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特許7521148めっき装置、及び基板ホルダを洗浄する洗浄方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】めっき装置、及び基板ホルダを洗浄する洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   C25D 17/00 20060101AFI20240716BHJP
   H05K 3/18 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
C25D17/00 K
C25D17/00 G
H05K3/18
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024524449
(86)(22)【出願日】2023-01-06
(86)【国際出願番号】 JP2023000133
【審査請求日】2024-04-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【弁理士】
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 岳
【審査官】中西 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-176311(JP,A)
【文献】特開2018-003102(JP,A)
【文献】特開2020-084248(JP,A)
【文献】特開2021-124219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 1/00-21/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持し、前記基板に対して給電を行うための電気接点を有する基板ホルダと、
前記基板ホルダが前記基板を保持していないときに前記基板ホルダを洗浄するためのホルダ洗浄槽と、
前記ホルダ洗浄槽で洗浄した前記基板ホルダを乾燥させるためのホルダ乾燥槽と、
前記ホルダ洗浄槽と前記ホルダ乾燥槽との間で前記基板ホルダを搬送するための搬送装置と、
ファンおよびヒータを有し、前記ヒータによって暖められた気体を前記ホルダ乾燥槽へ供給するように構成されたヒータ機構と、
を備え
前記基板ホルダは、基板を挟むことによって基板を保持するためのフロントフレームおよびリアフレームを備え、
前記ヒータ機構は、前記フロントフレームと前記リアフレームとの間に気体を供給するように構成される、
めっき装置。
【請求項2】
前記ホルダ乾燥槽は、前記ヒータ機構から供給される気体の流路を画定する通風孔を有し、前記通風孔は、前記ホルダ乾燥槽に前記基板ホルダが収容されたときに前記フロントフレームと前記リアフレームとの間の鉛直下方に位置する、請求項に記載のめっき装置。
【請求項3】
基板を保持し、前記基板に対して給電を行うための電気接点を有する基板ホルダと、
前記基板ホルダが前記基板を保持していないときに前記基板ホルダを洗浄するためのホルダ洗浄槽と、
前記ホルダ洗浄槽で洗浄した前記基板ホルダを乾燥させるためのホルダ乾燥槽と、
前記ホルダ洗浄槽と前記ホルダ乾燥槽との間で前記基板ホルダを搬送するための搬送装置と、
を備え、
前記基板ホルダは、
基板を挟むことによって基板を保持するためのフロントフレームおよびリアフレームと、
前記フロントフレームと前記リアフレームとの少なくとも一方に接続されたアーム部または配線格納部と、
を備え、
前記ホルダ乾燥槽は、前記フロントフレームと前記リアフレームとを挿入可能な寸法の開口を有し、前記開口は、前記ホルダ乾燥槽に前記基板ホルダが収容されたときに前記アーム部または前記配線格納部によって塞がれるように構成される、
っき装置。
【請求項4】
基板を保持し、前記基板に対して給電を行うための電気接点を有する基板ホルダと、
前記基板ホルダが前記基板を保持していないときに前記基板ホルダを洗浄するためのホルダ洗浄槽と、
前記ホルダ洗浄槽で洗浄した前記基板ホルダを乾燥させるためのホルダ乾燥槽と、
前記ホルダ洗浄槽と前記ホルダ乾燥槽との間で前記基板ホルダを搬送するための搬送装置と、
を備え、
前記基板ホルダは、基板を挟むことによって基板を保持するためのフロントフレームおよびリアフレームを備え、
前記ホルダ乾燥槽は、
前記フロントフレームと前記リアフレームとを挿入可能な寸法の開口と、
前記ホルダ乾燥槽に前記基板ホルダが収容されたときに前記フロントフレームと前記リアフレームとの少なくとも一方に接触して前記開口を塞ぐように構成される弾性体と、
を備える、めっき装置。
【請求項5】
前記基板ホルダは、
フロントフレームと、
リアフレームと、
前記フロントフレームと前記リアフレームとをクランプするためのクランパと、
を備え、
前記クランパは、前記フロントフレームと前記リアフレームとによって基板を挟み込むための第1状態と、前記第1状態よりも前記フロントフレームと前記リアフレームとの距離が大きい第2状態と、に前記フロントフレームと前記リアフレームとを保持することができるように構成され、
前記搬送装置は、前記第2状態に保持された前記基板ホルダを前記ホルダ洗浄槽と前記ホルダ乾燥槽とに搬送するように構成される、
請求項1からの何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項6】
前記基板ホルダを複数保管できるストッカを備え、
前記搬送装置は、前記ストッカに保管された前記基板ホルダを前記ホルダ洗浄槽と前記ホルダ乾燥槽とへ搬送するように構成される、
請求項1からの何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項7】
めっき槽を備え、
前記基板ホルダは、前記めっき槽のホルダステージに載置されるアーム部を有し、
前記搬送装置は、前記アーム部を把持することにより前記基板ホルダを搬送するように構成され、
前記ホルダ洗浄槽と前記ホルダ乾燥槽とのそれぞれは、前記基板ホルダの前記アーム部
を載置させて前記基板ホルダを支持するためのホルダステージを有する、
請求項1からの何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項8】
めっき装置において、基板に対して給電を行うための電気接点を有する基板ホルダを洗浄するための洗浄方法であって、
基板を保持していない前記基板ホルダを搬送装置によって洗浄槽に搬送する工程と、
前記洗浄槽において前記基板ホルダを洗浄する工程と、
洗浄された前記基板ホルダを前記洗浄槽から乾燥槽へ搬送する工程と、
前記乾燥槽において前記基板ホルダを乾燥する工程と、
を含み、
前記基板ホルダは、基板を挟むことによって基板を保持するためのフロントフレームおよびリアフレームを備え、
前記乾燥槽において前記基板ホルダを乾燥する前記工程は、ファンおよびヒータを有するヒータ機構から、前記フロントフレームと前記リアフレームとの間に気体を供給することを含む、
洗浄方法。
【請求項9】
めっき装置において、基板に対して給電を行うための電気接点を有する基板ホルダを洗浄するための洗浄方法であって、
基板を保持していない前記基板ホルダを搬送装置によって洗浄槽に搬送する工程と、
前記洗浄槽において前記基板ホルダを洗浄する工程と、
洗浄された前記基板ホルダを前記洗浄槽から乾燥槽へ搬送する工程と、
前記乾燥槽において前記基板ホルダを乾燥する工程と、
を含み、
前記基板ホルダは、
基板を挟むことによって基板を保持するためのフロントフレームおよびリアフレームと、
前記フロントフレームと前記リアフレームとの少なくとも一方に接続されたアーム部または配線格納部と、
を備え、
前記乾燥槽は、前記フロントフレームと前記リアフレームとを挿入可能な寸法の開口を有し、
洗浄された前記基板ホルダを前記洗浄槽から乾燥槽へ搬送する前記工程は、前記乾燥槽の前記開口を、前記ホルダ乾燥槽に収容された前記基板ホルダの前記アーム部または前記配線格納部によって塞ぐことを含む、
洗浄方法。
【請求項10】
めっき装置において、基板に対して給電を行うための電気接点を有する基板ホルダを洗浄するための洗浄方法であって、
基板を保持していない前記基板ホルダを搬送装置によって洗浄槽に搬送する工程と、
前記洗浄槽において前記基板ホルダを洗浄する工程と、
洗浄された前記基板ホルダを前記洗浄槽から乾燥槽へ搬送する工程と、
前記乾燥槽において前記基板ホルダを乾燥する工程と、
を含み、
前記基板ホルダは、基板を挟むことによって基板を保持するためのフロントフレームおよびリアフレームを備え、
前記乾燥槽は、前記フロントフレームと前記リアフレームとを挿入可能な寸法の開口を有し、
洗浄された前記基板ホルダを前記洗浄槽から乾燥槽へ搬送する前記工程は、前記乾燥槽に設けられた弾性体と前記フロントフレームと前記リアフレームとの少なくとも一方とを
接触させて、前記開口を塞ぐことを含む、
洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、めっき装置、及び基板ホルダを洗浄する洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、めっき液を収納しためっき槽に、基板ホルダに保持された基板を鉛直方向に差し込んで電解めっきを行う装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、基板ホルダに保持された基板を水平方向にして電解めっきを行う装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。このようなめっき装置で使用される基板ホルダは、基板の表面をシールするシールを備えたシールリングホルダと、ベースプレートと、を有する。基板ホルダは、基板の表面をシールして、めっき液が入り込まない空間を形成する。基板ホルダは、この空間内において、基板の表面と接触して基板に電流を流すための電気接点を有する。
【0003】
このような基板ホルダでは、基板の表面を適切にシールすることにより、上記空間にめっき液が入り込むことを防止している。しかしながら、シールの異常等によりめっき液が上記空間に入り込むことがまれに発生する。めっき液が上記空間に入り込むと、めっき液が電気接点と接触して、電気接点が腐食する虞がある。このため、基板ホルダにいわゆるリークが生じてめっき液が電気接点と接触した場合、電気接点を洗浄する必要がある。また、めっき処理の後、基板を基板ホルダと共にリンスモジュールで洗浄し、基板ホルダに付着しためっき液残りを洗い流している。また、基板ホルダを繰り返し使用すると、シール又は電気接点に異物が付着することがある。このため、基板ホルダのシール及び電気接点を定期的に洗浄することが好ましい。これに関連して、基板ホルダのシール部材等を洗浄する洗浄装置が知られている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許3979847号公報
【文献】米国特許公開第2014/0318977号公報
【文献】特開2008-45179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
洗浄装置において基板ホルダを洗浄した後、洗浄液が基板ホルダに残っていると、洗浄液によって基板ホルダによるシールが十分に行われなくなったり、電気接点と基板との接触不良の原因となったりする。上記特許文献では、基板ホルダに残留する洗浄液残りに対する対策について検討されていない。こうした課題は、上記しためっき液が入り込まない空間で電気接点と基板とが接触する方式のめっき装置に限られるものではなく、基板ホルダの電気接点がめっき液に浸漬される方式においても基板ホルダに残留する洗浄液を除去することが好ましい。
【0006】
以上の実情に鑑みて、本願は、めっき装置において基板ホルダの洗浄後に残る洗浄液を除去することを目的の1つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態によれば、めっき装置が提案され、かかるめっき装置は、基板を保持し、前記基板に対して給電を行うための電気接点を有する基板ホルダと、前記基板ホルダが前記基板を保持していないときに前記基板ホルダを洗浄するためのホルダ洗浄槽と、前記ホルダ洗浄槽で洗浄した前記基板ホルダを乾燥させるためのホルダ乾燥槽と、前記ホルダ洗浄槽と前記ホルダ乾燥槽との間で前記基板ホルダを搬送するための搬送装置と、を備える。
【0008】
別の一実施形態によれば、めっき装置において、基板に対して給電を行うための電気接点を有する基板ホルダを洗浄するための洗浄方法が提案され、かかる洗浄方法は、基板を保持していない前記基板ホルダを搬送装置によって洗浄槽に搬送する工程と、前記洗浄槽において前記基板ホルダを洗浄する工程と、洗浄された前記基板ホルダを前記洗浄槽から乾燥槽へ搬送する工程と、前記乾燥槽において前記基板ホルダを乾燥する工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態におけるめっき装置の全体配置図である。
図2】一実施形態の基板ホルダを模式的に示した正面図である。
図3図2に示す基板ホルダをAA-AA方向から見た断面図であり、基板ホルダがロック状態にされている。
図4図2に示す基板ホルダをAA-AA方向から見た断面図であり、基板ホルダがセミロック状態にされている。
図5】本実施形態のホルダ洗浄モジュールの構成概要を模式的に示す斜視図である。
図6図5に示すホルダ洗浄モジュールにおける洗浄液ノズルの場所を模式的に示す図である。
図7】本実施形態のホルダ乾燥モジュールの構成概略を模式的に示す図である。
図8図7に示すホルダ乾燥モジュールの正面図である。
図9図7に示すホルダ乾燥モジュールの側面断面図である。
図10】本実施形態のホルダ乾燥槽とヒータ機構との構成を模式的に示す断面斜視図である。
図11】本実施形態のホルダ乾燥槽のホルダ挿入口の第1例を模式的に示す図である。
図12】本実施形態のホルダ乾燥槽のホルダ挿入口の第2例を模式的に示す図である。
図13】本実施形態のめっき装置における基板ホルダの洗浄処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。ただし、用いられる図面は模式図である。したがって、図示された部品の大きさ、位置および形状などは、実際の装置における大きさ、位置および形状などとは異なり得る。また、以下の説明および以下の説明で用いる図面では、同一に構成され得る部分について、同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態におけるめっき装置の全体配置図である。本実施形態におけるめっき対象物は、半導体ウェハ等の基板である。基板は、四角形または六角形といった角形基板、及び円形基板を含む。図1に示すように、このめっき装置100は、基板ホルダ(図1では不図示)に基板をロードし、又は基板ホルダから基板をアンロードするロードポート110と、基板を処理する処理モジュール120とに大きく分けられる。
【0012】
ロードポート110は、配置調整機構26と、搬送用ロボット27と、フィキシングステーション29とを有する。一例として、本実施形態では、ロードポート110は、処理前の基板を取り扱うロード用の配置調整機構26Aと、処理後の基板を取り扱うアンロード用の配置調整機構26Bとの、2つの配置調整機構26を有している。なお、配置調整機構26は、ロード用、アンロード用の配置調整機構26A,26Bが設けられるものに限定されず、それぞれロード用、アンロード用と区別されずに使用されてもよい。また、本実施形態では、ロードポート110は、2つのフィキシングステーション29を有している。2つのフィキシングステーション29は、同一の機構であり、空いている方(基板を取り扱っていない方)が使用される。なお、配置調整機構26とフィキシングステーション29とのそれぞれは、めっき装置100におけるスペースに応じて、1つ、又は3つ以上が設けられてもよい。
【0013】
配置調整機構26(ロード用の配置調整機構26A)には、ロボット24を通じて複数(一例として図1では3つ)のカセットテーブル25から基板が搬送される。カセットテーブル25は、基板が収容されるカセット25aを備える。カセットは例えばフープである。配置調整機構26は、載置された基板の位置および向きを調整(アライメント)するように構成される。配置調整機構26とフィキシングステーション29との間には、これらの間で基板を搬送する搬送用ロボット27が配置されている。搬送用ロボット27は、配置調整機構26とフィキシングステーション29との間で、基板を搬送するように構成されている。また、フィキシングステーション29の近傍には基板ホルダを収容するためのストッカ30が設けられる。
【0014】
めっき装置100の処理モジュール120は、ストッカ30と、ホルダ乾燥モジュールにおけるホルダ乾燥槽60と、ホルダ洗浄モジュールにおけるホルダ洗浄槽50と、プリウェット槽32と、仮置き台34と、プリソーク槽36と、ブロー槽44と、リンス槽42(42A~42C)と、めっきモジュールにおけるめっき槽40(40A~40C)と、を有する。
【0015】
ストッカ30では、基板ホルダの保管及び一時仮置きが行われる。ホルダ洗浄槽50では、基板を保持していない状態で基板ホルダが洗浄される。ホルダ乾燥槽60では、ホルダ洗浄槽50で洗浄された基板ホルダの乾燥が行われる。プリウェット槽32では、基板が純水に浸漬される。仮置き台34では、基板ホルダの一次仮置きが行われる。プリソーク槽36では、基板の表面に形成したシード層等の導電層の表面の酸化膜がエッチング除去される。ブロー槽44では、洗浄後の基板の液切りが行われる。リンス槽42では、めっき後の基板が基板ホルダと共にリンス液で洗浄される。めっき槽40では、基板を保持した基板ホルダが収納され、内部に保持しためっき液中に基板を浸漬させて基板表面に銅めっき等のめっきを行う。ストッカ30、ホルダ乾燥槽60、ホルダ洗浄槽50、プリウェット槽32、プリソーク槽36、ブロー槽44、リンス槽42、及びめっき槽40は、一例として、この順に配置されている。また、限定するものではないが、本実施形態では、めっき槽40は複数(一例として図1では3つ)設けられており、リンス槽42は、めっき槽40A~40Cに対応して複数設けられている。
【0016】
めっき装置100は、これらの各機器の側方に位置して、これらの各機器の間で基板ホルダを搬送する、例えばリニアモータ方式を採用した搬送装置37を有する。この搬送装置37は、フィキシングステーション29、ストッカ30、ホルダ乾燥槽60、ホルダ洗浄槽50、プリウェット槽32、仮置き台34、プリソーク槽36、ブロー槽44、リンス槽42、及びめっき槽40の間で基板ホルダを搬送するように構成される。
【0017】
めっき装置100は、上述した各部を制御するように構成されたコントローラ175を有する。コントローラ175は、所定のプログラムを格納したメモリ175Bと、メモリ175Bのプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)175Aと、CPU175Aがプログラムを実行することで実現される制御モジュール175Cとを有する。メモリ175Bを構成する記録媒体は、ROM、RAM、ハードディスク、CD-ROM、DVD-ROM、フレキシブルディスクなどの任意の記録媒体の1又は複数を含むことができる。メモリ175Bが格納するプログラムは、例えば、搬送装置37の搬送制御を行うプログラム、及び各めっき槽40におけるめっき処理の制御を行うプログラムを含む。また、コントローラ175は、めっき装置100及びその他の関連装置を統括制御する図示しない上位コントローラと通信可能に構成され、上位コントローラが有するデータベースとの間でデータをやり取りするように構成されてもよい。
【0018】
このめっき装置100による一連のめっき処理の一例を説明する。まず、ロボット24は、カセット25aから基板を取り出し、配置調整機構26に基板を搬送する。配置調整機構26は、基板のオリエンテーションフラットやノッチなどの位置を所定の方向に合わせる。搬送用ロボット27は、配置調整機構26で配置が調整された基板をフィキシングステーション29へ受け渡す。また、搬送装置37によってストッカ30からフィキシングステーション29へ基板ホルダが取り出され、フィキシングステーション29において基板が基板ホルダに保持される。
【0019】
基板ホルダに保持された基板は、搬送装置37によってプリウェット槽32に搬送される。プリウェット槽32では、基板ホルダに保持された基板にプリウェット処理が施される。搬送装置37は、プリウェット処理が施された基板をプリソーク槽36へ搬送する。プリソーク槽36では、基板ホルダに保持された基板にプリソーク処理が施される。搬送装置37は、プリソーク処理が施された基板をめっき槽40へ搬送する。めっき槽40では、基板ホルダに保持された基板にめっき処理が施される。
【0020】
搬送装置37は、めっき処理が施された基板をリンス槽42へ搬送する。リンス槽42では、基板ホルダに保持された基板に洗浄処理が施される。搬送装置37は、洗浄処理が施された基板をブロー槽44へ搬送する。ブロー槽44では、基板ホルダに保持された基板に乾燥処理が施される。搬送装置37は、乾燥処理が施された基板をフィキシングステーション29へ搬送する。フィキシングステーション29では、基板ホルダから基板が取り外される。搬送用ロボット27は、基板をフィキシングステーション29から調整機構28へ搬送する。最後に、ロボット24は、基板を調整機構28から受け取ってカセット25aに搬送する。また、基板が取り外された基板ホルダは、搬送装置37によってストッカ30に収納される。
【0021】
次に、本実施形態のめっき装置100で使用される基板ホルダについて説明する。図2は、一実施形態の基板ホルダを模式的に示した正面図である。図3および図4は、図2に示す基板ホルダをAA-AA方向から見た断面図である。本実施形態の基板ホルダ80は、フレーム間に基板を挟むことによって基板を保持するための部材である。具体的には、基板ホルダ80は、フロントフレーム802およびリアフレーム804を備え、フロントフレーム802とリアフレーム804との間に基板WFを挟み込んで保持するように構成されている。フロントフレーム802とリアフレーム804とは、少なくとも1つ、好ましくは複数のクランパ820によってクランプされる。
【0022】
フロントフレーム802の上部には、アーム部812が設けられている。一例として、搬送装置37はアーム部812を把持することにより、基板ホルダ80を搬送するように構成される。アーム部812の肩部には、肩部電極846が設けられてもよい。図2の例では、アーム部812の両肩に2つの肩部電極846が設けられている。肩部電極846は、図示しない導電経路(配線またはバスバーなど)により、基板WFに接触するように構成される電極(電気接点840。図3参照。)と電気的に接続されている。めっき装置100は、肩部電極846を介してめっき処理に必要な電力を基板WFに供給する。ここで、「電力を供給する」ことを「電圧を印加する」または「電流を流す」と言い換えてもよい。なお、本実施形態では、アーム部812は、フロントフレーム802に接続されるものとしたが、これに代えて、または加えて、アーム部812は、リアフレーム804に接続されてもよい。
【0023】
フロントフレーム802とリアフレーム804とは、配線格納部814を構成する。配線格納部814は、フロントフレーム802におけるボディ803及びリアフレーム804におけるボディ805と、アーム部812と、の間に設けられている。配線格納部814は、肩部電極846と、基板WFに接続される電気接点840とを電気的に接続するための配線を格納するための空間を画定するように構成される。ただし、基板ホルダ80は、配線格納部814を備えなくともよい。
【0024】
フロントフレーム802とリアフレーム804とのボディ803,805は、略板状の部材である。ボディ803,805のそれぞれの中央部分には、保持されるべき基板WFを露出するための開口803a,805aが形成されている。開口803a,805aの形状は、基板WFにおけるめっきを施す領域(被めっき領域)の形状に対応していることが好ましい。なお、図2に示す例では、開口803a,805aは角形であるが、こうした例に限定されず、開口803a,805aは丸形など任意の形状に形成されればよい。また、図2に示す例では、フロントフレーム802とリアフレーム804とのそれぞれに開口803a,805aが形成されているが、フロントフレーム802だけに開口803aが形成されるものとしてもよい。
【0025】
フロントフレーム802とリアフレーム804とは、クランパ820によってクランプされる。図2に示す例では、4つのクランパ820が示されているが、任意の数のクランパ820が設けられればよい。クランパ820により、フロントフレーム802とリアフレーム804とは、基板WFを挟み込んで保持することができる状態(「第1状態」または「ロック状態」とも呼称する。)にクランプされる(図3参照)。また、一例として、本実施形態のクランパ820は、「セミロック状態」(「第2状態」とも呼称する。)をとることができるように構成されている。「セミロック状態」は、ロックはされた状態ではないが、フロントフレーム802とリアフレーム804とが分離することのない状態である(図4参照)。セミロック状態(第2状態)では、ロック状態(第1状態)よりもフロントフレーム802とリアフレーム804とが離れて保持される。具体的な一例として、図3および図4に示す例では、クランパ820は、枢動可能なフック822と、ロック用クロー824aと、セミロック用クロー824bと、を備えている。なお、一例として、ロック用クロー824aとセミロック用クロー824bとは、互いにフック822の枢動軸(図3および図4において紙面に垂直な軸)に沿って離れて配置されてもよい。理解の容易のために、図3および図4では、セミロック用クロー824bを破線で示している。図3に示すように、フック822がロック用クロー824aに引っ掛けられることにより、基板WFを保持することができるロック状態となる。また、図4に示すように、フック822がセミロック用クロー824bに引っ掛けられることにより、クランパ820はセミロック状態となる。なお、クランパ820は、図3および図4に示す例に限定されるものではなく、セミロック状態とすることができなくてもよい。
【0026】
続いて、こうした基板ホルダ80を洗浄・乾燥するためのホルダ洗浄モジュールとホルダ乾燥モジュールとについて詳細に説明する。図5は、本実施形態のホルダ洗浄モジュールの構成概要を模式的に示す斜視図であり、図6は、図5に示すホルダ洗浄モジュールにおける洗浄液ノズルの場所を模式的に示す図である。なお、図5では、基板ホルダ80がホルダ洗浄槽50に収容されて示されている。ホルダ洗浄モジュールは、基板ホルダ80を収容可能なホルダ洗浄槽50を有し、処理モジュール120に配置されている(図1参照)。本実施形態では、ホルダ洗浄槽50は、1つの基板ホルダ80を収容するように構成されているが、2つ以上の基板ホルダ80を収容可能に構成されてもよい。
【0027】
ホルダ洗浄槽50は、基板ホルダ80のアーム部812を載置させて基板ホルダ80を支持するためのホルダステージ502を有する。ホルダ洗浄槽50は、上面が開口して基板ホルダ80を収容するための内槽504と、内槽504の上縁からオーバーフローした洗浄液を溜められるように内槽504の周囲に設けられた外槽506と、を含んで構成される。また、ホルダ洗浄槽50には、基板ホルダ80に向けて純水(DIW)などの洗浄液を噴出するように構成された複数の洗浄液ノズル510が設けられている。複数の洗浄液ノズル510は、洗浄液配管512を介して図示しない洗浄液供給源に接続されている。本実施形態では、複数の洗浄液ノズル510は、基板ホルダ80のフロントフレーム802およびリアフレーム804に沿って配置されるノズルプレートに固定されている。なお、複数の洗浄液ノズル510は、基板ホルダ80の電気接点840に向けて洗浄液を噴出するように、内側または外側に傾斜して配置されてもよい。また、ホルダ洗浄槽50の底面にはドレン配管518が接続されており、ホルダ洗浄槽50内の洗浄液を外部へ排出することができるように構成されている。
【0028】
こうしたホルダ洗浄槽50は、基板WFを保持していない状態の基板ホルダ80を収容して、基板ホルダ80に洗浄処理を施すことができる。ここで、基板ホルダ80は、上記したセミロック状態でホルダ洗浄槽50に収容されるものとしてもよい。ホルダ洗浄槽50では、洗浄液ノズル510から基板ホルダ80に向けて洗浄液が吐出されることにより、基板ホルダ80が洗浄される。このときには、ドレン配管518が閉じられてホルダ洗浄槽50に洗浄液が溜められてもよい。また、ホルダ洗浄槽50の内槽504を洗浄液で満たした後にドレン配管518を開いてホルダ洗浄槽50内の洗浄液を排出することを、複数回繰り返すものとしてもよい。なお、ドレン配管518から洗浄液を急速で排出することによって洗浄工程にかかる時間を短くすることができるが、洗浄液を急速に排出すると基板ホルダ80に洗浄液が多量に残る場合がある。このため、ホルダ洗浄槽50から洗浄液を最後に排出する工程では、それまでの排水工程よりもゆっくりと洗浄液を排出させるものとしてもよい。ホルダ洗浄槽50での洗浄処理が終了されると、搬送装置37によって基板ホルダ80はホルダ乾燥槽60へと搬送される。
【0029】
図7は、本実施形態のホルダ乾燥モジュールの構成概略を模式的に示す図であり、図8は、図7に示すホルダ乾燥モジュールの正面図であり、図9は、図7に示すホルダ乾燥モジュールの側面断面図である。なお、図7図9では、2つの基板ホルダ80がホルダ乾燥槽60に収容されて示されている。本実施形態では、ホルダ乾燥モジュールは、基板ホルダ80を収容可能なホルダ乾燥槽60と、ヒータ機構62と、を有し、処理モジュール120に配置されている(図1参照)。基板ホルダ80の乾燥工程は、洗浄工程に比して時間を要する傾向があるため、ホルダ乾燥槽60は、ホルダ洗浄槽50よりも多い数の基板ホルダ80を収容できることが好ましい。一例として、本実施形態では、2つの基板ホルダ80を収容するように構成されている。しかしながら、こうした例に限定されず、ホルダ乾燥槽60は、1つ、又は3つ以上の基板ホルダ80を収容可能に構成されてもよい。また、ホルダ乾燥槽60は、基板ホルダ80のアーム部812を載置させて基板ホルダ80を支持するためのホルダステージ602を有する。
【0030】
ホルダ乾燥槽60には、ヒータ機構62が接続されている。本実施形態では、ヒータ機構62は、搬送装置37による基板ホルダ80の搬送方向においてホルダ乾燥槽60と並んで配置されている。また、本実施形態では、基板ホルダ80または搬送装置37からヒータ機構62に液体などの異物が落下するのを防止するようにカバー64が設けられている(図1参照)。ただし、こうした例に限定されず、ヒータ機構62は任意の場所に設けられてよく、カバー64が設けられなくてもよい。
【0031】
図10は、ホルダ乾燥槽60とヒータ機構62との構成を模式的に示す断面斜視図である。ヒータ機構62は、空気などの気体を暖めるためのヒータ622と、ヒータ622によって暖められた気体を送出するためのファン624と、を有している。ヒータ機構62は、エルボ管626を通じてホルダ乾燥槽60の下方(接続チャンバ644)に接続されている。なお、ヒータ622としては、抵抗加熱方式など任意の方式を採用することができる。ホルダ乾燥槽60の上部の側方には、排気ダクト650が接続されている。
【0032】
本実施形態のホルダ乾燥槽60には、ヒータ機構62から供給される気体の流路を画定する通風孔648が形成されている。図9および図10に示されるように、本実施形態のホルダ乾燥槽60は、水平方向に延在するプレート部材646によって、基板ホルダ80が収容される上部のホルダ用チャンバ642と、ヒータ機構62が接続される下部の接続チャンバ644とに区分けされている。プレート部材646には、通風孔648が形成されている。通風孔648は、基板ホルダ80のフロントフレーム802とリアフレーム804との間の鉛直下方に対応する位置に設けられている。これにより、ヒータ機構62からホルダ乾燥槽60に供給される気体は、接続チャンバ644から通風孔648を通ってホルダ用チャンバ642へと流れ、特にフロントフレーム802とリアフレーム804との間に方向付けられる。したがって、洗浄液が残り易いフロントフレーム802とリアフレーム804との間に気体を向けて基板ホルダ80の乾燥を促進することができる。また、ヒータ機構62からホルダ乾燥槽60に供給される空気は、ホルダ用チャンバ642の上部に設けられた排気ダクト650から外部に排出される。なお、ホルダ乾燥槽60は、通風孔648に代えて、または加えて、気体をフロントフレーム802とリアフレーム804との間に方向付けるためのガイド体を備えてもよい。
【0033】
図11は、本実施形態のホルダ乾燥槽60のホルダ挿入口の第1例を模式的に示す図である。ホルダ乾燥槽60の上面には、基板ホルダ80を挿入するためのホルダ挿入口(開口)660が形成されている。ホルダ挿入口660は、基板ホルダ80の寸法に対応した寸法に決められることが好ましい。本実施形態では、ホルダ挿入口660の形状は、セミロック状態でのフロントフレーム802とリアフレーム804との外形に基づいて定められている。これにより、ホルダ挿入口660から気体が漏れることを抑制して、ホルダ乾燥槽60での乾燥効率を向上させることができる。また、図11に示す例では、ホルダ挿入口660には、フロントフレーム802とリアフレーム804とに接触してホルダ挿入口660を塞ぐように構成される弾性体662が設けられている。図11に示す例では、弾性体662は、フロントフレーム802に接触する弾性体662aとリアフレーム804に接触する弾性体662bとを含んでいるが、一方のみで構成されてもよい。また、一例として、弾性体662a,662bとの隙間は、セミロック状態でのフロントフレーム802とリアフレーム804との外形寸法よりも小さく形成されてもよい。そして、基板ホルダ80がホルダ挿入口660に挿入されることにより、弾性体662a,662bが撓んでフロントフレーム802とリアフレーム804とに接触し、ホルダ挿入口660が塞がれるように構成されてもよい。弾性体662としては、樹脂またはゴムなどの任意の弾性体を採用することができる。こうした例によれば、ホルダ乾燥槽60から気体が漏れることを抑制して乾燥効率を向上させることができる。
【0034】
図12は、本実施形態のホルダ乾燥槽60のホルダ挿入口の第2例を模式的に示す図である。第1例と同様に、ホルダ挿入口(開口)660の形状は、セミロック状態でのフロントフレーム802とリアフレーム804との外形に基づいて定められている。また、第2例のホルダ挿入口660は、ホルダ乾燥槽60に基板ホルダ80が収容されたときに、基板ホルダ80によって塞がれるように構成されている。本実施形態では、アーム部812は、フロントフレーム802とリアフレーム804との厚み(図12中、左右方向の長さ)よりも大きい厚みを有し、ホルダ挿入口660よりも大きい形状を有している。そして、ホルダ挿入口660は、ホルダ乾燥槽60に基板ホルダ80が収容されたときに、アーム部812によって塞がれる。なお、この場合、ホルダ挿入口660が形成されたホルダ乾燥槽60の上面が、アーム部812を支持するためのホルダステージ602を構成してもよい。こうした例によっても、ホルダ乾燥槽60から気体が漏れることを抑制して乾燥効率を向上させることができる。なお、第2例では、ホルダ挿入口660は、アーム部812に代えて基板ホルダ80の他の部位によって塞がれるように構成されてもよい。一例として、基板ホルダ80の配線格納部814が、フロントフレーム802及びリアフレーム804のボディ803,805の厚みよりも大きい厚みを有し、ホルダ挿入口660よりも大きい形状を有してもよい。そして、ホルダ挿入口660は、ホルダ乾燥槽60に基板ホルダ80が収容されたときに、配線格納部814によって塞がれるものとしてもよい。
【0035】
ホルダ乾燥モジュールは、ヒータ機構62による送風温度を検出するための温度センサ628(図10参照)と、ホルダ乾燥槽60内の温度を検出するための温度センサ632(図8参照)と、を備えている。温度センサ628,632による検出温度は、めっき装置100のコントローラ175に送信され、コントローラ175によるホルダ乾燥モジュールの制御に利用される。
【0036】
図13は、本実施形態のめっき装置における基板ホルダの洗浄処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、一例として、めっき装置100のコントローラ175によって行われる。コントローラ175は、任意のタイミングで基板ホルダの洗浄処理を実行することができる。一例として、コントローラ175は、基板ホルダ80が所定回数(例えば、数回など)めっき処理に使用された場合に、その基板ホルダ80に洗浄処理を施すものとしてもよい。
【0037】
基板ホルダの洗浄処理では、まず、搬送装置37によって、基板WFを保持していない基板ホルダ80がホルダ洗浄槽50に搬送される(ステップS12)。このときには、基板ホルダ80は、セミロック状態であるとよい。一例として、搬送装置37は、フィキシングステーション29で基板WFが取り外された基板ホルダ80を、フィキシングステーション29からホルダ洗浄槽50に搬送してもよい。また、搬送装置37は、ストッカ30に保管された基板ホルダ80をホルダ洗浄槽50へと搬送してもよい。この場合には、コントローラ175は、搬送装置37の空き時間に、ストッカ30から基板ホルダ80を取り出させて洗浄処理を施すものとしてもよい。本実施形態では、搬送装置37によってアーム部812が把持されて基板ホルダ80がホルダ洗浄槽50内に搬送され、アーム部812がホルダステージ502に載置されて基板ホルダ80がホルダ洗浄槽50に収容される。基板ホルダ80がホルダ洗浄槽50に収容されると、ホルダ洗浄槽50で基板ホルダ80の洗浄が行われる(ステップS14)。
【0038】
ホルダ洗浄槽50での基板ホルダ80の洗浄が終了すると、搬送装置37は、基板ホルダ80をホルダ洗浄槽50からホルダ乾燥槽60へと搬送する(ステップS16)。本実施形態では、搬送装置37によってアーム部812が把持されて基板ホルダ80がホルダ洗浄槽50からホルダ乾燥槽60に搬送され、アーム部812がホルダステージ602に載置されて基板ホルダ80がホルダ乾燥槽60に収容される。基板ホルダ80がホルダ乾燥槽60に収容されると、ホルダ乾燥槽60で基板ホルダ80の乾燥が行われる(ステップS18)。
【0039】
そして、ホルダ乾燥槽60での基板ホルダ80の乾燥が終了すると、搬送装置37は、基板ホルダ80をホルダ乾燥槽60からストッカ30へ搬送して(ステップS20)、基板ホルダ80の洗浄処理を終了する。なお、搬送装置37は、必要に応じて、ストッカ30に代えてフィキシングステーション29へ基板ホルダ80を搬送してもよい。
【0040】
以上説明したように、本実施形態のめっき装置100は、基板ホルダ80が基板WFを保持していないときに基板ホルダ80を洗浄するためのホルダ洗浄槽50と、洗浄された基板ホルダ80を乾燥させるためのホルダ乾燥槽60と、を備える。これにより、ホルダ乾燥槽60で基板ホルダ80を乾燥させることができ、基板ホルダ80の洗浄後に残る洗浄液を除去することができる。また、ホルダ洗浄槽50とホルダ乾燥槽60とが別々に設けられているので、乾燥工程において、洗浄工程で槽に付着する洗浄液を除去する必要がなく、乾燥効率を向上することができる。また、ホルダ洗浄槽50とホルダ乾燥槽60とが別々に設けられているので、洗浄工程においてヒータ機構62などのホルダ乾燥槽60の機構に洗浄液が飛散することを防止することができ、装置の簡略化を図ることができる。
【0041】
本発明は、以下の形態としても記載することができる。
[形態1]形態1によれば、めっき装置が提案され、前記めっき装置は、基板を保持し、前記基板に対して給電を行うための電気接点を有する基板ホルダと、前記基板ホルダが前記基板を保持していないときに前記基板ホルダを洗浄するためのホルダ洗浄槽と、前記ホルダ洗浄槽で洗浄した前記基板ホルダを乾燥させるためのホルダ乾燥槽と、前記ホルダ洗浄槽と前記ホルダ乾燥槽との間で前記基板ホルダを搬送するための搬送装置と、を備える。形態1によれば、ホルダ洗浄槽で洗浄した基板ホルダを乾燥させるためのホルダ乾燥槽を有しており、基板ホルダの洗浄後に残る洗浄液を除去することができる。
【0042】
[形態2]形態2によれば、形態1において、ファンおよびヒータを有し、前記ヒータによって暖められた気体を前記ホルダ乾燥槽へ供給するように構成されたヒータ機構を備える。
【0043】
[形態3]形態3によれば、形態2において、前記基板ホルダは、基板を挟むことによって基板を保持するためのフロントフレームおよびリアフレームを備え、前記ヒータ機構は、前記フロントフレームと前記リアフレームとの間に気体を供給するように構成される。形態3によれば、基板ホルダの洗浄後に残る洗浄液をより除去することができる。
【0044】
[形態4]形態4によれば、形態2または3において、前記乾燥ホルダは、前記ヒータ機構から供給される気体の流路を画定する通風孔を有し、前記通風孔は、前記乾燥ホルダに前記基板ホルダが収容されたときに前記フロントフレームと前記リアフレームとの間の鉛直下方に位置する。形態4によれば、基板ホルダの洗浄後に残る洗浄液をより除去することができる。
【0045】
[形態5]形態5によれば、形態1から4の何れかにおいて、前記基板ホルダは、基板を挟むことによって基板を保持するためのフロントフレームおよびリアフレームと、前記フロントフレームと前記リアフレームとの少なくとも一方に接続されたアーム部または配線格納部と、を備え、前記ホルダ乾燥槽は、前記フロントフレームと前記リアフレームとを挿入可能な寸法の開口を有し、前記開口は、前記ホルダ乾燥槽に前記基板ホルダが収容されたときに前記アーム部または前記配線格納部によって塞がれるように構成される。形態5によれば、ホルダ乾燥槽における乾燥効率の向上を図ることができる。
【0046】
[形態6]形態6によれば、形態1から5の何れかにおいて、前記基板ホルダは、基板を挟むことによって基板を保持するためのフロントフレームおよびリアフレームを備え、前記ホルダ乾燥槽は、前記フロントフレームと前記リアフレームとを挿入可能な寸法の開口と、前記ホルダ乾燥槽に前記基板ホルダが収容されたときに前記フロントフレームと前記リアフレームとの少なくとも一方に接触して前記開口を塞ぐように構成される弾性体と、を備える。形態6によれば、ホルダ乾燥槽における乾燥効率の向上を図ることができる。
【0047】
[形態7]形態7によれば、形態1から6の何れかにおいて、前記基板ホルダは、フロントフレームと、リアフレームと、前記フロントフレームと前記リアフレームとをクランプするためのクランパと、を備え、前記クランパは、前記フロントフレームと前記リアフレームとによって基板を挟み込むための第1状態と、前記第1状態よりも前記フロントフレームと前記リアフレームとの距離が大きい第2状態と、に前記フロントフレームと前記リアフレームとを保持することができるように構成され、前記搬送装置は、前記第2状態に保持された前記基板ホルダを前記ホルダ洗浄槽と前記ホルダ乾燥槽とに搬送するように構成される。形態7によれば、基板ホルダの洗浄後に残る洗浄液をより除去することができる。
【0048】
[形態8]形態8によれば、形態1から7の何れかにおいて、前記基板ホルダを複数保管できるストッカを備え、前記搬送装置は、前記ストッカに保管された前記基板ホルダを前記ホルダ洗浄槽と前記ホルダ乾燥槽とへ搬送するように構成される。
【0049】
[形態9]形態9によれば、形態1から8の何れかにおいて、めっき槽を備え、前記基板ホルダは、前記めっき槽のホルダステージに載置されるアーム部を有し、前記搬送装置は、前記アーム部を把持することにより前記基板ホルダを搬送するように構成され、前記ホルダ洗浄槽と前記ホルダ乾燥槽とのそれぞれは、前記基板ホルダの前記アーム部を載置させて前記基板ホルダを支持するためのホルダステージを有する。形態9によれば、めっき槽のホルダステージに載置されるアーム部を利用して、基板ホルダをホルダ洗浄槽とホルダ乾燥槽とに支持させることができる。
【0050】
[形態10]形態10によれば、めっき装置において、基板に対して給電を行うための電気接点を有する基板ホルダを洗浄するための洗浄方法が提案され、前記洗浄方法は、基板を保持していない前記基板ホルダを搬送装置によって洗浄槽に搬送する工程と、前記洗浄槽において前記基板ホルダを洗浄する工程と、洗浄された前記基板ホルダを前記洗浄槽から乾燥槽へ搬送する工程と、前記乾燥槽において前記基板ホルダを乾燥する工程と、を含む。形態10によれば、ホルダ洗浄槽で洗浄した基板ホルダを、ホルダ乾燥槽で乾燥させることができ、基板ホルダの洗浄後に残る洗浄液を除去することができる。
【0051】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、実施形態および変形例の任意の組み合わせが可能であり、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。さらにまた、被めっき対象物の基板として、半導体ウェハだけでなく、ガラス基板、プリント配線基板を用いることもできる。
【符号の説明】
【0052】
WF…基板
30…ストッカ
32…プリウェット槽
36…プリソーク槽
37…搬送装置
40,40A~40C…めっき槽
42,42A~42C…リンス槽
44…ブロー槽
50…ホルダ洗浄槽
60…ホルダ乾燥槽
62…ヒータ機構
64…カバー
80…基板ホルダ
100…めっき装置
175…コントローラ
502…ホルダステージ
510…洗浄液ノズル
602…ホルダステージ
622…ヒータ
624…ファン
648…通風孔
650…排気ダクト
660…ホルダ挿入口(開口)
662…弾性体
802…フロントフレーム
804…リアフレーム
812…アーム部
814…配線格納部
820…クランパ
822…フック
824a…ロック用クロー
824b…セミロック用クロー
840…電気接点
【要約】
めっき装置において基板ホルダの洗浄後に残る洗浄液を除去する。
めっき装置は、基板を保持し、前記基板に対して給電を行うための電気接点を有する基板ホルダと、前記基板ホルダが前記基板を保持していないときに前記基板ホルダを洗浄するためのホルダ洗浄槽と、前記ホルダ洗浄槽で洗浄した前記基板ホルダを乾燥させるためのホルダ乾燥槽と、前記ホルダ洗浄槽と前記ホルダ乾燥槽との間で前記基板ホルダを搬送するための搬送装置と、を備える。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13