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特許7520017遮光エッジ除外ゾーンを備えた透明な基板
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  • 特許-遮光エッジ除外ゾーンを備えた透明な基板 図1
  • 特許-遮光エッジ除外ゾーンを備えた透明な基板 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】遮光エッジ除外ゾーンを備えた透明な基板
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/68 20060101AFI20240712BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
H01L21/68 F
H01L21/02 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021538393
(86)(22)【出願日】2019-12-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-24
(86)【国際出願番号】 US2019064375
(87)【国際公開番号】W WO2020146061
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2022-11-28
(31)【優先権主張番号】16/241,427
(32)【優先日】2019-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヨン, マイケル ユタク
(72)【発明者】
【氏名】ゴデット, ルドヴィーク
(72)【発明者】
【氏名】フィッサー, ロバート ヤン
【審査官】境 周一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-223304(JP,A)
【文献】特開2002-353080(JP,A)
【文献】国際公開第2008/136423(WO,A1)
【文献】特開2010-032372(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0110086(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/68
H01L 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイス形成のための基板であって、
配向フィーチャが形成された周辺エッジ領域を有する主表面と、
前記周辺エッジ領域に形成された粗面のテクスチャであって、前記主表面の不透明度よりも大きい不透明度を有し、前記配向フィーチャはノッチであり、前記ノッチの内側の先端は、前記粗面のテクスチャの最内のエッジまで伸び、前記粗面のテクスチャの最内のエッジと一致している、粗面のテクスチャと、
を備える基板。
【請求項2】
前記主表面の平均表面粗さが、前記粗面のテクスチャの平均表面粗さよりも小さい、請求項1に記載の基板。
【請求項3】
前記主表面が、約400ナノメートルから約800ナノメートルの波長で約5%から約10%の第1の不透明度を有する、請求項1に記載の基板。
【請求項4】
前記粗面のテクスチャが、約65%から約85%の第2の不透明度を有する、請求項に記載の基板。
【請求項5】
前記主表面の不透明度が、約5%から約10%である、請求項1に記載の基板。
【請求項6】
前記周辺エッジ領域の不透明度が、約65%から約85%である、請求項に記載の基板。
【請求項7】
前記主表面が、第1の表面粗さを有し、前記周辺エッジ領域が、前記第1の表面粗さよりも大きい第2の表面粗さを有する、請求項に記載の基板。
【請求項8】
前記第1の表面粗さが、約2ナノメートルから約3ナノメートルであり、前記第2の表面粗さが、約100ナノメートル以上である、請求項に記載の基板。
【請求項9】
電子デバイス形成のための基板であって、
配向フィーチャが形成された周辺エッジ領域を有する主表面であって、第1の平均表面粗さ(Ra)を有する主表面と、
前記周辺エッジ領域に形成された粗面のテクスチャであって、前記粗面のテクスチャが、前記第1のRaよりも大きい第2のRaを有し、前記周辺エッジ領域が、前記主表面の不透明度よりも大きい不透明度を有し、前記配向フィーチャはノッチであり、前記ノッチの内側の先端は、前記粗面のテクスチャの最内のエッジまで伸び、前記粗面のテクスチャの最内のエッジと一致している、粗面のテクスチャと、
を備える基板。
【請求項10】
前記主表面の不透明度が、約5%から約10%である、請求項に記載の基板。
【請求項11】
前記周辺エッジ領域の不透明度が、約65%から約85%である、請求項10に記載の基板。
【請求項12】
前記主表面が、約400ナノメートルから約800ナノメートルの波長で約5%から約10%の第1の不透明度を有する、請求項に記載の基板。
【請求項13】
前記第1のRaが、約2ナノメートルから約3ナノメートルであり、前記第2のRaが、約100ナノメートル以上である、請求項に記載の基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、一般に、電子デバイス製造プロセスで利用される光学的に透明な基板のノッチまたはフラットを検出するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]基板上の電子デバイスの製造では、半導体基板などの基板は、基板のエッジ上のノッチまたはフラットなどのインジケータを見つけることによって、チャンバ内で位置合わせされる。これらの半導体基板は、通常、シリコン、ゲルマニウム、またはそれらの組み合わせでできており、一般に不透明または反射性であるため、光を使用したフラットまたはノッチの検出が比較的簡単になる。例えば、光は、ノッチまたはフラットが配置されている領域を除いて、基板上の任意の地点で吸収または反射される。
【0003】
[0003]しかしながら、光学的に透明な基板が使用される場合、光は、基本的にノッチまたはフラットと同じように材料を通過する。この透明な特性により、従来の検出ハードウェアを使用したフラットまたはノッチの検出は事実上不可能になる。
【0004】
[0004]したがって、光学的に透明な基板上のノッチまたはフラットの検出を可能にする方法および装置が必要である。
【発明の概要】
【0005】
[0005]本開示の実施形態は、一般に、電子デバイス製造において利用可能な光学的に透明な基板、ならびに光学的に透明な基板のノッチまたはフラットを検出する方法に関する。この検出方法は、基板のマッピングおよび/または位置決めのみならず、基板の正確な位置決めを可能にする。
【0006】
[0006]一実施形態では、配向フィーチャが形成された周辺エッジ領域を有する主表面と、周辺エッジ領域に形成されたテクスチャであって、主表面の不透明度よりも大きい不透明度を有するテクスチャと、を含む光学的に透明な基板が開示される。
【0007】
[0007]別の実施形態では、電子デバイス形成のための基板が開示される。基板は、配向フィーチャが形成された周辺エッジ領域を有し、かつ第1の平均表面粗さ(Ra)を有する主表面と、周辺エッジ領域に形成されたテクスチャであって、第1のRaよりも大きい第2のRaを有するテクスチャとを含み、周辺エッジ領域は、主表面の不透明度よりも大きい不透明度を有する。
【0008】
[0008]別の実施形態では、インデックスフィーチャを有する光学的に透明な基板を提供することと、基板の周辺エッジ領域にテクスチャを形成することと、を含む方法が開示され、テクスチャは、基板の主表面のRaよりも大きいRaを有し、周辺エッジ領域は、主表面の不透明度よりも大きい不透明度を有する。
【0009】
[0009]本開示の上記の特徴が、詳細に理解されるように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明が、実施形態を参照することによって得られ、そのいくつかが、添付の図面に示されている。しかしながら、添付の図面は、例示的な実施形態のみを示し、したがって、その範囲を限定すると見なされるべきではなく、他の同等に有効な実施形態を認めることができることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】基板処理システムの簡略化された概略図を示す。
図2図2Aは、マスクの一部をその上に有する光学的に透明な基板の一実施形態の平面図である。図2Bは、周辺エッジ領域に形成されたテクスチャを有する光学的に透明な基板の別の実施形態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0013]理解を容易にするために、可能な場合は、図に共通する同一の要素を示すために、同一の参照番号が使用されている。ある実施形態の要素および特徴は、さらに詳説することなく、他の実施形態に有益に組み込まれ得ることが企図されている。
【0012】
[0014]本開示の実施形態は、一般に、電子デバイス製造において利用可能な光学的に透明な基板、ならびに光学的に透明な基板のノッチまたはフラットを検出する方法に関する。この検出方法は、基板のマッピングおよび/または位置決めのみならず、基板の正確な位置決めを可能にする。特に断りのない限り、本明細書で使用される「基板」という用語は、平面図において円形または長方形であり、ガラス材料または石英材料などの光学的に透明な材料でできている基板からなる。
【0013】
[0015]図1は、基板処理システム100の簡略化された概略図を示している。基板処理システム100は、基板配向検出器102と、光学的に透明な基板105を支持する基板プラテンアセンブリ104とを含む。基板処理システム100はまた、コントローラ106を含む。基板プラテンアセンブリ104は、基板105を保持し、コントローラ106からの信号に応答して、基板配向検出器102に対して基板105を回転および並進させる。
【0014】
[0016]プラテンアセンブリ104は、基板支持体108およびプラテン駆動装置110を含む。基板支持体108は、真空チャッキング装置または静電チャッキング装置を使用して基板105を実質的に水平方向に保持するほぼ円形のプレートである。プラテン駆動装置110は、シャフト(図示せず)によって基板支持体108に連結されている。駆動装置110は、シャフトを回転させて、図1の円形矢印によって示される方向に沿って基板支持体108を最大360度回転させる。
【0015】
[0017]コントローラは、システム100に、光学的に透明な基板105上のノッチまたはフラットを識別するためのルーチンおよび方法を実行させるようにプログラムされた汎用コンピュータ(例えば、中央処理装置(CPU)120、メモリ122、および電源、キャッシュ、入出力(I/O)回路などの様々なサポート回路124を含む)である。あるいは、コントローラは、システム100を制御するように特別に設計またはプログラムされた専用マイクロプロセッサまたは特定用途向け集積回路(ASIC)であり得る。
【0016】
[0018]基板配向を実行するために、基板105が回転され、基板配向検出器105が、光源128から光学的に透明な基板105の周辺エッジ領域130に向けて光ビーム126を向ける。周辺エッジ領域130は、典型的には、デバイス製造に利用されず、当技術分野ではエッジ除外ゾーンとして知られている、光学的に透明な基板105の領域である。例えば、周辺エッジ領域130は、一般に、光学的に透明な基板105のエッジ132から中心134へ径方向に測定された約3ミリメートル(mm)である。この周辺エッジ領域130に、配向フィーチャ136が設けられる。配向フィーチャ136は、周辺エッジ130上もしくはその中に形成されたフラット、または図1に示されるようなノッチ138であり得る。図1に示されるように、配向フィーチャ136が、光ビーム126に対して位置決めされると、光ビーム126は、光検出器140に到達する。光ビーム126が光検出器140に到達すると、光学的に透明な基板105は、マッピングおよび/もしくは位置決めされ得るか、またはマーキング装置(図示せず)によってマーキングされ得る。
【0017】
[0019]従来の基板を使用すると、配向フィーチャ136が、図1に示されるように位置決めされるのでない限り、光源128からの光は、周辺エッジ領域130で吸収もしくは反射されるか、または、光検出器140に到達するのを他の仕方で遮られる。本明細書で説明するように光学的に透明な基板105を使用する場合、図1に示すように配向フィーチャ136が光ビーム126に対して位置決めされているのでない場合でも、光ビーム126は、光検出器140に到達し得る。この透明性は、不可能ではないにしても、配向フィーチャ136の検出を困難にする。
【0018】
[0020]しかしながら、光学的に透明な基板105は、周辺エッジ領域130にテクスチャ145を含む。テクスチャ145は、光ビーム126に対して不透明であり、配向フィーチャ136が図1に示されるように位置決めされるのでない限り、光ビーム126は、光検出器140に到達しない。テクスチャ145は、配向フィーチャ136の検出を可能にし、したがって、光学的に透明な基板105の配向を可能にする。
【0019】
[0021]テクスチャ145は、周辺エッジ領域130に堆積された1つ以上の膜、周辺エッジ領域130の物理的変更、またはそれらの組み合わせであり得る。テクスチャ145は、高紫外線および他の帯域幅の光に対して透明な基板において適切なノッチまたはフラット検出を可能にする。テクスチャ145はまた、光学的に透明な基板105上に堆積された薄膜材料の界面応力によって引き起こされる基板の湾曲を最小限に抑える。
【0020】
[0022]図2Aおよび図2Bは、それぞれ、光学的に透明な基板200および205の平面図である。図2Aでは、周辺エッジ領域130が、破線で示されている。基板200および205のそれぞれが、主表面210を含み、これは、前面であっても、または裏面であってもよい。主表面210および/または周辺エッジ領域130内の基板200および205の部分は、光に対して透明である。
【0021】
[0023]図2Bでは、光学的に透明な基板205は、周辺エッジ領域130内または周辺エッジ領域130上にテクスチャ145を含む。光学的に透明な基板205の主表面210は、光に対して実質的に透明(例えば、5%から約10%以下の不透明度)であるが、周辺エッジ領域130は、主表面210の不透明度よりもはるかに大きい不透明度を有する。例えば、光学的に透明な基板205の主表面210は、上記のような第1の不透明度を有し、テクスチャ145をその上に有する周辺エッジ領域130は、第1の不透明度よりも大きい第2の不透明度を有する。一実施態様では、テクスチャ145をその上に有する周辺エッジ領域130は、約65%から約85%の第2の不透明度を有する。上記のような、主表面210の第1の不透明度、およびテクスチャ145をその上に有する周辺エッジ領域130の第2の不透明度は、約400ナノメートル(nm)から約800nmの間などの複数の波長にわたって測定される。いくつかの実施態様では、周辺エッジ領域130の第2の不透明度は、約400nmから約550nmの間の波長で約80%から約85%である。
【0022】
[0024]さらに、光学的に透明な基板205の主表面210は、周辺エッジ領域130の第2の表面粗さよりも小さい第1の表面粗さを有する。例えば、主表面210の平均表面粗さ(Ra)は、約2nmから約3nmであり、周辺エッジ領域130上のテクスチャ145のRaは、約100nm以上、例えば、約170nmから約180nm、例えば、約175nmである。
【0023】
[0025]テクスチャ145は、レーザーエッチングプロセス、化学エッチングプロセス、テクスチャリングプロセス、または周辺エッジ領域130の透明品質を変更する他のプロセスによって付けられる。いくつかの実施態様では、マスク215(一部が図2Aに示されている)が、光学的に透明な基板200の主表面210上に配置される。マスク215は、周辺エッジ領域130を露出させたまま、主表面210を覆うようなサイズになっている。
【0024】
[0026]いくつかの実施態様では、テクスチャ145は、周辺エッジ領域130をレーザーマーキングおよび/またはテクスチャリングすること、半導体プロセスに適合する様々な薄膜を使用して周辺エッジ領域130を堆積およびパターニングすること、または光学的に透明な基板205を形成するためのそれらの組み合わせによって形成される。プロセスに適合する薄膜は、後続のプロセスのために周辺エッジ領域130上に残されてもよい。
【0025】
[0027]他の実施態様では、テクスチャ145は、ノズルを使用してキャリアガスで周辺エッジ領域130に研磨粒子を塗布する研磨ブラストプロセスによって、ビーズもしくは砂で周辺エッジ領域130をブラストすることによって、または研磨粒子を周辺エッジ領域130に送達するウォータージェットプロセスによって形成される。
【0026】
[0028]本明細書に開示されるような光学的に透明な基板105および光学的に透明な基板205の実施態様は、従来の半導体基板に通常使用される電子デバイス製造チャンバ内でのガラスまたは石英基板の利用を可能にする。例えば、本明細書に記載の光学的に透明な基板105または光学的に透明な基板205は、例えばナノメートルスケールのカラーフィルタ製造において、有機発光ダイオード(OLED)の製造に使用することができる。他の例では、本明細書に記載の光学的に透明な基板105または光学的に透明な基板205を使用して、光学レンズの三次元構造および他の光学デバイスを製造することができる。
【0027】
[0029]前述の内容は、本開示の実施形態を対象としているが、本開示の他のさらなる実施形態を、その基本的な範囲から逸脱することなく考案することができる。
図1
図2