(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】真空処理装置、真空システム、ガス分圧制御アセンブリ、及び真空処理チャンバ内のガス分圧を制御する方法
(51)【国際特許分類】
C23C 14/00 20060101AFI20240709BHJP
C23C 14/34 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
C23C14/00 B
C23C14/34 L
(21)【出願番号】P 2022524185
(86)(22)【出願日】2020-02-24
(86)【国際出願番号】 EP2020054782
(87)【国際公開番号】W WO2021170209
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-07-07
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チェン, チュン チョン
(72)【発明者】
【氏名】チャン, フン-ウェン
(72)【発明者】
【氏名】リン, シン-フン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, チー-チャン
(72)【発明者】
【氏名】ムンドルフ, クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ゲーベレ, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】グリルマイヤー, ユルゲン
【審査官】有田 恭子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-123420(JP,A)
【文献】特開2018-053272(JP,A)
【文献】特開平11-350127(JP,A)
【文献】国際公開第2015/037315(WO,A1)
【文献】特開2001-254678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00-14/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理領域を含む真空チャンバ;
前記真空チャンバの前記処理領域内の堆積装置;
前記真空チャンバ内の冷却面;
前記冷却面と前記処理領域との間の1つ又は複数の可動シールド;及び
前記冷却面を少なくとも部分的に囲む1つ又は複数の固定シールド
を含み、
前記1つ又は複数の固定シールド及び前記1つ又は複数の可動シールドが、前記1つ又は複数の可動シールドが閉位置にあるときに真空チャンバ内の前記冷却面のためのエンクロージャを提供し、開位置では、可動シールドは、真空処理チャンバ内の冷却領域と処理領域の間に流体経路を提供する、
真空処理装置。
【請求項2】
前記真空チャンバが開口部を有し、前記真空処理装置は:
前記開口部をシールするように構成されているシール部材をさらに含み、前記冷却面が前記シール部材に結合されており、前記シール部材は:
前記堆積装置用のホルダーを含む、
請求項1に記載の真空処理装置。
【請求項3】
開口部を有する真空チャンバと;
前記開口部をシールするように構成されているシール部材と
を含む真空処理装置であって、前記シール部材が:
堆積装置用のホルダー;及び
前記シール部材に結合されている冷却面
を含
み、前記真空チャンバが処理領域を含み、前記堆積装置が、前記真空チャンバの前記処理領域内にあり、前記冷却面が前記真空チャンバ内にあり、前記真空処理装置が:
前記冷却面と前記処理領域との間の1つ又は複数の可動シールドをさらに含む、真空処理装置。
【請求項4】
前記真空処理装置が、取り外し可能なシーリング本体、又は前記シール部材を含むシーリングプレートを備える、請求項3に記載の真空処理装置。
【請求項5】
前記冷却面を少なくとも部分的に囲む1つ又は複数の固定シールドをさらに含む、請求項3に記載の真空処理装置。
【請求項6】
前記1つ又は複数の固定シールド及び前記1つ又は複数の可動シールドが、前記1つ又は複数の可動シールドが閉位置にあるときに前記冷却面のためのエンクロージャを提供する、請求項
5に記載の真空処理装置。
【請求項7】
前記1つ又は複数の固定シールド及び前記1つ又は複数の可動シールドが、前記1つ又は複数の可動シールドが開位置にあるときに、前記冷却面と前記処理領域との間に流体経路を提供する、前記冷却面を少なくとも部分的に囲む1つ又は複数の固定シールドをさらに含む、請求項
3に記載の真空処理装置。
【請求項8】
前記流体経路は、前記開位置における前記1つ又は複数の可動シールドの角度又は位置を調整することによって調整可能である、請求項
7に記載の真空処理装置。
【請求項9】
前記冷却面が複数のパイプの表面であるか、又は前記冷却面が極低温冷却装置の極低温面である、請求項1から
3のいずれか一項に記載の真空処理装置。
【請求項10】
前記真空チャンバと流体連通している少なくとも1つの真空ポンプをさらに含み、
前記真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、油拡散ポンプ、イオンゲッターポンプ、スクロールポンプからなる群から選択される、請求項1から
3のいずれか一項に記載の真空処理装置。
【請求項11】
請求項1から
3のいずれか一項に記載の真空処理装置と;
少なくとも1つの移送チャンバと
を含む真空処理システム。
【請求項12】
真空処理チャンバのためのガス分圧制御アセンブリであって、
前記ガスの凝縮のための冷却面;
前記真空処理チャンバから前記冷却面までの流体経路を調整するように構成されている可動シールド;及び
前記冷却面を少なくとも部分的に囲む1つ又は複数の固定シールド
を含み、
前記1つ又は複数の固定シールド及び前記1つ又は複数の可動シールドが、前記1つ又は複数の可動シールドが閉位置にあるときに真空チャンバ内の前記冷却面のためのエンクロージャを提供し、開位置では、可動シールドは、真空処理チャンバ内の冷却領域と処理領域の間に流体経路を提供する、ガス分圧制御アセンブリ。
【請求項13】
前記冷却面が1m
2以上の表面積を有する、請求項
12に記載のガス分圧制御アセンブリ。
【請求項14】
前記可動シールドが回転式の移動シールドである、請求項
12に記載のガス分圧制御アセンブリ。
【請求項15】
モータ;及び
シールド面、ギアボックス、ベルト、ホルダー、及びサポートプレートの少なくとも1つ
をさらに含む、請求項
14に記載のガス分圧制御アセンブリ。
【請求項16】
前記可動シールドがモータによってシャフトの周りで回転可能である、請求項
14に記載のガス分圧制御アセンブリ。
【請求項17】
ガスの凝縮のために表面を冷却すること;及び
可動シールドで真空処理チャンバ内の流体経路を調整すること
を含み、
ここで、真空チャンバが、開口部を有し、
真空処理装置が、開口部をシールするように構成されているシール部材を更に含み、冷却面がシール部材に結合されており、シール部材が、堆積装置用のホルダーを含む、前記真空処理チャンバ内のガス分圧を制御する方法。
【請求項18】
少なくとも1つの湿度センサ;及び
前記少なくとも1つの湿度センサに連結されているコントローラ
を含む、請求項
17に記載の方法。
【請求項19】
前記表面が1m
2以上の表面積を有する、請求項
17又は
18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、基板上に材料を堆積させるための真空処理装置、及び基板上に材料を堆積させながら真空処理装置内でガス分圧、例えば、部分水蒸気圧を維持するための方法に関する。特に、実施形態は、物理的気相堆積(PVD)装置などの真空処理装置の堆積領域における分圧の制御及び/又は調整に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]基板上への層堆積にはいくつかの技術があり、例えば、スパッタ堆積、物理的気相堆積(PVD)、化学気相堆積(CVD)、熱気相堆積、スピンコーティングなどである。コーティングされた基板は、いくつかの用途及びいくつかの技術分野で使用することができる。例えば、コーティングされた基板は、ウエハ上の電子デバイスの製造又はディスプレイデバイスの製造に使用することができる。ディスプレイデバイスは、情報を表示するためのテレビ画面、コンピュータモニタ、携帯電話、その他のハンドヘルドデバイスなどの製造に使用することができる。通常、ディスプレイは、異なる材料の層のスタックで基板をコーティングすることによって製造される。
【0003】
[0003]基板上に層スタックを堆積するために、処理モジュールの配置を使用することができる。基板の処理は、真空チャンバ内で大気圧以下で行うことができる。プロセスガスの分圧などのプロセス条件の制御は、堆積プロセスに影響を与える。
【0004】
[0004]基板の処理には、様々な層スタックの概念が使用される。層スタックの概念はまた、例えば、透明な絶縁層を有する層スタック、及び透明導電性酸化物(TCO)層、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)層を含み得る。例えば、ディスプレイ業界では、透明な導電性酸化物(例えば、ITO)、金属(例えば、Mo、Al)、及び活性層(例えば、インジウムガリウム酸化亜鉛(IGZO)層)を含む層が基板上にコーティングされる。
【0005】
[0005]ペースの速い技術の進化とともに、堆積とスパッタリングの品質を改善することを目的としている。スパッタリングなどの物理的気相堆積(PVD)プロセス(PVD)は、水蒸気分圧の変更など、ガス分圧の変更によるプロセスドリフトを示す場合がある。これは、事前のスパッタリング又は予防保守によって解決される場合がある。
【0006】
[0006]基板は、キャリアによって真空システムを通って運ばれ得る。基板を運ぶキャリアは、通常、輸送システムを使用して真空システムを通って輸送される。堆積中の大面積基板などの基板を支持するキャリアは、キャリア上に材料堆積を受ける可能性がある。真空処理装置では、ツールの動作時間とともに、キャリアにコーティングされた材料の量によって、キャリアが水分を捕捉する可能性が高くなる。したがって、湿気に敏感なプロセスの場合、プロセスのドリフトを防ぐために、中間のプレスパッタ対策又は頻繁な予防保守が有益である。
【0007】
[0007]例えば、結晶化温度と水蒸気分圧の間には依存性があることが示されている。低水蒸気圧で堆積された膜は優先配向を示したが、高水蒸気圧で堆積された膜は優先配向を示さなかった。
【0008】
[0008]したがって、水蒸気などのガスの分圧を制御することにより、基板上への薄膜の堆積を改善することができる。
【発明の概要】
【0009】
[0009]以上のことから、基板上に材料を堆積させるための真空処理装置、真空処理装置用のガス分圧制御アセンブリ、及び真空処理装置内でガス分圧を制御する方法が提供される。本開示の更なる態様、利点、及び特徴は、特許請求の範囲、説明、及び添付の図面から明らかである。
【0010】
[0010]本開示の一態様によれば、基板上に材料を堆積させるための真空処理装置が提供される。真空処理装置は、処理領域を含む真空チャンバ;処理領域を含む真空チャンバ;真空チャンバ内の冷却面;及び冷却面と処理領域との間の1つ又は複数の可動シールドを含む。
【0011】
[0011]本開示の別の態様によれば、真空処理チャンバ用のガス分圧制御アセンブリが提供される。ガス分圧制御アセンブリは、ガスを凝縮するための冷却面;及び真空処理チャンバから冷却面までの流体経路を調整するように構成されている可動シールドを含む。
【0012】
[0012]本開示のさらに別の態様によれば、真空処理チャンバ内のガスの分圧を制御する方法が提供される。この方法は、ガスの凝縮のための冷却面を含む。可動シールドを備えた真空処理チャンバ内の流体経路を調整する。
【0013】
[0013]本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、上で簡単に要約された本開示のより具体的な説明は、実施形態を参照することによって得られ得る。添付の図面は、本開示の実施形態に関連しており、以下に説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の実施形態による、基板上に材料を堆積するための真空処理システムの概略図を示す。
【
図2】本開示の実施形態による、基板上に材料を堆積するための真空処理装置の概略図を示す。
【
図3】本明細書に記載の実施形態による、例えば、真空処理チャンバ内の可動シールドを調整するための駆動モータを有するガス分圧制御アセンブリの一部の概略図を示す。
【
図4】本明細書に記載の実施形態による、基板上への材料の堆積中の水蒸気分圧調整のための方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0014]ここで、本開示の様々な実施形態を詳細に参照し、その1つ又は複数の例を図に示す。以下の図面の説明内で、同じ符号は同じ構成要素を指す。概して、個々の実施形態に関する違いのみが説明されている。各実施例は、開示の説明として提供されており、開示を限定するものではない。さらに、一実施形態の一部として図示又は説明された特徴は、他の実施形態上で、又は他の実施形態と組み合わせて使用して、さらに別の実施形態をもたらすことができる。説明には、そのような修正及び変形が含まれることが意図されている。
【0016】
[0015]本開示の実施形態は、真空処理装置及び真空処理システムを提供する。冷却面、例えば、極低温システムの冷却面は、ガスの分圧、例えば、水蒸気の分圧を低減するために提供される。本開示の実施形態は、ポンプ速度の制御性を高め、安定したガス分圧、例えば、水蒸気の安定した分圧を可能にする。
【0017】
[0016]以下では、水蒸気の分圧を制御することに言及する。しかしながら、本開示の実施形態は、他のガスの分圧を同様に制御することができる。
【0018】
[0017]本明細書で使用される「基板」という用語はまた、ウェブ又は箔などの可撓性基材を包含するものとする。本明細書に記載の実施形態は、例えば、ディスプレイ製造のために、大面積基板上への材料の堆積に利用することができる。例えば、大面積の基板は、約0.67m2(0.73×0.92m)の表面積に相当するGEN 4.5、約1.4m2(1.1m×1.3m)の表面積に相当するGEN 5、約4.29m2(1.95m×2.2m)の表面積に相当するGEN 7.5、約5.7m2(2.2m×2.5m)の表面積に相当するGEN 8.5、又は約8.7m2(2.85m×3.05m)の表面積に相当するGEN 10でさえあることができる。GEN 11やGEN 12などのより大きな世代、及び対応する表面積も同様に実装できる。
【0019】
[0018]例えば、タッチパネルのメーカーは、急速に変化する技術の進化に迅速に適応する必要がある、幅広く変化する製品ポートフォリオを有する。例えば、インジウムスズ酸化物は、ディスプレイの製造のための真空処理装置に堆積させることができる。ここに記載されている他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、インジウムスズ酸化物(ITO)膜は、スパッタシステムによって堆積させることができる。特に、回転カソードはスパッタシステムで使用することができる。ターゲット交換とシステムメンテナンスの容易さを向上させるために、「カソードドア」設計が採用されている。ここに記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、カソードドアは、シーリング本体又はシーリングプレートを含むことができ、これは、シール部材と呼ばれ得、そして1つ又は複数のスパッタカソードの支持体であり、真空処理装置の真空チャンバに結合されて、真空チャンバをシールすることができる。カソードドアは、カソードドアのシーリング本体又はシーリングプレートを真空チャンバから離して移動させて、スパッタカソードのターゲットへのアクセスを提供することによって開くことができる。
【0020】
[0019]
図1は、例えば、基板上に材料を堆積するための真空処理システム100の概略図を示している。真空処理システムは、移送チャンバ120及び真空処理チャンバ110を含む2つ以上の真空チャンバを含む。移送チャンバは、移送真空チャンバであり得る。さらに、真空処理システム100は、少なくとも移送チャンバ120及び真空処理チャンバ110を通って延びる基板支持体130を含む。移送チャンバ120及び
真空処理チャンバ110は、分離壁150によって分離することができる。分離壁は、ゲートバルブを含み得る。ゲートバルブは、基板又はキャリアを移送するために、それぞれ開閉することができる。
【0021】
[0020]真空処理システム100は、ターボ分子ポンプ、油拡散ポンプ、イオンゲッターポンプ、スクロールポンプ、又は任意の他の適切な真空ポンプなどの少なくとも1つ又は複数の真空ポンプ140を含む。真空処理システム100は、1つ又は複数の開口部114を含む。開口部は、シーリング部材115でシールすることができる。シーリング部材115は、真空ドア、真空ゲート、又は他の任意の取り外し可能なシーリング本体又はシーリングプレートに含めることができる。真空チャンバ内の雰囲気は、例えば、真空ポンプ140で技術的真空を生成することによって、個別に制御することができる。
【0022】
[0021]ここに記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、「真空処理チャンバ」は、基板を処理するための処理装置が配置されている真空チャンバとして理解され得る。処理装置は、基板を処理するために使用される任意の装置として理解することができる。例えば、処理装置は、基板上に層を堆積するための堆積源を含み得る。したがって、真空処理チャンバ又は堆積装置を含む真空処理装置、例えば、堆積源又は堆積源アセンブリは、それぞれ、真空堆積チャンバと呼ばれることもある。真空処理チャンバは、物理的気相堆積(PVD)チャンバであり得るか、又は化学気相堆積(CVD)チャンバであり得る。
【0023】
[0022]真空処理チャンバ110は、処理領域111と、処理領域111内に堆積装置112とを含む。堆積装置は、例えば、基板上に堆積される材料のターゲットを有する1つ又は複数のカソードを含むことができる。陰極は、マグネトロンをその中に備えた回転可能な陰極であり得る。一例として、カソードは、カソードを交互にバイアスすることができるように、AC電源又はDC電源に接続されている。一例として、堆積源は、回転陰極(DC ITO、DC Al、DC MoNb、MF SiO2、MF IGZO)を含むことができる。
【0024】
[0023]真空処理チャンバ110は、1つ又は複数の冷却面113を含む。カソードドアには、1つ又は複数の冷却面を設けることができる。上記のように、カソードドアは、シーリング部材115を含むことができる。堆積装置112は、ホルダーを用いて「カソードドア」としてシール部材に結合することができる。カソードドアは、冷却面113をさらに含むことができる。
【0025】
[0024]極低温冷凍システムは、真空処理装置に提供され得る。しかしながら、極低温冷凍システム自体は、オンにすることもオフにすることもできる。追加的又は代替的に、極低温冷凍システムは、1つ又は複数の堆積源から遠隔で提供され得る。本開示の実施形態は、高効率のクライオチラーなどの冷却面、及び可動シールドを提供する。したがって、ガスの分圧、例えば、水蒸気の分圧を調整することができる。例えば、水分圧を微調整したり、広範囲の水分圧操作を可能にしたりすることができる。ここに記載される他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、冷却表面、例えば、クライオコイルの表面積は、プロセスチャンバ内に提供され得る。特に、処理領域に隣接して冷却面を設けることができる。冷却面は、カソードドア内に提供することができ、すなわち、カソードドア及び/又はシーリング部材115によって支持することができる。カソードドア及び/又はシーリング部材115と結合された冷却面を有することにより、シールドの背後の水蒸気ポンプ速度を最大化することができ、例えば、材料が冷却面上でコーティングされるのを防ぐことができる。
【0026】
[0025]本開示の実施形態は、ガスの分圧、例えば、水蒸気の分圧の調整又は制御に言及している。真空チャンバ内で水蒸気分圧が低下するため、「ウォーターポンピング」を参照できる。したがって、実施形態は、特に基板上への層の堆積中に、改善されたウォーターポンピング効率を提供する。追加的又は代替的に、実施形態は、ウォーターポンピング速度の制御を提供する。
【0027】
[0026]
図2は、真空処理チャンバ110の概略図を示している。
図2は、処理される基板311と、基板支持体と結合された少なくとも1つの基板ホルダー132とを示している。真空処理チャンバ110は、処理領域111内に少なくとも堆積装置112を含む。いくつかの実施形態によれば、堆積装置は、ホルダー(
図2には示されていない)を介してシーリング部材115に結合することができる。基板支持体130は、1つ又は複数の真空チャンバを通して、基板又は基板が配置されている第1のキャリアを輸送又は運搬するように構成される。ここに記載される他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、基板支持体は、輸送経路を提供する。輸送経路は、処理システムを介して提供される。例えば、輸送システムは、ローラベースの線形輸送システムであり得るか、又は複数の磁気浮上ボックス及び磁気ドライブを備えた磁気浮上システムを含む輸送システムであり得る。
【0028】
[0027]真空処理チャンバ110は、1つ又は複数の冷却面113を含む。処理領域111に隣接して1つ又は複数の冷却面を設けることができる。いくつかの実施形態によれば、処理装置は、シーリング部材115と結合された冷却面を提供する。冷却面113は、例えば、クライオコイル冷却器のパイプ表面、又は別の冷却装置又は冷凍機アセンブリの冷却面であり得る。例えば、Polycold Gas Chillerを提供することができる。捕捉する表面積が小さいクライオポンプとは異なり、水、Polycolクライオコイルの表面は、最大1m2以上、さらには最大2m2以上にすることができる。超低圧のガス分圧に達することができる。
【0029】
[0028]真空処理チャンバ110は、冷却面113を少なくとも部分的に取り囲むことができる1つ又は複数の固定シールド210を含むことができる。さらに、真空処理チャンバ110は、冷却面と処理領域との間に1つ又は複数の可動シールドを含む。可動シールド220は、ブラインドタイプ、フラッピングタイプ、ステッパタイプ、ロータリタイプのシールド、又は他の任意の可動シールドであり得る。
図2に、ロータリタイプのシールドの例を示す。
【0030】
[0029]可動シールドは、閉じた位置に密閉された冷却領域を提供する。開位置では、可動シールドは、真空処理チャンバ内の冷却領域と処理領域の間に流体経路を提供する。冷却面は、水蒸気、アルコール、アンモニアなどの沸点の高いガスを凝縮させる。その結果、真空処理チャンバ内のガス分圧が低下する。したがって、冷却面と処理領域の間の流体連通を調整すると、真空処理チャンバ内のガス分圧が変化する。冷却領域と処理領域との間の流体経路は、処理領域での水蒸気のポンピングを提供することができる。
【0031】
[0030]
図2は、例示的に、モータ230で駆動可能であることができる回転式の移動シールド220を示している。例示的な回転式の移動シールド220は、シャフトの周りで回転可能なシールド表面を有する(
図2には示されていない)。シャフトは、少なくとも片側でホルダーに結合できる。シャフトはフィードスルーと結合できる。
【0032】
[0031]真空処理チャンバの特性を読み取って記録し、真空特性を監視及び制御するために必要なデータを提供するため、真空処理チャンバ110は、真空処理チャンバ110内に複数のセンサ240(温度計、圧力センサ、湿度センサ、残留ガスセンサなど)を含む。
【0033】
[0032]真空処理システム100は、例えば、大気圧において、例えば、真空処理システム100の外側に、コントローラ250を含むことができる。コントローラ250は、複数のセンサ240及びモータ230と通信している。コントローラ250と複数のセンサ240との間の通信、及びコントローラ250とモータ230との間の通信は、ワイヤ又は無線通信を介して行うことができる。コントローラ250は、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)、又はCPU、メモリ、及びユーザインターフェースを含む任意の他のコントローラであり得る。コントローラは、回転式可動シールド220又は別の可動シールドを作動させて、堆積領域と冷却面との間の流体経路を調整及び/又は制御することができる。したがって、ガス分圧は、コントローラ250によって制御することができる移動シールドの作動によって調整することができる。
【0034】
[0033]本開示は、真空処理装置と結合されたガス分圧制御アセンブリを提供する。ガス分圧制御アセンブリは、ガスを凝縮するための冷却面113と、処理領域と冷却面113との間の流体経路を調整するための1つ又は複数の可動シールドとを含む。いくつかの実施形態によれば、1つ又は複数の固定シールドを提供することもできる。ガス分圧制御アセンブリは、可動シールドと結合されたモータ230、ギアボックス231(例えば、遊星歯車又は任意の適切な歯車)を含む。ギアボックスはベルト232によってモータと結合することができる。モータ、ベルト、ギアボックスは、真空処理チャンバの外側に配置できる(大気圧など)。
図2に示されていない保護カバーは、人体への傷害を防ぐように設計されている。ガス分圧制御アセンブリは、1つ又は複数のホルダー及び1つ又は複数の支持プレートを含む。ガス分圧アセンブリは、真空チャンバ内の複数のセンサ240及びモータ230と連絡している、真空チャンバ外のコントローラ250を含む。
【0035】
[0034]コントローラ250は、可動シールドの開位置を調整することができる。例えば、コントローラ250は、モータ230の回転を制御し、フィードスルーを介して回転シールド220を動機付ける遊星歯車231の角度を駆動することができる。ロータリシールドの開放角度は、ウォーターポンプの速度、又は冷却面での流体連通及びガスの凝縮の量を制御でき、その結果、真空処理チャンバ内のガス分圧を制御できる。
【0036】
[0035]
図3は、ガス分圧制御アセンブリの一部の例示的な概略図を示している。
図3は、ベルト232を介してギアボックス231に結合されたモータ230を示している。支持板は、ベルト232を介してギアボックス231及びフィードスルー(
図3には示されていない)及び回転シールド220に結合されたモータ230の外側に提供される。ロータリシールドはシャフトの周りを移動している(
図3には示されていません)。シャフトは、フィードスルーとベルトを介して、それぞれギアボックスとモータに結合されている。
【0037】
[0036]本開示の実施形態は、例えば、コントローラによって制御されるモータを用いて、1つ又は複数の可動シールドの動きを制御することによって、ユーザがウォーターポンプ速度又は別のプロセスガスのポンプ速度を調整することを可能にする。例えば、現在の開示は、ユーザが真空チャンバ内での処理中に安定した水蒸気レベルを制御及び維持することを可能にする。
【0038】
[0037]ユーザ又は自動システムは、真空が密閉されて基板処理を実行している間に、真空チャンバ内のガス分圧をリモートで調整することができる。さらに、シールドの開放は、例えば、遊星歯車及びモータによって制御することができる。本開示の実施形態は、冷却システムのポンピング効率を最適化し、ガス分圧を所定の範囲で安定させる。
【0039】
[0038]いくつかの実施形態によれば、真空処理システムは、取り外し可能な真空遷移チャンバ120、真空処理チャンバ110、及び真空トラックを有するなどのモジュール設計を有することができる。さらに、真空シーリング部材115は、モジュールと見なすことができる。モジュール性は、コストの削減、相互運用性、設計の柔軟性、世代を超えて制約された拡張又は更新、除外などの利点を提供する。
【0040】
[0039]
図4は、真空
処理チャンバ110内のガス分圧を制御するための方法300のフローチャートを示している。この方法は、操作310によって示されるように、ガスの凝縮のための冷却面を含む。この方法は、操作320によって示されるように、可動シールドを備えた真空処理チャンバ内の流体経路を調整することを含む。
【0041】
[0040]いくつかの実施形態によれば、この方法は、真空処理チャンバ330内の複数のセンサ(例えば、湿度センサ、温度計、圧力センサ、残留ガスセンサ)からの少なくとも1つのセンサ240の操作、及び真空処理チャンバ340の外側でのコントローラ250(例えば、PLCコントローラ)の操作を含む。コントローラは複数のセンサと通信しており、モータと通信している。コントローラは、モータを制御することにより、可動シールドの位置を調整できる。
【0042】
[0041]本開示の実施形態によれば、ポンピング速度、例えば、ウォーターポンピング速度の制御は、冷却領域と真空処理チャンバの間の流体経路を調整することによって、ユーザが、真空処理チャンバ内のガス分圧、例えば、水蒸気分圧を制御することを可能にする。
【0043】
[0042]他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態によれば、この方法は、ガスが水蒸気であるガス分圧の制御を含む。
【0044】
[0043]真空チャンバ内のガス分圧を制御する方法は、可動シールドを、開、閉、及び部分的に開の3つの位置のうちの1つに調整することを含む。可動シールドが閉位置にあり、冷却領域と真空処理チャンバとの間の流体経路が閉じられている場合、最小量の水蒸気が真空処理チャンバから除去される。可動シールドが完全に開いた位置にあり、冷却領域と真空処理チャンバとの間の流体経路が開いている場合、冷却面は真空処理チャンバから最大量の水蒸気を除去することができる。
【0045】
[0044]冷却面は、可動シールドが所定の位置にあるとき、例えば、コントローラによって調整された最大開位置と閉位置の間の位置にあるとき、真空処理チャンバから、例えば、所定量の水蒸気を除去することができる。可動シールドの位置は、例えば、PLCコントローラなどのフィードバック制御ループを使用して制御できる。
【0046】
[0045]この方法は、コントローラ250が、例えば、ワイヤ接続又は無線通信を介して、例えば、1つ又は複数のセンサ240によって、真空チャンバの内部からデータを受信することを含む。コントローラはデータを保存して処理する。コントローラには、ユーザがコントローラをプログラムしたり、コントローラを手動で使用したりできるユーザインターフェースが含まれている。
【0047】
[0046]この方法は、ワイヤ接続又は無線通信を介して、モータ230と通信しているコントローラ250を含む。コントローラ250は、モータ230を制御することによって可動シールドの開放を制御することができる。
【0048】
[0047]この方法は、センサ240からのデータの受信及び処理を含む。コントローラは、可動シールドの開口部を制御するようにプログラムできる。例えば、コントローラは、真空チャンバ内の水蒸気分圧が事前定義された範囲内にあるかどうかを読み取って確認でき、そしてそれに応じて、水蒸気分圧を事前定義された範囲内に維持又は到達するために、可動シールドの開口部を調整する。事前定義された水蒸気圧の範囲は、コントローラのユーザが設定又は定義できる。
【0049】
[0048]いくつかの実施形態によれば、本開示は、最適な堆積品質を提供するために、水の分圧を所望の範囲内に維持するための方法を提供する。
【0050】
[0049]本開示の実施形態によれば、コントローラ250及びモータ230及びギアボックス231は、真空処理チャンバの外側に配置されている。冷却面と固定及び可動シールド及びシールドホルダーは、真空処理チャンバ内に配置されている。モータはヒューマンマシンインターフェース(HMI)を介してベルトでギアを動かし、可動シールドの開口部を正確に調整する。
【0051】
[0050]本開示の実施形態によれば、この方法は、基板を処理する手順の間に、ユーザが真空処理チャンバ内のガス分圧を微調整及び調整することを可能にする。この方法により、ユーザは、真空チャンバが閉じている間、真空チャンバ内のガス分圧をリモートで正確に制御することができる。
【0052】
[0051]上記を考慮すると、例えば、堆積品質を向上させるために、事前定義された範囲内で水蒸気分圧を一定に保つために、当技術分野における問題の少なくともいくつかを克服する基板上に材料を堆積するための真空処理装置及び基板上に材料を堆積するための方法が必要である。
【0053】
[0052]上記は本開示の実施形態に向けられているが、本開示の他の及び更なる実施形態は、その基本的な範囲から逸脱することなく考案することができ、その範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。