(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、硬化物、積層体及び物品
(51)【国際特許分類】
C08F 2/44 20060101AFI20240717BHJP
C08F 292/00 20060101ALI20240717BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20240717BHJP
B32B 27/20 20060101ALI20240717BHJP
C09D 133/08 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
C08F2/44 A
C08F292/00
B32B27/30 A
B32B27/20 Z
C09D133/08
(21)【出願番号】P 2023541265
(86)(22)【出願日】2022-10-27
(86)【国際出願番号】 JP2022040068
(87)【国際公開番号】W WO2023171023
(87)【国際公開日】2023-09-14
【審査請求日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】P 2022035075
(32)【優先日】2022-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100215935
【氏名又は名称】阿部 茂輝
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【氏名又は名称】宮本 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【氏名又は名称】成田 友紀
(72)【発明者】
【氏名】海野 晃生
【審査官】渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-181580(JP,A)
【文献】特表2009-509023(JP,A)
【文献】特表2021-534308(JP,A)
【文献】特開2014-126814(JP,A)
【文献】特開2000-053797(JP,A)
【文献】特開2000-072832(JP,A)
【文献】特開2020-149985(JP,A)
【文献】国際公開第2008/133472(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F、C08L
B32B27
C09D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機微粒子(A)と、分子内に少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B)と、第1の光開始剤(C-1)と、前記第1の光重合開始剤(C-1)と異なる構造を有する第2の光重合開始剤(C-2)とを含有し、
前記化合物(B)は、水酸基を有する化合物(B-1)と、水酸基を有しない化合物(B-2)とを含み、
前記水酸基を有する化合物(B-1)は、グリセリンジアクリレート、又はペンタエリスリトール-アクリル酸反応物であり、
前記水酸基を有しない化合物(B-2)は、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスルトール-アクリル酸反応物、及び1,9-ノナンジオールジアクリレートからなる群より選択される少なくとも1種以上の化合物であり、
前記第1の光重合開始剤(C-1)は、ベンゾフェノン、又は4-メチルベンゾフェノンであり、
前記第2の光重合開始剤(C-2)は、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンであり、
前記水酸基を有する化合物(B-1)の水酸基価が、100~223mgKOH/gの範囲である、コーティング剤用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記無機微粒子(A)の平均粒子径が、1~150nmの範囲である請求項1記載のコーティング剤用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記第1の光重合開始剤(C-1)の配合量に対する前記第2の光重合開始剤(C-2)の配合量[(C-1)/(C-2)]が3/1~99/1の範囲である請求項1記載のコーティング剤用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記化合物(B)の含有量が、前記無機微粒子(A)及び前記化合物(B)の合計質量に対して10~50質量%の範囲である請求項1記載のコーティング剤用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
前記無機微粒子(A)が、シリカ又は酸化ジルコニウムである請求項1記載のコーティング剤用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか一項記載のコーティング剤用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物。
【請求項7】
基材の片面又は両面に請求項1~
5のいずれか一項記載のコーティング剤用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化塗膜を有する積層体。
【請求項8】
前記基材が、環状オレフィン系基材又は線状オレフィン系基材である請求項
7記載の積層体。
【請求項9】
前記基材がフィルム状である請求項
7記載の積層体。
【請求項10】
請求項
8記載の積層体を表面に有する物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、硬化物、積層体及び物品に関する。
【背景技術】
【0002】
(メタ)アクリロイル基を有する樹脂材料は、活性エネルギー線照射等により容易かつ瞬時に硬化させることができることに加え、硬化物の透明性や硬度等に優れることから、塗料やコーティング剤等の分野で広く用いられている。その塗工対象物は、光学フィルム、プラスチック成型品、木工品等多岐に渡っており、塗工対象物の種類や用途等に応じて要求性能も様々であることから、目的に応じて設計された樹脂が数多く提案されている。
【0003】
(メタ)アクリロイル基を有する樹脂材料としては、(メタ)アクリロイル基含有アクリル樹脂、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、及びペンタエリスリトールトリアクリレートを含有する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、前記活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物は、表面硬度と低硬化収縮性とのバランスに優れ、比較的薄いプラスチックフィルムを塗工対象とするコート剤として有用であるものの、フィルム基材への密着性、特に実用の使用場面を想定した促進耐光試験後の密着性が低く、剥がれが生じやすいという問題があった。
【0004】
そこで、促進耐光試験後にも優れた基材密着性を有し、かつ、コーティング剤として使用可能な貯蔵安定性、耐擦傷性、及び耐薬品性に優れた材料が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、優れた基材密着性及び貯蔵安定性を有し、かつ、硬化物における優れた耐擦傷性及び耐薬品性を有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、硬化物、積層体及び物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、無機微粒子と、分子内に少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物と、少なくとも2種の光開始剤とを含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の態様を包含するものである。
[1]無機微粒子(A)と、分子内に少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B)と、第1の光開始剤(C-1)と、前記第1の光重合開始剤(C-1)と異なる構造を有する第2の光重合開始剤(C-2)とを含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
[2]前記無機微粒子(A)の平均粒子径が、1~150nmの範囲である[1]の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
[3]前記化合物(B)が分子内に水酸基をさらに有する化合物であり、前記化合物(B)の水酸基価が、100~300mgKOH/gの範囲である[1]又は[2]の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
[4]前記第1の光重合開始剤(C-1)の配合量に対する前記第2の光重合開始剤(C-2)の配合量[(C-1)/(C-2)]が3/1~99/1の範囲である[1]~[3]のいずれかの活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
[5]前記第1の光重合開始剤(C-1)が水素引き抜き型光重合開始剤であり、前記第2の光重合開始剤(C-2)が分子内開裂型光重合開始剤である[1]~[4]のいずれかの記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
[6]前記第1の光重合開始剤(C-1)がベンゾフェノン又は4-メチルベンゾフェノンである[1]~[5]のいずれかの活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
[7]前記化合物(B)の含有量が、前記無機微粒子(A)及び前記化合物(B)の合計質量に対して10~50質量%の範囲である[1]~[6]のいずれかの活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
[8]前記無機微粒子(A)が、シリカ又は酸化ジルコニウムである[1]~[7]のいずれかの活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
[9]前記化合物(B)が、一分子中に2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である[1]~[8]のいずれかの活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
[10][1]~[9]のいずれかの活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物。
[11]基材の片面又は両面に[1]~[9]のいずれか一項記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化塗膜を有する積層体。
[12]前記基材が、環状オレフィン系基材又は線状オレフィン系基材である[11]の積層体。
[13]前記基材がフィルム状である[11]又は[12]の積層体。
[14][12]又は[13]のいずれかの積層体を表面に有する物品。
【発明の効果】
【0009】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、基材密着性、貯蔵安定性、耐擦傷性及び耐薬品性に優れることから、コーティング剤や接着剤として用いることができ、特にコーティング剤として好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成(以下、単に「組成物」ともいう)は、無機微粒子(A)と、分子内に少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B)と、第1の光開始剤(C-1)、及び前記第1の光開始剤(C-1)と異なる構造を有する第2の光開始剤(C-2)とを含有するものであることを特徴とする。
【0011】
なお、本発明において、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及び/又はメタクリロイルを意味する。また、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。さらに、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味する。
【0012】
本発明で用いることのできる無機微粒子(A)としては、例えば、酸化ジルコニウム、シリカ、硫酸バリウム、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、酸化セリウム、アルミナ、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステン、アンチモン等が挙げられる。これらの無機微粒子は、単独で用いることも2種以上を併用することできる。また、これらの中でも、優れた基材密着性及び耐擦傷性を有する硬化物を形成可能な活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が得られることから、シリカ、酸化ジルコニウムが好ましい。
【0013】
無機微粒子(A)の市販品としては、例えば、日産化学株式会社製IPA-ST、IPA-ST-L、IPA-ST-ZL、EG-ST、PGM-ST、DMAC-ST、MEK-ST-40、MEK-ST-L、MEK-ST-ZL、MIBK-S T、MIBK-ST-L、CHO-ST-M、EAC-ST、PMA-ST、TOL-ST等が挙げられる。
【0014】
無機微粒子(A)は、粒子表面に(メタ)アクリロイル基を有するものを用いても良く、市販品としては、例えば、日産化学株式会社製「MEK-AC-2140Z」、「MEK-AC-4130Y」、「MEK-AC-5140Z」、「PGM-AC-2140Y」、「PGM-AC-4130Y」、「MIBK-AC-2140Z」、「MIBK-SD-L」、日揮触媒化成株式会社製「V-8802」、「V-8804」等が挙げられる。
【0015】
また、無機微粒子(A)としては、ヒュームドシリカを湿式ビーズミルなどで湿式分散することにより得られる湿式分散ナノシリカ等を用いることもできる。
【0016】
前記ヒュームドシリカとしては、例えば、日本アエロジル株式会社製「アエロジル7200」、「アエロジル8200」、「アエロジル9200」、「アエロジル#200」等が挙げられる。
【0017】
これらの無機微粒子(A)は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0018】
前記無機微粒子(A)としては、貯蔵安定性に優れ、高い基材密着性、耐擦傷性及び耐薬品性を有する硬化物を形成可能な組成物が得られることから、平均一次粒子径が1~150nmの範囲のものが好ましく、10~140nmの範囲のものがより好ましく、30~120nmの範囲のものが特に好ましい。なお、本発明において、平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡または走査型電子顕微鏡により複数個の無機微粒子について径を測定し、その平均値を算出することにより得られるものである。
【0019】
前記無機微粒子(A)の含有量は、貯蔵安定性に優れ、高い基材密着性、耐擦傷性及び耐薬品性を有する硬化物を形成可能な組成物が得られることから、前記無機微粒子(A)及び前記化合物(B)の合計質量中に10~90質量%の範囲であることが好ましく、20~80質量%の範囲であることがより好ましく、30~70質量%の範囲であることが特に好ましい。
【0020】
分子内に少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B)としては、例えば、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ化フェニルフェノール(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニルベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、等の単官能(メタ)アクリレート;
【0021】
1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFのエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンのプロピレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンのエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート3-メチル-1,5ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,3-[(メタ)アクリロイルオキシメチル]ノルボルナン、2,5-[(メタ)アクリロイルオキシメチル]ノルボルナン、2,6-[(メタ)アクリロイルオキシメチル]ノルボルナン、1,3-アダマンチルジ(メタ)アクリレート、1,3-ビス[(メタ)アクリロイルオキシメチル]アダマンタン、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]-2,4,8,10-テトラオキソスピロ[5.5]ウンデカン、グリセリンジアクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート;
【0022】
グリセリントリアクリレート、EO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、PO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、EO変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、(EO)或いは(PO)変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、(EO)或いは(PO)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート等の3官能(メタ)アクリレート;
【0023】
ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、(EO)或いは(PO)変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の4官能(メタ)アクリレート;
【0024】
ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、(EO)或いは(PO)変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の5官能(メタ)アクリレート;
【0025】
ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、(EO)或いは(PO)変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の6官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0026】
さらに、分子内に少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B)として、デンドリマー型(メタ)アクリレート樹脂、アクリル(メタ)アクリレート樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂等を使用することもできる。
【0027】
前記デンドリマー型(メタ)アクリレート樹脂とは、規則性のある多分岐構造を有し、各分岐鎖の末端に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂のことをいい、デンドリマー型の他、ハイパーブランチ型或いはスターポリマーなどと呼ばれている。前記デンドリマー型(メタ)アクリレート樹脂の市販品としては、例えば、大阪有機化学株式会社製「ビスコート#1000」[重量平均分子量(Mw)1,500~2,000、一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数14]、「ビスコート#1020」[重量平均分子量(Mw)1,000~3,000]、「SIRIUS501」[重量平均分子量(Mw)15,000~23,000]、MIWON社製「SP-1106」[重量平均分子量(Mw)1,630、一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数18]、SARTOMER社製「CN2301」、「CN2302」[一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数16]、「CN2303」[一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数6]、「CN2304」[一分子あたりの平均(メタ)アクリロイル基数18]、新日鉄住金化学株式会社製「エスドリマーHU-22」、新中村化学株式会社製「A-HBR-5」、第一工業製薬株式会社製「ニューフロンティアR-1150」、日産化学株式会社製「ハイパーテックUR-101」等が挙げられる。
【0028】
前記アクリル(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、水酸基やカルボキシル基、イソシアネート基、グリシジル基等の反応性官能基を有する(メタ)アクリレート化合物(α)を必須の成分として重合させて得られるアクリル樹脂中間体に、これらの官能基と反応し得る反応性官能基を有する(メタ)アクリレート化合物(β)を更に反応させることにより(メタ)アクリロイル基を導入して得られるものが挙げられる。
【0029】
前記反応性官能基を有する(メタ)アクリレート化合物(α)は、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレートモノマー;(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレートモノマー;2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1-ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等のイソシアネート基含有(メタ)アクリレートモノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル等のグリシジル基含有(メタ)アクリレートモノマー等が挙げられる。これらは単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0030】
前記アクリル樹脂中間体は、前記(メタ)アクリレート化合物(α)の他、必要に応じてその他の重合性不飽和基含有化合物を共重合させたものであってもよい。前記その他の重合性不飽和基含有化合物は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環式構造含有(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチルアクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリレート;3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシリル基含有(メタ)アクリレート;スチレン、α-メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン誘導体等が挙げられる。これらは単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0031】
前記アクリル樹脂中間体は、一般的なアクリル樹脂と同様の方法にて製造することができる。製造条件の一例としては、例えば、重合開始剤の存在下、60℃~150℃の温度領域で各種モノマーを重合させることにより製造することができる。重合の方法は、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等が挙げられる。また、重合様式は、例えば、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等が挙げられる。溶液重合法で行う場合には、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒や、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル溶媒を好ましく用いることができる。
【0032】
前記(メタ)アクリレート化合物(β)は、前記(メタ)アクリレート化合物(α)が有する反応性官能基と反応し得るものであれば特に限定されないが、反応性の観点から以下の組み合わせであることが好ましい。即ち、前記(メタ)アクリレート化合物(α)として水酸基含有(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレート化合物(β)としてイソシアネート基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレート化合物(α)としてカルボキシル基含有(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレート化合物(β)としてグリシジル基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレート化合物(α)としてイソシアネート基含有(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレート化合物(β)として水酸基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレート化合物(α)としてグリシジル基含有(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレート化合物(β)としてカルボキシル基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレート化合物(β)は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0033】
前記アクリル樹脂中間体と(メタ)アクリレート化合物(β)との反応は、例えば、該反応がエステル化反応である場合には、60~150℃の温度範囲で、トリフェニルホスフィン等のエステル化触媒を適宜用いるなどの方法が挙げられる。また、該反応がウレタン化反応である場合には、50~120℃の温度範囲で、アクリル樹脂中間体に化合物(β)を滴下しながら反応させる等の方法が挙げられる。両者の反応割合は、前記アクリル樹脂中間体中の官能基数1モルに対し、前記(メタ)アクリレート化合物(β)を1.0~1.1モルの範囲で用いることが好ましい。
【0034】
前記エポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸又はその無水物を反応させて得られるものが挙げられる。前記エポキシ樹脂は、例えば、ヒドロキノン、カテコール等の2価フェノールのジグリシジルエーテル;3,3’-ビフェニルジオール、4,4’-ビフェニルジオール等のビフェノール化合物のジグリシジルエーテル;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールB型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;1,4-ナフタレンジオール、1,5-ナフタレンジオール、1,6-ナフタレンジオール、2,6-ナフタレンジオール、2,7-ナフタレンジオール、ビナフトール、ビス(2,7-ジヒドロキシナフチル)メタン等のナフトール化合物のポリグリジシルエーテル;4,4’,4”-メチリジントリスフェノール等のトリグリシジルエーテル;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;前記各種のエポキシ樹脂の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;前記各種のエポキシ樹脂の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等が挙げられる。
【0035】
前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、ポリイソシアネートと、水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物との反応生成物が挙げられる。ポリイソシアネートとしては、例えば、ブタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;ノルボルナンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート化合物;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチルビフェニル、o-トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;これらのイソシアヌレート変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体等を用いることができる。
水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;これら化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体や、上記各種の水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等を用いることができる。
【0036】
これら分子内に少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B)は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0037】
これらの中でも、前記化合物(B)としては、一分子中に少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物がより好ましい。単官能(メタ)アクリレートのみを使用した場合に比べて硬化後の架橋密度が向上し、耐擦傷性及び耐薬品性に優れた硬化物が得られる。
【0038】
さらに、前記化合物(B)は、分子内に水酸基を有していることが好ましく、水酸基価が、50~500mgKOH/gの範囲であることが好ましく、70~400mgKOH/gの範囲がより好ましく、100~300mgKOH/gが特に好ましい。ここでの水酸基価とは、水酸基価とは、化合物(B)として用いる化合物1gをアセチル化するとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数である。
【0039】
また化合物(B)は、水酸基を有する化合物(B-1)と、水酸基を有しない化合物(B-2)を併用しても構わない。その場合、水酸基を有する化合物(B-1)に対する水酸基を有しない化合物(B-2)の配合比率[(B-1)/(B-2)]は、1/100~90/10の範囲であることが好ましく、1/50~50/10の範囲であることがより好ましく、1/10~40/10の範囲であることが特に好ましい。
【0040】
水酸基価をこれらの範囲とすることで、貯蔵安定性に優れた組成物が得られ、組成物を硬化させた硬化物においても、基材密着性、耐擦傷性及び耐薬品性に優れる。
【0041】
前記化合物(B)の含有量は、優れた基材密着性、耐擦傷性及び耐薬品性を有する硬化物を形成可能な組成物が得られることから、前記無機微粒子(A)及び前記化合物(B)の合計質量に対して5~80質量%の範囲であることが好ましく、7~65質量%の範囲であることがより好ましく、10~50質量%の範囲であることが特に好ましい。
【0042】
さらに本発明の組成物は、互いに構造の異なる2種の光重合開始剤を少なくとも含有していれば良く、それら光重合開始剤の種類は特に限定されるものではない。異なる構造を有する2種の光重合開始剤は、(メタ)アクリレート化合物及び基材との反応性も異なることから、耐擦傷性、耐薬品性、および基材密着性の全てをバランスよく向上させることができる。
【0043】
2種類の光重合開始剤うち、一方を光重合第1の光開始剤(C-1)とし、他方を第2の光開始剤(C-2)として以下説明する。
【0044】
第1の光重合開始剤(C-1)の配合量に対する第2の光重合開始剤(C-2)の配合量[(C-1)/(C-2)]は、1/1~99/1の範囲であることが好ましく、2/1~99/1の範囲であることがより好ましく、3/1~99/1の範囲であることが特に好ましい。これらの範囲とすることで、組成物の硬化物の基材密着性、耐擦傷性、及び耐薬品性が向上する。
【0045】
前記第1の光重合開始剤(C-1)としては、例えば水素引き抜き型光重合開始剤を用いても良い。水素引き抜き型光重合開始剤を用いることで、基材密着性が向上する。
【0046】
具体的には、ベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル-4-フェニルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系化合物;キサントン、2-イソプロピルキサントン、2,4-ジメチルキサントン、2,4-ジエチルキサントン、2,4-ジクロロキサントン等のキサントン系化合物;ポリブチレングリコールビス(4-ベンゾイルフェノキシ)アセテート等のベンゾフェノン骨格を持つポリマー等が挙げられる。中でも、基材密着性向上の観点から、ベンゾフェノン又は4-メチルベンゾフェノンがより好ましい。
【0047】
これらの第1の光重合開始剤(C-1)は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0048】
前記第2の光重合開始剤(C-2)としては、例えば分子内開裂型光重合開始剤を用いても良い。分子内開裂型光重合開始剤を用いることで、(メタ)アクリレ-ト化合物との反応性に優れ、得られた硬化物中の未反応(メタ)アクリレ-ト化合物が少なく、架橋密度が向上し、組成物の硬化物の耐擦傷性が向上する。
【0049】
具体的には、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、チオキサントン及びチオキサントン誘導体、2,2’-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ジフェニル(2,4,6-トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、等が挙げられる。これらの第2の光重合開始剤(C-2)は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0050】
第1の光重合開始剤(C-1)及び第2の光重合開始剤(C-2)の合計配合量は、本発明の組成物中の有機溶剤を除いた成分100質量部に対して0.05~20質量部の範囲で用いることが好ましく、0.1~10質量部の範囲で用いることがより好ましく、1~6質量部の範囲で用いることが特に好ましい。これらの範囲とすることで、組成物の貯蔵安定性、硬化物の耐擦傷性及び耐薬品性が向上し、硬化物の黄変を防ぐことができる
【0051】
また、前記光重合開始剤は、アミン化合物、尿素化合物、含硫黄化合物、含燐化合物、含塩素化合物、ニトリル化合物等の光増感剤を併用することもできる。
【0052】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、前記化合物(B)以外のその他の活性エネルギー線硬化性を有する樹脂成分を本発明の効果を損なわない範囲で併用することもできる。なお、前記無機微粒子(A)、前記化合物(B)、第1の光重合開始剤(C-1)、及び前記第2の光重合開始剤(C-2)の合計含有量は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の固形分中に50質量%以上が好ましい。
【0053】
また、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、紫外線吸収剤、重合禁止剤、酸化防止剤、有機溶剤、無機質充填材やポリマー微粒子、顔料、消泡剤、粘度調整剤、レベリング剤、難燃剤、保存安定化剤等の各種添加剤を含有することもできる。
【0054】
前記紫外線吸収剤としては、例えば、2-[4-{(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ}-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-{(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ}-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等のトリアジン誘導体、2-(2’-キサンテンカルボキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-o-ニトロベンジロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-キサンテンカルボキシ-4-ドデシロキシベンゾフェノン、2-o-ニトロベンジロキシ-4-ドデシロキシベンゾフェノン等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0055】
前記重合禁止剤としては、例えば、p-メトキシフェノール、p-メトキシクレゾール、4-メトキシ-1-ナフトール、4,4’-ジアルコキシ-2,2’-ビ-1-ナフトール、3-(N-サリチロイル)アミノ-1,2,4-トリアゾール、N’1,N’12-ビス(2-ヒドロキシベンゾイル)ドデカンジヒドラジド、スチレン化フェノール、N-イソプロピル-N’-フェニルベンゼン-1,4-ジアミン、6-エトキシ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン等のフェノール化合物、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、p-ベンゾキノン、メチル-p-ベンゾキノン、2,5-ジフェニルベンゾキノン、2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン、アントラキノン、ジフェノキノン等のキノン化合物、メラミン、p-フェニレンジアミン、4-アミノジフェニルアミン、N.N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N-i-プロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1.3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、4,4’-ジクミル-ジフェニルアミン、4,4’-ジオクチル-ジフェニルアミン、ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン)、スチレン化ジフェニルアミン、スチレン化ジフェニルアミンと2,4,4-トリメチルペンテンの反応生成物、ジフェニルアミンと2,4,4-トリメチルペンテンの反応生成物等のアミン化合物、フェノチアジン、ジステアリルチオジプロピオネート、2,2-ビス({[3-(ドデシルチオ)プロピオニル]オキシ}メチル)-1,3-プロパンジイル=ビス[3-(ドデシルチオ)プロピオナート]、ジトリデカン-1-イル=3,3’-スルファンジイルジプロパノアート等のチオエーテル化合物、N-ニトロソジフェニルアミン、N-ニトロソフェニルナフチルアミン、p-ニトロソフェノール、ニトロソベンゼン、p-ニトロソジフェニルアミン、α-ニトロソ-β-ナフトール等、N、N-ジメチルp-ニトロソアニリン、p-ニトロソジフェニルアミン、p-ニトロンジメチルアミン、p-ニトロン-N、N-ジエチルアミン、N-ニトロソエタノールアミン、N-ニトロソジ-n-ブチルアミン、N-ニトロソ-N-n-ブチル-4-ブタノールアミン、N-ニトロソ-ジイソプロパノールアミン、N-ニトロソ-N-エチル-4-ブタノールアミン、5-ニトロソ-8-ヒドロキシキノリン、N-ニトロソモルホリン、N-二トロソーN-フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、二トロソベンゼン、N-ニトロソ-N-メチル-p-トルエンスルホンアミド、N-ニトロソ-N-エチルウレタン、N-ニトロソ-N-n-プロピルウレタン、1-ニトロソ-2-ナフトール、2-ニトロソ-1-ナフトール、1-ニトロソ-2-ナフトール-3,6-スルホン酸ナトリウム、2-ニトロソ-1-ナフトール-4-スルホン酸ナトリウム、2-ニトロソ-5-メチルアミノフェノール塩酸塩、2-ニトロソ-5-メチルアミノフェノール塩酸塩等のニトロソ化合物、リン酸とオクタデカン-1-オールのエステル、トリフェニルホスファイト、3,9-ジオクタデカン-1-イル-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、トリスノニルフェニルホスフィト、亜リン酸-(1-メチルエチリデン)-ジ-4,1-フェニレンテトラ-C12-15-アルキルエステル、2-エチルヘキシル=ジフェニル=ホスフィット、ジフェニルイソデシルフォスファイト、トリイソデシル=ホスフィット、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト等のホスファイト化合物、ビス(ジメチルジチオカルバマト-κ(2)S,S’)亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチル・ジチオカルバミン酸亜鉛等の亜鉛化合物、ビス(N,N-ジブチルカルバモジチオアト-S,S’)ニッケル等のニッケル化合物、1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-チオン、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、2-メチル-4,6-ビス[(オクタン-1-イルスルファニル)メチル]フェノール、ジラウリルチオジプロピオン酸エステル、3,3’-チオジプロピオン酸ジステアリル等の硫黄化合物などが挙げられる。これらの重合禁止剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0056】
前記酸化防止剤としては、前記重合禁止剤で例示した化合物と同様のものを用いることができ、前記酸化防止剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0057】
また、前記重合禁止剤、及び前記酸化防止剤の市販品としては、例えば、和光純薬工業株式会社製「Q-1300」、「Q-1301」、住友化学株式会社製「スミライザーBBM-S」、「スミライザーGA-80が」等が挙げられる。
【0058】
前記有機溶剤としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、t-ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、カルビトール、セロソルブ等のアルコールエーテル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶剤;トルエン、キシレン、ジブチルヒドロキシトルエン等の芳香族溶剤などが挙げられる。有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0059】
前記無機質充填材としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素、水酸化アルミ等が挙げられる。これらの無機質充填材は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0060】
前記顔料としては、公知慣用の無機顔料や有機顔料を使用することができる。
【0061】
前記無機顔料としては、例えば、白色顔料、アンチモンレッド、ベンガラ、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛等が挙げられる。これらの無機顔料は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0062】
前記白色顔料としては、例えば、酸化チタン,酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、シリカ、タルク、マイカ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、中空樹脂粒子、硫化亜鉛等が挙げられる。これらの白色顔料は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0063】
前記有機顔料としては、例えば、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、ジオキサジン顔料、フタロシアニン顔料、アントラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ペリレン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ペリノン顔料、キノフタロン顔料、アントラキノン顔料、チオインジゴ顔料、ベンツイミダゾロン顔料、アゾ顔料等が挙げられる。これらの有機顔料は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0064】
前記消泡剤としては、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤等が挙げられる。これらの消泡剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0065】
前記粘度調整剤としては、例えば、アルカリ性に調整することによって増粘可能なアクリル重合体や合成ゴムラテックス、分子が会合することによって増粘可能なウレタン樹脂、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、水添加ヒマシ油、アマイドワックス、酸化ポリエチレン、金属石鹸、ジベンジリデンソルビトール等が挙げられる。これらの粘度調整剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0066】
前記レベリング剤としては、例えば、シリコーン系化合物、アセチレンジオール系化合物、フッ素系化合物等が挙げられる。これらのレベリング剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0067】
前記難燃剤としては、例えば、赤リン、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等のリン酸アンモニウム、リン酸アミド等の無機リン化合物;リン酸エステル化合物、ホスホン酸化合物、ホスフィン酸化合物、ホスフィンオキシド化合物、ホスホラン化合物、有機系含窒素リン化合物、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド、10-(2,5―ジヒドロオキシフェニル)-10H-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド、10-(2,7-ジヒドロオキシナフチル)-10H-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド等の環状有機リン化合物、及びそれをエポキシ樹脂やフェノール樹脂等の化合物と反応させた誘導体等の有機リン化合物;トリアジン化合物、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物、フェノチアジン等の窒素系難燃剤;シリコーンオイル、シリコーンゴム、シリコーン樹脂等のシリコーン系難燃剤;金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩化合物、金属粉、ホウ素化合物、低融点ガラス等の無機難燃剤などが挙げられる。これらの難燃剤は、単独でも用いることも2種以上を併用することもできる。
【0068】
本発明の硬化物は、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に、活性エネルギー線を照射することで得ることができる。前記活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線が挙げられる。また、前記活性エネルギー線として、紫外線を用いる場合、紫外線による硬化反応を効率よく行う上で、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で照射してもよく、空気雰囲気下で照射してもよい。
【0069】
紫外線発生源としては、実用性、経済性の面から紫外線ランプが一般的に用いられている。具体的には、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ガリウムランプ、メタルハライドランプ、太陽光、LED等が挙げられる。
【0070】
前記活性エネルギー線の積算光量は、特に制限されないが、0.1~50kJ/m2であることが好ましく、0.3~20kJ/m2であることがより好ましい。積算光量が上記範囲であると、未硬化部分の発生の防止又は抑制ができることから好ましい。
【0071】
なお、前記活性エネルギー線の照射は、一段階で行ってもよいし、二段階以上に分けて行ってもよい。
【0072】
本発明の積層体は、基材の片面または両面に前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化塗膜を有するものであり、前記基材上に前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗布し、活性エネルギー線を照射して硬化させることにより得ることができる。
【0073】
前記基材としては、例えば、環状オレフィン系基材、線状オレフィン系基材等が挙げられる。また、前記基材はフィルム状であってもよい。
【0074】
前記硬化塗膜の形成方法としては、例えば、塗装法、転写法、シート接着法等が挙げられる。
【0075】
前記塗装法とは、前記塗料をスプレーコートするか、もしくはカーテンコーター、ロールコーター、グラビアコーター等の印刷機器を用いて成形品にトップコートとして塗装した後、活性エネルギー線を照射して硬化させる方法である。
【0076】
前記転写法とは、離型性を有する基体シート上に前記した活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗布して得られる転写材を成形品表面に接着させた後、基体シートを剥離して成型品表面にトップコートを転写し、次いで活性エネルギー線を照射し硬化させる方法、又は、該転写材を成形品表面に接着させた後、活性エネルギー線を照射して硬化させ、次いで基体シートを剥離する事により成型品表面にトップコートを転写する方法である。
【0077】
前記シート接着法とは、基体シート上に前記の硬化性組成物からなる塗膜を有する保護シート、又は、基体シート上に硬化性組成物からなる塗膜と加飾層とを有する保護シートをプラスチック成形品に接着することにより、成形品表面に保護層を形成する方法である。
【0078】
前記シート接着法は、具体的には、予め作製しておいた保護層形成用シートの基体シートと成形品とを接着させた後、加熱により熱硬化せしめてB-ステージ化してなる樹脂層の架橋硬化を行う方法(後接着法)や、前記保護層形成用シートを成形金型内に挟み込み、キャビテイ内に樹脂を射出充満させ、樹脂成形品を得るのと同時にその表面と保護層形成用シートを接着させ後、加熱により熱硬化させて樹脂層の架橋硬化を行う方法(成形同時接着法)等が挙げられる。
【0079】
ここで、前記基材として、フィルム状の環状オレフィン系基材又は線状オレフィン系基材を用いる場合、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を前記フィルム状の環状オレフィン系基材又は線状オレフィン系基材上に塗布する際の塗布量は、硬化後の膜厚が1~100μmの範囲となるように調整することが好ましい。また、この際の塗工方法としては、例えば、バーコーター塗工、ダイコート塗工、スプレーコート塗工、カーテンコート塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷法等が挙げられる。本発明の活性エネルギー線硬化性組成物が有機溶剤を含有する場合には、塗布後に40~120℃の条件下で数十秒~数分間加温して有機溶剤を揮発させたのち、活性エネルギー線を照射して前記活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させることが好ましい。
【0080】
本発明の積層体は、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなる硬化塗膜以外に、その他の層構成を有していてもよい。これら各種の層構成の形成方法は特に限定されず、例えば、樹脂原料を直接塗布して形成しても良いし、予めシート状になっているものを接着剤にて貼り合せても良い。
【0081】
本発明の物品としては、前記積層体を表面に有するものである。前記物品としては、例えば、携帯電話、家電製品、自動車内外装材、OA機器等のプラスチック成形品など各種製品が挙げられる。
【実施例】
【0082】
以下、実施例と比較例とにより、本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、以下に挙げた実施例に限定されるものではない。
【0083】
なお、本実施例において、重量平均分子量(Mw)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用い、下記の条件により測定した値である。
【0084】
測定装置 ; 東ソー株式会社製「HLC-8220」
カラム ; 東ソー株式会社製「ガードカラムHXL-H」
+東ソー株式会社製「TSKgel G5000HXL」
+東ソー株式会社製「TSKgel G4000HXL」
+東ソー株式会社製「TSKgel G3000HXL」
+東ソー株式会社製「TSKgel G2000HXL」
検出器 ; RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「SC-8010」
測定条件: カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 ;ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
【0085】
(実施例1:活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1)の調製)
シリカ微粒子(日産化学株式会社製「MEK-ST-ZL」、メチルエチルケトン分散シリカゾル、一次平均粒子径:70~100nm、シリカを30質量%含有)96.7質量部、グリセリンジアクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM-920」、水酸基価223mgKOH/g)11.0質量部、ジペンタエリスリトールペンタアクリレ-トとジペンタエリスリトールヘキサアクリレ-トの混合物(東亞合成株式会社製「ルミキュアDPA-600」)5.0質量部、1,9-ノナンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製「ビスコート#260」)5.0質量部、4-メチルベンゾフェノン(IGM Resins社製「Omnirad-4MBZ Flakes」)1.5質量部を配合し、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IGM Resins社製「Omnirad-184」)0.2質量部を配合し、プロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈することにより、不揮発分30質量%の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1)を得た。
【0086】
(実施例2~8:活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2)~(8)の調製)
表1及び2に示す組成及び配合で実施例1と同様の方法にて、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2)~(8)を得た。
【0087】
(比較例1~4:活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(R1)~(R4)の調製)
表2に示す組成及び配合で実施例1と同様の方法にて、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(R1)~(R4)を得た。
【0088】
上記の実施例及び比較例で得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(1)~(8)、及び(R1)~(R4)の固形分組成比率を表1に示す。
【0089】
【0090】
【0091】
なお、表1及び2における質量部の記載は、全て固形分値である。
【0092】
表1及び2中の「MEK-ST-ZL」は、日産化学株式会社製「MEK-ST-ZL」(メチルエチルケトン分散シリカゾル、一次平均粒子径:70~100nm)を示す。
【0093】
表1及び2中の「MEK-ST-40」は、日産化学株式会社製「MEK-ST-40」(ゾルゲルシリカ、一次平均粒子径:12nm)を示す。
【0094】
表1及び2中の「PGM-AC-4130Y」は、日産化学株式会社製「PGM-AC-4130Y」(粒子表面にメタクリロイル基を有するシリカ微粒子、一次平均粒子径:40~50nm)を示す。
【0095】
表1及び2中の「SZR-GM」は、堺化学工業株式会社製「SZR-GM」(酸化ジルコニア粒子分散液、平均粒径8nm、メタノール溶液)を示す。
【0096】
表1及び2中の「アロニックスM-920」は、東亞合成株式会社製「アロニックスM-920」(グリセリンジアクリレート、水酸基価223mgKOH/g)を示す。
【0097】
表1及び2中の「アロニックスM-306」は、東亞合成株式会社製「アロニックスM-306」(ペンタエリスリトールとアクリル酸の反応生成物、水酸基価160mgKOH/g)を示す。
【0098】
表1及び2中の「アロニックスM-309」は、東亞合成株式会社製「アロニックスM-309」(トリメチロールプロパントリアクリレート)を示す。
【0099】
表1及び2中の「ルミキュアDPA-600」は、東亞合成株式会社製「ルミキュアDPA-600」(ジペンタエリスリトールとアクリル酸の反応生成物)を示す。
【0100】
表1及び2中の「ビスコート#260」は、大阪有機化学工業株式会社製「ビスコート#260」(1,9-ノナンジオールジアクリレート)を示す。
【0101】
表1及び2中の「KRM 8200」は、ダイセル・オルネクス株式会社製「KRM 8200」(6官能ウレタンアクリレート)を示す。
【0102】
表1及び2中の「Omnirad-4MBZ」は、IGM Resins社製「Omnirad-4MBZ Flakes」(4-メチルベンゾフェノン)を示す。
【0103】
表1及び2中の「Omnirad-BP Flakes」は、IGM Resins社製「Omnirad-BP Flakes」(ベンゾフェノン)を示す。
【0104】
表1及び2中の「Omnirad-184」は、IGM Resins社製「Omnirad-184」(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)を示す。
【0105】
表1及び2中の「Omnirad-DETX」は、IGM Resins社製「Omnirad-DETX」(2,4-ジエチルチオキサントン)を示す。
【0106】
表1及び2中の「PGM」は、プロピレングリコールモノメチルエーテルを示す。
【0107】
(実施例9~16:積層体(L-1)~(L-8)の作製)
実施例1~8で得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物をそれぞれ厚さ23μmのシクロオレフィンフィルム基材(日本ゼオン株式会社製「ZeonorFilm ZF14-023」、膜厚23μm)にバーコーターで塗布し、80℃で40秒間溶剤乾燥させた。次いで、窒素雰囲気下、80W高圧水銀ランプで紫外線を1.2kJ/m2照射し、シクロオレフィンフィルム上に膜厚2μmの硬化塗膜を有する積層体(L-1)~(L-8)を得た。
【0108】
(実施例17:積層体(L-9)の作製)
実施例1で得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を厚さ23μmのシクロオレフィンフィルム基材(日本ゼオン株式会社製「ZeonorFilm ZF14-100」、膜厚100μm)にバーコーターで塗布し、80℃で40秒間溶剤乾燥させた。次いで、窒素雰囲気下、80W高圧水銀ランプで紫外線を1.2kJ/m2照射し、シクロオレフィンフィルム上に膜厚2μmの硬化塗膜を有する積層体(L-9)を得た。
【0109】
(比較例5~8:積層体(L-10)~(L-13)の作製)
比較例1~4で得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用い、実施例9~16の積層体(L-1)~(L-8)の作製と同様の方法にて積層体(L-10)~(L-13)を得た。
【0110】
上記の実施例及び比較例で得られた積層体(L-1)~(L-13)を用いて、下記の評価を行った。
【0111】
[基材密着性(初期)の評価方法]
前記積層体の硬化塗膜表面にカッターナイフで切れ目を入れて、1mm×1mmの碁盤目を100個作成し、その上からセロハン粘着テープを貼着した後、急速に剥がす操作を行い、剥離せずに残存した碁盤目の数を数え、以下の基準に従い評価した。
【0112】
A:碁盤目の残存数が90個以上であった。
B:碁盤目の残存数が90個未満であった。
【0113】
[基材密着性(促進耐光試験後)の評価方法]
前記積層体を、耐候試験機(ATRAS社製「アトラスウェザオメータ CI4000」)を使用して、ブラックパネル温度63℃、湿度50%RH、放射照度60W/m2で120時間光照射した。その後、上述の基材密着性(初期)と同様の方法にて行い、以下の基準に従い評価した。
【0114】
A:碁盤目の残存数が90個以上であった。
B:碁盤目の残存数が90個未満であった。
【0115】
[耐擦傷性の評価方法]
スチールウール(日本スチールウール株式会社製「ボンスター#0000」)0.5gで直径2.4センチメートルの円盤状の圧子を包み、該圧子に1kg重の荷重をかけて、前記積層体の塗装表面を10往復させる磨耗試験を行った。磨耗試験前後の積層体のヘーズ値をスガ試験機株式会社製「ヘーズコンピュータHZ-2」を用いて測定し、それらの差の値(dH)を用いて、以下の基準に従い評価した。なお、差の値(dH)が小さいほど、擦傷に対する耐性が高い。
【0116】
A:dHが、1.0以下であった
B:dHが、1.0超~3.0以下であった。
C:dHが、3.0超であった。
【0117】
【0118】
【0119】
表3及び4中の「基材1」は、日本ゼオン株式会社製「ZeonorFilm ZF14-023」(膜厚23μm)を示す。
【0120】
表3中の「基材2」は、日本ゼオン株式会社製「ZeonorFilm ZF14-100」(膜厚100μm)を示す。
【0121】
表3に示した実施例9~17は、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を用いた積層体の例である。これらの積層体は、初期の基材密着性、及び促進耐光性試験後の基材密着性に関して優れることが確認でき、かつ、硬化物における優れた耐擦傷性及び耐薬品性を有することが確認できた。
【0122】
一方、表4に示した比較例5~7は、第1の光重合開始剤(C-1)又は第2の光重合開始剤(C-2)のいずれか一方を含有しない活性エネルギー線硬化性組成物を用いた積層体の例である。比較例5により得られた積層体は、硬化物における耐擦傷性及び耐薬品性に関して不十分であった。比較例6及び7により得られた積層体は、初期の基材密着性、及び促進耐光性試験後の基材密着性に関して不十分であり、比較例7により得られた積層体は、硬化物における耐薬品性も低下した。
【0123】
比較例8は、無機微粒子(A)を有しない活性エネルギー線硬化性組成物を用いた積層体の例である。この積層体は、初期の基材密着性、及び促進耐光性試験後の基材密着性に関して不十分であることが確認できた。