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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】エッチング剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C09K 13/00 20060101AFI20240708BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
C09K13/00
H01L21/306 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023518104
(86)(22)【出願日】2021-09-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-11
(86)【国際出願番号】 US2021051333
(87)【国際公開番号】W WO2022066656
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-06-02
(31)【優先権主張番号】63/081,745
(32)【優先日】2020-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】スウ,チア-ジャン
【審査官】中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-017732(JP,A)
【文献】特表2009-515055(JP,A)
【文献】特表2010-524208(JP,A)
【文献】国際公開第2016/068182(WO,A1)
【文献】特開2019-165225(JP,A)
【文献】特表2016-527707(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K13/00-13/12
H01L21/306-21/467
C11D1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.以下を含む溶媒組成物と、
i.水、
ii.水混和性有機溶媒、
iii.N-メチルモルホリン-N-オキシド、及び
iv.ジメチルスルホン、
b.酸化剤と、
c.キレート剤と、
d.腐食防止剤と、
e.少なくとも1つのエッチング剤又はpH調整剤と、を含む組成物であって、
エッチング剤又はpH調整剤が、水酸化コリン及び水酸化アンモニウムから選択される、組成物
【請求項2】
水混和性溶媒が、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及びジエチレングリコールモノエチルエーテル又はそれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
腐食防止剤が、ベンゾトリアゾール及びリン酸から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、他の材料の存在下で窒化チタン及び/又はフォトレジストエッチング残留物を選択的にエッチングするための組成物及びプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
フォトレジストマスクは、半導体又は誘電体などの材料をパターニングするために半導体産業において一般的に使用されている。一用途では、フォトレジストマスクをデュアルダマシンプロセスで使用して、マイクロ電子デバイスのバックエンドメタライゼーションに相互接続を形成する。デュアルダマシンプロセスは、銅層などの金属導体層を覆う低k誘電体層上にフォトレジストマスクを形成することを含む。次いで、低k誘電体層をフォトレジストマスクに従ってエッチングして、金属導体層を露出させるビア及び/又はトレンチを形成する。デュアルダマシン構造として一般に知られているビア及びトレンチは、通常、2つのリソグラフィ工程を使用して画定される。次いで、導電性材料がビア及び/又はトレンチ内に堆積されて相互接続を形成する前に、フォトレジストマスクが低k誘電体層から除去される。
【0003】
マイクロ電子デバイスのサイズが小さくなるにつれて、ビア及びトレンチの限界寸法を達成することがより困難になる。したがって、金属ハードマスクは、ビア及びトレンチのより良好なプロファイル制御を提供するために使用される。金属ハードマスクは、チタン又は窒化チタンで作製することができ、デュアルダマシン構造のビア及び/又はトレンチを形成した後、ウェットエッチングプロセスによって除去される。ウェットエッチングプロセスは、下地の低k誘電体材料に影響を及ぼすことなく金属ハードマスク及び/又はフォトレジストエッチング残留物を効果的に除去する除去化学物質を使用することが不可欠である。言い換えれば、除去化学作用は、低k誘電体層に対して金属ハードマスクに対して高度に選択的であることが要求される。
【0004】
したがって、ハードマスクのエッチング速度を損なうことなく、存在する低k誘電体層、ならびに銅及び酸化アルミニウムに対してハードマスク材料を選択的に除去するための改善された組成物が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
要約すると、本発明は、他の材料の存在下で窒化チタン及び/又はフォトレジストエッチング残留物を選択的にエッチングするための組成物及びプロセスを提供する。一態様では、本発明は、
a.以下を含む溶媒組成物と、
i.水、
ii.水混和性有機溶媒、
iii.N-メチルモルホリン-N-オキシド、及び
iv.ジメチルスルホン、
b.酸化剤と、
c.キレート剤と、
d.腐食防止剤と、
e.少なくとも1つのエッチング剤又は少なくとも1つのpH調整剤と、を含む、組成物を提供する。
【0006】
他の態様では、本発明は、マイクロ電子デバイス上に存在する低k誘電体層に対してハードマスク層及び/又はフォトレジストエッチング残留物を選択的にエッチングする方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
一般に、本発明は、存在する低k誘電体層に対してハードマスク層及び/又はフォトレジストエッチング残留物を選択的にエッチングするための組成物及びプロセスに関する。より具体的には、本発明は、低k誘電体層に対して窒化チタン及び/又はフォトレジストエッチング残留物を選択的にエッチングするための組成物及びプロセスに関する。マイクロ電子デバイス上に存在し得る他の材料は、前記組成物によって実質的に除去又は腐食されるべきではない。
【0008】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、「又は」という用語は、一般に、その内容が明らかにそうでないことを指示しない限り、「及び/又は」を含む意味で使用される。
【0009】
用語「約」は、一般に、列挙された値と等価である(例えば、同じ機能又は結果を有する)と考えられる数の範囲を指す。多くの場合、「約」という用語は、最も近い有効数字に丸められた数字を含むことができる。
【0010】
端点を使用して表される数値範囲は、その範囲内に包含される全ての数を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4及び5を含む)。
【0011】
参照を容易にするために、「マイクロ電子デバイス」という用語は、半導体基板、フラットパネルディスプレイ、相変化メモリデバイス、ソーラーパネル、ならびに太陽電池デバイス、光起電力、及びマイクロ電子、集積回路、エネルギー収集、又はコンピュータチップ用途で使用するために製造された微小電気機械システム(MEMS)を含む他の製品に対応する。「マイクロ電子デバイス、」、「マイクロ電子基板」、及び「マイクロ電子デバイス構造体」という用語は、決して限定することを意味するものではなく、最終的にマイクロ電子デバイス又はマイクロ電子アセンブリになるであろう任意の基板又は構造を含むことを理解されたい。マイクロ電子デバイスは、パターニング、ブランケット、及び/又は制御及び/又は試験デバイスとすることができる。
【0012】
本明細書で使用される「ハードマスクキャッピング層」は、プラズマエッチング工程中に誘電体材料を保護するために誘電体材料の上に堆積される材料に対応する。ハードマスクキャッピング層は、従来、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、窒化チタン、酸窒化チタン、チタン及び他の同様の化合物である。
【0013】
本明細書で使用される場合、「窒化チタン」及び「TiN」は、純粋な窒化チタン、ならびに様々な化学量論及び酸素含有量(TiO)を含む不純な窒化チタンに対応する。
【0014】
本明細書で定義される場合、「低k誘電体材料」は、層状マイクロ電子デバイスにおいて誘電体材料として使用される任意の材料に対応し、材料は、約3.5未満の誘電率を有する。特定の実施形態では、低k誘電体材料は、ケイ素含有有機ポリマー、ケイ素含有ハイブリッド有機/無機材料、有機ケイ酸塩ガラス(OSG)、TEOS、フッ素化ケイ酸塩ガラス(FSG)、二酸化ケイ素、及び炭素ドープ酸化物(CDO)ガラスなどの低極性材料を含む。低k誘電体材料は、様々な密度及び様々な多孔度を有し得ることを理解されたい。
【0015】
本明細書で使用される場合、「フォトレジストエッチング残留物」という用語は、フォトレジスト材料、又はエッチング若しくはアッシング工程後のフォトレジストの副産物である材料を含む任意の残留物に対応する。
【0016】
第1の態様では、本発明は、
a.以下を含む溶媒組成物と、
i.水、
ii.水混和性有機溶媒、
iii.N-メチルモルホリン-N-オキシド、及び
iv.ジメチルスルホン、
b.酸化剤と、
c.キレート剤と、
d.腐食防止剤と、
e.少なくとも1つのエッチング剤又はpH調整剤と、を含む、組成物を提供する。
【0017】
別の実施形態では、本発明は、成分a.~e.からなるか、又はそれらから本質的になる。
【0018】
本発明の組成物は、窒化チタン及び/又はフォトレジストエッチング残留物を選択的に除去するのに有用である。一実施形態では、組成物は、誘電体層上の金属ハードマスク及び/又はフォトレジストエッチング残留物を除去し、誘電体層に対して高度に選択的であるウェットエッチング溶液である。別の実施形態では、組成物は、低k誘電体材料に対して高度に選択的な窒化チタン層及び/又はフォトレジストエッチング残留物を除去するウェットエッチング溶液である。
【0019】
一実施形態では、組成物のpHは、約5~約12の範囲である。
【0020】
一実施形態では、酸化剤としては、過酸化水素H、FeCl、FeF、Fe(NO、Sr(NO、CoF、MnF、オキソン(2KHSO・KHSO・KSO)、過ヨウ素酸、ヨウ素酸、酸化バナジウム(V)、酸化バナジウム(IV,V)、バナジン酸アンモニウム、多原子アンモニウム塩(例えば、ペルオキソ一硫酸アンモニウム、亜塩素酸アンモニウム(NHClO)、塩素酸アンモニウム(NHClO)、ヨウ素酸アンモニウム(NHIO)、硝酸アンモニウム(NHNO)、過ホウ酸アンモニウム(NHBO)、ホウ酸アンモニウム[(NH]、五ホウ酸アンモニウム[(NH)B]、又は、以上のホウ酸塩化合物と過酸化水素の組み合わせ、
過塩素酸アンモニウム(NHClO)、過ヨウ素酸アンモニウム(NHIO)、過硫酸アンモニウム[(NH]、次亜塩素酸アンモニウム(NHClO)、タングステン酸アンモニウム[(NH10(W)]、過酸化水素と組み合わせた二塩基性リン酸アンモニウム[(NHHPO]、過酸化水素と組み合わせた一塩基性リン酸アンモニウム[(NH)HPO]、過酸化水素と組み合わせたリン酸、多原子ナトリウム塩(例えば、過硫酸ナトリウム(Na)、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)、過ホウ酸ナトリウム)、多原子カリウム塩(例えば、ヨウ素酸カリウム(KIO)、過マンガン酸カリウム(KMnO)、過硫酸カリウム、硝酸(HNO)、過硫酸カリウム(K)、次亜塩素酸カリウム(KClO))、テトラメチルアンモニウム又はテトラアルキルアンモニウム多原子塩(例えば、亜塩素酸テトラメチルアンモニウム[(N(CH)ClO]、塩化テトラメチルアンモニウム[(N(CH)ClO]、ヨウ化テトラメチルアンモニウム[(N(CH)IO]、過ホウ酸テトラメチルアンモニウム[(N(CH)BO]、過塩素酸テトラメチルアンモニウム[(N(CH)ClO]、過ヨウ素酸テトラメチルアンモニウム[(N(CH)IO]、過硫酸テトラメチルアンモニウム[(N(CH)S]、ペルオキソ一硫酸テトラブチルアンモニウム、ペルオキソ一硫酸、硝酸第二鉄[Fe(NO]、尿素過酸化水素[(CO(NH)H]、過ギ酸[H(CO)OOH]、過酢酸[CH(CO)OOH]、過酪酸[CHCH(CO)OOH]、過安息香酸、ペルオキシトリフルオロ酢酸[CF(CO)OOH]、又は酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、又は過酸化水素1,4-ベンゾキノンと組み合わせたそれらの塩、トルキノン、ジメチル-1,4-ベンゾキノン、クロラニル、アロキサン、N-メチルモルホリンN-オキシド、トリメチルアミンN-オキシド及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。酸化剤が塩である場合、それは水和又は無水であり得る。酸化剤は、組成物をデバイスウェハに導入する前に、あるいはデバイスウェハ、すなわちin situで、製造業者において組成物に導入されてもよい。一実施形態では、組成物の酸化剤は過酸化水素を含む。別の実施形態では、酸化剤は、過酸化水素、強塩基を有する過酸化水素(例えば、TMAH、(2-ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヨウ素酸アンモニウム(NHIO)、過ヨウ素酸アンモニウム(NHIO)、二塩基性リン酸アンモニウム[(NHHPO]、一塩基性リン酸アンモニウム[(NH)HPO]、又は過酸化水素と組み合わせた1つ以上のリン酸塩、過酢酸[CH(CO)OOH]、ペルオキシトリフルオロ酢酸[CF(CO)OOH]、過ギ酸[H(CO)OOH]、過酢酸[CH(CO)OOH]、過酪酸[CHCH(CO)OOH]、ペルオキシトリフルオロ酢酸[CF(CO)OOH]、又は酢酸、ギ酸、過酸化水素と組み合わせたトリフルオロ酢酸を含む。酸化剤がヨウ素酸塩又は過ヨウ素酸塩を含む場合、ヨウ素脱除剤が好ましくは除去組成物に添加される。理論に拘束されることを望むものではないが、ヨウ素酸塩又は過ヨウ素酸塩が減少すると、ヨウ素が蓄積し、銅エッチングの速度が増加すると考えられる。ヨウ素脱除剤としては、ケトン、より好ましくは、4-メチル-2-ペンタノン、2,4-ジメチル-3-ペンタノン、シクロヘキサノン、5-メチル-3-ヘプタノン、3-ペンタノン、5-ヒドロキシ-2-ペンタノン、2,5-ヘキサンジオン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、アセトン、ブタノン、2-メチル-2-ブタノン、3,3-ジメチル-2-ブタノン、4-ヒドロキシ-2-ブタノン、シクロペンタノン、2-ペンタノン、3-ペンタノン、1-フェニルエタノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、2-ヘキサノン、3-ヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、2,6-ジメチル-4-ヘプタノン、2-オクタノン、3-オクタノン、4-オクタノン、ジシクロヘキシルケトン、2,6-ジメチルシクロヘキサノン、2-アセチルシクロヘキサノン、2,4-ペンタンジオン、メントン、及びそれらの組み合わせなどのカルボニルに対してアルファ位の水素を有するケトンが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、ヨウ素脱除剤は、4-メチル-2-ペンタノン、2,4-ジメチル-3-ペンタノン又はシクロヘキサノンを含む。
【0021】
適切なエッチング剤又はpH調整剤としては、限定されないが、HF、フッ化アンモニウム、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロケイ酸、B-F又はSi-F結合を含む他の化合物、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボラート(TBA-BF)、フッ化テトラアルキルアンモニウム(NRF)、水酸化テトラアルキルアンモニウム(NROH)などの強塩基、ここで、R、R、R、Rは、互いに同じであっても異なっていてもよく、水素、直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基(例:メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル)、C-Cアルコキシ基(例:ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル)置換又は非置換のアリール基(例:ベンジル)、弱塩基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。特定の実施形態では、フッ化物源は、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロケイ酸、HZrF、HTiF、HPF、フッ化アンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウム、又はフッ化アンモニウムとフッ化テトラメチルアンモニウムとの組み合わせを含む。代替的に、又はフッ化物源に加えて、エッチング剤は、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)、水酸化テトラプロピルアンモニウム(TPAH)、水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム(BTMAH)、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化ベンジルトリエチルアンモニウム(BTEAH)、水酸化テトラブチルホスホニウム(TBPH)、(2-ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(水酸化コリン)、(2-ヒドロキシエチル)トリエチルアンモニウム水酸化物、(2-ヒドロキシエチル)トリプロピルアンモニウム水酸化物、(1-ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウム水酸化物、エチルトリメチルアンモニウム水酸化物、ジエチルジメチルアンモニウム水酸化物(DEDMAH)、トリエチルメチルアンモニウム水酸化物、n-ヘキサデシルトリメチルアンモニウム水酸化物1,1,3,3-テトラメチルグアニジン(TMG)、炭酸グアニジン、アルギニン、及びそれらの組み合わせなどの強塩基を含むことができる。企図される弱塩基には、水酸化アンモニウム、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、エチレンジアミン、システイン、及びそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、エッチング剤は、TMAH、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、(2-ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム及びそれらの組み合わせなどの強塩基を含む。一実施形態では、エッチング剤は、水酸化アンモニウム及び水酸化コリンから選択される。
【0022】
特定の実施形態では、特にpHが低い場合に濡れを確実にするために、界面活性剤、有利には耐酸化性フッ素化アニオン性界面活性剤を水性組成物に添加することができる。本発明の組成物において企図されるアニオン性界面活性剤には、ZONYL(登録商標)UR及びZONYL(登録商標)FS-62(DuPont Canada Inc.,Mississauga、カナダ、オンタリオ州)などのフルオロ界面活性剤、ならびにNovec(商標)(3M)などのフルオロアルキルスルホン酸アンモニウムが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、使用されるエッチング剤がフッ化物を含む場合、長鎖テトラアルキルアンモニウムフルオリドを界面活性剤及びエッチング剤として使用することができる。
【0023】
一実施形態では、上で言及した溶媒組成物は、
(i)水と、
(ii)少なくとも1つの水混和性有機溶媒、又はそれらの組み合わせであって、少なくとも1つの水混和性有機溶媒が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、2-エチル-1-ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ブチレンカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル(DPGME)、トリプロピレングリコールメチルエーテル(TPGME)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル(DPGPE)、トリプロピレングリコールn-プロピルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、2,3-ジヒドロデカフルオロペンタン、エチルパーフルオロブチルエーテル、メチルパーフルオロブチルエーテル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン、4-メチル-2-ペンタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル及びジエチレングリコールモノメチルエーテル、ならびにそれらの組み合わせから選択される、水混和性有機溶媒と、を含み得る。特定の実施形態では、溶媒組成物は、脱イオン水などの水を含む。一実施形態では、水混和性有機溶媒は、グリコールエーテル(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル)、エチレングリコールモノメチルエーテル、DMSO、及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの種を含む。別の実施形態では、水混和性有機溶媒は、ジエチレングリコールモノエチルエーテル及びジエチレングリコールモノブチルエーテル、
(iii)N-メチルモルホリン-N-オキシド、及び
(iv)ジメチルスルホンの混合物である。
【0024】
組成物はまた、1つ以上のキレート剤、例えば、ホスホン酸、例えばニトリロトリス(メチレン)トリホスホン酸(例:Dequest2000EG、Solutia,Inc.、St.Louis,Mo.)、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)(NTMPA)、N,N,N’,N’-エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン)酸(EDTMP)、1,5,9-トリアザシクロドデカン-N,N’,N”-トリス(メチレンホスホン酸)(DOTRP)、トランス-1,2-ジアミノシクロヘキサン-N,N,N’,N’-四酢酸(CDTA)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N”,N”’-テトラキス(メチレンホスホン酸)(DOTP)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DETAP)、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、ビス(ヘキサメチレン)トリアミンホスホン酸、1,4,7-トリアザシクロノナン-N,N’,N”-トリス(メチレンホスホン酸(NOTP)、リン酸のエステル、ピロリン酸などのリン酸;それらの塩;及びそれらの組み合わせも含む
【0025】
組成物はまた、1つ以上の腐食防止剤を含み、
これは、マイクロ電子デバイス上の銅表面を腐食防止するか、そうでなければ保護するのに役立つ。そのような腐食防止剤には、5-アミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオール(ATDT)、ベンゾトリアゾール(BTA)、クエン酸、シュウ酸、タンニン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、尿酸、1,2,4-トリアゾール(TAZ)、トリルトリアゾール、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、5-フェニル-ベンゾトリアゾール、5-ニトロ-ベンゾトリアゾール、3-アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、1-アミノ-1,2,4-トリアゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、2-(5-アミノ-ペンチル)-ベンゾトリアゾール、1-アミノ-1,2,3-トリアゾール、1-アミノ-5-メチル-1,2,3-トリアゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、3-イソプロピル-1,2,4-トリアゾール、5-フェニルチオール-ベンゾトリアゾール、ハロベンゾトリアゾール(ハロ=F、Cl、Br又はI)、ナフトトリアゾール、2-メルカプトベンズイミダゾール(MBI)、2-メルカプトベンゾチアゾール、4-メチル-2-フェニルイミダゾール、2-メルカプトチアゾリン、5-アミノテトラゾール、2,4-ジアミノ-6-メチル-1,3,5-トリアジン、チアゾール、トリアジン、メチルテトラゾール、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,5-ペンタメチレンテトラゾール、1-フェニル-5-メルカプトテトラゾール、ジアミノメチルトリアジン、イミダゾリンチオン、メルカプトベンゾイミダゾール、4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-チオール、及びベンゾチアゾール、ならびにそれらの組み合わせなどの化合物が含まれる。
【0026】
別の実施形態では、組成物は、酸化アルミニウム腐食を阻害するのに役立つリン酸をさらに含んでもよい。
【0027】
例示的な組成物は、重量パーセント(=100%)で以下の比例範囲を含む:
全ての量は、全組成物=100%に基づく重量パーセントである。次いで、これらの組成物を酸化剤と組み合わせることができる。目標pH範囲は、一般に5~12である。特定の実施形態では、エッチング剤又はpH調整剤は、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化アンモニウム、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン(TMG)、水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)、水酸化コリン、モノエタノールアミン及びトリエタノールアミンから選択される。
【0028】
特定の実施形態では、水混和性有機溶媒A、B及びCは、エチレングリコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルから選択される。ジプロピレングリコールメチルエーテル(DPGME)、及びトリプロピレングリコールメチルエーテル(TPGME)から選択される。
【0029】
特定の実施形態では、キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、トランス-1,2-ジアミノシクロヘキサン-N,N,N,’N’-四酢酸、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸、N,N,N,’N’-エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン)酸、ニトリロトリス(メチレン)トリホスホン酸、及びニトリロトリス(メチレンホスホン酸)(NTMPA)から選択される。
*NMMOは、4-メチルモルホリンN-オキシド(CAS番号7529-22-8)である。
【0030】
使用前に希釈されるべき組成物の濃縮された形態を作製することが一般的な慣行であることが理解されよう。例えば、組成物は、より濃縮された形態で製造され、その後、製造業者において、使用前に、及び/又は製造工場での使用中に少なくとも1つの溶媒で希釈されてもよい。希釈比は、約0.1部の希釈剤:1部の組成物濃縮物~約100部の希釈剤:1部の組成物濃縮物の範囲であり得る。本明細書に記載の組成物は、経時的に不安定であり得る酸化剤を含むことをさらに理解されたい。したがって、濃縮された形態は、酸化剤を実質的に含まないことができ、酸化剤は、製造業者によって使用前及び/又は製造工場での使用中に濃縮物又は希釈組成物に導入することができる。
【0031】
本明細書に記載の組成物は、それぞれの成分の単純な添加及び均一な状態への混合によって容易に配合される。さらに、組成物は、使用時点又はその前に混合される単一パッケージ配合物又は多成分配合物、好ましくは多成分配合物として容易に配合され得る。多成分配合物の個々の部分は、ツールで、又はインラインミキサーなどの混合領域/エリアで、又はツールの上流の貯蔵タンクで混合され得る。多成分配合物の様々な部分は、一緒に混合されて所望の組成物を形成する成分/構成成分の任意の組み合わせを含有し得ることが企図される。それぞれの成分の濃度は、組成物の特定の倍数で、すなわち、より希釈されているか、又はより濃縮されているかで広く変化してもよく、組成物は、本明細書の開示と一致する成分の任意の組み合わせを様々に及び代替的に含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなることができることが理解されよう。
【0032】
したがって、さらなる態様では、本発明は、1つ以上の容器内に、本明細書に記載の組成物を形成するように適合された1つ以上の成分を含むキットを提供する。キットの容器は、前記除去組成物成分、例えば、NOWPak(登録商標)容器(Advanced Technology Materials,Inc.,Danbury、米国、コネティカット州)を貯蔵及び輸送するのに適していなければならない。組成物の成分を含有する1つ以上の容器は、好ましくは、前記1つ以上の容器内の成分を混合及び分配のために流体連通させるための手段を含む。例えば、NOWPak(登録商標)容器を参照すると、前記1つ以上の容器内のライナーの外側にガス圧を加えて、ライナーの内容物の少なくとも一部を排出させ、したがって混合及び分配のための流体連通を可能にすることができる。あるいは、従来の加圧容器のヘッドスペースにガス圧を加えてもよいし、ポンプを使用して流体連通を可能にしてもよい。さらに、システムは、好ましくは、混合組成物をプロセスツールに分配するための分配ポートを含む。
【0033】
前記1つ以上の容器用のライナーを製造するために、高密度ポリエチレンなどの実質的に化学的に不活性で、不純物がなく、柔軟で弾力性のあるポリマーフィルム材料を使用することができる。望ましいライナー材料は、共押出又はバリア層を必要とせずに、また、ライナー内に配置される成分の純度要件に悪影響を及ぼし得る顔料、UV阻害剤、又は加工剤なしで加工される。望ましいライナー材料のリストには、未使用(すなわち、添加剤なし)ポリエチレン、未使用のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリブチレンなどを含むフィルムが含まれる。そのようなライナー材料の好ましい厚さは、約5mm(0.005インチ)~約30mm(0.030インチ)の範囲、例えば20mm(0.020インチ)の厚さである。
【0034】
キット用の容器に関して、以下の特許及び特許出願の開示は、それぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる:発明の名称「APPARATUS AND METHOD FOR MINIMIZING THE GENERATION OF PARTICLES IN ULTRAPURE LIQUIDS」と題する米国特許第7,188,644号、発明の名称「RETURNABLE AND REUSABLE,BAG-IN-DRUM FLUID STORAGE AND DISPENSING CONTAINER SYSTEM」と題する米国特許第6,698,619号、及び「SYSTEMS AND METHODS FOR MATERIAL BLENDING AND DISTRIBUTION」と題する2008年5月9日に出願されたPCT/US08/63276号に記載されている。
【0035】
本発明は、その好ましい実施形態の以下の実施例によってさらに説明することができるが、これらの実施例は単に例示の目的で含まれ、特に明記しない限り、本発明の範囲を限定することを意図しないことが理解されよう。
【実施例
【0036】
実験セクション
以下の組成物を配合し、窒化チタン、Alox及びCu試験ウェハで試験した。
全ての量は、全組成物=100%に基づく重量パーセントである。これらの組成物を31%Hと1:1ベースで合わせた(重量:重量)。pHの値は、Hと混合する前の組成物に対するものであり、pHは、Hと混合した後に測定した。混合したこれらの組成物を、以下に示すように試験ウェハ上で59℃のテフロンビーカー内で実験に使用した:
全ての量は、全組成物=100%に基づく重量パーセントである。これらの組成物を31%Hと1:1ベースで合わせた(重量:重量)。pHの値は、Hと混合する前の組成物に対するものであり、pHは、Hと混合した後に測定した。混合したこれらの組成物を、以下に示すように試験ウェハ上で59℃のテフロンビーカー内で実験に使用した:
全ての量は、全組成物=100%に基づく重量パーセントである。これらの組成物を31%Hと1:1ベースで合わせた(重量:重量)。pHの値は、Hと混合する前の組成物に対するものであり、pHは、Hと混合した後に測定した。混合したこれらの組成物を、以下に示すように試験ウェハ上で59℃のテフロンビーカー内で実験に使用した:
全ての量は、全組成物=100%に基づく重量パーセントである。これらの組成物を31%Hと1:1ベースで合わせる(重量:重量)。
凡例:
NMMO=4-メチルモルホリンN-オキシド(CAS番号7529-22-80)
DMSO=ジメチルスルホン
EDTMP=エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)
CDTA=trans-1,2-ジアミノシクロヘキサン-N,N,N’,N’-四酢酸(CAS番号125572-95-4)
*HPOは85%水性である
**BTA=ベンゾトリアゾール
ブチルカルビトール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(CAS番号112-34-5)
エチルカルビトール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(CAS番号111-90-0)
全ての量は、全組成物=100%に基づく重量パーセントである。これらの組成物を31%Hと1:1ベースで合わせた(重量:重量)。pHの値は、Hと混合する前の組成物に対するものであり、pHは、Hと混合した後に測定した。混合したこれらの組成物を、以下に示すように試験ウェハ上で59℃のテフロンビーカー内で実験に使用した:
凡例:
POU=使用ポイント
ERSTD=エッチング速度標準ウェハ(内標準)窒化チタン;値は、500Åウェハの2分間の平均エッチング速度であり、
酸化アルミニウム標準ウェハ-200Åの2分間
ERSTD=エッチング速度標準ウェハ
【0037】
本発明は、その特定の実施形態を特に参照して詳細に説明されているが、本発明の趣旨及び範囲内で変形及び修正を行うことができることが理解されよう。