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特許7520058マルチステージマルチゾーン基板位置決めシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】マルチステージマルチゾーン基板位置決めシステム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/68 20060101AFI20240712BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20240712BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
H01L21/68 K
H01L21/68 G
G03F7/20 521
H01L21/30 541L
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2021575499
(86)(22)【出願日】2020-06-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-25
(86)【国際出願番号】 US2020038042
(87)【国際公開番号】W WO2020257223
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-11-11
(31)【優先権主張番号】62/862,895
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/900,039
(32)【優先日】2020-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウジエル ヨラム
(72)【発明者】
【氏名】ポールマン ウルリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】ラスケ フランク
(72)【発明者】
【氏名】ガットマン ナダフ
(72)【発明者】
【氏名】ヒルデシェイム アリエル
(72)【発明者】
【氏名】バラン アビブ
【審査官】境 周一
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-031491(JP,A)
【文献】特開2002-267410(JP,A)
【文献】特開2015-079908(JP,A)
【文献】特開2011-049558(JP,A)
【文献】特開2000-331929(JP,A)
【文献】特表2002-530858(JP,A)
【文献】特開2004-260117(JP,A)
【文献】特開2012-009237(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/68
G03F 7/20
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1xy並進ステージと、
第1xy並進ステージの上方に配置され且つその第1xy並進ステージに結合されている第2xy並進ステージと、
第2xy並進ステージの上方に配置され且つその第2xy並進ステージに結合されており、基板を支持すると共に、第1及び第2xyステージによりx方向及びy方向に沿い並進されるチャックであり、それらx方向及びy方向が、自チャックの表面のうちその上に基板が載置される面に対し実質的に平行なチャックと、
チャンバの第1ゾーンをそのチャンバの第2ゾーンから分離させるべく第1xy並進ステージとチャンバの壁との間に結合されている第1障壁であり、その第1ゾーンが前記チャックの上方及び脇の空間を含み第2ゾーンが第1xy並進ステージ脇の空間を含む第1障壁と、
前記チャンバの第1ゾーンをそのチャンバの第3ゾーンから分離させるべく第2xy並進ステージと前記第1xy並進ステージとの間に結合されている第2障壁であり、その第3ゾーンが第2xy並進ステージ脇の空間を含む第2障壁とを、
そのチャンバ内に備えるシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、
前記基板全体を走査するには不十分な第1行程量を担うよう第1xy並進ステージが構成されており、
前記基板全体を走査するには不十分な第2行程量を担うよう第2xy並進ステージが構成されており、
それら第1及び第2行程量の合計が、前記基板全体を走査するのに十分なものであるシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムであって、第1行程量及び第2行程量のそれぞれが、前記基板全体が走査される行程量の半分であるシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって、
第1障壁が、第1xy並進ステージと前記チャンバの壁との間をつなぐ第1蛇腹を備え、
第2障壁が、第2xy並進ステージと第1xy並進ステージとの間をつなぐ第2蛇腹を備えるシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムであって、
第1障壁が、第1xy並進ステージから延びる第1平板と、その第1平板と重なり合う部分を有しその部分が第1間隙で以て第1平板から分離されている第2平板と、を備え、
第2障壁が、第2xy並進ステージから延びる第3平板と、その第3平板と重なり合う部分を有しその部分が第2間隙で以て第3平板から分離されている第4平板と、を備えるシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のシステムであって、
第2平板が前記チャンバの壁に連結されており、
第4平板が第1xy並進ステージに連結されているシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムであり、前記チャンバが真空チャンバであるシステムであって、更に、
第1ゾーンを超高真空までポンピングする1個又は複数個の第1ポンプと、
第2ゾーン及び第3ゾーンを第1ゾーンの超高真空より高い圧力を有する真空レベルまでポンピングする1個又は複数個の第2ポンプと、
を備えるシステム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムであって、第1ゾーンの超高真空が10-12torrオーダであるシステム。
【請求項9】
請求項7に記載のシステムであって、前記チャンバが更に、第1ゾーン内へと延びる走査型電子顕微鏡(SEM)ヘッドを備えるシステム。
【請求項10】
請求項7に記載のシステムであって、更に、第2ゾーン内にあり第1xy並進ステージに冷却液を供給する可撓配管を備えるシステム。
【請求項11】
請求項1に記載のシステムであって、
第1ゾーンが、動作中における大気圧での窒素パージ向けに構成されており、
第2ゾーン及び第3ゾーンが、動作中に大気圧にしうるよう構成されているシステム。
【請求項12】
請求項1に記載のシステムであって、第1xy並進ステージが、複数個の規定されたステーション間で動かしうるリニアアクチュエータを備えるシステム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムであって、
前記基板が半導体ウェハであり、
前記複数個の規定されたステーションに、前記半導体ウェハの各象限の中央が含まれており、
第2xy並進ステージが、個々のステーションに前記リニアアクチュエータが位置している状態で前記半導体ウェハの個々の象限を走査する行程を提供するよう、構成されているシステム。
【請求項14】
請求項1に記載のシステムであって、第2ゾーンと第3ゾーンとがつながっているシステム。
【請求項15】
請求項1に記載のシステムであって、第1xy並進ステージが第2xy並進ステージよりも重いシステム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムであって、第2xy並進ステージの重さが2~15kgであるシステム。
【請求項17】
請求項1に記載のシステムであって、前記基板が半導体ウェハ又はレティクルであるシステム。
【請求項18】
第1xy並進ステージ及び第2xy並進ステージによりチャンバ内で並進されるチャック上に基板を載置し、その際に
第2xy並進ステージを、第1xy並進ステージの上方に配置され且つその第1xy並進ステージに結合されたものとし、
前記チャックを、第2xy並進ステージの上方に配置され且つその第2xy並進ステージに結合されたものとし、
前記チャンバの第1ゾーンをそのチャンバの第2ゾーンから分離させるべく第1障壁を第1xy並進ステージとチャンバの壁との間に結合させ、但しその第1ゾーンが前記チャックの上方及び脇の空間を含み第2ゾーンが第1xy並進ステージ脇の空間を含み、且つ
前記チャンバの第1ゾーンをそのチャンバの第3ゾーンから分離させるべく第2障壁を第2xy並進ステージと前記第1xy並進ステージとの間に結合させ、但しその第3ゾーンが第2xy並進ステージ脇の空間を含み、更に
前記チャンバ内のチャック上に前記基板が載置された状態で、第1xy並進ステージを第1位置まで並進させ、且つ
第1xy並進ステージを第1位置まで並進させた状態で、前記基板の第1部分を走査すべく第2xy並進ステージを並進させる方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、
前記チャンバ内のチャック上に前記基板が載置された状態で、第1xy並進ステージを複数通りの位置中の個別位置まで順次並進させ、
前記複数通りの位置中の各位置に第1xy並進ステージを並進させた状態で、前記基板の個別部分を走査すべく第2xy並進ステージを並進させる方法。
【請求項20】
請求項18に記載の方法であって、更に、前記チャンバ内のチャック上に前記基板が載置された状態で、
第1ゾーンをポンピングすることで超高真空を提供し、
第2ゾーン及び第3ゾーンをポンピングすることで、第1ゾーンの超高真空よりも高い圧力を有する真空レベルを提供する方法。
【請求項21】
請求項18に記載の方法であって、更に、前記チャンバ内のチャック上に前記基板が載置された状態で、
大気圧にて第1ゾーンを窒素パージし、
第1ゾーンを窒素パージしている間、第2ゾーン及び第3ゾーンを大気圧に保つ方法。
【請求項22】
請求項18に記載の方法であって、
第1障壁が、第1xy並進ステージと前記チャンバの壁との間をつなぐ第1蛇腹を備え、
第2障壁が、第2xy並進ステージ・第1xy並進ステージ間をつなぐ第2蛇腹を備える方法。
【請求項23】
請求項18に記載の方法であって、
第1障壁が、第1xy並進ステージから延びる第1平板と、第1平板の一部分と重なり合う部分を有しその部分が第1間隙で以て第1平板から分離されている第2平板と、を備え、
第2障壁が、第2xy並進ステージから延びる第3平板と、第3平板の一部分と重なり合う部分を有しその部分が第2間隙で以て第3平板から分離されている第平板と、を備える方法。
【請求項24】
請求項18に記載の方法であって、前記基板の第1部分を走査すべく第2xy並進ステージを並進させる際に、20msの間に第2xy並進ステージを1~5mm動かす方法。
【請求項25】
請求項18に記載の方法であって、前記基板の第1部分を走査すべく第2xy並進ステージを並進させる際に、10~20mmの行程距離に関し30~40msの移動-捕捉-計測時間を達成する方法。
【請求項26】
第2xy並進ステージを第1xy並進ステージの上方に配置し、その際に第1xy並進ステージを第2xy並進ステージに結合させ、
基板を支持しうるよう構成されたチャックを第2xy並進ステージの上方に配置し、その際にそのチャックを第2xy並進ステージに結合させ、
それらチャック、第1xy並進ステージ及び第2xy並進ステージをチャンバ内に実装し、
前記チャンバの第1ゾーンをそのチャンバの第2ゾーンから分離させるべく第1障壁を実装して第1xy並進ステージとチャンバの壁との間に結合させ、但しその第1ゾーンがチャックの上方及び脇の空間を含み第2ゾーンが第1xy並進ステージ脇の空間を含み、
前記チャンバの第1ゾーンをそのチャンバの第3ゾーンから分離させるべく第2障壁を実装して第2xy並進ステージと前記第1xy並進ステージとの間に結合させ、但しその第3ゾーンが第2xy並進ステージ脇の空間を含む方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法であって、
第1障壁が、第1xy並進ステージと前記チャンバの壁との間をつなぐ第1蛇腹を備え、
第2障壁が、第2xy並進ステージ・第1xy並進ステージ間をつなぐ第2蛇腹を備える方法。
【請求項28】
請求項26に記載の方法であって、
第1障壁が、第1xy並進ステージから延びる第1平板と、第1平板の一部分と重なり合う部分を有しその部分が第1間隙で以て第1平板から分離されている第2平板と、を備え、
第2障壁が、第2xy並進ステージから延びる第3平板と、第3平板の一部分と重なり合う部分を有しその部分が第2間隙で以て第3平板から分離されている第平板と、を備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件開示は基板(例.半導体ウェハやレティクル)を位置決めするシステムに関し、より具体的には複数個の並進ステージを有する基板位置決めシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
(関連出願)
本願では、2019年6月18日付米国仮特許出願第60/862895号に基づき優先権を主張し、当該仮特許出願の全容をその目的を問わず参照により本願に繰り入れるものとする。
【0003】
基板を並進させるためチャンバ(例.真空チャンバ)内で並進ステージが用いられている。例えば、xyz並進ステージを真空チャンバ内で用い、基板を三方向(即ちx、y及びz方向)に並進させることができる。こうしたステージを走査型電子顕微鏡(SEM)にて用いることができる。並進ステージでは潤滑剤が用いられており、それがアウトガス(脱ガス)を起こすためチャンバ及び基板が汚染される。並進ステージ内のプラスチック素材(例.絶縁体及びモータ部材)でもアウトガスが起き、それによってもチャンバ及び基板が汚染される。並進ステージは、除熱剤(冷却材)供給に可撓配管が用いられ、それがもう一つのアウトガス源となることもあるため、除熱(冷却)するのが困難である。
【0004】
並進ステージ、特にxyz並進ステージは重くなりがちである。典型的なxyz並進ステージの重さは約100kgにもなろう。この重量のせいでステージの動きがゆっくりとなり(例.数ミリメートル動くのに200~500ミリ秒がかかり)、またそのセトリング時間即ち振動が減衰する期間が長くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2010/0043214号
【文献】米国特許第6183564号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、基板位置決めシステム及び方法の改善が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ある種の実施形態に係るシステムは、チャンバ内に配置された第1xy並進ステージ、第2xy並進ステージ及びチャックを有する。第2xy並進ステージは第1xy並進ステージの上方に配置されその第1xy並進ステージに結合される。チャックは第2xy並進ステージの上方に配置されその第2xy並進ステージに結合される。チャックは、基板を支持しうるよう、且つ第1及び第2xyステージによりx方向及びy方向に沿い並進されうるよう構成される;但し、x方向及びy方向は、チャックの表面のうちその上に基板が載置される面に対し実質的に平行とする。チャンバ内には第1障壁及び第2障壁も配置される。第1障壁は、チャンバの第1ゾーンをそのチャンバの第2ゾーンから分離させるべく第1xy並進ステージに結合される。第2障壁は、チャンバの第1ゾーンをそのチャンバの第3ゾーンから分離させるべく第2xy並進ステージに結合される。第1ゾーンはチャックの上方及び脇の空間を含むゾーンである。第2ゾーンは第1xy並進ステージ脇の空間を含むゾーンである。第3ゾーンは第2xy並進ステージ脇の空間を含むゾーンである。
【0008】
ある種の実施形態に係る方法では、第1xy並進ステージ及び第2xy並進ステージによりチャンバ内で並進されるチャック上に基板が載置される。第2xy並進ステージは第1xy並進ステージの上方に配置されその第1xy並進ステージに結合される。チャックは第2xy並進ステージの上方に配置されその第2xy並進ステージに結合される。第1障壁を、チャンバの第1ゾーンをそのチャンバの第2ゾーンから分離させるべく第1xy並進ステージに結合させる。第2障壁を、チャンバの第1ゾーンをそのチャンバの第3ゾーンから分離させるべく第2xy並進ステージに結合させる。第1ゾーンはチャックの上方及び脇の空間を含むゾーンである。第2ゾーンは第1xy並進ステージ脇の空間を含むゾーンである。第3ゾーンは第2xy並進ステージ脇の空間を含むゾーンである。チャンバ内のチャック上に基板が載置された状態で、第1xy並進ステージを第1位置まで並進させる。第1xy並進ステージを第1位置まで並進させた状態で、基板の第1部分を走査すべく第2xy並進ステージを並進させる。
【0009】
ある種の実施形態に係る方法では、第2xy並進ステージが第1xy並進ステージの上方に配置されるよう、第1xy並進ステージを第2xy並進ステージに結合させる。基板を支持しうるよう構成されたチャックを、そのチャックが第2xy並進ステージの上方に配置されるよう第2xy並進ステージに結合させる。それらチャック、第1xy並進ステージ及び第2xy並進ステージをチャンバ内に実装する。チャンバの第1ゾーンをそのチャンバの第2ゾーンから分離させるべく、第1障壁を実装し第1xy並進ステージに結合させる。チャンバの第1ゾーンをそのチャンバの第3ゾーンから分離させるべく、第2障壁を実装し第2xy並進ステージに結合させる。第1ゾーンはチャックの上方及び脇の空間を含むゾーンである。第2ゾーンは第1xy並進ステージ脇の空間を含むゾーンである。第3ゾーンは第2xy並進ステージ脇の空間を含むゾーンである。
【0010】
記載されている様々な実現形態をより良好に理解するには、以下の図面と併せ、後掲の詳細記述を参照すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】ある種の実施形態に係り、蛇腹付のマルチステージマルチゾーン基板位置決めシステムが入っているチャンバの断面図である。
図2】ある種の実施形態に係り、zステージ及び蛇腹付のマルチステージマルチゾーン基板位置決めシステムが入っているチャンバの断面図である。
図3】ある種の実施形態に係り、蛇腹により囲まれているチャックの平面図である。
図4】ある種の実施形態に係り、蛇腹付のマルチステージマルチゾーン基板位置決めシステムが入っており、その蛇腹それぞれがコンチェルティーナ化側面の連鎖を2個有しているチャンバの断面図である。
図5】ある種の実施形態に係り、部分重複平板付のマルチステージマルチゾーン基板位置決めシステムが入っているチャンバの断面図である。
図6】ある種の実施形態に係り、zステージ及び部分重複平板付のマルチステージマルチゾーン基板位置決めシステムが入っているチャンバの断面図である。
図7】ある種の実施形態に係り、蛇腹付のマルチステージマルチゾーン基板位置決めシステム及び検査ツールヘッドを有する真空チャンバの断面図である。
図8】ある種の実施形態に係り、平板付のマルチステージマルチゾーン基板位置決めシステム及び検査ツールヘッドを有する真空チャンバの断面図である。
図9】ある種の実施形態に係り、蛇腹付のマルチステージマルチゾーン基板位置決めシステムが入っており、且つ大気圧にて動作するよう構成されているチャンバの断面図である。
図10】ある種の実施形態に係り、平板付のマルチステージマルチゾーン基板位置決めシステムが入っており、且つ大気圧にて動作するよう構成されているチャンバの断面図である。
図11】ある種の実施形態に係り、リニアアクチュエータ向けステーション群と共に半導体ウェハのマップを示す図である。
図12】ある種の実施形態に係る基板位置決め方法を示すフローチャートである。
図13】ある種の実施形態に係る基板位置決めシステム作成方法を示すフローチャートである。
図14】ある種の実施形態に係る基板並進実行システム(例.検査システム)のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
類似する参照符号は、図面及び明細書の全体を通じ、対応する部分を指し示している。
【0013】
以下、添付図面にその例が描かれている様々な実施形態を子細に参照する。以下の詳細記述では、記載されている様々な実施形態につき一貫した理解をもたらすべく、多数の具体的細部が説明されている。しかしながら、本件技術分野に習熟した者(いわゆる当業者)には明らかな通り、それら記載されている様々な実施形態を、そうした具体的細部抜きで実施することもできる。他方、周知な方法、手順、部材、回路及びネットワークが詳述されていないのは、諸実施形態の諸態様を不必要に曖昧化させないためである。
【0014】
図1は、ある種の実施形態に係りマルチステージマルチゾーン基板位置決めシステムが入っているチャンバ102の断面図である。本基板位置決めシステムは、第1xy並進ステージ104、第2xy並進ステージ106及びチャック108を有している。第2xy並進ステージ106は第1xy並進ステージ104の上方に配置されており、その第1xy並進ステージ104に結合(例.直接連結)されている。第1xy並進ステージ104のことを下ステージ又は下プラットフォームとも呼び、第2xy並進ステージ106のことを上ステージ又は上プラットフォームとも呼ぶ。チャック108は第2xy並進ステージ106の上方に配置されており、その第2xy並進ステージ106に結合(例.直接連結)されている。こうして、図1の例では、チャック108が第2xy並進ステージ106を介し第1xy並進ステージ104に結合されている。チャック108は基板110(例.半導体ウェハやレティクル)を支持しうるよう構成されている。実施形態によっては、そのチャンバ102が、基板110を検査する検査システムの一部分とされる。基板110をチャック108上に載せ、検査した上で、チャンバ102から出せばよい。第1xy並進ステージ104及び第2xy並進ステージ106は、その検査プロセスの途上でチャック108及び基板110を並進させる。実施形態によっては、その第1xy並進ステージ104及び/又は第2xy並進ステージ106がエアベアリング又はメカニカルベアリングを用いるものやフレクシャベースのものとされる。
【0015】
第1xy並進ステージ104及び第2xy並進ステージ106はxy平面内で(即ちx方向及びy方向に)運動する。図1ではそのx方向が横方向、y方向が紙面に対し垂直な方向とされており(その逆でもよい)、またz方向が上下方向とされている。x方向及びy方向は、チャックの表面のうちその上に基板110が載る面(或いは、基板110がまだないもののこれから載ることとなる面)に対し、実質的に(例.製造公差の範囲内で)平行である。第1xy並進ステージ104の動きにより第2xy並進ステージ106及びチャック108が並進(即ち駆動)される。第2xy並進ステージ106の動きによりチャック108が並進されるが、第1xy並進ステージ104は並進されない。第1xy並進ステージ104は、第1xy並進ステージ104に対し第2xy並進ステージ106が静止している状態で動かすことができる。第2xy並進ステージ106は、第1xy並進ステージ104が静止している状態で動かすことができる。
【0016】
実施形態によっては、基板110全体を走査する行程(例.図7及び図8中の検査ツールヘッド704の下方でのそれ)が、第1xy並進ステージ104・第2xy並進ステージ106間で分担される。第1xy並進ステージ104は、基板110全体を走査するには不十分な第1行程量しか担わないよう構成される(即ちある第1最大行程量を有する)。第2xy並進ステージ106は、やはり基板110全体を走査するには不十分な第2行程量しか担わないよう構成される(即ちある第2最大行程量を有する)。但し、それら第1及び第2行程量を合せたものを、基板110全体を走査するのに十分なものとする:即ち、足し合わせたときに、基板110全体を走査するのに必要な行程量以上になるようにする。例えば、第1行程量,第2行程量それぞれを、基板110全体を走査するのに必要な行程量の半分に等しくしてもよい。そうした例では、基板110が半導体ウェハであるとするなら、第1行程量,第2行程量それぞれが、x方向及びy方向の双方に沿いウェハ直径の±1/4倍とされる。もし本例における半導体ウェハが300mmウェハである(即ち300mmの直径を有している)のなら、第1行程量はx方向に沿い±75mm、y方向に沿い±75mmとなり、第2行程量はx方向に沿い±75mm、y方向に沿い±75mmとなる。これ以外の例では、第1行程量,第2行程量それぞれが、基板110全体を走査するのに必要な行程量の半分に等しくない量になる。例えば、第1行程量を、基板110全体を走査するのに必要な行程量の半分超(例.70%)とし、第2行程量を、基板110全体を走査するのに必要な行程量の半分未満(例.30%)としてもよい。
【0017】
実施形態によっては、第1xy並進ステージ104が第2xy並進ステージ106よりも重いステージとされる。例えば、第1xy並進ステージ104を70~80kgとする一方、第2xy並進ステージ106を2~15kg(例.10~15kg又は2~10kg又は2~3kg)としてもよい。第2xy並進ステージ106の重量が少ないと、速度が増し、停止時間が縮まり、且つセトリング時間即ち第2xy並進ステージ106に係る振動が減衰する期間が縮まる。第2xy並進ステージ106の重量は第2行程量とトレードオフの関係にあるので、第2行程量を減らし第1行程量を相応に増やすことで第2xy並進ステージ106の重量を減らすことができ、それでいて基板110全体をなおも走査することができる。例えば、第2行程量を、基板110全体を走査するのに必要な行程量の半分未満とし、第1行程量を、基板110全体を走査するのに必要な行程量の半分超とすることができる。
【0018】
基板110全体を走査する行程を第1xy並進ステージ104・第2xy並進ステージ106間で分かち合うことで、個々の障壁を用いチャンバ102を区画し、相互封止された個別ゾーンに分けることが可能となる。ある種の実施形態ではそれら障壁が蛇腹とされる。そのチャンバ102では、第1蛇腹112が第1xy並進ステージ104に結合(例.直接連結)される。第2蛇腹114が第2xy並進ステージ106に結合(例.直接連結)される。第1蛇腹112により、第1xy並進ステージ104とチャンバ102の壁(例.チャンバ102の内側を巡り延びる内表面)との間をつなぐことができる。第2蛇腹114により、第2xy並進ステージ106(例.第2xy並進ステージ106の外側面)と第1xy並進ステージ104(例.第1xy並進ステージ104の隅部又は上面)との間をつなぐことができる。第1蛇腹112は、チャンバ102の第1ゾーン116をそのチャンバ102の第2ゾーン118から分離させる第1障壁である。第2蛇腹114は、チャンバ102の第1ゾーン116をそのチャンバ102の第3ゾーン120から分離させる第2障壁である。第1蛇腹112及び第2蛇腹114はステンレス鋼とすることができる。
【0019】
第1蛇腹112,第2蛇腹114は、第1xy並進ステージ104,第2xy並進ステージ106を取り巻くめいめいの可撓スカートとして働き、その働きによりゾーン116、118及び120を分離させる。図1に示す通り、第1ゾーン116にはチャック108の上方及び脇の空間が含まれており、第2ゾーン118には第1xy並進ステージ104脇の空間が含まれており、第3ゾーン120には第2xy並進ステージ106脇の空間が含まれている。蛇腹112及び114にはそれらのコンチェルティーナ化側面(アコーディオン面)に由来する可撓性があり、蛇腹112,114の諸部分がxy平面内で伸縮することで、第1xy並進ステージ104,第2xy並進ステージ106それぞれの行程に順応している。この行程及びそれに付随する蛇腹112及び114の変形により、ゾーン116、118及び120の形状及び所在個所が相応に変化する。単一の並進ステージから延びる単一の蛇腹ではなく、第1xy並進ステージ104,第2xy並進ステージ106に係る別々な蛇腹112,114が用いられ、ひいては蛇腹112,114それぞれの規模が制限されているので、蛇腹がつぶれにくく、しかも蛇腹の相連なる側面同士がこすれ合いにくい。そうしたこすれ合いは摩擦を引き起こして粒子を発生させるであろうし、その粒子によりチャンバ102及び基板110が汚染されるであろう。蛇腹112及び114は、第1xy並進ステージ104及び第2xy並進ステージ106の二次元運動(即ちxy平面内運動)に順応するので、二次元(2D)蛇腹であると考えられる。
【0020】
実施形態によっては、チャンバ102に備わる基板位置決めシステム内に、チャック108及び基板110をz方向に(即ち鉛直方向上下に)動かすzステージも設けられる。図2は、図1の諸部材に加えzステージ122を有する基板位置決めシステムが備わるチャンバ102の断面図である。zステージ122により、第1xy並進ステージ104・第2xy並進ステージ106間をつなぐことができる。ひいては、第2xy並進ステージ106及びzステージ122を介し第1xy並進ステージ104にチャック108を結合させることができる。zステージ122により、第2xy並進ステージ106、チャック108及び基板110(基板110がチャック108上に載っているものとする)が上下に動かされるが、第1xy並進ステージ104は動かされない。第1xy並進ステージ104の動きにより、zステージ122と、第2xy並進ステージ106、チャック108及び基板110(基板110がチャック108上に載っているものとする)とが並進される。
【0021】
図3は、ある種の実施形態に係り蛇腹302により囲まれているチャック300の平面図である。チャック300はチャック108(図1及び図2)の一例であり、チャック300により隠されていて図3では見えない第2xy並進ステージ106(図1及び図2)上に載っている。蛇腹302は蛇腹114(図1及び図2)の一例である。実施形態によっては、蛇腹302の内周縁が第2xy並進ステージ106の側面に連結され、蛇腹302の外周縁が第1xy並進ステージ104に連結される(図示せず)。
【0022】
図3の例におけるチャック300は、中央位置から図3の右下側にずれた位置へと並進された後のものである。蛇腹302の右下部分が相応に圧縮されており、蛇腹302の左上部分が相応に伸長されている。
【0023】
チャック300は円形である。蛇腹302は円形の2D蛇腹である。これに代え、チャック300及び蛇腹302を別の形状としてもよい。例えば、チャック300を長方形(例.半導体ウェハを受け入れるための円形窪み面を有するもの)とすることができ、蛇腹302を、長方形の2D蛇腹とすることができる。同様に、蛇腹112(図1及び図2)を円形の2D蛇腹とすることも長方形の2D蛇腹とすることもできる。
【0024】
蛇腹112及び114は、それぞれ、図1及び図2に示す通りコンチェルティーナ化側面の連鎖を1個有している。これに代え、各蛇腹を、コンチェルティーナ化側面の連鎖2個を用い実施することもできる。図4は、ある種の実施形態に係り、蛇腹112,114が対応する蛇腹400,406で以て置き換えられていて、それら蛇腹400,406それぞれがコンチェルティーナ化側面の連鎖を2個有しているチャンバ102の断面図である。
【0025】
蛇腹400は第1xy並進ステージ104に結合(例.直接連結)されており、第1のコンチェルティーナ化側面連鎖402と、それにつながる第2のコンチェルティーナ化側面連鎖404とを有している。実施形態によっては、第1xy並進ステージ104とチャンバ102の壁(例.チャンバ102の内側を巡り延びる内表面)との間に、それら連鎖402及び404が連続配置される。蛇腹400が全面的に伸長していないときの第1連鎖402は、自身対第1xy並進ステージ104の結合点から自身対第2連鎖404の連結点へと、下向きに延びている。第2連鎖404は、自身対第1連鎖402の連結点から自身とチャンバ102の壁との結合点へと、上向きに延びている。
【0026】
蛇腹406は第2xy並進ステージ106に結合(例.直接連結)されており、第1のコンチェルティーナ化側面連鎖408と、それにつながる第2のコンチェルティーナ化側面連鎖410とを有している。実施形態によっては、それら連鎖408及び410が、第2xy並進ステージ106と、第1xy並進ステージ104から(例.第1xy並進ステージ104の上面又は隅部から)鉛直に延びる平板412との間に、連続配置される。蛇腹406が全面的に伸長していないときの第1連鎖408は、自身対第2xy並進ステージ106の結合点から自身対第2連鎖410の連結点へと、下向きに延びている。第2連鎖410は、自身対第1連鎖408の連結点から自身対平板412の結合点(例.平板412の遠端)へと、上向きに延びている。双連鎖構成の蛇腹400及び406であり摩擦が少ないため、第1xy並進ステージ104及び第2xy並進ステージ106を動かすのに用いられる力が少なくなる。
【0027】
蛇腹112及び114と同様、蛇腹400及び406も2D蛇腹であり、第1xy並進ステージ104及び第2xy並進ステージ106の二次元運動(即ちxy平面内運動)に順応している。
【0028】
蛇腹は一種の障壁であり、それを用いゾーン116、118及び120を分離させることができる。別種の障壁としては、狭い間隙で以て隔てられた部分重複平板が用いられる。
【0029】
図5は、複数の部分重複平板対がそれぞれ第1障壁500,第2障壁506として働きゾーン116、118及び120を分離させるチャンバ102の断面図である。第1障壁500は、第1xy並進ステージ104から延びる平板502と、平板502と部分的に重なり合う平板504とを有しており(即ち平板504の一部分が平板502の一部分と重なっており)、その重なる部分が間隙505で以て平板502から隔てられている。第2障壁506は、第2xy並進ステージ106から延びる平板508と、平板508と部分的に重なり合う平板510とを有しており(即ち平板510の一部分が平板508の一部分と重なっており)、その重なる部分が間隙512で以て平板508から隔てられている。実施形態によっては平板504がチャンバ102の壁(例.チャンバ102の内側を巡り延びる内表面)に連結される。実施形態によっては平板510が第1xy並進ステージ104(例.第1xy並進ステージ104の上面又は隅部)に連結(例.そこから延設)される。平板510を撓ませ又は曲げることでこの連結を可能とすることができる。実施形態によっては間隙505及び512の幅が0.5~1.0mmの範囲内とされる(即ち各平板の重複部分間の距離が0.5~1.0mmとされる)。平板502、504、508及び510はステンレス鋼とすることができる。実施形態によってはzステージ122も設けられる(例.実施形態によっては図6に示す如く第1xy並進ステージ104・第2xy並進ステージ106間に結合される)。
【0030】
第1障壁500及び第2障壁506用に平板を用いることで、第1xy並進ステージ104及び第2xy並進ステージ106を動かすのに用いられる力が少なくなる。ただ、間隙505及び512が生じているため、ゾーン116、118及び120が完全には相互封止されていない。
【0031】
実施形態によっては、基板位置決めシステムにて蛇腹112又は400が第1障壁、平板506が第2障壁として用いられることもある。実施形態によっては、基板位置決めシステムにて平板500が第1障壁、蛇腹114又は406が第2障壁として用いられることもある。
【0032】
実施形態によってはチャンバ102が真空チャンバ(例.電子顕微鏡例えばSEM用のそれ)とされる。図7及び図8は、ある種の実施形態に係る真空チャンバ702の断面図である。真空チャンバ702はチャンバ102の一例であり、第1xy並進ステージ104、第2xy並進ステージ106及びチャック108がその中にあり、その真空チャンバ702内へと延びる検査ツールヘッド704(例.電子顕微鏡ヘッド例えばSEMヘッド)をも有している。(図7には基板110が示されていないが存在していてもよい。必須ではないが、真空チャンバ702内にzステージ、例えば図2及び図6中のzステージ122があってもよい。)チャック108はヘッド704の下方に位置している。第1xy並進ステージ104及び第2xy並進ステージ106を動かすことで、そのチャック108上に載っている基板110をヘッド704の下方で走査し、その基板110の検査を行うことができる。
【0033】
図7の例では、蛇腹112及び114により第1ゾーン116が第2ゾーン118及び第3ゾーン120から分離されている。図8の例では、平板500及び506により第1ゾーン116が第2ゾーン118及び第3ゾーン120から分離されている。第1ゾーン116内に真空をもたらすため、1個又は複数個の真空ポンプ706が第1ゾーン116に連結されている。第2ゾーン118及び第3ゾーン120内に真空をもたらすため、1個又は複数個の真空ポンプ708が第2ゾーン118及び第3ゾーン120に連結されている。第1xy並進ステージ104内の1本又は複数本の通路710(例.開口又は配管)を通じ、第2ゾーン118が第3ゾーン120に接続されているので、ポンプ(群)708により、第2ゾーン118と並び第3ゾーン120をポンプダウンすることができる。実施形態によっては、ポンプ(群)706により第1ゾーン116内に超高真空(UHV)がもたらされる一方、ポンプ(群)708により第2ゾーン118及び第3ゾーン120内に、より低質(即ちより高圧)な真空(例.UHVより低質であり従ってより高圧なテクニカル真空)がもたらされる。UHVは標準的で周知な技術用語であり、10-9torr以下のオーダの圧力を有する真空のことを指している。例えば、ポンプ(群)708により、10-3torrオーダのテクニカル真空を、第2ゾーン118及び第3ゾーン120内にもたらすことができる。蛇腹112及び114の両側で相応な真空を保つことで、蛇腹112及び114に対する圧力、特にそれらが損傷しかねず又はそれらの動作が邪魔されかねないものを回避している。
【0034】
第1xy並進ステージ104及び第2xy並進ステージ106の固形な外面と並び、蛇腹112及び114(図7)又は平板500及び506(図8)を用い、第1ゾーン116を第2ゾーン118及び第3ゾーン120に対し封止することで、第2ゾーン118及び第3ゾーン120内にアウトガスした汚染物質が第1ゾーン116に達することを、防止している。平板500又は506を用いる実施形態では、少量の汚染物質が間隙505及び512を通じ第1ゾーン116に入り込む余地があるが、障壁を欠くシステムに比べるとその汚染レベルは劇的に低くなる。ひいては、それら汚染物質、例えば並進ステージ内の絶縁体及びプラスチック製モータ構成部材や並進ステージ用潤滑剤からアウトガスした汚染物質により、基板110やヘッド704が汚染されなくなる(或いはそうした汚染が劇的に低減される)。基板110の欠陥がそれに伴い低減され、且つヘッド704の信頼性が改善される(例.チャンバ702のプラズマ清掃を実行する時間間隔が延びる)。ある得策な例によれば、10-12torrオーダの真空を第1ゾーン116にて達成することができる。
【0035】
第1xy並進ステージ104及び第2xy並進ステージ106の運動により熱が発生する。実施形態によっては、第1xy並進ステージ104に冷却液(例.水)を供給してそのステージを除熱するため、可撓配管712が第2ゾーン118内に配置される。この配管712を第2xy並進ステージ106に延ばせば、そのステージも除熱することができる。この配管はポリマベースのもの(例.プラスチック)とすることができる。そうした素材もアウトガスを起こすが、障壁(例.図7中の蛇腹112及び114や図8中の平板500及び506)により、そのアウトガス発生による第1ゾーン116内真空の劣化や基板110及びヘッド704の汚染が防止される。
【0036】
実施形態によってはチャンバ102を大気圧にて動作させる。図9及び図10は、ある種の実施形態に係り、大気圧にて動作するよう構成されているチャンバ902の断面図である。実施形態によっては、チャンバ902が、基板110を光学的に検査する光学検査システムの一部分とされる。チャンバ902はチャンバ102の一例であり、その中には第1xy並進ステージ104、第2xy並進ステージ106及びチャック108がある。(図9には基板110が示されていないが存在していてもよい。必須ではないがチャンバ902内にzステージ、例えば図2及び図6中のzステージ122があってもよい。)図9の例では、蛇腹112及び114により第1ゾーン116が第2ゾーン118及び第3ゾーン120から分離されている。図10の例では、平板500及び506により第1ゾーン116が第2ゾーン118及び第3ゾーン120から分離されている。
【0037】
第1ゾーン116には、動作中に第1ゾーン116内にガスを導入するためのパージ導入ライン904と、動作中に第1ゾーン116からそのガスを排出させるためのパージ排出ライン906とが、連結されている。そのガスを実質的に無酸素なもの(例.純化能力の範囲内に収まるそれ)とすることで、動作中に第1ゾーン116を実質的に無酸素なもの(例.大気圧のそれ)とすることができ、その一方で、動作中に第2ゾーン118及び第3ゾーン120内に酸素を存在させる(例.それにより第2ゾーン118及び第3ゾーン120を大気圧にする)ことができる。実施形態によってはそのガスがNとされる。例えば、動作中の大気圧での窒素パージ向けに第1ゾーン116を構成することができ、また動作中に大気圧とされうるよう第2ゾーン118及び第3ゾーン120を構成することができる。
【0038】
ある種の実施形態(例.図1図10のうち何れかに係るそれ)では、第1xy並進ステージ104がリニアアクチュエータを有するものとされ(例.リニアアクチュエータとして実施され)、特定のステーション間にて動くようそのリニアアクチュエータが構成される。ある種の実施形態によれば、それらステーションが、基板110がチャック108上に装荷(ロード)されるのに先立ち事前定義される。図11に、ある種の実施形態に係る4個のステーション1102と共に半導体ウェハ1100のマップを示す(そのウェハの中心を第5ステーションとしてもよい)。半導体ウェハ1100は基板110の一例である。半導体ウェハ1100は複数個の象限1101に区画されており、各象限1101の中央が都合4個のステーション1102とされている。第1xy並進ステージ104は、ウェハの中心からステーション1102までの、及び/又は、ステーション1102相互間の行程1104向けに、構成されている。例えば、行程1104に従い、ウェハ1100を、ヘッド704の下方に自身が芯決めされている状態からヘッド704の下方にステーション1102が芯決めされている状態へと、或いはヘッド704の下方にあるステーション1102が芯決めされている状態からヘッド704の下方に別のステーションが芯決めされている状態へと、動かすことができる。第2xy並進ステージ106は、第1xy並進ステージ104がステーション1102に所在している状態で、各象限1101の随所を通る(例.その象限1101上を連続的に往来する)行程1106に従いその象限を走査する(例.その象限1101全体をヘッド704の下方に通す)よう、構成されている。第2xy並進ステージ106は、このように、ある種の実施形態に従い個々のステーション1102に配置されたリニアアクチュエータで以て半導体ウェハ1100の個々の象限1101を走査する行程を提供するよう、構成される。図11に示したステーション1102の配列は、採用しうる配列の一つに過ぎず、他の配列及び個数のステーションにすることもできる。リニアアクチュエータを用いることで、第1xy並進ステージ104の設計が単純化され、その重量及びコストが低減される。
【0039】
図12は、ある種の実施形態に係る基板位置決め方法1200を示すフローチャートである。本方法1200では、第1xy並進ステージ104及び第2xy並進ステージ106によりチャンバ102(例.図7及び図8中のチャンバ702や図9及び図10中のチャンバ902)内で並進されるチャック108上に、基板110が載置される(1202)。第2xy並進ステージ106は、第1xy並進ステージ104の上方に配置しそれに結合させる。チャック108は、第2xy並進ステージ106の上方に配置しそれに結合させる。第1障壁は、チャンバ102の第1ゾーン116をそのチャンバ102の第2ゾーン118から分離させるべく第1xy並進ステージ104に結合させる。第1ゾーン116はチャック108の上方及び脇の空間を含むゾーンであり、第2ゾーン118は第1xy並進ステージ104脇の空間を含むゾーンである。第2障壁は、チャンバ102の第1ゾーン116をそのチャンバ102の第3ゾーン120から分離させるべく第2xy並進ステージ106に結合させる。第3ゾーン120は、第2xy並進ステージ106脇の空間を含むゾーンである。
【0040】
実施形態によっては、第1障壁が、第1xy並進ステージ104とチャンバ102の壁との間をつなぐ第1蛇腹(例.蛇腹112又は400)を有するものとされる(1204)。第2障壁が、第2xy並進ステージ106・第1xy並進ステージ104間をつなぐ第2蛇腹(例.蛇腹114、302又は406)を有するものとされる(1204)。
【0041】
実施形態によっては、第1障壁が、第1xy並進ステージ104から延びる第1平板502と、その第1平板502の一部分と重なり合う部分を有する第2平板504とを有し、その部分が第1間隙505で以て第1平板502から分離されたものとされる(1208)。第2障壁が、第2xy並進ステージ106から延びる第3平板508と、その第3平板508の一部分と重なり合う部分を有する第4平板510を有し、その部分が第2間隙512で以て第3平板508から分離されたものとされる(1208)。
【0042】
実施形態によっては、第1ゾーン116を(例.図7及び図8中の真空ポンプ(群)706により)ポンピングすることでUHVが提供される(1208)。第2ゾーン118及び第3ゾーン120を(例.図7及び図8中の真空ポンプ(群)708により)ポンピングすることで、第1ゾーン116のUHVよりも高い圧力を有する真空レベルが提供される(1208)。
【0043】
実施形態によっては、(例.図9及び図10中のパージライン904及び906を用い)大気圧にて第1ゾーン116が窒素パージされる(1210)。第2ゾーン118及び第3ゾーン120が大気圧に保たれる(1210)。
【0044】
チャンバ102内のチャック108上に基板110が載置された状態で、第1xy並進ステージ104が、複数通りの位置中の個別位置(例.第1位置、第2位置等々)(例.図11中の個別ステーション1102)まで(例.図1中の行程1104で以て)並進される(1212)。第1xy並進ステージ104がその個別位置まで並進された状態で、基板110の個別部分を走査すべく(例.図11中の行程1106で以て)第2xy並進ステージ106が並進される(1214)。当該複数通りの位置のなかに、そこへと第1xy並進ステージ104を並進させたことがない位置が残っている場合は(1216-イエス)、ステップ1212及び1214が当該複数通りの位置中の別の位置(例.図11中の別のステーション1102)に関し反復される。こうして、第1xy並進ステージ104が複数通りの位置中の個別位置へと並進される。複数通りの位置中の各位置に第1xy並進ステージ104が並進された状態で、その基板110の個別部分を走査すべく第2xy並進ステージ106が並進される。当該複数通りの位置中の全ての位置に第1xy並進ステージ104が並進され終え(1216-ノー)、その基板110が相応に走査され終えた後に、その基板110がチャンバ102から降荷(アンロード)される(1218)。
【0045】
方法1200には多数の動作が含まれており、それらがある特定の順序で示されているが、方法1200に含まれる動作をより多数又は少数とすることもできる。諸動作が重なり合っていてもよいし、二通り以上の動作を組み合わせて単一動作にしてもよい。例えば、ステップ1208や1210は方法1200内のどこで実行してもよい。
【0046】
図13は、ある種の実施形態に係る基板位置決めシステム作成方法1300を示すフローチャートである。本方法1300では、第2xy並進ステージ106が第1xy並進ステージ104の上方に配置されることとなるよう、第1xy並進ステージ104を第2xy並進ステージ106に結合させる(1302)。チャック108が第2xy並進ステージ106の上方に配置されることとなるよう、チャック108を第2xy並進ステージ106に結合させる(1304)。チャック108は、基板110を支持しうるように構成する。それらチャック108、第1xy並進ステージ104及び第2xy並進ステージ106がチャンバ102内に実装される(1306)。
【0047】
チャンバ102の第1ゾーン116をそのチャンバ102の第2ゾーン118から分離させるべく、第1xy並進ステージ104に結合された第1障壁が実装される(1308)。第1ゾーン116はチャック108の上方及び脇の空間を含むゾーンである。第2ゾーン118は第1xy並進ステージ104脇の空間を含むゾーンである。実施形態によっては、第1障壁が、第1xy並進ステージ104とチャンバ102の壁との間をつなぐ第1蛇腹(例.蛇腹112又は400)を有するものとされる(1310)。実施形態によっては、第1障壁が、第1xy並進ステージ104から延びる第1平板502と、その第1平板502の一部分と重なり合う部分を有する第2平板504とを有し、その部分が第1間隙505で以て第1平板502から分離されたものとされる(1312)。
【0048】
チャンバ102の第1ゾーン116をそのチャンバ102の第3ゾーン120から分離させるべく、第2xy並進ステージ106に結合された第2障壁が実装される(1314)。第3ゾーン120は第2xy並進ステージ106脇の空間を含むゾーンである。実施形態によっては、第2障壁が、第2xy並進ステージ106・第1xy並進ステージ104間をつなぐ第2蛇腹(例.蛇腹114、302又は406)を有するものとされる(1316)。実施形態によっては、第2障壁が、第2xy並進ステージ106から延びる第3平板508と、その第3平板508の一部分と重なり合う部分を有する第4平板510とを有し、その部分が第2間隙512で以て第3平板508から分離されたものとされる(1318)。
【0049】
方法1300には多数の動作が含まれており、それらがある特定の順序で示されているが、方法1300に含まれる動作をより多数又は少数とすることもできる。二通り以上の動作の順序を入れ替えてもよいし、それらが重なり合っていてもよいし、二通り以上の動作を組み合わせて単一動作にしてもよい。例えば、チャック108、第1xy並進ステージ104及び/又は第2xy並進ステージ106を、チャンバ102内に実装されるものであることを踏まえ、一体に結合させてもよい。
【0050】
図14は、ある種の実施形態に係り基板110の並進を実行するシステム1400のブロック図である。実施形態によっては、本システム1400が、基板110を検査するための検査システムとされる。例えば、本システム1400を半導体ウェハ検査システムやレティクル検査システムとすることができる。本システム1400はツール1430(例.基板検査ツール)を有しており、チャンバ102(例.図7及び図8中のチャンバ702や図9及び図10中のチャンバ902)内マルチステージ基板位置決めシステムがそのツールに備わっている。ツール1430の例としては、これに限られるものではないが、ヘッド704(図7及び図8)を有する電子顕微鏡(例.SEM)や光学検査ツールがある。そのマルチステージ基板位置決めシステムには、第1xy並進ステージ104、第2xy並進ステージ106及びチャック108が備わっており、z並進ステージ122が備わっていることもある。
【0051】
本システム1400はコンピュータシステムをも有しており、それには1個又は複数個のプロセッサ1402(例.CPU)、ユーザインタフェース1406、メモリ1410、並びにそれら部材とツール1430とを相互接続する通信バス(群)1404が備わっている。これに代え、そのコンピュータシステムを、1個又は複数個のネットワーク1440を介しツール1430と可通信結合させてもよい。このコンピュータシステムは、更に、ツール1430及び/又はリモートコンピュータシステムと通信するため1個又は複数個のネットワークインタフェース(有線及び/又は無線、図示せず)を有するものとすることができる。ユーザインタフェース1410としては、ディスプレイ1407や、1個又は複数個の入力デバイス1408(例.キーボード、マウス、ディスプレイ1407の接触感知面等々)を設けることができる。ディスプレイ1407にて、本システム1400により生成された諸結果(例.基板検査結果)を表示することができる。
【0052】
メモリ1410には揮発性及び/又は不揮発性メモリが包含される。メモリ1410(例.メモリ1410内不揮発性メモリ)には非一時的コンピュータ可読格納媒体が包含される。必須ではないが、メモリ1410は、プロセッサ1402から離れたところに所在する1個又は複数個の格納デバイス、及び/又は、本システム1400に可除挿入される非一時的コンピュータ可読格納媒体が包含される。実施形態によっては、メモリ1410(例.メモリ1410を構成している非一時的コンピュータ可読格納媒体)内に以下のモジュール及びデータ或いはそのサブセット又はスーパーセットが格納される:様々な基本システムサービスをハンドリングする手順及びハードウェア依存タスクを実行する手順を内包するオペレーティングシステム1412、基板110を検査するための検査モジュール1414、基板110を(例.検査中に)並進させるための並進モジュール1416、並びに結果(例.検査結果)を通知するための通知モジュール1418である。メモリ1410(例.メモリ1410を構成している非一時的コンピュータ可読格納媒体)内に、方法1200(図12)の全体又は一部分を実行するための命令群を、組み込むことができる。メモリ1410内に格納されているモジュールそれぞれが、本願記載の機能1個又は複数個を実行するための命令群に対応している。別々のモジュールを別々のソフトウェアプログラムとして実現する必要はない。それらモジュール、並びにそれらモジュールの様々なサブセットを、組み合わせる等、再配置してもよい。例えば、検査モジュール1414と並進モジュール1416とを、組み合わせてもよい。実施形態によっては、上述したモジュール及び/又はデータ構造のサブセット又はスーパーセットがメモリ1410内に格納される。
【0053】
図14では、構造的図式よりも、本システム1400内に存しうる様々な特徴についての機能的記述の方を多く意図している。例えば、本システム1400内のコンピュータシステムの機能を、複数個のデバイス間で分かつことができる。メモリ1410内に格納されている諸モジュールの一部分を、そうするのに代え、1個又は複数個のネットワークを通じ本システム1400のコンピュータシステムと可通信結合された1個又は複数個のコンピュータシステム内に格納することもできる。
【0054】
ある種の得策な例によれば、本願記載の基板位置決めシステム(例.方法1300に従い作成され及び/又は方法1200に従い動作するそれ)を用いることで、得策なことに、10~20mmの行程距離に係る移動-捕捉-計測(MAM)時間が30~40msとなり、またそれがナノメートルレベルのセトリング安定性で以て提供される。ある種の得策な例によれば、第2xy並進ステージ106により20msにて1~5mmの行程が提供される。
【0055】
上掲の記述は説明目的のものであり、具体的諸実施形態を参照して記述されている。けれども、上掲の例証的議論は、排他的であることも、諸請求項の技術的範囲を被開示形態そのものに限定することも、意図していない。多くの修正及び変形を上掲の教示に鑑み行うことができる。それら実施形態が選択されたのは、諸請求項の下地をなす諸原理及びそれらの実際的応用を最良に説明するため、ひいては想定されている具体的用途に見合った様々な修正付きでそれら実施形態を他の当業者が最良に用いうるようにするためである。
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図14