(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】プラズマ処理用途のためのパルス電圧源
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20240708BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20240708BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
H05H1/46 R
H01L21/302 101B
H01L21/31 C
H05H1/46 M
(21)【出願番号】P 2023504709
(86)(22)【出願日】2022-05-24
(86)【国際出願番号】 US2022030723
(87)【国際公開番号】W WO2022271383
(87)【国際公開日】2022-12-29
【審査請求日】2023-03-20
(32)【優先日】2021-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】キューべインズ, ファブリス
(72)【発明者】
【氏名】グリシン, ドミトリー
【審査官】佐藤 海
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/0407769(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0271317(US,A1)
【文献】国際公開第2020/095550(WO,A1)
【文献】特開2021-175250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/46
H01J 37/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
波形生成器において、
第1の電圧段であって、
第1の電圧源、
第1のスイッチ、及び
第2のスイッチを有
し、
前記第1の電圧源の第1の端子が、前記第1のスイッチの第1の端子に結合され、前記第1の電圧源の第2の端子が、前記第2のスイッチの第1の端子に結合され
、前記第2のスイッチの前記第1の端子が、前記波形生成器の出力ノードに結合され、前記波形生成器の前記出力ノードが、負荷に結合されている、
第1の電圧段
と、
前記第1のスイッチと前記第2のスイッチの第2の端子間の
第1のノードに結合された電流段であって、
容量素子、及び前記容量素子と直列に結合された誘導素子を備える、電流源、
並びに
前記電流源に結合された第3のスイッチを有する、
電流段
と、
第2の電圧段であって、
第2の電圧源、
第4のスイッチ、及び
第5のスイッチを有し、
前記第2の電圧源の第1の端子は、前記第4のスイッチの第1の端子に結合され、前記第2の電圧源の第2の端子は、前記第5のスイッチの第1の端子に結合され、前記第4のスイッチと前記第5のスイッチの第2の端子間の第2のノードは、前記電流段に結合されている、
第2の電圧段と
を備える、波形生成器。
【請求項2】
前記第1の電圧源は、容量素子を備える、請求項1に記載の波形生成器。
【請求項3】
第
3の電圧段を更に備え、
前記電流段は、前記第3の電圧段を介して前記第1のノードに結合され、前記第
3の電圧段は、
第
3の電圧源、
第
6のスイッチ、及び
第
7のスイッチを有し、前記第
3の電圧源の第1の端子は、前記第
6のスイッチの第1の端子に結合され、前記第
3の電圧源の第2の端子は、前記第
7のスイッチの第1の端子に結合され、前記第
6のスイッチと前記第
7のスイッチの第2の端子間の
第3のノード
が、前記電流段に結合され
、前記第7のスイッチの前記第1の端子が、前記第1のノードに結合されている、請求項1に記載の波形生成器。
【請求項4】
前記第1の電圧源は、第1の容量素子を備え、
前記第2の電圧源は、第2の容量素子を備え、
前記第3の電圧源は、第3の容量素子を備え、
前記波形生成器は、前記第1の容量素子、前記第2の容量素子、及び前記第3の容量素子を充電するように構成された1以上の充電回路を更に備える、請求項
3に記載の波形生成器。
【請求項5】
前記1以上の充電回路は、前記第3の容量素子を、前記第1の容量素子及び前記第2の容量素子よりも低い電圧に充電するように構成されている、請求項
4に記載の波形生成器。
【請求項6】
前記波形生成器の前記出力ノードは、処理チャンバに結合されている、請求項
1に記載の波形生成器。
【請求項7】
前記第3のスイッチの第1の端子と第2の端子との間に結合されたダイオードを更に備える、請求項1に記載の波形生成
器。
【請求項8】
前記ダイオードは、前記第3のスイッチの本体ダイオードを含む、請求項
7に記載の波形生成器。
【請求項9】
波形生成用の方法であって、
動作の第1のモード中に、複数のスイッチを制御することによって波形生成器の出力電流経路内に第1の電圧源を組み込むこと
、
動作の第2のモード中に、前記複数のスイッチを制御することによって、前記出力電流
経路内に電流源を組み込むこと
であって、前記電流源は、容量素子、及び前記容量素子と直列に結合された誘導素子を備える、電流源を組み込むこと、並びに
動作の第3のモード中に、前記複数のスイッチを制御することによって、前記出力電流経路内に第2の電圧源を組み込むこと
を含み、前記複数のスイッチは、
第1のスイッチ、
第2のスイッチであって、前記第1の電圧源の第1の端子が、前記第1のスイッチの第1の端子に結合され、前記第1の電圧源の第2の端子が、前記第2のスイッチの第1の端子に結合され
、前記第2のスイッチの前記第1の端子が、前記波形生成器の出力ノードに結合され、前記波形生成器の前記出力ノードが、負荷に結合されている、第2のスイッチ
、
前記電流源と並列に結合された第3のスイッチであって、前記第1のスイッチと前記第2のスイッチの第2の端子間の
第1のノードに結合されている第3のスイッチ
、
第4のスイッチ、及び
第5のスイッチであって、前記第2の電圧源の第1の端子は、前記第4のスイッチの第1の端子に結合され、前記第2の電圧源の第2の端子は、前記第5のスイッチの第1の端子に結合され、前記第4のスイッチと前記第5のスイッチの第2の端子間の第2のノードは、前記第3のスイッチに結合されている、第5のスイッチ
を含む、方法。
【請求項10】
前記出力電流経路内に前記第1の電圧源を組み込むことは、前記第1のスイッチを閉じること、前記第2のスイッチを開くこと、及び前記第3のスイッチを閉じることを含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記出力電流経路内に前記電流源を組み込むことは、前記第1のスイッチを閉じること、前記第2のスイッチを開くこと、及び前記第3のスイッチを開くことを含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項12】
前記動作の第1のモード中に、前記複数のスイッチを制御することによって、前記出力電流経路内に第
3の電圧源を組み込むことを更に含み、前記複数のスイッチは、
第
6のスイッチ、及び
第
7のスイッチを更に含み、
前記第
3の電圧源の第1の端子は、前記第
6のスイッチの第1の端子に結合され、
前記第
3の電圧源の第2の端子は、前記第
7のスイッチの第1の端子に結合され、
前記第
6のスイッチと前記第
7のスイッチの第2の端子間の
第3のノードは
、前記第3のスイッチに結合されている、請求項
9に記載の方法。
【請求項13】
前記出力電流経路内に前記第
3の電圧源を組み込むことは、前記第
6のスイッチを閉じること、及び前記第
7のスイッチを開くことを含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記出力電流経路内に前記第
2の電圧源を組み込むことは、前記第
4のスイッチを閉じ、前記第
5のスイッチを開くことを含み、
前記動作の第1のモード及び前記動作の第2のモード中に、前記第
4のスイッチが開かれ、前記第
5のスイッチが閉じている、請求項
9に記載の方法。
【請求項15】
波形生成用の装置であって、
メモリ、並びに
前記メモリに結合された1以上のプロセッサを備え、前記メモリ及び前記1以上のプロセッサは、
動作の第1のモード中に、複数のスイッチを制御することによって波形生成器の出力電流経路内に第1の電圧源を組み込むこと
、
動作の第2のモード中に、前記複数のスイッチを制御することによって、前記出力電流
経路内に電流源を組み込むこと
であって、前記電流源は、容量素子、及び前記容量素子と直列に結合された誘導素子を備える、電流源を組み込むこと、並びに
動作の第3のモード中に、前記複数のスイッチを制御することによって、前記出力電流経路内に第2の電圧源を組み込むこと
を実行するように構成され、前記複数のスイッチは、
第1のスイッチ、
第2のスイッチであって、前記第1の電圧源の第1の端子が、前記第1のスイッチの第1の端子に結合され、前記第1の電圧源の第2の端子が、前記第2のスイッチの第1の端子に結合され
、前記第2のスイッチの前記第1の端子が、前記波形生成器の出力ノードに結合され、前記波形生成器の前記出力ノードが、負荷に結合されている、第2のスイッチ
、
前記電流源と並列に結合された第3のスイッチであって、前記第1のスイッチと前記第2のスイッチの第2の端子間の
第1のノードに結合されている第3のスイッチ
、
第4のスイッチ、及び
第5のスイッチであって、前記第2の電圧源の第1の端子は、前記第4のスイッチの第1の端子に結合され、前記第2の電圧源の第2の端子は、前記第5のスイッチの第1の端子に結合され、前記第4のスイッチと前記第5のスイッチの第2の端子間の第2のノードは、前記第3のスイッチに結合されている、第5のスイッチ
を含む、装置。
【請求項16】
前記メモリ及び前記1以上のプロセッサは、前記第1のスイッチを閉じ、前記第2のスイッチを開き、前記第3のスイッチを閉じることによって、前記第1の電圧源を前記出力電流経路内に組み込むように構成され、
前記メモリ及び前記1以上のプロセッサは、前記第1のスイッチを閉じ、前記第2のスイッチを開き、前記第3のスイッチを開くことによって、前記電流源を前記出力電流経路内に組み込むように構成されている、請求項
15に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示の実施形態は、広くは、半導体デバイス製造に使用されるシステムに関する。特に、本開示の実施形態は、基板を処理するために使用されるプラズマ処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 高いアスペクト比のフィーチャを確実に生成することは、次世代の半導体デバイスにとって重要な技術課題の1つである。高いアスペクト比のフィーチャを形成する1つの方法は、基板表面上に形成されたパターニング済みマスク層内に形成された開口部を通して、基板の表面上に形成された材料に衝突させるために、プラズマ支援エッチングプロセスを使用する。
【0003】
[0003] 技術ノードが2nmに向けて進歩するにつれて、より高いアスペクト比を有するより小さいフィーチャの製造は、プラズマ処理のための原子精度を必要とする。半導体機器産業において、プラズマイオンが主要な役割を果たすエッチングプロセスでは、イオンエネルギー制御が常に困難である。典型的なプラズマ支援エッチングプロセスでは、処理チャンバ内に配置された静電チャック(ESC)上に基板が配置され、基板の上にプラズマが生成され、イオンが、プラズマからプラズマシース(すなわち、プラズマと基板の表面との間に生成された電子が枯渇した領域)を横切って基板に向けて加速される。正弦波のRF波形を使用してプラズマを励起し、プラズマシースを生成する従来のRF基板バイアス法では、これらのより小さなデバイスフィーチャサイズを望ましく生成することができなかった。最近、処理チャンバ内の1以上の電極への高電圧DCパルスの供給が、基板の表面の上に生成されるプラズマシースを望ましく制御するのに有用であり得ることが見出された。
【0004】
[0004] しかし、速い立ち上がり時間及び/又は速い立ち下がり時間を有する高電圧パルスを生成することは、困難である。例えば、高電圧パルス(例えば、>5kV)での速い立ち上がり時間及び/又は速い立ち下がり時間(例えば、<2.5μs)を実現するには、パルス立ち上がり及び/又は立ち下がりの勾配が、非常に急でなければならない(例えば、10V/s)。このような急な立ち上がり時間及び/又は立ち下がり時間は、特に静電容量の小さい負荷を駆動する回路では非常に困難である。このようなパルスは、標準的な電気部品を使用してコンパクトなやり方で、並びに/又は可変パルス幅、電圧、及び繰り返し率を有するパルスを用いて、並びに/又は例えばプラズマの生成などの容量性負荷を有する用途においては、生成することが特に困難である可能性がある。
【0005】
[0005] したがって、当技術分野では、基板上での所望なプラズマ支援プロセスの完了を可能にするパルス電圧源及びバイアス方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 本明細書で提供される複数の実施形態は、広くは、処理チャンバ内で基板をプラズマ処理するための装置、例えばプラズマ処理システム、及び方法を含む。
【0007】
[0007] 幾つか実施形態は、波形生成器を対象とする。波形生成器は、概して、第1の電圧段を含む。第1の電圧段は、第1の電圧源、第1のスイッチ、及び第2のスイッチを有する。その場合、第1の電圧源の第1の端子が、第1のスイッチの第1の端子に結合され、第1の電圧源の第2の端子が、第2のスイッチの第1の端子に結合されている。波形生成器はまた、第1のスイッチと第2のスイッチの第2の端子間の共通ノードに結合された電流段も含む。電流段は、電流源及び電流源に結合された第3のスイッチを有する。
【0008】
[0008] 幾つか実施形態は、波形生成用の方法を対象とする。該方法は、概して、動作の第1のモード中に、複数のスイッチを制御することによって波形生成器の出力電流経路内に第1の電圧源を組み込むこと、及び、動作の第2のモード中に、複数のスイッチを制御することによって、出力電流径路内に電流源を組み込むことを含む。複数のスイッチは、第1のスイッチ、第2のスイッチ、及び電流源と並列に結合された第3のスイッチを含む。第1の電圧源の第1の端子が、第1のスイッチの第1の端子に結合されている。第1の電圧源の第2の端子が、第2のスイッチの第1の端子に結合されている。第3のスイッチは、第1のスイッチと第2のスイッチの第2の端子間の共通ノードに結合されている。
【0009】
[0009] 幾つか実施形態は、波形生成用の装置を対象とする。該装置は、概して、メモリ、及びメモリに結合された1以上のプロセッサを含む。該メモリ及び1以上のプロセッサは、動作の第1のモード中に、複数のスイッチを制御することによって波形生成器の出力電流経路内に第1の電圧源を組み込むこと、及び、動作の第2のモード中に、複数のスイッチを制御することによって出力電流径路内に電流源を組み込むこと、を実行するように構成されている。複数のスイッチは、第1のスイッチ、第2のスイッチ、及び電流源と並列に結合された第3のスイッチを含む。第1の電圧源の第1の端子が、第1のスイッチの第1の端子に結合されている。第1の電圧源の第2の端子が、第2のスイッチの第1の端子に結合されている。第3のスイッチは、第1のスイッチと第2のスイッチの第2の端子間の共通ノードに結合されている。
【0010】
[0010] 本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約した本開示のより具体的な説明を、実施形態を参照することによって行うことができ、その幾つかを添付の図面に示す。しかし、添付図面は例示的な実施形態を示しているに過ぎず、したがって、本開示の範囲を限定すると見なすべきではなく、その他の等しく有効な実施形態も許容され得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】[0011] 本明細書で説明される方法を実施するように構成された、1以上の実施形態による処理システムの概略断面図である。
【
図2】[0012] 処理チャンバに関連付けられた浮遊容量及び基板支持体容量を示す。
【
図4】[0014] 本開示の特定の複数の実施形態によるパルス生成器(pulser)を示す。
【
図5A】[0015] 本開示の特定の複数の実施形態によるパルス生成器の動作の様々なモードを示す。
【
図5B】[0016] 本開示の特定の複数の実施形態による、動作の様々なモード中のパルス生成器のスイッチの状態を示すタイミング図である。
【
図6】[0017] 本開示の特定の複数の態様による、容量素子を充電するために使用される充電回路を示す。
【
図7】[0018] 本開示の特定の複数の実施形態による、波形生成の方法を示すプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0019] 本開示の特定の複数の態様は、概して、プラズマ処理システム用の電圧波形を生成するための技法を対象とする。基板のプラズマ処理中に、プラズマ処理チャンバ内に配置された電極に提供される電圧波形は、典型的には、シース崩壊段階及びイオン電流段階を含むように構成されることになる。シース崩壊段階は、処理チャンバ内に配置された基板支持体上に配置された基板の表面の上に生成されたシースを崩壊させるために使用される正電圧(例えば、100ボルト)を生成することによって実施されてよい。イオン電流段階中に、処理チャンバ内のイオンは、負電圧(例えば、-1600ボルト)を生成することによって流れ始めてよい。幾つかの実施形態では、波形のイオン電流段階中の電圧は、本明細書でより詳細に説明されるように、電流補償を実施するためにランプを有してよい。電圧波形は、波形生成器の出力電流経路内に様々な電圧源(例えば、容量素子)を選択的に組み込むことによって生成されてよい。
【0013】
プラズマ処理システムの複数の実施例
[0020]
図1は、本明細書で説明される複数のプラズマ処理方法のうちの1以上を実施するように構成された、処理システム10の概略断面図である。幾つか実施形態では、処理システム10が、反応性イオンエッチング(RIE)プラズマ処理などのプラズマ支援エッチングプロセス用に構成されている。しかし、本明細書で説明される複数の実施形態はまた、プラズマ堆積プロセス、例えば、プラズマ化学気相堆積(PECVD)プロセス、プラズマ物理的気相堆積(PEPVD)プロセス、プラズマ原子層堆積(PEALD)プロセス、プラズマ処理プロセス、又はプラズマベースのイオン注入プロセス(例えば、プラズマドーピング(PLAD)プロセス)などの、他のプラズマ支援プロセスで使用されるように構成された処理システムと共に使用されてよいことに留意されたい。
【0014】
[0021] 図示されているように、処理システム10は、容量結合プラズマ(CCP)を形成するように構成されている。その場合、処理チャンバ100が、処理空間129内に配置された上側電極(例えば、チャンバリッド123)を含む。上側電極は、これもまた処理空間129内に配置された下側電極(例えば、基板支持アセンブリ136)と対向する。典型的な容量結合プラズマ(CCP)処理システムでは、高周波(RF)源(例えば、RF生成器118)が、上側電極又は下側電極のうちの一方に電気的に結合され、プラズマ(例えば、プラズマ101)を点火して維持するように構成されたRF信号を供給する。この構成では、プラズマが、上側電極と下側電極の各々に容量結合され、それらの間の処理領域内に配置される。典型的には、上側電極又は下側電極のうちの他方が、接地又は第2のRF電源に結合される。支持ベース107などの基板支持アセンブリ136の1以上の構成要素が、プラズマ生成器アセンブリ163に電気的に結合される。プラズマ生成器アセンブリ163は、RF生成器118を含み、チャンバリッド123は、接地に電気的に結合されている。図示されているように処理システム10は、処理チャンバ100、支持アセンブリ136、及びシステムコントローラ126を含む。
【0015】
[0022] 処理チャンバ100は、典型的には、チャンバ本体113を含む。チャンバ本体113は、チャンバリッド123、1以上の側壁122、及びチャンバベース124を含む。それらは、集合的に処理空間129を画定する。1以上の側壁122及びチャンバベース124は、概して、処理チャンバ100の要素用の構造的支持を形成するようにサイズ決定され成形された材料であって、それらに印加される圧力及び更なるエネルギーに耐えるように構成された材料を含む。一方で、プラズマ101は、処理中に処理チャンバ100の処理空間129内で維持される減圧環境内で生成される。一実施例では、1以上の側壁122及びチャンバベース124が、アルミニウム、アルミニウム合金、又はステンレス鋼合金などの、金属から形成される。
【0016】
[0023] チャンバリッド123を貫通して配置されたガス入口128は、処理空間129に流体連通した処理ガス源119から、1種類以上の処理ガスを処理空間129に供給するために使用される。基板103は、1以上の側壁122のうちの1つ内の開口部(図示せず)を通して、処理空間129の中に装填され、処理空間129から取り出される。該開口部は、基板103のプラズマ処理中にスリットバルブ(図示せず)によって密封される。
【0017】
[0024] システムコントローラ126がまた、本明細書で処理チャンバコントローラとも呼ばれ、中央処理装置(CPU)133、メモリ134、及びサポート回路135を含む。システムコントローラ126は、基板103を処理するために使用されるプロセスシーケンス(本明細書で説明される基板バイアス方法を含む)を制御するために使用される。CPU133は、処理チャンバ及び処理チャンバと関連するサブプロセッサを制御するための、産業設定で使用されるように構成された汎用コンピュータプロセッサである。本明細書で説明されるメモリ134は、一般に不揮発性メモリであり、ランダムアクセスメモリ、リードオンリーメモリ、フロッピー若しくはハードディスクドライブ、又は他の適切な形態のデジタルストレージ(ローカル若しくはリモート)を含んでよい。サポート回路135は、従来からCPU133に結合されており、キャッシュ、クロック回路、入/出力サブシステム、電源など、及びこれらの組み合わせを備える。ソフトウェア指示命令(プログラム)及びデータが、CPU133内のプロセッサに指示命令するために符号化され、メモリ134内に記憶され得る。システムコントローラ126内のCPU133によって読み取り可能なソフトウェアプログラム(又はコンピュータ指示命令)は、どの作業が処理システム10内の構成要素によって実行可能であるかを特定する。
【0018】
[0025] 典型的には、プログラムが、システムコントローラ126内のCPU133によって読み取り可能であり、コードを含む。該コードは、プロセッサ(CPU133)によって実行されると、本明細書で説明されるプラズマ処理スキームに関連する作業を実行する。該プログラムは、指示命令を含んでよい。該指示命令は、処理システム10内の様々なハードウェア及び電気部品を制御するために使用される。それによって、本明細書で説明される方法を実施するために使用される、様々なプロセス作業及び様々なプロセスシーケンスを実行する。一実施形態では、プログラムが、
図7に関連して以下で説明される動作のうちの1以上を実行するために使用される指示命令を含む。
【0019】
[0026] 処理システムは、プラズマ生成器アセンブリ163、第1のパルス電圧(PV)波形をバイアス電極104において確立するための第1のPV源アセンブリ196、及び第2のPV波形をエッジ制御電極115において確立するための第2のPV源アセンブリ197を含んでよい。第1のPV波形又は第2のPV波形は、
図4、
図5A、及び
図5Bに関連して本明細書でより詳細に説明されるように、波形生成器を使用して生成されてよい。幾つかの実施形態では、プラズマ生成器アセンブリ163が、支持ベース107(例えば、電極又はカソード)にRF信号を供給する。支持ベース107は、基板支持アセンブリ136とチャンバリッド123との間に配置された処理領域内でプラズマ101を生成する(維持する及び/又は点火する)ために使用されてよい。幾つかの実施形態では、RF生成器118が、1MHz以上、又は約2MHz以上、例えば約13.56MHz以上などの、周波数を有するRF信号を供給するように構成される。
【0020】
[0027] 上述されたように、幾つかの実施形態では、プラズマ生成器アセンブリ163が、RF生成器118及びRF生成器アセンブリ160を含み、概して、システムコントローラ126から提供される制御信号に基いて、所望な量の連続波(CW)又はパルスRF電力を、所望の実質的に一定な正弦波形の周波数で、基板支持アセンブリ136の支持ベース107に供給するように構成されている。処理中に、プラズマ生成器アセンブリ163は、基板支持体105に近接して且つ基板支持アセンブリ136内に配置された支持ベース107に、RF電力(例えば、RF信号)を供給するように構成されている。支持ベース107に供給されるRF電力は、処理空間129内に配置された処理ガスの処理プラズマ101を点火し維持するように構成される。
【0021】
[0028] 幾つかの実施形態では、支持ベース107が、両方ともRF生成器アセンブリ160内に配置されている、RF整合回路162と第1のフィルタアセンブリ161を介して、RF生成器118に電気的に結合されたRF電極である。第1のフィルタアセンブリ161は、PV波形生成器150の出力によって生成された電流が、RF電力供給ライン167を通って流れ、RF生成器118に損傷を与えることを実質的に防止するように構成された1以上の電気素子を含む。第1のフィルタアセンブリ161は、PV波形生成器150内のPVパルス生成器P1から生成されるPV信号に対して高インピーダンス(例えば、高Z)として作用し、したがって、RF整合回路162及びRF生成器118への電流の流れを阻止する。
【0022】
[0029] 幾つかの実施形態では、RF生成器アセンブリ160及びRF生成器118が、処理空間129内に配置された処理ガス、及び、RF生成器118によって支持ベース107に供給されたRF電力(RF信号)によって生成された電場を使用して、処理プラズマ101を点火し維持するために使用される。処理空間129は、減圧出口120を介して1以上の専用減圧ポンプに流体結合されている。1以上の専用減圧ポンプは、処理空間129を準大気圧状態に維持し、処理空間129から処理ガス及び/又は他のガスを排気する。幾つかの実施形態では、処理空間129内に配置された基板支持アセンブリ136が、接地され且つチャンバベース124を貫通して延在する支持シャフト138上に配置される。しかし、幾つかの実施形態では、RF生成器アセンブリ160が、支持ベース107に対して基板支持体105内に配置されたバイアス電極104にRF電力を供給するように構成される。
【0023】
[0030] 短く上述されたように、基板支持アセンブリ136は、概して、基板支持体105(例えば、ESC基板支持体)及び支持ベース107を含む。幾つかの実施形態では、基板支持アセンブリ136が、以下で更に説明されるように、絶縁体プレート111及び接地プレート112を更に含み得る。支持ベース107は、絶縁体プレート111によってチャンバベース124から電気的に絶縁され、接地プレート112は、絶縁体プレート111とチャンバベース124との間に挿入されている。基板支持体105は、支持ベース107と熱的に結合され、支持ベース107上に配置されている。幾つかの実施形態では、支持ベース107が、基板処理中に、基板支持体105及び基板支持体105上に配置された基板103の温度を調節するように構成されている。
【0024】
[0031] 典型的には、基板支持体105が、誘電材料(例えば、耐食性金属酸化物材料又は金属窒化物材料などのバルク焼結セラミック材料)で形成され、これは、例えば、、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化チタン(TiO)、窒化チタン(TiN)、酸化イットリウム(Y2O3)、これらの混合物、又はこれらの組み合わせである。本明細書の複数の実施形態では、基板支持体105が、その誘電材料内に埋め込まれたバイアス電極104を更に含む。幾つかの実施形態では、バイアス電極104の上の処理領域内でプラズマ101を維持するために使用されるRF電力の1以上の特性が、バイアス電極104において確立されたRF波形を測定することによって特定及び/又はモニタされる。
【0025】
[0032] ある構成では、バイアス電極104が、基板103を基板支持体105の基板支持面105Aに固定(すなわち、チャック)するため、及び、本明細書で説明されるパルス電圧バイアススキームのうちの1以上を使用して、基板103を処理プラズマ101に対してバイアスするために使用される、チャッキングポールである。典型的には、バイアス電極104が、1以上の金属メッシュ、箔、プレート、又はこれらの組み合わせなどの、1以上の導電性部品で形成される。
【0026】
[0033] 幾つかの実施形態では、バイアス電極104が、クランピングネットワーク116と電気的に結合される。クランピングネットワーク116は、同軸電力供給ライン106(例えば、同軸ケーブル)などの電気導体を使用して、約-5000Vと約5000Vとの間の静的DC電圧などのチャッキング電圧を、バイアス電極104に提供する。以下で更に説明されるように、クランピングネットワーク116は、バイアス補償回路要素116A、DC電源155、及び本明細書でブロッキングキャパシタC5とも呼ばれるバイアス補償モジュールブロッキングキャパシタを含む。ブロッキングキャパシタC5は、パルス電圧(PV)波形生成器150の出力とバイアス電極104との間に配置されている。
【0027】
[0034] 基板支持アセンブリ136は、エッジ制御電極115を更に含んでよい。エッジ制御電極115は、エッジリング114の下方に配置され、バイアス電極104を取り囲み、及び/又は、バイアス電極104の中心から距離を置いて配置される。一般に、回路基板を処理するように構成された処理チャンバ100では、エッジ制御電極115が、環形状であり、導電性材料から作製され、バイアス電極104の少なくとも一部分を取り囲むように構成されている。
図1で示されているような幾つか実施形態では、エッジ制御電極115が、基板支持体105の領域内に配置される。幾つかの実施形態では、
図1で示されているように、エッジ制御電極115が、基板支持体105の基板支持面105Aから、バイアス電極104と同様な距離(すなわち、Z方向)に配置された、導電性メッシュ、箔、及び/又はプレートを含む。幾つかの他の実施形態では、エッジ制御電極115が、石英管110の領域上に又は石英管110の領域内に配置された、導電性メッシュ、箔、及び/又はプレートを含む。石英管110は、バイアス電極104及び/又は基板支持体105の少なくとも一部分を取り囲む代替的に、幾つかの他の実施形態(図示せず)では、エッジ制御電極115が、基板支持体105上に隣接して配置されるエッジリング114内に配置されるか、又はそれと結合される。この構成では、エッジリング114が、半導体又は誘電材料(例えば、AlNなど)から形成される。
【0028】
[0035] エッジ制御電極115は、バイアス電極104をバイアスするために使用されるPV波形生成器150とは異なるPV波形生成器を使用してバイアスをかけることができる。幾つかの実施形態では、エッジ制御電極115が、PV波形生成器150を使用してバイアスをかけられ得る。PV波形生成器150は、電力の一部をエッジ制御電極115に分割することによって、バイアス電極104をバイアスするためにも使用される。ある構成では、第1のPV源アセンブリ196の第1のPV波形生成器150が、バイアス電極104をバイアスするように構成され、第2のPV源アセンブリ197の第2のPV波形生成器150は、エッジ制御電極115をバイアスするように構成される。
【0029】
[0036] 電力供給ライン157は、第1のPV源アセンブリ196のPV波形生成器150の出力を、任意選択的なフィルタアセンブリ151及びバイアス電極104と電気的に接続する。以下の説明では主に、PV波形生成器150をバイアス電極104に結合するために使用される第1のPV源アセンブリ196の電力供給ライン157について説明するが、PV波形生成器150をエッジ制御電極115に結合する第2のPV源アセンブリ197の電圧供給ライン158は、同じ又は同様な構成要素を含むことになる。電圧供給ライン157の様々な部分内の(1以上の)電気導体は、以下のものを含む。すなわち、(a)剛性同軸ケーブルと直列に接続された可撓性同軸ケーブルなどの同軸ケーブルの1つ又は組み合わせ、(b)絶縁された高電圧コロナ抵抗性回路用電線、(c)裸線、(d)金属ロッド、(e)電気コネクタ、又は(f)(a)~(e)の電気素子の任意の組み合わせである。任意選択的なフィルタアセンブリ151は、RF生成器118の出力によって生成された電流が、電力供給ライン157を通って流れ、PV波形生成器150に損傷を与えることを実質的に防止するように構成された1以上の電気素子を含む。任意選択的なフィルタアセンブリ151は、RF生成器118によって生成されたRF信号に対する高インビーダンス(例えば、高Z)として作用し、したがって、PV波形生成器150への電流の流れを阻止する。
【0030】
[0037] 第2のPV源アセンブリ197は、クランピングネットワーク116を含む。それによって、エッジ制御電極115に印加されるバイアスは、第1のPV源アセンブリ196内に結合されたクランピングネットワーク116によってバイアス電極104に印加されるバイアスと同様に構成され得る。同様に構成されたPV波形及びクランピング電圧をバイアス電極104及びエッジ制御電極115に印加することは、処理中の基板の表面にわたるプラズマの均一性を改善するのに役立ち、したがって、プラズマ処理プロセスの結果を改善することができる。
【0031】
[0038] 幾つかの実施形態では、処理チャンバ100が、石英管110又はカラーを更に含む。それらは、基板支持体105及び/又は支持ベース107が、腐食性の処理ガス若しくはプラズマ、洗浄ガス若しくはプラズマ、又はこれらの副生成物と接触することを防止するために、基板支持アセンブリ136の部分と少なくとも部分的に外接する。典型的には、石英管110、絶縁体プレート111、及び接地プレート112が、ライナ108によって外接される。幾つかの実施形態では、プラズマスクリーン109が、カソードライナ108と側壁122との間に配置されて、ライナ108と1以上の側壁122との間のプラズマスクリーン109の下方の空間内にプラズマが生成するのを防止する。
【0032】
処理チャンバの例示的な代表的回路
[0039]
図2は、処理チャンバに関連付けられた浮遊容量及びエスケープ容量(escape capacitance)を示している。浮遊容量204(C
stray)は、処理チャンバの電極と接地との間の静電容量を表し、基板支持体容量202はまた、本明細書で静電チャック容量(C
esc)とも呼ばれ、バイアス電極104と基板支持面105Aとの間の静電容量を表している。図示されているように、C
escは、出力ノード(U
outと符号が付けられている)と抵抗素子206によって表される負荷との間に結合されている。本明細書でより詳細に説明されるように、負荷(例えば、ノードU
load)での電圧パルスが方形になるように、C
escの両端間の電圧とC
strayの両端間の電圧(例えば、U
outでの電圧)に勾配を持たせる。C
strayに流れる電流(例えば補償電流(I
comp))は、C
escに流れる負荷電流(I
load)にC
strayの静電容量とC
escの静電容量の比を乗じたものと等しくてよい。出力電流(I
out)は、I
loadとI
compの和に等しく、次の数式で表すことができる。すなわち、
Iout=Iload(1+Cstray/Cesc)
【0033】
処理チャンバ用の例示的な電圧波形
[0040]
図3Aは、
図1で示されている電極104のような、処理チャンバ内に配置された電極において確立されてよい電圧波形を示している。波形は、2つの段階、すなわちイオン電流段階とシース崩壊段階を含む。イオン電流段階の開始時に、ウエハ電圧の降下が、基板の上方に高電圧シースを生成し、正イオンを基板103に加速させる。正イオンは、基板表面上に正電荷を置き、徐々に基板電圧を正に上昇させる傾向がある。方形波が供給されると、基板に向かうイオン電流により、基板電圧の正の勾配が生じる(例えば、
図2で示されているU
loadにおいて)。
図3Cで示されているように、負荷に対する(例えば、U
loadにおける)電圧パルスを方形にするために、
図3Aで示されているように、イオン電流段階中にU
outにおける電圧に勾配を持たせ、それを用いて、
図3Bで示されているように、静電チャック容量素子C
escの両端間の電圧を生成する。イオン電流段階中の電極104においてと静電チャック容量C
escとに勾配を持たせることは、概して電流補償と呼ばれ、この段階中のU
loadにおいて見られる一定の電圧を生成するために使用される。イオン電流フェーズの開始と終了との間の電圧差は、イオンエネルギー分布関数(IEDF)幅を決定する。電圧差が大きいほど、イオンのエネルギー分布が広くなり、したがって、IEDF幅が広くなる。単一エネルギーのイオン及びより狭いIEDF幅を実現するために、電流補償動作が実行されて、イオン電流フェーズ中の基板電圧波形を平坦化する。幾つかの実施形態では、電圧波形が、約50kHzと1000kHzの間の周波数(1/T
P)で供給され得る。幾つかの実施形態では、電極において確立される電圧波形が、イオン電流期間(例えば、イオン電流段階の長さ)と波形期間T
P(例えば、シース崩壊段階の長さ+イオン電流段階の長さ)との比として規定されるオンタイムを有する。オンタイムは、50%を超える、又は70%を超える、例えば80%以上且つ95%以下である。幾つかの実施形態では、電圧波形が、期間(T
P)(例えば、約2.5μs)を有する波形周期を有し、約100マイクロ秒(μs)と約10ミリ秒(ms)との間のバースト期間を有する波形バースト内で連続的に繰り返される。PV波形のバーストは、約5%~100%の間、例えば約50%~約95%の間であるバーストデューティサイクルを有し得る。このデューティサイクルは、バースト期間を、バースト期間とバースト期間を分離する非バースト期間(すなわち、PV波形が生成されない)とを足したもので割った比である。図示されているように、シース崩壊段階は、約200nsであってよいT
SHの持続時間を有してよい。
【0034】
[0041]
図4は、本開示の特定の複数の実施形態による、パルス生成器(pulser)400(本明細書で波形生成器とも呼ばれる)を示している。図示されているように、パルス生成器400は、パルス容量素子402、404、406、及び408(C1、C3、C4、及びC6と符号が付けられている)、ならびにトランジスタ410、412、414、416、418、420、422(トランジスタQ1、Q2、Q3、Q4、Q6、Q10、及びQ12と符号が付けられている)を含んでよい。トランジスタ410、412、414、416、418、420、422(本明細書でスイッチとも呼ばれる)は、並列ダイオード(例えば、本体ダイオード)を有する電力トランジスタ(例えば、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET))であってよい。トランジスタ410、412、414、416、418、420、422は、本明細書でより詳細に説明されるように、パルス生成器用の電流経路(出力電流経路とも呼ばれる)を選択するために使用されてよい。容量素子402、404、406、及び408は、
図6で示されている回路などの充電回路を使用して充電されてよい電圧ストレージ素子として機能してよい。
図4、
図5A、及び
図6で示されている容量素子は、実質的に電圧源として作用している。例示的なパルス生成器400は、理解を容易にするために容量素子を示しているが、任意の適切な電圧源が使用されてよい。
【0035】
[0042] 抵抗素子424(R1と符号が付けられている)は、負荷426に結合されたパルス生成器の内部直列抵抗素子を表している。負荷426は、プラズマ処理チャンバ内で生成されたプラズマであってよく、容量素子428(C2と符号が付けられている)と抵抗素子430(R2と符号が付けられている)で表されてよい。図示されているように、容量素子402及びトランジスタ410、412は、第1の電圧段440を形成し、容量素子404及びトランジスタ414、416は、第2の電圧段442を形成する。パルス生成器400はまた、容量素子406、トランジスタ418、及び誘導素子450を有する電流段444、ならびに容量素子408及びトランジスタ420、422を有する第3の電圧段446も含む。パルス生成器400には、3つの電圧段が実装されているが、本開示の複数の態様には、1つ、2つ、又は4つ以上の電圧段が実装されてよい。パルス生成器400の幾つかの実施形態では、電圧段のうちの1以上が、第1の電圧段440、2つ以上の第2の電圧段442、電流段444、及び第3の電圧段446を含む一構成など、1回以上重複してよい。その場合、2つ以上の第2の電圧段442は、第1の電圧段440と電流段444との間で直列に接続される。
【0036】
[0043] 図示されているように、容量素子402、404、406、及び408の各々は、実施されている波形に応じて、特定の電圧に充電されてよい。例えば、容量素子402、404、406は、800ボルトに充電され、容量素子408は、100ボルトに充電される。幾つかの実施態様では、容量素子402、404、406、408が、種々の実施態様に適切な波形用の種々の電圧レベルを実施するために、より高い又はより低い電圧に充電されてよい。幾つかの実施形態では、電圧段440、442、446、及び電流段444の各々が、故障の場合の交換を容易にするためのモジュール設計を有してよい。
図3Aで示されている波形を生成するためのパルス生成器400の動作が、
図5に関連してより詳細に説明される。
【0037】
[0044]
図5Aは、本開示の特定の複数の実施形態によるパルス生成器400の動作の様々なモードを示している。
図5Aで示されている動作502、504、506の様々なモード及び回路素子に関連付けられた電圧の大きさは、パルス波形の生成中に確立されてよい電圧の複数の例を提供することを企図し、本明細書で提供される本開示の範囲を制限することを企図するものではない。
図5Bは、トランジスタ410、412、414、416、418、420、422(例えば、トランジスタQ1、Q2、Q3、Q4、Q6、Q10、及びQ12)の各々の状態を示しているタイミング図である。シース崩壊段階中の、U
outにおける電圧を一実施例として100ボルトに設定してよい。シース崩壊段階からイオン電流段階へ移行するために、トランジスタQ1、Q3、Q5、及びQ7がオンにされ、トランジスタQ2、Q4、Q6がオフにされて、動作502のモードによって示されているように、100ボルトから-1600ボルトまでの電圧降下を実施してよい。トランジスタQ1、Q3、Q5、及びQ7をオンにし、トランジスタQ2、Q4、Q6をオフにすると、図示されているように、パルス生成器の出力電流経路内に容量素子402、404が実質的に組み込まれる。動作502のモードでは、I
outが、接地から容量素子C2、C1、トランジスタQ1、容量素子C3、並びにトランジスタQ3、Q5、及びQ7を経由して流れる。容量素子C1、C3は、U
outにおける電圧を-1600ボルト(例えば、容量素子C1から-800ボルト、容量素子C3から-800ボルト)に設定する。イオン電流段階中に、-1600ボルトを実施するために2つの電圧段が使用され、各電圧段は-800ボルトを提供するが、単一の電圧段が使用されてもよい。例えば、単一の電圧段の容量素子が、イオン電流段階中にU
outにおいて-1600ボルトを提供するように、1600ボルトに充電されてよい。図示されているように、動作502のモード中に、I
outが、トランジスタQ5の並列ダイオード(例えば、本体ダイオード)の両端間で流れ、トランジスタQ7の両端間を流れて接地に戻る。トランジスタQ5がオンされると、電流560が、容量素子C4、誘導素子L1を通って、トランジスタQ5のドレインからソースへループ状に流れる。
【0038】
[0045] U
outにおける電圧が、-1600ボルトに到達すると、動作504のモードが実施されてよい。動作504のモード中に、容量素子C4及び誘導素子L1を用いて実装された電流源が、パルス生成器400の出力電流経路内に組み込まれてよい。図示されているように、トランジスタQ5はオフにされてよく、I
outは、容量素子C4及び誘導素子L1の両端間で流れ始めることになる(例えば、動作502のモード中にトランジスタQ5の並列ダイオードを通る代わりに)。容量素子C4及び誘導素子L1は、
図3Aに関連して説明されたように、イオン電流補償のためにイオン電流段階中に勾配を持たせるようにU
outにおける電圧を実質的に徐々に低減させる電流源を実装する。例えば、イオン電流段階中に、U
outにおける電圧は、-1600ボルトから-2400ボルトへ低下してよい。
【0039】
[0046] U
outにおける電圧が、-2400ボルトに到達すると、動作506のモードが実施されてよい。動作506のモード中に、容量素子C6が、パルス生成器400の出力電流経路内に組み込まれてよい。図示されているように、動作506のモード中に、トランジスタQ1、Q3、及びQ7はオフにされ、トランジスタQ2、Q4、Q5、Q6はオンにされてよい。したがって、I
outは、容量素子C6、トランジスタQ6、Q5、Q4、Q2、及び容量素子C2を通って流れる。説明されたように、容量素子C6は、100ボルトに充電されてよい。したがって、
図3Aに関連して説明されたように、動作506のモードは、シース崩壊段階中にU
outにおいて100ボルトを実施する。言い換えれば、I
outは、動作502、504のモード(例えば、イオン電流段階中)と比較して、動作506のモード(例えば、シース崩壊段階中)では逆方向に流れる。それによって、シース崩壊段階中には正の電圧(例えば、100ボルト)が実施され、イオン電流段階中には負の電圧(例えば、-1600ボルトから-2400ボルトの間)が実施される。
【0040】
[0047]
図6は、本開示の特定の複数の態様による、容量素子612を充電するために使用される充電回路600を示している。容量素子612は、容量素子402、404、406、及び408のうちのいずれか1つに対応してよい。言い換えると、本明細書で説明されるように、容量素子402、404、406、及び408の各々に対して、充電回路(例えば、充電回路600と同様な)が実装されて、容量素子をそれらのそれぞれの電圧に充電してよい。充電回路600は、直流(DC)電圧を交流(AC)電圧に変換するためのインバータ602を含んでよい。AC電圧は、変圧器604の一次巻線606に提供されてよい。変圧器は、一次巻線606におけるAC電圧よりも高い電圧を有する二次巻線608におけるAC電圧を生成してよい。例えば、容量素子402を充電するために、二次巻線608におけるAC電圧は、800ボルトのピーク電圧を有してよい。二次巻線608のAC電圧は、整流器610に提供されて、容量素子612を充電するために用いられるDC信号を生成してよい。
【0041】
[0048]
図7は、本開示の特定の複数の実施形態による、波形生成の方法700を示しているプロセスフロー図である。方法700は、パルス生成器400などの波形生成器及び/又はシステムコントローラ126などの制御回路を含む、波形生成システムによって実行されてよい。
【0042】
[0049] 作業702では、波形生成システムが、動作の第1のモード(例えば、動作502のモード)中に、複数のスイッチを制御することによって、波形生成器(例えば、パルス生成器400)の出力電流経路内に第1の電圧源(例えば、容量素子402)を組み込む。作業704では、波形生成システムが、動作の第2のモード(例えば、動作504のモード)中に、複数のスイッチを制御することによって、出力電流経路内に電流源(例えば、誘導素子450及び容量素子406)を組み込む。
【0043】
[0050] 幾つかの実施形態では、複数のスイッチが、第1のスイッチ(例えば、トランジスタ410又はトランジスタ414)及び第2のスイッチ(例えば、トランジスタ412又はトランジスタ416)を含む。第1の電圧源(例えば、容量素子402又は容量素子404)の第1の端子が、第1のスイッチの第1の端子に結合され、第1の電圧源の第2の端子が、第2のスイッチの第1の端子に結合される。幾つかの実施形態では、複数のスイッチがまた、電流源と並列に結合された第3のスイッチ(例えば、トランジスタ418)も含む。第3のスイッチは、第1のスイッチと第2のスイッチの第2の端子間の共通ノードに結合されてよい。幾つかの実施形態では、出力電流経路内に第1の電圧源を組み込むことが、第1のスイッチを閉じること、第2のスイッチを開くこと、及び第3のスイッチを閉じることを含んでよい。出力電流経路内に電流源を組み込むことは、第1のスイッチを閉じること、第2のスイッチを開くこと、及び第3のスイッチを開くことを含んでよい。
【0044】
[0051] 幾つかの実施形態では、波形生成システムが、動作の第1のモード(例えば、動作502のモード)中に、複数のスイッチを制御することによって、出力電流経路内に第2の電圧源(例えば、容量素子404)を組み込む。複数のスイッチは、第4のスイッチ(例えば、トランジスタ414)及び第5のスイッチ(例えば、トランジスタ416)を更に含んでよい。第2の電圧源の第1の端子は、第4のスイッチの第1の端子に結合されてよく、第2の電圧源の第2の端子は、第5のスイッチの第1の端子に結合されてよく、第4のスイッチと第5のスイッチの第2の端子間の共通ノードは、第2のスイッチ(例えば、トランジスタ412)又は第3のスイッチ(例えば、トランジスタ418)に結合されてよい。幾つかの実施形態では、出力電流経路内に第2の電圧源を組み込むことが、第4のスイッチを閉じること、及び第5のスイッチを開くことを含んでよい。
【0045】
[0052] 幾つかの実施形態では、波形生成システムがまた、動作の第3のモード(例えば、動作506のモード)中に、複数のスイッチを制御することによって、出力電流経路内に第3の電圧源(例えば、容量素子408)も組み込む。複数のスイッチは、第6のスイッチ(例えば、トランジスタ420)及び第7のスイッチ(例えば、トランジスタ422)を含んでよい。第3の電圧源の第1の端子は、第6のスイッチの第1の端子に結合されてよく、第3の電圧源の第2の端子は、第7のスイッチの第1の端子に結合されてよく、第6のスイッチと第7のスイッチの第2の端子間の共通ノードは、第3のスイッチ(例えば、トランジスタ418)に結合されてよい。幾つかの実施形態では、出力電流経路内に第3の電圧源を組み込むことが、第6のスイッチを閉じること、及び第7のスイッチを開くことを含んでよい。動作の第1のモード及び動作の第2のモード中に、第6のスイッチは開かれてよく、第7のスイッチは閉じられてよい。幾つかの実施形態では、第1の電圧源又は第2の電圧源に関連付けられた電圧(例えば、600ボルト)が、第3の電圧源に関連付けられた電圧(例えば、100ボルト)よりも大きい。
【0046】
[0053] 「結合された」という用語は、本明細書では、2つの物体間の直接的又は間接的な結合を指すために使用される。例えば、物体Aが物体Bと物理的に接触し、物体Bが物体Cと物理的に接触している場合、物体AとCとが直接的に物理的に接触していなくても、物体AとCとは、互いに結合されたと見なされてよい。例えば、第1の物体が第2の物体と直接的に物理的に接触していなくても、第1の物体は第2の物体と結合されてよい。
【0047】
[0054] 以上の記述は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱せずに本開示の他の実施形態及び更なる実施形態が考案されてよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって規定される。