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  • 特許-セラミックス複合体及びその製造方法 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】セラミックス複合体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/117 20060101AFI20240710BHJP
   C09K 11/80 20060101ALI20240710BHJP
   C09K 11/00 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
C04B35/117
C09K11/80
C09K11/00 C
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020113289
(22)【出願日】2020-06-30
(65)【公開番号】P2022011885
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】弁理士法人市澤・川田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平井 利幸
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓介
(72)【発明者】
【氏名】大栗 裕史
【審査官】末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-090424(JP,A)
【文献】特開2014-132084(JP,A)
【文献】特開2020-132847(JP,A)
【文献】特開2018-077463(JP,A)
【文献】特開2011-012215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/117-35/119
C04B 35/44-35/443
C09K 11/00-11/89
H01L 33/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
賦活元素を含有し、前記賦活元素とは異なる第1希土類元素を含有する第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子と、第2希土類元素を含有する酸化物粒子と、酸化アルミニウム粒子と、を含み、
前記第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子、前記酸化物粒子及び前記酸化アルミニウム粒子の総量を100質量%として、前記第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子の含有量が5質量%以上14質量%以下の範囲内であり、前記酸化物粒子の含有量が5質量%以上32質量%以下の範囲内であり、前記酸化アルミニウム粒子の含有量が残部である、原料混合物を準備することと、
前記原料混合物の成形体を準備することと、
1550℃以上1800℃以下の温度範囲で前記成形体を焼成して焼結体を得ることと、を含む、セラミックス複合体の製造方法。
【請求項2】
前記原料混合物を準備する工程において、フィッシャーサブシーブサイザーズ法により測定した、前記第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子の第1粒径D1が4μm以上40μm以下の範囲内である、請求項1に記載のセラミックス複合体の製造方法。
【請求項3】
前記原料混合物を準備する工程において、フィッシャーサブシーブサイザーズ法により測定した、前記酸化物粒子の第2粒径D2が0.05μm以上5μm未満の範囲内である、請求項1又は2に記載のセラミックス複合体の製造方法。
【請求項4】
前記原料混合物を準備する工程において、フィッシャーサブシーブサイザーズ法により測定した、前記酸化アルミニウム粒子の第3粒径D3が0.1μm以上1.5μm以下の範囲内である、請求項1から3のいずれか1項に記載のセラミックス複合体の製造方法。
【請求項5】
前記焼結体を得る工程において、前記成形体を前記1550℃以上1800℃以下の温度範囲で一次焼成し、第1焼結体を得ることと、
熱間等方圧加圧(HIP)により、前記第1焼結体を1500℃以上1800℃以下の温度範囲内で二次焼成し、第2焼結体を得ることと、を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載のセラミックス複合体の製造方法。
【請求項6】
前記原料混合物を準備する工程において、前記第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子が、Y、Lu、Gd及びTbからなる群から選択される少なくとも1種の第1希土類元素Lnと、前記賦活元素であるCeと、Alと、を含み、必要に応じてGaを含んでいてもよく、前記第1希土類元素Lnと前記Ceの合計のモル比が3であり、前記Ceのモル比が、0を超えて0.22以下の範囲内の変数aと3の積であり、前記Alと前記Gaの合計のモル比が4.5以上5.5以下の範囲内であり、前記Alのモル比が0を超えて1.1以下の範囲内の変数cと5の積であり、必要に応じて含んでいてもよいGaのモル比が0以上0.4以下の範囲内の変数bと5の積である、第1希土類アルミン酸塩の組成を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載のセラミックス複合体の製造方法。
【請求項7】
前記原料混合物を準備する工程において、前記第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子が、下記式(I)で表される組成を有する、請求項1から6のいずれか1項に記載のセラミックス複合体の製造方法。
(Ln 1-aCe(AlGa12 (I)
(前記式(I)中、Lnは、Y、Gd、Lu及びTbからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、a、b及びcは、0<a≦0.22、0≦b≦0.4、0<c≦1.1、0.9≦b+c≦1.1を満たす。)
【請求項8】
前記酸化物粒子が、Y、Gd、Tb及びLuからなる群から選択される少なくとも1種の第2希土類元素Lnを含む、請求項1から7のいずれか1項に記載のセラミックス複合体の製造方法。
【請求項9】
得られるセラミックス複合体が、賦活剤となり得る元素の含有量が200質量ppm以下であり、第2希土類元素を含有する第2希土類アルミン酸塩からなる第2結晶相を含む、請求項1から8のいずれか1項に記載のセラミックス複合体の製造方法。
【請求項10】
前記第2希土類アルミン酸塩が、下記式(II)で表される組成を有する、請求項9に記載のセラミックス複合体の製造方法。
Ln Al12 (II)
(前記式(II)中、Lnは、Y、Gd、Tb及びLuからなる群から選択される少なくとも1種である。)
【請求項11】
賦活元素を含有し、前記賦活元素とは異なる第1希土類元素を含有する第1希土類アルミン酸塩蛍光体を含む第1結晶相と、
賦活剤となり得る元素の含有量が200質量ppm以下であり、第2希土類元素を含有する第2希土類アルミン酸塩からなる第2結晶相と、
酸化アルミニウムからなる第3結晶相と、を含み、
前記第1結晶相、前記第2結晶相、及び前記第3結晶相の総量を100体積%として、
前記第1結晶相の含有量が5体積%以上45体積%以下の範囲内であり、
前記第2結晶相の含有量が5体積%以上50体積%以下の範囲内であり、
残部が前記第3結晶相であり、
下記測定条件で測定した、前記第1結晶相の第1結晶径G1が5μm以上40μm以下の範囲内であり、前記第2結晶相の第2結晶径G2が0.5μm以上5μm未満の範囲内である、セラミックス複合体。
測定条件
セラミックス複合体の断面における走査型電子顕微鏡用いて撮影したSEM画像において、前記第1結晶相又は前記第2結晶相の断面における最大幅と、前記最大幅の中心点を通る最小幅と、を測定し、前記第1結晶相又は前記第2結晶相それぞれについて、前記最大幅と前記最小幅の平均を直径とし、無作為に選択した20個の第1結晶相又は第2結晶相の直径の平均値を、前記第1結晶相の第1結晶径G1、前記第2結晶相の第2結晶径G2とする。
【請求項12】
前記第1結晶径G1に対する、前記第2結晶径G2の比G2/G1が0.4以下である、請求項11に記載のセラミックス複合体。
【請求項13】
相対密度が95%以上である、請求項11又は12に記載のセラミックス複合体。
【請求項14】
前記第1希土類アルミン酸塩蛍光体が、Y、Lu、Gd及びTbからなる群から選択される少なくとも1種の第1希土類元素Lnと、前記賦活元素であるCeと、Alと、O(酸素)と、を含み、必要に応じてGaを含んでいてもよく、前記第1希土類元素LnとCeの合計のモル比が3であり、前記Ceのモル比が、0を超えて0.22以下の範囲内の変数aと3の積であり、前記Alと前記Gaの合計のモル比が4.5以上5.5以下の範囲内であり、前記Alのモル比が0を超えて1.1以下の範囲内の変数cと5の積であり、必要に応じて含Gaのモル比が0以上0.4以下の範囲内の変数bと5の積である、第1希土類アルミン酸塩の組成を有する、請求項11から13のいずれか1項に記載のセラミックス複合体。
【請求項15】
前記第1希土類アルミン酸塩蛍光体が、下記式(I)で表される組成を有する、請求項11から14のいずれか1項に記載のセラミックス複合体。
(Ln 1-aCe(AlGa12 (I)
(前記式(I)中、Lnは、Y、Gd、Lu及びTbからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、a、b及びcは、0<a≦0.22、0≦b≦0.4、0<c≦1.1、0.9≦b+c≦1.1を満たす。)
【請求項16】
前記第2希土類アルミン酸塩が、Y、Gd、Tb及びLuからなる群から選択される少なくとも1種の第2希土類元素Lnと、Alと、を含み、前記第2希土類元素Lnのモル比が3であり、Alのモル比が5である、第2希土類アルミン酸塩の組成を有する、請求項11から15のいずれか1項に記載のセラミックス複合体。
【請求項17】
前記第2希土類アルミン酸塩が、下記式(II)で表される組成を有する、請求項11から16のいずれか1項に記載のセラミックス複合体。
Ln Al12 (II)
(前記式(II)中、Lnは、Y、Gd、Tb及びLuからなる群から選択される少なくとも1種である。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックス複合体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)やレーザーダイオード(LD:Laser Diode)と、LEDやLDの発光素子から発せられた光の波長を変換する蛍光体を含む波長変換部材を備えた発光装置が知られている。このような発光装置は、例えば車載用、一般照明用、液晶表示装置のバックライト、プロジェクターなどの光源に用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、Ceで賦活されたイットリウムアルミニウムガーネット蛍光体と、蛍光体粒子の間に存在する酸化アルミニウムからなる無機材料と、蛍光体粒子の表面の少なくとも一部を覆うように付着された蛍光体粒子よりも小さい粒径を有する添加材粒子と、を含むセラミックス複合体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-149394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
蛍光体と、透光性の無機材料とを含むセラミックス複合体は、さらに高い輝度を有するものが求められている。
そこで、本発明の一態様は、輝度が高いセラミックス複合体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様は、賦活元素を含有し、前記賦活元素とは異なる第1希土類元素を含有する第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子と、第2希土類元素を含有する酸化物粒子と、酸化アルミニウム粒子と、を含み、前記第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子、前記酸化物粒子及び前記酸化アルミニウム粒子の総量を100質量%として、前記第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子の含有量が5質量%以上40質量%以下の範囲内であり、前記酸化物粒子の含有量が0.1質量%以上32質量%以下の範囲内であり、前記酸化アルミニウム粒子の含有量が残部である、原料混合物を準備することと、前記原料混合物を成形した成形体を準備することと、前記成形体を、1550℃以上1800℃以下の温度範囲で焼成し、焼結体を得ることと、を含む、セラミックス複合体の製造方法である。
【0007】
本発明の第二の態様は、賦活元素を含有し、前記賦活元素とは異なる第1希土類元素を含有する第1希土類アルミン酸塩蛍光体を含む第1結晶相と、賦活剤となり得る元素の含有量が200質量ppm以下であり、第2希土類元素を含有する第2希土類アルミン酸塩からなる第2結晶相と、酸化アルミニウムからなる第3結晶相と、を含み、前記第1結晶相、前記第2結晶相、及び前記第3結晶相の総量を100体積%として、前記第1結晶相の含有量が5体積%以上45体積%以下の範囲内であり、前記第2結晶相の含有量が0.5体積%以上50体積%以下の範囲内であり、残部が前記第3結晶相である、セラミックス複合体である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、輝度が高いセラミックス複合体及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A図1Aは、セラミックス複合体の製造方法を示すフローチャートである。
図1B図1Bは、セラミックス複合体の製造方法を示すフローチャートである。
図2A図2Aは、セラミックス複合体の製造方法を示すフローチャートである。
図2B図2Bは、セラミックス複合体の製造方法を示すフローチャートである。
図3A図3Aは、発光装置の概略平面図である。
図3B図3Bは、発光装置の概略断面図である。
図4図4は、原料混合物に含まれる酸化物粒子の含有量(質量%)とセラミックス複合体の相対輝度の関係を示すグラフである。
図5図5は、実施例3に係るセラミックス複合体の断面における2次電子像のSEM写真である。
図6図6は、実施例3に係るセラミックス複合体の断面における反射電子像のSEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、セラミックス複合体及びその製造方法を実施形態に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は、以下のセラミックス複合体の製造方法及びセラミックス複合体に限定されない。なお、色名と色度座標との関係、光の波長範囲と単色光の色名との関係は、JIS Z8110に従う。また、本明細書において、セラミックスは、1000℃以下の温度下において、あらゆる無機非金属材料をいう。
【0011】
セラミックス複合体の製造方法
セラミックス複合体の製造方法は、賦活元素と、その賦活元素とは異なる第1希土類元素を含有する第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子と、第2希土類元素を含有する酸化物粒子と、酸化アルミニウム粒子と、を含み、第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子、酸化物粒子及び酸化アルミニウム粒子の総量を100質量%として、第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子の含有量が5質量%以上40質量%以下の範囲内であり、酸化物粒子の含有量が0.1質量%以上32質量%以下の範囲内であり、酸化アルミニウム粒子の含有量が残部である、原料混合物を準備することと、その原料混合物を成形した成形体を準備することと、準備した成形体を、1550℃以上1800℃以下の温度範囲で焼成し、焼結体を得ることと、を含む。
【0012】
原料混合物を成形した成形体中の酸化アルミニウムは、1550℃以上1800℃以下の温度範囲の焼成時の熱により粒子と粒子が併合することで粒子成長し、この粒子成長に伴い、第2希土類元素を含む酸化物粒子が酸化アルミニウムの周囲に集まり、酸化アルミニウム粒子と酸化物粒子が反応して、第2希土類アルミン酸塩が形成されると推定される。第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子の周囲に第2希土類アルミン酸塩が形成されると、第1希土類アルミン酸塩蛍光体と第2希土類アルミン酸塩が粒界を形成することなく一体となりやすくなり、第1希土類アルミン酸塩蛍光体を含む第1結晶相が形成される。成形体中に含まれていた第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子と、第2希土類元素を含む酸化物粒子と酸化アルミニウム粒子が反応して形成された第2希土類アルミン酸塩とが、一体化されるため、セラミックス複合体中に含まれる第1希土類アルミン酸塩蛍光体を含む第1結晶相の第1結晶径G1が大きくなる。第1希土類アルミン酸塩蛍光体を含む第1結晶相の第1結晶径G1が大きくなると、第1希土類アルミン酸塩蛍光体が励起光源からの光を吸収しやすく、輝度が高い光を出射することができる。第1希土類アルミン酸塩蛍光体を含む第1結晶相は、賦活元素と、その賦活元素とは異なる第1希土類元素と、酸化物粒子に由来する第2希土類元素が含有される。第1希土類元素と第2希土類元素は、同一の元素でもよく、異なる元素でもよい。
【0013】
例えば、前述の特許文献1には、賦活剤を実質的に含まない添加材粒子を蛍光体粒子の表面に付着させたセラミックス複合体が開示されている。このセラミックス複合体は、蛍光体粒子と添加材粒子とが、一体化しておらず、蛍光体粒子と添加材粒子の間には界面が存在する。
一方、本発明の一態様によるセラミックス複合体に含まれる第1結晶相は、第1希土類アルミン酸塩蛍光体と第2希土類アルミン酸塩の間に界面が形成され難い。そのため、セラミックス複合体は、第1希土類アルミン酸塩蛍光体から出射される光は、界面付近の屈折率差による反射の影響が少なく、大きな第1結晶径G1を有する第1結晶相によって、励起光源からの光の吸収効率を高め、輝度が高い、波長変換した光を出射することができる。セラミックス複合体において、第1希土類アルミン酸塩蛍光体と第2希土類アルミン酸塩が一体化した第1結晶相に界面が存在しない理由は、以下のように推測される。1550℃以上1800℃以下の温度範囲の焼成により、酸化アルミニウムが粒子成長しながら酸化物粒子と反応して第2希土類アルミン酸塩が形成され、この第2希土類アルミン酸塩が、類似する組成を有する第1希土類アルミン酸塩蛍光体と反応する。そのため、第1希土類アルミン酸塩蛍光体と第2希土類アルミン酸塩の間には界面が形成され難く、両者は一体化して一つの第1結晶相になりやすい。
【0014】
得られるセラミックス複合体には、焼成時の熱によって粒子成長する酸化アルミニウム粒子と酸化物粒子の反応によって形成された第2希土類アルミン酸塩からなる第2結晶相も含まれる。この第2希土類アルミン酸塩は、第1希土類アルミン酸塩蛍光体と一体化していない。また、得られるセラミックス複合体には、焼成時の熱によって粒子成長し、酸化物粒子とは反応していない酸化アルミニウムからなる第3結晶相も含まれる。セラミックス複合体中の第1希土類アルミン酸塩蛍光体と第2希土類アルミン酸塩が一体化した第1結晶相と、酸化アルミニウムからなる第3結晶相の間には、各結晶相の結晶構造が異なるため、界面が存在する。また、第2希土類アルミン酸塩からなる第2結晶相と、酸化アルミニウムからなる第3結晶相の間にも、各結晶相の結晶構造が異なるため、界面が存在する。第2希土類元素を含む酸化物粒子と酸化アルミニウム粒子が反応して形成された第2希土類アルミン酸塩が、第1希土類アルミン酸塩蛍光体に接近すると、第2希土類アルミン酸塩と第1希土類アルミン酸塩蛍光体が一体化するため、第2希土類アルミン酸塩からなる第2結晶相と、第1希土類アルミン酸塩蛍光体を含む第1結晶相の間には、酸化アルミニウムからなる第3結晶相が存在する。第1希土類アルミン酸塩蛍光体を含む第1結晶相と、第2希土類アルミン酸塩からなる第2結晶相と、酸化アルミニウムからなる第3結晶相を含むセラミックス複合体は、各結晶相の間に形成された界面によって光が散乱され、第2希土類アルミン酸塩と一体化された第1希土類アルミン酸塩蛍光体を含む第1結晶相の光の吸収効率を高め、効率よく波長変換された輝度が高い光を出射することができる。
【0015】
図1A及び図1B、並びに、図2A及び図2Bは、セラミックス複合体の製造方法の一例を示すフローチャートである。図面を参照にして、セラミックス複合体の製造方法の工程を説明する。図1Aに示すように、セラミックス複合体の製造方法は、第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子と、第2希土類元素を含有する酸化物粒子と、酸化アルミニウム粒子と、を含む原料混合物を準備する工程S101と、原料混合物を成形した成形体を準備する工程S102と、成形体を1550℃以上1800℃以下の温度範囲で焼成し、焼結体を得る工程S103とを含む。図2Aに示すように、セラミックス複合体の製造方法は、原料混合物を準備する工程S201と、原料混合物を成形した成形体を準備する工程S202を含み、成形体を1550℃以上1800℃以下の温度範囲で一次焼成して第1焼結体を得る工程S203と、熱間等方圧加圧(HIP:Hot Isostatic Pressing)により、第1焼結体を1500℃以上1800℃以下の温度で二次焼成し、第2焼結体を得る工程S204と、を含んでいてもよい。また、図1B又は図2Bに示すように、セラミックス複合体の製造方法は、焼結体を得る工程S103、第1焼結体を得る工程S203又は第2焼結体を得る工程S204の後に、アニール処理する工程S104又はS205を必要に応じて含んでいてもよい。また、セラミックス複合体の製造方法は、焼結体を得る工程S103又は第2焼結体を得る工程S204の後に、得られた焼結体又は第2焼結体を所望の大きさ又は厚さに切断して加工する工程S105又はS206を含んでいてもよく、さらに面処理する工程S106又はS207を必要に応じて含んでいてもよい。
【0016】
原料混合物を準備する工程
第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子
第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子は、Y、Lu、Gd及びTbからなる群から選択される少なくとも1種の第1希土類元素Lnと、賦活元素であるCeと、Alと、を含み、必要に応じてGaを含んでいてもよく、第1希土類元素LnとCeの合計のモル比が3であり、Ceのモル比が、0を超えて0.22以下の範囲内の変数aと3の積であり、AlとGaの合計のモル比が4.5以上5.5以下の範囲内であり、Alのモル比が0を超えて1.1以下の範囲内の変数cと5の積であり、必要に応じて含んでいてもよいGaのモル比が0以上0.4以下の範囲内の変数bと5の積である、第1希土類アルミン酸塩の組成を有することが好ましい。
【0017】
原料混合物を準備する工程において、第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子が、下記式(I)で表される組成を有することが好ましい。
(Ln 1-aCe(AlGa12 (I)
(前記式(I)中、Lnは、Y、Gd、Lu及びTbからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、a、b及びcは、0<a≦0.22、0≦b≦0.4、0<c≦1.1、0.9≦b+c≦1.1を満たす数である。)
【0018】
第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子に含まれる第1希土類元素Lnは、Y、Lu、Gd及びTbからなる群から選択される2種以上の元素を含んでいてもよい。第1希土類元素Lnは、Y、Lu及びGdからなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。第1希土類元素Lnは、Y及びGdであってもよく、Y及びLuであってもよい。第1希土類アルミン酸塩蛍光体中に、2種以上の第1希土類元素Lnを含み、第1希土類元素LnがY及びGdの場合、第1希土類アルミン酸塩蛍光体の組成中、Y及びGdのモル比(Y:Gd)は99.5:0.5から70:30の範囲であることが好ましく、99:1から80:20の範囲内であってもよく、99:1から90:10の範囲内であってもよい。
【0019】
第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子の組成において、Ceのモル比は3と変数aの積で表される。第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子の組成において、Ceのモル比が0を超えて0.66以下であることが好ましく、0.001以上0.60以下の範囲内でもよく、0.003以上0.450以下の範囲内でもよく、0.006以上0.300以下の範囲内でもよく、0.012以上0.270以下の範囲内でもよく、0.015以上0.240以下の範囲内でもよい。第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子の組成において、変数aは、0を超えて0.22以下の範囲内(0<a≦0.22)であり、0.0003以上0.20以下の範囲内(0.0003≦a≦0.20)でもよく、0.001以上0.150以下の範囲内(0.001≦a≦0.150)でもよく、0.002以上0.100以下の範囲内(0.002≦a≦0.100)でもよく、0.004以上0.090以下の範囲内(0.004≦a0.090)でもよく、0.005以上0.080以下の範囲内(0.005≦a≦0.080)でもよい。
【0020】
第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子の組成において、Alのモル比は5と変数cの積で表される。第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子の組成において、Alのモル比は、0を超えて5.5以下の範囲内であり、0.54以上5.0以下の範囲内でもよく、0.63以上5.0以下の範囲内でもよい。第1希土類アルミン酸塩粒子の組成において、変数cは、0を超えて1.1以下の範囲内であり、0.6以上1.0以下の範囲内(0.6≦c≦1.0)でもよく、0.7以上1.0以下の範囲内(0.7≦c≦1.0)でもよい。
【0021】
第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子の組成において、Gaは含まれていなくてもよい。第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子の組成において、Gaのモル比は5と変数bの積で表される。第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子の組成において、Gaのモル比は、0以上2.0以下の範囲内であり、0.1以上1.5以下の範囲内でもよく、0.2以上1.2以下の範囲内でもよい。第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子の組成において、変数bは、0以上0.4以下の範囲内(0≦b≦0.4)であり、0.02以上0.3以下の範囲(0.02≦b≦0.3)でもよく、0.04以上0.0.24以下の範囲内(0.04≦b≦0.24)でもよい。
【0022】
第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子の組成において、AlとGaの合計のモル比は、4.5以上5.5以下の範囲内であり、5であってもよい。第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子の組成において、変数bと変数cの和は、0.9以上1.1以下の範囲内(0.9≦b+c≦1.1)であり、1であってもよい(b+c=1)。
【0023】
第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子のフィッシャーサブシーブサイザー(Fisher Sub-Sieve Sizer、以下「FSSS」ともいう。)法により測定された第1粒径D1が4μm以上40μm以下の範囲内であることが好ましく、5μm以上35μm以下の範囲内であることがより好ましく、8μm以上30μm以下の範囲内であることがさらに好ましい。FSSS法は、空気透過法の一種であり、空気の流通抵抗を利用して比表面積を測定し、主に一次粒子の粒径を求める方法である。FSSS法で測定された平均粒径は、フィッシャーサブシーブサイザーズナンバー(Fisher Sub-Sieve Sizer’s Number)である。第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子のFSSS法により測定された第1粒径D1が4μm以上40μm以下の範囲内であれば、得られるセラミックス複合体中で、第2希土類アルミン酸塩と一体化した第1希土類アルミン酸塩蛍光体を含む第1結晶相の第1結晶径G1が大きくなる。得られるセラミックス複合体は、大きい第1結晶径G1を有する第1結晶相の励起光源から発せられる光を効率良く吸収して波長変換することができ、輝度が高い光を出射することができる。また、第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子の第1粒径D1が4μm以上40μm以下の範囲内であれば、空隙の生成が抑制され、第2希土類元素を含む酸化物粒子及び酸化アルミニウム粒子とともに、相対密度の高いセラミックス複合体を得ることができる。
【0024】
第2希土類元素を含有する酸化物粒子
第2希土類元素を含有する酸化物粒子は、単に「酸化物粒子」と記載する場合もある。酸化物粒子に含まれる第2希土類元素は、第1希土類アルミン酸塩蛍光体に含まれる賦活元素とは異なる元素であることが好ましい。酸化物粒子に含まれる第2希土類元素は、Sc、Y、La、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。酸化物粒子に含まれる第2希土類元素は、Y、La、Nd、Pm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb及びLuからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、Y、La、Nd、Gd、Tb、Yb及びLuからなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。酸化物粒子は、Y、Gd、Tb及びLuからなる群から選択される少なくとも1種の第2希土類元素Lnを含むことがさらに好ましい。酸化物粒子は、1種の第2希土類元素を含み、第2希土類元素が異なる2種以上の酸化物粒子であってもよい。酸化物粒子は、具体的には、Y、La、Pr11、Nd、Gd、Tb、Yb、及びLuからなる群から選択される少なくとも1種の酸化物からなる粒子であることが好ましい。酸化物粒子は、Y、La、Nd、Gd、Tb、Yb、及びLuからなる群から選択される少なくとも1種の酸化物粒子であることがより好ましく、Y、Gd、Tb、及びLuからなる群から選択される少なくとも1種の酸化物粒子であることがさらに好ましい。酸化物粒子は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。酸化物粒子は、第2希土類元素を含有する酸化物からなる粒子をいう。酸化物粒子は、アルミニウムを含有していなくてもよい。アルミニウムを含有しない酸化物粒子は、アルミニウムの含有量が1質量%未満である酸化物粒子をいう。
【0025】
前述のFSSS法により測定した酸化物粒子の第2粒径D2は、0.05μm以上5μm未満の範囲内であることが好ましく、0.1μm以上4μm以下の範囲内であることがより好ましい。酸化物粒子の第2粒径D2が0.05μm以上5μm未満の範囲内であると、後述する成形体を1550℃以上1800℃以下の範囲内で焼成するときに、焼成時の熱により粒子成長する酸化アルミニウムの周囲に酸化物粒子が集まりやすくなり、酸化アルミニウムと第2希土類元素を含む酸化物粒子が反応して、第2希土類アルミン酸塩を形成しやすくなる。形成された第2希土類アルミン酸塩は、第1希土類アルミン酸塩蛍光体と一体化して、第1希土類アルミン酸塩蛍光体を含む第1結晶相G1を大きくすることができ、励起光源からの光を波長変換しやすく、輝度の高い光を出射することができるセラミックス複合体を製造することができる。
【0026】
酸化アルミニウム粒子
酸化アルミニウム粒子は、酸化アルミニウムの純度が、99.0質量%以上であることが好ましく、99.5質量%以上であることが好ましい。酸化アルミニウム粒子の酸化アルミニウムの純度が99.0質量%以上であると、不純物が少なく、輝度の高い光を出射できるセラミックス複合体を製造することができる。酸化アルミニウム粒子の酸化アルミニウムの純度は、カタログに記載された酸化アルミニウムの純度の値を参照することができる。酸化アルミニウム粒子の酸化アルミニウムの純度が不明である場合には、酸化アルミニウム粒子の質量を測定した後、酸化アルミニウム粒子を800℃で1時間、大気雰囲気で焼成し、酸化アルミニウム粒子に付着又は吸着されている有機分や水分を除去し、焼成後の酸化アルミニウム粒子の質量を測定し、焼成後の酸化アルミニウム粒子の質量を焼成前の酸化アルミニウム粒子の質量で除すことによって、酸化アルミニウム粒子の純度を測定することができる。
【0027】
前述のFSSS法により測定した酸化アルミニウム粒子の第3粒径D3は、0.1μm以上1.5μm以下の範囲内であることが好ましく、0.2μm以上1.0μm以下の範囲内であることがより好ましい。酸化アルミニウム粒子の第3粒径D3が0.1μm以上1.5μm以下の範囲内であると、後述する成形体を1550℃以上1800℃以下の範囲内で焼成するときに、焼成時の熱により酸化アルミニウム粒子が粒子成長しやすく、酸化物粒子とともに第2希土類アルミン酸塩を形成しやすく、相対密度が高く、励起光源からの光を波長変換しやすく、輝度の高い光を出射することができるセラミックス複合体を製造することができる。
【0028】
原料混合物
原料混合物は、第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子、酸化物粒子及び酸化アルミニウム粒子の総量を100質量%として、第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子の含有量が5質量%以上40質量%以下の範囲内であり、酸化物粒子の含有量が0.1質量%以上32質量%以下の範囲内であり、酸化アルミニウム粒子の含有量が残部である。原料混合物は、第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子、酸化物粒子及び酸化アルミニウム粒子の総量を100質量%として、第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子の含有量が5質量%以上40質量%以下の範囲内である場合に、酸化物粒子の含有量が0.5質量%以上30質量%以下の範囲内であり、残部が酸化アルミニウム粒子であることが好ましく、酸化物粒子の含有量が1.0質量%以上28質量%以下の範囲内であり、残部が酸化アルミニウム粒子であることがより好ましく、酸化物粒子の含有量が3.0質量%以上25質量%以下の範囲内であり、残部が酸化アルミニウム粒子であることがさらに好ましく、酸化物粒子の含有量が5.0質量%以上20質量%以下の範囲内であり、残部が酸化アルミニウム粒子であることが特に好ましい。原料混合物中の第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子、酸化物粒子及び酸化アルミニウム粒子の各含有量が前記範囲内であると、後述する1550℃以上1800℃以下の温度範囲の焼成により、酸化物粒子と酸化アルミニウム粒子が反応して第2希土類アルミン酸塩が形成され、この第2希土類アルミン酸塩が第1希土類アルミン酸塩蛍光体と一体化して第1結晶径G1の大きな第1結晶相を含むセラミックス複合体を製造することができる。また、原料混合物中の第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子、酸化物粒子及び酸化アルミニウム粒子の各含有量が前記範囲内であると、後述する1550℃以上1800℃以下の温度範囲の焼成により、酸化アルミニウム粒子が粒子成長して酸化アルミニウムからなる第3結晶相と、酸化アルミニウム粒子と酸化物粒子が反応して、第1希土類アルミン酸塩蛍光体と一体化しない第2希土類アルミン酸塩から成る第2結晶相を含むセラミックス複合体を製造することができる。
【0029】
第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子、酸化物粒子及び酸化アルミニウム粒子は、混合機を用いて湿式又は乾式で混合し、原料混合物を得ることができる。混合機は、工業的に通常に用いられるボールミル、振動ミル、ロールミル、ジェットミル等を用いることができる。
【0030】
成形体を準備する工程
成形体を準備する工程は、原料混合物を成形して成形体を準備する。成形体を形成する方法としては、プレス成形法等の知られている方法を採用することができる。プレス成形する方法としては、例えば金型プレス成形、JIS Z2500:2000、No.2109で用語が定義されている、冷間静水等方圧加圧(CIP:Cold Isostatic Pressing)等が挙げられる。その他に一軸で圧縮して、原料混合物を成形し成形体を得てもよい。原料混合物を成形して成形体を得る方法は、成形体の形状を整えるために、2種の方法を採用してもよく、例えば金型プレス成形をした後に、CIPを行ってもよく、ローラベンチ法により一軸で圧縮した後に、CIPを行ってもよい。CIPは、水を媒体とする冷間静水等方圧加圧法により成形体をプレスすることが好ましい。
【0031】
金型プレス成形時の圧力又は一軸で圧縮して成形する場合の圧力は、好ましくは5MPa以上50MPa以下であり、より好ましくは5MPa以上30MPa以下である。金型プレス成形時の圧力又は一軸で圧縮して成形する場合の圧力が前記範囲であれば、成形体を所望の形状に整えることができる。
【0032】
CIPにおける圧力は、好ましくは50MPa以上200MPa以下であり、より好ましくは50MPa以上180MPa以下である。CIPにおける圧力が50MPa以上200MPa以下の範囲内であると、後述する1550℃以上1800℃以下の焼成により相対密度が95%以上であるセラミックス複合体を得ることが可能な成形体を形成することができる。
【0033】
焼成して焼結体を得る工程(一次焼成工程)
焼結体を得る工程は、成形体を1550℃以上1800℃以下の温度範囲内で焼成して焼結体を得る。成形体を1550℃以上1800℃以下の温度範囲内で一次焼成して第1焼結体を得てもよい。焼成の温度は、好ましくは1600℃以上1750℃以下の範囲内であり、より好ましくは1650℃以上1700℃以下の温度範囲内である。成形体を焼成する温度が1550℃以上1800℃以下の温度範囲内であれば、第1希土類アルミン酸塩蛍光体を溶解させることなく、酸化アルミニウム粒子と酸化物粒子の反応を促進して、第2希土類アルミン酸塩が一体化した第1希土類アルミン酸塩蛍光体を含む結晶径の大きな第1結晶相と、第2希土類アルミン酸塩からなる第2結晶相と、酸化アルミニウムからなる第3結晶相を含むセラミックス複合体を製造することができる。
【0034】
二次焼成工程
二次焼成工程は、熱間等方圧加圧(HIP)により、第1焼結体を、1500℃以上1800℃以下の温度範囲内で二次焼成して、第2焼結体を得る工程である。セラミックス複合体の製造方法は、二次焼成工程を含んでいてもよい。
二次焼成工程は、JIS Z2500:2000、No.2112で用語が定義されている、熱間等方圧加圧(HIP:Hot Isostatic Pressing)により、1500℃以上1800℃以下の温度範囲内で二次焼成を行うことが好ましい。二次焼成工程を行うことにより、相対密度のより高いセラミックス複合体を得ることができる。二次焼成の温度は、より好ましく1550℃以上1800℃以下の温度範囲内であり、さらに好ましくは1600以上1750℃以下の温度範囲内であり、特に好ましくは1650℃以上1700℃以下の温度範囲内である。二次焼成は、アルゴン又は窒素雰囲気で行うことができる。
【0035】
二次焼成は、HIPにおける圧力が、好ましくは50MPa以上300MPa以下の範囲内であり、80MPa以上200MPa以下の範囲内であることがより好ましい。HIPにおける圧力が50MPa以上300MPa以下の範囲内であると、第1希土類アルミン酸塩蛍光体を含む第1結晶相の結晶構造にダメージを与えることなく、第2焼結体の全体を均一に、より高い密度にすることができる。
【0036】
HIPによって行う二次焼成は、例えば0.5時間以上20時間以内であり、第2焼結体の全体を均一に高い密度にするために、1時間以上10時間以内で行うことが好ましい。
【0037】
アニール処理
得られた焼結体、第1焼結体又は第2焼結体は、還元雰囲気でアニール処理してもよい。得られた焼結体を還元雰囲気でアニール処理することによって、第1希土類アルミン酸塩蛍光体を含む第1結晶相中に含まれる酸化された賦活元素を還元することができ、発光中心となる賦活元素の酸化による波長変換効率の低下と輝度の低下を抑制することができる。還元雰囲気は、へリウム、ネオン及びアルゴンからなる群から選ばれる少なくとも1種の希ガス又は窒素ガスと、水素ガス又は一酸化炭素ガスとを含む雰囲気であればよく、雰囲気中に少なくともアルゴン又は窒素ガスと、水素ガス又は一酸化炭素ガスとを含むことがより好ましい。アニール処理は、焼結体又は第1焼結体に行ってよく、第2焼結体に行ってもよく、第1焼結体又は第2焼結体のいずか一方に行ってもよい。
【0038】
アニール処理の温度は、焼成温度よりも低い温度であり、1000℃以上1500℃以下の範囲内であることが好ましい。アニール処理の温度は、より好ましくは1000℃以上1400℃以下の範囲内であり、さらに好ましくは1100℃以上1350℃以下の範囲内である。アニール処理の温度が、焼成温度、一次焼成温度又は二次焼成温度よりも低い温度であり、1000℃以上1500℃以下の範囲内であれば、セラミックス複合体中の第1希土類アルミン酸塩蛍光体を含む第1結晶相に含まれる酸化された賦活元素を還元し、波長変換の効率の低下と輝度の低下を抑制することができる。
【0039】
加工工程
得られた焼結体は、所望の大きさ又は厚さに切断する加工を行ってもよい。切断する方法は、公知の方法を利用することができ、例えば、ブレードダイシング、レーザーダイシング、ワイヤーソーから選択された少なくとも一種の方法を用いて切断する方法が挙げられる。これらのうち、切断面の凹凸をより低減することができる点からワイヤーソーが好ましい。
【0040】
面処理工程
さらに以下に説明する面処理工程を追加してもよい。面処理工程は、得られた焼結体又は第2焼結体を切断して得た切断物の表面を面処理する工程である。この面処理工程により、セラミックス複合体の発光特性の向上のため、セラミックス複合体の表面を適切な状態とすることができるだけでなく、上述の加工工程と併せて、または単独で、セラミックス複合体を所望の形状、大きさ又は厚さにすることができる。面処理工程は、焼結体又は第2焼結体を所望の大きさ若しくは厚さに切断して加工する加工工程の前に行ってもよく、加工工程後に行ってもよい。面処理する方法としては、例えば、サンドブラストによる方法、機械研削による方法、ダイシングによる方法、化学的エッチングによるから選択された少なくとも一種の方法が挙げられる。
【0041】
得られるセラミックス複合体は、賦活剤となり得る元素の含有量が200質量ppm以下である、第2希土類アルミン酸塩からなる第2結晶相を含むことが好ましい。原料混合物に含まれる酸化物粒子は、酸化アルミニウムと反応して第2希土類アルミン酸塩を形成し、形成された第2希土類アルミン酸塩は、第1希土類アルミン酸塩蛍光体と一体となって第1結晶相を形成する。また、原料混合物に含まれる酸化物粒子は、酸化アルミニウムと反応して第2希土類アルミン酸塩を形成し、第1希土類アルミン酸塩蛍光体と一体化せず、第2希土類アルミン酸塩からなる第2結晶相を形成する。セラミックス複合体中の第2希土類アルミン酸塩からなる第2結晶相は、1550℃以上1800℃以下の温度範囲の焼成により酸化アルミニウムの粒子成長に伴い第2希土類元素を含む酸化物粒子が酸化アルミニウムと反応して形成された第2結晶相であるため、第2結晶相中には、賦活剤となり得る元素を実質的に含まず、賦活剤となり得る元素の含有量が200質量ppm以下である。第1希土類アルミン酸塩蛍光体の賦活元素がセリウム(Ce)である場合、第2希土類アルミン酸塩からなる第2結晶相中のセリウム(Ce)の含有量は200質量ppm以下である。第2希土類アルミン酸塩からなる第2結晶相中の賦活剤となり得る元素の含有量は、セラミックス複合体の第2希土類アルミン酸塩からなる第2結晶相の断面を、エネルギー分散型X線分析(EDX:Energy Dispersive X-ray spectrometry)により、第2結晶相中の賦活剤となり得る元素、例えばセリウムの含有量を測定することができる。セラミックス複合体中の第2希土類アルミン酸塩からなる第2結晶相に含まれる賦活剤となり得る元素の含有量は、200質量ppm以下であり、150質量ppm以下であってもよく、100質量ppm以下でもよく、EDXによる測定限界以下であってもよく、0質量ppmであってもよく、0.1質量ppm以上であってもよく、1質量ppm以上であってもよい。
【0042】
第2希土類アルミン酸塩は、下記式(II)で表される組成を有することが好ましい。第2希土類アルミン酸塩は、酸化アルミニウム粒子と第2希土類元素を含む酸化物粒子が1550℃以上1800℃以下の温度範囲の焼成により反応して形成されたものであり、酸化物粒子に含まれる第2希土類元素Lnが、Y、Gd、Tb及びLuからなる群から選択される少なくとも1種である場合には、下記式(II)で表される組成を有する第2希土類アルミン酸塩が形成される。
Ln Al12 (II)
(前記式(II)中、Lnは、Y、Gd、Tb及びLuからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。)
【0043】
セラミックス複合体
セラミックス複合体は、賦活元素を含有し、賦活元素とは異なる第1希土類元素を含有する第1希土類アルミン酸塩蛍光体を含む第1結晶相と、賦活剤となり得る元素の含有量が200質量ppm以下であり、第2希土類元素を含有する第2希土類アルミン酸塩からなる第2結晶相と、酸化アルミニウムからなる第3結晶相と、を含み、第1結晶相、第2結晶相、及び第3結晶相の総量を100体積%として、第1結晶相の含有量が5体積%以上45体積%以下の範囲内であり、第2結晶相の含有量が0.5体積%以上50体積%以下の範囲内であり、残部が第3結晶相である。セラミックス複合体は、前述の製造方法によって製造されたものであることが好ましい。セラミックス複合体は、5体積%以上45体積%以下の範囲内で含まれる第2希土類アルミン酸塩が一体化した第1希土類アルミン酸塩蛍光体を含む第1結晶相によって、励起光源からの光を波長変換した輝度の高い光を出射することができる。また、セラミックス複合体は、0.5体積%以上50体積%以下の範囲内の第2希土類アルミン酸塩からなる第2結晶相と、第1結晶相、第2結晶相及び第3結晶相を100体積%としたときに、第1結晶相及び第2結晶相の残部である酸化アルミニウムからなる第3結晶相を含むため、第2結晶相と第3結晶相の界面で光を散乱させ、第2希土類アルミン酸塩と一体化された第1希土類アルミン酸塩蛍光体を含む第1結晶相の光の吸収効率を高め、効率よく波長変換させることができ、輝度を高めた光を発することができる。セラミックス複合体中の第1結晶相の含有量は、10体積%以上40体積%以下の範囲内でもよく、12体積%以上35体積%以下の範囲内でもよい。セラミックス複合体中の第2結晶相の含有量は、1体積%以上45体積%以下の範囲内でもよく、3体積%以上40体積%以下の範囲内でもよく、5体積%以上35体積%以下の範囲内でもよい。
【0044】
セラミックス複合体中の第1結晶相の含有量(体積%)と第2結晶相の含有量(体積%)は、セラミックス複合体の任意の数箇所の断面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)によりSEM画像を撮影し、そのSEM画像から第1結晶相と第2結晶相の体積割合を算出し、数箇所の断面における第1結晶相と第2結晶相の体積割合の平均値から算出することができる。
【0045】
セラミックス複合体中の第1結晶相の含有量(体積%)と第2結晶相の含有量(体積%)は、セラミックス複合体を形成する原料混合物中の第1希土類アルミン酸塩蛍光体塩粒子の質量割合の含有量及び真密度、第2希土類元素を含む酸化物粒子の質量割合の含有量及び真密度、並びに酸化アルミニウム粒子の真密度から算出することができる。
【0046】
第1結晶相の含有量(体積%)
セラミックス複合体中の第1結晶相の含有量は、下記式(1)に基づき、算出することができる。
【0047】
【数1】
【0048】
第2結晶相の含有量(体積%)
セラミックス複合体中の第2結晶相の含有量は、下記式(2)に基づき、算出することができる。
【0049】
【数2】
【0050】
セラミックス複合体中の第2結晶相の質量割合の含有量(質量%)は、下記式(3)及び(4)に基づき、原料混合物中の第2希土類元素を含む酸化物粒子の質量割合の含有量(質量%)及び真密度から算出することができる。
【0051】
【数3】
【0052】
第1結晶相の第1結晶径G1及び第2結晶相の第2結晶径G2
セラミックス複合体に含まれる第1結晶相と第2結晶相は、下記測定条件で測定した、第1結晶相の第1結晶径G1が5μm以上40μm以下の範囲内であり、第2結晶相の第2結晶径G2が0.5μm以上5μm未満の範囲内であることが好ましい。
測定条件
セラミックス複合体の断面における走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影して得られたSEM画像において、第1結晶相又は第2結晶相の断面における最大幅と、最大幅の中心点を通る最小幅と、を測定し、第1結晶相又は第2結晶相それぞれについて、最大幅と最小幅の平均を直径とし、無作為に選択した20個の第1結晶相又は第2結晶相の直径の平均値を、第1結晶相の第1結晶径G1、第2結晶相の第2結晶径G2とする。
【0053】
セラミックス複合体に含まれる第1結晶相の第1結晶径G1が5μm以上40μm以下の範囲内であると、第2希土類アルミン酸塩が一体化された第1希土類アルミン酸塩蛍光体を含む第1結晶相が励起光源から発せられた光を吸収して波長変換し、輝度が高い光をセラミックス複合体から出射することができる。第1結晶相の第1結晶径G1は、8μm以上35μm以下の範囲内でもよく、10μm以上30μm以下の範囲内でもよい。
【0054】
セラミックス複合体に含まれる第2結晶相の第2結晶径G2が0.5μm以上5μm以下の範囲内であると、第2希土類アルミン酸塩からなる第2結晶相と酸化アルミニウムからなる第3結晶相の界面で、励起光源からの光を散乱させ、第1結晶相の光の吸収効率を高めて効率よく波長変換させることができ、輝度の高い光をセラミックス複合体から出射させることができる。第2結晶相の第2結晶径G2は、0.6μm以上4μm以下の範囲内でもよく、0.7μm以上3μm以下の範囲内でもよい。
【0055】
比G2/G1
第1結晶径G1に対する第2晶粒径G2の比G2/G1が0.4以下であることが好ましく、0.3以下でもよく、0.2以下でもよく、0.01以上でもよい。第2希土類アルミン酸塩が一体化した第1希土類アルミン酸塩蛍光体を含む第1結晶相の第1結晶径G1に対する第2希土類アルミン酸塩からなる第2結晶相の第2結晶径G2の比G2/G1が0.4以下であると、第1結晶相の第1結晶径が大きく、励起光源から発せられた光の吸収効率がよくなり、励起光源から発せられた光を、効率よく吸収して波長変換し、輝度のより高い光をセラミックス複合体から出射することができる。また、比G2/G1が0.4以下であると、第2希土類アルミン酸塩からなる第2結晶相が、第1結晶相に対して小さく、第2結晶相と第3結晶相の界面における励起光源からの光の散乱を増大させて、第1結晶相の光の吸収効率を高めることができ、輝度のより高い光をセラミックス複合体から出射させることができる。比G2/G1は0.3以下でもよく、0.2以下でもよく、0.01以上でもよく、0.02以上でもよい。
【0056】
相対密度
セラミックス複合体の相対密度は95%以上であることが好ましい。セラミックス複合体の相対密度が95%以上であれば、セラミックス複合体中の第2結晶相と第3結晶相の界面のおける励起光源からの光の散乱を増大させて、第1結晶相で効率よく励起光源からの光を吸収させて波長変換し、輝度のより高い光をセラミックス複合体から出射することができる。セラミックス複合体の相対密度は、97%以上であってもよく、98%以上であってもよい。
【0057】
セラミックス複合体の相対密度は、セラミックス複合体の見掛け密度及びセラミックス複合体の真密度から下記式(5)により算出することができる。
【0058】
【数4】
【0059】
セラミックス複合体の見掛け密度は、セラミックス複合体の質量をセラミックス複合体の体積で除した値であり、下記式(6)により算出することができる。
【0060】
【数5】
【0061】
セラミックス複合体の真密度は、下記式(7)により算出することができる。セラミックス複合体中の第2結晶相の含有量(質量%)は、前述の式(3)及び(4)に基づき算出することができる。
【0062】
【数6】
【0063】
なお、セラミックス複合体の製造方法によって得られる焼結体、第1焼結体及び第2焼結体も、前記式(5)から(7)におけるセラミックス複合体を焼結体、第1焼結体又は第2焼結体に置き換えることによって、相対密度、見掛け密度、及び真密度を算出することができる。
【0064】
セラミックス複合体の第1結晶相に含まれる第1希土類アルミン酸塩蛍光体は、Y、Lu、Gd及びTbからなる群から選択される少なくとも1種の第1希土類元素Lnと、賦活元素であるCeと、Alと、O(酸素)と、を含み、必要に応じてGaを含んでいてもよく、第1希土類元素LnとCeの合計のモル比が3であり、Ceのモル比が、0を超えて0.22以下の範囲内の変数aと3の積であり、AlとGaの合計のモル比が4.5以上5.5以下の範囲内であり、Alのモル比が0を超えて1.1以下の範囲内の変数cと5の積であり、必要に応じて含んでいてもよいGaのモル比が0以上0.4以下の範囲内の変数bと5の積である、第1希土類アルミン酸塩の組成を有することが好ましい。第1希土類アルミン酸塩蛍光体の組成は、原料混合物中に含まれる第1希土類アルミン酸塩蛍光体と同じ組成であることが好ましい。セラミックス複合体の第1結晶相に第1希土類アルミン酸塩蛍光体を含むことにより、励起光源からの光を波長変換して、セラミックス複合体から出射させることができる。セラミックス複合体の第1結晶相に含まれる第1希土類アルミン酸塩蛍光体は、前記式(I)で表される組成を有することが好ましい。
【0065】
セラミックス複合体の第2結晶相を構成する第2希土類アルミン酸塩は、Y、La、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群から選択される少なくとも1種の第2希土類元素を含んでいてもよい。第2希土類アルミン酸塩は、Y、Gd、Tb及びLuからなる群から選択される少なくとも1種の第2希土類元素Lnを含むことが好ましい。第2希土類アルミン酸塩は、Y、Gd、Tb及びLuからなる群から選択される少なくとも1種の第2希土類元素Lnと、Alと、を含み、第2希土類元素Lnのモル比が3であり、Alのモル比が5である、第2希土類アルミン酸塩の組成を有することが好ましい。この組成を有する第2希土類アルミン酸塩は、第1希土類アルミン酸塩蛍光体と一体化しやすく、第1結晶相の第1結晶径を大きくすることができるからである。セラミックス複合体に含まれる第2結晶相を構成する第2希土類アルミン酸塩は、第1希土類アルミン酸塩蛍光体と一体化しやすいため、前記式(II)で表される組成を有することが好ましい。第2希土類アルミン酸塩からなる第2結晶相は、賦活剤となり得る元素を実質的に含まず、賦活剤となり得る元素の含有量が200質量ppm以下であり、150質量ppm以下であってもよく、100質量ppm以下でもよく、前述したEDXによる測定限界以下であってもよく、0質量ppmであってもよく、0.1質量ppm以上であってもよく、1質量ppm以上であってもよい。第1希土類アルミン酸塩蛍光体の賦活元素がセリウム(Ce)である場合、第2希土類アルミン酸塩からなる第2結晶相中のセリウム(Ce)の含有量は200質量ppm以下である。
【0066】
発光装置
セラミックス複合体は、光源と組み合わせて、発光装置の波長変換部材を構成する部材として用いることができる。セラミックス複合体を用いた発光装置の一例について説明する。
【0067】
発光装置は、セラミックス複合体を含む波長変換部材と、励起光源とを備える。
図3Aは、発光装置の一例を示し、発光装置100の概略平面図であり、図3Bは、図3Aに示す発光装置100のIIIB-IIIB’線の概略断面図である。発光装置100は、LED又はLDからなる発光素子20と、発光素子20からの光により励起されて発光するセラミックス複合体からなる波長変換部材30とを備える。発光素子20は、基板10上に導電部材60であるバンプを介してフリップチップ実装されている。波長変換部材30は、接着層40を介して発光素子20の発光面上に設けられている。発光素子20及び波長変換部材30は、その側面が光を反射する被覆部材50によって覆われている。発光素子20は、基板10上に形成された配線及び導電部材60を介して、発光装置100の外部からの電力の供給を受けて、発光装置100を発光させることができる。発光装置100は、発光素子20を過大な電圧の印加による破壊から防ぐための保護素子等の半導体素子70を含んでいてもよい。被覆部材50は、例えば半導体素子70を覆うように設けられる。被覆部材50は、樹脂51と、着色剤、蛍光体及びフィラーからなる群から選択される少なくとも1種の添加材52を含んでいてもよい。以下、発光装置に用いる各部材について説明する。なお、詳細は、例えば特開2014-112635号公報の開示を参照することもできる。
【0068】
発光素子
発光素子は、例えば、窒化物系半導体を用いた半導体発光素子である、LEDチップ又はLDチップを用いることができる。
【0069】
発光素子は、好ましくは380nm以上500nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有し、より好ましくは390nm以上495nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有し、さらに好ましくは400nm以上490nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有し、特に好ましくは420nm以上490nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する。発光素子は、p電極及びn電極が設けられている。発光素子のp電極及びn電極は、発光素子の同じ側の面に形成されていてもよく、異なる側の面に設けられていてもよい。発光素子は、フリップチップ実装されていてもよい。
【0070】
波長変換部材
波長変換部材は、前述のセラミックス複合体を用いることができる。波長変換部材として用いるセラミックス複合体の厚さは、50μm以上500μm以下の範囲内であってもよく、60μm以上450μm以下の範囲内であってもよく、70μm以上400μm以下の範囲内であってもよい。波長変換部材として用いるセラミックス複合体の大きさは、発光素子の光の取り出し面を全て覆う大きさであればよい。発光素子と波長変換部材の間には、接着層が介在してもよく、接着層で発光素子と波長変換部材とを固着してもよい。接着層を構成する接着剤は、発光素子と波長変換部材を光学的に連結できる材料からなることが好ましい。接着層を構成する材料としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、及びポリイミド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。
【0071】
基板
基板は、絶縁性材料であって、発光素子からの光や外光を透過し難い材料からなることが好ましい。基板の材料としては、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等のセラミックス、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BTレジン)、ポリフタルアミド(PPA)樹脂等の樹脂を上げることができる。セラミックスは耐熱性が高いため、基板の材料として好ましい。
【0072】
接着層
発光素子と波長変換部材の間には、接着層が介在し、発光素子と波長変換部材とを固着する。接着層を構成する接着剤は、発光素子と波長変換部材を光学的に連結できる材料からなることが好ましい。接着層を構成する材料としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、及びポリイミド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。
【0073】
半導体素子
発光装置に必要に応じて設けられる半導体素子は、例えば発光素子を制御するためのトランジスタや、過大な電圧印加による発光素子の破壊や性能劣化を抑制するための保護素子が挙げられる。保護素子としてはツェナーダイオード(Zener Diode)やコンデンサーが挙げられる。
【0074】
被覆部材
被覆部材の材料としては、絶縁材料を用いることが好ましい。より具体的には、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BTレジン)、ポリフタルアミド(PPA)樹脂、シリコーン樹脂が挙げられる。被覆部材には、必要に応じて着色剤、蛍光体及びフィラーからなる群から選択される少なくとも1種の添加材が含まれていてもよい。
【0075】
導電部材
導電部材としては、バンプを用いることができ、バンプの材料としては、Auあるいはその合金、他の導電部材として、共晶ハンダ(Au-Sn)、Pb-Sn、鉛フリーハンダ等を用いることができる。
【0076】
発光装置の製造方法
発光装置の製造方法の一例を説明する。なお、詳細は、例えば特開2014-112635号公報、又は、特開2017-117912号公報の開示を参照することもできる。発光装置の製造方法は、発光素子の配置工程、必要に応じて半導体素子の配置工程、セラミックス複合体を含む波長変換部材の形成工程、発光素子と波長変換部材の接着工程、被覆部材の形成工程を含むことが好ましい。
【0077】
発光素子の配置工程
発光素子の配置工程において、基板上に発光素子を配置し、実装する。発光素子と半導体素子とは、例えば、基板上にフリップチップ実装される。
【0078】
発光素子と波長変換部材の接着工程
発光素子と波長変換部材の接着工程において、波長変換部材を発光素子の発光面に対向させて、発光素子上に波長変換部材を接着層により接合する。
【0079】
被覆部材の形成工程
被覆部材の形成工程において、発光面を除く、発光素子、及び波長変換部材の側面が、被覆部材用組成物で覆われ、発光面を除く発光素子及び波長変換部材の側面に被覆部材が形成される。この被覆部材は、発光素子から出射された光を反射させるためのものであり、波長変換部材の発光面を覆うことなく側面を覆い、かつ半導体素子を埋設するように形成される。
【0080】
以上のようにして、図3A及び図3Bに示す発光装置を製造することができる。
【実施例
【0081】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0082】
参考例
原料混合物の準備工程
賦活元素としてCeを含有し、第1希土類元素としてY及びGdを含有する、(Y0.893Gd0.10Ce0.007Al12の組成を有する第1希土類アルミン酸塩蛍光体を準備した。第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子のFSSS法による第1粒径D1は10μmであった。
第2希土類元素としてYを含む、酸化イットリウム(Y)を準備した。第2希土類元素を含む酸化物粒子である、酸化イットリウム粒子のFSSS法による第2粒径D2は0.1μmであった。
酸化アルミニウム粒子として、酸化アルミニウムの純度が99質量%の酸化アルミニウム(Al)を準備した。酸化アルミニウム粒子のFSSS法による第3粒径D3は0.6μmであった。
第1希土類アルミン酸塩蛍光体を14g、酸化イットリウム粒子を0.5g、酸化アルミニウム粒子を85.5g、それぞれ秤量し、乾式ボールミルで混合し、混合媒体であるボールを除き、原料混合物を準備した。第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子、酸化イットリウム粒子及び酸化アルミニウム粒子の合計からなる原料混合物100質量%に対する各粒子の含有量を表1に記載した。
【0083】
成形体の準備工程
原料混合物を金型に充填し、5MPa(51kgf/cm)の圧力で、直径65mm、厚さ15mmの円筒形状の成形体を形成した。得られた成形体を、包装容器に入れて真空包装し、冷間静水等方圧加圧装置(株式会社神戸製鋼所(KOBELCO)製)を用いて176MPaでCIPを行い、成形体を得た。
【0084】
焼結体を得る工程
一次焼成工程
得られた成形体を、焼成炉(丸祥電気株式会社製)を用いて、大気雰囲気(0.101MPa、酸素濃度20体積%)で、1650℃の温度で一次焼成し、第1焼結体を得た。
二次焼成工程
得られた第1焼結体を、熱間等方圧加圧(HIP)装置(株式会社神戸製鋼所(KOBELCO)製)を用いて、圧力媒体に窒素ガスを用いて窒素ガス雰囲気(99.99体積%以上)のもとで、1650℃の温度、195MPaの圧力で、2時間、HIPによる二次焼成を行い、第2焼結体を得た。この第2焼結体を、ワイヤーソーを用いて、所定の形状及び大きさに切断し、その切断面の表面を平面研削機で研磨し、厚さが180μmの板状の参考例1のセラミックス複合体を得た。参考例1のセラミックス複合体中には、酸化アルミニウム粒子の粒子成長に伴い、酸化アルミニウム粒子と酸化イットリウム粒子が反応して形成されたYAl12で表される第2希土類アルミン酸塩の第2結晶相が形成された。セラミックス複合体の断面の第2結晶相を、波長分散型X線分析EPMA(WDS)装置(JXA-8230、日本電子株式会社製)を用いて、第2結晶相中のCeの含有量を測定したところ、Ceの含有量は、100質量ppm以下であった。
【0085】
実施例2から5
原料混合物中に含まれる酸化イットリウム粒子及び酸化アルミニウム粒子の含有量を、表1に示すように変更したこと以外は、参考例1と同様にして、実施例2から5の各セラミックス複合体を得た。
【0086】
実施例6
賦活元素としてCeを含有し、第1希土類元素としてY及びGdを含有する、(Y0.940Gd0.05Ce0.010Al12の組成を有する第1希土類アルミン酸塩蛍光体を準備した。第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子のFSSS法による第1粒径D1は15μmであった。この第1希土類アルミン酸塩蛍光体と、参考例1と同様の酸化イットリウム粒子及び酸化アルミニウム粒子を用いて、第1希土類アルミン酸塩蛍光体を10.5g、酸化イットリウム粒子を10g、酸化アルミニウム粒子を9.57g、それぞれ秤量し、参考例1と同様にして、原料混合物を準備した。第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子、酸化イットリウム粒子及び酸化アルミニウム粒子の合計からなる原料混合物100質量%に対する各粒子の含有量を表1に記載した。前記原料混合物を用いたこと以外は、参考例1と同様にして、実施例6のセラミックス複合体を得た。実施例6のセラミックス複合体中には、酸化アルミニウム粒子の粒子成長に伴い、酸化アルミニウム粒子と酸化イットリウム粒子が反応して形成されたYAl12で表される第2希土類アルミン酸塩の第2結晶相が形成された。セラミックス複合体の断面の第2結晶相を、前述の波長分散型X線分析EPMA(WDS)装置を用いて、第2結晶相中のCeの含有量を測定したところ、Ceの含有量は、100質量ppm以下であった。
【0087】
比較例1
酸化イットリウム粒子を用いることなく、酸化アルミニウム粒子を86gとした原料混合物を用いたこと以外は、参考例1と同様にして、比較例1のセラミックス複合体を得た。
【0088】
比較例2
酸化イットリウム粒子を用いることなく、酸化アルミニウム粒子を89.5gとした原料混合物を用いたこと以外は、実施例6と同様にして、比較例2のセラミックス複合体を得た。
【0089】
粒径測定
第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子、酸化物粒子及び酸化アルミニウム粒子について、以下のようにそれぞれの粒径を測定した。
各粒子についてFisher Sub-Sieve Sizer Model 95(Fisher Scientific社製)を用いて、気温25℃、相対湿度70%の環境下において、1cm分の各粒子の試料物原料)をそれぞれ計り取り、専用の管状容器にパッキングした後、一定圧力の乾燥空気を流し、差圧から比表面積を読み取り、FSSS法による粒径を算出した。結果は上述のとおりである。
【0090】
得られた実施例及び比較例の各セラミックス複合体について、図3A及び図3Bに示す発光装置100を以下のようにして発光装置を作製した。発光素子20及び半導体素子70を実装基板10に載置した。具体的には、サファイア基板上に窒化物半導体が積層されて形成された、厚みが約0.11mmで、平面形状が約1.0mm四方の略正方形であり、主波長が450nmである発光素子20を、半導体成長基板であるサファイア基板側が光出射面となるように、発光素子20及び半導体素子70を一列に配置して、Auからなる導電部材60を用いて、実装基板10に形成させた導電パターンにフリップチップ実装した。
次に、発光素子20の上面に、接着剤40としてシリコーン樹脂を配置して、実施例及び比較例の各セラミックス複合体を板状に形成した波長変換部材30と発光素子20のサファイア基板の上面とを接着させた。
次に、発光素子20、波長変換部材30及び半導体素子70の周囲に被覆部材50を配置した。発光素子20、波長変換部材30の側面に沿って被覆部材50を配置するとともに、半導体素子70を被覆部材50の中に完全に埋没させた。被覆部材50に含まれる樹脂51は、ジメチルシリコーン樹脂を使用し、光反射性材料52として平均粒径が0.28μmの酸化チタン粒子を、樹脂51に対して60質量%含有させた。このような工程により、図3A及び図3Bに示される発光装置100を作製した。
実施例及び比較例の各セラミックス複合体を用いた各発光装置について、以下のように評価を行った。その結果を表1に示す。
【0091】
相対輝度、色度座標(x、y)
実施例及び比較例の各セラミックス複合体について、イメージング色彩輝度計(ProMetric I8、Radiant Vision Systems社製)を用いて、輝度と、CIE(国際照明委員会:Commission International de l’eclarirage)1931色度図の色度座標系における色度座標(x、y)を求めた。相対輝度は、比較例1のセラミックス複合体の輝度を100%として、実施例及び比較例の各セラミックス複合体の輝度の相対値を求めた。図4は、各セラミックス複合体に用いた原料混合物中の酸化イットリウム粒子の含有量と、原料混合物から得られた各セラミックス複合体の相対輝度の関係を示すグラフである。
【0092】
第1結晶相及び第2結晶相の含有量
第1結晶相の含有量(体積%)、第2結晶相の含有量(体積%、質量%)を、前記式(1)から(4)に基づき求めた。
【0093】
相対密度の測定
実施例及び比較例の各セラミックス複合体の相対密度を、前記式(5)から(7)に基づき求めた。前記式(7)において、第1希土類アルミン酸塩蛍光体((Y0.940Gd0.05Ce0.010Al12)の真密度は4.73g/cm、酸化アルミニウム(Al)粒子の真密度は3.98g/cm、セラミックス複合体中の第2希土類アルミン酸塩(YAl12)の真密度は4.60g/cmとして算出した。
【0094】
SEM画像-2次電子像
走査型電子顕微鏡(SEM)(SU3500、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、実施例及び比較例の各セラミックス複合体の断面(研磨面)の2次電子像のSEM画像を得た。図5は、実施例3のセラミックス複合体の断面(研磨面)の2次電子像のSEM写真である。
【0095】
結晶径の測定
実施例及び比較例のセラミックス複合体の断面を研磨した面のSEM画像から、下記の測定条件により、第1希土類アルミン酸塩蛍光体を含む第1結晶相の第1結晶径G1と、第2希土類アルミン酸塩からなる第2結晶相の第2結晶径G2と、それらの比G2/G1と、を測定した。
測定条件
セラミックス複合体の断面のSEM画像において、第1結晶相又は第2結晶相の断面における最大幅と、最大幅の中心点を通る最小幅と、を測定し、第1結晶相又は第2結晶相それぞれについて、最大幅と最小幅の平均を直径とし、無作為に選択した20個の第1結晶相又は第2結晶相の直径の平均値を、第1結晶相の第1結晶径G1、第2結晶相の第2結晶径G2とした。
【0096】
SEM画像-反射電子像
電界放出型走査電子顕微鏡(FE-EM:Field Emission Scanning Electron Microscope、JSM-7800F、日本電子株式会社製)を用いて、実施例及び比較例の各セラミックス複合体の断面(研磨面)の反射電子像のSEM画像を得た。図6は、実施例3のセラミックス複合体の断面(研磨面)の反射電子像のSEM写真である。
【0097】
【表1】
【0098】
参考例1、実施例2から6に係るセラミックス複合体は、比較例1又は2に係るセラミックス複合体よりも相対輝度が高くなった。参考例1、実施例2から6に係るセラミックス複合体中の第1希土類アルミン酸塩蛍光体を含む第1結晶相の第1結晶径G1は、比較例1又は2に係るセラミックス複合体中の第1希土類アルミン酸塩蛍光体からなる第1結晶相の第1結晶径G1よりも大きいことから、酸化物粒子と酸化アルミニウムが反応して形成された第2希土類アルミン酸塩の一部が第1希土類アルミン酸塩蛍光体と一体となって、第1希土類アルミン酸塩蛍光体を含む第1結晶相が形成されたと推測された。参考例1、実施例2から6に係るセラミックス複合体は、第1結晶相の第1結晶径G1が大きくなるため、励起光源からの光を波長変換しやすく、相対輝度が高くなったと推測された。また、参考例1、実施例2から6に係るセラミックス複合体は、酸化物粒子と酸化アルミニウム粒子が反応して、第2希土類アルミン酸塩からなる第2結晶相を含み、この第2結晶相と酸化アルミニウム粒子からなる第3結晶相の界面で光を散乱させてセラミックス複合体の外部に取り出すことができ、第1希土類アルミン酸塩蛍光体を含む第1結晶相の光の吸収を高めて、光の波長変換効率を高くすることができ、相対輝度が、比較例1及び2に係るセラミックス複合体よりも高くなった。
【0099】
図4に示すように、原料混合物中の第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子、酸化物粒子及び酸化アルミニウム粒子の総量を100質量%として、第1希土類アルミン酸塩蛍光体粒子の含有量が5質量%以上40質量%以下の範囲内であり、酸化物粒子の含有量が0.1質量%以上32質量%以下の範囲内であり、残部が酸化アルミニウム粒子であると、そのような原料混合物から得られるセラミックス複合体の相対輝度は酸化物粒子の含有量が上記範囲外であるよりも高くなった。特に、酸化物粒子の含有量が3.0質量%以上25質量%以下の範囲内である原料混合物から得られた実施例1から4に係るセラミックス複合体は、比較例1及び2に係るセラミックス複合体よりも1%以上も相対輝度が高くなった。
【0100】
図5に示す実施例3に係るセラミックス複合体の2次電子像及び図6に示す実施例3に係るセラミックス複合体の反射電子像に示すように、セラミックス複合体中には、第1希土類アルミン酸塩蛍光体を含む第1結晶相1と、第2希土類アルミン酸塩からなる第2結晶相2と、酸化アルミニウム粒子からなる第3結晶相3が確認できた。第2結晶相2と、第3結晶相3の間には明らかな界面が確認できた。実施例1から6に係るセラミックス複合体の第1結晶相1の第1結晶径G1は、比較例1又は2に係るセラミックス複合体の第1結晶相1の第1結晶径G1よりも大きいため、第1希土類アルミン酸塩蛍光体と酸化物粒子と酸化アルミニウムが反応して形成された第2希土類アルミン酸塩が一体となっていると推測された。第1結晶相1には、第1希土類アルミン酸塩蛍光体と第2希土類アルミン酸塩の間に界面は確認されず、一体となっていることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明の一態様のセラミックス複合体の製造方法によって得られたセラミックス複合体は、LEDやLDの励起光源と組み合わせて、車載用光源や一般照明用の照明装置、液晶表示装置のバックライト、プロジェクター用光源の波長変換部材として利用することができる。
【符号の説明】
【0102】
1:第1結晶相、2:第2結晶相、3:第3結晶相、10:基板、20:発光素子、30:波長変換部材、40:接着層、50:被覆部材、60:導電部材、70:半導体素子、100:発光装置。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6