(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】ダイボンディング装置、クリーニングヘッドおよび半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/52 20060101AFI20240716BHJP
H05K 13/04 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
H01L21/52 F
H05K13/04 A
(21)【出願番号】P 2020137836
(22)【出願日】2020-08-18
【審査請求日】2023-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】515085901
【氏名又は名称】ファスフォードテクノロジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 維月
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 明
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0079672(US,A1)
【文献】特開2012-199458(JP,A)
【文献】再公表特許第2017/204333(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/52
H01L 21/58
H05K 13/04
B08B 5/00
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイが載置される基板を第一方向に沿って搬送する搬送部と、
前記基板に向けて空気を吹き出す第一ノズルおよび第二ノズルと、前記基板側から空気を吸い込む吸引口と、を有するクリーニングヘッドと、
前記クリーニングヘッドを前記第一方向とは異なる第二方向に沿って移動させる駆動部と、
前記搬送部と前記駆動部とを制御する制御部と、
を備え、
前記吸引口は平面視において矩形状であり、前記吸引口の長辺は前記第一方向に沿って延伸し、前記吸引口は前記第一ノズルの吹き出し口と前記第二ノズルの吹き出し口との間に隣接して配置され、
前記第一ノズルの吹き出し口は、平面視において前記吸引口の一方の長辺に沿って延伸するよう構成され、前記基板の表面に対して垂直に延伸するよう構成され、
前記第二ノズルの吹き出し口は、平面視において前記吸引口の他方の長辺に沿って延伸するよう構成され、前記基板の表面に対して前記吸引口側に傾いて延伸するよう構成され、
前記第一ノズルの吹き出し口の前記第一方向の長さは、前記吸引口の前記第一方向の長さよりも長く構成される、ダイボンディング装置。
【請求項2】
ダイが載置される基板を第一方向に沿って搬送する搬送部と、
前記基板に向けて空気を吹き出す第一ノズルおよび第二ノズルと、前記基板側から空気を吸い込む吸引口と、を有するクリーニングヘッドと、
前記クリーニングヘッドを前記第一方向とは異なる第二方向に沿って移動させる駆動部と、
前記搬送部と前記駆動部とを制御する制御部と、
を備え、
前記吸引口は平面視において矩形状であり、前記吸引口の長辺は前記第一方向に沿って延伸し、前記吸引口は前記第一ノズルの吹き出し口と前記第二ノズルの吹き出し口との間に隣接して配置され、
前記第一ノズルの吹き出し口は、平面視において前記吸引口の一方の長辺に沿って延伸するよう構成され、前記基板の表面に対して垂直に延伸するよう構成され、
前記第二ノズルの吹き出し口は、平面視において前記吸引口の他方の長辺に沿って延伸するよう構成され、前記基板の表面に対して前記吸引口側に傾いて延伸するよう構成され、
前記制御部は前記第一ノズルの空気の流量を前記第二ノズルの空気の流量以上にするよう構成される、ダイボンディング装置。
【請求項3】
ダイが載置される基板を第一方向に沿って搬送する搬送部と、
前記基板に向けて空気を吹き出す第一ノズルおよび第二ノズルと、前記基板側から空気を吸い込む吸引口と、を有するクリーニングヘッドと、
前記クリーニングヘッドを前記第一方向とは異なる第二方向に沿って移動させる駆動部と、
前記搬送部と前記駆動部とを制御する制御部と、
を備え、
前記吸引口は平面視において矩形状であり、前記吸引口の長辺は前記第一方向に沿って延伸し、前記吸引口は前記第一ノズルの吹き出し口と前記第二ノズルの吹き出し口との間に隣接して配置され、
前記第一ノズルの吹き出し口は、平面視において前記吸引口の一方の長辺に沿って延伸するよう構成され、前記基板の表面に対して垂直に延伸するよう構成され、
前記第二ノズルの吹き出し口は、平面視において前記吸引口の他方の長辺に沿って延伸するよう構成され、前記基板の表面に対して前記吸引口側に傾いて延伸するよう構成され、
前記クリーニングヘッドは、さらに、空気を吹き出す第三ノズルおよび第四ノズルを有し、
前記第三ノズルの吹き出し口は、前記吸引口の一方の短辺に沿って延伸するよう構成され、
前記第四ノズルの吹き出し口は、前記吸引口の他方の短辺に沿って延伸するよう構成され、
前記第三ノズルの吹き出し口と前記第四ノズルの吹き出し口との間に隣接して前記吸引口が配置されて構成される、ダイボンディング装置。
【請求項4】
請求項1のダイボンディング装置において、
前記制御部は、前記第一ノズルの空気の流量、前記第二ノズルの空気の流量および前記吸引口の流量を制御するよう構成される、ダイボンディング装置。
【請求項5】
請求項1のダイボンディング装置において、
前記第一ノズルおよび前記第二ノズルのそれぞれの吹き出し口は、複数の小さい孔で構成される、ダイボンディング装置。
【請求項6】
請求項1のダイボンディング装置において、
前記第一ノズルおよび前記第二ノズルのそれぞれの吹き出し口は、スリット状で構成される、ダイボンディング装置。
【請求項7】
請求項1のダイボンディング装置において、
前記第一ノズルおよび前記第二ノズルのそれぞれの吹き出し口の形状は平行面のある多角形で構成される、ダイボンディング装置。
【請求項8】
ダイが載置される基板を第一方向に沿って搬送する搬送部と、
前記基板に向けて空気を吹き出す第一ノズルおよび第二ノズルと、前記基板側から空気を吸い込む吸引口と、を有するクリーニングヘッドと、
前記クリーニングヘッドを前記第一方向とは異なる第二方向に沿って移動させる駆動部と、
前記搬送部と前記駆動部とを制御する制御部と、
を備え、
前記吸引口は平面視において矩形状であり、前記吸引口の長辺は前記第一方向に沿って延伸し、前記吸引口は前記第一ノズルの吹き出し口と前記第二ノズルの吹き出し口との間に隣接して配置され、
前記第一ノズルの吹き出し口は、平面視において前記吸引口の一方の長辺に沿って延伸するよう構成され、前記基板の表面に対して垂直に延伸するよう構成され、
前記第二ノズルの吹き出し口は、平面視において前記吸引口の他方の長辺に沿って延伸するよう構成され、前記基板の表面に対して前記吸引口側に傾いて延伸するよう構成され、
前記制御部は、前記第一ノズルおよび前記第二ノズルのそれぞれの吹き出し口の前記基板の表面に対して延伸する角度を変更するよう構成される、ダイボンディング装置。
【請求項9】
請求項
4のダイボンディング装置において、
前記制御部は、前記第一ノズルの空気の流量および前記第二ノズルの空気の流量を異物のサイズまたは重さに基づいて制御するよう構成される、ダイボンディング装置。
【請求項10】
請求項
9のダイボンディング装置において、
前記制御部は、前記クリーニングヘッドを1往復以上移動させる場合、前記第一ノズルの空気の流量および前記第二ノズルの空気の流量を段階的に制御するよう構成されるダイボンディング装置。
【請求項11】
請求項
10のダイボンディング装置において、
前記制御部は、
往路では前記第一ノズルおよび前記第二ノズルの空気の吹き出しを停止して前記吸
引口からの吸引を行い、
復路では前記第一ノズルおよび前記第二ノズルの空気の吹き出し行いながら前記吸
引口からの吸引を行うよう構成されるダイボンディング装置。
【請求項12】
請求項
1のダイボンディング装置において、
前記吸引口の前記第二方向の長さは、前記第一ノズルの吹き出し口の前記第二方向の長さおよび前記第二ノズルの吹き出し口の前記第二方向の長さよりも長く構成される、ダイボンディング装置。
【請求項13】
請求項1のダイボンディング装置において、
前記制御部は、前記駆動部により、前記クリーニングヘッドの長辺を前記第二方向に沿う方に回転させ、前記クリーニングヘッドを前記基板に対して相対的に前記第一方向に沿って移動させるよう構成される、ダイボンディング装置。
【請求項14】
本体部と、
前記本体部に設けられた、ワークに向けて空気を吹き出す第一ノズルおよび第二ノズルと、前記ワーク側から空気を吸い込む吸引口と、
を有し、
前記本体部の底面は平面視において矩形状であり、
前記吸引口は平面視において矩形状であり、前記吸引口の長辺は前記底面の長辺に沿って延伸し、前記吸引口は前記第一ノズルの吹き出し口と前記第二ノズルの吹き出し口との間に隣接して配置され、
前記第一ノズルの吹き出し口は、平面視において前記吸引口の一方の長辺に沿って延伸するよう構成され、前記ワークの表面に対して垂直に延伸するよう構成され、
前記第二ノズルの吹き出し口は、平面視において前記吸引口の他方の長辺に沿って延伸するよう構成され、前記ワークの表面に対して前記吸引口側に傾いて延伸するよう構成され、
前記第一ノズルの吹き出し口の前記吸引口に対向する側の長さは、前記吸引口の前記第一ノズルの吹き出し口側に対向する側の長さよりも長く構成される、クリーニングヘッド。
【請求項15】
請求項
14のクリーニングヘッドにおいて、
前記吸引口の短辺側の長さは、前記第一ノズルの吹き出し口および前記第二ノズルの吹き出し口の前記底面の短辺に沿う方向の長さよりも長く構成される、クリーニングヘッド。
【請求項16】
(a)ダイが載置される基板を第一方向に沿って搬送する搬送部と、前記基板に向けて空気を吹き出す第一ノズルおよび第二ノズルと、前記基板側から空気を吸い込む吸引口と、を有するクリーニングヘッドと、前記クリーニングヘッドを前記第一方向とは異なる第二方向に沿って移動させる駆動部と、を備え、前記吸引口は平面視において矩形状であり、前記吸引口の長辺は前記第一方向に沿って延伸し、前記吸引口は前記第一ノズルの吹き出し口と前記第二ノズルの吹き出し口との間に隣接して配置され、前記第一ノズルの吹き出し口は、平面視において前記吸引口の一方の長辺に沿って延伸するよう構成され、前記基板の表面に対して垂直に延伸するよう構成され、前記第二ノズルの吹き出し口は、平面視において前記吸引口の他方の長辺に沿って延伸するよう構成され、前記基板の表面に対して前記吸引口側に傾いて延伸するよう構成される、ダイボンディング装置に基板を搬入する工程と、
(b)ダイが貼付されたダイシングテープを保持するウェハリングを搬入する工程と、
(c)前記基板をクリーニングする工程と、
(d)ダイをピックアップする工程と、
(e)前記ピックアップしたダイを前記基板または既にボンディングされたダイの上にボンディングする工程と、
を含み、
前記(c)工程は、前記第一ノズルの空気の流量を前記第二ノズルの空気の流量以上にし、前記クリーニングヘッドを前記第二方向に移動しながら行う、半導体装置の製造方法。
【請求項17】
(a)ダイが載置される基板を第一方向に沿って搬送する搬送部と、前記基板に向けて空気を吹き出す第一ノズルおよび第二ノズルと、前記基板側から空気を吸い込む吸引口と、を有するクリーニングヘッドと、前記クリーニングヘッドを前記第一方向とは異なる第二方向に沿って移動させる駆動部と、を備え、前記吸引口は平面視において矩形状であり、前記吸引口の長辺は前記第一方向に沿って延伸し、前記吸引口は前記第一ノズルの吹き出し口と前記第二ノズルの吹き出し口との間に隣接して配置され、前記第一ノズルの吹き出し口は、平面視において前記吸引口の一方の長辺に沿って延伸するよう構成され、前記基板の表面に対して垂直に延伸するよう構成され、前記第二ノズルの吹き出し口は、平面視において前記吸引口の他方の長辺に沿って延伸するよう構成され、前記基板の表面に対して前記吸引口側に傾いて延伸するよう構成される、ダイボンディング装置に基板を搬入する工程と、
(b)ダイが貼付されたダイシングテープを保持するウェハリングを搬入する工程と、
(c)前記基板をクリーニングする工程と、
(d)ダイをピックアップする工程と、
(e)前記ピックアップしたダイを前記基板または既にボンディングされたダイの上にボンディングする工程と、
を含み、
前記(c)工程は、前記クリーニングヘッドを1往復以上移動する場合、前記第一ノズルの空気の流量および前記第二ノズルの空気の流量を段階的に制御する半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項
17の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程は、
往路では前記第一ノズルおよび前記第二ノズルの空気の吹き出しを停止して前記吸
引口からの吸引を行い、
復路では前記第一ノズルおよび前記第二ノズルの空気の吹き出し行いながら前記吸
引口からの吸引を行う半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はダイボンディング装置に関し、例えば基板をクリーニングする装置を備えるダイボンディング装置に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程の一部に半導体チップ(以下、単にダイという。)を配線基板やリードフレーム等(以下、単に基板という。)に搭載してパッケージを組み立てる工程があり、パッケージを組み立てる工程の一部に、半導体ウェハ(以下、単にウェハという。)からダイを分割する工程(ダイシング工程)と、分割したダイを基板の上に搭載するボンディング工程と、がある。ボンディング工程に使用される半導体製造装置がダイボンダ等のダイボンディング装置である。
【0003】
ダイの基板へのボンディングには接着剤が使用されるが、ダイを基板に接着する際、基板の表面にゴミが付着していると接着剤の接着力が低下するため、基板上のゴミ(以下、異物という。)を除去することはダイを実装する上で極めて重要なことである。例えば、特許文献1では、エアの吹出し孔と吸込み孔が一体になったクリーニングノズルを有する異物除去装置を基板の移動方向と直交する方向に移動して基板上の異物を除去することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
積層ボンディングの多層化やそれに伴う基板の反りに伴い、基板や基板に載置されたダイの表面の異物を除去するノズルと基板との間隔は広くする必要がある。さらに、異物の除去能力を向上させるため、噴射するエア量(勢い)も増加させる必要がある。このため、基板上の異物は、クリーニングノズルの外部に拡散し、既にクリーニングが終了しているエリアに異物が拡散してしまう場合もある。
【0006】
本開示の目的は、異物の拡散を抑制して基板の表面をクリーニングすることが可能なダイボンディング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
すなわち、ダイボンディング装置は、ダイが載置される基板を第一方向に沿って搬送する搬送部と、第一ノズルと第二ノズルと吸引口とを有するクリーニングヘッドと、クリーニングヘッドを第二方向に沿って移動させる駆動部と、を備える。吸引口は平面視において矩形状であり、吸引口の長辺は第一方向に沿って延伸し、吸引口は第一ノズルの吹き出し口と第二ノズルの吹き出し口との間に隣接して配置される。第一ノズルの吹き出し口は、平面視において吸引口の一方の長辺に沿って延伸するよう構成され、基板の表面に対して垂直に延伸するよう構成される。第二ノズルの吹き出し口は、平面視において吸引口の他方の長辺に沿って延伸するよう構成され、基板の表面に対して吸引口側に傾いて延伸するよう構成される。
【発明の効果】
【0008】
上記ダイボンディング装置によれば、異物の拡散を抑制して基板の表面をクリーニングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】
図1に示すダイ供給部の主要部を示す概略断面図
【
図4】
図1に示すダイボンダにおけるダイボンディング工程を説明するフローチャート
【
図8】
図7に示すクリーニングヘッドにおける動作を説明する底面図
【
図9】
図7に示すクリーニングヘッドの動きを示す断面図
【
図10】
図9に示すクリーニングヘッドと基板の上面図
【
図11】第一変形例におけるクリーニングヘッドの概略構成図
【
図13】
図12に示す第一変形例におけるクリーニングヘッドの断面図
【
図14】第二変形例におけるクリーニングヘッドと基板を示す上面図
【
図15】
図14におけるクリーニングヘッドの基板クリーニングを示す図
【
図16】第三変形例におけるクリーニングヘッドの往路及び復路時の動作を示す断面図
【
図17】第四変形例におけるクリーニングヘッドの概略構成図
【
図18】第五変形例におけるクリーニングヘッドの概略構成図
【
図19】第六変形例におけるクリーニングヘッドの概略構成図
【
図20】第七変形例におけるクリーニングヘッドの底面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態における異物除去装置は、ウェハ、ダイが載置される基板、ダイが載置された基板および載置されたダイ等のワークの上の異物を除去する。異物除去装置は、例えば、クリーニングノズルまたはクリーニングヘッドを含む。クリーニングノズルまたはクリーニングヘッドは、中央に吸い込み口を有し、その吸い込み口を挟むように、または、取り囲むように吹き出し口を有する。
【0011】
本実施形態によれば、異物除去装置と基板との隙間の大小にかかわらず、異物の拡散を抑制し、既にクリーニングが終了しているエリアへの異物の拡散を防止すると共に、異物除去装置から異物除去装置外への拡散による装置内部への汚染を防止することができる。また、異物の拡散を排気量の増加で対応する必要がないため、大量の排気のためのユーティリティが不要となり、設置スペースとコスト増加を抑制することができる。
【0012】
以下、実施例および変形例について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。
【実施例】
【0013】
図1は実施例におけるダイボンダの概略上面図である。
図2は
図1に示す矢印Aから見たピックアップヘッドやボンディングヘッド及びその周辺部における概略構成とその動作を説明するための概略側面図である。
【0014】
ダイボンダ10は、大別して、基板Sに実装するダイDを供給するダイ供給部1と、ピックアップ部2、中間ステージ部3と、ボンディング部4と、搬送部5、基板供給部6と、基板搬出部7と、プリフォーム部9と、各部の動作を監視し制御する制御部8と、を有する。ここで、基板Sは平板状部材であり、最終1パッケージとなる、一つ又は複数の製品エリア(以下、パッケージエリアPという。)がプリントされている。
【0015】
図1において、搬送レーン52によってガイドされて水平方向に搬送される基板Sの搬送方向が第一方向としてのX軸方向であり、X軸方向と同一面でX軸方向と直交する方向を第二方向としてのY軸方向、水平面に鉛直な方向をZ軸方向として説明する。Y軸方向がダイボンダ10の前後方向であり、X軸方向が左右方向である。ダイ供給部1がダイボンダ10の手前側に配置され、ボンディング部4が奥側に配置される。
【0016】
まず、ダイ供給部1は基板SのパッケージエリアPに実装するダイDを供給する。ダイ供給部1は、ウェハ11を保持するウェハ保持台12と、ウェハ11からダイDを突き上げる点線で示す突上げユニット13と、を有する。ダイ供給部1は図示しない駆動手段によってX軸およびY軸方向に移動し、ピックアップするダイDを突上げユニット13の位置に移動させる。
【0017】
ピックアップ部2は、ダイDをピックアップするピックアップヘッド21と、ピックアップヘッド21をY軸方向に移動させるピックアップヘッドのY駆動部23と、コレット22を昇降、回転およびX軸方向移動させる図示しない各駆動部と、を有する。ピックアップヘッド21は、突き上げられたダイDを先端に吸着保持するコレット22(
図2も参照)を有し、ダイ供給部1からダイDをピックアップし、中間ステージ31に載置する。ピックアップヘッド21は、コレット22を昇降、回転およびX軸方向移動させる図示しない各駆動部を有する。
【0018】
中間ステージ部3は、ダイDを一時的に載置する中間ステージ31と、中間ステージ31上のダイDを認識するためのステージ認識カメラ32と、を有する。
【0019】
ボンディング部4は、中間ステージ31からダイDをピックアップし、ボンディングステージBS上に搬送されてくる基板SのパッケージエリアP上にボンディングし、または既に基板SのパッケージエリアPの上にボンディングされたダイの上に積層する形でボンディングする。ボンディング部4は、ピックアップヘッド21と同様にダイDを先端に吸着保持するコレット42(
図2も参照)を備えるボンディングヘッド41と、ボンディングヘッド41をY軸方向に移動させるY駆動部43と、基板SのパッケージエリアPの位置認識マーク(図示せず)を撮像し、ボンディング位置を認識する基板認識カメラ44と、を有する。このような構成によって、ボンディングヘッド41は、ステージ認識カメラ32の撮像データに基づいてピックアップ位置・姿勢を補正し、中間ステージ31からダイDをピックアップし、基板認識カメラ44の撮像データに基づいて基板SにダイDをボンディングする。
【0020】
搬送部5は、基板Sを掴み搬送する基板搬送爪51と、基板Sが移動する搬送レーン52と、を有する。基板Sは、搬送レーン52に設けられた基板搬送爪51の図示しないナットを搬送レーン52に沿って設けられた図示しないボールネジで駆動することによってX軸方向に移動する。このような構成によって、基板Sは、基板供給部6から搬送レーン52に沿ってボンディング位置まで移動し、ボンディング後、基板搬出部7まで移動して、基板搬出部7に基板Sを渡す。
【0021】
制御部8は、ダイボンダ10の各部の動作を監視し制御するプログラム(ソフトウェア)を格納するメモリと、メモリに格納されたプログラムを実行する中央処理装置(CPU)と、を備える。例えば、制御部8は、基板認識カメラ44及び基板認識カメラ44からの画像情報、ボンディングヘッド41の位置などの各種情報を取り込み、ボンディングヘッド41のボンディング動作など各構成要素の各動作を制御する。
【0022】
プリフォーム部9は、異物除去装置としてのクリーニングヘッド91と、クリーニングヘッド91をX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向に駆動する駆動部93と、を有する。
【0023】
次に、ダイ供給部1の構成について
図3を用いて説明する。
図3はダイ供給部の主要部を示す概略断面図である。
【0024】
ダイ供給部1は、水平方向(X軸およびY軸方向)に移動するウェハ保持台12と、上下方向に移動する突上げユニット13と、を備える。ウェハ保持台12は、ウェハリング14を保持するエキスパンドリング15と、ウェハリング14に保持され複数のダイDが接着されたダイシングテープ16を水平に位置決めする支持リング17と、を有する。突上げユニット13は支持リング17の内側に配置される。
【0025】
ダイ供給部1は、ダイDの突き上げ時に、ウェハリング14を保持しているエキスパンドリング15を下降させる。その結果、ウェハリング14に保持されているダイシングテープ16が引き伸ばされダイDの間隔が広がり、突上げユニット13によりダイD下方よりダイDを突き上げ、ダイDのピックアップ性を向上させている。なお、薄型化に伴いダイを基板に接着する接着剤は、液状からフィルム状となり、ウェハ11とダイシングテープ16との間にダイアタッチフィルム(DAF)18と呼ばれるフィルム状の接着材料を貼り付けている。ダイアタッチフィルム18を有するウェハ11では、ダイシングは、ウェハ11とダイアタッチフィルム18に対して行なわれる。従って、剥離工程では、ウェハ11とダイアタッチフィルム18をダイシングテープ16から剥離する。ダイアタッチフィルム18は加熱することで硬化する。
【0026】
図4は
図1のダイボンダにおけるダイボンディング工程を説明するフローチャートである。
【0027】
実施例におけるダイボンディング工程では、まず、ウェハ11から分割されたダイDが貼付されたダイシングテープ16を保持したウェハリング14をウェハカセット(不図示)に格納し、ダイボンダ10に搬入する。また、基板Sを準備し、ダイボンダ10に搬入する。
【0028】
(ダイ認識:ステップS1)
制御部8は、ウェハ11を保持しているウェハリング14をウェハカセットから取り出してウェハ保持台12に載置し、ウェハ保持台12をダイDのピックアップが行われる基準位置まで搬送する(ウェハローディング)。次いで、制御部8は、ウェハ認識カメラ24によって取得した画像から、ウェハ11の配置位置がその基準位置と正確に一致するように微調整(アライメント)を行う。
【0029】
次に、制御部8は、ウェハ11が載置されたウェハ保持台12を所定ピッチでピッチ移動させ、水平に保持することによって、最初にピックアップされるダイDをピックアップ位置に配置する(ダイ搬送)。ウェハ11は、予めプローバ等の検査装置により、ダイ毎に検査され、ダイ毎に良、不良を示すマップデータが生成され、制御部8の記憶装置に記憶される。ピックアップ対象となるダイDが良品であるか、不良品であるかの判定はマップデータにより行われる。制御部8は、ダイDが不良品である場合は、ウェハ11が載置されたウェハ保持台12を所定ピッチでピッチ移動させ、次にピックアップされるダイDをピックアップ位置に配置し、不良品のダイDをスキップする。
【0030】
制御部8は、ウェハ認識カメラ24によってピックアップ対象のダイDの主面(上面)を撮影し、取得した画像からピックアップ対象のダイDの上記ピックアップ位置からの位置ずれ量を算出する。制御部8は、この位置ずれ量を基にウェハ11が載置されたウェハ保持台12を移動させ、ピックアップ対象のダイDをピックアップ位置に正確に配置する。制御部8は、ウェハ認識カメラ24によって取得した画像を用いて、ピックアップ対象ダイDの表面検査を行う。
【0031】
(基板クリーニング:ステップS2)
制御部8は、基板供給部6で基板Sを搬送レーン52に載置する(基板ローディング)。制御部8は、基板Sをボンディング位置の手前のクリーニング位置まで移動させる(基板搬送)。制御部8は、基板Sの表面の異物を除去する。制御部8は、クリーニングヘッド91を基板Sの幅分だけ駆動部93によりY軸方向に沿って往復移動させながら基板Sのクリーニングを行う。制御部8は、基板SのY軸方向の一列のクリーニングが終わると、基板Sの二列目以降を順次クリーニングするため、基板SをX軸方向に移動させる。制御部8は、二列ごとに往復移動(一列ごとの片側移動で二列で往復移動)してもよい。クリーニングの詳細については後述する。
【0032】
(基板認識:ステップS3)
制御部8は、ボンディングするためボンディング前に基板認識カメラ44にて基板を撮像して基板SのパッケージエリアPの位置を認識して位置決めを行う。制御部8は、基板認識カメラ44によって取得した画像を用いて、基板SのパッケージエリアPの表面検査を行う。
【0033】
(ピックアップ:ステップS4)
制御部8は、ピックアップ対象のダイDを正確にピックアップ位置に配置した後、コレット22を含むピックアップヘッド21によってダイDをダイシングテープ16からピックアップし、中間ステージ31に載置する。制御部8は、中間ステージ31に載置したダイの姿勢ずれ(回転ずれ)の検出をステージ認識カメラ32にて撮像して行う。制御部8は、姿勢ずれがある場合は中間ステージ31に設けられた旋回駆動装置(不図示)によって実装位置を有する実装面に平行な面で中間ステージ31を旋回させて姿勢ずれを補正する。制御部8は、ステージ認識カメラ32によって取得した画像を用いて、ダイDの表面検査を行う。
【0034】
(ボンディング:ステップS5)
制御部8は、コレット42を含むボンディングヘッド41によって中間ステージ31からダイDをピックアップし、ステップS3の基板認識結果に基づいて基板SのパッケージエリアPまたは既に基板SパッケージエリアPにボンディングされているダイにダイボンディングする。
【0035】
(基板認識:ステップS6)
制御部8は、ダイDをボンディングした後、そのボンディング位置が正確になされているかを検査する。制御部8は、ボンディング実装結果を検査するために再度、基板認識カメラ44にて基板SのパッケージエリアPを撮像して基板SのパッケージエリアPの位置認識を行う。
【0036】
(ダイ位置認識:ステップS7)
制御部8は、基板認識カメラ44にてダイDを撮像してダイDの位置認識を行い(ステップS7)、基板認識およびダイ認識結果からボンディングしたダイDの位置の検査を行う。制御部8は、事前に登録しているボンディング位置と比較し数値出力と検査・判定を行う。制御部8は、基板認識カメラ44によって取得した画像を用いて、ダイDの表面検査を行う。
【0037】
(次ボンディング:ステップS8)
制御部8はステップS1、S3に戻り、以後、同様の手順に従って、ダイDを1個ずつダイシングテープ16から剥して、ダイDを1個ずつ基板SのパッケージエリアPにボンディングする。
【0038】
なお、1つの基板のボンディングが完了すると、基板Sを基板搬出部7まで移動して(基板搬送)、基板搬出部7に基板Sを渡す(基板アンローディング)。また、不良品を除くすべてのダイDのピックアップが完了すると、それらダイDをウェハ11の外形で保持していたダイシングテープ16およびウェハリング14等をウェハカセットへアンローディングする。
【0039】
ダイDは、ダイアタッチフィルム18を介して基板S上に実装され、ダイボンダから搬出される。その後、ワイヤボンディング工程でAuワイヤを介して基板Sの電極と電気的に接続される。積層品の場合は、続いて、ダイDが実装された基板Sがダイボンダに再搬入されて基板S上に実装されたダイDの上にダイアタッチフィルム18を介して第2のダイDが積層され、ダイボンダから搬出された後、ワイヤボンディング工程でAuワイヤを介して基板Sの電極と電気的に接続される。第2のダイDは、前述した方法でダイシングテープ16から剥離された後、ペレット付け工程に搬送されてダイDの上に積層される。上記工程が所定回数繰り返された後、基板Sをモールド工程に搬送し、複数個のダイDとAuワイヤとをモールド樹脂(図示せず)で封止することによって、積層パッケージが完成する。
【0040】
次に、クリーニングヘッド91の構造について
図5から
図8を用いて説明する。
図5は
図1に示すクリーニングヘッドの概略構成図である。
図6は
図5に示すクリーニングヘッドの底面図である。
図7は
図6に示すF1-F1線における断面図である。
図8は
図7に示すクリーニングヘッドにおける動作を説明する底面図である。
【0041】
図5に示すように、クリーニングヘッド91の本体部は、例えば、八面体形状であり、矩形状の前面91aと、前面91aの対向面である矩形状の後面(不図示)と、矩形状の上面91bと、矩形状の下面91cと、六角形状の側面91dと、側面91dの対向面である六角形状の側面(不図示)と、等を有する。上面91bおよび下面91cのX軸方向の長さはY軸方向の長さよりも長く構成され、下面91cは上面91bよりも小さく構成されている。側面91dは駆動部93に接続されて、クリーニングヘッド91がY軸方向やZ軸方向等に移動可能とされている。
【0042】
クリーニングヘッド91は、本体部の上部に第一供給配管111、第二供給配管112および排出配管115が取り付けられている。第一供給配管111および第二供給配管112はそれぞれ流量制御器(不図示)を介して圧縮空気等を供給する装置(不図示)に接続され、排出配管115は流量制御器(不図示)を介して真空装置等の吸引装置(不図示)に接続され、それぞれの流量は制御部8によって制御される。排出配管115は第一供給配管111および第二供給配管112より配管径が大きくなっている。これは排出配管115が異物搬送用として使用するからである。
【0043】
図7に示すように、クリーニングヘッド91は、本体部に、第一供給配管111に接続される第一ノズル101と、第二供給配管112に接続される第二ノズル102と、排出配管115に接続される吸引口105を有する。
【0044】
第一ノズル101はクリーニングヘッド91の本体部の上面から下面に形成された断面が矩形状の貫通孔で構成され、本体部の上部に第一供給配管111に接続される供給部101a、下部に吹き出し口101bが設けられている。吹き出し口101bの下端であるノズル面に開口101cを有する。第二ノズル102はクリーニングヘッド91の本体部の上面から下面に形成された断面が矩形状の貫通孔で構成され、本体部の上部に第二供給配管112に接続される供給部102a、下部に吹き出し口102bが設けられている。吹き出し口102bの下端であるノズル面に開口102cを有する。吸引口105はクリーニングヘッド91の本体部の上面から下面に形成された断面が矩形状の貫通孔で構成され、本体部の上部に排出配管115に接続される排出部105a、下部に吸い込み口105bが設けられている。吸い込み口105bの下端に開口105cを有する。
【0045】
第一ノズル101の吹き出し口101bおよび第二ノズル102の吹き出し口102bはそれぞれ供給部101aおよび供給部102aより断面積が小さくなっている。これは、所定の場所に空気を高速で吐出させるためである。吸い込み口105bは排出部105aより断面積が大きくなっている。
【0046】
図6に示すように、クリーニングヘッド91の下面91cには、中央部に吸引口105の吸い込み口105bが設けられ、この吸い込み口105bの周囲を覆うように隣接して第一ノズル101の吹き出し口101bおよび第二ノズル102の吹き出し口102bが設けられている。第一ノズル101の吹き出し口101b、第二ノズル102の吹き出し口102bおよび吸い込み口105bは、平面視において矩形状であり、X軸方向に沿って延伸している細長いスリット形状である。吸い込み口105bは平面視において、X軸方向がY軸方向よりも長い矩形状であり、第一ノズル101の吹き出し口101bおよび第二ノズル102の吹き出し口102bに対して非常に大きな開口面積を有する。第一ノズル101の吹き出し口101bのX軸方向の長さは、第二ノズル102の吹き出し口102bおよび吸い込み口105bのX軸方向の長さよりも長く構成されている。第二ノズル102の吹き出し口102bおよび吸い込み口105bのX軸方向の長さは同程度である。
【0047】
図7に示すように、第一ノズル101の吹き出し口101bおよび第二ノズル102の吹き出し口102bのノズル面を有する下面91cは基板Sに対して平行に配置され、第一ノズル101の吹き出し口101bは供給部101aから基板Sの表面に対し垂直に延伸し、第二ノズル102の吹き出し口102bは供給部102aから基板Sの表面に対して吸い込み口105b側に傾けて延伸する構造にするのが好ましい。第一ノズル101は吹き出し口101bから基板Sの表面に垂直に帯状に空気を吐出し、第二ノズル102は吹き出し口102bから吸引口105の吸い込み口105bの方向に向かって斜め下向きに基板Sの表面に向かって帯状に空気を吐出する。
【0048】
図8に示すように、第二ノズル102の吹き出し口102bから基板Sの表面に向かって斜め下向きに吐出された空気は、基板Sの表面に衝突する。そして、基板Sの表面に付着している異物を矢印の方向に向かって吹き飛ばす。吹き飛ばされた異物は、第一ノズル101の吹き出し口101bから吐出された帯状の空気によりせき止められ、吹き出し口102bの矢印の方向側に隣接した吸引口105の矩形状の吸い込み口105bによって吸引され、最終的には廃棄される。すなわち、基板Sの表面に対し垂直に配置した第一ノズル101の吹き出し口101bにより空気のカーテンを形成し、基板Sの表面に対し斜めに配置した第二ノズル102の吹き出し口102bにより除去された異物が外部へ流出することを防止できる。よって、既にクリーニングが終了しているエリアである搬送方向下流側の基板Sの表面への異物の拡散を防止することができる。
【0049】
また、基板Sの表面に対し斜めに配置した第二ノズル102の吹き出し口102bは、空気が衝突する箇所の異物を除去するだけでなく、外側に向けては、周囲の空気の引き込むエジェクタ効果により周囲の異物を引き込むこと(異物誘導)ができ、内側に向けては、空気の衝突による巻き上げ効果を発生させる。これにより、異物を効率よく吸い込み口105bへ誘導することができる。
【0050】
基板Sの表面に対して第二ノズル102の吹き出し口102bが延伸する方向の角度(θ)は、60度以下であるのが好ましい。それ以上の角度とした場合、外側へ吹き出す空気が多くなり空気の引き込み効果が発生しづらくなる。
【0051】
また、第一ノズル101の空気の流量は第二ノズル102の空気の流量と同等もしくはそれ以上であるのが好ましい。これは、第一ノズル101から吐出した空気に比べ、第二ノズル102から吐出した空気のほうが吸い込み口105b方向への流量が多くなるためである。
【0052】
次に、クリーニングヘッド91の動きについて
図9および
図10を用いて説明する。
図9は
図7に示すクリーニングヘッドの動きを示す断面図である。
図10は
図9に示すクリーニングヘッドと基板の上面図である。
【0053】
クリーニングヘッド91は、
図9における矢印Bで示すように、Z軸方向に沿って上下動し、通常はクリーニングヘッド91cの下面が基板Sの適正位置(例えば、基板Sの上5mmの位置)まで下降し、基板Sの移動や取り換え時には上昇する。また、クリーニングヘッド91は、
図9および
図10における矢印Cで示すように、基板Sの幅方向(Y軸方向)に移動して異物の除去動作を行う。つまり、平面視で矩形状のクリーニングヘッド91が、基板Sの移動方向(X軸方向)に対して直交する方向(Y軸方向)に移動すると共に、矩形状であるクリーニングヘッド91の長辺の向きは基板Sの移動方向と同じ方向となっている。なお、クリーニング時、基板Sを安定させるため、基板Sの下には、基板Sを固定するクリーニングステージを備えるのが好ましい。
【0054】
本実施例では、クリーニングヘッド91のノズル面である下面91cの幅(Y軸方向の長さ)は、クリーニング処理時間(必要スループット)に応じて必要幅に設定することになる。これにより、基板Sの幅に応じて任意のクリーニングヘッド91の移動量を設定することができる。そのため、本実施例によるクリーニングは種々の基板幅に対応できる。
【0055】
また、本実施例では、クリーニングヘッド91のノズル面である下面91cを矩形状としてX軸方向の長さを長くしたことによって、異物のクリーニング幅が広がるため、クリーニングの時間短縮によるクリーニング効率を向上させることができる。
【0056】
また、本実施例では、第一ノズル101から基板Sの表面に対して垂直に吐出される空気により異物飛散を抑える特徴から、基板Sとの距離を特許文献1に開示されるクリーニングノズルよりも広くとることができる。そのため、基板搬送時の基板S等との接触を防止しながら基板Sとクリーニングヘッド91の最適な間隔により、最適クリーニング条件で処理することが可能である。
【0057】
<変形例>
以下、代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施例にて説明されているものと同様の構成および機能を有する部分に対しては、上述の実施例と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部分の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施例における説明が適宜援用され得るものとする。また、上述の実施例の一部、および、複数の変形例の全部または一部が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
【0058】
(第一変形例)
第一変形例におけるクリーニングヘッドについて
図11から
図13を用いて説明する。
図11は第一変形例におけるクリーニングヘッドの概略構成図である。
図12は
図11に示すクリーニングヘッドの底面図である。
図13(a)は
図12に示すF2-F2線における第一変形例におけるクリーニングヘッドの断面図であり、
図13(b)は
図12に示すF3-F3線における断面図である。
【0059】
図11に示すように、第一変形例におけるクリーニングヘッド91は、実施例におけるクリーニングヘッドに対して、本体部の上部に第三供給配管113および第四供給配管114がさらに取り付けられている。第三供給配管113および第四供給配管114はそれぞれ流量制御器(不図示)を介して圧縮空気等を供給する装置(不図示)に接続され、それぞれの流量は制御部8によって制御される。
【0060】
また、
図13に示すように、第一変形例におけるクリーニングヘッド91は、実施例におけるクリーニングヘッドに対して、第三供給配管113に接続される第三ノズル103と、第四供給配管114に接続される第四ノズル104と、をさらに有する。
【0061】
第三ノズル103はクリーニングヘッド91の本体部の上面から下面に形成された断面が矩形状の貫通孔で構成され、本体部の上部に第三供給配管113に接続される供給部103a、下部に吹き出し口103bが設けられている。第三ノズル103の吹き出し口103bの下端であるノズル面に開口103cを有する。第四ノズル104はクリーニングヘッド91の本体部の上面から下面に形成された断面が矩形状の貫通孔で構成され、本体部の上部に第四供給配管114に接続される供給部104a、下部に吹き出し口104bが設けられている。第四ノズル104の吹き出し口104bの下端であるノズル面に開口104cを有する。第三ノズル103の吹き出し口103bおよび第四ノズル104の吹き出し口104bはそれぞれ供給部103aおよび供給部104aより断面積が小さくなっている。
【0062】
図12に示すように、クリーニングヘッド91の下面91cには、中央部に吸引口105の吸い込み口105bが設けられ、この吸い込み口105bの周囲を取り囲むように第一ノズル101の吹き出し口101b、第二ノズル102の吹き出し口102b、第三ノズル103の吹き出し口103b、第四ノズル104の吹き出し口104bが設けられている。第三ノズル103の吹き出し口103bおよび第四ノズル104の吹き出し口104bは平面視において矩形状であり、Y軸方向に沿って延伸している細長いスリット形状である。第三ノズル103の吹き出し口103bおよび第四ノズル104の吹き出し口104bのY軸方向の長さは、吸い込み口105bのY軸方向の長さと同程度である。これにより、クリーニングヘッド91の外への異物飛散を防止することができる。第三ノズル103および第四ノズル104の流量は他のノズルによる異物除去を阻害しないようにするため、第一ノズル101の流量以下とするのが好ましい。
【0063】
(第二変形例)
第二変形例におけるクリーニングヘッドについて
図14および
図15を用いて説明する。
図14は第二変形例におけるクリーニングヘッドと基板を示す上面図である。
図15(a)は第一状態におけるクリーニングヘッドの基板クリーニングを示す図である。
図15(b)は第二状態におけるクリーニングヘッドの基板クリーニングを示す図である。
【0064】
第二変形例におけるクリーニングヘッド91の構造は第一変形例におけるクリーニングヘッドと同様である。ただし、第二変形例におけるクリーニングヘッド91は、
図14に示すように、駆動部93により支点Gを軸として基板Sに対して平行な面内を回転し、実線で示すような第一状態から破線で示したような第二状態までの間の任意の位置に配置することが可能である。ここで、第一状態では、平面視において、クリーニングヘッド91の第一ノズル101の吹き出し口101bおよび第二ノズル102の吹き出し口102bはX軸方向に沿って延伸している。第二状態では、平面視において、クリーニングヘッド91の第一ノズル101の吹き出し口101bおよび第二ノズル102の吹き出し口102bはY軸方向に沿って延伸している。これにより、基板上の状態に応じて適切なエア吹き出しが可能となる。
【0065】
例えば、
図15(a)に示すように、クリーニングヘッド91が第一状態でダイDが積層された基板Sをクリーニングする場合、クリーニングヘッド91がY軸方向に沿って白矢印の方向に移動するので、ダイDにより異物FBの黒矢印で示すような移動が阻害されてしまい除去ができない場合がある。これに対し、クリーニングヘッド91を90度回転させて第二状態にする場合、クリーニングヘッド91がX軸方向に沿って白矢印の方向に相対的に移動するので、
図15(b)に示すように、異物FBの黒矢印で示すような移動はダイDによって阻害されず除去が可能となる。ここで、クリーニングヘッド91が移動してもよいし、基板Sが移動してもよいので、相対的に移動としている。クリーニングヘッド91と、基板PまたはダイDの上面とのクリアランス設定は重要である。基板Pは搬送レーン52で移動する際には、上昇を伴うためクリアランスが安定しないことがある。クリアランスを一定に保つために、クリーニングヘッド91が移動してクリーニングを行うのが好ましい。
【0066】
(第三変形例)
第三変形例におけるクリーニングヘッドについて
図16を用いて説明する。
図16(a)は第三変形例におけるクリーニングヘッドの往路時の動作を示す図である。
図16(b)は第三変形例におけるクリーニングヘッドの復路時の動作を示す図である。
【0067】
第三変形例におけるクリーニングヘッド91は、本体部を水平面内において180度回転可能に構成される。これにより、本体部の進行方向に対するノズルの配置を変更可能になる。クリーニングヘッド91と基板Sの隙間に応じて最適な状態を形成することができるため、例えば、往復動作による効率の良い異物除去が可能となる。
【0068】
例えば、往路は、
図16(a)に示すように、第一ノズル101の吹き出し口101bは基板Sの表面に対して垂直にし、第二ノズル102の吹き出し口102bは基板Sに対して傾けている。すなわち、クリーニングヘッド91が進行する方向側のノズルである第二ノズル102の吹き出し口102bが傾いている。ここで、往路とは、クリーニングヘッド91が図面おいて左から右への移動である。
【0069】
復路では、クリーニングヘッド91を回転させ、
図16(b)に示すように、第二ノズル102の吹き出し口102bは基板Sの表面に対して傾けて、第一ノズル101の吹き出し口101bは基板Sの表面に対して垂直にしている。すなわち、クリーニングヘッド91が進行する方向側のノズルである第二ノズル102の吹き出し口102bが傾いている。ここで、復路とは、クリーニングヘッド91が図面おいて、右から左への移動である。ノズルの角度を往路とは逆にすることで往路と同じ空気の吹き出し状態となる。これにより、往路では空気の流量を絞り飛散しやすい軽い異物を除去し、復路では空気の流量を増大させ重い異物を除去するといった動作が可能である。
【0070】
(第四変形例)
第四変形例におけるクリーニングヘッドについて
図17を用いて説明する。
図17(a)は第四変形例におけるクリーニングヘッドの概略構成図である。
図17(b)は
図17(a)に示すF3面における断面図である。
【0071】
第三変形例では、クリーニングヘッド91の本体部を水平面において回転させることにより、垂直の吹き出し口を有する第一ノズル101と斜めの吹き出し口を有する第二ノズル102との配置を変更している。第四変形例におけるクリーニングヘッド91は、複数の角度のノズル吹き出し口を有し、角度により供給配管に供給する空気をバルブにより切り換えるよう構成される。
【0072】
図17(a)に示すように、第四変形例におけるクリーニングヘッド91は、実施例におけるクリーニングヘッドに対して、本体部の上部に第六供給配管116および第七供給配管117がさらに取り付けられている。第一供給配管111および第六供給配管116はそれぞれバルブ111b,116b、流量制御器111aを介して圧縮空気等を供給する装置(不図示)に接続され、それぞれのバルブ111b,116bの開閉および流量は制御部8によって制御される。第二供給配管112および第七供給配管117はそれぞれバルブ112b,117b、流量制御器112aを介して圧縮空気等を供給する装置(不図示)に接続され、それぞれのバルブ112b,117bの開閉および流量は制御部8によって制御される。
【0073】
また、
図17(b)に示すように、第四変形例におけるクリーニングヘッド91は、実施例におけるクリーニングヘッドに対して、第六供給配管116に接続される第六ノズル106と、第七供給配管117に接続される第七ノズル107と、をさらに有する。また、第一ノズル101の吹き出し口101bの下端であるノズル面は、本体部の下面91cに隣接し、下面91cから離れるに連れて上方に傾いている斜面91eに位置する。第二ノズル102の吹き出し口102bの下端であるノズル面は、本体部の下面91cに斜面91eとは反対側に隣接し、下面91cから離れるに連れて上方に傾いている斜面91fに位置する。
【0074】
第六ノズル106はクリーニングヘッド91の本体部の上面から下面に形成された断面が矩形状の貫通孔で構成され、本体部の上部に第六供給配管116に接続される供給部106a、下部に吹き出し口106bが設けられている。吹き出し口106bの下端であるノズル面は斜面91eに吹き出し口101bのノズル面よりも外側に位置する。第七ノズル107はクリーニングヘッド91の本体部の上面から下面に形成された断面が矩形状の貫通孔で構成され、本体部の上部に第七供給配管117に接続される供給部107a、下部に吹き出し口107bが設けられている。吹き出し口107bの下端であるノズル面に斜面91fに吹き出し口102bのノズル面よりも内側に位置する。
【0075】
図17(b)に示すように、第六ノズル106の吹き出し口106bは供給部106aから基板Sの表面に対して吸い込み口105b側に傾けて延伸し、第七ノズル107の吹き出し口107bは供給部107aから基板Sの表面に対し垂直に延伸する。
【0076】
第一ノズル101を使用する場合は、制御部8はバルブ111bを開く共にバルブ116bを閉める。第六ノズル106を使用する場合は、制御部8はバルブ111bを閉めると共にバルブ116bを開くよう構成される。第二ノズル102を使用する場合は、制御部8はバルブ112bを開く共にバルブ117bを閉める。第七ノズル107を使用する場合は、制御部8はバルブ112bを閉めると共にバルブ117bを開くよう構成される。
【0077】
(第五変形例)
第五変形例におけるクリーニングヘッドについて
図18を用いて説明する。
図18(a)は第五変形例におけるクリーニングヘッドの概略構成図である。
図18(b)は
図18(a)に示すクリーニングヘッドの吹き出し部を移動させて状態を示す図である。
図18(c)は
図18(a)に示すF4面における断面図である。
【0078】
第四変形例では、複数の角度のノズル吹き出し口を有するが、それらは所定角度に固定されている。第五変形例におけるクリーニングヘッド91は、吹き出し口の角度を任意に変えるよう構成される。
【0079】
図18(a)に示すように、第五変形例におけるクリーニングヘッド91の本体部は、第一ノズル部121と、第二ノズル部122と、吸引部125と、で構成されている。第一ノズル部121は供給部121aと吹き出し部121bと、を有する。第二ノズル部122は供給部122aと吹き出し部122bと、を有する。クリーニングヘッド91は、第一ノズル部121の上部に第一供給配管111、第二ノズル部122の上部に第二供給配管112および吸引部125の上部に排出配管115が取り付けられている。
【0080】
第一ノズル部121は、実施例と同様に、第一供給配管111に接続される第一ノズル101(
図7参照)を有する。
図18(c)に示すように、第二ノズル部122は、実施例と同様に、第二供給配管112に接続される第二ノズル102を有する。吸引部125は、実施例と同様に、排出配管115に接続される吸引口105(
図7参照)を有する。
【0081】
図18(c)に示すように、第二ノズル部122の供給部122aは、モータ122cと、モータ122cの回転軸に設けられた歯車122dと、歯車122dと噛み合う歯車122eと、を備える。第二ノズル部122の吹き出し部122bは、歯車122eが取り付けられた支持軸122fにより回転可能に供給部122aに取り付けられている。第一ノズル部121は第二ノズル部122と同様の構成である。
【0082】
制御部8は、モータ122cを回転させることにより、吹き出し部122bの基板Sの表面に対する角度を変更するよう構成される。これにより、例えば、実施例と同様に、第一ノズル101の吹き出し口101bを供給部101aから基板Sの表面に対し垂直に延伸し、第二ノズル102の吹き出し口102bを供給部102aから基板Sの表面に対して吸い込み口105b側に傾けて延伸することができる。また、第一ノズル101の吹き出し口101bを供給部101aから基板Sの表面に対して吸い込み口105b側に傾けて延伸し、第二ノズル102の吹き出し口102bを供給部102aから基板Sの表面に対し垂直に延伸することができる。
【0083】
(第六変形例)
第六変形例におけるクリーニングヘッドについて
図19を用いて説明する。
図19(a)は第六変形例におけるクリーニングヘッドの概略構成図である。
図19(b)は
図19(a)に示すF5面における断面図である。
図18(c)は
図18(a)に示すクリーニングヘッドのフラップを移動させた状態を示す図である。
図18(c)は
図18(a)に示すF6面における断面図である。
【0084】
第五変形例では、吹き出し部全体を移動して吹き出し角度を変更している。第六変形例におけるクリーニングヘッド91は、吹き出し口の吹き出し方向は固定したまま吹き出し口の先にフラップ機構を設けて吹き出し方向を変えるよう構成される。
【0085】
また、
図19(a)(b)に示すように、第六変形例におけるクリーニングヘッド91は、実施例におけるクリーニングヘッドに対して、本体部の下部に接続されるフラップ91g,91hをさらに有する。また、第一ノズル101の吹き出し口101bの下端であるノズル面は、本体部の下面91cに隣接し、下面91cから離れるに連れて上方に傾いている斜面91eに位置する。第二ノズル102の吹き出し口102bの下端であるノズル面は、本体部の下面91cに斜面91eとは反対側に隣接し、下面91cから離れるに連れて上方に傾いている斜面91fに位置する。また、
図19(b)に示すように、第二ノズル102の吹き出し口102bは第一ノズル101の吹き出し口101bと同様に、供給部102aから基板Sの表面に対し垂直に延伸するよう構成されている。
【0086】
制御部8は、フラップ91g,91hを回転させることにより、吹き出し口101b,102bから吹き出される空気の基板Sの表面に対する角度を変更するよう構成される。例えば、フラップ91gを大きく開いて斜面91eから遠ざけると共に、フラップ91hを小さく開いて斜面91fに近接させることにより、実施例と同様に、第一ノズル101の吹き出し口101bから基板Sの表面に対し垂直に空気を吹き出し、第二ノズル102の吹き出し口102bから基板Sの表面に対して吸い込み口105b側に傾けて空気を吹き出すことができる。また、フラップ91gを小さく開いて斜面91eに近接させると共に、フラップ91hを大きく開いて斜面91fから遠ざけることにより、第一ノズル101の吹き出し口101bから基板Sの表面に対して吸い込み口105b側に傾けて空気を吹き出し、第二ノズル102の吹き出し口102bから基板Sの表面に対し垂直に空気を吹き出すことができる。
【0087】
(第七変形例)
第七変形例におけるクリーニングヘッドについて
図20を用いて説明する。
図20は第七変形例におけるクリーニングヘッドの底面図である。
【0088】
実施例では、第一ノズル101の吹き出し口101bおよび第二ノズル102の吹き出し口102bは細長いスリット状の例を説明したが、第一ノズル101の吹き出し口101bおよび第二ノズル102の吹き出し口102bは直線状に沿って配置された複数の小さい吹き出し孔の列で構成してもよい。第一ノズル101の吹き出し口101bの開口101dおよび第二ノズル102の吹き出し口102bの開口102dの形状は円形または多角形にしてもよい。
【0089】
クリーニングヘッド91の下部の吸引口105の吸い込み口105bに隣接する部分には、クリーニングヘッド91の本体に第一ノズル101の供給部101aおよび第二ノズル102の供給部102aからそれぞれ貫通する複数の孔が開けられている。第一ノズル101は一列に並んだ複数の吹き出し口101bにより構成され、第二ノズル102は一列に並んだ複数の吹き出し口102bにより構成されている。なお、第一ノズル101の吹き出し口101bおよび第二ノズル102の吹き出し口102bは実施例と同様にスリット形状に構成し、クリーニングヘッド91の下面91cにおいて第一ノズル101に吹き出し口101bおよび第二ノズル102の吹き出し口102bに蓋をしたような形でその蓋に一列に並んだ複数の孔による開口101d,102dを形成して構成してもよい。
【0090】
以上、本開示者らによってなされた開示を実施形態、実施例および変形例に基づき具体的に説明したが、本開示は、上記実施形態、実施例および変形例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【0091】
例えば、実施例では、第一ノズルおよび第二ノズルのエア吹き出し口は矩形状の例を説明したが、平行面のある多角形、例えば偶数の多角形であってもよい。
【0092】
また、実施例では、本体部が八面体である例を説明したが、六面体であってもよい。
【0093】
また、実際の異物(パーティクル)のサイズを測定し、その結果に基づいて空気の流量を制御するようにしてもよい。流量を制御することで、確実に異物を集塵するだけでなく空気の使用量を最小限にすることができる。例えば、基板認識カメラにより撮像して画像認識することにより付着しているパーティクルのサイズを測定し、小さい異物がなければ往復ともに重い異物を対象にした吐出を行うことができる。
【0094】
パーティクルのサイズに応じた空気の流量制御では、吐出を行わず吸引のみとしてもよい。粗大パーティクルの集塵においては、吸引のみでも十分な清浄度を得られる場合がある。往路では吸引のみとし粗大パーティクルを集塵、復路では吐出し微小なパーティクルを集塵といった運用が可能である。また、複数回往復させる場合、粗大パーティクルから順に集塵するように、空気の流量を段階的に制御するようにしてもよい。
【0095】
また、画像認識において異物の種類を推測し、その異物毎の推定した質量データ(重さ)に基づいて空気の流量を制御するようにしてもよい。
【0096】
また、吸い込み口105bから吸引した異物をパーティクルカウンタで測定して異物の傾向を調査し、例えば、異物の大きさや、同一大きさ・形状の異物で重量が異なる場合における吸引後カウント開始までの遅延時間の関係を重量との相関として推定して求める重さに基づいて空気の流量を制御するようにしてもよい。この場合、基板クリーニングは、基板の前方から列(クリーニングヘッドの幅であるクリーニングエリア)毎に順次クリーニングを行うため、クリーニング前列や前の基板の吸引異物測定結果をもとに後列または後の基板にフィードバックしながらクリーニング処理を行う。最初の1列または基板は事前にその製品で評価を行ったプリセット条件で処理する。
【0097】
また、基板上の異物を基板上の落下粒子を検出する粗大粒子カウンタ(パーティクルモニタ)で測定して上述のパーティクルカウンタと同様に空気の流量を制御するようにしてもよい。この場合、粗大粒子カウンタをクリーニングヘッド91の上流側に設置して基板上の異物を事前に測定する。粗大粒子カウンタによる測定位置は、クリーニング前の基板を待機させる位置で事前に基板全体測定するようにしてもよいし、クリーニング中の基板のクリーニング前のエリアを、直前にクリーニングのため基板停止中に測定するようにしてもよい。スループット(クリーニング時間)にも影響するため、何れもクリーニングする列単位や基板単位、製品(ロット)単位などでクリーニング条件を変更(フィードバック)するようにしてもよい。
【0098】
実施例では、第一ノズルおよび第二ノズルに空気を供給する例を説明したが、二酸化炭素等の気体、気体の二酸化炭素と二酸化炭素の粒子との混合流体、等の流体であってもよい。例えば、第二ノズルから気体の二酸化炭素と二酸化炭素の粒子との混合流体を供給し、第一ノズルからは空気などを供給して粒子の飛散を防止するようにしてもよい。
【0099】
実施例では、基板をクリーニングする例を説明したが、ウェハをクリーニングしてもよい。ダイシングラインに沿ってクリーニングすることで、ウェハ表面の異物だけでなく、溝に入り込んだ異物も飛散させず効率的に除去することができる。
【0100】
また、実施例は、ボンディングヘッド41の移動距離を短くし処理時間を短縮するために中間ステージ31を設けているが、中間ステージ31を設けず直接ボンディングヘッド41でウェハからダイDをピックアップする構成としてもよい。
【0101】
また、ピックアップしたダイの上下を反転可能なフリップヘッドを用いた構成としてもよい。
【0102】
また、ピックアップ部と中間ステージ部とボンディング部を含む実装部及び搬送レーンを複数組備えたダイボンダであってもよいし、ピックアップ部と中間ステージ部とボンディング部を含む実装部を複数組備え、搬送レーンは一つ備えてもよい。
【符号の説明】
【0103】
5…搬送部
52…搬送レーン
8…制御部
9…プリフォーム部
91…クリーニングヘッド
101…第一ノズル
101b…吹き出し口
102…第二ノズル
102b…吹き出し口
105…吸引口
10…ダイボンダ(ダイボンディング装置)
D…ダイ
S…基板