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特許7521116有機光電子素子用化合物、有機光電子素子用組成物、有機光電子素子および表示装置
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  • 特許-有機光電子素子用化合物、有機光電子素子用組成物、有機光電子素子および表示装置 図1
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  • 特許-有機光電子素子用化合物、有機光電子素子用組成物、有機光電子素子および表示装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】有機光電子素子用化合物、有機光電子素子用組成物、有機光電子素子および表示装置
(51)【国際特許分類】
   C07D 251/24 20060101AFI20240716BHJP
   C07D 405/04 20060101ALI20240716BHJP
   C07D 409/04 20060101ALI20240716BHJP
   H10K 30/60 20230101ALI20240716BHJP
   H10K 30/50 20230101ALI20240716BHJP
   H10K 50/12 20230101ALI20240716BHJP
   H10K 85/60 20230101ALI20240716BHJP
【FI】
C07D251/24
C07D405/04
C07D409/04
H10K30/60
H10K30/50
H10K50/12
H10K85/60
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023515653
(86)(22)【出願日】2021-09-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-12
(86)【国際出願番号】 KR2021011732
(87)【国際公開番号】W WO2022055169
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-03-08
(31)【優先権主張番号】10-2020-0115635
(32)【優先日】2020-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ビョンクァン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ユンマン・イ
(72)【発明者】
【氏名】スンウン・シン
(72)【発明者】
【氏名】サンシン・イ
(72)【発明者】
【氏名】キポ・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ラン・ナムグン
(72)【発明者】
【氏名】スンイン・パク
(72)【発明者】
【氏名】スン-ヒョン・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ホ・クク・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ヨンキョン・ジョ
【審査官】池上 佳菜子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108586188(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0096169(KR,A)
【文献】特開2022-032988(JP,A)
【文献】特開2021-150643(JP,A)
【文献】特開2021-125684(JP,A)
【文献】特開2022-022206(JP,A)
【文献】特開2021-145126(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0007789(KR,A)
【文献】特開2010-138121(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0096770(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0103765(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 30/50
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1化合物、および第2化合物を含み、
前記第1化合物は、下記の化学式1で表される、有機光電子素子用化合物であり、
前記第2化合物は、下記の化学式2で表される有機光電子素子用化合物である、有機光電子素子用組成物
【化1】
前記化学式1中、
~Lはそれぞれ独立して、単結合、または置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリーレン基であり、
ArおよびArはそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基または置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロ環基であり、
~R10はそれぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
【化2】
前記化学式2中、
はO、S、NR 、CR またはSiR であり、
、R 、R 、R 、R およびR 11 ~R 14 はそれぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のアミン基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基または置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロ環基であり、
Aは、下記グループIIおよびグループIIIに列記された環の中から選択されるいずれか1つであり、
【化3】
前記グループIIおよびグループIII中、
は、連結地点であり、
は、O、S、NR 、CR またはSiR であり、
、R 、R 、R 、R およびR 15 ~R 21 はそれぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のアミン基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基または置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロ環基であり、
11 ~R 14 およびR 15 ~R 21 のうちの少なくとも1つは、下記の化学式aで表される基であり、
【化4】
前記化学式a中、
~L はそれぞれ独立して、単結合、または置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリーレン基であり、
Ar およびAr はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換のアミン基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、または置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロ環基であり、
は、連結地点である。
【請求項2】
前記第1化合物は、前記化学式1で表され、前記化学式1は、下記の化学式1-1~化学式1-4のうちのいずれか1つで表される、請求項1に記載の有機光電子素子用組成物
【化5A】
【化5B】
前記化学式1-1~化学式1-4中、
~L、Ar、Ar、およびR~R10は請求項1で定義した通りである。
【請求項3】
前記第1化合物は、前記化学式1-1、化学式1-2および化学式1-4のうちのいずれか1つで表される、請求項2に記載の有機光電子素子用組成物
【請求項4】
前記第1化合物は、前記化学式1で表され、前記ArおよびArのうちの少なくとも1つは、置換もしくは非置換の炭素数10~30のアリール基、置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基または置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基である、請求項1に記載の有機光電子素子用組成物
【請求項5】
前記第1化合物は、前記化学式1で表され、前記Lは単結合であり、
前記ArおよびArはそれぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のフェナントレニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基または置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基であり、
前記ArおよびArのうちの少なくとも1つは、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のフェナントレニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基または置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基である、請求項1に記載の有機光電子素子用組成物
【請求項6】
前記第1化合物は、前記化学式1で表され、前記Lは置換もしくは非置換のフェニレン基であり、
前記ArおよびArはそれぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のフェナントレニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基または置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基である、請求項1に記載の有機光電子素子用組成物
【請求項7】
前記第1化合物は、前記化学式1で表され、前記-L-Arおよび-L-Arはそれぞれ独立して、下記グループIに列記された置換基の中から選択される、請求項1に記載の有機光電子素子用組成物
【化6】
前記グループI中、は連結地点である。
【請求項8】
前記第1化合物は、下記グループ1に列記された化合物の中から選択される1つである、請求項1に記載の有機光電子素子用組成物
【化7A】
【化7B】
【化7C】
【化7D】
【化7E】
【請求項9】
前記化学式2は、下記の化学式2-I~化学式2-IXのうちのいずれか1つで表される、請求項に記載の有機光電子素子用組成物:
【化8A】
【化8B】
前記化学式2-I~化学式2-IX中、
、X、R11~R21は請求項で定義した通りである。
【請求項10】
前記第2化合物は、下記の化学式2-IA~化学式2-IXA、化学式2-IB~化学式2-IXBおよび化学式2-IC~化学式2-IIICのうちのいずれか1つで表される、請求項に記載の有機光電子素子用組成物:
【化9A】
【化9B】
【化9C】
【化9D】
前記化学式2-IA~化学式2-IXA、化学式2-IB~化学式2-IXB、および化学式2-IC~化学式2-IIIC中、
、X、L~L、ArおよびArは請求項8で定義した通りであり、
11~R21はそれぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基である。
【請求項11】
前記第2化合物は、下記の化学式2-VIIIA-2、化学式2-IVB-2および化学式2-VIIIB-2のうちのいずれか1つで表される、請求項に記載の有機光電子素子用組成物:
【化10】
前記化学式2-VIIIA-2、化学式2-IVB-2および化学式2-VIIIB-2中、
~Lはそれぞれ独立して、単結合、または置換もしくは非置換のフェニレン基であり、
前記ArおよびArはそれぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、または置換もしくは非置換のナフチル基であり、
はNR、O、S、CRまたはSiRであり、
はO、S、CRまたはSiRであり、
、R、R、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基であり、
11~R15およびR19~R21はそれぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基または置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロ環基である。
【請求項12】
互いに対向する正極、負極、および
前記正極と前記負極との間に位置する少なくとも1層の有機層を含み、
前記有機層は、発光層を含み、
前記発光層は、請求項11のいずれか一項に記載の有機光電子素子用組成物を含む、有機光電子素子。
【請求項13】
前記有機光電子素子用化合物、または有機光電子素子用組成物は、前記発光層のホストとして含まれる、請求項12に記載の有機光電子素子。
【請求項14】
請求項12に記載の有機光電子素子を含む、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機光電子素子用化合物、有機光電子素子用組成物、有機光電子素子および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機光電子素子(organic optoelectronic diode)は、電気エネルギーと光エネルギーを相互変換できる素子である。
【0003】
有機光電子素子は、動作原理によって、大きく2種類に分けられる。1つは、光エネルギーによって形成されたエキシトン(exciton)が電子と正孔とに分離され、電子と正孔がそれぞれ異なる電極に伝達されながら電気エネルギーを発生する光電素子であり、他の1つは、電極に電圧または電流を供給して電気エネルギーから光エネルギーを発生する発光素子である。
【0004】
有機光電子素子の例としては、有機光電素子、有機発光素子、有機太陽電池および有機感光体ドラム(organic photo conductor drum)などが挙げられる。
【0005】
このうち、有機発光素子(organic light emitting diode、OLED)は、近年、フラットパネル表示装置(flat panel display device)の需要増加によって大きく注目されている。有機発光素子は、電気エネルギーを光に変換させる素子であって、有機発光素子の性能は電極の間に位置する有機材料によって多くの影響を受ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一実施形態は、高効率および長寿命の有機光電子素子を実現できる有機光電子素子用化合物を提供する。
他の実施形態は、前記化合物を含む有機光電子素子用組成物を提供する。
さらに他の実施形態は、前記化合物を含む有機光電子素子を提供する。
さらに他の実施形態は、前記有機光電子素子を含む表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、下記の化学式1で表される有機光電子素子用化合物を提供する。
【0008】
【化1】
【0009】
前記化学式1中、
~Lはそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリーレン基であり、
ArおよびArはそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基または置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロ環基であり、
~R10はそれぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基である。
【0010】
本発明の他の実施形態によれば、第1化合物、および第2化合物を含む有機光電子素子用組成物を提供する。
【0011】
前記第1化合物は、上述した有機光電子素子用化合物であり、前記第2化合物は、下記の化学式2で表される。
【0012】
【化2】
【0013】
前記化学式2中、
はO、S、NR、CRまたはSiRであり、
、R、R、R、RおよびR11~R14はそれぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のアミン基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基または置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロ環基であり、
Aは、下記グループIIおよびグループIIIに列記された環の中から選択されるいずれか1つであり、
【化3】
前記グループIIおよびグループIII中、
は、連結地点であり、
は、O、S、NR、CRまたはSiRであり、
、R、R、R、RおよびR15~R21はそれぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のアミン基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基または置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロ環基であり、
11~R14およびR15~R21のうちの少なくとも1つは、下記の化学式aで表される基であり、
【化4】
前記化学式a中、
~Lはそれぞれ独立して、単結合、または置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリーレン基であり、
ArおよびArはそれぞれ独立して、置換もしくは非置換のアミン基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、または置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロ環基であり、
は、連結地点である。
【0014】
さらに他の実施形態によれば、互いに対向する正極、負極、および前記正極と前記負極との間に位置する少なくとも1層の有機層を含み、前記有機層は、前記有機光電子素子用化合物または有機光電子素子用組成物を含む有機光電子素子を提供する。
さらに他の実施形態によれば、前記有機光電子素子を含む表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、高効率長寿命の有機光電子素子を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施形態による有機発光素子を示す断面図である。
図2】一実施形態による有機発光素子を示す断面図である。
図3】一実施形態による有機発光素子を示す断面図である。
図4】一実施形態による有機発光素子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、これは例として提示されるものであり、これによって本発明が制限されず、本発明は後述する特許請求の範囲の範疇によってのみ定義される。
【0018】
本明細書において、「置換」とは、別の定義がない限り、置換基または化合物中の少なくとも1つの水素が、重水素、ハロゲン基、ヒドロキシル基、アミノ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアミン基、ニトロ基、置換もしくは非置換の炭素数1~40のシリル基、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~10のアルキルシリル基、炭素数6~30のアリールシリル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数2~30のヘテロアリール基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数1~10のトリフルオロアルキル基、シアノ基、またはこれらの組み合わせで置換されていることを意味する。
【0019】
本発明の一実施形態において、「置換」は、置換基または化合物中の少なくとも1つの水素が、重水素、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~10のアルキルシリル基、炭素数6~30のアリールシリル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数2~30のヘテロアリール基、またはシアノ基で置換されていることを意味する。また、本発明の他の実施形態において、「置換」は、置換基または化合物中の少なくとも1つの水素が、重水素、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、またはシアノ基で置換されていることを意味する。また、本発明のさらに他の実施形態において、「置換」は、置換基または化合物中の少なくとも1つの水素が、重水素、炭素数1~5のアルキル基、炭素数6~18のアリール基、シアノ基で置換されていることを意味する。また、本発明のさらに他の実施形態において、「置換」は、置換基または化合物中の少なくとも1つの水素が、重水素、シアノ基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、またはナフチル基で置換されていることを意味する。
【0020】
本明細書において、「ヘテロ」とは、別の定義がない限り、1つの官能基中にN、O、S、PおよびSiからなる群より選択されるヘテロ原子を1~3個含有し、残りは炭素であることを意味する。
【0021】
本明細書において、「アリール(aryl)基」は、炭化水素芳香族モイエティを1つ以上有する基を総括する概念であって、炭化水素芳香族モイエティのすべての元素がp-オービタルを有し、かつ、これらのp-オービタルが共役(conjugation)を形成している形態、例えば、フェニル基、ナフチル基などを含み、2以上の炭化水素芳香族モイエティがシグマ結合により連結された形態、例えば、ビフェニル基、ターフェニル基、クォーターフェニル基などを含み、2以上の炭化水素芳香族モイエティが直接または間接的に縮合した非芳香族縮合環、例えば、フルオレニル基などを含むことができる。
【0022】
アリール基は、モノサイクリック、ポリサイクリックまたは縮合環ポリサイクリック(つまり、炭素原子の隣接した対を分け合う環)官能基を含む。
【0023】
本明細書において、「ヘテロ環基(heterocyclic group)」は、ヘテロアリール基を含む上位概念であって、アリール基、シクロアルキル基、これらの縮合環、またはこれらの組み合わせなどの環化合物中に、炭素(C)の代わりに、N、O、S、PおよびSiからなる群より選択されるヘテロ原子を少なくとも1つ含有するものを意味する。前記ヘテロ環基が縮合環の場合、前記ヘテロ環基全体またはそれぞれの環ごとにヘテロ原子を1つ以上含むことができる。
【0024】
一例として、「ヘテロアリール(heteroaryl)基」は、アリール基内にN、O、S、PおよびSiからなる群より選択されるヘテロ原子を少なくとも1つ含有するものを意味する。2以上のヘテロアリール基は、シグマ結合により直接連結されるか、前記ヘテロアリール基が2以上の環を含む場合、2以上の環は互いに縮合できる。前記ヘテロアリール基が縮合環の場合、それぞれの環ごとに前記ヘテロ原子を1~3個含むことができる。
【0025】
より具体的には、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基は、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のアントラセニル基、置換もしくは非置換のフェナントレニル基、置換もしくは非置換のナフタセニル基、置換もしくは非置換のピレニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のp-ターフェニル基、置換もしくは非置換のm-ターフェニル基、置換もしくは非置換のo-ターフェニル基、置換もしくは非置換のクリセニル基、置換もしくは非置換のトリフェニレン基、置換もしくは非置換のペリレニル基、置換もしくは非置換のフルオレニル基、置換もしくは非置換のインデニル基、置換もしくは非置換のフラニル基、またはこれらの組み合わせであってもよいが、これらに限定されない。
【0026】
より具体的には、置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロ環基は、置換もしくは非置換のチオフェニル基、置換もしくは非置換のピロリル基、置換もしくは非置換のピラゾリル基、置換もしくは非置換のイミダゾリル基、置換もしくは非置換のトリアゾリル基、置換もしくは非置換のオキサゾリル基、置換もしくは非置換のチアゾリル基、置換もしくは非置換のオキサジアゾリル基、置換もしくは非置換のチアジアゾリル基、置換もしくは非置換のピリジル基、置換もしくは非置換のピリミジニル基、置換もしくは非置換のピラジニル基、置換もしくは非置換のトリアジニル基、置換もしくは非置換のベンゾフラニル基、置換もしくは非置換のベンゾチオフェニル基、置換もしくは非置換のベンズイミダゾリル基、置換もしくは非置換のインドリル基、置換もしくは非置換のキノリニル基、置換もしくは非置換のイソキノリニル基、置換もしくは非置換のキナゾリニル基、置換もしくは非置換のキノキサリニル基、置換もしくは非置換のナフチリジニル基、置換もしくは非置換のベンズオキサジニル基、置換もしくは非置換のベンズチアジニル基、置換もしくは非置換のアクリジニル基、置換もしくは非置換のフェナジニル基、置換もしくは非置換のフェノチアジニル基、置換もしくは非置換のフェノキサジニル基、置換もしくは非置換のカルバゾリル基、置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基、または置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基、またはこれらの組み合わせであってもよいが、これらに限定されない。
【0027】
本明細書において、正孔特性とは、電場(electric field)を加えた時、電子を供与して正孔を形成できる特性をいうもので、HOMO準位により導電特性を有して正極で形成された正孔の発光層への注入、発光層で形成された正孔の正極への移動および発光層での移動を容易にする特性を意味する。
【0028】
また、電子特性とは、電場を加えた時、電子を受けられる特性をいうもので、LUMO準位により導電特性を有して負極で形成された電子の発光層への注入、発光層で形成された電子の負極への移動および発光層での移動を容易にする特性を意味する。
【0029】
以下、本発明の一実施形態による有機光電子素子用化合物を説明する。
本発明の一実施形態による有機光電子素子用化合物は、下記の化学式1で表される。
【0030】
【化5】
【0031】
前記化学式1中、
~Lはそれぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリーレン基であり、
ArおよびArはそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基または置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロ環基であり、
~R10はそれぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基である。
【0032】
化学式1で表される化合物は、クリセンの末端にトリアジンで置換された構造を有する。
【0033】
クリセンの末端にトリアジンで置換されることによって、中央に連結されることに比べてコンジュゲーション長さがさらに長くなることで、分子が安定して長寿命の効果を有し得る。また、芳香族環の縮合によって環の安定化を強くして寿命を極大化することができる。
【0034】
前記化学式1は、トリアジンの具体的な置換地点により下記の化学式1-1~化学式1-4のうちのいずれか1つで表される。
【0035】
【化6A】
【化6B】
【0036】
前記化学式1-1~化学式1-4中、
~L、ArおよびArならびにR~R10は上述した通りである。
【0037】
本発明の一実施形態による有機光電子素子用化合物は、前記化学式1-1、化学式1-2および化学式1-4のうちのいずれか1つで表される。
【0038】
本発明の一実施形態において、前記ArおよびArのうちの少なくとも1つは置換もしくは非置換の炭素数10~30のアリール基、置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基または置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基であってもよい。
【0039】
本発明の具体的な一実施形態において、前記ArおよびArのうちの少なくとも1つは置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のフェナントレニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基または置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基であってもよい。
【0040】
本発明の一実施形態において、前記L~Lはそれぞれ独立して、単結合、または置換もしくは非置換のフェニレン基であってもよい。
【0041】
例えば、前記Lは単結合であり、前記ArおよびArはそれぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のフェナントレニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基または置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基であり、前記ArおよびArのうちの少なくとも1つは置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のフェナントレニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基または置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基であってもよい。
【0042】
例えば、前記Lは置換もしくは非置換のフェニレン基であり、前記ArおよびArはそれぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のフェナントレニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基または置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基であってもよい。
【0043】
より具体的な一例として、前記-L-Arおよび-L-Arはそれぞれ独立して、下記グループIに列記された置換基の中から選択される。
【0044】
【化7】
【0045】
前記グループI中、は連結地点である。
例えば、化学式1で表される有機光電子素子用化合物は、下記グループ1に列記された化合物の中から選択される1つであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0046】
【化8A】
【化8B】
【化8C】
【化8D】
【化8E】
【0047】
他の一実施形態による有機光電子素子用組成物は、第1化合物、および第2化合物を含み、前記第1化合物は、上述した有機光電子素子用化合物であり、前記第2化合物は、下記の化学式2で表される。
【0048】
【化9】
【0049】
前記化学式2中、
はO、S、NR、CRまたはSiRであり、
、R、R、R、RおよびR11~R14はそれぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のアミン基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基または置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロ環基であり、
Aは、下記グループIIおよびグループIIIに列記された環の中から選択されるいずれか1つであり、
【化10】
前記グループIIおよびグループIII中、
は、連結地点であり、
は、O、S、NR、CRまたはSiRであり、
、R、R、R、RおよびR15~R21はそれぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換のアミン基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基または置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロ環基であり、
11~R14およびR15~R21のうちの少なくとも1つは、下記の化学式aで表される基であり、
【化11】
前記化学式a中、
~Lはそれぞれ独立して、単結合、または置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリーレン基であり、
ArおよびArはそれぞれ独立して、置換もしくは非置換のアミン基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、または置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロ環基であり、
は、連結地点である。
【0050】
前記第2化合物は、カルバゾール/縮合カルバゾール/縮合ジベンゾフラン/縮合ジベンゾチオフェン/縮合ジベンゾシロールにアミンで置換された構造であってもよく、追加のベンゼン環の種類および縮合位置によって、例えば、下記の化学式2-I~化学式2-IXのうちのいずれか1つで表される。
【0051】
【化12】
【0052】
前記化学式2-I~化学式2-IX中、X、X、R11~R21は上述した通りである。
【0053】
また、アミン基の置換方向により前記第2化合物は、下記の化学式2-IA~化学式2-IXA、化学式2-IB~化学式2-IXBおよび化学式2-IC~化学式2-IIICのうちのいずれか1つで表される。
【0054】
【化13A】
【化13B】
【化13C】
【0055】
前記化学式2-IA~化学式2-IXA、化学式2-IB~化学式2-IXB、および化学式2-IC~化学式2-IIIC中、X、X、L~L、ArおよびArは上述した通りであり、
11~R21はそれぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基である。
【0056】
一実施形態による第2化合物は、前記化学式2-VIIIA、化学式2-IVBおよび化学式2-VIIIBのうちのいずれか1つで表される。
【0057】
一例として、前記化学式2-VIIIA中のXはOまたはSであり、XはCRまたはSiRであってもよい。
【0058】
一例として、前記化学式2-VIIIB中のXはOまたはSであり、XはCRまたはSiRであってもよい。
【0059】
一例として、前記化学式2-VIIIA中のXはCRまたはSiRであり、XはOまたはSであってもよい。
【0060】
一例として、前記化学式2-VIIIB中のXはCRまたはSiRであり、XはOまたはSであってもよい。
【0061】
ここでR、R、RおよびRはそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であってもよい。
【0062】
具体的な一実施形態による第2化合物は、下記の化学式2-VIIIA-2、化学式2-IVB-2および化学式2-VIIIB-2のうちのいずれか1つで表される。
【0063】
【化14】
【0064】
前記化学式2-VIIIA-2、化学式2-IVB-2および化学式2-VIIIB-2中、
~Lはそれぞれ独立して、単結合、または置換もしくは非置換のフェニレン基であり、
前記ArおよびArはそれぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、または置換もしくは非置換のナフチル基であり、
はNR、O、S、CRまたはSiRであり、
はO、S、CRまたはSiRであり、
、R、R、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基であり、
11~R15およびR19~R21はそれぞれ独立して、水素、重水素、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基または置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロ環基である。
【0065】
一例として、前記LおよびLはそれぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換のフェニレン基、または置換もしくは非置換のビフェニレン基であってもよい。
【0066】
一例として、前記ArおよびArはそれぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のターフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のフェナントレニル基、置換もしくは非置換のトリフェニレン基、置換もしくは非置換のフルオレニル基、置換もしくは非置換のカルバゾリル基、置換もしくは非置換のジベンゾフラニル基、置換もしくは非置換のジベンゾチオフェニル基、置換もしくは非置換のベンゾフラノフルオレニル基、または置換もしくは非置換のベンゾチオフェンフルオレニル基であってもよい。
【0067】
例えば、前記第2化合物は、下記グループ2に列記された化合物の中から選択される1つであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0068】
【化15A】
【化15B】
【化15C】
【化15D】
【化15E】
【化15F】
【化15G】
【化15H】
【化15I】
【化15J】
【化15K】
【化15L】
【化15M】
【化15N】
【0069】
第1化合物と第2化合物は、例えば、1:99~99:1の重量比で含まれる。上記範囲に含まれることによって、第1化合物の電子輸送能力と第2化合物の正孔輸送能力を利用して適切な重量比を合わせてバイポーラ特性を実現して効率および寿命を改善することができる。上記の範囲内で、例えば、約10:90~90:10、約20:80~80:20の重量比で含まれ、例えば、約20:80~約70:30、約20:80~約60:40、および約30:70~約60:40の重量比で含まれる。具体的な一例として、40:60、50:50、または60:40の重量比で含まれる。
【0070】
上述した第1化合物および第2化合物以外に1種以上の化合物をさらに含むことができる。
【0071】
上述した有機光電子素子用化合物または有機光電子素子用組成物は、ドーパントをさらに含む組成物であってもよい。
【0072】
ドーパントは、例えば、燐光ドーパントであってもよく、例えば、赤色、緑色または青色の燐光ドーパントであってもよく、例えば、赤色または緑色燐光ドーパントであってもよい。
【0073】
ドーパントは、有機光電子素子用化合物または組成物に微量混合して発光を起こす物質であって、一般に三重項状態以上で励起させる多重項励起(multiple excitation)によって発光する金属錯体(metal complex)などの物質が用いられる。ドーパントは、例えば、無機、有機、有機-無機化合物であってもよいし、1種または2種以上含まれる。
【0074】
ドーパントの一例として燐光ドーパントが挙げられ、燐光ドーパントの例としては、Ir、Pt、Os、Ti、Zr、Hf、Eu、Tb、Tm、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、またはこれらの組み合わせを含む有機金属化合物が挙げられる。燐光ドーパントは、例えば、下記の化学式Zで表される化合物を使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0075】
[化学式Z]
MX
前記化学式Z中、Mは金属であり、LおよびXは互いに同一または異なり、Mと錯化合物を形成するリガンドである。
前記Mは、例えば、Ir、Pt、Os、Ti、Zr、Hf、Eu、Tb、Tm、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、またはこれらの組み合わせであってもよく、前記LおよびXは、例えば、バイデンテートリガンドであってもよい。
【0076】
上述した有機光電子素子用化合物または有機光電子素子用組成物は、化学気相蒸着などの乾式成膜法によって形成される。
【0077】
以下、上述した有機光電子素子用化合物または有機光電子素子用組成物を適用した有機光電子素子を説明する。
【0078】
有機光電子素子は、電気エネルギーと光エネルギーを相互変換できる素子であれば特に限定されず、例えば、有機光電素子、有機発光素子、有機太陽電池および有機感光体ドラムなどが挙げられる。
【0079】
ここでは、有機光電子素子の一例である有機発光素子を、図面を参照して説明する。
図1図4は、本発明の一実施形態による有機発光素子を示す断面図である。
図1を参照すると、一実施形態による有機発光素子100は、互いに対向する正極120、負極110、および正極120と負極110との間に位置する有機層105を含む。
【0080】
正極120は、例えば、正孔注入が円滑となるように仕事関数の高い導電体で作られ、例えば、金属、金属酸化物および/または導電性高分子で作られる。正極120は、例えば、ニッケル、白金、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金などの金属、またはこれらの合金;亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)などの金属酸化物;ZnOとAlまたはSnOとSbなどの金属と酸化物との組み合わせ;ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ(3,4-(エチレン-1,2-ジオキシ)チオフェン)(polyehtylenedioxythiophene:PEDOT)、ポリピロールおよびポリアニリンなどの導電性高分子などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0081】
負極110は、例えば、電子注入が円滑となるように仕事関数の低い導電体で作られ、例えば、金属、金属酸化物および/または導電性高分子で作られる。負極110は、例えば、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタン、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、スズ、鉛、セシウム、バリウムなどの金属、またはこれらの合金;LiF/Al、LiO/Al、LiF/Ca、LiF/AlおよびBaF/Caなどの多層構造物質が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0082】
有機層105は、上述した有機光電子素子用化合物または有機光電子素子用組成物を含むことができる。
【0083】
前記有機層105は、発光層130を含み、発光層130は、上述した有機光電子素子用化合物または有機光電子素子用組成物を含むことができる。
【0084】
ドーパントをさらに含む前記有機光電子素子用組成物は、例えば、緑色発光組成物であってもよい。
【0085】
発光層130は、例えば、上述した第1有機光電子素子用化合物および第2有機光電子素子用化合物をそれぞれ燐光ホストとして含むことができる。
【0086】
有機層は、発光層のほか、電荷輸送領域をさらに含むことができる。
前記電荷輸送領域は、例えば、正孔輸送領域140であってもよい。
【0087】
図2を参照すると、有機発光素子200は、発光層130のほか、正孔輸送領域140をさらに含む。正孔輸送領域140は、正極120と発光層130との間の正孔注入および/または正孔移動性をさらに高め、電子を遮断することができる。具体的には、前記正孔輸送領域140は、正極120と発光層130との間の正孔輸送層、および前記発光層130と前記正孔輸送層との間の正孔輸送補助層を含むことができ、下記のグループEに列記された化合物のうちの少なくとも1つは、前記正孔輸送層、および正孔輸送補助層のうちの少なくとも1つの層に含まれる。
【0088】
【化16A】
【化16B】
【化16C】
【化16D】
【化16E】
【0089】
前記正孔輸送領域には、上述した化合物のほかにも、US5061569A、JP1993-009471A、WO1995-009147A1、JP1995-126615A、JP1998-095973Aなどに記載された公知の化合物およびこれに類似した構造の化合物を使用することもできる。
また、前記電荷輸送領域は、例えば、電子輸送領域150であってもよい。
【0090】
図3を参照すると、有機発光素子300は、発光層130のほか、電子輸送領域150をさらに含む。電子輸送領域150は、負極110と発光層130との間の電子注入および/または電子移動性をさらに高め、正孔を遮断することができる。
【0091】
具体的には、前記電子輸送領域150は、負極110と発光層130との間の電子輸送層、および前記発光層130と前記電子輸送層との間の電子輸送補助層を含むことができ、下記のグループFに列記された化合物のうちの少なくとも1つは、前記電子輸送層および電子輸送補助層のうちの少なくとも1つの層に含まれる。
【0092】
【化17A】
【化17B】
【化17C】
【0093】
本発明の一実施形態は、図1に示すように、有機層105として、発光層130を含む有機発光素子であってもよい。
【0094】
本発明の他の実施形態は、図2に示すように、有機層105として、発光層130のほか、正孔輸送領域140を含む有機発光素子であってもよい。
【0095】
本発明のさらに他の実施形態は、図3に示すように、有機層105として、発光層130のほか、電子輸送領域150を含む有機発光素子であってもよい。
【0096】
本発明のさらに他の実施形態は、図4に示すように、有機層105として、発光層130のほか、正孔輸送領域140および電子輸送領域150を含む有機発光素子であってもよい。
【0097】
本発明のさらに他の実施形態において、図1図4のそれぞれにおいて、有機層105として、発光層130のほか、電子注入層(図示せず)、正孔注入層(図示せず)などをさらに含む有機発光素子であってもよい。
【0098】
有機発光素子100、200、300、400は、基板上に正極または負極を形成した後、真空蒸着法(evaporation)、スパッタリング(sputtering)、プラズマメッキおよびイオンメッキなどの乾式成膜法などで有機層を形成した後、その上に負極または正極を形成して製造することができる。
【0099】
上述した有機発光素子は、有機発光表示装置に適用可能である。
【実施例
【0100】
以下、実施例を通じて上述した実施形態をより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は単に説明の目的のためのものであり、権利範囲を制限するものではない。
【0101】
以下、実施例および合成例で使用された出発物質および反応物質は、特別な言及がない限り、Sigma-Aldrich社、TCI社、tokyo chemical industryから購入するか、または公知の方法により合成した。
【0102】
(有機光電子素子用化合物の製造)
本発明の化合物のより具体的な例として提示された化合物を以下の段階により合成した。
【0103】
合成例1:int1の合成
【化18】
【0104】
a)int1-1の合成
2-bromo-5-chlorobenzaldehyde(20.0g、91.1mmol)、2-naphthaleneboronic acid(17.2g、100.2mmol)、Pd(PPh(5.3g、4.6mmol)、およびKCO(37.8g、273.4mmol)をtetrahydrofuran:蒸留水=2:1の体積比の混合溶液450mLに溶かし、80℃で12時間還流攪拌した。反応が終了すると、カラムクロマトグラフィー(dichloromethane:n-hexane)で精製してint1-1 17.6g(72.6%)を得た。
【0105】
b)int1-2の合成
int1-1(17.6g、66mmol)と(methoxymethyl)triphenylphosphonium chloride(24.9g、73mmol)をtetrahydrofuran 130mLに溶かし、0oCでpotassium tert-butoxide(8.9g、79mmol)をゆっくり入れて攪拌した。反応が終了すると、回転蒸発装置を用いて溶媒を全て除去した。Dichloromethaneと蒸留水で2回抽出し、有機層を乾燥した。別途の追加精製なしに、dichlromethane130mLに溶かし、0℃でmethanesulfonic acid(12.7g、132mmol)をゆっくり入れて攪拌した。反応が終了すると、反応液にmethyl alcoholを加えて固体を析出させ、一次的にろ過し、該固体をtolueneに溶かしてシリカゲルろ過/精製してint1-2 8.9g(51.4%)を得た。
【0106】
c)int1の合成
int1-2(8.9g、34mmol)、bis(pinacolato)diboron(11.2g、44mmol)、potassium acetate(10.0g、102mmol)、tricyclohexylphosphine(1.9g、7mmol)、および[1,1’-bis(diphenylphosphino)ferrocene]-dichloropalladium(II)(1.4g、2mmol)をN,N-dimethylformamide170mLに入れ、150℃で12時間還流攪拌した。反応が完了したら、溶液を過剰のDIWに入れて沈殿物を形成した。沈殿物をろ過し、tolueneに沸かして溶かしてシリカゲルでろ過した。ろ過した溶液をそのまま再結晶してint1 7.1g(63.1%)を得た。
【0107】
合成例2:int2の合成
【化19】
【0108】
a)int2の合成
2-bromo-5-chlorobenzaldehydeの代わりに2-bromo-6-chlorobenzaldehydeを使用したことを除いては、合成例1のint1の合成法と同様に3段階を経てint2を合成した。
【0109】
合成例3:int3の合成
【化20】
【0110】
a)int3の合成
2-bromo-5-chlorobenzaldehydeの代わりに2-bromo-3-chlorobenzaldehydeを使用したことを除いては、合成例1のint1の合成法と同様に3段階を経てint3を合成した。
【0111】
合成例4~合成例10の合成
表1の中間体Aと中間体Bをint1-1の合成法と同様のSuzuki reactionを用いて合成例4~合成例10の化合物を合成した。
【0112】
【表1】
【0113】
比較合成例1:化合物B-1の合成
【化21】
【0114】
a)中間体B-1-1の合成
6,12-dibromochryseneとphenylboronic acidを出発物質として合成例1のint1-1の合成法と同様の方法で合成し、tolueneで再結晶して中間体B-1-1を合成した。
【0115】
b)中間体B-1-2の合成
中間体B-1-1を出発物質として合成例1のint1の合成法と同様の方法で合成し、tolueneで再結晶して中間体B-1-2を合成した。
【0116】
c)化合物B-1の合成
中間体B-1-2と2-chloro-4,6-diphenyl-1,3,5-triazineを出発物質として合成例1のint1-1の合成法と同様の方法で合成し、monochlorobenzeneで再結晶して化合物B-1を合成した。
【0117】
比較合成例2:化合物B-2の合成
【化22】
【0118】
a)中間体B-2-1の合成
3-methoxy-2-bromonaphthaleneと2-formylphenylboronic acidを出発物質として合成例1のint1-1の合成法と同様の方法で合成し、tolueneで再結晶して中間体B-2-1を合成した。
【0119】
b)中間体B-2-2の合成
中間体B-2-1を出発物質として合成例1のint1-2の合成法と同様の方法で合成し、monochlorobenzeneで再結晶して中間体B-2-2を合成した。
【0120】
c)中間体B-2-3の合成
中間体B-2-2を出発物質としてTetrahedron Letters、47(27)、4581-4584;2006文献に記載された2-methoxynaphthaleneのbrominationと同様の方法で合成し、tolueneで再結晶して中間体B-2-3を合成した。
【0121】
d)中間体B-2-4の合成
中間体B-2-3と1-naphthaleneboronic acidを出発物質として合成例1のint1-1の合成法と同様の方法で合成し、monochlorobenzeneで再結晶して中間体B-2-4を合成した。
【0122】
e)中間体B-2-5の合成
中間体B-2-4(22.0g、57mmol)とpyridine hydrochloride(66g、572mmol)を混合し、200℃で12時間還流攪拌した。反応が終了すると、一定の温度に冷却し、蒸留水を入れて常温に完全に冷却した。Ethyl acetateと蒸留水を用いて2回抽出し、シリカゲルろ過して中間体B-2-5 16.9g(79.7%)を得た。
【0123】
f)中間体B-2-6の合成
中間体B-2-5(16g、43mmol)とtriethylamine(6.6g、65mmol)をdichloromethane85mLに溶かし、0℃でtriflic anhydride(14.0g、50mmol)をゆっくり入れた。滴下終了後、常温に昇温して12時間攪拌した。反応が終了すると氷水を投入し、dichloromethaneと共に2回抽出し、有機層をシリカゲルろ過した。Methyl alcoholを入れて沈殿を生成させ、該沈殿物をろ過して中間体B-2-6 20.1g(92.6%)を得た。
【0124】
g)中間体B-2-7の合成
中間体B-2-6を出発物質として合成例1のint1の合成法で溶媒のみをdioxaneに変更して同様の方法で合成し、tolueneで再結晶して中間体B-2-7を合成した。
【0125】
h)化合物B-2の合成
中間体B-2-7と2-chloro-4,6-diphenyl-1,3,5-triazineを出発物質として合成例1のint1-1の合成法と同様の方法で合成し、monochlorobenzeneで再結晶して化合物B-2を合成した。
【0126】
比較合成例3:化合物B-3の合成
【化23】
【0127】
a)中間体B-3-1の合成
中間体B-2-2を出発物質として比較合成例2の中間体B-2-5の合成法と同様の方法で合成/精製して中間体B-3-1を合成した。
【0128】
b)中間体B-3-2の合成
中間体B-3-1を出発物質として比較合成例2の中間体B-2-6の合成法と同様の方法で合成/精製して中間体B-3-2を合成した。
【0129】
c)化合物B-3の合成
中間体B-3-2と2-(3-bromophenyl)-4,6-diphenyl-1,3,5-triazineを出発物質として合成例1のint1-1の合成法と同様の方法で合成し、monochlorobenzeneで再結晶して化合物B-3を合成した。
【0130】
第2化合物の合成
合成例11:化合物A-84の合成
【化24】
【0131】
a)中間体2-1aの合成
phenylhydrazinehydrochloride(70.0g、484.1mmol)、および7-bromo-3,4-dihydro-2H-naphthalen-1-one(108.9g、484.1mmol)を丸底フラスコに入れ、エタノール(1200ml)に溶かした。常温で塩酸60mLをゆっくり滴下した後、90℃で12時間攪拌した。反応が終了したら溶媒を減圧下で除去した後、過剰のEAで抽出した。有機溶媒を減圧下で除去し、少量のメタノールで攪拌した後、ろ過して中間体2-1a 95.2g(66%)を得た。
【0132】
b)中間体2-1bの合成
中間体2-1a(95.2g、319.3mmol)、および2,3-dichloro-5,6-dicyano-1,4-benzoquinone(108.7g、478.9mmol)を丸底フラスコに入れ、トルエン(600ml)に溶かした。80℃で12時間攪拌した。反応が終了したら反応溶媒を除去した後、カラムクロマトグラフィーを用いて中間体2-1b 41.3g(44%)を得た。
【0133】
c)中間体2-1cの合成
中間体2-1b(41.3g、139.0mmol)、iodobenzene(199.2g、976.0mmol)、CuI(5.31g、28.0mmol)、KCO(28.9g、209.0mmol)、および1,10-phenanthroline(5.03g、28.0mmol)を丸底フラスコに入れ、DMF(500ml)に溶かした。180℃で12時間攪拌した。反応が終了したら反応溶媒を減圧下で除去した後、ジクロロメタンに溶解後シリカゲルろ過した。ジクロロメタン濃縮後、ヘキサンで再結晶して中間体2-1c 39.0g(75%)を得た。
【0134】
d)化合物A-84の合成
中間体2-1c 5.0g(13.46mmol)とアミン中間体2-1d 4.41g(13.46mmol)、ナトリウムt-ブトキシド(sodium t-butoxide)1.94g(20.19mmol)、およびトリ-tert-ブチルホスフィン(tri-tert-butyl phosphine)0.54g(1.35mmol)をトルエン100mlに溶解させ、Pd(dba) 0.37g(0.4mmol)を入れた後、窒素雰囲気下で12時間還流攪拌した。反応終了後、トルエンと蒸留水で抽出した後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過し、ろ過液を減圧濃縮した。生成物をノルマルヘキサン/ジクロロメタン(2:1の体積比)でシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して化合物A-84 6.4g(収率82.0%)を得た。
【0135】
合成例12:化合物2-92の合成
【化25】
【0136】
a)中間体2-92aの合成
KR10-1423173 B1特許を参照して合成した。
【0137】
b)化合物2-92の合成
中間体2-92a 5.0g(16.93mmol)とアミン中間体2-92b 5.4g(16.93mmol)、ナトリウムt-ブトキシド(sodiumt-butoxide)2.44g(25.39mmol)、およびトリ-tert-ブチルホスフィン(tri-tert-butyl phosphine)0.68g(1.69mmol)をトルエン100mlに溶解させ、Pd(dba) 0.47g(0.51mmol)を入れた後、窒素雰囲気下で12時間還流攪拌した。反応終了後、トルエンと蒸留水で抽出した後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過してろ過液を減圧濃縮した。生成物をノルマルヘキサン/ジクロロメタン(2:1の体積比)でシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して目的化合物である2-92 8.2g(収率84.0%)を得た。
【0138】
(有機発光素子の作製)
実施例1
5層の有機薄膜層を有する有機発光素子を作製した。具体的には以下の通りである。
ITO/化合物A(1%NDP-9 doping、1400Å)/化合物B(600Å)/EML[化合物1:[Ir(piq)acac](2wt%)](400Å)/化合物C(50Å)/化合物D:Liq(300Å)/LiQ(15Å)/Al(1200Å)の構造で作製した。
【0139】
化合物A:N-(biphenyl-4-yl)-9,9-dimethyl-N-(4-(9-phenyl-9H-carbazol-3-yl)phenyl)-9H-fluoren-2-amine
化合物B:N,N-di([1,1’-biphenyl]-4-yl)-7,7-dimethyl-7H-fluoreno[4,3-b]benzofuran-10-amine
化合物C:2-(3-(3-(9,9-dimethyl-9H-fluoren-2-yl)phenyl)phenyl)-4,6-diphenyl-1,3,5-triazine
化合物D:8-(4-(4,6-di(naphthalen-2-yl)-1,3,5-triazin-2-yl)phenyl)quinoline
【0140】
実施例2、比較例1および比較例2
下記表2に記載した通りホストを変更したことを除いては、前記実施例1と同様の方法で実施例2、比較例1および比較例2の素子を作製した。
【0141】
実施例3~実施例12、および比較例3~比較例5
下記表3に記載した通りホストを変更し、第1ホストおよび第2ホストを5:5の重量比で混合して前記実施例1と同様の方法で実施例3~実施例12、および比較例3~比較例5の素子を作製した。
【0142】
評価
前記実施例1~実施例12、比較例1~比較例5による有機発光素子の発光効率および寿命特性を評価した。具体的な測定方法は以下の通りであり、その結果は表2および表3の通りである。
【0143】
(1)電圧変化による電流密度の変化測定
製造された有機発光素子に対して、電圧を0Vから10Vまで上昇させながら、電流-電圧計(Keithley2400)を用いて単位素子に流れる電流値を測定し、測定された電流値を面積で割って結果を得た。
【0144】
(2)電圧変化による輝度変化測定
製造された有機発光素子に対して、電圧を0Vから10Vまで上昇させながら、輝度計(Minolta Cs-1000A)を用いてその時の輝度を測定して結果を得た。
【0145】
(3)発光効率の測定
前記(1)および(2)から測定された輝度、電流密度および電圧を用いて同じ電流密度(10mA/cm)の電流効率(cd/A)を計算した。
【0146】
(4)寿命の測定
製造された有機発光素子に対してポーラロニックス寿命測定システムを用いて実施例1~実施例12、比較例1~比較例5の素子を初期輝度(cd/m)を6、000cd/mで発光させ、時間経過に応じた輝度減少を測定して、初期輝度に対して95%と輝度が減少した時点をT95寿命で測定した。
【0147】
比較例1および比較例3のT95寿命を基準とした相対値を計算して下記表2および表3に示す。
【0148】
【表2】
【0149】
【表3】
【0150】
表2および表3を参照すると、本発明に係る化合物は、比較化合物に比べて単独ホストで効率および寿命が改善されたことを確認することができ、特に、第2ホストと組み合わせたとき、駆動電圧、効率、および寿命が全体的に大きく改善されたことを確認することができた。
【0151】
実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0152】
100、200、300、400 有機発光素子
105 有機層
110 負極
120 正極
130 発光層
140 正孔輸送領域
150 電子輸送領域
図1
図2
図3
図4