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特許7516946光学系、光学機器、および光学系の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】光学系、光学機器、および光学系の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/00 20060101AFI20240709BHJP
   G02B 13/18 20060101ALN20240709BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/18
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020124588
(22)【出願日】2020-07-21
(65)【公開番号】P2022021154
(43)【公開日】2022-02-02
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100122116
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩二
(72)【発明者】
【氏名】町田 幸介
【審査官】岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-097240(JP,A)
【文献】特開2016-014802(JP,A)
【文献】特開2021-047297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00-17/08
G02B 21/02-21/04
G02B 25/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合焦の際移動する第1合焦レンズ群と、前記第1合焦レンズ群より像側に配置され、合焦の際に、前記第1合焦レンズ群とは異なる軌跡で移動する第2合焦レンズ群とを有し、
所定の撮影距離において、収差量の異なる複数の合焦状態を有し、
前記所定の撮影距離において、一の合焦状態から収差量の異なる他の合焦状態になる際に、前記第1合焦レンズ群と前記第2合焦レンズ群とが移動し、
合焦の際の前記第1合焦レンズ群および前記第2合焦レンズ群の移動方の同異と、前記所定の撮影距離において前記一の合焦状態から前記他の合焦状態になる際の前記第1合焦レンズ群および前記第2合焦レンズ群の移動方の同異とが異なり、
以下の条件式を満足する光学系。
1.00<βF1/βF2<8.00
ただし、
βF1:前記第1合焦レンズ群の無限遠物体合焦時の横倍率
βF2:前記第2合焦レンズ群の無限遠物体合焦時の横倍率
【請求項2】
合焦の際移動する第1合焦レンズ群と、前記第1合焦レンズ群より像側に配置され、合焦の際固定される第2合焦レンズ群とを有し、
所定の撮影距離において、収差量の異なる複数の合焦状態を有し、
前記所定の撮影距離において、一の合焦状態から収差量の異なる他の合焦状態になる際に、前記第1合焦レンズ群と前記第2合焦レンズ群とが移動し、
合焦の際の前記第1合焦レンズ群および前記第2合焦レンズ群の移動方の同異と、前記所定の撮影距離において前記一の合焦状態から前記他の合焦状態になる際の前記第1合焦レンズ群および前記第2合焦レンズ群の移動方の同異とが異なり、
以下の条件式を満足する光学系。
1.00<βF1/βF2<8.00
ただし、
βF1:前記第1合焦レンズ群の無限遠物体合焦時の横倍率
βF2:前記第2合焦レンズ群の無限遠物体合焦時の横倍率
【請求項3】
前記第1合焦レンズ群および前記第2合焦レンズ群がそれぞれ有する屈折力の符号が異なる、請求項1または2に記載の光学系。
【請求項4】
前記第1合焦レンズ群は、負の屈折力を有する、請求項3に記載の光学系。
【請求項5】
前記第1合焦レンズ群は、無限遠物体から近距離物体への合焦の際、像側へ移動する、請求項1-4のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項6】
前記第2合焦レンズ群は、無限遠物体から近距離物体への合焦の際、物体側へ移動する、請求項1に記載の光学系。
【請求項7】
合焦の際、前記第1合焦レンズ群および前記第2合焦レンズ群が異なる方向に移動し、所定の撮影距離において前記一の合焦状態から前記他の合焦状態になる際、前記第1合焦レンズ群および前記第2合焦レンズ群が同一の方向に移動する、請求項1に記載の光学系。
【請求項8】
前記第1合焦レンズ群よりも物体側に開口絞りを有する、請求項1-7のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項9】
前記第1合焦レンズ群と前記第2合焦レンズ群とは隣接する、請求項1-8のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項10】
以下の条件式を満足する請求項1-9のいずれか一項に記載の光学系。
0.20<(-fF1)/fF2<5.00
ただし、
fF1:前記第1合焦レンズ群の焦点距離
fF2:前記第2合焦レンズ群の焦点距離
【請求項11】
前記第1合焦レンズ群より物体側に、正の屈折力を有する第1レンズ群を有する、請求項1-10のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項12】
以下の条件式を満足する、請求項11に記載の光学系。
0.20<f1/(-fF1)<3.00
ただし、
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
fF1:前記第1合焦レンズ群の焦点距離
【請求項13】
以下の条件式を満足する、請求項11または12に記載の光学系。
0.20<f1/fF2<4.00
ただし、
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
fF2:前記第2合焦レンズ群の焦点距離
【請求項14】
以下の条件式を満足する、請求項1-13のいずれか一項に記載の光学系。
0.05<BF/f<0.50
ただし、
BF:無限遠合焦状態での前記光学系のバックフォーカス
f:無限遠合焦状態での前記光学系の焦点距離
【請求項15】
以下の条件式を満足する、請求項1に記載の光学系。
-15.00<MF1/MF2<-0.50
ただし、
MF1:前記第1合焦レンズ群の無限遠物体から近距離物体への合焦の際の移動量
MF2:前記第2合焦レンズ群の無限遠物体から近距離物体への合焦の際の移動量
【請求項16】
以下の条件式を満足する、請求項1-15のいずれか一項に記載の光学系。
0.10<MDCP1/MDCP2<5.00
ただし、
MDCP1:所定の撮影距離において一の合焦状態から他の合焦状態になる際の前記第1合焦レンズ群の移動量
MDCP2:所定の撮影距離において一の合焦状態から他の合焦状態になる際の前記第2合焦レンズ群の移動量
【請求項17】
以下の条件式を満足する、請求項1-16のいずれか一項に記載の光学系。
(γ1/|γ1|)×(MDCP1/|MDCP1|)/(γ2/|γ2|)×(MDCP2/|MDCP2|)<0.00
ただし、
γ1:前記第1合焦レンズ群の無限遠物体合焦時の像面移動係数
γ2:前記第2合焦レンズ群の無限遠物体合焦時の像面移動係数
MDCP1:所定の撮影距離において一の合焦状態から他の合焦状態になる際の前記第1合焦レンズ群の移動量
MDCP2:所定の撮影距離において一の合焦状態から他の合焦状態になる際の前記第2合焦レンズ群の移動量
【請求項18】
前記第1合焦レンズ群の各レンズは互いに空気間隔で隔てられている、請求項1-17のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項19】
前記第1合焦レンズ群は少なくとも2つの負レンズを有し、前記少なくとも2つの負レンズのうち物体側から2つ目の負レンズの物体側レンズ面は物体側に凹の形状を有している、請求項1-18のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項20】
以下の条件式を満足する、請求項1-19のいずれか一項に記載の光学系。
-1.00<(r2+r1)/(r2-r1)<1.50
ただし、
r1:前記第1合焦レンズ群が有するレンズのうち最も物体側のレンズの像側レンズ面の曲率半径
r2:前記第1合焦レンズ群が有するレンズのうち物体側から2番目のレンズの物体側レンズ面の曲率半径
【請求項21】
請求項1-20のいずれか一項に記載の光学系を有する光学機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学系、光学機器、および光学系の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の撮影距離において複数の合焦状態を有する光学系が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-097240号公報
【発明の概要】
【0004】
本開示の光学系は、合焦の際移動する第1合焦レンズ群と、第1合焦レンズ群より像側に配置され、合焦の際に、第1合焦レンズ群とは異なる軌跡で移動する第2合焦レンズ群とを有し、所定の撮影距離において、収差量の異なる複数の合焦状態を有し、所定の撮影距離において、一の合焦状態から収差量の異なる他の合焦状態になる際に、第1合焦レンズ群と第2合焦レンズ群が移動し、合焦の際の第1合焦レンズ群および第2合焦レンズ群の相対的な移動の方向と、所定の撮影距離において一の合焦状態から他の合焦状態になる際の第1合焦レンズ群および第2合焦レンズ群の相対的な移動の方向とが異なる。
【0005】
本開示の光学系は、合焦の際移動する第1合焦レンズ群と、少なくとも1つのレンズ群とを有し、所定の撮影距離において、収差量の異なる複数の合焦状態を有し、所定の撮影距離において、一の合焦状態から収差量の異なる他の合焦状態になる際に、第1合焦レンズ群と、第1合焦レンズ群よりも像側に配置された第2合焦レンズ群とが移動し、合焦の際、第2合焦レンズ群は固定され、合焦の際の第1レンズ群および第2合焦レンズ群の相対的な移動の方向と、所定の撮影距離において一の合焦状態から他の合焦状態になる際の第1合焦レンズ群および第2合焦レンズ群の相対的な移動の方向とが異なる。
【0006】
本開示の光学系の製造方法は、第1合焦レンズ群および第2合焦レンズ群を含む複数のレンズからなる光学系の製造方法であって、合焦の際移動する第1合焦レンズ群より像側に、合焦の際に、第1合焦レンズ群とは異なる軌跡で移動する第2合焦レンズ群を配置し、所定の撮影距離において、収差量の異なる複数の合焦状態を有し、所定の撮影距離において、一の合焦状態から収差量の異なる他の合焦状態に遷移する際に、第1合焦レンズ群と第2合焦レンズ群とが移動し、合焦の際の第1合焦レンズ群および第2合焦レンズ群の相対的な移動の方向と、所定の撮影距離において一の合焦状態から他の合焦状態になる際の第1合焦レンズ群および第2合焦レンズ群の相対的な移動の方向とが異なるように、複数のレンズを配置する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施例に係る光学系のレンズ構成を示す図である。
図2(a)】第1実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時における第1合焦状態の諸収差図である。
図2(b)】第1実施例に係る光学系の近距離物体合焦時における第1合焦状態の諸収差図である。
図3】第1実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時における第2合焦状態の諸収差図である。
図4】第1実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時における第3合焦状態の諸収差図である。
図5】第2実施例に係る光学系のレンズ構成を示す図である。
図6(a)】第2実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時における第1合焦状態の諸収差図である。
図6(b)】第2実施例に係る光学系の近距離物体合焦時における第1合焦状態の諸収差図である。
図7】第2実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時における第2合焦状態の諸収差図である。
図8】第2実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時における第3合焦状態の諸収差図である。
図9】第3実施例に係る光学系のレンズ構成を示す図である。
図10(a)】第3実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時における第1合焦状態の諸収差図である。
図10(b)】第3実施例に係る光学系の近距離物体合焦時における第1合焦状態の諸収差図である。
図11】第3実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時における第2合焦状態の諸収差図である。
図12】第3実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時における第3合焦状態の諸収差図である。
図13】第4実施例に係る光学系のレンズ構成を示す図である。
図14(a)】第4実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時における第1合焦状態の諸収差図である。
図14(b)】第4実施例に係る光学系の近距離物体合焦時における第1合焦状態の諸収差図である。
図15】第4実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時における第2合焦状態の諸収差図である。
図16】第4実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時における第3合焦状態の諸収差図である。
図17】本実施形態の光学系を備えたカメラの構成を示す図である。
図18】本実施形態の光学系の製造方法の概略を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態の光学系、光学機器、および光学系の製造方法について説明する。
【0009】
本実施形態の光学系は、合焦の際移動する第1合焦レンズ群と、第1合焦レンズ群より像側に配置され、合焦の際に、第1合焦レンズ群とは異なる軌跡で移動する第2合焦レンズ群とを有し、所定の撮影距離において収差量の異なる複数の合焦状態を有し、所定の撮影距離において、一の合焦状態から収差量の異なる他の合焦状態になる際に、第1合焦レンズ群と第2合焦レンズ群が移動し、合焦の際の第1合焦レンズ群および第2合焦レンズ群の相対的な移動の方向と、所定の撮影距離において一の合焦状態から他の合焦状態になる際の第1合焦レンズ群および第2合焦レンズ群の相対的な移動の方向とが異なる。
【0010】
「第1合焦レンズ群および第2合焦レンズ群の相対的な移動の方向」とは、第1合焦レンズ群が所定の一方向(例えば像側)へ移動するときの第2合焦レンズ群の移動方向をいう。したがって、「合焦の際の第1合焦レンズ群および第2合焦レンズ群の相対的な移動の方向と、所定の撮影距離において一の合焦状態から他の合焦状態になる際の第1合焦レンズ群および第2合焦レンズ群の相対的な移動の方向とが異なる」とは、例えば、合焦の際に第1合焦レンズ群が像側へ移動するときに第2合焦レンズ群が物体側に移動する一方、所定の撮影距離において一の合焦状態から他の合焦状態になる際に第1合焦レンズ群が像側へ移動するときに第2合焦レンズ群が物体側でない方向(像側)に移動することを表す。
【0011】
本実施形態の光学系は、合焦の際移動する少なくとも2つの合焦レンズ群を有し、各合焦レンズ群が光軸方向に移動することで、所定の撮影距離において収差量の異なる複数の合焦状態を有することができる。また、合焦の際の第1合焦レンズ群および第2合焦レンズ群の相対的な移動の方向と、所定の撮影距離において一の合焦状態から収差量の異なる他の合焦状態になる際の第1合焦レンズ群および第2合焦レンズ群の移動する方向が異なることで、合焦に影響を与えることなく所定の収差量をコントロールすることができる。
【0012】
本実施形態の光学系は、合焦の際移動する第1合焦レンズ群と、第1合焦レンズより像側に配置され、合焦の際固定される第2合焦レンズ群とを有し、各合焦レンズ群が光軸方向に移動することで、所定の撮影距離において収差量の異なる複数の合焦状態を有することができる。また、合焦の際の第1合焦レンズ群および第2合焦レンズ群の相対的な移動の方向と、所定の撮影距離において一の合焦状態から収差量の異なる他の合焦状態になる際の第1合焦レンズ群および第2合焦レンズ群の移動する方向が異なることで、合焦に影響を与えることなく所定の収差量をコントロールすることができる。
【0013】
また、本実施形態の光学系は、第1合焦レンズ群および第2合焦レンズ群がそれぞれ有する屈折力の符号が異なることで、所定の撮影距離において一の合焦状態から他の合焦状態になる際の焦点位置の変動を抑制することができる。
【0014】
また、本実施形態の光学系は、第1合焦レンズ群が負の屈折力を有することで、無限遠物体から近距離物体への合焦の際の球面収差をはじめとする諸収差の変動を効果的に抑えつつ、所定の撮影距離における複数の合焦状態で所望の収差性能を得ることができる。
【0015】
また、本実施形態の光学系は、第1合焦レンズ群が無限遠物体から近距離物体への合焦の際、像側へ移動することで、無限遠物体から近距離物体への合焦の際の球面収差をはじめとする諸収差の変動を効果的に抑えつつ、所定の撮影距離における複数の合焦状態で所望の収差性能を得ることができる。
【0016】
また、本実施形態の光学系は、第2合焦レンズ群が無限遠物体から近距離物体への合焦の際、物体側へ移動することで、無限遠物体から近距離物体への合焦の際の球面収差をはじめとする諸収差の変動を効果的に抑えつつ、所定の撮影距離における複数の合焦状態で所望の収差性能を得ることができる。
【0017】
また、本実施形態の光学系は、合焦の際、第1合焦レンズ群および第2合焦レンズ群が異なる方向に移動することで、合焦域全域で収差の発生を抑制することができる。さらに、本実施形態の光学系は、所定の撮影距離において一の合焦状態から他の合焦状態になる際、第1合焦レンズ群および第2合焦レンズ群が同一の方向に移動することで、球面収差の量を変動させつつ他の収差の発生を抑制することができる。
【0018】
また、本実施形態の光学系は、合焦レンズ群を開口絞りより像側に配置することで、合焦レンズ群を小型軽量化できる。
【0019】
また、本実施形態の光学系は、第1合焦レンズ群と第2合焦レンズ群とを隣り合わせに配置することで、無限遠物体から近距離物体への合焦の際の球面収差をはじめとする諸収差の変動を効果的に抑えつつ、所定の撮影距離における複数の合焦状態で所望の収差性能を得ることができる。
【0020】
また、本実施形態の光学系は、以下の条件式(1)を満足することが望ましい。
(1) 0.20<(-fF1)/fF2<5.00
ただし、
fF1:第1合焦レンズ群の焦点距離
fF2:第2合焦レンズ群の焦点距離
【0021】
条件式(1)は、第1合焦レンズ群の焦点距離と第2合焦レンズ群の焦点距離との比を規定するものである。この条件式(1)を満足することで、無限遠物体から近距離物体への合焦の際の球面収差をはじめとする諸収差の変動を抑え、所定の撮影距離における複数の合焦状態で所望の収差性能を得ることができる。
【0022】
本実施形態の光学系の条件式(1)の対応値が上限値を上回ると、第2合焦レンズ群の屈折力が強くなりすぎ、無限遠物体から近距離物体への合焦の際の球面収差をはじめとする諸収差の変動を抑えることが困難となる。なお、条件式(1)の上限値を5.00に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式(1)の上限値を4.80、4.50、4.25、4.00、3.75、3.50、3.25、3.00、2.80、2.65、2.50、2.40、2.35、さらに2.30にすることが好ましい。
【0023】
一方、本実施形態の光学系の条件式(1)の対応値が下限値を下回ると、第1合焦レンズ群の屈折力が強くなりすぎ、無限遠物体から近距離物体への合焦の際の球面収差をはじめとする諸収差の変動を抑えることが困難となる。なお、条件式(1)の下限値を0.20に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式(1)の下限値を0.25、0.40、0.60、0.80、1.00、1.10、1.20、1.25、1.30、1.35、1.40、さらに1.45にすることが好ましい。
【0024】
また本実施形態の光学系は、第1合焦レンズ群より物体側に正の屈折力を有する第1レンズ群を有することが望ましく、さらに、以下の条件式(2)を満足することが望ましい。
(2) 0.20<f1/(-fF1)<3.00
ただし、
f1:第1レンズ群の焦点距離
【0025】
条件式(2)は、第1レンズ群の焦点距離と第1合焦レンズ群の焦点距離との比を規定するものである。この条件式(2)を満足することで、無限遠物体から近距離物体への合焦の際の球面収差をはじめとする諸収差の変動を抑えることができる。
【0026】
本実施形態の光学系の条件式(2)の対応値が上限値を上回ると、第1合焦レンズ群の屈折力が強くなり、無限遠物体から近距離物体への合焦の際の球面収差をはじめとする諸収差の変動を抑えることが困難となる。なお、条件式(2)の上限値を3.00に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式(2)の上限値を2.75、2.50、2.25、2.00、1.75、1.50、1.25、1.00、0.95、0.90、さらに0.88にすることが好ましい。
【0027】
一方、本実施形態の光学系の条件式(2)の対応値が下限値を下回ると、第1レンズ群の屈折力が強くなり、無限遠物体から近距離物体への合焦の際の球面収差の変動を抑えることが困難となる。なお、条件式(2)の下限値を0.20に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式(2)の下限値を0.30、0.40、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、さらに0.72にすることが好ましい。
【0028】
また、本実施形態の光学系は、以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
(3) 0.20<f1/fF2<4.00
ただし、
f1:第1レンズ群の焦点距離
fF2:第2合焦レンズ群の焦点距離
【0029】
条件式(3)は、第1レンズ群の焦点距離と第2合焦レンズ群の焦点距離との比を規定するものである。この条件式(2)を満足することで、無限遠物体から近距離物体への合焦の際の球面収差をはじめとする諸収差の変動を抑えることができる。
【0030】
本実施形態の光学系の条件式(3)の対応値が上限値を上回ると、第2合焦レンズ群の屈折力が強くなり、無限遠物体から近距離物体への合焦の際の球面収差をはじめとする諸収差の変動を抑えることが困難となる。なお、条件式(3)の上限値を4.00に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式(3)の上限値を3.75、3.50、3.25、3.00、2.75、2.50、2.25、2.00、1.90、1.80、1.75、さらに1.73にすることが好ましい。
【0031】
一方、本実施形態の光学系の条件式(3)の対応値が下限値を下回ると、第1レンズ群の屈折力が強くなり、無限遠物体から近距離物体への合焦の際の球面収差の変動を抑えることが困難となる。なお、条件式(3)の下限値を0.20に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式(3)の下限値を0.35、0.50、0.60、0.70、0.80、0.90、1.00、1.05、1.10、さらに1.15にすることが好ましい。
【0032】
また、本実施形態の光学系は、以下の条件式(4)を満足することが望ましい。
(4) 0.05<BF/f<0.50
ただし、
BF:光学系のバックフォーカス
f:光学系の焦点距離
【0033】
条件式(4)は、光学系のバックフォーカスと光学系の焦点距離との比を規定するものである。この条件式(4)を満足することで、コマ収差をはじめとする諸収差を効果的に補正することができる。
【0034】
本実施形態の光学系の条件式(4)の対応値が上限値を上回ると、焦点距離に対してバックフォーカスが大きくなり、コマ収差をはじめとする諸収差を補正することが困難となる。なお、条件式(4)の上限値を0.50に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式(4)の上限値を0.45、0.40、0.35、0.30、0.28、0.25、0.23、0.20、0.18、さらに0.15にすることが好ましい。
【0035】
一方、本実施形態の光学系の条件式(4)の対応値が下限値を下回ると、焦点距離に対して バックフォーカスが小さくなり、コマ収差をはじめとする諸収差を補正することが困難となる。また、鏡筒のメカ部材を配置するのが困難となる。なお、条件式(4)の下限値を0.05に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(4)の下限値を0.07、0.09、0.10、0.11、さらに0.12にすることが好ましい。
【0036】
また、本実施形態の光学系は、以下の条件式(5)を満足することが望ましい。
(5) -15.00<MF1/MF2<-0.50
ただし、
MF1:第1合焦レンズ群の無限遠物体から近距離物体への合焦の際の移動量
MF2:第2合焦レンズ群の無限遠物体から近距離物体への合焦の際の移動量
【0037】
条件式(5)は、合焦レンズ群の内、第1合焦レンズ群の無限遠物体から近距離物体への合焦の際の移動量と、第2合焦レンズ群の無限遠物体から近距離物体への合焦の際の移動量との比を規定するものである。この条件式(5)を満足することで、無限遠物体から近距離物体への合焦の際の球面収差をはじめとする諸収差の変動を抑えることができる。
【0038】
本実施形態の光学系の条件式(5)の対応値が上限値を上回ると、第2合焦レンズ群の移動量が大きくなりすぎ、無限遠物体から近距離物体への合焦の際の球面収差をはじめとする諸収差の変動を抑えることが困難となる。なお、条件式(5)の上限値を-0.50に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式(5)の上限値を-0.80、-1.00、-1.25、-1.50、-1.75、-2.00、さらに-2.20にすることが好ましい。
【0039】
一方、本実施形態の光学系の条件式(5)の対応値が下限値を下回ると、第1合焦レンズ群の移動量が大きくなりすぎ、無限遠物体から近距離物体への合焦の際の球面収差をはじめとする諸収差の変動を抑えることが困難となる。なお、条件式(5)の下限値を-15.00に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式(5)の下限値を-12.00、-10.00、-9.00、-8.50、-8.00、-7.75、-7.00、-5.00、-3.50、さらに-3.00にすることが好ましい。
【0040】
また、本実施形態の光学系は、以下の条件式(6)を満足することが望ましい。
(6) 1.00<βF1/βF2<8.00
ただし、
βF1:第1合焦レンズ群の無限遠物体合焦時の横倍率
βF2:第2合焦レンズ群の無限遠物体合焦時の横倍率
【0041】
条件式(6)は、第1合焦レンズ群の無限遠物体合焦時の横倍率と第2合焦レンズ群の無限遠物体合焦時の横倍率との比を規定するものである。この条件式(6)を満足することで、無限遠物体から近距離物体への合焦の際の球面収差をはじめとする諸収差の変動を抑えることができる。
【0042】
本実施形態の光学系の条件式(6)の対応値が上限値を上回ると、第1合焦レンズ群の無限遠物体合焦時の横倍率が大きくなりすぎ、無限遠物体から近距離物体への合焦の際の球面収差をはじめとする諸収差の変動を抑えることが困難となる。なお、条件式(6)の上限値を8.00に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式(6)の上限値を7.75、7.50、7.25、7.00、6.75、6.50、6.25、6.00、5.75、5.50、さらに5.25にすることが好ましい。
【0043】
一方、本実施形態の光学系の条件式(6)の対応値が下限値を下回ると、第2合焦レンズ群の無限遠物体合焦時の横倍率が大きくなりすぎ、無限遠物体から近距離物体への合焦の際の球面収差をはじめとする諸収差の変動を抑えることが困難となる。なお、条件式(6)の下限値を1.00に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式(6)の下限値を1.50、2.00、2.25、2.50、2.75、3.00、3.25、3.50、3.60、さらに3.70にすることが好ましい。
【0044】
また、本実施形態の光学系は、以下の条件式(7)を満足することが望ましい。
(7) 0.10<MDCP1/MDCP2<5.00
ただし、
MDCP1:所定の撮影距離において一の合焦状態から他の合焦状態になる際の第1合焦レンズ群の移動量
MDCP2:所定の撮影距離において一の合焦状態から他の合焦状態になる際の第2合焦レンズ群の移動量
【0045】
条件式(7)は、所定の撮影距離において一の合焦状態から他の合焦状態になる際の、第1合焦レンズ群の移動量と第2合焦レンズ群の移動量との比を規定するものである。この条件式(7)を満足することで、所定の撮影距離における複数の合焦状態で所望の収差性能を得ることができる。
【0046】
本実施形態の光学系の条件式(7)の対応値が上限値を上回ると、第1合焦レンズ群の移動量が大きくなりすぎ、所定の撮影距離における複数の合焦状態で所望の収差性能を得ることが困難となる。なお、条件式(7)の上限値を5.00に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式(7)の上限値を4.50、4.00、3.50、3.00、2.75、2.50、2.25、2.00、1.85、さらに1.70にすることが好ましい。
【0047】
一方、本実施形態の光学系の条件式(7)の対応値が下限値を下回ると、第2合焦レンズ群の移動量が大きくなりすぎ、所定の撮影距離における複数の合焦状態で所望の収差性能を得ることが困難となる。なお、条件式(7)の下限値を0.10に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式(7)の下限値を0.25、0.40、0.50、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.83、さらに0.85にすることが好ましい。
【0048】
また、本実施形態の光学系は、以下の条件式(8)を満足することが望ましい。
(8) (γ1/|γ1|)×(MDCP1/|MDCP1|)/(γ2/|γ2|)×(MDCP2/|MDCP2|)<0.00
ただし、
γ1:第1合焦レンズ群の無限遠物体合焦時の像面移動係数
γ2:第2合焦レンズ群の無限遠物体合焦時の像面移動係数
MDCP1:所定の撮影距離において一の合焦状態から他の合焦状態になる際の第1合焦レンズ群の移動量
MDCP2:所定の撮影距離において一の合焦状態から他の合焦状態になる際の第2合焦レンズ群の移動量
【0049】
条件式(8)において、像面移動係数は、所定の撮影距離において一の合焦状態から他の合焦状態になる際の合焦レンズ群の移動量と像面の移動量との比である。条件式(8)は、第1合焦レンズ群における像面移動係数の符号(1または-1)と移動量の符号(1または-1)との積と、第2合焦レンズ群における像面移動係数の符号と移動量の符号との積との比が負となることを規定するものである。第1合焦レンズ群における像面移動係数の符号と移動量の符号との積の符号と、第2合焦レンズ群における像面移動係数の符号と移動量の符号との積の符号とが異なる場合に、条件式(8)が満足される。この条件式(8)を満足することで、所定の撮影距離において一の合焦状態から他の合焦状態になる際の焦点位置の変動を抑制することができる。
【0050】
また、本実施形態の光学系は、第1合焦レンズ群の各レンズが互いに空気間隔で隔てられていることで、球面収差、コマ収差等を良好に補正することができる。
【0051】
また、本実施形態の光学系は、第1合焦レンズ群が少なくとも2つの負レンズを有し、少なくとも2つの負レンズのうち物体側から2つ目の負レンズの物体側レンズ面が物体側に凹の形状を有していることで、球面収差、コマ収差等を良好に補正することができる。
【0052】
また、本実施形態の光学系は、以下の条件式(9)を満足することが好ましい。
(9) -1.00<(r2+r1)/(r2-r1)<1.50
ただし、
r1:第1合焦レンズ群が有するレンズのうち最も物体側のレンズの像側レンズ面の曲率半径
r2:第1合焦レンズ群が有するレンズのうち物体側から2番目のレンズの物体側レンズ面の曲率半径
【0053】
条件式(9)は、第1合焦レンズ群において最も物体側のレンズと物体側から2番目のレンズとの間に形成される空気レンズの形状因子を規定するものである。この条件式(9)を満足することで、球面収差、コマ収差等を良好に補正することができる。
【0054】
条件式(9)の上限値を1.50に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式(8)の上限値を1.40、1.25、1.00、0.95、0.90、0.85、0.80、0.75、0.70、0.65、さらに0.60にすることが好ましい。
【0055】
条件式(9)の上限値を-1.00に設定することで、本実施形態の効果をより確実なものとすることができる。また、本実施形態の効果をより確実にするために、条件式(8)の上限値を-0.50、-0.25、-0.10、0.00、0.10、0.25、0.30、0.40、0.45、さらに0.50にすることが好ましい。
【0056】
また、本実施形態の光学機器は、上述した構成の光学系を備えていることを特徴とする。これにより、所定の撮影距離において収差量の異なる複数の合焦状態を有し、合焦に影響を与えることなく所定の収差量をコントロールすることができる。
【0057】
本実施形態の光学系の製造方法は、第1合焦レンズ群および第2合焦レンズ群を含む複数のレンズからなる光学系の製造方法であって、合焦の際移動する第1合焦レンズ群より像側に、合焦の際に、第1合焦レンズ群とは異なる軌跡で移動する第2合焦レンズ群を配置し、所定の撮影距離において、収差量の異なる複数の合焦状態を有し、所定の撮影距離において、一の合焦状態から収差量の異なる他の合焦状態に遷移する際に、第1合焦レンズ群と第2合焦レンズ群とが移動し、合焦の際の第1合焦レンズ群および第2合焦レンズ群の相対的な移動の方向と、所定の撮影距離において一の合焦状態から他の合焦状態になる際の第1合焦レンズ群および第2合焦レンズ群の相対的な移動の方向とが異なるように、複数のレンズを配置する。
【0058】
このような光学系の製造方法により、これにより、所定の撮影距離において収差量の異なる複数の合焦状態を有し、合焦に影響を与えることなく所定の収差量をコントロールする光学系を製造することができる。
【0059】
(数値実施例)
以下、本願の数値実施例に係る光学系を図面に基づいて説明する。
【0060】
(第1実施例)
図1は、第1実施例に係る光学系のレンズ構成を示す図である。
【0061】
本実施例に係る光学系は、物体側から順に、正屈折力を有する第1レンズ群G1と、開口絞りSと、負屈折力を有する第2レンズ群G2と、正屈折力を有する第3レンズ群G3と、負屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成されている。
【0062】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL11と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13と物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL14との接合負レンズと、両凹形状の負レンズL15と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL16との接合負レンズと、両凸形状の正レンズL17とからなる。
【0063】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、両凹形状の負レンズL22と、両凸形状の正レンズL23とからなる。
【0064】
第3レンズ群G3は、両凸形状の正レンズL31からなる。
【0065】
第4レンズ群G4は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL41と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL42との接合正レンズと、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL43と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL44との接合負レンズと、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL45とからなる。
【0066】
本実施例に係る光学系では、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3をそれぞれ独立に、第2レンズ群G2は像面方向へ、第3レンズ群G3は物体方向へ移動させることにより、遠距離物体から近距離物体への合焦が行われる。
【0067】
本実施例に係る光学系では、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3をそれぞれ独立に、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3を同じ方向へ移動させることにより、所定の撮影距離において複数の合焦状態となることができる。
【0068】
以下の表1に、本実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。表1において、fは焦点距離、BFはバックフォーカスを示す。
【0069】
[面データ]において、面番号は物体側から数えたレンズ面の順番、rはレンズ面の曲率半径、dはレンズ面の間隔、ndはd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率、νdはd線(波長λ=587.6nm)に対するアッベ数をそれぞれ示している。また、物面は物体面、可変は可変の面間隔、(絞りS)は開口絞りS、像面は像面Iをそれぞれ示している。なお、曲率半径r=∞は平面を示し、空気の屈折率nd=1.00000の記載は省略している。
【0070】
[非球面データ]には、[面データ]に示した非球面について、その形状を次式で表した場合の非球面係数及び円錐定数を示す。
x=(h^2/r)/[1+{1-K(h/r)^2}^(1/2)]+A4h^4+A6h^6+A8h^8+A10h^10
【0071】
ここで、xは光軸から垂直方向の高さhにおける各非球面の頂点の接平面から光軸方向に沿った距離(サグ量)、Kを円錐定数、A4,A6,A8,A10を非球面係数、rを基準球面の曲率半径(近軸曲率半径)とする。また、「E-n」(n:整数)は「×10^(-n)」を示し、例えば「1.234E-05」は「1.234×10^(-5)」を示す。
【0072】
[各種データ]において、FNOはFナンバー、2ωは画角、Ymaxは最大像高、TLは光学系全長、di(i:整数)は第i面の可変の面間隔をそれぞれ示す。なお、無限遠は無限遠物体への合焦時、近距離は近距離物体への合焦時をそれぞれ示す。
【0073】
表1に示す第1合焦状態(無限遠物体合焦時)、第2合焦状態、および第3合焦状態は、所定の撮影距離である無限遠物体合焦時において収差量の異なる複数の合焦状態の一例である。
【0074】
ここで、表1に掲載されている焦点距離fや曲率半径r、及びその他長さの単位は一般に「mm」が使われる。しかしながら光学系は、比例拡大又は比例縮小しても同等の光学性能が得られるため、これに限られるものではない。
【0075】
なお、以上に述べた表1の符号は、後述する他の実施例の表においても同様に用いるものとする。
【0076】
(表1)第1実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1 76.4681 6.281 1.81600 46.59
2 136.1942 0.200
3 57.4677 7.326 1.94595 17.98
4 105.7873 0.200
5 40.6164 9.165 1.49782 82.57
6 92.2146 1.400 1.85451 25.15
7 28.5437 13.082
8 -142.7840 1.300 1.85451 25.15
9 27.2692 12.407 1.85108 40.12
*10 284.8397 0.200
11 53.6840 8.675 1.87070 40.74
12 -146.3085 2.000
13(絞りS) ∞ d13(可変)

14 115.1093 1.300 1.84666 23.80
15 32.0404 7.425
16 -102.7052 1.300 1.69895 30.13
17 320.0536 0.200
18 75.4430 4.445 1.94595 17.98
19 -281.9525 d19(可変)

20 248.5984 6.000 1.82098 42.50
*21 -66.0535 d21(可変)

22 1465.7781 7.223 1.87070 40.74
23 -50.2112 1.200 1.80518 25.45
24 -135.6982 0.200
25 27007.9920 1.200 1.64769 33.73
26 65.5428 3.074 1.94595 17.98
27 113.9795 6.485
28 -45.8727 1.500 1.80518 25.45
29 -312.4149 BF
像面 ∞

[非球面データ]
第10面
K = 1.0000
A4 = 1.96303E-06
A6 = 6.61382E-10
A8 = -3.01202E-13
A10 = 8.18575E-16

第21面
K = 1.0000
A4 = -4.14941E-07
A6 = -1.24959E-09
A8 = 3.70095E-12
A10 = -4.48729E-15

[各種データ]
f 84.7
FNO 1.22
2ω 28.42
Ymax 21.60
TL 134.82
BF 11.46

第1合焦状態 第2合焦状態 第3合焦状態
無限遠 近距離 無限遠 無限遠
d13 2.902 5.140 3.775 2.000
d19 13.675 10.440 13.802 13.577
d21 3.000 3.997 2.000 4.000

[レンズ群データ]
群 始面 f
1 1 76.176
2 14 -94.259
3 20 64.118
4 22 -102.113

[条件式対応値]
(1) (-fF1)/fF2 = 1.470
(2) f1/(-fF1) = 0.808
(3) f1/fF2 = 1.188
(4) BF/f = 0.135
(5) MF1/MF2 = -2.247
(6) βF1/βF2 = 3.723
(7) MDCP1/MDCP2 = 0.873
(8) (γ1/|γ1|)×(MDCP1/|MDCP1|)/(γ2/|γ2|)×(MDCP2/|MDCP2|) = -1
(9) (r2+r1)/(r2-r1) = 0.524
【0077】
図2(a)、及び図2(b)はそれぞれ、第1実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時、近距離物体合焦時における第1合焦状態の諸収差図である。
図3は、第1実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時における第2合焦状態の諸収差図である。
図4は、第1実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時における第3合焦状態の諸収差図である。
【0078】
図2図3図4の各収差図において、FNOはFナンバー、NAは開口数、Yは像高をそれぞれ示す。なお、球面収差図では最大口径に対応するFナンバーまたは開口数の値を示し、非点収差図及び歪曲収差図では像高の最大値をそれぞれ示し、コマ収差図では各像高の値を示す。dはd線(λ=587.6nm)、gはg線(λ=435.8nm)をそれぞれ示す。非点収差図において、実線はサジタル像面、破線はメリディオナル像面をそれぞれ示す。なお、以下に示す他の実施例の収差図においても、本実施例と同様の符号を用いる。
【0079】
各諸収差図より、本実施例に係る光学系は、無限遠物体合焦状態から近距離物体合焦状態にわたって諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有しており、所定の撮影距離における複数の合焦状態で所望の収差性能を得ることができていることがわかる。
【0080】
(第2実施例)
図5は、第2実施例に係る光学系のレンズ構成を示す図である。
【0081】
本実施例に係る光学系は、物体側から順に、正屈折力を有する第1レンズ群G1と、開口絞りSと、負屈折力を有する第2レンズ群G2と、正屈折力を有する第3レンズ群G3と、負屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成されている。
【0082】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL11と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13と物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL14との接合負レンズと、両凹形状の負レンズL15と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL16との接合負レンズと、両凸形状の正レンズL17とからなる。
【0083】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、両凹形状の負レンズL22と、両凸形状の正レンズL23とからなる。
【0084】
第3レンズ群G3は、両凸形状の正レンズL31からなる。
【0085】
第4レンズ群G4は、物体側から順に、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズ41と物体側に凹面向けた負メニスカスレンズL42との接合正レンズと、両凹形状の負レンズL43と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL44との接合負レンズと、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL45とからなる。
【0086】
本実施例に係る光学系では、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3をそれぞれ独立に、第2レンズ群G2は像面方向へ、第3レンズ群G3は物体方向へ移動させることにより、遠距離物体から近距離物体への合焦が行われる。
【0087】
本実施例に係る光学系では、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3をそれぞれ独立に、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3を同じ方向へ移動させることにより、所定の撮影距離において複数の合焦状態となることができる。
【0088】
以下の表2に、本実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。
【0089】
(表2)第2実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1 73.4000 5.501 1.81600 46.59
2 110.7457 0.200
3 58.8917 7.458 1.94595 17.98
4 111.0084 0.200
5 39.1598 9.057 1.49782 82.57
6 77.4229 1.400 1.80518 25.45
7 28.0712 13.538
8 -151.1995 1.300 1.85451 25.15
9 26.4878 12.639 1.82098 42.50
*10 242.2031 0.200
11 52.7537 8.844 1.87070 40.74
12 -140.0458 2.000
13(絞りS) ∞ d13(可変)

14 133.9543 1.300 1.84666 23.80
15 32.7409 7.152
16 -123.4300 1.300 1.75520 27.57
17 357.4047 0.200
18 74.6253 4.520 1.94595 17.98
19 -297.7591 d19(可変)

20 313.0221 6.000 1.88202 37.22
*21 -63.4643 d21(可変)

22 -1081.1156 7.420 1.87070 40.74
23 -44.2958 1.200 1.84666 23.80
24 -127.4625 0.200
25 -32333.6320 1.200 1.60342 38.03
26 66.4764 2.852 1.94595 17.98
27 107.6046 6.381
28 -44.1967 1.500 1.75520 27.57
29 -275.2791 BF
像面 ∞

[非球面データ]
第10面
K = 1.0000
A4 = 2.12690E-06
A6 = 4.27646E-10
A8 = 4.85052E-13
A10 = -3.78645E-16

第21面
K = 1.0000
A4 = -2.65193E-07
A6 = -1.87433E-09
A8 = 6.45118E-12
A10 = -8.11290E-15

[各種データ]
f 84.0
FNO 1.22
2ω 28.66
Ymax 21.60
TL 135.26
BF 11.46

第1合焦状態 第2合焦状態 第3合焦状態
無限遠 近距離 無限遠 無限遠
d13 3.338 5.621 4.740 2.000
d19 13.469 10.264 13.500 13.500
d21 3.432 4.354 2.000 4.739

[レンズ群データ]
群 始面 f
1 1 76.582
2 14 -96.956
3 20 60.274
4 22 -92.079

[条件式対応値]
(1) (-fF1)/fF2 = 1.609
(2) f1/(-fF1) = 0.790
(3) f1/fF2 = 1.271
(4) BF/f = 0.136
(5) MF1/MF2 = -2.477
(6) βF1/βF2 = 3.812
(7) MDCP1/MDCP2 = 0.979
(8) (γ1/|γ1|)×(MDCP1/|MDCP1|)/(γ2/|γ2|)×(MDCP2/|MDCP2|) = -1
(9) (r2+r1)/(r2-r1) = 0.581
【0090】
図6(a)、及び図6(b)はそれぞれ、第2実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時、近距離物体合焦時における第1合焦状態の諸収差図である。
図7は、第2実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時における第2合焦状態の諸収差図である。
図8は、第2実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時における第3合焦状態の諸収差図である。
【0091】
各諸収差図より、本実施例に係る光学系は、無限遠物体合焦状態から近距離物体合焦状態にわたって諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有しており、所定の撮影距離における複数の合焦状態で所望の収差性能を得ることができていることがわかる。
【0092】
(第3実施例)
図9は、第3実施例に係る光学系のレンズ構成を示す図である。
【0093】
本実施例に係る光学系は、物体側から順に、正屈折力を有する第1レンズ群G1と、開口絞りSと、負屈折力を有する第2レンズ群G2と、正屈折力を有する第3レンズ群G3と、負屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成されている。
【0094】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL11と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13と物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL14との接合負レンズと、両凹形状の負レンズL15と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL16との接合負レンズと、両凸形状の正レンズL17とからなる。
【0095】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22とからなる。
【0096】
第3レンズ群G3は、両凸形状の正レンズL31からなる。
【0097】
第4レンズ群G4は、物体側から順に、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズ41と物体側に凹面向けた負メニスカスレンズL42との接合正レンズと、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL43と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL44とからなる。
【0098】
本実施例に係る光学系では、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3をそれぞれ独立に、第2レンズ群G2は像面方向へ、第3レンズ群G3は物体方向へ移動させることにより、遠距離物体から近距離物体への合焦が行われる。
【0099】
本実施例に係る光学系では、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3をそれぞれ独立に、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3を同じ方向へ移動させることにより、所定の撮影距離において複数の合焦状態となることができる。
【0100】
以下の表3に、本実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。
【0101】
(表3)第3実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1 85.6509 5.827 1.81600 46.59
2 154.3812 0.200
3 57.0937 8.593 1.92286 20.88
4 131.3921 0.200
5 47.2501 9.821 1.49782 82.57
6 207.3012 1.400 1.85451 25.15
7 30.6342 12.478
8 -132.1232 1.300 1.77047 29.74
9 30.0000 10.936 1.77387 47.25
*10 214.4708 0.200
11 56.4801 8.605 1.81600 46.59
12 -129.8822 2.000
13(絞りS) ∞ d13(可変)

14 2187.7832 1.300 1.80301 25.53
*15 37.8523 8.531
16 71.0452 3.814 1.94595 17.98
17 327.5416 d17(可変)

18 99.2162 5.806 1.81600 46.59
19 -71.0156 d19(可変)

*20 1514.5028 10.020 1.82098 42.50
21 -29.5144 1.200 1.77047 29.74
22 -104.3194 0.200
23 37090.0280 1.200 1.59349 67.00
24 51.3147 8.670
25 -46.7845 1.300 1.80400 46.60
26 -204.7043 BF
像面 ∞

[非球面データ]
第10面
K = 1.0000
A4 = 1.85982E-06
A6 = 4.65472E-10
A8 = -3.52700E-14
A10 = 4.70200E-16

第15面
K = 1.0000
A4 = -6.58221E-07
A6 = 6.37081E-12
A8 = 4.14480E-13
A10 = 5.88588E-16

第20面
K = 1.0000
A4 = -2.10883E-06
A6 = -8.12788E-11
A8 = -2.16381E-12
A10 = 1.67099E-15

[各種データ]
f 84.3
FNO 1.22
2ω 28.54
Ymax 21.60
TL 135.57
BF 11.46

第1合焦状態 第2合焦状態 第3合焦状態
無限遠 近距離 無限遠 無限遠
d13 2.798 6.123 4.698 1.500
d17 16.006 12.237 15.313 16.511
d19 1.706 2.151 0.500 2.500

[レンズ群データ]
群 始面 f
1 1 85.385
2 14 -116.374
3 18 51.512
4 20 -66.581

[条件式対応値]
(1) (-fF1)/fF2 = 2.259
(2) f1/(-fF1) = 0.734
(3) f1/fF2 = 1.658
(4) BF/f = 0.136
(5) MF1/MF2 = -7.480
(6) βF1/βF2 = 4.438
(7) MDCP1/MDCP2 = 1.575
(8) (γ1/|γ1|)×(MDCP1/|MDCP1|)/(γ2/|γ2|)×(MDCP2/|MDCP2|) = -1
【0102】
図10(a)、及び図10(b)はそれぞれ、第3実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時、近距離物体合焦時における第1合焦状態の諸収差図である。
図11は、第3実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時における第2合焦状態の諸収差図である。
図12は、第3実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時における第3合焦状態の諸収差図である。
【0103】
各諸収差図より、本実施例に係る光学系は、無限遠物体合焦状態から近距離物体合焦状態にわたって諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有しており、所定の撮影距離における複数の合焦状態で所望の収差性能を得ることができていることがわかる。
【0104】
(第4実施例)
図13は、本願の第4実施例に係る光学系のレンズ構成を示す図である。
【0105】
本実施例に係る光学系は、物体側から順に、正屈折力を有する第1レンズ群G1と、開口絞りSと、負屈折力を有する第2レンズ群G2と、正屈折力を有する第3レンズ群G3と、負屈折力を有する第4レンズ群G4とから構成されている。
【0106】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL11と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13と物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL14との接合負レンズと、両凹形状の負レンズL15と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL16との接合負レンズと、両凸形状の正レンズL17とからなる。
【0107】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、両凹形状の負レンズL21と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22とからなる。
【0108】
第3レンズ群G3は、両凸形状の正レンズL31からなる。
【0109】
第4レンズ群G4は、物体側から順に、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズ41と物体側に凹面向けた負メニスカスレンズL42との接合正レンズと、両凹形状の負レンズL43と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL44とからなる。
【0110】
本実施例に係る光学系では、第2レンズ群G2を像面方向へ移動させることにより、遠距離物体から近距離物体への合焦が行われる。
【0111】
本実施例に係る光学系では、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3とを同じ方向へ移動させることにより、所定の撮影距離において複数の合焦状態となることができる。
【0112】
以下の表4に、本実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。
(表4)第4実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1 78.5786 6.005 1.81600 46.59
2 134.9510 0.200
3 63.3152 8.318 1.92286 20.88
4 162.9332 0.200
5 46.5652 11.196 1.49782 82.57
6 601.5323 1.400 1.85451 25.15
7 31.3946 12.043
8 -123.9626 1.300 1.77047 29.74
9 39.4141 9.061 1.77387 47.25
*10 763.9189 0.200
11 58.5717 8.089 1.81600 46.59
12 -152.3516 2.000
13(絞りS) ∞ d13(可変)

14 -1622.0766 1.300 1.80301 25.53
*15 35.6012 7.393
16 64.2543 3.869 1.94595 17.98
17 253.9967 d17(可変)

18 82.9841 7.059 1.81600 46.59
19 -73.7171 d19(可変)

*20 -849.6919 11.000 1.82098 42.50
21 -27.3710 1.200 1.77047 29.74
22 -72.9702 0.200
23 -149.2729 1.200 1.59349 67.00
24 59.2826 7.917
25 -43.8819 1.300 1.80400 46.60
26 -140.7336 BF
像面 ∞

[非球面データ]
第10面
K = 1.0000
A4 = 1.17966E-06
A6 = 2.97755E-11
A8 = 1.67487E-13
A10 = 9.63392E-17

第15面
K = 1.0000
A4 = -8.33627E-07
A6 = 1.21432E-10
A8 = 8.19084E-13
A10 = -2.95787E-16

第20面
K = 1.0000
A4 = -2.26252E-06
A6 = 3.22587E-10
A8 = -3.59413E-12
A10 = 2.28368E-15

[各種データ]
f 85.8
FNO 1.22
2ω 28.26
Ymax 21.60
TL 134.47
BF 11.46

第1合焦状態 第2合焦状態 第3合焦状態
無限遠 近距離 無限遠 無限遠
d13 2.996 6.554 4.436 1.500
d17 16.068 12.510 15.628 16.564
d19 1.500 1.500 0.500 2.500

[レンズ群データ]
群 始面 f
1 1 82.958
2 14 -97.795
3 18 48.829
4 20 -65.783

[条件式対応値]
(1) (-fF1)/fF2 = 2.003
(2) f1/(-fF1) = 0.848
(3) f1/fF2 = 1.699
(4) BF/f = 0.134
(6) βF1/βF2 = 5.043
(7) MDCP1/MDCP2 = 1.440
(8) (γ1/|γ1|)×(MDCP1/|MDCP1|)/(γ2/|γ2|)×(MDCP2/|MDCP2|) = -1
【0113】
図14(a)、及び図14(b)はそれぞれ、第4実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時、近距離物体合焦時における第1合焦状態の諸収差図である。
図15は、第4実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時における第2合焦状態の諸収差図である。
図16は、第4実施例に係る光学系の無限遠物体合焦時における第3合焦状態の諸収差図である。
【0114】
各諸収差図より、本実施例に係る光学系は、無限遠物体合焦状態から近距離物体合焦状態にわたって諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有しており、所定の撮影距離における複数の合焦状態で所望の収差性能を得ることができていることがわかる。
【0115】
上記各実施例によれば、所定の撮影距離において収差量の異なる複数の合焦状態を有し、合焦に影響を与えることなく所定の収差量をコントロールすることができる光学系を実現することができる。
【0116】
ここで、上記各実施例は本願発明の一具体例を示しているものであり、本願発明はこれらに限定されるものではない。
【0117】
なお、以下の内容は、本実施形態の光学系の光学性能を損なわない範囲で適宜採用することが可能である。
【0118】
本実施形態の光学系を構成するレンズのレンズ面は、球面又は平面としてもよく、或いは非球面としてもよい。レンズ面が球面又は平面の場合、レンズ加工及び組立調整が容易になり、レンズ加工及び組立調整の誤差による光学性能の劣化を防ぐことができるため好ましい。また、像面がずれた場合でも描写性能の劣化が少ないため好ましい。レンズ面が非球面の場合、研削加工による非球面、ガラスを型で非球面形状に成型したガラスモールド非球面、又はガラス表面に設けた樹脂を非球面形状に形成した複合型非球面のいずれでもよい。また、レンズ面は回折面としてもよく、レンズを屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)或いはプラスチックレンズとしてもよい。
【0119】
また、本実施形態の光学系を構成するレンズのレンズ面に、広い波長域で高い透過率を有する反射防止膜を施してもよい。これにより、フレアやゴーストを軽減し、高コントラストの高い光学性能を達成することができる。
【0120】
次に、本実施形態の光学系を備えたカメラを図17に基づいて説明する。
【0121】
図17は、本実施形態の光学系を備えたカメラの構成を示す図である。
【0122】
カメラ1は、図17に示すように撮影レンズ2として上記第1実施例に係る光学系を備えたデジタルカメラである。
【0123】
カメラ1において、不図示の物体(被写体)からの光は、撮影レンズ2で集光されて、撮像素子3へ到達する。これにより被写体からの光は、当該撮像素子3によって撮像されて、被写体画像として不図示のメモリに記録される。このようにして、撮影者はカメラ1による被写体の撮影を行うことができる。
【0124】
以上の構成により、上記第1実施例に係る光学系を撮影レンズ2として搭載したカメラ1は、無限遠物体から近距離物体への合焦の際の球面収差をはじめとする諸収差の変動を効果的に抑えつつ、所定の撮影距離における複数の合焦状態で所望の収差性能を得ることができる。なお、上記第2実施例、第3実施例、または第4実施例に係る光学系を撮影レンズ2として搭載したカメラを構成しても上記カメラ1と同様の効果を奏することができる。
【0125】
最後に、本実施形態の光学系の製造方法の概略を、図18に基づいて説明する。
図18は、本実施形態の光学系の製造方法の概略を示すフローチャートである。
【0126】
図18に示す本実施形態の光学系の製造方法は、複数のレンズからなる光学系の製造方法であって、以下のステップS1、S2およびS3を含む。
【0127】
ステップS1:複数のレンズを準備する。
【0128】
ステップS2:合焦の際移動する第1合焦レンズ群より像側に、合焦の際第1合焦レンズ群とは異なる軌跡で移動する第2合焦レンズ群を配置する。
【0129】
ステップS3:合焦の際、および、所定の撮影距離において一の合焦状態から他の合焦状態になるときに、第1合焦レンズ群と第2合焦レンズ群とがそれぞれ所定の方法で移動するようにする。
【0130】
ここで、第1合焦レンズ群および第2合焦レンズ群は、合焦の際の第1合焦レンズ群および第2合焦レンズ群の相対的な移動の方向と、所定の撮影距離において一の合焦状態から他の合焦状態になる際の第1合焦レンズ群および第2合焦レンズ群の相対的な移動の方向とが異なるようにされる。
【0131】
かかる本実施形態の光学系の製造方法によれば、所定の撮影距離において収差量の異なる複数の合焦状態を有し、合焦に影響を与えることなく所定の収差量をコントロールすることができる光学系を製造することができる。
【0132】
当業者は、本発明の精神および範囲から外れることなく、種々の変更、置換および修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。
【符号の説明】
【0133】
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
G4 第4レンズ群
I 像面
S 開口絞り
図1
図2(a)】
図2(b)】
図3
図4
図5
図6(a)】
図6(b)】
図7
図8
図9
図10(a)】
図10(b)】
図11
図12
図13
図14(a)】
図14(b)】
図15
図16
図17
図18