に移した。型を室温及び周囲空気湿度で保存した(硬化開始時間と定義される)。スパチュラの先端を10分間隔で試料の表面に接触させた。試料の表面がスパチュラに接着しなくなるまでの時間をスキン形成時間と定義した。硬化したポリマー試料を48時間後に型から取り外し、ほぼ無色の完全に透明な、非常に可撓性で曲げ半径が近い屈曲性(bendable with close bending radii)の生成物を得た。
【0385】
[実施例2]
5-メチル-1,3-オキサチオラン-2-オン(295mg、2.5mmol、1当量)
Jeffamine THF-170(2.13g、1.25mmol、0.5当量)
3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(310mg、1.25mmol)
ポリ(プロピレングリコール)ジメタクリレート(Mn約560g/mol、350mg、0.5mmol)
【0386】
すべての物質をガラスバイアル中でスパチュラを用いて室温で混合した。均質化後、混合物を窒素が充填された蓋付きガラスバイアル中に80℃で保存した。80℃で24時間後、得られた粘性プレポリマーをアルミニウム型(60mm×17mm×3mm)中に移した。型を室温及び周囲空気湿度で保存した(硬化開始時間と定義される)。スパチュラの先端を10分間隔で試料の表面に接触させた。試料の表面がスパチュラに接着しなくなるまでの時間をスキン形成時間と定義した。硬化したポリマー試料を48時間後に型から取り外し、ほぼ無色の完全に透明な、非常に可撓性で曲げ半径が近い屈曲性の生成物を得た。
【0387】
[実施例3]
5-メチル-1,3-オキサチオラン-2-オン(590mg、5.0mmol)
ジウレタンジメタクリレート(1.18g、2.5mmol)
3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン(816mg、5.0mmol)
【0388】
すべての物質をガラスバイアル中でスパチュラを用いて室温で混合した。均質化後、トリエトキシフルオロシラン(1滴、約1mol%)を窒素雰囲気下で添加して、混合物を再び混合し、窒素が充填された蓋付きガラスバイアル中に80℃で保存した。80℃で24時間後、得られた粘性プレポリマーをアルミニウム型(60mm×17mm×3mm)中に移した。型を室温及び周囲空気湿度で保存した。硬化したポリマー試料を96時間後に型から取り外し、無色の完全に透明な、非常に可撓性で曲げ半径が近い屈曲性の生成物を得た。
【0389】
[実施例4]
5-メチル-1,3-オキサチオラン-2-オン(590mg、5.0mmol)
ジウレタンジメタクリレート(1.18g、2.5mmol)
3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン(653mg、4.0mmol)
4,9-ジオキサ-1,12-ドデカンジアミン(102mg、0.5mmol)
【0390】
すべての物質をガラスバイアル中でスパチュラを用いて室温で混合した。均質化後、トリエトキシフルオロシラン(1滴、約1mol%)を窒素雰囲気下で添加して、混合物を再び混合し、窒素が充填された蓋付きガラスバイアル中に80℃で保存した。80℃で24時間後、得られた粘性プレポリマーをアルミニウム型(60mm×17mm×3mm)中に移した。型を室温及び周囲空気湿度で保存した。硬化したポリマー試料を96時間後に型から取り外し、無色の完全に透明な、非常に可撓性で曲げ半径が近い屈曲性の生成物を得た。
【0391】
[実施例5a]
5-(ブトキシメチル)-1,3-オキサチオラン-2-オン(228mg、1.2mmol)
ポリテトラヒドロフランジメタクリレート(PTHF-DMA、1.86g、0.6mmol)
3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン(157mg、0.96mmol)
Jeffamine THF-170(204mg、0.12mmol)
【0392】
すべての物質をガラスバイアル中でスパチュラを用いて室温で混合した。均質化後、トリエトキシフルオロシラン(1滴、約1mol%)を窒素雰囲気下で添加して、混合物を再び混合し、窒素が充填された蓋付きガラスバイアル中に80℃で保存した。80℃で24時間後、得られた粘性プレポリマーをアルミニウム型(60mm×17mm×3mm)中に移した。型を室温及び周囲空気湿度で保存した。硬化したポリマー試料を48時間後に型から取り外し、無色の完全に透明な、非常に可撓性で曲げ半径が近い屈曲性の生成物を得た。
【0393】
[実施例5b]
118mg(0.72mmol)の量の3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン及び480mg(0.24mmol)の量のJeffamine THF-170を使用したことを除き、実施例5aの手順を繰り返した。
【0394】
[実施例6a]
5-(ブトキシメチル)-1,3-オキサチオラン-2-オン(951mg、5mmol)
ポリ(プロピレングリコール)ジメタクリレート(1.40g、2.5mmol)
3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン(653mg、4mmol)
Jeffamine THF-170(850mg、0.5mmol)
【0395】
すべての物質をガラスバイアル中でスパチュラを用いて室温で混合した。均質化後、トリエトキシフルオロシラン(1滴、約1mol%)を窒素雰囲気下で添加して、混合物を再び混合し、窒素が充填された蓋付きガラスバイアル中に80℃で保存した。80℃で24時間後、得られた粘性プレポリマーをアルミニウム型(60mm×17mm×3mm)中に移した。型を室温及び周囲空気湿度で保存した。硬化したポリマー試料を48時間後に型から取り外し、無色の完全に透明な、非常に可撓性で曲げ半径が近い屈曲性の生成物を得た。
【0396】
[実施例6b]
490mg(3mmol)の量の3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン及び1.70mg(1mmol)の量のJeffamine THF-170を使用したことを除き、実施例6aの手順を繰り返した。
【0397】
[実施例6c]
408mg(2.5mmol)の量の3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン及び2.13mg(1.25mmol)の量のJeffamine THF-170を使用したことを除き、実施例6aの手順を繰り返した。
【0398】
[実施例7]
5-メチル-1,3-オキサチオラン-2-オン(1.48g、12.5mmol)
Jeffamine THF-170(10.65g、6.25mmol)
3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(930mg、3.75mmol)
ポリ(プロピレングリコール)ジメタクリレート(2.45g、4.38mmol)
ビニルトリメトキシシラン(310mg、ポリマーの2.0wt%)
2-エチルヘキサン酸スズ(II)(80mg、ポリマーの0.5wt%)
Aerosil(登録商標)R972(2.33g、ポリマーの15wt%)
【0399】
すべての液体(Jeffamine THF-170は45℃に予備加熱した)を、高速混合機に適したカップ中でスパチュラを用いて室温で混合した。均質化後、Aerosil R 972(充填剤)を混合物に添加した。閉じたカップを2800rpmで1分間高速混合機に入れた。その後、カップに窒素を充填して65℃で保存した。65℃で24時間後、粘性プレポリマーをアルミニウム型(60mm×17mm×3mm)中に移した。型を室温及び周囲空気湿度で保存した。硬化したポリマー試料を48時間後に型から取り外した。得られた材料は無色で完全に透明であり、非常に可撓性で曲げ半径が近く屈曲性である。
【0400】
実施例1~4、5a、5b、6a~6c、7及び8で得られたポリマーを分析し、結果を表1及び2に示す。
【0401】
【表1】
【0402】
【表2】
【0403】
実施例1~4及び6a~6cで得られたプレポリマーを分析し、粘度分析の結果を表3及び4に列挙する。
【0404】
【表3】
【0405】
【表4】
【0406】
[実施例8]
粘着ガラスプレートの調製
実施例7を繰り返してプレポリマーを得た。粘性プレポリマーをシリンジからガラスプレート(7.5cm×2.5cm×1mm)上に塗布した。第2のガラスプレートをプレポリマー上に置き、2枚のガラスプレートを一緒に押圧した。ポリマー層は6.6μmであった。
【0407】
粘着ガラスプレートの透過を200~1000nmで測定した。接着剤を有さない2枚の同一のガラスプレートの透過と比較して、実施例8のポリマーを用いて粘着されたガラスプレートは、測定誤差内で可視光に対しておよそ同様の透過及び完全な透明性を示す(図1を参照されたい)。
いくつかの実施形態を以下に示す。
項1
ウレタン基及び硬化性ケイ素官能基を含むプレポリマーを調製する方法であって、
a)少なくとも1個の5員環式モノチオカーボネート基を有する化合物A)、
及び第一級若しくは第二級アミノ基又はブロックされた第一級若しくは第二級アミノ基から選択される少なくとも1個のアミノ基を有する化合物B)、
及び任意選択で基-SHと反応する少なくとも1個の官能基を有する化合物C)
を出発材料として使用する工程、
ここで、出発材料として使用される化合物の少なくとも1種はケイ素官能基を含む、
及び、化合物A)、B)及び任意選択でC)を、
b)水分の排除下で化合物A)及びB)及び任意選択でC)を反応させて、硬化性のケイ素官能基を有するプレポリマーを得ること
によって処理する工程
を含む方法。
項2
化合物A)が、式
【化27】
(式中、
R 1a ~R 4a は互いに独立して水素又は最大50個の炭素原子を有する有機基であり、
代替的に、R 2a 、R 4a 及びチオカーボネート基の2個の炭素原子はまた一緒になって5~10員の炭素環を形成してもよい)
の化合物、又は式
【化28】
(式中、
R 1b ~R 4b は互いに独立して水素又は最大50個の炭素原子を有する有機基であり、
代替的に、R 2b 、R 4b 及びモノチオカーボネート基の2個の炭素原子はまた一緒になって5~10員の炭素環を形成してもよく、
基R 1b ~R 4b の1個はZへの連結基であり、
nは少なくとも2の整数であり、
Zはn価の有機基である)
の化合物である、項1に記載の方法。
項3
化合物B)が1~5個のアミノ基、好ましくは1、2又は3個のアミノ基を含む、項1又は2に記載の方法。
項4
-SHと反応する化合物C)の官能基が非芳香族エチレン性不飽和基である、項1、2又は3に記載の方法。
項5
化合物B)又は化合物C)がケイ素官能基を含む、項1~4のいずれか一項に記載の方法。
項6
ケイ素官能基が、式
-SiR 1s R 2s R 3s (III)
(式中、
基R 1s ~R 3s の2個又は3個はアルコキシ基であり、残りの基R 1s ~R 3s はアルキル又はアルキレン-ビニル基である)
のアルコキシシラン基である、項1~5のいずれか一項に記載の方法。
項7
出発材料として使用される化合物A)、B)又は任意選択でC)の少なくとも1種がポリエーテル基又は有機ポリスルフィド基から選択されるセグメントを含む、項1~6のいずれか一項に記載の方法。
項8
化合物A)、B)及び任意選択でC)の混合物が21℃及び1バールで液体である、項1~7のいずれか一項に記載の方法。
項9
プレポリマー中のケイ素の含有量が、プレポリマー100gあたり0.001~0.3molのケイ素である、項1~8のいずれか一項に記載の方法。
項10
項1~9のいずれか一項に定義される方法工程a)及びb)によって入手可能な、ウレタン基及び硬化性ケイ素官能基を含むプレポリマー。
項11
(a)式
【化29】
(式中、
R 1 はR 1a 又はR 1b であり、
R 2 はR 2a 又はR 2b であり、
R 3 はR 3a 又はR 3b であり、
R 4 はR 4a 又はR 4b であり、
R 1a ~R 4a は互いに独立して水素又は最大50個の炭素原子を有する有機基であるか、又は
代替的に、R 2a 、R 4a 及び2個の連結炭素原子は一緒になって5~10員の炭素環を形成し、
R 1b ~R 4b は互いに独立して水素又は最大50個の炭素原子を有する有機基であり、代替的に、R 2b 、R 4b 及びモノチオカーボネート基の2個の炭素原子はまた一緒になって5~10員の炭素環を形成してもよく、
基R 1b ~R 4b の1個はZへの連結基であり、
nは少なくとも2の整数であり、
Zはn価の有機基であり、
R 9 は、水素又はC 1 ~C 4 アルキル又はC 1 ~C 4 アルキレン-N(C 1 ~C 4 アルキル) 2 である)
の基、及び
(b)硬化性ケイ素官能基
を含むプレポリマー。
項12
ケイ素官能基が、式
-SiR 1s R 2s R 3s (III)
(式中、
基R 1s ~R 3s の2個又は3個はアルコキシ基であり、残りの基R 1s ~R 3s はアルキル又はアルキレン-ビニル基である)
の基である、項11に記載のプレポリマー。
項13
ポリエーテル基又は有機ポリスルフィド基から選択されるセグメント(c)を、好ましくはプレポリマーの全重量に対して50~95wt%の量で含む、項11又は12に記載のプレポリマー。
項14

【化30】
(式中、
R 9 は水素、C 1 ~C 4 アルキル又はC 1 ~C 4 アルキレン-N(C 1 ~C 4 アルキル) 2 であり、
R 10 は、C 1 ~C 18 アルキレン基であり、該アルキレン基は任意選択でO、S又はNR 13 によって中断されており、
R 11 は非芳香族エチレン性不飽和基に由来する基であり、
R 12 はp価のポリエーテル又は有機ポリスルフィド基であり、
R 13 は水素又はC 1 ~C 4 アルキルであり、
pは2~6、好ましくは2又は3の整数である)
の基、又は式
【化31】
(式中、
R 9 は水素又はC 1 ~C 4 アルキルであり、
R 10 は、C 1 ~C 18 アルキレン基であり、該アルキレン基は任意選択でO、S又はNR 13 によって中断されており、
R 11 は非芳香族エチレン性不飽和基に由来する基であり、
R 12 はp'価のポリエーテル基又は有機ポリスルフィド基であり、
R 13 は水素又はC 1 ~C 4 アルキルであり、
p'は2~5、好ましくは2~3の整数である)
の基を含む、項12又は13に記載のプレポリマー。
項15
項11~14のいずれか一項に定義されるプレポリマーを含む組成物、好ましくは一成分封止剤又は接着剤組成物。
項16
一成分封止剤又は接着剤組成物の成分としての、項11~14のいずれか一項に定義されるプレポリマー又は項16に定義される組成物の使用。
項17
項1~9のいずれか一項に定義される化合物A)、化合物B)及び任意選択で化合物C)に由来するモノマー単位を含む架橋ポリマーであって、ポリマーが架橋ポリマー100gあたり0.001~0.3molのケイ素を含む架橋ポリマー。
項18
ウレタン基及びシロキサン結合を含む架橋ポリマーを調製する方法であって、
項1から10のいずれか一項に定義される工程a)及びb)、並びに
工程b2)工程b)で得られるプレポリマーを表面、空隙又は三次元鋳型に塗布し、周囲水分によってケイ素官能基を硬化させる工程
を含む方法。
項19
項18に定義される方法によって入手可能な架橋ポリマー。
図1