(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
H04N1/00 C
H04N1/00 E
(21)【出願番号】P 2020107677
(22)【出願日】2020-06-23
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【氏名又は名称】鈴木 均
(72)【発明者】
【氏名】町田 達至
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-261676(JP,A)
【文献】特開2012-227874(JP,A)
【文献】特開2007-028408(JP,A)
【文献】特開2016-134853(JP,A)
【文献】特開2010-118991(JP,A)
【文献】特開2005-184101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00-1/40
G06T 3/00-5/50
H04N 1/00
H04N 1/40-1/409
H04N 1/46-1/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を読取る読取部と、
前記画像の読取が開始されてから終了するまでの読取期間中に、当該画像がカラーであるか判定する判定部と、
前記画像をカラー印刷するための第1印刷用データを前記読取期間中に生成する第1生成部と、
前記画像をモノクロ印刷するための第2印刷用データを前記読取期間中に生成する第2生成部と、
前記判定部によりカラーと判定されると、前記第1印刷用データを用いて前記画像を印刷させる第1制御部と、
前記判定部によりカラーと判定されなかった場合、前記第2印刷用データを用いて前記画像を印刷させる第2制御部と、
前記画像を印刷する印刷実行部と
、
前記読取期間において、前記第1印刷用データを記憶する第1記憶部と、
前記読取期間において、前記第2印刷用データを記憶する第2記憶部と、を具備し、
前記印刷実行部は、前記第1記憶部に記憶される印刷用データを用いて前記画像を印刷し、
前記第2制御部は、前記判定部によりカラーと判定されなかった場合、前記第2記憶部に記憶された前記第2印刷用データにより、前記第1記憶部に記憶された前記第1印刷用データを上書きする
画像形成装置。
【請求項2】
第1モードおよび第2モードの何れかに切替える切替部を具備し、
前記第1記憶部は、前記読取期間において、前記第1モードでは前記第1印刷用データを記憶し、前記第2モードでは前記第2印刷用データを記憶し、
前記第2記憶部は、前記読取期間において、前記第1モードでは前記第2印刷用データを記憶し、前記第2モードでは前記第1印刷用データを記憶し、
前記第1制御部は、前記判定部によりカラーと判定されると、前記第2モードでは、前記第2記憶部に記憶された前記第1印刷用データにより、前記第1記憶部に記憶された前記第2印刷用データを上書きし、
前記第2制御部は、前記判定部によりカラーと判定されなかった場合、前記第1モードでは、前記第2記憶部に記憶された前記第2印刷用データにより、前記第1記憶部に記憶された前記第1印刷用データを上書きする
請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
画像を読取るステップと、
前記画像の読取が開始されてから終了するまでの読取期間中に、当該画像がカラーであるか判定するステップと、
前記画像をカラー印刷するための第1印刷用データを前記読取期間中に生成
し、第1記憶部に記憶するステップと、
前記画像をモノクロ印刷するための第2印刷用データを前記読取期間中に生成
し、第2記憶部に記憶するステップと、
前記画像がカラーであると判定されると、
前記第1記憶部に記憶された前記第1印刷用データを用いて前記画像を印刷させるステップと、
前記画像がカラーであると判定されなかった場合、
前記第2記憶部に記憶された前記第2印刷用データにより、前記第1記憶部に記憶された前記第1印刷用データを上書きし、前記第1記憶部に記憶された前記第2印刷用データを用いて前記画像を印刷させるステップと
をコンピューターに実行させる画像形成方法。
【請求項4】
請求項
3に記載の各ステップをコンピューターに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スキャン機能により読取った読取画像を印刷する画像形成装置が提案される。また、従来技術では、読取画像がカラーであるかモノクロであるかを自動で判定し、判定結果に応じて、その後の処理を切換える技術が採用される(例えば、特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術では、モノクロで印刷することが選択された場合であっても、カラー印刷するための印刷用データ(例えば、CMYKデータ)の一部(例えば、K版)を利用して画像がモノクロ印刷される場合があった。しかし、カラー印刷するための印刷用データを利用してモノクロ印刷すると、画像によっては適当に表示されない不都合が生じ得た。以上の事情を考慮して、本発明は、モノクロ画像が適当に表示されない不都合を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、画像を読取る読取部と、画像の読取が開始されてから終了するまでの読取期間中に、当該画像がカラーであるか判定する判定部と、画像をカラー印刷するための第1印刷用データを読取期間中に生成する第1生成部と、画像をモノクロ印刷するための第2印刷用データを読取期間中に生成する第2生成部と、判定部によりカラーと判定されると、第1印刷用データを用いて画像を印刷させる第1制御部と、判定部によりカラーと判定されなかった場合、第2印刷用データを用いて画像を印刷させる第2制御部と、画像を印刷する印刷実行部と、読取期間において、第1印刷用データを記憶する第1記憶部と、読取期間において、第2印刷用データを記憶する第2記憶部と、を具備し、印刷実行部は、第1記憶部に記憶される印刷用データを用いて画像を印刷し、第2制御部は、判定部によりカラーと判定されなかった場合、第2記憶部に記憶された第2印刷用データにより、第1記憶部に記憶された第1印刷用データを上書きする。
【0005】
本発明の構成では、カラー印刷するための第1印刷用データおよびモノクロ印刷するための第2印刷用データの双方が生成され、画像がモノクロの場合に第2印刷用データを用いて画像が印刷される。したがって、例えば、本来はカラー印刷に用いる第1印刷用データが、モノクロ印刷に利用される構成と比較して、モノクロ画像が適当に印刷され易くなる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、モノクロ画像が適当に表示されない不都合を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】画像形成装置の一例であるMFPの概略構成を説明するための図である。
【
図4】画像形成装置の動作の具体例を説明するための図である。
【
図5】画像形成装置の読取時処理の具体例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<第1実施形態>
以下、本発明を図面に示した実施形態により詳細に説明する。
図1は、本発明に係る画像形成装置の一例であるMFP(Multifunction Peripheral Product Printer)1の概略構成を説明するための図である。
【0009】
図1に示す通り、MFP1は、手差しトレイ36および給紙トレイ34を具備する。手差しトレイ36から給紙された印刷用紙(記録媒体の一例)は給紙コロ37により直接レジストローラ23へ搬送される。一方、給紙トレイ34から給紙された印刷用紙は、給紙コロ35により中間ローラ39を経てレジストローラ23へ搬送される。
【0010】
MFP1は、感光体ドラム14(K、C、M、Y)を具備する。
図1に示す通り、感光体ドラム14は、黒色の画像が作像される感光体ドラム14K、シアン色の画像が作像される感光体ドラム14C、マゼンタ色の画像が作像される感光体ドラム14M、および、黄色の画像が作像される感光体ドラム14Yを含む。
【0011】
MFP1は、スキャナユニット27を具備する。スキャナユニット27は、利用者の操作に応じて、原稿に表示された画像を読取る。スキャナユニット27により画像が読取られると、当該画像を示す読取データ(RGB形式)が生成される。詳細には後述するが、読取データは印刷用データ(CMYK形式、K形式)に変換される。感光体ドラム14の各々は、印刷用データに応じた領域が書込みユニット16により照射され、印刷される画像に対応した静電潜像が作像される。
【0012】
レジストローラ23へ搬送された印刷用紙は、感光体ドラム14に作像された静電潜像が当該印刷用紙の先端に一致するタイミングで転写ベルト18(画像担持手段)へ搬送される。転写ベルト18へ搬送された印刷用紙は、転写ベルト18および紙吸着ローラ41によって構成される紙吸着ニップを通過する。また、以上の紙吸着ニップを印刷用紙が通過する際、吸着ローラ41に印加されたバイアスにより転写ベルト18に当該印刷用紙が吸着される。
【0013】
図1に示す通り、MFP1には複数の転写ブラシ21(K、C、M、Y)が設けられる。以上の転写ブラシ21は、当該転写ブラシ21に対応する感光体ドラム14と転写ベルト18を介して対向する。また、転写ブラシ21には、トナーの帯電極性(マイナス)と逆極性の転写バイアス(プラス)が印加される。
【0014】
図1に示す通り、転写ベルト18を感光体ドラム14に対して所定圧で保持する加圧ローラ20(K、C、M、Y)が設けられる。感光体ドラム14の画像は、当該感光体ドラム14に対応する転写ブラシ21により、転写ベルト18の画像担持面Mへ転写される。本実施形態では、感光体ドラム14の各々に作像された各色の画像が黄色、黒色、シアン色、マゼンタ色の順に印刷用紙に転写される。
【0015】
全ての感光体ドラム14の画像が転写された印刷用紙は、駆動ローラ19で転写ベルト18から曲率分離され、定着部24へ搬送される。
図1に示す通り、定着部24は、定着ベルト25および加圧ローラ26を含んで構成される。以上の定着部24を印刷用紙が通過することで、当該印刷用紙に転写された画像が定着される。定着部24を通過した印刷用紙は、排紙ローラ31からFDトレイ30へと排出される。
【0016】
図3は、MFP1のハードウェア構成図である。
図3に示されているように、MFP1は、コントローラ1010、近距離通信回路1020、エンジン制御部1030、操作パネル1040、ネットワークI/F1050を備えている。
【0017】
コントローラ1010は、コンピュータの主要部であるCPU1001、システムメモリ(MEM-P)1002、ノースブリッジ(NB)1003、サウスブリッジ(SB)1004、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)1006、記憶部であるローカルメモリ(MEM-C)1007、HDDコントローラ1008、及び、記憶部であるHD1009を有し、NB1003とASIC1006との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス1021で接続した構成となっている。
【0018】
CPU1001は、MFP1の全体制御を行う制御部である。NB1003は、CPU1001と、MEM-P1002、SB1004、及びAGPバス1021とを接続するためのブリッジであり、MEM-P1002に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタ及びAGPターゲットとを有する。
【0019】
MEM-P1002は、コントローラ1010の各機能を実現させるプログラムやデータの格納用メモリであるROM1002a、プログラムやデータの展開、及びメモリ印刷時の描画用メモリなどとして用いるRAM1002bとからなる。なお、RAM1002bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0020】
SB1004は、NB1003とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。ASIC1006は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス1021、PCIバス1022、HDD1008およびMEM-C1007をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。
【0021】
ASIC1006は、PCIターゲットおよびAGPマスタ、ASIC1006の中核をなすアービタ(ARB)、MEM-C1007を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、並びに、スキャナ部1031及びプリンタ部1032との間でPCIバス1022を介したデータ転送を行うPCIユニットとからなる。なお、ASIC1006には、USB(Universal Serial Bus)のインターフェースや、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインターフェースを接続するようにしてもよい。
【0022】
MEM-C1007は、コピー用画像バッファ及び符号バッファとして用いるローカルメモリである。HD1009は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HD1009は、CPU1001の制御にしたがってHD1009に対するデータの読出又は書込を制御する。AGPバス1021は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM-P1002に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にすることができる。
【0023】
また、近距離通信回路1020には、近距離通信回路1020aが備わっている。近距離通信回路1020は、NFC、Bluetooth(登録商標)等の通信回路である。更に、エンジン制御部1030は、スキャナ部1031及びプリンタ部1032によって構成されている。また、操作パネル1040は、現在の設定値や選択画面等を表示させ、操作者からの入力を受け付けるタッチパネル等のパネル表示部1040a、並びに、濃度の設定条件などの画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキー及びコピー開始指示を受け付けるスタートキー等からなる操作パネル1040bを備えている。
【0024】
コントローラ1010は、MFP1全体の制御を行い、例えば、描画、通信、操作パネル1040からの入力等を制御する。スキャナ部1031又はプリンタ部1032には、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれている。
【0025】
なお、MFP1は、操作パネル1040のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能となる。ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。
【0026】
また、ネットワークI/F1050は、通信ネットワークを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。近距離通信回路1020及びネットワークI/F1050は、PCIバス1022を介して、ASIC1006に電気的に接続されている。
【0027】
図3は、画像形成装置100(MFP1)の機能ブロック図である。
図3に示す通り、画像形成装置100は、読取部101、判定部102、第1生成部103、第2生成部104、第1制御部105、第2制御部106、切替部107、第1記憶部108、第2記憶部109および印刷実行部110を含んで構成される。画像形成装置100の各機能は、CPU1001が上述のプログラムを実行することにより実現される。
【0028】
読取部101は、画像を読取る手段であり、例えばスキャナユニット27(
図1参照)により実現される。具体的には、読取部101は、画像のうち主走査方向に延びる読取開始ラインを最初に読取る。その後、読取部101は、副走査方向へ順次に読取るラインをずらしていく。読取部101が画像を読取ると、当該画像を示す読取データが生成される。読取データは、例えば、RGB形式のデータである。
【0029】
判定部102は、画像の読取が開始されてから終了するまでの読取期間において、当該画像がカラーであるか判定する。具体的には、判定部102は、読取部101が読取った画像の各画素にカラーの画素が含まれるか否かを判定する。例えば、予め定められた閾値以上の彩度の画素が画像に含まれる場合、当該画像はカラーであると判定される。
【0030】
本実施形態の判定部102は、1個のラインが読取られる毎に、当該ラインにカラーの画素が含まれるか否かを判定する。以下、判定部102による判定を単に「カラー判定」と記載する場合がある。なお、カラー判定を実行する契機は、以上の例に限定されない。例えば、予め定められた個数のラインが読取られた契機で、カラー判定が実行される構成としてもよい。
【0031】
第1生成部103は、読取期間において、画像をカラー印刷するための第1印刷用データを生成する。具体的には、第1生成部103は、読取データ(RGB形式)をCMYK形式に変換することにより第1印刷用データを生成する。また、第1生成部103は、画像の1ラインが読取られる毎に、当該ラインの第1印刷用データを生成する。すなわち、本実施形態の第1印刷用データは、画像の1ラインを示すデータである。第1印刷用データは、生成されると順次に、後述のモード(第1モード、第2モード)に応じて、第1記憶部108または第2記憶部109に記憶(蓄積)される。
【0032】
第2生成部104は、読取期間において、画像をモノクロ印刷するための第2印刷用データを生成する。具体的には、第2生成部104は、読取データ(RGB形式)をK形式に変換することにより第2印刷用データを生成する。また、第2生成部104は、画像の1ラインが読取られる毎に、当該ラインについて第2印刷用データを生成する。すなわち、本実施形態の第2印刷用データは、画像の1ラインを示すデータである。第2印刷用データは、生成されると順次に、後述のモード(第1モード、第2モード)に応じて、第2記憶部109または第1記憶部108に記憶(蓄積)される。
【0033】
以上の説明から理解される通り、本実施形態では、画像のラインが読取られる毎に、当該画像についてのカラー判定と、第1印刷用データ(カラー)の生成と、第2印刷用データ(モノクロ)の生成とが略同時に実行される。以上の構成では、カラー判定でカラーまたはモノクロの結論が出る前に、第1印刷用データおよび第2印刷用データが生成される。したがって、例えば、カラー判定の結論が出た後に、当該結論に応じて第1印刷用データまたは第2印刷用データが生成される構成と比較して、画像が印刷されるまでの期間が短縮されるという利点がある。
【0034】
切替部107は、画像形成装置100を第1モードおよび第2モードの何れかに切替える。具体的には、利用者により操作部が適宜に操作されると、第1モードおよび第2モードの何れかに移行する。詳細には後述するが、第2モードと比較して第1モードでは、カラー画像の印刷に要する時間が短くなり易い。また、第1モードと比較して第2モードでは、モノクロ画像の印刷に要する時間が短くなり易い。したがって、利用者は、カラー画像を多く印刷する場合は第1モードへ移行させ、モノクロ画像を多く印刷する場合は第2モードへ移行させる。
【0035】
第1記憶部108は、第1印刷用データまたは第2印刷用データを記憶する。具体的には、第1記憶部108は、読取期間において、第1モードでは第1印刷用データを記憶し、第2モードでは第2印刷用データを記憶する。第1記憶部108としては、例えばコントローラ1010(
図2参照)に設けられたメモリ(RAM1002bなど)が採用され得る。
【0036】
第2記憶部109は、第1記憶部108と同様に、第1印刷用データまたは第2印刷用データを記憶する。具体的には、第2記憶部109は、読取期間において、第1モードでは第2印刷用データを記憶し、第2モードでは第1印刷用データを記憶する。第2記憶部109としては、例えばエンジン制御部1030(
図2参照)に設けられたメモリが採用され得る。
【0037】
印刷実行部110は、第1記憶部108が記憶する印刷用データ(第1印刷用データまたは第2印刷用データ)を用いて画像を印刷する。したがって、仮に、第1モードでモノクロと判定された場合、第1記憶部108の第1印刷用データを第2記憶部109の第2印刷用データで上書きする必要がある。同様に、第2モードでカラーと判定された場合、第1記憶部108の第2印刷用データを第2記憶部109の第1印刷用データで上書きする必要がある。
【0038】
第1制御部105は、画像をカラーで印刷するための制御を実行する。具体的には、第1制御部105は、判定部102によりカラーと判定されると、第1モードでは、第1記憶部108に記憶される第1印刷用データを用いて画像を印刷させる。一方、第2モードでカラーと判定されると、第1制御部105は、第2記憶部109に記憶された第1印刷用データにより、第1記憶部108に記憶された第2印刷用データを上書きし、第1記憶部108に記憶された第1印刷用データを用いて画像を印刷させる。
【0039】
第2制御部106は、画像をモノクロで印刷するための制御を実行する。具体的には、第2制御部106は、判定部102によりモノクロと判定されると、第2モードでは、第1記憶部108に記憶される第2印刷用データを用いて画像を印刷させる。一方、第2制御部106は、第1モードでは、第2記憶部109に記憶された第2印刷用データにより、第1記憶部108に記憶された第1印刷用データを上書きし、第1記憶部108に記憶された第2印刷用データを用いて画像を印刷させる。
【0040】
以上の説明から理解される通り、画像をモノクロで印刷する場合、第2モードでは、第2記憶部109の印刷用データで第1記憶部108の印刷用データを上書きする処理が省略できる。したがって、第1モードと比較して第2モードでは、モノクロ画像の印刷に要する時間が短くなり易い。同様に、画像をカラーで印刷する場合、第1モードでは、第2記憶部109の印刷用データで第1記憶部108の印刷用データを上書きする処理が省略できる。したがって、第2モードと比較して第1モードでは、カラー画像の印刷に要する時間が短くなり易い。
【0041】
図4は、画像がスキャンされてから印刷(プロット)されるまでの画像形成装置100の動作の具体例を説明するための図である。
図4における矢印は、データ(読取データ、印刷用データ)の通信方向を示す。
図4の具体例では、各モード(第1モード、第2モード)のうち、第1モードにおける動作を説明する。
【0042】
図4に示す通り、画像形成装置100は、モジュールブロック20Mおよびモジュールブロック40Mを具備する。モジュールブロック20Mは、第1記憶部108に印刷用データが記憶されるまでに用いられる各モジュール(21M~23M)を含んで構成される。モジュールブロック40Mは、印刷用データが記憶されてから印刷が実行されるまでに用いられる各モジュール(41M~43M)を含んで構成される。
【0043】
画像が読取られて生成された読取データは、スキャナI/Fモジュール21Mに入力される。スキャナI/Fモジュール21Mは、読取データのノイズ除去やフォーマット変換を実行する。その後、スキャナI/Fモジュール21Mは、判定部102および画像変換モジュール22Mに読取データを入力する。判定部102は、上述した通り、読取データを用いて画像がカラーであるか判定する。
【0044】
画像変換モジュール22Mは、読取データ(RGB形式)を用いて、第1印刷用データ(CMYK形式)および第2印刷用データ(K形式)の双方を生成する。第2印刷用データは、第1モードでは、第2記憶部109に記憶される。一方、第1印刷用データは画像圧縮モジュール24Mに入力される。画像圧縮モジュール24Mは、第1印刷用データを圧縮してデータ量を小さくする。なお、第2モードでは、第1記憶部108に第2印刷用データが記憶され、第2記憶部109に第1印刷用データが記憶される。
【0045】
第1モードでは、画像圧縮モジュール24Mにより圧縮された第1印刷用データは、第1記憶部108に記憶される。なお、モジュールブロック20Mを構成するモジュールは適宜に変更できる。例えば、画像の倍率を変更するモジュール、画像シフトをするモジュール、γ補正をするモジュールなどをモジュールブロック20Mに含めてもよい。
【0046】
判定部102によるカラー判定が終了すると(カラーであるかモノクロであるかの結論が出ると)、第1記憶部108の印刷用データがモジュールブロック40Mに入力される。
図4の具体例は、第1モードの場合を想定する。以上の場合、第1記憶部108に第1印刷用データ(カラー)が記憶され、第2記憶部109に第2印刷用データ(モノクロ)が記憶される。したがって、カラーと判定された場合、第1記憶部108の第1印刷用データがモジュールブロック40Mに入力される。一方、モノクロと判定された場合、第2記憶部109の第2印刷用データを第1記憶部108に記憶(第1印刷用データは破棄)した後に、第2印刷用データがモジュールブロック40Mに入力される。
【0047】
第2モードの場合、第1記憶部108に第2印刷用データが記憶され、第2記憶部109に第1印刷用データが記憶される。したがって、第2モードにおいてモノクロと判定された場合、第1記憶部108の第2印刷用データがモジュールブロック40Mに入力される。一方、カラーと判定された場合、第2記憶部109の第1印刷用データを第1記憶部108に記憶(第2印刷用データは破棄)した後に、第1印刷用データがモジュールブロック40Mに入力される。
【0048】
モジュールブロック40Mに印刷用データが入力されると、当該印刷用データが画像伸張モジュール41Mにより伸張される。その後、印刷用データが解像度変換モジュール42Mに入力される。解像度変換モジュール42Mは、印刷にあわせて解像度を変換する。解像度が変換された後に、印刷用データは、プロッタI/Fモジュール43Mに入力される。プロッタI/Fモジュール43Mは、印刷方式(インクジェット記録方式、電子写真式記録方式)に応じて、印刷用データのフォーマットを変換して印刷出力する。
【0049】
以上の説明から理解される通り、第1印刷用データ(カラー)と第2印刷用データ(モノクロ)とは、第1記憶部108および第2記憶部109に分けて記憶される。仮に、第1印刷用データおよび第2印刷用データの双方が第1記憶部108に記憶される構成では、画像変換モジュール22Mから第1記憶部108までのチャネルを5個以上にする必要が生じ得る。本実施形態の構成では、画像変換モジュール22Mから第1記憶部108までのチャネルを4個以下にできる。したがって、画像形成装置100の回路規模が増大する不都合が抑制できるという利点がある。
【0050】
図5は、画像形成装置100の読取時処理の具体例のフローチャートである。画像形成装置100は、画像の読取が開始された契機で、読取時処理を開始する。
図5の具体例では、各モードのうち第1モードにおける読取時処理を示す。
【0051】
読取時処理を開始すると、画像形成装置100は、画像の読取を開始する(S1)。すなわち、読取期間が開始する。読取期間が開始されると、読取データ(RGB形式)が画像のライン毎に順次に生成される。また、画像形成装置100は、読取データ毎(画像のライン毎)に、第1印刷用データ(CMYK形式)および第2印刷用データ(K形式)の双方を生成する(S2)。画像形成装置100は、第1モードにおいて、第1印刷用データを第1記憶部108に記憶する(S3)。一方、第2印刷用データは、第2記憶部109に記憶される。
【0052】
その後、画像形成装置100は、ステップS2で印刷用データに変換した読取データについて、カラーの画素が含まれるか否かを判定する(S4)。すなわち、カラー判定が実行される。カラーの画素が含まれると判断すると(S4:Yes)、画像形成装置100は、第1記憶部108に記憶された第1印刷用データを用いた印刷を開始し、第2記憶部109に記憶された第2印刷用データを破棄する(S5)。
【0053】
一方、ステップS4において、カラーの画素が含まれないと判断すると、画像形成装置100は、画像の読取が完了したか否かを判定する(S6)。すなわち、画像の全てのラインの読取データ(RGB形式)が生成されたか否かを判定する。画像の読取が終了していないと判断すると(S6:No)、画像形成装置100は、ステップS2へ処理を戻す。すなわち、画像の全てのラインの読取データが生成されていない場合、ステップS2へ処理を戻す。
【0054】
図5に示す通り、ステップS4で画像がカラーであると判断されるか、ステップS6で画像の読取が終了したと判断されるまで、ステップS2およびステップS3が繰返し実行される。また、画像の全てのラインにカラーの画素が含まれない場合、ステップS6において「Yes」と判断され、ステップS7へ処理が移行する。すなわち、読取った画像がモノクロの場合、ステップS7へ処理が移行する。
【0055】
ステップS7では、第2記憶部109に記憶した第2印刷データ(K形式)が第1記憶部108へ転送される。具体的には、第2記憶部109に記憶した第2印刷データにより、第1記憶部108に記憶した第1印刷データが上書きされる。また、第1記憶部108に第2印刷データを記憶した後に、当該第2印刷データを用いた印刷が開始される。ステップS7を実行した後に、画像形成装置100は、読取時処理を終了する。
【0056】
<本実施形態の態様例の作用、効果のまとめ>
<第1態様>
本態様の画像形成装置(100)は、画像を読取る読取部(101)と、画像の読取が開始されてから終了するまでの読取期間中に、当該画像がカラーであるか判定する判定部(102)と、画像をカラー印刷するための第1印刷用データを読取期間中に生成する第1生成部(103)と、画像をモノクロ印刷するための第2印刷用データを読取期間中に生成する第2生成部(104)と、判定部によりカラーと判定されると、第1印刷用データを用いて画像を印刷させる第1制御部(105)と、判定部によりカラーと判定されなかった場合、第2印刷用データを用いて画像を印刷させる第2制御部(106)と、画像を印刷する印刷実行部(110)とを具備する。
【0057】
本態様では、カラー印刷するための第1印刷用データおよびモノクロ印刷するための第2印刷用データの双方が生成され、画像がモノクロの場合に第2印刷用データを用いて画像が印刷される。したがって、例えば、本来はカラー印刷に用いる第1印刷用データが、モノクロ印刷に利用される構成と比較して、モノクロ画像が適当に印刷され易くなる。
【0058】
<第2態様>
本態様の画像形成装置は、読取期間において、第1印刷用データを記憶する第1記憶部(108)と、読取期間において、第2印刷用データを記憶する第2記憶部(109)と、を具備し、印刷実行部は、第1記憶部に記憶される印刷用データを用いて画像を印刷し、第2制御部は、判定部によりカラーと判定されなかった場合、第2記憶部に記憶された第2印刷用データにより、第1記憶部に記憶された第1印刷用データを上書きする。本態様では、例えば第1印刷用データおよび第2印刷用データの双方が共通の記憶部に記憶される構成と比較して、チャンネル数を抑制できる場合があるという利点がある。
【0059】
<第3態様>
本態様の画像形成装置は、第1モードおよび第2モードの何れかに切替える切替部(107)を具備し、第1記憶部は、読取期間において、第1モードでは第1印刷用データを記憶し、第2モードでは第2印刷用データを記憶し、第2記憶部は、読取期間において、第1モードでは第2印刷用データを記憶し、第2モードでは第1印刷用データを記憶し、第1制御部は、判定部によりカラーと判定されると、第2モードでは、第2記憶部に記憶された第1印刷用データにより、第1記憶部に記憶された第2印刷用データを上書きし、第2制御部は、判定部によりカラーと判定されなかった場合、第1モードでは、第2記憶部に記憶された第2印刷用データにより、第1記憶部に記憶された第1印刷用データを上書きする。本態様では、カラー画像を多く印刷するかモノクロ画像を多く印刷するかに応じて、モードを適宜に切換えることにより、印刷に要する時間を短縮できるという利点がある。
【0060】
<第4態様>
本態様の画像形成方法は、画像を読取るステップ(S1)と、画像の読取が開始されてから終了するまでの読取期間中に、当該画像がカラーであるか判定するステップ(S4)と、画像をカラー印刷するための第1印刷用データを読取期間中に生成するステップ(S2)と、画像をモノクロ印刷するための第2印刷用データを読取期間中に生成するステップ(S2)と、画像がカラーであると判定されると、第1印刷用データを用いて画像を印刷させるステップ(S5)と、画像がカラーであると判定されなかった場合、第2印刷用データを用いて画像を印刷させるステップ(S7)とを具備する。本態様によれば、第1態様と同様な効果が奏せられる。
【0061】
<第5態様>
本態様のプログラムは、第4態様の各ステップをコンピューターに実行させる。本態様によれば、第1態様と同様な効果が奏せられる。
【符号の説明】
【0062】
101…読取部、102…判定部、103…第1生成部、104…第2生成部、105…第1制御部、106…第2制御部、107…切替部、108…第1記憶部、109…第2記憶部、110…印刷実行部。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】