(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
G03B 17/17 20210101AFI20240711BHJP
G03B 5/08 20210101ALI20240711BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20240711BHJP
G03B 37/00 20210101ALI20240711BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20240711BHJP
【FI】
G03B17/17
G03B5/08
G03B17/02
G03B37/00 A
H04N23/50
(21)【出願番号】P 2020146617
(22)【出願日】2020-09-01
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】洗井 淳
(72)【発明者】
【氏名】三須 俊枝
(72)【発明者】
【氏名】三ツ峰 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】河北 真宏
(72)【発明者】
【氏名】盛岡 寛史
(72)【発明者】
【氏名】荒井 敦志
(72)【発明者】
【氏名】杉之下 太一
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-065064(JP,A)
【文献】特開2014-178653(JP,A)
【文献】特開2009-145654(JP,A)
【文献】国際公開第2014/073262(WO,A1)
【文献】特開2006-211367(JP,A)
【文献】特開平03-227181(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/17
G03B 5/08
G03B 17/02
G03B 37/00
H04N 23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体からの光の量を調整する絞りと、前記絞りを通過した光により前記被写体の光学像を生成する結像光学系と、前記結像光学系が生成した光学像を受像する受像素子と、前記結像光学系からの光を前記受像素子に向けて反射する反射鏡と、を備え
、前記被写体の中心と前記結像光学系の光軸とが一致しない状態で撮影する撮像装置であって、
前記受像素子は、前記結像光学系の光軸に対して垂直に配置し、
前記反射鏡は、前記結像光学系の光軸に対して平行、かつ、前記受像素子に対して垂直に配置し、
前記絞り
と前記反射鏡とが、前記結像光学系からの光が前記反射鏡で反射されて前記受像素子に入射するように移動し
、
前記被写体の中心から前記結像光学系の中心を通過する基準線を予め設定し、
前記基準線と前記受像素子の延長面とが交わる位置から前記受像素子の中心までの距離が、前記受像素子の長さより大きい場合、
前記絞りは、前記基準線が開口を通過する位置に、前記結像光学系の光軸に垂直なxy平面のx軸方向に移動して配置され、
前記受像素子は、当該受像素子の中心が前記結像光学系の光軸と一致するように配置し、
前記反射鏡は、前記受像素子の中心から前記距離の半分だけ離れた位置に、前記結像光学系の光軸に垂直なxy平面のx軸方向及びy軸方向に移動して配置されることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
被写体からの光の量を調整する絞りと、前記絞りを通過した光により前記被写体の光学像を生成する結像光学系と、前記結像光学系が生成した光学像を受像する受像素子と、前記結像光学系からの光を前記受像素子に向けて反射する反射鏡と、を備え、前記被写体の中心と前記結像光学系の光軸とが一致しない状態で撮影する撮像装置であって、
前記受像素子は、前記結像光学系の光軸に対して垂直に配置し、
前記反射鏡は、前記結像光学系の光軸に対して平行、かつ、前記受像素子に対して垂直に配置し、
前記絞りと前記受像素子とが、前記結像光学系からの光が前記反射鏡で反射されて前記受像素子に入射するように移動し、
前記被写体の中心から前記結像光学系の中心を通過する基準線と、前記結像光学系の光軸と前記受像素子とが交わる基準点とを予め設定し、
前記基準線と前記受像素子の延長面とが交わる位置から前記基準点までの距離が、前記受像素子の長さより大きい場合、
前記絞りは、前記基準線が開口を通過する位置に
、前記結像光学系の光軸に垂直なxy平面のx軸方向に移動して配置され、
前記受像素子は、当該受像素子の中心が前記距離と前記長さとの差分だけ前記基準点から離れた位置に、
前記結像光学系の光軸に垂直なxy平面のx軸方向及びy軸方向に移動して配置され、
前記反射鏡は、前記基準点から前記長さの半分だけ離れた位置に
あることを特徴とす
る撮像装置。
【請求項3】
被写体からの光の量を調整する絞りと、前記絞りを通過した光により前記被写体の光学像を生成する結像光学系と、前記結像光学系が生成した光学像を受像する受像素子と、前記結像光学系からの光を前記受像素子に向けて反射する反射鏡と、を備え、前記被写体の中心と前記結像光学系の光軸とが一致しない状態で撮影する撮像装置であって、
前記受像素子は、前記結像光学系の光軸に対して垂直に配置し、
前記反射鏡は、前記結像光学系の光軸に対して平行、かつ、前記受像素子に対して垂直に配置し、
前記絞りと前記受像素子と前記反射鏡とが、前記結像光学系からの光が前記反射鏡で反射されて前記受像素子に入射するように移動し、
前記被写体の中心から前記結像光学系の中心を通過する基準線と、前記結像光学系の光軸と前記受像素子とが交わる基準点とを予め設定し、
前記基準線と前記受像素子の延長面とが交わる位置から前記基準点までの距離d
hが、前記受像素子の長さδ
hより大きい場合、
前記絞りは、前記基準線が開口を通過する位置に
、前記結像光学系の光軸に垂直なxy平面のx軸方向に移動して配置され、
前記反射鏡は、以下の式(1)を満たす範囲において、前記基準点から前記反射鏡までの距離d
mhだけ、
前記結像光学系の光軸に垂直なxy平面のx軸方向及びy軸方向に前記基準点から離れた位置に移動して配置され、
δ
h/2<d
mh<d
h-δ
h/2 (1)
前記受像素子は、以下の式(2)に示すように、前記基準点から前記受像素子の中心までの距離d
dhだけ離れた位置に
、前記x軸方向及び前記y軸方向に移動して配置される
d
dh=(d
h-d
mh)/2 (2)ことを特徴とす
る記載の撮像装置。
【請求項4】
前記受像素子が受像した光学像を、前記被写体を前記結像光学系から見た場合と同様の正立像に変換する変換手段、をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項
3の何れか一項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体の中心と結像光学系の光軸とが一致しない状態で撮像する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常のカメラは、撮像対象となる被写体の中心と、結像光学系の光軸とが一致した状態で撮像を行う。
図11に示すように、カメラ101は、結像光学系としてのカメラレンズ101aと、撮像素子101bと、開口絞り101cとを備える。また、
図11には、カメラレンズ101aの光軸101dと、被写体101eと、撮像素子101bが受像した被写体の像101fとを図示した。
【0003】
ここで、光軸101dと撮像素子101bとが垂直になるように配置し、被写体101eの中心と光軸101dとが一致した状態で撮像する。例えば、撮像素子101bとして、写真フィルムや電荷結合素子を用いる。開口絞り101cは、その中心と光軸101dとが一致した状態で配置する。被写体の像101fは、カメラレンズ101aから被写体101eを見た景色を、点対称に180度反転した状態で撮像素子101bが受像したものである。撮像素子101bで受像した像101fを表示する場合、一般には視認性を考慮して再度点対称に180度反転し、カメラレンズ101aから被写体101eを見た場合と同様の景色(正立像)へと変換する。
【0004】
通常のカメラ101では、被写体101eの中心が光軸101dから大きく離れている場合、カメラレンズ101aが結像する被写体の像101fを撮像素子101bで受像することが困難となる。この問題を解決する手法として、被写体の中心と結像光学系の光軸とが一致しない状態で撮像するシフトカメラが提案されている(特許文献1)。
【0005】
図12に示すように、従来のシフトカメラ102は、カメラレンズ102aと、撮像素子102bと、開口絞り102cとを備える。また、
図12には、カメラレンズ102aの光軸102dと、被写体102eと、撮像素子102bが受像した被写体の像102fとを図示した。また、被写体102eとカメラレンズ102aとの中心を結ぶ基準線102gを図示した。
【0006】
ここで、光軸102dと撮像素子102bとが垂直になるように配置し、x方向において、被写体102eの中心と光軸102dとが一致しない状態で撮像する。例えば、撮像素子102bとして、写真フィルムや電荷結合素子を用いる。撮像素子102b及び開口絞り102cは、それらの中心が基準線102gに一致するように配置する。被写体の像102fは、カメラレンズ102aから被写体102eを見た景色を、点対称に180度反転した状態で撮像素子102bが受像したものである。撮像素子102bで受像した像102fを表示する場合、一般には視認性を考慮して再度点対称に180度反転し、カメラレンズ102aから被写体102eを見た場合と同様の景色へと変換する。
【0007】
前記したシフトカメラ102を用いることで、撮像対象となる被写体102eの中心が、カメラレンズ102aの光軸102dから大きく離れている場合でも、カメラレンズ102aで結像される被写体の像102fを、撮像素子102bで受像することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記したシフトカメラでは、撮像対象となる被写体の中心が結像光学系の光軸から離れる量に応じて、撮像素子を大きく移動させなければならず、装置が大型化するという課題がある。
【0010】
本発明は、被写体の中心と結像光学系の光軸とが一致しない状態で撮像する場合でも、小型な撮像装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本発明に係る撮像装置は、被写体からの光の量を調整する絞りと、絞りを通過した光により被写体の光学像を生成する結像光学系と、結像光学系が生成した光学像を受像する受像素子と、結像光学系からの光を受像素子に向けて反射する反射鏡と、を備え、被写体の中心と結像光学系の光軸とが一致しない状態で撮影する構成とした。
【0012】
かかる撮像装置において、受像素子は、結像光学系の光軸に対して垂直に配置する。
また、反射鏡は、結像光学系の光軸に対して平行、かつ、受像素子に対して垂直に配置する。
そして、絞りと反射鏡の少なくとも一方とが、結像光学系からの光が反射鏡で反射されて受像素子に入射するように移動する。
被写体の中心から前記結像光学系の中心を通過する基準線を予め設定する。
基準線と受像素子の延長面とが交わる位置から受像素子の中心までの距離が、受像素子の長さより大きい場合、絞りは、基準線が開口を通過する位置に、結像光学系の光軸に垂直なxy平面のx軸方向に移動して配置される。
受像素子は、受像素子の中心が結像光学系の光軸と一致するように配置する。
反射鏡は、受像素子の中心から距離の半分だけ離れた位置に、結像光学系の光軸に垂直なxy平面のx軸方向及びy軸方向に移動して配置される。
【0013】
すなわち、撮像装置は、結像光学系の光軸から離れる方向に進行する被写体の光を反射板が光軸側に反射するので、受像素子を結像光学系の光軸付近に配置可能とし、小型化できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、被写体の中心と結像光学系の光軸とが一致しない状態で撮像する場合でも、撮像装置を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態に係る撮像装置の概略構成図である。
【
図2】第1実施形態において、受像素子の配置を説明する説明図である。
【
図3】第2実施形態に係る撮像装置の概略構成図である。
【
図4】第2実施形態において、受像素子の配置を説明する説明図である。
【
図5】第3実施形態に係る撮像装置の概略構成図である。
【
図6】第3実施形態において、受像素子の配置を説明する説明図である。
【
図7】第4実施形態に係る撮像装置の概略構成図である。
【
図8】第4実施形態において、受像素子の配置を説明する説明図である。
【
図9】第5実施形態に係る撮像装置の概略構成図である。
【
図10】第5実施形態に係る撮像装置の他の構成を説明する説明図である。
【
図12】従来のシフトカメラを説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照して説明する。但し、以下に説明する各実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。また、同一の手段には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0017】
(第1実施形態)
[撮像装置の構成]
図1を参照し、第1実施形態に係る撮像装置1の構成について説明する。
図1に示すように、撮像装置1は、絞り10と、絞り移動機構11と、結像光学系20と、受像素子30と、反射鏡40と、反射鏡移動機構41とを備える。また、撮像装置1では、被写体Tから見て、絞り10、結像光学系20、反射鏡40及び受像素子30がz方向に並んでいる。
【0018】
以後、x軸が水平方向(x方向)、y軸が垂直方向(y方向)、z軸が奥行方向(z方向)を表すこととする。また、光軸Jに垂直な平面をxy平面、光軸Jに平行な平面をyz平面とする。
また、
図1には、撮像対象となる被写体T、被写体Tの光学像Uを図示した。
図1では、被写体Tは、x方向のみ変位することとする。
【0019】
ここで、受像素子30は、結像光学系20の光軸Jに対して垂直に配置する。また、反射鏡40は、結像光学系20の光軸Jに対して平行、かつ、受像素子30に対して垂直に配置する。
【0020】
また、撮像装置1では、絞り10と受像素子30又は反射鏡40の少なくとも一方とが、結像光学系20からの光が反射鏡40で反射されて受像素子30に入射するように移動する。本実施形態では、絞り10及び反射鏡40が移動する一方、結像光学系20及び受像素子30が固定されている。なお、結像光学系20は、常に固定されている。
【0021】
絞り10は、被写体Tからの光の量を調整する一般的な絞りである。つまり、絞り10は、受像素子30で受像する光学像Uに寄与する光の範囲を制限するものであり、羽根の枚数や形状が特に制限されない。例えば、絞り10としては、7枚羽の虹彩絞りがあげられる。
【0022】
本実施形態では、絞り10は、モータなどの絞り移動機構11によって、x方向に移動することとする。つまり、絞り10は、絞り移動機構11によって、基準線Gの方向に応じて、受像素子30で受像する光学像Uに寄与する光の範囲を効率的に制限できる位置に移動する。
なお、絞り10は、結像光学系20の光軸Jよりも被写体Tの側に位置しているが、光学像Uに寄与する光の範囲を効率的に制限できれば、その位置は特に制限されない。
【0023】
結像光学系20は、絞り10を通過した光により被写体Tの光学像Uを生成するカメラレンズであり、レンズの種類や画角が特に制限されない。また、結像光学系20は、絞り10に対して平行となるように配置する。つまり、結像光学系20は、そのレンズ面がxy平面と平行になる。
図1では、結像光学系20が単一のレンズで図示されているが、結像光学系20が複数のレンズで構成されるレンズ群であってもよい。なお、結像光学系の中心とは、結像光学系20の主点(第1光学主点)のことである。
【0024】
受像素子30は、結像光学系20が生成した光学像Uを受像する一般的な撮像素子である。また、受像素子30は、絞り10及び結像光学系20に対して平行となるように配置する。つまり、受像素子30は、その受像面がxy平面と平行で、結像光学系20の光軸Jに対して垂直になるように配置する。後記するように、受像素子30の中心は、結像光学系20の光軸Jと一致する。例えば、受像素子30としては、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子があげられる。
【0025】
反射鏡40は、結像光学系20からの光を受像素子30に向けて反射するものである。また、反射鏡40は、絞り10、結像光学系20及び受像素子30に対して垂直となるように配置する。つまり、反射鏡40は、その反射面が結像光学系20の光軸J(yz平面)に対して平行、かつ、受像素子30の受像面(xy平面)に対して垂直になるように配置する。例えば、反射鏡40としては、一般的な鏡又は反射膜があげられる。本実施形態では、反射鏡40は、モータなどの反射鏡移動機構41によって、x方向及びy方向に移動することとする。
【0026】
<撮像装置の小型化>
ここで、撮像装置1は、撮像対象となる被写体Tの中心と、結像光学系20の光軸Jとが一致しない状態で撮像する場合にも、反射鏡40を用いて小型化を実現している。
【0027】
図1に示すように、被写体Tの中心から結像光学系20の中心(主点)を通過する基準線Gを予め設定する。
図1には、反射鏡40を備えない場合に仮想的に配置する受像素子を仮想受像素子50として破線で図示した。この場合、仮想受像素子50の中心は、基準線Gと受像素子30の延長面(xy平面)とが交わる位置Pになる。なお、仮想受像素子50は、受像素子30に対して、x方向のみ変位するものとする。
また、
図1には、受像素子30のx方向の長さδ
h、受像素子30の中心から仮想受像素子50の中心までのx方向の距離d
hを図示した。
【0028】
仮に撮像装置1が反射鏡40を備えない場合、結像光学系20によって生成される光学像を受像するためには、基準線Gがxy平面に交わる位置P、つまり、仮想受像素子50の位置に受像素子30を配置する必要がある。この場合、受像素子30が結像光学系20の光軸Jからx方向に大きく外れ、撮像装置1が大型化してしまう。
【0029】
そこで、撮像装置1では、距離d
hが長さδ
hより大きい場合、以下のような構成を採用することとした。
図1に示すように、絞り10は、絞り移動機構11によって、基準線Gが開口を通過する位置に移動して配置される。また、受像素子30は、受像素子30の中心が結像光学系20の光軸Jと一致するように配置する。そして、反射鏡40は、反射鏡移動機構41によって、受像素子30の中心から距離の半分d
h/2だけ離れた位置に移動して配置される。
【0030】
なお、
図1では、受像素子30がx方向に変位することとして説明したが、
図2に示すように、受像素子30はy方向にも変位できる。
また、
図2には、受像素子30のy方向の長さδ
vを図示した。
【0031】
図2に示すように、受像素子30は、x方向の距離d
hが長さδ
hを超え、又は、y方向の距離d
vが長さδ
vを超えるように配置すればよい。従って、受像素子30は、仮想受像素子50の中心が
図2の斜線部分に重なるように配置すればよい。つまり、仮想受像素子50の中心が、受像素子30の中心を基準として、x方向の長さ3δ
h、又は、y方向の長さ3δ
vを超える位置にあればよい。例えば、
図2の仮想受像素子50は、受像素子30の中心に対して、x方向の長さδ
h及びy方向の長さδ
vを超えた距離dに位置するので、前記した条件を満たす。
【0032】
なお、図示を省略した反射鏡40は、仮想受像素子50に対して、距離d/2だけ離れた位置に、受像素子30の中心と仮想受像素子50の中心とを結ぶ線に対して垂直な平面(yz平面)に沿って配置すればよい。
【0033】
[作用・効果]
以上のように、撮像装置1では、結像光学系20からの光が反射鏡40で反射されて受像素子30に入射するので、光学像Uを受像素子30が受像できる。さらに、撮像装置1では、受像素子30の中心が結像光学系20の光軸Jと一致するので、反射鏡40を備えない場合に比べて、小型化できる。
【0034】
(変形例)
なお、被写体Tが光軸Jの左側に位置することとして説明したが、被写体Tが光軸Jの右側に位置する場合もある。この場合、撮像装置1は、反射鏡40が光軸Jの左側になるように上下反転させて撮影すればよい。つまり、撮像装置1は、反射鏡40が光軸Jを挟んで被写体Tの反対側になる状態で撮影すればよい。この他、撮像装置1は、光軸Jの両側に反射鏡40を配置してもよい。
【0035】
また、絞り10及び反射鏡40は、被写体Tの位置に応じて、カメラマンが手動で移動させればよい。また、撮像装置1が被写体Tの位置を検出し、検出した被写体Tの位置に基づいて、絞り10及び反射鏡40を自動的に移動させてもよい。
【0036】
(第2実施形態)
[撮像装置の構成]
図3を参照し、第2実施形態に係る撮像装置1Bの構成について、第1実施形態と異なる点を説明する。
第2実施形態では、受像素子30Bが移動する一方、反射鏡40Bが固定されている点が、第1実施形態と異なる。すなわち、本実施形態では、絞り10B及び受像素子30Bが移動する。
【0037】
図3に示すように、撮像装置1Bは、絞り10Bと、絞り移動機構11Bと、結像光学系20と、受像素子30Bと、受像素子移動機構31Bと、反射鏡40Bとを備える。
なお、受像素子30B及び受像素子移動機構31B以外の各手段は、第1実施形態と同様のため、説明を省略する。
【0038】
受像素子30Bは、モータなどの受像素子移動機構31Bによって、x方向に移動する。他の点、受像素子30Bは、第1実施形態と同様のため、これ以上の説明を省略する。
【0039】
反射鏡40Bは、反射鏡移動機構を備えておらず、移動しない。他の点、反射鏡40B、第1実施形態と同様のため、これ以上の説明を省略する。
【0040】
<撮像装置の小型化>
ここで、撮像装置1Bは、撮像対象となる被写体Tの中心と、結像光学系20の光軸Jとが一致しない状態で撮像する場合にも、反射鏡40Bを用いて小型化を実現している。
【0041】
図3に示すように、被写体Tの中心から結像光学系20の中心(主点)を通過する基準線Gを予め設定する。また、結像光学系20の光軸Jと受像素子30Bとが交わる基準点Hを予め設定する。
図3には、反射鏡40Bを備えない場合に仮想的に配置する受像素子を仮想受像素子50Bとして図示した。この場合、仮想受像素子50Bの中心は、基準線Gと受像素子30Bの延長面(xy平面)とが交わる位置Pになる。なお、仮想受像素子50Bは、受像素子30Bに対して、x方向のみ変位するものとする。
また、
図3には、受像素子30Bのx方向の長さδ
h、基準点Hから仮想受像素子50Bの中心までのx方向の距離d
hを図示した。
【0042】
仮に撮像装置1Bが反射鏡40Bを備えない場合、結像光学系20によって生成される光学像を受像するためには、基準線Gがxy平面に交わる位置P、つまり、仮想受像素子50Bの位置に受像素子30Bを配置する必要がある。この場合、受像素子30Bが結像光学系20の光軸Jからx方向に大きく外れ、撮像装置1Bが大型化してしまう。
【0043】
そこで、撮像装置1Bでは、距離d
hが長さδ
hより大きい場合、以下のような構成を採用することとした。
図3に示すように、絞り10Bは、絞り移動機構11Bによって、基準線Gが開口を通過する位置に移動して配置される。また、反射鏡40Bは、基準点Hから長さの半分δ
h/2だけ離れた位置に配置する。従って、反射鏡40Bは、受像素子30Bの中心から距離(d
h-δ
h/2)だけ離れた位置に配置する。
【0044】
また、受像素子30Bは、受像素子移動機構31Bによって、受像素子30Bの中心が、基準点Hから距離と長さとの差分(d
h-δ
h)だけ離れた位置に移動して配置される。
図3の例では、距離と長さとの差分(d
h-δ
h)が負の値になるので、受像素子30Bは、光軸Jに対して、x方向で仮想受像素子50Bの反対側に移動することになる。
【0045】
なお、
図3では、受像素子30Bがx方向に変位することとして説明したが、
図4に示すように、受像素子30Bはy方向にも変位できる。
また、
図4には、受像素子30Bのy方向の長さδ
vを図示した。
【0046】
受像素子30Bは、x方向の距離d
hが長さδ
hを超え、又は、y方向の距離d
vが長さδ
vを超えるように移動すればよい。従って、受像素子30Bは、仮想受像素子50Bの中心が
図4の斜線部分に重なるように移動すればよい。つまり、仮想受像素子50Bの中心が、受像素子30Bの中心を基準として、x方向の長さ3δ
h、又は、y方向の長さ3δ
vを超える位置にあればよい。例えば、
図4の仮想受像素子50Bは、受像素子30Bの中心に対して、x方向の長さδ
h及びy方向の長さδ
vを超えた距離dに位置するので、前記した条件を満たす。
【0047】
なお、図示を省略した反射鏡40Bは、仮想受像素子50Bに対して、基準点Hから距離dθだけ離れた位置に、基準点Hと仮想受像素子50Bの中心とを結ぶ線に対して垂直な平面(yz平面)に沿って配置すればよい。
【0048】
ここで、方向θは、基準点Hに対する仮想受像素子50Bの方向を表す。つまり、方向θは、基準点Hからの延長線と、基準点Hから仮想受像素子50Bの中心までの線とのなす角である。また、距離dθは、仮想受像素子50Bが位置する方向θに基づいて、以下の式(1-1)から式(1-8)で表される。
【0049】
【0050】
[作用・効果]
以上のように、撮像装置1Bでは、結像光学系20からの光が反射鏡40Bで反射されて受像素子30Bに入射するので、光学像Uを受像素子30Bが受像できる。さらに、撮像装置1Bでは、受像素子30Bを結像光学系20の光軸Jの付近に配置できるので、反射鏡40Bを備えない場合に比べて、小型化できる。
【0051】
(第3実施形態)
[撮像装置の構成]
図5を参照し、第3実施形態に係る撮像装置1Cの構成について、第1実施形態と異なる点を説明する。
第3実施形態では、受像素子30Cも移動する点が、第1実施形態と異なる。すなわち、本実施形態では、絞り10C、受像素子30C及び反射鏡40Cが移動する。
【0052】
図5に示すように、撮像装置1Cは、絞り10Cと、絞り移動機構11Cと、結像光学系20と、受像素子30Cと、受像素子移動機構31Cと、反射鏡40Cと、反射鏡移動機構41Cとを備える。
なお、撮像装置1Cの各手段は、第1実施形態及び第2実施形態と同様のため、説明を省略する。
【0053】
<撮像装置の小型化>
ここで、撮像装置1Cは、撮像対象となる被写体Tの中心と、結像光学系20の光軸Jとが一致しない状態で撮像する場合にも、反射鏡40Cを用いて小型化を実現している。
【0054】
図5に示すように、被写体Tの中心から結像光学系20の中心(主点)を通過する基準線Gを予め設定する。また、結像光学系20の光軸Jと受像素子30Cとが交わる基準点Hを予め設定する。
図5には、反射鏡40Cを備えない場合に仮想的に配置する受像素子を仮想受像素子50Cとして図示した。この場合、仮想受像素子50Cの中心は、基準線Gと受像素子30Cの延長面(xy平面)とが交わる位置Pになる。なお、仮想受像素子50Cは、受像素子30Cに対して、x方向のみ変位するものとする。
また、
図5には、受像素子30Cのx方向の長さδ
h、基準点Hから仮想受像素子50Cの中心までのx方向の距離d
hを図示した。
【0055】
仮に撮像装置1Cが反射鏡40Cを備えない場合、結像光学系20によって生成される光学像Uを受像するためには、基準線Gがxy平面に交わる位置P、つまり、仮想受像素子50Cの位置に受像素子30Cを配置する必要がある。この場合、受像素子30Cが結像光学系20の光軸からx方向に大きく外れ、撮像装置1Cが大型化してしまう。
【0056】
そこで、撮像装置1Cでは、距離d
hが長さδ
hより大きい場合、以下のような構成を採用することとした。
図5に示すように、絞り10Cは、絞り移動機構11Cによって、基準線Gが開口を通過する位置に移動して配置される。
【0057】
反射鏡40Cは、反射鏡移動機構41Cによって、以下の式(2)を満たす範囲において、基準点Hから反射鏡40までの距離dmhだけ、基準点Hから離れた位置に移動して配置される。
δh/2<dmh<dh-δh/2 (2)
【0058】
受像素子30Cは、受像素子移動機構31Cによって、以下の式(3)に示すように、基準点Hから受像素子30Cの中心までの距離ddhだけ離れた位置に移動して配置される。
ddh=(dh-dmh)/2 (3)
【0059】
なお、
図5では、受像素子30Cがx方向に変位することとして説明したが、
図6に示すように、受像素子30Cはy方向にも変位できる。
また、
図6には、受像素子30Cのy方向の長さδ
v、受像素子30Cの中心から仮想受像素子50Cの中心までのy方向の距離dを図示した。
【0060】
受像素子30Cは、x方向の距離d
hが長さδ
hを超え、又は、y方向の距離d
vが長さδ
vを超えるように移動すればよい。従って、受像素子30Cに対し、
図6の斜線部分に仮想受像素子50Cの中心が位置すればよい。つまり、仮想受像素子50Cの中心が、受像素子30Cの中心を基準として、x方向の長さ3δ
h、又は、y方向の長さ3δ
vを超える位置にあればよい。例えば、
図6の仮想受像素子50Cは、受像素子30Cの中心に対して、x方向の長さδ
h及びy方向の長さδ
vを超えた距離dに位置するので、前記した条件を満たす。
【0061】
なお、図示を省略した反射鏡40Cは、仮想受像素子50Cに対して、基準点Hから距離dmθだけ離れた位置に、基準点Hと仮想受像素子50Cの中心とを結ぶ線に対して垂直な平面(yz平面)に沿って配置すればよい。
【0062】
ここで、方向θは、基準点Hからの線と、基準点Hから仮想受像素子50Cの中心までの線とのなす角である。また、距離dmθは、仮想受像素子50Cが位置する方向θに基づいて、以下の式(4)で表される。さらに、基準点Hから受像素子30Cの中心までの距離ddθが、以下の式(5)で表される。
dθ<dmθ<d-dθ (4)
ddθ=(d-dmθ)/2 (5)
【0063】
[作用・効果]
以上のように、撮像装置1Cでは、結像光学系20からの光が反射鏡40Cで反射されて受像素子30Cに入射するので、光学像Uを受像素子30Cが受像できる。さらに、撮像装置1Cでは、受像素子30Cを結像光学系20の光軸Jの付近に配置できるので、反射鏡40Cを備えない場合に比べて、小型化できる。
【0064】
(第4実施形態)
図7を参照し、第4実施形態に係る撮像装置1Dについて、第1実施形態と異なる点を説明する。
第4実施形態では、距離d
hが長さδ
h以下のため、反射鏡40を介さずに、受像素子30が光学像Uを受像する点が、第1実施形態と異なる。
なお、撮像装置1Dの構成自体は、
図1の撮像装置1と同様のため、説明を省略する。
【0065】
図7に示すように、撮像装置1Dは、距離d
hが長さδ
h以下の場合、反射鏡40を介さずに、結像光学系20によって生成される光学像Uを受像素子30が受像する。このとき、結像光学系20によって生成される光学像Uを受像するためには、基準線Gが受像素子30の中心と一致している必要がある。
【0066】
なお、
図7では、受像素子30がx方向に変位することとして説明したが、
図8に示すように、受像素子30はy方向にも変位できる。
また、
図8には、受像素子30のy方向の長さδ
v、受像素子30の中心から仮想受像素子50の中心までのy方向の距離d
vを図示した。
【0067】
図8に示すように、受像素子30は、x方向の距離d
hが長さδ
h以下、又は、y方向の距離d
vが長さδ
v以下となるように配置すればよい。つまり、受像素子30の中心は、x方向の長さ3δ
h、又は、y方向の長さ3δ
v以下の位置にあればよい。
【0068】
[作用・効果]
このように、撮像装置1Dは、距離dhが長さδh以下の場合でも受像素子30が光学像Uを受像できるので、小型化できる。つまり、撮像装置1Dは、距離dhが長さδhより大きい場合だけでなく、距離dhが長さδh以下の場合にも、小型化できる。
なお、第2実施形態及び第3実施形態に係る撮像装置1B,1Cにおいても、第4実施形態を適用することができる。
【0069】
(第5実施形態)
[撮像装置の構成]
図9を参照し、第5実施形態に係る撮像装置1Eの構成について、第1実施形態と異なる点を説明する。
第5実施形態では、受像素子30が受像した光学像Uを、被写体Tを結像光学系20から見た場合と同様の正立像Wに変換する点が、第1実施形態と異なる。
【0070】
図9に示すように、撮像装置1Eは、絞り10と、絞り移動機構11と、結像光学系20と、受像素子30と、反射鏡40と、反射鏡移動機構41と、変換手段60とを備える。なお、
図9の撮像装置1Eでは、距離d
hが長さδ
hを超えていることとする。
【0071】
変換手段60は、受像素子30が受像した光学像Uを、被写体Tを結像光学系20から見た場合と同様の正立像Wに変換するものである。
なお、変換手段60以外の各手段は、第1実施形態と同様のため、説明を省略する。
【0072】
ここで、仮想受像素子50が受像した像Vが結像光学系20を通過するため、被写体Tはその中心で点対称に180度反転した状態となる。そして、受像素子30が受像した光学像Uは、反射鏡40で反射されているため、像Vが左右反転した状態となる。つまり、光学像Uは、被写体Tが上下反転した状態となる。このため、変換手段60は、受像素子30が受像した光学像Uを上下反転させる変換処理を行って、正立像Wを生成する。
【0073】
また、撮像装置1Eは、第4実施形態で説明したように、距離d
hが長さδ
h以下の場合にも適用できる。
図10に示すように、撮像装置1Eは、反射鏡40を介さずに受像素子30が光学像Uを受像している。この場合、変換手段60は、受像素子30が受像した光学像Uをその中心で点対称に180度反転させる変換処理を行って、正立像Wを生成する。
【0074】
なお、変換手段60は、光学像Uを読み出した後に変換処理を実行する計算機として実装してもよい。また、変換手段60は、受像素子30から信号を読み出す際に変換処理を行う演算回路として実装してもよい。さらに、変換手段60は、変換処理を行う際、結像光学系20による光学的な歪みを補正する処理をあわせて行ってもよい。
【0075】
[作用・効果]
このように、撮像装置1Eは、受像素子30が受像した光学像Uを正立像Wに変換するので、視認性を向上させることができる。
なお、第2実施形態及び第3実施形態に係る撮像装置1B,1Cにおいても、第5実施形態を適用することができる。
【0076】
以上、本発明の実施形態を詳述してきたが、本発明はこれに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更なども含まれる。
【符号の説明】
【0077】
1~1E 撮像装置
10~10C 絞り
11~11C 絞り移動機構
20 結像光学系
30~30C 受像素子
31B,31C 受像素子移動機構
40~40C 反射鏡
41~41C 反射鏡移動機構
50~50C 仮想受像素子