(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】シャッターディスク
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240708BHJP
C23C 14/00 20060101ALI20240708BHJP
C23C 14/02 20060101ALI20240708BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
H01L21/304 645C
C23C14/00 B
C23C14/02 B
H01L21/92 604M
(21)【出願番号】P 2022514492
(86)(22)【出願日】2020-09-03
(86)【国際出願番号】 US2020049184
(87)【国際公開番号】W WO2021046208
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-04-21
(32)【優先日】2019-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チャン, カン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ, ジュンチー
(72)【発明者】
【氏名】オウ, ユエ シェン
(72)【発明者】
【氏名】ボー, ケルヴィン
(72)【発明者】
【氏名】和田 優一
(72)【発明者】
【氏名】ジュプディ, アナンクリシュナ
(72)【発明者】
【氏名】バブ, サラト
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-103638(JP,A)
【文献】特開2010-157683(JP,A)
【文献】特表2016-509131(JP,A)
【文献】特開2016-105462(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
C23C 14/00
C23C 14/02
H01L 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理方法であって、
処理チャンバの壁上に、チタン、バリウム、またはセリウムのうちの1つまたは複数を含むゲッター材料を、ある厚さに堆積させるために、シャッターディスクをスパッタリングすることと、
前記シャッターディスクをバッファステーションに移動させることと、基板を前記処理チャンバ中に配置することと、
自然酸化物を除去し、洗浄された基板を形成するために、前記処理チャンバ中でプラズマを用いて前記基板をエッチングすることと
を含み、
前記基板をエッチングすることが、前記ゲッター材料に化学的に結合されたガス放出分子を解放する、処理方法。
【請求項2】
前記洗浄された基板上にバリア層を堆積させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記バリア層が、チタン(Ti)または銅(Cu)のうちの1つまたは複数を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ゲッター材料が、バリウム、またはセリウムのうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記バッファステーションが前記処理チャンバ内に位置している、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
スパッタリングプロセスが、前記シャッターディスクをプラズマにさらすことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記シャッターディスクが、チタン、バリウム、またはセリウムのうちの1つまたは複数を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記バッファステーションが、前記処理チャンバに隣接するチャンバ中に位置している、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ガス放出分子が、酸素(O
2)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO
2)、または水(H
2O)のうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ゲッター材料の前記厚さが約10nm以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記プラズマが、アルゴン(Ar)またはヘリウム(He)のうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記基板が、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、酸化物層、またはポリマー層のうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記基板からのCOガス放出の量が、前記ゲッター材料をもたない処理チャンバ中での基板からのCOガス放出の約10%以下に低減される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
基板支持体を中に有する予洗浄チャンバと、
バッファステーションと、
前記予洗浄チャンバおよび前記バッファステーションにアクセスするように構成されたロボットと、
前記予洗浄チャンバ、前記バッファステーション、および前記ロボットに接続されたコントローラであって、前記コントローラが、ゲッター材料を堆積させるためにシャッターディスクをスパッタリングし、前記シャッターディスクを前記バッファステーションへと移動させ、基板を前記予洗浄チャンバ内に位置づけ、前記基板をエッチングし、前記基板上にバリア層を堆積させるように構成された、コントローラと
を備える、処理ツール。
【請求項15】
前記バッファステーションが前記予洗浄チャンバ内にある、請求項14に記載の処理ツール。
【請求項16】
前記バッファステーションが、前記予洗浄チャンバに隣接するチャンバ中にある、請求項14に記載の処理ツール。
【請求項17】
前記予洗浄チャンバと前記バッファステーションとにアクセスするための少なくとも1つのスリットバルブをさらに備える、請求項14に記載の処理ツール。
【請求項18】
前記コントローラが、中央処理ユニット(CPU)、メモリ、入出力(I/O)、またはサポート回路のうちの1つまたは複数を備える、請求項14に記載の処理ツール。
【請求項19】
命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令は、処理チャンバのコントローラによって実行されたとき、前記処理チャンバに、
前記処理チャンバの壁上に、チタン、バリウム、
またはセリウムのうちの1つまたは複数を含むゲッター材料を堆積させるために、シャッターディスクをスパッタリングする動作と、
前記シャッターディスクをバッファステーションに移動させ、基板を前記処理チャンバ内に位置づける動作と、
前記処理チャンバ中でプラズマを用いて前記基板をエッチングする動作と
を実行させる、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項20】
ゲッター材料を堆積させることが、前記ゲッター材料を含むシャッターディスクをプラズマにさらすことと、前記ゲッター材料をスパッタリングすることとを含む、請求項19に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に、電子デバイスに関する。より詳細には、本開示の実施形態は、ウエハレベルまたはフリップチップパッケージ中のアンダーバンプメタライゼーション(under bump metallization)に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造の進化の過程にわたって、様々なパッケージング技術が実装されてきた。電子デバイスのためのウエハレベル製造およびフリップチップパッケージング技術は小型化ソリューションの最先端にある。
【0003】
半導体パッケージングの目標は、速度の増加、電力の低減、デバイス機能の改善、およびコストの低減のために、より短い電子経路を達成することである。アンダーバンプメタライゼーション(UBM)は、フリップチップパッケージのためのはんだバンプを用いてダイを基板に接続するために必要とされる。集積回路(IC)のUBMは、一般にアルミニウムまたは銅であるパッドをボンディングする。このことは、電子パッケージの信頼性のための本質的なプロセスステップである。
【0004】
アンダーバンプメタライゼーション(UBM)を達成するために、いくつかのオプションが利用可能である。電気メッキと組み合わせられたドライ真空スパッタリング方法は、使用される最も一般的な方法であり、高温蒸発システム中でスパッタリングされた複数の金属層を伴う。多くのICボンドパッドの最終層は、一般に、アルミニウム、アルミニウム/シリコン、アルミニウム/シリコン/銅、または銅を含む。ワイヤボンディング技法は、通常存在する酸化物層を通して許容できる接続を形成するので、アルミニウムは従来のワイヤボンディング相互接続のために好適である。アルミニウムは、しかしながら、はんだ付け可能でないか、可溶性にならないか、または、リフローにおいて使用されるバンプおよびはんだ付け材料にボンディング可能でない。UBM層は、アルミニウムパッドへの良好なボンドを生成し、アルミニウムを密封し、ICパッケージ中への金属の拡散の可能性を防止する。
【0005】
アルミニウムは、それが環境にさらされるとほぼすぐに酸化し、したがって、UBM処理における第1の課題は、アルミニウムICパッドから自然酸化物層を除去することである。したがって、UBMプロセスでは、バリア層の堆積の前に金属接点パッドの自然酸化物を除去するために、予洗浄(pre-clean)ステップが必要である。予洗浄プロセス中に、しかしながら、ガス放出(outgassing)分子および種が生成され、したがって、清浄な金属表面を再汚染し、集積回路性能に影響を及ぼすことになる高い接触抵抗を引き起こすことになる。
【0006】
したがって、フリップチップおよびウエハレベルのパッケージングのための改善されたアンダーバンプメタライゼーション方法が必要である。
【発明の概要】
【0007】
本開示の1つまたは複数の実施形態は処理方法を対象とする。本方法は、処理チャンバの壁上にゲッター材料(getter material)をある厚さに堆積させることと、自然酸化物を除去し、洗浄された基板を形成するために、処理チャンバ中でプラズマを用いて基板をエッチングすることとを含み、基板をエッチングすることは、ゲッター材料に化学的に結合されたガス放出分子を解放する。
【0008】
本開示の追加の実施形態は処理ツールを対象とする。処理ツールは、基板支持体を中に有する予洗浄チャンバと、バッファステーションと、予洗浄チャンバおよびバッファステーションにアクセスするように構成されたロボットと、予洗浄チャンバ、バッファステーション、およびロボットに接続されたコントローラであって、そのコントローラが、ゲッター材料を堆積させること、基板をエッチングすること、またはバリア層を堆積させることから選択された1つまたは複数の構成を有する、コントローラとを備える。
【0009】
本開示のさらなる実施形態は、命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体であって、その命令は、処理チャンバのコントローラによって実行されたとき、処理チャンバに、処理チャンバの壁上にゲッター材料を堆積させる動作と、処理チャンバ中でプラズマを用いて基板をエッチングする動作とを実行させる、非一時的コンピュータ可読媒体を対象とする。
【0010】
本開示の上記で具陳した特徴が詳細に理解され得るように、上記で手短に要約した、本開示のより詳細な説明が、それらのうちのいくつかが添付の図面に示された実施形態を参照することによって得られ得る。しかしながら、添付の図面は、本開示の一般的な実施形態のみを示しており、したがって、本開示は他の等しく効果的な実施形態を許し得るので、本開示の範囲を限定するものであると考えられないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】1つまたは複数の実施形態による、処理方法の流れ図である。
【
図2】1つまたは複数の実施形態による、処理チャンバを示す図である。
【
図3】1つまたは複数の実施形態による、処理チャンバを示す図である。
【
図4】1つまたは複数の実施形態による、処理チャンバを示す図である。
【
図5】1つまたは複数の実施形態による、処理ツールを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示のいくつかの例示的な実施形態について説明する前に、本開示は、以下の説明に記載されている構成またはプロセスステップの詳細に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施または実行されることが可能である。
【0013】
図に示された詳細、寸法、角度、および他の特徴の多くは、特定の実施形態を示すものにすぎない。したがって、他の実施形態は、本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく、他の詳細、構成要素、寸法、角度、および特徴を有することができる。さらに、本開示のさらなる実施形態は、以下で説明するいくつかの詳細なしに実施され得る。
【0014】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用する際、「基板」という用語は、プロセスが作用する表面または表面の一部分を指す。また、基板への言及は、文脈が別段に明示していない限り、基板の一部分のみをも指し得ることが当業者によって理解されよう。さらに、基板上に堆積させることへの言及は、ベア基板と、1つまたは複数の膜または特徴が上に堆積または形成された基板の両方を意味し得る。
【0015】
本明細書で使用する際、「基板」は、製造プロセス中に膜処理が実行される、任意の基板、または基板上に形成された材料表面を指す。たとえば、処理が実行され得る基板表面は、用途に応じて、シリコン、酸化ケイ素、ストレインドシリコン、シリコンオンインシュレータ(SOI)、炭素ドープ酸化ケイ素、アモルファスシリコン、ドープシリコン、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、ガラス、サファイア、ならびに、金属、金属窒化物、金属合金、および他の導電性材料など、任意の他の材料などの材料を含む。基板は、限定はしないが、半導体ウエハを含む。基板は、基板表面を研磨、エッチング、還元、酸化、ヒドロキシル化、アニーリング、UV硬化、電子ビーム硬化、および/または焼成するために、前処理プロセスにさらされ得る。基板自体の表面上に直接膜処理を行うことに加えて、本開示では、開示されている膜処理ステップのいずれかは、以下でより詳細に開示されているように、基板上に形成された下層上にも実行され得、「基板表面」という用語は、文脈が示しているそのような下層を含むものとする。したがって、たとえば、膜/層または部分的な膜/層が基板表面上に堆積されている場合、新たに堆積された膜/層の露出した表面が基板表面になる。
【0016】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用する際、「反応性化合物」、「反応性ガス」、「反応種」、「前駆体」、「プロセスガス」などという用語は、表面反応(たとえば、化学吸着、酸化、還元)において基板表面または基板表面上の材料と反応することが可能な種をもつ物質を意味するように互換的に使用される。たとえば、第1の「反応性ガス」は、基板の表面上に単に吸着し、第2の反応性ガスとのさらなる化学反応のために利用可能であり得る。
【0017】
アンダーバンプメタライゼーション(UBM)中にポリマーのガス放出を低減するために、温度制御およびRF電力調整など、膨大な努力がささげられてきた。1つまたは複数の実施形態では、ペースティング方法によって、チタン(Ti)、バリウム(Ba)、またはセリウム(Ce)のうちの1つまたは複数を用いて処理チャンバの内部シールドまたは壁を被覆することが、ガス放出分子を吸収するのを助ける。本明細書で使用する際、「ペースティング」という用語は、ゲッター材料が処理チャンバの壁に付着し、それにより壁上にそのゲッター材料の層が形成されるような、ゲッター材料のスパッタリングを指す。
【0018】
1つまたは複数の実施形態では、処理チャンバ中のガス放出分子の濃度が、有利には、著しく低減され得る。したがって、1つまたは複数の実施形態では、金属接点表面の再汚染が最小にされ、それにより、より良い電子デバイス性能のために低い接触抵抗を保つのを助ける。
【0019】
本開示の複数の実施形態は、ペースティングが基板のエッチング中にガス放出を最小にし、欠陥を制御することを可能にする、物理的気相堆積(PVD)のためのチタン(Ti)、バリウム(Ba)、またはセリウム(Ce)のうちの1つまたは複数を含む、シャッターディスクを提供する。1つまたは複数の実施形態は、プロセスキットの改善されたおよび/または向上した有効寿命を提供する。
【0020】
1つまたは複数の実施形態では、処理チャンバ、たとえば予洗浄チャンバ上/中にゲッター材料をペーストすることにより、ガス放出分子濃度が少なくとも2桁減少することが観測された。観測された結果は、ポンピング速度の増加、ガスコンダクタンスの改善など、他の方法よりも優れている。
【0021】
本開示の複数の実施形態は、酸素(O2)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、および水(H2O)など、反応性ガス分子に対して高選択的であるゲッター材料を組み込んでいる。これらの反応性ガス分子は、PVD堆積されたデバイス中の金属接点抵抗にとって有害であり得る。いくつかの実施形態は、有利には、シールドガス放出を最小にし、シールドキット寿命を延長し、金属表面への再汚染を防ぎ、ゲッター材料として働き、処理中に、酸素(O2)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、および水(H2O)を含むガス放出分子を吸収し、高温に耐えることが可能であり、および/または処理中に最小反りを有する、チタン(Ti)、バリウム(Ba)、またはセリウム(Ce)シャッターディスクを提供する。
【0022】
本開示の複数の実施形態は、チャンバハードウェア修正を必要としないが、代わりに、ゲッター材料を含有するかまたは含むシャッターディスクを利用する。1つまたは複数の実施形態では、シャッターディスクは処理チャンバに移送され、処理チャンバの側面上にゲッター材料をスパッタリングするスパッタリングプロセスを実行するために、RF電力が使用される。1つまたは複数の実施形態では、シャッターディスクは、アルゴン(Ar)およびヘリウム(He)などの不活性ガス分子に反応せず、したがって、不活性ガス分子が予洗浄プロセスにおける物理的プラズマスパッタリング効果に及ぼす影響は限定される。
【0023】
図1~
図4を参照すると、1つまたは複数の実施形態が、基板を処理する方法100を対象とする。
図1に示された方法は物理的気相堆積(PVD)プロセスを表す。本明細書で使用する際、「物理的気相堆積」、または代替的に、「スパッタリング」という用語は、半導体集積回路の製造における金属および関係する材料の堆積のためのプロセスを指す。スパッタリングの使用は、ビア(via)または他の垂直相互接続構造など、高アスペクト比ホールの側壁上に金属層を堆積させることにまで拡大されている。プラズマスパッタリングは、DCスパッタリングまたはRFスパッタリングのいずれかを使用して達成され得る。プラズマスパッタリングは、一般に、ターゲットの前面からのプラズマの密度を増加させ、スパッタリング率を向上させるために、処理空間に磁界を投影するための、磁気的ヨークを通してそれらの背部において磁気結合された反対の極の2つの磁石を含む、スパッタリングターゲットの背部に位置するマグネトロンを含む。マグネトロン中で使用される磁石は、一般に、DCスパッタリングのための閉ループ、およびRFスパッタリングのための開ループである。
【0024】
物理的気相堆積(PVD)チャンバなど、プラズマ増強基板処理システムにおいて、高い磁界と高いDC電力とを用いる高電力密度PVDスパッタリングは、スパッタリングターゲットにおいて高エネルギーを生成し、スパッタリングターゲットの表面温度の大きい上昇を引き起こし得る。スパッタリングターゲットは、冷却流体をもつターゲットバッキング板に接触することによって冷却される。一般に商業的に実施されるプラズマスパッタリングにおいて、スパッタリング堆積されるべき材料のターゲットは、コーティングされるべきウエハを含んでいる真空チャンバに密封される。不活性ガス、たとえばアルゴン(Ar)がチャンバに入れられる。チャンバ壁またはシールドが接地されたままである間に、数百ボルトの負のDCバイアスがターゲットに印加されると、不活性ガスはプラズマに励起される。正に帯電した不活性ガスイオンは、高エネルギーで負にバイアスされたターゲットと、ターゲットからのスパッタターゲット原子とに引きつけられる。
【0025】
1つまたは複数の実施形態では、動作10において、ゲッター材料204が処理チャンバ200の少なくとも1つの壁上に堆積される。1つまたは複数の実施形態では、ゲッター材料204が処理チャンバ200の少なくとも1つの壁上に厚さ202まで堆積される。1つまたは複数の実施形態では、厚さ202は、約10nm~約100μmの範囲を含む、10nm以上である。1つまたは複数の実施形態では、ゲッター材料206は、チタン(Ti)、バリウム(Ba)、またはセリウム(Ce)のうちの1つまたは複数を含む。1つまたは複数の実施形態では、ゲッター材料204は、シャッターディスク206をスパッタリングすることによって取得される。1つまたは複数の実施形態では、スパッタリングプロセスは、シャッターディスク206をプラズマ208にさらすことを含む。1つまたは複数の実施形態では、プラズマ208は不活性プラズマを含む。いくつかの実施形態では、プラズマ208は、アルゴン(Ar)またはヘリウム(He)のうちの1つまたは複数を含む。
【0026】
1つまたは複数の実施形態では、プラズマ208は、遠隔的に、または処理チャンバ200内で生成され得る。1つまたは複数の実施形態では、プラズマ208は誘導結合プラズマ(ICP)または導電結合プラズマ(CCP)である。たとえば、反応物または他のプロセス条件に応じて、任意の好適な電力が使用され得る。いくつかの実施形態では、プラズマ208は、約10W~約3000Wの範囲内のプラズマ出力を用いて生成される。いくつかの実施形態では、プラズマ208は、約3000W以下、約2000W以下、約1000W以下、約500W以下、または約250W以下のプラズマ出力を用いて生成される。
【0027】
1つまたは複数の実施形態では、シャッターディスク206は、チタン(Ti)、バリウム(Ba)、またはセリウム(Ce)のうちの1つまたは複数を含む。特定の実施形態では、シャッターディスク206は、チタン(Ti)を含み、スパッタリングすると、処理チャンバ200の少なくとも1つの壁上にチタンが堆積されるように、チタン(Ti)を含むゲッター材料204を解放する。
【0028】
1つまたは複数の実施形態では、動作20において、シャッターディスク206は、次いで、バッファステーションに移動または移送される。いくつかの実施形態では、バッファステーションは処理チャンバ200内に位置する。他の実施形態では、バッファステーションは、隣接するチャンバ中に位置する。1つまたは複数の実施形態では、シャッターディスク206はロボットによって移送される。1つまたは複数の実施形態では、動作30において、基板209が、次いで、処理チャンバ200内に配置される。
【0029】
1つまたは複数の実施形態では、基板209は、シリコン層210、酸化物層212、金属層214、ポリマー層216、または自然酸化物層218のうちの1つまたは複数を含む。1つまたは複数の実施形態では、酸化物層212は酸化アルミニウム層を含む。1つまたは複数の実施形態では、金属層214は、アルミニウム(Al)または銅(Cu)のうちの1つまたは複数を含む。1つまたは複数の実施形態では、ポリマー層216は、ポリイミドまたはポリベンゾオキサゾールのうちの1つまたは複数を含む。
【0030】
1つまたは複数の実施形態では、動作40において、基板209は処理チャンバ200中でエッチングされる。1つまたは複数の実施形態では、基板209はプラズマ208によってエッチングされる。1つまたは複数の実施形態では、プラズマ208は不活性プラズマを含む。いくつかの実施形態では、プラズマ208は、アルゴン(Ar)またはヘリウム(He)のうちの1つまたは複数を含む。いくつかの実施形態では、プラズマ208は、処理チャンバの少なくとも1つの側壁上にゲッター材料204をスパッタリングするために使用されるプラズマと同じである。他の実施形態では、プラズマ208は、ゲッター材料204をスパッタリングするために使用されるプラズマとは異なる。
【0031】
理論によって縛られることを意図することなしに、基板209のポリマー層216をエッチングすると、基板209は、ガス放出分子、たとえば220、222、224、226を解放する。1つまたは複数の実施形態では、ガス放出分子は、処理チャンバ200の側面上に堆積されたゲッター材料204によって吸収される。1つまたは複数の実施形態では、ガス放出分子は、酸素(O
2)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO
2)、または水(H
2O)のうちの1つまたは複数を含む。
図4に示されているように、ゲッター材料はガス放出分子を吸収することが可能であるので、処理チャンバ中のガス放出分子の濃度は著しく低減され、したがって、より良い電子デバイス性能のために低い接触抵抗を保つように、基板209の金属接点表面214への再汚染が最小にされる。
【0032】
1つまたは複数の実施形態では、基板209からのガス放出分子の量は、ゲッター材料を含んでいない処理チャンバ中の基板からのガス放出分子の約10%以下まで低減される。1つまたは複数の特定の実施形態では、基板209からのガス放出一酸化炭素(CO)の量は、ゲッター材料を含んでいない処理チャンバ中の基板からのガス放出一酸化炭素(CO)の約10%以下まで低減される。
【0033】
図5は、本開示の1つまたは複数の実施形態による処理ツール300を示す。
図5に示された実施形態は、1つの可能な構成を表しているにすぎず、本開示の範囲を限定するものとして取られるべきでない。たとえば、いくつかの実施形態では、処理ツール300は、図示の実施形態とは異なる数の、処理チャンバ302、バッファステーション310、および/またはロボット308構成のうちの1つまたは複数を有する。
【0034】
例示的な処理ツール300は、複数の側面を有する処理チャンバ302、たとえば予洗浄チャンバを含む。図示されている処理チャンバ302は、第1の側面303aと、第2の側面303bと、第3の側面303cと、第4の側面303dとを有する。4つの側面が示されているが、たとえば、処理ツール300の全体的構成に応じて、処理チャンバ302にとって任意の好適な数の側面があり得ることを当業者は理解しよう。いくつかの実施形態では、処理チャンバ302は、3つの側面、4つの側面、5つの側面、6つの側面、7つの側面、または8つの側面を有する。
【0035】
処理チャンバ302の中には、ロボット308が配置されている。ロボット308は、処理中にウエハを移動させることが可能な任意の好適なロボットであり得る。いくつかの実施形態では、ロボット308は第1のアーム309aと第2のアーム309bとを有する。第1のアーム309aおよび第2のアーム309bは他方のアームから独立して移動され得る。第1のアーム309aおよび第2のアーム309bは、x-y平面において、および/またはz軸に沿って移動することができる。いくつかの実施形態では、ロボット308は第3のアーム(図示せず)または第4のアーム(図示せず)を含む。アームの各々は他のアームから独立して移動することができる。
【0036】
処理ツール300は、処理チャンバ302の第1の側面303aに接続された1つまたは複数のバッファステーション310をも含み得る。バッファステーション310は、同じまたは異なる機能を実行することができる。たとえば、バッファステーションは、処理され、元のカセットに戻されるウエハのカセットを保持し得るか、またはバッファステーションのうちの1つは、処理の後に他のバッファステーションに移動される未処理のウエハを保持し得る。いくつかの実施形態では、バッファステーションのうちの1つまたは複数は、処理の前および/または後にウエハを前処理、予熱、または洗浄するように構成される。
【0037】
処理ツール300は、処理チャンバ302とバッファステーション310との間の1つまたは複数のスリットバルブ312をも含み得る。スリットバルブ312は、処理チャンバ302内の内容積を隔離するために開閉することができる。たとえば、処理チャンバ302が処理中にプラズマを生成する場合、漂遊プラズマがトランスファーステーション中のロボットに損傷を与えるのを防ぐために、その処理チャンバのためのスリットバルブを閉じることが有用であり得る。
【0038】
ロボット308は、バッファステーション310中におよびバッファステーション310から外にウエハまたはカセットを移動させるために使用され得る。ウエハまたはカセットは、ロボット308によって処理ツール300内で移動され得る。1つまたは複数の実施形態では、ロボット308は、シャッターディスクを処理チャンバ302中におよび処理チャンバ302からバッファステーション310に移動させる。
【0039】
コントローラ314は、処理ツール300の動作を制御するために処理ツール300の様々な構成要素に与えられ、結合され得る。コントローラ314は、処理ツール300全体を制御する単一のコントローラであるか、または処理ツール300の個々の部分を制御する複数のコントローラであり得る。たとえば、処理ツール300は、処理チャンバ302と、バッファステーション310と、ロボット308との各々のための別個のコントローラを含み得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、処理チャンバ302は、複数の実質的に同一平面上の支持体表面304に接続されたコントローラ314をさらに備える。1つまたは複数の実施形態では、コントローラ314は基板支持アセンブリ304の移動速度を制御する。
【0041】
いくつかの実施形態では、コントローラ314は、中央処理ユニット(CPU)316と、メモリ318と、入出力(I/O)320と、サポート回路322とを含む。コントローラ314は、直接、または特定のプロセスチャンバおよび/またはサポートシステム構成要素に関連付けられたコンピュータ(またはコントローラ)を介して処理ツール300を制御し得る。
【0042】
コントローラ314は、様々なチャンバとサブプロセッサとを制御するために工業環境中で使用され得る任意の形態の汎用コンピュータプロセッサのうちの1つであり得る。メモリ318、またはコントローラ314のコンピュータ可読媒体は、ローカルまたはリモートの、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、光記憶媒体(たとえば、コンパクトディスクまたはデジタルビデオディスク)、フラッシュドライブ、または任意の他の形態のデジタルストレージなど、容易に入手可能なメモリのうちの1つまたは複数であり得る。メモリ318は、処理ツール300のパラメータと構成要素とを制御するためにプロセッサ(CPU316)によって動作可能である命令セットを保持することができる。
【0043】
サポート回路322は、従来の様式でプロセッサをサポートするためにCPU316に結合される。これらの回路は、キャッシュ、電源、クロック回路、入出力回路およびサブシステムなどを含む。プロセッサによって実行されるかまたは呼び出されたとき、プロセッサに本明細書で説明する様式で処理ツール300または個々の処理チャンバの動作を制御させるソフトウェアルーチンとして、1つまたは複数のプロセスがメモリ318に記憶され得る。ソフトウェアルーチンはまた、CPU316によって制御されるハードウェアから遠隔に位置する第2のCPU(図示せず)によって記憶および/または実行され得る。
【0044】
本開示のプロセスおよび方法のいくつかまたはすべてはハードウェアにおいても実行され得る。したがって、本プロセスは、ソフトウェアにおいて実装され、たとえば、特定用途向け集積回路または他のタイプのハードウェア実装として、ハードウェアにおいてコンピュータシステムを使用して実行されるか、またはソフトウェアとハードウェアとの組合せとして実装および実行され得る。ソフトウェアルーチンは、プロセッサによって実行されたとき、汎用コンピュータを、本プロセスが実行されるようにチャンバ動作を制御する特定目的コンピュータ(コントローラ)に変換する。
【0045】
いくつかの実施形態では、コントローラ314は、本方法を実行するために個々のプロセスまたはサブプロセスを実行するための1つまたは複数の構成を有する。コントローラ314は、本方法の機能を実行するために、中間構成要素に接続され、中間構成要素を動作させるように構成され得る。たとえば、コントローラ314は、ガスバルブ、アクチュエータ、モーター、スリットバルブ、真空制御、または他の構成要素のうちの1つまたは複数に接続され、それらを制御するように構成され得る。
【0046】
本明細書全体にわたる「一実施形態(one embodiment)」、「いくつかの実施形態(certain embodiments)」、「1つまたは複数の実施形態(one or more embodiments)」、または「実施形態(an embodiment)」への言及は、その実施形態に関して説明した特定の特徴、構造、材料、または特性が本開示の少なくとも1つの実施形態中に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体にわたる様々な場所における「1つまたは複数の実施形態では(in one or more embodiments)」、「いくつかの実施形態では(in certain embodiments)」、「一実施形態では(in one embodiment)」、または「一実施形態では(in an embodiment)」などのフレーズの出現は、必ずしも本開示の同じ実施形態を指しているとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の好適な様式で組み合わせられ得る。
【0047】
本明細書における開示について特定の実施形態を参照しながら説明したが、説明された実施形態は本開示の原理および適用例を示すものにすぎないことを当業者は理解しよう。本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、本開示の方法および装置に様々な改変および変形が行われ得ることが当業者に明らかになろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内である改変および変形を含み得る。