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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】発電デバイス
(51)【国際特許分類】
   H02N 11/00 20060101AFI20240717BHJP
   H02N 1/00 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
H02N11/00 Z
H02N1/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020032538
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021136803
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-01-09
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和元年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、戦略的創造研究推進事業「高出力環境発電のための革新的エレクトレット材料の創成」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000125370
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小澤 宜裕
(72)【発明者】
【氏名】松下 規由起
(72)【発明者】
【氏名】加納 一彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 優実
(72)【発明者】
【氏名】大塚 宏基
(72)【発明者】
【氏名】枝野 悠介
【審査官】服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-191481(JP,A)
【文献】国際公開第2008/053793(WO,A1)
【文献】特開2019-213296(JP,A)
【文献】特開2017-028868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 11/00
H02N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる極性に帯電した第1帯電面(21)及び第2帯電面(22)を有するエレクトレット(2)と、上記第1帯電面と一体的に形成された第1電極(31)と、上記第2帯電面と一体的に形成された第2電極(32)と、を有する発電部(10)と、
上記発電部の上記第1電極と上記第2電極との間に電気的に接続された、蓄電部(41)及び出力部(42)の少なくとも一方を含む給電部(4)と、を備えており、
上記エレクトレットは、バンドギャップエネルギが4eV以上である無機誘電体を含むエレクトレット材料が分極処理によりエレクトレット化したものであり、分極方向における一方の表面を上記第1帯電面とし、他方の表面を上記第2帯電面としており、
上記第1電極及び上記第2電極の少なくとも一方は、対応する上記第1帯電面及び上記第2帯電面の少なくとも一方において、電荷が蓄えられる集電面(20)となる一部を露出させた状態で、上記集電面に接して配置されている、発電デバイス(1)。
【請求項2】
上記無機誘電体は、リン酸イオンと水酸化物イオンとを含むアパタイト構造を有する無機化合物である、請求項1に記載の発電デバイス。
【請求項3】
上記無機誘電体は、異なる2種の金属元素A、Bを含み、組成式ABO3で表される複合酸化物を基本組成とし、アモルファス構造又はペロブスカイト構造を有する複合酸化物である、請求項1又は2に記載の発電デバイス。
【請求項4】
上記複合酸化物は、上記金属元素Aが、La、Y、Pr、Sm及びNdから選ばれる希土類元素Rであり、上記金属元素BがAlである、請求項3に記載の発電デバイス。
【請求項5】
上記複合酸化物は、上記金属元素A、Bのうちの少なくとも一方について、その一部が、異なる金属元素からなるドーパント元素にて置換された組成を有しており、
上記金属元素Aを置換する上記ドーパント元素は、アルカリ土類金属元素であり、上記金属元素Bを置換する上記ドーパント元素は、アルカリ土類金属元素及びZnから選ばれる1つ以上の元素である、請求項4に記載の発電デバイス。
【請求項6】
上記第1電極及び上記第2電極の少なくとも一方は、上記集電面に隣接する複数の電極部(30)の集合体からなり、
複数の上記電極部は、互いに電気的に接続されており、対応する上記第1帯電面及び上記第2帯電面の少なくとも一方において、複数の上記電極部が配置されない領域は、大気に露出して上記集電面を構成している、請求項1~5のいずれか1項に記載の発電デバイス。
【請求項7】
上記電極部は、ストライプ電極、環状電極、格子状電極、円弧状電極、円形電極及び矩形電極から選ばれる1つの電極形状又はそれに類似する電極形状を有し、
上記集電面を挟んで隣り合う複数の上記電極部の電極間隔(d)は、少なくとも一部が8mm以下である、請求項6に記載の発電デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトレットを用いた発電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
環境中に存在するエネルギを電力に変換するエネルギハーベスティング技術として、エレクトレットの静電誘導を利用して発電を行う環境発電素子の実用化が検討されている。エレクトレットの構成材料としては、フッ素樹脂等の有機高分子材料が一般的に用いられており、例えば、鎖状の含フッ素樹脂や主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体を用いたものが知られている。
【0003】
エレクトレットを用いた環境発電素子としては、固定電極上のエレクトレットに対向させた可動電極を振動させて、可動電極に誘起される電荷量を変化させ、電力として取り出す振動発電素子が提案されている。また、このような振動発電素子の各種分野への応用が種々検討されている。例えば、特許文献1には、一対の基板の対向面に含フッ素重合体を成膜してエレクトレットとし、一対の基板の一方を固定基板として、可動基板となる他方に対して相対運動させるように構成した静電誘導型変換素子を、センサやアクチュエータに適用することが開示されている。静電誘導型変換素子は、対向面にエレクトレットと導体が混在するように配置して、その面積割合を規定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4871642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような振動発電素子は、外部エネルギである振動によって、エレクトレットに対向する可動電極が相対運動し、エレクトレットと可動電極の間の静電容量が変動することにより発電可能となる。言い換えれば、振動発電素子を発電デバイスとして利用する場合には、センサやアクチュエータ等の負荷に接続しても、振動等の運動エネルギが外部から入力されない期間は、発電することができず、発電デバイスの利用環境が限られる。あるいは、環境振動を効率よく利用するために、特許文献1のようにエレクトレット及び導体の配置を工夫する必要があり、電極構成や可動電極の支持構造等が複雑となりやすい。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、エレクトレットを用いて、振動等の運動エネルギが外部から入力されない使用環境においても発電可能な発電デバイスを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、
異なる極性に帯電した第1帯電面(21)及び第2帯電面(22)を有するエレクトレット(2)と、上記第1帯電面と一体的に形成された第1電極(31)と、上記第2帯電面と一体的に形成された第2電極(32)と、を有する発電部(10)と、
上記発電部の上記第1電極と上記第2電極との間に電気的に接続された、蓄電部(41)及び出力部(42)の少なくとも一方を含む給電部(4)と、を備えており、
上記エレクトレットは、バンドギャップエネルギが4eV以上である無機誘電体を含むエレクトレット材料が分極処理によりエレクトレット化したものであり、分極方向における一方の表面を上記第1帯電面とし、他方の表面を上記第2帯電面としており、
上記第1電極及び上記第2電極の少なくとも一方は、対応する上記第1帯電面及び上記第2帯電面の少なくとも一方において、電荷が蓄えられる集電面(20)となる一部を露出させた状態で、上記集電面に接して配置されている、発電デバイス(1)にある。
【発明の効果】
【0008】
上記構成の発電デバイスにおいて、エレクトレットを構成する無機誘電体は、4eV以上の高いバンドギャップエネルギを有しており、分極処理時の絶縁破壊電圧を大きくすることができる。そのため、例えば、加熱条件下で高い電圧を印加することによって、高い表面電位を得ることができる。さらに、エレクトレットの両帯電面にそれぞれ電極を形成し、例えば、一方の電極を帯電面の一部を露出させた状態で配置して、蓄電部又は出力部に接続すると、電力を取り出せることが判明した。
【0009】
その理由は必ずしも明らかではないが、エレクトレットの高い表面電位により、露出する集電面に浮遊電荷等が固定される一方、エレクトレットを構成する無機誘電体の残留分極が経時的に変化することにより、電荷の移動が可能になると推測される。これにより、外部エネルギの入力がない期間においても、発電することが可能になり、発電部に可動部が不要となるので、より簡易な構成とすることができる。
【0010】
以上のごとく、上記態様によれば、エレクトレットを用いて、振動等の運動エネルギが外部から入力されない使用環境においても発電可能な発電デバイスを提供することができる。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態1における、発電デバイスの全体概略構成を示す模式図。
図2】実施形態1における、発電部を構成するエレクトレットの第1帯電面に形成される第1電極の配置例を示す模式図。
図3】実施形態1における、発電部の作動と切替スイッチ部の構成例を説明するための模式図。
図4】実施形態1における、発電デバイスの発電のメカニズムを説明するための模式図。
図5】実施形態1における、エレクトレットの分極方法を説明するための模式図。
図6】試験例1における、表面電位の測定方法を説明するための模式図。
図7】試験例1における、繰り返し測定した表面電位の時間変化を示すグラフ図。
図8】試験例1における、誘電電荷量の測定方法を説明するための模式図。
図9】試験例1における、誘電電荷量の時間変化を示すグラフ図。
図10】試験例2における、エレクトレット材料であるLAO系複合酸化物のCa置換量と表面電位の関係を示すグラフ図。
図11】実施形態2における、エレクトレットに形成される第1電極となる複数の電極部形状例を示す模式図。
図12】実施形態2における、エレクトレットに形成される第1電極となる複数の電極部の集合体構成例を示す模式図。
図13】試験例3における、エレクトレットに形成される複数の電極部の電極間隔と表面電位の関係を示す模式図及びグラフ図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
発電デバイスに係る実施形態1について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本形態の発電デバイス1は、エレクトレット2を用いた発電部10と、発電部10と電気的に接続される蓄電部41及び出力部42の少なくとも一方と、を備えている。蓄電部41及び出力部42は給電部4を構成し、発電部10の発電電力は給電部4を介して外部へ供給可能となっている。
【0013】
発電部10において、エレクトレット2は、異なる極性に帯電した第1帯電面21及び第2帯電面22を有している。第1帯電面21には第1電極31が形成され、第2帯電面22には第2電極32が形成される。
【0014】
エレクトレット2は、バンドギャップエネルギが4eV以上である無機誘電体を含むエレクトレット材料が分極処理によりエレクトレット化したものである。エレクトレット2に形成される第1電極31及び第2電極32の少なくとも一方は、対応する第1帯電面21及び第2帯電面22の少なくとも一方において、集電面20となる一部を露出させた状態で配置されている。
【0015】
このとき、エレクトレット2に集電面20が形成されると共に、集電面20に接する第1電極31と第2電極32の間に、蓄電部41又は出力部42が接続されることにより、集電面20に蓄積される電荷を取り出して蓄電部41に蓄電し、又は、出力部42を介して外部へ出力可能となる。
以下に、発電デバイス1に用いられるエレクトレット2の具体例について、詳述する。
エレクトレット2を用いた発電部10と発電デバイス1の具体的な構成例については、詳細を後述する。
【0016】
本形態のエレクトレット2を構成するエレクトレット材料は、バンドギャップエネルギが4eV以上である無機誘電体を主成分として含む。ここで、「主成分」とは、無機誘電体材料のみで構成されるエレクトレット材料であってもよいし、無機誘電体材料をエレクトレット材料とする過程において若干の他の成分が添加される場合があってもよいことを意味する。また、エレクトレット材料をエレクトレット2とする過程において、所望のエレクトレット特性が得られる範囲で、他の成分が添加される場合があってもよい。
【0017】
エレクトレット2は、このようなエレクトレット材料を分極処理してエレクトレット化したものである。「エレクトレット化」は、換言すれば、分極処理を施すことにより表面電位を発現させて帯電物質とすることである。ここでは、エレクトレット材料は、例えば、所定厚さの板状形状に成形されており、厚さ方向を分極方向Xとしてエレクトレット化することにより、表面に正極性又は負極性の電荷を保持して、周囲に静電場を提供するエレクトレット2が得られる。
【0018】
ここでは、図1中の上下方向を、エレクトレット2の分極方向Xとし、以降、分極方向Xの一方の表面を上表面、他方の表面を下表面として説明する。このとき、エレクトレット2は、上表面が第1帯電面21となり、下表面が第2帯電面22となって、互いに異なる極性に帯電した状態にある。また、エレクトレット2は、上表面の第1帯電面21において、その一部を大気に露出させた構成を有し、露出面を集電面20としている。下表面の第2帯電面22は露出面を有する構成となっていないが、一部が露出していてもよい。
【0019】
エレクトレット材料となる無機誘電体としては、例えば、リン酸イオンと水酸化物イオンとを含むアパタイト構造を有する無機化合物が用いられる。アパタイトとは、組成式M10(ZO46(X)2で表される化合物の総称であり、組成式中のZO4とXが、リン酸イオンと水酸化物イオンに対応する。代表的には、単位格子が六方晶系に分類されて、かつ空間群がP63/mであるような結晶構造を有し、非化学量論組成をとることも多い。リン酸イオンと水酸化物イオンとを含むアパタイト構造を有する無機化合物とは、組成式M10(PO46(OH)2で表される化合物であり、金属元素Mとしては、Ca等の2価のアルカリ土類金属元素が挙げられる。
【0020】
このような無機化合物を用いることによって、高い表面電位を持つエレクトレット2が得られ、高い電荷捕集量を実現可能となる。好適には、リン酸イオンと水酸化物イオンとを含むアパタイト構造を有する無機化合物として、ハイドロキシアパタイト(HA)が用いられる。ハイドロキシアパタイトは、化学量論を満たしている場合の組成式が(Ca10(PO46(OH)2)であり、単位格子が六方晶系に分類されて、かつ空間群がP63/mであるような結晶構造を有する化合物である。
【0021】
好適には、無機誘電体材料となる無機化合物は、アパタイト構造における水酸化物イオンの含有量が、量論比よりも少ないことが好ましい。ハイドロキシアパタイトは、水酸化物イオンとリン酸イオンとを有する原料粉末を、例えば、1250℃を超え1500℃未満の温度で焼成することにより、六方晶ハイドロキシアパタイトの結晶構造となり、その過程で、水酸化物イオンの含有量が、量論比よりも低減する。これは、ハイドロキシアパタイトが加熱されることによって水酸基からの脱水が生じることによるもので、ハイドロキシアパタイトからオキシハイドロキシアパタイト(OHA)が生成し、結晶欠陥が発生する。
【0022】
または、無機誘電体として、異なる2種の金属元素A、Bを含み、組成式ABO3で表される複合酸化物を基本組成とする酸化物材料を用いることもできる。複合酸化物は、アモルファス構造を有するもの、又は、ペロブスカイト結晶構造を有するものが、好適に用いられ、構造中に形成される欠陥等により基本組成に対して酸素の含有量が少ない構成であってもよい(組成式ABOx;x≦3)。好適には、酸素量が基本組成の量論比よりも少ない構成であると、欠陥が導入されやすくなり、表面電位が大きくなりやすい。
【0023】
エレクトレット2において、表面電位の発現には、欠陥の存在が重要と考えられており、バンドギャップ材料の中でも、アモルファス(非晶質)構造の複合酸化物もしくはペロブスカイト構造の複合酸化物結晶を用いると、欠陥を導入しやすい。これにより、高い表面電位を持つエレクトレット2が得られ、高い電荷捕集量を実現可能となる。
【0024】
例えば、アモルファス構造の複合酸化物は、同等組成のペロブスカイト構造の酸化物結晶に対して、非結合状態のダングリングボンドに起因する欠陥が形成されやすい。また、ペロブスカイト構造の酸化物結晶は、後述する元素置換により欠陥を導入可能となる。なお、アモルファス構造の複合酸化物を採用した場合は、酸化物結晶よりも低温で形成可能となるため、デバイス作製時において、配線等への熱的ダメージを抑制することができる。
【0025】
ペロブスカイト構造を有する複合酸化物とは、組成式ABO3で表されるペロブスカイト型の結晶構造を有する複合酸化物であり、代表的には、立方晶系の単位格子を持つ。金属元素Aは立方晶の中心位置に、金属元素Bは立方晶の各頂点に位置し、各金属元素A、Bに対して、酸素原子Oが正八面体に配位する。ペロブスカイト構造において、酸素原子の欠損により非化学量論組成をとることも多い。その場合には、組成式ABOx(x<3)で表すことができ、酸素量が量論比よりも少ないことにより、結晶欠陥が発生する。好適には、酸素量が量論比よりも低減した構成が好ましく、表面電位の向上に寄与する。
【0026】
具体例としては、組成式ABO3で表される複合酸化物は、金属元素A(Aサイト)が、La、Y、Pr、Sm及びNdから選ばれる希土類元素Rであり、金属元素B(Bサイト)がAlである構成とすることができる。3価の希土類元素Rと3価のAlを組み合わせたペロブスカイト構造の複合酸化物(RAlO3;希土類アルミネート)は、バンドギャップエネルギが4eV以上と大きく、比誘電率が比較的小さいため(例えば、100以下)、高い表面電位が実現できる。また、比較的安価な材料を用いて作製することができ、製造コスト面で有利である。
【0027】
ペロブスカイト構造において、Aサイトを占有する金属元素Aと、Bサイトを占有する金属元素Bの組み合わせは、組成式ABO3を満足する組み合わせであれば、特に制限されない。その場合には、例えば、3価の金属元素Aと3価の金属元素Bの組み合わせの他に、1価と5価、2価と4価の組み合わせとすることもできる。
【0028】
組成式ABO3において、Aサイトの金属元素Aの一部又はBサイトの金属元素Bの一部、もしくはそれらの両方が、異なる金属元素からなるドーパント元素にて置換された組成となっていてもよい。その場合には、ドーパント元素が金属元素A、Bよりも低価数の金属元素であると、構造中に酸素空孔による欠陥が生じやすい。例えば、金属元素Aが、3価の希土類元素Rである場合には、2価のアルカリ土類金属元素(Mgを含む)が好適に用いられ、金属元素Bが、3価のAlである場合には、2価のアルカリ土類金属元素(Mgを含む)及びZnから選ばれる1つ以上の元素が好適に用いられる。
【0029】
金属元素A、Bの組み合わせは、特に制限されず、ドーパント元素は、置換される金属元素A、Bの価数よりも低価数の金属元素であればよい。より低価数のドーパント元素にて置換されることにより、電気的中性を保つためにペロブスカイト構造中に、酸素の欠損に起因する結晶欠陥が発生し、表面電位の向上に寄与する。このとき、ドーパント元素による置換量と欠陥量との間に相関があることから、ドーパント元素の導入量を制御することで、表面電位に影響する欠陥量の制御が可能になり、安定した表面電位特性が得られる。
【0030】
具体的には、希土類アルミネートの代表例として、ランタンアルミネート(LaAlO3)が挙げられ、Laの一部をアルカリ土類金属元素(例えば、Ca)で置換した構成とすることができる。その場合には、組成式(La,Ca)AlO3-δで表すことができ、式中、δは、酸素欠陥量を示す。酸素欠陥量は、ドーパント元素による置換量や雰囲気等によって変動する。ドーパント元素による置換割合をx(atm%)としたとき、酸素欠陥が置換によるものであれば、組成式は、La(1-x)CaxAlO3-x/2のようになる。
【0031】
金属元素Aを置換するドーパント元素の置換割合は、例えば、0.5atm%~20atm%の範囲で、適宜設定することができる。同様に、金属元素Bを置換するドーパント元素の置換割合は、例えば、0.5atm%~20atm%の範囲とすることが望ましい。置換割合を0.5atm%以上とした場合には、ドーパント元素が導入されない場合に比べて、表面電位が向上する効果が得られる。好適には、置換割合を1atm%以上とすると、表面電位が大きく向上する。ただし、置換割合が20atm%に近づくと、ドーパント元素の導入による効果が低減する傾向が見られる。この理由は、必ずしも明らかではないが、比誘電率が大きくなることが表面電位を下げる方向に作用するものと推測させる。そのため、置換割合が20atm%を超えない範囲で、所望の特性が得られるように、置換割合を適宜設定するのがよい。
【0032】
本形態において、エレクトレット2は、上述した無機誘電体材料、例えば、アパタイト構造を有する無機化合物を所定形状の焼結体としたもの(以下、無機化合物焼結体と称する)、又は、ペロブスカイト構造の複合酸化物を所定形状の焼結体としたもの(以下、複合酸化物焼結体と称する)を、分極処理することによって得られる。エレクトレット2となる無機化合物焼結体、又は、複合酸化物焼結体は、任意の外形形状(例えば、矩形平板状又は円盤形状等)を有することができる。
【0033】
また、エレクトレット2は、このような無機誘電体材料を含む膜(以下、無機誘電体膜と称する)とすることもできる。例えば、無機誘電体材料が、無機化合物であれば無機化合物膜となり、複合酸化物であれば複合酸化物膜となる。このような無機誘電体膜は、例えば、スパッタ法等の任意の成膜方法を用いて、無機誘電体材料を基板上に成膜することにより、所望の膜厚の薄膜として形成することができる。基板としては、導電性Si基板等の導電性基板の他、絶縁性基板を用いることもできる。
【0034】
また、エレクトレット2は、このような無機誘電体材料を粒子状に調製した無機誘電体粒子を、母材膜中に分散させた複合膜とすることもできる。この場合は、無機誘電体粒子と母材材料と混合した材料を用いて、例えば、印刷法等の任意の方法を用いて、基板上に所望の膜厚の複合膜として形成することができる。母材膜となる母材材料としては、耐熱性、耐電圧性に優れるものであればよく、ポリイミド等の有機系材料の他、液状で膜形成が可能な任意の材料を用いることができる。
【0035】
このように、エレクトレット2の形態は、特に制限されず、また、基板上にエレクトレット2を形成した場合には、エレクトレット2と基板との間に導電膜等の他の層を積層した構成とすることもできる。あるいは、基板上に形成したエレクトレット2を、分極処理後に基板から剥離された状態で用いることもできる。
【0036】
エレクトレット化するための分極処理方法は、特に限定されないが、所定形状としたエレクトレット材料の両表面に、それぞれ電極を形成し、電圧を印加することにより行う。分極処理条件は、例えば、100℃以上で、電界強度1kV/mm以上となるように、直流電圧を印加することが望ましい。発電デバイス用として、効率のよい発電を実現するには、表面電位として100V以上が必要とされており、電界強度1kV/mm以上での分極処理で、所望の表面電位が実現可能となる。また、室温より高い温度で分極処理を行うことにより、使用環境が高温となる用途においても、安定したエレクトレット性能を実現可能となる。
【0037】
図1において、発電部10は、このようにして得られたエレクトレット2の両表面に、一対の電極を形成することによって形成される。エレクトレット2は、分極方向Xの両表面が異なる極性に帯電した状態となっており、上表面を第1帯電面21(例えば、負極性)とし、下表面を第2帯電面21(例えば、正極性)として、それぞれ第1電極31、第2電極32が配置されている。
なお、第1帯電面21と第2帯電面22の極性は、一例であり、異なる帯電状態となっていればよい。
【0038】
発電部10において、第1帯電面21に配置される第1電極31は、複数の電極部30の集合体からなり、複数の電極部30は互いに電気的に接続されている。複数の電極部30が配置されない領域では、第1帯電面21が大気に露出しており、この露出面は集電面20として機能するようになっている。第1帯電面21の集電面20上には、エレクトレット2の内部分極状態に応じた電荷(例えば、負極性)が蓄えられて、表面電位(例えば、負極性)を発現していると共に、その一部の電荷が、隣接する第1電極31を介して移動して、集電可能となっている。
【0039】
図2に示すように、第1電極31となる複数の電極部30は、例えば、互いに平行な複数のストライプ電極30aと、ストライプ電極30aの外側を取り囲む環状電極30bとからなる構成とすることができる。図2左図に示す例では、エレクトレット2は矩形形状を有し、同形状の第1帯電面21に対応させて、環状電極30bは、第1帯電面21の周縁部に沿う所定幅の矩形環状に形成される。ストライプ電極30aは、例えば、環状電極30bの対向する2辺の間を接続するように配置され、所定間隔をおいて所定幅で形成されている。
【0040】
第1帯電面21において、集電面20は、ストライプ電極30aと環状電極30bとで囲まれる帯状の複数の露出面によって形成される。このように、第1帯電面21上に、複数の集電面20が形成され、それぞれの周縁部において、ストライプ電極30a又は環状電極30bに接する構成であると、集電面20上に蓄積される移動可能な電荷が、隣接するストライプ電極30a又は環状電極30bを介して取り出されやすくなる。
【0041】
または、図2右図に示すように、円盤状のエレクトレット2である場合には、同形状の第1帯電面21の周縁部に沿って延び、複数のストライプ電極30aを互いに接続するストライプ電極30cを配置してもよい。あるいは、複数のストライプ電極30aの外側を取り囲む環状電極30b(図示せず)を、第1帯電面21の周縁部に沿う所定幅の円環状に形成してもよい。複数のストライプ電極30aは、例えば、ストライプ電極30cを一端側として、又は、環状電極30bの内側に、所定間隔をおいて所定幅で互いに平行に形成される。
【0042】
本形態において、第2電極32は、例えば、第2帯電面22の全面に形成される。第2電極32が配置される領域は、必ずしも限定されず、第2帯電面22の一部が露出する構成となっていてもよい。第1電極31、第2電極32は、金属電極であり、例えば、金(Au)、白金(Pt)等の貴金属又は貴金属合金等を含む電極材料にて構成される。
【0043】
このとき、図3上図に示すように、発電部10の第1電極31と第2電極32との間に、給電部4となる蓄電部41及び出力部42を電気的に接続して、発生する電荷を取り出すことができる。蓄電部41と出力部42とは、第1電極31に接続される第1配線L1と、第2電極32に接続される第2配線L2との間に並列接続されており、第1配線L1に挿入される切替スイッチ部5によって、例えば、発電部10と蓄電部41及び出力部42の一方との接続を切り替え可能となっている。
【0044】
蓄電部41は、発電部10にて発生する電力を蓄えるものであり、例えば、キャパシタ等の蓄電素子Cを用いて構成することができる。出力部42は、外部の負荷(負荷抵抗R)等に接続される出力端子部42aを備えるものであり、発電部10にて発生する電力を、出力端子部42aを介して外部へ供給可能とする。出力部42は、発電部10の発生電力を直接外部へ供給してもよいし、蓄電部41の蓄電電力を外部へ供給してもよい。
【0045】
図3下図に示すように、切替スイッチ部5は、複数の開閉スイッチ51~53の組み合わせとすることもできる。例えば、第1配線L1を開閉する開閉スイッチ51と、第1配線L1を蓄電部41又は出力部42に接続する分岐配線L11のうち、蓄電部41の一端側(ここでは、正極端子側)へ接続する分岐線路を開閉する開閉スイッチ52と、出力部42の一端側(ここでは、正極端子側)へ接続する分岐線路を開閉する開閉スイッチ53とを有する。蓄電部41及び出力部42の他端側(ここでは、負極端子側)は、分岐配線L2を介して第2配線L2に接続される。
【0046】
切替スイッチ部5は、図示しない切替制御部によって、開閉スイッチ51~53のオンオフをそれぞれ制御することができる。例えば、開閉スイッチ51を閉じて発電部10と給電部4とを接続した状態で、開閉スイッチ52又は開閉スイッチ53を閉じることにより、発電部10を蓄電部41又は出力部42に接続し、これらの一方へ発電電力を供給することができる。また、開閉スイッチ51を開いて発電部10と給電部4との接続を遮断した状態で、開閉スイッチ52及び開閉スイッチ53を閉じることにより、蓄電部41の蓄電電力を出力部42へ供給することができる。
【0047】
なお、切替スイッチ部5の構成は、任意に変更することができ、開閉スイッチ51を有しない構成でもよいし、発電部10が蓄電部41と接続する位置又は出力部42と接続する位置とを切り替える切替スイッチのみを有する構成であってもよい。
【0048】
このとき、切替スイッチ部5によって、第1電極31と第2電極32との間に、蓄電部41又は出力部42が接続された状態となることにより、蓄電部41又は出力部42へ、集電面20に蓄積される電荷(例えば、負電荷)が移動可能となる。
このように構成された発電部10における発電のメカニズムについては、必ずしも判明していないが、例えば、以下のように考えられており、図4を参照して説明する。
【0049】
図4左図に示すように、分極処理後のエレクトレット2は、エレクトレット材料となる無機誘電体において、内部に存在する多数の電気双極子Dが分極方向Xに整列して、残留分極Pが生じている状態にある。これにより、エレクトレット2の分極方向Xに応じて、大気中の電荷を帯びた分子やイオン等(浮遊電荷)を吸着する。例えば、図示するように、上表面の第1帯電面21が正極側であるときには、逆極性の負電荷Nが、残留分極Pを打ち消すように存在し、これら負電荷Nは、通常は、第1帯電面21に束縛されていて自由には移動できない。
【0050】
これに対して、本形態のエレクトレット材料となる無機誘電体においては、後述する試験例のように、エレクトレット2の両表面に電極を配置することにより、電荷を取り出し可能になることが確認されている。その理由は、必ずしも明らかではないが、大気中イオン等の吸着により、残留分極Pの大きさが経時的に変化するのに伴い、移動可能な負電荷Nが生じるものと推測される。
【0051】
例えば、図4右図に示すように、変化後の残留分極P’(P>P’)に対して、それを打ち消すのに必要な電荷が変化することにより、第1帯電面21(集電面20)の電荷が過剰となる。その場合には、余った一部の負電荷Nを、電極等を介して捕集することができ、発電部10として機能させることが可能になる。
【0052】
(試験例1)
以下の方法で、実施形態1の発電部10を構成するエレクトレット2を作製した。
エレクトレット2を構成する無機誘電体材料としては、アパタイト構造を有する無機化合物であるオキシハイドロキシアパタイト(以下、OHA;バンドギャップエネルギ:5.3eV)を用い、試験例1として、OHA焼結体を分極処理したエレクトレット2の試験用試料を作製した。
【0053】
<粉体の調製>
まず、OHA焼結体の原料として、下記のハイドロキシアパタイト(以下、HA)粉末を用意し、所定の試料サイズとなるように秤量した。このHA粉末に対して、下記のポリビニルアルコール(以下、PVA)を3.2質量%となるように秤量した。
・生体材料研究用アパタイト HAP 単斜晶 Ca10(PO46(OH)2;富士フイルム和光純薬株式会社製
・ポリビニルアルコール 重合度 1500;富士フイルム和光純薬株式会社製
【0054】
次に、シャーレに純水を適量注ぎ、ホットスターラー上で加熱しながら、秤量したPVAを溶解させた。次いで、秤量しておいたHAを、シャーレ内のPVA溶液に加えて混合した。このシャーレをラップフィルムで覆って、100℃以上に加熱してある乾燥機に入れ、1日以上乾燥させた。
【0055】
<粉体の分級及び成形体の作製>
乾燥後の試料を、シャーレから乳鉢へ移し、乳棒を用いて粉砕した。次に、30μm~38μmに分級して得られた粉体を、約0.3gずつ測り取り、一軸加圧成型器を用いて、13mmΦの円盤状に成形した。このとき、最初に、30MPaで2分間圧力を加え、次に、60MPaで2分間、さらに、90MPaで2分間、最後に、120MPaで3分間、順次圧力を加えて、HA・PVA混合粉末を含む成形体を得た。
【0056】
なお、さらに大型の円盤状試料を作製する場合は、30μm~38μmに分級した粉体を、約0.55gずつ測り取り、一軸加圧成型器を用いて、18mmΦの円盤状に成形した。この場合は、最初に、60MPaで2分間圧力を加え、次に、120MPaで2分間、さらに、180MPaで2分間、最後に、240MPaで3分間、順次圧力を加えて、HA・PVA混合粉末を含む成形体を得た。
【0057】
<OHA焼結試料の作製>
得られた成形体を、白金メッシュを敷いたアルミナ製の焼結ボード上に載置し、この状態で、管状炉を用いて、大気下、1400℃で2時間焼結した。これにより、円盤状のOHA焼結試料を作製した。
【0058】
<分極処理>
このようにして得たOHA焼結試料に、図5に示す分極処理装置を用いて、分極処理を施した。図5において、OHA焼結試料11は、厚さ方向(分極方向X)の上下表面11a、11bに、一対の金電極2a、2bを、予め焼き付けしてある(下表面の金電極2bは図示を略す)。このOHA焼結試料11を、それぞれ白金線12を巻き付けた2本のアルミナ棒13の間に挟持させて、一対の金電極2a、2bの間に電圧を印加可能に構成した。2本のアルミナ棒13は、OHA焼結試料11の直径よりも長く、その長さ方向(分極方向Xと直交する方向)の両端部において、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)製の糸14で縛ることにより固定した。次に、これを分極用器具に巻き付け、空気の絶縁破壊を防ぐために、全体をシリコンオイル15でコーティングした。
【0059】
この分極用器具を、ボックス炉に入れて、炉内温度が200℃で安定になるまで放置した。次に、200℃で安定させたまま、OHA焼結試料11の一対の金電極2a、2bの間に、8.0kV/mmの直流電界を1時間印加することにより、分極処理を行った。所定時間が経過した後は、直流電界を印加し続けたまま、40℃以下になるまで放冷した。
【0060】
<エレクトレットの作製>
分極処理後、OHA焼結試料11の両表面の一対の金電極2a、2bを、研磨シートを用いて除去した。次いで、OHA焼結体11を、エタノールと純水を用いて、それぞれ10分間超音波洗浄した。これを、さらに、100℃の乾燥機中に、3時間以上放置することにより、エレクトレット2を得た。
【0061】
<表面電位測定>
図6上図に示すように、上記のようにして得られた試験例1のエレクトレット2を、アースに接続されたステージ16上に静置して、表面電位の測定を行った。測定には、表面電位計(MODEL341-B:トレック・ジャパン株式会社製)を用いて、エレクトレット2に測定プローブ17を対向させて非接触で表面電位を測定し、5400秒経過後の値を読み取った。その結果を以下に示すように、3900V(絶対値)を超える高い表面電位が得られた。
[試験例1:OHAエレクトレット 表面電位:-3947V]
【0062】
<繰り返し表面電位測定>
さらに、図6中に矢印で示す手順で、表面電位の測定を繰り返した。まず、図6下図に示すように、エレクトレット2の対向位置から測定プローブ17を外し、次いで、図6中図に示すように、エレクトレット2の表面に、アースに接続された金属電極板18を接触させて、短絡させた。その後、上述した方法で、再度、測定プローブ17を対向させて表面電位を測定することを繰り返し行った。表面電位の時間変化を図7に示す。
【0063】
図7に示されるように、短絡されることにより、エレクトレット2の表面電荷が抜け、表面電位が一旦検出されなくなるものの、その後、表面電荷が再び上昇している。また、短絡と解放を繰り返すことにより、表面電荷の上昇が繰り返し生じる。表面電荷は、1回目よりも2回目、3回目と低下しているが、時間経過と共に安定する。これは、短絡が解放されることにより、エレクトレット2の表面の再帯電が可能になり、表面電荷が繰り返し回復することを示している。
【0064】
<誘電電荷量測定>
図8に模式的に示すように、エレクトレット2の第1帯電面21及び第1帯電面22に、それぞれ、第1電極31及び第2電極32を形成した発電部10を作製して、公知のクーロンメータを接続した。第1電極31は、複数の電極部30が帯状の集電面20を挟んで隣接する電極パターンを有する。第1電極31となる電極パターンは、ライン100μm、スペース100μmとなるようにパターン加工したメタルマスクをエレクトレット2の第1帯電面21上に設置し、金(Au)ターゲットを用いたスパッタリングによって、膜厚約300nmとなるように製膜した。
【0065】
この発電部10をアースに接続された金属ステージ上に静置し、エレクトレット2の第1帯電面21側に銅製の電極板とクーロンメータのプローブを同時に接触させて、誘電電荷量を測定した。誘電電荷量の時間変化を図9に示す。
図9に示されるように、試験例1のエレクトレット2を用いることで、誘電電荷量が時間と共に上昇しており、クーロンメータのコンデンサに電荷が経時的に貯まり続けることがわかる。
【0066】
(比較例1)
比較のため、エレクトレット材料として、以下のフッ素樹脂系の有機高分子材料を用い、基板上に形成したエレクトレット膜について、同様にして、表面電位及び誘導電荷量の測定を行って評価した。
CYTOP(登録商標)CTL-809M AGC株式会社製
【0067】
<エレクトレット膜の作製>
上記したフッ素樹脂系エレクトレット材料を、銅製基板上に500rpm、30secの条件でスピンコーティングにて成膜した。その後、200℃にて1時間、熱処理を行うことにより、比較例1となるフッ素樹脂エレクトレット膜を作製した。
【0068】
<分極処理>
得られたフッ素樹脂エレクトレット膜の分極処理には、コロナ放電装置を用いた。120℃に加熱したステージ上に、エレクトレット膜を静置し、-6.44kVの直流電圧を印加してコロナ放電処理を1分間行い、分極した。
【0069】
<表面電位測定>
上記のようにして得られたフッ素樹脂エレクトレット膜について、試験例1と同様にして、表面電位の測定を行った。その結果を以下に示すように、フッ素樹脂エレクトレット膜の表面電位は、300V(絶対値)とサンプル1の表面電位を大きく下回った。
[比較例1:フッ素樹脂エレクトレット膜 表面電位:-300V]
試験例1、比較例1の結果を、表1に示す。なお、表1における表面電位の大きさは、絶対値であり、以降の説明において、特に符号を付さない場合は、絶対値を示すものとする。
【0070】
【表1】
【0071】
<誘導電荷量測定>
得られたエレクトレット膜について、試験例1と同様にしてパターン電極を形成し、誘導電荷量の測定を行った。フッ素樹脂エレクトレット膜の表面に、試験例1と同様にして、金電極膜(膜厚約300nm)からなるパターン電極を、スパッタリングにより製膜した。この電極パターンが形成されたフッ素樹脂エレクトレット膜を、アースに接続している金属ステージ上に静置し、フッ素樹脂エレクトレット膜の電極面にクーロンメータのプローブを接触させることで誘導電荷量を測定した。誘電電荷量の時間変化を、図9中に試験例1の結果と共に、比較例1として示す。
【0072】
ここで、図9の結果は、測定開始時刻における比較例1の表面電位を基準として補正した誘電電荷量の時間変化を示している。フッ素樹脂エレクトレット膜を用いた比較例1では、経時変化による誘電電荷量の変化がほとんど見られず、フッ素樹脂エレクトレット膜の状態では発電部として機能しないものと判断される。これに対して、上述したように、試験例1のエレクトレット2を用いた発電部10は、誘電電荷量が比較例1よりも高く、さらに時間と共に上昇しており、発電デバイス1として有効に利用可能であることがわかる。
【0073】
(試験例2)
以下の方法で、実施形態1の発電部10を構成するエレクトレット2を作製した。
エレクトレット2を構成する無機誘電体材料としては、ペロブスカイト構造のランタンアルミネート(LaAlO3)において、Laの一部をドーパント元素で置換した組成を持つLAO系複合酸化物を用いた。ここでは、ドーパント元素をCaとし、(La0.995,Ca0.005)AlO3-δの組成となるように原料を調製して得た複合酸化物焼結体を、分極処理して、試験例2のエレクトレット2を作製した。
【0074】
なお、LAO系無機誘電体材料は、代表的な組成であるランタンアルミネート(LaAlO3)のバンドギャップエネルギが5.6eVであり、Alの一部をドーパント元素であるCaで置換した構成においても、ほぼ同等のバンドギャップエネルギを有する。
【0075】
<粉体の調製>
まず、LAO系複合酸化物焼結体の原料として、下記に示す硝酸塩の試薬を用意し、Caの置換量が0.5atm%となるように秤量した。それぞれの試薬を入れたビーカーに、20mlの超純水を加えて、各試薬を溶解した溶液を得た。
・La(NO3)3・6H2O(3N) 6.03g 富士フイルム和光純薬株式会社製
・Al(NO3)3・9H2O(2N) 5.25g 富士フイルム和光純薬株式会社製
・Ca(NO3)2・4H2O(3N) 16.5mg 富士フイルム和光純薬株式会社製
【0076】
得られた各試薬の溶液をプラスチックビーカーに移して、撹拌機を用いて撹拌混合した。撹拌は、プラスチックビーカーに撹拌子を入れて、500rpmで攪拌子を回転させることにより行った。この混合溶液の入ったビーカーに、モル濃度が12MのNaOH水溶液を、pHメーターで測りながら、スポイトを用いて少量ずつ加え、pH10.5になるように調整した。その後、吸引ろ過により沈殿物を回収し、約100mlのエタノール、超純水で洗浄した。
なお、NaOH水溶液用のNaOH及びエタノールには、以下の試薬を用いた。
・NaOH特級 (顆粒状) 関東化学株式会社製
・エタノール(99.5) 関東化学株式会社製
【0077】
次いで、洗浄後の試料が乗ったろ紙を、120℃の乾燥機に入れて、12時間以上乾燥した。乾燥後の試料を、メノウ乳鉢に入れて粉砕を行い、さらに、分級(<100μm)を行った。
【0078】
<成形体・焼結体の作製>
分級により得られた粉体を、アルミナボートに入れて仮焼を行った。仮焼条件として、昇温速度2.5℃/minで1000℃まで温度を上げ、1000℃で6時間保持した後、降温速度2.5℃/minで室温まで温度を下げた。
【0079】
仮焼後の試料を、メノウ乳鉢に入れて粉砕を行い、さらに、分級(<100μm)を行って、成形用粉体とした。約0.65gの成形用粉体を、φ13mmの成型器に入れて、250MPaの圧力で3分間加圧し、円盤状の成形体とした。
【0080】
得られた成形体を焼結温度以上で焼成して、LAO系複合酸化物焼結体からなるLAO焼結試料を得た。焼成条件として、昇温速度2.5℃/minで1650℃まで温度を上げ、1650℃で2時間保持した後、降温速度2.5℃/minで室温まで温度を下げた。得られた焼結試料の径は、Φ11mm程度であった。厚みは、研磨により1mmに調整した。
【0081】
また、得られたLAO焼結試料について、ICP発光分光分析法を用いて、元素分析を行い、所望の組成(La0.995,Ca0.005)AlO3-δの焼結体が得られたことを確認した。具体的には、LAO焼結試料を乳鉢で粉砕したものを溶媒に溶解させた溶液を分析試料として、ICP(高周波誘導結合プラズマ)による発光線から、焼結体の成分元素を判別した。その結果、以下に示すように、原料調製時のCaの置換割合(仕込みCa置換量)である0.5atm%に対して、ほぼ同等の分析結果(0.51atm%)が得られた。
(仕込みCa置換量 0.5atm%)
ICP分析結果 0.51atm%
【0082】
なお、LAO焼結試料の分析は、ICP発光分光分析法に限らず、XPS(X線光電子分光分析)法、XRF(蛍光X線分析)法等、任意の方法を採用することができる。このように、ドーパント元素を導入することで、置換量の制御が容易であり、また、定量的な評価が容易にできる。
【0083】
<分極処理と表面電位測定>
このようにして得られたLAO焼結試料について、試験例1と同様にして分極処理を行い、エレクトレット2とした。このエレクトレット2について、同様にして表面電位を測定した。その結果を表1に併記する。
表1に示されるように、LaAlO3のLaの一部をCaで置換した試験例2では、表面電位が438V(絶対値)であり、8.0kV/mmの直流電界の印加により、400V以上の高い表面電位が得られた。
【0084】
(比較例2~3)
比較のため、Laが置換されていないLaAlO3焼結体として、市販のLaAlO3(100)単結晶基板(有限会社クリスタルベース製)を用い、上記試験例1と同様の方法で分極処理して、比較例2のエレクトレットとした。また、ペロブスカイト構造の複合酸化物であり、バンドギャップエネルギが3.5eVであるチタン酸バリウム(BaTiO3)の焼結体を作製し、上記試験例1と同様の方法で分極処理して、比較例3のエレクトレットとした。
【0085】
比較例2~3のエレクトレットについて、試験例1と同様にして表面電位を測定した。その結果を表1に併記する。
表1に示されるように、LaAlO3の単結晶からなりドーパント元素で置換されていない比較例2では、表面電位が20V(絶対値)と大きく低下した。また、バンドギャップエネルギが4eV未満のBaTiO3を用いた比較例3では、表面電位が4Vとさらに低下した。
【0086】
(試験例3~6)
試験例2と同様の方法で、La(1-x)CaxAlO3-δの組成において、ドーパント元素(Ca)によるLaの置換割合(x)を、以下のように変更したLAO系複合酸化物焼結体からなるエレクトレット2を作製した。
・試験例3 (La0.99Ca0.01)AlO3-δ
・試験例4 (La0.95Ca0.05)AlO3-δ
・試験例5 (La0.9Ca0.1)AlO3-δ
・試験例6 (La0.8Ca0.2)AlO3-δ
【0087】
表2に示すように、ドーパント元素(Ca)によるLaの置換割合(x)を、1atm%~20atm%の範囲で変更し、所望の組成となるように調製した原料を用いて、成形体を作製し、焼成して得た焼結試料を、分極処理して、エレクトレット2とした。
【0088】
得られた試験例3~6のエレクトレット2について、試験例1と同様にして表面電位を測定し、結果を表2に併記した。また、表2には、複合酸化物焼結体の比誘電率を併せて示した。
【0089】
【表2】
【0090】
表2に明らかなように、試験例3~6では、試験例2よりも表面電位が増加しており、1400V(試験例6)~3688V(試験例4)と、1000Vを超える高い表面電位が得られた。これは、ペロブスカイト構造のLaAlO3に対して、より低価数のドーパント元素が置換されることにより、置換量に応じた酸素欠陥が生じて、高い表面電位の発現に寄与しているためと推測される。
【0091】
図10は、比較例2と、試験例2~6に基づいて、Ca置換量と表面電位の関係を示したものであり、0.5atm%以上のCa置換量で、高い表面電位が発現し、Ca置換量が1atm%~5atm%に増加することで、さらに表面電位が大きく上昇している。Ca置換量が5atm%を超える範囲においても、高い表面電位が得られているものの、Ca置換量が多くなるほど、表面電位が低下する傾向がみられる。
【0092】
一方、表2に示されるように、Ca置換量が多くなるほど、複合酸化物焼結体の比誘電率が増加する傾向がみられる。これは、ドーパント元素による置換割合に応じて、酸素欠陥量が増加することにより、表面電位を上昇させる効果が得られる一方で、比誘電率が増加することにより、電荷のリークが生じやすくなり、表面電位を上昇させる効果が抑制されるものと推測される。
【0093】
これらの結果から、ペロブスカイト構造のAサイト又はBサイトに入る金属元素A、Bに対して、ドーパント元素による置換割合は、好適には、0.5atm%~20atm%の範囲とすることが望ましい。
【0094】
このように、複合酸化物焼結体からなる無機誘電体材料を用いることにより、熱的安定性に優れ、結晶欠陥量の制御が可能であり、使用環境で安定した特性を有するエレクトレット2を形成することができる。
【0095】
(実施形態2)
発電デバイス1にかかる実施形態2について、図面を参照して説明する。本形態の基本構成は、上記実施形態1と同様であり、発電部10の電極形状の変形例となっている。以下、相違点を中心に説明する。
なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
【0096】
上記実施形態1では、上記図2に示したように、円盤形状又は矩形形状のエレクトレット2の第1帯電面21に形成される第1電極31を、複数のストライプ電極30a、30cと環状電極30bとで構成したが、これら電極形状は一例であって、異なる形状であってもよい。例えば、図11に示すように、複数の電極部30は、互いに接続されていればよく、環状電極30bにて囲まれる形状となっていなくてもよい。
【0097】
具体的には、図11中に(A)として示すように、互いに平行な複数のストライプ電極30aの一端側において、これらと直交するストライプ電極30cを、第1帯電面21の一辺に沿って形成してもよい。また、(B)として示すように、ストライプ電極30aの代わりに、格子状電極30dとしてもよいし、(C)として示すように、ストライプ電極30aが一定幅でなくてもよい。その場合には、ストライプ電極30aは、例えば、両側縁の一部が円弧状に外側に突出する円弧状電極30eとなっている。
【0098】
さらに、図11中に(D)として示すように、頂点において互いに接続するひし形電極30fの組み合わせや、あるいは、(E)として示すように、同心円状の複数の環状電極30bを組み合わせた形状、さらには、(F)として示すように、円形電極30gの輪郭線よりも内側に、複数の円形の抜き穴30hを設けた形状としてもよい。いずれの形状においても、複数の電極部30の間又は抜き穴30hによって、集電面20となる露出面が形成される。また、複数の電極部30が互いに接続されるように、ストライプ電極30cが第1帯電面21の周縁部に形成され、外部へ引き出される。
【0099】
このように、各電極部30の形状又はそれらを組み合わせた電極集合体の形状は、任意に設定することができる。図11中に示した以外の形状とすることももちろんできる。
【0100】
図12に示すように、複数の電極部30を互いに接続する環状電極30bやストライプ電極30c等を、第1帯電面21上に形成する代わりに、ワイヤボンディングを用いて、複数の電極部30を互いに接続してもよい。その場合には、図12中に(A)として示すように、複数のストライプ電極30a(図11中の(A)参照)に、複数のワイヤWがそれぞれ接続される。また、図12中の(B)では、図11中の(B)に示した格子状電極30dの部分を集電面20とし、集電面20に囲まれる複数の矩形電極30iを配置して、複数のワイヤWで接続している。
【0101】
さらに、図12中の(C)~(E)として示すように、複数の円形電極30g、ひし形電極30f、環状電極30bが、互いに複数のワイヤWによって接続されるようにしてもよい。図12中の(F)に示す円形電極30gの場合は、1本のワイヤWが接続されて外部へ引き出される。
【0102】
このとき、発電部10において、効率よく電荷を取り出すために、第1電極31において、隣り合う複数の電極部30の電極間隔は、少なくとも一部が、8mm以下となっていることが望ましい。換言すれば、複数の電極部30の間に形成される集電面20の幅は、少なくとも一部が、8mm以下となっていることが望ましい。好適には、電極間隔が8mm以下となっている領域が広いほどよく、例えば、第1帯電面の中央部を含む主領域において、第1電極31となる電極間隔が、8mm程度ないしそれ以下となるように、電極形状や配置を設定するとよい。電極間隔は、8mmよりも小さくなるほど、電極間に形成される集電面20の幅が狭くなり、集電面20に蓄積される電荷が、隣接する電極部30を介して捕集されやすくなる。
【0103】
(試験例3)
図13に示されるように、試験例1と同様にして形成した円盤状のエレクトレット2の第1帯電面21に、第1電極31となる複数の電極部30を形成し、その電極間隔を変更した複数の測定用試料を作製した。複数の電極部30は、概略半円形状で、互いに対向する直線状の辺が平行となるように配置されており、その最短距離である電極間隔dを0.1mm(100μm)、1mm、2mm、4mm、6mm、8mmに変更したもの(試料1~試料6)を用意して、測定用試料とした。
【0104】
これら測定用試料は、試験例1と同様にしてOHA焼結試料を作製し、200℃で8.0kV/mmの直流電界を1時間印加することにより、分極処理を行ってエレクトレット2としたものである。エレクトレット2は、分極処理用の金電極を研磨除去した後、試験例1と同様にして、マスキング下でのスパッタリングを行い、複数の電極部30となる金電極膜を、電極間隔dが0.1mm(100μm)~8mmとなるようにパターン製膜した。
【0105】
このようにして得られた測定用試料について、それぞれ、試験例1と同様にして表面電位を測定し、表面の帯電状態を評価した。その際、複数の電極部30を、アースに接続することによりエレクトレット2の電場を部分的に静電遮蔽した。各測定用試料の表面電位測定結果を、表3及び図13に示す。
【0106】
【表3】
【0107】
表3に示されるように、これら試料1~試料6の表面電位は、いずれも試験例1(表面電位:3947V)よりも小さくなっている。また、図13に示されるように、電極間隔dが8mmの試料1では、表面電位が3670Vと高く、試料2(d=6mm)、試料3(d=4mm)、試料4(d=2mm)、試料5(d=1mm)と電極間隔dが小さくなるほど表面電位が低下して、試料6(d=0.1mm)では、表面電位が105Vとなっている。これは、試験例1のエレクトレット2に対して、第1帯電面21に第1電極31を配置することにより、集電面20となる表面の電荷が第1電極31を介して移動し、その結果、表面電位が低下したものと推測される。
【0108】
この結果から、集電面20を有する第1帯電面21に形成される第1電極31は、複数の電極部30の電極間隔dが、8mm以下となる領域を有していれば、電荷を捕集する機能が得られると考えられる。また、電極間隔dが小さくなるほど、集電面20の電荷が隣接する電極部30へ移動しやすくなり、表面電位が低くなると考えられることから、好適には、8mm以下となる領域がより広くなるようにすると、発電部10における発電に有利になる。したがって、複数の電極部30の電極間隔は、少なくとも一部において、8mm以下となるように、好適には、ほぼ全体が8mm程度ないしそれ以下となるように形成されることが望ましい。
【0109】
以上のように、エレクトレット材料としてバンドギャップエネルギが4eV以上の無機誘電体材料を用い、それを分極処理したエレクトレット2の少なくとも一方の表面において、その一部を露出させた集電面20を有するように電極を配置した発電部10とすることにより、外部エネルギが入力されない環境においても発電可能な発電デバイス1を得ることができる。
【0110】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。例えば、発電デバイス1は、発電部10に接続される給電部4において、出力部42に接続される負荷を含む構成となっていてもよいし、出力部42が負荷を含まず、外部出力用の出力端子部42aにて構成されていてもよい。また、給電部4は蓄電部41又は出力部42のみで構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0111】
1 発電デバイス
10 発電部
2 エレクトレット
21 第1帯電面
22 第2帯電面
31 第1電極
32 第2電極
41 蓄電部
42 出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図11
図12
図13