(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】異常検出装置、異常検出方法、プログラムおよび画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
B41J2/01 305
B41J2/01 451
(21)【出願番号】P 2020107283
(22)【出願日】2020-06-22
【審査請求日】2023-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2019141774
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】石▲崎▼ 雄祐
(72)【発明者】
【氏名】金子 貴晃
【審査官】岩本 太一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-076872(JP,A)
【文献】特開2018-177393(JP,A)
【文献】特開2013-169688(JP,A)
【文献】特開2009-236564(JP,A)
【文献】特開平06-255750(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0303276(US,A1)
【文献】特開2018-058361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01- 2/215
11/00-11/70
B65H 7/00- 7/20
43/00-43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される媒体の一方の側部に配置された発光素子を備え、前記発光素子により前記媒体の厚さ方向に対して幅を有するレーザ光束を出射する発光部と、
前記媒体の他方の側部に、前記発光部と前記媒体を挟んで向かい合うように配置され、前記媒体の厚さ方向に配列される複数の受光素子を備え、かつ、前記発光部が出射する前記レーザ光束を前記複数の受光素子で受光する受光部と、
前記複数の受光素子のうち、前記媒体による前記レーザ光束の遮蔽の有無を検出するための第1の閾値以下の受光量を示す受光素子が前記厚さ方向に連続する数が前記媒体の有無を判定するための第2の閾値を超えていた場合、前記媒体の浮きを検出する検出部と、
前記複数の受光素子のうち、前記第1の閾値以下の受光量を示す受光素子が前記厚さ方向に連続する数が前記第2の閾値以下の場合、誤検出とみなして前記媒体の浮きを検出しないようにする誤検出除去部と、
を備える異常検出装置。
【請求項2】
搬送される媒体の一方の側部に配置された発光素子を備え、前記発光素子により前記媒体の厚さ方向に対して幅を有するレーザ光束を出射する発光部と、
前記媒体の他方の側部に、前記発光部と前記媒体を挟んで向かい合うように配置され、前記媒体の厚さ方向に配列される複数の受光素子を備え、かつ、前記発光部が出射する前記レーザ光束を前記複数の受光素子で受光する受光部と、
前記複数の受光素子のうち、前記媒体による前記レーザ光束の遮蔽の有無を検出するための第1の閾値以下の受光量を示す受光素子が前記厚さ方向に連続する数が前記媒体の有無を判定するための第2の閾値を超えていた場合、前記媒体の浮きを検出する検出部と、
を備え
、
前記第2の閾値は使用する前記媒体の厚さや撓み等を考慮して当該媒体により遮蔽されると考えられる領域よりも小さい領域であると判定できる値である、
異常検出装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記複数の受光素子のうち、前記第1の閾値以下の受光量を示す最も高い位置にある受光素子の高さを前記媒体の浮きとして検出する、
請求項
2に記載の異常検出装置。
【請求項4】
前記複数の受光素子のうち、前記第1の閾値以下の受光量を示す受光素子が前記厚さ方向に連続する数が前記第2の閾値以下の場合、誤検出とみなして前記媒体の浮きを検出しないようにする誤検出除去部を、さらに備える、
請求項
2に記載の異常検出装置。
【請求項5】
前記検出部は、前記複数の受光素子のうち、前記第1の閾値を超える受光量を示す最も低い位置にある受光素子の高さを前記媒体の浮きとして検出する、
請求項1
又は2に記載の異常検出装置。
【請求項6】
前記検出部により検出された前記媒体の浮きが異常の有無を判定するための第3の閾値を超えていた場合、前記媒体の搬送を停止する搬送制御部を、さらに備える、
請求項1乃至
5のいずれか1つに記載の異常検出装置。
【請求項7】
前記第2の閾値は使用する前記媒体の厚さや撓み等を考慮して当該媒体により遮蔽されると考えられる領域よりも小さい領域であると判定できる値である、
請求項1乃至
6のいずれか1つに記載の異常検出装置。
【請求項8】
搬送される媒体の厚さ方向に配列され、かつ、前記媒体の搬送面と平行なレーザ光束を出射する発光素子と前記媒体を挟んで向かい合う複数の受光素子の各々の前記レーザ光束の受光量を取得する取得ステップと、
前記複数の受光素子のうち、前記媒体による前記レーザ光束の遮蔽の有無を検出するための第1の閾値以下の受光量を示す受光素子が前記厚さ方向に連続する数が前記媒体の有無を判定するための第2の閾値を超えていた場合、前記媒体の浮きを検出する検出ステップと、
前記複数の受光素子のうち、前記第1の閾値以下の受光量を示す受光素子が前記厚さ方向に連続する数が前記第2の閾値以下の場合、誤検出とみなして前記媒体の浮きを検出しないようにする誤検出除去ステップと、
を含む異常検出方法。
【請求項9】
搬送される媒体の厚さ方向に配列され、かつ、前記媒体の搬送面と平行なレーザ光束を出射する発光素子と前記媒体を挟んで向かい合う複数の受光素子の各々の前記レーザ光束の受光量を取得する取得ステップと、
前記複数の受光素子のうち、前記媒体による前記レーザ光束の遮蔽の有無を検出するための第1の閾値以下の受光量を示す受光素子が前記厚さ方向に連続する数が前記媒体の有無を判定するための第2の閾値を超えていた場合、前記媒体の浮きを検出する検出ステップと、
を含
み、
前記第2の閾値は使用する前記媒体の厚さや撓み等を考慮して当該媒体により遮蔽されると考えられる領域よりも小さい領域であると判定できる値である、
異常検出方法。
【請求項10】
異常検出装置を制御するコンピュータに、
搬送される媒体の厚さ方向に配列され、かつ、前記媒体の搬送面と平行なレーザ光束を出射する発光素子と前記媒体を挟んで向かい合う複数の受光素子の各々の前記レーザ光束の受光量を取得する取得ステップと、
前記複数の受光素子のうち、前記媒体による前記レーザ光束の遮蔽の有無を検出するための第1の閾値以下の受光量を示す受光素子が前記厚さ方向に連続する数が前記媒体の有無を判定するための第2の閾値を超えていた場合、前記媒体の浮きを検出する検出ステップと、
前記複数の受光素子のうち、前記第1の閾値以下の受光量を示す受光素子が前記厚さ方向に連続する数が前記第2の閾値以下の場合、誤検出とみなして前記媒体の浮きを検出しないようにする誤検出除去ステップと、
を実行させるプログラム。
【請求項11】
異常検出装置を制御するコンピュータに、
搬送される媒体の厚さ方向に配列され、かつ、前記媒体の搬送面と平行なレーザ光束を出射する発光素子と前記媒体を挟んで向かい合う複数の受光素子の各々の前記レーザ光束の受光量を取得する取得ステップと、
前記複数の受光素子のうち、前記媒体による前記レーザ光束の遮蔽の有無を検出するための第1の閾値以下の受光量を示す受光素子が前記厚さ方向に連続する数が前記媒体の有無を判定するための第2の閾値を超えていた場合、前記媒体の浮きを検出する検出ステップと、
を実行させるプログラム
であって、
前記第2の閾値は使用する前記媒体の厚さや撓み等を考慮して当該媒体により遮蔽されると考えられる領域よりも小さい領域であると判定できる値である、
プログラム。
【請求項12】
媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記媒体を前記媒体の搬送方向である副走査方向に搬送して、前記画像形成部へ送り込む搬送部と、
請求項1乃至
7のいずれか1つに記載の異常検出装置と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常検出装置、異常検出方法、プログラムおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式の商用印刷機では、高画質を実現するためにインクジェットと用紙(記録媒体)との距離を1mm程度の近距離にする必要がある。しかし、この構成により、わずかな用紙の浮きが発生した場合でも用紙がインクジェットヘッドと接触し、インクジェットヘッドを傷つけてしまうヘッドアタックが生じる。
【0003】
例えば特許文献1では、ヘッドアタックを防止するために、インクジェットヘッドよりも上流にレーザ光を投光する投光部と、それを受光する受光部からなる光学センサ対(媒体浮きセンサ)を配置し、搬送されてくる媒体が通過している時に受光部にて受光量を検出し、受光量が閾値を下回った場合に媒体の浮きが発生したと認識する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、レーザ光が媒体等に反射することによる干渉の影響を受けて媒体浮きの誤検出が発生する可能性があるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、レーザ光が媒体等に反射することによる干渉の影響を受けて発生する可能性がある媒体浮きの誤検出を除去できる異常検出装置、異常検出方法、プログラムおよび画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、搬送される媒体の一方の側部に配置された発光素子を備え、前記発光素子により前記媒体の厚さ方向に対して幅を有するレーザ光束を出射する発光部と、前記媒体の他方の側部に、前記発光部と前記媒体を挟んで向かい合うように配置され、前記媒体の厚さ方向に配列される複数の受光素子を備え、かつ、前記発光部が出射する前記レーザ光束を前記複数の受光素子で受光する受光部と、前記複数の受光素子のうち、前記媒体による前記レーザ光束の遮蔽の有無を検出するための第1の閾値以下の受光量を示す受光素子が前記厚さ方向に連続する数が前記媒体の有無を判定するための第2の閾値を超えていた場合、前記媒体の浮きを検出する検出部と、前記複数の受光素子のうち、前記第1の閾値以下の受光量を示す受光素子が前記厚さ方向に連続する数が前記第2の閾値以下の場合、誤検出とみなして前記媒体の浮きを検出しないようにする誤検出除去部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、レーザ光が媒体等に反射することによる干渉の影響を受けて発生する可能性がある媒体浮きの誤検出を除去できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、画像形成装置の概略構成を示す図である。
【
図2】
図2は、異常検出装置のハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、異常検出装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、異常検出装置を模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、異常検出装置の媒体の浮き検出動作の一例を示す正面図である。
【
図6】
図6は、異常検出装置の媒体の浮き検出処理の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、異常検出装置において媒体が完全に浮いた場合の一例を示す正面図である。
【
図8】
図8は、異常検出装置において媒体が完全に浮いた場合の出力波形の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、異常検出装置において媒体の浮きの誤検出が発生する場合の一例を示す正面図である。
【
図10】
図10は、異常検出装置において直接光と反射光が干渉した場合の出力波形の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、異常検出装置が媒体の誤検出を除去する処理の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、異常検出装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、変形例の異常検出装置の処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる異常検出装置、異常検出方法、プログラムおよび画像形成装置の最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
(実施形態の画像形成装置の構成)
図1は、異常検出装置、異常検出方法、プログラムおよび画像形成装置の一実施例を適用した画像形成装置1の要部概略構成図である。
【0011】
図1において、画像形成装置1は、媒体供給部2及び画像記録部3、異常検出装置10等を備えており、媒体供給部2は、所定幅を有する媒体Pを搬送ローラ21によって画像記録部3に搬送する。言い替えると、搬送ローラ21(「搬送部」の一例)は、媒体Pを媒体Pの搬送方向である副走査方向に搬送して、画像記録部3(「画像形成部」の一例)へ送り込む。
【0012】
画像記録部3は、媒体Pに画像を形成する。画像記録部3は、キャリッジ32を備える。キャリッジ32は、ガイドロッド31に移動可能に取り付けられている。ガイドロッド31は、主走査方向(
図1の媒体面鉛直方向)に所定の媒体幅を越える長さに張り渡されている。
【0013】
キャリッジ32には、所定の複数の色(例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K))の記録ヘッド33a~33dが主走査方向に並んで搭載されている。記録ヘッド33a~33dは、搬送ローラ21により送り込まれた媒体Pにインクを吐出して画像を形成する。なお、画像記録部3は、記録ヘッドがライン状に並んでいるものであってもよい。
【0014】
キャリッジ32の下方には、媒体供給部2から送給されてきて搬送される媒体Pを支持する平板状のプラテン34が配設されており、プラテン34の下方には、空気吸引部35が配設されていて、プラテン34には、図示しないが空気穴が形成されている。
【0015】
画像記録部3は、空気吸引部35がプラテン34の空気孔を通して空気を吸い込むことで、媒体供給部2から送られてきた媒体Pを撓ませること無くプラテン34に密接させつつ副走査方向に搬送する。画像記録部3は、媒体Pの搬送方向下流側に、搬送ローラ36が配設されており、媒体供給部2の搬送ローラ21及び画像記録部3の搬送ローラ36は、媒体送りモータ37によって回転駆動されて、媒体Pを搬送する。
【0016】
また、画像記録部3のキャリッジ32は、図示しない駆動機構がキャリッジモータ38によって駆動されることで、ガイドロッド31に沿って主走査方向に移動する。
【0017】
モータ制御部39は、媒体送りモータ37及びキャリッジモータ38によって駆動が制御され、媒体Pの搬送及びキャリッジ32の移動が制御される。
【0018】
後述する異常検出装置10は、記録ヘッド33a~33dよりも媒体供給部2側の位置に配設され、媒体Pの浮きを検出する。
【0019】
なお、ここでは、搬送ローラ21で媒体Pを水平に搬送し、画像記録部3で画像を形成する形態の画像形成装置1に異常検出装置10を適用した例を挙げたが、異常検出装置10は、搬送ドラムに媒体Pを巻き付けて搬送し、画像形成部で画像を形成する形態の画像形成装置にも適用することが可能である。以下の説明では、搬送ローラ21は、搬送ドラムに読み替え可能であるものとする。
【0020】
(実施形態の異常検出装置の構成)
本実施形態の異常検出装置のハードウェア構成について説明する。
図2は、本実施形態にかかる異常検出装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0021】
本発明の実施形態にかかる異常検出装置10は、CPU101、ROM102、RAM103、ネットワークI/F104、外部機器接続I/F105、発光部106、受光部107、バスライン108を備える。
【0022】
CPU101は、異常検出装置10全体の動作を制御する。ROM102は、CPU101の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM103は、CPU101のワークエリアとして使用される。
【0023】
ネットワークI/F104は、インターネット等の通信ネットワークを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。外部機器接続I/F105は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。バスライン108は、
図2に示されているCPU101等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0024】
発光部106は、搬送される媒体Pの一方の側部に配置される発光素子を備え、発光素子により媒体Pの厚さ方向に対して幅を有する検出ビームL(「レーザ光束」の一例)を出射する。発光素子は、受光素子に向けて平行にレーザ光lを出射する。ここで、本実施形態における「平行」は、平行に限定されるものではなく、平行と同一の作用効果を奏する略平行であってもよい。
【0025】
なお、本実施形態では、発光部106が備える発光素子は、媒体Pの厚さ方向に複数個配列されているものとするが、発光素子の数は単数であっても構わない。要するに、発光部106が媒体Pの厚さ方向に対して幅を有するレーザ光束を出射できる構成であれば発光素子の数はいくつであってもよい。
【0026】
受光部107は、媒体Pの他方の側部に、発光部106と媒体Pを挟んで向かい合うように配置され、媒体Pの厚さ方向に配列される複数の受光素子を備え、かつ、発光部106が出射する検出ビームLを複数の受光素子で受光する。なお、受光素子としては、たとえば、CCD(Charge-Coupled Device)が用いられる。
【0027】
複数の受光素子は、複数の発光素子と媒体Pの幅方向に媒体Pを挟んで対向するように設けられる。受光素子は、発光素子から出射されるレーザ光lを受光する。受光部107は複数の受光素子の各々の受光量を電圧値としてCPU101に出力する。
【0028】
なお、本実施形態では、受光部107がCPU101に出力する信号値として電圧値を用いているが、これに限らず、たとえば電流値等を用いてもよい。
【0029】
次に、異常検出装置10により発揮される機能について説明する。
図3は、本実施形態の異常検出装置10の機能構成例を示すブロック図である。
【0030】
本実施形態の異常検出装置10は、取得部111、第1判定部112、検出部113、第2判定部114、誤検出除去部115、第3判定部116、搬送制御部117と、を備える。
【0031】
取得部111は、搬送される媒体Pの厚さ方向に配列され、かつ、媒体Pの搬送面と平行なレーザ光lを出射する発光素子と媒体Pを挟んで向かい合う複数の受光素子の各々のレーザ光lの受光量を取得する。本実施形態において、取得部111は、受光部107から電圧値としてCPU101に出力された複数の受光素子の各々の受光量を取得する。
【0032】
第1判定部112は、複数の受光素子の各々の位置でレーザ光lが遮蔽されているか否かを判定する。本実施形態において、第1判定部112は、複数の受光素子の各々が、後述する第1の閾値以下の受光量を示すか否かを判定する。第1判定部112は、第1の閾値以下の受光量を示す受光素子の位置を遮蔽あり、第1の閾値を超える受光量を示す受光素子の位置を遮蔽なしと判定する。
【0033】
検出部113は、複数の受光素子のうち、第1の閾値以下の受光量を示す受光素子が媒体Pの厚さ方向に連続する数が第2の閾値を超えていた場合、媒体Pの浮きを検出する。本実施形態において、検出部113は、媒体Pの浮きを検出するために、まず、第1の閾値以下の受光量を示す最も高い位置にある受光素子を検出する。
【0034】
検出部113は、後述する第2判定部114が媒体なしと判定した場合、後述する誤検出除去部115が検出部113の検出対象から除外した受光素子を除いて次に高い位置にある受光素子を検出する。
【0035】
また、第2判定部114が媒体Pありと判定した場合、検出部113は、複数の受光素子のうち、誤検出除去部115が検出部113の検出対象から除外した受光素子を除いて第1の閾値以下の受光量を示す最も高い位置にある受光素子の高さを媒体Pの浮きとして検出する。
【0036】
第2判定部114は、複数の受光素子の各々の位置における媒体Pの有無を判定する。本実施形態において、第2判定部114は、複数の受光素子のうち、第1の閾値以下の受光量を示す受光素子が媒体Pの厚さ方向に連続する数が後述する第2の閾値を超えているか否かを判定する。第2判定部114は、第2の閾値を超えている場合は、該受光素子の位置に媒体Pありと判定し、第2の閾値以下の場合は、該受光素子の位置に媒体Pなしと判定する。
【0037】
誤検出除去部115は、複数の受光素子のうち、第1の閾値以下の受光量を示す受光素子が媒体Pの厚さ方向に連続する数が第2の閾値以下の場合、誤検出とみなして媒体Pの浮きを検出しないようにする。本実施形態において、誤検出除去部115は、第2判定部114が媒体なしと判定した位置にある受光素子を検出部113の検出対象から除外する。
【0038】
第3判定部116は、検出部113が検出した媒体Pの浮きが第3の閾値を超えているか否かを判定する。第3判定部116は、第3の閾値を超えている場合は、異常ありと判定し、第3の閾値以下の場合は、異常なしと判定する。
【0039】
ここで、第3の閾値とは、異常の有無を判定するための閾値である。第3の閾値は、使用する媒体Pの性質等を考慮して、ヘッドアタックを防止でき、かつ、頻繁に媒体Pの搬送が停止することがない数値を設定する。第3の閾値は、使用する媒体P等に応じて任意に変更可能である。
【0040】
搬送制御部117は、画像形成装置1の搬送ローラ21、36による媒体Pの搬送を制御する。搬送制御部117は、検出部113により検出された媒体Pの浮きが第3の閾値を超えていた場合、媒体Pの搬送を停止する。本実施形態において、搬送制御部117は、第3判定部116が異常ありと判定した場合に、搬送ローラ21、36による媒体Pの搬送動作を停止する。
【0041】
本実施形態において、上述の取得部111、第1判定部112、検出部113、第2判定部114、誤検出除去部115、第3判定部116、および搬送制御部117の各々の機能は、CPU101がROM102等に格納されたプログラムを実行することにより実現される。
【0042】
なお、本実施形態の異常検出装置10で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0043】
さらに、本実施形態の異常検出装置10で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の異常検出装置10で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0044】
本実施形態の異常検出装置10で実行されるプログラムは、上述した各部(上述の取得部111、第1判定部112、検出部113、第2判定部114、誤検出除去部115、第3判定部116、搬送制御部117)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU101がROM102等からプログラムを読み出して実行することにより上記各部がRAM103上にロードされ、上述の取得部111、第1判定部112、検出部113、第2判定部114、誤検出除去部115、第3判定部116、および搬送制御部117がRAM103上に生成されるようになっている。
【0045】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0046】
(実施形態の異常検出装置の動作)
本実施形態の異常検出装置10の動作について説明する。
図4は、実施形態の異常検出装置10を模式的に示す図である。発光部106は、搬送ローラ21の媒体Pの搬送面21Aに対し平行な検出ビームLを受光部107に向けて出射する。
【0047】
受光部107は、発光部106から出射された検出ビームLを受光する。受光部107は、受光量を電圧値としてCPU101に出力する。搬送ローラ21は、用紙等の媒体P(
図4においては図示せず)を搬送経路に沿って搬送する。媒体Pは、搬送面21Aの上に載せられて搬送される。
【0048】
図5は、本実施形態の異常検出装置10の媒体Pの浮きを検出する動作の一例を示す正面図である。発光部106は、媒体Pの厚さ方向に配列される複数の発光素子を備える。発光部106は、例えば、レーザ光lを搬送面21Aに対し平行に出射する。複数の発光素子が出射するレーザ光lの束が検出ビームLとなる。
【0049】
受光部107は、媒体Pの厚さ方向に配列される複数の受光素子を備える。受光部107は、複数の発光素子から出射されたレーザ光lを複数の受光素子で受光し、その受光量を元に電圧値を出力し、レーザ光lを遮蔽する物体の高さを測定する。
【0050】
ここで、レーザ光lを遮蔽する物体の高さを測定する原理を簡単に説明する。まず、発光部106と受光部107との間に媒体Pが存在する場合、媒体Pによりレーザ光lが遮蔽される。レーザ光lが遮蔽されると、遮蔽された位置(高さ)に存在する受光素子の受光量が低下する。受光素子は媒体Pの厚さ方向に配列されているため、受光量が低下した受光素子の位置からレーザ光lを遮蔽する物体の高さを測定することができる。
【0051】
受光部107は、搬送面21A上で搬送経路に沿って搬送される記録媒体が浮いてレーザ光lを遮蔽する物体の高さが閾値を超えた時、媒体Pの浮きの異常を検出する。この場合、搬送制御部117は、異常が発生したとみなして搬送動作を停止する。
【0052】
なお、
図5では、対向する形で発光部106と受光部107とを設置する場合を記載しているが、発光部106と受光部107とは対向する形で設置されていなくてもよい。例えば、発光部106と受光部107とを1つのモジュールにして同じ場所に置いてもよい。この場合は、例えば対向する位置に反射板等の部材を置くことで、検出ビームLの経路として記録媒体を隔てる構成とする。
【0053】
以下、本実施形態の異常検出装置10による媒体Pの浮きの検出処理について具体的に説明する。
【0054】
まず、取得部111が受光部107から電圧値として出力された複数の受光素子の各々の受光量を取得する。次に第1判定部112は、取得部111により取得された複数の受光素子の各々の受光量が第1の閾値以下を示すか否かを判定する。言い換えると、第1判定部112は、レーザ光lの遮蔽の有無を判定するため、複数の受光素子の各々の受光量を二値化する。
【0055】
ここで、第1の閾値とは、媒体Pによるレーザ光lの遮蔽の有無を検出するための閾値である。第1の閾値は、使用する媒体Pの性質等を考慮した数値を設定する。第1の閾値は、使用する媒体P等に応じて任意に変更可能である。
【0056】
図6は、本実施形態の異常検出装置10の媒体Pの浮き検出処理の一例を示す図である。上述のとおり、受光部107は、媒体Pの厚さ方向に複数の受光素子を備えている。第1判定部112は、
図6の左に示すように、すべての受光素子を第1の閾値以下の受光量を示す受光素子か、第1の閾値を超える受光量を示す受光素子かの二つに分ける。
【0057】
そして、
図6の右に示すように、第1判定部112は、第1の閾値以下の場合、レーザ光lの遮蔽ありと判定し、第1の閾値を超える場合、レーザ光lの遮蔽なしと判定する。検出部113は、第1判定部112が遮蔽ありと判定した中で最も高い位置にある受光素子を検出する。検出部113は、原則として該受光素子の高さを媒体Pの高さとして検出する。
【0058】
なお、上述したとおり、本実施形態の異常検出装置10の検出部113は、原則として第1判定部112が遮蔽ありと判定した受光素子の中で最も高い位置にある受光素子の高さを媒体Pの高さとして検出することとしているが、その理由を
図7、
図8を参照して説明する。
【0059】
図7は、媒体Pが完全に浮いた場合の一例を示す正面図である。
図7に示すように媒体Pが完全に浮いて、媒体Pと搬送ローラ21との間に隙間(浮きF)ができた場合は、媒体Pと搬送ローラ21との間に遮蔽されない領域が生じる可能性がある。
【0060】
図8は、媒体Pが完全に浮いた場合の出力波形の一例を示す図である。図の左側は、画像形成装置1の異常検出装置10が設置されている付近を正面から観察した場合の媒体P、搬送ローラ21等の位置関係を示している。
【0061】
図8に示すように、媒体Pに浮きFが発生し、媒体Pと搬送ローラ21との間に遮蔽されない領域(b)が生じた場合、搬送ローラ21により遮蔽される領域(a)の最も高い位置を媒体Pの浮きとして検出してしまうと、媒体Pは、実際には、(a)よりも高い位置に存在しているため、媒体Pとヘッドとが接触してヘッドアタックを生じるおそれがある。
【0062】
この場合、媒体Pの浮きが発生したことによるヘッドアタックを防止するため、媒体Pにより遮蔽される領域(c)の最も高い位置を媒体Pの浮きとして検出する必要がある。そこで、本実施形態の異常検出装置10の検出部113は、原則として第1判定部112が遮蔽ありと判定した受光素子の中で最も高い位置Hにある受光素子の高さを媒体Pの浮きとして検出することとしている。
【0063】
なお、
図8において、(d)は、媒体Pより高い位置にある領域であって、レーザ光lが遮蔽されていない領域を示している。
【0064】
ところで、発光部106は、受光部107に向けて検出ビームLを出射しているが、実際には直接光だけでなく、用紙等の媒体Pを介した反射光も発生する可能性がある。そして、直接光と反射光の干渉が生じると、媒体Pの浮きの誤検出が発生する場合がある。以下、
図9、
図10を参照して、媒体Pの浮きの誤検出が生じるメカニズムについて説明する。
【0065】
図9は、媒体Pの浮きの誤検出が発生する場合の一例を示す正面図である。発光部106が検出ビームLを出射すると、媒体Pを介した反射光が発生することがあり、直接光と反射光が干渉した結果、媒体Pの浮きの誤検出が生じる可能性がある。
【0066】
図10は、直接光と反射光が干渉した場合の出力波形の一例を示す図である。直接光と反射光の干渉が生じると、受光部107の出力波形が
図10の左側のような状態になり、実際に媒体Pがある位置よりも高い位置に存在する受光素子の受光量が低下して第1の閾値以下になってしまう可能性がある。
【0067】
この場合、第1判定部112が遮蔽ありと判定する受光素子の中で最も高い位置Hは、(e)の位置になるため、実際には媒体Pが存在していないにも関わらず、異常検出装置10は、実際に媒体Pによりレーザ光lが遮蔽されている領域の中で最も高い位置(f)よりも高い(e)の位置を媒体Pの浮きとして検出してしまう。これが媒体Pの浮きの誤検出が起こるメカニズムである。
【0068】
本実施形態の異常検出装置10によれば、上述した誤検出を除去し、正確に媒体Pの浮きを検出することができる。以下、直接光と反射光の干渉の影響による誤検出の除去について
図11を参照して具体的に説明する。
【0069】
図11は、本実施形態の異常検出装置10が媒体Pの誤検出を除去する処理の一例を示す図である。
図11(a)に示すように、本実施形態の異常検出装置10は、原則として、第1判定部112が遮蔽ありと判定した受光素子の中で最も高い位置Hにある受光素子の高さを媒体Pの浮きとして検出する。
【0070】
しかし、上述したように、直接光と反射光の干渉の影響により、異常検出装置10が媒体Pを誤検出してしまう場合がある。そこで、第2判定部114は、媒体Pにより遮蔽されると考えられる領域よりも小さい領域を媒体なしと判定する。第2判定部114が媒体Pなしと判定した場合、誤検出除去部115は、第2判定部114が媒体なしと判定した受光素子を検出部113の検出対象から除外する。
【0071】
図11(b)に示すように、誤検出除去部115により(g)の位置の受光素子が検出対象から除外された場合、(g)の位置は、第1判定部112が遮蔽ありと判定した受光素子の中で最も高い位置Hとされることはなくなる。したがって、(h)の位置がHとなるため、異常検出装置10は、実際の媒体Pの浮きを示す(h)の位置を媒体Pの浮きとして検出することができる。
【0072】
なお、第2判定部114は、第1判定部112により遮蔽ありと判定された領域が媒体Pにより遮蔽されると考えられる領域よりも小さい領域であるか否かを判定するために、媒体Pの厚さ方向に連続する第1の閾値以下の受光量を示す受光素子の数が第2の閾値を超えるか否かを判定する。
【0073】
ここで、第2の閾値とは、第2判定部114が媒体Pの有無を判定するための閾値である。第2の閾値は、使用する媒体Pの厚さや撓み等を考慮して媒体Pにより遮蔽されると考えられる領域よりも小さい領域であると判定できる値を設定する。第2の閾値は、使用する媒体P等に応じて任意に変更可能である。
【0074】
第2判定部114は、第1判定部112が遮蔽ありと判定した場合でも、媒体Pの厚さ方向に連続する第1の閾値以下の受光量を示す受光素子の数が第2の閾値以下であれば、該受光素子の位置に媒体Pはないと判定する。
【0075】
この場合、誤検出除去部115は、該受光素子を検出部113の検出対象から除外する。これにより、検出部113は、該受光素子の高さを媒体Pの浮きとして検出することがなくなるため、本実施形態の異常検出装置10は、直接光と反射光の干渉の影響による媒体Pの浮きの誤検出を除去できる。
【0076】
以下、上述した媒体Pの浮きの誤検出の除去を含め、本実施形態の異常検出装置10の異常検出動作について説明する。
図12は、異常検出装置10の異常検出動作の一例を示すフローチャートである。
【0077】
取得部111は、受光部107からCPU101に電圧値として出力された複数の受光素子の各々の受光量を取得する(ステップS101)。
【0078】
第1判定部112は、取得部111が取得した受光量を元に複数の受光素子の各々が第1の閾値以下の受光量を示すか否かを判定する。検出部113は、第1判定部112が第1の閾値以下の受光量を示すと判定した受光素子の中で、最も高い位置にある受光素子を検出する(ステップS102)。
【0079】
第2判定部114は、ステップS102または後述するステップS107で検出部113が検出した受光素子を含む第1の閾値以下の受光量を示す受光素子が媒体Pの厚さ方向に連続する数が第2の閾値を超えているか否かを判定する(ステップS103)。
【0080】
第2判定部114は、媒体Pの厚さ方向に連続する数が第2の閾値を超えている場合(ステップS103:Yes)、媒体Pありと判定する(ステップS104)。この場合、検出部113は、第2判定部114が媒体Pありと判定した中で、第1の閾値以下の受光量を示す最も高い位置にある受光素子の高さを媒体Pの浮きとして検出する(ステップS106)。
【0081】
第3判定部116は、検出部113が検出した媒体Pの浮きが第3の閾値を超えているか否かを判定する(ステップS108)。
【0082】
第3判定部116は、第3の閾値を超えている場合(ステップS108:Yes)、異常ありと判定する。この場合、搬送制御部117は、媒体Pの搬送を停止し、本処理を終了する(ステップS109)。
【0083】
一方、第3の閾値以下の場合(ステップS108:No)、第3判定部116は、異常なしと判定し、本処理を終了する(ステップS110)。
【0084】
なお、ステップS103で媒体Pの厚さ方向に連続する数が第2の閾値以下の場合(ステップS103:No)、第2判定部114は、媒体Pなしと判定する(ステップS105)。この場合、誤検出除去部115は、第2判定部114が媒体なしと判定した位置にある受光素子を検出部113の検出対象から除外する。
【0085】
検出部113は、誤検出除去部115が検出対象から除外した受光素子を除いて第1の閾値以下の受光量を示す次に高い位置にある受光素子を検出する(ステップS107)。
【0086】
そして、第2判定部114が、ステップS103で媒体Pありと判定するまで、検出部113は、ステップS103、ステップS105、ステップS107を繰り返す。第2判定部114が、媒体Pありと判定した場合は、上述したとおりの処理が行われるため、説明を省略する。
【0087】
(本実施形態の異常検出装置の効果)
本実施形態の異常検出装置10の検出部113は、複数の受光素子のうち、第1の閾値以下の受光量を示す受光素子が媒体Pの厚さ方向に連続する数が第2の閾値を超えていた場合、媒体Pの浮きを検出する。また、誤検出除去部115は、複数の受光素子のうち、第1の閾値以下の受光量を示す受光素子が媒体Pの厚さ方向に連続する数が第2の閾値以下の場合、誤検出とみなして検出部113が媒体Pの浮きを検出しないようにする。
【0088】
つまり、本実施形態の異常検出装置10は、検出ビームLの干渉の影響により第1の閾値以下の受光量を示した受光素子があったとしても、該受光素子が媒体Pの厚さ方向に連続する数が、第2の閾値以下であれば、遮蔽ありと判定した領域は媒体Pにより遮蔽されると考えられる領域よりも小さい領域であるとみなし、該領域を誤検出として除去することができる。
【0089】
したがって、本実施形態の異常検出装置10は、検出ビームLが用紙等の媒体Pに反射することによる干渉の影響を受けて発生する可能性がある媒体Pの浮きの誤検出を除去し、媒体Pの浮きを正確に検出できるという有利な効果を奏する。
【0090】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。本発明は、上述の実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述の実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0091】
(変形例)
上述の実施形態では、第2判定部114は、第1の閾値以下の受光量を示す受光素子が媒体Pの厚さ方向に連続する数が第2の閾値を超えていた場合に、媒体Pありと判定し、検出部113は、第2判定部114が媒体Pありと判定した中で最も高い位置にある受光素子の高さを媒体Pの浮きとして検出すると説明した。
【0092】
しかし、検出部113は、第1の閾値を超える受光量を示す最も低い位置にある受光素子の高さを媒体Pの浮きとして検出するようにしてもよい。
【0093】
図13は、本実施形態の変形例の異常検出処理の一例を示す図である。本変形例において、検出部113は、第1の閾値を超える受光量を示す最も低い位置にある受光素子の高さ(j)を媒体Pの浮きとして検出する。このため、該受光素子の位置より上部に第1の閾値以下の受光量を示す受光素子がある場合でも、該第1の閾値以下の受光量を示す受光素子の高さ(i)を媒体Pの浮きとして検出しない。
【0094】
本変形例は、媒体Pが完全に浮いて媒体Pと搬送ローラ21との間に隙間が発生する状況が考え難い場面において有用である。
【符号の説明】
【0095】
1 画像形成装置
2 媒体供給部
3 画像記録部
10 異常検出装置
21 搬送ローラ
21A 搬送面
31 ガイドロッド
32 キャリッジ
33a~33d 記録ヘッド
34 プラテン
35 空気吸引部
36 搬送ローラ
37 媒体送りモータ
38 キャリッジモータ
39 モータ制御部
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 ネットワークI/F
105 外部機器接続I/F
106 発光部
107 受光部
108 バスライン
111 取得部
112 第1判定部
113 検出部
114 第2判定部
115 誤検出除去部
116 第3判定部
117 搬送制御部
L 検出ビーム
P 媒体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0096】