(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】発光装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/08 20100101AFI20240712BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20240712BHJP
【FI】
H01L33/08
H01L33/62
(21)【出願番号】P 2020110567
(22)【出願日】2020-06-26
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】米澤 政樹
【審査官】百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110246953(CN,A)
【文献】特開2011-187616(JP,A)
【文献】特開2010-092903(JP,A)
【文献】国際公開第2012/141031(WO,A1)
【文献】特開2016-015467(JP,A)
【文献】特表2018-536293(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0056219(US,A1)
【文献】特開2013-149898(JP,A)
【文献】特開2011-216886(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装基板と、
第1導電形の第1半導体層、第2導電形の第2半導体層、及び、前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に設けられた第1発光層を含む第1半導体積層体と、
前記第1導電形の第3半導体層、前記第2導電形の第4半導体層、及び、前記第3半導体層と前記第4半導体層との間に設けられた第2発光層を含む第2半導体積層体と、
前記第2半導体層と前記第4半導体層との間に設けられ、前記第2半導体層及び前記第4半導体層と接する光透過性の導電層と、
前記第1半導体積層体に設けられ底面が前記導電層の一部にある第1穴部と、
前記第1半導体積層体、前記導電層、及び、前記第2半導体積層体に設けられ底面が前記第3半導体層の一部にある第2穴部と、
前記第1穴部の側面に設けられた第1絶縁部材と、
前記第2穴部の側面に設けられた第2絶縁部材と、
前記第1絶縁部材を介して前記第1穴部に設けられ、前記導電層と接続された第1導電部材と、
前記第2絶縁部材を介して前記第2穴部に設けられ、前記第3半導体層と接続された第2導電部材と、
前記第1半導体層の表面に設けられ前記第1半導体層と接続された第3導電部材と、
を備え、
前記第1導電部材、前記第2導電部材、及び、前記第3導電部材は、前記実装基板に接合されて
おり、
前記第2導電部材は、
前記第1半導体積層体に囲まれた第1部分と、
前記導電層に囲まれた第2部分と、
を含み、
前記第1半導体層から前記第3半導体層への第1方向に対して垂直な第2方向に沿う前記第2部分の長さは、前記第2方向に沿う前記第1部分の長さよりも長く、
前記第2半導体層と前記第4半導体層の間には、前記導電層、前記第1絶縁部材の一部、前記第2絶縁部材の一部、前記第1導電部材の一部及び前記第2導電部材の一部のみが配置される、発光装置。
【請求項2】
前記第1発光層から出射される光のピーク波長は、前記第2発光層から出射される光のピーク波長と異なる、請求項
1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記実装基板は、第1配線と、前記第1配線と電気的に独立した第2配線と、を含み、
前記第1導電部材と前記第1配線とが接合され、前記第2導電部材と前記第2配線とが接合された、請求項
2に記載の発光装置。
【請求項4】
構造体を準備する工程であって、
第1導電形の第1半導体層、第2導電形の第2半導体層、及び、前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に設けられた第1発光層を含む第1半導体積層体
を準備する工程と、
前記第2半導体層の上に光透過性の第1導電膜を形成する工程と、
前記第1導電形の第3半導体層、前記第2導電形の第4半導体層、及び、前記第3半導体層と前記第4半導体層との間に設けられた第2発光層を含む第2半導体積層体
を準備する工程と、
前記第4半導体層の上に光透過性の第2導電膜を形成する工程と、
前記第1導電膜と前記第2導電膜を接触させて接合し、導電層を形成する工程と、を含む
前記構造体を準備する工程と、
前記第1半導体積層体に、底面が前記導電層の一部にある第1穴部を形成する工程と、
前記第1半導体積層体、前記導電層、及び、前記第2半導体積層体に、底面が前記第3半導体層の一部にある第2穴部を形成する工程と、
前記第1穴部の側面、及び、前記第2穴部の側面に絶縁部材を形成する工程と、
前記第1穴部に前記導電層と接続する第1導電部材と、前記第2穴部に前記第3半導体層と接続する第2導電部材と、前記第1半導体層と接続し前記第1半導体層の表面に設けられた第3導電部材と、を形成する工程と、
前記第1導電部材、前記第2導電部材、及び、前記第3導電部材を実装基板に接合する工程と、
を備え
、
前記第1穴部を形成する前記工程は、前記第1半導体積層体の第1領域を除去することを含み、
前記第2穴部を形成する前記工程は、
前記第1半導体積層体の第2領域を除去して第1穴を形成する工程であって、前記第1穴の底面は前記導電層の一部にある、前記第1穴を形成する前記工程と、
前記導電層の第3領域を除去して前記第1穴と連続する第2穴を形成する工程であって、前記第2穴の底面は前記第4半導体層の一部にある、前記第2穴を形成する前記工程と、
前記第4半導体層の前記一部、及び、前記第2発光層の一部を除去して前記第2穴と連続する第3穴を形成する工程であって、前記第3穴の底面は前記第3半導体層の一部にある、前記第3穴を形成する工程と、
を含み、
前記第2穴部を形成する工程において、前記第2穴の、前記第1半導体層から前記第2半導体層への第1方向に対して垂直な第2方向に沿う長さが、前記第1穴の前記第2方向に沿う長さよりも長くなるように、前記第2穴が形成され、
前記第1穴をドライエッチングにより形成し、前記第2穴をウエットエッチングにより形成し、前記第3穴をドライエッチングにより形成する、発光装置の製造方法。
【請求項5】
前記第2半導体層の表面に凹凸を形成した後、前記第2半導体層の上に前記第1導電膜を形成し、前記第4半導体層の表面に凹凸を形成した後、前記第4半導体層の上に前記第2導電膜を形成し、前記第1導電膜及び前記第2導電膜の表面を平坦化し、前記第1導電膜と前記第2導電膜とを直接接合する、請求項4に記載の発光装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1穴部の形成の少なくとも一部と、前記第1穴の形成の少なくとも一部と、は、同時に行われる、請求項
4または5に記載の発光装置の製造方法。
【請求項7】
前記絶縁部材を形成する前記工程において、前記絶縁部材を原子層堆積法で形成する、請求項
4~
6のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1半導体層に設けられた第1基板を除去する工程をさらに
含み、
前記第1基板を除去する工程は、前記構造体を準備する前記工程の後であって、前記第1穴部を形成する前記工程及び前記第2穴部を形成する前記工程の前に実施される、請求項
4~7のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記第3半導体層に設けられた第2基板を除去する工程をさらに
含み、
前記第2基板を除去する工程は、前記実装基板に接合する前記工程の後に実施される、請求項
4~8のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1において、第1発光層と第2発光層を含む半導体発光素子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の半導体発光素子において、実装面積を小さくすることには改善の余地がある。本発明は、実装面積を小さくすることが可能な発光装置及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、発光装置は、実装基板と、第1導電形の第1半導体層、第2導電形の第2半導体層、及び、前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に設けられた第1発光層を含む第1半導体積層体と、前記第1導電形の第3半導体層、前記第2導電形の第4半導体層、及び、前記第3半導体層と前記第4半導体層との間に設けられた第2発光層を含む第2半導体積層体と、前記第2半導体層と前記第4半導体層との間に設けられ、前記第2半導体層及び前記第4半導体層と接する光透過性の導電層と、前記第1半導体積層体に設けられ底面が前記導電層の一部にある第1穴部と、前記第1半導体積層体、前記導電層、及び、前記第2半導体積層体に設けられ底面が前記第3半導体層の一部にある第2穴部と、前記第1穴部の側面に設けられた第1絶縁部材と、前記第2穴部の側面に設けられた第2絶縁部材と、前記第1絶縁部材を介して前記第1穴部に設けられ、前記導電層と接続された第1導電部材と、前記第2絶縁部材を介して前記第2穴部に設けられ、前記第3半導体層と接続された第2導電部材と、前記第1半導体層の表面に設けられ前記第1半導体層と接続された第3導電部材と、を含む。前記第1導電部材、前記第2導電部材、及び、前記第3導電部材は、前記実装基板に接合されている。
本発明の一態様によれば、発光装置の製造方法は、第1導電形の第1半導体層、第2導電形の第2半導体層、及び、前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に設けられた第1発光層を含む第1半導体積層体と、前記第1導電形の第3半導体層、前記第2導電形の第4半導体層、及び、前記第3半導体層と前記第4半導体層との間に設けられた第2発光層を含む第2半導体積層体と、前記第2半導体層と前記4半導体層との間に設けられ、前記第2半導体層及び前記第4半導体層と接する光透過性の導電層と、を含む構造体を準備する工程と、前記第1半導体積層体に底面が前記導電層の一部にある第1穴部を形成する工程と、前記第1半導体積層体、前記導電層、及び、前記第2半導体積層体に底面が前記第3半導体層の一部にある第2穴部を形成する工程と、前記第1穴部の側面、及び、前記第2穴部の側面に絶縁部材を形成する工程と、前記第1穴部に前記導電層と接続する第1導電部材と、前記第2穴部に前記第3半導体層と接続する第2導電部材と、前記第1半導体層と接続し前記第1半導体層の表面に設けられた第3導電部材と、を形成する工程と、前記第1導電部材、前記第2導電部材、及び、前記第3導電部材を実装基板に接合する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様によれば、実装面積を小さくすることが可能な発光装置及びその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】
図1Aは、第1実施形態に係る発光装置を例示する模式的断面図である。
【
図1B】
図1Bは、第1実施形態に係る発光装置を例示する模式的上面図である。
【
図1C】
図1Cは、第1実施形態に係る発光装置を例示する模式的断面図である。
【
図2A】
図2Aは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法の一工程を例示する模式的断面図である。
【
図2B】
図2Bは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法の一工程を例示する模式的上面図である。
【
図2C】
図2Cは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法の一工程を例示する模式的断面図である。
【
図3A】
図3Aは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法の一工程を例示する模式的断面図である。
【
図3B】
図3Bは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法の一工程を例示する模式的上面図である。
【
図3C】
図3Cは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法の一工程を例示する模式的断面図である。
【
図4A】
図4Aは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法の一工程を例示する模式的断面図である。
【
図4B】
図4Bは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法の一工程を例示する模式的上面図である。
【
図4C】
図4Cは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法の一工程を例示する模式的断面図である。
【
図5A】
図5Aは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法の一工程を例示する模式的断面図である。
【
図5B】
図5Bは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法の一工程を例示する模式的上面図である。
【
図5C】
図5Cは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法の一工程を例示する模式的断面図である。
【
図6A】
図6Aは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法の一工程を例示する模式的断面図である。
【
図6B】
図6Bは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法の一工程を例示する模式的上面図である。
【
図6C】
図6Cは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法の一工程を例示する模式的断面図である。
【
図7A】
図7Aは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法の一工程を例示する模式的断面図である。
【
図7B】
図7Bは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法の一工程を例示する模式的上面図である。
【
図7C】
図7Cは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法の一工程を例示する模式的断面図である。
【
図8A】
図8Aは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法の一工程を例示する模式的断面図である。
【
図8B】
図8Bは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法の一工程を例示する模式的上面図である。
【
図8C】
図8Cは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法の一工程を例示する模式的断面図である。
【
図9A】
図9Aは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法の一工程を例示する模式的断面図である。
【
図9B】
図9Bは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法の一工程を例示する模式的上面図である。
【
図9C】
図9Cは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法の一工程を例示する模式的断面図である。
【
図10A】
図10Aは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法の一工程を例示する模式的断面図である。
【
図10B】
図10Bは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法の一工程を例示する模式的上面図である。
【
図10C】
図10Cは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法の一工程を例示する模式的断面図である。
【
図11A】
図11Aは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法の一工程を例示する模式的断面図である。
【
図11B】
図11Bは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法の一工程を例示する模式的上面図である。
【
図11C】
図11Cは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法の一工程を例示する模式的断面図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態に係る発光装置の製造方法の工程を例示するフローチャートである。
【
図13】
図13は、第1実施形態に係る発光装置の変形例を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0009】
【0010】
図1A~
図1Cに示すように、第1実施形態に係る発光装置110は、実装基板60、第1半導体積層体10A、第2半導体積層体10B、導電層30、第1絶縁部材81、第2絶縁部材82、第1導電部材51、第2導電部材52、及び、第3導電部材53を含む。第1半導体積層体10A、第2半導体積層体10B、及び、導電層30は、構造体18に含まれる。構造体18は、第1穴部18ha及び第2穴部18hbを含む。
【0011】
第1半導体積層体10Aは、第1半導体層11、第2半導体層12及び第1発光層11Eを含む。第1発光層11Eは、第1半導体層11と第2半導体層12との間に設けられる。第1半導体層11は、第1導電形を有する。第2半導体層12は、第2導電形を有する。第1導電形は、n形及びp形の一方である。第2導電形は、n形及びp形の他方である。以下では、第1導電形がn形であり、第2導電形がp形とする。
【0012】
第2半導体積層体10Bは、第3半導体層13、第4半導体層14及び第2発光層12Eを含む。第2発光層12Eは、第3半導体層13と第4半導体層14との間に設けられる。第3半導体層13は、第1導電形である。第4半導体層14は、第2導電形である。
【0013】
導電層30は、第2半導体層12と第4半導体層14との間に設けられる。導電層30は、第2半導体層12及び第4半導体層14と接する。導電層30は、光透過性である。導電層30は、第2半導体層12及び第4半導体層14と電気的に接続される。
【0014】
例えば、実装基板60の上に、第1半導体層11が設けられる。第1半導体層11の上に第1発光層11Eが設けられる。第1発光層11Eの上に第2半導体層12が設けられる。第2半導体層12の上に導電層30が設けられる。導電層30の上に第4半導体層14が設けられる。第4半導体層14の上に第2発光層12Eが設けられる。第2発光層12Eの上に第3半導体層13が設けられる。
【0015】
第1半導体層11から第3半導体層13への方向を第1方向とする。第1方向は、第1半導体積層体10A、導電層30、及び、第2半導体積層体10Bの積層方向に対応する。
【0016】
第1方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの方向をX軸方向とする。Z軸方向及びX軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。
【0017】
第1半導体層11、第2半導体層12、第1発光層11E、第3半導体層13、第4半導体層14、及び、第2発光層12Eは、X-Y平面に対して実質的に平行である。
【0018】
図1Aに示すように、第1穴部18haは、第1半導体積層体10Aに設けられる。第1穴部18haの底面18haBは、導電層30の一部にある。例えば、第1穴部18haは、第1半導体積層体10A、及び、導電層30の一部に設けられる。
【0019】
図1Cに示すように、第2穴部18hbは、第1半導体積層体10A、導電層30、及び、第2半導体積層体10Bに設けられる。第2穴部18hbの底面18hbBは、第3半導体層13の一部にある。例えば、第2穴部18hbは、第1半導体積層体10A、導電層30、及び、第2半導体積層体10Bの一部に設けられる。
【0020】
図1A及び
図1Cに示すように、第1絶縁部材81は、第1穴部18haの側面18hasに設けられる。
図1Cに示すように、第2絶縁部材82は、第2穴部18hbの側面18hbsに設けられる。
【0021】
図1A及び
図1Cに示すように、第1導電部材51は、第1絶縁部材81を介して第1穴部18haに設けられる。第1導電部材51は、導電層30と接続される。第1絶縁部材81は、第1導電部材51と、第1半導体積層体10Aと、の間、及び、第1導電部材51と、導電層30の一部と、の間に、設けられる。第1絶縁部材81は、第1導電部材51と第1半導体層11との間、及び、第1導電部材51と第1発光層11Eとの間を電気的に絶縁する。第1導電部材51は、第2半導体層12または導電層30に接続される。この例では、第1導電部材51の底部51Tは、導電層30と接する。
【0022】
図1Cに示すように、第2導電部材52は、第2絶縁部材82を介して第2穴部18hbに設けられる。第2導電部材52は、第3半導体層13と接続される。第2絶縁部材82は、第2導電部材52と、第1半導体積層体10Aと、の間、第2導電部材52と、導電層30と、の間、及び、第2導電部材52と、第2半導体積層体10Bの一部と、の間に、設けられる。第2絶縁部材82は、第2導電部材52と第1半導体積層体10Aとの間、及び、第2導電部材52と導電層30との間を電気的に絶縁する。第2導電部材52は、第3半導体層13と接続される。この例では、第2導電部材52の底部52Tは、第3半導体層13と接する。
【0023】
図1Aに示すように、第3導電部材53は、第1半導体層11の表面11fに設けられ、第1半導体層11と接続される。
【0024】
第1導電部材51、第2導電部材52、及び、第3導電部材53は、実装基板60に接合されている。
【0025】
例えば、
図1A~
図1Cに示すように、実装基板60は、基板部60s、第1配線61、第2配線62及び第3配線63を含む。第1配線61、第2配線62及び第3配線63は、基板部60sの第1面60fに設けられる。基板部60sの第1面60fは絶縁性を有する。
【0026】
図1A及び
図1Cに示すように、例えば、Z軸方向において、第1配線61と導電層30との間に第1導電部材51が設けられる。
図1Cに示すように、例えば、Z軸方向において、第2配線62と第3半導体層13との間に第2導電部材52が設けられる。
図1Aに示すように、例えば、Z軸方向において、第3配線63と第1半導体層11との間に第3導電部材53が設けられる。第1導電部材51は、第1配線61と電気的に接続される。第2導電部材52は、第2配線62と電気的に接続される。第3導電部材53は、第3配線63と電気的に接続される。第1導電部材51と第1配線61、第2導電部材52と第2配線62、及び、第3導電部材53と第3配線63は、例えば、金属からなる導電性ペーストなどの接合部材を介して接合されていてもよい。このように、導電層30と接続された第1導電部材51、第3半導体層13と接続された第2導電部材52、及び、第1半導体層11と接続された第3導電部材53が、実装基板60に接合されていることにより、実装面積を小さくすることができる。
【0027】
第3配線63と第1配線61との間に流れる電流(第1電流)が第1半導体積層体10Aを流れ、第1発光層11Eから光が出射する。第2配線62と第1配線61との間に流れる電流(第2電流)が第2半導体積層体10Bを流れ、第2発光層12Eから光が出射する。このように、Z軸方向で重なる領域に複数の発光層があることで、発光層が1層の半導体積層体をX-Y平面に沿って並べて複数配置したときと比較して、小さい面積であり、且つ、単位面積当たりの発光強度を強い発光強度にすることができる。
【0028】
第1実施形態において、第1発光層11Eから出射される光(第1光)のピーク波長は、第2発光層12Eから出射される光(第2光)のピーク波長と異なる。例えば、第1光の色は、第2光の色と異なる。第1光の色は、例えば、緑色である。第2光の色は、例えば、青色である。第1光のピーク波長は、例えば、490nm以上580nm以下である。第2光のピーク波長は、例えば、430nm以上490nm以下である。なお、第1光のピーク波長は、第2光のピーク波長と実質的に同じでもよく、実質的に同じとは、例えば5nm以内の波長の差を意味する。
【0029】
第1実施形態においては、互いに異なる色を出射する第1半導体積層体10A及び第2半導体積層体10Bが積層される。例えば、第1半導体積層体10Aの第1発光層11Eから出射した第1光は、導電層30及び第2半導体積層体10Bを通過して、外部に出射する。第1光は、第2半導体積層体10Bの第2発光層12Eから出射した第2光と混合して出射される。第1実施形態に係る発光装置110によれば、互いに異なる色を出射する複数の半導体積層体がZ軸方向に積層されていることで、半導体積層体をX-Y平面に沿って並べて複数配置したときと比較して、小さい実装面積であり、且つ、高い混色性が得られる。
【0030】
第1実施形態において、導電層30が例えば、ITO(Indium Tin Oxide)からなる場合、第1発光層11Eから出射される光(第1光)のピーク波長は、第2発光層12Eから出射される光(第2光)のピーク波長よりも長くすることができる。ITOは、緑色光よりも、青色光を吸収しにくい。従って、第1光が緑色光である場合、導電層30を通過する際に、第1光が導電層30で吸収されることが抑制され、主な光取り出し方向が第1半導体層11から第3半導体層13に向かう方向である場合、光の損失が抑制され、高い効率(例えば高い光取り出し効率)が得られ易い。
【0031】
図1Cに示すように、第2配線62は、第3配線63と離れており、電気的に独立している。例えば、第2導電部材52と第2配線62とが接合される。第3導電部材53と第3配線63とが接合される。例えば、第3配線63と第1配線61との間に流れる電流(第1電流)は、第2配線62と第1配線61との間に流れる電流(第2電流)と独立して制御できる。これにより、第1光の強度を、第2光の強度から独立して、制御できる。第1光の強度を、第2光の強度から独立して制御できるため、第1光のピーク波長と第2光のピーク波長が異なる場合、容易に調光することができる。従って、光の色を多様に制御できる。
【0032】
図1Cに示すように、第2導電部材52は、第1部分52aと、第2部分52bと、を含む。第1部分52aは、X-Y平面において、第1半導体積層体10Aに囲まれる。第2部分52bは、X-Y平面において、導電層30に囲まれる。例えば、第1部分52aから第1発光層11Eへの方向は、Z軸方向と交差する。例えば、第2部分52bから導電層30への方向は、Z軸方向と交差する。
【0033】
図1Cに示すように、第1半導体層11から第3半導体層13への第1方向(Z軸方向)に対して垂直な第2方向に沿う第1部分52aの長さを長さL1とする。第2方向に沿う第2部分52bの長さを長さL2とする。長さL1は、第1部分52aの太さ(例えば幅)に対応する。長さL2は、第2部分52bの太さ(例えば幅)に対応する。第2方向は、例えば、X-Y平面に沿う任意の方向である。例えば、第1部分52aの太さは、第1部分52aのX-Y平面における断面形状が四角形の場合その四角形の一辺の長さであり、第1部分52aのX-Y平面における断面形状が円形の場合はその円形の直径の長さである。また、例えば、第2部分52bの太さは、第2部分52bのX-Y平面における断面形状が四角形の場合その四角形の一辺の長さであり、第2部分52bのX-Y平面における断面形状が円形の場合はその円形の直径の長さである。
図1Cに示すように、第1部分52a及び第2部分52bのX-Y平面における断面形状が、角が丸まった四角形の場合、第1部分52a及び第2部分52bの太さは、四角形の各辺の延長線が交差することで形成される仮想的な四角形の一辺の長さである。
【0034】
例えば、第2導電部材52のすべての部分を太くすると、低い電気抵抗が得られるが、第1発光層11Eの面積が小さくなり発光面積が減少する。従って、長さL2は長さL1よりも長くすることで、長さL1と長さL2とが同じ場合と比べて、電気抵抗の増加を抑えつつ、第1発光層11Eの面積の減少を抑えることができる従って、第1実施形態において、長さL2は、長さL1よりも長いことが好ましい。
【0035】
図1Cに示すように、第2導電部材52は第3部分52cをさらに含んでも良い。第3部分52cは、X-Y平面において、第2半導体積層体10Bに囲まれる。例えば、第3部分52cから第2発光層12Eへの方向は、Z軸方向と交差する。例えば、第1方向(Z軸方向)に対して垂直な第2方向に沿う第3部分52cの長さを長さL3とする。長さL3は、第3部分52cの太さ(例えば幅)に対応する。第1実施形態において、長さL2は、長さL3と実質的に同じでも良い。
【0036】
長さL2と長さL1との差は、例えば、0.1μm以上10μm以下である。長さL2と長さL3との差は、例えば、0.1μm以上10μm以下である。
【0037】
絶縁部材80Fは、第1絶縁部材81及び第2絶縁部材82を有し、例えば、酸化金属(酸化シリコンを含む)を含む。1つの例において、絶縁部材80Fは、誘電体多層膜を含んでも良い。誘電体多層膜においては、互いに異なる屈折率を有する複数の種類の誘電体膜が積層される。絶縁部材80Fを誘電体多層膜とすることで、高い絶縁性と、高い光反射率と、が得ることができる。
【0038】
第1実施形態において、
図1Cに示すように、第1絶縁部材81は、第2絶縁部材82と連続しても良い。例えば、第1絶縁部材81及び第2絶縁部材82となる絶縁部材80Fの一部が、第1半導体層11の表面11fに連続して設けられることで、絶縁部材80Fは、第1半導体層11を保護できる。その結果、信頼性が高い発光装置110が得られる。
【0039】
図1A及び
図1Cに示すように、第2半導体層12の導電層30と接する面に、凹凸12dpが設けられても良い。さらに、第4半導体層14の導電層30と接する面に、凹凸14dpが設けられても良い。凹凸12dp及び凹凸14dpの算術平均粗さRaは、例えば、0.1μm以上3μm以下であり、好ましくは0.2μm以上1μm以下である。凹凸12dp及び凹凸14dpが設けられることにより、例えば、全反射による損失が抑制され、光の取り出し効率が向上する。
【0040】
第1実施形態において、第1半導体層11、第2半導体層12、第3半導体層13、及び、第4半導体層14は、例えば、Alx1Iny1Ga1-x1-y1N(0≦x1≦1,0≦y1≦1,x1+y1≦1)なる化学式において組成比x1及びy1をそれぞれの範囲内で変化させたいずれの組成の半導体を含んでもよい。第1発光層11E及び第2発光層12Eは、例えば、Alx2Iny2Ga1-x2-y2N(0≦x2≦1,0≦y2≦1,x2+y2≦1)なる化学式において組成比x2及びy2をそれぞれの範囲内で変化させたいずれの組成の半導体を含んでもよい。導電層30は、導電性酸化物が好適である。導電性酸化物としては、例えば、ZnO、In2O3、ITO、SnO2、MgOが挙げられる。特にITOは、可視光(可視領域)において高い光透過性を有し、導電率の高い材料であることから好ましい。第1導電部材51、第2導電部材52及び第3導電部材53は、例えば、Au、Ag、Cu、Rh、Pt、Ru、Ni、Sn、Ti、Alなどを含む。第1配線61、第2配線62及び第3配線63は、例えば、Au、Ag、Cu、Rh、Pt、Ru、Ni、Sn、Ti、Alなどを含む。実装基板60の基板部60sは、例えば、サファイア、シリコン、ガラス、などが挙げられる。これらの材料は例であり、第1実施形態において、発光装置110に含まれる材料は、種々の変形が可能である。
【0041】
【0042】
図12に示すように、第2実施形態に係る発光装置の製造方法は、構造体18を準備する工程(ステップS110)と、第1穴部18haを形成する工程(ステップS120)と、第2穴部18hbを形成する工程(ステップS130)と、絶縁部材を形成する工程(ステップS140)と、導電部材を形成する工程(ステップS150)と、接合工程(ステップS160)と、を含む。
【0043】
構造体18を準備する工程(ステップS110)では、例えば、第1半導体積層体10A、第2半導体積層体10B、及び、導電層30を含む構造体18を準備する。
図4A~
図4Cに例示するように、第1半導体積層体10Aは、第1導電形の第1半導体層11、第2導電形の第2半導体層12、及び、第1半導体層11と第2半導体層12との間に設けられた第1発光層11Eを含む。第2半導体積層体10Bは、第1導電形の第3半導体層13、第2導電形の第4半導体層14、及び、第3半導体層13と第4半導体層14との間に設けられた第2発光層12Eを含む。導電層30は、第2半導体層12と第4半導体層14との間に設けられ、第2半導体層12及び第4半導体層14と接する。導電層30は、光透過性である。
【0044】
構造体18を準備する工程(ステップS110)は、
図2A~
図2C、及び、
図3A~
図3Cに例示する工程を含んでも良い。
図2A~
図2Cに例示するように、構造体18を準備する工程は、第1積層体18Aを準備する工程と、第2積層体18Bを準備する工程と、を含む。第1積層体18Aは、第1半導体積層体10Aと、第2半導体層12の表面に設けられた第1導電膜31と、を含む。第2積層体18Bは、第2半導体積層体10Aと、第4半導体層14の表面に設けられた第2導電膜32と、を含む。
【0045】
この例では、第1積層体18Aは、第1基板10AS、第1半導体積層体10A及び第1導電膜31を含む。第1基板10ASと第1導電膜31との間に第1半導体積層体10Aが設けられる。この例では、第2積層体18Bは、第2基板10BS、第2半導体積層体10B及び第2導電膜32を含む。第2基板10BSと第2導電膜32との間に第2半導体積層体10Bが設けられる。例えば、第1導電膜31と第2導電膜32とが互いに対向するように配置される。
【0046】
第1基板10AS及び第2基板10BSは、成長用基板である。第1基板10AS及び第2基板10BSは、例えば、シリコン基板、または、サファイア基板などが挙げられる。
【0047】
例えば、第1基板10ASの上に、第1半導体層11、第1発光層11E及び第2半導体層12をこの順で成長させる。例えば、第2半導体層12の表面に凹凸12dpを形成する。この後、第2半導体層12の上に、第1導電膜31を形成する。
【0048】
例えば、第2基板10BSの上(
図2A及び
図2Cでは下)に、第3半導体層13、第2発光層12E及び第4半導体層14をこの順で成長させる。例えば、第4半導体層14の表面に凹凸14dpを形成する。この後、第4半導体層14の上(
図2A及び
図2Cでは下)に、第2導電膜32を形成する。
【0049】
第1導電膜31及び第2導電膜32は、例えば、光透過性である。第1導電膜31及び第2導電膜32は、例えば、ITOなどを含む。例えば、第1導電膜31及び第2導電膜32となるITO膜を形成し、このITO膜の表面をCMP(chemical mechanical polishing)などで処理して平坦化する。
【0050】
第1積層体18A及び第2積層体18Bを、第1導電膜31と第2導電膜32とが互いに対向するように配置し、第1導電膜31と第2導電膜32とを接合する。このように、構造体18を準備する工程(ステップS110)は、第1導電膜31と第2導電膜32とを互いに接合する工程をさらに含んでも良い。第1導電膜31と第2導電膜32とを互いに接合する方法としては、例えば、直接接合が挙げられる。接合された第1導電膜31及び第2導電膜32により、導電層30が形成される(
図3A及び
図3C参照)。第1導電膜31は、導電層30の一部であり、第2導電膜32は、導電層30の別の一部である。
【0051】
この後、第1基板10ASを除去する(
図4A~
図4C参照)。第1基板10ASは、第1半導体層11に設けられている。第1基板10ASを除去する方法としては、例えば、レーザリフトオフや、エッチング、研削などが挙げられる。第1基板10ASを除去する工程は、構造体18を準備する工程(ステップS110)の後であって、第1穴部18haを形成する工程(ステップS120)、及び、第2穴部18hbを形成する工程(ステップS130)の前に実施される。
【0052】
図5A~
図5Cに示すように、第1穴部18haを形成する(ステップS120)。ステップS120では、第1半導体積層体10Aに第1穴部18haを形成する。例えば、第1穴部18haを形成する工程は、第1半導体積層体10Aの第1領域R1(
図4A、
図4C、
図5A及び
図5C参照)をRIE(Reactive Ion Etching)などで除去することを含む。例えば、第1穴部18haは、例えば、フォトリソグラフィ及びドライエッチングにより形成できる。第1穴部18haの底面18haBは、導電層30の一部にある。
【0053】
第1穴部18haの形成において、同時に第2穴部18hbの一部(例えば第1穴H1、
図5C参照)が形成されても良い。第1穴H1の形成においては、第1半導体積層体10Aの第2領域R2(
図4C及び
図5C参照)を除去して、第1穴H1を形成する。
図5Cに示すように、第1穴H1の底面HB1は、導電層30の一部にある。このように、第1穴部18haの形成の少なくとも一部と、第1穴H1の形成の少なくとも一部と、は、同時に行われても良い。
【0054】
図6A~
図6Cに示すように、第2穴部18hbを形成する(ステップS130)。ステップS130では、例えば、第1半導体積層体10A、導電層30、及び、第2半導体積層体10Aに、第2穴部18hbを形成する。上記のように、第1穴部18haの形成の際に第2穴部18hbの一部(第1穴H1)を形成する場合は、第2穴部18hbのその一部から第2穴部18hbの残りの部分を形成する。第2穴部18hbの底面18hbBは、第3半導体層13の一部にある。
【0055】
例えば、
図6Cに示すように、第2穴部18hbを形成する工程は、第1穴H1を形成する工程(
図5C参照)に加えて、第2穴H2を形成する工程と、第3穴H3を形成する工程と、を含む。第2穴H2は、
図6Cにおいて破線で示される部分である。
図6Cに示すように、第2穴H2を形成する工程においては、導電層30の第3領域R3(
図5C参照)を除去して、第1穴H1と連続する第2穴H2を形成する。導電層30(例えばITOなど)の第3領域R3は、例えば、ウエットエッチングにより除去できる。導電層30の第3領域R3を、ウエットエッチングにより除去することで、後述するように、第2穴H2の第2方向(例えば、X軸方向など)の長さW2が、第1穴H1の第2方向に沿う長さW1よりも長くなる。導電層30の第3領域R3は、RIEなどのドライエッチングにより除去してもよい。
図6Cに示すように、第2穴H2の底面HB2は第4半導体層14の一部にある。
【0056】
図6Cに示すように、第3穴H3を形成する工程においては、第4半導体層14の一部、及び、第2発光層12Eの一部を除去して、第2穴H2と連続する第3穴H3を形成する。第4半導体層14の一部、及び、第2発光層12Eの一部は、例えば、RIEなどにより除去できる。第3穴H3の底面HB3は、第3半導体層13の一部にある。
【0057】
図6Cに示すように、第2穴部18hbを形成する工程において、第2穴H2の第2方向(例えば、X軸方向など)の長さW2が、第1穴H1の第2方向に沿う長さW1よりも長くなるように、第2穴H2を形成しても良い。第2方向は、第1半導体層11から第2半導体層12への第1方向(例えば、Z軸方向)に対して垂直な任意の方向である。これにより、後述するように、第2穴部18hb(第1穴H1、第2穴H2及び第3穴H3)に導電部材を形成したときに、長さL2が長さL1よりも長くなる(
図1C参照)。
【0058】
このように、第1穴H1をドライエッチングにより形成し、第2穴H2をウエットエッチングにより形成し、第3穴H3をドライエッチングにより形成しても良い。
【0059】
上記の第2穴部18hbの一部(第2穴H2及び第3穴H3)の形成の際に、例えば、第1穴部18haをマスク材などで保護した状態で、第2穴部18hbの一部(第2穴H2及び第3穴H3)を形成する。
【0060】
図7A~
図7Cに示すように、絶縁部材80Fを形成する(ステップS140)。ステップS140では、第1穴部18haの側面18has、及び、第2穴部18hbの側面18hbsに絶縁部材80Fを形成する。第1穴部18haの側面18hasに形成された絶縁部材80Fにより、第1絶縁部材81が得られる。第2穴部18hbの側面18hbsに形成された絶縁部材80Fにより、第2絶縁部材82が得られる。絶縁部材80Fは、誘電体多層膜を含んでも良い。誘電体多層膜は、例えば、酸化チタン膜、酸化ケイ膜、酸化ニオブ膜、酸化アルミニウム膜、酸化ジルコニウム膜、窒化アルミニウム膜、窒化ケイ素膜、酸化亜鉛膜などを用いることができる。例えば、酸化チタン膜と、酸化ケイ素膜と、が交互に積層されることで、良好な光取り出し効率を得ることができる。
【0061】
例えば、絶縁部材80Fは、原子層堆積法(ALD:Atomic Layer Deposition)などのCVD(Chemical Vapor Deposition)により形成できる。絶縁部材80Fを原子層堆積法などで形成することで、良好な被覆性が得られる。第2穴部18hbにおいて、幅が途中で変化するような段差が形成されている場合にも、絶縁部材80Fにより、段差が良好に被覆される。
【0062】
図8A~
図8Cに示すように、導電部材(第1導電部材51、第2導電部材52及び第3導電部材53)を形成する(ステップS150)。この工程では、第1穴部18haに、導電層30と接続する第1導電部材51を形成し、第2穴部18hbに、第3半導体層13と接続する第2導電部材52を形成する。第3導電部材53は、第1半導体層11の表面11fに設けられる。第3導電部材53は、第1半導体層11と接続する。これらの導電部材の形成では、例えば、フォトリソグラフィにより、所定の形状のマスク材を形成した後に、シード層を形成する。この後、シード層の上に、めっきなどの方法により金属部材を形成する。金属部材の一部を除去して平坦化することで、第1導電部材51、第2導電部材52及び第3導電部材53が形成できる。この後、マスク材を除去する。
【0063】
この後、
図9A~
図9Cに示すように、構造体18を個片化する。
【0064】
図10A~
図10Cに示すように、第1導電部材51、第2導電部材52、及び、第3導電部材53を実装基板60に接合する(ステップS160)。第1導電部材51、第2導電部材52、及び、第3導電部材53は、例えば、金属からなる導電性ペーストなどの接合部材を介して実装基板60に接合してもよく、直接接合などで接合してもよい。
【0065】
この後、
図11A~
図11Cに示すように、第2基板10BSを除去する。これにより、発光装置110が得られる。このように、第2実施形態に係る製造方法は、第2基板10BSを除去する工程をさらに含んでも良い。第2基板10BSは、第3半導体層13に設けられる(
図2A及び
図3Aなどを参照)。第2基板10BSを除去する方法としては、例えば、レーザリフトオフや、エッチング、研削、などが挙げられる。第2基板10BSを除去する工程は、実装基板60に接合する工程(ステップS160)の後に実施される。また、実装基板60に接合する工程(ステップS160)の後に、構造体18の周りに樹脂層を形成してもよい。構造体18の周りに樹脂層を形成することで、構造体18を保護することができる。また、樹脂層に白色顔料が含有されていてもよい。樹脂層に白色顔料が含有されていることで、第2半導体積層体10B側に取り出される光の配光を強くすることができる。樹脂層70に白色顔料が含有されていることによる樹脂層70の第1発光層11E及び第2発光層12Eが発する光のピーク波長に対する反射率は、70%以上であることが好ましい。
【0066】
第2実施形態に係る発光装置の製造方法によれば、例えば、発光素子をワイヤボンディングで実装基板に接続する場合に比べて実装面積が小さい発光装置を提供できる。また、Z軸方向で重なる領域に複数の発光層があることで、発光層が1層の半導体積層体をX-Y平面に沿って並べて複数配置したときと比較して、小さい面積であり、且つ、強い発光強度の発光装置を提供できる。第2実施形態によれば、例えば、1回の接合(例えば、ステップS160)により、高い生産性で、積層型の発光装置が得られる。
【0067】
図13は、第1実施形態に係る発光装置の変形例を例示する模式図である。
図13に示すように、発光装置110は、第1制御回路61D及び第2制御回路62Dの少なくともいずれかを含んでも良い。第1制御回路61Dは、第3配線63と第1配線61との間に流れる電流を制御できる。第2制御回路62Dは、第2配線62と第1配線61との間に流れる電流を制御できる。第1発光層11Eから出射される光(第1光)のピーク波長が、第2発光層12Eから出射される光(第2光)のピーク波長と異なる場合、第1制御回路61D及び第2制御回路62Dの少なくともいずれかによる制御により、発光装置110から出射する光の色を制御できる。第1制御回路61D及び第2制御回路62Dの少なくともいずれかは、例えば、トランジスタなどの制御素子を含む。
【0068】
実施形態によれば、発光特性を向上できる発光装置及びその製造方法を提供できる。
【0069】
なお、本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。ここでの実質的に垂直及び実質的に平行とは、例えば、5°程度の角度のずれは許容されるものとする。
【0070】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、発光装置に含まれる、実装基板、半導体積層体、半導体層、発光層、導電層、導電部材、絶縁部材、及び、配線などのそれぞれの具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0071】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0072】
その他、本発明の実施の形態として上述した発光装置及びその製造方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての発光装置及びその製造方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0073】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと解される。
【符号の説明】
【0074】
10A…第1半導体積層体、 10AS…第1基板、 10B…第2半導体積層体、 10BS…第2基板、 11…第1半導体層、 11E…第1発光層、 11f…表面、 12…第2半導体層、 12E…第2発光層、 12dp…凹凸、 13…第3半導体層、 14…第4半導体層、 14dp…凹凸、 18…構造体、 18A…第1積層体、 18B…第2積層体、 18ha…第1穴部、 18haB…底面、 18has…側面、 18hb…第2穴部、 18hbB…底面、 18hbs…側面、 30…導電層、 31…第1導電膜、 32…第2導電膜、 51…第1導電部材、 51T…底部、 52…第2導電部材、 52T…底部、 52a~52c…第1~第3部分、 53…第3導電部材、 60…実装基板、 60BS…基板、 60f…第1面、 60s…基板部、 61…第1配線、 61D…第1制御回路、 62…第2配線、 62D…第2制御回路、 63…第3配線、 80F…絶縁部材、 81…第1絶縁部材、 82…第2絶縁部材、 110…発光装置、 H1~H3…第1~第3穴、 HB1~HB3…底面、 L1~L3…長さ、 R1~R3…第1~第3領域、 W1、W2…第1、第2長さ