IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電産リード株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-検査治具、及び検査装置 図1
  • 特許-検査治具、及び検査装置 図2
  • 特許-検査治具、及び検査装置 図3
  • 特許-検査治具、及び検査装置 図4
  • 特許-検査治具、及び検査装置 図5
  • 特許-検査治具、及び検査装置 図6
  • 特許-検査治具、及び検査装置 図7
  • 特許-検査治具、及び検査装置 図8
  • 特許-検査治具、及び検査装置 図9
  • 特許-検査治具、及び検査装置 図10
  • 特許-検査治具、及び検査装置 図11
  • 特許-検査治具、及び検査装置 図12
  • 特許-検査治具、及び検査装置 図13
  • 特許-検査治具、及び検査装置 図14
  • 特許-検査治具、及び検査装置 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】検査治具、及び検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/073 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
G01R1/073 E
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020131147
(22)【出願日】2020-07-31
(65)【公開番号】P2022027256
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-07-31
(73)【特許権者】
【識別番号】392019709
【氏名又は名称】ニデックアドバンステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【氏名又は名称】大西 裕人
(72)【発明者】
【氏名】津村 耕平
(72)【発明者】
【氏名】古河 高徳
(72)【発明者】
【氏名】山野内 潤
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-021059(JP,A)
【文献】特表2017-533446(JP,A)
【文献】特開2000-214182(JP,A)
【文献】国際公開第2018/021140(WO,A1)
【文献】特開2018-179934(JP,A)
【文献】特開2017-173102(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0151547(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0304625(US,A1)
【文献】米国特許第10859599(US,B2)
【文献】特開2008-241808(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 1/06-1/073、
31/26-31/27、
31/28-31/3193、
H01L 21/64-21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の複数の接触子と、
前記複数の接触子の一端部側を支持する第一支持部と、
前記複数の接触子の他端部側を支持する第二支持部とを備え、
前記第一支持部は、前記第二支持部に対して離間して対向配置され、前記複数の接触子が挿通される複数の貫通孔が形成された対向支持プレートを備え、
前記各貫通孔の断面は、前記対向支持プレートの面方向に沿う所定の特定方向に長軸が延びる楕円形状を有し、
前記複数の接触子は、円柱形状を有し、
前記断面の前記特定方向の両端部の曲率半径は、前記各接触子の半径よりも小さい、検査治具。
【請求項2】
前記複数の貫通孔は、所定の第一方向に沿って互いに平行に延びる奇数列及び偶数列に分かれて配置され、
前記偶数列の各貫通孔は、前記奇数列の各貫通孔の中心を通り、前記第一方向と直交する第二方向の各直線の間に位置する請求項1に記載の検査治具。
【請求項3】
前記各奇数列において前記第一方向に隣接する前記貫通孔同士の中心間の距離は、前記第二方向に隣接する前記奇数列同士の貫通孔の中心間の距離よりも短く、
前記各偶数列において前記第一方向に隣接する前記貫通孔同士の中心間の距離は、前記第二方向に隣接する前記偶数列同士の貫通孔の中心間の距離よりも短く、
前記特定方向は、前記第二方向である請求項に記載の検査治具。
【請求項4】
前記各貫通孔における、前記第二支持部側の開口縁部は、面取りされている請求項1~のいずれか1項に記載の検査治具。
【請求項5】
前記各貫通孔の内面には摩擦を軽減するための滑層が形成され、
前記滑層の前記接触子に対する摩擦係数は、前記対向支持プレートにおける前記滑層の土台部分の摩擦係数よりも小さい請求項1~のいずれか1項に記載の検査治具。
【請求項6】
前記各貫通孔における、前記第二支持部側の開口縁部は、面取りされた面取部とされており、
前記各貫通孔の前記面取部を含む内面のうち、前記面取部を除く部分である貫通孔本体部及び前記面取部の少なくとも一方には、摩擦を軽減するための滑層が形成され、
前記滑層の前記接触子に対する摩擦係数は、前記対向支持プレートにおける前記滑層の土台部分の摩擦係数よりも小さい請求項に記載の検査治具。
【請求項7】
前記第一支持部は、前記対向支持プレートの、前記第二支持部とは反対側に位置する支持プレートを含み、
前記対向支持プレートは、前記支持プレートよりも曲げ強さが強い請求項1~のいずれか1項に記載の検査治具。
【請求項8】
前記第一支持部は、前記対向支持プレートの、前記第二支持部とは反対側に位置する支持プレートを含み、
前記支持プレートには、前記対向支持プレートの複数の貫通孔に対して同一の接触子が挿通されるように相対応する複数の貫通孔が形成され、
前記相対応する前記対向支持プレートの貫通孔と前記支持プレートの貫通孔とは、前記対向支持プレートの垂線に対して前記接触子を傾斜させるように、前記対向支持プレートの貫通孔の位置と前記支持プレートの貫通孔の位置とが、前記垂線の方向に対してずれており、
前記ずれの方向は、前記特定方向に沿う請求項1~のいずれか1項に記載の検査治具。
【請求項9】
前記複数の貫通孔は、前記特定方向に沿って複数列配置され、かつ前記第一方向と交差する第三方向に沿って複数列配置され、前記貫通孔が等間隔で並ぶ領域内において、前記特定方向に並ぶ列数は前記第三方向に並ぶ列数よりも少ない請求項1~のいずれか1項に記載の検査治具。
【請求項10】
請求項1~のいずれか1項に記載の検査治具と、
前記接触子を検査対象物に設けられた検査点に接触させることにより得られる電気信号に基づき、前記検査対象物の検査を行う検査処理部とを備える検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触子を備えた検査治具、及びこれを用いた検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ワイヤープローブの上部及び下部をそれぞれ位置決めして支持する上部支持穴及び下部支持穴を有する支持部材と、ワイヤープローブの中間部を一方向に撓ませて支持する柔軟性があるガイドフィルムとを備えたプローブカードが知られている(例えば、特許文献1参照。)。この支持部材の下部支持穴は、積層された第1ボトム板と第2ボトム板とに形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-103125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、ワイヤープローブの上部及び下部をそれぞれ位置決めして支持する支持部材の他に、ワイヤープローブの中間部を一方向に撓ませて支持するガイドフィルムが必要になる。
【0005】
本発明の目的は、複数の接触子を同一方向に撓ませる構成を簡素化することが容易な検査治具、及び検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一例に係る検査治具は、棒状の複数の接触子と、前記複数の接触子の一端部側を支持する第一支持部と、前記複数の接触子の他端部側を支持する第二支持部とを備え、前記第一支持部は、前記第二支持部に対して離間して対向配置され、前記複数の接触子が挿通される複数の貫通孔が形成された対向支持プレートを備え、前記各貫通孔の断面は、前記対向支持プレートの面方向に沿う所定の特定方向に長軸が延びる楕円形状を有する。
【0007】
また、本発明の一例に係る検査治具は、棒状の複数の接触子と、前記複数の接触子の一端部側を支持する第一支持部と、前記複数の接触子の他端部側を支持する第二支持部とを備え、前記第一支持部は、前記第二支持部に対して離間して対向配置され、前記複数の接触子が挿通される複数の貫通孔が形成された対向支持プレートを備え、前記各貫通孔の断面は、前記対向支持プレートの面方向に沿う所定の特定方向に長尺の形状を有し、前記各貫通孔の前記特定方向の一端側の内壁と、前記各貫通孔に挿通された接触子とが、二点又は二線で接触する。
【0008】
本発明の一例に係る検査装置は、上述の検査治具と、前記接触子を検査対象物に設けられた検査点に接触させることにより得られる電気信号に基づき、前記検査対象物の検査を行う検査処理部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
このような構成の検査治具、及び検査装置は、複数の接触子を同一方向に撓ませる構成を簡素化することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る検査治具3を用いる検査装置1の構成の一例を概略的に示す概念図である。
図2図1に示す検査治具3を接触子Prの先端側から見た平面図である。
図3図2に示す検査治具3のIII-III線端面図である。
図4図2に示す検査治具3のIV-IV線端面図である。
図5】検査治具3から第二支持部312及びスペーサSを取り外してZ方向から対向支持プレートB2を見た平面図である。
図6図5に示す対向支持プレートB2の変形例を示す平面図である。
図7】検査治具3を基板100に当接させた状態の一例を示す説明図である。
図8】対向支持プレートB2,B2aの貫通孔B2Hと接触子Prとの拡大図である。
図9図8に示す貫通孔B2Hの変形例を示す説明図である。
図10】多角形状の貫通孔B2Hの一例を示す説明図である。
図11】接触子Prが押し込まれたときのプレートPLの挙動を概念的に示す説明図である。
図12】プレートPLに形成された貫通孔PLHと接触子Prとの拡大説明図である。
図13】接触子Prの押し込み荷重が解除されたときのプレートPLの挙動を概念的に示す説明図である。
図14】プレートPLに形成された貫通孔PLHと接触子Prとの拡大説明図である。
図15】対向支持プレートB2の貫通孔B2H近傍を拡大して示す端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。各図の向きを示すために適宜XYZ直交座標軸を記載している。図1に示す検査装置1は、検査対象物の一例である基板100を検査するための装置である。
【0012】
基板100は、例えばプリント配線基板、フレキシブル基板、セラミック多層配線基板、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ用の電極板、半導体基板、及び半導体パッケージ用のパッケージ基板やフィルムキャリアなど種々の基板であってもよい。なお、検査対象物は、基板に限らず、例えば半導体素子(IC:Integrated Circuit)等の電子部品であってもよく、その他電気的な検査を行う対象となるものであればよい。
【0013】
図1に示す検査装置1は、検査部4U,4Dと、基板固定装置6と、検査処理部8とを備えている。基板固定装置6は、検査対象の基板100を所定の位置に固定するように構成されている。検査部4U,4Dは、検査治具3U,3Dを備えている。検査部4U,4Dは、図略の駆動機構によって、検査治具3U,3Dを、互いに直交するX,Y,Zの三軸方向に移動可能にされ、さらに検査治具3U,3Dを、Z軸を中心に回動可能にされている。
【0014】
検査部4Uは、基板固定装置6に固定された基板100の上方に位置する。検査部4Dは、基板固定装置6に固定された基板100の下方に位置する。検査部4U,4Dは、基板100に形成された回路パターンを検査するための検査治具3U,3Dを着脱可能に構成されている。以下、検査部4U,4Dを総称して検査部4と称する。
【0015】
検査治具3U,3Dは、それぞれ、複数の接触子Prと、複数の接触子Prの先端部を基板100へ向けて保持する支持部材31と、ベースプレート321とを備えている。ベースプレート321には、各接触子Prの後端部と接触して導通する電極が設けられている。検査部4U,4Dは、ベースプレート321の各電極を介して各接触子Prの後端部を、検査処理部8と電気的に接続したり、その接続を切り替えたりする図略の接続回路を備えている。
【0016】
接触子Prは、略棒状の形状を有する単一の部材により構成された、いわゆるワイヤープローブである。支持部材31には、接触子Prを支持する複数の貫通孔が形成されている。各貫通孔は、検査対象となる基板100の配線パターン上に設定された検査点の位置と対応するように配置されている。これにより、接触子Prの先端部が基板100の検査点に接触するようにされている。検査点は、例えば配線パターン、パッド、半田バンプ、接続端子、スルーホール、ビア等とされている。
【0017】
検査治具3U,3Dは、検査部4U,4Dへの取り付け方向が上下逆になる点を除き、互いに同様に構成されている。以下、検査治具3U,3Dを総称して検査治具3と称する。検査治具3は、検査対象の基板100に応じて取り替え可能にされている。
【0018】
検査処理部8は、例えば電源回路、電圧計、電流計、及びマイクロコンピュータ等を備えている。検査処理部8は、図略の駆動機構を制御して検査部4U,4Dを移動、位置決めさせ、基板100の各検査点に、各接触子Prの先端を接触させる。これにより、各検査点と、検査処理部8とが電気的に接続される。この状態で、検査処理部8は、検査治具3の各接触子Prを介して基板100の各検査点に検査用の電流又は電圧を供給し、各接触子Prから得られた電圧信号又は電流信号に基づき、例えば回路パターンの断線や短絡等の基板100の検査を実行する。あるいは、検査処理部8は、交流の電流又は電圧を各検査点に供給することによって各接触子Prから得られた電圧信号又は電流信号に基づき、検査対象のインピーダンスを測定してもよい。
【0019】
図2図3図4を参照して、支持部材31は、接触子Prの後端部側を支持する第一支持部311と、接触子Prの先端部側を支持する第二支持部312と、第一支持部311と第二支持部312とを互いに離間させて保持する離間保持部材7と、スペーサSとを備えている。
【0020】
第一支持部311は、対向支持プレートB2と、支持プレートC1,D,E1,E2とがZ方向に積層されて構成されている。対向支持プレートB2、支持プレートC1,D,E1,E2は、第二支持部312に近い側からこの順に積層されている。すなわち、対向支持プレートB2は第二支持部312に対向配置され、第一支持部311を構成する複数のプレートのうち第二支持部312に最も近いプレートが対向支持プレートB2とされている。
【0021】
なお、第一支持部311は、対向支持プレートB2一枚で構成されていてもよい。また、第一支持部311は、対向支持プレートB2を含む四枚以下又は六枚以上のプレートにより構成されていてもよい。
【0022】
対向支持プレートB2には、各接触子Prを支持するための貫通孔B2Hが形成されている。支持プレートC1,D,E1,E2には、各接触子Prを支持するための貫通孔C1H,DH,E1H,E2Hが形成されている。
【0023】
接触子Prの後端側が、貫通孔B2H,C1H,DH,E1H,E2Hに挿通されている。これにより、接触子Prの後端側が、第一支持部311によって支持される。
【0024】
図3図4を参照して、対向支持プレートB2の外周部分に、略矩形枠状のスペーサSが積層されている。
【0025】
第二支持部312は、支持プレートA,A2,A3が積層されて構成されている。支持プレートA,A2,A3は、第一支持部311から遠い側からこの順に積層されている。支持プレートA,A2,A3には、各接触子Prを支持するための貫通孔AH,A2H,A3Hが形成されている。なお、第二支持部312は、二枚以下又は四枚以上の支持プレートにより構成されていてもよい。
【0026】
接触子Prの先端側が、貫通孔AH,A2H,A3Hに挿通されている。これにより、接触子Prの先端側が、第二支持部312によって支持される。
【0027】
支持プレートA3の外周部分から、略矩形筒状の離間保持部材7が延設されている。支持プレートA3と離間保持部材7とは、一体に形成されている。これにより、支持プレートA3と離間保持部材7とから離間ブロックBが構成されている。なお、支持プレートA3と離間保持部材7とは、別体であってもよい。
【0028】
離間保持部材7の端面は、スペーサSの第二支持部312側の面に、取り付けられている。これにより、対向支持プレートB2と支持プレートA3、すなわち第一支持部311と第二支持部312が、離間保持部材7のZ方向の長さとスペーサSの厚さとを加算した距離離間して保持される。支持プレートA,A2,A3、対向支持プレートB2、支持プレートC1,D,E1,E2は、平行に保持されている。
【0029】
なお、スペーサSは、第一支持部311と第二支持部312との間隔を微調整するための部材であり、検査治具3は、スペーサSを備えなくてもよい。
【0030】
また、離間保持部材7は、矩形筒状の部材に限らない。離間保持部材は、第一支持部311と第二支持部312とを互いに離間させて保持するものであればよい。例えば棒状の支柱を離間保持部材として用いてもよい。
【0031】
貫通孔AH,A2H,A3H,B2H,C1H,DH,E1H,E2Hは、同一の一本の接触子Prが挿通されるように相対応して、支持プレートA,A2,A3、対向支持プレートB2、及び支持プレートC1,D,E1,E2の各プレートに対してそれぞれ垂直に設けられている。相対応する貫通孔AH,A2H,A3H,B2H,C1H,DH,E1H,E2Hの各貫通孔は、各プレートにおける垂線方向(Z方向)に対して接触子Prを傾斜させるように、各貫通孔の位置が、垂線の方向(Z方向)に対してX方向にずれている。
【0032】
これにより、各接触子Prは、Z方向に対して、X方向に同じ方向に傾斜して支持される。各接触子Prの先端は、基板100に接触しない状態では支持プレートAから突出するようになっている。以下、貫通孔AH,A2H,A3H,B2H,C1H,DH,E1H,E2Hを総称して、貫通孔Hと称する。なお、貫通孔Hは、各プレートの垂線方向に対して傾斜して貫通していてもよい。
【0033】
図5を参照して、対向支持プレートB2の貫通孔B2Hは、対向支持プレートB2の面方向に沿う断面形状が、楕円形状を有している。
【0034】
複数の貫通孔B2Hは、Y方向に長尺の略矩形状に広がる第一領域P1と第二領域P2とに、それぞれ分布している。Y方向は第一方向の一例に相当し、X方向は第二方向の一例に相当している。
【0035】
各貫通孔B2Hは、X方向に長軸が延びる楕円形状を有している。X方向は対向支持プレートB2の面方向に沿う特定方向の一例に相当する。各貫通孔B2Hの長軸の向きが、X方向に揃っている。すなわち特定方向はX方向(第二方向)である。
【0036】
第一領域P1及び第二領域P2内で、貫通孔B2Hは等間隔で配置されている。第一領域P1と第二領域P2とは、同一領域内での貫通孔B2Hの間隔よりも大きな距離、離れている。
【0037】
複数の貫通孔B2Hは、Y方向(第一方向)に沿って互いに平行に延びる奇数列Lo及び偶数列Leに分かれて配置されている。偶数列Leの各貫通孔B2Hは、奇数列Loの各貫通孔B2Hの中心を通るX方向(第二方向)の各直線Lxoの間に位置する。
【0038】
各奇数列LoにおいてY方向(第一方向)に隣接する貫通孔B2H同士の中心間の距離Dyoは、X方向(第二方向)に隣接する奇数列Lo同士の貫通孔B2Hの中心間の距離Dxoよりも短い。各偶数列LeにおいてY方向(第一方向)に隣接する貫通孔B2H同士の中心間の距離Dyeは、X方向(第二方向)に隣接する偶数列Le同士の貫通孔B2Hの中心間の距離Dxeよりも短い。
【0039】
図6に示す対向支持プレートB2aでは、各貫通孔B2Hの長軸の向きが、Y方向に揃っている。すなわち図6に示す例では、特定方向はY方向(第二方向)であり、X方向が第一方向に相当する。
【0040】
複数の貫通孔B2Hは、X方向(第一方向)に沿って互いに平行に延びる奇数列Lo及び偶数列Leに分かれて配置されている。偶数列Leの各貫通孔B2Hは、奇数列Loの各貫通孔B2Hの中心を通るY方向(第二方向)の各直線Lyoの間に位置する。
【0041】
各奇数列LoにおいてX方向(第一方向)に隣接する貫通孔B2H同士の中心間の距離Dxoは、Y方向(第二方向)に隣接する奇数列Lo同士の貫通孔B2Hの中心間の距離Dyoと等しい。各偶数列LeにおいてX方向(第一方向)に隣接する貫通孔B2H同士の中心間の距離Dxeは、Y方向(第二方向)に隣接する偶数列Le同士の貫通孔B2Hの中心間の距離Dyeと等しい。
【0042】
図6に示す例では、接触子PrがY方向に傾斜するようになっている。各プレートの貫通孔Hの位置は、接触子PrをZ方向に対してY方向に傾斜させるように、Z軸に対してY方向にずれている。
【0043】
図5に示す対向支持プレートB2は、各貫通孔B2Hの長軸の向きがX方向に揃っており、かつ、各奇数列LoにおいてY方向(第一方向)に隣接する貫通孔B2H同士の中心間の距離DyoがX方向(第二方向)に隣接する奇数列Lo同士の貫通孔B2Hの中心間の距離Dxoよりも短く、かつ、各偶数列LeにおいてY方向(第一方向)に隣接する貫通孔B2H同士の中心間の距離Dyeは、X方向(第二方向)に隣接する偶数列Le同士の貫通孔B2Hの中心間の距離Dxeよりも短い条件を満たしている。
【0044】
その結果、この条件を満たさない図6の対向支持プレートB2aよりも、この条件を満たす図5に示す対向支持プレートB2の方が、接触子Prが傾斜して撓む方向(対向支持プレートB2ではX方向、対向支持プレートB2aではY方向)における、接触子Prの隣接間隔が大きくなる。接触子Prが撓む方向における接触子Prの隣接間隔が大きくなることによって、対向支持プレートB2aよりも対向支持プレートB2の方が、接触子Pr同士が接触するおそれを低減することができる。
【0045】
図5に示す対向支持プレートB2では、貫通孔B2Hは、第一領域P1内で、X方向(特定方向)にジグザグに5列、Y方向(第三方向)にジグザグに20列設けられている。同様に、貫通孔B2Hは、第二領域P2内で、X方向(特定方向)にジグザグに5列、Y方向(第三方向)にジグザグに20列設けられている。
【0046】
すなわち、貫通孔B2Hが等間隔で並ぶ第一領域P1及び第二領域P2内において、X方向(特定方向)に対応する貫通孔B2Hの列数は、Y方向(第三方向)に対応する貫通孔B2Hの列数よりも少ない。なお、貫通孔B2Hはジグザグに配置される例に限られず、X方向、Y方向に対して直線状に、すなわち格子状に配置されていてもよい。また、貫通孔B2Hが等間隔で配置される領域が二つの例を示したが、このような領域は一つであってもよく、三つ以上であってもよい。
【0047】
上述したように、各貫通孔Hの位置は、垂線の方向(Z方向)に対してX方向(特定方向)にずれているから、貫通孔Hのずれの方向は、貫通孔Hの列数が少ないX方向(特定方向)に沿っている。
【0048】
基板100を検査するべく検査治具3を基板100に当接させると、図7に示すように、各接触子Prの先端が第二支持部312に押し込まれる。このとき、各接触子Prは、X方向に同じ方向に傾斜して支持されているので、X方向に撓んで接触子Prの押し込み量を吸収する。
【0049】
ここで、接触子Prの撓み方向は、貫通孔B2Hの長軸方向であるX方向(特定方向)に沿っているので、接触子Prの傾斜方向、及び接触子Prの撓み方向もまた、貫通孔Hの列数が少ないX方向となる。
【0050】
接触子Prが撓むと、撓み方向に隣接する接触子Pr同士で接触するおそれが増大する。しかしながら、検査治具3は、貫通孔B2Hの列数が少ないX方向(特定方向)に沿って各接触子Prが撓むので、貫通孔B2Hの列数が多いY方向(第三方向)に沿って撓む場合よりも接触子Pr同士で接触するおそれが低減する。
【0051】
なお、例えば図6に示す対向支持プレートB2aを用いた場合のように、貫通孔B2Hの長軸方向である特定方向は、必ずしも貫通孔B2Hの列数が少ない方向(図6ではX方向)に沿っていなくてもよい。
【0052】
図8を参照して、各接触子Prは円柱形状を有しており、その半径はr1である。貫通孔B2Hの断面の長軸方向(特定方向)の両端部Tの曲率半径r2は、各接触子Prの半径r1よりも小さい。その結果、貫通孔B2Hの長軸方向(特定方向)の一端側の内壁と、接触子Prとが、二箇所の接触位置Pで接触する。
【0053】
この場合、貫通孔B2H内で接触子Prが傾斜していれば、接触子Prは貫通孔B2Hの内壁と二点で接触することとなる。貫通孔B2H内で接触子Prが、Z方向すなわち貫通孔B2Hの軸線方向に延びていれば、接触子Prは貫通孔B2Hの内壁と二線で接触することとなる。
【0054】
このように、貫通孔B2Hの両端部Tの曲率半径r2が各接触子Prの半径r1よりも小さいことによって、接触子Prを、貫通孔B2Hの内壁と二点又は二線で接触させることができる。接触子Prが、貫通孔B2Hの内壁と二点又は二線で接触することによって、貫通孔B2Hの短軸方向(特定方向と直交する方向)への接触子Prの動きを低減することができる。
【0055】
また、貫通孔B2Hの両端部Tの曲率半径r2が各接触子Prの半径r1よりも小さい孔形状とし、かつ偶数列Leの各貫通孔B2Hが奇数列Loの各貫通孔B2Hの中心を通る各直線Lxoの間に位置する配置、いわゆる千鳥配置とした場合には、以下のような効果が得られる。すなわち、このような場合には、一対の平行線と一対の半円とにより構成された長円形の断面形状を有する貫通孔を千鳥配置とする場合と比べて、孔の中心位置を同一に配置した場合であっても斜め方向に隣接する貫通孔B2H同士の間隔が広くなる。その結果、貫通孔B2H相互間の壁厚を維持しつつ、貫通孔B2Hの隣接ピッチを狭めることが容易となる。
【0056】
なお、貫通孔B2Hの断面形状は、必ずしも楕円に限らない。接触子Prは、対向支持プレートB2,B2aの垂線に対して傾斜して支持される。従って、接触子Prは、両端部Tのうち、一方のみに接触する。そのため、例えば図9に示すように、接触子Prが接触する側の、一方の端部Tの曲率半径r2のみが、各接触子Prの半径r1よりも小さい形状であってもよい。
【0057】
また、例えば図10に示すように、貫通孔B2Hの断面形状は、多角形状であってもよい。図10に示す多角形状の貫通孔B2Hについても、図9に示す貫通孔B2Hと同様、接触子Prが接触する側の、一方の端部Tのみが、多角形状であってもよい。
【0058】
すなわち、貫通孔B2Hの断面は、対向支持プレートB2,B2aの面方向に沿う特定方向に長尺の形状を有し、貫通孔B2Hの特定方向の一端側の内壁と、各貫通孔B2Hに挿通された接触子Prとが、二点又は二線で接触する形状であればよい。各貫通孔B2Hがこのような形状であれば、接触子Prが貫通孔B2Hの内壁と二点又は二線で接触する結果、貫通孔B2Hの短軸方向への接触子Prの動きを低減することができる。
【0059】
また、各貫通孔B2Hの断面形状が、楕円等の、特定方向に長尺の形状を有していることによって、各接触子Prの撓み方向が揃いやすくなる。その結果、各接触子Prが特定方向と直交する方向へ撓む撓み量のばらつきが減少するので、特定方向と直交する方向に対して貫通孔Hを配置する間隔を狭めることが容易となる。その結果、各接触子Prの、特定方向と直交する方向に対する配置間隔を狭めることが容易となる。また、特許文献1に記載の技術のように、複数の接触子の中間部を一方向に撓ませて支持するガイドフィルムを用いる必要がないので、検査治具の構成を簡素化することが容易となる。
【0060】
図3図4を参照して、支持プレートA,A2,A3、離間保持部材7、スペーサS、対向支持プレートB2(B2a)、及び支持プレートC1,D,E1,E2は、絶縁材料、例えば樹脂材料によって構成されている。対向支持プレートB2(B2a)は、支持プレートC1,D,E1,E2よりも曲げ強さが強い。対向支持プレートB2(B2a)は、例えばセラミックス、ファインセラミックス等の材料によって構成することができる。
【0061】
対向支持プレートB2,B2aの曲げ強さは、例えばJIS R 1601「ファインセラミックスの室温曲げ強さ試験方法」、あるいはISO14704に準じて評価することができる。支持プレートC1,D,E1,E2の曲げ強さは、例えばJIS K 7171「プラスチック-曲げ特性の求め方」、あるいはISO178に準じて評価することができる。
【0062】
各プレートの曲げ強さの評価方法は以下の通りである。検査治具に組み込まれたときに、支持プレートを接触子が貫通することが予定されている貫通孔を挟む二か所であって、対向支持プレートと支持プレートとの積層体が離間保持部材と対向する二箇所を外部支点とし、当該二箇所の外部支点の略中央を荷重点とする。荷重測定器の圧子より大きな開口が当該二箇所の外部支点の略中央にあって荷重測定器の荷重をかけられないプレート形状である場合、当該二箇所の外部支点の略中央の近傍でプレートに荷重をかけられる箇所を荷重点とすれば良い。当該荷重点にプレートが破壊されない程度の所定の荷重をかけたときの荷重測定器のストロークを測定する。当該ストロークが小さいほど曲げ強さが強いと評価できる。当該所定の荷重は任意の値を選べばよく、上記規格における測定条件に拘束されない。上記規格における試験片の形状、寸法、表面粗さ等の規定にかかわらず、プレートを加工することなくそのままの形状および寸法で曲げ強さを評価すれば足る。上記規格における試験片の数の規定にかかわらず、曲げ強さの評価に用いるプレートは一枚で良い。
【0063】
支持プレートC1,D,E1,E2よりも、対向支持プレートB2,B2aの曲げ強さが強い。その結果、対向支持プレートB2,B2aによって支持プレートC1,D,E1,E2の撓みが低減され、接触子を支持する支持部に加わるストレスを軽減することができる。
【0064】
以下、対向支持プレートB2,B2aの曲げ強度が高くない検査治具において、接触子を支持する支持部にストレスが加わるメカニズムについて説明する。
【0065】
具体的には、図11に示すように、検査対象物に検査治具が当接されて接触子Prが押し込まれて撓むと、撓んだ接触子PrによってプレートPLが押されて撓む。より詳細には、図12に示すように、撓んだ接触子Prは、プレートPLの貫通孔PLHの開口縁部に当たって引っかかり、プレートPLを強く押し込む。
【0066】
この状態で、検査対象物から検査治具が離間して接触子Prが元に戻ろうとすると、図13に示すように、接触子PrによってプレートPLが引っ張られ、逆向きに撓む。より詳細には、撓んだ接触子Prは貫通孔PLHの内壁に強く押し当てられている。そのため、図14に示すように接触子Prと貫通孔PLHとの間で大きな摩擦力が生じ、接触子Prが元に戻る際に、接触子PrがプレートPLを引っ張り、プレートPLが逆向きに撓む。このように、プレートPLが撓むことで、接触子Prを支持する支持部であるプレートPLにストレスが加わる。
【0067】
一方、検査治具3は、支持プレートC1,D,E1,E2よりも曲げ強さが強い対向支持プレートB2,B2aを備えているので、対向支持プレートB2,B2a自身の撓みが低減されると共に、支持プレートC1,D,E1,E2の撓みが対向支持プレートB2,B2aによって抑えられる。従って、対向支持プレートB2,B2a及び支持プレートC1,D,E1,E2の撓みが減少する結果、接触子Prを支持する支持部である対向支持プレートB2,B2a及び支持プレートC1,D,E1,E2に加わるストレスを軽減することが容易となる。
【0068】
図15を参照して、対向支持プレートB2,B2aの貫通孔B2Hにおける開口縁部は面取りされて、面取部H1,H2とされている。貫通孔B2Hの内面における面取部H1,H2を除く部分が、貫通孔本体部H3とされている。すなわち、貫通孔B2Hの内面は、貫通孔本体部H3及び面取部H1,H2を含む。対向支持プレートB2,B2aには、例えば貫通孔B2Hと同軸で、貫通孔B2Hよりも大径の大径部H4が、貫通孔B2Hに連結されている。
【0069】
接触子Prが撓んだとき、撓みにより第一支持部311に加わる荷重は、対向支持プレートB2,B2aの貫通孔B2Hの面取部H1にその大部分が加わる。そのため、接触子Prが摩擦する摩擦力は、貫通孔B2H,C1H,DH,E1H,E2Hのうち、貫通孔B2Hで最も大きくなる。
【0070】
そこで、対向支持プレートB2,B2aの貫通孔B2Hにおける面取部H1,H2を面取りすることによって、面取部H1,H2との摩擦で接触子Prが傷つくおそれを低減することができる。面取りは、角を丸くする丸面、角を斜めに削る角面、その他種々の面取り形状とすることができる。
【0071】
なお、対向支持プレートB2,B2a以外の支持プレートにおける貫通孔Hの開口縁部も面取り形状とされていてもむろんよい。貫通孔B2Hと同様に、各プレートの貫通孔Hは、大径部と小径部とが連結されていてもよい。この場合、貫通孔Hの小径部分の開口縁部が面取り形状とされることが好ましい。
【0072】
また、検査治具3における、対向支持プレートB2,B2a及び支持プレートA,A2,A3,C1,D,E1,E2の各プレートの各貫通孔Hの内面には、摩擦を軽減するための例えばコーティング層である滑層33が形成されることが好ましい。図15に示すように、滑層33は、各貫通孔Hの内面を含む、各プレートの表面全体に形成されていてもよい。しかしながら、各貫通孔Hの内面以外の部分には接触子Prが接触しないので、滑層33は、各貫通孔Hの内面以外の部分には形成されていなくてもよい。
【0073】
また、滑層33は、各貫通孔Hの内面のうち、貫通孔本体部H3及び面取部H1の少なくとも一方に形成されていればよい。
【0074】
滑層33の厚さは、例えば1μm程度とされる。滑層33の接触子Prに対する摩擦係数は、各プレートにおける滑層33の土台部分34の摩擦係数よりも小さい。滑層33は、摩擦係数の小さい材料を、例えば蒸着することによって形成することができる。摩擦係数の大小は、動摩擦係数同士、又は静摩擦係数同士のいずれかで比較すればよい。
【0075】
滑層33の材料としては、例えばパラキシリレン系ポリマーを用いることができ、パリレン(登録商標)、フッ素、ポリエステル、アクリル等、摩擦係数の小さい絶縁材料が好ましい。
【0076】
このように、貫通孔Hの内面に滑層33を形成することによって、貫通孔Hと接触子Prとの摩擦を低減することができる。
【0077】
なお、接触子Prは、対向支持プレートB2,B2aの第二支持部312側で撓むので、第二支持部312側の面取部H1と接触子Prとの摩擦の方が、支持プレートC1側の面取部H2と接触子Prとの摩擦よりも大きい。従って、図15では、面取部H1,H2が両方とも面取りされる例を示したが、面取部H1,H2のうち、接触子Prとの摩擦がより大きい第二支持部312側の面取部H1のみが面取りされていてもよい。
【0078】
あるいは、対向支持プレートB2,B2aの貫通孔B2Hにおける面取部H1,H2は面取りされていなくてもよい。
【0079】
また、接触子Prは、対向支持プレートB2,B2aの第二支持部312側で撓む。そのため、対向支持プレートB2,B2aの貫通孔B2Hと接触子Prとの接触圧力が、他の支持プレートの貫通孔Hと接触子Prとの接触圧力よりも大きくなり易く、摩擦が生じやすい。従って、少なくとも対向支持プレートB2,B2aの各貫通孔B2Hの内面に滑層33が形成されていればよく、他のプレートには滑層33が形成されていなくてもよい。
【0080】
また、支持プレートA,E2以外のプレートの貫通孔Hは、対向支持プレートB2,B2aの貫通孔B2Hと同様の形状を有していることが好ましい。しかしながら、接触子Prが撓んだとき、撓みにより対向支持プレートB2,B2aの貫通孔B2Hに加わる荷重は、他の各プレートの貫通孔Hに加わる荷重よりも大きい。従って、対向支持プレートB2,B2a以外の支持プレートの貫通孔Hの形状は、貫通孔B2Hの形状と異なっていてもよく、例えば断面円形形状であってもよい。
【0081】
支持プレートA,E2の貫通孔Hは、対向支持プレートB2,B2aの貫通孔B2Hと同様の形状であってもよい。しかしながら、支持プレートA,E2の貫通孔Hは、接触子Prの端部を検査点及び電極にそれぞれ位置決めする観点から、断面円形又は正方形状のであることがより好ましい。
【0082】
また、各プレートの貫通孔Hの位置は、必ずしもずれていなくてもよく、接触子Prは傾斜して支持される例に限らない。また、対向支持プレートB2,B2aは、支持プレートC1,D,E1,E2より曲げ強さが強い例に限られない。
【0083】
すなわち、本発明の一例に係る検査治具は、棒状の複数の接触子と、前記複数の接触子の一端部側を支持する第一支持部と、前記複数の接触子の他端部側を支持する第二支持部とを備え、前記第一支持部は、前記第二支持部に対して離間して対向配置され、前記複数の接触子が挿通される複数の貫通孔が形成された対向支持プレートを備え、前記各貫通孔の断面は、前記対向支持プレートの面方向に沿う所定の特定方向に長軸が延びる楕円形状を有する。
【0084】
この構成によれば、棒状の接触子が断面楕円形状の貫通孔に挿通され、かつ各貫通孔の楕円形状の長軸方向は特定方向に揃っている。その結果、各接触子の撓み方向は、特定方向に揃い易くなる。従って、特許文献1に記載の技術のように、複数の接触子の中間部を一方向に撓ませて支持するガイドフィルムを用いることなく各接触子の撓み方向を揃えることが容易となるので、検査治具の構成を簡素化することが容易となる。
【0085】
また、前記複数の接触子は、円柱形状を有し、前記断面の前記特定方向の両端部の曲率半径は、前記各接触子の半径よりも小さいことが好ましい。
【0086】
この構成によれば、貫通孔の長軸方向である特定方向の一端側の内壁と、接触子とが、二点又は二線で接触する。その結果、特定方向と直交する方向への各接触子の動きを低減することができる。
【0087】
また、本発明の一例に係る検査治具は、棒状の複数の接触子と、前記複数の接触子の一端部側を支持する第一支持部と、前記複数の接触子の他端部側を支持する第二支持部とを備え、前記第一支持部は、前記第二支持部に対して離間して対向配置され、前記複数の接触子が挿通される複数の貫通孔が形成された対向支持プレートを備え、前記各貫通孔の断面は、前記対向支持プレートの面方向に沿う所定の特定方向に長尺の形状を有し、前記各貫通孔の前記特定方向の一端側の内壁と、前記各貫通孔に挿通された接触子とが、二点又は二線で接触する。
【0088】
この構成によれば、棒状の接触子が、特定方向に長尺の断面形状を有する貫通孔に挿通され、かつ各貫通孔の断面形状の長尺方向は特定方向に揃っている。その結果、各接触子の撓み方向は、特定方向に揃い易くなる。従って、特許文献1に記載の技術のように、複数の接触子の中間部を一方向に撓ませて支持するガイドフィルムを用いることなく各接触子の撓み方向を揃えることが容易となるので、検査治具の構成を簡素化することが容易となる。さらに、各貫通孔の特定方向の一端側の内壁と、各貫通孔に挿通された接触子とが、二点又は二線で接触する。その結果、特定方向と直交する方向への各接触子の動きを低減することができる。
【0089】
また、前記複数の貫通孔は、所定の第一方向に沿って互いに平行に延びる奇数列及び偶数列に分かれて配置され、前記偶数列の各貫通孔は、前記奇数列の各貫通孔の中心を通り、前記第一方向と直交する第二方向の各直線の間に位置することが好ましい。
【0090】
この構成によれば、各接触子を、いわゆる千鳥配置で配置することができる。その結果、接触子相互間の間隔を狭めることが容易となる。
【0091】
また、前記各奇数列において前記第一方向に隣接する前記貫通孔同士の中心間の距離は、前記第二方向に隣接する前記奇数列同士の貫通孔の中心間の距離よりも短く、前記各偶数列において前記第一方向に隣接する前記貫通孔同士の中心間の距離は、前記第二方向に隣接する前記偶数列同士の貫通孔の中心間の距離よりも短く、前記特定方向は、前記第二方向であることが好ましい。
【0092】
この構成によれば、接触子が撓みやすい方向である特定方向が第二方向である。そして、第二方向に隣接する貫通孔同士の中心間の距離は、第一方向に隣接する貫通孔同士の中心間の距離より長い。その結果、接触子が撓む方向における、接触子の隣接間隔が、撓み方向と直交する方向よりも大きくなる。接触子が撓む方向における接触子の隣接間隔が大きくなることによって、接触子同士が撓みによって接触するおそれを低減することができる。
【0093】
また、前記各貫通孔における、前記第二支持部側の開口縁部は、面取りされていることが好ましい。
【0094】
接触子は、第一支持部と第二支持部の間で撓む。すなわち、第一支持部における第二支持部側に位置する対向支持プレートの、第二支持部側で接触子が撓む。従って、対向支持プレートの各貫通孔の、第二支持部側の開口縁部に、接触子が撓んだことによる荷重が加わり易い。この構成によれば、荷重が加わり易い、対向支持プレートの各貫通孔の第二支持部側の開口縁部が、面取りされているので貫通孔の開口縁部と接触子との摩擦が低減される。
【0095】
また、前記各貫通孔の内面には摩擦を軽減するための滑層が形成され、前記滑層の前記接触子に対する摩擦係数は、前記対向支持プレートにおける前記滑層の土台部分の摩擦係数よりも小さいことが好ましい。
【0096】
この構成によれば、接触子と各貫通孔の内面との摩擦を軽減することができる。
【0097】
また、前記各貫通孔における、前記第二支持部側の開口縁部は、面取りされた面取部とされており、前記各貫通孔の前記面取部を含む内面のうち、前記面取部を除く部分である貫通孔本体部及び前記面取部の少なくとも一方には、摩擦を軽減するための滑層が形成され、前記滑層の前記接触子に対する摩擦係数は、前記対向支持プレートにおける前記滑層の土台部分の摩擦係数よりも小さいことが好ましい。
【0098】
この構成によれば、各貫通孔内の、貫通孔本体部及び面取部の少なくとも一方と、接触子との摩擦を軽減することができる。
【0099】
また、前記第一支持部は、前記対向支持プレートの、前記第二支持部とは反対側に位置する支持プレートを含み、前記対向支持プレートは、前記支持プレートよりも曲げ強さが強いことが好ましい。
【0100】
この構成によれば、第一支持部は、対向支持プレートと支持プレートとを含む。接触子は第一支持部と第二支持部の間で大きく撓むので、第二支持部に近い側の対向支持プレートが、接触子の撓みによる力を最も受けやすい。この接触子の撓みによる力を最も受けやすい対向支持プレートの曲げ強さが強いことによって、第一支持部に加わるストレスを軽減することが容易となる。
【0101】
また、前記第一支持部は、前記対向支持プレートの、前記第二支持部とは反対側に位置する支持プレートを含み、前記支持プレートには、前記対向支持プレートの複数の貫通孔に対して同一の接触子が挿通されるように相対応する複数の貫通孔が形成され、前記相対応する前記対向支持プレートの貫通孔と前記支持プレートの貫通孔とは、前記対向支持プレートの垂線に対して前記接触子を傾斜させるように、前記対向支持プレートの貫通孔の位置と前記支持プレートの貫通孔の位置とが、前記垂線の方向に対してずれており、前記ずれの方向は、前記特定方向に沿うことが好ましい。
【0102】
この構成によれば、対向支持プレート及び支持プレートの貫通孔によって、接触子を特定方向に傾斜させて支持することが容易となる。
【0103】
また、前記複数の貫通孔は、前記特定方向に沿って複数列配置され、かつ前記第一方向と交差する第三方向に沿って複数列配置され、前記貫通孔が等間隔で並ぶ領域内において、前記特定方向に並ぶ列数は前記第三方向に並ぶ列数よりも少ないことが好ましい。
【0104】
この構成によれば、接触子が撓み易い特定方向に接触子が並ぶ列数が、接触子が撓みにくい第三方向より少ない。従って、接触子は、貫通孔の列数が少ない、すなわち接触子の列数が少ない方向に撓み易いので、列数が多い第三方向に沿って撓む場合よりも接触子同士で接触するおそれが低減する。
【0105】
本発明の一例に係る検査装置は、上述の検査治具と、前記接触子を検査対象物に設けられた検査点に接触させることにより得られる電気信号に基づき、前記検査対象物の検査を行う検査処理部とを備える。
【0106】
この構成によれば、検査に用いる検査治具の構成を簡素化することが容易となる。
【符号の説明】
【0107】
1 検査装置
3,3U,3D 検査治具
4,4U,4D 検査部
6 基板固定装置
7 離間保持部材
8 検査処理部
31 支持部材
33 滑層
34 土台部分
100 基板(検査対象物)
311 第一支持部
312 第二支持部
321 ベースプレート
A,A2,A3,C1,D,E1,E2 支持プレート
H,AH,A2H,A3H,B2H,C1H,DH,E1H,E2H 貫通孔
B 離間ブロック
B2,B2a 対向支持プレート
C1,D,E1,E2 支持プレート
Dxe,Dxo,Dye,Dyo 距離
H1,H2 面取部
H3 貫通孔本体部
H4 大径部
Le 偶数列
Lo 奇数列
Lxo,Lyo 直線
P 接触位置
P1 第一領域
P2 第二領域
PL プレート
PLH 貫通孔
Pr 接触子
S スペーサ
T 端部
r1 半径
r2 曲率半径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15