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特許7517620樹脂組成物、プリプレグ、積層板、樹脂フィルム、プリント配線板及び半導体パッケージ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】樹脂組成物、プリプレグ、積層板、樹脂フィルム、プリント配線板及び半導体パッケージ
(51)【国際特許分類】
   C08G 73/12 20060101AFI20240709BHJP
   C08L 79/00 20060101ALI20240709BHJP
   C08K 5/3437 20060101ALI20240709BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20240709BHJP
   C08J 5/24 20060101ALI20240709BHJP
   B32B 27/34 20060101ALI20240709BHJP
   B32B 27/38 20060101ALI20240709BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
C08G73/12
C08L79/00 B
C08K5/3437
C08L63/00 A
C08J5/24 CFG
C08J5/24 CFC
B32B27/34
B32B27/38
H05K1/03 610N
H05K1/03 610L
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023562595
(86)(22)【出願日】2023-06-15
(86)【国際出願番号】 JP2023022177
(87)【国際公開番号】W WO2023243676
(87)【国際公開日】2023-12-21
【審査請求日】2023-10-11
(31)【優先権主張番号】P 2022098179
(32)【優先日】2022-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 力
(72)【発明者】
【氏名】坂本 徳彦
(72)【発明者】
【氏名】大塚 康平
(72)【発明者】
【氏名】北嶋 貴代
(72)【発明者】
【氏名】島岡 伸治
【審査官】藤井 明子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/006888(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/132495(WO,A1)
【文献】特開平04-142327(JP,A)
【文献】特開平06-122765(JP,A)
【文献】特開2022-079408(JP,A)
【文献】特開2021-102566(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 73/00-73/26
C08L 63/00、79/00
C08K 5/3437
C08J 5/24
B32B 27/34、27/38
H05K 1/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)N-置換マレイミド基を1個以上有するマレイミド樹脂(a)に由来する構造と、アミノ基を1個以上有するアミン化合物(b)に由来する構造と、を含む樹脂と、
(B)N-置換マレイミド基を3個以上有するマレイミド樹脂と、
ベンゾオキサジン化合物と、
を含有し、
前記N-置換マレイミド基を1個以上有するマレイミド樹脂(a)が、下記一般式(a1-1)で表されるマレイミド樹脂である、樹脂組成物。
【化1】

(式中、X a11 は下記一般式(a1-3)で表される2価の基である。)
【化2】

(式中、R a12 及びR a13 は、各々独立に、炭素数1~5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子である。X a12 は、下記一般式(a1-3-1)で表される2価の基である。n a12 及びn a13 は、各々独立に、0~4の整数である。*は結合部位を表す。)
【化3】

(式中、R a14 及びR a15 は、各々独立に、炭素数1~5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子である。X a13 は炭素数1~5のアルキレン基、炭素数2~5のアルキリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、カルボニルオキシ基、ケト基又は単結合である。n a14 及びn a15 は、各々独立に、0~4の整数である。*は結合部位を表す。)
【請求項2】
前記アミノ基を1個以上有するアミン化合物(b)が、アミノ基を1個以上有するシロキサン化合物である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記(B)成分が、芳香環に結合するN-置換マレイミド基を3個以上有するマレイミド樹脂である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記芳香環に結合するN-置換マレイミド基を3個以上有するマレイミド樹脂が、下記一般式(B-1)で表されるマレイミド樹脂である、請求項3に記載の樹脂組成物。
【化1】

(式中、XB1は、炭素数1~20の2価の炭化水素基であり、nB1は、2~5の整数である。)
【請求項5】
前記一般式(B-1)における、XB1が、炭素数1~5のアルキレン基又は炭素数2~5のアルキリデン基である、請求項4に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記(A)成分の含有量に対する、前記(B)成分の含有量の比〔(B)成分/(A)成分〕が、質量基準で、0.4~10である、請求項1~5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
さらに、(C)エポキシ樹脂を含有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか1項に記載の樹脂組成物又は前記樹脂組成物の半硬化物を含有するプリプレグ。
【請求項9】
請求項1~5のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物と、金属箔と、を有する積層板。
【請求項10】
請求項1~5のいずれか1項に記載の樹脂組成物又は前記樹脂組成物の半硬化物を含有する樹脂フィルム。
【請求項11】
請求項1~5のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物を有するプリント配線板。
【請求項12】
請求項11に記載のプリント配線板と、半導体素子と、を有する半導体パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、樹脂組成物、プリプレグ、積層板、樹脂フィルム、プリント配線板及び半導体パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の小型化及び高性能化の流れに伴い、プリント配線板では配線密度の高度化及び高集積化が進展している。これに伴い、プリント配線板に対しては、従来のものよりも高い信頼性が要求されている。
プリント配線板の絶縁層に要求される特性として、良好な耐熱性が挙げられる。特に、近年では、環境問題への意識の高まりから、鉛フリーはんだを使用しない半導体チップの実装プロセスが主流となり、絶縁層に対しては、より高いリフロー温度での実装に適用可能な耐熱性が要求されている。
【0003】
プリント配線板の絶縁層には、例えば、マレイミド樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が使用されている。マレイミド樹脂を使用した硬化物は、エポキシ樹脂を使用した硬化物よりも優れた耐熱性が得られ易いという利点を有するが、マレイミド樹脂は、高い硬化温度が必要であること、溶剤溶解性が低く、取り扱いが困難であること等が課題であった。
【0004】
特許文献1には、1分子中に少なくとも2個のN-置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(a)と、1分子中に少なくとも2個の1級アミノ基を有するアミン化合物(b)を反応させて得られる不飽和マレイミド基を有する樹脂組成物等を含有する熱硬化性樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-064136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術によると、良好な樹脂硬化性、すなわちプリプレグを積層する際に、高温かつ長時間の処理を必要とせず、且つワニス及びプリプレグの硬化性及び保存安定性が良好であり、耐薬品性、耐熱性及び接着性に優れる熱硬化性樹脂組成物を得ることができる。
【0007】
ところで、プリント配線板の製造工程において、絶縁層の穴あけ加工後の残渣成分の除去等を目的としてデスミア処理が行われている。該デスミア処理によって絶縁層が過剰に溶解すると、スルーホール等の穴径が所定の大きさから変化したり、導体層との接着性が低下したりする場合がある。そのため、絶縁層には、デスミア処理における過剰な溶解が抑制される耐デスミア性が要求される。
近年のプリント配線板分野における配線密度の高度化は顕著であり、従来のものよりも高度な耐デスミア性が要求されている。本発明者等の検討によると、特許文献1に開示の技術は、耐デスミア性において改善の余地がある。
【0008】
本実施形態は、このような現状に鑑み、耐デスミア性に優れる樹脂組成物、該樹脂組成物を用いたプリプレグ、積層板、樹脂フィルム、プリント配線板及び半導体パッケージを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、下記の本実施形態によって、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本実施形態は、下記[1]~[12]に関するものである。
[1](A)N-置換マレイミド基を1個以上有するマレイミド樹脂(a)に由来する構造と、アミノ基を1個以上有するアミン化合物(b)に由来する構造と、を含む樹脂と、
(B)N-置換マレイミド基を3個以上有するマレイミド樹脂と、
を含有する、樹脂組成物。
[2]前記アミノ基を1個以上有するアミン化合物(b)が、アミノ基を1個以上有するシロキサン化合物である、上記[1]に記載の樹脂組成物。
[3]前記(B)成分が、芳香環に結合するN-置換マレイミド基を3個以上有するマレイミド樹脂である、上記[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]前記芳香環に結合するN-置換マレイミド基を3個以上有するマレイミド樹脂が、下記一般式(B-1)で表されるマレイミド樹脂である、上記[3]に記載の樹脂組成物。
【化1】

(式中、XB1は、炭素数1~20の2価の炭化水素基であり、nB1は、2~5の整数である。)
[5]前記一般式(B-1)における、XB1が、炭素数1~5のアルキレン基又は炭素数2~5のアルキリデン基である、上記[4]に記載の樹脂組成物。
[6]前記(A)成分の含有量に対する、前記(B)成分の含有量の比〔(B)成分/(A)成分〕が、質量基準で、0.4~10である、上記[1]~[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7]さらに、(C)エポキシ樹脂を含有する、上記[1]~[6]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[8]上記[1]~[7]のいずれかに記載の樹脂組成物又は前記樹脂組成物の半硬化物を含有するプリプレグ。
[9]上記[1]~[7]のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物と、金属箔と、を有する積層板。
[10]上記[1]~[7]のいずれかに記載の樹脂組成物又は前記樹脂組成物の半硬化物を含有する樹脂フィルム。
[11]上記[1]~[7]のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物を有するプリント配線板。
[12]上記[11]に記載のプリント配線板と、半導体素子と、を有する半導体パッケージ。
【発明の効果】
【0010】
本実施形態によると、耐デスミア性に優れる樹脂組成物、該樹脂組成物を用いたプリプレグ、積層板、樹脂フィルム、プリント配線板及び半導体パッケージを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
例えば、数値範囲「X~Y」(X、Yは実数)という表記は、X以上、Y以下である数値範囲を意味する。そして、本明細書における「X以上」という記載は、X及びXを超える数値を意味する。また、本明細書における「Y以下」という記載は、Y及びY未満の数値を意味する。
本明細書中に記載されている数値範囲の下限値及び上限値は、それぞれ他の数値範囲の下限値又は上限値と任意に組み合わせられる。
本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の下限値又は上限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0012】
本明細書に例示する各成分及び材料は、特に断らない限り、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本明細書において、樹脂組成物中の各成分の含有量は、樹脂組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、樹脂組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
【0013】
本明細書において「固形分」とは、溶剤以外の成分を意味し、室温で液状、水飴状及びワックス状のものも含む。ここで、本明細書において室温とは25℃を意味する。
【0014】
本明細書における数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;Gel Permeation Chromatography)によってポリスチレン換算にて測定された値を意味する。具体的には、本明細書における重量平均分子量(Mw)は、実施例に記載の方法によって測定することができる。
【0015】
本明細書における「半硬化物」とは、JIS K 6800(1985)におけるB-ステージの状態にある樹脂組成物と同義であり、「硬化物」とは、JIS K 6800(1985)におけるC-ステージの状態にある樹脂組成物と同義である。
【0016】
本明細書に記載されている作用機序は推測であって、本実施形態の効果を奏する機序を限定するものではない。
【0017】
本明細書の記載事項を任意に組み合わせた態様も本実施形態に含まれる。
【0018】
[樹脂組成物]
本実施形態の樹脂組成物は、
(A)N-置換マレイミド基を1個以上有するマレイミド樹脂(a)に由来する構造と、アミノ基を1個以上有するアミン化合物(b)に由来する構造と、を含む樹脂[以下、「(A)変性マレイミド樹脂」と称する場合がある。]と、
(B)N-置換マレイミド基を3個以上有するマレイミド樹脂[以下、「(B)ポリマレイミド樹脂」と称する場合がある。]と、
を含有する、樹脂組成物である。
【0019】
なお、本明細書において、各成分はそれぞれ、(A)成分、(B)成分等と省略して称することがあり、その他の成分についても同様の略し方をすることがある。
以下、本実施形態の樹脂組成物が含有し得る各成分について順に説明する。
【0020】
<(A)変性マレイミド樹脂>
(A)変性マレイミド樹脂は、N-置換マレイミド基を1個以上有するマレイミド樹脂(a)に由来する構造と、アミノ基を1個以上有するアミン化合物(b)に由来する構造と、を含む樹脂であれば、特に限定されない。
(A)変性マレイミド樹脂は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
なお、以下の説明で、N-置換マレイミド基を1個以上有するマレイミド樹脂(a)を、単に「マレイミド樹脂(a1)」と称する場合がある。また、以下の説明で、アミノ基を1個以上有するアミン化合物(b)を、単に「アミン化合物(a2)」と称する場合がある。
【0022】
(マレイミド樹脂(a1)に由来する構造)
マレイミド樹脂(a1)に由来する構造は、マレイミド樹脂(a1)が有するN-置換マレイミド基のうち、少なくとも1つのN-置換マレイミド基が、アミン化合物(a2)が有するアミノ基とマイケル付加反応してなる構造であることが好ましい。
(A)変性マレイミド樹脂中に含まれるマレイミド樹脂(a1)に由来する構造は、1種単独であってもよく、2種以上であってもよい。
【0023】
(A)変性マレイミド樹脂中におけるマレイミド樹脂(a1)に由来する構造の含有量は、特に限定されないが、好ましくは20~90質量%、より好ましくは30~80質量%、さらに好ましくは40~70質量%である。
(A)変性マレイミド樹脂中におけるマレイミド樹脂(a1)に由来する構造の含有量が上記範囲内であると、耐熱性、誘電特性及び樹脂フィルムとした場合の取り扱い性がより良好になる傾向にある。
【0024】
〔マレイミド樹脂(a1)〕
マレイミド樹脂(a1)は、N-置換マレイミド基を1個以上有するマレイミド樹脂であれば特に限定されない。
マレイミド樹脂(a1)は、導体接着性及び耐熱性の観点から、N-置換マレイミド基を2個有するビスマレイミド樹脂、N-置換マレイミド基を3個以上有するポリマレイミド樹脂が好ましく、芳香環に結合するN-置換マレイミド基を2個有する芳香族ビスマレイミド樹脂、芳香環に結合するN-置換マレイミド基を3個以上有する芳香族ポリマレイミド樹脂がより好ましい。
【0025】
マレイミド樹脂(a1)として好ましいビスマレイミド樹脂としては、下記一般式(a1-1)で表されるマレイミド樹脂が挙げられる。
【0026】
【化2】

(式中、Xa11は2価の有機基である。)
【0027】
上記一般式(a1-1)中のXa11は、2価の有機基である。
上記一般式(a1-1)中のXa11が表す2価の有機基としては、例えば、下記一般式(a1-2)で表される2価の基、下記一般式(a1-3)で表される2価の基、下記一般式(a1-4)で表される2価の基等が挙げられる。
【0028】
【化3】

(式中、Ra11は、炭素数1~5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子である。na11は0~4の整数である。*は結合部位を表す。)
【0029】
上記一般式(a1-2)中のRa11が表す炭素数1~5の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基等の炭素数1~5のアルキル基;炭素数2~5のアルケニル基;炭素数2~5のアルキニル基などが挙げられる。炭素数1~5の脂肪族炭化水素基は、直鎖状又は分岐鎖状のいずれであってもよい。該炭素数1~5の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1~3の脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数1~3のアルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
上記一般式(a1-2)中のna11は0~4の整数であり、入手容易性の観点から、好ましくは0~2の整数、より好ましくは0又は1、さらに好ましくは0である。
a11が2以上の整数である場合、複数のRa11同士は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0030】
【化4】

(式中、Ra12及びRa13は、各々独立に、炭素数1~5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子である。Xa12は炭素数1~5のアルキレン基、炭素数2~5のアルキリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、カルボニルオキシ基、ケト基、単結合、又は下記一般式(a1-3-1)で表される2価の基である。na12及びna13は、各々独立に、0~4の整数である。*は結合部位を表す。)
【0031】
上記一般式(a1-3)中のRa12及びRa13が表す炭素数1~5の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基等の炭素数1~5のアルキル基;炭素数2~5のアルケニル基;炭素数2~5のアルキニル基などが挙げられる。炭素数1~5の脂肪族炭化水素基は、直鎖状又は分岐鎖状のいずれであってもよい。該炭素数1~5の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1~3の脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数1~3のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基がさらに好ましい。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0032】
上記一般式(a1-3)中のXa12が表す炭素数1~5のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、1,2-ジメチレン基、1,3-トリメチレン基、1,4-テトラメチレン基、1,5-ペンタメチレン基等が挙げられる。該炭素数1~5のアルキレン基としては、炭素数1~3のアルキレン基が好ましく、炭素数1又は2のアルキレン基がより好ましく、メチレン基がさらに好ましい。
【0033】
上記一般式(a1-3)中のXa12が表す炭素数2~5のアルキリデン基としては、例えば、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、ブチリデン基、イソブチリデン基、ペンチリデン基、イソペンチリデン基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数2~4のアルキリデン基が好ましく、炭素数2又は3のアルキリデン基がより好ましく、イソプロピリデン基がさらに好ましい。
【0034】
上記一般式(a1-3)中のna12及びna13は、各々独立に、0~4の整数である。
a12又はna13が2以上の整数である場合、複数のRa12同士又は複数のRa13同士は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0035】
上記一般式(a1-3)中のXa12が表す一般式(a1-3-1)で表される2価の基は以下のとおりである。
【0036】
【化5】

(式中、Ra14及びRa15は、各々独立に、炭素数1~5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子である。Xa13は炭素数1~5のアルキレン基、炭素数2~5のアルキリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、カルボニルオキシ基、ケト基又は単結合である。na14及びna15は、各々独立に、0~4の整数である。*は結合部位を表す。)
【0037】
上記一般式(a1-3-1)中のRa14及びRa15が表す炭素数1~5の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基等の炭素数1~5のアルキル基;炭素数2~5のアルケニル基;炭素数2~5のアルキニル基などが挙げられる。炭素数1~5の脂肪族炭化水素基は、直鎖状又は分岐鎖状のいずれであってもよい。該炭素数1~5の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1~3の脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数1~3のアルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0038】
上記一般式(a1-3-1)中のXa13が表す炭素数1~5のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、1,2-ジメチレン基、1,3-トリメチレン基、1,4-テトラメチレン基、1,5-ペンタメチレン基等が挙げられる。該炭素数1~5のアルキレン基としては、炭素数1~3のアルキレン基が好ましく、炭素数1又は2のアルキレン基がより好ましく、メチレン基がさらに好ましい。
【0039】
上記一般式(a1-3-1)中のXa13が表す炭素数2~5のアルキリデン基としては、例えば、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、ブチリデン基、イソブチリデン基、ペンチリデン基、イソペンチリデン基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数2~4のアルキリデン基が好ましく、炭素数2又は3のアルキリデン基がより好ましく、イソプロピリデン基がさらに好ましい。
【0040】
上記一般式(a1-3-1)中のXa13としては、上記選択肢の中でも、炭素数2~5のアルキリデン基が好ましく、炭素数2~4のアルキリデン基がより好ましく、イソプロピリデン基がさらに好ましい。
【0041】
上記一般式(a1-3-1)中のna14及びna15は、各々独立に、0~4の整数であり、入手容易性の観点から、いずれも、好ましくは0~2の整数、より好ましくは0又は1、さらに好ましくは0である。
a14又はna15が2以上の整数である場合、複数のRa14同士又は複数のRa15同士は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0042】
上記一般式(a1-3)中のXa12としては、上記選択肢の中でも、炭素数1~5のアルキレン基、炭素数2~5のアルキリデン基、上記一般式(a1-3-1)で表される2価の基が好ましく、上記一般式(a1-3-1)で表される2価の基がより好ましい。
【0043】
【化6】

(式中、Ra16及びRa17は、各々独立に、水素原子又は炭素数1~5の脂肪族炭化水素基である。na16は1~8の整数である。*は結合部位を表す。)
【0044】
上記一般式(a1-4)中のRa16及びRa17が表す炭素数1~5の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基等の炭素数1~5のアルキル基;炭素数2~5のアルケニル基;炭素数2~5のアルキニル基などが挙げられる。炭素数1~5の脂肪族炭化水素基は、直鎖状又は分岐鎖状のいずれであってもよい。
上記一般式(a1-4)中のna16は、1~8の整数であり、好ましくは1~5の整数、より好ましくは1~3の整数、さらに好ましくは1である。na16が2以上の整数である場合、複数のRa16同士又は複数のRa17同士は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0045】
以上の一般式(a1-1)で表されるマレイミド樹脂の中でも、Xa11として、上記一般式(a1-3)で表される2価の基を有するマレイミド樹脂が好ましく、上記一般式(a1-3)中のXa12として上記一般式(a1-3-1)で表される2価の基を有するマレイミド樹脂がより好ましい。
【0046】
ビスマレイミド樹脂としては、例えば、N,N’-エチレンビスマレイミド、N,N’-ヘキサメチレンビスマレイミド、N,N’-(1,3-フェニレン)ビスマレイミド、N,N’-[1,3-(2-メチルフェニレン)]ビスマレイミド、N,N’-[1,3-(4-メチルフェニレン)]ビスマレイミド、N,N’-(1,4-フェニレン)ビスマレイミド、ビス(4-マレイミドフェニル)メタン、ビス(3-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、3,3’-ジメチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス(4-マレイミドフェニル)エーテル、ビス(4-マレイミドフェニル)スルホン、ビス(4-マレイミドフェニル)スルフィド、ビス(4-マレイミドフェニル)ケトン、ビス(4-マレイミドシクロヘキシル)メタン、1,4-ビス(4-マレイミドフェニル)シクロヘキサン、1,4-ビス(マレイミドメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(マレイミドメチル)ベンゼン、1,3-ビス(4-マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-マレイミドフェノキシ)ベンゼン、ビス[4-(3-マレイミドフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]メタン、1,1-ビス[4-(3-マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,1-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,2-ビス[4-(3-マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,2-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、2,2-ビス[4-(3-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(3-マレイミドフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2-ビス[4-(3-マレイミドフェノキシ)フェニル]-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、4,4-ビス(3-マレイミドフェノキシ)ビフェニル、4,4-ビス(4-マレイミドフェノキシ)ビフェニル、ビス[4-(3-マレイミドフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス(4-マレイミドフェニル)ジスルフィド、ビス[4-(3-マレイミドフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4-(3-マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4-(3-マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-マレイミドフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4-ビス[4-(3-マレイミドフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(3-マレイミドフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)-3,5-ジメチル-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)-3,5-ジメチル-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4-ビス[4-(3-マレイミドフェノキシ)-3,5-ジメチル-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(3-マレイミドフェノキシ)-3,5-ジメチル-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、インダン骨格を有する芳香族ビスマレイミド等が挙げられる。これらの中でも、3,3’-ジメチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、2,2-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス(4-マレイミドフェニル)メタンが好ましい。
【0047】
マレイミド樹脂(a1)として好ましいポリマレイミド樹脂に関する説明は、後述する「(B)N-置換マレイミド基を3個以上有するマレイミド樹脂」に関する説明と同じであり、好ましい態様も同じである。
【0048】
(アミン化合物(a2)に由来する構造)
アミン化合物(a2)に由来する構造としては、アミン化合物(a2)が有する少なくとも1個のアミノ基がマレイミド樹脂(a1)が有するN-置換マレイミド基とマイケル付加反応してなる構造であることが好ましい。
(A)変性マレイミド樹脂中に含まれるアミン化合物(a2)に由来する構造は、1種単独であってもよく、2種以上であってもよい。
【0049】
(A)変性マレイミド樹脂中におけるアミン化合物(a2)に由来する構造の含有量は、特に限定されないが、好ましくは10~80質量%、より好ましくは20~70質量%、さらに好ましくは30~60質量%である。
(A)変性マレイミド樹脂中におけるアミン化合物(a2)に由来する構造の含有量が上記範囲内であると、誘電特性、耐熱性、難燃性及びガラス転移温度がより良好になる傾向にある。
【0050】
〔アミン化合物(a2)〕
アミン化合物(a2)は、アミノ基を1個以上有するアミン化合物であれば特に限定されない。
アミン化合物(a2)は、アミノ基を2個以上有するアミン化合物が好ましく、アミノ基を2個有するジアミン化合物がより好ましい。低熱膨張性の観点からは、アミン化合物(a2)は、アミノ基を1個以上有するシロキサン化合物が好ましく、アミノ基を2個以上有するシロキサン化合物がより好ましく、アミノ基を2個有するシロキサン化合物がさらに好ましい。
アミン化合物(a2)が有するアミノ基は、第1級アミノ基であることが好ましい。
【0051】
アミン化合物(a2)としては、下記一般式(a2-1)で表されるジアミン化合物が好ましい。
【0052】
【化7】

(式中、Xa21は2価の有機基である。)
【0053】
上記一般式(a2-1)中のXa21は、下記一般式(a2-2)で表される2価の基であることが好ましい。
【0054】
【化8】

(式中、Ra21及びRa22は、各々独立に、炭素数1~5の脂肪族炭化水素基、炭素数1~5のアルコキシ基、水酸基又はハロゲン原子である。Xa22は、炭素数1~5のアルキレン基、炭素数2~5のアルキリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、カルボニルオキシ基、ケト基、フルオレニレン基、単結合、又は下記一般式(a2-2-1)若しくは下記一般式(a2-2-2)で表される2価の基である。na21及びna22は、各々独立に、0~4の整数である。*は結合部位を表す。)
【0055】
【化9】

(式中、Ra23及びRa24は、各々独立に、炭素数1~5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子である。Xa23は炭素数1~5のアルキレン基、炭素数2~5のアルキリデン基、m-フェニレンジイソプロピリデン基、p-フェニレンジイソプロピリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、カルボニルオキシ基、ケト基又は単結合である。na23及びna24は、各々独立に、0~4の整数である。*は結合部位を表す。)
【0056】
【化10】

(式中、Ra25は、炭素数1~5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子である。Xa24及びXa25は、各々独立に、炭素数1~5のアルキレン基、炭素数2~5のアルキリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、カルボニルオキシ基、ケト基又は単結合である。na25は0~4の整数である。*は結合部位を表す。)
【0057】
上記一般式(a2-2)、上記一般式(a2-2-1)及び上記一般式(a2-2-2)中のRa21、Ra22、Ra23、Ra24及びRa25が表す炭素数1~5の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基等の炭素数1~5のアルキル基;炭素数2~5のアルケニル基;炭素数2~5のアルキニル基などが挙げられる。炭素数1~5の脂肪族炭化水素基は、直鎖状又は分岐鎖状のいずれであってもよい。該炭素数1~5の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1~3の脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数1~3のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基がさらに好ましい。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0058】
上記一般式(a2-2)中のXa22、上記一般式(a2-2-1)中のXa23並びに上記一般式(a2-2-2)中のXa24及びXa25が表す炭素数1~5のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、1,2-ジメチレン基、1,3-トリメチレン基、1,4-テトラメチレン基、1,5-ペンタメチレン基等が挙げられる。該炭素数1~5のアルキレン基としては、炭素数1~3のアルキレン基が好ましく、炭素数1又は2のアルキレン基がより好ましく、メチレン基がさらに好ましい。
【0059】
上記一般式(a2-2)中のXa22、上記一般式(a2-2-1)中のXa23、並びに上記一般式(a2-2-2)中のXa24及びXa25が表す炭素数2~5のアルキリデン基としては、例えば、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、ブチリデン基、イソブチリデン基、ペンチリデン基、イソペンチリデン基等が挙げられる。該炭素数2~5のアルキリデン基としては、炭素数2~4のアルキリデン基が好ましく、炭素数2又は3のアルキリデン基がより好ましく、イソプロピリデン基がさらに好ましい。
【0060】
上記一般式(a2-2)中のna21及びna22は、各々独立に、0~4の整数であり、入手容易性の観点から、いずれも、好ましくは0~3の整数、より好ましくは0~2の整数、さらに好ましくは0又は2である。
a21又はna22が2以上の整数である場合、複数のRa21同士又は複数のRa22同士は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0061】
上記一般式(a2-2-1)中のna23及びna24は、各々独立に、0~4の整数であり、入手容易性の観点から、いずれも、好ましくは0~2の整数、より好ましくは0又は1、さらに好ましくは0である。
a23又はna24が2以上の整数である場合、複数のRa23同士又は複数のRa24同士は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0062】
上記一般式(a2-2-2)中のna25は、0~4の整数であり、入手容易性の観点から、好ましくは0~2の整数、より好ましくは0又は1、さらに好ましくは0である。
a25が2以上の整数である場合、複数のRa25同士は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0063】
また、上記一般式(a2-1)中のXa21は、下記一般式(a2-3)で表される構造を含有する2価の基であってもよく、下記一般式(a2-4)で表される2価の基であってもよい。
【0064】
【化11】

(式中、Ra26及びRa27は、各々独立に、炭素数1~5の脂肪族炭化水素基、フェニル基又は置換フェニル基である。*は結合部位を表す。)
【0065】
【化12】

(式中、Ra26及びRa27は、上記一般式(a2-3)中のものと同じであり、Ra28及びRa29は、各々独立に、炭素数1~5の脂肪族炭化水素基、フェニル基又は置換フェニル基である。Xa26及びXa27は、各々独立に、2価の有機基であり、na26は、2~100の整数である。*は結合部位を表す。)
【0066】
上記一般式(a2-3)及び(a2-4)中のRa26~Ra29が表す炭素数1~5の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基等の炭素数1~5のアルキル基;炭素数2~5のアルケニル基;炭素数2~5のアルキニル基などが挙げられる。炭素数1~5の脂肪族炭化水素基は、直鎖状又は分岐鎖状のいずれであってもよい。該炭素数1~5の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1~3の脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数1~3のアルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
a26~Ra29が表す置換フェニル基におけるフェニル基が有する置換基としては、上記した炭素数1~5の脂肪族炭化水素基が挙げられる。
【0067】
a26及びXa27が表す2価の有機基としては、例えば、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、-O-又はこれらが組み合わされた2価の連結基等が挙げられる。
上記アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等の炭素数1~10のアルキレン基が挙げられる。
上記アルケニレン基としては、例えば、炭素数2~10のアルケニレン基が挙げられる。
上記アルキニレン基としては、例えば、炭素数2~10のアルキニレン基が挙げられる。
上記アリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基等の炭素数6~20のアリーレン基が挙げられる。
これらの中でも、Xa26及びXa27としては、アルキレン基、アリーレン基が好ましく、アルキレン基がより好ましい。
【0068】
a26は、2~100の整数であり、好ましくは2~50の整数、より好ましくは3~40の整数、さらに好ましくは5~30の整数である。na26が2以上の整数である場合、複数のRa26同士又は複数のRa27同士は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0069】
アミン化合物(a2)としては、例えば、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルケトン、4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジヒドロキシベンジジン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3’-ジメチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3-ビス〔1-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]-1-メチルエチル〕ベンゼン、1,4-ビス〔1-[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]-1-メチルエチル〕ベンゼン、4,4’-[1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4’-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、3,3’-[1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン等の芳香族ジアミン化合物;アミノ基を2個有するシロキサン化合物などが挙げられる。
なお、本明細書中、「芳香族ジアミン化合物」とは、芳香環に直接結合するアミノ基を2個有する化合物を意味する。
【0070】
これらの中でも、アミン化合物(a2)は、有機溶剤への溶解性、反応性、耐熱性、誘電特性及び低吸水性に優れるという観点から、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’-[1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、及び4,4’-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリンが好ましく、3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタンがより好ましい。また、低熱膨張性の観点からは、第1級アミノ基を2個有するシロキサン化合物が好ましい。
【0071】
第1級アミノ基を2個有するシロキサン化合物としては、第1級アミノ基を両末端に有するシロキサン化合物が好ましい。
第1級アミノ基を2個有するシロキサン化合物の第1級アミノ基当量は、特に限定されないが、好ましくは300~2,000g/mol、より好ましくは400~1,500g/mol、さらに好ましくは500~1,000g/molである。
【0072】
(A)変性マレイミド樹脂中における、アミン化合物(a2)のアミノ基由来の基の合計当量(Ta2)と、マレイミド樹脂(a1)のN-置換マレイミド基由来の基の合計当量(Ta1)との当量比(Ta2/Ta1)は、特に限定されないが、誘電特性、耐熱性、難燃性及びガラス転移温度の観点から、好ましくは0.05~10、より好ましくは1~8、さらに好ましくは3~7である。なお、上記アミン化合物(a2)のアミノ基由来の基とは、アミノ基自体も含めるものとする。また、上記マレイミド樹脂(a1)のN-置換マレイミド基由来の基とは、N-置換マレイミド基自体も含めるものとする。
【0073】
((A)変性マレイミド樹脂の製造方法)
(A)変性マレイミド樹脂は、例えば、マレイミド樹脂(a1)とアミン化合物(a2)とを有機溶剤中で反応させることによって製造することができる。
マレイミド樹脂(a1)とアミン化合物(a2)とを反応させることによって、マレイミド樹脂(a1)とアミン化合物(a2)とがマイケル付加反応してなる(A)変性マレイミド樹脂が得られる。
マレイミド樹脂(a1)とアミン化合物(a2)とを反応させる際には、必要に応じて反応触媒を使用してもよい。
【0074】
マイケル付加反応の反応温度は、反応速度等の作業性、反応中における生成物のゲル化抑制などの観点から、好ましくは50~160℃、より好ましくは60~150℃、さらに好ましくは70~140℃である。
マイケル付加反応の反応時間は、生産性及び十分に反応を進行させるという観点から、好ましくは0.5~10時間、より好ましくは1~8時間、さらに好ましくは2~6時間である。
但し、これらの反応条件は、使用する原料の種類等に応じて適宜調整することができ、特に限定されない。
【0075】
((A)変性マレイミド樹脂の含有量)
本実施形態の樹脂組成物において、(A)変性マレイミド樹脂の含有量は、特に限定されないが、本実施形態の樹脂組成物中の樹脂成分の総量(100質量%)に対して、好ましくは5~70質量%、より好ましくは10~50質量%、さらに好ましくは15~40質量%である。
(A)変性マレイミド樹脂の含有量が上記下限値以上であると、耐熱性、成形性、加工性及び導体接着性がより良好になり易い傾向にある。また、(A)変性マレイミド樹脂の含有量が上記上限値以下であると、誘電特性がより良好になり易い傾向にある。
【0076】
ここで、本明細書において、「樹脂成分」とは、樹脂及び硬化反応によって樹脂を形成する化合物を意味する。
例えば、本実施形態の樹脂組成物においては、(A)成分及び(B)成分が樹脂成分に相当する。
本実施形態の樹脂組成物が、任意成分として、上記成分以外に樹脂又は硬化反応によって樹脂を形成する化合物を含有する場合、これらの任意成分も樹脂成分に含まれる。樹脂成分に相当する任意成分としては、後述する、(C)成分、(D)成分等が挙げられる。
一方、(E)成分及び(F)成分は、樹脂成分には含まれないものとする。
【0077】
本実施形態の樹脂組成物中における樹脂成分の合計含有量は、特に限定されないが、低熱膨張性、耐熱性、難燃性及び導体接着性の観点から、本実施形態の樹脂組成物の固形分総量(100質量%)に対して、好ましくは10~60質量%、より好ましくは15~50質量%、さらに好ましくは20~40質量%である。
【0078】
<(B)ポリマレイミド樹脂>
(B)ポリマレイミド樹脂は、N-置換マレイミド基を3個以上有するマレイミド樹脂であれば、特に限定されない。
(B)ポリマレイミド樹脂は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0079】
本実施形態の樹脂組成物は、(B)成分を含有することによって、硬化物の耐デスミア性に優れるものになる。その原因の詳細は不明であるが、(B)成分を配合した樹脂組成物から形成される硬化物は、架橋構造がより複雑な立体構造を有するものになり、デスミア処理液が侵入し難くなる、或いは、分子同士の絡み合いにより溶解が抑制されること等が一因であると推測される。
【0080】
(B)ポリマレイミド樹脂が有するN-置換マレイミド基の数は、取り扱い性の観点から、6個以下であってもよく、5個以下であってもよく、4個以下であってもよい。
【0081】
(B)ポリマレイミド樹脂は、耐デスミア性、耐熱性、低熱膨張性及び弾性率の観点から、芳香環に結合するN-置換マレイミド基を3個以上有するマレイミド樹脂であることが好ましい。
芳香環に結合するN-置換マレイミド基を3個以上有するマレイミド樹脂は、芳香環以外に結合するN-置換マレイミド基を有していてもよく、有していなくてもよい。
【0082】
(B)ポリマレイミド樹脂としては、下記一般式(B-1)で表される化合物が好ましい。
【0083】
【化13】

(式中、XB1は、各々独立に、炭素数1~20の2価の炭化水素基であり、nB1は、2~5の整数である。)
【0084】
上記一般式(B-1)中のXB1が表す、炭素数1~20の2価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1~5のアルキレン基、炭素数2~5のアルキリデン基等の2価の脂肪族炭化水素基;下記一般式(B-2)で表される芳香族炭化水素基を含む2価の炭化水素基などが挙げられる。
【0085】
炭素数1~5のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、1,2-ジメチレン基、1,3-トリメチレン基、1,4-テトラメチレン基、1,5-ペンタメチレン基等が挙げられる。該炭素数1~5のアルキレン基としては、炭素数1~3のアルキレン基が好ましく、炭素数1又は2のアルキレン基がより好ましく、メチレン基がさらに好ましい。
炭素数2~5のアルキリデン基としては、炭素数2~4のアルキリデン基が好ましく、炭素数2又は3のアルキリデン基がより好ましく、イソプロピリデン基がさらに好ましい。
【0086】
【化14】

(式中、ArB1は、2価の芳香族炭化水素基であり、XB2及びXB3は、各々独立に、炭素数1~5の2価の脂肪族炭化水素基である。*は結合部位を表す。)
【0087】
上記一般式(B-2)中のXB2及びXB3が表す、炭素数1~5の2価の脂肪族炭化水素基としては、上記一般式(B-1)中のXB1として挙げられた炭素数1~5のアルキレン基、炭素数2~5のアルキリデン基等と同じものが挙げられる。これらの中でも、メチレン基が好ましい。
上記一般式(B-2)中のArB1が表す2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、アントラニレン基等が挙げられる。これらの中でも、ビフェニレン基が好ましい。ビフェニレン基としては、4,2’-ビフェニレン基、4,3’-ビフェニレン基、4,4’-ビフェニレン基、3,3’-ビフェニレン基等が挙げられ、これらの中でも、4,4’-ビフェニレン基が好ましい。
【0088】
以上の選択肢の中でも、上記一般式(B-1)中のXB1は、炭素数1~5のアルキレン基又は炭素数2~5のアルキリデン基が好ましく、メチレン基、イソプロピリデン基がより好ましく、メチレン基がさらに好ましい。
【0089】
上記一般式(B-1)中のnB1は、2~5の整数であり、好ましくは2~4の整数、より好ましくは2又は3である。
【0090】
上記一般式(B-1)で表される化合物としては、例えば、ポリフェニルメタンマレイミド、ビフェニルアラルキル型マレイミド等が挙げられる。これらの中でも、耐デスミア性、耐熱性、低熱膨張性及び弾性率の観点から、ポリフェニルメタンマレイミドが好ましい。
【0091】
((B)ポリマレイミド樹脂の含有量)
本実施形態の樹脂組成物中における(B)ポリマレイミド樹脂の含有量は、特に限定されないが、本実施形態の樹脂組成物中の樹脂成分の総量(100質量%)に対して、好ましくは5~80質量%、より好ましくは10~75質量%、さらに好ましくは20~70質量%、特に好ましくは30~65質量%である。
(B)ポリマレイミド樹脂の含有量が、上記下限値以上であると、耐デスミア性、耐熱性、低熱膨張性及び弾性率がより良好になり易い傾向にある。また、(B)ポリマレイミド樹脂の含有量が、上記上限値以下であると、樹脂組成物の流動性が向上し、成形性がより良好になり易い傾向にある。
【0092】
前記(A)成分の含有量に対する、前記(B)成分の含有量の比〔(B)成分/(A)成分〕は、質量基準で、好ましくは0.4~10、より好ましくは0.6~7、さらに好ましくは0.8~5である。
含有量の比〔(B)成分/(A)成分〕が、上記下限値以上であると、耐デスミア性、耐熱性、低熱膨張性及び弾性率がより良好になり易い傾向にある。また、含有量の比〔(B)成分/(A)成分〕が、上記上限値以下であると、樹脂組成物の流動性が向上し、成形性がより良好になり易い傾向にある。
【0093】
<(C)エポキシ樹脂>
本実施形態の樹脂組成物は、さらに、(C)エポキシ樹脂を含有することが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物が、(C)エポキシ樹脂を含有することによって、優れた耐熱性を有しながらも、導体接着性がより良好になり易い傾向にある。
(C)エポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0094】
(C)エポキシ樹脂は、例えば、グリシジルエーテルタイプのエポキシ樹脂、グリシジルアミンタイプのエポキシ樹脂、グリシジルエステルタイプのエポキシ樹脂等に分類される。これらの中でも、グリシジルエーテルタイプのエポキシ樹脂が好ましい。
【0095】
(C)エポキシ樹脂は、主骨格の違いによっても種々のエポキシ樹脂に分類される。
具体的には、エポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂等のアラルキル型エポキシ樹脂;スチルベン型エポキシ樹脂;ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;ジヒドロアントラセン型エポキシ樹脂;飽和ジシクロペンタジエン骨格を含むエポキシ樹脂;シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂;スピロ環含有エポキシ樹脂;複素環式エポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂;脂肪族鎖状エポキシ樹脂;ゴム変性エポキシ樹脂;などに分類される。これらの中でも、耐熱性の観点から、ナフタレン構造を含有するエポキシ樹脂が好ましい。
【0096】
(C)エポキシ樹脂のエポキシ基当量は、特に限定されないが、耐熱性及び導体接着性の観点から、好ましくは80~600g/mol、より好ましくは100~400g/mol、さらに好ましくは120~300g/molである。
【0097】
((C)エポキシ樹脂の含有量)
本実施形態の樹脂組成物が(C)エポキシ樹脂を含有する場合、本実施形態の樹脂組成物中における(C)エポキシ樹脂の含有量は、特に限定されないが、耐デスミア性、耐熱性、低熱膨張性、弾性率及び導体接着性の観点から、本実施形態の樹脂組成物中の樹脂成分の総量(100質量%)に対して、好ましくは1~50質量%、より好ましくは5~40質量%、さらに好ましくは10~35質量%である。
【0098】
<(D)硬化剤>
本実施形態の樹脂組成物は、さらに、(D)硬化剤を含有することが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物が、(D)硬化剤を含有することによって、耐デスミア性及び耐熱性がより良好になり易い傾向にある。
(D)硬化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0099】
(D)硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジエチル-ジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、フェニレンジアミン、キシレンジアミン等の芳香族アミン類;ヘキサメチレンジアミン、2,5-ジメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族アミン類;メラミン、ベンゾグアナミン等のグアナミン化合物;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂、ビフェニル変性ナフトール樹脂、アミノトリアジンノボラック樹脂等のフェノール樹脂;p-d型ベンゾオキサジン等のベンゾオキサジン化合物;無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、無水マレイン酸共重合体等の酸無水物などが挙げられる。これらの中でも、芳香族アミン類、ベンゾオキサジン化合物が好ましい。
【0100】
((D)硬化剤の含有量)
本実施形態の樹脂組成物が(D)硬化剤を含有する場合、本実施形態の樹脂組成物中における(D)硬化剤の含有量は、特に限定されないが、耐デスミア性、耐熱性、低熱膨張性、弾性率及び導体接着性の観点から、本実施形態の樹脂組成物中の樹脂成分の総量(100質量%)に対して、好ましくは1~40質量%、より好ましくは5~35質量%、さらに好ましくは10~30質量%である。
【0101】
<(E)硬化促進剤>
本実施形態の樹脂組成物は、さらに、(E)硬化促進剤を含有することが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、(E)硬化促進剤を含有することによって硬化性が向上し、より優れた誘電特性、耐熱性及び導体接着性が得られ易い傾向にある。
(E)硬化促進剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0102】
(E)硬化促進剤としては、例えば、p-トルエンスルホン酸等の酸性触媒;トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、ジシアンジアミド等のアミン化合物;メチルイミダゾール、フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテート等のイミダゾール化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート樹脂と2-エチル-4-メチルイミダゾールの付加反応物等のイソシアネートマスクイミダゾール化合物;第4級アンモニウム化合物;トリフェニルホスフィン等のリン系化合物;ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、α,α’-ビス(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン等の有機過酸化物;マンガン、コバルト、亜鉛等のカルボン酸塩などが挙げられる。
【0103】
((E)硬化促進剤の含有量)
本実施形態の樹脂組成物が(E)硬化促進剤を含有する場合、本実施形態の樹脂組成物中における(E)硬化促進剤の含有量は、特に限定されないが、適度な硬化速度が得られ易いという観点から、本実施形態の樹脂組成物中の樹脂成分の総量(100質量%)に対して、好ましくは0.01~10質量%、より好ましくは0.05~5質量%、さらに好ましくは0.1~1質量%である。
【0104】
<(F)無機充填材>
本実施形態の樹脂組成物は、さらに、(F)無機充填材を含有することが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、(F)無機充填材を含有することによって、より優れた低熱膨張性及び耐熱性が得られ易い傾向にある。
(F)無機充填材は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0105】
(F)無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、マイカ、ベリリア、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、炭酸アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、クレー、タルク、ホウ酸アルミニウム、炭化ケイ素等が挙げられる。これらの中でも、低熱膨張性、耐熱性及び難燃性の観点から、シリカ、アルミナ、マイカ、タルクが好ましく、シリカ、アルミナがより好ましく、シリカがさらに好ましい。
【0106】
シリカとしては、例えば、湿式法で製造された含水率が高い沈降シリカと、乾式法で製造された結合水等をほとんど含まない乾式法シリカ等が挙げられる。乾式法シリカとしては、さらに、製造法の違いによって、例えば、破砕シリカ、フュームドシリカ、溶融シリカ等が挙げられる。これらの中でも、分散性及び成形性の観点から、溶融シリカが好ましい。
【0107】
(F)無機充填材の平均粒子径(D50)は、特に限定されないが、(F)無機充填材の分散性及び微細配線性の観点から、好ましくは0.01~20μm、より好ましくは0.1~10μm、さらに好ましくは0.2~1μm、特に好ましくは0.3~0.8μmである。
なお、本明細書において(F)無機充填材の平均粒子径(D50)は、粒子の全体積を100%として粒子径による累積度数分布曲線を求めたとき、体積50%に相当する点の粒子径のことである。(F)無機充填材の平均粒子径は、例えば、レーザー回折散乱法を用いた粒度分布測定装置等で測定することができる。
(F)無機充填材の形状としては、例えば、球状、破砕状等が挙げられ、球状が好ましい。
【0108】
本実施形態の樹脂組成物には、(F)無機充填材の分散性及び(F)無機充填材と有機成分との密着性を向上させる目的で、カップリング剤を用いてもよい。カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤等が挙げられる。
【0109】
((F)無機充填材の含有量)
本実施形態の樹脂組成物が(F)無機充填材を含有する場合、本実施形態の樹脂組成物中における(F)無機充填材の含有量は、特に限定されないが、低熱膨張性、耐熱性、成形性及び導体接着性の観点から、樹脂組成物の固形分総量(100質量%)に対して、好ましくは40~90質量%、より好ましくは50~85質量%、さらに好ましくは60~80質量%である。
【0110】
<その他の成分>
本実施形態の樹脂組成物は、さらに必要に応じて、上記各成分以外の樹脂材料、難燃剤、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、滑剤、シランカップリング剤、有機溶剤及びこれら以外の添加剤からなる群から選択される1種以上の任意成分を含有していてもよい。
上記の任意成分は、各々について、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の樹脂組成物中における上記の任意成分の含有量は特に限定されず、必要に応じて、本実施形態の効果を阻害しない範囲で使用すればよい。
また、本実施形態の樹脂組成物は、所望する性能に応じて、上記の任意成分を含有しないものであってもよい。
【0111】
(有機溶剤)
本実施形態の樹脂組成物は、取り扱いを容易にするという観点及び後述するプリプレグを製造し易くするという観点から、有機溶剤を含有していてもよい。
有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本明細書中、有機溶剤を含有する樹脂組成物を、樹脂ワニスと称することがある。
【0112】
有機溶剤としては、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤;トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等の窒素原子含有溶剤;ジメチルスルホキシド等の硫黄原子含有溶剤;γ-ブチロラクトン等のエステル系溶剤などが挙げられる。
これらの中でも、溶解性の観点から、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、窒素原子含有溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が好ましく、芳香族炭化水素系溶剤がより好ましく、トルエンがさらに好ましい。
【0113】
<樹脂組成物の製造方法>
本実施形態の樹脂組成物は、上記各成分を混合することによって製造することができる。
各成分を混合する際には、各成分は撹拌しながら溶解又は分散させてもよい。また、原料を混合する順序、混合温度、混合時間等の条件は、特に限定されず、原料の種類等に応じて任意に設定すればよい。
【0114】
[プリプレグ]
本実施形態のプリプレグは、本実施形態の樹脂組成物又は前記樹脂組成物の半硬化物を含有するプリプレグである。
本実施形態のプリプレグは、例えば、本実施形態の樹脂組成物又は前記樹脂組成物の半硬化物と、シート状繊維基材と、を含有するものである。
【0115】
本実施形態のプリプレグが含有するシート状繊維基材としては、例えば、各種の電気絶縁材料用積層板に用いられている公知のシート状繊維基材を使用することができる。
シート状繊維基材の材質としては、例えば、Eガラス、Dガラス、Sガラス、Qガラス等の無機物繊維;ポリイミド、ポリエステル、テトラフルオロエチレン等の有機繊維;これらの混合物などが挙げられる。これらのシート状繊維基材は、例えば、織布、不織布、ロービンク、チョップドストランドマット、サーフェシングマット等の形状を有する。
【0116】
本実施形態のプリプレグは、例えば、本実施形態の樹脂組成物を、シート状繊維基材に含浸又は塗布してから、加熱乾燥してB-ステージ化することによって製造することができる。
加熱乾燥の温度及び時間は、特に限定されないが、生産性及び本実施形態の樹脂組成物を適度にB-ステージ化させるという観点から、例えば、50~200℃、1~30分間とすることができる。
【0117】
本実施形態のプリプレグ中の樹脂組成物の含有量は、特に限定されないが、積層板とした際に、より良好な成形性が得られ易いという観点から、好ましくは20~90質量%、より好ましくは25~80質量%、さらに好ましくは30~75質量%である。
【0118】
[樹脂フィルム]
本実施形態の樹脂フィルムは、本実施形態の樹脂組成物又は前記樹脂組成物の半硬化物を含有する樹脂フィルムである。
本実施形態の樹脂フィルムは、例えば、有機溶剤を含有する本実施形態の樹脂組成物、つまり樹脂ワニスを支持体に塗布してから、加熱乾燥させることによって製造することができる。
支持体としては、例えば、プラスチックフィルム、金属箔、離型紙等が挙げられる。
加熱乾燥の温度及び時間は、特に限定されないが、生産性及び本実施形態の樹脂組成物を適度にB-ステージ化させるという観点から、50~200℃、1~30分間とすることができる。
【0119】
本実施形態の樹脂フィルムは、プリント配線板を製造する場合において、絶縁層を形成するために用いられることが好ましい。
【0120】
[積層板]
本実施形態の積層板は、本実施形態の樹脂組成物の硬化物と、金属箔と、を有する積層板である。
なお、金属箔を有する積層板は、金属張積層板と称されることもある。
【0121】
金属箔の金属としては、特に限定されず、例えば、銅、金、銀、ニッケル、白金、モリブデン、ルテニウム、アルミニウム、タングステン、鉄、チタン、クロム、これらの金属元素を1種以上含有する合金等が挙げられる。
【0122】
本実施形態の積層板は、例えば、本実施形態のプリプレグの片面又は両面に金属箔を配置してから、加熱加圧成形することによって製造することができる。
通常、この加熱加圧成形によって、B-ステージ化されたプリプレグを硬化させて本実施形態の積層板が得られる。
加熱加圧成形する際、プリプレグは1枚のみを用いてもよいし、2枚以上のプリプレグを積層させてもよい。
加熱加圧成形は、例えば、多段プレス、多段真空プレス、連続成形、オートクレーブ成形機等を使用することができる。
加熱加圧成形の条件は、特に限定されないが、例えば、温度100~300℃、時間10~300分間、圧力1.5~5MPaとすることができる。
【0123】
[プリント配線板]
本実施形態のプリント配線板は、本実施形態の樹脂組成物の硬化物を有するプリント配線板である。
本実施形態のプリント配線板は、例えば、本実施形態のプリプレグの硬化物、本実施形態の樹脂フィルムの硬化物及び積層板からなる群から選択される1種以上に対して、公知の方法によって、導体回路形成を行うことによって製造することができる。また、さらに必要に応じて多層化接着加工を施すことによって、多層プリント配線板を製造することもできる。導体回路は、例えば、穴開け加工、金属めっき加工、金属箔のエッチング等を適宜施すことによって形成することができる。
【0124】
[半導体パッケージ]
本実施形態の半導体パッケージは、本実施形態のプリント配線板と、半導体素子と、を有する半導体パッケージである。
本実施形態の半導体パッケージは、例えば、本実施形態のプリント配線板に、公知の方法によって、半導体チップ、メモリ等を搭載することによって製造することができる。
【実施例
【0125】
以下、実施例を挙げて、本実施形態を具体的に説明する。ただし、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。
【0126】
なお、各例において、数平均分子量(Mn)は以下の方法によって測定した。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレンを用いた検量線から換算した。検量線は、標準ポリスチレン:TSKstandard POLYSTYRENE(Type;A-2500、A-5000、F-1、F-2、F-4、F-10、F-20、F-40)[東ソー株式会社製、商品名]を用いて3次式で近似した。GPCの測定条件を、以下に示す。
装置:
ポンプ:L-6200型[株式会社日立ハイテクノロジーズ製]
検出器:L-3300型RI[株式会社日立ハイテクノロジーズ製]
カラムオーブン:L-655A-52[株式会社日立ハイテクノロジーズ製]
カラム:ガードカラム;TSK Guardcolumn HHR-L+カラム;TSKgel G4000HHR+TSKgel G2000HHR(すべて東ソー株式会社製、商品名)
カラムサイズ:6.0×40mm(ガードカラム)、7.8×300mm(カラム)
溶離液:テトラヒドロフラン
試料濃度:30mg/5mL
注入量:20μL
流量:1.00mL/分
測定温度:40℃
【0127】
[製造例1~5:変性マレイミド樹脂A-A~A-Eの製造]
温度計、撹拌装置及び還流冷却管付き水分定量器を備えた加熱及び冷却可能な容積5リットルの反応容器に、プロピレングリコールモノメチルエーテル60質量部、及び表1に記載の各成分を、表1に記載の原料組成に従って投入した。得られた溶液を、還流させながら2時間反応させることによって、固形分濃度が40質量%の変性マレイミド樹脂A-A~A-Eの溶液を各々得た。なお、表1の原料組成に記載の数値の単位は質量部である。
【0128】
実施例1~10、比較例1
(樹脂組成物の製造)
表2に記載の各成分を表2に記載の配合組成に従って配合し、トルエン58質量部及びメチルイソブチルケトン10質量部と共に、室温(25℃)で撹拌及び混合して、固形分濃度55~65質量%の樹脂組成物を製造した。なお、表2の配合組成に記載の数値の単位は質量部であり、溶液の場合は、固形分換算の質量部を意味する。
【0129】
(両面銅張積層板の製造)
上記で得た樹脂組成物を、厚さ0.1mmのガラスクロス(Tガラス、日東紡績株式会社製)に塗工した後、130℃で5分間加熱乾燥して、樹脂組成物の含有量が約50質量%のプリプレグを作製した。このプリプレグを4枚重ね、その上下に、厚さ12μmの銅箔(三井金属株式会社製、商品名「3EC-M3-VLP-12」、M面のRz:3.0μm)を、M面がプリプレグに接するように配置した。この積層体を、温度240℃、圧力3.0MPa、時間90分間の条件で加熱加圧成形して、両面銅張積層板(厚さ:0.43mm)を製造した。
【0130】
[評価方法]
各例で得られた両面銅張積層板を用いて、下記方法に従って各評価を行った。結果を表2に示す。
【0131】
(銅箔ピール強度の測定)
各例で得た両面銅張積層板の銅箔をエッチングによって3mm幅の直線ライン状に加工したものを試験片とした。形成した直線ライン状の銅箔を小型卓上試験機(株式会社島津製作所製、商品名「EZ-TEST」)に取り付け、JIS C 6481:1996に準拠して、室温(25℃)にて、90°方向に引き剥がすことによって銅箔ピール強度を測定した。なお、銅箔を引き剥がす際の引っ張り速度は50mm/minとした。
【0132】
(ガラス転移温度及び熱膨張係数の測定)
各例で得た両面銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することによって、銅箔を取り除き、5mm角の試験片を準備した。この試験片を用いて、熱機械測定装置(TMA)[ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製、Q400(型番)]により、IPC(The Institute for Interconnecting and Packaging Electronic Circuits)規格に準拠して、ガラス転移温度及び熱膨張係数を測定した。なお、表2に記載の熱膨張係数は、板平面方向の熱膨張係数であり、温度範囲30~100℃の熱膨張係数を平均した値を意味する。熱膨張係数は、7.0ppm/℃以下であると十分な低熱膨張性が得られていると判断した。
【0133】
(50℃引張弾性率E’の測定)
各例で得た両面銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することによって、銅箔を取り除いた4mm×40mmの試験片を準備した。この試験片を用いて、広域粘弾性測定装置(DMA)[ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製、Q800(型番)]を用い、スパン間を20mm、周波数を10Hz、振動変位5μmの条件で、50℃における引張弾性率E’を測定した。
【0134】
(デスミア重量減少量の測定)
各例で得た両面銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することによって、銅箔を取り除いた40mm×40mmの評価基板を準備した。この評価基板を、膨潤処理液「スウェリングディップセキュリガントP」(アトテックジャパン株式会社製)を用いて70℃で5分間処理した。次いで、室温で2分間水洗してから、粗化液「コンセントレートコンパクトCP」(アトテックジャパン株式会社製)を用いて80℃で10分間又は15分間処理して粗化を行った。その後、50℃で2分間水洗した後、中和液「リダクションソリューションセキュリガントP500」(アトテックジャパン株式会社製)を用いて40℃で5分間中和処理し、室温で5分間水洗してから乾燥した。
デスミア重量減少量は、デスミア処理前の乾燥重量と、デスミア処理後の乾燥重量との差(デスミア処理前の乾燥重量-デスミア処理後の乾燥重量)から算出した。
【0135】
【表1】
【0136】
【表2】
【0137】
なお、表1及び表2における各材料の詳細は、以下の通りである。
[表1中のマレイミド樹脂(a1)及び表2中の(B)成分]
・ポリフェニルメタンマレイミド:大和化成工業株式会社製、商品名「BMI-2300」、上記一般式(B-1)で表される化合物であり、XB1がメチレン基である。
【0138】
・ビフェニルアラルキル型マレイミド:日本化薬株式会社製、商品名「MIR-3000」、上記一般式(B-1)で表される化合物であり、XB1が上記一般式(B-2)においてXB2及びXB3がメチレン基かつArB1が4,4’-ビフェニレン基である2価の炭化水素基である。
【0139】
[アミン化合物(a2)]
・両末端に第1級アミノ基を有するポリジメチルシロキサン:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、商品名「XF42-C5379」、第1級アミノ基当量740g/mol
【0140】
[(A)成分]
・変性マレイミド樹脂A-A~A-E:製造例1~5で製造した変性マレイミド樹脂A-A~A-E
【0141】
[(C)成分]
・ナフトールクレゾールノボラック型エポキシ樹脂:エポキシ基当量:230g/mol、日本化薬株式会社製、商品名「NC-7000L」
・ナフタレン型エポキシ樹脂1:エポキシ基当量:250g/mol、DIC株式会社製、商品名「HP-6000」
・ナフタレン型エポキシ樹脂2:エポキシ基当量:143g/mol、DIC株式会社製、商品名「HP-4032SS」
・ナフタレン型エポキシ樹脂3:エポキシ基当量:230g/mol、DIC株式会社製、商品名「HP-9540」
・ナフタレン型エポキシ樹脂4:DIC株式会社製、商品名「EXA-7311-G4」
【0142】
[(D)成分]
・P-d型ベンゾオキサジン:3,3’-(メチレン-1,4-ジフェニレン)ビス(3,4-ジヒドロ-2H-1,3-ベンゾオキサジン)
【0143】
[(E)成分]
・G-8009L:ヘキサメチレンジイソシアネート樹脂と2-エチル-4-メチルイミダゾールの付加反応物
【0144】
[(F)成分]
・溶融シリカ;平均粒子径(D50):0.5μm
【0145】
表2に示した結果から、本実施形態の実施例1~10の樹脂組成物から形成された硬化物は、(B)成分を含有しない比較例1の樹脂組成物から形成された硬化物よりも、デスミア重量減少量が小さく、耐デスミア性に優れていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0146】
本実施形態の樹脂組成物から作製される硬化物は、耐デスミア性に優れるため、該樹脂組成物を用いて得られるプリプレグ、積層板、プリント配線板、半導体パッケージ等は、特に高周波信号を扱う電子部品用途に好適である。