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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】切削ブレード刃先位置検出方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 49/12 20060101AFI20240716BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20240716BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20240716BHJP
   B23Q 17/22 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
B24B49/12
H01L21/78 F
B24B27/06 M
B23Q17/22 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020129206
(22)【出願日】2020-07-30
(65)【公開番号】P2022025971
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 貴之
(72)【発明者】
【氏名】牧野 香一
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-110855(JP,A)
【文献】特開2009-295899(JP,A)
【文献】特開2013-251457(JP,A)
【文献】特開2017-193005(JP,A)
【文献】特開平8-52733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 27/06
B24B 49/12
H01L 21/68
H01L 21/301
B23Q 17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持する保持テーブルと、
外周に切り刃を有する円環状の切削ブレードを、軸心を有するスピンドルに装着して回転させ該被加工物を切削加工する切削ユニットと、
該切削ブレードが侵入するブレード侵入部と、該ブレード侵入部を介して対峙して配設される発光部および受光部と、を有し、該切削ブレードの刃先位置を検出する切削ブレード検出機構と、
該保持テーブルと該切削ブレード検出機構とを支持するテーブルベースと、
該保持テーブルの保持面と平行で該スピンドルの軸心と直交する軸をX軸とし、該X軸に沿ったX軸方向に該テーブルベースを移動させるテーブルベースX軸移動機構と、
該スピンドルの軸心と平行な軸をY軸とし、該Y軸に沿ったY軸方向に該切削ユニットを移動させる切削ユニットY軸移動機構と、
該保持テーブルの保持面と直交する軸をZ軸とし、該Z軸に沿ったZ軸方向に該切削ユニットを移動させる切削ユニットZ軸移動機構と、
該切削ユニットに固定された撮像ユニットと、
を備えた切削装置を使用し、該切削ブレードの刃先位置を検出する切削ブレード刃先位置検出方法であって、
該切削ブレード検出機構の上方から、該撮像ユニットが該切削ブレード検出機構を撮像して該切削ブレード検出機構の画像を形成する切削ブレード検出機構撮像ステップと、
該切削ブレード検出機構の画像を利用して該X軸および該Y軸を座標軸とする座標系における該ブレード侵入部の位置を示す座標を算出するブレード侵入部座標算出ステップと、
該ブレード侵入部の位置を示す座標を参照して該切削ブレードを該ブレード侵入部の上方に位置付ける切削ブレード位置付けステップと、
該切削ブレードを該Z軸方向に移動させ、該切削ブレード検出機構が該切削ブレードの刃先位置を検出する切削ブレード刃先位置検出ステップと、
を備えることを特徴とする切削ブレード刃先位置検出方法。
【請求項2】
該切削ブレード位置付けステップの前に、
回転する該切削ブレードを該Z軸方向に移動させ、該保持テーブルに保持された該被加工物に切削溝を形成する切削溝形成ステップと、
該切削溝の上方から、該撮像ユニットが該切削溝を撮像して該切削溝の画像を形成する切削位置撮像ステップと、
該切削溝の画像を利用して該座標系における該切削ブレードの位置を示す座標を算出する切削ブレード座標算出ステップと、
をさらに備え、
該切削ブレード位置付けステップにおいて、該ブレード侵入部の位置を示す座標および該切削ブレードの位置を示す座標を参照して該切削ブレードを該ブレード侵入部の上方に位置付ける
ことを特徴とする請求項1に記載の切削ブレード刃先位置検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削ブレード刃先位置検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IC(Integrated Circuit)及びLSI(Large Scale Integration)等の半導体デバイスのチップは、携帯電話及びパーソナルコンピュータ等の各種電子機器において不可欠の構成である。このようなチップは、一般的に、表面にデバイス領域を含む半導体ウェーハ、パッケージ基板、セラミックス基板及びガラス基板等の被加工物を格子状の分割予定ラインに沿って分割することで製造される。
【0003】
被加工物の分割は、切削ブレードを備える切削装置等を用いて行われる。切削ブレードは、薄い円環状の切り刃を有する。そして、この切削ブレードが回転しながら切り刃がウェーハに接触することで被加工物が切削されて分割される。このような切削装置を用いた被加工物の分割は、例えば、以下の順序で行われる。
【0004】
まず、切削ブレードの切り刃の最下端(切削ブレードの刃先)が被加工物の表面よりも低くなるように、この切削ブレードを所定の高さに位置付ける。次いで、切削ブレードを被加工物の表面に対して垂直な面内において回転させる。次いで、被加工物が分割予定ラインに沿って切削されて分割されるように、この被加工物を加工送り方向に移動させる。その結果、被加工物が分割予定ラインに沿って切削されて分割される。
【0005】
切削ブレードの切り刃は、一般的に、砥粒が結合材に分散されている構造を有する。そして、被加工物の切削が繰り返し行われることで、この切り刃の表面に露出されている砥粒が摩耗し、脱離する。切り刃の表面に露出している砥粒が摩耗し、脱離すると、切削ブレードの切削性能が低下する。
【0006】
このような場合には、この切り刃の表面に露出している結合材を削って、新しい砥粒を表面に露出させるためのドレッシング処理等が行われる。そのため、切削ブレードは、使用されるにつれて、その直径が減少する。これにより、切削ブレードの刃先の位置(高さ)も使用されるにつれて変化する。
【0007】
そのため、上述のように、切削ブレードを備える切削装置を用いて被加工物を切削する場合、当該切削に先立って切削ブレードの刃先位置の検出が必要になることがある。切削ブレードの刃先位置を検出することが可能な切削装置として、例えば、切削ブレードを下降させることで切削ブレードが侵入するブレード侵入部と、該ブレード侵入部を介して対峙して配設される発光部および受光部と、を有する切削ブレード検出機構を備える切削装置が知られている(特許文献1参照)。
【0008】
この切削装置においては、受光部が受光する光量を検出することによって切削ブレードの刃先位置が判定される。具体的には、まず、発光部から受光部に向かって光を照射させながらブレード侵入部に侵入させるように切削ブレードを下降させる。
【0009】
この時、発光部から放射される光が受光部に到達するか否かは、ブレード侵入部に侵入した切削ブレードによって当該光が遮られるか否かに依存する。そのため、受光部が受光する光量が最大量よりも少ない所定量になる時に、この切削ブレードの刃先の高さが所定の高さになったと判定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2001-298001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述の切削装置においては、切削ブレードの刃先位置を検出するために、切削ブレードの切り刃がブレード侵入部に侵入するように切削ブレードを下降させる必要がある。そのため、この検出を行うのに先立って、ブレード侵入部を有する切削ブレード検出機構の上方の所定の位置に切削ブレードを位置付ける必要がある。
【0012】
この位置付けは、オペレータが切削ブレードを目視しながら切削ブレードの位置を調整することにより行われている。そのため、ヒューマンエラーによってこの位置付けが正確に行われないことがある。
【0013】
この場合、切削ブレードの切り刃が、ブレード侵入部に侵入することなく、切削ブレード検出機構の筐体の上面に接触してしまうおそれがある。その結果、切削ブレードの切り刃の破損及び/又は切削ブレード検出機構の故障といった問題が生じるおそれがある。
【0014】
上述の点に鑑み、本発明の目的は、切削ブレードの刃先位置の検出の際に、切削ブレードの切り刃の切削ブレード検出機構の筐体の上面への接触を防止することが可能な切削装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、被加工物を保持する保持テーブルと、外周に切り刃を有する円環状の切削ブレードを、軸心を有するスピンドルに装着して回転させ該被加工物を切削加工する切削ユニットと、該切削ブレードが侵入するブレード侵入部と、該ブレード侵入部を介して対峙して配設される発光部および受光部と、を有し、該切削ブレードの刃先位置を検出する切削ブレード検出機構と、該保持テーブルと該切削ブレード検出機構とを支持するテーブルベースと、該保持テーブルの保持面と平行で該スピンドルの軸心と直交する軸をX軸とし、該X軸に沿ったX軸方向に該テーブルベースを移動させるテーブルベースX軸移動機構と、該スピンドルの軸心と平行な軸をY軸とし、該Y軸に沿ったY軸方向に該切削ユニットを移動させる切削ユニットY軸移動機構と、該保持テーブルの保持面と直交する軸をZ軸とし、該Z軸に沿ったZ軸方向に該切削ユニットを移動させる切削ユニットZ軸移動機構と、該切削ユニットに固定された撮像ユニットと、を備えた切削装置を使用し、該切削ブレードの刃先位置を検出する切削ブレード刃先位置検出方法であって、該切削ブレード検出機構の上方から、該撮像ユニットが該切削ブレード検出機構を撮像して該切削ブレード検出機構の画像を形成する切削ブレード検出機構撮像ステップと、該切削ブレード検出機構の画像を利用して該X軸および該Y軸を座標軸とする座標系における該ブレード侵入部の位置を示す座標を算出するブレード侵入部座標算出ステップと、該ブレード侵入部の位置を示す座標を参照して該切削ブレードを該ブレード侵入部の上方に位置付ける切削ブレード位置付けステップと、該切削ブレードを該Z軸方向に移動させ、該切削ブレード検出機構が該切削ブレードの刃先位置を検出する切削ブレード刃先位置検出ステップと、を備える切削ブレード刃先位置検出方法が提供される。
【0016】
好ましくは、該切削ブレード位置付けステップの前に、回転する該切削ブレードを該Z軸方向に移動させ、該保持テーブルに保持された該被加工物に切削溝を形成する切削溝形成ステップと、該切削溝の上方から、該撮像ユニットが該切削溝を撮像して該切削溝の画像を形成する切削位置撮像ステップと、該切削溝の画像を利用して該座標系における該切削ブレードの位置を示す座標を算出する切削ブレード座標算出ステップと、をさらに備え、該切削ブレード位置付けステップにおいて、該ブレード侵入部の位置を示す座標および該切削ブレードの位置を示す座標を参照して該切削ブレードを該ブレード侵入部の上方に位置付ける。
【発明の効果】
【0017】
本発明においては、切削ブレード検出機構を上方から撮像して得られる画像を利用して算出されたブレード侵入部の位置を示す座標を参照して切削ブレードをブレード侵入部の上方に位置付ける。
【0018】
これにより、オペレータが切削ブレードを目視しながら切削ブレードの位置を調整する場合と比較して、切削ブレードの位置付けを正確に行うことが可能になる。その結果、切削ブレードの切り刃が切削ブレード検出機構の筐体の上面に接触することが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、切削装置を模式的に示す斜視図である。
図2図2は、切削ブレード検出機構等を拡大して示す斜視図である。
図3図3は、制御ユニットを模式的に示す機能ブロック図である。
図4図4は、切削装置を使用した切削ブレード刃先位置検出方法の一例を模式的に示すフローチャートである。
図5図5は、切削ブレード検出機構撮像ステップで形成される画像を模式的に示す図である。
図6図6は、ブレード侵入部座標算出ステップで算出される座標を模式的に示す図である。
図7図7は、切削ブレード刃先位置検出ステップを説明するための図である。
図8図8は、切削装置を使用した切削ブレード刃先位置検出方法のその他の例を模式的に示すフローチャートである。
図9図9は、切削位置撮像ステップで形成される画像を模式的に示す図である。
図10図10は、切削ブレード座標算出ステップで算出される座標を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る切削装置2を示す斜視図である。なお、以下の説明で用いられるX軸方向(加工送り方向、前後方向)、Y軸方向(割り出し送り方向、左右方向)及びZ軸方向(切り込み送り方向、高さ方向)は、図1に示される方向を意味し、互いに直交している。
【0021】
図1に示される切削装置2は、各構成要素を支持する基台4を有する。基台4上には、テーブルベース18のX軸方向に沿った移動を制御するテーブルベースX軸移動機構6が設けられている。テーブルベースX軸移動機構6は、基台4の上面に固定された、X軸方向に概ね平行な一対のX軸ガイドレール8を有する。
【0022】
一対のX軸ガイドレール8には、X軸移動プレート10がX軸方向にスライド可能に取り付けられている。X軸移動プレート10の下面(裏面)側には、ボールねじを構成するナット(不図示)が設けられている。該ナットには、X軸ガイドレール8に概ね平行なX軸ボールねじ軸12が回転可能に連結(螺合)されている。
【0023】
X軸ボールねじ軸12の一端部には、X軸パルスモータ14が連結されている。そのため、X軸パルスモータ14によってX軸ボールねじ軸12を回転させれば、X軸移動プレート10は、X軸ガイドレール8に沿ってX軸方向に移動する。
【0024】
テーブルベースX軸移動機構6の周りには、被加工物を切削する際に使用される切削水の廃液等を一時的に貯留するウォーターケース16が設けられている。ウォーターケース16内に貯留された廃液は、ドレーン(不図示)等を介して切削装置2の外部に排出される。
【0025】
X軸移動プレート10の上面側(表面側)には、テーブルベース18が固定されている。テーブルベース18の上面には、円柱状のθテーブル20が設けられている。θテーブル20の上面には、被加工物を保持する保持面を上部に有する円盤状の保持テーブル24が設けられている。この保持面は、X軸方向及びY軸方向と平行であり、かつ、Z軸方向と直交する平面である。
【0026】
さらに、θテーブル20は、保持テーブル24を回転させるためのモータ等の回転駆動源(不図示)を内蔵する。保持テーブル24は、θテーブル20に連結されており、回転可能である。保持テーブル24が回転する際の軸心は、Z軸方向に平行であり、かつ、該保持面の中心を通る。
【0027】
保持テーブル24は、ステンレス鋼等の金属で形成された円盤状の枠体24aを有する。枠体24aの上面側には凹部が形成されており、該凹部には、多孔質セラミックスで形成され、凹部の内径と概ね同じ外径を有する円盤状のポーラス板24bが固定されている。
【0028】
ポーラス板24bは、枠体24aに形成されている流路を介して真空ポンプ等の吸引源(不図示)に連結されている。吸引源を動作させると、ポーラス板24bの上面(保持テーブル24の保持面)には負圧が発生する。この負圧により、該保持面では被加工物の吸引保持が可能である。
【0029】
被加工物は、例えば、シリコン等の半導体で形成された円盤状のウェーハであり、その表面側に、デバイス領域と、デバイス領域を囲む外周余剰領域とを有する。デバイス領域は、格子状に配列された切削予定ラインで複数の領域に区画されており、各領域には、IC又はLSI等のデバイスが形成されている。
【0030】
また、被加工物は、フレームと一体化されたフレームユニットの状態で保持テーブル24の保持面に吸引保持されてもよい。このフレームユニットは、例えば、円盤状の粘着テープと、粘着テープの上面の中央領域に貼付された被加工物と、粘着テープの上面の外縁近傍の領域に貼付されたフレームとによって構成される。
【0031】
θテーブル20の周囲には、矩形状の上面を有するカバー22が設けられている。カバー22の上面の角上には、Z軸方向において切削ブレード54の切り刃の最下端(切削ブレード54の刃先)の位置(高さ)を検出する切削ブレード検出機構26が設けられている。
【0032】
図1に示される切削装置2では、テーブルベース18のX軸方向に沿った移動がテーブルベースX軸移動機構6によって制御される。また、保持テーブル24はθテーブル20を介してテーブルベース18に支持され、また、切削ブレード検出機構26はθテーブル20と共に移動するカバー22に支持されている。そのため、保持テーブル24及び切削ブレード検出機構26は、テーブルベース18と共にX軸方向に沿って移動する。
【0033】
基台4上には、テーブルベースX軸移動機構6を跨ぐ様に配置された、門型の支持構造30が設けられている。支持構造30の前面(表面)には、切削ユニット50のY軸方向に沿った移動を制御する切削ユニットY軸移動機構32aが設けられている。
【0034】
切削ユニットY軸移動機構32aは、支持構造30の前面に固定された一対のY軸ガイドレール34を有する。一対のY軸ガイドレール34のそれぞれは、Y軸方向に概ね平行に配置されている。
【0035】
一対のY軸ガイドレール34には、2つのY軸移動プレート36がY軸方向にスライド可能に取り付けられている。2つのY軸移動プレート36のそれぞれの後面(裏面)側には、ボールねじを構成するナット(不図示)が設けられている。
【0036】
Y軸移動プレート36の後面側に設けられたナットには、Y軸ボールねじ軸38が回転可能に連結(螺合)されている。Y軸ボールねじ軸38は、一対のY軸ガイドレール34に概ね平行に配置されている。
【0037】
Y軸ボールねじ軸38の一端部には、Y軸パルスモータ40が連結されている。そのため、Y軸パルスモータ40によってY軸ボールねじ軸38を回転させれば、Y軸移動プレート36は、Y軸ガイドレール34に沿ってY軸方向に移動する。
【0038】
切削ユニットY軸移動機構32aの前面(表面)には、切削ユニット50のZ軸方向に沿った移動を制御する切削ユニットZ軸移動機構32bが設けられている。切削ユニットZ軸移動機構32bは、各Y軸移動プレート36の前面(表面)に固定された一対のZ軸ガイドレール42を有する。一対のZ軸ガイドレール42のそれぞれは、Z軸方向に概ね平行に配置されている。
【0039】
一対のZ軸ガイドレール42には、1つのZ軸移動プレート44がZ軸方向にスライド可能に取り付けられている。Z軸移動プレート44の後面側(裏面)には、ナット(不図示)が設けられている。該ナットには、Z軸ボールねじ軸46が回転可能に連結(螺合)されている。Z軸ボールねじ軸46は、一対のZ軸ガイドレール42に概ね平行に配置されている。
【0040】
Z軸ボールねじ軸46の一端部には、Z軸パルスモータ48が連結されている。そのため、Z軸パルスモータ48によってZ軸ボールねじ軸46を回転させれば、Z軸移動プレート44は、Z軸ガイドレール42に沿ってZ軸方向に移動する。
【0041】
Z軸移動プレート44の下部には、切削ユニット50が固定されている。切削ユニット50は、長手部がY軸方向に概ね平行に配置された筒状のスピンドルハウジング52を有する。
【0042】
スピンドルハウジング52には、長手部がY軸方向と概ね平行に配置された円柱状のスピンドル(不図示)が収容されている。このスピンドルは、軸心を中心として回転可能な状態でスピンドルハウジング52によって支持される。この軸心は、X軸方向と直交するY軸方向に平行な軸である。
【0043】
保持テーブル24に近接する側のスピンドルの一端部は、スピンドルハウジング52の外に突出し、この一端部には円環状の切り刃を有する切削ブレード54が装着されている。スピンドルの一端部に装着される切削ブレード54は、被加工物の種類又は切り刃の摩耗量等に応じて交換可能である。
【0044】
切削ブレード54は、例えば、金属等でなる環状の基台と、基台の外周縁に沿って形成された環状の切り刃とが一体となって構成された、ハブタイプの切削ブレードである。ハブタイプの切削ブレードの切り刃は、ダイヤモンド又は立方晶窒化ホウ素(cBN:cubic Boron Nitride)等でなる砥粒がニッケル等の結合材によって固定された電鋳砥石によって構成される。
【0045】
また、切削ブレード54として、砥粒が金属、セラミックス又は樹脂等でなる結合材によって固定された環状の切り刃によって構成される、ワッシャータイプの切削ブレードを用いてもよい。
【0046】
スピンドルの他端部は、スピンドルハウジング52に内蔵されるサーボモータ等の回転駆動源(不図示)に連結されている。そのため、該回転駆動源で該スピンドルを回転させれば、切削ブレード54も回転する。
【0047】
図1に示される切削装置2では、テーブルベースX軸移動機構6によるテーブルベース18のX軸方向に沿った移動と、θテーブル20に内蔵される回転駆動源による保持テーブル24の回転と、切削ユニットY軸移動機構32aによる切削ユニット50のY軸方向に沿った移動と、切削ユニットZ軸移動機構32bによる切削ユニット50のZ軸方向に沿った移動と、スピンドルハウジング52に内蔵される回転駆動源による切削ブレード54の回転とが異時に又は同時に制御される。
【0048】
例えば、切削装置2では、保持テーブル24の保持面に保持された被加工物を切削ブレード54が切削する際に、テーブルベースX軸移動機構6によるテーブルベース18のX軸方向に沿った移動と、回転駆動源による切削ブレード54の回転とが同時に行われる。
【0049】
さらに、スピンドルハウジング52の前面(表面)側の側面には、撮像ユニット56が固定されている。撮像ユニット56は、保持テーブル24の保持面に保持された被加工物及び切削ブレード検出機構26を可視光で撮像する。
【0050】
撮像ユニット56は、例えば、LED(Light Emitting Diode)等の光源と、対物レンズと、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子とを含む。
【0051】
図2は、図1に示される切削ブレード検出機構26等を拡大して示す斜視図である。切削ブレード検出機構26は、検出器60を備えている。検出器60は、概ね直方体状の支持部60aと、支持部60aの後端側(X軸方向の一方側)の上方に設けられた検出部60bとを含む。
【0052】
検出部60bの上端部には、円環状の切削ブレード54の一部が侵入できる態様で切り欠かれたブレード侵入部60cが形成されている。ブレード侵入部60cは、Y軸方向において対面する一対の柱状部を有する。この一対の柱状部には、ブレード侵入部60cを介して対峙して配設される発光部62及び受光部64が内蔵されている。
【0053】
なお、本発明の切削ブレード刃先位置検出方法においては、切削ブレード検出機構26を上方から可視光で撮像して得られる画像に基づいてブレード侵入部60cの位置を示す座標を算出する。そのため、ブレード侵入部60cの位置を明確にするために、発光部62及び受光部64を内蔵する一対の柱状部の上面60dの色とブレード侵入部60cの底面の色とを異なる色にすることが好ましい。
【0054】
発光部62は、光ファイバー等を介してLED等の光源(不図示)に接続されており、受光部64に向けて光を照射する。受光部64は、光ファイバー等を介して光電変換部(不図示)に接続されている。この光電変換部は、代表的には、光電変換素子によって構成されており、受光部64の受光量に応じた電圧を生成する。
【0055】
検出部60bの前方側(X軸方向の他方側)に位置する支持部60aの上面には、発光部62及び受光部64にエアーを供給するための2本のエアー供給ノズル66が設けられている。また、エアー供給ノズル66に隣接する位置には、発光部62及び受光部64に水等の液体を供給するための2本の液体供給ノズル68が設けられている。発光部62及び受光部64は、例えば、液体供給ノズル68からの液体で洗浄された後に、エアー供給ノズル66からのエアーで乾燥される。
【0056】
検出器60の後端面には、ヒンジ等でなる連結具70を介して直方体状のカバー部72が取り付けられている。このカバー部72の内部は空洞である。そのため、例えば、連結具70を中心にカバー部72を回転させることで、検出部60b、エアー供給ノズル66及び液体供給ノズル68等をカバー部72の内部に収容できる。
【0057】
切削ブレード検出機構26によって切削ブレード54の刃先の位置を検出する際には、カバー部72を図2に示される位置まで回転させて、検出部60b、エアー供給ノズル66及び液体供給ノズル68等を露出させる。これにより、切削ブレード54をブレード侵入部60cに侵入させて、切削ブレード54の刃先の位置を検出できるようになる。
【0058】
さらに、切削装置2は、上記の構成要素以外の構成要素を有していてもよい。例えば、切削装置2は、被加工物を含むフレームユニットを保持テーブル24へ搬入し、また、保持テーブル24から搬出する搬送ユニットを有していてもよい。
【0059】
切削装置2の各構成要素は、切削装置2に内蔵される制御ユニットによって制御される。図3は、切削装置2に内蔵される制御ユニット80を模式的に示す機能ブロック図である。なお、図3には、制御ユニット80の構成要素のみならず、それらと関連する切削装置2のその他の構成要素も図示されている。
【0060】
制御ユニット80は、切削装置2の各構成要素を制御するための信号を生成する処理部82と、処理部82において用いられる各種の情報(データ及びプログラム等)を記憶する記憶部84とを有する。また、記憶部84は、X軸及びY軸を座標軸とする座標系(XY座標系)におけるテーブルベース18及び切削ユニット50の移動量を記憶しておいてもよい。
【0061】
さらに、記憶部84は、切削ブレード54の刃先位置を検出する際に利用される情報を記憶しておいてもよい。このような情報としては、例えば、XY座標系における撮像ユニット56の対物レンズの中心を示す座標と切削ブレード54の中心を示す座標との差(X軸方向についての差ΔX1及びY軸方向についての差ΔY1)が挙げられる。
【0062】
処理部82の機能は、CPU(Central Processing Unit)等によって具現される。また、記憶部84の機能は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)及びNAND型フラッシュメモリ等の半導体メモリと、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶装置との少なくとも一つによって具現される。
【0063】
処理部82は、機能部として、駆動部86、撮像部88、座標算出部90及び刃先位置検出部92を有する。処理部82においては、これらの機能部が異時又は同時に独立して処理を行う。
【0064】
駆動部86は、切削装置2に含まれる移動又は回転が可能な構成要素の移動又は回転を制御する。具体的には、駆動部86は、テーブルベースX軸移動機構6と、保持テーブル24を回転させる回転駆動源と、切削ユニットY軸移動機構32aと、切削ユニットZ軸移動機構32bと、切削ブレード54を回転させる回転駆動源とによって具現されている駆動ユニット94を制御する。
【0065】
例えば、保持テーブル24の保持面に保持された被加工物を切削する場合には、駆動部86は、テーブルベースX軸移動機構6を制御してテーブルベース18をX軸方向に沿って移動させながら回転駆動源を制御して切削ブレード54を回転させる。
【0066】
また、切削ブレード54の刃先位置を検出する場合には、駆動部86は、切削ユニットZ軸移動機構32bを制御して切削ユニット50をZ軸方向に沿って移動させながら回転駆動源を制御して切削ブレード54を回転させる。
【0067】
なお、駆動部86は、記憶部84に記憶された各種の情報、例えば、過去の切削における切削条件等を読みだして駆動ユニット94を制御してもよい。また、駆動部86は、記憶部84に新たな情報、例えば、今回の切削における切削条件等を記憶させてもよい。
【0068】
撮像部88は、撮像ユニット56を制御する。具体的には、撮像部88は、例えば、被撮像物に対して光が照射されるように撮像ユニット56の光源を制御し、また、被撮像物に焦点が合うように撮像ユニット56の対物レンズを制御する。この被撮像物としては、例えば、保持テーブル24の保持面に保持された被加工物及び切削ブレード検出機構26等が挙げられる。
【0069】
なお、撮像部88は、記憶部84に記憶された各種の情報、例えば、過去の撮像における撮像条件等を読みだして撮像ユニット56の撮像を制御してもよい。また、撮像部88は、記憶部84に新たな情報、例えば、今回の撮像における撮像条件等を記憶させてもよい。
【0070】
座標算出部90は、撮像ユニット56の撮像によって得られた画像を利用して対象物の位置を示す座標を算出する。座標算出部90は、例えば、この画像の中心(すなわち、撮像が行われるタイミングにおける撮像ユニット56の対物レンズの中心に対応する位置)をXY座標系の原点とした場合の対象物の位置を示す座標を算出する。
【0071】
また、切削装置2においては、XY座標系の原点が特定の点(例えば、テーブルベース18及び切削ユニット50を基準位置に配置した時の撮像ユニット56の対物レンズの中心に対応する位置等)に予め設定されていてもよい。この場合、座標算出部90は、例えば、撮像ユニット56の撮像によって得られた画像に加えて、XY座標系におけるテーブルベース18及び切削ユニット50の移動量等に基づいて対象物の位置を示す座標を算出する。
【0072】
刃先位置検出部92は、切削ブレード検出機構26を制御する。刃先位置検出部92は、例えば、発光部62に接続されている光源を制御して受光部64に向けて光が照射されるように切削ブレード検出機構26を制御する。そして、受光部64の受光量に応じた電圧が受光部64に接続されている光電変換部において生成され、その値を示す情報が刃先位置検出部92に入力される。
【0073】
また、切削ユニット50をZ軸方向に沿って移動させるように駆動部86が切削ユニットZ軸移動機構32bを制御していれば、刃先位置検出部92には切削ユニット50のZ軸方向における位置(高さ)を示す情報が入力される。そして、刃先位置検出部92は、当該電圧の値が所定の値になった時の切削ブレード54のZ軸方向における位置(高さ)を切削ブレード54の刃先位置として検出する。
【0074】
なお、刃先位置検出部92は、記憶部84に記憶された各種の情報、例えば、過去に切削ブレード54の刃先位置の検出が行われた際の光源の制御条件等を読みだして該光源を制御してもよい。また、刃先位置検出部92は、記憶部84に新たな情報、例えば、今回の切削ブレード54の刃先位置の検出が行われた際の光源の制御条件等を記憶させてもよい。
【0075】
さらに、処理部82は、駆動部86、撮像部88、座標算出部90及び刃先位置検出部92以外の機能部を有していてもよい。例えば、処理部82は、被加工物を含むフレームユニットを保持テーブル24へ搬入し、また、保持テーブル24から搬出する搬送ユニットを制御する搬送部を有していてもよい。
【0076】
図4は、切削装置2を使用した切削ブレード刃先位置検出方法の一例を模式的に示すフローチャートである。この方法においては、まず、切削ブレード検出機構26を撮像して切削ブレード検出機構26の画像を形成するように撮像部88が撮像ユニット56を制御する(切削ブレード検出機構撮像ステップ:S1)。
【0077】
切削ブレード検出機構撮像ステップ(S1)においては、例えば、切削ブレード検出機構26の発光部62及び受光部64を内蔵する一対の柱状部の上面60dに焦点が合った状態で撮像が行われるように撮像部88が撮像ユニット56を制御する。図5は、切削ブレード検出機構撮像ステップ(S1)で形成される画像100を模式的に示す図である。
【0078】
なお、撮像ユニット56の視野に切削ブレード検出機構26が含まれないような場合には、切削ブレード検出機構撮像ステップ(S1)に先立って、この視野に切削ブレード検出機構26が含まれるように駆動部86が駆動ユニット94を制御してテーブルベース18及び/又は切削ユニット50を基準位置から移動させる。この時、駆動部86は、XY座標系における基準位置からのX軸方向への移動距離ΔX2及びY軸方向への移動距離ΔY2を記憶部84に記憶させてもよい。
【0079】
次いで、切削ブレード検出機構26の画像100を利用してブレード侵入部60cの位置を示す座標(X1,Y1)を座標算出部90が算出する(ブレード侵入部座標算出ステップ:S2)。図6は、ブレード侵入部座標算出ステップ(S2)で算出される座標(X1,Y1)を模式的に示す図である。
【0080】
図6に示される座標(X1,Y1)は、画像100の中心をXY座標系の原点とした時のブレード侵入部60cの中心の位置を示す座標である。ブレード侵入部座標算出ステップ(S2)においては、座標算出部90が、画像100を利用して座標(X1,Y1)をブレード侵入部60cの位置を示す座標として算出する。
【0081】
なお、テーブルベース18及び切削ユニット50を基準位置に配置した時の撮像ユニット56の対物レンズの中心に対応する位置を原点とする場合には、座標算出部90は、座標(X1+ΔX2,Y1+ΔY2)をブレード侵入部60cの位置を示す座標として算出してもよい。
【0082】
次いで、ブレード侵入部60cの位置を示す座標を参照して切削ブレード54をブレード侵入部60cの上方に位置付けるように駆動部86が駆動ユニット94を制御する(切削ブレード位置付けステップ:S3)。例えば、XY座標系における撮像ユニット56の対物レンズの中心を示す座標と切削ブレード54の中心を示す座標との差が、X軸方向についてはΔX1、Y軸方向についてはΔY1であれば、切削ブレード54の移動量が、X軸方向についてはX1+ΔX1、Y軸方向についてはY1+ΔY1となるように駆動部86が駆動ユニット94を制御する。
【0083】
次いで、刃先位置検出部92が切削ブレード54の刃先位置を検出する(切削ブレード刃先位置検出ステップ:S4)。図7は、切削ブレード刃先位置検出ステップ(S4)を説明するための図である。このステップにおいては、例えば、以下のように切削ブレード54の刃先位置が検出される。
【0084】
まず、刃先位置検出部92が発光部に接続されている光源を制御して発光部62から受光部64に向かって光200を照射させる。次いで、切削ブレード54がブレード侵入部60cに侵入するように駆動部86が切削ユニットZ軸移動機構32bを制御する。これにより、図8に示されるように、発光部62から受光部64へと照射される光200が切削ブレード54によって部分的に遮られ、受光部64の受光量が徐々に低下する。
【0085】
これに伴い、受光部64に接続されている光電変換部において生成される電圧も徐々に低下する。この電圧は、刃先位置検出部92に入力される。そして、刃先位置検出部92は、この電圧の値が所定の値になった時の切削ブレード54のZ軸方向における位置(高さ)を切削ブレード54の刃先位置として検出する。
【0086】
上述した切削ブレード刃先位置検出方法においては、切削ブレード検出機構26の上方からの画像100を利用して算出されたブレード侵入部60cの位置を示す座標を参照して切削ブレード54をブレード侵入部60cの上方に位置付ける。これにより、オペレータが切削ブレード54を目視しながら切削ブレード54の位置を調整する場合と比較して、切削ブレード54の位置付けを正確に行うことが可能になる。
【0087】
その結果、切削ブレード54の切り刃が一対の柱状部の上面60dに接触することが防止され、切削ブレード54の切り刃の破損及び/又は切削ブレード検出機構26の故障といった問題の発生が防止される。
【0088】
さらに、図1に示される切削装置2においては、切削ブレード54の交換に伴ってXY座標系における切削ブレード54の刃先位置が変化するおそれがある。このような場合には、切削ブレード54のブレード侵入部60cの上方への位置付けに先立って、切削ブレード54の刃先位置を示す座標を算出しておくことが好ましい。
【0089】
図8は、このような場合における切削装置2を使用した切削ブレード刃先位置検出方法のその他の例を模式的に示すフローチャートである。この方法においては、まず、保持テーブル24に保持された被加工物に切削溝を形成するように駆動部86が駆動ユニット94を制御する(切削溝形成ステップ:S5)。
【0090】
次いで、上方から切削溝を撮像して切削溝の画像を形成するように撮像部88が撮像ユニット56を制御する(切削位置撮像ステップ:S6)。切削位置撮像ステップ(S6)においては、例えば、被加工物の上面に焦点が合った状態で撮像が行われるように撮像部88が撮像ユニット56を制御する。図9は、切削位置撮像ステップ(S6)で撮像される切削溝300aを含む画像300を模式的に示す図である。
【0091】
次いで、切削溝300aの画像300を利用して切削ブレード54の位置を示す座標(X2,Y2)を座標算出部90が算出する(切削ブレード座標算出ステップ:S7)。図10は、切削ブレード座標算出ステップ(S7)で算出される座標(X2,Y2)を模式的に示す図である。
【0092】
図10に示される座標(X2,Y2)は、画像300の中心(すなわち、切削溝300aを撮像するタイミングにおける撮像ユニット56の対物レンズの中心に対応する位置)をXY座標系の原点とした場合の切削溝300aの中心の位置を示す座標である。切削ブレード座標算出ステップ(S7)においては、座標算出部90が、画像300を利用して座標(X2,Y2)を切削ブレード54の位置を示す座標として算出する。
【0093】
次いで、切削ブレード検出機構撮像ステップ(S1)及びブレード侵入部座標算出ステップ(S2)を上述のとおり行う。これにより、図6に示される画像100の中心(すなわち、切削ブレード検出機構26を撮像するタイミングにおける撮像ユニット56の対物レンズの中心に対応する位置)をXY座標系の原点とした場合のブレード侵入部60cの中心の位置を示す座標(X1,Y1)が算出される。
【0094】
次いで、切削ブレード54の位置を示す座標及びブレード侵入部60cの位置を示す座標を参照して切削ブレード54をブレード侵入部60cの上方に位置付けるように駆動部86が駆動ユニット94を制御する(切削ブレード位置付けステップ:S3’)。具体的には、撮像ユニット56が切削ブレード検出機構26を撮像したタイミングにおける切削ブレード54の位置からの移動量が、X軸方向についてはX1+X2、Y軸方向についてはY1+Y2となるように駆動部86が駆動ユニット94を制御する。
【0095】
次いで、切削ブレード刃先位置検出ステップ(S4)を上述のとおり行う。以上の方法によれば、切削ブレード54の交換に伴ってXY座標系における切削ブレード54の刃先位置が変化するような場合であっても切削ブレード54の切り刃の破損及び/又は切削ブレード検出機構26の故障といった問題の発生が防止される。
【0096】
なお、図8においては、切削ブレード54の位置を示す座標を算出した後に、ブレード侵入部60cの位置を示す座標を算出する方法について示したが、これらの順序は逆であってもよい。すなわち、切削ブレード検出機構撮像ステップ(S1)及びブレード侵入部座標算出ステップ(S2)の後に、切削溝形成ステップ(S5)、切削位置撮像ステップ(S6)及び切削ブレード座標算出ステップ(S7)を行ってもよい。
【0097】
その他、上述した実施形態及び変形例にかかる構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0098】
2 :切削装置
4 :基台
6 :テーブルベースX軸移動機構
8 :X軸ガイドレール
10 :X軸移動プレート
12 :X軸ボールねじ軸
14 :X軸パルスモータ
16 :ウォーターケース
18 :テーブルベース
20 :θテーブル
22 :カバー
24 :チャックテーブル
24a :枠体
24b :ポーラス板
26 :切削ブレード検出機構
30 :支持構造
32a :切削ユニットY軸移動機構
32b :切削ユニットZ軸移動機構
34 :Y軸ガイドレール
36 :Y軸移動プレート
38 :Y軸ボールねじ軸
40 :Y軸パルスモータ
42 :Z軸ガイドレール
44 :Z軸移動プレート
46 :Z軸ボールねじ軸
48 :Z軸パルスモータ
50 :切削ユニット
52 :スピンドルハウジング
54 :切削ブレード
56 :撮像ユニット
60 :検出器
60a :支持部
60b :検出部
60c :ブレード侵入部
60d :柱状部の上面
62 :発光部
64 :受光部
66 :エアー供給ノズル
68 :液体供給ノズル
70 :連結具
72 :カバー部
80 :制御ユニット
82 :処理部
84 :記憶部
86 :駆動部
88 :撮像部
90 :座標算出部
92 :刃先位置検出部
94 :駆動ユニット
100 :画像
200 :光
300 :画像
300a :切削溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10