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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】薬液調合装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240712BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20240712BHJP
【FI】
H01L21/304 622E
H01L21/304 622D
B24B37/00 H
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020073082
(22)【出願日】2020-04-15
(65)【公開番号】P2021170593
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴光
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 慶治
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-205463(JP,A)
【文献】特開2003-188123(JP,A)
【文献】特開2003-229406(JP,A)
【文献】特開2003-197575(JP,A)
【文献】特開2003-205462(JP,A)
【文献】特開2004-358631(JP,A)
【文献】特開2006-269737(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調合タンク内に、少なくとも第1の薬液と第2の薬液を注いで調合する薬液調合装置であって、
前記調合タンクが載せられ、前記調合タンク内に注がれた前記第1の薬液又は前記第2の薬液の量に応じた荷重を電気信号に変換して出力するロードセルと、
前記調合タンク内に前記第1の薬液を注ぐ第1の吐出ノズルと前記第2の薬液を注ぐ第2の吐出ノズルと、
前記第1の吐出ノズルを介して前記調合タンク内に注がれる前記第1の薬液を送る第1の薬液供給ラインと、
前記第2の吐出ノズルを介して前記調合タンク内に注がれる前記第2の薬液を送る第2の薬液供給ラインと、
前記ロードセルの前記電気信号に基づいて、前記第1の薬液供給ラインからの第1の薬液の注入・停止と前記第2の薬液供給ラインからの第2の薬液の注入・停止を各々制御する制御部と、
を備え
前記調合タンクの内側底面近傍には、前記第1の吐出ノズル又は前記第2の吐出ノズルから吐出されて前記調合タンクの底面側に向かう前記薬液の流れを滑らかにするための曲面が設けられ、
前記第1の吐出ノズルの吐出口及び前記第2の吐出ノズルの吐出口は、前記調合タンクに注がれた前記薬液の液面より上に位置し、前記底面に前記曲面が設けられた前記調合タンクの垂直な内面に向けて下向きに傾斜して設けられている、ことを特徴とする薬液調合装置。
【請求項2】
前記第1の薬液供給ラインと前記第2の薬液供給ラインの途中に、前記第1の薬液又は前記第2の薬液の供給送圧を切り換えて、前記第1の薬液供給ライン内を通る前記第1の薬液の供給速度と前記第2の薬液供給ライン内を通る前記第2の薬液の供給速度を調整可能な圧力可変手段を設けている、ことを特徴とする請求項1に記載の薬液調合装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第1の薬液の供給開始時期には前記圧力可変手段による前記第1の薬液の供給速度を相対的に高速に設定し、前記ロードセルの前記電気信号に基づく前記第1の薬液の計量結果に応じて、前記第1の薬液の供給終了時期には前記圧力可変手段による前記第1の薬液の供給速度を前記第1の薬液の供給開始時期の前記第1の供給速度よりも遅い低速に設定に切り換え、
前記第2の薬液の供給開始時期には前記圧力可変手段による前記第2の薬液の供給速度を相対的に高速に設定し、前記ロードセルの前記電気信号に基づく前記第2の薬液の計量結果に応じて、前記第2の薬液の供給終了時期には前記圧力可変手段による前記第2の薬液の供給速度を前記第2の薬液の供給開始時期の前記第2の供給速度よりも遅い低速に設定に切り換える、ことを特徴とする請求項2に記載の薬液調合装置。
【請求項4】
前記第1の薬液と前記第2の薬液が、CMPスラリー用薬液を調合する液体である、ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の薬液調合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬液調合装置に関するものであり、特に、異なる二つ以上の薬液を調合するのに適した薬液調合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、異なる二つ以上の水薬を調合するには、複数の箇所に保管された容器の中からそれぞれ該当する水薬を取り出し、適当な一つの容器にそれぞれの薬液を適量ずつ入れ、混合させることにより調合をしていた(例えば、特許文献1参照)。これらの作業の際に、水薬の供給量を管理するのは、容器に設けられる液面計等を使用している。
【0003】
また、近年、半導体製造装置の集積度の増加に伴い、配線基板表面の平坦化が重要になり、平坦化のためにCMP(Chemical Mechanical P0lishing:化学的機械研磨)研磨装置が多用されるようになっている。CMP研磨装置に使用される研磨剤は、微粒子をpH調整剤等の試薬を含む水溶液に分散させた固液分散系のものがほとんどである。これらの微粒子としては、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、酸化セリウム等が一般的に使用されている。
【0004】
ところで、CMP研磨装置における研磨剤の調合装置は、異なる配管から一つの調合槽(タンク)内に、研磨剤原液(研磨剤メーカーから購入した状態のもの)である薬液Aと添加剤溶液である薬液Bをそれぞれ供給して攪拌することにより調合を行っている。この調合では、仕様によっても異なるが、一般には薬液Aと薬液Bとの比率は9:1程度である。また、この場合も、作業の際に研磨剤原液及び添加剤の供給量を管理するのは、タンク内に液面計等の液面検知センサを取り付けたセンサ計量方式が取られており、液面検知センサで得られた液面検知情報に基づいて調合をしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-140071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来装置の薬液の調合において、研磨剤原液及び添加剤の供給量が正確に管理できないという問題が生じている。すなわち、薬液調合装置の調合槽内における薬液の液面は絶えず振動をしており、鏡面状の液表面とはなっていない。したがって、液面計の検出誤差は避けられない。また、液面計の取り付け精度を出すことは困難である場合が多い。さらに、薬液を調合槽内に供給する場合、薬液の液面に泡が立ち易く、泡により液面計の検出誤差が避けられないという問題点があった。
【0007】
また、図3を用いて説明すると、調合槽101と液面計102が共に新しいうちは精度を確保できるが、液面計102の経年劣化や、調合槽101内の汚れにより、調合槽101内に堆積物Dが生じると、調合槽101内に入れられた薬液103の量に誤差が増えるという問題点があった。すなわち、図3の左側の図は正常な状態で、図3の右側の図は液面計102の誤差又は堆積物Dが生じて、誤差ができる場合などである。
【0008】
そこで、調合する異なる薬液の計量精度を向上させ、かつ、簡易な構成で薬液の調合を実現できる薬液調合装置を提供するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、本発明に係る薬液調合装置は、調合タンク内に、少なくとも第1の薬液と第2の薬液を注いで調合する薬液調合装置であって、前記調合タンクが載せられ、前記調合タンク内に注がれた前記第1の薬液又は前記第2の薬液の量に応じた荷重を電気信号に変換して出力するロードセルと、前記調合タンク内に前記第1の薬液を注ぐ第1の吐出ノズルと前記第2の薬液を注ぐ第2の吐出ノズルと、前記第1の吐出ノズルを介して前記調合タンク内に注がれる前記第1の薬液を送る第1の薬液供給ラインと、前記第2の吐出ノズルを介して前記調合タンク内に注がれる前記第2の薬液を送る第2の薬液供給ラインと、前記ロードセルの前記電気信号に基づいて、前記第1の薬液供給ラインからの第1の薬液の注入・停止と前記第2の薬液供給ラインからの第2の薬液の注入・停止を各々制御する制御部と、を備え、前記調合タンクの内側底面近傍には、前記第1の吐出ノズル又は前記第2の吐出ノズルから吐出されて前記調合タンクの底面側に向かう前記薬液の流れを滑らかにするための曲面が設けられ、前記第1の吐出ノズルの吐出口及び前記第2の吐出ノズルの吐出口は、前記調合タンクに注がれた前記薬液の液面より上に位置し、前記底面に前記曲面が設けられた前記調合タンクの垂直な内面に向けて下向きに傾斜して設けられている
【0010】
この構成によれば、薬液の調合にロードセルを使用し、第1の薬液及び第2の薬液の比重及び調合比等の薬液情報を制御部に予め入力しておく。また、必要に応じて計量前にロードセルの秤量を0にリセットする。そして、制御部は、調合タンクを載せたロードセルからの電気信号と薬液情報とに基づいて、調合タンク内に必要とする第1の薬液及び第2の薬液の注入量を演算して、その注入量を更に重量に換算することにより、ロードセルで計量しながら、必要とする量の第1の薬液を第1の吐出ノズルから、又、第2の薬液を第2の吐出ノズルから吐出注入させて調合することができる。また、制御部は、ロードセルの計量結果により、第1の薬液供給ラインからの第1の薬液の注入・停止と第2の薬液供給ラインからの第2の薬液の注入・停止をそれぞれ制御する。したがって、調合比・薬液比重等を無段階に調整することができるので、薬液の種類や比重等が変わっても、同じ装置で対応することができる。これにより、薬液の調合精度(品質)が高く、僅かの量の薬液の計量が行える。また、調合タンクに入れられた薬液を、ロードセルにより計量するだけなので、簡易な構成であり、調合タンク内の泡立ち等を考慮する必要もなくなる。
【0012】
また、第1の吐出ノズル又は第2の吐出ノズルから吐出されて、調合タンクの底面側に向かう第1の又は第2の薬液は、調合タンクの内側底面近傍に設けられている曲面に沿って滑らかに流れる。これにより、調合タンク内の液全体を大きく揺るがしたり、液面に泡等を作ったりすることなく、調合タンク内に第1の薬液及び第2の薬液が注がれるので、ロードセルによる薬液の計量精度の向上が期待できる。また、液面に作られる泡等を無くすことができるので、液面計等と併用して高精度に計量をすることができる。
【0014】
さらに、吐出ノズルが、調合タンク内の内周面に沿って平行に配置されている場合は、吐出のズルの吐出口は真下を向いて配置されるので、吐出口から吐出された薬液は真下に向かって、調合タンクの内周面と平行に流れる。そして、調合タンクの内面から離れて調合タンクの中心側を流れる薬液には、流れに多少の乱れが生じて泡立ち等が発生し易い。これに対して、吐出ノズルの吐出口を内面に向けて下向きに傾斜して設けた場合は、吐出口から吐出される薬液は、調合タンク内の内面に斜め上方から下面側に向けて吐出して吹き付けられ、さらに内面に倣って下側に流れるので、流れに乱れが生じることなく滑らかに流れ、スムーズに注がれて貯蔵される。これにより、調合タンク内の液全体を大きく揺るがしたり、液面に泡等を作ったりすることなく、調合タンク内に薬液が供給されるので、ロードセルによる薬液の計量精度の向上がさらに期待できる。また、液面に作られる泡等を無くすことができるので、液面計等と併用してさらに高精度に計量することもできる。
【0015】
また、本発明に係る薬液調合装置は、前記第1の薬液供給ラインと前記第2の薬液供給ラインの途中に、前記第1の薬液又は前記第2の薬液の供給送圧を切り換えて、前記第1の薬液供給ライン内を通る前記第1の薬液の供給速度と前記第2の薬液供給ライン内を通る前記第2の薬液の供給速度を調整可能な圧力可変手段を設けていることが好ましい
【0016】
この構成によれば、圧力可変手段の制御により、第1の薬液供給ラインを通って第1の吐出ノズル側に第1の薬液を送る速度及び第2の薬液供給ラインを通って第2の吐出ノズル側に第2の薬液を送る速度を調整することができる。すなわち、ロードセルの薬液計量に大きな影響を及ぼすことがない薬液注入を開始した初期には、圧力可変手段の制御で薬液の供給送圧の圧力を上げると、第1の薬液又は第2の薬液を調合タンク内に高速で注入することができる。反対に、調合タンクへの粗方の薬液供給が終り、ロードセルの薬液計量に影響を及ぼすと思われる最後の頃には、圧力可変手段の制御で第1の薬液又は第2の薬液の供給送圧の圧力を下げると、薬液を調合タンク内にゆっくりと、又、調合タンク内の薬液を大きく揺らすことなく静かに注いで薬液計量の精度を上げることができる。これにより、薬液の供給時間であるタクトタイムの短縮が図れるとともに、ロードセルの薬液計量精度の向上を図ることができる。
【0017】
また、本発明に係る薬液調合装置は、前記第1の薬液と前記第2の薬液が、CMPスラリー用薬液を調合する液体であることが好ましい
【0018】
この構成によれば、ロードセルにより調合用タンクの重量を計量しながらCMPスラリー用で使用される材料を含む研磨用薬液を吐出ノズルより吐出させて調合することができる。また、制御部では、調合比・薬液比重等を無段階に調整することができるので、CMPスラリー用材料の種類や比重等が変わっても、同じ装置で対応することができる。特に、例えば微粒子をpH調整剤等の試薬を含む水溶液に分散させた固液分散系の研磨剤原液を使用した場合、微粒子としてコロイダルシリカ、フュームドシリカ、酸化セリウム等が一般的に使用されているが、これらの微粒子は薬液供給ライン内や吐出ノズル内で固まり易い。しかしながら、この構成では、ロードセルにより調合用タンクの重量を計量しながら調合するので、例え微粒子が固まりかけていたとしても、重量を計量しながら調合するので、大きな誤差が生じることはない。これらより、CMPスラリー薬液の調合精度(品質)の向上と調合作業の簡易化が図れる。
【発明の効果】
【0019】
発明によれば、調合タンクを載せたロードセルからの電気信号と薬液情報とに基づいて、制御部が調合タンク内に必要とする薬液の注入量を演算して、その注入量を重量に換算し、ロードセルにて計量しながら薬液を吐出ノズルより吐出注入させて、複数の薬液の計量と調合を1つの調合タンクで精度良く簡単に調合することができる。
また、調合比・薬液比重等を無段階に調整することができるので、薬液の種類や比重等が変わっても、同じ装置で対応することができる。
また、さらに調合タンクに入れられた薬液を、ロードセルにより計量するだけなので、簡易な構成で正確に調合を行うことができるとともに、調合タンク内の泡立ち等を考慮する必要もなくなる。これにより、異なる薬液の計量精度を高めて品質を向上させ、かつ、簡易な構成の薬液調合装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態に係る実施例として示す薬液調合装置を模式的に示す図である。
図2】本発明の薬液調合装置の効果の一例を説明するための模式図である。
図3】従来技術の問題点を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、調合する異なる薬液の計量精度を向上させ、かつ、簡易な構成で薬液の調合を実現できる薬液調合装置を提供するという目的を達成するために、調合タンク内に、少なくとも第1の薬液と第2の薬液を注いで調合する薬液調合装置であって、前記調合タンクが載せられ、前記調合タンク内に注がれた前記第1の薬液又は前記第2の薬液の量に応じた荷重を電気信号に変換して出力するロードセルと、前記調合タンク内に前記第1の薬液を注ぐ第1の吐出ノズルと前記第2の薬液を注ぐ第2の吐出ノズルと、前記第1の吐出ノズルを介して前記調合タンク内に注がれる前記第1の薬液を送る第1の薬液供給ラインと、前記第2の吐出ノズルを介して前記調合タンク内に注がれる前記第2の薬液を送る第2の薬液供給ラインと、前記ロードセルの前記電気信号に基づいて、前記第1の薬液供給ラインからの第1の薬液の注入・停止と前記第2の薬液供給ラインからの第2の薬液の注入・停止を各々制御する制御部と、を備える構成としたことにより実現した。
【実施例
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る一実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図1は本発明に係る薬液調合装置10の要部構成を模式的に示すものである。図1に示す薬液調合装置10は、半導体製造装置で配線基板の表面を平坦化するために加工するCMP研磨装置における研磨用流体であるスラリーを調合する場合を一例としている。
【0024】
図1に示す薬液調合装置10は、少なくとも、薬液Aを貯めておく貯留タンク11Aと薬液Bを貯めておく貯留タンク11Bと、薬液Aと薬液Bとを所定の割合(本実施例では薬液Aを9、薬液Bを1の割合)で調合してなるスラリー12を貯める調合槽である調合タンク13と、薬液調合装置10の全体を決められた手順に従って制御する制御部14を備えている。なお、薬液Aと薬液Bとの調合割合は、スラリーの用途等に応じて任意に設定されるものである。また、貯留タンク11A及び貯留タンク11Bは、薬液供給配管15を介して調合タンク13と連結されている。
【0025】
制御部14はマイクロコンピュータで構成されており、マイクロコンピュータに組み込まれたプログラムにより薬液調合装置10の全体を決められた手順で制御する。
【0026】
薬液供給配管15は、貯留タンク11Aに通じる第1の薬液供給ライン15Aと、貯留タンク11Bに通じる第2の薬液供給ライン15Bとを有している。また、第1の薬液供給ライン15Aの出口側には第1の吐出ノズル16Aが連結され、第2の薬液供給ライン15Bの出口側には第2の吐出ノズル16Bが連結されている。そして、第1の薬液供給ライン15Aを通って送られて来る薬液Aは第1の吐出ノズル16Aを介して調合タンク13内に吐出注入され、第2の薬液供給ライン15Bを通って送られて来る薬液Bは第2の吐出ノズル16Bを介して調合タンク13内に吐出注入できるようになっている。
【0027】
なお、本実施例では、薬液の調合は、薬液Aと薬液Bの二種類の場合について説明しているが、二種類以上の場合もある。二種類以上の場合は、それぞれの追加される薬液を貯留しておく貯留タンクの追加と、調合タンク13に連結される薬液供給用ライン等も追加される。
【0028】
更に詳述すると、薬液Aは、研磨剤メーカーから購入した、例えば微粒子をpH調整剤等の試薬を含む水溶液に分散させた固液分散系の研磨剤原液で、微粒子としてはコロイダルシリカ、フュームドシリカ、酸化セリウム等が一般的に使用される。一方、薬液Bは薬液Aと調合される添加剤溶液、例えば純水である。
【0029】
第1の薬液供給ライン15Aは、貯留タンク11Aから送られて来る薬液Aの供給送圧を高圧に調整する圧力調整手段17Aと、薬液Aの供給送圧を低圧に調整する圧力調整手段17Bと、共通供給ライン15Cに対して圧力調整手段17Aと圧力調整手段17Bのいずれか一方を有効に接続するとともに残りの他方を非接続にするように択一的に切り換え接続する接続切換弁17Cと、を有する第1の圧力可変手段18Aを備えている。
【0030】
また、第2の薬液供給ライン15Bも、貯留タンク11Bから送られて来る薬液Bの供給送圧を高圧に調整する圧力調整手段17Aと、薬液Bの供給送圧を低圧に調整する圧力調整手段17Bと、共通供給ライン15Cに対して圧力調整手段17Aと圧力調整手段17Bのいずれか一方を有効に接続するとともに残りの他方を非接続にするように択一的に切り換え接続する接続切換弁17Cと、を各々有する第1の圧力可変手段18Bを備えている。
【0031】
また、第1の薬液供給ライン15Aの下流側には、第1の薬液供給ライン15Aと第1の吐出ノズル16Aとの間の連通をオン・オフする第1の開閉弁19Aと、第1の開閉弁19Aを通って送られて来る薬液Aの送液速度を、高速と低速との間で、任意の速度に調整可能な第2の圧力可変手段20Aを設けている。すなわち、第2の圧力可変手段20Aにより、第2の圧力可変手段20A内を通過する薬液Aの送液速度を調整すると、第1の吐出ノズル16Aから調合タンク13内に向けて吐出される薬液Aの吐出圧の強さを変えることができる。
【0032】
また、第2の薬液供給ライン15Bの下流側にも、第2の薬液供給ライン15Bと第2の吐出ノズル16Bとの間の連通をオン・オフする第2の開閉弁19Bと、第2の開閉弁19Bを通って送られて来る薬液Bの送液速度を、高速と低速との間で、任意の速度に調整可能な第2の圧力可変手段20Bを設けている。すなわち、第2の圧力可変手段20Bにより、第2の圧力可変手段20B内を通過する薬液Bの送液速度を調整すると、第2の吐出ノズル16Bから調合タンク13内に向けて吐出される薬液Bの吐出圧の強さを変えることができる。
【0033】
なお、上述した、圧力調整手段17A、圧力調整手段17B、接続切換弁17C、第1の開閉弁19A、第2の開閉弁19B、第2の圧力可変手段20A、第2の圧力可変手段20B等の制御は、制御部14により予め決められた手順で制御されるものである。
【0034】
調合槽である調合タンク13は、ロードセル30上に固定して配置されている。調合タンク13内には、貯留タンク11Aから第1の薬液供給ライン15Aを通って送られて来る薬液Aが第1の吐出ノズル16Aを通して注がれ、貯留タンク11Bから第2の薬液供給ライン15Bを通って送られて来る薬液Bが第2の吐出ノズル16Bを通して注がれ、それぞれ貯留される。薬液Aを注ぐ第1の吐出ノズル16A及び薬液Bを注ぐ第2の吐出ノズル16Bは、第1の吐出ノズル16Aから吐出された薬液A、又は、第2の吐出ノズル16Bから吐出された薬液Bが、それぞれ調合タンク13の内周面に沿って緩やかに下降するように、図1に示すように貯留タンク11Aの内側面の片側に偏って配置されている。
【0035】
調合タンク13は、第1の吐出ノズル16Aから注がれる薬液A及び第2の吐出ノズル16Bから注がれる薬液Bがそれぞれ注がれる側と対応する内側の底面13aの近傍に、調合タンク13の上部から底面13a側へ向かうに従い徐々に内側(中心側)へ向かう曲面21を設けている。この曲面21は、第1の吐出ノズル16A及び第2の吐出ノズル16Bからそれぞれ吐出されて、調合タンク13の底面13a側へ向かう薬液A及び薬液Bの滑らかな流れを生成する。すなわち、調合タンク13の上部に配置された第1の吐出ノズル16Aから薬液A又は第2の吐出ノズル16Bから薬液Bが注がれて落下すると、調合タンク13内での薬液A又は薬液Bの流れる軌跡は、図中に点線で示すように曲面21に沿って滑らかに流れ、調合タンク13内に溜められている液全体を大きく揺るがしたり、液面に泡等を作ったりすることなく、調合タンク13内に薬液A及び薬液Bが供給される。なお、本実施例では、第1の吐出ノズル16A及び第2の吐出ノズル16Bは、第1の吐出ノズル16A及び第2の吐出ノズル16Bの上側を調合タンク13の垂直な内周側面に対して角度θだけ内側(中心側)に傾け、第1の吐出ノズル16Aの吐出口16Aaの向きと第2の吐出ノズル16Bの吐出口16Baの向きを、それぞれ調合タンク13の垂直な内周側面に向けて下向きに設けている。
【0036】
ロードセル30は、調合タンク13内に注がれて溜まった薬液A及び薬液Bの荷重を計り、その計量結果を電気信号に変換して制御部14に出力できる重量計測器(秤)であり、調合前の秤量を0にリセットすることにより、調合タンク13等の重量を除いて薬液だけを計測できるようになっている。
【0037】
次に、このように構成された薬液調合装置10の動作を説明する。まず、調合する薬液A及び薬液Bの、比重及び調合比等の薬液情報を制御部14に予め入力しておく。また、必要に応じてロードセル30の秤量を0にリセットする。
【0038】
次いで、貯留タンク11A内から薬液Aを取り出して調合タンク13に供給する。このとき、制御部14は、第1の開閉弁19Aを開、第2の開閉弁19Bを閉とし、接続切換弁17Cを高速(H)側に切り換え保持する。そして、貯留タンク11A側の図示しないポンプを駆動させて、貯留タンク11A内の薬液Aを第1の薬液供給ライン15A内に送る。第1の薬液供給ライン15A内に送られた薬液Aは、圧力調整手段17A、接続切換弁17C、第1の開閉弁19A、第1の吐出ノズル16Aを通って吐出口16Aaから調合タンク13の内周側面へ向けて吐出注入される。
【0039】
なお、薬液Aの吐出注入では、接続切換弁17Cが高速(H)側に接続されているので、第1の薬液供給ライン15A内を薬液Aが高速で流れ、これにより最初は早く薬液Aを調合タンク13内に入れることができる。この初期時の注入では、計量は大雑把で良いので、計量よりも供給速度を優先する。また、吐出ノズル16から調合タンク13内に吐出注入させる薬液Aの全体の速度は、第2の圧力可変手段20Aにより無段階で調整することができる。
【0040】
そして、調合タンク13内に注入されて溜まった薬液Aの量は、調合タンク13を載せたロードセル30からの電気信号により制御部14で知ることができる。制御部14では、ロードセル30からの電気信号と薬液情報とに基づいて、調合タンク13内に必要とする薬液Aの液量を演算して、その液量を重量に換算し、所定の重量となるまで薬液Aを第1の吐出ノズル16Aより吐出注入させる。
【0041】
また、制御部14は、調合タンク13内に所定重量の薬液Aが注入されて溜まったら、次に接続切換弁17Cが低速(L)側に切り換え接続される。接続切換弁17Cを低速(L)側に切り換え接続させると、第1の薬液供給ライン15A内を流れる薬液Aの流れが低速になり、これにより最後はゆっくりと薬液Aを調合タンク13内に入れることができる。この供給終了時期では、計量は正確でなくてはならないので、速度よりも計量精度を優先する。また、この場合も、吐出ノズル16から調合タンク13内に吐出注入させる薬液Aの全体の速度は、第2の圧力可変手段20Aにより無段階で調整することができる。そして、ロードセル30からの電気信号により制御部14が、調合タンク13内に溜まった薬液Aの量が所定量に達したことを認識したら、制御部14は貯留タンク11A側のポンプを停止させるとともに、第1の開閉弁19Aを閉、接続切換弁17Cを高速(H)側に切り換えて保持する。これにより第1の吐出ノズル16Aからの薬液Aの吐出注入は止まる。これにより、調合タンク13内には必要とする量の薬液Aが貯められる。
【0042】
調合タンク13への薬液Aの注入供給が済んだら、次に薬液Bの注入供給を開始する。薬液Bの注入供給の開始は、制御部14が、第2の開閉弁19Bを開、第1の開閉弁19Aを閉とし、接続切換弁17Cを高速(H)側に切り換え保持する。そして、貯留タンク11B側の図示しないポンプを駆動させて、貯留タンク11B内の薬液Bを第2の薬液供給ライン15B内へ送る。第2の薬液供給ライン15B内に送られた薬液Bは、圧力調整手段17B、接続切換弁17C、第2の開閉弁19B、第2の吐出ノズル16Bを通って吐出口16Baから調合タンク13内の内周側面へ向けて吐出注入される。
【0043】
なお、この薬液Bの吐出注入でも、接続切換弁17Cが高速(H)側に接続されているので、第2の薬液供給ライン15B内を薬液Bが高速で流れ、これにより最初は早く薬液Bを調合タンク13内に入れることができる。この場合も、初期時の注入では、計量は大雑把で良いので、計量よりも供給速度を優先する。また、吐出ノズル16から調合タンク13内に吐出注入させる薬液Bの全体の速度は、第2の圧力可変手段20Bにより無段階で調整することができる。
【0044】
そして、調合タンク13内に注入されて溜まった薬液Bの量も、調合タンク13を載せたロードセル30からの電気信号により制御部14で知ることができる。制御部14では、ロードセル30からの電気信号と薬液情報とに基づいて、調合タンク13内に必要とする薬液Bの液量を演算して、その液量を重量に換算し、所定の重量となるまで薬液Bを第2の吐出ノズル16Bより吐出注入させる。
【0045】
また、制御部14は、調合タンク13内に所定重量の薬液Bが供給されたら、次に接続切換弁17Cを低速(L)側に切り換え接続させる。接続切換弁17Cが低速(L)側に切り換え接続させると、第2の薬液供給ライン15B内を流れる薬液Bの流れが低速になり、これにより最後はゆっくりと薬液Bを調合タンク13内に入れることができる。ここでも、供給終了時期の計量は正確でなくてはならないので、速度よりも計量精度を優先する。また、この場合も、第2の吐出ノズル16Bから調合タンク13内に吐出注入させる薬液Bの全体の速度は、第2の圧力可変手段20Bにより無段階で調整することができる。そして、ロードセル30からの電気信号により制御部14が、調合タンク13内に溜まった薬液Bの量が所定量に達したことを認識したら、制御部14は貯留タンク11B側のポンプを停止させるとともに、第2の開閉弁19Bを閉、接続切換弁17Cを高速(H)側に切り換えて保持する。これにより第2の吐出ノズル16Bからの薬液Bの吐出注入は止まる。これにより、調合タンク13内には必要とする量の薬液Bが必要とする薬液Aと共に貯留される。
【0046】
また、調合タンク13内に所定量の薬液Aと所定量の薬液Bが貯留されたら、図示しない攪拌装置により、攪拌すると所定の調合された薬液、すなわち半導体製造装置で配線基板の表面を平坦化するために加工するCMP研磨装置における研磨用流体であるスラリーが形成される。
【0047】
したがって、本実施例の構成による薬液調合装置10によれば、薬液Aと薬液Bとを調合するのにロードセル30を使用するとともに、薬液Aの比重と薬液Bの比重、及び、薬液Aと薬液Bとの調合比等の薬液情報を、制御部14に予め入力しておく。そして、制御部14は、調合タンク13を載せたロードセル30からの電気信号と薬液情報とに基づいて、調合タンク13内に必要とする薬液Aと薬液Bの注入量を演算して、その注入量を重量に換算し、ロードセル30で計量をしながら薬液Aを第1の吐出ノズル16Aから、又、薬液Bを第2の吐出ノズル16Bより吐出させて攪拌することにより、必要量だけ簡単に調合することができる。なお、計量前にロードセル30の秤量を0にセットしてから計量をすると、例え調合タンク13内が汚れて堆積物Dがあったとしても、堆積物Dなどに影響されることなく、薬液の量だけを正確に計量して調合することができる。
【0048】
すなわち、図2を用いて説明すると、例えば、一つの調合タンク13を用いて薬液Aを500g(グラム)、薬液Bを500gの比で調合する場合、図2の左側の図のように調合タンク13内に堆積物Dがない場合には、薬液Aを500g(グラム)、薬液Bを500gの比で調合することができる。一方、ロードセル30の経年劣化や、調合タンク13の内部が汚れて堆積物Dが2gあったとしても、計量前にロードセル30の秤量を0にリセットしてから同一のロードセル30で計量すると、2gの堆積物Dの質量は、計量前のロードセル30の0リセットにより吸収されて存在しないものとなり、調合タンク13内には薬液Aと薬液Bが各々500gずつ精度良く注入される。これにより、ロードセル30の劣化や堆積物Dの有無に影響されることなく、高精度に調合することができる。
【0049】
また、制御部14は、ロードセル30の計量結果により、第1の薬液供給ライン15Aからの薬液Aの供給・停止(投入量)と第2の薬液供給ライン15Bからの薬液Bの供給・停止(投入量)をそれぞれ制御することができるので、調合比・薬液比重等を無段階に自動で調整することができる。さらに、薬液の種類や比重等が変わっても、同じ装置で対応することができる。これにより、薬液の調合精度(品質)が高く、僅かの量の薬液の調合が行える。
【0050】
また、調合タンク13に入れられた薬液A及び薬液Bを、ロードセル30により計量するだけで済み、液面を検出するものでないので、調合タンク13内の泡立ち等を考慮する必要もなくなる。
【0051】
また、調合タンク13は、第1の吐出ノズル16Aから吐出されて調合タンク13の底面13a側に向かう薬液A又は第2の吐出ノズル16Bから吐出されて調合タンク13の底面13a側に向かう薬液Bの流れを滑らかにする曲面21を、調合タンク13の内側における底面13aの近傍に設けているので、第1の吐出ノズル16Aから吐出されて調合タンク13の底面13a側に向かう薬液A、又は、第2の吐出ノズル16Bから吐出されて調合タンク13の底面13a側に向かう薬液Bは、調合タンク13の底面13aの近傍に設けている曲面21に沿って滑らかに流れる。これにより、調合タンク13内の液全体を大きく揺るがしたり、液面に泡等を作ったりすることなく、調合タンク13内に薬液が供給されるので、ロードセルに30よる薬液A又は薬液Bの計量精度の向上が期待できる。また、液面に作られる泡等を無くすことができるので、液面計等と併用して高精度に計量をすることも可能になる。
【0052】
さらに、第1の吐出ノズル16Aの吐出口16Aa及び第2の吐出ノズル16Bの吐出口16Baを、調合タンク13内の垂直な内側面に向けて、鋭角下向きに設けているので、吐出口16Aa及び吐出口16Baから吐出された薬液A又は薬液Bは、調合タンク13内の内側面に斜め上方から吹き付けられるとともに、さらに内側面に倣って下側に流れるので、流れに乱れが生じることなく、滑らかに流れて貯蔵される。これにより、調合タンク13内の液全体をと大きく揺るがしたり、液面に泡等を作ったりすることなく、調合タンク内に薬液を供給できるので、ロードセルによる薬液の計量精度の向上がさらに期待できる。また、液面に作られる泡等を無くすことができるので、液面計等と併用してさらに高精度に計量することもできる。
【0053】
また、第1の薬液供給ライン15A及び第2の薬液供給ライン15Bに、薬液(第1の薬液)A又は薬液(第2の薬液)Bの供給送圧を切り換えて送る供給速度を少なくとも高速・低速の二段階に調整可能な第1の圧力可変手段18A、18Bを設け、薬液A又は薬液Bを吐出ノズル16側に送る供給速度を少なくとも高速・低速の二段階に調整できるようにしている。したがって、ロードセル30の薬液計量に大きな影響を及ぼすことがない薬液供給を開始した注入初期には、第1の圧力可変手段18A、18Bの制御で薬液供給の圧力を上げると、薬液A又は薬液Bを調合タンク13内に高速で供給することができる。反対に、調合タンク13への粗方の薬液供給が終り、ロードセル30の薬液計量に影響を及ぼすと思われる最後の頃には、第1の圧力可変手段18A、18Bの制御で薬液供給の圧力を下げると、薬液A又は薬液Bを調合タンク13内にゆっくりと、又、調合タンク13内の薬液を大きく揺らすことなく静かに供給されて薬液計量の精度を上げることができる。これにより、薬液の供給時間であるタクトタイムの短縮が図れるとともに、ロードセル30の薬液計量精度の向上を図ることができる。なお、第1の圧力可変手段18A、18Bの切り換えは、高速・低速の二段階以上であってもよい。また、無段階であってもよい。
【0054】
また、第1の薬液供給ライン15Aと第1の吐出ノズル16Aとの間、及び、第2の薬液供給ライン15Bと第2の吐出ノズル16Bとの間に、第1の吐出ノズル16A及び第2の吐出ノズル16Bから吐出注入される薬液A又は薬液Bの供給送圧を調整可能にする第2の圧力可変手段20A、20Bを設け、第1の吐出ノズル16A又は第2の吐出ノズル16Bから調合タンク13内に向けて吐出される、薬液A又は薬液Bの吐出圧力を無段階に調整できるようにしている。したがって、ロードセル30の薬液計量に大きな影響を及ぼすことがない薬液供給を開始した初期には、第2の圧力可変手段20A、20Bの制御で吐出圧力を上げて薬液A又は薬液Bを調合タンク13内に高速で供給し、反対に、調合タンク13への粗方の薬液供給が終り、ロードセル30の薬液計量に影響を及ぼすと思われる最後の頃には、第2の圧力可変手段20A、20Bの制御により吐出圧力を下げると、薬液A又は薬液Bを調合タンク13内にゆっくりと、また調合タンク13内の薬液を大きく揺らすことなく静かに供給して薬液計量の精度を上げることができる。これにより、薬液の供給時間であるタクトタイムの短縮が図れるとともに、ロードセル30の薬液計量精度の向上を図ることができる。
【0055】
また、この薬液調合装置をCMP研磨装置で用いる、CMPスラリー用材料を含む研磨用薬液の調合で使用すると、特に、薬液Aに、例えば微粒子をpH調整剤等の試薬を含む水溶液に分散させた固液分散系の研磨剤原液を使用した場合、微粒子としてはコロイダルシリカ、フュームドシリカ、酸化セリウム等が一般的に使用されているが、これらの微粒子は第1の薬液供給ライン15A内や第1の吐出ノズル16A内で凝固し易い。しかし、本実施例の構成では、ロードセル30により調合タンク13の重量を計量しながら調合するので、例え微粒子が凝固しかけていたとしても、大きな誤差が生じることはない。これにより、調合精度の高いCMPスラリーを簡単に得ることができる。
【0056】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を成すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【符号の説明】
【0057】
10 :薬液調合装置
11A :貯留タンク
11B :貯留タンク
12 :スラリー
13 :調合タンク
13a :底面
14 :制御部
15 :薬液供給配管
15A :第1の薬液供給ライン
15B :第2の薬液供給ライン
16A :第1の吐出ノズル
16Aa:吐出口
16B :第2の吐出ノズル
16Ba:吐出口
17A :圧力調整手段
17B :圧力調整手段
17C :接続切換弁
18A :第1の圧力可変手段
18B :第1の圧力可変手段
19A :第1の開閉弁
19B :第2の開閉弁
20A :第2の圧力可変手段
20B :第2の圧力可変手段
21 :曲面
30 :ロードセル
A :薬液(第1の薬液)
B :薬液(第2の薬液)
D :堆積物
θ :角度
図1
図2
図3