(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】ダイボンディング装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/52 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
H01L21/52 F
H01L21/52 C
(21)【出願番号】P 2020158133
(22)【出願日】2020-09-23
【審査請求日】2023-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】515085901
【氏名又は名称】ファスフォードテクノロジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小橋 英晴
(72)【発明者】
【氏名】高野 晴之
(72)【発明者】
【氏名】中島 宜久
(72)【発明者】
【氏名】内藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】糸井 勇太
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-004812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/447-21/449
H01L21/52
H01L21/58 -21/607
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の撮像装置と、
前記複数の撮像装置のそれぞれに設けられた複数のレンズと、
第一照明装置と、
前記第一照明装置と種類の異なる第二照明装置と、
前記複数の撮像装置、前記第一照明装置および前記第二照明装置を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記第一照明装置から光を照射して前記複数の撮像装置により撮像対象物を撮像し、撮像した複数の画像の明るさをそれぞれ補正し、補正した複数の画像を結合した第一結合画像を取得し、
前記第二照明装置から光を照射して前記複数の撮像装置により撮像対象物を撮像し、撮像した複数の画像の明るさをそれぞれ補正し、補正した複数の画像を結合した第二結合画像を取得し、
前記第一結合画像と前記第二結合画像とを和算合成するよう構成されるダイボンディング装置。
【請求項2】
請求項1のダイボンディング装置において、
前記第一照明装置は同軸照明であり、前記第二照明装置は二方向斜光バー照明であるダイボンディング装置。
【請求項3】
請求項1のダイボンディング装置において、
前記制御部は、射影変換により前記第一結合画像および前記第二結合画像を生成するよう構成されるダイボンディング装置。
【請求項4】
請求項1のダイボンディング装置において、
前記複数の撮像装置は、搬送される基板の上方に前記基板の幅方向に沿って一列に固定配設され、
前記制御部は、前記基板の上に位置する前記幅方向に沿った一列の複数のアタッチメント領域の撮像対象物を前記複数の撮像装置で撮像するよう構成されるダイボンディング装置。
【請求項5】
請求項4のダイボンディング装置において、
前記制御部は、前記基板を当該基板の長さ方向に搬送して次の列の複数のアタッチメント領域の前記撮像対象物を前記複数の撮像装置で撮像するよう構成されるダイボンディング装置。
【請求項6】
請求項5のダイボンディング装置において、
前記撮像対象物は前記基板に塗布されたペースト状接着剤であるダイボンディング装置。
【請求項7】
請求項5のダイボンディング装置において、
前記撮像対象物は前記基板または既にボンディングされたダイの上にボンディングされたダイであるダイボンディング装置。
【請求項8】
基板の上方に前記基板の幅方向に沿って一列に固定配設された複数の撮像装置と、前記複数の撮像装置のそれぞれに設けられた複数のレンズと、第一照明装置と、前記第一照明装置と種類の異なる第二照明装置と、を備えるダイボンディング装置に前記基板を搬入する搬入工程と、
前記基板の上に位置する複数のアタッチメント領域の撮像対象を撮像する撮像工程と、
を含み、
前記撮像工程は、
前記第一照明装置から光を照射して前記複数の撮像装置により前記幅方向に沿った一列の複数のアタッチメント領域の撮像対象物を撮像し、撮像した複数の画像の明るさをそれぞれ補正し、補正した複数の画像を結合した第一結合画像を取得する工程と、
前記第二照明装置から光を照射して前記複数の撮像装置により前記幅方向に沿った一列の複数のアタッチメント領域の前記撮像対象物を撮像し、撮像した複数の画像の明るさをそれぞれ補正し、補正した複数の画像を結合した第二結合画像を取得する工程と、
前記第一結合画像と前記第二結合画像とを和算合成する工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8の半導体装置の製造方法において、
前記第一照明装置は同軸照明であり、前記第二照明装置は二方向斜光バー照明である半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項8の半導体装置の製造方法において、
射影変換により前記第一結合画像および前記第二結合画像を生成する半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項8の半導体装置の製造方法において、
前記撮像工程は、前記基板を当該基板の長さ方向に搬送して次の列の複数のアタッチメント領域の撮像対象物を前記複数の撮像装置で撮像する半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項8から11の何れか1項の半導体装置の製造方法において、
さらに、前記基板にペースト状接着剤を塗布する工程を備え、
前記撮像対象物は塗布された前記ペースト状接着剤である半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項8から11の何れか1項の半導体装置の製造方法において、
さらに、前記基板または既にボンディングされたダイの上にダイをボンディングする工程を備え、
前記撮像対象物はボンディングされた前記ダイである半導体装置の製造方法。
【請求項14】
搬送される基板の上方に前記基板の幅方向に沿って移動可能に配設される撮像装置と、
前記撮像装置に設けられたレンズと、
第一照明装置と、
前記第一照明装置と種類の異なる第二照明装置と、
前記撮像装置、前記第一照明装置および前記第二照明装置を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記第一照明装置から光を照射して前記撮像装置により撮像対象物を撮像し、撮像した画像の明るさを補正した第一補正画像を取得し、
前記第二照明装置から光を照射して前記撮像装置により前記撮像対象物を撮像し、撮像した画像の明るさを補正した第二補正画像を取得し、
前記第一補正画像と前記第二補正画像とを和算合成して合成画像を生成するよう構成され
、
前記制御部は、前記撮像装置を移動させて、前記基板の上に位置する前記幅方向に沿った一列の複数のアタッチメント領域の撮像対象物を順次撮像するよう構成されるダイボンディング装置。
【請求項15】
請求項
14のダイボンディング装置において、
前記制御部は、
前記第一照明装置から光を照射して前記撮像装置により前記撮像対象物を順次撮像し、撮像した複数の画像の明るさをそれぞれ補正した第一補正画像を取得し、
前記第二照明装置から光を照射して前記撮像装置により前記撮像対象物を順次撮像し、撮像した複数の画像の明るさをそれぞれ補正した第二補正画像を取得するよう構成されるダイボンディング装置。
【請求項16】
請求項
14のダイボンディング装置において、
前記制御部は、前記基板を当該基板の長さ方向に搬送して次の列の複数のアタッチメント領域を前
記撮像装置で撮像するよう構成されるダイボンディング装置。
【請求項17】
請求項14のダイボンディング装置において、
前記第一照明装置は同軸照明であり、前記第二照明装置は二方向斜光バー照明であるダイボンディング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はダイボンディング装置に関し、例えば複数の種類の照明装置から同時に照明光を照射するダイボンダに適用可能である。
【背景技術】
【0002】
ダイボンディング装置としてのダイボンダは、樹脂ペースト、はんだ、金メッキ等を接合材料として、半導体チップ(以下、単にダイという。)を配線基板やリードフレーム等(以下、単に基板という。)または既にボンディングされたダイの上にボンディング(載置して接着)する装置である。例えば、ダイを基板の表面にボンディングするダイボンダにおいては、ボンディングヘッドの先端に取り付けられたコレットと呼ばれる吸着ノズルを用いてダイをウェハから吸着してピックアップし、基板上の所定の位置に載置し、押付力を付与すると共に、接合材を加熱することによりボンディングを行うという動作(作業)が繰り返して行われる。
【0003】
例えば、樹脂を接合材料として使用する場合、樹脂ペーストが接着剤(以下、ペースト状接着剤という。)として使用される。ペースト状接着剤はシリンジ内に封入され、このシリンジが、基板に対して上下動してペースト状接着剤を射出して塗布する。シリンジの近傍には認識カメラが取り付けられ、この認識カメラで、ペースト状接着剤が塗布される位置を確認して位置決めが行われ、また塗布されたペースト状接着剤が所定位置に所定の形状で所定量だけ塗布されているかが確認される。
【0004】
また、ボンディングヘッドの近傍には認識カメラが取り付けられ、この認識カメラで、ダイがボンディングされる基板の位置を確認して位置決めが行われ、またボンディングされたダイが所定位置にボンディングされているかが確認される。
【0005】
また、ダイボンダでは、装置照明システムは品種の多様性、プロセスへの対応、位置決めや検査等のアルゴリズムの違いを網羅するため、1つの認識カメラに対し複数の種類の照明装置を搭載することがある。例えば、同軸照明と斜光照明が搭載され、同時に照明光が照射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、複数の種類の照明装置から同時に照射光が照射される場合があるが、各照明装置の特性が異なることに起因して撮像画像の明度を補正することが困難である。
【0008】
本開示の課題は、複数の種類の照明装置の照度補正が可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
すなわち、ダイボンディング装置は、複数の撮像装置と、第一照明装置と、第二照明装置と、複数の撮像装置、第一照明装置および第二照明装置を制御する制御部と、を備える。制御部は、第一照明装置から光を照射して複数の撮像装置により撮像対象物を撮像し、撮像した複数の画像の明るさをそれぞれ補正し、補正した複数の画像を結合した第一結合画像を取得し、第二照明装置から光を照射して複数の撮像装置により撮像対象物を撮像し、撮像した複数の画像の明るさをそれぞれ補正し、補正した複数の画像を結合した第二結合画像を取得し、第一結合画像と第二結合画像とを和算合成するよう構成される。
【発明の効果】
【0010】
上記ダイボンディング装置によれば、複数の種類の照明装置の照度補正が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は撮像装置の多連化について説明する上面図である。
【
図2】
図2は
図1において矢印A方向から見たときの側面図である。
【
図3】
図3は多連化された撮像装置に用いる照明装置を示す図である。
【
図4】
図4は多連化された撮像装置の撮像画像の合成を説明するフローチャートである。
【
図5】
図5は多連化した撮像装置において複数種類の照明を同時照射する場合の問題点を説明する撮像画像を示す図である。
【
図6】
図6は使用する照明の組み合わせによる視野内平均明度の減衰率または増幅率の例を示す図である。
【
図7】
図7は実施形態における画像合成を説明するフローチャートである。
【
図8】
図8は他の実施形態における撮像装置および照明装置を示す図である。
【
図9】
図9は他の実施形態における画像合成を説明するフローチャートである。
【
図10】
図10は実施例におけるダイボンダの概略を示す上面図である。
【
図11】
図11は
図10において矢印A方向から見たときに、ピックアップヘッド及びボンディングヘッドの動作を説明する図である。
【
図14】
図14は
図10に示すダイボンダを用いた半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態および実施例について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。
【0013】
まず、本開示者らが検討した技術について
図1~
図3を用いて説明する。
図1は撮像装置の多連化について説明する上面図である。
図2は
図1において矢印A方向から見たときの側面図である。
図3は多連化された撮像装置に用いる照明装置を示す図であり、
図3(a)は断面図であり、
図3(b)は
図3(a)に示す断面とは異なる面の断面図である。
【0014】
例えば、
図1に示すように、基板Sの上方に基板Sの幅方向(Y軸方向)に複数の撮像装置101~103を一列に並べて固定的に配設する。
図2に示すように、これら撮像装置101~103は同じ高さで水平方向に所定間隔をあけており、各撮像装置101~103の光軸は互いに平行かつ基板Sに対して垂直とされる。
【0015】
図1および
図2では、一例として撮像装置を三台設け、基板Sの一列にアタッチメント領域を六個設けた例を示しており、撮像装置のピッチがアタッチメント領域のピッチよりも大きくなっている。ここで、基板Sは、例えば、
図1に示すように、矩形状、かつ平板状で、縦横に多数のアタッチメント領域AA11~AA16,AA21~AA26,AAn1~AAn6を有している。基板Sは、例えば、搬送方向(X軸方向)の長さは幅方向(Y軸方向)の長さよりも長く構成されている。
【0016】
撮像装置101~103はアタッチメント領域AA11~AA16の撮像対象物を撮像する。ここで、撮像装置101~103のそれぞれの撮像視野IA1~IA3は重複している。また、基板Sを搬送方向(X軸方向)に移動することにより残りの列の撮像対象物を順次撮像する。撮像装置を多連化することで撮像対象物のほぼ直上で撮像でき、撮像視野内の照明の均一性を向上させて検査することができる。また、撮像装置を多連化することで撮像装置を動かす必要が無くなり、広視野光学系と同じ処理効率を得ることができる。
【0017】
多連化した撮像装置は各々が同様の照明系を持つのが好ましい。例えば、
図3(a)に示すように、撮像装置101~103と基板Sとの間には、面発光面(光源)121a、ハーフミラー(半透過鏡)121bを内部に備えた同軸照明121および斜光照明としての二方向の斜光バー照明122が配置されている。
【0018】
同軸照明121の面発光面121aからの照射光は、ハーフミラー121bによって撮像装置101~103と同じ光軸で反射され、基板Sのアタッチメント領域AA11~AA16の撮像対象物に照射される。撮像装置101~103と同じ光軸でアタッチメント領域AA11~AA16の撮像対象物に照射されたその散乱光は、アタッチメント領域AA11~AA16の撮像対象物で反射し、そのうちの正反射光がハーフミラー121bを透過して撮像装置101~103に達し、アタッチメント領域AA11~AA16の撮像対象物の画像を形成する。
図3(b)に示すように、面発光面121aおよびハーフミラー121bのY軸方向の長さは基板Sの幅方向における撮像装置101~103の撮像視野全体よりも少し広く構成されている。
【0019】
斜光バー照明122は発光面122aを有し、斜め上方から撮像対象物を照射する照明であり、同軸照明121の両側に配置されている。斜光バー照明122はY軸方向の長さは基板Sの幅方向における撮像装置101~103の撮像視野全体よりも少し広く構成されている。
【0020】
次に、複数の撮像装置および複数の照明を使用して一つの画像を得る方法について
図4を用いて説明する。
図4は画像合成を説明するフローチャートである。
【0021】
制御部200は、同軸照明121および斜光バー照明122の両方により複数のアタッチメント領域AA11~AA16の撮像対象物を照射する(ステップS1)。制御部200は、複数の撮像装置101~103により複数のアタッチメント領域AA11~AA15の撮像対象物を撮像する(ステップS2)。制御部200は複数の撮像装置101~103で撮像した画像を射影変換やアフィン変換等による座標変換をして、各撮像装置間の画像を滑らかにつなぎ合わせた一枚の結合画像を得る(ステップS3)。
【0022】
次に、多連化した撮像装置において複数種類の照明を同時照射する場合の問題点について
図5および
図6を用いて説明する。
図5は多連化した撮像装置において複数種類の照明を同時照射する場合の問題点を説明する撮像画像を示す図であり、
図5(a)は
図3に示す同軸照明のみの照射時における撮像画像を示す図であり、
図5(b)は
図3に示す斜光バー照明のみの照射時における撮像画像を示す図である。
図6は
図5に示すレンズおよび照明における使用する照明の組み合わせによる視野内平均明度の減衰率または増幅率の例を示す図である。
【0023】
各撮像装置間の特性および各レンズ間の特性を合わせ、かつ、発光面内の照度を均一にしても、多連化した撮像装置の各撮像装置の位置に対する照明の位置は同じではない(撮像装置と照明の相対位置関係が異なる)ので各撮像装置の視野内の明るさには差異が生じてしまう。すなわち、多連化した撮像装置では各撮像装置の視野内の明るさが異なるため、撮像した画像の補正が必要となる。しかし、同じ視野内で同軸照明を反射しやすい領域と斜光照明を反射しやすい領域とが混在する。このため、
図5(a)に示す同軸照明121のみの照射時と
図5(b)に示す斜光バー照明122のみの照射時との明るさが異なり、その補正値が異なる。この結果、同軸照明121と斜光バー照明122とを同時に使用した場合の補正値を求めることが難しい。ここで、
図5では、各撮像装置の視野の境界線が示されている。
【0024】
さらに、上述した照明起因の明るさの違い以外にレンズ111~113のばらつきによる明るさの違いも生じる。レンズの個体差として開口数、F値(F number)、作動距離(Working Distance:WD)、焦点距離など加工上のばらつきが原因でレンズの明るさは数%程度異なることがあり得る。開口数の違いは拡散光の集光量に影響する。このレンズのばらつき起因と照明系の原因で発生する画像間の明るさのばらつきは、
図6に示すように、その視野内減衰率または増幅率が各々異なる。
【0025】
同軸照明121および斜光バー照明122を同時に照射して撮像すると、画像の明るさが
図6に示す視野内減衰率または増幅率に従った変化率で増減し、各変化率を混在させた画像を撮像するため、画像取得後に明るさを補正することが困難になる。
【0026】
次に、
図3に示す複数の撮像装置および複数種類の照明を使用して一つの画像を得る実施形態における方法について
図3および
図7を用いて説明する。
図7は実施形態における画像合成を説明するフローチャートである。
【0027】
被写体(撮像対象物)および撮像システム(撮像装置、レンズおよび照明装置)が静止状態であることを前提として、各レンズ(撮像装置)と照明の組み合わせで各々画像を撮像し、各照明の撮像画像ごとにレンズ間の明るさをデジタル補正し、照明ごとの画像を射影変換等にて合成したのち、各照明での結合画像を和算合成する。これにより、射影変換等による均一な結合画像(合成画像)を得ることができる。以下、より詳細に説明する。
【0028】
制御部200は、同軸照明121のみにより複数のアタッチメント領域AA11~AA16の複数の撮像対象物に照射する(ステップS11)。ステップS11の状態で、制御部200は、複数の撮像装置101~103により複数のアタッチメント領域AA11~AA16の撮像対象物を撮像する(ステップS12)。制御部200は、ステップS12において複数の撮像装置101~103により撮像した複数の撮像画像の明るさが一様になるように各撮像画像に明るさに応じた所定係数を乗算等してデジタル補正する(ステップS13)。制御部200は、ステップS13において補正した複数の画像を、ステップS3と同様に、斜影変換やアフィン変換等による座標変換をして、各撮像装置間の補正した画像を滑らかにつなぎ合わせた一枚の画像(第一結合画像)を得る(ステップS14)。
【0029】
制御部200は、斜光バー照明122のみにより複数のアタッチメント領域AA11~AA16の複数の撮像対象物に照射する(ステップS15)。ステップS15の状態で、制御部200は、複数の撮像装置101~103により複数のアタッチメント領域AA11~AA16の撮像対象物を撮像する(ステップS16)。制御部200は、ステップS16において複数の撮像装置101~103により撮像した複数の撮像画像の明るさが一様になるように各撮像画像に明るさに応じた所定係数を乗算等してデジタル補正する(ステップS17)。制御部200は、ステップS17において補正した複数の画像を、ステップS3と同様に、斜影変換やアフィン変換等による座標変換をして、各撮像装置間の補正した画像を滑らかにつなぎ合わせた一枚の画像(第二結合画像)を得る(ステップS18)。
【0030】
制御部200は、ステップS14において取得した第一結合成画像とステップS18において取得した第二結合画像との対応する位置における画素値をそれぞれ加算する和算合成して画像(合成画像)を得る(ステップS19)。
【0031】
なお、ステップS11~S14とステップS15~S18とは何れを先に行ってもよい。また、ステップS11,S12とステップS15,S16を並行して行わなければよく、ステップS13,S14とステップS17,S18とは並行したり前後したりして行ってもよい。
【0032】
これにより、均一な結合画像を得ることができる。撮像装置間の画像の結合を行っても明度を一様にできるため撮像装置間の明度の補正精度が改善できる。検査感度、位置決め精度を向上させることができる。撮像装置の機差、レンズの機差および照明に対する位置の差に起因する明度を補正することができる。
【0033】
また、実施形態では、複数の撮像装置の例を説明したが、複数の撮像装置に限定されるものではなく、一つの撮像装置において二つ以上の複数の照明を同時に照射するものに適用可能である。その一例について
図8を用いて説明する。
図8は他の実施形態における撮像装置および照明装置を示す図であり、
図8(a)は断面図であり、
図8(b)は
図8(a)に示す断面とは異なる面の断面図である。
【0034】
例えば、
図8(b)に示すように、基板Sの上方に基板Sの幅方向(Y軸方向)に移動可能な撮像装置101を配設する。基板Sは、
図1に示す基板Sと同様に、一列にアタッチメント領域を六個設けている。
【0035】
撮像装置101は、Y軸方向に移動することにより、アタッチメント領域AA11~AA16の撮像対象物を順次撮像する。また、基板Sを搬送方向(Y軸方向)に移動することにより残りの列の撮像対象物を順次撮像する。
【0036】
図8(a)および
図8(b)に示すように、撮像装置101と基板Sとの間には、
図3(a)および
図3(b)に示す同軸照明121および二方向の斜光バー照明122と同様の照明装置が配置されている。
【0037】
次に、
図8に示す撮像装置および複数種類の照明を使用する他の実施形態における方法について
図8および
図9を用いて説明する。
図9は他の実施形態における画像合成を説明するフローチャートである。
【0038】
制御部200は、同軸照明121のみにより複数のアタッチメント領域AA11~AA16の複数の撮像対象物に照射する(ステップS21)。ステップS21の状態で、制御部200は、撮像装置101により複数のアタッチメント領域AA11~AA16の撮像対象物を順次撮像する(ステップS22)。制御部200は、ステップS22において撮像装置101により撮像した複数の撮像画像の明るさが一様になるように各撮像画像に明るさに応じた所定係数を乗算等してデジタル補正して複数の補正された画像(第一補正画像)を得る(ステップS23)。
【0039】
制御部200は、斜光バー照明122のみにより複数のアタッチメント領域AA11~AA16の複数の撮像対象物に照射する(ステップS25)。ステップS25の状態で、制御部200は、撮像装置101により複数のアタッチメント領域AA11~AA15の撮像対象物を順次撮像する(ステップS26)。制御部200は、ステップS12において撮像装置101により撮像した複数の撮像画像の明るさが一様になるように各撮像画像に明るさに応じた所定係数を乗算等してデジタル補正して複数の補正された画像(第二補正画像)を得る(ステップS27)。
【0040】
制御部200は、ステップS23において取得した複数の第一補正画像とステップS27において取得した複数の第二補正画像とをそれぞれ和算合成して複数の画像(合成画像)を得る(ステップS29)。
【0041】
なお、ステップS21~S23とステップS25~S27とは何れを先に行ってもよい。また、ステップS21,S22とステップS25,S26を並行して行わなければよく、ステップS23とステップS27とは並行したり前後したりして行ってもよい。
【実施例】
【0042】
上述した実施形態を適用した実施例について以下説明する。
図10は実施例におけるダイボンダの概略を示す上面図である。
図11は
図10において矢印A方向から見たときに、ピックアップヘッド及びボンディングヘッドの動作を説明する図である。
【0043】
ダイボンダ10は、大別して、基板Sに実装するダイDを供給するダイ供給部1と、ピックアップ部2と、中間ステージ部3と、プリフォーム部9と、ボンディング部4と、搬送部5と、基板供給部6と、基板搬出部7と、各部の動作を監視し制御する制御部8と、を有する。Y軸方向がダイボンダ10の前後方向であり、X軸方向が左右方向である。ダイ供給部1がダイボンダ10の手前側に配置され、ボンディング部4が奥側に配置される。ここで、基板Sには、最終一パッケージとなる、複数の製品エリア(以下、パッケージエリアPという。)が形成されている。例えば、基板Sがリードフレームである場合、パッケージエリアPはダイDが載置されるタブを有する。
【0044】
まず、ダイ供給部1は基板SのパッケージエリアPに実装するダイDを供給する。ダイ供給部1は、ウェハ11を保持するウェハ保持台12と、ウェハ11からダイDを突き上げる点線で示す剥離ユニット13と、を有する。ダイ供給部1は図示しない駆動手段によってXY軸方向に移動し、ピックアップするダイDを剥離ユニット13の位置に移動させる。
【0045】
ピックアップ部2は、ダイDをピックアップするピックアップヘッド21と、ピックアップヘッド21をY軸方向に移動させるピックアップヘッドのY駆動部23と、コレット22を昇降、回転及びX軸方向移動させる図示しない各駆動部と、ウェハ11からピックアップするダイDのピックアップ位置を把握するウェハ認識カメラ24と、を有する。ピックアップヘッド21は、突き上げられたダイDを先端に吸着保持するコレット22(
図11も参照)を有し、ダイ供給部1からダイDをピックアップし、中間ステージ31に載置する。ピックアップヘッド21は、コレット22を昇降、回転及びX軸方向移動させる図示しない各駆動部を有する。
【0046】
中間ステージ部3は、ダイDを一時的に載置する中間ステージ31と、中間ステージ31上のダイDを認識する為のステージ認識カメラ32と、を有する。
【0047】
プリフォーム部9はシリンジ91とシリンジ91をY方向およびZ方向に移動させる駆動部93と、シリンジ91の塗布位置等を把握する撮像装置としての接着剤認識カメラ94と、を有する。ここで、接着剤認識カメラ94は、例えば実施形態の多連化された撮像装置101~103と同様であり、接着剤認識カメラ94は実施形態における同軸照明121および二方向の斜光バー照明122を用いて撮像するように構成されている。プリフォーム部9は搬送部5により搬送されてきた基板Sにシリンジ91でエポキシ樹脂等のペースト状接着剤を塗布する。シリンジ91は内部にペースト状接着剤が封入されており、空気圧によりペースト状接着剤がノズル先端から基板Sに押し出されて塗布されるように構成されている。基板Sが、例えば、複数個の単位リードフレームが横一列に並べられて一連に連設されている多連リードフレームの場合は、単位リードフレームのタブごとにペースト状接着剤を塗布する。
【0048】
ボンディング部4は、中間ステージ31からダイDをピックアップし、搬送されてくる基板Sのペースト状接着剤が塗布されたパッケージエリアP上にボンディングする。ボンディング部4は、ピックアップヘッド21と同様にダイDを先端に吸着保持するコレット42(
図11も参照)を備えるボンディングヘッド41と、ボンディングヘッド41をY軸方向に移動させるY駆動部43と、基板SのパッケージエリアPの位置認識マーク(図示せず)を撮像し、ボンディング位置を認識する基板認識カメラ44と、を有する。ここで、基板認識カメラ44は三台のカメラ44a,44b,44cで構成されており、例えば実施形態の多連化された撮像装置101~103と同様であり、基板認識カメラ44は実施形態における同軸照明121および二方向の斜光バー照明122を用いて撮像するように構成されている。このような構成によって、ボンディングヘッド41は、ステージ認識カメラ32の撮像データに基づいてピックアップ位置・姿勢を補正し、中間ステージ31からダイDをピックアップし、基板認識カメラ44の撮像データに基づいて基板にダイDをボンディングする。
【0049】
搬送部5は、基板Sを掴み搬送する基板搬送爪51と、基板Sが移動する搬送レーン52と、を有する。基板Sは、搬送レーン52に設けられた基板搬送爪51の図示しないナットを搬送レーン52に沿って設けられた図示しないボールネジで駆動することによって移動する。このような構成によって、基板Sは、基板供給部6から搬送レーン52に沿ってボンディング位置まで移動し、ボンディング後、基板搬出部7まで移動して、基板搬出部7に基板Sを渡す。
【0050】
次に、ダイ供給部1の構成について
図12を用いて説明する。
図12は
図10に示すダイ供給部の主要部を示す概略断面図である。
【0051】
ダイ供給部1は、水平方向(XY軸方向)に移動するウェハ保持台12と、上下方向に移動する剥離ユニット13と、を備える。ウェハ保持台12は、ウェハリング14を保持するエキスパンドリング15と、ウェハリング14に固定されたダイシングテープ16を水平に位置決めする支持リング17と、を有する。ウェハ11において網目状にダイシングされたダイDは、ダイシングテープ16に接着固定されている。剥離ユニット13は支持リング17の内側に配置される。
【0052】
ダイ供給部1は、ダイDの突き上げ時に、ウェハリング14を保持しているエキスパンドリング15を下降させる。その結果、ウェハリング14に保持されているダイシングテープ16が引き伸ばされダイDの間隔が広がり、剥離ユニット13によりダイD下方からダイシングテープ16を突上げたり水平移動したりして、ダイDのピックアップ性を向上させている。
【0053】
ダイボンダ10の制御系について
図13を用いて説明する。
図13は
図10に示すダイボンダの制御系の概略構成を示すブロック図である。
【0054】
図11に示すように、制御系80は制御部8と駆動部86と信号部87と光学系88と、を備える。制御部8は、大別して、主としてCPU(Central Processor Unit)で構成される制御・演算装置81と、記憶装置82と、入出力装置83と、バスライン84と、電源部85と、を有する。記憶装置82は、処理プログラムなどを記憶しているRAMで構成されている主記憶装置82aと、制御に必要な制御データや画像データ等を記憶しているHDDで構成されている補助記憶装置82bと、を有する。入出力装置83は、装置状態や情報等を表示するモニタ83aと、オペレータの指示を入力するタッチパネル83bと、モニタを操作するマウス83cと、光学系88からの画像データを取り込む画像取込装置83dと、を有する。また、入出力装置83は、ダイ供給部1のXYテーブル(図示せず)やボンディングヘッドテーブルのZY駆動軸等の駆動部86を制御するモータ制御装置83eと、種々のセンサ信号や照明装置などのスイッチ等の信号部87から信号を取り込み又は制御するI/O信号制御装置83fと、を有する。光学系88には、
図11に示すウェハ認識カメラ24、
図10に示す接着剤認識カメラ94、ステージ認識カメラ32および基板認識カメラ44が含まれる。制御・演算装置81はバスライン84を介して必要なデータを取込み、演算し、ボンディングヘッド41等の制御や、モニタ83a等に情報を送る。
【0055】
制御部8は画像取込装置83dを介して光学系88で撮像した画像データを記憶装置82に保存する。保存した画像データに基づいてプログラムしたソフトウェアにより、制御・演算装置81を用いてダイDおよび基板Sの位置決め、ペースト状接着剤の塗布パターンの検査並びにダイDおよび基板Sの表面検査を行う。制御・演算装置81が算出したダイDおよび基板Sの位置に基づいてソフトウェアによりモータ制御装置83eを介して駆動部86を動かす。このプロセスによりウェハ11上のダイDの位置決めを行い、ダイ供給部1およびダイボンディング部4の駆動部で動作させダイDを基板S上にボンディングする。光学系88で使用する認識カメラはグレースケール、カラーカメラ等であり、光強度を数値化する。
【0056】
次に、実施例に係るダイボンダを用いた半導体装置の製造方法について
図14を用いて説明する。
図14は
図10のダイボンダを用いた半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【0057】
(ステップS51:ウェハ・基板搬入工程)
ウェハ11から分割されたダイDが貼付されたダイシングテープ16を保持したウェハリング14をウェハカセット(不図示)に格納し、ダイボンダ10に搬入する。制御部8はウェハリング14が充填されたウェハカセットからウェハリング14をダイ供給部1に供給する。また、基板Sを準備し、ダイボンダ10に搬入する。制御部8は基板供給部6で基板Sを基板搬送爪51に取り付ける。
【0058】
(ステップS52:ピックアップ工程)
制御部8は、ウェハ保持台12により所望するダイDをウェハリング14からピックアップできるようにウェハリング14を移動し、ウェハ認識カメラ24により撮像したデータに基づいて位置決めおよび表面検査を行う。制御部8は位置決めされたダイDを剥離ユニット13によりダイシングテープ16から剥離する。
【0059】
制御部8は剥離されたダイDをピックアップヘッド21によりウェハ11からピックアップする。このようにして、ダイシングテープ16から剥離されたダイDは、ピックアップヘッド21のコレット22に吸着、保持されて次工程(ステップS53)に搬送される。そして、ダイDを次工程に搬送したコレット22がダイ供給部1に戻ってくると、上記した手順に従って、次のダイDがダイシングテープ16から剥離され、以後同様の手順に従ってダイシングテープ16から1個ずつダイDが剥離される。
【0060】
(ステップS53:ボンディング工程)
制御部8は接着剤認識カメラ94により塗布前の基板Sの表面の画像を取得してペースト状接着剤を塗布すべき面を確認する。塗布すべき面に問題なければ、制御部8は搬送部5により搬送された基板Sにシリンジ91からペースト状接着剤を塗布する。基板Sが多連リードフレームの場合はすべてのタブにペースト状接着剤を塗布する。制御部8は、塗布後ペースト状接着剤が正確に塗布されているかを接着剤認識カメラ94で再度確認し、塗布されたペースト状接着剤を検査する。塗布に問題なければ、制御部8は搬送部により基板SをボンディングステージBSに搬送し、基板認識カメラ44により撮像した画像データに基づいて位置決めを行う。
【0061】
制御部8はウェハ11からピックアップヘッド21によりピックアップしたダイDを中間ステージ31に載置し、ボンディングヘッド41で中間ステージ31から再度ダイDをピックアップし、位置決めされた基板Sにボンディングする。制御部8は基板認識カメラ44により撮像した画像データに基づいてダイDが所望の位置にボンディングされたかどうか等の検査を行う。
【0062】
(ステップS54:基板搬出工程)
制御部8は基板搬出部7で基板搬送爪51からダイDがボンディングされた基板Sを取り出す。ダイボンダ10から基板Sを搬出する。
【0063】
以上、本開示者らによってなされた発明を実施形態、および実施例に基づき具体的に説明したが、本開示は、上記実施形態および実施例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【0064】
例えば、実施形態では、同軸照明と斜光バー照明を照射する例を説明したが、これに限定されるものではなく、異なる種類の照明に適用可能である。例えば、斜光リング照明、四方向斜光バー照明、ドーム照明、透過照明等であってもよい。
【0065】
また、実施形態では、二つの照明装置の例を説明したが、二つの照明装置に限定されるものではなく、三つ以上の複数の照明を同時に照射するものに適用可能である。
【0066】
また、実施例では、接着剤認識カメラ94および基板認識カメラ44は、実施形態の多連化された撮像装置101~103と同様の例を説明したが、他の実施形態の多連化されていない撮像装置101と同様であってもよい。
【0067】
また、実施例では、プリフォーム部で基板にペースト状接着剤を塗布する例を説明したが、ダイを基板に接着する接着剤は、シリンジ91によって塗布されるペースト状接着剤に代えてウェハ11とダイシングテープ16との間に貼り付けるダイアタッチフィルム(DAF)と呼ばれるフィルム状の接着材料を用いてもよい。DAFは基板Sの上のダイの上にダイを何枚も載置されて構成される積層パッケージに適している。
【0068】
また、実施例では、ダイ供給部1とボンディング部4との間に中間ステージ部3を設け、ピックアップヘッド21でダイ供給部1からピックアップしたダイDを中間ステージ31に載置し、ボンディングヘッド41で中間ステージ31から再度ダイDをピックアップし、搬送されてきた基板Sにボンディングする例を説明したが、ボンディングヘッド41でダイ供給部1からピックアップしたダイDを基板Sにボンディングするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0069】
10・・・ダイボンダ(ダイボンディング装置)
101~103・・・撮像装置
111~113・・・レンズ
121・・・同軸照明(第一照明装置)
122・・・斜光バー照明(第二照明装置)
200・・・制御部