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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】積層基板及び無線モジュール搭載基板
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/48 20060101AFI20240717BHJP
   H01Q 1/50 20060101ALI20240717BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20240717BHJP
   H01Q 23/00 20060101ALI20240717BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
H01Q1/48
H01Q1/50
H01Q1/38
H01Q23/00
H05K3/46 Q
H05K3/46 G
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020058111
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021158572
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-11-29
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山内 茂樹
【審査官】赤穂 美香
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-208345(JP,A)
【文献】特開2009-105782(JP,A)
【文献】特開2005-026840(JP,A)
【文献】国際公開第2018/021353(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0157773(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/48
H01Q 1/50
H01Q 1/38
H01Q 23/00
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1の領域を有する第1の誘電体層と、
前記第1の誘電体層の前記1の領域を除く領域上に積層された第1の導体層と、
前記第1の導体層と離間して設けられた複数の付加導体と、前記複数の付加導体と前記第1の導体層とを接続する1又は複数の接続導体と、を有する導体部と、
を含み、
前記第1の導体層を含む複数の導体層と前記第1の誘電体層を含む複数の誘電体層とが交互に積層された積層構造を有し、
前記複数の付加導体は、前記第1の誘電体層の前記1の領域に設けられ、前記接続導体によって前記第1の導体層に直接接続された第1の付加導体と、前記複数の誘電体層のうちの前記第1の誘電体層以外の誘電体層に設けられ、ビヤホールを介して前記第1の付加導体に接続されることにより間接的に前記第1の導体層に接続された第2の付加導体と、を含むことを特徴とする積層基板。
【請求項2】
前記1又は複数の接続導体は、延伸方向に直交する径が前記複数の付加導体の径よりも小さく、切断容易に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の積層基板。
【請求項3】
前記複数の付加導体は、前記第1の誘電体層の前記1の領域上に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層基板。
【請求項4】
請求項1に記載の積層基板と、
通信回路を含む本体部及び前記本体部に接続されたアンテナを有し、前記本体部が前記第1の導体層上に配置されるとともに、前記アンテナが前記第1の誘電体層の前記1の領域上に配置されるように、前記積層基板に搭載された無線モジュールと、
を含むことを特徴とする無線モジュール搭載基板。
【請求項5】
前記複数の付加導体は、前記アンテナの近傍に配置されていることを特徴とする請求項に記載の無線モジュール搭載基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導体層及び誘電体層が積層された積層基板に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、IoT(Internet of Things)技術を活用した無線通信装置が多数開発されている。また、今まで無線通信装置を扱ったことのない業種でも無線通信装置が使用され始めている。
【0003】
無線通信機能を使用する場合、各国が定める規格及び規制に適合した無線認証を取得する必要がある。この無線認証を取得するためには、無線通信技術に精通している必要があり、市場拡大の妨げとなっている。
【0004】
これを解決する手段として、予め無線認証を取得した無線モジュールが活用されている。無線認証を取得した無線モジュールを装置に搭載した場合、その装置は無線認証を新たに取得する必要がないためである。
【0005】
このような無線モジュールとして、アンテナ内蔵型の無線モジュールが知られている。例えば、メアンダ形状を有する板状内蔵アンテナを用いた無線モジュールが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2011-211491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の通り、無線通信機能を使用するためには無線認証を取得する必要がある。このような法規事情により、無線認証を取得した無線モジュールのニーズが今後ますます高まっていくことが予想される。
【0008】
しかしながら、小型の無線モジュールのアンテナ特性は、その無線モジュールを搭載する基板の材質、厚み及びその無線モジュールを搭載する位置などの影響を受けることがある。このため、無線モジュールを基板に搭載した後に、アンテナ特性の調整が必要となる場合がある。しかし、無線モジュールの改良を行うと無線認証の取得が無効になってしまうため、無線認証を有効に維持したままアンテナ特性の調整を行うことができないという問題があった。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、無線モジュールを搭載する際に、無線モジュール自体に手を加えることなくアンテナ特性の調整を行うことが可能な積層基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る積層基板は、1の領域を有する第1の誘電体層と、前記第1の誘電体層の前記1の領域を除く領域上に積層された第1の導体層と、前記第1の導体層と離間して設けられた複数の付加導体と、前記複数の付加導体と前記第1の導体層とを接続する1又は複数の接続導体と、を有する導体部と、を含み、前記複数の付加導体は、前記接続導体によって前記第1の導体層に直接接続された1の付加導体と、前記1の付加導体に接続されることにより間接的に前記第1の導体層に接続された他の付加導体と、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る積層基板は、1の領域を有する第1の誘電体層と、前記第1の誘電体層の前記1の領域を除く領域上に積層された第1の導体層と、前記第1の導体層と離間して、前記第1の誘電体層の前記1の領域に設けられた1又は複数の付加導体を有する導体部と、を有し、前記1又は複数の付加導体の各々には、第1の接続パッドが設けられ、前記第1の導体層には、第2の接続パッドが複数設けられ、前記第1の接続パッド及び前記第2の接続パッドは、導体からなる接続線によって接続可能に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の積層基板によれば、無線モジュールを搭載する際に、無線モジュール自体に手を加えることなくアンテナ特性の調整を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例1に係る積層基板の構成を示す上面図である。
図2】本実施例の積層基板の層構造を模式的に示す図である。
図3】本実施例の積層基板に無線モジュールを搭載した状態を示す上面図である。
図4A】付加導体とL1層との接続部分の一例を示す図である。
図4B】付加導体とL1層との接続部分の他の一例を示す図である。
図5A】付加導体が接続されてない場合のS11特性を模式的に示す図である。
図5B】付加導体が接続されている場合のS11特性を模式的に示す図である。
図6A】付加導体とL1層との接続部分の変形例を示す図である。
図6B】付加導体とL1層との接続部分の変形例を示す図である。
図7】複数の付加導体が異なる層に設けられている場合の積層基板の断面図である。
図8A】第1の誘電体層以外の誘電体層に付加導体が設けられている場合の積層基板の表面を示す上面図である。
図8B】第1の誘電体層以外の誘電体層に付加導体が設けられている場合の積層基板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下の実施例における説明及び添付図面においては、実質的に同一または等価な部分には同一の参照符号を付している。
【0015】
図1は、本実施例に係る積層基板100を1の表面(以下、単に表面と称する)の上方から見た上面図である。積層基板100の表面には、無線モジュールが搭載される。また、積層基板100には、浮島状に形成された複数の付加導体からなる導体部30が形成されている。
【0016】
積層基板100は、複数の導体層が誘電体層を挟んで積層された多層基板である。積層基板100は、上面視で矩形の形状を有する。積層基板100の上層部では、PP層15及びL1層11が積層されている。L1層11は、第1の導体層である。PP層15は、L1層11の下層に位置する第1の誘電体層である。なお、L1層11の表面と、PP層15の表面の一部と、にはソルダーレジストからなるレジスト膜が形成されているが、図1では図示を省略している。
【0017】
L1層11は、平面状のパターンに形成された導体(例えば、Cu)から構成され、ベタパターンのGNDを構成している。以下の説明では、レジスト膜の下部に位置するL1層11の表面をGND面とも称する。
【0018】
L1層の表面に形成されたレジスト膜上には、無線モジュール20の本体部やその他の各種部品を搭載する部品搭載エリアが形成されている。部品搭載エリアに搭載された各種部品は、ビアを介して積層基板100の内部の電源層等に接続されている。
【0019】
図2は、積層基板100の層構造を模式的に示す断面図である。ここでは、図1のAA線に沿った断面を示している。
【0020】
本実施例の積層基板100は、例えば4層構造のリジッド基板であり、L1層11、L2層12、L3層13、L4層14、PP層15、PP層16及びコア層17から構成されている。さらに、レジスト膜RFが、L1層11及びL4層14の外側表面とPP層15及びPP層17の表面の一部(すなわち、PP層15のL1層11と重なっていない部分の表面、及びPP層17のL4層14と重なっていない部分の表面)とを覆うように形成されている。
【0021】
L1層11は、4層構造の一層目を構成する導体層(第1の導体層)である。L1層11は、例えば銅箔(Cu)からなる信号層(配線層)として構成されている。
【0022】
L2層12は、4層構造の二層目を構成する導体層(第2の導体層)である。L2層12は、例えば銅箔(Cu)からなるプレーン層として構成されている。
【0023】
L3層13は、4層構造の三層目を構成する導体層(第3の導体層)である。L3層13は、例えば銅箔(Cu)からなるプレーン層として構成されている。
【0024】
L4層14は、4層構造の四層目を構成する導体層(第4の導体層)である。L4層14は、例えば銅箔(Cu)からなる信号層(配線層)として構成されている。
【0025】
PP層15は、L1層11とL2層12との間に設けられた誘電体層である。PP層15は、エポキシ樹脂等からなるプリプレグによって構成されている。
【0026】
PP層16は、L3層13とL4層14との間に設けられた誘電体層である。PP層16は、エポキシ樹脂等からなるプリプレグによって構成されている。
【0027】
コア層17は、多層基板の中心に位置する内層であり、L2層12とL3層13との間に設けられている。コア層17は、エポキシ樹脂等を硬化させた基材から構成されている。
【0028】
図3は、無線モジュール20を搭載した状態の積層基板100を、無線モジュール搭載基板200として示す上面図である。無線モジュール20は、本体部21及びアンテナ22から構成されている。
【0029】
本体部21は、無線信号を送受信する無線通信回路を含む。アンテナ22は、帯状導体から構成され、直角に蛇行するメアンダ形状を有する。
【0030】
無線モジュール20は、積層基板100とは別個に形成され、無線認証等の作業を経た後、積層基板100に搭載される。無線モジュール20は、PP層15の表面部分のうちL1層11が形成されていない部分(以下、PP層15の第1の領域と称する)とL1層11の表面との境界付近に配置される。本体部21がL1層11上に位置するとともに、アンテナ22がPP層15の第1の領域に位置するように配置される。
【0031】
導体部30は、積層基板100のPP層15の第1の領域に設けられている。本実施例では、無線モジュール20が搭載された際にアンテナ22が配置される領域の近傍の左右の位置に、一対の導体部30がアンテナ22を挟んで対向するように設けられている。
【0032】
導体部30は、浮島状に設けられた複数の付加導体31から構成されている。本実施例の付加導体31は、上面視で矩形の形状を有する。付加導体31の各々は、PP層15の第1の領域にL1層11と離間して形成され、導体からなる接続配線(すなわち、接続導体)によってL1層11に接続されている。
【0033】
図4Aは、付加導体31とL1層11との接続部分の一例を示す図である。導体部30の付加導体31A、31B、31C及び31Dは、それぞれゼロオーム抵抗やジャンパー線等からなる接続導体32によって、L1層11に接続されている。
【0034】
接続導体32の各々は、離間方向に延伸するように設けられている。接続導体32の各々は、延伸方向に直交する方向における径が付加導体31~31Dの径よりも小さく、切断容易に構成されている。例えば、接続導体32は、積層基板100の製造後に、レーザ照射等により切断される。接続導体32を切断することにより、付加導体31A、31B、31C及び31Dの各々を、L1層11のGND面に選択的に接続することができる。
【0035】
例えば、付加導体31A~31Dの全てが接続導体32によってL1層11に接続された状態の積層基板100を製造する。そして、付加導体31C及び31Dの各々とL1層11との間の接続導体32を切断する。これにより、複数の付加導体のうちの付加導体31A及び31BのみがL1層11のGND面に接続された状態にすることができる。
【0036】
図4Bは、付加導体31とL1層11との接続部分の他の一例を示す図である。導体部30の付加導体31A、31B、31C及び31Dの各々には、パッドPD1が設けられている。一方、L1層11には、パッドPD2が設けられている。
【0037】
付加導体31及びL1層11は、パッドPD1及びPD2の間を導体からなる接続線を用いて接続することにより、電気的に接続された状態にすることが容易であるように構成されている。これにより、付加導体31A、31B、31C及び31Dの各々を、L1層11のGND面に選択的に接続することが可能である。
【0038】
例えば、全てのパッドPD1とパッドPD2とが互いに接続されていない状態、すなわち付加導体31A~31DがいずれもL1層11に接続されていない状態の積層基板100を製造する。そして、付加導体31A及び31Bの各々に設けられたパッドPD1とL1層11に設けられたパッドPD2との間を、接続線33によって接続する。これにより、複数の付加導体のうちの付加導体31A及び31BのみがL1層11のGND面に接続された状態にすることができる。
【0039】
このように、本実施例の積層基板100では、複数の付加導体31が設けられており、L1層11のGND面に接続される。このため、付加導体31の影響により、積層基板100に搭載された無線モジュール20のアンテナ22のインピーダンス特性に変化が生じる。
【0040】
図5Aは、本実施例のような導体部30が設けられていない無線モジュール搭載基板における、アンテナ22のインピーダンス特性の1つであるS11特性を示す図である。
【0041】
横軸は信号の周波数(GHz)、縦軸はアンテナの挿入損失(dB)を表している。導体部30がなく、付加導体が接続されていない場合、アンテナ22の挿入損失は、信号周波数が2.3GHz~2.4GHzの間に極小値(すなわち、ピーク)を有する波形となる。
【0042】
なお、導体部30そのものは設けられているが、付加導体31がL1層11に全く接続されていない場合(例えば、図4Aにおいて接続導体32が全て切断されているような場合)にも同様の波形が得られる。
【0043】
図5Bは、導体部30が設けられており、且つ少なくとも1つ以上の付加導体31がL1層11に接続されている場合のS11特性を示す図である。この場合におけるアンテナ22の挿入損失は、信号周波数が2.2GHz~2.3GHzの間に極小値(すなわち、ピーク)を有する波形となる。
【0044】
すなわち、付加導体31が接続されている場合のアンテナ22の挿入損失は、付加導体31が接続されていない場合の波形(図5A)を低周波数側にシフトしたような波形(図5B)となる。このように、アンテナ22の近傍に付加導体31を設け、L1層11のGND面に接続することにより、アンテナ22のインピーダンス特性を変化させることが可能である。
【0045】
そして、本実施例の積層基板100では、上記のように、複数の付加導体31をそれぞれ選択的に接続又は非接続とすることが可能である。従って、搭載される無線モジュール20の用途に応じて、所望の周波数帯で挿入損失が最小(極小値)となるように、アンテナ22のインピーダンス特性の変動を調整することが可能となる。
【0046】
一般的に、無線モジュールを積層基板に搭載した場合、基板の材質及び厚みや搭載位置等の影響を受け、無線モジュールのアンテナのインピーダンス特性が変化する場合がある。こうした基板の材質等に起因するインピーダンス特性の変化を是正するためには、インピーダンス特性の調整が必要となるが、無線モジュール自体に手を加えると、積層基板への搭載前に取得した無線モジュールの無線認証が無効になってしまう可能性がある。
【0047】
これに対し、本実施例の積層基板100によれば、付加導体31をL1層11のGND面に接続することにより、アンテナ22のインピーダンス特性を変化させることができるため、無線モジュールの搭載後に無線モジュール自体に手を加えることなく、インピーダンス特性の調整を行うことが可能である。すなわち、基板の材質等に起因する変化を打ち消す方向にインピーダンス特性の調整を行うことにより、所望のインピーダンス特性を得ることが可能となる。
【0048】
例えば、図4Aのように、付加導体31A~31Dが全てL1層11に接続された状態を初期状態とし、接続導体32を切断することによってインピーダンス特性を調整する場合、初期状態では挿入損失のピークがかなり低い周波数帯に位置しており、接続導体32を切断することによりピーク位置が高周波数帯にシフトするように調整が行われる。一方、図4Bのように、付加導体31A~31DがいずれもL1層11に接続されていない状態を初期状態とし、接続線33によってパッド同士を接続することによってインピーダンス特性を調整する場合、初期状態では挿入損失のピークがかなり高い周波数帯に位置しており、接続線33を接続することによりピーク位置が低周波数帯にシフトするように調整が行われる。
【0049】
以上のように、本実施例の積層基板100では、無線モジュール20を搭載した際にアンテナ22が配置される位置の近傍に、複数の付加導体31を有する導体部30が設けられている。付加導体31は、L1層11に形成されたGND面に接続されることにより、アンテナ22のインピーダンス特性を変化させる。そして、複数の付加導体31の各々は、L1層11のとの接続及び非接続を切り替えることが容易に構成されている。したがって、本実施例の積層基板100によれば、無線モジュールを搭載する際に、無線モジュール自体に手を加えることなくアンテナ特性の調整を行うことが可能となる。
【0050】
なお、本発明は上記実施例で示したものに限られない。例えば、上記実施例では、アンテナ22の左右の位置にアンテナ22を挟んで対向するように一対の導体部30が設けられている場合について説明した。しかし、アンテナ22の左右どちらか片方の位置だけに導体部30が設けられていても良い。
【0051】
また、上記実施例では、付加導体31の形状が矩形である場合について説明したが、これに限定されず、様々な形状とすることが可能である。また、付加導体31の数は上記実施例で示したものに限定されない。
【0052】
また、上記実施例では、付加導体31の各々がL1層11のGND面に直接接続されている場合について説明した。しかし、一部の付加導体が他の付加導体を介してL1層11に接続されるように構成されていてもよい。
【0053】
図6Aは、このような付加導体とL1層11との接続部分の変形例を示す図である。付加導体31Aは、接続導体32によってL1層11に接続されている。付加導体31Bは、接続線34によって付加導体31Aに接続され、付加導体31Aを介してL1層11に接続されている。付加導体31Cは付加導体31Bに接続され、付加導体31B及び31Aを介してL1層11に接続されている。付加導体31Dは付加導体31Cに接続され、付加導体31C、31B及び31Aを介してL1層11に接続されている。すなわち、付加導体31A~31Dは、L1層11に対して直列に接続されている。
【0054】
このように、付加導体31は、直接L1層11に接続された付加導体と、当該付加導体を介して間接的にL1層11に接続された付加導体と、から構成されていてもよい。かかる構成においても、付加導体同士の間(例えば31Bと31Cとの間や、31Bと31Dとの間)の接続線を切断し、L1層11に接続される付加導体の数を変化させることにより、アンテナ22のインピーダンス特性の調整を行うことが可能である。
【0055】
図6Bは、付加導体とL1層11との接続部分の他の変形例を示す図である。導体部30は、接続導体32によってL1層11に直接接続された付加導体31A~31Dの他に、付加導体31A~31Dを介して間接的にL1層11に接続された付加導体31E、31F、31GH及び31Hを有している。かかる構成によれば、接続される付加導体の数を増やすことができるため、アンテナ22のインピーダンス特性の調整をより細かく行うことが可能となる。
【0056】
また、上記実施例では、付加導体31がPP層15上に設けられている場合について説明した。しかし、付加導体31は、PP層16やコア層17等の他の誘電体層に設けられていてもよい。
【0057】
図7は、複数の付加導体31のうち、一部の付加導体がPP層15に設けられ、他の付加導体がPP層16及びコア層17に設けられている場合の断面を示す図である。
【0058】
付加導体31Aは、PP層15上に設けられ、接続導体32によってL1層11のGND面に接続されている。付加導体31Bは、PP層16に設けられ、ビア35を介して付加導体31Aに接続されている。付加導体31Cは、コア層17に設けられ、ビア35を介して付加導体31Bに接続されている。すなわち、付加導体31Bは付加導体31Aを介して、付加導体31Cは付加導体31B及び31Aを介して、それぞれL1層11のGND面に間接的に接続されている。
【0059】
また、図7とは異なり、PP層15以外の誘電体層に全ての付加導体が設けられていてもよい。図8Aはこのような場合の積層基板100をPP層15の第1の領域の上方から見た上面図であり、図8Bはその断面図である。
【0060】
図8Aに示すように、PP層15の第1の領域には、付加導体が設けられておらず、L1層11と下層に設けられた付加導体とを接続するためのビアの入り口36がPP層15の第1の領域に形成されている。
【0061】
そして、図8Bに示すように、PP層16に設けられた付加導体31Bが、ビア35及び接続導体32を介してL1層11のGND面に接続されている。コア層17に設けられた付加導体31Cは、ビア35を介して付加導体31Bに接続され、間接的にL1層11のGND面に接続されている。
【0062】
このような構成によれば、積層基板100の第1の領域に付加導体を配置するための十分なスペースがない場合でも、複数の層に分けて付加導体を配置することで十分な数の付加導体を配置することができる。
【0063】
また、上記実施例では、積層基板100が4層構造のリジッド基板から構成されている場合について説明した。しかし、積層基板100の層構造はこれに限られない。また、積層基板100はフレキシブル基板であってもよい。
【符号の説明】
【0064】
100 積層基板
200 無線モジュール搭載基板
11 L1層
12 L2層
13 L3層
14 L4層
15 PP層
16 PP層
17 コア層
20 無線モジュール
21 本体部
22 アンテナ
30 導体部
31~34 付加導体
35 ビア
36 ビアの入り口
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8A
図8B