(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】パルスPVD電力の波形形状係数
(51)【国際特許分類】
C23C 14/54 20060101AFI20240709BHJP
H05H 1/24 20060101ALI20240709BHJP
H05H 1/00 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
C23C14/54 B
H05H1/24
H05H1/00 A
(21)【出願番号】P 2022541804
(86)(22)【出願日】2021-11-24
(86)【国際出願番号】 US2021060723
(87)【国際公開番号】W WO2022115528
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2022-08-17
(32)【優先日】2020-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】チャン ショウイン
(72)【発明者】
【氏名】ミラー キース エイ
【審査官】末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-185698(JP,A)
【文献】特開2002-093781(JP,A)
【文献】特開2009-048880(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0152189(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0184819(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0059561(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00-14/58
C23C 16/00-16/56
H01L 21/00-21/98
H05H 1/00-1/54
H01J 37/00-37/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマプロセスを制御する方法であって、
堆積プロセス中に波形形状変化指数を決定すること、
前記波形形状変化指数が所定の許容差の範囲内にあるかどうかを判定すること、および前記プラズマプロセスの後続の操作を決定すること
を含み、
前記波形形状変化指数が、式(
VI)
【数1】
(VI)
を使用してリアルタイムで決定され、上式で、
【数2】
が平均波形形状係数であり、
【数3】
が平均基準波形形状係数であり、
前記平均波形形状係数
【数4】
が、式(IV)
【数5】
(IV)
を使用して計算され、上式で、前記積分が、時刻0から時刻T
onまでのパルス長であり、S(t)が波形形状係数であり、
時刻tにおける前記波形形状係数S(t)が、式(III)または式(V)
【数6】
(III)
(V)
を使用して計算され、
前記波形形状変化指数が、形状係数の計算に基づいており、電源機能不良もしくはチャンバハードウェア故障によって、および/またはプラズマ負荷変化を引き起こした性能ドリフトによって生じた問題を経験した可能性があるウエハを識別するインシトゥプロセス制御に使用される、方法。
【請求項2】
【数7】
が平均基準波形形状係数である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記平均基準波形形状係数が、前記プラズマプロセスの第1の電力パルスから決定される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記波形形状係数が、プロセスチャンバの安定動作を保証するために経時的な偏差に関して前記プロセスチャンバおよび/またはプラズマプロセスを監視する監視指標である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記平均基準波形形状係数が、基準プラズマプロセスまたは基準処理チャンバから決定される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記波形形状係数が、対象プラズマプロセスまたは処理チャンバをそれぞれ前記基準プラズマプロセスまたは基準処理チャンバに整合させる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記波形形状変化指数が前記所定の許容差の範囲内にある場合に、前記後続の操作が、前記堆積プロセスを継続することを含み、前記堆積プロセス中に前記波形形状変化指数を決定することが繰り返され、前記波形形状変化指数が所定の許容差の範囲内にあるかどうかを判定することが繰り返され、前記堆積プロセスの後続の操作を決定することが繰り返される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記波形形状変化指数が前記所定の許容差の範囲外にある場合に、前記後続の操作が、障害もしくは許容差故障の存在をユーザに知らせることまたは前記プラズマプロセスを自動的に停止することのうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は一般に物理的気相堆積(PVD)チャンバおよび方法に関する。詳細には、開示の実施形態は、制御電力波形を含むパルスPVDを使用するPVDチャンバおよび堆積方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の物理的気相堆積(PVD)プロセスチャンバは、電力レギュレーション(power regulation)が変化するときに、均一性および再現性の低下を受けやすい。電力レギュレーションは通常、ある形状の電圧/電流波形を用いてパルスPVDプラズマチャンバを駆動する際に使用される。このような電圧/電流波形は、ある種の膜特性または膜属性を達成するように設計されている。
【0003】
図1に示されているように、同じ平均電力、電圧または電流を、異なる波形形状(waveform shape)を有するパルスとして送達することができる。異なる形状の波形は、PVDチャンバ内における異なるプラズマ属性に対応する。この電力/電圧/電流波形形状は、チャンバ負荷(load)条件、プラズマ不安定性、チャンバプラズマアーキング(arcing)または負荷変化によって、ならびに時には、電源の機能不良および電力送達出力ケーブルハードウェアの機能不良によってドリフトしまたは劇的に変化する。これらの波形形状変化は、チャンバプラズマ条件を変化させるため、薄膜属性に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、電力/電圧/電流波形が変化する場合にパルスPVDチャンバ堆積膜性能を検出/増強/保証する装置および方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つまたは複数の実施形態は、プラズマプロセスを制御する方法を対象としている。この方法は、堆積プロセス中に波形形状変化指数(waveform shape change index)を決定すること、波形形状指数が所定の許容差の範囲内にあるかどうかを判定すること、およびプラズマプロセスの後続の操作を決定することを含む。
【0006】
本開示の追加の実施形態は、プラズマプロセスを基準プラズマプロセスに整合させる方法を対象としている。この方法は、プラズマプロセス中に波形形状係数(waveform shape factor)
【数1】
を決定すること、波形形状係数
【数2】
と基準プラズマプロセスからの平均基準波形形状係数
【数3】
とを使用して、波形形状変化指数I
sを決定すること、波形形状指数I
sに基づいて、プラズマプロセスが基準プラズマプロセスに整合しているかどうかを判定することを含む。
【0007】
本開示のさらなる実施形態は、機能不良を指摘する自己診断機能を備える電源を対象としている。この自己診断機能は、波形形状係数
【数4】
または波形形状変化指数I
sのうちの1つまたは複数を決定するように構成されたコントローラを含む。
【0008】
上に挙げた本開示の特徴を詳細に理解することができるように、上に概要を簡単に示した開示が、そのうちのいくつかが添付図面に示されている実施形態を参照することにより、より具体的に説明されていることがある。しかしながら、添付図面は、本開示の典型的な実施形態だけを示しており、したがって、添付図面を、本開示の範囲を限定するものとみなすべきではないことに留意すべきである。これは、本開示が、等しく有効な他の実施形態を受け入れる可能性があるためである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の1つまたは複数の実施形態による波形形状を示す図である。
【
図2A】本開示の1つまたは複数の実施形態による波形形状を示す図である。
【
図2B】本開示の1つまたは複数の実施形態による波形形状を示す図である。
【
図2C】本開示の1つまたは複数の実施形態による波形形状を示す図である。
【
図2D】本開示の1つまたは複数の実施形態による波形形状を示す図である。
【
図3】本開示の1つまたは複数の実施形態による方法を示す図である。
【
図4】本開示の1つまたは複数の実施形態による方法を示す図である。
【
図5】本開示の1つまたは複数の実施形態による電源を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の例示的ないくつかの実施形態の説明に進む前に、本開示は、以下の説明に記載された構造またはプロセスステップの詳細だけに限定されないことを理解すべきである。本開示は、他の実施形態を含むことができ、さまざまなやり方で実施または実行することができる。
【0011】
本明細書および添付の特許請求項で使用されているとき、用語「基板」は、その上でプロセスが実行される表面または表面の部分を指す。さらに、文脈からそうでないことが明らかである場合を除き、基板への論及が基板の一部分だけへの論及でもありうることを当業者は理解するであろう。さらに、基板上への堆積への論及は、裸の基板と、1つまたは複数の膜または特徴がその上に堆積したまたは形成された基板の両方を意味しうる。
【0012】
本明細書で使用されているとき、「基板」は、製造プロセス中にその上で膜処理が実行される任意の基板または基板上に形成された任意の材料表面を指す。例えば、その上で処理を実行することができる基板表面は、用途に応じて、ケイ素、酸化ケイ素、ストレインドシリコン、シリコンオンインシュレータ(SOI)、炭素がドープされた酸化ケイ素、アモルファスシリコン、ドープされたケイ素、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、サファイヤなどの材料、ならびに金属、金属窒化物、金属合金および他の導電性材料などの他の任意の材料を含む。限定はされないが基板は半導体ウエハを含む。基板表面を研磨、エッチング、還元、酸化、ヒドロキシル化、アニール、UV硬化、eビーム硬化および/またはベークするために、基板を前処理プロセスにかけることができる。基板自体の表面でじかに膜処理を実行することに加えて、本開示では、後により詳細に開示するように、基板上に形成された下層上で、開示されたいずれかの膜処理ステップを実行することもでき、用語「基板表面」は、文脈が指示するそのような下層を含むことが意図されている。したがって、例えば、基板表面に膜/層または部分膜/層を堆積させた場合には、新たに堆積させたその膜/層の露出した表面が基板表面となる。
【0013】
本開示の1つまたは複数の実施形態は、所定の波形形状またはデフォルトの波形形状からの波形の歪み/変化をチャンバ動作中に定量化する装置および/または方法を提供する。いくつかの実施形態では、所定の波形形状またはデフォルトの波形形状が、特定の属性を有する膜に対する既知のプラズマ性能を提供する。いくつかの実施形態では、デフォルトの波形形状または所定の波形形状が、PVDチャンバ構成に関するベストノウンメソッド(best known method)(BKM)として記憶されている。
【0014】
いくつかの実施形態では、電源の内部のハードウェアおよび/またはファームウェアからの測定値に基づいて波形形状係数が計算される。いくつかの実施形態では、送達された電圧および/または電流が外部でサンプリングされ、波形形状係数が、センサからデータ/情報を取得する(1台または数台の)外部コンピュータによってリアルタイムで計算される。
【0015】
いくつかの実施形態の波形係数は、プロセスチャンバ性能を経時的に測定するために使用される。いくつかの実施形態では、PVDチャンバ性能を評価するために、リアルタイムで測定された波形係数が、記憶されたBKM波形係数と比較される。このいくつかの実施形態のリアルタイムで測定された波形係数の比較は、システムがドリフトしたかどうかもしくは変化したかどうか、または、システムが、チャンバ性能に影響を及ぼす可能性があるチャンバ整合上の問題を生じる可能性があるかどうかを示す。いくつかの実施形態では、チャンバ整合を可能にするために、プロセスチャンバの波形係数が、基準または「ゴールデン」チャンバの記憶された波形係数と比較される。
【0016】
図1を参照すると、一例として、長方形の電圧波形(太実線)および三角形の波形(破線)が示されている。式(I)および(II)に示されているように、両方の波形のパルス中の平均電圧(mean voltage/average voltage)は同じである。これらのパルスの全体の形状は異なっており、立下がり三角形パルス(falling triangular pulse)は、長方形波形の2倍の最高電圧(V
peak)を有する。以下の例は、これらの波形の電圧値について論じているが、それらの値は、波形電力または波形電流も示しうることを当業者は認識するであろう。
長方形:
【数5】
(I)
立下がり三角形:
【数6】
(II)
【0017】
図2A、2Bおよび2Dは他の波形形状を示している。
図2Cは、比較のため、
図1に示された立下がり三角形形状を示している。
図2Aにおいて、V
0線よりも下の「W」形のエリアの陰影面積がV
0線よりも上の陰影面積に等しいとき、平均値はV
0に等しい。
図2Bにおいて、三角形のピークがV
0値の2倍に等しいとき、平均値はV
0に等しい。
図2Cは、
図1と同じ形状の立下がり三角形を示しており、ピーク値はV
0の2倍であり、平均値はV
0に等しい。
図2Dは、
図2Cとは反対向きの別の立下がり三角形形状を示しており、ピーク値はV
0の2倍であり、平均値はV
0に等しい。
図2A~2Dに示された異なるそれぞれの波形は、長方形信号のV
0に等しい同じ平均値(V
mean)を有する。しかしながら、波形形状はそれぞれ異なっている。
【0018】
同じ平均電圧を有する波形の相違を評価するため、式(III)を使用して波形形状係数(S)を決定することができ、式(IV)を使用して平均波形形状係数(S
avgまたは
【数7】
)を決定することができる。
【数8】
(III)
上式で、v(t)は、測定されたリアルタイム電圧であり、v
meanは、リアルタイム測定による移動平均値、またはソフトウェア、ファームウェアもしくはユーザによって予め決められた所与の値である。
【0019】
【0020】
式(III)および(IV)を使用すると、
図1に示された長方形波形パターンの理論上の平均波形形状係数
【数10】
は0となるであろう。しかしながら、この平均波形係数は、実測値であることおよびデータ処理の変動のために、おそらくは理論値から外れることを当業者は認識するであろう。例えば、信号対雑音(signal-to-noise)(SNR)変動が、実平均波形係数の計算に影響を及ぼす可能性がある。
【0021】
図2Cおよび2Dに示された実施形態は、互いに鏡像に見えているが、異なる平均波形係数
【数11】
を有する。
図2Cおよび2Dの平均波形係数はそれぞれ76/3および1/3である。この平均波形係数は異なる波形を示していることを当業者は認識するであろう。
【0022】
図3は、本開示の1つまたは複数の実施形態による方法100を示している。いくつかの実施形態の方法100を使用して、アーキング不安定性および/またはプラズマ不安定性に起因するプラズマインピーダンスの変化によるプラズマ処理チャンバ性能のドリフトを評価することができる。本明細書に記載された方法ではしばしば、プロセスが、物理的気相堆積またはPVDプロセスとして論及される。しかしながら、それらの方法は任意のプラズマプロセスに適用可能であること、および本開示は物理的気相堆積プロセスだけに限定されないことを当業者は認識するであろう。いくつかの実施形態では、この方法が、ここには示されていない他の形態の三角形形状、シヌソイド形状、または多数の一次周波数および振幅を含む包絡線(変調)形状を含む、一般的に見られる他の波形形状に対処するために使用される。本開示のいくつかの実施形態は半導体PVD処理とともに使用される。いくつかの実施形態は、プラズマエッチング処理、科学実験室波形関数発生器(scientific laboratory waveform function generator)、レーダ発射(RADAR launching)、工業誘導加熱のような他の工業負荷への複雑な電力送達とともに使用される。
【0023】
一次プラズマ電力堆積中に、プロセス110で、プラズマチャンバに送達された電力がパルシングされている間に、式(IV)に従って、波形形状係数
【数12】
の導関数を決定する。プロセス120で、安定波形形状係数(stable waveform shape factor)
【数13】
を決定および記憶する。この安定波形形状係数は、波形形状係数
【数14】
の導関数が0に近いときに決定される。いくつかの実施形態の安定波形形状係数
【数15】
は、プロセスチャンバのメモリもしくはファームウェア、処理ツールソフトウェア、プロセス制御サーバまたはモバイルアプリケーションに記憶され、あるいは電源自体の内部に記憶される。
【0024】
いくつかの実施形態では、安定波形形状係数
【数16】
がシステムコントローラに予めセットされているかまたはロードされる。例えば、チャンバ整合プロセスでは、いくつかの実施形態の安定波形形状係数が、「ゴールデン」チャンバまたは基準プロセスによって決定される。予めセットされた安定波形形状係数は、特定のプラズマプロセスまたは特定のプロセスチャンバに対して定義/開発された特定のパルス波形を表す。
【0025】
プロセス130で、プラズマ処理の間、波形形状係数
【数17】
を絶えず計算する。任意の時刻tに決定された決定波形形状係数
【数18】
を、プロセス120で記憶した安定波形形状係数
【数19】
と比較する。いくつかの実施形態では、式(V)を使用して波形形状変化指数I
sを計算する。
【0026】
式(III)および(IV)に定義された波形形状係数
【数20】
に加えて、いくつかの実施形態では、他の波形またはパルシング特性を組み込んで、より複雑な係数式にする。例えば、いくつかの実施形態では、(1つまたは複数の)パルス周波数Fおよび要求された値F
0からのFの偏差(ΔF)、パルスオン/オフのデューティサイクル(DT)および要求されたDTの偏差、出力電力Pおよび要求された電力P
0からのPの偏差、位相角φ/位相角変化Δφ。いくつかの実施形態では、いずれかまたは全てのパラメータがセンサによって内部または外部で測定される。いくつかの実施形態では、送達波形の品質および特性の幅広い像を示すために、測定された変量に(係数K、乗数によって)重みが付けられ、それらの変量は
【数21】
(補足項)に追加されて、包括的な係数を形成する。式(III)は式(V)に発展することができる。
【0027】
【0028】
指定されていない最後の項(+...)は、使用された特定のプロセス条件およびハードウェアに応じて式(V)に追加された追加のパラメータを示している。例えば二次周波数、電力、位相角など。
【0029】
ΔF(t)=F(t)-F0であり、この式で、F(t)は、測定されたリアルタイム周波数であり、F0は、測定された周波数または用途ごとの所定の入力周波数の移動平均である。ΔDT(t)=DT(t)-DT0であり、この式で、DT(t)は、測定されたリアルタイムデューティサイクルであり、DT0は、移動平均値または用途ごとの所定の値である。ΔP(t)=P(t)-P0であり、この式で、P(t)は、測定されたリアルタイム電力であり、P0は、移動平均値または用途ごとの所定の値である。
【0030】
Sinit≧0で、必要に応じてベースラインをオフセットするために使用する、特定の用途のために選択された固定の実数を、0、またはこの式のほぼ完全な寄与の大きさに対して小さな数(例えば10%以下)にセットすることができる。>0値であることはさらに、S(t)信号監視の感度を調整するのを助けることができる。いくつかの実施形態では、残りのアイテムのほぼ完全な寄与に対するより高い相対値が監視感度を低下させる。
【0031】
式(V)をさらに、式(V’)と(V’’)に分割することができる。
【数23】
(V’)
(V’’)
上式で、Kは、0、またはパラメータ変化の影響の重みを示す他の実数である。K
f、K
dtまたはK
pが全て0にセットされており、K
v=1であるとき、式(V’’)は、式(III)の基本形式になる。
【0032】
【0033】
判断点140で、波形形状係数指数I
sを評価して、この値が、プロセスまたはプロセスチャンバの所定の許容差値の範囲内にあるかどうかを判定する。波形形状係数指数I
sが許容差の範囲内にある場合、方法100は、プロセス130で、波形形状係数
【数25】
の継続的な決定を続ける。波形形状係数指数I
sが所定の許容差の範囲外にある場合、いくつかの実施形態の方法は、プロセス150で、障害(fault)もしくは許容差故障(tolerance failure)の存在をユーザに知らせ、かつ/またはプラズマプロセスを自動的に停止する。
【0034】
図3に示された方法では、最初の2つのプロセス110、120が、方法100の残りのプロセスと同じプロセスチャンバおよび/またはプラズマプロセスを使用して決定される。この種の方法は、プロセスチャンバの安定動作を保証するために経時的な偏差に関してプロセスチャンバおよび/またはプラズマプロセスを監視する。
【0035】
図4は、方法200がチャンバ整合のために使用される別の実施形態を示している。プロセス230で、波形形状係数
【数26】
を決定し、基準または「ゴールデン」チャンバからの所定の波形形状係数
【数27】
と比較する。いくつかの実施形態の基準チャンバは、プロセスチャンバハードウェア、プロセス機器製造業者および/または処理方法を含む。
【0036】
プロセス240で、計算された波形形状変化指数Isを所定の許容差と比較する。波形形状変化指数Isが、その許容差よりも大きい場合またはその許容差の範囲外にある場合には、プロセス250で、障害メッセージを生成し、かつ/またはプラズマプロセスを停止する。波形形状変化指数が許容差の範囲外にあることは、そのチャンバまたはプラズマプロセスが、プロセスの基準または「ゴールデン」チャンバに整合していないことを示している。
【0037】
いくつかの実施形態では、波形形状変化指数Isが形状係数の計算に基づき、波形形状変化指数Isが、電源機能不良もしくはチャンバハードウェア故障によって、および/またはプラズマ負荷変化を引き起こした性能ドリフトによって生じた問題を経験した可能性があるウエハを識別するインシトゥプロセス制御に使用される。
【0038】
いくつかの実施形態では、電源または波形発生器が、所定の形状またはデフォルトの形状に対する波形形状を出力することを保証するために、波形形状係数
【数28】
および/または波形形状変化指数I
sが電源または波形関数発生器に組み込まれる。いくつかの実施形態では、波形形状係数
【数29】
および/または波形形状変化指数I
sの測定を電源または波形関数発生器に組み込むことが、追加の測定、外部センシングプローブ(センサ)/コンピュータによって出力された波形のサンプリングおよび/または監視のない、波形形状の制御を提供する。
【0039】
いくつかの実施形態では、機器の機能不良を指摘する自己診断機能を提供するために、波形形状係数
【数30】
および/または波形形状変化指数I
sの測定システムが、電源(または波形関数発生器)に組み込まれる。したがって、
図5に示されているような開示のいくつかの実施形態は、波形形状係数
【数31】
または波形形状変化指数I
sのうちの1つまたは複数をリアルタイムで決定するように構成されたコントローラ310を含む電源300(または波形関数発生器)を対象としている。本明細書で使用されるとき、用語「電源」は、伝統的な電源モジュールと波形関数発生器の両方を含む。いくつかの実施形態では、電源300が、ユーザ入力を受け入れ、フィードバックを提供するための入力/出力(I/O)320を含む。いくつかの実施形態のI/O320は、所定の波形形状係数または波形形状変化指数をユーザが入力することを可能にする適当な構成要素を含む。このデータ入力構成要素は、限定はされないが、キーパッド322またはメモリカードリーダ324を含む、当業者に知られている適当な任意の構成要素とすることができる。いくつかの実施形態では、I/O320が、コントローラ310に接続されたディスプレイ326を含み、コントローラ310は、測定された波形形状係数または波形形状変化指数を、リアルタイムでまたは所定の時間刻みでディスプレイに出力するように構成されている。
【0040】
コントローラ310は、工業セッティングの中で使用することができる任意の形態の汎用コンピュータプロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサなどのうちの1つとすることができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのコントローラ310がある。少なくとも1つのコントローラ310は、プロセッサ、プロセッサに結合されたメモリ、プロセッサに結合された入力/出力デバイス320、および異なる電子構成要素間で通信するための支持回路を有することができる。メモリは、一過性メモリ(例えばランダムアクセスメモリ)および非一過性メモリ(例えばストレージ)のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0041】
プロセッサのメモリまたはコンピュータ可読媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスクまたは他の任意の形態のディジタルストレージなどの容易に入手可能なローカルまたはリモートメモリのうちの1つまたは複数とすることができる。メモリは、システムのパラメータおよび構成要素を制御するようにプロセッサによって実行可能な命令セットを保持することができる。支持回路は、プロセッサを従来のやり方で支持するためにプロセッサに結合されている。回路は例えば、キャッシュ、電源、クロック回路、入力/出力回路、サブシステムなどを含むことができる。
【0042】
プロセスは一般に、プロセッサによって実行されたときに本開示のプロセスをプロセスチャンバに実行させるソフトウェアルーチンとしてメモリに記憶することができる。このソフトウェアルーチンを、そのプロセッサが制御しているハードウェアから遠隔して置かれた第2のプロセッサ(図示せず)によって記憶および/または実行することもできる。本開示の方法の一部または全部をハードウェアで実行することもできる。そのため、プロセスをソフトウェアで実施し、コンピュータシステムを使用して実行すること、または例えば特定用途向け集積回路もしくは他のタイプのハードウェアインプリメンテーションとしてハードウェアで実施すること、またはソフトウェアとハードウェアの組合せとして実施することができる。プロセッサによって実行されたとき、ソフトウェアルーチンは、汎用コンピュータを、プロセスが実行されるようにチャンバの動作を制御する特定目的コンピュータ(コントローラ)に変える。
【0043】
いくつかの実施形態では、コントローラが、方法を実行するための個々のプロセスまたはサブプロセスを実行するための1つまたは複数の構成を有する。方法の機能を実行するための中間構成要素を動作させるように、コントローラを接続および構成することができる。例えば、電源の電力または周波数を制御するように、コントローラを接続および構成することができる。
【0044】
本明細書の全体を通じて、「一実施形態」、「ある種の実施形態」、「1つまたは複数の実施形態」または「実施形態」への言及は、その実施形態に関して記載された特定の特徴、構造、材料または特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体のさまざまな箇所における「1つまたは複数の実施形態では」、「ある種の実施形態では」、「一実施形態では」または「実施形態では」などの句の出現は、必ずしも本開示のその同じ実施形態に関するわけではない。さらに、1つまたは複数の実施形態では、それらの特定の特徴、構造、材料または特性を適当な任意のやり方で組み合わせることができる。
【0045】
本明細書では特定の実施形態を参照して本開示を説明したが、記載された実施形態は単に本開示の原理および用途の例に過ぎないことを当業者は理解するであろう。本開示の趣旨および範囲を逸脱することなく本開示の方法および装置にさまざまな変更および変形を加えることができることは当業者には明白であろう。したがって、本開示は、特許請求項およびそれらの等価物の範囲に含まれる変更および変形を含みうる。