(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】研磨ヘッドシステムおよび研磨装置
(51)【国際特許分類】
B24B 37/30 20120101AFI20240709BHJP
B24B 37/005 20120101ALI20240709BHJP
B24B 37/32 20120101ALI20240709BHJP
B24B 49/10 20060101ALI20240709BHJP
B24B 49/12 20060101ALI20240709BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
B24B37/30 E
B24B37/005 A
B24B37/32
B24B49/10
B24B49/12
H01L21/304 622K
(21)【出願番号】P 2020006393
(22)【出願日】2020-01-17
【審査請求日】2022-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】小畠 厳貴
(72)【発明者】
【氏名】安田 穂積
(72)【発明者】
【氏名】矢内 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】高橋 信行
(72)【発明者】
【氏名】中村 貴正
(72)【発明者】
【氏名】坂田 桂介
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 暢行
(72)【発明者】
【氏名】八木 裕治
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 和英
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-006002(JP,A)
【文献】特開2000-246628(JP,A)
【文献】特開平11-165256(JP,A)
【文献】米国特許第05888120(US,A)
【文献】特開2017-047503(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/30
B24B 37/005
B24B 37/32
B24B 49/10
B24B 49/12
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピースを研磨パッドの研磨面に対して押し付けながら、研磨液の存在下において、該ワークピースと前記研磨面とを相対運動をさせることで該ワークピースを研磨するための研磨ヘッドシステムであって、
前記ワークピースの複数の領域にそれぞれ対応し、かつ前記複数の領域に対して押付力を加える複数の圧電素子を有する研磨ヘッドと、
前記複数の圧電素子に独立に電圧を印加する電源部および電圧制御部を備えた駆動電圧印加装置と、
前記ワークピースの現在の膜厚プロファイルと目標膜厚プロファイルとの差をなくすために必要な電圧を前記複数の圧電素子に印加
するための複数の指令値を決定するように構成された動作制御部と、
前記ワークピースの前記複数の領域に圧縮気体の圧力を加えるための圧力室を前記研磨ヘッド内
に形成する弾性膜と、
前記圧力室に連通
し、前記圧縮気体を前記圧力室に供給するための圧縮気体供給ライン
と、
前記圧力室内に真空を形成するための真空ラインを備え、
前記研磨ヘッドは、前記複数の圧電素子にそれぞれ連結された複数の押付部材をさらに備え、前記複数の押付部材は、前記複数の圧電素子にそれぞれ対向する複数の第一の面と、前記ワークピースを押し付けるための複数の第二の面を有しており、
前記圧力室は、前記複数の押付部材と前記弾性膜との間に位置して
おり、
前記圧力室内に真空が形成されたときに、前記複数の押付部材は前記弾性膜に接触する、研磨ヘッドシステム。
【請求項2】
前記複数の圧電素子は、前記研磨ヘッドの径方向および周方向に沿って分布している、請求項1に記載の研磨ヘッドシステム。
【請求項3】
前記複数の圧電素子は、格子状、同心円状、千鳥状配置のいずれか1つまたはその組み合わせで前記研磨ヘッド内に配置されている、請求項1に記載の研磨ヘッドシステム。
【請求項4】
前記複数の第二の面の形状は、円形、楕円形、多角形、円弧形の少なくとも1つからなる、請求項1に記載の研磨ヘッドシステム。
【請求項5】
前記複数の第一の面の面積は前記複数の第二の面の面積よりも大きい、請求項1に記載の研磨ヘッドシステム。
【請求項6】
1つの押付部材に少なくとも2つの圧電素子が連結されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の研磨ヘッドシステム。
【請求項7】
前記研磨ヘッドは、前記複数の押付部材を限られた範囲内で移動可能に保持する保持部材をさらに備えている、請求項1に記載の研磨ヘッドシステム。
【請求項8】
前記保持部材は、前記複数の押付部材の、前記ワークピースの押付方向と垂直な方向の移動範囲を制限するように構成されている、請求項7記載の研磨ヘッドシステム。
【請求項9】
前記複数の押付部材は、全方向に傾動可能な複数の可動部材を有する複数のジンバル機構をそれぞれ備えており、前記複数の可動部材は前記複数の第二の面をそれぞれ有している、請求項1に記載の研磨ヘッドシステム。
【請求項10】
ワークピースを研磨パッドの研磨面に対して押し付けながら、研磨液の存在下において、該ワークピースと前記研磨面とを相対運動をさせることで該ワークピースを研磨するための研磨ヘッドシステムであって、
前記ワークピースの複数の領域にそれぞれ対応し、かつ前記複数の領域に対して押付力を加える複数の圧電素子を有する研磨ヘッドと、
前記複数の圧電素子に独立に電圧を印加する電源部および電圧制御部を備えた駆動電圧印加装置と、
前記ワークピースの現在の膜厚プロファイルと目標膜厚プロファイルとの差をなくすために必要な電圧を前記複数の圧電素子に印加
するための複数の指令値を決定するように構成された動作制御部と、
前記複数の圧電素子に圧縮気体の圧力を加えるための圧力室を前記研磨ヘッド内
に形成する弾性シートと、
前記圧力室に連通
し、前記圧縮気体を前記圧力室に供給するための圧縮気体供給ラインを備え、
前記研磨ヘッドは、前記複数の圧電素子にそれぞれ連結された複数の押付部材
と、前記複数の押付部材を保持する保持部材をさらに備え、前記複数の押付部材は、前記複数の圧電素子にそれぞれ対向する複数の第一の面と、前記ワークピースを押し付けるための複数の第二の面を有しており、
前記
複数の圧電素子は、前記弾性シートと前記複数の押付部材との間に位置して
おり、
前記圧縮気体が前記圧力室に供給されたとき、前記圧力室内の前記圧縮気体の圧力は前記複数の圧電素子、前記複数の押付部材、および前記保持部材を介して前記ワークピースに加えられる、研磨ヘッドシステム。
【請求項11】
前記研磨ヘッドは、前記複数の圧電素子がそれぞれ発生した複数の押付力を測定する複数の押付力測定装置をさらに備えている、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の研磨ヘッドシステム。
【請求項12】
前記複数の押付力測定装置は、前記複数の圧電素子と前記複数の押付部材との間に配置されている、請求項11に記載の研磨ヘッドシステム。
【請求項13】
前記複数の押付力測定装置は、複数の圧電センサである、請求項11または12に記載の研磨ヘッドシステム。
【請求項14】
前記研磨ヘッドは、電圧分配器をさらに有しており、
前記電圧分配器は、前記駆動電圧印加装置および前記複数の圧電素子に電気的に接続されており、前記駆動電圧印加装置から印加された電圧を該複数の圧電素子に分配するように構成されている、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の研磨ヘッドシステム。
【請求項15】
前記電圧分配器は、前記駆動電圧印加装置から印加された電圧を前記複数の圧電素子に分配する分岐装置と、前記分岐装置および前記駆動電圧印加装置に接続された通信装置を有する、請求項14に記載の研磨ヘッドシステム。
【請求項16】
前記電圧分配器は、前記複数の圧電素子と接触する複数のプランジャと、前記複数のプランジャと前記分岐装置とを電気的に接続する電力分配線をさらに有する、請求項15に記載の研磨ヘッドシステム。
【請求項17】
前記電圧分配器は、前記研磨ヘッドに着脱可能に取り付けられる、請求項14乃至16のいずれか一項に記載の研磨ヘッドシステム。
【請求項18】
前記研磨ヘッドは、前記複数の圧電素子の温度を測定する温度測定器をさらに有する、請求項1乃至17のいずれか一項に記載の研磨ヘッドシステム。
【請求項19】
前記研磨ヘッドシステムは、前記研磨ヘッドのワークピース接触面に連通する真空ラインをさらに備えている、請求項1乃至18のいずれか一項に記載の研磨ヘッドシステム。
【請求項20】
前記研磨ヘッドは、
前記複数の圧電素子の外側に位置するリテーナリングと、
前記リテーナリングに固定された少なくとも3つのワークピースチャック機構をさらに備えている、請求項1乃至19のいずれか一項に記載の研磨ヘッドシステム。
【請求項21】
前記電源部は、直流電源である、請求項1乃至20のいずれか一項に記載の研磨ヘッドシステム。
【請求項22】
ワークピースの研磨装置であって、
研磨パッドを保持する研磨テーブルと、
研磨液を前記研磨パッド上に供給する研磨液供給ノズルと、
請求項1乃至21のいずれか一項に記載の研磨ヘッドシステムを備える、研磨装置。
【請求項23】
前記研磨装置は、前記ワークピースの膜厚を測定する膜厚センサをさらに備えており、前記膜厚センサは前記研磨テーブル内に配置されており、
前記動作制御部は、前記膜厚センサにより取得された前記ワークピースの膜厚の測定値から膜厚プロファイルを作成し、該膜厚プロファイルをもとに、前記複数の圧電素子に印加すべき電圧の複数の指令値を決定するように構成されている、請求項22に記載の研磨装置。
【請求項24】
前記動作制御部は、前記膜厚プロファイルと目標膜厚プロファイルとの差をもとに、前記複数の圧電素子に印加すべき電圧の複数の指令値を決定するように構成されている、請求項23に記載の研磨装置。
【請求項25】
前記研磨装置は、前記ワークピースを前記研磨ヘッドに保持させるためのロード・アンロード装置をさらに備えている、請求項22乃至24のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項26】
ワークピースを研磨する研磨システムであって、
請求項22乃至25のいずれか一項に記載の研磨装置と、
研磨後に前記ワークピースを洗浄する洗浄装置と、
洗浄後に前記ワークピースを乾燥させる乾燥装置と、
前記研磨装置、前記洗浄装置、および前記乾燥装置間で前記ワークピースを搬送する搬送機構を有する、研磨システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハ、基板、パネルなどのワークピースを研磨パッドの研磨面に押し付けて該ワークピースを研磨する研磨ヘッドシステムに関する。また、本発明は、そのような研磨ヘッドシステムを備えた研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造では、ウェーハ上に様々な種類の膜が形成される。配線・コンタクトの形成工程では、成膜工程の後には、膜の不要な部分や表面凹凸を除去するために、ウェーハが研磨される。化学機械研磨(CMP)は、ウェーハ研磨の代表的な技術である。このCMPは、研磨面上に研磨液を供給しながら、ウェーハを研磨面に摺接させることにより行われる。ウェーハに形成された膜は、研磨液に含まれる砥粒または研磨パッドによる機械的作用と、研磨液の化学成分による化学的作用との複合により研磨される。
【0003】
図32は、CMPに使用される従来の研磨ヘッドを示す断面図である。研磨ヘッド400は、キャリア401の下面に保持された弾性膜402を有している。この弾性膜402は、同心状の複数の円環壁402a~402dを有している。これら円環壁402a~402dは、弾性膜402の内側の空間を複数の圧力室405A~405Dに分割する。これら圧力室405A~405Dには圧縮気体が供給される。弾性膜402は、それぞれの圧力室405A~405Dを満たす圧縮気体の圧力を受け、ウェーハWを研磨パッド500の研磨面500aに対して押し付けることができる。複数の圧力室405A~405Dは、複数の圧力レギュレータR1~R4にそれぞれ連通している。これらの圧力レギュレータR1~R4は、対応する圧力室405A~405D内の圧縮気体の圧力を独立に制御することが可能であり、これにより研磨ヘッド400は、ウェーハWの異なる領域を異なる押圧力で押し付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
昨今の半導体デバイスの製造における各工程への要求精度は既に数nmのオーダに達しており、CMPもその例外ではない。また、半導体集積回路の形成の高集積化に伴い、微細化、多層化がますます加速されている。よって、これらの微細化や多層化を実現するには、CMP研磨においても、ウェーハWの全面において、数nmオーダでのCMP研磨後の残膜厚ばらつきに収めることが課題として求められている。本要求を達成するためには、ウェーハW面内方向に対し、例えばチップサイズレベルの分解能の膜厚プロファイルの制御が可能な研磨方式が必要となる。
【0006】
ここで、ウェーハWに膜を形成する工程は、めっき、化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)などの種々の成膜技術を用いて行われる。これらの成膜技術では、ウェーハWの全面に亘って膜が均一に形成されないことがある。例えば、ウェーハWの周方向に沿って膜厚のばらつきがあることもある。
【0007】
また、
図32に示す従来の研磨ヘッド400は、ウェーハWの半径方向に沿った押圧力を独立に変化させることができるので、ウェーハWの半径方向の膜厚プロファイルを制御することは可能である。しかしながら、圧力室405A~405Dの配置は同心状であるので、上述した研磨ヘッド400は、ウェーハWの周方向に沿った押圧力を制御することができず、ウェーハWの周方向における膜厚プロファイルを制御することができない。これに対しては、圧力室の分割を周方向にも行う方法もあるが、その実現においては、圧力室の寸法および各圧力室への圧縮気体の供給ライン数に実質制限があるため、例えばウェーハW面内に形成されたチップサイズレベルの分解能の膜厚プロファイルの制御は困難である。
【0008】
そこで、本発明は、上記課題を鑑み、ウェーハ、基板、パネルなどのワークピースの膜厚プロファイルを精密に制御することができる研磨ヘッドシステムを提供する。また、本発明は、そのような研磨ヘッドシステムを備えた研磨装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様では、ワークピースを研磨面に対して押し付けながら、研磨液の存在下において、該ワークピースと前記研磨面とを相対運動をさせることで該ワークピースを研磨するための研磨ヘッドシステムであって、前記ワークピースの複数の領域に対して押付力を加える複数のアクチュエータを有する研磨ヘッドと、前記複数のアクチュエータを動作させる駆動源と、前記駆動源に対して複数の指令値を決定かつ送信する動作制御部と、を備える、研磨ヘッドシステムが提供される。
【0010】
一態様では、前記複数のアクチュエータは、複数の圧電素子であり、前記駆動源は、前記複数の圧電素子に独立に電圧を印加する電源部および電圧制御部を備えた駆動電圧印加装置であり、前記動作制御部は、前記複数の圧電素子に印加すべき電圧の複数の指令値を決定するように構成されている。
一態様では、前記複数の圧電素子は、前記研磨ヘッドの径方向および周方向に沿って分布している。
一態様では、前記複数の圧電素子は、格子状、同心円状、千鳥状配置のいずれか1つまたはその組み合わせで前記研磨ヘッド内に配置されている。
一態様では、前記研磨ヘッドは、前記複数の圧電素子にそれぞれ連結された複数の押付部材をさらに備え、前記複数の押付部材は、前記複数の圧電素子にそれぞれ対向する複数の第一の面と、前記ワークピースを押し付けるための複数の第二の面を有している。
一態様では、前記複数の第二の面の形状は、円形、楕円形、多角形、円弧形の少なくとも1つからなる。
一態様では、前記複数の第一の面の面積は前記複数の第二の面の面積よりも大きい。
一態様では、1つの押付部材に少なくとも2つの圧電素子が連結されている。
【0011】
一態様では、前記研磨ヘッドは、前記複数の押付部材を限られた範囲内で移動可能に保持する保持部材をさらに備えている。
一態様では、前記保持部材は、前記複数の押付部材の、前記ワークピースの押付方向と垂直な方向の移動範囲を制限するように構成されている。
一態様では、前記複数の押付部材は、全方向に傾動可能な複数の可動部材を有する複数のジンバル機構をそれぞれ備えており、前記複数の可動部材は前記複数の第二の面をそれぞれ有している。
一態様では、前記研磨ヘッドは、ワークピース接触面を有する弾性膜をさらに備えている。
一態様では、前記研磨ヘッドシステムは、前記研磨ヘッド内に圧力室を形成する弾性膜と、前記圧力室に連通する圧縮気体供給ラインをさらに備え、前記圧力室は、前記複数の押付部材と前記弾性膜との間に位置している。
一態様では、前記研磨ヘッドシステムは、前記研磨ヘッド内に圧力室を形成する弾性シートと、前記圧力室に連通する圧縮気体供給ラインをさらに備え、前記圧電素子は、前記弾性シートと前記複数の押付部材との間に位置している。
【0012】
一態様では、前記研磨ヘッドは、前記複数の圧電素子がそれぞれ発生した複数の押付力を測定する複数の押付力測定装置をさらに備えている。
一態様では、前記複数の押付力測定装置は、前記複数の圧電素子と前記複数の押付部材との間に配置されている。
一態様では、前記複数の押付力測定装置は、複数の圧電センサである。
一態様では、前記研磨ヘッドは、電圧分配器をさらに有しており、前記電圧分配器は、前記駆動電圧印加装置および前記複数の圧電素子に電気的に接続されており、前記駆動電圧印加装置から印加された電圧を該複数の圧電素子に分配するように構成されている。
一態様では、前記電圧分配器は、前記駆動電圧印加装置から印加された電圧を前記複数の圧電素子に分配する分岐装置と、前記分岐装置および前記駆動電圧印加装置に接続された通信装置を有する。
一態様では、前記電圧分配器は、前記複数の圧電素子と接触する複数のプランジャと、前記複数のプランジャと前記分岐装置とを電気的に接続する電力分配線をさらに有する。
【0013】
一態様では、前記電圧分配器は、前記研磨ヘッドに着脱可能に取り付けられる。
一態様では、前記研磨ヘッドは、前記複数の圧電素子の温度を測定する温度測定器をさらに有する。
一態様では、前記研磨ヘッドシステムは、前記研磨ヘッドのワークピース接触面に連通する真空ラインをさらに備えている。
一態様では、前記研磨ヘッドは、前記複数の圧電素子の外側に位置するリテーナリングと、前記リテーナリングに固定された少なくとも3つのワークピースチャック機構をさらに備えている。
一態様では、前記電源部は、直流電源である。
【0014】
一態様では、ワークピースの研磨装置であって、研磨パッドを保持する研磨テーブルと、研磨液を前記研磨パッド上に供給する研磨液供給ノズルと、上記研磨ヘッドシステムを備える、研磨装置が提供される。
一態様では、前記研磨装置は、前記ワークピースの膜厚を測定する膜厚センサをさらに備えており、前記膜厚センサは前記研磨テーブル内に配置されている。
一態様では、前記動作制御部は、前記膜厚センサにより取得された前記ワークピースの膜厚の測定値から膜厚プロファイルを作成し、該膜厚プロファイルをもとに、前記複数のアクチュエータを駆動させるよう、前記駆動源に指示するように構成されている。
一態様では、前記動作制御部は、前記膜厚プロファイルと目標膜厚プロファイルとの差をもとに、前記複数のアクチュエータの駆動条件を決定し、前記駆動源に指示するように構成されている。
【0015】
一態様では、ワークピースの研磨装置であって、研磨パッドを保持する研磨テーブルと、研磨液を前記研磨パッド上に供給する研磨液供給ノズルと、上記研磨ヘッドシステムを備える、研磨装置が提供される。
一態様では、前記研磨装置は、前記ワークピースの膜厚を測定する膜厚センサをさらに備えており、前記膜厚センサは前記研磨テーブル内に配置されている。
一態様では、前記動作制御部は、前記膜厚センサにより取得された前記ワークピースの膜厚の測定値から膜厚プロファイルを作成し、該膜厚プロファイルをもとに、前記複数の圧電素子に印加すべき電圧の複数の指令値を決定するように構成されている。
一態様では、前記動作制御部は、前記膜厚プロファイルと目標膜厚プロファイルとの差をもとに、前記複数の圧電素子に印加すべき電圧の複数の指令値を決定するように構成されている。
一態様では、前記研磨装置は、前記ワークピースを前記研磨ヘッドに保持させるためのロード・アンロード装置をさらに備えている。
一態様では、前記研磨装置は、前記ワークピースの周方向における向きを検出する指向検出器をさらに備えている。
【0016】
一態様では、ワークピースを研磨する研磨システムであって、上記研磨装置と、研磨後に前記ワークピースを洗浄する洗浄装置と、洗浄後に前記ワークピースを乾燥させる乾燥装置と、前記研磨装置、前記洗浄装置、および前記乾燥装置間で前記ワークピースを搬送する搬送機構を有する、研磨システムが提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、複数の圧電素子は、ワークピースの異なる部位(領域)を異なる力で押し付けることができる。したがって、研磨ヘッドは、ワークピースの膜厚プロファイルを精密に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】ワークピースの膜厚プロファイルの一例を示す図である。
【
図3】ワークピースを横切るときの膜厚センサの軌跡を示す図である。
【
図4】ワークピースの被研磨面の全体の膜厚プロファイルを示す図である。
【
図5】
図1に示す研磨ヘッドを含む研磨ヘッドシステムの一実施形態を示す断面図である。
【
図12】研磨レートと、圧電素子に印加された電圧との関係を示す研磨レートデータの一例を示すグラフである。
【
図13】圧電素子に印加される電圧と、圧電素子が発生する押付力との関係を示す押付力相関データの一例を示すグラフである。
【
図14】研磨ヘッドシステムの他の実施形態を示す断面図である。
【
図15】研磨ヘッドシステムのさらに他の実施形態を示す断面図である。
【
図16】研磨ヘッドシステムのさらに他の実施形態を示す断面図である。
【
図17】
図16に示す第1圧力室が無くなり、第1弾性膜の当接部が複数の押付部材の押圧面に接触した状態を示す図である。
【
図18】ジンバル機構を備えた研磨ヘッドの一部を示す断面図である。
【
図19】ジンバル機構の他の構成例を示す模式図である。
【
図20】研磨ヘッドシステムのさらに他の実施形態を示す断面図である。
【
図21】
図20に示す接触部材がワークピースに接触する様子を示す模式図である。
【
図22】ワークピースチャック機構およびチャック駆動装置の他の実施形態を示す断面図である。
【
図23】
図22に示すワークピースチャック機構およびチャック駆動装置の拡大断面図である。
【
図24】
図22に示すワークピースチャック機構およびチャック駆動装置の拡大断面図である。
【
図25】研磨ヘッドシステムのさらに他の実施形態を示す断面図である。
【
図26】研磨ヘッドシステムのさらに他の実施形態を示す断面図である。
【
図27】研磨ヘッドシステムのさらに他の実施形態を示す断面図である。
【
図29】研磨装置の他の実施形態を示す模式図である。
【
図30】複数の圧力室を有する研磨ヘッドを備えた研磨装置を示す模式断面図である。
【
図31】
図1乃至
図29を参照して説明したいずれかの実施形態に係る研磨ヘッドを備えた研磨装置と、
図30を参照して説明した研磨装置を備えたワークピース研磨システムを示す模式図である。
【
図32】CMPに使用される従来の研磨ヘッドを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、研磨装置の一実施形態を示す模式図である。研磨装置は、ウェーハ、基板、パネルなどワークピースを化学機械的に研磨する装置である。
図1に示すように、この研磨装置は、研磨面2aを有する研磨パッド2を支持する研磨テーブル5と、ワークピースWを研磨面2aに対して押し付ける研磨ヘッド7と、研磨液(例えば、砥粒を含むスラリー)を研磨面2aに供給する研磨液供給ノズル8と、研磨装置の動作を制御する動作制御部10を備えている。研磨ヘッド7は、その下面にワークピースWを保持できるように構成されている。
【0020】
動作制御部10は、プログラムが格納された記憶装置10aと、プログラムに含まれる命令に従って演算を実行する演算装置10bを備えている。記憶装置10aは、RAMなどの主記憶装置と、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)などの補助記憶装置を備えている。演算装置10bの例としては、CPU(中央処理装置)、GPU(グラフィックプロセッシングユニット)が挙げられる。ただし、動作制御部10の具体的構成はこれらの例に限定されない。
【0021】
動作制御部10は、少なくとも1台のコンピュータから構成されている。前記少なくとも1台のコンピュータは、1台のサーバまたは複数台のサーバであってもよい。動作制御部10は、エッジサーバであってもよいし、インターネットまたはローカルエリアネットワークなどの通信ネットワークに接続されたクラウドサーバであってもよいし、あるいはネットワーク内に設置されたフォグコンピューティングデバイス(ゲートウェイ、フォグサーバ、ルーターなど)であってもよい。動作制御部10は、インターネットまたはローカルエリアネットワークなどの通信ネットワークにより接続された複数のサーバであってもよい。例えば、動作制御部10は、エッジサーバとクラウドサーバとの組み合わせであってもよい。
【0022】
研磨装置は、支軸14と、支軸14の上端に連結された研磨ヘッド揺動アーム16と、研磨ヘッド揺動アーム16の自由端に回転可能に支持された研磨ヘッドシャフト18と、研磨ヘッド7をその軸心を中心に回転させる回転モータ20をさらに備えている。回転モータ20は、研磨ヘッド揺動アーム16に固定されており、ベルトおよびプーリ等から構成されるトルク伝達機構(図示せず)を介して研磨ヘッドシャフト18に連結されている。研磨ヘッド7は、研磨ヘッドシャフト18の下端に固定されている。回転モータ20は、上記トルク伝達機構を介して研磨ヘッドシャフト18を回転させ、研磨ヘッド7は研磨ヘッドシャフト18とともに回転する。このようにして、研磨ヘッド7は、その軸心を中心として矢印で示す方向に回転モータ20により回転される。
【0023】
回転モータ20は、研磨ヘッド7の回転角度を検出する回転角度検出器としてのロータリエンコーダ22に連結されている。このロータリエンコーダ22は、回転モータ20の回転角度を検出するように構成されている。回転モータ20の回転角度は、研磨ヘッド7の回転角度に一致する。したがって、ロータリエンコーダ22によって検出された回転モータ20の回転角度は、研磨ヘッド7の回転角度に相当する。ロータリエンコーダ22は動作制御部10に接続されており、ロータリエンコーダ22から出力された回転モータ20の回転角度の検出値(すなわち、研磨ヘッド7の回転角度の検出値)は、動作制御部10に送られる。
【0024】
研磨装置は、研磨パッド2および研磨テーブル5をそれらの軸心を中心に回転させる回転モータ21をさらに備えている。回転モータ21は研磨テーブル5の下方に配置されており、研磨テーブル5は、回転軸5aを介して回転モータ21に連結されている。研磨テーブル5および研磨パッド2は、回転モータ21により回転軸5aを中心に矢印で示す方向に回転されるようになっている。研磨パッド2および研磨テーブル5の軸心は、回転軸5aの軸心に一致する。研磨パッド2は、研磨テーブル5のパッド支持面5bに貼り付けられている。研磨パッド2の露出面はウェーハなどのワークピースWを研磨する研磨面2aを構成している。
【0025】
研磨ヘッドシャフト18は、昇降機構24により研磨ヘッド揺動アーム16に対して相対的に上下動可能であり、この研磨ヘッドシャフト18の上下動により研磨ヘッド7が研磨ヘッド揺動アーム16および研磨テーブル5に対して相対的に上下動可能となっている。研磨ヘッドシャフト18の上端にはロータリコネクタ23およびロータリジョイント25が取り付けられている。
【0026】
研磨ヘッドシャフト18および研磨ヘッド7を昇降させる昇降機構24は、研磨ヘッドシャフト18を回転可能に支持する軸受26と、軸受26が固定されたブリッジ28と、ブリッジ28に取り付けられたボールねじ機構32と、支柱30により支持された支持台29と、支持台29に固定されたサーボモータ38とを備えている。サーボモータ38を支持する支持台29は、支柱30を介して研磨ヘッド揺動アーム16に連結されている。
【0027】
ボールねじ機構32は、サーボモータ38に連結されたねじ軸32aと、このねじ軸32aが螺合するナット32bとを備えている。ナット32bはブリッジ28に固定されている。研磨ヘッドシャフト18は、ブリッジ28と一体となって昇降(上下動)するようになっている。したがって、サーボモータ38がボールねじ機構32を駆動すると、ブリッジ28が上下動し、これにより研磨ヘッドシャフト18および研磨ヘッド7が上下動する。
【0028】
昇降機構24は、研磨ヘッド7の研磨テーブル5に対する相対的な高さを調節するための研磨ヘッド位置決め機構として機能する。ワークピースWを研磨するとき、昇降機構24は、研磨ヘッド7を予め定められた高さに位置させ、その高さに研磨ヘッド7が保たれたまま、研磨ヘッド7はワークピースWを研磨パッド2の研磨面2aに対して押し付ける。
【0029】
研磨装置は、研磨ヘッド揺動アーム16を支軸14を中心に旋回させるアーム旋回モータ(図示せず)を備えている。このアーム旋回モータが研磨ヘッド揺動アーム16を旋回させると、研磨ヘッド7は、研磨テーブル5の上方の研磨位置と、研磨テーブル5の外側のロード・アンロード位置との間を移動することができる。研磨されるワークピースWは、ロード・アンロード位置でロード・アンロード装置39により研磨ヘッド7に取り付けられ、その後研磨位置に移動される。研磨されたワークピースWは、研磨位置からロード・アンロード位置に移動され、ロード・アンロード位置でロード・アンロード装置39により研磨ヘッド7から取り外される。
図1では、ロード・アンロード装置39は模式的に示されており、ロード・アンロード装置39の位置および構成は、その意図した目的を達成できる限りにおいて特に限定されない。
【0030】
研磨装置は、ワークピースWの周方向における向きを検出する指向検出器としてのノッチアライナー40を備えている。なお、本図では、ノッチアライナー40は独立して研磨装置内に配置されているが、ロード・アンロード装置39と一体配置されていてもよい。ノッチアライナー40は、ワークピースWの縁部に形成されているノッチ(切り欠き)を検出するための装置である。ノッチアライナー40の具体的構成は、ノッチを検出することができるものであれば、特に限定されない。一例では、ノッチアライナー40は、ワークピースWを回転させながら、レーザ光をワークピースWの縁部に当て、反射したレーザ光を受光部により検出する光学式ノッチ検出器であり、ノッチ位置にて受光したレーザ光の強さが変化することからノッチの位置を検出するように構成される。他の例では、ワークピースWを回転させながら、純水などの液体の噴流を、ワークピースWの縁部に近づけたノズルからワークピースWの縁部に供給し、ノズルに向かって流れる液体の圧力または流量を検出する液体式ノッチ検出器であり、ノッチ位置にて液体の圧力または流量が変化することからノッチの位置を検出するように構成される。
【0031】
ノッチの検出、すなわちワークピースWの周方向における向きの検出は、ワークピースWの研磨前に実行される。ノッチの検出は、後述の圧電素子の配置に対するワークピースWの配置状態を認識・補正することを目的としている。ノッチの検出は、ワークピースWが研磨ヘッド7に保持される前に実行されてもよいし、またはワークピースWが研磨ヘッド7に保持された状態で実行されてもよい。例えば、ワークピースWを研磨ヘッド7へ保持する前にノッチ検出を実施する場合は、ロード・アンロード位置においてワークピースWのノッチ位置をノッチアライナー40にて検出する。そして、検出されたノッチ位置が研磨ヘッド7の特定の位置になるように、研磨ヘッド7を回転させた後、ワークピースWをロード・アンロード装置にて研磨ヘッド7の保持部材56のワークピース接触面56aに受渡しし、ワークピースWを研磨ヘッド7に吸着等の方式で保持させてもよい。
【0032】
ここで、ノッチアライナー40は動作制御部10に接続されている。動作制御部10は、ワークピースWのノッチの位置を、研磨ヘッド7の回転角度に関連付けるように構成されている。より具体的には、動作制御部10は、ノッチアライナー40によって検出されたノッチの位置をもとに、研磨ヘッド7の回転角度の基準位置を指定し、その回転角度の基準位置を記憶装置10a内に記憶する。そのうえで、ノッチアライナー40によって検出されたノッチ位置も同時に記憶装置10aに記憶し、これらの基準位置とノッチ位置とを比較することで、動作制御部10は、ワークピースWの表面上の位置を、研磨ヘッド7の回転角度の基準位置に基づいて特定することができる。
【0033】
そのうえで、例えば研磨ヘッド7を回転モータ20によりある角度だけ回転させ、ワークピースWのノッチ位置が研磨ヘッド7の基準位置に対して所定角度になるように補正した後、ワークピースWをロード・アンロード装置にて受渡しし、研磨ヘッド7に保持させる。ここで、研磨ヘッド7の回転角度の基準位置を後述する圧電素子の配置をもとに設定しておけば、研磨ヘッド7は、ワークピースWが圧電素子の特定の配置に対応した状態でワークピースWを保持することが可能となる。
【0034】
ワークピースWの研磨は次のようにして行われる。ワークピースWは、その被研磨面が下を向いた状態で、研磨ヘッド7に保持される。研磨ヘッド7および研磨テーブル5をそれぞれ回転させながら、研磨テーブル5の上方に設けられた研磨液供給ノズル8から研磨液(例えば、砥粒を含むスラリー)を研磨パッド2の研磨面2a上に供給する。研磨パッド2はその中心軸線を中心に研磨テーブル5と一体に回転する。研磨ヘッド7は昇降機構24により所定の高さまで移動される。さらに、研磨ヘッド7は上記所定の高さに維持されたまま、ワークピースWを研磨パッド2の研磨面2aに押し付ける。ワークピースWは研磨ヘッド7と一体に回転する。すなわち、ワークピースWは研磨ヘッド7と同じ速度で回転する。研磨液が研磨パッド2の研磨面2a上に存在した状態で、ワークピースWは研磨パッド2の研磨面2aに摺接される。ワークピースWの表面は、研磨液の化学的作用と、研磨液に含まれる砥粒または研磨パッド2の機械的作用との組み合わせにより、研磨される。
【0035】
研磨装置は、研磨面2a上のワークピースWの膜厚を測定する膜厚センサ42を備えている。膜厚センサ42は、ワークピースWの膜厚を直接または間接に示す膜厚指標値を生成するように構成されている。この膜厚指標値は、ワークピースWの膜厚に従って変化する。膜厚指標値は、ワークピースWの膜厚自体を表す値であってもよいし、または膜厚に換算される前の物理量または信号値であってもよい。
【0036】
膜厚センサ42の例としては、渦電流センサ、光学式膜厚センサが挙げられる。膜厚センサ42は、研磨テーブル5内に設置されており、研磨テーブル5と一体に回転する。より具体的には、膜厚センサ42は、研磨テーブル5が一回転するたびに、研磨面2a上のワークピースWを横切りながら、ワークピースWの複数の測定点での膜厚を測定するように構成されている。複数の測定点での膜厚は、膜厚指標値として膜厚センサ42から出力され、膜厚指標値は動作制御部10に送られる。動作制御部10は、膜厚指標値に基づいて研磨ヘッド7の動作を制御するように構成されている。
【0037】
動作制御部10は、膜厚センサ42から出力された膜厚指標値から、ワークピースWの膜厚プロファイルを作成する。ワークピースWの膜厚プロファイルは、膜厚指標値の分布である。
図2は、ワークピースWの膜厚プロファイルの一例を示す図である。
図2において、縦軸はワークピースWの膜厚を直接または間接に示す膜厚指標値を表し、横軸はワークピースWの半径方向の位置である。膜厚の測定点は、ワークピースWの半径方向に沿って並んでいる。したがって、膜厚センサ42から出力された膜厚指標値は、ワークピースWの半径方向に沿って分布する。
図2に示す膜厚プロファイルは、ワークピースWの半径方向に沿った膜厚プロファイルである。
【0038】
図3は、ワークピースWを横切るときの膜厚センサ42の軌跡を示す図である。ワークピースWの研磨中、研磨テーブル5と研磨ヘッド7は、異なる速度で回転する。このような条件下では、
図3に示すように、膜厚センサ42は研磨テーブル5が一回転するたびに、異なる軌跡を描いてワークピースWを横切る。より具体的には、研磨テーブル5が一回転するたびに、膜厚センサ42の軌跡は、ワークピースWの中心の周りを一定の角度で回転する。
図3から分かるように、研磨テーブル5が複数回回転すると、膜厚センサ42は、ワークピースWのほぼ全体を走査し、ワークピースWのほぼ全体で膜厚を測定することができる。なお、本図では膜厚センサ42は研磨テーブル5内に1個配置されているが、膜厚センサ42は研磨テーブル5内に複数個配置されていてもよく、その場合、より詳細な膜厚プロファイルが得られる。
【0039】
動作制御部10は、研磨テーブル5が複数回回転している間に膜厚センサ42によって得られた膜厚指標値から、
図4に示すような、ワークピースWの被研磨面の全体の膜厚プロファイルを作成することができる。
図4は、XYZ座標系上に表されたワークピースWの被研磨面の全体の膜厚プロファイルを示す図である。
図4において、X軸はワークピースWの被研磨面に平行な方向を表し、Y軸はワークピースWの被研磨面に平行であって、かつX方向に垂直な方向を表し、Z軸は膜厚指標値を表す。ワークピースWの被研磨面上の位置は、X軸およびY軸上の座標によって表され、ワークピースWの膜厚を直接または間接に示す膜厚指標値は、Z軸上の座標によって表される。動作制御部10によって作成されたワークピースWの被研磨面の全体の膜厚プロファイルは、記憶装置10a内に記憶される。
【0040】
図5は、
図1に示す研磨ヘッド7を含む研磨ヘッドシステムの一実施形態を示す断面図である。
図5に示すように、研磨ヘッドシステムは、上述した研磨ヘッド7、動作制御部10、および駆動電圧印加装置50を含む。研磨ヘッド7は、研磨ヘッドシャフト18の下端に固定されたキャリア45と、キャリア45に保持された複数の圧電素子47を備えている。研磨ヘッド7は、研磨ヘッドシャフト18の下端に剛的に固定されており、研磨ヘッドシャフト18に対する研磨ヘッド7の角度は固定されている。複数の圧電素子47は、ワークピースWの裏側に位置している。
【0041】
キャリア45は、複数の圧電素子47を保持するハウジング45Aと、ハウジング45Aに着脱可能に取り付けられたフランジ45Bを有している。フランジ45Bは、図示しないねじによりハウジング45Aに固定されている。図示しないがメンテナンス用の蓋をハウジング45Aに設けてもよい。蓋を外すと、ユーザーは圧電素子47にアクセスすることが可能となる。フランジ45Bの蓋は、圧電素子47の交換や圧電素子47の位置調節などのメンテナンスが必要なときに外される。
【0042】
研磨ヘッド7は、ワークピースWに複数の押付力を独立に加えることができる複数のアクチュエータを備えている。アクチュエータとしては、油圧シリンダ・モータのような油圧式アクチュエータ、空気圧モータや空気圧シリンダのような空気圧式アクチュエータ、電動モータのような電気式アクチュエータや後述の圧電素子を使ったアクチュエータ、磁歪素子を使った磁歪アクチュエータやリニアモータのような電磁アクチュエータや小型ピストン、等が挙げられる。
【0043】
本実施形態では、ワークピースWに複数の押付力を独立に加えることができる複数のアクチュエータとして、複数の圧電素子47が採用されている。圧電素子47は、駆動電圧印加装置50に電力線51を通じて電気的に接続されている。圧電素子47は、駆動源としての駆動電圧印加装置50によって作動される。電力線51は、ロータリコネクタ23を経由して延びている。駆動電圧印加装置50は、電源部50aと、圧電素子47に印加すべき電圧の指令値を電源部50aに送る電圧制御部50bを備えており、電圧を複数の圧電素子47にそれぞれ独立に印加するように構成されている。駆動電圧印加装置50は動作制御部10に接続されている。動作制御部10は、複数の圧電素子47にそれぞれ印加すべき電圧の複数の指令値を決定し、決定された複数の指令値を駆動電圧印加装置50の電圧制御部50bに送るように構成されている。電圧制御部50bは、これらの指令値に従って、電源部50aに指令を出すことで、それぞれの圧電素子47に所定の電圧を印加するように構成されている。なお、電源部50aは直流電源、交流電源、もしくは電圧パターンを設定可能なプログラマブル電源のいずれかまたはその組合せからなる。
【0044】
研磨ヘッド7は、複数の圧電素子47にそれぞれ連結された複数の押付部材54と、複数の押付部材54を保持する保持部材56と、複数の圧電素子47がそれぞれ発生した複数の押付力を測定する複数の押付力測定装置57をさらに備えている。複数の押付部材54および保持部材56は、ワークピースWの裏側に対向している。
【0045】
駆動電圧印加装置50が複数の圧電素子47に電圧を印加すると、これら圧電素子47は押付部材54に向かって伸長する。この圧電素子47の伸長は、押付部材54を介してワークピースWを研磨パッド2の研磨面2aに対して押し付ける押付力を発生させる。このように、電圧が印加された圧電素子47は、複数の押付力を独立にワークピースWに加えることができ、ワークピースWの複数の部位(領域)を異なる押付力で研磨面2aに対して押し付けることができる。
【0046】
一実施形態では、複数の押付部材54と保持部材56を省略し、複数の圧電素子47で直接ワークピースWの裏面を加圧し、ワークピースWを研磨パッド2の研磨面2aに対して押し付けてもよい。
【0047】
研磨ヘッドシステムは、研磨ヘッド7がワークピースWを真空吸引により保持することを可能とする真空ライン60をさらに備えている。この真空ライン60は、ロータリジョイント25を経由して延び、研磨ヘッド7のワークピース接触面56aに連通している。より具体的には、真空ライン60の一端は、研磨ヘッド7のワークピース接触面56aで開口し、真空ライン60の他端は真空ポンプなどの真空源62に連結されている。真空ライン60には真空弁61が取り付けられている。真空弁61は、アクチュエータ駆動型開閉弁(例えば電動弁、電磁弁、エアオペレート弁)であり、動作制御部10に接続されている。真空弁61の動作は動作制御部10によって制御される。動作制御部10が真空弁61を開くと、真空ライン60は、研磨ヘッド7のワークピース接触面56aに真空を形成し、これにより研磨ヘッド7は真空吸引によりワークピースWを研磨ヘッド7のワークピース接触面56aに保持することができる。
【0048】
一実施形態では、ワークピースWの研磨中に、ワークピースWが研磨ヘッド7に対して相対的に回転してしまうことを防止するために(すなわち、ワークピースWの研磨ヘッド7に対する相対位置を固定するために)、真空ライン60により研磨ヘッド7のワークピース接触面56aに真空を形成し、ワークピースWを真空吸引により研磨ヘッド7のワークピース接触面56aに保持してもよい。なお、本図では、真空ライン60はワークピースWの中央に1個配置されているが、ワークピース接触面56a内の複数箇所に開口する複数の真空ライン60を設けてもよい。
【0049】
研磨ヘッド7は、複数の圧電素子47の外側に配置されたリテーナリング65をさらに備えている。リテーナリング65はキャリア45に保持されている。リテーナリング65は、ワークピースWおよび押付部材54を囲むように配置されており、研磨中にワークピースWが研磨ヘッド7から飛び出すことを防止している。本実施形態では、リテーナリング65はキャリア45に固定されているが、一実施形態では、リテーナリング65とキャリア45の間にエアバッグ等のアクチュエータを配置し、リテーナリング65はキャリア45に対して相対的に移動可能なようにキャリア45に保持されてもよい。
【0050】
図6は、研磨ヘッド7の一部を示す拡大断面図である。
図6に示すように、キャリア45のハウジング45Aは、複数の段付き穴66を有しており、複数の圧電素子47はこれら段付き穴66にそれぞれ収容されている。各圧電素子47はストッパー突起47aを有している。ストッパー突起47aが段付き穴66の段部66aに当接することにより、圧電素子47のキャリア45に対する相対的な位置決めが達成される。
【0051】
本実施形態では、各押付力測定装置57は、圧電素子47および押付部材54と直列に配置されている。より具体的には、各押付力測定装置57は、圧電素子47と押付部材54との間に配置されている。このように配置された押付力測定装置57は、圧電素子47がそれぞれ発生した複数の押付力を別々に測定することができる。押付力測定装置57の配置は、
図6に示す実施形態に限られない。圧電素子47がそれぞれ発生した複数の押付力を別々に測定することができる限りにおいて、押付力測定装置57は、ワークピースWと押付部材54との間に配置されてもよいし、あるいは押付部材54の横に配置されてもよい。
【0052】
押付力測定装置57は、測定した押付力[N]を圧力[Pa]に換算するように構成されてもよい。押付力測定装置57の例として、複数の圧電素子47に連結されたロードセル、圧電シートが挙げられる。圧電シートは、複数の圧電センサを有しており、これら圧電シートに加えられた力に応じた電圧を発生し、電圧の値を力または圧力に変換するように構成されている。
【0053】
複数の押付部材54の端面は、ワークピースWを研磨面2aに対して押し付けるための押圧面54aを構成する。保持部材56は、複数の押付部材54を限られた範囲内で移動可能にこれら押付部材54を保持している。より具体的には、各押付部材54は、その上端および下端に位置する突出部54b,54cと、これら突出部54b,54cの間に位置する胴部54dを有している。胴部54dの幅は、突出部54b,54cの幅よりも小さい。保持部材56は、胴部54dと一定のクリアランスを有し、押付部材54を移動可能に支持する支持部56bを有している。各押付部材54の突出部54b,54cと、保持部材56の支持部56bは、押付部材54が上下方向および水平方向に移動する範囲をクリアランスにより制限しつつ、各押付部材54が上下方向に移動することを許容する。保持部材56の支持部56bは、押付部材54の、ワークピースWの押付方向と垂直な方向の移動範囲を制限する。押付部材54の上下方向の移動が制限されているので、押付部材54は、過度な衝撃または力が圧電素子47に伝わることを防止することができる。
【0054】
圧電素子47に電圧が印加されると、圧電素子47は押付力測定装置57および押付部材54を研磨パッド2の研磨面2aに向かって押し、押付部材54は、ワークピースWの対応する部位(領域)を、圧電素子47に印加された電圧に応じた押付力で、研磨面2aに対して押し付ける。
【0055】
本実施形態では、複数の押付部材54の押圧面54aは、ワークピースWの裏側に接触している。押圧面54aは、ワークピースWに接触するワークピース接触面を構成する。押圧面54aはシリコーンゴムなどの弾性部材から構成されてもよい。押圧面54aの形状の具体例としては、正多角形、円形、扇形、円弧形状、楕円形、およびそれらの形状の組合せが挙げられる。押圧面54aの中心から各頂点までの距離が等しい正多角形の例としては、正三角形、正四角形、正六角形が挙げられる。
【0056】
複数の押付部材54は、複数の圧電素子47にそれぞれ対向する複数の第一の面54eと、ワークピースWを研磨面2aに対して押し付けるための第二の面としての複数の押圧面54aを有する。本実施形態では、各押付部材54の押圧面54aの面積は、第一の面54eの面積と同じであるが、一実施形態では各押付部材54の押圧面54aの面積は、第一の面54eの面積よりも大きくてもよい。押圧面54aの形状および面積を変えることで、様々な押圧面54aのパターンが可能となる。
【0057】
図7乃至
図11は、押付部材54の配列の例を示す模式図である。
図7に示す例では、複数の押付部材54はハニカム状または千鳥状に配列されており、各押付部材54の押圧面54aは正六角形である。
図7から分かるように、ハニカム配列を構成する正六角形の押圧面54aは、隣接する押圧面54a間の隙間を最小できる。さらに、正六角形は、正三角形および正四角形に比べて、各頂点の角度が大きく、応力集中が発生しにくいという利点もある。
【0058】
図8に示す例では、複数の押付部材54は格子状に配列されており、各押付部材54の押圧面54aは円形である。
図9に示す例では、複数の押付部材54は同心円状に配列されており、各押付部材54の押圧面54aは円形である。
図10に示す例では、複数の押付部材54は同心円状に配列されており、押付部材54の押圧面54aは扇形であり、中心の押付部材54の押圧面54aは円形である。
図11に示す例では、複数の押付部材54は同心円状に配列されており、押付部材54の押圧面54aは円形と扇型である。より具体的には、最外周に位置する押付部材54は扇形の押圧面54aを有しており、扇形の押圧面54aの内側に位置する押付部材54は円形の押圧面54aを有する。
【0059】
図7乃至
図11に示す各押付部材54は、各圧電素子47に連結されている。したがって、
図7乃至
図11に示す押付部材54の配列は、圧電素子47の配列と実質的に同じである。複数の圧電素子47および複数の押付部材54は、研磨ヘッド7の径方向および周方向に沿って分布している。したがって、研磨ヘッドシステムは、ワークピースWの膜厚プロファイルを精密に制御することができる。特に、研磨ヘッドシステムは、ワークピースWの周方向にばらつく膜厚を解消することができる。圧電素子47の配列は、格子状、同心円状、千鳥状配置のいずれか1つまたはその組み合わせであってもよい。
【0060】
一実施形態では、各押付部材54の第一の面54eの面積は、押圧面54aの面積よりも大きくてもよい。この場合は、各押付部材54に複数の胴部54dを設けてもよい。さらに、1つの押付部材54は、少なくとも2つの圧電素子47に連結されてもよい。一例では、研磨ヘッド7に設けられた複数の押付部材54のうちの少なくとも1つは、2つまたはそれよりも多い圧電素子47に連結されてもよい。このような構成によれば、1つの押圧面54aに対して複数の圧電素子47での押付が可能となり、押圧面54a内の押付力の均一性が向上する。
【0061】
動作制御部10は、ワークピースWの現在の膜厚プロファイルと目標膜厚プロファイルとの差をなくすために必要な電圧の複数の指令値を決定するように構成されている。ワークピースWの目標膜厚プロファイルは、動作制御部10の記憶装置10a内に予め格納されている。ワークピースWの現在の膜厚プロファイルの例としては、
図1に示す研磨装置で研磨される前のワークピースWの初期膜厚プロファイル、および
図1に示す研磨装置でワークピースWを研磨しているときに膜厚センサ42から出力された膜厚指標値から作成された膜厚プロファイルが挙げられる。初期膜厚プロファイルは、例えば、図示しないスタンドアローン型の膜厚測定装置により取得された膜厚測定値、または膜厚センサを備えた他の研磨装置により取得された膜厚測定値から作成される。初期膜厚プロファイルは、動作制御部10の記憶装置10a内に格納される。
【0062】
動作制御部10は、演算装置10bにより、ワークピースWの現在の膜厚プロファイルと目標膜厚プロファイルとの差を算定し、ワークピースWの被研磨面での目標研磨量の分布を作成する。さらに、動作制御部10は、作成された目標研磨量の分布に基づき、所定の研磨時間内に目標研磨量を達成するために圧電素子47に印加すべき電圧の指令値を決定する。例えば、動作制御部10は、目標研磨量の分布と、上記所定の研磨時間とから、目標研磨レートの分布を作成し、目標研磨レートを達成できる電圧の指令値を研磨レート相関データから決定する。
【0063】
電圧の指令値を決定後、動作制御部10は指令値を駆動電圧印加装置50の電圧制御部50bに送り、電圧制御部50bから電源部50aに各電圧素子47に印加する電圧の変更指令を行うことで、ワークピースWの膜厚プロファイルの調整を行う。なお、研磨中においては、例えば一定時間ごと、もしくは研磨テーブル5の一回転周期ごとに、膜厚プロファイルの調整を行う。
【0064】
図12は、研磨レートと圧電素子47に印加された電圧との関係を示すデータの一例を示すグラフであり、
図13は圧電素子47に印加された電圧と押付力との関係を示すデータの一例を示すグラフである。研磨レートは、研磨によって除去される単位時間あたりの膜の量である。研磨によって除去される膜の量は、研磨によって減少する膜の厚さで表される。研磨レートは、除去レートともいう。
図12に示す研磨レート相関データは、他のワークピースの研磨結果から得られた研磨レートと、前記他のワークピースを研磨しているときに圧電素子47に印加された電圧を含むデータベースから作成される。研磨レート相関データは、記憶装置10a内に予め格納されている。
【0065】
一般的に、圧電素子は印加電圧に対する変位量および押付力はヒステリシスの特性を有する。ここで、研磨レートは押付力に比例することから、研磨レートも電圧に対してヒステリシスの特性を有する。よって、所望の研磨レートを得るために、研磨中において印加電圧を変更する場合は、電圧を増加もしくは減少させるかのいずれの方向に変更するかも電圧指令値の決定のためのパラメータの1つとなる。
【0066】
一実施形態では、動作制御部10は、目標研磨量の分布を作成せずに、膜厚センサ42により得られたワークピースWの現在の膜厚プロファイルに基づいて、圧電素子47に印加すべき電圧の指令値を決定してもよい。例えば、目標膜厚プロファイルが平坦な膜厚プロファイルである場合、動作制御部10は、現在の膜厚プロファイルを平坦な膜厚プロファイルに近づけるために、膜厚指標値の大きい領域に対応する圧電素子47には、現在印加している電圧よりも所定の変更量だけ高い電圧を印加し、逆に、膜厚指標値の小さい領域に対応する他の圧電素子47には、現在印加している電圧よりも所定の変更量だけ低い電圧を印加するような電圧の指令値を決定する。なお、電圧の変更量は、パラメータとして予め動作制御部10に設定される。
【0067】
圧電素子47は、ワークピースWの径方向のみならず、周方向にも配列されている。動作制御部10は、ワークピースWの周方向における膜厚のばらつきを解消するために必要な電圧の指令値を決定し、この指令値を駆動電圧印加装置50に送る。駆動電圧印加装置50は、対応する圧電素子47に電圧を印加し、これによりワークピースWの周方向における膜厚のばらつきを解消することができる。このようにして、上記実施形態に係る研磨ヘッドシステムを備えた研磨装置は、ワークピースWの周方向における膜厚のばらつきを解消し、さらには目標膜厚プロファイルを達成することができる。
【0068】
次に、複数の圧電素子47のキャリブレーションについて説明する。圧電素子47のキャリブレーションは、圧電素子47に印加される電圧と、圧電素子47によって発生される押付力との関係を調節する工程である。このキャリブレーションは、圧電素子47の変形のヒステリシス、および/または圧電素子47の設置高さのわずかな違いに起因する押付力の差を解消することを目的として行われる。
【0069】
キャリブレーションは次のようにして実施される。まず、すべての圧電素子47に電圧を印加しない状態で、動作制御部10は、昇降機構24(
図1参照)に指令を発して、ワークピースW(またはダミーワークピース)を保持した研磨ヘッド7を研磨テーブル5に向かって移動させ、ワークピースWを研磨パッド2の研磨面2aに接触させる。研磨ヘッド7が研磨テーブル5に向かって移動している間、押付力測定装置57は押付部材54を通じて圧電素子47に加えられる研磨パッド2からの反力を測定する。昇降機構24は、すべての圧電素子47に連結されたすべての押付力測定装置57が研磨パッド2からの反力を検出するまで、研磨ヘッド7の移動を継続させる。
【0070】
動作制御部10は、すべての押付力測定装置57が研磨パッド2からの反力を検出したときの研磨ヘッド7の高さである基準高さを決定する。基準高さは、例えば、すべての押付力測定装置57が最初に押付力を感知した高さである。研磨ヘッド7の高さは、研磨テーブル5に対する研磨ヘッド7の相対的な高さである。動作制御部10は、ボールねじ機構32のピッチと、サーボモータ38の回転回数から研磨ヘッド7の高さを算定することができる。研磨ヘッド7の基準高さは記憶装置10a内に記憶される。すべての押付力測定装置57が研磨パッド2からの反力を検出したとき、動作制御部10は昇降機構24に指令を発して研磨ヘッド7の研磨テーブル5に向かう方向への移動を停止させる。さらに、動作制御部10は、研磨ヘッド7の移動を停止したときにすべての押付力測定装置57から出力された反力の測定値を記憶装置10aに記憶する。
【0071】
研磨パッド2の研磨面2aの高さのばらつきの影響を排除するために、上述した研磨ヘッド7の基準高さの決定および反力の測定を研磨面2a上の異なる領域で複数回実施してもよい。この場合は、研磨面2a上の異なる領域で得られた複数の基準高さの平均および反力の複数の測定値の平均を、研磨ヘッド7の基準高さ、および反力の測定値とすることができる。
【0072】
動作制御部10は、基準高さにおける押付力測定装置57で測定した各圧電素子47にかかる反力の分布に基づき、電圧補正値を押付力相関データから決定する。電圧補正値は、複数の圧電素子47にそれぞれ対応するキャリブレーション電圧である。電圧補正値は、記憶装置10a内に記憶される。
図13に示す押付力相関データは、他のワークピースの研磨中に得られた押付力の測定値と、前記他のワークピースを研磨しているときに圧電素子47に印加された電圧を含むデータベースから作成される。押付力相関データは、記憶装置10a内に予め格納されている。
【0073】
ワークピースWを研磨するとき、動作制御部10は、昇降機構24に指令を発して研磨ヘッド7を上記基準高さに位置させる。動作制御部10は、それぞれの圧電素子47に印加すべき電圧の仮指令値を決定し、これら仮指令値を、対応する電圧補正値を用いて補正することで指令値を決定し、この指令値を駆動電圧印加装置50の電圧制御部50bに送信する。電圧制御部50bは、指令値に従って、対応する圧電素子47に電圧を印加するよう電源部50aに指示を出し、電源部50aは電圧を圧電素子47に印加する。
【0074】
別の例では、キャリブレーションは次のようにして実施してもよい。まず、すべての圧電素子47に所定の電圧値を印加した状態で、動作制御部10は、昇降機構24(
図1参照)に指令を発して、ワークピースW(またはダミーワークピース)を保持した研磨ヘッド7を研磨テーブル5に向かって移動させ、ワークピースWを研磨パッド2の研磨面2aに接触させる。研磨ヘッド7が研磨テーブル5に向かって移動している間、押付力測定装置57は押付部材54を通じて圧電素子47に加えられる研磨パッド2からの反力を測定する。昇降機構24は、すべての圧電素子47に連結されたすべての押付力測定装置57が研磨パッド2からの反力を検出するまで、研磨ヘッド7の移動を継続させる。
【0075】
動作制御部10は、すべての押付力測定装置57が研磨パッド2からの反力を検出したときの研磨ヘッド7の高さである基準高さを決定する。研磨ヘッド7の基準高さは記憶装置10a内に記憶される。すべての押付力測定装置57が研磨パッド2からの反力を検出したとき、動作制御部10は昇降機構24に指令を発して研磨ヘッド7の研磨テーブル5に向かう方向への移動を停止させる。
【0076】
動作制御部10は、演算装置10bにて、研磨ヘッド7の移動を停止したときに押付力測定装置57から出力された反力の測定値の平均値または中央値を決定する。研磨ヘッド7を基準高さに維持したまま、すべての押付力測定装置57から出力される測定値が上記平均値または中央値に達するまで、動作制御部10は駆動電圧印加装置50に指令を発して圧電素子47に印加する電圧を調整する。動作制御部10は、すべての押付力測定装置57から出力される測定値が上記平均値または中央値に達したときにそれぞれの圧電素子47に印加された電圧を決定し、当該決定された電圧を電圧補正値として記憶装置10aに記憶する。
【0077】
研磨パッド2の研磨面2aの高さのばらつきの影響を排除するために、上述した研磨ヘッド7の基準高さの決定および電圧補正値の決定を研磨面2a上の異なる領域で複数回実施してもよい。この場合は、研磨面2a上の異なる領域で得られた複数の基準高さの平均および複数の電圧補正値の平均を、研磨ヘッド7の基準高さ、および電圧補正値とすることができる。
【0078】
ワークピースWを研磨するとき、動作制御部10は、昇降機構24に指令を発して研磨ヘッド7を上記基準高さに位置させる。動作制御部10は、それぞれの圧電素子47に印加すべき電圧の仮指令値を決定し、これら仮指令値を、対応する電圧補正値を用いて補正することで指令値を決定し、この指令値を駆動電圧印加装置50の電圧制御部50bに送信する。電圧制御部50bは、指令値に従って、対応する圧電素子47に電圧を印加するよう電源部50aに指示を出し、電源部50aは電圧を圧電素子47に印加する。
【0079】
一実施形態では、研磨ヘッド7の基準高さを次のようにして求めた後、圧電素子47のキャリブレーションは実施せずに研磨を開始してもよい。まず、すべての圧電素子47に電圧を印加しない状態で、動作制御部10は、昇降機構24(
図1参照)に指令を発して、ワークピースW(またはダミーワークピース)を保持した研磨ヘッド7を研磨テーブル5に向かって移動させ、ワークピースWを研磨パッド2の研磨面2aに接触させる。研磨ヘッド7が研磨テーブル5に向かって移動している間、押付力測定装置57は押付部材54を通じて圧電素子47に加えられる研磨パッド2からの反力を測定する。昇降機構24は、すべての圧電素子47に連結されたすべての押付力測定装置57が研磨パッド2からの反力を検出するまで、研磨ヘッド7の移動を継続させる。
【0080】
動作制御部10は、すべての押付力測定装置57が研磨パッド2からの反力を検出したときの研磨ヘッド7の高さである基準高さを決定する。研磨ヘッド7の基準高さは記憶装置10a内に記憶される。研磨パッド2の研磨面2aの高さのばらつきの影響を排除するために、上述した研磨ヘッド7の基準高さの決定を研磨面2a上の異なる領域で複数回実施してもよい。この場合は、研磨面2a上の異なる領域で得られた複数の基準高さの平均を、研磨ヘッド7の基準高さとすることができる。
【0081】
ワークピースWを研磨するとき、動作制御部10は、昇降機構24に指令を発して研磨ヘッド7を上記基準高さに位置させる。動作制御部10は、膜厚センサ42(
図1参照)から出力された膜厚指標値から、
図4に示すような膜厚プロファイルを作成し、この膜厚プロファイルに基づいて、それぞれの圧電素子47に印加すべき電圧の指令値を決定し、この指令値を駆動電圧印加装置50の電圧制御部50bに送信する。電圧制御部50bは、指令値に従って、対応する圧電素子47に電圧を印加するよう電源部50aに指示を出し、電源部50aは電圧を圧電素子47に印加する。
【0082】
上述した各例において、研磨パッド2からの反力の測定は、押付力測定装置57の代わりに、圧電素子47によって実行されてもよい。圧電素子47はワークピースWを研磨パッド2に押し付けるためのアクチュエータとして機能する一方で、圧電素子47に加えられた力を測定する装置としても機能する。この場合は、駆動電圧印加装置50は、電圧印加回路とセンシング回路の両方を有する。押付力測定装置57は省略してもよい。
【0083】
図14は、研磨ヘッドシステムの他の実施形態を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、
図1乃至
図13を参照して説明したいずれかの実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
図14に示す実施形態の研磨ヘッド7は、押付部材54の押圧面54aに接する弾性膜67を有している。弾性膜67は、すべての押付部材54の押圧面54aおよび保持部材56の端面(本実施形態では下面)を覆っている。弾性膜67の内面は押付部材54に接触し、弾性膜67の外面はワークピースWに接触するワークピース接触面67aを構成する。真空ライン60は、研磨ヘッド7のワークピース接触面67aに連通している。より具体的には、真空ライン60は、ワークピース接触面67aを構成する弾性膜67に形成された通孔69に連通している。真空ライン60が通孔69内に真空を形成すると、ワークピースWは真空吸引によって弾性膜67に保持される(すなわち研磨ヘッド7に保持される)。
【0084】
弾性膜67はシリコーンゴムやEPDMなどの柔軟かつ耐薬品性の高い材料から構成されている。弾性膜67は、押付部材54の押圧面54aや保持部材56に対してワークピースWの裏面が直接接触することによるダメージの抑制や、研磨ヘッド7の回転時にワークピースWへの回転トルクの伝達をより効率的に行う役割がある。弾性膜67はヤング率としては10MPa以下、厚みは10mm以下であることが望ましい。
【0085】
本実施形態によれば、押付部材54は、ワークピースWには直接接触せず、押付部材54は弾性膜67を介してワークピースWを研磨パッド2の研磨面2aに対して押し付ける。弾性膜67は、研磨液や洗浄液などの液体が研磨ヘッド7の内部に侵入することを防ぎ、特に液体が圧電素子47に接触することを防止することができる。
【0086】
また、弾性膜67は、ワークピースWの研磨中に、ワークピースWが研磨ヘッド7に対して相対的に回転することを防止することができる。もし、ワークピースWが研磨ヘッド7に対して相対的に回転してしまうと、ワークピースWの周方向の位置と、研磨ヘッド7の圧電素子47との位置関係が変化してしまう。結果として、意図した圧電素子47に最適な電圧を印加することができず、ワークピースWの周方向に沿った膜厚のばらつきを解消することができない。本実施形態によれば、弾性膜67は、ワークピースWの研磨中に該ワークピースWの裏側に密接し、ワークピースWが研磨ヘッド7に対して相対的に回転することを防止することができる。
【0087】
図15に示すように、複数の押付部材54の押圧面54aと弾性膜67との間にプレート70を配置してもよい。プレート70は、ステンレス鋼などの金属、または硬質の樹脂などの硬質の材料から構成される。真空ライン60はプレート70を貫通して延び、通孔69に連通している。プレート70は、複数の圧電素子47によって発生された押付力を分散させ、直線的に変化する押付力をワークピースWに加えることができる。なお、本図ではプレート70は研磨ヘッド7内の圧電素子47に対して1枚配置されているが、プレート70は複数に分割されていてもよい。
【0088】
図16は、研磨ヘッドシステムのさらに他の実施形態を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、
図1乃至
図15を参照して説明したいずれか実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
図16に示す実施形態の研磨ヘッドシステムは、研磨ヘッド7内に第1圧力室74を形成するための第1弾性膜75と、第1圧力室74に連通する第1圧縮気体供給ライン77と、研磨ヘッド7内に第2圧力室80を形成するための第2弾性膜81と、第2圧力室80に連通する第2圧縮気体供給ライン83をさらに備えている。第1弾性膜75は、すべての押付部材54の押圧面54aおよび保持部材56の端面(本実施形態では下面)56aを覆う当接部75Aと、当接部75Aの縁に接続された側壁75Bを有している。側壁75Bは、保持部材56に保持されている。一実施形態では、側壁75Bはキャリア45に保持されてもよい。
【0089】
第1圧力室74は、複数の押付部材54と第1弾性膜75との間に位置している。当接部75Aの内面は第1圧力室74を形成し、当接部75Aの外面はワークピースWに接触するワークピース接触面75cを構成する。真空ライン60は、研磨ヘッド7のワークピース接触面75cに連通している。より具体的には、真空ライン60は、ワークピース接触面75cを構成する当接部75Aに形成された通孔69に連通している。真空ライン60が通孔69内に真空を形成すると、ワークピースWは真空吸引によって弾性膜の当接部75Aに保持される(すなわち研磨ヘッド7に保持される)。
【0090】
第2圧力室80は、キャリア45とリテーナリング65との間に形成される。第2圧力室80を形成する第2弾性膜81は、キャリア45とリテーナリング65の両方に接続されている。第2弾性膜81は、リテーナリング65の全周に沿って延びる環状の形状を有している。第2弾性膜81は、複数の圧電素子47を囲むように配置されている。第1弾性膜75および第2弾性膜81は、いずれもシリコーンゴムやEPDMなどの柔軟かつ耐薬品性の高い材料から構成されている。
【0091】
研磨ヘッドシステムは、第1圧縮気体供給ライン77に取り付けられた第1圧力レギュレータ85および第1開閉弁86と、第2圧縮気体供給ライン83に取り付けられた第2圧力レギュレータ88および第2開閉弁89を備えている。第1開閉弁86は、電動弁、電磁弁、エアオペレート弁などのアクチュエータ駆動型開閉弁である。第1開閉弁86は、動作制御部10に接続されており、第1開閉弁86の動作は動作制御部10によって制御される。同様に、第2開閉弁89は、電動弁、電磁弁、エアオペレート弁などのアクチュエータ駆動型開閉弁である。第2開閉弁89は、動作制御部10に接続されており、第2開閉弁89の動作は動作制御部10によって制御される。
【0092】
第1圧縮気体供給ライン77は、キャリア45および保持部材56を貫通し、第1圧縮気体供給ライン77の一端は保持部材56の端面(本実施形態では下面)56aで開口している。第1圧縮気体供給ライン77は、ロータリジョイント25、第1圧力レギュレータ85、および第1開閉弁86を通って延びる。第1圧縮気体供給ライン77の他端は、圧縮気体供給源90に接続されている。第2圧縮気体供給ライン83は、ロータリジョイント25、第2圧力レギュレータ88、および第2開閉弁89を通って延びる。第2圧縮気体供給ライン83の一端は第2圧力室80に接続され、第2圧縮気体供給ライン83の他端は、圧縮気体供給源90に接続されている。
【0093】
圧縮気体供給源90は、空気、不活性ガス(例えば窒素ガス)などからなる圧縮気体を第1圧縮気体供給ライン77および第2圧縮気体供給ライン83に供給する。圧縮気体供給源90は、研磨装置が配置されている工場に設置されたユーティリティ設備としての圧縮気体供給源であってもよいし、あるいは圧縮気体を送るポンプであってもよい。動作制御部10が第1開閉弁86を開くと、圧縮気体が第1圧縮気体供給ライン77を通じて研磨ヘッド7内に供給される。その結果、第1弾性膜75の側壁75Bが延びて第1圧力室74が押付部材54と第1弾性膜75との間に形成され、その一方で第1弾性膜75の当接部75Aは押付部材54から離れる。第1弾性膜75の当接部75Aは、ワークピースWと実質的に同じ大きさおよび同じ形状を有している。したがって、第1圧力室74内の圧縮気体の圧力は、第1弾性膜75の当接部75Aを通じてワークピースWの全体に加えられる。ワークピースWの表面全体は、均一な圧力で研磨パッド2の研磨面2aに対して押し付けられる。
【0094】
第1圧力室74内の圧縮気体の圧力は、第1圧力レギュレータ85によって調節される。第1圧力レギュレータ85は、動作制御部10に接続されており、第1圧力レギュレータ85の動作(すなわち第1圧力室74内の圧縮気体の圧力)は動作制御部10によって制御される。より具体的には、動作制御部10は、第1圧力指令値を第1圧力レギュレータ85に送り、第1圧力レギュレータ85は第1圧力室74内の圧力が第1圧力指令値に維持されるように動作する。
【0095】
動作制御部10が第1開閉弁86を閉じて第1圧力室74への圧縮気体の供給を停止し、真空弁61を開くと、真空ライン60により第1圧力室74内に真空が形成される。その結果、
図17に示すように、第1圧力室74は無くなり、第1弾性膜75の当接部75Aは複数の押付部材54の押圧面54aに接触する。第1弾性膜75の当接部75Aが複数の押付部材54の押圧面54aに接触した状態で、圧電素子47に電圧を印加すると、圧電素子47は、押付部材54および第1弾性膜75の当接部75Aを介してワークピースWを研磨パッド2の研磨面2aに対して押し付けることができる。このように、本実施形態は、圧縮気体によるワークピースWの均一な押し付けと、複数の圧電素子47による異なる力でのワークピースWの押し付けを実現することができる。なお、
図17の状態では、第1圧力室74が無くなる分ワークピースWが上方に移動することになる。その場合は、昇降機構24により研磨ヘッド7の高さを調整してもよい。
【0096】
動作制御部10が第2開閉弁89を開くと、圧縮気体が第2圧力室80内に供給される。その結果、第2圧力室80内の圧縮気体の圧力は第2弾性膜81を通じてリテーナリング65に加わり、リテーナリング65は研磨パッド2の研磨面2aを押し付ける。第2圧力室80はリテーナリング65の全周に沿って延びている。したがって、第2圧力室80内の圧縮気体の圧力は、第2弾性膜81を通じてリテーナリング65の全体に加えられ、リテーナリング65は、均一な圧力で研磨パッド2の研磨面2aに対して押し付けられる。
【0097】
第2圧力室80内の圧縮気体の圧力は、第2圧力レギュレータ88によって調節される。第2圧力レギュレータ88は、動作制御部10に接続されており、第2圧力レギュレータ88の動作(すなわち第2圧力室80内の圧縮気体の圧力)は動作制御部10によって制御される。より具体的には、動作制御部10は、第2圧力指令値を第2圧力レギュレータ88に送り、第2圧力レギュレータ88は第2圧力室80内の圧力が第2圧力指令値に維持されるように動作する。
【0098】
図16および
図17を参照して説明した実施形態に係る研磨ヘッドシステムを備えた研磨装置は、次のようにしてワークピースWを研磨することができる。
まず、
図1に示す研磨テーブル5および研磨ヘッド7をそれぞれ回転させながら、研磨液供給ノズル8により、研磨液を研磨パッド2の研磨面2aに供給する。研磨ヘッド7を所定の高さに位置させ、そして動作制御部10は第1開閉弁86および第2開閉弁89を開いて、圧縮気体を第1圧縮気体供給ライン77および第2圧縮気体供給ライン83を通じて第1圧力室74および第2圧力室80にそれぞれ供給する(
図16参照)。第1圧力室74内の圧力および第2圧力室80内の圧力は、第1圧力レギュレータ85および第2圧力レギュレータ88によってそれぞれ調節される。
【0099】
第1圧力室74内の圧縮気体は第1弾性膜75を介してワークピースWを研磨パッド2の研磨面2aに押し付け、その一方で第2圧力室80内の圧縮気体は第2弾性膜81を介してリテーナリング65を研磨パッド2の研磨面2aに押し付ける。所定の研磨時間が経過したとき、または膜厚センサ42(
図1参照)から出力される膜厚指標値が、例えば目標残膜厚のような目標値に達したとき、動作制御部10は第1開閉弁86を閉じて第1圧力室74への圧縮気体の供給を停止する。さらに動作制御部10は真空弁61を開いて真空を第1圧力室74内に形成して第1圧力室74を消滅させ、第1弾性膜75の当接部75Aを押付部材54の押圧面54aに接触させる(
図17参照)。同時に、動作制御部10は第2圧力レギュレータ88に指令を発して、第2圧力室80内の圧力を低下させる。なお、この際、昇降機構24により研磨ヘッド7の高さを調整してもよい。
【0100】
動作制御部10は、駆動電圧印加装置50に指令を発して圧電素子47に電圧を印加させ、圧電素子47に押付力を発生させる。押付力は押付部材54および第1弾性膜75の当接部75Aを通じてワークピースWに加えられる。ワークピースWは、圧電素子47によって発生された押付力により研磨パッド2の研磨面2aに対して押し付けられる。先に説明した実施形態と同じように、動作制御部10は、ワークピースWの現在の膜厚プロファイルと目標膜厚プロファイルとの差をなくすために必要な電圧の複数の指令値を決定し、この指令値を駆動電圧印加装置50に送る。駆動電圧印加装置50は、指令値に従って、対応する圧電素子47に電圧を印加する。押付力は、圧電素子47ごとに変えられるので、ワークピースWの複数の部位(領域)は、異なる押付力で研磨面2aに押し付けられる。
【0101】
このように、本実施形態の研磨装置は、ワークピースWの均一な研磨と、ワークピースWの膜厚プロファイルを調整するための研磨の二段階研磨を行うことができる。
【0102】
なお、
図17では、ワークピースWを加圧する圧力室は第1圧力室74のみであるが、例えば複数の同心円状に圧力室が分割され、それぞれの圧力室に対して圧縮気体供給ラインが設けられてもよい。圧縮気体加圧により膜厚プロファイルを調整し、その後圧電素子47により高精度の膜厚プロファイル調整を行うことにより、より均一な膜厚プロファイルが得られる。
【0103】
図18は、さらに他の実施形態に係る研磨ヘッド7の一部を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、
図1乃至
図17を参照して説明したいずれかの実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
図18に示すように、各押付部材54は、全方向に傾動可能な可動部材94を有するジンバル機構92をそれぞれ備えている。
図18では2つの押付部材54のみが描かれているが、他の押付部材54も同様にジンバル機構92をそれぞれ備えている。ジンバル機構92は、突出部54cに固定された球面軸受93と、この球面軸受93に接触する可動部材94を有している。可動部材94は、球面軸受93を受ける凹面95と、ワークピースWを押し付けるための押圧面54aを有している。凹面95は球面軸受93に滑らかに摺接しながら、可動部材94の全体は全方向に傾くことができる。
【0104】
本実施形態のジンバル機構92は、各押付部材54がワークピースWの表面に追随すること可能とする。複数の押付部材54が異なる押付力でワークピースWを研磨パッド2に対して押し付けたとき、ワークピースWの表面がうねることがある。このような場合であっても、
図18に示すジンバル機構92は、各可動部材94がワークピースWの表面に追随して傾くことを許容し、各押付部材54がワークピースWを正しく押し付けることを可能とする。
【0105】
図19は、ジンバル機構92の他の構成例を示す模式図である。ジンバル機構92は、突出部54cに固定された支持部材96を有している。この支持部材96は、球面軸受93を受ける凹面95を有している。球面軸受93は可動部材94と一体である。球面軸受93は可動部材94に固定されてもよく、あるいは球面軸受93と可動部材94は一体構造物であってもよい。可動部材94は、ワークピースWを押し付けるための押圧面54aを有している。
【0106】
押圧面54aを有する可動部材94は、球面軸受93と一体に傾く。球面軸受93の曲率中心Oは、可動部材94の押圧面54a上、または押圧面54aの近くに位置している。球面軸受93および可動部材94は、曲率中心Oの周りに傾くことができる。本実施形態のジンバル機構92は、
図18のジンバル機構92よりも曲率中心Oがより研磨面2aに近いため、可動部材94が必要以上に傾動することを抑制しつつ、各可動部材94がワークピースWの表面に、より追随しやすくすることができる。
【0107】
図20は、研磨ヘッドシステムのさらに他の実施形態を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、
図1乃至
図19を参照して説明したいずれかの実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0108】
図20に示す実施形態に係る研磨ヘッドシステムは、ワークピースWの縁部を保持する少なくとも3つのワークピースチャック機構100と、これらワークピースチャック機構100を駆動するチャック駆動装置101を備えている。ワークピースチャック機構100は、リテーナリング65に固定されている。ワークピースチャック機構100は、研磨ヘッド7内のワークピースWの縁部よりも外周側に配列されている。
【0109】
各ワークピースチャック機構100は、ワークピースWの縁部に接触する接触部材103と、接触部材103に固定された軸105と、軸105に固定された第1歯車108を備えている。チャック駆動装置101は、第1歯車108に噛み合う第2歯車109と、リテーナリング65に固定された第3歯車110と、第3歯車110に噛み合う第4歯車114と、第4歯車114に連結された電動機115を備えている。接触部材103は、ワークピースWと同じ高さに位置しており、研磨パッド2の研磨面2aからやや離れている。軸105はリテーナリング65に回転可能に保持されている。接触部材103は軸105の端部に接続されており、軸105と一体に回転可能である。
【0110】
第2歯車109はキャリア45の外面に固定されており、キャリア45を囲む形状を有している。リテーナリング65の内面は複数の軸受120によって回転可能に支持されている。より具体的には、軸受120の内輪はキャリア45の外面に固定されており、軸受120の外輪はリテーナリング65の内面に固定されている。したがって、リテーナリング65および複数のワークピースチャック機構100は、キャリア45に対して相対的に回転することができる。電動機115はキャリア45にブラケット122を介して固定されている。
【0111】
電動機115は、動作制御部10に接続されており、電動機115の動作は動作制御部10によって制御される。動作制御部10が電動機115を作動させると、電動機115に連結された第4歯車114が回転し、第3歯車110に回転が伝達されることで、リテーナリング65および複数のワークピースチャック機構100は、研磨ヘッド7の軸心を中心に回転する。第1歯車108は第2歯車109に噛み合いながらリテーナリング65とともに回転し、接触部材103がワークピースWの縁部に接触するまで軸105および接触部材103を回転させる。
【0112】
図21は、
図20に示す接触部材103がワークピースWに接触する様子を示す模式図である。本図では3個の接触部材103が配置されているが、本発明は本実施形態に限定されない。一実施形態では、4つ以上の接触部材103(すなわち4つ以上のワークピースチャック機構100)が設けられてもよい。
図21に示すように、リテーナリング65が一方向に回転すると、接触部材103は研磨ヘッド7の中心に近づく方向に回転し、接触部材103はワークピースWの縁部に接触する。複数の接触部材103は同期して回転し、ワークピースWを研磨ヘッド7の中心に向かって押す。このような接触部材103とワークピースWとの接触により、ワークピースWのセンタリングが達成されるとともに、ワークピースWの半径方向の位置が固定される。逆に、接触部材103による固定を解除するときは、電動機115を逆回転させることで、リテーナリング65が反対方向に回転すると、接触部材103は研磨ヘッド7の中心から遠ざかる方向に回転し、接触部材103はワークピースWの縁部から離れる。
【0113】
図20および
図21を参照して説明したワークピースチャック機構100およびチャック駆動装置101は、ワークピースWの研磨中にワークピースWが研磨ヘッド7に対して相対的に回転することを防止し、かつワークピースWが研磨ヘッド7に対して半径方向に移動することを防止することができる。したがって、ワークピースWの研磨中、ワークピースWに対する圧電素子47の相対的な位置は固定される。結果として、圧電素子47は、ワークピースWの意図した部位(領域)に押付力を加えることができ、目標膜厚プロファイルを形成することができる。
【0114】
図22は、ワークピースチャック機構100およびチャック駆動装置101の他の実施形態を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、
図1乃至
図21を参照して説明したいずれかの実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0115】
図22に示す実施形態に係る研磨ヘッドシステムは、ワークピースWの縁部を保持する少なくとも3つのワークピースチャック機構100と、これらワークピースチャック機構100をそれぞれ駆動する少なくとも3つのチャック駆動装置101を備えている。ワークピースチャック機構100およびチャック駆動装置101は、リテーナリング65に固定されている。ワークピースチャック機構100およびチャック駆動装置101は、研磨ヘッド7の中心の周りに配列されている。
【0116】
図23および
図24は、
図22に示すワークピースチャック機構100およびチャック駆動装置101の拡大断面図である。各ワークピースチャック機構100は、ワークピースWの縁部に接触する接触部材103と、接触部材103を回転可能に支持する軸105と、接触部材103を付勢して接触部材103を軸105を中心に回転させるばね125を備えている。接触部材103の一端は、ワークピースWと同じ高さに位置しており、研磨パッド2の研磨面2aからやや離れている。接触部材103の他端は、ばね125に接触している。軸105はリテーナリング65に保持されている。ばね125は、接触部材103の一端を研磨ヘッド7の中心に近づく方向に接触部材103を回転させるように配置されている。
【0117】
チャック駆動装置101は、エアシリンダ、圧電素子、電動シリンダなどのアクチュエータから構成されている。チャック駆動装置101は、ワークピースチャック機構100と同様に、リテーナリング65に固定されている。
図24に示すように、チャック駆動装置101は、接触部材103の一端が研磨ヘッド7の中心から遠ざかる方向に接触部材103を回転させるように構成されている。より具体的には、チャック駆動装置101は、ばね125の力に抗って接触部材103を押し、接触部材103の一端がワークピースWの縁部から離れる方向に接触部材103を回転させる。
【0118】
チャック駆動装置101は、動作制御部10に接続されており、チャック駆動装置101の動作は動作制御部10によって制御される。
図23に示すように、チャック駆動装置101が接触部材103から離れているとき、ばね125は接触部材103に力を加えて接触部材103を一方向に回転させ、接触部材103をワークピースWの縁部に接触させる。
図24に示すように、チャック駆動装置101が接触部材103を押しているとき、接触部材103は反対方向に回転し、接触部材103はワークピースWの縁部から離間する。
【0119】
動作制御部10は、複数のチャック駆動装置101を同時に作動させる。複数の接触部材103は同期して回転し、ワークピースWを研磨ヘッド7の中心に向かって押す。このような接触部材103とワークピースWとの接触により、ワークピースWのセンタリングが達成されるとともに、ワークピースWの半径方向の位置が固定される。
【0120】
図22乃至
図24を参照して説明したワークピースチャック機構100およびチャック駆動装置101は、ワークピースWの研磨中にワークピースWが研磨ヘッド7に対して相対的に回転することを防止し、かつワークピースWが研磨ヘッド7に対して半径方向に移動することを防止することができる。したがって、ワークピースWの研磨中、ワークピースWに対する圧電素子47の相対的な位置は固定される。結果として、圧電素子47は、ワークピースWの意図した部位(領域)に押付力を加えることができ、目標膜厚プロファイルを形成することができる。
【0121】
図20および
図24に示す実施形態によれば、研磨ヘッド7は、ワークピースチャック機構100によりワークピースWを保持することができる。したがって、ワークピースWを真空吸引により保持するための真空ライン60を省略してもよい。
【0122】
図25は、研磨ヘッド7のさらに他の実施形態を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、
図1乃至
図24を参照して説明したいずれかの実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0123】
図25に示すように、研磨ヘッドシステムは、キャリア45のフランジ45Bと複数の圧電素子47との間に圧力室130を形成する弾性シート131と、圧力室130に連通する圧縮気体供給ライン132と、圧縮気体供給ライン132に取り付けられた圧力レギュレータ133および開閉弁134を備えている。キャリア45は、フランジ45B、フランジ45Bに着脱可能に取り付けられる側部45C、および複数の圧電素子47を保持するハウジング45Aを有する。ハウジング45Aは、フランジ45Bおよび側部45Cから分離されており、フランジ45Bおよび側部45Cに対して移動可能である。
【0124】
弾性シート131は、キャリア45の内部に配置されている。より具体的には、弾性シート131は、キャリア45のフランジ45Bとハウジング45Aの間(すなわちフランジ45Bと複数の圧電素子47との間)に位置している。本実施形態では、弾性シート131は、圧電素子47の上方に位置している。弾性シート131はその内側に圧力室130を形成する形状を有している。圧電素子47は、弾性シート131と押付部材54との間に位置している。
【0125】
圧縮気体供給ライン132は、ロータリジョイント25、圧力レギュレータ133、および開閉弁134を通って延びている。圧縮気体供給ライン132はキャリア45のフランジ45Bを貫通し、圧縮気体供給ライン132の一端は圧力室130に連通している。圧縮気体供給ライン132の他端は、圧縮気体供給源90に接続されている。圧縮気体供給源90は、空気、不活性ガス(例えば窒素ガス)などからなる圧縮気体を圧縮気体供給ライン132に供給する。
【0126】
開閉弁134は、電動弁、電磁弁、エアオペレート弁などのアクチュエータ駆動型開閉弁である。開閉弁134は、動作制御部10に接続されており、開閉弁134の動作は動作制御部10によって制御される。圧力室130内の圧縮気体の圧力は、圧力レギュレータ133によって調節される。圧力レギュレータ133は、動作制御部10に接続されており、圧力レギュレータ133の動作(すなわち圧力室130内の圧縮気体の圧力)は動作制御部10によって制御される。より具体的には、動作制御部10は、圧力指令値を圧力レギュレータ133に送り、圧力レギュレータ133は圧力室130内の圧力が圧力指令値に維持されるように動作する。
【0127】
動作制御部10が開閉弁134を開くと、圧縮気体は圧縮気体供給ライン132を通って圧力室130内に供給される。圧力室130内の圧縮気体の圧力は、弾性シート131を介して複数の圧電素子47およびハウジング45Aを押し、圧電素子47、押付力測定装置57、押付部材54、および保持部材56をキャリア45のフランジ45Bから遠ざかる方向に(すなわち研磨パッド2および研磨テーブル5に向かって)移動させる。圧力室130内の圧縮気体の圧力は、圧電素子47および保持部材56を通じてワークピースWの全体に加えられる。
【0128】
本実施形態によれば、圧力室130内の圧縮気体の圧力をワークピースWの全体に加えながら、圧電素子47はワークピースWの複数の部位(領域)に異なる押付力を押付力測定装置57にて測定しながら加えることができる。本実施形態に係る研磨ヘッドシステムは、ワークピースWの全体の研磨レートを増加させつつ、ワークピースWの目標膜厚プロファイルを達成することができる。
【0129】
図26は、研磨ヘッドシステムのさらに他の実施形態を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、
図1乃至
図25を参照して説明したいずれかの実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0130】
本実施形態では、研磨ヘッドシャフト18は、
図1を参照して説明した昇降機構24に代えて、エアシリンダ135に連結されている。エアシリンダ135は、研磨ヘッド揺動アーム16(
図1参照)に固定されている。エアシリンダ135は、圧縮気体供給ライン136に接続されている。より具体的には、圧縮気体供給ライン136の一端はエアシリンダ135に接続され、圧縮気体供給ライン136の他端は、圧縮気体供給源90に接続されている。圧縮気体供給源90は、空気、不活性ガス(例えば窒素ガス)などからなる圧縮気体を圧縮気体供給ライン136に供給する。
【0131】
圧縮気体供給ライン136には、圧力レギュレータ137および開閉弁138が取り付けられている。開閉弁138は、電動弁、電磁弁、エアオペレート弁などのアクチュエータ駆動型開閉弁である。開閉弁138は、動作制御部10に接続されており、開閉弁138の動作は動作制御部10によって制御される。エアシリンダ135内の圧縮気体の圧力は、圧力レギュレータ137によって調節される。圧力レギュレータ137は、動作制御部10に接続されており、圧力レギュレータ137の動作(すなわちエアシリンダ135内の圧縮気体の圧力)は動作制御部10によって制御される。
【0132】
動作制御部10が開閉弁138を開くと、圧縮気体は圧縮気体供給ライン136を通ってエアシリンダ135内に供給される。エアシリンダ135は、研磨ヘッドシャフト18を介して研磨ヘッド7の全体を研磨パッド2および研磨テーブル5に向かって移動させる。エアシリンダ135によって発生された力は、研磨ヘッド7からワークピースWの全体に加えられる。
【0133】
本実施形態によれば、エアシリンダ135はワークピースWの全体に力を加えながら、圧電素子47はワークピースWの複数の部位(領域)に異なる押付力を押付力測定装置57にて測定しながら加えることができる。本実施形態に係る研磨ヘッドシステムは、ワークピースWの全体の研磨レートを増加させつつ、ワークピースWの目標膜厚プロファイルを達成することができる。
【0134】
図27は、研磨ヘッド7のさらに他の実施形態を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、
図1乃至
図25を参照して説明したいずれかの実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0135】
本実施形態の研磨ヘッドシステムは、研磨ヘッド7内に配置された電圧分配器141を備えている。電圧分配器141は、着脱可能に研磨ヘッド7に取り付けられている。より具体的には、電圧分配器141は、キャリア45に位置決めねじ142によって固定されている。位置決めねじ142は、電圧分配器141の圧電素子47に対する相対的な位置を固定するための位置決め装置である。位置決めねじ142を取り外すと、電圧分配器141を研磨ヘッド7から取り外すことができる。電圧分配器141が取り外されると、ユーザーは圧電素子47にアクセスすることができ、必要に応じて圧電素子47を修理または交換することができる。
【0136】
電圧分配器141は、複数の圧電素子47の電極に電気的に接触する複数の接触ピン145と、接触ピン145を保持する基台150と、電圧を接触ピン145に分配する分岐装置151と、分岐装置151に接続された通信装置153を備えている。分岐装置151は、電力線51およびロータリコネクタ23を介して駆動電圧印加装置50の電源部50aに電気的に接続されている。電力は電力線51を通じて駆動電圧印加装置50の電源部50aから分岐装置151に供給され、さらに分岐装置151から複数の接触ピン145に分配される。
【0137】
接触ピン145は基台150から突出し、すべての圧電素子47の電極に接触している。1つの圧電素子47に対して2つの接触ピン145が接触するように接触ピン145は配列されている。接触ピン145は圧電素子47の電極に接触しているが、圧電素子47に固定されてはいない。したがって、位置決めねじ142を取り外すだけで、電圧分配器141を圧電素子47から切り離すことができる。電圧分配器141が位置決めねじ142によりキャリア45に固定されると、すべての接触ピン145は、対応する圧電素子47に接触する。
【0138】
研磨ヘッドシステムは、研磨ヘッド7の内部にパージガスを供給するパージガス供給ライン156と、パージガス供給ライン156に取り付けられたパージガス供給弁157をさらに備えている。一般的に、圧電素子47は湿度の影響を受けやすく、接触ピン145等も湿度による短絡回路の形成等の電気的故障を引き起こす可能性がある。パージガスは、圧電素子47の周囲雰囲気の湿度を低下させるので、圧電素子47の故障および接触ピン145の短絡などを防ぐことができる。パージガス供給ライン156は、研磨ヘッド7の内部からロータリジョイント25を経由してパージガス供給源159まで延びている。パージガス供給源159は、不活性ガス(例えば窒素ガス)または乾燥空気などのパージガスをパージガス供給ライン156に供給する。
【0139】
パージガス供給弁157は、動作制御部10に接続されており、パージガス供給弁157の動作は動作制御部10により制御される。パージガス供給ライン156は、電圧分配器141の基台150を貫通しており、電圧分配器141とハウジング45Aとの間の隙間に連通している。動作制御部10がパージガス供給弁157を開くと、パージガスは、電圧分配器141とハウジング45Aとの間の隙間に供給され、圧電素子47に接触する。
【0140】
また、研磨ヘッド7の内部には、温度センサなどの温度測定器160が配置されている。これは、一般的に圧電素子47の押圧力の電圧依存性が素子温度の影響を受け、特に高温になると押付力の低下に繋がるためである。そこで、圧電素子47の温度を測定するために、温度測定器160が研磨ヘッド7内に設けられている。本実施形態では、温度測定器160は、電圧分配器141の基台150上に配置されている。温度測定器160は、通信装置153に接続され、さらに通信装置153を経由して動作制御部10に接続されている。温度測定器160は、電圧分配器141とハウジング45Aとの間の隙間に面している。温度測定器160は研磨ヘッド7の内部の温度を測定し、温度の測定値を通信装置153を経由して動作制御部10に送信する。温度の測定値は、記憶装置10aに記憶される。
【0141】
動作制御部10は、温度の測定値に基づいてパージガス供給弁157を操作してもよい。具体的には、温度の測定値がしきい値を上回ったときに、動作制御部10はパージガス供給弁157を開いて、パージガスを研磨ヘッド7の内部に供給する。パージガスは、温度調整された気体であり、研磨ヘッド7の内部の温度を適正な範囲内に維持することができる。特に、圧電素子47に電圧が印加されると、印加電圧のパターンによっては圧電素子47は発熱し、研磨ヘッド7の内部は高温となりやすい。本実施形態によれば、パージガスの供給により、研磨ヘッド7の内部の温度を適正な範囲内に維持することができる。
【0142】
図28は、接触ピン145の拡大図である。接触ピン145は、プランジャ165と、プランジャ165を圧電素子47の電極167に対して押し付けるばね170と、プランジャ165およびばね170を収容するケーシング171を備えている。プランジャ165およびケーシング171は、金属などの導電材から構成されている。ケーシング171は分岐装置151から延びる電力分配線174に接続されている。プランジャ165は、ケーシング171を通じて電力分配線174に電気的に接続される。なお、電力分配線174は導線からなる配線であってもよく、あるいは基台150にプリント等により形成された配線であってもよい。
【0143】
プランジャ165はばね170により圧電素子47の電極167に対して押し付けられており、これにより分岐装置151と圧電素子47との電気的接続が確立される。本実施形態によれば、複数の圧電素子47から電源部50aまで延びる電力線51の本数を減らすことができる。また、電圧分配器141の取り外しが容易であり、結果として圧電素子47のメンテナンス性も向上する。
【0144】
図27に示すように、分岐装置151は、電力線51およびロータリコネクタ23を通じて駆動電圧印加装置50の電源部50aに接続されており、電力は電源部50aから分岐装置151に供給される。通信装置153は、通信線176を介して動作制御部10に接続されている。通信線176は、通信装置153からロータリコネクタ23および電圧制御部50bを経由して動作制御部10に延びている。動作制御部10は、圧電素子47に印加すべき電圧の指令値を電圧制御部50bおよび通信装置153に送り、通信装置153は電圧の指令値を分岐装置151に送る。分岐装置151は、通信装置153から得た指令値と、同じく電圧制御部50bからの指令値をもとに、電源部50aから印加された電圧をそれぞれの圧電素子47に分配し、印加する。
【0145】
図1乃至
図28を参照して説明したそれぞれの実施形態に係る研磨ヘッドシステムは、
図1に示すように、ワークピースWの被研磨面が下向きとなるフェイスダウンタイプの研磨装置のみならず、
図29に示すように、ワークピースWの被研磨面が上向きになるフェイスアップタイプの研磨装置にも適用可能である。以下、
図29に示すフェイスアップタイプの研磨装置について説明する。
【0146】
図29は、研磨装置の他の実施形態を示す模式図である。研磨ヘッド7は、押付部材54の押圧面54aが上を向くように配置されている。研磨ヘッド7に支持されたワークピースWの被研磨面は上を向いている。研磨ヘッド7の上方には、研磨液供給ノズル8と、研磨パッド2を支持したパッド支持部200が配置されている。研磨パッド2の下面は研磨面2aを構成し、研磨面2aは下方を向いている。研磨パッド2は、ワークピースWよりも小さいサイズを有している。
【0147】
パッド支持部200は回転軸200aの下端に固定されている。パッド支持部200は、回転軸200aおよび昇降機構205を介して支持アーム201に支持されている。回転軸200aは支持アーム201を貫通して延びている。回転軸200aは、昇降機構205により支持アーム201に対して上下動するようになっている。この回転軸200aの上下動により、パッド支持部200および研磨パッド2を支持アーム201に対して相対的に昇降させ位置決めするようになっている。
【0148】
昇降機構205は、支持台207に固定されている。この支持台207は、支持アーム201に固定されている。昇降機構205は、回転軸200aを回転可能に支持する軸受210と、軸受210を保持するブリッジ212と、ブリッジ212に連結されたボールねじ機構214と、支持台207上に固定されたサーボモータ216とを備えている。
【0149】
ボールねじ機構214は、サーボモータ216に連結されたねじ軸214aと、このねじ軸214aが螺合するナット214bとを備えている。ナット214bはブリッジ212に保持されている。回転軸200aは、軸受210およびブリッジ212と一体となって上下動可能である。サーボモータ216を駆動すると、ボールねじ機構214を介してブリッジ212が上下動し、これにより回転軸200a、パッド支持部200、および研磨パッド2が上下動する。
【0150】
回転軸200aは、その軸方向に移動可能にボールスプライン軸受220に支持されている。このボールスプライン軸受220の外周部にはプーリ222が固定されている。支持アーム201には回転モータ227が固定されており、上記プーリ222は、回転モータ227に取り付けられたプーリ223にベルト225を介して接続されている。回転モータ227が動作すると、プーリ223、ベルト225、およびプーリ222を介してボールスプライン軸受220および回転軸200aが一体に回転し、パッド支持部200および研磨パッド2が回転軸200aとともに回転する。
【0151】
支持アーム201は、旋回軸228によって支持されている。旋回軸228は揺動装置230に連結されている。揺動装置230は、旋回軸228を回転させるための電動機(図示せず)を有している。揺動装置230が旋回軸228を時計回りおよび反時計回りに交互に所定の角度だけ回転させると、支持アーム201は旋回軸228を中心に揺動し、これにより支持アーム201に連結されたパッド支持部200および研磨パッド2は、ワークピースWの表面上をその半径方向に往復する。
【0152】
研磨ヘッド7のキャリア45は、研磨ヘッドシャフト18の上端に固定されている。研磨ヘッドシャフト18は回転モータ20に連結されており、研磨ヘッドシャフト18および研磨ヘッド7は回転モータ20により一体に回転される。
図29は、
図5に示す実施形態に係る研磨ヘッド7が研磨装置に適用された例を示すが、
図5以外の上述した実施形態に係る研磨ヘッド7も同様に適用可能である。
【0153】
ワークピースWは次のようにして研磨される。ワークピースWは、その被研磨面が上を向いた状態で、研磨ヘッド7に保持される。動作制御部10は、ワークピースWの膜厚の測定データから、
図4に示すような膜厚プロファイルを作成し、この膜厚プロファイルに基づいて、それぞれの圧電素子47に印加すべき電圧の指令値を決定し、この指令値を駆動電圧印加装置50の電圧制御部50bに送信する。電圧制御部50bは、指令値に従って、対応する圧電素子47に電圧を印加するよう電源部50aに指示を出し、電圧を圧電素子47に印加する。パッド支持部200および研磨ヘッド7を
図29の矢印で示す方向に回転させながら、研磨液が研磨液供給ノズル8から研磨ヘッド7上のワークピースWの被研磨面上に供給される。パッド支持部200に保持された研磨パッド2の研磨面2aはワークピースWの表面に接触しながら、揺動装置230はパッド支持部200および研磨パッド2をワークピースWの半径方向に移動させる。ワークピースW上に研磨液が存在した状態で、ワークピースWは研磨ヘッド7によって回転されながら、ワークピースWは研磨パッド2の研磨面2aに摺接される。ワークピースWの表面は、研磨液の化学的作用と、研磨液に含まれる砥粒または研磨パッド2の機械的作用により研磨される。
【0154】
なお、研磨パッド2がワークピースW内を支持アーム201にて揺動させる際、圧電素子47によるワークピースWの加圧分布により、研磨パッド2およびパッド支持部200がワークピースWから受ける反力が変わるため、本反力に釣り合うよう、サーボモータ216にて研磨パッド2の高さもしくは研磨パッド2のワークピースWへの押圧力を調整する。
【0155】
図29に示す実施形態では、研磨パッド2の直径はワークピースWの半径よりも小さいが、一実施形態では研磨パッド2の直径はワークピースWの半径よりも大きくてもよく、またはワークピースWの直径と同じであってもよい。これらの場合は、ワークピースWの研磨中にパッド支持部200および研磨パッド2をワークピースWの半径方向に移動させなくてもよい。研磨液供給ノズル8はパッド支持部200の内部に配置され、研磨パッド2に形成された通孔(図示せず)を通じて研磨液がワークピースW上に供給されてもよい。研磨液供給ノズル8の形状および位置は、研磨液をワークピースWの被研磨面の全体に供給できる限りにおいて特に限定されない。
【0156】
図1乃至
図29を参照して説明した実施形態に係る研磨ヘッド7を備えた研磨装置は、圧電素子47に代えて複数の圧力室を有する研磨ヘッドを備えた研磨装置と組み合わせて使用することができる。
図30は、複数の圧力室405A,405B,405C,405Dを有する研磨ヘッド400を備えた研磨装置を示す模式断面図である。
図30に示す研磨ヘッド400は、
図32を参照して説明した研磨ヘッド400と同じ構成を有しているので、その重複する説明を省略する。研磨テーブル460には、渦電流センサ、光学式膜厚センサなどの膜厚センサ470が配置されている。研磨パッド500は研磨テーブル460の上面に取り付けられている。
【0157】
ワークピースWは次のようにして研磨される。研磨テーブル460および研磨ヘッド400をそれぞれ回転させながら、研磨液供給ノズル480から研磨液(例えば、砥粒を含むスラリー)を研磨パッド500の研磨面500a上に供給する。研磨ヘッド400はワークピースWを回転させながら、研磨パッド500の研磨面500aに押し付ける。ワークピースWの表面は、研磨液に含まれる砥粒または研磨パッド500による機械的作用と、研磨液の化学成分による化学的作用との複合により研磨される。
【0158】
ワークピースWの研磨中、膜厚センサ470はワークピースWの膜厚指標値を生成し、膜厚指標値を動作制御部10に送る。動作制御部10は、
図4に示すような、ワークピースWの被研磨面の全体の膜厚プロファイルを作成する。作成された膜厚プロファイルは、記憶装置10a内に記憶される。
【0159】
図31は、
図1乃至
図29を参照して説明したいずれかの実施形態に係る研磨ヘッド7を備えた研磨装置と、
図30を参照して説明した研磨装置を備えたワークピース研磨システムを示す模式図である。以下の説明では、
図30を参照して説明した研磨装置を第1研磨装置701と称し、
図1乃至
図29を参照して説明したいずれかの実施形態に係る研磨ヘッド7を備えた研磨装置を第2研磨装置702と称する。
【0160】
ワークピース研磨システムは、第1研磨装置701と、第2研磨装置702と、ワークピースWを搬送する搬送装置705と、研磨されたワークピースWを洗浄する洗浄装置707と、洗浄されたワークピースWを乾燥させる乾燥装置709と、第1研磨装置701、第2研磨装置702、洗浄装置707、および乾燥装置709の動作を制御する上述した動作制御部10を備えている。第1研磨装置701、第2研磨装置702、洗浄装置707、および乾燥装置709は、それぞれ複数台設けられてもよい。
【0161】
ワークピースWは、
図30を参照して説明した第1研磨装置701に搬送装置705によって搬送される。ワークピースWは、第1研磨装置701によって研磨される(第1研磨工程)。動作制御部10は、第1研磨工程中に取得された膜厚指標値から、
図4に示すようなワークピースWの被研磨面の現在の膜厚プロファイルを作成する。作成された膜厚プロファイルは、記憶装置10a内に記憶される。なお、第1研磨工程中での膜厚指標値の取得は、研磨液を用いた研磨中に行ってもよいが、研磨後にワークピースW表面の研磨液の除去を目的に、純水を供給しながらワークピースWと研磨パッド2とを相対運動させる水研磨時に実施してもよい。水研磨時では、ワークピースWの膜の研磨がなされないため、より精度の高い膜厚指標値、ひいては膜厚プロファイルを作成することができる。
【0162】
研磨されたワークピースWは、
図1乃至
図29を参照して説明したいずれかの実施形態に係る研磨ヘッド7を備えた第2研磨装置702に搬送装置705によって搬送される。ワークピースWは次に第2研磨装置702によって研磨される(第2研磨工程)。第2研磨工程では、第1研磨工程にて取得した膜厚プロファイルに基づいて、動作制御部10は、目標膜厚プロファイルを達成するために必要な電圧の指令値を演算装置10bにて決定した後、駆動電圧印加装置50の電圧制御部50bに指令値を送り、電源部50aから研磨ヘッド7内の圧電素子47に電圧を印加する。これにより、研磨ヘッド7はワークピースWを研磨パッド2に対して押し付けて、ワークピースWの表面を研磨する。
【0163】
第1研磨装置701および第2研磨装置702によって研磨されたワークピースWは、搬送装置705によって洗浄装置707に搬送され、洗浄装置707によって洗浄される。洗浄装置707には、ロール洗浄具またはペン型洗浄具などを備えた公知の洗浄装置が使用できる。洗浄されたワークピースWは、搬送装置705により乾燥装置709に搬送され、乾燥装置709により乾燥される。乾燥装置709には、スピン乾燥装置、イソプロピルアルコール(IPA)を用いた乾燥装置などの公知の乾燥装置が使用できる。
【0164】
本発明は、円形のワークピースのみならず、矩形状、四角形などの多角形状のワークピースの研磨にも適用することができる。
【0165】
上述した実施形態は適宜組み合わせることができる。例えば、
図14に示す弾性膜67は、
図18乃至
図29を参照して説明した実施形態にも適用することができる。
【0166】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0167】
2 研磨パッド
2a 研磨面
5 研磨テーブル
5a 回転軸
7 研磨ヘッド
8 研磨液供給ノズル
10 動作制御部
10a 記憶装置
10b 演算装置
14 支軸
16 研磨ヘッド揺動アーム
18 研磨ヘッドシャフト
20 回転モータ
21 回転モータ
22 ロータリエンコーダ
23 ロータリコネクタ
24 昇降機構
25 ロータリジョイント
26 軸受
28 ブリッジ
29 支持台
30 支柱
32 ボールねじ機構
38 サーボモータ
39 ロード・アンロード装置
40 ノッチアライナー
42 膜厚センサ
45 キャリア
45A ハウジング
45B フランジ
47 圧電素子
50 駆動電圧印加装置
50a 電源部
50b 電圧制御部
51 電力線
54 押付部材
56 保持部材
56a ワークピース接触面、端面
57 押付力測定装置
60 真空ライン
61 真空弁
62 真空源
65 リテーナリング
66 段付き穴
67 弾性膜
67a ワークピース接触面
70 プレート
74 第1圧力室
75 第1弾性膜
75A 当接部
75B 側壁
77 第1圧縮気体供給ライン
80 第2圧力室
81 第2弾性膜
83 第2圧縮気体供給ライン
85 第1圧力レギュレータ
86 第1開閉弁
88 第2圧力レギュレータ
89 第2開閉弁
90 圧縮気体供給源
92 ジンバル機構
93 球面軸受
94 可動部材
95 凹面
96 支持部材
100 ワークピースチャック機構
101 チャック駆動装置
103 接触部材
105 軸
108 第1歯車
109 第2歯車
110 第3歯車
114 第4歯車
115 電動機
122 ブラケット
125 ばね
130 圧力室
131 弾性シート
132 圧縮気体供給ライン
133 圧力レギュレータ
134 開閉弁
135 エアシリンダ
136 圧縮気体供給ライン
137 圧力レギュレータ
138 開閉弁
141 電圧分配器
142 位置決めねじ
145 接触ピン
150 基台
151 分岐装置
153 通信装置
156 パージガス供給ライン
157 パージガス供給弁
159 パージガス供給源
160 温度測定器
165 プランジャ
167 電極
170 ばね
171 ケーシング
174 電力分配線
176 通信線
200 パッド支持部
200a 回転軸
201 支持アーム
205 昇降機構
207 支持台
210 軸受
212 ブリッジ
214 ボールねじ機構
216 サーボモータ
220 ボールスプライン軸受
222 プーリ
223 プーリ
225 ベルト
227 回転モータ
400 研磨ヘッド
405A,405B,405C,405D 圧力室
460 研磨テーブル
470 膜厚センサ
480 研磨液供給ノズル
500 研磨パッド
701 第1研磨装置
702 第2研磨装置
705 搬送装置
707 洗浄装置
709 乾燥装置
W ワークピース