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特許7520000多結晶シリコンロッドの切断方法、多結晶シリコンロッドのカットロッドの製造方法、多結晶シリコンロッドのナゲットの製造方法、および多結晶シリコンロッドの切断装置
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  • 特許-多結晶シリコンロッドの切断方法、多結晶シリコンロッドのカットロッドの製造方法、多結晶シリコンロッドのナゲットの製造方法、および多結晶シリコンロッドの切断装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】多結晶シリコンロッドの切断方法、多結晶シリコンロッドのカットロッドの製造方法、多結晶シリコンロッドのナゲットの製造方法、および多結晶シリコンロッドの切断装置
(51)【国際特許分類】
   B28D 7/02 20060101AFI20240712BHJP
   B28D 5/02 20060101ALI20240712BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20240712BHJP
   B24B 55/02 20060101ALI20240712BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
B28D7/02
B28D5/02 A
B24B27/06 J
B24B55/02 D
H01L21/304 601Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021524697
(86)(22)【出願日】2020-04-17
(86)【国際出願番号】 JP2020016832
(87)【国際公開番号】W WO2020246152
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-02-10
(31)【優先権主張番号】P 2019106232
(32)【優先日】2019-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003182
【氏名又は名称】株式会社トクヤマ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】阪井 純也
(72)【発明者】
【氏名】田崎 博之
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/002670(WO,A1)
【文献】特開2012-143863(JP,A)
【文献】特開平07-047542(JP,A)
【文献】特開昭50-119379(JP,A)
【文献】特開2007-281210(JP,A)
【文献】実公昭50-001311(JP,Y1)
【文献】特開2002-028921(JP,A)
【文献】特開平09-255467(JP,A)
【文献】特開2002-097096(JP,A)
【文献】特開2012-134489(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28D 7/02
B28D 5/02
B24B 27/06
B24B 55/02
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多結晶シリコンロッドを切断工具によって切断する切断工程を含む多結晶シリコンロッドの切断方法であって、
前記切断工程では、
第1のノズルから前記多結晶シリコンロッドの切断位置に液体を供給し、
第2のノズルから、前記多結晶シリコンロッドの延伸方向の少なくとも一方の表面における、前記切断位置から、前記延伸方向の少なくとも一方に、前記多結晶シリコンロッドの直径の少なくとも2倍以上離れた位置までの範囲に前記液体を供給し、
前記切断によって飛散した飛散体を含む空気を、前記延伸方向において、前記第1のノズルと前記第2のノズルとの間から吸引して除去することを特徴とする、切断方法。
【請求項2】
前記第2のノズルから供給される前記液体が、前記多結晶シリコンロッドの前記表面を移動した後に、前記多結晶シリコンロッドの下方に流れ落ちるよう、前記多結晶シリコンロッドの上方から前記第2のノズルにより前記液体を供給することを特徴とする、請求項に記載の切断方法。
【請求項3】
前記切断工具は、ダイヤモンド砥粒が固着されている外周刃ブレードであり、
前記切断工程において、前記多結晶シリコンロッドを、前記外周刃ブレードの回転方向と逆方向に回転させることを特徴とする、請求項1または2に記載の切断方法。
【請求項4】
多結晶シリコンロッドを切断工具によって切断する切断工程を含む多結晶シリコンロッドのカットロッドの製造方法であって、
前記切断工程では、
第1のノズルから前記多結晶シリコンロッドの切断位置に液体を供給し、
第2のノズルから、前記多結晶シリコンロッドの延伸方向の少なくとも一方の表面における、前記切断位置から、前記延伸方向の少なくとも一方に、前記多結晶シリコンロッドの直径の少なくとも2倍以上離れた位置までの範囲に前記液体を供給し、
前記切断によって飛散した飛散体を含む空気を、前記延伸方向において、前記第1のノズルと前記第2のノズルとの間から吸引して除去することを特徴とする、製造方法。
【請求項5】
請求項に記載の製造方法により得られた前記カットロッドを粉砕する粉砕工程を含む、多結晶シリコンロッドのナゲットの製造方法。
【請求項6】
多結晶シリコンロッドを切断するための切断工具と、
前記多結晶シリコンロッドの切断位置に液体を供給する第1のノズルと、
前記多結晶シリコンロッドの延伸方向の少なくとも一方の表面における、前記切断位置から、前記延伸方向の少なくとも一方に、前記多結晶シリコンロッドの直径の少なくとも2倍以上離れた位置までの範囲に前記液体を供給する第2のノズルと、
前記切断によって飛散した飛散体を含む空気を、前記延伸方向において、前記第1のノズルと前記第2のノズルとの間から吸引して除去する吸引口と、を備えることを特徴とする、多結晶シリコンロッドの切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多結晶シリコンロッドの切断方法、多結晶シリコンロッドのカットロッドの製造方法、多結晶シリコンロッドのナゲットの製造方法、および多結晶シリコンロッドの切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シーメンス法によって製造される多結晶シリコンロッドは、通常略円柱状の細長い多結晶シリコンロッドとして製造される。かかる多結晶シリコンロッドを原料として、引上げ法等の方法によって単結晶シリコンインゴットを製造するためには、適宜の長さに切断することが必要な場合がある。
【0003】
多結晶シリコンロッドを、通常の回転式ブレードを用いて切断する場合、ブレードと材料との間に生じる摩擦熱による砥粒の剥離または磨滅およびブレードの歪み等を防ぐため、多結晶シリコンロッドの切断部に水または油等の冷却および潤滑用の媒体を吹き付けながら切断が行われている。この方法は湿式切断方法として知られている。
【0004】
湿式切断方法等において、多結晶シリコンロッドをブレードによって切断する場合の課題として、シリコンの切削粉だけでなく、ブレード由来の金属成分も発塵し、発塵した金属成分が多結晶シリコンロッドを汚染することが挙げられる。この原因は、多結晶シリコンロッドの切断時に、ブレードに固着されている砥粒が摩耗し、その結果砥粒の結合剤として使用されている金属成分が多結晶シリコンロッドと直接接触し、発塵するためである。
【0005】
この対策として、例えば特許文献1では、砥粒がメタルボンドによりブレード外周部に固着された外周刃ではなく、砥粒が電着めっき法によりブレード内周部に固着された内周刃を用いて切断することが提案されている。また、特許文献2では、破砕等の機械加工後の多結晶シリコンロッドの表面に特殊なエッチング処理を施し、汚染物質を除去することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】日本国公開特許公報「特開2005-288891号公報」
【文献】日本国公開特許公報「特開平08-067510号公報」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1で提案されている内周刃による切断では、一般的な内周刃は刃先が薄く形成されているため、内周刃に大きな負荷が加わると破損する虞がある。また、特許文献2で提案されている特殊なエッチング処理を行っても、多結晶シリコンロッドの表面から汚染物質を完全には除去できず、単結晶シリコンインゴットの不純物汚染を十分に低減できない場合がある。また、エッチング処理は、多結晶シリコンロッドの製造における工程数の増加およびコストの増大につながる。
【0008】
本発明の一態様は、多結晶シリコンロッドの切断時に、不純物汚染、特に金属汚染を効果的に防ぐ方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る多結晶シリコンロッドの切断方法は、多結晶シリコンロッドを切断工具によって切断する切断工程を含む多結晶シリコンロッドの切断方法であって、前記切断工程では、第1のノズルから前記多結晶シリコンロッドの切断位置に液体を供給し、第2のノズルから前記多結晶シリコンロッドの表面に前記液体を供給する。
【0010】
本発明の一態様に係る多結晶シリコンロッドのカットロッドの製造方法は、多結晶シリコンロッドを切断工具によって切断する切断工程を含む多結晶シリコンロッドのカットロッドの製造方法であって、前記切断工程では、第1のノズルから前記多結晶シリコンロッドの切断位置に液体を供給し、第2のノズルから前記多結晶シリコンロッドの表面に前記液体を供給する。
【0011】
本発明の一態様に係る多結晶シリコンロッドの切断装置は、多結晶シリコンロッドを切断するための切断工具と、前記多結晶シリコンロッドの切断位置に液体を供給する第1のノズルと、前記多結晶シリコンロッドの表面に前記液体を供給する第2のノズルと、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、多結晶シリコンロッドの切断時に、不純物汚染、特に金属汚染を効果的に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態1に係る多結晶シリコンロッドの切断装置を示す模式図である。
図2】ダイヤモンドブレードの砥粒固着態様を示す模式図である。
図3】本発明の実施形態2に係る多結晶シリコンロッドの切断装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
<多結晶シリコンロッドの切断装置>
図1に示すように、多結晶シリコンロッドSを切断するための切断装置10は、基端側支持部11と、先端側支持部12と、切断部13と、第1のノズル14と、第2のノズル15と、を備える。
【0016】
本発明の対象となる多結晶シリコンロッドSは、例えばシーメンス法によって製造される。シーメンス法ではまず、ベルジャー型の反応器内に、例えば逆U字状の直径数mm、長さ1000~3000mmのシリコン芯線を略鉛直方向に立て、通電加熱により約1100℃に加熱保持する。この状態で、反応器内にシリコン含有化合物、例えばモノシランやトリクロロシラン等を、水素ガスと共に供給し、シリコン芯線表面で反応させて、シリコン芯線表面にシリコンを析出させ、多結晶シリコンロッドSを得る。この多結晶シリコンロッドSは通常、直径50~200mm、長さ1000~3000mmの略円柱状の細長い形状を有する。
【0017】
基端側支持部11は、多結晶シリコンロッドSの一端(以下、基端と称する)の端部を回転可能に支持する部材であり、先端側支持部12は、多結晶シリコンロッドSの他端(以下、先端と称する)の端部を回転可能に支持する部材である。
【0018】
基端側支持部11は、円筒状の円筒壁部111と、円筒壁部111の軸方向中央近傍から径方向内側に突出するチャック111aと、円筒壁部111の基端側端面を覆う円筒底壁112と、円筒底壁112から基端側に延出し、円筒壁部111に対して同心軸状に配置される軸部材113とを備える。基端側支持部11は、円筒壁部111内の空洞に、切断されるべき多結晶シリコンロッドSの基端側の部分を同心軸状に収容し、支持するように構成されている。軸部材113は、チェーン等の伝動部材114を介して、軸部材113を回転駆動させるための回転駆動源115に連結されている。
【0019】
先端側支持部12は、多結晶シリコンロッドSの周方向に120度ずつ離間した3対のローラ121を備え、この3対のローラの回転軸は、基端側支持部11の円筒壁部111の回転軸と平行である。
【0020】
切断部13は、先端側支持部12よりもさらに先端側で、多結晶シリコンロッドSを切断する部材である。切断部13は、回転駆動源131と、回転駆動源131の出力軸に連結される回転軸部132と、回転軸部132に装着されるブレード(切断工具)133と、を備える。ブレード133は、本実施形態において、基板の外周部にダイヤモンド砥粒が固着された外周刃ダイヤモンドブレードであるが、本発明の切断工具はこれに限定されず、例えば内周刃ブレード、バンドソーまたはワイヤーソー等であってもよい。シーメンス法によって製造される多結晶シリコンロッドSの切断では、直径50~200mmの多結晶シリコンロッドSを延伸方向に略垂直に数分間で切断して2分割することが求められるため、本発明の切断工具は、生産性や設備コストの面から、外周刃ブレードであることが好ましい。ブレード133の寸法は特に限定されないが、例えば直径250~450mm、刃の厚さ1~3mmである。
【0021】
外周刃ダイヤモンドブレードの種類として、例えば、図2に示すメタルボンドブレード133aおよび電着ブレード133bが挙げられる。メタルボンドブレード133aは、結合剤となる複数種の金属粉末を、ダイヤモンド砥粒と共に混ぜ固めて焼結することにより作製される。金属粉末としては、例えばコバルト、鉄、スチール、タングステン、ブロンズ(Cu-Sn)またはニッケル等が使用される。
【0022】
一方、電着ブレード133bは、ダイヤモンド砥粒を懸濁させた金属のめっき液(電解質溶液)を使用して、電解めっき法により金属を基板の表面に析出させると共に、ダイヤモンド砥粒を金属表面に吸着させて取り込むことにより作製される。結合剤としてのめっき層は、ニッケルをベースにしたものが一般的である。
【0023】
これらの他、外周刃ダイヤモンドブレードの種類として、図示はしていないが、レジンボンドによりダイヤモンド砥粒を固着させたレジンボンドブレードを使用することもできる。使用するレジンボンドは、特に制限されるものではなく、市販のものを使用できる。
【0024】
電着ブレード133bでは、砥粒が基板表面に密集しているため、結合剤の露出面積が少なく、また結合剤の金属成分が主にニッケルに限られる。したがって、電着ブレード133bを使用した多結晶シリコンロッドSの切断時には、ブレード133由来の汚染物質が飛散しにくく、また飛散する汚染物質の種類が特定できる。したがって、ブレード133由来の汚染物質による多結晶シリコンロッドSの汚染をより効果的に低減するために、ブレード133は電着ブレード133bであることが好ましい。
【0025】
なお、本発明における「多結晶シリコンロッドの切断時の汚染」とは、特に断りがない限り、多結晶シリコンロッドSの表面に付着する汚染および多結晶シリコンロッドSの内部に拡散する汚染、特に金属汚染を含むものとする。ここで、多結晶シリコンロッドSの内部に拡散する汚染とは、例えば、多結晶シリコンロッドSを切断して得られる多結晶シリコンロッドのカットロッド、および当該カットロッドを破砕して得られるナゲットの表面を数μm、化学薬品で溶解除去しても残留する汚染を意味するものとする。
【0026】
再度図1を参照すると、第1のノズル14は、多結晶シリコンロッドSの切断位置に液体L1を供給するための部材である。第1のノズル14は、ブレード133および多結晶シリコンロッドSの切断位置の上方に配置されており、下方に向かって開口している。第1のノズル14から供給される液体L1は、ブレード133と多結晶シリコンロッドSとの間の摩擦を低減する潤滑媒体として機能するとともに、摩擦により発生する熱を吸収する冷却媒体として機能する。また、液体L1は、多結晶シリコンロッドSの切断時に、ブレード133および多結晶シリコンロッドSの切断位置に吹き付けられるように供給されることで、ブレード133由来の砥粒および金属粉ならびに多結晶シリコンロッドSの切削粉を除去する機能も果たす。
【0027】
第1のノズル14は、液体L1を供給する配管(図示せず)に接続されており、多結晶シリコンロッドSの切断時に、切断位置に液体L1を任意の流量で供給可能に構成されている。
【0028】
第1のノズル14の先端として、任意の形状のものを使用でき、限定するものではないが、例えばフレアノズルを使用できる。第1のノズル14の先端における開口部の大きさは、特に制限されるものではなく、多結晶シリコンロッドSの大きさ、多結晶シリコンロッドSの切断位置に供給される液体の量等に応じて、切断に必要な十分の量を供給できる大きさであることが好ましい。具体的には、開口部の幅が0.5~15mm程度のものを使用することが好ましい。
【0029】
液体L1の種類は、潤滑媒体および冷却媒体として機能するものであれば特に限定されないが、例えば、水または油等であってもよく、さらに洗浄成分等の添加剤が添加された液体であってもよい。多結晶シリコンロッドSの汚染を最小化するために、液体L1は純水であることが好ましく、特に比抵抗が1MΩcm(メガオームセンチメートル)以上の純水であることが好ましい。
【0030】
液体L1の流量は、特に限定されないが、液体L1を第1のノズル14から多結晶シリコンロッドSの上面に吹き付ける時に、多結晶シリコンロッドSの上面を多結晶シリコンロッドSの直径×直径の面積に相当する範囲に広がって流れる量であってもよく、例えば5~20L/minであってもよい。
【0031】
後述するように、多結晶シリコンロッドSの切断時には、液体L1が、多結晶シリコンロッドSの切削粉およびブレード133由来の汚染物質と共に飛散することがある。飛散体は、液体L1、多結晶シリコンロッドSの切削粉およびブレード133由来の汚染物質のうちの何れか1つ以上を含み、ブレード133由来の汚染物質は、例えば砥粒および結合剤等を含む。発明者らの鋭意検討によると、液体L1が流れる多結晶シリコンロッドS表面の範囲は、液体L1の流量に拘わらず、多結晶シリコンロッドSの直径と略同じ幅であるが、飛散体が多結晶シリコンロッドS表面に付着する範囲は、液体L1の流量により、多結晶シリコンロッドSの切断位置から延伸方向に、多結晶シリコンロッドSの直径の3~5倍の距離離れた位置まで及ぶことが判明している。
【0032】
第2のノズル15は、第1のノズル14よりも基端側に配置され、多結晶シリコンロッドSの表面の汚染物質を除去するための液体L2を供給するための部材である。第2のノズル15は、多結晶シリコンロッドSの表面における、切断位置から基端側に、多結晶シリコンロッドSの直径の少なくとも2倍以上離れた位置、例えば切断位置から基端側に1000mm離れた位置までの範囲に、液体L2を供給し得るように配置され、下方に向かって開口している。第2のノズル15から供給される液体L2は、多結晶シリコンロッドSの切断時に飛散する飛散体を、多結晶シリコンロッドSの表面から除去する機能を果たす。
【0033】
多結晶シリコンロッドS切断時の飛散体をより効果的に除去するためには、第2のノズル15から供給される液体L2は、多結晶シリコンロッドSの表面における、第1のノズル14から供給される液体L1は流れないが、飛散体が付着する範囲に供給されることが好ましい。
【0034】
第2のノズル15は、液体L2を供給する配管(図示せず)に接続されている。第2のノズル15の先端として、任意の形状のものを使用でき、限定するものではないが、例えば、第1のノズル14と同様に、フレアノズルを使用できる。第2のノズル15の先端における開口部の大きさは、特に制限されるものではなく、多結晶シリコンロッドSの大きさ、多結晶シリコンロッドSの切断位置に供給される液体の量等に応じて、切断に必要な十分の量を供給できる大きさであることが好ましい。具体的には、開口部の幅が0.5~15mm程度のものを使用することが好ましい。
【0035】
液体L2の種類は、多結晶シリコンロッドSの切断時の飛散体を除去できるものであれば特に限定されず、例えば、純水や、洗浄成分等の添加剤を含有する水であってもよい。多結晶シリコンロッドSの汚染を最小化するために、液体L2は、純水であることが好ましく、特に比抵抗が1MΩcm以上の純水であることが好ましい。
【0036】
また、液体L2は、液体L1と同一組成であってもよく、異なる組成であってもよい。液体L1,L2の配管構成を簡略化するためには、液体L2は、液体L1と同一組成であることが好ましい。
【0037】
液体L2の流量は、特に限定されないが、液体L2を第2のノズル15から多結晶シリコンロッドSの上面に吹き付ける時に、多結晶シリコンロッドSの上面を多結晶シリコンロッドSの直径×直径の面積に相当する範囲に広がって流れる量であってもよい。例えば、不純物をより効果的に除去する観点から、液体L2の流量は、液体L1の流量よりも多いことが好ましく、具体的には20~40L/minであってもよい。
【0038】
本実施形態では、第2のノズル15は、第1のノズル14よりも基端側に1本、多結晶シリコンロッドSの上方に配置されているが、第2のノズル15の位置および数はこれに限定されない。第2のノズル15の位置は、限定するものではないが、例えば、多結晶シリコンロッドSの表面における切断位置から、延伸方向の少なくとも一方、すなわち基端側および先端側の少なくとも一方に、多結晶シリコンロッドSの直径の少なくとも2倍以上離れた位置までの範囲に、液体L2を第2のノズル15から供給し得るように配置されていてもよい。したがって、第2のノズル15は、第1のノズル14よりも基端側に1本以上配置されていてもよく、第1のノズル14よりも先端側に1本以上配置されていてもよく、第1のノズル14の両側に1本以上配置されていてもよい。
【0039】
第2のノズル15の数の上限値は、特に限定されるものではない。切断装置10の構成を簡易化するため、また切断加工のコストを低減するためには、第2のノズル15の数は、10本以下であることが好ましい。
【0040】
また、第2のノズル15は、その位置が固定されていてもよく、または多結晶シリコンロッドSの延伸方向に移動可能であってもよい。第2のノズル15が移動可能である場合には、固定されている場合と比較して、より広い範囲に液体L2を供給し、汚染物質をより効果的に除去することができる。
【0041】
また、本実施形態では、第2のノズル15は、多結晶シリコンロッドSの上方に配置されているが、第2のノズル15の位置はこれに限定されず、多結晶シリコンロッドSの側方または下方に配置されていてもよい。第2のノズル15から供給される液体が、多結晶シリコンロッドSの切断時に飛散する汚染物質とともに下方に流れ落ちるようにするために、第2のノズル15は、多結晶シリコンロッドSの上方に配置されることが好ましい。
【0042】
<多結晶シリコンロッドの切断方法>
多結晶シリコンロッドSをブレード133によって切断する時には、まず、基端側支持部11に連結された回転駆動源115を回転させることにより、伝動部材114を介して基端側支持部11の軸部材113、円筒底壁112および円筒壁部111を回転させ、チャック111aにより円筒壁部111に固定された多結晶シリコンロッドSを回転させる。このとき、先端側支持部12の3対のローラ121も回転するため、先端側支持部12は、多結晶シリコンロッドSの回転を妨げることなく、多結晶シリコンロッドSを支持する。
【0043】
また、第1のノズル14から、ブレード133および多結晶シリコンロッドSの切断位置に液体L1を供給するとともに、第2のノズル15から、多結晶シリコンロッドSの表面に液体L2を供給する。
【0044】
そして、切断部13の回転駆動源131を回転させることにより、回転軸部132およびブレード133を、多結晶シリコンロッドSと逆方向に回転させながら、ブレード133を、多結晶シリコンロッドSの延伸方向に略垂直に、多結晶シリコンロッドSの切断位置に押し当てる。そして、ブレード133のダイヤモンド砥粒が多結晶シリコンロッドSの表面に接触し、多結晶シリコンロッドSを抉っていくことで、多結晶シリコンロッドSが外周から中心に向かって切断される。
【0045】
この切断工程を、多結晶シリコンロッドSの延伸方向にそれぞれ異なる位置で適宜繰り返すことにより、多結晶シリコンロッドSのカットロッドが製造される。言い換えれば、多結晶シリコンロッドSのカットロッドの製造方法は、上記の切断工程を含む。さらに、このカットロッドを、例えばハンマーまたは粉砕機等により粉砕する粉砕工程を経ることにより、多結晶シリコンロッドSのナゲットが製造される。言い換えれば、多結晶シリコンロッドSのナゲットの製造方法は、上記の粉砕工程を含む。
【0046】
このような構成によれば、第1のノズル14から供給される液体L1によって、ブレード133由来の汚染物質を多結晶シリコンロッドSの切断位置から除去することができる。また、第2のノズル15から供給される液体L2によって、多結晶シリコンロッドSの切断時に飛散する、ブレード133由来の汚染物質が含まれた飛散体を、多結晶シリコンロッドSの表面から除去することができる。そのため、ブレード133由来の汚染物質による多結晶シリコンロッドSの汚染を効果的に低減できる。
【0047】
本発明の一実施形態に係る方法によれば、多結晶シリコンロッドSの表面に単に付着した汚染物質だけでなく、多結晶シリコンロッドSの表面を数μm溶解除去するエッチング処理で除去が難しい金属汚染物質も効果的に低減できる。
【0048】
より具体的には、従来の方法によれば、飛散した切削液が切断時に流れ落とされずに、多結晶シリコンロッドに付着して乾燥してしまう。そして、当該切削液に含まれる金属汚染物質が多結晶シリコンロッドSの表面及び当該表面近傍に拡散して、エッチング処理を行ったとしても、十分に金属汚染物質を低減できない可能性がある。これに対して、本発明の一実施形態に係る方法では、前記金属汚染物質をより効果的に低減できる。そのため、エッチング処理を行って得られる多結晶シリコンロッドSは、金属汚染物質が十分に低減された単結晶シリコンインゴットの製造に好適に使用できる。
【0049】
また、第2のノズル15から供給される液体が、切断位置から多結晶シリコンロッドSの直径の少なくとも2倍以上離れた位置までの範囲に供給されてもよい。これによれば、多結晶シリコンロッドSの表面において、多結晶シリコンロッドSの切断時に飛散する飛散体が主に到達する範囲内に液体を供給できるため、当該表面の汚染をより効果的に低減できる。
【0050】
また、第2のノズル15が多結晶シリコンロッドSの上方から液体を供給するので、多結晶シリコンロッドSの切断時に飛散する汚染物質を含む液体は、多結晶シリコンロッドSの表面を移動した後に、多結晶シリコンロッドSの下方に流れ落ちてもよい。これによれば、当該汚染物質を含む液体を、効率的に多結晶シリコンロッドから除去することができる。
【0051】
また、ダイヤモンド砥粒を固着する際に、複数の金属成分が含まれる結合剤ではなく、金属成分が主にニッケルに限られる電解めっきを用いた電着ブレード133bによって、多結晶シリコンロッドSを切断してもよい。これによれば、多結晶シリコンロッドSの切断時に、ブレード133由来の汚染物質が飛散しにくく、また飛散する汚染物質の種類が特定できる。そのため、ブレード133に由来する汚染物質による多結晶シリコンロッドSの汚染をより効果的に低減できる。また、多結晶シリコンロッドSが、ブレード133の回転方向と逆方向に回転するため、切断工程において、多結晶シリコンロッドが切断位置以外の位置で割れてしまうことを防止できる。
【0052】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0053】
図3に示すように、切断装置20は、多結晶シリコンロッドSの切断によって飛散した飛散体を含む空気を吸引して除去するための吸引口26をさらに備えることを除き、実施形態1に係る切断装置10と同じ構成を有する。
【0054】
吸引口26の位置は、特に限定されないが、例えば、多結晶シリコンロッドSの延伸方向において、第1のノズル14と第2のノズル15との間に配置されてもよい。このように、多結晶シリコンロッドSの切断時の飛散体をより効果的に吸引して除去するために、吸引口26は、第2のノズル15を基準として第1のノズル14と同じ方向に配置されることが好ましい。また、吸引口26の上下方向の高さは、特に限定されないが、多結晶シリコンロッドSと同程度であってもよい。吸引口26は、作業員の作業を妨げない位置に配置されることが好ましい。
【0055】
ブレード133が外周刃ブレードである場合、吸引口26は、ブレード133における多結晶シリコンロッドSと接触した部分が、接触後に回転によって進行する方向の先に配置されることが好ましい。例えば、多結晶シリコンロッドSの基端側から見て、ブレード133が右回転する場合には、多結晶シリコンロッドSの左側に吸引口26を配置することが好ましい。このような構成によれば、ブレード133から飛散する飛散体が、吸引口26によって効率よく吸引されるため、ブレード133に由来する汚染物質による多結晶シリコンロッドSの汚染を更に効果的に低減できる。
【0056】
吸引口26の吸引速度は、多結晶シリコンロッドSの切断時の飛散体を十分に吸引できる速度であれば、特に制限されるものではない。吸引口26は、例えば、10~30m/minの吸引速度で、飛散体を含む空気を吸引することが好ましい。
【0057】
また、多結晶シリコンロッドSの切断時の飛散体をさらに効果的に吸引して除去するために、吸引口26を複数形成してもよい。
【0058】
この構成によれば、多結晶シリコンロッドSの切断によって飛散した飛散体が多結晶シリコンロッドSの表面に到達する前に、当該飛散体を吸引して除去できる。したがって、多結晶シリコンロッドSの表面に到達する飛散体の量を抑制できるため、第2のノズル15により供給される液体L2によって、多結晶シリコンロッドSの表面から飛散体をより効果的に除去することができる。
【0059】
〔まとめ〕
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る多結晶シリコンロッドの切断方法は、多結晶シリコンロッドを切断工具によって切断する切断工程を含む多結晶シリコンロッドの切断方法であって、前記切断工程では、第1のノズルから前記多結晶シリコンロッドの切断位置に液体を供給し、第2のノズルから前記多結晶シリコンロッドの表面に前記液体を供給する。
【0060】
前記の構成によれば、第1のノズルから供給される液体によって、切断工具に由来する汚染物質を多結晶シリコンロッドの切断位置から除去することができる。また、第2のノズルから供給される液体によって、多結晶シリコンロッドの切断時に飛散する、切断工具に由来する汚染物質が含まれた飛散体を、多結晶シリコンロッド表面から除去することができる。そのため、切断工具に由来する汚染物質による多結晶シリコンロッドの汚染を効果的に低減できる。
【0061】
本発明の一態様に係る多結晶シリコンロッドの切断方法は、前記表面における、前記切断位置から、前記多結晶シリコンロッドの延伸方向の少なくとも一方に、前記多結晶シリコンロッドの直径の少なくとも2倍以上離れた位置までの範囲に、前記液体を前記第2のノズルから供給してもよい。
【0062】
前記の構成によれば、第2のノズルから供給される液体が、切断位置から多結晶シリコンロッドの直径の少なくとも2倍以上離れた位置までの範囲に供給される。したがって、多結晶シリコンロッドの表面において、多結晶シリコンロッドの切断時に飛散する飛散体が主に到達する範囲内に液体を供給できるため、当該表面の汚染をより効果的に低減できる。
【0063】
本発明の一態様に係る多結晶シリコンロッドの切断方法は、前記第2のノズルから供給される前記液体が、前記多結晶シリコンロッドの前記表面を移動した後に、前記多結晶シリコンロッドの下方に流れ落ちるよう、前記多結晶シリコンロッドの上方から前記第2のノズルにより前記液体を供給してもよい。
【0064】
前記の構成によれば、第2のノズルが多結晶シリコンロッドの上方から液体を供給するため、多結晶シリコンロッドの切断時に飛散する汚染物質を含む液体は、多結晶シリコンロッドの下方に流れ落ちる。したがって、当該汚染物質を含む液体を、効率的に多結晶シリコンロッドから除去することができる。
【0065】
本発明の一態様に係る多結晶シリコンロッドの切断方法は、前記切断工程ではさらに、前記切断によって飛散した飛散体を含む空気を吸引して除去してもよい。
【0066】
前記の構成によれば、多結晶シリコンロッドの切断によって飛散した飛散体が多結晶シリコンロッドの表面に到達する前に、当該飛散体を吸引して除去できる。したがって、多結晶シリコンロッドの表面に到達する飛散体の量を抑制できるため、第2のノズルにより供給される液体によって、多結晶シリコンロッドの表面から飛散体をより効果的に除去することができる。
【0067】
本発明の一態様に係る多結晶シリコンロッドの切断方法は、前記切断工具は、ダイヤモンド砥粒が固着されている外周刃ブレードであり、前記切断工程において、前記多結晶シリコンロッドを、前記外周刃ブレードの回転方向と逆方向に回転させてもよい。
【0068】
ダイヤモンド砥粒を外周刃ブレードに固着する場合、固着のために使用される結合剤(例えば、レジンボンド、メタルボンド等)に由来する汚染物質により、多結晶シリコンロッドが汚染され、当該多結晶シリコンロッドから製造される単結晶シリコンインゴットの品質に悪影響を与える場合がある。一方、前記の構成によれば、これら汚染物質による悪影響を抑制することができる。
【0069】
特に、外周刃ブレードの中でも、ダイヤモンド砥粒が電着されている外周刃ブレードを用いた場合には、以下の効果が発揮される。ダイヤモンド砥粒を固着する際に、複数の金属成分が含まれる結合剤ではなく、結合剤の金属成分が主にニッケルに限られる電解めっきを用いたブレードによって、多結晶シリコンロッドを切断する。したがって、多結晶シリコンロッドの切断時に、切断工具由来の汚染物質が飛散しにくく、また飛散する汚染物質の種類が特定できる。そのため、切断工具に由来する汚染物質による多結晶シリコンロッドの汚染をより効果的に低減できる。
【0070】
また、切断工程において、多結晶シリコンロッドが切断位置以外の位置で割れてしまうことを防止できる。
【0071】
本発明の一態様に係る多結晶シリコンロッドのカットロッドの製造方法は、多結晶シリコンロッドを切断工具によって切断する切断工程を含む多結晶シリコンロッドのカットロッドの製造方法であって、前記切断工程では、第1のノズルから前記多結晶シリコンロッドの切断位置に液体を供給し、第2のノズルから前記多結晶シリコンロッドの表面に前記液体を供給する。
【0072】
本発明の一態様に係る多結晶シリコンロッドのナゲットの製造方法は、前記多結晶シリコンロッドのカットロッドの製造方法により得られた前記カットロッドを粉砕する粉砕工程を含んでもよい。
【0073】
本発明の一態様に係る多結晶シリコンロッドの切断装置は、多結晶シリコンロッドを切断するための切断工具と、前記多結晶シリコンロッドの切断位置に液体を供給する第1のノズルと、前記多結晶シリコンロッドの表面に前記液体を供給する第2のノズルと、を備える。
【0074】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例
【0075】
本発明の一実施例について以下に説明する。
【0076】
〔洗浄ナゲットの作製〕
(実施例1)
実施形態1に係る切断装置10を使用して、多結晶シリコンロッド(直径約100mm)を切断した。切断は、旭ダイヤモンド社製のダイヤモンド電着ブレードを使用し、多結晶シリコンロッドSを約50rpmで回転させながら、ブレード133を約2000rpmで逆方向に回転させて行った。この時、第1のノズル14から、液体L1としての純水を流量10L/minで供給し、第2のノズル15から、液体L2としての純水を流量30L/minで供給しながら切断を行った。切断を2回行い、長さ約500mmのカットロッドを作製した。
【0077】
得られた多結晶シリコンロッドSのカットロッドを、タングステンカーバイドハンマーにより、最大寸法約100mmに破砕して、実施例1に係る多結晶シリコンロッドSのナゲットを作製した。作製したナゲットをフッ硝酸溶液槽に浸漬して、その表面を数μm溶解除去したのち水洗・乾燥して洗浄ナゲットを作製した。
【0078】
(実施例2)
実施例1において、ダイヤモンド電着ブレードの代わりに、メタルボンドでダイヤモンド砥粒を固着したメタルボンドブレードを使用したことを除き、実施例1と同様にして、実施例2に係る多結晶シリコンロッドSの洗浄ナゲットを作製した。
【0079】
(比較例1)
実施例1において、第2のノズル15から液体L2を供給せずに切断を行ったことを除き、実施例1と同様にして、比較例1に係る多結晶シリコンロッドSの洗浄ナゲットを作製した。
【0080】
(比較例2)
実施例2において、第2のノズル15から液体L2を供給せずに切断を行ったことを除き、実施例2と同様にして、比較例1に係る多結晶シリコンロッドSの洗浄ナゲットを作製した。
【0081】
(参照例)
参照例として、切断を行っていない多結晶シリコンロッドSを破砕したナゲットを、実施例1と同様に、フッ硝酸溶液槽に浸漬して、その表面を数μm溶解除去したのち水洗・乾燥して洗浄ナゲットを作製した。
【0082】
〔表面重金属濃度〕
実施例1および2ならびに比較例1および2で作製した洗浄ナゲットについて、以下の方法により、表面重金属濃度を測定した。
【0083】
まず、各洗浄ナゲットを、室温でフッ硝酸溶液槽に浸漬して、その表面を約20マイクロメートルの深さで溶解させ、溶解液を得た。次いで、得られた溶解液に含まれる重金属成分の質量をICP-MSにより測定した。最後に、得られた重金属成分の質量を前記洗浄ナゲットの質量で除することにより、表面重金属濃度を求めた(単位ppbw:parts per billion weight)。結果を表1に示す。
【0084】
【表1】
【0085】
実施例における重金属濃度は、比較例における重金属濃度よりも低く、参照例である非切断品と同程度の水準であった。
【符号の説明】
【0086】
10 切断装置
13 切断部
14 第1のノズル
15 第2のノズル
20 切断装置
26 吸引口
133 ブレード
133b 電着ブレード
L1 液体
L2 液体
図1
図2
図3