(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】選択的間隙充填のための低温プラズマ前洗浄
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240711BHJP
H01L 21/28 20060101ALI20240711BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20240711BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
H01L21/304 645C
H01L21/28 A
H01L21/88 B
(21)【出願番号】P 2022541802
(86)(22)【出願日】2021-06-18
(86)【国際出願番号】 US2021038014
(87)【国際公開番号】W WO2021262542
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2022-08-25
(32)【優先日】2020-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】シュー イ
(72)【発明者】
【氏名】フー ユフェイ
(72)【発明者】
【氏名】大東 和也
(72)【発明者】
【氏名】ヴァスケス ジェラルディン エム
(72)【発明者】
【氏名】ヘ ダ
(72)【発明者】
【氏名】ラヴィ ジャレパリー
(72)【発明者】
【氏名】レイ ユ
(72)【発明者】
【氏名】ウ ディエン-イェ
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0062333(US,A1)
【文献】特開2001-168075(JP,A)
【文献】特開2000-332112(JP,A)
【文献】特開2003-203974(JP,A)
【文献】特開2000-223477(JP,A)
【文献】特開2001-118846(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/28
H01L 21/3205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前洗浄する方法であって、前記方法が、
ペデスタル上に載っており、
タングステン(W)、コバルト(Co)及びルテニウム(Ru)の1つ又は複数を含む金属底部
表面、誘電体
材料を含む曝露した側壁表面、および誘電体のフィールドを
含む表面構造を含む、基板を
、酸素プラズマを含むプラズマ処置に曝露して、前記金属底部
表面、前記誘電体
材料を含む曝露した側壁表面、および前記誘電体の前記フィールドから化学残留物および/または不純物を除去し、ならびに/または前記誘電体
材料を含む曝露した側壁表面および前記誘電体の前記フィールドの表面欠陥を修復することと、
プラズマの電力を設定し、冷却機構を含む前記ペデスタルの温度を
-20℃以上60度以下に設定することと
を含
み、前記前洗浄は、前記金属底部表面上の選択的金属堆積を促進するのに有効である、方法。
【請求項2】
前記ペデスタルが高周波(RF)能力を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記酸素プラズマが直接プラズマである、請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
前記プラズマ処置が水素プラズマをさらに含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
200W以上1000W以下の範囲のバイアスが、
前記基板を前記プラズマ
処置に曝露
する間前記基板に印加される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ペデスタルが、
前記基板を前記プラズマ
処置に曝露
する間-20℃以上
40℃以下の範囲の温度に維持される、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記誘電体
材料を含む曝露した側壁表面及び前記誘電体のフィールドが、窒化ケイ素(SiN)、酸化ケイ素(SiO)、酸窒化ケイ素(SiON)、または高誘電率誘電体のうちの1つまたは複数を含
む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
プラズマの電力を設定し、処理チャンバ内のペデスタルの温度を
-20℃
以上60℃以下に設定することであり、前記ペデスタルが、高周波(RF)能力および冷却機構を含む、設定することと、
前記ペデスタル上に載っており、
タングステン(W)、コバルト(Co)及びルテニウム(Ru)の1つ又は複数を含む金属底部
表面、誘電体
材料を含む曝露した誘電体側壁表面、および誘電体のフィールドを
含む表面構造を含む、基板を前記処理チャンバ内でプラズマ処置に曝露して、前記金属底部
表面、誘電体
材料を含む曝露した誘電体側壁表面、および前記誘電体の前記フィールドから化学残留物および/または不純物を除去し、ならびに/または誘電体
材料を含む曝露した誘電体側壁表面および前記誘電体の前記フィールドの表面欠陥を修復することであり、前記プラズマ処置が酸素プラズマを含む、修復することと、
前記金属底部表面上で選択的金属堆積成長を促進することによって、金属膜を前記基板上に選択的に形成するために、前記基板を前記金属の少なくとも1つの前駆体に曝露することと
を含む、処理方法。
【請求項9】
前記酸素プラズマが直接プラズマである、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
200W以上1000W以下の範囲のバイアスが、
前記基板を前記プラズマ
処置に曝露
する間前記基板に印加される、請求項
8に記載の方法。
【請求項11】
前記ペデスタルが、
前記基板を前記プラズマ
処置に曝露
する間-20℃以上
40℃以下の範囲の温度に維持される、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
曝露した誘電体側壁表面及び前記誘電体のフィールドが、窒化ケイ素(SiN)、酸化ケイ素(SiO)、酸窒化ケイ素(SiON)、または高誘電率誘電体のうちの1つまたは複数を含
む、請求項
8に記載の方法。
【請求項13】
処理チャンバのコントローラによって実行されたとき、前記処理チャンバに、
第1の処理チャンバ内の冷却機構を含むペデスタル上の
タングステン(W)、コバルト(Co)及びルテニウム(Ru)の1つ又は複数を含む金属底部表面、誘電体材料を含む曝露した誘電体側壁表面、および誘電体のフィールドを含む表面構造を含む基板を、前記第1の処理チャンバ内で
酸素プラズマを含むプラズマ処置に曝露する操作と、
プラズマの電力を設定し、前記ペデスタルの温度を
-20以上60℃以下に設定
して、誘電体材料を含む曝露した誘電体側壁表面の表面欠陥を修復し、前記金属底部表面上の選択的金属堆積を促進する操作と
を実行させる命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記ペデスタルが高周波(RF)能力を含む、請求項
13に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項15】
処理チャンバのコントローラによって実行されたとき、前記処理チャンバに、前記基板を
水素プラズマに曝露する操作を実行させる命令をさらに含む、請求項
13に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項16】
前記酸素プラズマが直接プラズマである、請求項
15に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項17】
処理チャンバのコントローラによって実行されたとき、前記処理チャンバに、
200W以上1000W以下の範囲のバイアスをプラズマ曝露の間前記基板に印加する操作を実行させる命令をさらに含む、請求項
13に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項18】
処理チャンバのコントローラによって実行されたとき、前記処理チャンバに、前記ペデスタルをプラズマ曝露の間-20℃以上
40℃以下の範囲の温度に維持する操作を実行させる命令をさらに含む、請求項
13に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項19】
誘電体材料を含む曝露した誘電体側壁及び前記誘電体のフィールドが、窒化ケイ素(SiN)、酸化ケイ素(SiO)、酸窒化ケイ素(SiON)、または高誘電率誘電体のうちの1つまたは複数を含
む、請求項
13に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記プラズマ処置は、水素プラズマをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に、半導体の間隙を充填するための方法に関する。特に、開示の実施形態は、金属堆積選択性を改善するために基板を前洗浄するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
相互接続メタライゼーションは、論理およびメモリデバイスにおいて広く使用されている。ビア/トレンチ間隙充填用途では、ライナ膜とそれに続くバルク堆積CVD/PVD膜が一般に使用される。しかしながら、特徴部サイズが縮小するにつれて、ビア/トレンチ構造が小さくなり、ライナ膜の体積比が増加し、そのため、欠陥のない低抵抗の金属間隙充填が困難になる。
【0003】
選択的堆積プロセスは、ある表面材料対別の表面材料の堆積中のインキュベーション差を利用する。このインキュベーション遅延を活用して、シーム/ボイドおよびライナ膜なしに、ボトムアップ間隙充填を可能にすることができる。しかしながら、この技法が広く適用されることを妨げるいくつかの課題がある。例えば、ビア底部および誘電体表面の不純物が、金属表面対誘電体フィールド(dielectric field)の選択的金属成長の選択性を低下させる可能性がある。表面汚染物質(例えば、酸素、炭素、フッ素、塩素)を洗浄するために加熱プラズマ(例えば、H2プラズマまたはO2プラズマ)を使用する現在のプロセスは、不安定なウエハ温度と、約30℃~100℃のウエハの温度上昇をもたらす可能性がある。その結果として、金属酸化の増進があり、後続の処置および堆積プロセスに課題がある。
【0004】
一般に、金属表面を効率的に洗浄しながら、今まで通りフィールドでの成長をなしにまたは最小に維持することが、広範な使用を妨げている主な課題である。さらに、異なるエッチング残留物または汚染物質をもつ異なる表面構造は、選択成長を可能にするために異なる前洗浄プロセスを必要とする可能性がある。
【0005】
したがって、当技術分野において、選択的堆積のために基板表面を前洗浄するための改善された方法および装置が継続的に必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本開示の1つまたは複数の実施形態は、前洗浄する方法に関する。金属底部、誘電体側壁、および誘電体のフィールドをもつ表面構造を含む基板は、冷却機構を含むペデスタル上にある。ペデスタルの温度は、100℃以下に設定される。基板をプラズマ処置に曝露して、金属底部、誘電体側壁、および/または誘電体のフィールドから化学残留物および/または不純物を除去し、ならびに/または誘電体側壁および/もしくは誘電体のフィールドの表面欠陥を修復する。
【0007】
本開示の追加の実施形態は、金属底部、誘電体側壁、および誘電体のフィールドをもつ表面構造を含む基板を前洗浄する方法に関する。基板は、処理チャンバ内で、高周波(RF)能力および冷却機構を含むペデスタル上に位置付けられる。ペデスタルの温度は、100℃以下に設定される。基板を処理チャンバ内でプラズマ処置に曝露して、金属底部、誘電体側壁、および/または誘電体のフィールドから化学残留物および/または不純物を除去し、ならびに/または誘電体側壁および/もしくは誘電体のフィールドの表面欠陥を修復し、プラズマ処置は、水素プラズマおよび酸素プラズマを含む。
【0008】
本開示のさらなる実施形態は、処理チャンバのコントローラによって実行されたとき、処理チャンバに、第1の処理チャンバ内のペデスタル上に基板を位置付ける操作であって、ペデスタルが冷却機構を含む、位置付ける操作と、第1の処理チャンバ内で基板をプラズマ処置に曝露する操作と、ペデスタルの温度を100℃以下に設定する操作とを実行させる命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体に関する。
【0009】
本開示の上述の特徴を詳細に理解できるように、上述で簡潔に要約した本開示のより詳細な説明が実施形態を参照して得られ、実施形態のうちのいくつかは添付の図面に示される。しかしながら、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示しており、本開示は他の等しく有効な実施形態を認めることができるので、本開示の範囲を限定すると考えられるべきでないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の1つまたは複数の実施形態による基板構造の概略図である。
【
図2】本開示の1つまたは複数の実施形態による方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示のいくつかの例示的な実施形態を説明する前に、本開示は、以下の説明に記載される構造またはプロセスステップの詳細に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実践および実行することができる。
【0012】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される「基板」という用語は、プロセスが作用する表面または表面の一部を指す。基板への言及は、文脈が明確にそうでないことを示さない限り、基板の一部のみを指すこともできることも当業者には理解されよう。追加として、基板上に堆積することへの言及は、ベア基板と、1つまたは複数の膜または特徴部が堆積または形成されている基板の両方を意味することができる。
【0013】
本明細書で使用される「基板」は、製造プロセス中に膜処理が実行される基板または基板に形成された材料表面を指す。例えば、処理を実行することができる基板表面は、用途に応じて、シリコン、酸化シリコン、ストレインドシリコン、シリコンオンインシュレータ(SOI)、炭素ドープ酸化シリコン、アモルファスシリコン、ドープシリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、サファイアなどの材料、ならびに金属、金属窒化物、合金、および他の導電性材料などの任意の他の材料を含む。基板は、限定はしないが、半導体ウエハを含む。基板は、基板表面の研磨、エッチング、還元、酸化、ヒドロキシル化、アニール、UV硬化、電子ビーム硬化、および/またはベークを行うために、前処置プロセスに曝露されてもよい。基板自体の表面に直接膜処理することに加えて、本開示では、開示される膜処理ステップのうちのいずれかは、以下でより詳細に開示するように、さらに、基板上に形成された下層に実行されてもよく、「基板表面」という用語は、文脈が示すように、そのような下層を含むように意図される。したがって、例えば、膜/層または部分的な膜/層が基板表面上に堆積された場合、新しく堆積された膜/層の曝露表面が基板表面になる。
【0014】
本開示の1つまたは複数の実施形態は、有利には、より広い範囲の構造タイプおよび選択性窓のために基板を前洗浄するための方法を提供する。いくつかの実施形態は、有利には、低温プラズマペデスタルによる低温処置を提供し、それは、プラズマ存在下での前洗浄中に室温から零下温度で安定した温度窓を提供することができる。本明細書のプロセスにより、有利には、誘電体選択性が改善され、不純物除去能力が維持されるとともに、金属酸化(好ましくない)が抑制される。その後、金属堆積の選択性が改善される。1つまたは複数の実施形態では、タングステン(W)堆積の選択性は、酸素プラズマ、具体的には、直接酸素プラズマの存在下での低温前洗浄の後、改善される。
【0015】
本開示のいくつかの実施形態は、最小限のインキュベーションで開始するために清浄表面を必要とするコンタクトまたはビア底部における選択的な金属堆積プロセスのための方法を提供する。いくつかの実施形態では、選択的堆積プロセスを妨げ、著しいインキュベーション遅延を引き起こすことがある、限定はしないが、金属酸化物/金属窒化物/金属炭化物などを含む化学残留物および/または不純物が除去される。いくつかの実施形態は、選択的プロセスにとって好ましいコンタクト/ビア構造を保持しながら金属汚染物質を効果的に洗浄することができる。
【0016】
本開示のプロセスは、冷却されたペデスタルを使用する。ペデスタルは、基板の温度を安定させ所望の温度未満に保持するために、プラズマによって生じた熱を消散させることができる冷却機構を含む。1つまたは複数の実施形態では、ペデスタルの冷却機構は、基板の温度を制御するために熱交換流体が流れる熱交換チャネル(図示せず)とすることができる。例示的な熱交換流体は、エチレングリコールまたは水である。1つまたは複数の実施形態では、ペデスタルは、高周波(RF)能力を含む。
【0017】
1つまたは複数の実施形態では、ペデスタルの温度は、-20℃以上から85℃以下、60℃以下、40℃以下、35℃以下、ならびにそれら間のすべての値および部分範囲を含む100℃以下に設定される。1つまたは複数の実施形態では、冷却されたペデスタルは、高周波(RF)能力を有する。プロセス中に、基板をプラズマ処置に曝露して、金属底部、誘電体側壁、および/または誘電体のフィールドから化学残留物および/または不純物を除去し、ならびに/または誘電体側壁および/もしくは誘電体のフィールドの表面欠陥を修復する。1つまたは複数の実施形態では、プラズマ処置は、酸素プラズマを含む。1つまたは複数の実施形態では、酸素プラズマは、直接プラズマである。1つまたは複数の実施形態では、プラズマ処置は、水素プラズマ、例えば、直接水素プラズマをさらに含む。
【0018】
例示的な非限定の実施形態において、洗浄プロセスシーケンスは、以下のステップを含む。(1)処理チャンバ内の高周波(RF)対応ペデスタルの温度を-20℃~100℃の範囲に設定および維持するステップ。(2)処理チャンバ内で基板の直接プラズマ処置を行うステップ、ここで、プラズマは水素を含む。水素プラズマは、主な金属汚染物質を還元する(すなわち、金属酸化物および金属窒化物を純金属に還元する)ためのものである。(3)処理チャンバ内で基板の直接プラズマ処置を行うステップ、ここで、プラズマは酸素を含む。このステップにおいて、酸化プロセスは、残留金属窒化物を酸化物に変換することができ(この酸化物は次のステップにおいて純金属に還元することができる)、および/または初期の水素プラズマプロセス中に損傷された可能性がある側壁および上部フィールド誘電体材料(酸化物および窒化物)を酸化させることができる。いくつかの実施形態では、酸化プロセスは、強力な酸化で誘電体表面を修復し、選択的金属堆積のための高い選択性を維持する。酸素処置は、さらに、炭素/有機ベース残留物による汚染を低減することができる。酸素プラズマ曝露の間、200W以上600W以下を含む0W以上1000W以下の範囲で、それらの間のすべての値および範囲を含むバイアスが、基板に印加される。このプロセスの1つの利点は、高電力および低温のO2処置が、強力な誘電体回復および弱い金属酸化を提供することである。
【0019】
1つまたは複数の実施形態では、冷却されたペデスタル上の基板をプラズマ処置に曝露すると、基板が処置または洗浄される。1つまたは複数の実施形態では、基板は、少なくとも1つの特徴部を含む。少なくとも1つの特徴部は、限定はしないが、トレンチ、ビア、またはピークを含む、当業者に知られている任意の特徴部を含むことができる。遠隔プラズマおよび/または直接プラズマに基板を曝露することにより、基板が処置または洗浄される実施形態では、処置または洗浄は、例えば、前の処理からの残留物、および/または自然酸化物のうちの1つまたは複数を除去する。
【0020】
実験が示したところによれば、強い誘電体回復が、温度にかかわらず、高い電力(例えば、低温酸素プラズマ処置中に200W~600W)で生じた。さらに、実験が示したところによれば、弱い金属酸化が、電力にかかわらず、低温(例えば、酸素プラズマ処置中に100℃、60℃、または35℃)で生じた。
【0021】
図1は、1つまたは複数の実施形態に従って使用されるコンタクト構造を示す。
図1に示された基板100は、第1の材料102および第2の材料104によって境界をつけられた構造130を含む。図示の実施形態の底部132および側面134を含む構造130は、ビアまたはトレンチである。この構造は、第1の材料102によって底部132に境界をつけられ、第1の材料102と異なる第2の材料104によって側面134に境界をつけられる。いくつかの実施形態の第1の材料102は、構造の金属底部115を形成する金属110を含む。金属110は、限定はしないが、タングステン(W)、コバルト(Co)、および/またはルテニウム(Ru)を含む任意の適切な金属とすることができる。第1の材料102、およびいくつかの実施形態の構造130の底部132は、非金属を含む。適切な非金属は、限定はしないが、金属窒化物(例えば、窒化チタン(TiN))、金属シリサイド(例えば、チタニウムシリサイド(TiSi))、またはケイ素(Si)を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるとき、下付き添字によって特に指定されない限り、化学式は、元素の同一性を表し、特定の化学量論比を暗示するものではない。例えば、窒化チタン(TiN)膜は、チタン原子およびチッ素原子の任意の適切な組合せを有することができ、単一関係に限定されない。
【0022】
いくつかの実施形態では、第2の材料104は、誘電体120を含む。構造130の側壁134は、誘電体120の側壁122によって形成される。第2の材料104の上面106は、フィールドとも呼ばれる。いくつかの実施形態では、第2の材料104は、側壁122およびフィールド124をもつ誘電体120を含む。誘電体120は、限定はしないが、酸化ケイ素(SiO)、二酸化ケイ素(SiO2)、窒化ケイ素(SiN)、酸窒化ケイ素(SiON)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(AlO)、または高誘電率誘電体材料を含む適切な材料とすることができる。いくつかの実施形態では、第2の材料104は、ハードマスク材料(例えば、炭素(C))を含む。
【0023】
図2は、選択的堆積の前に基板を前洗浄するための1つまたは複数の実施形態による方法200を示す。いくつかの実施形態の表面汚染物質は、酸素、窒素、炭素、またはハロゲン(例えば、フッ素、塩素、臭素、もしくはヨウ素)のうちの1つまたは複数を含む。いくつかの実施形態では、汚染物質は、有機化合物を含む。
【0024】
操作202において、基板が、オプションとして、処理チャンバ内のペデスタル上に配置される。操作204において、冷却機構を含むペデスタルが冷却される。ペデスタルの1つまたは複数の実施形態は、高周波(RF)能力を含む。ペデスタルの温度は、85℃以下、60℃以下、および35℃以下を含む100℃未満に保持される。操作206において、基板はプラズマ処置に曝露される。プラズマ処置は、酸素プラズマ、例えば、直接酸素プラズマを含む。オプションとして、プラズマ処置は、水素プラズマ、例えば、直接水素プラズマをさらに含む。
【0025】
1つまたは複数の実施形態では、基板は、酸素プラズマへの曝露の間、-20℃~100℃の範囲の温度に維持される。
【0026】
いくつかの実施形態では、酸素プラズマは、容量結合プラズマ(CCP)である。いくつかの実施形態では、酸素(O2)プラズマは、高密度高エネルギープラズマである。いくつかの実施形態では、低エネルギープラズマは、100ワット以上600ワット以下の電力を有する。
【0027】
いくつかの実施形態では、酸素プラズマは、1トール~30トールの範囲の圧力を有する。
【0028】
いくつかの実施形態では、水素(H2)プラズマは、容量結合プラズマ(CCP)である。いくつかの実施形態では、H2プラズマは、低エネルギープラズマである。
【0029】
いくつかの実施形態では、水素プラズマは、1トール~30トールの範囲の圧力を有する。
【0030】
操作206の後、次いで、基板は、選択的金属堆積のためにさらに処理することができる。1つまたは複数の実施形態では、洗浄プロセスの後、基板を少なくとも1つの前駆体に曝露して、基板上に金属膜を選択的に形成させる。1つまたは複数の実施形態では、この方法は、プラズマ化学気相堆積(PECVD)プロセスまたはプラズマ原子層堆積プロセス(PEALD)と関連して、基板を少なくとも1つの前駆体に曝露して、基板上に膜を堆積させることをさらに含む。当業者に知られている適切な前駆体を使用して、基板上に膜を形成することができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、
図2に示される前洗浄方法は、残留物を効率的に洗浄し、後続の堆積プロセスの選択性を強化する。
【0032】
様々なハードウェア構成を使用して、方法200を実施することができる。いくつかの実施形態では、表面洗浄のために、1つまたは2つのチャンバを適用して、複数のプロセスを達成することができる。チャンバは、異なるガス核種によるO2/H2プラズマ処置のために使用することができる。いくつかの実施形態におけるH2およびO2処置は、1つのチャンバ内で実行される。
【0033】
本開示の追加の実施形態は、本明細書に記載される方法を実行するための処理システムに関する。
【0034】
一般に、クラスタツールは、基板の中心検出および配向、ガス抜き、アニーリング、堆積、および/またはエッチングを含む様々な機能を実行する多数のチャンバを含むモジュールシステムである。1つまたは複数の実施形態によれば、クラスタツールは、少なくとも第1のチャンバと、中央移送チャンバとを含む。中央移送チャンバは、処理チャンバとロードロックチャンバとの間で基板を往復させることができるロボットを収容することができる。移送チャンバは、一般に、真空状態に維持され、あるチャンバと、別のチャンバ、および/またはクラスタツールの前端に位置付けられたロードロックチャンバとの間で基板を往復させるための中間段階を提供する。本開示に適合することができる2つのよく知られているクラスタツールは、Centura(登録商標)およびEndura(登録商標)であり、両方ともカリフォルニア州、サンタクララのApplied Materials, Inc.から入手可能である。しかしながら、チャンバの正確な構成および組合せは、本明細書に記載されているようなプロセスの特定の一部を実行するために変更されてもよい。使用することができる他の処理チャンバは、限定はしないが、周期的層堆積(CLD)、原子層堆積(ALD)、化学気相堆積(CVD)、物理的気相堆積(PVD)、エッチング、前洗浄、化学洗浄、RTPなどの熱処理、プラズマ窒化、ガス抜き、配向、ヒドロキシル化、および他の基板プロセスを含む。クラスタツールのチャンバ内でプロセスを行うことによって、大気不純物による基板の表面汚染は、後続の膜を堆積させる前に酸化させることなく、避けることができる。
【0035】
少なくとも1つのコントローラが、第1のチャンバおよび中央移送チャンバの一方または両方に結合され得る。いくつかの実施形態では、個々のチャンバまたはステーションに接続された2つ以上のコントローラがあり、一次制御プロセッサが、システムを制御するために別個のプロセッサの各々に結合される。コントローラは、様々なチャンバおよびサブプロセッサを制御するための工業環境で使用することができる任意の形態の汎用コンピュータプロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサなどのうちの1つとすることができる。
【0036】
少なくとも1つのコントローラは、プロセッサと、プロセッサに結合されたメモリと、プロセッサに結合された入力/出力デバイスと、異なる電子構成要素間の通信のためのサポート回路とを有することができる。メモリは、一時的メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ)および非一時的メモリ(例えば、ストレージ)のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0037】
プロセッサのメモリまたはコンピュータ可読媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、または他の形態のローカルもしくはリモートのデジタルストレージなどの容易に利用可能なメモリのうちの1つまたは複数とすることができる。メモリは、システムのパラメータおよび構成要素を制御するためにプロセッサ952によって動作可能な命令セットを保持することができる。サポート回路は、従来の方法でプロセッサをサポートするためにプロセッサに結合される。回路は、例えば、キャッシュ、電源、クロック回路、入力/出力回路、サブシステムなどを含むことができる。
【0038】
プロセスは、一般に、プロセッサによって実行されたとき、プロセスチャンバに本開示のプロセスを実行させるソフトウェアルーチンとしてメモリに格納することができる。ソフトウェアルーチンはまた、プロセッサによって制御されているハードウェアから遠隔に配置された第2のプロセッサによって格納および/または実行されてもよい。本開示の方法の一部またはすべては、ハードウェアで実行することもできる。そのため、プロセスは、ソフトウェアで実装され、コンピュータシステムを使用して、例えば、特定用途向け集積回路もしくは他のタイプのハードウェア実施態様としてのハードウェアで、またはソフトウェアとハードウェアの組合せとして実行されてもよい。ソフトウェアルーチンは、プロセッサによって実行されると、汎用コンピュータを、プロセスが実行されるようにチャンバ動作を制御する特定目的コンピュータ(コントローラ)に変換する。
【0039】
いくつかの実施形態では、コントローラは、方法を実行するために個々のプロセスまたはサブプロセスを実行するための1つまたは複数の構成を有する。コントローラは、方法の機能を実行するために、中間構成要素に接続され、それを操作するように構成することができる。例えば、コントローラは、ガスバルブ、アクチュエータ、モータ、スリットバルブ、真空制御部などのうちの1つまたは複数に接続され、それを制御するよう構成することができる。
【0040】
いくつかの実施形態のコントローラは、複数の処理チャンバと計測ステーションとの間で基板をロボットによって移動させるための構成、基板をシステムにロードする、および/または基板をシステムからアンロードするための構成、中央移送ステーションと処理チャンバとの間で基板を移動させるための構成から選択された1つまたは複数の構成を有する。
【0041】
1つまたは複数の実施形態は、処理チャンバのコントローラによって実行されたとき、第1の処理チャンバ内のペデスタル上に基板を位置付ける操作であって、ペデスタルが冷却機構を含む、位置付ける操作と、第1の処理チャンバ内で基板をプラズマ処置に曝露する操作と、ペデスタルの温度を100℃以下に設定する操作とを処理チャンバに実行させる命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体に関する。1つまたは複数の実施形態では、非一時的コンピュータ可読媒体は、処理チャンバのコントローラによって実行されたとき、基板上に膜を形成するために基板を少なくとも1つの前駆体に曝露する操作を処理チャンバに実行させる命令を含む。
【0042】
本明細書の全体を通して、「1つの実施形態」、「ある実施形態」、「1つまたは複数の実施形態」、または「一実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、材料、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書の全体にわたる様々な場所における「1つまたは複数の実施形態において」、「ある実施形態において」、「1つの実施形態において」、または「一実施形態において」などの語句の出現は、必ずしも本開示の同じ実施形態を指していない。その上、特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つまたは複数の実施形態において適切な方法で組み合わされてもよい。
【0043】
本明細書の本開示が特定の実施形態を参照して説明されたが、当業者は、記載された実施形態が本開示の原理および用途の単なる例示であることを理解するであろう。本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、本開示の方法および装置に様々な変形および変更を行うことができることは当業者には明らかであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内にある変形および変更を含むことができる。