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特許7519026駆動伝達部材、駆動装置及び画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】駆動伝達部材、駆動装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 55/12 20060101AFI20240711BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240711BHJP
   F16H 55/06 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
F16H55/12 Z
G03G21/16 147
F16H55/06
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020154221
(22)【出願日】2020-09-15
(65)【公開番号】P2022048412
(43)【公開日】2022-03-28
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】中本 尚吾
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-148381(JP,A)
【文献】特開2002-181136(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 55/12
G03G 21/16
F16H 55/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を貫通する貫通孔を有し、駆動力が伝達される駆動伝達部を有する第一部材と、
前記第一部材よりも剛性が高く、前記第一部材の軸方向に直交する壁部に締結される第二部材とを有する駆動伝達部材であって、
前記壁部の前記第二部材に締結方向から対向する対向面および前記第二部材の前記壁部に前記締結方向から対向する対向面の少なくとも一方を、前記締結方向に対して傾斜した傾斜面とし、
前記第一部材と前記第二部材とを前記締結方向に重ね合わせた締結前の状態において、前記壁部と前記第二部材との間に空間を形成し、かつ、締結時に、前記空間を形成していた前記壁部の少なくとも一部が前記第二部材側へ変位し前記貫通孔の少なくとも一部が縮径する変形前記第一部材に生じさせることを特徴とする駆動伝達部材。
【請求項2】
回転軸を貫通する貫通孔を有し、駆動力が伝達される駆動伝達部を有する第一部材と、
前記第一部材よりも剛性が高く、前記第一部材の軸方向に直交する壁部に締結される第二部材とを有する駆動伝達部材であって、
前記第一部材と前記第二部材とを締結方向に重ね合わせた締結前の状態において、前記壁部と前記第二部材との間に空間を形成し、かつ、締結時に、前記空間を形成していた前記壁部の少なくとも一部が前記第二部材側へ変位し前記貫通孔の少なくとも一部が縮径する変形が前記第一部材に生じるように、前記第一部材および前記第二部材を構成し、
前記第一部材は、前記貫通孔を形成する筒状部にスリット部または切り欠き部を有することを特徴とする駆動伝達部材。
【請求項3】
請求項2に記載の駆動伝達部材において、
前記壁部の前記第二部材に前記締結方向から対向する対向面および前記第二部材の前記壁部に前記締結方向から対向する対向面の少なくとも一方が、締結方向に対して傾斜した傾斜面であることを特徴とする駆動伝達部材。
【請求項4】
請求項1または3に記載の駆動伝達部材において、
前記傾斜面は、前記回転軸に向かうにつれて、対向する部材から離れるように傾斜していることを特徴とする駆動伝達部材。
【請求項5】
請求項1、3または4に記載の駆動伝達部材において、
前記壁部が締結方向に対して傾斜していることを特徴とする駆動伝達部材。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれか一項に記載の駆動伝達部材において、
前記空間は、前記第一部材と前記第二部材との締結箇所に形成されていることを特徴とする駆動伝達部材。
【請求項7】
請求項1乃至6いずれか一項に記載の駆動伝達部材において、
前記締結前の状態のときに、前記第一部材と前記第二部材との締結箇所よりもラジアル方向外側に前記壁部と前記第二部材とが締結方向から接触する接触部を有することを特徴とする駆動伝達部材
【請求項8】
求項1乃至7いずれか一項に記載の駆動伝達部材において、
前記第二部材は、前記回転軸が貫通する貫通孔を有することを特徴とする駆動伝達部材。
【請求項9】
駆動源と、
前記駆動源の駆動力を伝達する駆動伝達部材とを備えた駆動装置において、
駆動伝達部材として、請求項1乃至8いずれか一項に記載の駆動伝達部材を用いたことを特徴とする駆動装置。
【請求項10】
駆動装置によって駆動される被駆動体を備えた画像形成装置において、
前記駆動装置として、請求項9に記載の駆動装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動伝達部材、駆動装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、回転軸が貫通する貫通孔を有し、駆動力が伝達される駆動伝達部を有する第一部材と、第一部材よりも剛性が高く、第一部材に締結される第二部材とを有する駆動伝達部材が知られている。
【0003】
特許文献1には、上記駆動伝達部材として、第一部材としての樹脂ギヤに第二部材としての金属部材を締結するものが記載されている。金属部材にも回転軸が貫通する貫通孔を設け、この貫通孔の内径を回転軸の外径よりもわずかに小径とし、駆動伝達部材を回転軸に軽圧入して、回転軸に圧接させている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、駆動伝達部材を回転軸に狙いの圧力で圧接するために貫通孔の内径寸法を作り込む必要があり、製造コストがアップするおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、回転軸を貫通する貫通孔を有し、駆動力が伝達される駆動伝達部を有する第一部材と、前記第一部材よりも剛性が高く、前記第一部材の軸方向に直交する壁部に締結される第二部材とを有する駆動伝達部材であって、前記壁部の前記第二部材に前記締結方向から対向する対向面および前記第二部材の前記壁部に前記締結方向から対向する対向面の少なくとも一方を、締結方向に対して傾斜した傾斜面とし、前記第一部材と前記第二部材とを締結方向に重ね合わせた締結前の状態において、前記壁部と前記第二部材との間に空間を形成し、かつ、締結時に、前記空間を形成していた前記壁部の少なくとも一部が前記第二部材側へ変位し前記貫通孔の少なくとも一部が縮径する変形前記第一部材に生じさせることを特徴とする駆動伝達部材。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、製造コストアップを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係るプリンタの一例を示す概略構成図。
図2】中間転写ベルトを駆動する駆動部の概略構成図。
図3】駆動伝達部材の概略斜視図。
図4】本実施形態の樹脂ギヤを示す概略構成図。
図5】(a)は、樹脂ギヤと補強部材との締結前の状態を示す図であり、(b)は、締結後を示す図。
図6】変形例1の駆動伝達部材の樹脂ギヤを示す概略構成図。
図7】変形例1の駆動伝達部材において、締結前の状態を示す図であり、(b)は、締結後の状態を示す図である。
図8】変形例2の駆動伝達部材を示す概略構成図。
図9】変形例3の駆動伝達部材を示す概略構成図。
図10】変形例4の駆動伝達部材を示す概略構成図。
図11】変形例5の駆動伝達部材を示す概略構成図。
図12】スリット部の構成例について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を適用した駆動装置を備えた画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、プリンタ200という)の一実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係るプリンタ200の基本的な構成について説明する。
図1は、本実施形態に係るプリンタ200の一例を示す概略構成図である。
【0009】
図1に示すプリンタ200は、2つの光書込ユニット1YM,CKと、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー像を形成するための4つのプロセスユニット2Y,M,C,Kを備えている。また、給紙路30、転写前搬送路31、手差し給紙路32、手差しトレイ33、レジストローラ対34、搬送ベルトユニット35、定着装置40、搬送切替装置50、排紙路51、排紙ローラ対52、及び排紙トレイ53も備えている。そして、第一給紙カセット101、第二給紙カセット102、再送装置等も備えている。
【0010】
第一給紙カセット101及び第二給紙カセット102は、それぞれ内部に記録材としての記録紙Pの束を収容している。そして、第一給紙カセット101では第一給紙ローラ101a、第二給紙カセット102では第二給紙ローラ102aの回転駆動により、紙束における一番上の記録紙Pを給紙路30に向けて送り出す。この給紙路30には、後述する二次転写ニップの直前で記録紙Pを搬送するための転写前搬送路31が続いている。第一給紙カセット101や第二給紙カセット102から送り出された記録紙Pは、給紙路30を経て転写前搬送路31に進入する。
【0011】
また、プリンタ200の筐体における側面には、手差しトレイ33が筐体に対して開閉可能に配設されており、筐体に対して開いた状態で手差しトレイ33上面に紙束が手差しされる。手差しされた紙束における一番上の記録紙Pは、手差しトレイ33の送出ローラによって転写前搬送路31に向けて送り出される。
【0012】
2つの光書込ユニット1YM,CKは、それぞれ、レーザーダイオード、ポリゴンミラー、各種レンズなどを有しており、パーソナルコンピュータ等から送られてくる画像情報に基づいて、レーザーダイオードを駆動する。そして、プロセスユニット2Y,M,C,Kの感光体3Y,M,C,Kを光走査する。具体的には、プロセスユニット2Y,M,C,Kの感光体3Y,M,C,Kは、駆動手段によってそれぞれ図中、反時計回り方向に回転駆動される。
【0013】
光書込ユニット1YMは、駆動中の感光体3Y,Mに対して、レーザー光をそれぞれ回転軸線方向に偏向させながら照射することで、光走査処理を行う。これにより、感光体3Y,Mには、それぞれ、Y画像情報及びM画像情報に基づいた静電潜像が形成される。
また、光書込ユニット1CKは、駆動中の感光体3C,Kに対して、レーザー光をそれぞれ回転軸線方向に偏向させながら照射することで、光走査処理を行う。これにより、感光体3C,Kには、それぞれ、C画像情報及びK画像情報に基づいた静電潜像が形成される。
【0014】
プロセスユニット2Y,M,C,Kは、それぞれ、像担持体(潜像担持体)としてのドラム状の感光体3Y,M,C,Kを有している。また、プロセスユニット2Y,M,C,Kは、それぞれ、感光体3Y,M,C,Kの周囲に配設される各種機器を1つのユニットとして共通の支持体に支持しており、それらがプリンタ部本体に対して着脱可能になっている。各プロセスユニット2Y,M,C,Kは、互いに使用するトナーの色が異なる点を除いて同様の構成になっている。
Y用のプロセスユニット2Yを例にすると、これは、感光体3Yのほか、これの表面に形成された静電潜像をYトナー像に現像するための現像装置4Yを有している。また、回転駆動される感光体3Yの表面に対して一様帯電処理を施す帯電装置5Yや、後述するY用の一次転写ニップを通過した後の感光体3Yの表面に付着している転写残トナーをクリーニングするドラムクリーニング装置6Yなども有している。
【0015】
図1に示すプリンタ200は、4つのプロセスユニット2Y,M,C,Kを、後述する中間転写ベルト61に対してその無端移動方向に沿って並べたいわゆるタンデム型の構成になっている。
【0016】
感光体3Yとしては、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材の塗布による感光層を形成したドラム状のものを用いている。但し、無端ベルト状のものを用いても良い。
【0017】
現像装置4Yは、磁性キャリアと非磁性のYトナーとを含有する二成分現像剤(以下、単に「現像剤」という。)を用いて潜像を現像するものである。現像装置4Yとして、二成分現像剤の代わりに、磁性キャリアを含まない一成分現像剤によって現像を行うタイプのものを使用しても良い。現像装置4Yに対しては、Yトナー補給装置により、Yトナーボトル103Y内のYトナーが適宜補給される。
【0018】
ドラムクリーニング装置6Yとしては、クリーニング部材であるポリウレタンゴム製のクリーニングブレードを感光体3Yに押し当てる方式のものを用いているが、他の方式のものを用いても良い。クリーニング性を高める目的で、このプリンタ200では、回転自在なファーブラシを感光体3Yに当接させる方式のものを採用している。ファーブラシは、固形潤滑剤から潤滑剤を掻き取って微粉末にしながら感光体3Y表面に塗布する役割も兼ねている。
【0019】
感光体3Yの上方には、除電ランプが配設されており、この除電ランプもプロセスユニット2Yの一部になっている。この除電ランプは、ドラムクリーニング装置6Yを通過した後の感光体3Y表面を光照射によって除電する。
除電された感光体3Yの表面は、帯電装置5Yによって一様に帯電された後、上述した光書込ユニット1YMによる光走査が施される。また、帯電装置5Yは、電源から帯電バイアスの供給を受けながら回転駆動するものである。ここで、上述した方式に代えて、感光体3Yに対して非接触で帯電処理を行うスコロトロンチャージャ方式を採用しても良い。
【0020】
以上、Y用のプロセスユニット2Yについて説明したが、M、C、K用のプロセスユニット2M,C,Kも、Y用のものと同様の構成になっている。
【0021】
4つのプロセスユニット2Y,M,C,Kの下方には、転写ユニット60が配設されている。この転写ユニット60は、複数の支持ローラによって張架している無端ベルトである中間転写ベルト61を、感光体3Y,M,C,Kに当接させながら、いずれか1つの支持ローラの回転駆動によって図中、時計回り方向に走行(無端移動)させる。これにより、感光体3Y,M,C,Kと中間転写ベルト61とが当接するY、M、C、K用の一次転写ニップが形成されている。
【0022】
Y、M、C、K用の一次転写ニップの近傍では、中間転写ベルト61の内周面に囲まれたベルトループ内に配設された一次転写部材としての一次転写ローラ62Y,M,C,Kによって中間転写ベルト61を感光体3Y,M,C,Kに向けて押圧している。これら一次転写ローラ62Y,M,C,Kには、それぞれ電源から一次転写バイアスが印加されている。これにより、Y、M、C、K用の一次転写ニップには、感光体3Y,M,C,K上のトナー像を中間転写ベルト61に向けて静電移動させる一次転写電界が形成される。
【0023】
図中、時計回り方向の無端移動に伴ってY、M、C、K用の一次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト61の外周面には、各一次転写ニップでトナー像が順次重ね合わせて1次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト61の外周面には4色重ね合わせトナー像(以下「4色トナー像」という。)が形成される。
【0024】
中間転写ベルト61の図中下方には、二次転写部材としての二次転写ローラ72が配設されている。この二次転写ローラ72は、中間転写ベルト61における二次転写バックアップローラ68に対する掛け回し箇所にベルト外周面から当接して二次転写ニップを形成している。これにより、中間転写ベルト61の外周面と二次転写ローラ72とが当接する二次転写ニップが形成されている。
【0025】
二次転写ローラ72には、電源から二次転写バイアスが印加されている。一方、ベルトループ内の二次転写バックアップローラ68は接地されている。これにより、二次転写ニップ内に二次転写電界が形成されている。
【0026】
二次転写ニップの図中、右側方には、上述したレジストローラ対34が配設されており、ローラ間に挟み込んだ記録紙Pを中間転写ベルト61上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで二次転写ニップに送り出す。二次転写ニップでは、中間転写ベルト61上の4色トナー像が二次転写電界やニップ圧の影響によって記録紙Pに一括二次転写され、記録紙Pの白色と相まってフルカラー画像となる。
【0027】
二次転写ニップを通過した中間転写ベルト61の外周面には、二次転写ニップで記録紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、中間転写ベルト61に当接するベルトクリーニング装置75によってクリーニングされる。
【0028】
二次転写ニップを通過した記録紙Pは、中間転写ベルト61から離間して、搬送ベルトユニット35に受け渡される。この搬送ベルトユニット35は、無端ベルト状の搬送ベルト36を駆動ローラ37と従動ローラ38とによって張架しながら、駆動ローラ37の回転駆動によって図中、反時計回り方向に無端移動させる。そして、二次転写ニップから受け渡された記録紙Pを搬送ベルト36の外周面(張架面)に保持しながら、搬送ベルト36の無端移動にともなって搬送して定着手段としての定着装置40に受け渡す。
【0029】
プリンタ200においては、搬送切替装置50、再送路54、スイッチバック路55、スイッチバック後搬送路56等により、再送手段が構成されている。具体的には、搬送切替装置50は、定着装置40から受け取った記録紙Pのその後の搬送先を、排紙路51と再送路54のいずれかに切り替える。
記録紙Pの第一面だけに画像を形成する片面モードのプリントジョブの実行時には、記録紙Pの搬送先を排紙路51に設定する。これにより、第一面だけに画像が形成された記録紙Pを、排紙路51経由で排紙ローラ対52に送って、機外の排紙トレイ53上に排紙する。
【0030】
また、記録紙Pの両面に対してそれぞれ画像を形成する両面モードのプリントジョブの実行時において、両面にそれぞれ画像が定着された記録紙Pを定着装置40から受け取ったときにも、記録紙Pの搬送先を排紙路51に設定する。これにより、両面に画像が形成された記録紙Pを、機外の排紙トレイ53上に排紙する。
一方、両面モードのプリントジョブの実行時において、第一面だけに画像が定着された記録紙Pを定着装置40から受け取ったときには、記録紙Pの搬送先を再送路54に設定する。
【0031】
再送路54には、スイッチバック路55が繋がっており、再送路54に送られた記録紙Pはこのスイッチバック路55に進入する。そして、記録紙Pの搬送方向の全領域がスイッチバック路55に進入すると、記録紙Pの搬送方向が逆転されて、記録紙Pがスイッチバックする。スイッチバック路55には、再送路54の他に、スイッチバック後搬送路56が繋がっており、スイッチバックした記録紙Pは、このスイッチバック後搬送路56に進入し、記録紙Pの上下が反転する。そして、上下反転した記録紙Pは、スイッチバック後搬送路56と給紙路30とを経由して二次転写ニップに再送される。二次転写ニップで第二面にもトナー像が転写された記録紙Pは、定着装置40を経由して第二面にトナー像が定着された後、搬送切替装置50と排紙路51と排紙ローラ対52とを経由して、排紙トレイ53上に排紙される。
【0032】
図2は、中間転写ベルト61を駆動する駆動部20の概略構成図である。
駆動装置たる駆動部20は、駆動源たる駆動モータ10と、駆動伝達部材14とを有している。駆動伝達部材14は、駆動ローラ67の回転軸8に設けられている。駆動伝達部材14は、駆動モータ10のモータギヤ10aに噛み合う第一部材たる樹脂ギヤ12と、板金からなり樹脂ギヤ12よりも高剛性(高ヤング率)の第二部材としての補強部材11とを有している。補強部材11は板金からなり、樹脂ギヤに締結部材たるネジ13(図3参照)により締結されている。
【0033】
回転軸8の一端には平行ピン8aが設けられている。樹脂ギヤ12にはこの平行ピン8aが挿入されるスリット部12cを有している。補強部材11には、平行ピン8aが嵌合するスリット状のピン係合部11bを有している。駆動伝達部材14は、樹脂ギヤ12のスリット部12cに平行ピン8aを通過させ、補強部材11のピン係合部に嵌合させることで、回転軸8と一体で回転するように回転軸8に組み付けられる。
【0034】
駆動モータ10の駆動力は、モータギヤ10aを介して駆動伝達部材14の樹脂ギヤ12に伝達されて駆動ローラ67が回転駆動することで、中間転写ベルト61が回転駆動する。なお、モータギヤ10aは、金属のモータ軸に切削加工などを施して形成したものである。
【0035】
図3は、駆動伝達部材14の概略斜視図であり、(a)は、中間転写ベルト側から見た斜視図であり、(b)は、モータ側から見た斜視図である。
駆動伝達部材14の樹脂ギヤ12は、外周に駆動伝達部としてのギヤ部12bを有している。また、樹脂ギヤ12は、回転軸8が貫通する貫通孔112aを有する筒状部12aを有している。また、筒状部12aには、回転方向に90°の間隔を開けてラジアル方向に延び出すスリット部12cが設けられている。各スリット部の幅(回転方向の長さ)は、平行ピン8aの外径よりも広くなっている。なお、スリット部に変えて、切り欠きとしてもよい。
【0036】
補強部材11は、4箇所、締結部材たるネジ13により樹脂ギヤ12に締結されている。補強部材11にも、回転軸8が貫通する貫通孔11aを有している。貫通孔11aには、回転軸8に設けられた平行ピン8aが係合するスリット状のピン係合部11bが、回転方向に180°の間隔を開けて設けられている。
【0037】
中間転写ベルト61は、二次転写ニップに厚紙が進入するときなどに大きな負荷トルクが加わる。このように、大きな負荷トルクが加わるため、駆動部20を構成するギヤとしては、剛性(ヤング率)の高い金属で構成するのが好ましい。しかしながら、すべてのギヤを金属で構成すると、硬いもの同士の噛み合いとなるため、振動が大きくなったり、騒音が大きくなったりするため、すべての歯車を金属にはできない。
【0038】
本実施形態では、モータギヤ10aを金属とし、このモータギヤ10aに噛み合うギヤを樹脂ギヤ12とした。これにより、金属のモータギヤ10aと、樹脂ギヤ12との間の噛み合い振動を、樹脂ギヤ12により吸収することができ、振動や騒音の発生を抑制することができる。
【0039】
また、本実施形態では、剛性の低い樹脂ギヤ12に剛性の高い補強部材11を締結して樹脂ギヤ12を補強している。そのため、大きな負荷トルクが加わったときに、樹脂ギヤ12が回転方向に歪む(よじれる)のを抑制することができ、回転精度の低下を抑制することができる。また、平行ピン8aを剛性の高い補強部材11に係合させることで、樹脂ギヤ12には、ギヤ部12bに近い補強部材11との締結箇所に負荷トルクが加わる。これにより、樹脂ギヤ12の負荷トルクが加わる箇所と、駆動モータの駆動力を受ける箇所とのラジアル方向の距離を、樹脂ギヤ12が平行ピン8aに係合する場合に比べて短くできる。その結果、樹脂ギヤ12の回転方向の捩じれを抑制することができ、回転精度の低下をより一層抑制することができる。
【0040】
従来においては、駆動伝達部材14の回転振れによる回転精度の低下を抑制するために、次の構成としていた。すなわち、駆動伝達部材14の樹脂ギヤ12の貫通孔112aの内径および補強部材11の貫通孔11aの内径の少なくとも一方を、回転軸8の外径よりもわずかに小さくして、駆動伝達部材14を回転軸8に軽圧入する構成である。貫通孔112aの内径寸法が、回転軸8の外径寸法よりも小さすぎると、駆動伝達部材14を圧入で回転軸8に組み付けることができない。一方、貫通孔の内径寸法が、回転軸8の外径寸法よりも大きいと、回転軸8に軽圧入できず、回転振れが生じる。このように、軽圧入可能にするには、貫通孔の内径を精度よく作り込む必要がある。その結果、製造コストが高くなってしまう。
【0041】
そこで、本実施形態においては、補強部材11と樹脂ギヤ12との締結により樹脂ギヤ12の貫通孔112aの内径を縮径させて、駆動伝達部材14を回転軸8に軽圧入した状態と同様な状態で駆動伝達部材14を回転軸8に組み付け可能とした。以下、本実施形態の特徴部について、図面を用いて説明する。
【0042】
図4は、本実施形態の樹脂ギヤ12を示す概略構成図である。
本実施形態の樹脂ギヤ12は、貫通孔112aとギヤ部12bとを連結し、補強部材11に対向する対向壁部12dが、樹脂ギヤ12と補強部材11とを締結する締結方向(軸方向でもある)に対して傾斜している。対向壁部12dは、回転軸8(ラジアル方向内側)にいくに従って、補強部材11から離れる方向に傾斜している。
【0043】
図5(a)は、樹脂ギヤ12と補強部材11とを締結する前の状態を示す図であり、図5(b)は、締結後の状態を示す図である。
図5(a)に示すように、樹脂ギヤ12の対向壁部12dが傾斜しているため、樹脂ギヤ12と補強部材11とを締結方向に重ね合わせたとき、樹脂ギヤ12の対向壁部12dと、補強部材11との間に締結方向に隙間Sが生じる。
【0044】
上述したように、本実施形態では、回転軸8(ラジアル方向内側)にいくに従って、補強部材11から離れる方向に傾斜している。そのため、補強部材11のギヤ部側(ラジアル方向外側)端部は、対向壁部12dに当接しており、回転軸8に向かうにつれて、対向壁部12dとの隙間が広がるようになっている。
また、図5(a)に示すように、締結前の状態においては、回転軸8と樹脂ギヤ12の貫通孔112aおよび補強部材11の貫通孔11aとの間には、所定の隙間を有している。
【0045】
図5(b)に示すように、締結部材たるネジ13により樹脂ギヤ12と補強部材11とを締結していくと、補強部材11よりも剛性の低い樹脂ギヤ12の対向壁部12dが、図中矢印Aに示すようにネジ13の頭部により補強部材11に向けて押し込まれる。その結果、樹脂ギヤ12の対向壁部12dが補強部材11側へ移動するように、樹脂ギヤ12が変形し、隙間Sが減少していく。そして、対向壁部12dが、補強部材11に倣う。
【0046】
図3に示したように、筒状部12aには、複数のスリット部12cが形成されている。そのため、対向壁部12dが補強部材11に倣うように変形すると、スリット部12cの補強部材11側とは反対側の端部が潰れるように変形する。その結果、筒状部12aの補強部材11側とは反対側の端部が縮径し、回転軸8に圧接する。また、貫通孔112aの補強部材11側とは反対側の端部側が、回転軸8に倣うように変形するため、筒状部12aの補強部材11側とは反対側の端部からある程度の軸方向の幅を持って、筒状部12aの内周面が回転軸8に圧接する。これにより、駆動伝達部材14の振れを抑制することができ、回転精度の低下を抑制することができる。
【0047】
本実施形態では、ネジ13の締結力により樹脂ギヤ12の変形を調整し、筒状部12aの縮径量を調整することができる。例えば、樹脂ギヤ12を補強部材11に締結したときの貫通孔の内径の最も小径な箇所が、軽圧入可能な寸法よりも小さいときは、ネジ13の締結を緩めることで、貫通孔の縮径が緩和され、軽圧入可能な寸法にできる。このように、ネジ13の締結力の調整により、貫通孔の内径を調整できるので、貫通孔の内径を精度よく作り込まずとも、軽圧入可能にでき、製造コストの低減を図ることができる。
【0048】
さらには、樹脂ギヤが変形しない程度に樹脂ギヤ12を補強部材11に締結した状態で回転軸8に入れ込んだ後に、ネジ13を締め貫通孔の内径を縮径させて、回転軸に圧接させることができる。このように、本実施形態では、軽圧入で駆動伝達部材を回転軸8に組み付ける必要がなくなり、軽圧入する場合に比べて、容易に駆動伝達部材14を回転軸8に組み付けることも可能となる。また、圧入で駆動伝達部材を回転軸8に組み付ける場合は、組み付け性の観点から、回転軸8に軽圧で接触させる必要がある。一方、本実施形態では、樹脂ギヤ12と補強部材11とを回転軸8に入れ込んだ後に、ネジ13により樹脂ギヤ12と補強部材11とを締結して回転軸8に圧接させるため、軽圧以上の圧力で回転軸8に接触させることも可能となる。
【0049】
また、補強部材11よりも剛性が低く弾性変形しやすい樹脂ギヤ12を回転軸8に圧接させるため、補強部材11を回転軸8に圧接させる場合に比べて、内径寸法がラフでも、狙いの圧力で回転軸8に圧接させることができる。
【0050】
なお、樹脂ギヤ12のギヤ部12bは、スリットを有しておらず、回転方向に隙間がないため、対向壁部12dの変形によって、一部が拡径および縮径することはほとんどない。よって、ギヤ部12bとモータギヤ10aとの間で片当たりなどの噛み合い不良が発生するのを抑制することができる。
【0051】
また、本実施形態では、図5(a)に示すように締結前において、補強部材11のギヤ部12b側端部は、対向壁部12dに接触しており、締結時にギヤ部12b側は、補強部材11側へほとんど変形しない。その結果、ギヤ部12bの変形をより一層抑制することができる。
【0052】
また、本実施形態では、筒状部12aに回転方向に90°の間隔を開けてスリット部12cを設けることで、筒状部12aの補強部材11側とは反対側の端部が楕円状に潰れるのを抑制できる。これにより、回転方向に均一に貫通孔112aを回転軸8に圧接することができる。
【0053】
次に、本実施形態の変形例について説明する。
【0054】
[変形例1]
図6は、変形例1の駆動伝達部材14の樹脂ギヤ12を示す概略構成図であり、図7(a)は、変形例1の駆動伝達部材14において、樹脂ギヤを補強部材に締結する前の状態を示す図であり、図7(b)は、締結後の状態を示す図である。
図6に示すように、この変形例1の樹脂ギヤ12は、対向壁部12dの補強部材11と対向する対向面112dを、締結方向(軸方向)に対して傾斜した傾斜面としたものである。対向面112dは、回転軸8に向かうにつれて、補強部材11から離間するように傾斜している。
【0055】
この変形例1においても、図7(a)に示すように、締結前の状態において、回転軸8側に、対向壁部12dと補強部材11との間に隙間Sができる。よって、図7(b)に示すように、締結後は対向壁部12dが補強部材11に倣い変形し、筒状部12aの補強部材11側と反対側の端部が縮径して、筒状部12aの補強部材11側と反対側の端部側の内周面が、回転軸8に圧接する。
【0056】
[変形例2]
図8は、変形例2の駆動伝達部材を示す概略構成図であり、(a)が、締結前、(b)が締結後を示している。
図8に示すように、この変形例2は、補強部材11の対向壁部12dとの対向面11cを、回転軸8に向かうにつれて、対向壁部12dから離間するように傾斜させたものである。
【0057】
この変形例2においても、実施形態と同様、締結前の状態において、回転軸8側に、対向壁部12dと補強部材11との間に隙間Sができる。よって、図8(b)に示すように、締結後は対向壁部12dが補強部材11に倣い変形し、筒状部12aの補強部材11側と反対側の端部が縮径して、筒状部12aの補強部材11側と反対側の端部側の内周面が、回転軸8に圧接する。
【0058】
なお、補強部材11の対向壁部12dとの対向面11cと対向壁部12dの補強部材11と対向する対向面の両方を、回転軸8に向かうにつれて対向する部材に対して離間する方向に傾斜させてもよい。かかる構成としても、締結前の状態において、回転軸8側に、対向壁部12dと補強部材11との間に隙間Sができ、締結後は筒状部12aの補強部材11側と反対側の端部が縮径して回転軸8に圧接させることができる。
【0059】
[変形例3]
図9は、変形例3の駆動伝達部材を示す概略構成図であり、(a)が締結前、(b)が締結後を示している。
この変形例3は、補強部材11のギヤ部12b側端部に、対向壁部12dに向かって突出する突起部11dを設けたものである。
この変形例3においても、締結前の状態において、回転軸8側に、対向壁部12dと補強部材11との間に隙間Sができる。よって、図8(b)に示すように、締結後は対向壁部12dが補強部材11に倣い変形し、筒状部12aの補強部材11側と反対側の端部が縮径して、筒状部12aの補強部材11側と反対側の端部側の内周面が、回転軸8に圧接する。
【0060】
また、この変形例3においても、締結時にギヤ部12b側の補強部材11側への変形が抑制され、ギヤ部12bの変形を抑制することができる。
【0061】
なお、この変形例3では、補強部材11に突起部を設けているが、樹脂ギヤの対向壁部12dのギヤ部12b側に突起部を設けてもよい。
【0062】
[変形例4]
図10は、変形例4の駆動伝達部材を示す概略構成図であり、(a)が、締結前、(b)が締結後を示している。
この変形例4は、樹脂ギヤ12の対向壁部12dをギヤ部12bに向かうにつれて補強部材11から離間するように傾斜させたものである。また、この変形例では、筒状部12aが対向壁部12dよりも補強部材11側に延設されている。この筒状部12aの延設部分には、円周方向に複数の切り欠きが形成されている。また、この筒状部12aの延設部分の切り欠きの幅は、補強部材11のピン係合部11bの幅よりも広くなっている。これにより、平行ピン8aがピン係合部11bに係合したとき、筒状部12aが平行ピン8aに回転方向から接触しないようになっている。
【0063】
図10(a)に示すように、この変形例では、締結前において、ギヤ部12b側に隙間Sが生じる。また、図10aに示すように、補強部材11も貫通孔11aに、筒状部12aが貫通するように、対向壁部12dと対向する。また、補強部材11のラジアル方向外側端部が、筒状のギヤ部12bの内周面に当接している。
【0064】
この変形例4では、ネジ13により樹脂ギヤ12と補強部材11とを締結し、対向壁部12dが補強部材11に倣うように樹脂ギヤ12を変形させると、図10(b)に示すように、筒状部12aの補強部材側端部が縮径する。これにより、筒状部12aの補強部材11側の端部側の内周面が、回転軸8に圧接する。
【0065】
また、この変形例4では、対向壁部12dのギヤ部12b側が大きく変形するため、その変形に伴い、ギヤ部12bの補強部材側端部が縮径するように変形しやすい。しかし、この変形例では、補強部材11のラジアル方向外側端部を、筒状のギヤ部12bの内周面に当接させているため、補強部材11によりギヤ部12bの補強部材側端部が、縮径するような変形を抑えることができる。
【0066】
[変形例5]
図11は、変形例5の駆動伝達部材を示す概略構成図であり、(a)が、締結前、(b)が締結後を示している。
この変形例では、樹脂ギヤ12の対向壁部12dの補強部材11との対向面に、溝部12eを設けたものである。図11(a)に示すように、締結前において、この溝部12eが、対向壁部12dと補強部材11との間の隙間となる。また、この溝部12eの底部に、ネジ13が貫通するネジ貫通孔が形成され、ネジ13により締結する箇所に隙間Sを形成している。この変形例5の筒状部12aの形状は、変形例4と同一である。
【0067】
この変形例5においては、ネジ13により、補強部材11と樹脂ギヤ12とを締結していくと、ネジ13の頭部により押し込まれた対向壁部12dのラジアル方向中央部が補強部材11側へ凹むように変形する。この対向壁部12dの変形により、図11(b)に示すように、筒状部12aの補強部材11側端部が、縮径するように変形し、筒状部12aの補強部材11側の端部側の内周面が、回転軸8に圧接する。
【0068】
なお、上述では、図12(b)に示すように、回転方向に90°の間隔でスリット部を設けているが、図12(a)に示すように、回転方向に180°の間隔でスリット部を設けてもよい。また、図12(c)に示すように、回転方向に60°の間隔でスリット部を設けてもよい。スリット部を多く設ける方が、筒状部の剛性を弱めることができ、筒状部の一端側を容易に縮径させることができ好ましい。また、スリット部を多くすることで、より筒状部の一端を円形に保った状態で縮径させることができ、回転軸に均等に筒状部12aの一端を圧接させることができ好ましい。また、図12(c)に示す構成では、6箇所ネジにより締結することで、より均等に筒状部12aを変形させることができ好ましい。
【0069】
上述では、中間転写ベルト61を駆動する駆動装置について説明したが、これに限らない。例えば、感光体を駆動する駆動装置、2次転写ローラを駆動する駆動装置、定着ローラを駆動する駆動装置および搬送ローラ対を駆動する駆動装置などに、本発明の駆動伝達部材を適用することができる。
【0070】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
回転軸8を貫通する貫通孔112aを有し、駆動力が伝達されるギヤ部12bなどの駆動伝達部を有する樹脂ギヤ12などの第一部材と、第一部材よりも剛性が高く、第一部材の軸方向に直交する対向壁部12dなどの壁部に締結される補強部材11などの第二部材とを有する駆動伝達部材14であって、第一部材と第二部材とを締結方向に重ね合わせた締結前の状態において、壁部と第二部材との間に空間を形成し、かつ、締結時に、空間を形成していた壁部の少なくとも一部が第二部材側へ変位し貫通孔の少なくとも一部が縮径する変形が第一部材に生じるように、第一部材および第二部材を構成する。
これによれば、第一部材を第二部材に締結することで、第一部材を変形させて貫通孔の少なくとも一部を縮径させるため、ネジなどの締結部材の締結力を調整することで貫通孔の縮径量を調整でき、貫通孔の内径寸法を調整できる。例えば、第一部材を第二部材に締結したときの貫通孔の内径の最も小径な箇所が、軽圧入可能な寸法よりも小さいときは、締結部材の締結を緩めることで、貫通孔の縮径が緩和され、軽圧入可能な寸法にできる。このように、締結力の調整により、貫通孔の内径を調整できるので、貫通孔の内径を精度よく作り込まずとも、軽圧入可能にでき、製造コストの低減を図ることができる。
【0071】
(態様2)
態様1において、対向壁部12dなどの壁部の補強部材11などの第二部材に締結方向から対向する対向面112dおよび第二部材の第一部材に締結方向から対向する対向面11cの少なくとも一方が、締結方向に対して傾斜した傾斜面である。
これによれば、変形例2、3で説明したように、締結時に貫通孔11aの少なくとも一部が縮径するように第一部材を変形させることができる。
【0072】
(態様3)
態様2において、傾斜面は、回転軸8に向かうにつれて、対向する部材から離れるように傾斜している。
これによれば、実施形態で説明したように、締結前の隙間Sなどの空間が、回転軸8側に生じ、締結時にギヤ部12bなどの駆動伝達部側の変形を抑えることができる。
【0073】
(態様4)
態様2または3において、対向壁部12dのなど壁部が締結方向に対して傾斜している。
これによれば、対向面を傾斜させることができる。
【0074】
(態様5)
態様1乃至4いずれかにおいて、隙間Sなどの空間は、樹脂ギヤ12などの第一部材と補強部材11などの第二部材との締結箇所に形成されている。
これによれば、変形例5で説明したように、ネジ13などの締結部材の締結力で隙間Sなどの空間が狭まるように樹脂ギヤ12などの第一部材を変形させて、貫通孔112aの径を縮径させることができる。
【0075】
(態様6)
態様1乃至5いずれかにおいて、締結前の状態のときに、樹脂ギヤ12などの第一部材と補強部材11などの第二部材との締結箇所よりもラジアル方向外側に対向壁部などの壁部と第二部材とが締結方向から接触する接触部を有する。
これによれば、変形例3で説明したように、ギヤ部12bなどの駆動伝達部の変形を抑制することができる。
【0076】
(態様7)
態様1乃至6いずれかにおいて、樹脂ギヤ12などの第一部材は、貫通孔112aを形成する筒状部12aにスリット部12cまたは切り欠き部を有する。
これによれば、実施形態で説明したように、締結時に貫通孔112aを縮径しやすくできる。
【0077】
(態様8)
態様1乃至7いずれかにおいて、補強部材11などの第二部材は、回転軸8が貫通する貫通孔11aを有する。
【0078】
(態様9)
駆動モータ10などの駆動源と、駆動源の駆動力を伝達する駆動伝達部材とを備えた駆動部20などの駆動装置において、駆動伝達部材として、態様1乃至8いずれかの駆動伝達部材を用いた。
これによれば、駆動装置のコストアップを抑制することができる。
【0079】
(態様10)
駆動装置によって駆動される中間転写ベルト61などの被駆動体を備えた画像形成装置において、駆動装置として、態様9に記載の駆動装置を用いる。
これによれば、装置のコストダウンを図ることができる。
【符号の説明】
【0080】
8 :回転軸
8a :平行ピン
10 :駆動モータ
10a :モータギヤ
11 :補強部材
11a :貫通孔
11b :ピン係合部
11c :対向面
11d :突起部
12 :樹脂ギヤ
12a :筒状部
12b :ギヤ部
12c :スリット部
12d :対向壁部
12e :溝部
13 :ネジ
14 :駆動伝達部材
20 :駆動部
61 :中間転写ベルト
67 :駆動ローラ
112a :貫通孔
112d :対向面
200 :プリンタ
S :隙間
【先行技術文献】
【特許文献】
【0081】
【文献】特開2016-148381号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12