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特許7516754情報処理システム、方法、プログラムおよび記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】情報処理システム、方法、プログラムおよび記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0201 20230101AFI20240709BHJP
   H04L 67/02 20220101ALI20240709BHJP
【FI】
G06Q30/0201
H04L67/02
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019229112
(22)【出願日】2019-12-19
(65)【公開番号】P2021096753
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000420
【氏名又は名称】弁理士法人MIP
(74)【代理人】
【識別番号】100110607
【弁理士】
【氏名又は名称】間山 進也
(72)【発明者】
【氏名】兵 清弘
【審査官】甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-200678(JP,A)
【文献】国際公開第2011/083732(WO,A1)
【文献】特開2019-022207(JP,A)
【文献】特開2009-009519(JP,A)
【文献】特開2018-160227(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
H04L 67/00-67/75
G06F 16/00-16/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する閲覧端末から、前記画像に対して行われた閲覧操作に係る閲覧情報を取得する取得手段と、
前記画像を解析して、画像内に含まれる被写体を特定する解析手段と、
前記閲覧情報に基づいて、前記画像において注目された領域を集計する集計手段と
を含み、
前記集計手段は、前記閲覧情報と前記解析手段が特定した被写体とを対応付けて集計することを特徴とする、
情報処理システム。
【請求項2】
前記集計手段が集計した結果を表示する表示手段をさらに含む、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記閲覧情報は、前記画像の閲覧時における前記閲覧端末の姿勢を示す情報を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記画像は、広角画像であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
情報処理装置が実行する方法であって、
画像を表示する閲覧端末から、前記画像に対して行われた閲覧操作に係る閲覧情報を取得するステップと、
前記画像を解析して、画像内に含まれる被写体を特定するステップと、
前記閲覧情報に基づいて、前記画像において注目された領域を集計するステップと
を含み、
前記集計するステップは、前記閲覧情報と前記特定するステップにおいて特定した被写体とを対応付けて集計することを特徴とする、
法。
【請求項6】
情報処理装置が実行するプログラムであって、前記情報処理装置を
画像を表示する閲覧端末から、前記画像に対して行われた閲覧操作に係る閲覧情報を取得する取得手段、
前記画像を解析して、画像内に含まれる被写体を特定する解析手段、
前記閲覧情報に基づいて、前記画像において注目された領域を集計する集計手段
として機能させ、
前記集計手段は、前記閲覧情報と前記解析手段が特定した被写体とを対応付けて集計することを特徴とする、
プログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のプログラムを記録した記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツの閲覧情報を集計する情報処理システム、方法、プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
コンテンツに画像を表示して商材を紹介するサービスは、不動産物件の仲介事業や通信販売などに幅広く利用されている。とりわけ、コンテンツ内に表示する画像に、いわゆる全天球画像のような広角画像を用い、スチル画像よりも臨場感のある演出をすることで、顧客である閲覧者に対する訴求力を向上することができる。
【0003】
また、閲覧者がコンテンツ内の画像を閲覧する操作の履歴を取得し、記録する技術が開発されている。例えば、特開2018-160227号公報(特許文献1)には、画像の表示状態を記録する閲覧システムが開示されている。特許文献1によれば、操作履歴情報に基づく広告を表示することで、閲覧者が興味を示しやすい広告を表示することができる。
【0004】
一方で、コンテンツの管理者は、顧客のニーズを把握するために、顧客がどの画像のどの部分に注目し、興味を示したのかを知りたいという要求がある。この点につき、特許文献1などの従来技術は、操作履歴情報を専ら広告表示に活用するためのものであって、管理者が顧客のニーズを把握するためのものではなかった。そのため、顧客の閲覧状態の情報を活用して、管理者の利便性を向上するさらなる技術が求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術における課題に鑑みてなされたものであり、コンテンツの閲覧者が興味を示した領域を集計する情報処理システム、方法、プログラムおよび記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明によれば、
画像を表示する閲覧端末から、前記画像の表示状態を示す閲覧情報を取得する取得手段と、
前記閲覧情報に基づいて、前記画像において注目された領域を集計する集計手段と
を含む、情報処理システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、コンテンツの閲覧者が興味を示した箇所を集計する情報処理システム、方法、プログラムおよび記録媒体が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態におけるシステム全体のハードウェアの概略構成を示す図。
図2】本実施形態の各装置に含まれるハードウェア構成を示す図。
図3】本実施形態のシステムを構成する各装置に含まれるソフトウェアブロック図。
図4】本実施形態における各種テーブルの例を示す図。
図5】本実施形態におけるコンテンツが表示された画面の例を示す図。
図6】本実施形態においてコンテンツ内の画像の表示を変更する操作の例を示す図。
図7】本実施形態において閲覧情報を記録する処理を示すフローチャート。
図8】本実施形態のレポート設定画面の例を示す図。
図9】本実施形態における集計処理を示すシーケンス図。
図10】本実施形態において管理端末に表示される集計結果の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を、実施形態をもって説明するが、本発明は後述する実施形態に限定されるものではない。なお、以下に参照する各図においては、共通する要素について同じ符号を用い、適宜その説明を省略するものとする。
【0010】
なお、以下に説明する実施形態においては、不動産物件を紹介するサービスを提供するためのコンテンツを例示して説明するが、特に実施形態を限定するものではなく、当然これ以外のコンテンツであってもよい。また、以下の実施形態では、全天球画像をコンテンツに含まれる画像の例として説明するが特に実施形態を限定するものではない。したがって、コンテンツに含まれる画像は、全天球画像の他、パノラマ画像、魚眼画像などといったいわゆる広角画像であってもよいし、一般的なスチル画像であってもよい。
【0011】
図1は、本実施形態におけるシステム全体のハードウェアの概略構成を示す図である。図1では、例として、サーバ110と、管理端末120と、複数の閲覧端末130とが、ネットワーク140を介して接続された環境のシステム100の構成を示している。
【0012】
サーバ110は、本実施形態のコンテンツ閲覧サービスを提供する情報処理装置である。
【0013】
管理端末120は、例えばパーソナルコンピュータのような情報処理装置であって、コンテンツの作成や、コンテンツが閲覧された状況を集計した結果の表示を行う。
【0014】
閲覧端末130は、例えばスマートフォンのような情報処理装置であって、コンテンツを表示して、閲覧することができる。なお、閲覧端末130は、スマートフォンに限定されず、例えば、パソコン、デジタルサイネージ、ヘッドマウントディスプレイなどであってもよい。
【0015】
なお、システム100を構成する装置の台数は、図1に示したものに限定されず、システム100に含まれる台数に制限はない。また、各装置からネットワーク140に接続する方法は、有線または無線のどちらでもよい。
【0016】
次に、システム100を構成する各装置のハードウェア構成について説明する。図2は、本実施形態の各装置に含まれるハードウェア構成を示す図であり、図2(a)は、サーバ110および管理端末120を、図2(b)は、閲覧端末130を、それぞれ示している。
【0017】
まず、図2(a)について説明する。図2(a)に示すように、サーバ110および管理端末120は、CPU210と、RAM220と、ROM230と、記憶装置240と、通信I/F250と、ディスプレイ260と、入力装置270とを含んで構成され、各ハードウェアはバスを介して接続されている。
【0018】
CPU210は、サーバ110や管理端末120の動作を制御するプログラムを実行し、所定の処理を行う装置である。RAM220は、CPU210が実行するプログラムの実行空間を提供するための揮発性の記憶装置であり、プログラムやデータの格納用、展開用として使用される。ROM230は、CPU210が実行するプログラムやファームウェアなどを記憶するための不揮発性の記憶装置である。
【0019】
記憶装置240は、サーバ110や管理端末120を機能させるOSや各種アプリケーション、設定情報、各種データなどを記憶する、読み書き可能な不揮発性の記憶装置である。記憶装置240の一例としては、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などが挙げられる。
【0020】
通信I/F250は、サーバ110または管理端末120とネットワーク140とを接続し、ネットワーク140を介して、他の装置との通信を可能にする。ネットワーク140を介した通信は、有線通信または無線通信のいずれであってもよく、TCP/IPなどの所定の通信プロトコルを使用し、各種データを送受信できる。
【0021】
ディスプレイ260は、各種データや装置の状態などを、ユーザに対して表示する装置であり、例として、LCD(Liquid Crystal Display)などが挙げられる。入力装置270は、ユーザがサーバ110や管理端末120などを操作するための装置であり、例として、キーボード、マウスなどが挙げられる。なお、ディスプレイ260と入力装置270は、それぞれ別個の装置であってもよいし、タッチパネルディスプレイのような両方の機能を備えるものであってもよい。また、サーバ110は、ディスプレイ260や入力装置270を含まない構成であってもよい。
【0022】
次に、図2(b)について説明する。図2(b)に示すように、閲覧端末130は、CPU210と、RAM220と、ROM230と、記憶装置240と、通信I/F250と、ディスプレイ260と、入力装置270と、姿勢センサ280とを含んで構成され、各ハードウェアはバスを介して接続されている。なお、閲覧端末130に含まれるCPU210、RAM220、ROM230、記憶装置240、通信I/F250、ディスプレイ260および入力装置270は、図2(a)に示したものと同様であるため、詳細は省略する。
【0023】
姿勢センサ280は、例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサなどから構成され、閲覧端末130の傾きなどの姿勢を計測する装置である。姿勢センサ280が計測した閲覧端末130の姿勢によって、例えば、閲覧者が閲覧端末130の姿勢を変化させることで、姿勢センサ280は、閲覧端末130の傾きを検出し、姿勢データとして出力する。閲覧端末130は、姿勢データに基づいて、画像の表示範囲などを制御することができる。
【0024】
以上、本実施形態の各装置に含まれるハードウェア構成について説明した。次に、本実施形態における各ハードウェアによって実行される機能手段について、図3を以て説明する。図3は、本実施形態のシステム100を構成する各装置に含まれるソフトウェアブロック図である。また、以下の図3の説明では、適宜図4を参照して説明するものとする。図4は、本実施形態における各種テーブルの例を示す図である。なお、図4では、テーブル形式のデータ構造を例示して説明しているが、特に実施形態を限定するものではなく、データ構造は、テーブル形式以外のものであってもよい。
【0025】
まず、サーバ110について説明する。サーバ110は、コンテンツ提供部311、アカウント管理部312、全天球画像記憶部313、画像解析部314、閲覧情報受信部315、閲覧情報格納部316、データ集計部317、集計結果蓄積部318の各モジュールを含む。
【0026】
コンテンツ提供部311は、不動産物件を紹介するコンテンツを閲覧端末130に提供する手段である。コンテンツは、ブラウザを介してウェブページとして提供されてもよいし、アプリケーションによって提供されるものであってもよい。
【0027】
アカウント管理部312は、コンテンツを提供する管理者のアカウントを管理する手段である。アカウント管理部312は、一例として図4(a)に示すテーブルを記憶装置240に格納し、管理する。アカウント管理部312が管理するテーブルは、図4(a)に示すように、アカウントIDと、アカウント名と、コンテンツIDと、コンテンツ名と、画像IDと、画像タイトルとが対応付けられて格納される。アカウントIDは、アカウントを一意に識別する符号であり、図4(a)の例では「BIZ0001」から連番で割り当てられている。アカウント名は、各アカウントの名称であり、図4(a)の例では、コンテンツを提供する不動産事業者の名称が格納されている。コンテンツIDは、コンテンツを一意に識別する符号であり、図4(a)の例では、各不動産事業者が提供するコンテンツごとに割り当てられている。コンテンツ名は、コンテンツを示す任意の名称であり、図4(a)の例では、物件の名称が格納されている。画像IDは、コンテンツに含まれる画像を識別する符号であり、画像タイトルは、各画像の名称である。コンテンツ提供部311は、アカウント管理部312を参照して、閲覧端末130にコンテンツを提供する。
【0028】
説明を図3に戻す。全天球画像記憶部313は、コンテンツに含まれる全天球画像の画像データを記憶装置240に記憶する手段である。全天球画像記憶部313は、画像データを画像IDや画像タイトルと対応付けて記憶することができる。
【0029】
画像解析部314は、コンテンツに含まれる全天球画像を解析する手段である。画像解析部314は、例えば特徴量に基づく解析を行うことで、全天球画像内の被写体や撮影された空間の構造などを特定することができる。また、画像解析部314は、公知の機械学習技術を採用することによって、特定した被写体や空間の名称を判定することができる。より具体的には、画像解析部314は、ある部屋を撮影した全天球画像を特徴量に基づいて解析し、テレビやソファなどの物体を判定したり、撮影場所がキッチンであるかリビングであるかなどを判定したりできる。
【0030】
閲覧情報受信部315は、通信I/F250の動作を制御し、閲覧端末130から閲覧情報を受信する手段である。
【0031】
閲覧情報格納部316は、閲覧情報受信部315が受信した閲覧情報を、記憶装置240に格納する手段である。ここで、閲覧情報格納部316が記憶装置240に格納するテーブルの例を、図4(b)、(c)を以て説明する。図4(b)は、コンテンツに含まれる画像の閲覧回数(以下、「PV(Page View)数」として参照する)を日付ごとに記憶するテーブルである。図4(b)の例では、コンテンツIDが「A001」のコンテンツに含まれる画像「1234」および「7890」について、2019年12月1日~2019年12月3日までのPV数が記憶されている。なお、PV数は、図4(b)のように日付ごとに記憶されなくてもよく、週ごとや月ごとに記憶されてもよい。また、閲覧情報格納部316は、図4(c)に示すように、閲覧情報とタイムスタンプとを併せて履歴データとしてテーブルに記憶することができる。履歴データは、例えば、図4(c)に示すように、コンテンツに含まれる画像ごとに管理され、画像が閲覧された時刻を示すタイムスタンプと、当該時刻において表示された全天球画像の中心位置の座標(緯度、経度)と、自動回転モードが有効であるか否かを示す情報(TRUE/FALSE)、画像操作開始の有無(TRUE/FALSE)、表示された全天球画像の表示範囲を示す角度(立体角)などをテーブルに対応付けて格納する。ここで、自動回転モードとは、全天球画像を表示する際に、閲覧者の操作によらずに表示するアングルが回転するように表示されるモードを示す。また、画像操作の開始とは、閲覧者が全天球画像に対して表示範囲を変更する操作を開始したことを示す。なお、図4(b)、(c)に示したテーブルは、一例であって、図4(b)、(c)に示した以外の項目を含むものであってもよい。
【0032】
説明を図3に戻す。データ集計部317は、閲覧情報格納部316の各テーブルを参照し、閲覧情報を集計する手段である。データ集計部317が集計した結果は、集計結果蓄積部318に出力される。集計結果蓄積部318は、データ集計部317が出力した集計結果を、記憶装置240に蓄積する手段である。集計結果蓄積部318が蓄積した集計結果は、例えばレポートなどの形式で、コンテンツの管理者に適宜配信される。
【0033】
次に管理端末120について説明する。管理端末120は、集計結果取得部321、レポート表示部322の各モジュールを含む。
【0034】
集計結果取得部321は、通信I/F250の動作を制御して、サーバ110の集計結果蓄積部318から、集計結果を取得する手段である。
【0035】
レポート表示部322は、ディスプレイ260の動作を制御し、集計結果取得部321が取得した集計結果を表示する手段である。
【0036】
次に閲覧端末130について説明する。閲覧端末130は、コンテンツ取得部331、コンテンツ表示部332、操作受付部333、閲覧情報送信部334の各モジュールを含む。
【0037】
コンテンツ取得部331は、通信I/F250の動作を制御して、サーバ110のコンテンツ提供部311からコンテンツを取得する手段である。
【0038】
コンテンツ表示部332は、ディスプレイ260の動作を制御し、コンテンツを表示する手段である。
【0039】
操作受付部333は、入力装置270や姿勢センサ280が出力する信号に基づく、閲覧端末130の各種操作を受け付ける手段である。以下に説明する実施形態では、操作受付部333が受け付ける操作のうち、画像を表示するアングルの変更や拡大/縮小などを行うために、表示されている画像に対して行われる、クリック、ドラッグアンドドロップ、スクロール、タップ、スワイプ、ピンチイン/ピンチアウト、閲覧端末130の姿勢の変化など、画像の表示状態を変化させる種々の操作を総称して「閲覧操作」として参照する。操作受付部333が閲覧操作を受け付けることで、コンテンツ内の全天球画像の表示範囲や大きさなどを変更することができる。
【0040】
閲覧情報送信部334は、通信I/F250の動作を制御し、操作受付部333が受け付けた種々の閲覧操作のデータをサーバ110に送信する手段である。閲覧情報送信部334は、閲覧操作のデータを、当該操作を受け付けた時刻と併せて履歴データとしてサーバ110に送信することができる。また、閲覧情報送信部334は、コンテンツや画像のPV数をサーバ110に送信することができる。
【0041】
なお、上述したソフトウェアブロックは、CPU210が本実施形態のプログラムを実行することで、各ハードウェアを機能させることにより、実現される機能手段に相当する。また、各実施形態に示した機能手段は、全部がソフトウェア的に実現されても良いし、その一部または全部を同等の機能を提供するハードウェアとして実装することもできる。
【0042】
さらに、上述した各機能手段は、必ずしも全てが図3に示すような構成で含まれていなくてもよい。したがって、上述した各機能手段は、例えばサーバ110と管理端末120との協働によって実現されてもよい。
【0043】
次に、本実施形態におけるコンテンツの例を、図5および図6を以て説明する。図5は、本実施形態におけるコンテンツが表示された画面の例を示す図である。また、図6は、本実施形態においてコンテンツ内の画像の表示を変更する操作の例を示す図である。
【0044】
本実施形態におけるコンテンツは、例えば、図5に示すような不動産物件を紹介するコンテンツであって、一例として物件の名称、所在、価格、間取り図、物件の画像一覧や各画像が表示される。
【0045】
図5に示すように、間取り図には、全天球画像の撮影位置を示す数字アイコンが重畳して表示される。また、コンテンツには、物件の内部や外観を撮影した全天球画像が表示され、図5の例では、リビングで撮影された全天球画像が表示されている。表示される全天球画像は、間取り図の数字アイコンや画像一覧などから選択することができる。
【0046】
間取り図の数字アイコンには、表示中の全天球画像のアングルを示す扇形のアイコンが重畳して表示され、表示中の全天球画像に対応した方向を示している。表示中の全天球画像は、種々の閲覧操作によって、表示するアングルの変更や、拡大・縮小を行うことができ、例えば、図6に示すように、拡大して表示することができる。図6(a)は、拡大前の表示状態を示す全天球画像の例である。図6(a)の表示状態において、閲覧者による種々の閲覧操作によって全天球画像が拡大されると、図6(b)のような表示状態となる。また、閲覧操作による表示状態の変更に伴って、間取り図内の扇形のアイコンの表示も変更される。
【0047】
次に、本実施形態のシステム100が実行する、閲覧情報を記録する処理について説明する。図7は、本実施形態において閲覧情報を記録する処理を示すフローチャートである。システム100は、ステップS1000から処理を開始する。
【0048】
ステップS1001では、閲覧端末130のコンテンツ表示部332は、コンテンツ取得部331が取得したコンテンツを表示する。その後、ステップS1002において、操作受付部333は、閲覧者による種々の閲覧操作を受け付ける。
【0049】
ステップS1003では、閲覧情報送信部334は、サーバ110に閲覧情報を送信する。ここで送信される閲覧情報は、例えば閲覧操作の種別のほか、閲覧操作が行われた座標、全天球画像の表示状態(アングル、拡大/縮小など)、閲覧操作に掛かった時間、閲覧された日時、回数などが挙げられる。なお、閲覧情報の構成は、上述したものに限定されず、閲覧に係る種々の情報を含めることができる。
【0050】
サーバ110の閲覧情報受信部315が閲覧情報を受信すると、ステップS1004において閲覧情報格納部316は、閲覧情報を記憶装置240に格納する。その後、ステップS1005において、システム100は、処理を終了する。
【0051】
図7において説明した処理によって、図4(b)、(c)に示すようなテーブルを記録することができる。また、記録された閲覧情報を集計することで、管理者は、閲覧者が興味を示した画像や物体を知ることができ、顧客のニーズが把握しやすくなる。
【0052】
次に、管理者が集計結果のレポートを取得する設定について説明する。図8は、本実施形態のレポート設定画面の例を示す図である。管理者は、例えば図8に示すようなレポート設定画面において、レポートを取得するタイミングと、レポートの集計期間と、レポートの取得方法について設定することができる。レポートを取得するタイミングは、集計結果を要求するタイミングを設定でき、例えば毎日や曜日指定とすることができる。レポート集計期間は、管理者が指定する任意の期間としてもよいし、週間や月間などを指定することができる。また、レポートの取得方法は、任意のフォルダにダウンロードするか、電子メールに添付するかを選択することができる。なお、図8に示す設定は、一例であって、図8に示した項目以外の設定を行う構成であってもよい。
【0053】
次に、本実施形態のシステム100が行う集計処理について、図9を以て説明する。図9は、本実施形態における集計処理を示すシーケンス図である。図9に示すシーケンスは、レポート設定画面で設定されたタイミングで開始されてもよいし、管理者からの要求に応じて処理を開始されてもよい。
【0054】
サーバ110のデータ集計部317は、ステップS2001において、閲覧情報格納部316から閲覧情報を読み出す。また、データ集計部317は、ステップS2002において、アカウント管理部312から、集計要求を行った管理者に係るアカウント情報を読み出す。
【0055】
その後、データ集計部317は、ステップS2003において、画像解析部314に対して画像解析依頼を発行する。画像解析を依頼する際に、データ集計部317は、ステップS2002で取得した管理者のアカウント情報を画像解析部314に通知する。これによって、画像解析部314は、解析すべき画像を特定することができる。
【0056】
画像解析依頼を受けた画像解析部314は、ステップS2004において、全天球画像記憶部313から解析対象となる画像を読み出す。ここで、解析対象となる画像は、集計要求をした管理者が管理するコンテンツに紐づく画像である。全天球画像記憶部313から画像を取得した画像解析部314は、ステップS2005において、画像を解析する。画像解析部314は、例えば全天球画像の特徴量に基づいて、画像内の物体や空間の構造などを解析する。また、画像解析部314は、過去の解析結果に基づいて、物体の特定などを行ってもよいし、特定した被写体や空間の名称を識別する構成としてもよい。画像解析部314は、ステップS2005で画像を解析した後、ステップS2006において、画像の解析結果をデータ集計部317に通知する。
【0057】
画像解析結果を受領したデータ集計部317は、ステップS2007において、閲覧情報や画像解析結果などに基づいてデータの集計を行う。閲覧情報に基づくデータの集計では、データ集計部317は、例えば、レポート設定画面で設定された集計期間におけるコンテンツの閲覧回数、コンテンツ内の各画像の閲覧回数、閲覧操作が行われた回数、閲覧時間、各画像において注目された領域などを集計する。また、画像解析結果に基づくデータの集計では、各画像の注目された領域に含まれる物体などを集計する。集計をした後、データ集計部317は、ステップS2008において、集計結果を集計結果蓄積部318に書き込む。データ集計部317が定期的にデータを集計し、集計結果を蓄積しておくことで、レポート作成時における処理量を低減することができる。
【0058】
その後、ステップS2009において、管理端末120の集計結果取得部321は、集計結果蓄積部318から集計結果を取得する。集計結果は、任意のタイミングで取得されてもよいし、レポート設定画面で設定されたタイミングで取得されてもよい。取得した集計結果は、レポート表示部322を介してディスプレイ260に表示され、管理者は集計結果を確認することができる。
【0059】
図10は、本実施形態において管理端末120に表示される集計結果の例を示す図である。集計結果表示画面には、例えば図10に示すように、管理者のアカウント名、集計対象となったコンテンツ名、コンテンツのPV数、PV数の推移を示すグラフ、コンテンツに含まれる画像の平均閲覧時間やタップなどの閲覧操作が行われた回数、閲覧された頻度の高い画像などが表示される。また、図10に示すように、閲覧された頻度の高い画像を表示する際に、閲覧操作によって注目される頻度が高い領域を示すヒートマップを重畳して表示してもよい。これによって、管理者は、顧客たる閲覧者が興味を示した部分を視覚的に捉えることでき、顧客のニーズが把握しやすくなる。さらに図10に示すように、画像解析結果によって特定された物体の名称などを重畳して表示することで、管理者は、より効率的に顧客のニーズが把握しやすくなる。なお、図10の集計結果表示画面は一例であって、集計結果表示画面に表示される項目は、特に限定されず、種々の項目を表示することができる。
【0060】
以上、説明した本発明の実施形態によれば、コンテンツの閲覧者が興味を示した箇所を集計する情報処理システム、方法、プログラムおよび記録媒体を提供することができる。
【0061】
上述した本発明の実施形態の各機能は、C、C++、C#、Java(登録商標)等で記述された装置実行可能なプログラムにより実現でき、本実施形態のプログラムは、ハードディスク装置、CD-ROM、MO、DVD、フレキシブルディスク、EEPROM(登録商標)、EPROM等の装置可読な記録媒体に格納して頒布することができ、また他装置が可能な形式でネットワークを介して伝送することができる。
【0062】
以上、本発明について実施形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、当業者が推考しうる実施態様の範囲内において、本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0063】
100…システム、110…サーバ、120…管理端末、130…閲覧端末、140…ネットワーク、210…CPU、220…RAM、230…ROM、240…記憶装置、250…通信I/F、260…ディスプレイ、270…入力装置、280…姿勢センサ、311…コンテンツ提供部、312…アカウント管理部、313…全天球画像記憶部、314…画像解析部、315…閲覧情報受信部、316…閲覧情報格納部、317…データ集計部、318…集計結果蓄積部、321…集計結果取得部、322…レポート表示部、331…コンテンツ取得部、332…コンテンツ表示部、333…操作受付部、334…閲覧情報送信部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0064】
【文献】特開2018-160227号公報
図1
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