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特許7516886粉体検知システム、トナー収容装置、及び、画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】粉体検知システム、トナー収容装置、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20240709BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240709BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20240709BHJP
   G01N 27/22 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
G03G21/00 530
G03G21/00 386
G03G21/16 104
G03G15/08 390Z
G01N27/22 C
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020100445
(22)【出願日】2020-06-09
(65)【公開番号】P2021196400
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】久保 達哉
(72)【発明者】
【氏名】松本 純一
(72)【発明者】
【氏名】田巻 俊太郎
(72)【発明者】
【氏名】岡本 啓明
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-317750(JP,A)
【文献】特開2011-017280(JP,A)
【文献】特開2014-038279(JP,A)
【文献】特開2011-185213(JP,A)
【文献】特開2012-122336(JP,A)
【文献】特開2007-078520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/00-7/007
G03G 13/34
15/00
15/36
21/00-21/02
21/14
21/20
G01N 27/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を捕集可能な略長方体状のフィルタと、
前記フィルタの通気方向の上流側と下流側とに設置された対向電極と、
前記対向電極に形成される電界の変化を検知する検知手段と、
を備え、
前記フィルタは、前記通気方向の長さが、前記通気方向に対してそれぞれ直交する縦方向と横方向とのそれぞれの長さよりも小さくて、山谷が交互に繰り返されたプリーツ構造体を有し、
前記対向電極は、前記粉体が前記通気方向に通過可能な網目構造を有して、前記フィルタの対向面の形状に合わせて、山谷が交互に繰り返されるように形成されたことを特徴とする粉体検知システム。
【請求項2】
前記検知手段によって前記電界の大きさの変化量が所定値を超えた状態が検知された場合に、その状態を外部に報知することを特徴とする請求項1に記載の粉体検知システム。
【請求項3】
前記検知手段によって前記電界における静電容量の変化量が所定の値を超えた状態が検知された場合に、前記フィルタが前記粉体によって目詰まりした旨を表示部に表示することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の粉体検知システム。
【請求項4】
前記検知手段によって前記電界における静電容量の変化量が所定の値を超えた状態が検知された場合に、前記フィルタの交換又はメンテナンスが必要である旨を表示部に表示することを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の粉体検知システム。
【請求項5】
前記対向電極を構成する2つの電極板のうち、前記通気方向の上流側に配置された上流側電極板は少なくとも空気に加えて前記粉体を通過可能に形成されて、前記通気方向の下流側に配置された下流側電極板は少なくとも空気を通過可能に形成されたことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の粉体検知システム。
【請求項6】
前記対向電極は、対向する前記フィルタの表面の形状に合わせて、その表面との対向距離が全面にわたって略均一になるように形成されたことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の粉体検知システム。
【請求項7】
前記フィルタ及び前記対向電極に対して通気方向の下流側及び上流側の少なくとも一方に、通気をおこなうためのファンが設置されたことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載の粉体検知システム。
【請求項8】
前記粉体としてのトナーが収容されたトナー収容装置であって、
請求項1~請求項7のいずれかに記載の粉体検知システムを備えたことを特徴とするトナー収容装置。
【請求項9】
請求項1~請求項7のいずれかに記載の粉体検知システムを備えた現像装置であって、
前記フィルタは、前記現像装置の内圧上昇を抑えるフィルタであることを特徴とする現像装置。
【請求項10】
請求項1~請求項7のいずれかに記載の粉体検知システム、請求項8に記載のトナー収容装置、請求項9に記載の現像装置、のうちいずれか1つを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フィルタの状態を検知するための粉体検知システムと、それを備えたトナー収容装置と、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンタ等の画像形成装置では、装置内に浮遊したトナーなどの粉体を捕集して空気のみを装置外に排出するためのフィルタを設置する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
一方、特許文献1には、フィルタがトナーなどの粉塵で目詰まりした状態を、フィルタの近傍に設置した風速センサや磁気センサによって検知する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術は、フィルタが粉体で目詰まりした状態を精度良く検知することができなかった。
特に、特許文献1の技術は、画像形成装置の周囲に設置された障害物(例えば、壁などである。)によって風速センサによる検知結果にバラツキが生じてしまって、フィルタの状態を精度良く検知することができずに、誤検知してしまうことがあった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、フィルタの状態を精度良く検知することができる、粉体検知システム、トナー収容装置、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明における粉体検知システムは、粉体を捕集可能な略長方体状のフィルタと、前記フィルタの通気方向の上流側と下流側とに設置された対向電極と、前記対向電極に形成される電界の変化を検知する検知手段と、を備え、前記フィルタは、前記通気方向の長さが、前記通気方向に対してそれぞれ直交する縦方向と横方向とのそれぞれの長さよりも小さくて、山谷が交互に繰り返されたプリーツ構造体を有し、前記対向電極は、前記粉体が前記通気方向に通過可能な網目構造を有して、前記フィルタの対向面の形状に合わせて、山谷が交互に繰り返されるように形成されたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、フィルタの状態を精度良く検知することができる、粉体検知システム、トナー収容装置、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
図2】オゾンとともに浮遊トナーや紙粉を捕集する捕集装置を示す構成図である。
図3図2の捕集装置を上方からみた図である。
図4】検知システムを示す斜視図である。
図5】(A)上流側電極板の一部を示す拡大正面図と、(B)下流側電極板の一部を示す拡大正面図と、である。
図6】フィルタのトナー汚れ量と、対向電極の静電容量の変化量と、の関係を示すグラフである。
図7】変形例1としての、検知システムの要部を示す拡大図である。
図8】変形例2としての、捕集装置を示す図である。
図9】変形例3としての、捕集装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
まず、図1にて、画像形成装置1における全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としての複写機、2は原稿Dの画像情報を光学的に読み込む原稿読込部、3は原稿読込部2で読み込んだ画像情報に基いた露光光Lを感光体ドラム5上に照射する露光部、を示す。
また、4は感光体ドラム5上に形成された潜像を現像してトナー像(画像)を形成する現像装置、5は像担持体としての感光体ドラム、6は感光体ドラム5の表面を帯電する帯電装置(帯電チャージャ)、7は感光体ドラム5上に形成されたトナー像をシートPに転写する転写装置(転写ローラ)、8は感光体ドラム5上に残留した未転写トナーを除去するクリーニング装置、を示す。
また、10はセットされた原稿Dを原稿読込部2に搬送する原稿搬送部、12は用紙などのシートPが収納された給紙部(給紙カセット)、20はシートP上のトナー像(未定着画像)を加熱してシートPに定着する定着装置、21は定着装置20に設置された定着ローラ、22は定着装置20に設置された加圧ローラ、を示す。
また、30は画像形成装置1内で発生したオゾンを浮遊トナーとともに捕集する捕集装置、45は転写装置7(転写ニップ)に向けてシートPを搬送するタイミングローラ(レジストローラ)、49はクリーニング装置8で回収された未転写トナーを廃トナーとして回収するための廃トナー回収容器、50は画像形成装置1の動作に関わる種々の内容を入力したり情報が表示されたりするための操作表示パネル、を示す。
【0011】
図1を参照して、画像形成装置における、通常の画像形成時の動作について説明する。
まず、原稿Dは、原稿搬送部10の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部2上を通過する。このとき、原稿読込部2では、上方を通過する原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
そして、原稿読込部2で読み取られた光学的な画像情報は、電気信号に変換された後に、露光部3(書込装置)に送信される。そして、露光部3からは、その電気信号の画像情報に基づいた露光光L(レーザ光)が、感光体ドラム5上に向けて発せられる。
【0012】
一方、像担持体としての感光体ドラム5は図中の時計方向に回転しており、所定の作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程)を経て、感光体ドラム5上に画像情報に対応した画像(トナー像)が形成される。その後、感光体ドラム5上に形成された画像は、転写装置7との対向位置(転写ニップ)で、タイミングローラ45により搬送されたシートP上に転写される。
【0013】
詳しくは、感光体ドラム5は、図1の時計方向に回転している。そして、まず、感光体ドラム5の表面は、帯電装置6との対向位置で、一様に帯電される(帯電工程である。)。こうして、感光体ドラム5上には、帯電電位が形成される。なお、本実施の形態では、帯電装置6として、公知のコロナ放電方式の帯電チャージャを用いている。
その後、帯電された感光体ドラム5の表面は、露光光Lの照射位置に達する。そして、感光体ドラム5の表面に、原稿読込部2で読み込んだ画像情報に基づいた静電潜像が形成される(露光工程である。)。
その後、静電潜像が形成された感光体ドラム5の表面は、現像装置4との対向位置に達する。そして、現像装置4から感光体ドラム5上にトナーが供給されて、感光体ドラム5上の潜像が現像される(現像工程である。)。なお、現像装置4は、内部に粉体としてのトナーが収容されたトナー収容装置として機能するものである。
その後、現像工程後の感光体ドラム5の表面は、転写装置7との対向位置(転写ニップ)に達する。そして、転写装置7の位置で、シートP上に、感光体ドラム5上に形成されたトナー像が転写される(転写工程である。)。なお、転写装置7(転写ローラ)には、トナーの極性とは異なる極性の転写バイアスが印加されている。
そして、転写工程後の感光体ドラム5の表面は、クリーニング装置8との対向位置に達する。そして、クリーニング装置8で、感光体ドラム5上に残存する未転写トナーが除去・回収される(クリーニング工程である。)。なお、クリーニング装置8内に回収された未転写トナーは、不図示の廃トナー搬送経路を経て、廃トナー回収容器49内に回収される。
その後、感光体ドラム5の表面は、除電部を通過して、感光体ドラム5における一連の作像プロセスが終了する。
【0014】
一方、転写装置7の位置(転写ニップ)に搬送されるシートPは、次のように動作する。
まず、給紙部12に収納されたシートPの最上方の1枚が、給紙ローラによって、複数の搬送ローラ対が設置された搬送経路に向けて給送される。その後、シートPは、タイミングローラ45の位置に達する。そして、タイミングローラ45の位置に達したシートPは、感光体ドラム5上に形成された画像と位置合わせをするためにタイミングを合わせて、転写装置7(転写ニップ)に向けて搬送される。
【0015】
そして、転写工程後のシートPは、転写装置7の位置を通過した後に、搬送経路を経て定着装置20に達する。定着装置20に達したシートP(未定着画像が担持されたシートPである。)は、定着ローラ21(熱源としてのヒータが内設されている。)と加圧ローラ22との間に送入されて、定着ローラ21から受ける熱と双方の部材21、22から受ける圧力とによってトナー像(画像)が定着される。トナー像が定着されたシートPは、定着ローラ21と加圧ローラ22との間(定着ニップである。)から送出された後に、画像形成装置本体1から排出される。
こうして、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0016】
次に、本実施の形態において、画像形成装置1に設置される捕集装置30について詳述する。
図1図3を参照して、本実施の形態における画像形成装置1には、画像形成時(帯電工程時)に帯電装置6による高圧放電によって生成されたオゾンとともに、感光体ドラム5の周囲で浮遊する粉体としてのトナー(紙粉なども含まれている。)を捕集して装置外に排出しないための捕集装置30が設けられている。
詳しくは、捕集装置30には、帯電装置6の近傍から画像形成装置本体1の外部に向けて排気をおこなうためのダクト31が設けられている。ダクト31は、通気方向上流側であって帯電装置6の近傍に吸引口A(図3を参照して、幅方向に延在するように形成されている。)が設けられ、通気方向下流側に装置外に露呈する排出口Bが設けられている。そして、ダクト31の吸引口Aから排出口Bに至る経路中に、フィルタ36(オゾンフィルタ)やファン41が設けられている。
また、フィルタ36(オゾンフィルタ)としては、公知のものを用いることができる。本実施の形態では、フィルタ36として、酸化マンガンを触媒にしたオゾンフィルタが用いられている。また、フィルタ36は、トナーや紙粉などの異物を捕集して、空気(気体)のみを通過させるように、そのメッシュの大きさが、捕集対象となるトナーなどの粒径以下に定められている。
また、フィルタ36の下流側(図1図3において白矢印方向で示す通気方向の下流側である。)には、図1図3の白矢印方向の気流を生じさせるファン41(排気ファン)が設置されている。
このような構成により、ダクト31において、帯電装置6による高圧放電によって生じたオゾンがフィルタ36によって分解(捕集)されながら、オゾン量の少ない空気(気体)が排出口Bから装置外に排出されることになる。さらに、ダクト31において、感光体ドラム5の周囲で浮遊する粉体としてのトナー(紙粉なども含まれている。)がフィルタ36によって捕集されながら、粉体を含まない空気(気体)が排出口Bから装置外に排出されることになる。
【0017】
以下、本実施の形態における捕集装置30に設置された粉体検知システムとしての検知システム35について詳しく説明する。
図2図3に示すように、捕集装置30には、フィルタ36の状態を検知するための検知システム35が設置されている。この検知システム35は、図4(及び、図2)に示すように、フィルタ36、対向電極37、検知手段としての検知部62、などで構成されている。
フィルタ36は、非導電性であって、先に説明したように、粉体としてのトナーを捕集可能に構成されている。また、本実施の形態におけるフィルタ36は、空気(オゾンを除去した状態の気体である。)を通気可能に構成されている。そして、このフィルタ36には、2つの電極板37a、37bからなる対向電極37が設置されている。フィルタ36と対向電極37とは、いずれも、ダクト31の内壁面との間に隙間が形成されないように配置されている。
なお、フィルタ36及び対向電極37に対して通気方向(吸引口Aから排気口Bに向かう方向であって、図2の白矢印方向、図4の矢印方向である。)の下流側には、通気をおこなうためのファン41(排気ファン)が設置されている。
【0018】
ここで、検知手段としての検知部62は、対向電極37に形成される電界の変化を検知するものである。
詳しくは、検知部62(検知手段)は、電源61によって所定の電圧を2つの電極板37a、37bに印加することで、2つの電極板37a、37bの間に形成される電界の大きさの変化量(より具体的には、静電容量Cの変化量ΔCである。)を検知している。そして、その検知結果に基づいて、フィルタ36がトナー(紙粉なども含む。)によって汚れた状態(目詰まりの程度)を判別している。
【0019】
2つの電極板37a、37bの間の静電容量Cは、電界が形成される領域(絶縁体)の比誘電率に比例するところ、トナーや紙粉の比誘電率は空気の比誘電率に比べて大きいため、図6に示すように、フィルタ36で捕集されたトナーや紙粉の量(トナー汚れ量)が増加すると静電容量の変化量ΔCも比例的に増加することになる。
本実施の形態では、このようなメカニズムに基づいて、対向電極37の静電容量(電界の大きさ)の変化量を検知部62で検知して、その検知結果から制御部60でフィルタ36の汚れの程度を判別している。
【0020】
そして、本実施の形態における検知システム35は、検知部62(検知手段)によって対向電極37の電界の大きさの変化量が所定値を超えた状態が検知された場合に、その状態を外部に報知するようにしている。
詳しくは、検知部62(検知手段)によって対向電極37の電界における静電容量の変化量ΔCが所定の値M(図6参照)を超えた状態が検知された場合に、フィルタ36がトナー(粉体)によって目詰まりした旨や、フィルタ36の交換又はメンテナンスが必要である旨を表示部としての操作表示パネル50(図1参照)に表示している。このような表示の例としては、例えば、「フィルタの交換時期が迫っておりますので、以下の手順に従ってフィルタの交換をおこなってください。」などである。
このような報知をおこなうことで、フィルタ36が目詰まりした状態で使用される不具合を抑止することができる。
【0021】
ここで、図4図5を参照して、本実施の形態において、対向電極37は、フィルタ36を図4の矢印で示す通気方向の上流側と下流側とで挟むように配置された2つの網目構造の電極板(上流側電極板37aと、下流側電極板37bと、である。)である。
また、対向電極37は、対向するフィルタ36の表面の形状に合わせて、その表面との対向距離が全面にわたって略均一になるように形成されている。
具体的に、上流側電極板37aは、導電性材料からなる網目構造体であって、略長方体状のフィルタ36に対して通気方向上流側で面接触している。下流側電極板37bは、導電性材料からなる網目構造体であって、略長方体状のフィルタ36に対して通気方向下流側で面接触している。
このように、2つの電極板37a、37bをそれぞれ網目構造とすることにより、ダクト31における通気路を塞ぐように電極板37a、37bを配置しても、その通気が電極板37a、37bによって妨げられることはない。
【0022】
特に、本実施の形態では、2つの電極板37a、37bのうち、通気方向の上流側に配置された上流側電極板37aは少なくとも空気に加えてトナー(粉体)を通過可能に形成されて、通気方向の下流側に配置された下流側電極板37bは少なくとも空気を通過可能に形成されている。
具体的に、図5に示すように、上流側電極板37aにおける網目構造の目開きS1(網目の大きさ)は、下流側電極板37bにおける網目構造の目開きS2よりも大きく形成されている(S1>S2)。そして、上流側電極板37aの目開きS1は、数μm~数10μm程度であって、トナーや紙粉の粒径よりも充分に大きく形成されている。
このように構成することにより、トナーや紙粉を含んだ空気(オゾンも含んでいる。)が上流側電極板37aを通過してフィルタ36に達して、オゾンや粉体が除去された空気がフィルタ36から送出されて下流側電極板37bをスムーズに通過することになる。
ここで、対向電極37による電界(静電容量)の検知精度を高めるため、電極板37a、37bの目開きS1、S2は必要最小限の大きさであることが好ましい。これは、目開きS1、S2の大きさが大きくなると電極板の表面面積が小さくなってしまい、電界(静電容量)を検知する感度が低下してしまうためである。
なお、本実施の形態では、網目構造の対向電極37の網目の形状を正方形としたが、網目の形状はこれに限定されることなく、例えば、網目の形状を六角形(ハニカム形状)とすることもできる。
【0023】
また、図4を参照して、本実施の形態では、フィルタ36として、その厚さZ(通気方向の長さである。)が、縦横の寸法X、Yに比べて小さいものを用いている(Z<X、Y)。
フィルタ36の厚さZが大きくなってしまうと、2つの電極板37a、37bの対向距離が長くなってしまって、電界(静電容量)を検知する感度が低下してしまう。そのため、フィルタ36は、その厚さZが大き過ぎずに、最適化されたものを用いることが好ましい。
【0024】
このように、本実施の形態では、フィルタ36に設置された対向電極37に形成される電界の変化を検知しているため、画像形成装置1の周囲に設置された障害物(例えば、壁などである。)などに関係なく、フィルタ36がトナー(粉体)で目詰まりした状態を精度良く検知することができる。すなわち、フィルタ36の状態を精度良く検知することができずに誤検知してしまう不具合が軽減される。
【0025】
<変形例1>
図7に示すように、変形例1におけるフィルタ36は、プリーツ構造体(山谷が交互に繰り返された構造体である。)のものである。
そして、変形例1における対向電極37も、対向するフィルタ36の表面の形状に合わせて、その表面との対向距離が全面にわたって略均一になるように形成されている。すなわち、変形例1において、2つの電極板37a、37bは、それぞれ、プリーツ構造のフィルタ3の対向面の形状に合わせて、山谷が交互に繰り返されるように形成されている。そして、2つの電極板37a、37bの対向距離が全面にわたって略均一になるように形成されている。
このようにフィルタ36や対向電極37を構成した場合であっても、フィルタ36の状態を精度良く検知することができる。
【0026】
<変形例2>
図8に示すように、変形例2における検知システム35は、粉体としてのトナーが収容されたトナー収容装置としての現像装置4に設置されている。
トナー収容装置としての現像装置4は、公知のものと同様に、内部にトナーが収容されていて、装置内でトナーを撹拌・搬送しながら、現像ローラにトナーを担持させて、感光体ドラム5上に形成された潜像を現像するものである。
ここで、現像装置4の天井部には、装置の内圧上昇を防ぐために開口が設けられていて、その開口を塞ぐようにフィルタ36が設置されている。このフィルタ36は、トナーを捕集して空気のみを通過させるように形成されたトナーフィルタであって、非導電性の不織布などで形成されている。そして、現像装置4内の空気(内圧上昇を防ぐための余剰の空気である。)は、ファン41による吸引によって、フィルタ36を介してダクト31内を通って排出口Bから排出されることになる。
ここで、変形例2でも、このフィルタ36に対向電極37が設置されていて、検知部62によって対向電極37に形成される電界の変化が検知される。そして、その検知結果に基づいて、フィルタ36の状態が精度良く把握されることになる。
なお、変形例2では、トナー収容装置としての現像装置4に検知システム35を設置したが、トナー収容装置としての廃トナー回収容器49(図1参照)に検知システム35を設置することもできる。
【0027】
<変形例3>
図9に示すように、変形例3における検知システム35(捕集装置30)は、フィルタ36及び対向電極37に対して通気方向の上流側に、通気をおこなうためのファン42(吸気ファン)が設置されている。
詳しくは、ファン42によって、画像形成装置1の吸気口Cからダクト31内に空気が吸気されて、吸気された空気とともに、帯電装置6で生じたオゾンや、感光体ドラム5の周囲で浮遊するトナーや紙粉が、白矢印方向に流動する。そして、オゾンやトナー、紙粉がフィルタ36によって捕集されて、クリーンな空気が排出口Bから排出されることになる。
このように構成した場合であっても、検知システム35によってフィルタ36の状態が精度良く検知されることになる。
なお、通気をおこなうためのファンは、フィルタ36及び対向電極37に対して通気方向の下流側及び上流側の少なくとも一方に配置されておればよく、図2のファン41と図9のファン42とを両方とも設置してもよい。
【0028】
以上説明したように、本実施の形態における検知システム35は、トナー(粉体)を捕集可能なフィルタ36と、フィルタ36に設置された対向電極37と、対向電極37に形成される電界の変化を検知する検知部62(検知手段)と、が設けられている。
これにより、フィルタ36の状態を精度良く検知することができる。
【0029】
なお、本実施の形態では、モノクロの画像形成装置1に設置される検知システム35に対して本発明を適用したが、カラーの画像形成装置に設置される検知システムに対しても当然に本発明を適用することができる。
また、本実施の形態ではオゾンとともに粉体を捕集するためのフィルタ36を用い、変形例2ではトナーを捕集するフィルタ36を用いたが、フィルタは粉体を捕集するものであればこれらに限定されることなく、例えば、定着装置20による定着工程によって生じた揮発性有機化合物を捕集するVOCフィルタなどを用いることもできる。
また、本実施の形態では略直方体状のフィルタ36を用い、変形例1ではプリーツ構造のフィルタ36を用いたが、フィルタは粉体を捕集するものであればこれらに限定されることなく、例えば、円筒状のフィルタを用いることもできる。その場合、円筒状のフィルタの外周面と内周面とを挟むように対向電極を形成することになる。
そして、それらの場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0030】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0031】
1 画像形成装置(画像形成装置本体)、
4 現像装置(トナー収容装置)、
5 感光体ドラム(像担持体)、
6 帯電装置、
30 捕集装置、
31 ダクト、
35 検知システム(粉体検知システム)
36 フィルタ、
37 対向電極、
37a 上流側電極板、 37b 下流側電極板、
41 ファン(排気ファン)、
42 ファン(吸気ファン)、
50 操作表示パネル(表示部)、
62 検知部(検知手段)、
A 吸引口、 B 排出口、 C 吸気口。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】
【文献】特開2004-219875号公報
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9