(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】水性インクジェットインク用バインダー、水性インクジェットインク、及び印刷層
(51)【国際特許分類】
C09D 11/30 20140101AFI20240709BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240709BHJP
B41M 5/00 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
C09D11/30
B41J2/01 501
B41M5/00 120
(21)【出願番号】P 2023556367
(86)(22)【出願日】2022-10-20
(86)【国際出願番号】 JP2022039034
(87)【国際公開番号】W WO2023074513
(87)【国際公開日】2023-05-04
【審査請求日】2023-11-28
(31)【優先権主張番号】P 2021176291
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100214673
【氏名又は名称】菅谷 英史
(74)【代理人】
【識別番号】100186646
【氏名又は名称】丹羽 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】内藤 和香奈
(72)【発明者】
【氏名】山本 辰弥
【審査官】桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-246486(JP,A)
【文献】特開2013-194206(JP,A)
【文献】特開2013-199606(JP,A)
【文献】特表2016-520667(JP,A)
【文献】特開平06-001940(JP,A)
【文献】特開平08-060063(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 11/30
B41J 2/01
B41M 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合樹脂(A)及び水性媒体(B)を含有する水性インクジェットインク用バインダーであって、前記複合樹脂(A)が、酸基を有するポリウレタン(a1)を含むシェル部と、脂肪族共役ジエンを必須原料とする重合体(a2)を含むコア部とを有するコアシェル型粒子を形成していることを特徴とする水性インクジェットインク用バインダー。
【請求項2】
前記ポリウレタン(a1)の酸価が10~70mgKOH/gである請求項1記載の水性インクジェットインク用バインダー。
【請求項3】
前記ポリウレタン(a1)と前記重合体(a2)との質量比(a1/a2)が、95/5~50/50である請求項
1記載の水性インクジェットインク用バインダー。
【請求項4】
前記脂肪族共役ジエンの含有率が、前記重合体(a2)の単量体原料中90質量%以上である請求項1記載の水性インクジェットインク用バインダー。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1項記載の水性インクジェットインク用バインダーを含む水性インクジェットインク。
【請求項6】
請求項
5記載の水性インクジェットインクから形成される印刷層。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性インクジェットインク用バインダー、水性インクジェットインク、及び印刷層に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット(IJ)記録装置はインク組成物の小液滴を飛翔させ、紙などの記録媒体に付着させて印刷を行う印刷方式である。オンデマンド印刷需要の高まりを背景に、IJプリンターは近年、産業用ワイドフォーマット用途、テキスタイル用途、軟包装用途などで急速に利用が拡大している。
【0003】
前記インクジェット記録装置に用いられるインクジェット用インクとしては、例えば、破断伸度が300%以上のポリカーボネート系ウレタン樹脂を含むものが提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、このインクは、近年、より高度に要求される印刷物の耐擦過性や耐洗濯性が不十分であるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、耐擦過性及び耐洗濯性に優れた印刷物が得られる水性インクジェットインク用バインダーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、上記の課題を解決するため鋭意研究した結果、特定の複合樹脂及び水性媒体を含有する水性インクジェットインク用バインダーが、上記課題を解決し得ることを見出し、発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、複合樹脂(A)及び水性媒体(B)を含有する水性インクジェットインク用バインダーであって、前記複合樹脂(A)が、酸基を有するポリウレタン(a1)を含むシェル部と、脂肪族共役ジエンを必須原料とする重合体(a2)を含むコア部とを有するコアシェル型粒子を形成していることを特徴とする水性インクジェットインク用バインダーに関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の水性インクジェットインク用バインダーは、普通紙やコート紙、フィルム等の印刷物の耐擦過性及び布帛の耐洗濯性に優れることから、各種記録媒体への印刷に好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の水性インクジェットインク用バインダーは、複合樹脂(A)及び水性媒体(B)を含有する水性インクジェットインク用バインダーであって、前記複合樹脂(A)が、酸基を有するポリウレタン(a1)を含むシェル部と、脂肪族共役ジエンを必須原料とする重合体(a2)を含むコア部とを有するコアシェル型粒子を形成しているものである。
【0010】
前記複合樹脂(A)のコアシェル型粒子は、前記ポリウレタン(a1)が前記重合体(a2)の一部又は全部を内部に取り込み被覆する形態を有するものであり、前記水性媒体(B)中に分散していることが好ましい。
【0011】
前記複合樹脂(A)のシェル部を構成する前記ポリウレタン(a1)は、ポリオールとポリイソシアネートとの反応により得られるが、前記ポリウレタン(a1)の有する酸基は、前記ポリオールを構成する一成分として、酸基を有するポリオールを使用することによって、前記ポリウレタン(a1)中に容易に導入することができる。
【0012】
前記酸基を有するポリオールとしては、カルボキシル基又はスルホン酸基を有するジオールが挙げられ、カルボキシル基を有するジオールを含むことが好ましい。前記カルボキシル基を有するジオールとしては、例えば、2,2-ジメチロールプロピオン酸、2,2-ジメチロールブタン酸、2,2-ジメチロール酪酸、2,2-ジメチロール吉草酸等が挙げられる。これらの中でも2,2-ジメチロールプロピオン酸が好ましい。また、前記カルボキシル基を有するポリオールと各種ポリカルボン酸とを反応させて得られるカルボキシル基を有するポリエステルポリオールも使用することもできる。前記ポリカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ポリカルボン酸;1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサントリカルボン酸等の脂環式ポリカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ポリカルボン酸;これらの酸無水物等が挙げられる。なお、これらのポリオールは、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0013】
前記スルホン酸基を有するポリオールとしては、例えば、5-スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4-スルホフタル酸、5[4-スルホフェノキシ]イソフタル酸等のジカルボン酸またそれらの塩と、前記芳香族構造を有するポリエステルポリオールの製造に使用可能なものとして例示した低分子量ポリオールとを反応させて得られるポリエスルポリオールが挙げられる。なお、これらのポリオールは、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0014】
前記酸基を有するポリオールと組み合わせ使用可能なその他のポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
【0015】
前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、活性水素原子を2個以上有する化合物の1種または2種以上を開始剤として、アルキレンオキサイドを付加重合させたもの等が挙げられる。
【0016】
前記開始剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-プロパンジオ-ル、1,3-プロパンジオ-ル、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ソルビトール、蔗糖、アコニット糖、トリメリット酸、ヘミメリット酸、リン酸、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリイソプロパノールアミン、ピロガロール、ジヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフタル酸、1,2,3-プロパントリチオール等が挙げられる。
【0017】
前記アルキレンオキシドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロロヒドリン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0018】
また、前記ポリエステルポリオールとしては、例えば、低分子量のポリオールとポリカルボン酸とをエステル化反応して得られる脂肪族ポリエステルポリオールや芳香族ポリエステルポリオール、ε-カプロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合反応して得られるポリエステルや、これらの共重合ポリエステル等が挙げられる。
【0019】
前記ポリエステルポリオールの製造に用いられる低分子量のポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1 ,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、グリセリン、トリメチロ-ルプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の分子量が50~300である脂肪族ポリオール;シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等の脂環式構造を有するポリオール;ビスフェノールA及びビスフェノールF等の芳香族構造を有するポリオールなどが挙げられる。
【0020】
また、前記ポリカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ポリカルボン酸;1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサントリカルボン酸等の脂環式ポリカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ポリカルボン酸;それらの無水物またはエステル化物などが挙げられる。
【0021】
前記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、炭酸エステルとポリオールとを反応させて得られるものや、ホスゲンとビスフェノールA等とを反応させて得られるものを使用することができる。
【0022】
前記炭酸エステルとしては、メチルカーボネートや、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネ-ト等を使用することできる。
【0023】
前記炭酸エステルと反応しうるポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,5-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、2-ブチル-2-エチルプロパンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノール-A、ビスフェノール-F、4,4’-ビフェノール等の比較的低分子量のジヒドロキシ化合物や、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオールや、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリカプロラクトン等のポリエステルポリオールなどを使用することができる。
【0024】
前記酸基を有するポリオールの使用量は、前記ポリウレタン(a1)の製造に使用するポリオールの全量に対して、3~50質量%が好ましい。
【0025】
前記ポリイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族または脂肪族環式構造を有するジイソシアネートなどが挙げられるが、耐擦過性及び耐洗濯性がより向上することから、脂肪族環式構造を有するジイソシアネートが好ましい。なお、これらのポリイソシアネートは、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0026】
前記ポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基(NCO)と、前記ポリオールに含まれる水酸基(OH)とのモル比(NCO/OH)は、0.9~2が好ましい。
【0027】
また、前記ポリウレタン(a1)としては、ポリアミン等の鎖伸長剤を使用し高分子量化したものを使用してもよい。
【0028】
前記ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5-ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン等のジアミン;N-ヒドロキシメチルアミノエチルアミン、N-ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、N-ヒドロキシプロピルアミノプロピルアミン、N-エチルアミノエチルアミン、N-メチルアミノプロピルアミン等の1個の1級アミノ基と1個の2級アミノ基を有するジアミン;ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアミン;ヒドラジン、N,N’-ジメチルヒドラジン、1,6-ヘキサメチレンビスヒドラジン等のヒドラジン化合物;コハク酸ジヒドラジッド、アジピン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等のジヒドラジド化合物;β-セミカルバジドプロピオン酸ヒドラジド、3-セミカルバジド-プロピル-カルバジン酸エステル、セミカルバジッド-3-セミカルバジドメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン等のセミカルバジド化合物を使用することができる。なお、これらのポリアミンは、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0029】
前記ポリアミンは、ポリアミンが有するアミノ基と、ウレタンプレポリマーの有するイソシアネート基との当量比が、0.8~1で使用することが好ましい。
【0030】
前記鎖伸長反応は、ポリウレタンの水分散体を製造した後、前記水分散体と前記ポリアミン等の鎖伸長剤とを混合することによって行うことが好ましい。
【0031】
前記ポリウレタン(a1)の酸価は、水分散性、耐擦過性、及び耐洗濯性のバランスがより向上することから、10~70mgKOH/gが好ましく、15~65mgKOH/gがより好ましい。
【0032】
本発明におけるポリウレタン(a1)の酸価は、原料組成から計算により得られる値である。
【0033】
前記ポリウレタン(a1)の重量平均分子量は、水分散性、耐擦過性、及び耐洗濯性のバランスがより向上することから、10,000~500,000が好ましく、10,000~300,000がより好ましい。
【0034】
本発明において、重量平均分子量及び数平均分子量は、特記ない限り、ポリスチレンを標準試料としてゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ法(GPC)により測定した値である。
【0035】
前記ポリウレタン(a1)の酸基は、前記複合樹脂(A)の水分散性がより向上することから、塩基性化合物で中和されていることが好ましい。
【0036】
前記塩基性化合物としては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン等のアルキルアミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N-メチルエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール、2-(ジメチルアミノ)-2-メチルプロパノール、N-メチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の多価アミンなどの有機アミン、アンモニア(水)、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の金属水酸化物などが挙げられるが、耐擦過性及び耐洗濯性がより向上することから、金属水酸化物が好ましく、水酸化カリウムがより好ましい。なお、これらの塩基性化合物は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0037】
前記複合樹脂(A)のコア部を構成する重合体(a2)は、脂肪族共役ジエン、必要に応じてその他の不飽和単量体の重合反応により得られる。
【0038】
前記脂肪族共役ジエンとしては、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-ヘプタジエン、2,3-ジメチルブタジエン、3-メチル-1,3-ペンタジエン、2-クロル-1,3-ブタジエン等が挙げられるが、耐擦過性、及び耐洗濯性がより向上することから、1,3-ブタジエン、イソプレンが好ましい。これらの脂肪族共役ジエンは、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0039】
前記その他の不飽和単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、3-メチルブチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、等の炭素原子数4~22のアルキル(メタ)アクリレート;
シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の炭素原子数6~20のシクロアルキル(メタ)アクリレート;
フェニル(メタ)アクリレート等のアリル(メタ)アクリレート;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェネチル(メタ)アクリレート等の炭素原子数10~20のアラルキル(メタ)アクリレート;
フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のアリルオキシアルキル(メタ)アクリレート;
クロトン酸メチル、クロトン酸エチル等のクロトン酸アルキルエステル;
ジメチルマレート、ジブチルマレート、ジメチルフマレート、ジブチルフマレート、ジメチルイタコネート、ジブチルイタコネート等の不飽和ジカルボン酸アルキルエステル;
スチレン、p-tert-ブチルスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルピリジン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン等の芳香族ビニルモノマー;
(メタ)アクリロニトリル、クロトノニトリル、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N-(メタ)アクリロイルモルホリン、N-(メタ)アクリロイルピロリジン、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルピロリドン、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルカルバゾール、N-ビニルキノリン、N-ビニルピペリジン等の窒素原子含有モノマー(好ましくは1置換又は2置換の(メタ)アクリルアミド(置換基が結合して環を形成しているものも含む))及び該窒素原子含有モノマーの塩化メチル塩;
フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチエレン、ヘキサフルオロプロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン;エチレン、プロピレン、イソブチレン、1-ブテン等のα-オレフィン;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、安息香酸ビニル、ネオデカン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル;
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル;シクロヘキシルビニルエーテル等のシクロアルキルビニルエーテル;
アクロレイン、メチルビニルケトン等のカルボニル基含有モノマー;
ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコール共重合(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール共重合(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリテトラメチレングリコール共重合(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールポリテトラメチレングリコール共重合(メタ)アクリレート等のポリオキシエチレン基含有(メタ)アクリルモノマー;
パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジ-パーフルオロシクロヘキシルフマレート、N-イソプロピルフルオロオクタンスルフォン酸アミドエチル(メタ)アクリレート等のフルオロアルキル基含有モノマー;
無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水メサコン酸、無水イタコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等の不飽和ジカルボン酸類無水物;
グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の環状エーテル含有モノマー;
ビニリトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシリル基含有モノマー;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、2-ヒドロキシエチルアリルエーテル等のヒドロキシ基含有モノマー;
ビニルスルホン酸、3-アクリロキシプロパン-1-スルホン酸、3-アクリロキシオクチルオキシベンゼンスルホン酸、3-アクリロキシベンゼンジアゾスルホン酸、3-アクリロキシアゾベンゼン-4’-スルホン酸、2-アクリロイルアミノ-2-メチルプロパン-1-スルホン酸、2-アクリロイルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、アクリロニトリル-tert-ブチルスルホン酸等のビニル基含有スルホン酸化合物並びにそれらの塩;
などが挙げられる。なお、これらの単量体は単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0040】
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレートとアクリレートの一方又は両方をいう。
【0041】
前記重合体(a2)の単量体原料中の前記脂肪族共役ジエンは、耐擦過性及び耐洗濯性がより向上することから、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。
【0042】
前記重合体を重合する際は、重合開始剤を共存させることが好ましい。前記重合開始剤としては、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、4,4’-アゾビス(4-シアノ)吉草酸、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロライド等のアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、tert-ブチルハイドロパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシピバレート、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、ジ-tert-ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、tert-ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシラウレート、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、クメンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、等の有機過酸化物;過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物などを使用することができる。
【0043】
前記重合開始剤は、前記重合体(a2)の単量体原料の合計100質量部に対して、0.005~5質量部が好ましく、0.01~1質量部がより好ましく、0.02~0.2質量部がさらに好ましい。
【0044】
前記ポリウレタン(a1)と前記重合体(a2)との質量比(a1/a2)は、耐擦過性及び耐洗濯性がより向上することから、95/5~50/50が好ましく、90/10~65/35がより好ましい。
【0045】
前記水性媒体(B)としては、水、水と混和する有機溶剤及びこれらの混合物が挙げられる。水と混和する有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロピルアルコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等のアルコール溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶剤;エチレングリコール-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコール-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコール-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル等のグリコールエーテル溶剤;N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン等のラクタム溶剤;N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド溶剤などが挙げられ、ケトン溶剤が好ましい。
【0046】
前記水性媒体(B)は、安全性や環境に対する負荷低減を考慮すると、水のみ、又は、水及び水と混和する有機溶剤との混合物が好ましく、水のみがより好ましい。水の含有率は、前記水性媒体(B)中、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。
【0047】
前記水性媒体(B)の含有率は、水性インクジェットインク用バインダー中、30~80質量%が好ましく、50~70質量%がより好ましい。
【0048】
本発明の水性インクジェットインク用バインダーは、さらに、添加剤(C)として、架橋剤、可塑剤、帯電防止剤、ワックス、界面活性剤、光安定剤、流動調整剤、染料、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光触媒性化合物、防腐剤、粘度調整剤、pH調整剤、キレート剤等を含んでいてもよい。
【0049】
前記添加剤(C)の含有量は、前記複合樹脂(A)100質量部に対して、20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。
【0050】
前記複合樹脂(A)は、前記ポリウレタン(a1)の存在下で、前記重合体(a2)の単量体原料を重合することにより得られる。
【0051】
本発明の水性インクジェットインク用バインダーは、例えば、前記ポリウレタン(a1)の有する酸基の一部又は全部を、塩基性化合物を用いて中和し、得られた中和物を水性媒体(B)中に分散させることによって、前記ポリウレタン(a1)の水分散体を製造する工程(I)、次いで、得られた前記ポリウレタン(a1)の水分散体中に、脂肪族共役ジエン及び必要に応じてその他の不飽和単量体を供給し、ラジカル重合を行う工程(II)により得ることができる。この際、疎水性である脂肪族共役ジエンは、前記ポリウレタン(a1)の粒子内に取り込まれるため、前記ポリウレタン(a1)を含むシェル部と、前記アクリル重合体(a2)を含むコア部とを有するコアシェル型粒子が形成される。また、前記ラジカル重合の際は、必要に応じて、前記添加剤(C)を共存させてもよく、重合反応後に前記添加剤(C)を添加してもよい。
【0052】
本発明の水性インクジェットインクは、前記水性インクジェットインク用バインダー及び着色剤を含有するものであるが、さらに、有機溶剤、表面調整剤、顔料分散剤、乾燥抑止剤、浸透剤、界面活性剤等を含んでいてもよい。
【0053】
前記着色剤としては、染料及び顔料が挙げられ、顔料を含むことが好ましい。
【0054】
前記顔料としては、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)でピグメントに分類されている化合物を用いることができ、無機顔料や有機顔料が挙げられる。
【0055】
前記無機顔料としては、酸化鉄;カーボンブラック(コンタクト法、ファーネス法、サーマル法等により製造されたカーボンブラック);酸化チタン等が挙げられる。
【0056】
前記カーボンブラックとしては、例えば、#2300、#2200B、#990、#900、#960、#980、#33、#40、#45、#45L、#52、HCF88、MA7、MA8、MA100等(以上、三菱ケミカル株式会社製);Ravenシリーズ(5750、5250、5000、3500、1255、700等)(以上、コロンビア社製);Regalシリーズ(400R、330R、660R等)、Mogulシリーズ(L、700等)、Monarchシリーズ(800、880、900、1000、10、1300、1400等)(以上、キャボット社製);Color Blackシリーズ(FW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S1)、Printexシリーズ(35、U、V、1400U等)、Special Blckシリーズ(6、5、4、4A等)、NIPEXシリーズ(150、160、170、180、95、90、85、80、75等)(以上、オリオン・エンジニアドカーボンズ株式会社製)などが挙げられる。
【0057】
前記有機顔料としては、1種又は2種以上を用いることができ、化学構造によれば、アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料;フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料;塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等の染料キレート;ニトロ顔料;ニトロソ顔料;アニリンブラック等が挙げられる。
【0058】
前記有機顔料としては、具体的には、
C.I.ピグメントイエロー1、2、12、13、14、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、109、110、114、120、128、129、138、150、151、154、155、174、180、185等のイエロー顔料;
C.I.ピグメントレッド5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、112、122、123、146、150、168、176、184、185、202、209、213、269、282等のマゼンダ顔料;
C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、63、66等のシアン顔料;
C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、34、36、43、51、64、71等のオレンジ顔料;
C.I.ピグメントバイオレット1、3、5:1、16、19、23、38等のバイオレット顔料;
C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36等のグリーン顔料;
C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101、104、105、106、108、112、114、122、123、146、149、150、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264等のレッド顔料などが挙げられる。
【0059】
前記顔料の一次粒子径は、分散性の観点から、好ましくは25μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは1μm以下であり、安定性の観点から、例えば10m以上、30nm以上であってもよい。前記一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)により測定できる。
【0060】
前記顔料の体積平均粒子径は、分散性の観点から、好ましくは1μm以下、より好ましくは250nm以下、さらに好ましくは200nm以下であり、安定性の観点から、例えば10nm以上、50nm以上であってもよい。前記顔料の体積平均粒子径は、レーザー回折法により測定できる。
【0061】
前記顔料の含有率は、前記着色剤中、好ましくは80質量%以上、より好ましくは9質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上であり、上限は100質量%である。
【0062】
前記着色剤の含有率は、前記インクジェットインク組成物の固形分中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下である。
【0063】
前記顔料分散剤は、親水部と疎水部とを有する化合物であり、水性媒体中における顔料の分散性を向上する作用を有する。該顔料分散剤としては、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸エステル-(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル-(メタ)アクリル酸共重合体等のスチレン-アクリル酸共重合体等が挙げられる。前記スチレン-アクリル酸共重合体を用いる場合、前記水性顔料分散体には、水酸化カリウム等の塩基性化合物が共存していてもよい。
【0064】
前記顔料分散剤の含有量は、前記着色剤100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは20質量部以上であり、好ましくは100質量部以下、より好ましくは70質量部以下、さらに好ましくは50質量部以下である。
【0065】
前記有機溶剤としては、親水性有機溶剤(25℃において水と混和しうる有機溶剤)が好ましく、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、2-メチル-1-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、ペンチルアルコール、2-メトキシエタノール等のアルコール溶剤;テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル溶剤;ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等のアミド溶剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール溶剤;ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、およびこれらと同族のジオール等のジオール溶剤;ラウリン酸プロピレングリコール等のグリコールエステル溶剤;ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル溶剤;スルホラン;γ-ブチロラクトン等のラクトン溶剤;N-メチルピロリドン、N-(2-ヒドロキシエチル)ピロリドン、2-ピロリドン等のラクタム溶剤;アセトニトリル等のニトリル溶剤;グリセリン;ポリオキシアルキレンを付加したグリセリン等のグリセリン誘導体等;これらの1種又は2種以上の混合溶剤などが挙げられる。
【0066】
前記有機溶剤は、分散性及び保存安定性の観点から、前記顔料100質量部に対して、好ましくは1~300質量部、より好ましくは4~200質量部である。
【0067】
前記水性インクジェットインクは、予め、前記着色剤、前記顔料分散剤、前記有機溶剤、前記水性媒体及び必要に応じて用いる塩基性化合物を混合分散させることで、着色剤分散体を調製し、さらに、前記樹脂組成物、乾燥抑止剤、浸透剤、界面活性剤等の添加剤を混合することによって、製造することができる。前記着色剤分散体を調製する際、混合分散法としては、湿式分散法、混練分散法等が挙げられ、湿式分散法が好ましい。
【0068】
乾燥抑止剤としては、水性媒体との混和性があり、インクジェットプリンターのヘッドの目詰まり防止効果が得られるものを使用することが好ましく、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、分子量2000以下のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、メソエリスリトール、ペンタエリスリトール、等が挙げられる。なかでも、前記乾燥抑止剤としては、グリセリン、トリエチレングリコールを使用することが、安全性が高く、インクの乾燥性、吐出性能に優れた効果を付与できるため好ましい。前記乾燥抑剤の含有率は、前記水性インクジェットインク中、3~50質量%であることが好ましい。
【0069】
前記浸透剤としては、例えばエタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール;エチレングリコールヘキシルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル等のアルキルアルコールのグリコールモノエーテルが挙げられる。前記浸透剤の含有率は、記録媒体へのインクの浸透性の改良や、記録媒体上でのインクのドット径を調整する観点から、前記水性インクジェットインク中、0.01~10質量%であることが好ましい。
【0070】
前記界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられ、表面張力等のインク特性を調整する観点から、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
【0071】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩及びスルホン酸塩、高級アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等が挙げられ、これらの具体例として、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸塩、モノブチルフェニルフェノールモノスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸塩等が好ましい。
【0072】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、脂肪酸アルキロールアミド、アルキルアルカノールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー等を挙げることができ、これらの中では、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマーが好ましい。
【0073】
その他の界面活性剤として、ポリシロキサンオキシエチレン付加物のようなシリコーン系界面活性剤;パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、オキシエチレンパーフルオロアルキルエーテルのようなフッ素系界面活性剤;スピクリスポール酸、ラムノリピド、リゾレシチンのようなバイオサーファクタント等を使用してもよい。
【0074】
前記界面活性剤の含有率は、印刷画像等のにじみ等を効果的に防止する観点から、前記水性インクジェットインク中、好ましくは0.001~2質量%であり、より好ましくは0.001~1.5質量%であり、さらに好ましくは0.01~1質量%である。
【0075】
インクジェット記録用水性インクは、各種記録媒体への印刷に使用することができる。前記記録媒体としては、複写機で一般的に使用されているコピー用紙(PPC紙)等の吸収性の記録媒体、インクの吸収層を有する記録媒体、インクの吸収性を有しない非吸水性の記録媒体、インクの吸水性の低い難吸収性の記録媒体、布帛、フィルム等がありうる。
【0076】
本発明の水性インクジェットインク用バインダーは、保存安定性及び吐出性、並びに、印刷物の耐擦過性及び耐洗濯性に優れることから、各種記録媒体への印刷に有用である。
【実施例】
【0077】
以下に本発明を具体的な実施例を挙げてより詳細に説明する。なお、重量平均分子量及び平均粒子径は、下記の測定条件で測定したものである。
【0078】
[GPC測定条件]
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC-8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度4mg/mLのテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の単分散ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
【0079】
(単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-550」
【0080】
[粒子径測定条件]
水性インクジェットインク用バインダーを水で希釈し、濃度0.1質量%の希釈分散体とした後、この希釈分散体を用い、粒子径測定装置(マイクロトラック・ベル株式会社製「ナノトラックWaveII」:動的光散乱法により算出)にて測定し、50%メジアン径を平均粒子径とした。
【0081】
(合成例1:アクリルマクロマー(1)の合成)
温度計、攪拌装置、還流冷却管及び窒素導入管を備えた4ッ口フラスコに、メチルエチルケトン 700質量部を仕込み、次いで前記反応容器中にメチルメタクリレート 291質量部と3-メルカプト-1,2-プロパンジオール 8.7質量部と2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル) 0.15質量部を供給し、反応させることによって、数平均分子量3000の片末端に2個の水酸基を有するビニル重合体として、アクリルマクロマー(1)を得た。
【0082】
(製造例1:酸基を有するポリウレタン(a1-1)の製造)
温度計、攪拌装置、還流冷却管及び窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、PTMG1k(三菱ケミカル製「PTMG1000」;数平均分子量1000のポリテトラメチレンエーテルグリコール)50.9質量部、及び2,2-ジメチロールプロピオン酸(DMPA)12.6質量部を入れ、十分に撹拌させた。次いで、イソホロンジイソシアネート(IPDI)31.5質量部、触媒としてジブチルスズジラウリレート0.01質量部を加え、75℃で4時間反応させた。反応後、メチルエチルケトン(MEK)で固形分濃度が60質量%になるようMEKを入れ、30分撹拌させるとともに、40℃以下まで冷却し、ウレタンプレポリマー溶液を得た。得られたウレタンプレポリマー溶液に水酸化カリウム5.0質量部を加え、酸基を中和させた。次いで強攪拌下で固形分濃度が18%になるようイオン交換水を添加し、ポリウレタンを乳化させた。反応完結後、減圧蒸留によりMEKを留去し、酸基を有するポリウレタン(a1-1)の水分散体を得た。この水分散体の不揮発分は30質量%であった。
【0083】
(製造例2:酸基を有するポリウレタン(a1-2)の製造)
原料配合を表1に変更した以外は、製造例1と同様にして、酸基を有するポリウレタン(a1-2)の水分散体を得た。この水分散体の不揮発分は30質量%であった。
【0084】
(製造例3:酸基を有するポリウレタン(a1-3)の製造)
原料配合を表1に変更した以外は、製造例1と同様にして、酸基を有するウレタンプレポリマー溶液を得た。得られたウレタンプレポリマー溶液に水酸化カリウム1.9質量部を加え、酸基を中和させた。次いで強攪拌下で固形分濃度が18%になるようイオン交換水を添加し、エチレンジアミンを2.7質量部滴下し、伸長反応を行った。反応完結後、減圧蒸留によりMEKを留去し、酸基を有するポリウレタン(a1-3)の水分散体を得た。この水分散体の不揮発分は30質量%であった。
【0085】
(製造例4:酸基を有するポリウレタン(a1-4)の製造)
原料配合を表1に変更した以外は、製造例3と同様にして、酸基を有するポリウレタン(a1-4)の水分散体を得た。この水分散体の不揮発分は30質量%であった。
【0086】
(製造例5:酸基を有するポリウレタン(a1-5)の製造)
原料配合を表1に変更した以外は、製造例1と同様にして、酸基を有するポリウレタン(a1-5)の水分散体を得た。この水分散体の不揮発分は30質量%であった。
【0087】
(製造例6:酸基を有するポリウレタン(a1-6)の製造)
原料配合を表1に変更した以外は、製造例1と同様にして、酸基を有するポリウレタン(a1-6)の水分散体を得た。この水分散体の不揮発分は30質量%であった。
【0088】
上記で得た酸基を有するポリウレタン(a1-1)~(a1-6)の配合を表1に示す。
【0089】
【0090】
表1中の略号は下記の通りである。
PTMG1k:三菱ケミカル製「PTMG1000」;数平均分子量1000のポリテトラメチレンエーテルグリコール
Excenol 2020:AGC製「Excenol 2020」;数平均分子量2000のポリプロピレングリコール
UH-100:宇部興産製「ETERNACOLL UH-100」;数平均分子量1000の結晶性ポリカーボネートジオール
UH-200:宇部興産製「ETERNACOLL UH-200」;数平均分子量2000の結晶性ポリカーボネートジオール
G3450J:旭化成製「DURANOL G3450J」;数平均分子量800の非晶性ポリカーボネートジオール
【0091】
(実施例1:水性インクジェットインク用バインダー(1)の製造)
製造例1で得た酸基を有するポリウレタン(a1-1)の水分散体233.40質量部にイオン交換水236.59質量部を加え、イソプレン29.99質量部、及びスチレン0.01質量部を過硫酸アンモニウム(APS)0.01質量部でモノマー一括乳化重合(反応温度80℃)の条件下で反応させて、次に未反応モノマー除去の濃縮を行い、水分量を20質量%に調整し水性インクジェットインク用バインダー(1)を得た。質量比(a1/a2)は、70/30であった。また、複合樹脂の粒度分布は単一のピークを示し、コアシェル粒子を形成していることが確認され、平均粒子径は40nmであった。
【0092】
(実施例2~6:水性インクジェットインク用バインダー(2)~(6)の製造)
実施例1で使用した酸基を有するポリウレタン(a1-1)の水分散体を、酸基を有するポリウレタン(a1-2)~(a1-6)の水分散体に変更した以外は、実施例1と同様にして、水性インクジェットインク用バインダー(2)~(6)を得た。質量比(a1/a2)は、全て70/30であった。また、複合樹脂の粒度分布は単一のピークを示し、コアシェル粒子を形成していることが確認され、平均粒子径は水性インクジェットインク用バインダー(2)が111nm、水性インクジェットインク用バインダー(3)が95nm、水性インクジェットインク用バインダー(4)が42nm、水性インクジェットインク用バインダー(5)が33nm、水性インクジェットインク用バインダー(6)が38nmであった。
【0093】
(比較例1:水性インクジェットインク用バインダー(R1))
製造例1で得た酸基を有するポリウレタン(a1-1)の水分散体を、水性インクジェットインク用バインダー(R1)とした。
【0094】
[顔料分散体の製造]
ミニプラネタリーミキサー(株式会社愛工舎mini-PLM)の0.5Lジャケット付タンクに、50質量部のC.I.ピグメントレッド122(DIC株式会社製「FASTOGEN Super Magenta RY」)C.I.ピグメントブルー15:3(DIC株式会社製、SBG-SD)、10質量部のスチレン-アクリル酸共重合体(重量平均分子量11,000、酸価180 mgKOH/g)を順番に投入し、ジャケット付タンクの温度を80℃に加温した状態で、自転回転数80rpm、公転回転数25rpmで10分間撹拌した。
次に、ジャケット付タンクの温度を80℃に保温した状態で、5.3質量部の34質量%水酸化カリウム水溶液、30質量部のトリエチレングリコールを前記組成物に加え、自転回転数80rpm、公転回転数25rpmで60分間混練を行うことによって、固形状の混練物を得た。
前記混練物に、イオン交換水100質量部とトリエチレングリコール10質量部を加え、ジューサーミキサーで10分間攪拌混合した。イオン交換水とProxel-GXL(ロンザジャパン株式会社)を混合することによって、顔料濃度が15.0質量%、トリエチレングリコール濃度が12.0質量%、Proxel-GXL濃度が0.1質量%、不揮発分が18.2質量%の水性顔料分散体を得た。
【0095】
[水性インクジェットインクの製造]
上記で得た顔料分散体20.0質量部、前記水性インクジェット用バインダー3.3質量部、2-ピロリジノン(BASF社製)8.0質量部、トリエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル(東京化成工業株式会社製)8.0質量部、グリセリン(花王株式会社製)3.0質量部、サーフィノール440(非イオン系界面活性剤、エボニックジャパン株式会社製)0.5質量部、イオン交換水57.3質量部を1時間撹拌した。
次に、5質量%水酸化カリウム水溶液を用いpHを9~9.8の範囲内に調整したものを、孔径5~10μmのフィルターでろ過することによって、水性インクジェットインク(顔料濃度3.0%、ウレタン固形分濃度1.0%)を得た。
【0096】
[耐擦過性の評価]
上記で得た水性インクジェットインクを市販のインクジェットプリンターENVY4500(HP社製)ブランクインクカートリッジに充填し、写真印刷用紙(HPアドバンスフォトペーパー HP社製)の印刷面に印字濃度設定100%のベタ印刷を行った。印刷物を常温下で1分間乾燥した後、学振式摩擦試験機を用いて荷重200gの条件にて印刷士紙と同じ紙で印刷面を3往復摩擦させた。
次に、前記印刷物の印刷面をスキャン処理して画像データ化し、下記の式に基づきピクセル残存率(%)を算出し、下記の基準により、耐擦過性を評価した。
ピクセル残存率(%)=(擦過試験後の着色部のピクセル数)/(擦過試験前の着色部のピクセル数)×100
〇:40%以上
△:20%以上40%未満
×:20%未満
【0097】
[耐洗濯性の評価]
綿ブロード全面を染色後、150℃で5分間乾燥させた。その後JISL0844:2011に基づいて調製した洗濯液を50℃に加温し、前記綿ブロードを浸漬(30分間)させた。次いでフードミキサー中で1分間攪拌させ、取り出した試験用サンプルを水で洗った後乾燥した。積分球分光測色計X-Riteでミキサー攪拌後の綿ブロードの光学濃度(OD)を測定した。下記の式に基づきOD保持率(%)を算出し、下記の基準により、耐洗濯性を評価した。
OD保持率(%)=(攪拌後の綿ブロードのOD)/(洗濯液浸漬前の綿ブロードのOD)×100
〇:50%以上
△:45%以上50%未満
×:45%未満
【0098】
上記で得た水性インクジェットインク用バインダー(1)~(5)及び(R1)の配合及び評価結果を表2に示す。
【0099】
【0100】
本発明の水性インクジェットインク用バインダーである実施例1~6から得られる印刷物は、耐擦過性及び耐洗濯性に優れることが確認された。
【0101】
一方、比較例1は、本発明の必須成分であるラテックス(a2)を含まないウレタン樹脂を用いた例であるが、得られる印刷物は耐擦過性及び耐洗濯性に劣ることが確認された。