(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】詰替え容器
(51)【国際特許分類】
B65D 75/62 20060101AFI20240712BHJP
B65D 33/36 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
B65D75/62 A
B65D33/36
(21)【出願番号】P 2020178022
(22)【出願日】2020-10-23
【審査請求日】2023-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】山岡 昭士
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04998646(US,A)
【文献】特開2010-132339(JP,A)
【文献】特開平11-059701(JP,A)
【文献】特開2011-148505(JP,A)
【文献】特開2001-301775(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/62
B65D 33/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の表面シートと、当該表面シートとの間に液体を収容可能な収容空間を形成した矩形状の裏面シートと、を備えた詰替え容器であって、
前記表面シート及び前記裏面シートの一対の側方部位を接着して形成される第一側方接着領域及び第二側方接着領域と、
前記第一側方接着領域の一端を切除することで注液口が形成される切除部と、を備え、
前記注液口に至る前記表面シート及び前記裏面シートの上辺が直線状に形成されており、
前記第一側方接着領域は、前記上辺と対向し、前記注液口から離れるほど前記上辺から離間するよう直線状に傾斜した第一直線部と、当該第一直線部の前記注液口とは反対側の端部から屈曲し外側に向かって直線状に延出した第二直線部とで構成される屈曲領域を有して
おり、
前記表面シートの前記上辺と前記裏面シートの前記上辺とは接着されておらず、
前記屈曲領域の最も内側にある仮想頂点と前記第一側方接着領域の最も外側で前記仮想頂点を通る頂垂線と直交する前記表面シート及び前記裏面シートの側辺を仮想外側辺としたとき、前記屈曲領域の底辺の長さは、前記表面シート及び前記裏面シートにおける前記仮想外側辺の長さに対して3分の1以上2分の1以下で構成されている詰替え容器。
【請求項2】
前記仮想外側辺と前記第一直線部との成す角は、30度以上60度以下である請求項1に記載の詰替え容器。
【請求項3】
前記仮想外側辺と前記第二直線部との成す角は、20度以上50度以下である請求項2に記載の詰替え容器。
【請求項4】
前記第一直線部と前記第二直線部との境界は尖っている請求項1から3のいずれか一項に記載の詰替え容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を収容可能な詰替え容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗浄液等の液体を使用するために収容された専用容器の内部に、液体を補充するための詰替え容器が知られている。この詰替え容器は、専用容器に比べて安価に構成する必要があることから、柔軟なフィルムを重ね合わせて生成された表面シートと裏面シートとの間に液体収容空間で形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の詰替え容器は、基材及びシーラント層を有する表面シートと裏面シートとのシーラント層どうしを対向させて周囲を接着した折り曲げ部を備え、この折り曲げ部に開封予定線を設けている。折り曲げ部に接続される表面シート及び裏面シートは、折り曲げ部の側方接着部位から垂直に内側に向かって延出した注出口シール部にて互いに接着されており、注出口シール部から屈曲し外側に向かって傾斜して延出した接着部位を更に有している。シーラント層を折り曲げた折り曲げ部と注出口シール部とにより、直線状の流出路を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の詰替え容器は、液体が流出路に流動するまでに、注出口シール部から屈曲し外側に向かって傾斜した接着部位が障壁となって液体が滞留しやすく、注液速度を向上させる上で、改善の余地があった。
【0006】
そこで、簡便な構成で注液速度を高めることが可能な詰替え容器が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る詰替え容器は、矩形状の表面シートと、当該表面シートとの間に液体を収容可能な収容空間を形成した矩形状の裏面シートと、を備えた詰替え容器であって、前記表面シート及び前記裏面シートの一対の側方部位を接着して形成される第一側方接着領域及び第二側方接着領域と、前記第一側方接着領域の一端を切除することで注液口が形成される切除部と、を備え、前記注液口に至る前記表面シート及び前記裏面シートの上辺が直線状に形成されており、前記第一側方接着領域は、前記上辺と対向し、前記注液口から離れるほど前記上辺から離間するよう直線状に傾斜した第一直線部と、当該第一直線部の前記注液口とは反対側の端部から屈曲し外側に向かって直線状に延出した第二直線部とで構成される屈曲領域を有しており、前記表面シートの前記上辺と前記裏面シートの前記上辺とは接着されておらず、前記屈曲領域の最も内側にある仮想頂点と前記第一側方接着領域の最も外側で前記仮想頂点を通る頂垂線と直交する前記表面シート及び前記裏面シートの側辺を仮想外側辺としたとき、前記屈曲領域の底辺の長さは、前記表面シート及び前記裏面シートにおける前記仮想外側辺の長さに対して3分の1以上2分の1以下で構成されていることを特徴とする。
【0008】
本詰替え容器は、注液口に至る表面シート及び裏面シートの上辺が直線状に形成されており、注液口から離れるほど上辺から離間するよう直線状に傾斜した第一直線部を有する屈曲領域を設けることにより、注液口に至る流路が注液口に行くに従い流路面積が小さくなるため、注液速度が上がり、液体の詰替えを迅速に実行することができる。しかも、屈曲領域を設けるといった簡便な構成により注液速度を向上させることが可能となるため、安価に製造することができる。
【0009】
また、屈曲領域は、第一直線部の注液口とは反対側の端部から屈曲し外側に向かって直線状に延出した第二直線部を有するため、収容空間にある液体を第一直線部の傾斜を介して注液口に収束させることができる。さらに、屈曲領域の底辺の長さを仮想外側辺の長さに対して3分の1以上2分の1以下に設定すれば、容器底部の液体を注液口へと円滑に誘導することができる。なお、この底辺の長さの割合は、容器底部の液体を第二直線部から第一直線部の傾斜を介して注液口へと円滑に誘導して注液速度を高めるために3分の1以上に設定し、屈曲領域が過大となって液体収容量が減少しないように2分の1以下に設定している。
【0010】
このように、簡便な構成で注液速度を高めることが可能な詰替え容器を提供できた。
【0011】
他の構成として、前記仮想外側辺と前記第一直線部との成す角は、30度以上60度以下であることが好ましい。
【0012】
このように、仮想外側辺と第一直線部との成す角を設定すれば、注液速度をさらに向上させることができる。なお、この成す角は、第一直線部の長さが過大とならないように30度以上に設定し、第一直線部の傾斜勾配を適度に確保して注液速度を高めるために60度以下に設定している。
【0013】
他の構成として、前記仮想外側辺と前記第二直線部との成す角は、20度以上50度以下であることが好ましい。
【0014】
このように、仮想外側辺と第二直線部との成す角を設定すれば、容器底部の液体を注液口へと円滑に誘導することができる。なお、この成す角は、第二直線部の長さが過大とならないように20度以上に設定し、第二直線部が障壁となって液体が滞留しないように50度以下に設定している。
【0017】
他の構成として、前記第一直線部と前記第二直線部との境界は尖っていることが好ましい。
【0018】
このように、第一直線部と第二直線部との境界が尖っていれば、矩形シートから三角形を切除するだけで良いので、詰替え容器の成形が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施形態に係る詰替え容器の斜視図である。
【
図2】第一実施形態に係る詰替え容器の正面図である。
【
図3】第二実施形態に係る詰替え容器の正面図である。
【
図6】その他の実施形態(1)に係る詰替え容器の拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明に係る詰替え容器の実施形態について、図面に基づいて説明する。本実施形態では、詰替え容器の一例として、洗浄液等の液体を収容した詰替え容器Xとして説明する。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0021】
図1~
図3に示すように、詰替え容器Xは、合成樹脂を含むフィルムを積層させた複層フィルムで形成されている。以下、
図2の紙面上側を上方向、紙面下側を下方向として説明することがある。
【0022】
図1に示すように、詰替え容器Xは、表面シート1と、表面シート1との間に液体を収容可能な収容空間Sを形成した裏面シート2と、を備えている。この詰替え容器Xは、硬質な樹脂等で構成された専用容器Yの内部の液体が無くなった場合又は少量となった場合に、専用容器Yの口部4に注液口3が対向するように詰替え容器Xを傾けて、収容空間Sにある液体を専用容器Yに移し替えるために使用される。
【0023】
表面シート1及び裏面シート2は、共に同一の材料で構成されており、合成樹脂を含むフィルムを積層させた複層フィルムで形成されている。本実施形態における複層フィルムは、内層から外層まで順にPE(ポリエチレン)/アルミニウム/PET(ポリエチレンテレフタラート)で構成されており、注液口3が形成される上部領域1Aの上辺15は複層フィルムを折り返して形成されている。なお、複層フィルムの材質は特に限定されず、例えば、PE及びアルミニウム、又はPE及びPETの少なくとも2つの組み合わせであっても良い。
【0024】
図2~
図3に示すように、本実施形態における詰替え容器Xは、正面視において縦(上下)110mm×横(左右)65mm(L=110mm×D2=65mm)の矩形状に形成されている。つまり、詰替え容器Xは、矩形状の表面シート1と、表面シート1との間に液体を収容可能な収容空間Sを形成した矩形状の裏面シート2と、を備えている。この詰替え容器Xは、表面シート1及び裏面シート2の一対の側方部位を熱溶着等で接着して形成される第一側方接着領域11及び第二側方接着領域12と、表面シート1及び裏面シート2の下側となる底部を熱溶着等で接着して形成される底部接着領域13と、第一側方接着領域11の一端を切除することで注液口3が形成される切除部14と、を備えている。
【0025】
上述したように、詰替え容器Xの上部領域1Aは、複層フィルムを折り返して形成されていることから、上辺15を接着せずに構成し、注液口3に至る流路を確保している。注液口3に至る表面シート1及び裏面シート2の上辺15は、底部接着領域13と平行な直線状に形成されている。この構成から、上辺15、第一側方接着領域11及び第二側方接着領域12、底部接着領域13で囲まれる内側領域に、液体を収容する収容空間Sが形成されている。この収容空間Sにある液体を専用容器Yに移し替える際、詰替え容器Xの切除部14を除去して注液口3を開放することとなる(
図1も参照)。
【0026】
第一側方接着領域11は、上辺15と対向し、注液口3から離れるほど上辺15から離間するよう直線状に傾斜した第一直線部51と、第一直線部51の注液口3とは反対側の端部から屈曲し外側に向かって直線状に延出した第二直線部52とで構成される屈曲領域5を有している。本実施形態に係る屈曲領域5は、第一直線部51と第二直線部52との境界で尖っており、幅が約5mmの直線帯で形成されている。また、第一側方接着領域11は、屈曲領域5を除いて全て平行な幅が約5mmの直線帯で形成されている。第二側方接着領域12及び底部接着領域13は、全て平行な幅が約5mmの直線帯で形成されている。屈曲領域5は、第一直線部51及び第二直線部52を熱溶着して直線帯を形成した後、三角形の抜き取り部16を除去することにより、底辺を除いた一対の斜辺で構成されている。このような構成であることから、本実施形態に係る屈曲領域5は、成形が容易なものとなっている。
【0027】
屈曲領域5の最も内側にある仮想頂点P1と第一側方接着領域11の最も外側で仮想頂点P1を通る頂垂線Lvと直交する第一仮想外側辺La(表面シート1及び裏面シート2の側辺である仮想外側辺の一例)との最短距離D1は、第一仮想外側辺Laと第二側方接着領域12の最も外側で第一仮想外側辺Laに平行である第二仮想外側辺Lbとの最短距離D2の5分の1以上2分の1以下(1/5≦D1/D2≦1/2)である。本実施形態では、第一側方接着領域11及び第二側方接着領域12が直線帯で形成されていることから、第一仮想外側辺La及び第二仮想外側辺Lbは、夫々の外側辺と一致する。
【0028】
図1に示すように、収容空間Sにある液体が注液口3に向かって流動する際、液体は、第二直線部52、次いで第一直線部51に沿って徐々に流路面積が縮小されながら流動するが、D1/D2を5分の1以上とすれば、液体の注液速度を高まる。一方、D1/D2を大きくしすぎると、容器底部の収容空間Sにある液体が上部領域1Aに流動し難くなるため、また容器底部の収容空間Sに液体を適量収容し難くなるため、D1/D2を2分の1以下とすることが好ましい。つまり、D1/D2の比率は、注液口3に至る流路を適正に確保するために5分の1以上に設定し、収容空間Sにある液体を注液口3へと円滑に収束させるため、および液体収容量を確保するために2分の1以下に設定している。
図2の例では、D1=25mm、D2=65mmとし、D1/D2=5/13としている。
図3の例では、D1=22.95mm、D2=65mmとし、D1/D2=約0.35としている。
【0029】
また、屈曲領域5の底辺の長さL1は、表面シート1及び裏面シート2における第一仮想外側辺Laの長さL(第一仮想外側辺La)に対して3分の1以上2分の1以下(1/3≦L1/L≦1/2)で構成されている。ここで、屈曲領域5の底辺とは、屈曲領域5の第一直線部51及び第二直線部52を仮想三角形の斜辺とみなしたときの底辺のことを指す。
【0030】
図1に示すように、収容空間Sにある液体が注液口3に向かって流動する際、液体は、第二直線部52に沿って流動した後、第一直線部51に沿って徐々に流路面積が縮小されながら流動するが、L1/Lを3分の1以上とすれば、液体の注液速度を高まる。一方、L1/Lを大きくしすぎると、容器底部の収容空間Sに液体を適量収容し難くなるため、L1/Lを2分の1以下とすることが好ましい。つまり、L1/Lの比率は、容器底部の収容空間Sに液体を第二直線部52から第一直線部51の傾斜を介して注液口3へと円滑に誘導して注液速度を高めるために3分の1以上に設定し、屈曲領域5が過大となって液体収容量が減少しないように2分の1以下に設定している。
図2の例では、L1=44mm、L=110mmとし、L1/L=2/5としている。
図3の例では、L1=49mm、L=110mmとし、L1/L=約0.45としている。
【0031】
図2~
図3に示すように、第一仮想外側辺Laと第一直線部51との成す角Aは、30度以上60度以下である。また、第一仮想外側辺Laと第二直線部52との成す角Bは、20度以上50度以下である。成す角Aは、第一直線部51の長さが過大とならないように30度以上に設定し、第一直線部51の傾斜勾配を適度に確保して注液速度を高めるために60度以下に設定している。成す角Bは、第二直線部52の長さが過大とならないように20度以上に設定し、第二直線部52が障壁となって液体が滞留しないように50度以下に設定している。
図2の例では、成す角Aを55度に設定し、成す角Bを35度に設定している。
図3の例では、成す角Aを55度に設定し、成す角Bを25度に設定している。D1/D2,成す角A及び成す角Bを上記値に設定することにより、第一仮想外側辺Laに沿う屈曲領域5の底辺の長さL1は、
図2の例では44mmであり、
図3の例では49mmとなる。
【0032】
切除部14は、第一仮想外側辺Laから約10mmの位置で第一直線部51に形成されたノッチ14aを有しており、このノッチ14aから上下方向に破断することにより、第一側方接着領域11の直線帯と略平行な注液口3が形成される。この切除部14は、切除されることで注液口3となる切取線31を有していても良い。この切取線31は、第一直線部51に形成されたノッチ14aに連続して第一側方接着領域11の直線帯と平行に形成された薄肉線、ミシン目、傷痕群等であっても良い。第一側方接着領域11に直線帯を形成すれば、容器底部にある液体を第二直線部52及び第一直線部51に沿って注液口3へと円滑に誘導することができる。また、この直線帯と平行な切取線31により注液口3の断面積が最も小さくなるので、屈曲領域5の傾斜した第一直線部51を流動した液体を注液口3から勢いよく噴出させ、注液速度をさらに向上させることができる。
【0033】
以下、
図2~
図3に示す本実施形態に係る詰替え容器Xと、
図4~
図5に示す比較例に係る詰替え容器を用いた注液時間の比較実験について説明する。
【0034】
実施例1~実施例3は、
図2に示す詰替え容器Xとほぼ同様の形状であり、L1=44mm、L=110mmのL1/L=2/5とし、仮想頂点P1の位置を異ならせることにより、実施例1ではD1=25mm(D1/D2=5/13)、実施例2ではD1=32mm(D1/D2=約1/2)、実施例3ではD1=16mm(D1/D2=約1/4)とした。これにより、実施例1~実施例3は、夫々、第一仮想外側辺Laと第一直線部510との成す角A=55度,59度,35度、第一仮想外側辺Laと第二直線部520との成す角B=35度,49度,20度としている。実施例4は、
図3に示す詰替え容器Xそのものである。
【0035】
図4~
図5に示す比較例1~比較例2における詰替え容器は、上述した実施形態と同様に正面視において縦(上下)110mm×横(左右)65mmの矩形状に形成されており、上述した第一直線部51に対応する第一直線部510を第一側方接着領域11から垂直に延出させている。また、比較例1~2における詰替え容器は、D1=25mm、D2=65mmのD1/D2=5/13とし、L1=44mm、L=110mmのL1/L=2/5とし、第一仮想外側辺Laと第一直線部510との成す角A=90度としている。また、比較例1は、第一仮想外側辺Laと第二直線部520との成す角B=25度とし、比較例2は、第一直線部510と第二直線部520との交点部分に第一側方接着領域11と平行な直線を設け、第一仮想外側辺Laと第二直線部520との成す角B=28度としている。
【0036】
図2に示す第一実施形態の詰替え容器X(実施例1~実施例3)、
図3に示す第二実施形態の詰替え容器X(実施例4)、
図4~
図5に示す比較例1~比較例2の詰替え容器の夫々に10mlの水を収容し、ノッチを上下方向に破断してから、詰替え容器Xを135度回転させ、
図1に示す空の専用容器Yに内容液が全て移動するのに要した時間を3回計測した平均値を表1に示す。
【表1】
【0037】
表1に示されるように、本実施形態における
図2(第一実施形態)及び
図3(第二実施形態)に示す詰替え容器Xは、比較例1に比べて約1.8倍、比較例2に比べて約1.7倍の注液速度となった。実施例1と比較例1を比べると、L1/L及びD1/D2が同様であるにも関わらず、実施例1は第一直線部51を傾斜させると共に第二直線部52の傾斜角を大きくした屈曲領域5を設けることにより、注液速度が大幅に上がったことが分かる。実施例4と比較例1を比べると、実施例4は第二直線部52の傾斜角が同様であるにも関わらず、第一直線部51を傾斜させた屈曲領域5を設けることにより、注液速度が大幅に上がったことが分かる。実施例2~3と比較例2を比べると、実施例2~3はD1/D2を5分の1以上2分の1以下の上限値及び下限値付近に設けて内容物の充填密度を変化させたとしても、第一直線部51を傾斜させた屈曲領域5を設けることにより、注液速度が大幅に上がったことが分かる。また、比較例2は、第一直線部510と第二直線部520との交点部分に第一側方接着領域11と平行な直線を設けることにより、比較例1と比べて若干注液速度が向上したが、実施例1~4のような屈曲領域5を設ける方が顕著な効果を奏することが証明できた。このように、注液口3から内側に向かって流路面積が拡大するよう直線状に傾斜した第一直線部51を有する屈曲領域5を設けることにより、注液口3に至る流路が注液口3に行くに従い流路面積が小さくなるため、注液速度が上がり、液体の詰替えを迅速に実行することができることが理解される。しかも、屈曲領域5を設けるといった簡便な構成により注液速度を向上させることが可能となるため、安価に製造することができる。
【0038】
[その他の実施形態]
(1)
図6に示すように、第一直線部51と第二直線部52との交点を円弧状としても良い。上述したように、第一直線部510と第二直線部520との交点部分に第一側方接着領域11と平行な直線を設けた比較例2は、比較例1よりも注液速度が若干向上していることから、本実施形態でも注液速度が若干向上すると想定される。
(2)上述した実施形態における詰替え容器Xに収容する物質は、洗浄液や水等あらゆる液体を適用できる。
(3)上述した実施形態では、複層フィルムを重ねて熱溶着等により接着して形成したが、複層フィルムを折り返して熱溶着等により接着させる形態であっても良い。また、接着の方法は、熱溶着に限定されず、接着剤等による接着であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、液体を収容可能な詰替え容器に利用可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 :表面シート
2 :裏面シート
3 :注液口
5 :屈曲領域
11 :第一側方接着領域
12 :第二側方接着領域
14 :切除部
51 :第一直線部
52 :第二直線部
A :第一仮想外側辺と第一直線部との成す角
B :第一仮想外側辺と第二直線部との成す角
L :表面シート及び裏面シートにおける仮想外側辺の長さ
L1 :屈曲領域の底辺の長さ
La :第一仮想外側辺(仮想外側辺)
Lv :頂垂線
P1 :仮想頂点
S :収容空間
X :詰替え容器