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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】組成物
(51)【国際特許分類】
   C09K 5/14 20060101AFI20240709BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20240709BHJP
   C08L 61/06 20060101ALI20240709BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20240709BHJP
   C08K 9/06 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
C09K5/14 E ZAB
C08L63/00 Z
C08L61/06
C08K3/013
C08K9/06
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023109842
(22)【出願日】2023-07-04
(62)【分割の表示】P 2019009834の分割
【原出願日】2019-01-24
(65)【公開番号】P2023126289
(43)【公開日】2023-09-07
【審査請求日】2023-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】100098707
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 利英子
(74)【代理人】
【識別番号】100135987
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 重慶
(74)【代理人】
【識別番号】100168033
【弁理士】
【氏名又は名称】竹山 圭太
(74)【代理人】
【識別番号】100161377
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 薫
(72)【発明者】
【氏名】山田 岳史
(72)【発明者】
【氏名】大津 猛
(72)【発明者】
【氏名】安田 めぐみ
(72)【発明者】
【氏名】音田 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 宏一
(72)【発明者】
【氏名】藤井 飛鳥
【審査官】今井 督
(56)【参考文献】
【文献】特開平4-198278(JP,A)
【文献】特開2017-101254(JP,A)
【文献】国際公開第2019/054217(WO,A1)
【文献】特開2015-189834(JP,A)
【文献】特開2021-091767(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108727943(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102295875(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 63/00- 63/10
C08L 61/00- 61/34
C08K 3/00- 13/08
C08G 59/00- 59/72
C08G 77/00- 77/62
C09K 5/00- 5/20
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂及びフェノール樹脂からなる熱硬化性樹脂に配合される、放熱性絶縁硬化物の製造原料を得るための組成物であって、
(A)下記一般式(1)で表される化合物;
(B)下記一般式(2)で表される化合物;及び
(C)フィラー成分;を含有し、
前記(A)成分及び前記(B)成分の総量に対する、前記(A)成分の含有量が60~80質量%、前記(B)成分の含有量が20~40質量%であり、
前記(A)成分及び前記(B)成分の総量1質量部に対する、前記(C)成分の含有量が100~1,000質量部である組成物。
(前記一般式(1)中、R及びRは各々独立に炭素原子数1~3のアルキル基を表し、Aは炭素原子数8~10のアルカンジイル基を表し、n及びmは各々独立に1~3の整数を表す。但し、nとmの和(n+m)は2~4の整数である)
(前記一般式(2)中、Rは炭素原子数1~3のアルキル基を表し、Rは炭素原子数10~12のアルキル基を表し、pは1~3の整数を表す)
【請求項2】
前記一般式(1)中、Aがn-オクチレン基であり、
前記一般式(2)中、Rがn-デシル基である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
さらに(D)硬化剤を含有する請求項1又は2に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイ部材、太陽電池用シート部材、LED照明等に代表される照明部材、COBチップ及びSMDチップ等に代表される電子部材、並びに車載用等に用いられるパワーモジュール部材には、部材内部で生じた熱を外部へ放出するためのシート状の放熱体が用いられている。このような放熱体としては、放熱性が高く、コストが低く、加工が容易である等の理由から、放熱性を有する絶縁硬化物である樹脂シートを用いることが検討されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、エポキシ樹脂、硬化促進剤、及びシランカップリング剤で処理されたアルミナを含有する熱伝導材料が開示されている。また、特許文献2には、酸化ケイ素膜で被覆された窒化アルミニウム、硬化促進剤、ビフェニルエポキシ樹脂、及びブロム化エポキシ樹脂を含有する半導体封止用の組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-008153号公報
【文献】特開平7-315813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
放熱性の絶縁硬化物である樹脂シートに対しては、接着性が高い、耐湿性が高い、及び耐熱性が高い等の性質を有することが要求されている。しかしながら、放熱性の絶縁硬化物の接着性と、耐湿性及び耐熱性とは、一般的にトレードオフの関係にある。そして、特許文献1で開示された熱伝導材料や、特許文献2で開示された組成物を用いても、所望とする接着性、耐湿性、及び耐熱性を有する硬化物を得ることは困難であった。
【0006】
したがって、本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、接着性、耐湿性、及び耐熱性に優れた放熱性絶縁硬化物を製造するための製造原料を得ることが可能な組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有するケイ素化合物及びフィラー成分を含有する組成物が上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明によれば、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂からなる熱硬化性樹脂に配合される、放熱性絶縁硬化物の製造原料を得るための組成物であって、(A)下記一般式(1)で表される化合物;(B)下記一般式(2)で表される化合物;及び(C)フィラー成分;を含有し、前記(A)成分及び前記(B)成分の総量に対する、前記(A)成分の含有量が60~80質量%、前記(B)成分の含有量が20~40質量%であり、前記(A)成分及び前記(B)成分の総量1質量部に対する、前記(C)成分の含有量が100~1,000質量部である組成物が提供される。
【0009】
(前記一般式(1)中、R及びRは各々独立に炭素原子数1~3のアルキル基を表し、Aは炭素原子数8~10のアルカンジイル基を表し、n及びmは各々独立に1~3の整数を表す。但し、nとmの和(n+m)は2~4の整数である)
【0010】
(前記一般式(2)中、Rは炭素原子数1~3のアルキル基を表し、Rは炭素原子数10~12のアルキル基を表し、pは1~3の整数を表す)
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、接着性、耐湿性、及び耐熱性に優れた放熱性絶縁硬化物を製造するための製造原料を得ることが可能な組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明の組成物は、(A)下記一般式(1)で表される化合物;(B)下記一般式(2)で表される化合物;及び(C)フィラー成分を含有する。これらの成分については、本明細書において、「(A)成分」、「(B)成分」、及び「(C)成分」と略記することがある。
【0013】
(前記一般式(1)中、R及びRは各々独立に炭素原子数1~3のアルキル基を表し、Aは炭素原子数1~10のアルカンジイル基を表し、n及びmは各々独立に1~3の整数を表す。但し、nとmの和(n+m)は2~4の整数である)
【0014】
(前記一般式(2)中、Rは炭素原子数1~3のアルキル基を表し、Rは炭素原子数3~12のアルキル基を表し、pは1~3の整数を表す)
【0015】
(A)成分は、上記一般式(1)で表される化合物である。上記一般式(1)中、Aは炭素原子数3~10の直鎖状のアルカンジイル基であることが好ましく、n-オクチレン基が最も好ましい。上記一般式(1)中のAが炭素原子数3~10の直鎖状のアルカンジイル基である(A)成分を用いることで、得られる硬化物の耐湿性をさらに高めることができる。また、上記一般式(1)中、Rはメチル基であることが好ましい。上記一般式(1)中のRがメチル基である(A)成分を用いることで、得られる硬化物の耐湿性をさらに高めることができる。さらに、上記一般式(1)中、n=3であり、かつ、m=1であることが好ましい。上記一般式(1)中、n=3であり、かつ、m=1である(A)成分を用いることで、得られる硬化物の耐湿性をさらに高めることができる。
【0016】
一般式(1)中、R及びRで表される炭素原子数1~3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基等を挙げることができる。一般式(1)中、Aで表される炭素原子数1~10のアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル、プロパン-1,2-ジイル、ブチレン、ブタン-1,3-ジイル、ブタン-2,3-ジイル、ブタン-1,2-ジイル、ペンタン-1,5-ジイル、ペンタン-1,3-ジイル、ペンタン-1,4-ジイル、ペンタン-2,3-ジイル、ヘキサン-1,6-ジイル、ヘキサン-1,2-ジイル、ヘキサン-1,3-ジイル、ヘキサン-1,4-ジイル、ヘキサン-2,5-ジイル、ヘキサン-2,4-ジイル、ヘキサン-3,4-ジイル、n-ヘプチレン基、n-オクチレン基、エタン-1,1-ジイル、プロパン-2,2-ジイル、n-ノニレン基、n-デシレン基等を挙げることができる。
【0017】
一般式(1)で表される化合物の好適な具体例としては、下記式No.1~12で表される化合物(化合物No.1~12)を挙げることができる。なお、下記式No.1~12中、「Me」はメチル基を表し、「Et」はエチル基を表す。
【0018】
【0019】
一般式(1)で表される化合物は、周知の反応を応用して製造することができる。例えば、オクテングリシジルエーテル及びトリメトキシシランを原料として使用し、下記式(3)に示す反応によって、下記式No.3で表される化合物(化合物No.3)を製造することができる。
【0020】
【0021】
また、一般式(1)で表される化合物として市販の試薬を用いてもよい。市販の試薬としては、以下商品名で、「KBM-402」、「KBM-403」、「KBE-402」、「KBE-403」、「KBM-4803」(いずれも信越化学社製);「G0261」、「G0210」、「D2632」、「T2675」、「G0469」(いずれも東京化成社製);などを挙げることができる。
【0022】
(B)成分は、上記一般式(2)で表される化合物である。上記一般式(2)中、Rは炭素原子数8~12の直鎖状のアルキル基であることが好ましく、n-デシル基であることが最も好ましい。上記一般式(2)中のRが炭素原子数8~12の直鎖状のアルキル基である(B)成分を用いることで、得られる硬化物の耐湿性をさらに高めることができる。また、上記一般式(2)中、Rがメチル基であることが好ましい。上記一般式(2)中のRがメチル基である(B)成分を用いることで、得られる硬化物の耐湿性をさらに高めることができる。さらに、上記一般式(2)中、p=3であることが好ましい。上記一般式(2)中、p=3である(B)成分を用いることで、得られる硬化物の耐湿性をさらに高めることができる。
【0023】
一般式(2)中、Rで表される炭素原子数1~3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基を挙げることができる。また、一般式(2)中、Rで表される炭素原子数3~12のアルキル基としては、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、イソブチル基、n-ペンチル基、第二ペンチル、第三ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-デシル基、n-ドデシル基等を挙げることができる。
【0024】
一般式(2)で表される化合物の好適な具体例としては、下記式No.13~28で表される化合物(化合物No.13~28)を挙げることができる。なお、下記式No.13~28中、「Me」はメチル基を表し、「Et」はエチル基を表し、「Pr」はn-プロピル基を表す。
【0025】
【0026】
一般式(2)で表される化合物は、周知の反応を応用して製造することができる。例えば、1-デセン及びトリメトキシシランを原料として使用し、下記式(4)に示す反応によって、下記式No.18で表される化合物(化合物No.18)を製造することができる。
【0027】
【0028】
また、一般式(2)で表される化合物として市販の試薬を用いてもよい。市販の試薬としては、以下商品名で、「KBM-3033」、「KBM-3063」、「KBM-3103C」、「KBE-3033」、「KBE-3063」、「KBE-3083」(いずれも信越化学社製);「T1801」、「T2867」、「H0879」、「H1158」、「T2875」、「O0171」、「D5197」、「D3383」、「D1510」(いずれも東京化成社製);などを挙げることができる。
【0029】
(C)フィラー成分は特に限定されるものではなく、公知のフィラーを用いることができる。フィラーとしては、例えば、アルミナ、シリカ、酸化マグネシウム、窒化ボロン、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、及びカーボン等を挙げることができる。無機フィラーを用いた場合には、耐熱性が高い硬化物を得ることができることから、無機フィラーを好適に使用することができる。硬化物に絶縁性及び放熱性をもたらす効果が高いことから、無機フィラーのなかでも、窒化ボロン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、アルミナ、及び窒化アルミニウムが好ましく、窒化アルミニウムが特に好ましい。(C)成分の粒径は特に限定されず、所望の大きさの硬化物を得るために必要な粒径を選択すればよい。例えば、数nm~数百μmの粒径を有するフィラーを用いることができる。また、(C)成分の粒径は数百nm~数十μmであることが好ましい。さらに、複数種のフィラーや、異なる粒径のフィラーを組み合わせて用いることもできる。
【0030】
組成物中、(A)成分及び(B)成分の総量に対する、(A)成分の含有量は60~80質量%である。(A)成分及び(B)成分の総量に対する(A)成分の含有量が60質量%未満であると、接着性の高い硬化物を得ることができない。一方、(A)成分及び(B)成分の総量に対する(A)成分の含有量が80質量%超であると、耐湿性及び耐熱性の高い硬化物を得ることができない。また、組成物中、(A)成分及び(B)成分の総量に対する、(B)成分の含有量は20~40質量%である。
【0031】
組成物中、(A)成分及び(B)成分の総量1質量部に対する、(C)成分の含有量は100~1,000質量部であり、好ましくは125~500質量部、さらに好ましくは150~300質量部である。(A)成分及び(B)成分の総量1質量部に対する、(C)成分の含有量が100質量部未満であると、熱伝導率の高い硬化物を得ることができない。一方、(A)成分及び(B)成分の総量1質量部に対する、(C)成分の含有量が1,000質量部超であると、接着性の高い硬化物を得ることができない。
【0032】
本発明の一実施形態である組成物は、さらに(D)硬化剤(以下、「(D)成分」とも記す)を含有することが好ましい。硬化剤の種類は特に限定されず、公知慣用に用いられるものであればよい。硬化剤としては、イミダゾール系硬化剤、アミン系硬化剤、アミド系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤などを挙げることができる。
【0033】
イミダゾール系硬化剤としては、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-〔2’-メチルイミダゾリル-(1’)〕-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-〔2’-ウンデシルイミダゾリル(1’)〕-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-〔2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル(1’)〕-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-〔2’-メチルイミダゾリル-(1’)〕-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2,4-ジアミノ-6-ビニル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-ビニル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-s-トリアジン等を挙げることができる。
【0034】
アミン系硬化剤としては、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエタン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、オルトフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、メタキシレンジアミン、パラキシレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、BF3-アミン錯体、グアニジン誘導体、グアナミン誘導体等を挙げることができる。
【0035】
アミド系硬化剤としては、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂等を挙げることができる。
【0036】
酸無水物系硬化剤としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等を挙げることができる。
【0037】
フェノール系硬化剤としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、レゾルシン、カテコール、ハイドロキノン、フルオレンビスフェノール、4,4’-ビフェノール、4,4’,4”-トリヒドロキシトリフェニルメタン、ナフタレンジオール、1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、カリックスアレーン、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂(ザイロック樹脂)、レゾルシンノボラック樹脂に代表される多価ヒドロキシ化合物とホルムアルデヒドから合成される多価フェノールノボラック樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール-フェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトール-クレゾール共縮ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価フェノール化合物)、ビフェニル変性ナフトール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価ナフトール化合物)、アミノトリアジン変性フェノール樹脂(メラミン、ベンゾグアナミンなどでフェノール核が連結された多価フェノール化合物)やアルコキシ基含有芳香環変性ノボラック樹脂(ホルムアルデヒドでフェノール核及びアルコキシ基含有芳香環が連結された多価フェノール化合物)等の多価フェノール化合物を挙げることができる。これらの硬化剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0038】
本発明の一実施形態である組成物は、さらに(E)樹脂成分(以下、「(E)成分」とも記す)を含有することが好ましい。樹脂成分の種類は特に限定されず、公知慣用に用いられるものであればよい。樹脂成分としては、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を挙げることができる。なかでも、熱硬化性樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂としては、アミノ樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ポリイミド、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ポリエステル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、フラン樹脂、COPNA樹脂、ケイ素樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、エピスルフィド樹脂、エン-チオール樹脂、ポリアゾメチン樹脂、ポリビニルベンジルエーテル、アセナフチレンなどを挙げることができる。なかでも、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂が好ましい。
【0039】
シアネート樹脂としては、ハロゲン化シアン化合物と、フェノール類やナフトール類とを反応させ、必要に応じて加熱等してプレポリマー化することにより得られるシアネート樹脂などがある。シアネート樹脂としては、ノボラック型シアネート樹脂、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等のビスフェノール型シアネート樹脂、ナフトールアラルキル型シアネート樹脂等を挙げることができる。より具体的には、2,2’-ビス(4-シアナトフェニル)イソプロピリデン、1,1’-ビス(4-シアナトフェニル)エタン、ビス(4-シアナト-3,5-ジメチルフェニル)メタン、1,3-ビス(4-シアナトフェニル-1-(1-メチルエチリデン))ベンゼン、ジシクロペンタジエン型シアネートエステル、フェノールノボラック型シアネートエステル、ビス(4-シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4-シアナトフェニル)エーテル、1,1,1-トリス(4-シアナトフェニル)エタン、トリス(4-シアナトフェニル)ホスファイト、ビス(4-シアナトフェニル)スルホン、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン、1,3-、1,4-、1,6-、1,8-、2,6-又は2,7-ジシアナトナフタレン、1,3,6-トリシアナトナフタレン、4,4-ジシアナトビフェニル、及びフェノールノボラック型、クレゾールノボラック型の多価フェノール類と、ハロゲン化シアンとの反応で得られるシアネート樹脂;ナフトールアラルキル型の多価ナフトール類と、ハロゲン化シアンとの反応で得られるシアネート樹脂等を挙げることができる。
【0040】
イソシアネート樹脂としては、フェノール類とハロゲン化シアンとの脱ハロゲン化水素反応により得られるイソシアネート樹脂がある。イソシアネート樹脂としては、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0041】
エポキシ樹脂としては、ハイドロキノン、レゾルシン、ピロカテコール、フロログルクシノール等の単核多価フェノール化合物のポリグリシジルエーテル化合物;ジヒドロキシナフタレン、ビフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、メチレンビス(オルトクレゾール)、エチリデンビスフェノール、イソプロピリデンビスフェノール(ビスフェノールA)、イソプロピリデンビス(オルトクレゾール)、テトラブロモビスフェノールA、1,3-ビス(4-ヒドロキシクミルベンゼン)、1,4-ビス(4-ヒドロキシクミルベンゼン)、1,1,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,2,2-テトラ(4-ヒドロキシフェニル)エタン、チオビスフェノール、スルホビスフェノール、オキシビスフェノール、フェノールノボラック、オルソクレゾールノボラック、エチルフェノールノボラック、ブチルフェノールノボラック、オクチルフェノールノボラック、レゾルシンノボラック、テルペンフェノール等の多核多価フェノール化合物のポリグリシジルエーテル化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリグリコール、チオジグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ビスフェノールA-エチレンオキシド付加物等の多価アルコール類のポリグリシジルエーテル;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、グルタル酸、スベリン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、トリマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸等の脂肪族、芳香族又は脂環族多塩基酸のグリシジルエステル類、及びグリシジルメタクリレートの単独重合体又は共重合体;N,N-ジグリシジルアニリン、ビス(4-(N-メチル-N-グリシジルアミノ)フェニル)メタン、ジグリシジルオルトトルイジン等のグリシジルアミノ基を有するエポキシ化合物;ビニルシクロヘキセンジエポキシド、ジシクロペンタンジエンジエポキサイド、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル-6-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジペート等の環状オレフィン化合物のエポキシ化物;エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン-ブタジエン共重合物等のエポキシ化共役ジエン重合体、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環化合物を挙げることができる。なかでも、ナフタレン型エポキシやビスフェノールA型エポキシが好ましい。
【0042】
フェノール樹脂としては、フェノール類とアルデヒド類より合成されるフェノール樹脂がある。フェノール類としては、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、n-プロピルフェノール、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、第三ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、シクロヘキシルフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、レゾルシン、カテコール、ハイドロキノン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’-チオジフェノール、ジヒドロキシジフェニルメタン、ナフトール、テルペンフェノール、フェノール化ジシクロペンタジエン等を挙げることができる。また、アルデヒド類としては、ホルムアルデヒドを挙げることができる。
【0043】
本発明の一実施形態である組成物には、必要に応じて、その他の添加物を含有させることができる。添加物としては、例えば、天然ワックス類、合成ワックス類及び長鎖脂肪族酸の金属塩類等の可塑剤;酸アミド類、エステル類、及びパラフィン類等の離型剤;ニトリルゴム、及びブタジエンゴム等の応力緩和剤;三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酸化錫、水酸化錫、酸化モリブデン、硼酸亜鉛、メタ硼酸バリウム、赤燐、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及びアルミン酸カルシウム等の無機難燃剤;テトラブロモ無水フタル酸、ヘキサブロモベンゼン、及びブロム化フェノールノボラック等の臭素系難燃剤;リン系難燃剤;シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、及びアルミニウム系カップリング剤等のカップリング剤;染料及び顔料等の着色剤を挙げることができる。また、添加剤としては、例えば、酸化安定剤、光安定剤、耐湿性向上剤、チキソトロピー付与剤、レベリング剤、希釈剤、消泡剤、他の各種樹脂、粘着付与剤、帯電防止剤、滑剤、及び紫外線吸収剤等を挙げることができる。
【0044】
本発明の一実施形態である組成物には、さらに、アルコール類、エーテル類、アセタール類、ケトン類、エステル類、アルコールエステル類、ケトンアルコール類、エーテルアルコール類、ケトンエーテル類、ケトンエステル類、エステルエーテル類、及び芳香族系溶剤等の有機溶剤などを配合することができる。
【0045】
本発明の一実施形態である組成物は、放熱性絶縁硬化物の製造原料として好適に用いることができる。その他にも、本実施形態の組成物は、プリント配線基板、半導体封止絶縁材、パワー半導体、LED照明、LEDバックライト、パワーLED、及び太陽電池等の電気・電子分野の種々の部材における樹脂材料として広く利用することが可能である。具体的には、プリプレグ、封止剤、積層基板、塗布性の接着剤、接着シート等、これらの硬化性成分又は各種塗料の硬化性成分として有用である。
【0046】
上述の組成物を硬化させることで、硬化物を形成することができる。すなわち、本発明の一実施形態である硬化物は、上述の組成物を硬化させたものである。例えば、上述の組成物を加熱して硬化させることで、硬化物を得ることができる。硬化物の形状は特に限定されない。硬化物の形状としては、例えば、シート、フィルム、及び板(以下、これらを纏めて「シート状」とも記す)等の形状を挙げることができる。なお、有機溶剤を含有する組成物を硬化させると、有機溶剤が残留した状態の硬化物が得られる場合と、有機溶剤が揮発して実質的に残留していない硬化物が得られる場合とがある。本発明の一実施形態である硬化物には、有機溶剤を含有する硬化物と、有機溶剤を実質的に含有しない硬化物の両方が含まれる。
【0047】
硬化物の製造方法は、特に限定されず、周知の方法を適用することができる。例えば、シート状の硬化物を製造する方法としては、キャリアフィルムや金属箔等の支持体上に前述の組成物を塗布して形成した塗布層を硬化させることによって、シート状の硬化物を製造することができる。また、前述の組成物で形成された塗布層を支持体から基体に転写した後に硬化させることでも、シート状の硬化物を製造することができる。基体としては、シリコンウェハーやアルミウェハー等を挙げることができる。基体の形状としては、シート、フィルム、及び板等を挙げることができる。
【0048】
シート状の硬化物を製造する場合には、各種塗工装置を用いて、前述の組成物を支持体上に塗工してもよく、スプレー装置により、前述の組成物を支持体に噴霧して塗工してもよい。塗工装置としては、例えば、ロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、グラビアコーター、ダイコーター、コンマコーター、カーテンコーター、及びスクリーン印刷装置等を用いることができる。また、刷毛塗りによって、組成物を支持体上に塗工してもよい。これらの方法によって組成物を塗工した後、常圧~10MPaの圧力下で、10~300℃の温度範囲で0.5~10時間硬化させることによって、シート状の硬化物を製造することができる。
【0049】
支持体としては、シート状の硬化物を形成するため、取扱いが容易であるものを選択することが好ましい。支持体としては、キャリアフィルムがよく用いられる。キャリアフィルムの材質としては、例えばポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性を有する熱可塑性樹脂フィルムが好適に選択される。
【0050】
支持体に金属箔を使用する場合は、硬化物を形成した後に金属箔を剥離して用いてもよいし、また、金属箔をエッチングして用いてもよい。金属箔としては、例えば、銅、銅系合金、アルミニウム、アルミニウム系合金、鉄、鉄系合金、銀、銀系合金、金、金系合金、亜鉛、亜鉛系合金、ニッケル、ニッケル系合金、錫、錫系合金等の金属箔が好適に選択される。また、キャリア箔付き極薄金属箔を支持体として用いてもよい。
【0051】
硬化物の形状がシート状である場合、シート状の硬化物の厚さは、用途により適宜設定すればよく、例えば、20~150μmの範囲とすることができる。
【0052】
本発明の一実施形態である硬化物は、良好な熱伝導性を有する。この硬化物は、プリント配線基板、半導体封止絶縁材、パワー半導体、LED照明、LEDバックライト、パワーLED、太陽電池等の電気・電子分野の種々の部材の樹脂基材として広く応用が可能であり、より具体的にはプリプレグ、封止剤、積層基板、塗布性の接着剤、接着シート等に用いることができる。
【実施例
【0053】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施例等によって何ら制限を受けるものではない。
【0054】
<(A)成分>
(A)成分として、以下に示すA-1~A-3を用意した。
A-1:化合物No.3
A-2:化合物No.2
A-3:比較化合物1
【0055】
比較化合物1の構造を以下に示す。
【0056】
【0057】
<(B)成分>
(B)成分として、以下に示すB-1~B-4を用意した。
B-1:化合物No.18
B-2:化合物No.16
B-3:比較化合物2
B-4:比較化合物3
【0058】
比較化合物2及び3の構造を以下に示す。
【0059】
【0060】
<(C)成分>
(C)成分として、以下に示すC-1を用意した。
C-1:窒化アルミニウムフィラー(商品名「ANF-S30」、MARUWA社製;平均粒径約30μm)
【0061】
<(D)成分>
(D)成分(硬化剤)として、以下に示すD-1を用意した。
D-1:イミダゾール化合物(商品名「2PHZ-PW」、四国化成工業社製)
【0062】
<(E)成分>
(E)成分として、以下に示すE-1及びE-2を用意した。
E-1:ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(商品名「NC-3000H」、日本化薬社製)
E-2:ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂(商品名「MEH-7851H」、明和化成工業社製)
【0063】
<(F)成分>
(F)成分として、以下に示すF-1を用意した。
F-1:湿潤分散剤(商品名「BYK-W903」、ビックケミー・ジャパン社製)
【0064】
<組成物の製造>
(実施例1~6、比較例1~5)
表1に示す配合で(A)~(F)成分を混合するとともに、プラネタリーミキサーとビーズミルを使用して分散させて、実施例組成物1~6及び比較例組成物1~5を製造した。
【0065】
【0066】
<熱伝導性シートの製造>
(実施例7~12、比較例6~10)
実施例組成物1~6及び比較例組成物1~5をバーコーター法によりPETフィルム上に100μmの厚さとなるようにそれぞれ塗布した後、100℃で10分間加熱して乾燥させた。PETフィルムを剥離して、35μm電解銅箔付きアルミ板で挟んだ後、190℃、3MPaの条件で90分間加熱して硬化させ、電解銅箔付きのシート状の熱伝導性硬化物である実施例硬化物1~6及び比較例硬化物1~5を製造した。製造した硬化物と使用した組成物との対応関係を表2に示す。
【0067】
【0068】
<評価>
(接着性の評価)
製造した各硬化物を構成する電解銅箔のピール強度(kN/m)をJIS-C6481に準拠して測定し、以下に示す評価基準にしたがって接着性を評価した。結果を表3に示す。
+++:ピール強度が1.2kN/m以上
++:ピール強度が1.1kN/m以上1.2kN/m未満
+:ピール強度が1.0kN/m以上1.1kN/m未満
-:ピール強度が0.9kN/m以上1.0kN/m未満
--:ピール強度が0.8kN/m以上0.9kN/m未満
---:ピール強度が0.8kN/m未満
【0069】
(耐湿性及び耐熱性の評価)
電解銅箔を剥離した各硬化物を85℃、湿度85%雰囲気下に500時間静置した後、質量を測定した。静置前後の硬化物の質量から質量増加率を算出し、以下に示す評価基準にしたがって硬化物の耐湿性及び耐熱性を評価した。結果を表3に示す。
+++:質量増加率が2.5%未満
++:質量増加率が2.5%以上5.0%未満
+:質量増加率が5.0%以上7.5%未満
-:質量増加率が7.5%以上10.0%未満
--:質量増加率が10.0%以上12.5%未満
---:質量増加率が12.5%以上
【0070】
【0071】
ピール強度が高い場合は、硬化物の接着性が優れていることを意味する。また、質量増加率が低い場合は、硬化物の耐湿性及び耐熱性が優れていることを意味する。表3に示すように、評価例1~6ではピール強度が高いとともに、質量増加率が低い。なかでも、評価例1ではピール強度が特に高いとともに、質量増加率が特に低いことがわかる。
【0072】
これに対して、比較評価例1ではピール強度が高いものの、質量増加率が高い。また、比較評価例2では質量増加率が低いものの、ピール強度が低い。さらに、比較評価例3~5ではピール強度が低く、質量増加率が高い。以上の結果から、比較例硬化物1~5と比較して、実施例硬化物1~6の接着性、耐湿性、及び耐熱性が優れていることが明らかである。
【0073】
前述の通り、放熱性絶縁硬化物については、接着性と、耐湿性及び耐熱性とが、一般的にトレードオフの関係にある。このため、耐湿性や耐熱性に優れた従来の放熱性絶縁硬化物は、接着性が低いことが一般的であった。これに対して、本発明の実施形態である組成物を用いて製造した硬化物は、接着性、耐湿性、及び耐熱性のいずれについても優れている。