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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】光学遅延系
(51)【国際特許分類】
   G02B 19/00 20060101AFI20240709BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20240709BHJP
   G02B 27/10 20060101ALI20240709BHJP
   G02B 17/08 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
G02B19/00
G03F7/20 505
G02B27/10
G02B17/08
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2022550886
(86)(22)【出願日】2020-02-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-06
(86)【国際出願番号】 US2020019742
(87)【国際公開番号】W WO2021173123
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】スタンパー・ブライアン・リー
(72)【発明者】
【氏名】スミス・ダニエル・ジーン
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102004026518(DE,A1)
【文献】特開2004-186689(JP,A)
【文献】国際公開第2020/182238(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 19/00
G02B 21/00 - 21/36
G02B 25/00 - 25/04
G02B 27/00 - 30/60
G03F 7/00 - 7/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射ビームを第1の光と第2の光とに分割し前記第1の光および前記第2の光を異なる方向に向ける第1の光学系と、
前記第1の光を反射する凹状反射面を含む、前記第1の光学系とは異なる第2の光学系と、
前記第2の光学系から反射された前記第1の光および前記第1の光学系からの前記第2の光が異なる方向から入射し、前記第1の光および前記第2の光を第3の光学系の出射光路に向ける前記第1の光学系および前記第2の光学系とは異なる前記第3の光学系と
を備える、
光学系。
【請求項2】
前記第2の光学系が、前記第1の光学系と凹面鏡との間に配置された屈折部材を含む、
請求項1に記載の光学系。
【請求項3】
前記屈折部材が、前記凹面鏡と前記第3の光学系との間に配置された、
請求項2に記載の光学系。
【請求項4】
前記屈折部材が、前記凹状反射面上に実質的に配置された後焦点を有する、
請求項2または3に記載の光学系。
【請求項5】
前記第2の光学系が、前記凹状反射面からの前記第1の光を反射する反射面を含み、
前記凹状反射面が、前記第2の光学系の前記反射面からの前記第1の光を反射する、
請求項1または2に記載の光学系。
【請求項6】
前記凹状反射面と前記反射面との間に配置された屈折部材をさらに備える、
請求項5に記載の光学系。
【請求項7】
前記凹状反射面および前記反射面が、前記屈折部材上に形成された、
請求項6に記載の光学系。
【請求項8】
前記反射面が、凹形状を有する、
請求項5~7のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項9】
前記反射面が、凸形状を有する、
請求項5または6に記載の光学系。
【請求項10】
前記凹状反射面が、前記第1の光学系と前記第3の光学系との間の前記第2の光のビーム経路に面する、
請求項1~9のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項11】
前記第3の光学系からの前記第1の光と、前記第3の光学系からの前記第2の光とが、異なる位置を通過する、
請求項1~10のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項12】
前記第3の光学系からの前記第1の光を反射する凹状反射面を含む第4の光学系をさらに備える、
請求項1~11のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項13】
前記第2の光学系の光軸と前記第4の光学系の光軸とが互いに偏心している、
請求項12に記載の光学系。
【請求項14】
前記第3の光学系が、前記第2の光学系からの前記第1の光を第3の光と第4の光とに分割する、
請求項12または13に記載の光学系。
【請求項15】
前記第3の光学系の出射経路に配置された第5の光学系をさらに備える、
請求項14に記載の光学系。
【請求項16】
入射ビームを第1の光と第2の光とに分割し、前記第1の光と前記第2の光とを異なる方向に向けるビーム分割器と、
前記第1の光を屈折させる屈折面と、前記屈折面からの前記第1の光を反射する凹面鏡とを含む中間光学部と、
前記凹面鏡からの前記第1の光と前記第2の光とが異なる方向から入射し、前記凹面鏡からの前記第1の光と前記第2の光とを同じ方向に向けるビームコンバイナであって、前記凹面鏡から前記ビームコンバイナへの前記第1の光が前記屈折面を通過する、ビームコンバイナと
を備える、
光学系。
【請求項17】
前記中間光学部が光軸を含み、前記中間光学部に入射する前記第1の光が前記光軸から偏心している、
請求項16に記載の光学系。
【請求項18】
前記ビーム分割器におけるビーム分割点と、前記ビームコンバイナのビーム結合面上の前記第2の光のビーム通過点との間の中点が、前記中間光学部の前記光軸から偏心している、
請求項17に記載の光学系。
【請求項19】
前記ビームコンバイナからの前記第1の光および前記第2の光を屈折させる屈折面と、前記屈折面からの前記第1の光および前記第2の光を反射する凹面鏡とを含む第2の中間光学部をさらに備える、
請求項16または17に記載の光学系。
【請求項20】
前記中間光学部の前記屈折面と前記中間光学部の前記凹面鏡との間の第1の離隔距離が、前記第2の中間光学部の前記屈折面と前記第2の中間光学部の前記凹面鏡との間の第2の離隔距離よりも小さい、
請求項19に記載の光学系。
【請求項21】
入射ビームを第1の光と第2の光とに分割し、前記第1の光と前記第2の光とを異なる方向に向けるビーム分割器と、
前記ビーム分割器からの前記第1の光を反射する凹形状の第1の反射面と、前記第1の反射面からの第1のビームを反射し、前記第1のビームを前記第1の反射面に向ける第2の反射面とを含む中間光学部と、
前記第2の反射面からの前記第1の光と前記第2の光とが異なる方向から入射し、前記第2の反射面からの前記第1の光と前記第2の光とを同じ方向に向けるビームコンバイナであって、前記第2の反射面から前記ビームコンバイナへの前記第1の光が前記第1の反射面を通過する、ビームコンバイナと
を備える、
光学系。
【請求項22】
前記第3の光学系からの前記第1の光および前記第3の光学系からの前記第2の光が入射するフライアイを、さらに含む、
請求項1~15のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項23】
前記第3の光学系からの前記第1の光および前記第3の光学系からの前記第2の光が入射するターゲット面と、
前記ターゲット面のターゲットの画像を投影する投影レンズと、をさらに含む、
請求項1~15のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項24】
前記ビームコンバイナからの前記第1の光および前記ビームコンバイナからの前記第2の光が入射するフライアイを、さらに含む、
請求項16~21のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項25】
前記ビームコンバイナからの前記第1の光および前記ビームコンバイナからの前記第2の光が入射するターゲット面と、
前記ターゲット面のターゲットの画像を投影する投影レンズと、をさらに含む、
請求項16~21のいずれか一項に記載の光学系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
リソグラフィのための照明系では、ターゲット面を照射するために非複合または複合の照明パターンが必要とされ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
しかしながら、非複合または複合の照明パターンは、特にパターンの生成にコヒーレント光源が使用される場合に、照明パターンの異なる部分間の干渉から生じるスペックルノイズに悩まされる。このノイズは、リソグラフィプロセスの質を低下させ、誤差を発生させる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の様々な実施形態を、以下の詳細な説明および添付の図面に開示する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】光学遅延系を有する照明系を使用するリソグラフィのためのシステムの一実施形態を示す図である。
図2A】光学遅延系の一実施形態を示す図である。
図2B】光学遅延系のターゲット面における出射パターンの一実施形態を示す図である。
図3】遅延系の一実施形態を示す図である。
図4】光学遅延系の一実施形態を示す図である。
図5A】照明系の例示的な実施形態を示す図である。
図5B】照明系の一実施形態を示す図である。
図5C】照明系の一実施形態を示す図である。
図5D】照明系の一実施形態を示す図である。
図5E図5Dに示された照明系の一実施形態によって得られたビーム形状を示す図である。
図5F図5Dに示された照明系の一実施形態の第2のアレイに到達する各ビームのシミュレートされた位相を示す図である。
図6】屈曲固体光学系を使用する時間遅延系の一実施形態を示す図である。
図7】遅延素子の一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明は、方法、装置、系、物の構成、コンピュータ可読記憶媒体上に具現化されたコンピュータプログラム製品、ならびに/またはプロセッサ、例えば、プロセッサに結合されたメモリに記憶された命令および/もしくはメモリによって提供された命令を実行するように構成されたプロセッサとしてを含む、多数の形態で実装することができる。本明細書では、これらの実装形態、または本発明が取り得る任意の他の形態を、技術と呼ぶ場合がある。一般に、開示される方法のステップの順序は、本発明の範囲内で変更され得る。特に明記しない限り、タスクを実行するように構成されていると記載されるプロセッサやメモリなどの構成要素は、ある一定の時間にタスクを実行するように一時的に構成される一般的な構成要素、またはタスクを実行するように製造された特定の構成要素として実装され得る。本明細書で使用される場合、「プロセッサ」という用語は、コンピュータプログラム命令などのデータを処理するように構成された1つまたは複数のデバイス、回路、および/または処理コアを指す。
【0006】
本発明の1つまたは複数の実施形態の詳細な説明を、本発明の原理を示す添付の図面と併せて以下に記載する。本発明はそのような実施形態に関連して説明されるが、本発明はいかなる実施形態にも限定されない。本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ限定され、本発明は多数の代替形態、修正形態および均等物を包含する。以下の説明には、本発明の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載される。これらの詳細は例示の目的で提供されており、本発明は、これらの具体的な詳細の一部または全部なしで特許請求の範囲に従って実施されてもよい。明確にするために、本発明に関連する技術分野で公知の技術内容は、本発明が不必要に不明瞭にならないように詳細には説明されていない。
【0007】
光学遅延系が開示される。
【0008】
いくつかの実施形態では、光学遅延系は、ビーム分割器と、中間光学部と、ビームコンバイナとを含む。ビーム分割器は、入射ビームを第1の光と第2の光とに分割し、第1の光と第2の光とを異なる方向に向ける。中間光学部は、第1の光を屈折させる屈折面と、屈折面からの第1の光を反射する凹面鏡とを含む。ビームコンバイナは、凹面鏡からの第1の光と第2の光とを同じ方向に向け、凹面鏡からビームコンバイナへの第1の光は屈折面を通過する。
【0009】
いくつかの実施形態では、光学遅延系は、ビーム分割器と、中間光学部と、ビームコンバイナとを含む。ビーム分割器は、入射ビームを第1の光と第2の光とに分割し、第1の光と第2の光とを異なる方向に向ける。ビーム分割器は、第1の光と第2の光とを同じ方向に向けてもよい。中間光学部は、ビーム分割器からの第1の光を反射する凹形状の第1の反射面と、第1の反射面からの第1のビームを反射し、第1のビームを第1の反射面に向ける第2の反射面とを含む。ビームコンバイナは、第2の反射面からの第1の光と第2の光とを同じ方向に向け、第2の反射面からビームコンバイナへの第1の光は、第1の反射面を通過する。ビームコンバイナは、第1の光と第2の光とを異なる方向に向けてもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、時間遅延系によって出射されたビームレットのセットの各ビームレット間の時間的コヒーレンスを低減させるように、光学遅延系または時間遅延系が、ビームレットのセットの各ビームレットが複数のアームを異なる順列で横切るように横断する複数のアームを備える。いくつかの実施形態では、時間遅延系は複数の時間遅延アームを含み、複数の時間遅延アームのアーム内の光路は屈曲されている。様々な実施形態において、アーム内の光路は、実質的にガラス(例えば、約1.5の屈折率)中または空気屈折率よりも高い任意の他の適切なものの中にある。いくつかの実施形態では、アーム内の光路は、実質的に空気中にある。いくつかの実施形態では、光路は、N回屈曲される。様々な実施形態において、Nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上、または任意の他の適切な値である。
【0011】
いくつかの実施形態では、光学系は、入射ビームを第1の光と第2の光とに分割する第1の光学系と、第1の光を反射する凹状反射面を含む第2の光学系と、第2の光学系から反射された第1の光および第1の光学系からの第2の光の少なくとも一方を第3の光学系の出射光路に向ける第3の光学系とを備える。
【0012】
いくつかの実施形態では、第2の光学系は、第1の光学系と凹面鏡との間に配置された屈折部材を含む。いくつかの実施形態では、屈折部材は、凹面鏡と第3の光学系との間に配置される。いくつかの実施形態では、屈折部材は、凹状反射面上に実質的に配置された後焦点を有する。いくつかの実施形態では、第2の光学系は、凹状反射面からの第1の光を反射する反射面を含み、凹状反射面は、第2の光学系の反射面からの第1の光を反射する。いくつかの実施形態では、系は、凹状反射面と反射面との間に配置された屈折部材をさらに備える。いくつかの実施形態では、凹状反射面および反射面は、屈折部材上に形成される。いくつかの実施形態では、反射面は、凹形状を有する。いくつかの実施形態では、反射面は、凸形状を有する。いくつかの実施形態では、凹状反射面は、第1の光学系と第3の光学系との間の第2の光のビーム経路に面する。いくつかの実施形態では、第3の光学系からの第1の光と、第3の光学系からの第2の光とは、異なる位置を通過する。いくつかの実施形態では、系は、第3の光学系からの第1の光を反射する凹状反射面を含む第4の光学系をさらに備える。いくつかの実施形態では、第2の光学系の光軸と第4の光学系の光軸とは互いに偏心している。いくつかの実施形態では、第3の光学系は、第2の光学系からの第1の光を第3の光と第4の光とに分割する。いくつかの実施形態では、系は、第3の光学系の出射経路に配置された第5の光学系をさらに備える。
【0013】
いくつかの実施形態では、光学系は、時間遅延系と、第1のビームレットアレイおよび第2のビームレットアレイとを備える。時間遅延系は、コヒーレント入射照明源からスペックルが低減されたビームレットのセットを生成する。第1のビームレットアレイおよび第2のビームレットアレイは、ターゲット面で照明パターンを取得するようにビームレットのセットを操向および整形する。様々な実施形態において、第1のビームレットアレイまたは第2のビームレットアレイは、反射面、屈折面、回折素子、ホログラム、および/またはメタサーフェス、または任意の他の適切な要素、のうちの1つまたは複数を備える。いくつかの実施形態では、照明パターンは、ビームレットのアレイを含む。様々な実施形態において、アレイは、正方形アレイ、長方形アレイ、環の全体形状を有するアレイ、双極の全体形状を有するアレイ、または四重極の全体形状を有するアレイ、または任意の他の適切な幾何学的形状、のうちの1つを含む。いくつかの実施形態では、時間遅延系によって出射されたビームレットのセットの各ビームレット間の時間的コヒーレンスを低減させるように、時間遅延系が、ビームレットのセットの各ビームレットが複数のアームを異なる順列で横切るように横断する複数のアームを備える。いくつかの実施形態では、コヒーレント入射照明源は、パルスレーザーを含む。いくつかの実施形態では、系は、ターゲット面にレチクルを配置するように構成される。いくつかの実施形態では、系は、ウェハ上にレチクルの画像を投影するように構成される。
【0014】
いくつかの実施形態では、時間遅延系は、入射ビームを第1の光と第2の光とに分割し、第1の光と第2の光とを異なる方向に向けるビーム分割器と、第1の光を屈折させる屈折面と、屈折面からの第1の光を反射する凹面鏡とを含む中間光学部と、凹面鏡からの第1の光と第2の光とを同じ方向に向けるビームコンバイナであって、凹面鏡からビームコンバイナへの第1の光が屈折面を通過する、ビームコンバイナと、を備える。
【0015】
いくつかの実施形態では、時間遅延系は、入射ビームを第1の光と第2の光とに分割し、第1の光と第2の光とを異なる方向に向けるビーム分割器と、ビーム分割器からの第1の光を反射する凹形状の第1の反射面と、第1の反射面からの第1のビームを反射し、第1のビームを第1の反射面に向ける第2の反射面とを含む中間光学部と、第2の反射面からの第1の光と第2の光とを同じ方向に向けるビームコンバイナであって、第2の反射面からビームコンバイナへの第1の光が第1の反射面を通過する、ビームコンバイナと、を備える。
【0016】
いくつかの実施形態では、時間遅延系は、異なるサイズのビームスプリッタおよびアーム光学部品のセットを含む。いくつかの実施形態では、系は、時間遅延系によって出射されたビームレットのセットを整形するための近接場ビーム整形器を含む。いくつかの実施形態では、系は、時間遅延系によって出射されたビームレットのセットを整形するための遠視野ビーム整形器を含む。いくつかの実施形態では、時間遅延系は複数の時間遅延アームを含み、複数の時間遅延アームのアーム内の光路は屈曲されている。いくつかの実施形態では、アーム内の光路は、実質的にガラス中にある。いくつかの実施形態では、アーム内の光路は、実質的に空気中にある。いくつかの実施形態では、光路は、N回屈曲されている。
【0017】
いくつかの実施形態では、光学系は、入射ビームを第1の光と第2の光とに分割し、第1の光と第2の光とを異なる方向に向けるビーム分割器と、第1の光を屈折させる屈折面と、屈折面からの第1の光を反射する凹面鏡とを含む中間光学部と、凹面鏡からの第1の光と第2の光とを同じ方向に向けるビームコンバイナであって、凹面鏡からビームコンバイナへの第1の光が屈折面を通過する、ビームコンバイナと、を備える。いくつかの実施形態では、時間遅延系は、異なるサイズのビームスプリッタおよびアーム光学部品のセットを含む。いくつかの実施形態では、系は、時間遅延系によって出射されたビームレットのセットを整形するための近接場ビーム整形器を含む。いくつかの実施形態では、系は、時間遅延系によって出射されたビームレットのセットを整形するための遠視野ビーム整形器を含む。いくつかの実施形態では、時間遅延系は複数の時間遅延アームを含み、複数の時間遅延アームのアーム内の光路は屈曲される。いくつかの実施形態では、アーム内の光路は、実質的にガラス中にある。いくつかの実施形態では、アーム内の光路は、実質的に空気中にある。いくつかの実施形態では、光路は、N回屈曲される。
【0018】
いくつかの実施形態では、光学系は、入射ビームを第1の光と第2の光とに分割し、第1の光と第2の光とを異なる方向に向けるビーム分割器と、第1の光を屈折させる屈折面と、屈折面からの第1の光を反射する凹面鏡とを含む中間光学部と、凹面鏡からの第1の光と第2の光とを同じ方向に向けるビームコンバイナであって、凹面鏡からビームコンバイナへの第1の光が屈折面を通過する、ビームコンバイナと、を備える。いくつかの実施形態では、中間光学部は光軸を含み、中間光学部に入射する第1の光は光軸から偏心している、いくつかの実施形態では、ビーム分割器におけるビーム分割点と、ビームコンバイナのビーム結合面上の第2の光のビーム通過点との間の中点は、中間光学部の光軸から偏心している。いくつかの実施形態では、系は、ビームコンバイナからの第1の光および第2の光を屈折させる屈折面と、屈折面からの第1の光および第2の光を反射する凹面鏡とを含む第2の中間光学部をさらに含む。いくつかの実施形態では、中間光学部の屈折面と中間光学部の凹面鏡との間の第1の離隔距離は、第2の中間光学部の屈折面と第2の中間光学部の凹面鏡との間の第2の離隔距離よりも小さい。
【0019】
いくつかの実施形態では、光学系は、入射ビームを第1の光と第2の光とに分割し、第1の光と第2の光とを異なる方向に向けるビーム分割器と、ビーム分割器からの第1の光を反射する凹形状の第1の反射面と、第1の反射面からの第1のビームを反射し、第1のビームを第1の反射面に向ける第2の反射面とを含む中間光学部と、第2の反射面からの第1の光と第2の光とを同じ方向に向けるビームコンバイナであって、第2の反射面からビームコンバイナへの第1の光が第1の反射面を通過する、ビームコンバイナと、を備える。
【0020】
様々な実施形態において、光学系素子が各々設けられる。様々な実施形態において、光学系素子は、その機能(例えば、光学時間遅延を提供すること)を可能にするように各々配置される。
【0021】
図1は、光学遅延系を有する照明系を使用するリソグラフィのための系の一実施形態を示す図である。図示の例では、系は、パルス光源100と、照明系102と、ターゲット面104と、投影レンズ106と、ウェハ108とを含む。パルス光源100(例えば、パルスレーザー光源)は、投影レンズ106を使用してウェハ108上にターゲットの画像(例えば、リソグラフィを実行するためにウェハ上にターゲット面におけるレチクルの画像)を投影するために、ターゲット面104内のターゲットを照明するのに使用される光を生成する。パルス光源100によって生成された光は、照明系102を使用して、複数のビーム間のコヒーレンスを低減することによってスペックルの程度が低い複数のビームを生成するように処理される。
【0022】
照明系102は、非常にコヒーレントなパルスビームを提供するレーザー光源であるパルス光源100と協働するように設計されている。コヒーレントなパルスビームは、ほぼシングルモードであり、非常に狭い帯域幅を有し、ほぼ変換が制御されており、すなわち、パルス長が物理学が許容するのとほぼ同じくらい短いか、またはコヒーレンス長がパルス長とほぼ等しい。
【0023】
照明系の光学遅延系は、ビームを2個のコピーに分割し、それらがある軸方向距離(または時間)だけ分離されるように各ビームをオフセットする。いくつかの実施形態では、時間はコヒーレンス長(または時間)よりも長い。いくつかの実施形態では、遅延は、総パルス列長が長くなりすぎないようにスペックルを部分的に低減させるためにコヒーレンス長よりも少し短い。長いパルス列の問題は、走査系において不鮮明な画像が得られることである。光学系または時間遅延系はまた、ビームをビーム整形光学部品によって照明瞳内の所望の位置に再配置できるように、各ビームを横方向(例えば、伝播方向に垂直に)に変位させる。ビーム整形光学部品は、次の2つ、すなわち、1)空間的に分離されたビームを取り込み、それらを照明瞳内の所望の位置に向けること、および2)ターゲット面104において所望の照射照度分布を提供するように各ビームの形状を成形すること、を行う。所望の瞳分布は、リソグラフィプロセスを改善するために選択される点のセットである。これらの点は、リング内に配置されてもよく、円盤または環内に等間隔で配置されてもよく、2つのより小さい円盤(双極)にまとめられてもよく、または他のものであってもよい。所望の照射照度分布は、通常、何らかの矩形領域にわたって均一であるが、原理的には任意とすることができる。光学遅延系は、パルスビームまたは非パルス(連続)ビームを提供する光源と組み合わされてもよい。
【0024】
ダイソン型リレーを備えた光学遅延系
(パルス光源の時間的コヒーレンスを低減させるために)平行であるが規則的に離間して位置する2個の時間遅延ビームを提供するという問題は、1つのレンズと1つのミラーとからなるダイソン型系を使用してN+1個のビームスプリッタ間でビームを中継することによって解決される。異なるアームからの遅延ビームは、異なる組み合わせで結合され、ターゲット面で時間的コヒーレンスが低いビームセットを生成する。遅延ビームはまた、ターゲット面でパターンを生成するために、異なる組み合わせでも各々空間的に変位される。
【0025】
系は、各ビームの半分をN個の遅延アームに送る50%ビームスプリッタのアレイから開始する。いくつかの実施形態では、ビームスプリッタは50%の透過率および反射率を有しない。この場合、ビームパワーを等しくするためにいくつかの対策が講じられなければならない。1つの手法は、ダイソンミラーの反射膜を修正すること、またはダイソンのどこか(ビームスプリッタとレンズとの間、もしくはレンズとミラーとの間)に減衰フィルタを配置することである。本開示では、遅延アームは、1つのレンズと、(レンズの後焦点面に配置された)1つのミラーとを含み、以下に示す、本明細書でダイソンリレーと呼ぶものを構成する。リレーに入射するビーム軸に対するダイソンリレーの光軸の位置は、その出射における位置を決定するので、その位置は、(1つまたは複数の)出射ビームの変位を発生させるように選択される。この変位をページの面外で発生させることができ、そのため、スポットの最終的なアレイは、任意の所望の形状とすることができ、以下に示されるように長方形アレイが求められる可能性が最も高い。いくつかの実施形態では、ダイソンリレーは、インミラーリレーと呼ばれる。
【0026】
図2Aは、光学遅延系の一実施形態を示す図である。いくつかの実施形態では、図2Aの光学遅延系が、照明系(例えば、図1の照明系102)の光学遅延系を実装するために使用される。図示の例では、光学遅延系は、レーザー光源(例えば、パルスレーザー光源)から入射ビーム200を受光する。入射ビーム200は、ビームスプリッタ202によって部分的に反射され(例えば、第1の反射光線)、部分的に透過される(例えば、第1の透過光線)。第1の反射光線は、(例えば、入射光線がその入射光線に平行に、ただし反対方向に出射するようなダイソンレンズ構成では)レンズ204によって曲面反射器206上に集束され、反射されて戻され(例えば、第1の反射戻り光線)、レンズ204によって入射する第1の反射光線と平行にされる(例えば、第1の出射光線)。いくつかの実施形態では、第1の反射光線および第1の反射戻り光線は、わずかな角度を形成する。様々な実施形態において、レンズ204、レンズ210、および/またはレンズ216は、正の光学パワーを有する。様々な実施形態において、曲面反射器206、曲面反射器218、および/または曲面反射器222は、凹状反射面を有する。いくつかの実施形態では、レンズ204と曲面反射器206とは、共通の光軸に沿って配置されている。いくつかの実施形態では、共通の光軸はビームスプリッタ202のビーム分割面の仮想稜線から偏心している。第1の透過光線は、曲面反射器206上に集束されない場合もあり、換言すれば、レンズ204によって曲面反射器206上に形成される光スポットの面積が広がってより大きくなる場合もある。
【0027】
第1の出射光線は、ビームスプリッタ208によって部分的に反射され(例えば、第2の反射光線)、部分的に透過される(例えば、第2の透過光線)。第1の透過光線もまた、ビームスプリッタ208に送られ、第1の出射光線と直交するビームスプリッタ208に入射し、部分的に反射され(例えば、第2の透過光線に平行に伝播し、第2の透過光線と同様に進み)、部分的に透過される(例えば、第2の反射光線に平行に伝播し、第2の反射光線と同様に進む)。
【0028】
第2の透過光線は、(例えば、入射光線がその入射光線に平行に、ただし反対方向に出射するようなダイソンレンズ構成では)レンズ210によって曲面反射器222上に集束され、反射されて戻され(例えば、第2の反射戻り光線)、レンズ210によって入射する第1の出射光線と平行にされる(例えば、第2の出射光線)。第2の透過光線は、曲面反射器212上に集束されない場合もあり、換言すれば、レンズ210によって曲面反射器212上に形成される光スポットの面積が広がってより大きくなる場合もある。
【0029】
第2の出射光線は、ビームスプリッタ214によって部分的に反射され(例えば、第3の反射光線)、部分的に透過される(例えば、第3の透過光線)。第2の反射光線もまた、ビームスプリッタ214に送られ、第2の出射光線と直交するビームスプリッタ214に入射し、部分的に反射され(例えば、第3の透過光線に平行に伝播し、第3の透過光線と同様に進み)、部分的に透過される(例えば、第3の反射光線に平行に伝播し、第3の反射光線と同様に進む)。
【0030】
第3の透過光線は、(例えば、入射光線がその入射光線に平行に、ただし反対方向に出射するようなダイソンレンズ構成では)レンズ216によって曲面反射器218上に集束され、反射されて戻され(例えば、第3の反射戻り光線)、レンズ216によって入射する第1の出射光線と平行にされる(例えば、第3の出射光線)。第3の透過光線は、曲面反射器218上に集束されない場合もあり、換言すれば、レンズ216によって曲面反射器218上に形成される光スポットの面積が広がってより大きくなる場合もある。
【0031】
第3の出射光線は、ビームスプリッタ219によって部分的に反射され(例えば、第4の反射光線)、部分的に透過される(例えば、第4の透過光線)。第3の反射光線もまた、ビームスプリッタ219に送られ、第3の出射光線と直交するビームスプリッタ219に入射し、部分的に反射され(例えば、第4の透過光線に平行に伝播し、第4の透過光線と同様に進み)、部分的に透過される(例えば、第4の反射光線に平行に伝播し、第4の反射光線と同様に進む)。
【0032】
第4の透過光線は、偏光ビームスプリッタ222によって反射されて初期入射ビーム200に平行な最終出射ビームを生成する逆偏光逆伝播平行ビームを生成する偏光リレー220に入射する。また、第4の反射ビームも、偏光ビームスプリッタ222を透過されて、やはり初期入射ビーム200に平行な最終出射ビームになる。
【0033】
いくつかの実施形態では、偏光リレー220(別のダイソンであってもよい)はスポットの数を倍にするが、それらのスポットを直交偏光で生成する(直交偏光は一般に直線、円形、または楕円形とすることができるが、半波長板および最後のビームスプリッタとしてPBSを用いて容易に実装することができるので、s偏光およびp偏光である可能性が最も高い。
【0034】
図2Bは、光学遅延系のターゲット面における出射パターンの一実施形態を示す図である。いくつかの実施形態では、図2Bの出射パターンは、図2Aの光学遅延系を使用して生成される。
【0035】
図3は、遅延系の一実施形態を示す図である。いくつかの実施形態では、図3の光学遅延系が、照明系(例えば、図1の照明系102)の光学遅延系を実装するために使用される。図示の例では、この系には、5つの遅延経路があり、最後の遅延経路はs偏光とp偏光とを分離するために使用される。これにより、異なる角度を有する2=32個の比較的インコヒーレントなパルスが系の出射に到達することになる。異なる角度を生じさせるために、各アーム内のミラーのうちの1つが傾けられ、その結果が照明系の瞳で観察される。遅延系は、平行であるが離間して位置するビームを生成する。この手法は、1)横方向に分離した平行ビームを生成し、2)より少ない光学部品(例えば、より安価に製造することができ、より高い効率の)を使用し、各チャネルのミラーをわずかに傾けることにより容易に位置合わせすることができる。
【0036】
入射ビーム360は、その元の経路を通って出射ビーム370まで進む。入射ビーム360の一部分はまた、ビームスプリッタ300を使用して1つまたは複数の遅延経路に沿って反射される。例えば、入射ビーム360の一部分は、ミラー304およびミラー306に向かって反射される。いくつかの実施形態では、ビームが入射ビーム360の元の経路に戻る際にビームを調整するために、光学素子302および光学素子304が使用される。
【0037】
戻りビームは、ビームスプリッタ310によって入射ビーム360の元の経路に沿って反射されるとともに、再び入射ビーム360の元の経路に戻る前に第2の遅延アームに沿ってミラー312およびミラー314に向かって送られる。いくつかの実施形態では、ビームが入射ビーム360の元の経路に戻る際にビームを調整するために、光学素子316および光学素子318が使用される。
【0038】
戻りビームは、ビームスプリッタ320によって入射ビーム360の元の経路に沿って反射されるとともに、再び入射ビーム360の元の経路に戻る前に第3の遅延アームに沿ってミラー322およびミラー324に向かって送られる。
【0039】
戻りビームは、ビームスプリッタ330によって入射ビーム360の元の経路に沿って反射されるとともに、再び入射ビーム360の元の経路に戻る前に第4の遅延アームに沿ってミラー332およびミラー334に向かって送られる。
【0040】
戻りビームは、ビームスプリッタ340によって入射ビーム360の元の経路に沿って反射されるとともに、再び入射ビーム360の元の経路に戻る前に第5の遅延アームに沿ってミラー342およびミラー344に向かって送られる。ミラー344の後、ビームは、ビームスプリッタ350によって入射ビーム360の元の経路に結合される前に、ビームの偏光を変更するために1/2波長板を通される。
【0041】
この実施形態の主な技術的影響は、スペックル低減の改善および(例えば、光学部品の簡素化による)コスト削減である。これらの影響は、遅延系の競争上の優位性および収益性の向上を意味する。
【0042】
漸増的なビームスプリッタを備えたダイソン遅延系
短い経路の遅延の収差を低減させるために必要とされるダイソンリレーの複雑さの増大という問題は、短い経路にはより小さいビームスプリッタを使用し、長い経路にはより大きいビームスプリッタを使用することによって解決される。本質的な問題は、ダイソンがその長さに比べて大きいビーム変位を有する場合、収差が大きくなることである。より小さいビームスプリッタを使用することにより、フィールドサイズが小さくなり、レンズをより単純にすることが可能になる。系は、基本的に図2Aと同様に機能するが、ただし、図4に示されるように、ビームスプリッタのサイズ、よって視野、および場合によりダイソンリレーのサイズが最初から最後まで増加する。いくつかの実施形態では、ダイソンリレーを備えた時間遅延系は、異なるサイズのビームスプリッタおよびアーム光学部品(例えば、より小さいサイズのビームスプリッタからより長いサイズのビームスプリッタに発展する)のセットを含む。
【0043】
図4は、光学遅延系の一実施形態を示す図である。いくつかの実施形態では、図4の光学遅延系は、照明系(例えば、図1の照明系102)の光学遅延系を実装するために使用される。図示の例では、光学遅延系は、レーザー光源(例えば、パルスレーザー光源)から入射ビーム400を受光する。入射ビーム400は、ビームスプリッタ402によって部分的に反射され(例えば、第1の反射光線)、部分的に透過される(例えば、第1の透過光線)。第1の反射光線は、(例えば、入射光線がその入射光線に平行に、ただし反対方向に出射するようなダイソンレンズ構成では)レンズ404によって曲面反射器406上に集束され、反射されて戻され(例えば、第1の反射戻り光線)、レンズ404によって入射する第1の反射光線と平行にされる(例えば、第1の出射光線)。
【0044】
第1の出射光線は、ビームスプリッタ408によって部分的に反射され(例えば、第2の反射光線)、部分的に透過される(例えば、第2の透過光線)。第1の透過光線もまた、ビームスプリッタ408に送られ、第1の出射光線と直交するビームスプリッタ408に入射し、部分的に反射され(例えば、第2の透過光線に平行に伝播し、第2の透過光線と同様に進み)、部分的に透過される(例えば、第2の反射光線に平行に伝播し、第2の反射光線と同様に進む)。
【0045】
第2の透過光線は、(例えば、入射光線がその入射光線に平行に、ただし反対方向に出射するようなダイソンレンズ構成では)レンズ410によって曲面反射器412上に集束され、反射されて戻され(例えば、第2の反射戻り光線)、レンズ410によって入射する第1の出射光線と平行にされる(例えば、第2の出射光線)。
【0046】
第2の出射光線は、ビームスプリッタ414によって部分的に反射され(例えば、第3の反射光線)、部分的に透過される(例えば、第3の透過光線)。第2の反射光線もまた、ビームスプリッタ414に送られ、第2の出射光線と直交するビームスプリッタ414に入射し、部分的に反射され(例えば、第3の透過光線に平行に伝播し、第3の透過光線と同様に進み)、部分的に透過される(例えば、第3の反射光線に平行に伝播し、第3の反射光線と同様に進む)。
【0047】
第3の透過光線は、(例えば、入射光線がその入射光線に平行に、ただし反対方向に出射するようなダイソンレンズ構成では)レンズ416によって曲面反射器418上に集束され、反射されて戻され(例えば、第3の反射戻り光線)、レンズ416によって入射する第1の出射光線と平行にされる(例えば、第3の出射光線)。
【0048】
第3の出射光線は、ビームスプリッタ419によって部分的に反射され(例えば、第4の反射光線)、部分的に透過される(例えば、第4の透過光線)。第3の反射光線もまた、ビームスプリッタ419に送られ、第3の出射光線と直交するビームスプリッタ419に入射し、部分的に反射され(例えば、第4の透過光線に平行に伝播し、第4の透過光線と同様に進み)、部分的に透過される(例えば、第4の反射光線に平行に伝播し、第4の反射光線と同様に進む)。
【0049】
第4の透過光線は、偏光ビームスプリッタ422によって反射されて初期入射ビーム400に平行な最終出射ビームを生成する逆偏光逆伝播平行ビームを生成する偏光リレー420に入射する。また、第4の反射ビームも、偏光ビームスプリッタ422を透過されて、やはり初期入射ビーム400に平行な最終出射ビームになる。
【0050】
いくつかの実施形態では、偏光リレー420(別のダイソンであってもよい)はスポットの数を倍にするが、それらのスポットを直交偏光で生成する(直交偏光は一般に直線、円形、または楕円形とすることができるが、半波長板および最後のビームスプリッタとしてPBSを用いて容易に実装することができるので、s偏光およびp偏光である可能性が最も高い)。
【0051】
ダイソンリレーの複雑さ(例えば、素子および非球面の数)は、(その長さに対して)視野が増加するにつれて増加せざるを得ないので、この実施形態は、第1のダイソンの視野を低減し、したがって複雑さを低減することを可能にする。経路に沿ってより遠くに配置されたより長いダイソンは、より長いレンズ系によってより良好に適応されるスポットのアレイの増加に適応するために、より大きなビームスプリッタを有する。
【0052】
我々の先行技術の利点に加えて、この実施形態は、最短のダイソン系を単純化することによって光学部品のコストをさらに削減する。
【0053】
系の主な技術的影響は、スペックル低減の改善および(光学部品および位置合わせ手順の単純化による)コスト削減である。これらの影響は、系の競争上の優位性および収益性の向上を意味する。
【0054】
空間的に分散された時間遅延ビームによるスペックル低減
図5Aは、照明系の例示的な実施形態を示す図である。図示の例では、時間遅延系を利用する部分的にコヒーレントな投影において均一な平均照明を維持しながらスペックルを最小化するという問題は、時間遅延系500(TDS)を出るビームを整形し、ビームを照明瞳内の別々の位置に分配して、空間的コヒーレンスならびに時間的コヒーレンスを最小化すことによって解決される。
【0055】
系で使用される手法は、素子502(例えば、回折光学素子や拡散体)を使用して、(コレクタ504によって集められた後に)光を第1のフライアイアレイ(FE1 506)に回折/誘導し、次いで第1のフライアイアレイ(FE1 506)が第2のフライアイアレイ(FE2 508)の素子内の素子502の画像を形成する。次いで、第2のフライアイは、第1の素子の画像を集光器510に投影し、次いで、第1のフライアイアレイ(FE1 506)素子の重なり合う画像をレチクルブラインド(RB)512上に生成し、次いで、それらの画像が、別の光学部品のセットによって空間光変調器に中継される。RB512は空間光変調器と共役であるため、この説明では残りの光学部品は不要である。回折光学素子または拡散体は、米国特許第5,850,300号明細書に開示されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。空間光変調器は、米国特許第10,120,283号明細書に開示されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。空間光変調器は、レチクルブラインド面と共役である。空間光変調器はレチクルブラインドの代わりとすることができる。いくつかの実施形態では、レチクルブラインドの画像を空間光変調器に中継するレンズがあってもよい。
【0056】
ここで対処される問題は、この系では、素子502が時間遅延系500を出る入射ビームのすべての部分で瞳内のすべての点を照明するため、FE2におけるフィールドがFE2素子間で相関されることである。
【0057】
いくつかの実施形態では、時間遅延系500は、図2Aの光学遅延系を備える。時間遅延系500の場合、出射ビームはすべて平行であるが、各経路は、ミラー+レンズリレーの各々の配置を介して固有の位置を有するビームを生成する。これらのビームの各々は、空間的コヒーレンスが最小化されるように照明瞳内の所望の位置に向けられる。
【0058】
図5Bは、照明系の一実施形態を示す図である。図示の例では、空間的に多重化された時間遅延系520が、入射ビームを処理して、近接場ビーム整形器522に向けられた複数の出射ビームを生成する。上記の図示の実施形態の重要な点の1つが、ビームレットステアリング光学部524、ビームレットステアリング光学部526(第1のフライアレイFE1)、ビームレットステアリング光学部528(第2のフライアレイFE2)、および集光器530の存在である。これらの構成要素は、各ビームレットを瞳内の所望の位置に操向する。この図は、均一に分布したビームセットを示しているが、ビームステアリングは、原則として、ビームを、双極、四重極、または環状などの任意の配置で配置することができる。
【0059】
解決されなければならない重要な問題の1つが、レチクルブラインド532(RB)で均一な分布も生成しながら低い空間的コヒーレンスをどのように達成するかである。いくつかの実施形態では、これは、各異なる時間遅延ビームを瞳孔内の別個の位置に配置することによって解決される。いくつかの実施形態では、系は、まず、非球面ビーム整形光学部品(例えば、近接場ビーム変換器)を使用して、空間的に多重化された時間遅延系520を出る丸いガウシアンビームを正方形のトップハット型ビーム(例えば、平坦な照射照度分布)に変換し、次いで、単一のFE1素子を完全かつ均一に照明する。FE1素子は、整形光学部品からの出射としてのビームレットに各々対応するレンズレットのアレイを備える。完全に照明されたFE1素子では、RB照明も均一になる。
【0060】
図5Cは、照明系の一実施形態を示す図である。図示の例では、空間的に多重化された時間遅延系540が、入射ビームを処理して、遠視野ビーム整形器542に向けられた複数の出射ビームを生成する。上記の図示の実施形態の重要な点の1つが、ビームレットステアリング光学部544、ビームレットステアリング光学部546(第1のフライアレイFE1)、ビームレットステアリング光学部548(第2のフライアレイFE2)、および集光器550の存在である。これらの構成要素は、各ビームレットを瞳内の所望の位置に操向する。この図は、均一に分布したビームセットを示しているが、ビームステアリングは、原則として、ビームを、双極、四重極、または環状などの任意の配置で配置することができる。
【0061】
解決されなければならない重要な問題の1つが、レチクルブラインド552(RB)で均一な分布も生成しながら低い空間的コヒーレンスをどのように達成するかである。
【0062】
この実施形態は、レチクルブラインドで均一な照明を提供する能力を維持しながら、より低い空間的コヒーレンスによってスペックルの低減を提供する。
【0063】
図5Dは、照明系の一実施形態を示す図である。図示の例では、系は、図5Bおよび図5Cで取られた手法を単純化および改善したものである。ビーム(またはビームレット)ごとに2つのビーム整形素子(素子564および素子566)がある。アレイ(素子564および素子566)は、ビームレットステアリングおよび整形に使用され、組み合わさって、時間遅延系(TDS)560を出るビームをレチクルブラインド(RB)572の所望の位置に再配置する。これを達成するために、第1のアレイ(素子564)は各ビームに偏向を付与し、ビームを受光するように配置された第2のアレイの素子(素子566)は偏向を除去する(またはビームを集光光学部品(フライアイ568および集光器570)に再誘導する)。素子564および素子566の偏向は、ホログラムもしくはメタサーフェスへの線形位相成分を含む屈折面を傾けること、または傾けられた反射面を使用することのいずれかによって達成することができる。
【0064】
アレイの第2の役割はビーム整形である。これは、ビームを整形するために別個の素子が使用された図5Bおよび図5Cで取られた手法とは異なる。この場合、第1のアレイの各素子(素子564)は、第2のアレイ(素子566)において所望の形状を有する(か、または所望の形状に近い)ビームを生成するように(その反射面もしくは屈折面において、またはホログラムもしくはメタサーフェスの位相において)湾曲している。第1のアレイ(素子564)の整形効果は、透過振幅および透過位相を空間的に変化させることによって補助することができ、これは(薄膜コーティングで調整される)空間的に変化する透過率もしくは反射率によって、またはホログラムもしくはメタサーフェスの回折効率を変化させることによって達成することができる。さらに、透過率の変化を、第1の素子の近くに配置された別個の素子によって達成することもできる。第2のアレイ素子(素子566)を、ビームを再誘導することに加えて、(表面形状もしくはホログラム/メタサーフェスの位相のいずれかによって)位相を再整形することおよび/または振幅を再整形することによってビーム形状を改善するように作製することができる。
【0065】
加えて、集光レンズ(集光器570)がRB572のターゲット面でビームを重ね合わせることを可能にする位置に第1のアレイ素子(素子564)を結像する別のアレイ(フライアイ568)も存在する。
【0066】
いくつかの実施形態では、第1のアレイ(素子564)のビーム整形は、次式によって記述される「二重双曲線」面を用いて達成される。
【数1】
式中、cxおよびcyは2つの主曲率であり、kxおよびkyは主円錐定数である。系は、図5Eのビーム形状を得るために、cx=19.1/mmおよびkx=-31980の値で、cx=cyおよびkx=kyになるように正方形ビームに最適化され、波長=760nm、ガウシアンビーム半径は0.5mm(軸はmm単位)である。
【0067】
第2のアレイ(素子566)に到達する各ビームのシミュレートされた位相を図5F(シミュレーションによる)に示す。第2のアレイ素子(素子566)の役割は、その場合、放射照度(上)および下の位相を平坦化することである。この系は、両方のアレイ(素子564および素子566)に回折素子を使用し、第1の素子(素子564)では透過率変動がなく、第2の素子(素子566)では位相と振幅の両方を平坦化する。
【0068】
様々な実施形態において、ビームステアリングは、正方形、長方形、双極、四重極、または環の全体形状を有するなど、任意の所望の配置でビームを配置する。
【0069】
図6は、屈曲固体光学系を使用する時間遅延系の一実施形態を示す図である。図2Aおよび図3では、遅延アームの各々が次第に長くなる。例えば、図2Aにおいて、各ダイソンリレーの長さは、遅延長の各々の約半分である。最短遅延長が例えば20mmであり、8個の遅延アームがある場合、最短アーム長は10mmであり、最長アーム長は、10mm*2=5.12mである。これはかなり長い。系は、無駄に前後に屈曲させることができるが、図6の構成は、製造および位置合わせがより容易な方法を提供する。
【0070】
図示の例では、ビーム604がビームスプリッタ602に入射し、ビーム604とビーム608とに分割される。固体反射屈折レンズ606は、ビーム604を屈曲させ、ビーム604を時間遅延系(TDS)の次のビームスプリッタ(例えば、ビームスプリッタ612)に中継するために利用される。固体反射屈折レンズ606は、透過領域および反射領域を有する第1の表面を含む。透過領域は、ビームを光学部品内に屈折させ、そこでビームは5回反射した後、再び共役位置に向かって屈折する(例えば、出射ビーム610)。時間遅延系の次のビームスプリッタ(ビームスプリッタ612)は、2つの入射ビーム(例えば、ビーム608およびビーム610)を有し、これらの入射ビームは、分割されて固体反射屈折レンズ622および次のビームスプリッタ(例えば、ビームスプリッタ624)に送られる。ビーム608は、固体反射屈折レンズ622に向けられるビーム614と、ビームスプリッタ624に向けられるビーム616とに分割される。ビーム610は、固体反射屈折レンズ622に向けられるビーム620と、ビームスプリッタ624に向けられるビーム618とに分割される。
【0071】
この手法では、2つの余分な屈曲は、遅延アームがダイソンの長さの1/3であることを意味する。経路が(典型的には約1.5の屈折率を有する)ガラス中にあることにより、1.5の別の係数が提供される。その結果、図2Aの時間遅延回路の全体で4.5倍の全長の短縮が得られる。
【0072】
他の実施形態は、以下を含む。
・単一の表面における異なる屈折および反射が異なる曲率に遭遇する不連続面または非球面
・非点収差を補正する自由曲面
・TDSの位置合わせ/調整に有用であり得る、独立して傾けられるミラーにおいてビームが反射することを可能にするための第2の表面内の透過領域
・さらに多くの屈曲、すなわち、視野を犠牲にして反射回数を増加させることが考えられる。そのような場合、全長の短縮は、(m+1)*1.5/2であり、式中、mは反射回数である。
【0073】
平面鏡で経路を単に屈曲させるより従来型の手法に優るこの実施形態の利点は、モノリシックな設計により、必要とする部品がはるかに少なく、位置合わせが比較的容易なことである。
【0074】
全体として、個々の素子はより高価な場合もあるが、特に多数(n>5)の遅延アームが必要とされる場合、この実施形態は、はるかに費用効果の高いTDSをもたらすはずである。
【0075】
図7は、遅延素子の一実施形態を示す図である。いくつかの実施形態では、図7の遅延素子は、図2Aまたは図4の光学遅延系のアームを実装するために使用される。図示の例では、時間遅延系のサイズの問題は、屈曲されたセグメント化された光学部品を使用して解決される。遅延アームの光路内のレンズ704の中心材料を除去することにより、遅延アームに屈曲が付加される。ビーム700は、ビームスプリッタ702を使用してアーム内に反射される。ビームスプリッタ702およびビームスプリッタ710を介して直接伝播する遅延アーム(図示せず)へは、進まない追加のビーム経路がある。ビームは次いで、レンズ704によって屈折し、ミラー706によってミラー708に反射される。ビームは、ミラー708を使用してミラー706に反射されて戻る。再び、ビームは、ミラー706によってミラー708に反射され、ミラー706に戻った後、レンズ704によって再び屈折する。ビームは、ビームスプリッタ710を使用して元のビームに再結合することによって遅延アームを出る。ミラー706は、ここでは、1つだけではなく、ビームの3つの反射を有する。追加のミラー(ミラー708)は、追加の屈曲を提供し、光路の物理的空間をさらに縮小する。この設計では、レンズ704の2つの表面、および各ミラー(ミラー706およびミラー708)の表面は、独立した設計制約とすることができる。いくつかの実施形態では、ミラー706は、凹面鏡を備える。いくつかの実施形態では、ミラー708は、凸面鏡を備える。いくつかの実施形態では、ミラー706とミラー708とは、共通の光軸に沿って配置される。いくつかの実施形態では、共通の光軸はビームスプリッタ702およびビームスプリッタ710のビーム分割面の仮想稜線から偏心している。図7の実施形態では、レンズ704は任意選択である。いくつかの実施形態では、遅延素子は、ミラー706およびミラー708を使用して構成される。
【0076】
いくつかの実施形態では、伝播が平面内にあるため、レンズを完全な環ではなくレンズセグメントで置き換えることができる。大きいミラー(ミラー706)をセグメントに分割して、利用可能な自由パラメータの数を増やすこともできる。位置合わせはますます困難になり、ほとんどの系では回避されるべきである。
【0077】
いくつかの実施形態では、追加のレンズ/ミラーセットを入れ子にして系をさらにコンパクトにすることもできるが、製造および位置合わせの困難さおよび複雑さも増すことになる。
【0078】
追加の実施形態は、1)マンギン(Mangin)ミラーと、2)自由曲面とを含むこともできる。
【0079】
前述の実施形態は、理解を明確にするためにある程度詳細に説明されているが、本発明は提供された詳細に限定されない。本発明を実装する多くの代替方法がある。開示の実施形態は例示的なものであり、限定的なものではない。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6
図7