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特許7520512疎水性溶媒中に分散されたモノマー水溶液の重合による超吸収剤粒子の不連続的な製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】疎水性溶媒中に分散されたモノマー水溶液の重合による超吸収剤粒子の不連続的な製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/00 20060101AFI20240716BHJP
   C08F 2/32 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
C08F2/00 D
C08F2/32
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019560172
(86)(22)【出願日】2018-04-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-25
(86)【国際出願番号】 EP2018060548
(87)【国際公開番号】W WO2018202490
(87)【国際公開日】2018-11-08
【審査請求日】2021-04-23
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-17
(31)【優先権主張番号】17169021.7
(32)【優先日】2017-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マーク アンドレ フォン デア ハイト
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ シュタニツェク
(72)【発明者】
【氏名】マルコ クリューガー
【合議体】
【審判長】細井 龍史
【審判官】北澤 健一
【審判官】小出 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-124901(JP,A)
【文献】特開2013-227377(JP,A)
【文献】国際公開第2013/146699(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/141764(WO,A1)
【文献】特表2016-525620(JP,A)
【文献】特表2016-525621(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F2/00-246/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの並列した撹拌容器内で、疎水性溶媒中に分散されたモノマー水溶液を重合することにより、超吸収剤粒子を不連続的に製造する方法において、前記少なくとも2つの撹拌容器を、時間的にずらして運転させ、時間的に連続する2つの撹拌容器それぞれの反応開始の相対的な時間差は、バッチ時間の80%/n~120%/nの範囲にあり、nは、並列した撹拌容器の数であり、前記バッチ時間は、同じ撹拌容器内での反応開始から次の反応開始までの時間であることを特徴とする方法
【請求項2】
時間的に連続する2つの撹拌容器それぞれの前記バッチの開始の時間差は、前記バッチ時間の90%/n~110%/nの範囲であることを特徴とする、請求項記載の方法。
【請求項3】
2つ、3つ、または4つの並列した撹拌容器を運転させる(n=2、3、4)ことを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
ちょうど2つの並列した撹拌容器を運転させる(n=2)ことを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記疎水性溶媒は、炭化水素または炭化水素混合物であることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記炭化水素または前記炭化水素混合物は、50~150℃の範囲で沸騰することを特徴とする、請求項記載の方法。
【請求項7】
前記モノマー水溶液は、少なくとも1つのモノマーa)、少なくとも1つの架橋剤b)および少なくとも1つの開始剤c)を含有することを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疎水性溶媒中に分散されたモノマー水溶液の重合による超吸収剤粒子の不連続的な製造方法であって、少なくとも2つの撹拌容器を時間的にずらして運転させる方法に関する。
【0002】
超吸収剤粒子の製造は、F.L.BuchholzおよびA.T.Graham著の論文「Modern Superabsorbent Polymer Technology」、Wiley-VCH、1998年、69~117ページに記載されている。
【0003】
超吸収剤粒子は、おむつ、タンポン、生理用ナプキンおよび他の衛生用品の製造のための水溶液吸収製品としてだけでなく、農業園芸の保水剤としても使用される。
【0004】
超吸収剤粒子の特性は、架橋度によって調整することができる。架橋度が上昇するとゲル強度が増加し、吸収能力は低下する。
【0005】
適用特性、例えば、おむつの膨潤されたゲルベッドの液体誘導性(SFC)および圧力下での吸収性(AUL)を改善するために、超吸収剤粒子は、一般的に表面後架橋される。それにより、該粒子表面の架橋度のみが上昇し、このことにより、圧力下での吸収性(AUL)および遠心分離保持能力(CRC)を、少なくとも部分的に切り離すことができる。
【0006】
特開2012‐7062号公報、米国特許第5807916号明細書および国際公開第2008/084031号は、分散されたモノマー水溶液の重合による、超吸収剤粒子の製造方法を開示する。
【0007】
米国特許出願公開第2015/0080539号明細書は、加熱または冷却を短縮するための、特別な撹拌容器の使用下での不連続的な方法を記載している。
【0008】
本発明の課題は、疎水性溶媒中に分散されたモノマー水溶液の重合によって超吸収剤を不連続的に製造するための改善された方法であって、とりわけ冷却能力をより良好に利用する方法を提供する。
【0009】
前記課題は、少なくとも2つの並列した撹拌容器内での疎水性溶媒中に分散されたモノマー水溶液の重合による超吸収剤粒子の不連続的な製造方法において、少なくとも2つの撹拌容器を、時間的にずらして運転させ、時間的に連続する2つの撹拌容器それぞれの反応開始の相対的な時間差は、バッチ時間の50%/n~150%/nの範囲であり、ここで、nは、並列した撹拌容器の数であり、バッチ時間は、同じ撹拌容器内での反応開始から次の反応開始までの時間であることを特徴とする方法により解決される。
【0010】
すなわち、バッチ時間とは、撹拌容器の充填から撹拌容器におけるすべての反応工程を経由して撹拌容器を空にし、撹拌容器を新たに充填するまでの時間である。
【0011】
時間的に連続する2つの撹拌容器それぞれのバッチの開始の時間差は、有利には、バッチ時間の65%/n~135%/n、特に好ましくは80%/n~120%/n、極めて特に好ましくは90%/n~110%/nである。
【0012】
本発明の好ましい実施形態では、2つ、3つ、または4つの並列した撹拌容器を運転させる(n=2、3、4)。
【0013】
本発明の極めて好ましい実施形態では、2つの並列した撹拌容器を運転させる(n=2)。時間的に連続する2つの撹拌容器のバッチの開始の時間差は、有利には、バッチ時間の32.5%~67.5%、特に好ましくは40%~60%、極めて特に好ましくは45%~55%である。
【0014】
疎水性溶媒として一般的に、炭化水素および炭化水素混合物が使用される。
【0015】
炭化水素または炭化水素混合物は、有利には50~150℃の範囲、特に好ましくは60~130℃の範囲、極めて特に好ましくは70~110℃の範囲において沸騰する。
【0016】
以下に、超吸収剤粒子の製造を説明する:
【0017】
超吸収剤粒子の製造のために使用されるモノマー水溶液は、一般的に、
a)少なくとも部分的に中和されていてよい、少なくとも1つのエチレン性不飽和酸基担持モノマー、
b)少なくとも1つの架橋剤、
c)少なくとも1つの開始剤、
d)任意で、1つまたは複数の、a)で挙げられたモノマーと共重合可能なエチレン性不飽和モノマー、および
e)任意で、1つまたは複数の水溶性ポリマー
を含有する。
【0018】
これらのモノマーa)は水溶性であることが有利であり、つまり、典型的には23℃での水への溶解度は少なくとも1g/水100g、有利には少なくとも5g/水100g、特に好ましくは少なくとも25g/水100g、極めて特に好ましくは少なくとも35g/水100gである。
【0019】
適切なモノマーa)は、例えばエチレン性不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸およびイタコン酸である。特に好ましいモノマーは、アクリル酸およびメタクリル酸である。極めて特に好ましいのは、アクリル酸である。
【0020】
更なる適切なモノマーa)は、例えばエチレン性不飽和スルホン酸、例えばスチレンスルホン酸および2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)である。
【0021】
モノマーa)の総量に対するアクリル酸および/またはその塩の割合は、有利には少なくとも50モル%、特に好ましくは少なくとも90モル%、極めて特に好ましくは少なくとも95モル%である。
【0022】
モノマーa)の酸基は、部分的に中和されていてよい。中和は、モノマーの段階で実施される。これは一般的に、中和剤を水溶液として混合することにより行われるか、または好ましくは固体として混合することによっても行われる。中和度は、有利には25~95モル%、特に好ましくは30~80モル%、極めて特に好ましくは40~75モル%であり、ここで、慣用の中和剤、有利にはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩またはアルカリ金属炭酸水素塩、およびそれらの混合物を使用することができる。アルカリ金属塩の代わりに、アンモニウム塩も使用できる。アルカリ金属として特に好ましいのはナトリウムおよびカリウムであるが、極めて特に好ましいのは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムまたは重炭酸ナトリウムおよびそれらの混合物である。
【0023】
モノマーa)は一般に、重合禁止剤、有利にはヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)を貯蔵安定剤として含有する。
【0024】
適切な架橋剤b)は、架橋に適した少なくとも2つの基を有する化合物である。そのような基は、例えばポリマー鎖にラジカル重合することのできる、エチレン性不飽和基、およびモノマーa)の酸基と共有結合を形成することのできる官能基である。さらに、モノマーa)の少なくとも2つの酸基と配位結合を形成することのできる多価金属塩も、架橋剤b)として適切である。
【0025】
開始剤c)として、重合条件下でラジカルを生成するすべての化合物、例えば熱開始剤、レドックス開始剤、光開始剤を使用することができる。
【0026】
エチレン性不飽和酸基担持モノマーa)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマーd)は、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリラート、ヒドロキシエチルメタクリラート、ジメチルアミノエチルメタクリラート、ジメチルアミノエチルアクリラート、ジメチルアミノプロピルアクリラート、ジエチルアミノプロピルアクリラート、ジメチルアミノエチルメタクリラート、ジエチルアミノエチルメタクリラートである。
【0027】
水溶性ポリマーe)として、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体、変性セルロース、例えばメチルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン、ポリグリコールまたはポリアクリル酸、有利にはデンプン、デンプン誘導体および変性セルロースを使用することができる。
【0028】
好ましい重合禁止剤は、最適な作用のために溶存酸素を必要とする。したがって、モノマー溶液を重合前に不活性化することにより、すなわち、不活性ガス、有利には窒素または二酸化炭素を貫流することによって、溶存酸素を取り除くことができる。重合前のモノマー溶液の酸素含有量は、1質量ppm未満、特に好ましくは0.5質量ppm未満、極めて特に好ましくは0.1質量ppm未満に低下されるのが有利である。
【0029】
十分な還流下で重合が実施されると、不活性化を省くことができる。この場合、溶存酸素は、蒸発溶媒とともに撹拌容器から除去される。
【0030】
モノマー水溶液は、重合のために疎水性溶媒に分散される。
【0031】
疎水性溶媒としては、逆相懸濁重合で使用するための当業者に公知のすべての溶媒が、使用可能である。脂肪族炭化水素、例えばn-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン、シクロヘキサンまたはそれらの混合物を使用することが好ましい。疎水性溶媒は、23℃で5g/100g未満、有利には1g/100g未満、特に好ましくは0.5g/100g未満の水への溶解度を有する。
【0032】
疎水性溶媒とモノマー水溶液との比は、0.5~3、好ましくは0.7~2.5、極めて好ましくは0.8~2.2である。
【0033】
凝集が実施されない場合の分散液中のモノマー水溶液液滴の平均直径は、有利には少なくとも100μm、特に好ましくは100~1000μm、特に好ましくは150~850μm、極めて特に好ましくは300~600μmであり、ここで、液滴直径は、光散乱によって決定することができ、体積平均の平均直径を意味する。
【0034】
モノマー水溶液液滴の直径は、もたらされた撹拌エネルギーによって、かつ適切な分散助剤によって調整することができる。
【0035】
適切な分散助剤は、例えば陰イオン性、陽イオン性、非イオン性または両性の界面活性剤、または天然、半合成または合成ポリマーである。
【0036】
陰イオン界面活性剤は、例えばポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸ナトリウムおよびドデシルエーテル硫酸ナトリウムである。陽イオン性界面活性剤は、例えば塩化トリメチルステアリルアンモニウムである。両性界面活性剤は、例えばカルボキシメチルジメチルセチルアンモニウムである。非イオン性界面活性剤は、例えばスクロース脂肪酸エステル、例えばスクロースモノステアラートおよびスクロースジラウラート、ソルビタンエステル、例えばソルビタンモノステアラート、ソルビタンエステル系ポリオキシアルキレン化合物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノステアラートである。
【0037】
天然または半合成ポリマーは、例えばセルロース誘導体、例えばセルロースエーテル、例えばエチルセルロース、およびセルロースエステル、例えばセルロースアセタートである。合成ポリマーは、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体、マレイン酸ブタジエンコポリマー、および四級塩、例えばスチレンジメチルアミノエチルメタクチラートである。
【0038】
分散助剤は一般的に、疎水性溶媒に溶解または分散される。
【0039】
分散助剤は、モノマー水溶液に対して、0.01~10質量%、好ましくは0.2~5質量%、特に好ましくは0.5~2質量%の量で使用される。
【0040】
反応は、有利には減圧下で、例えば800mbarの圧力で実施される。反応混合物の沸点は、圧力によって所望の反応温度に調整することができる。
【0041】
重合の完了後に得られた、分散された超吸収剤粒子は、更なるモノマー水溶液の添加および新たな重合によって凝集させることができる。モノマー水溶液は、第1のモノマー水溶液とは異なる組成を有してもよい。凝集は、数回実施することもできる。
【0042】
引き続き得られた、分散された超吸収剤粒子を、共沸脱水し、濾過を用いて疎水性溶媒から分離する。
【0043】
本発明の好ましい実施形態では、共沸脱水後に得られた分散液を、冷却しないか、もしくは完全には冷却しない。まだ温かい濾液を、疎水性溶媒として重合に返送する。
【0044】
超吸収剤粒子の特性を更に改善するために、表面後架橋させることができる。適切な表面後架橋剤は、ヒドロゲルのカルボキシラート基と共有結合を形成することのできる基を少なくとも2つ含有する化合物である。適切な化合物は、例えば、欧州特許出願公開第83022号明細書、欧州特許出願公開第543303号明細書および欧州特許出願公開第937736号明細書に記載されているようなアルコキシシリル化合物、ポリアジリジン、ポリアミン、ポリアミドアミン、ジエポキシドまたはポリエポキシド(例えばDenacol(登録商標)EX810)、独国特許出願公開第3314019号明細書、独国特許出願公開第3523617号明細書および欧州特許出願公開第450922号明細書に記載されているような二官能性または多官能性アルコール、または独国特許出願公開第10204938号明細書および米国特許第6239230号明細書に記載されているようなβ-ヒドロキシアルキルアミドである。
【0045】
さらに、独国特許発明第4020780号明細書では、環状カーボナート、独国特許出願公開第19807502号明細書では、2-オキサゾリドンおよびその誘導体、例えば2-ヒドロキシエチル-2-オキサゾリドン、独国特許発明第19807992号明細書では、ビス-2-オキサゾリジノンおよびポリ-2-オキサゾリジノン、独国特許出願公開第19854573号明細書では、2-オキソテトラヒドロ-1,3-オキサジンおよびその誘導体、独国特許出願公開第19854574号明細書では、N-アシル-2-オキサゾリドン、独国特許出願公開第10204937号明細書では、環状尿素、独国特許出願公開第10334584号明細書では、二環式アミドアセタール、欧州特許出願公開第1199327号明細書では、オキセタンおよび環状尿素、ならびに国際公開第2003/31482号では、モルホリン-2,3-ジオンおよびその誘導体が、適切な表面後架橋剤として記載されている。
【0046】
表面後架橋剤の量は、それぞれポリマーに対して、有利には0.01~1質量%、特に好ましくは0.05~0.5質量%、極めて特に好ましくは0.1~0.2質量%である。
【0047】
本発明の好ましい実施形態では、表面後架橋剤に加えて、多価陽イオンを粒子表面に施与する。
【0048】
本発明による方法で使用可能な多価陽イオンは、例えば二価陽イオン、例えば亜鉛、マグネシウム、カルシウムおよびストロンチウムの陽イオン、三価陽イオン、例えばアルミニウム、鉄、クロム、希土類およびマンガンの陽イオン、四価陽イオン、例えばチタンおよびジルコニウムの陽イオンである。対イオンとしては、塩化物、臭化物、硫酸塩、硫酸水素塩、炭酸塩、炭酸水素塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、およびカルボン酸塩、例えば酢酸塩および乳酸塩が可能である。硫酸アルミニウムが好ましい。
【0049】
多価陽イオンの使用量は、それぞれポリマーに対して、例えば0.001~0.5質量%、有利には0.005~0.2質量%、特に好ましくは0.02~0.1質量%である。
【0050】
表面後架橋は、2つの異なる方法で実施することができる。
【0051】
したがって、脱水された分散液を濾過し、選択的に乾燥し、このようにして得られた超吸収剤粒子を表面後架橋することが可能である(表面後架橋A)。表面後架橋は一般に、表面後架橋剤の溶液および選択的に多価陽イオンの溶液を超吸収剤粒子に噴霧して実施される。噴霧に続いて、熱乾燥させ、ここで、表面後架橋反応は、乾燥前でも乾燥中でも起こり得る。
【0052】
表面後架橋剤の溶液の噴霧は、有利には可動混合器具を備えた混合機、例えばスクリュー混合機、パドル混合機、ディスク混合機、プラウシェア混合機およびショベル混合機で実施される。縦型混合機が特に好ましく、プラウシェア混合機およびショベル混合機は極めて特に好ましい。適切な混合機は、例えばレーディゲ(Loedige)混合機、ベペックス(Bepex)混合機、ナウタ(Nauta)混合機、プロセッサル(Processall)混合機およびシュギ(Schugi)混合機である。
【0053】
熱乾燥は、有利には接触乾燥機、特に好ましくはショベル乾燥機、極めて特に好ましくはディスク乾燥機で実施される。適切な乾燥機は、例えばベペックス乾燥機およびナラ(Nara)乾燥機である。さらに、流動層乾燥機も使用することができる。
【0054】
乾燥は、ジャケットを加熱するか、または温風を吹き付けることによって、混合機自体で行うことができる。下降流式乾燥機、例えば棚型式乾燥機(Hordentrockner)、回転式管炉または加熱可能なスクリューも同じように適している。流動層乾燥機で混合し乾燥することが特に有利である。
【0055】
好ましい乾燥温度は100~250℃、好ましくは120~220℃、特に好ましくは130~210℃の範囲である。これらの温度の場合の反応混合機または乾燥機での好ましい滞留時間は、有利には少なくとも10分、特に好ましくは少なくとも20分、極めて特に好ましくは少なくとも30分である。
【0056】
しかし、選択的に脱水された分散液に、表面後架橋剤および選択的に多価陽イオンを、有利には水溶液として添加することも可能である(表面後架橋B)。引き続いて、熱的に表面後架橋させる。このために、反応性表面後架橋剤、例えばジエポキシドまたはポリエポキシドを好ましくは使用する。熱表面後架橋後、選択的に共沸脱水し、濾過し、かつ乾燥する。
【0057】
例1~10
計算のためには、米国特許出願公開2015/0080539号明細書の比較例1の方法を使用した。2つの並列した撹拌容器を反応器として想定した。撹拌容器のバッチ時間とは、反応サイクルの持続時間、つまり、同じ撹拌容器内での反応開始から次の反応開始までの時間である。第2の撹拌容器での反応を、時間的に第1の撹拌容器での反応後に開始させた。それぞれ、双方の撹拌容器に必要な最大冷却能力を算出した。
【0058】
表1にこれらの結果を示す。第1の撹拌容器での反応開始と第2の撹拌容器での反応開始との間の時間間隔は、バッチ時間のパーセントで記載されている。
【0059】
表1:開始を時間的にずらすことによる影響
【表1】
)比較例
【0060】
例11~13
例1~10と同様に、2つ(例11)、3つ(例12)および4つ(例13)の並列した撹拌容器の最大冷却エネルギーに対する最大節約量を算出した。
【0061】
表2:複数の撹拌容器の場合の最大冷却能力に対する節約量
【表2】
【0062】
これらの例は、冷却能力におけるピークを低下させることができることを示している。これにより、より小型で費用のかからない冷却器の使用、および冷却能力のより良好な利用が可能になる。