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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】切削装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 45/00 20060101AFI20240717BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20240717BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
B24B45/00 Z
B24B27/06 M
H01L21/78 F
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020107008
(22)【出願日】2020-06-22
(65)【公開番号】P2022001396
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 智也
(72)【発明者】
【氏名】北住 祐一
(72)【発明者】
【氏名】野村 洋志
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-089606(JP,A)
【文献】特表2003-530226(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-2246541(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B3/00-3/60
B24B21/00-51/00
B23C1/00-9/00
B28D1/00-7/04
H01L21/301;21/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持するチャックテーブルと、被加工物を切削する切削手段とを備える切削装置であって、
該切削手段は、スピンドルと、中央に開口を有する環状基台の外周に環状に砥石が配置されたハブブレードと、該スピンドルの先端に固定され該スピンドルの軸心を中心とする環状の連結面と先端に雄ねじとを有するマウント基台と、該マウント基台の該連結面に連結され該環状基台の一方の面を支持する環状の支持面を有するリング状のリングマウントと、該リングマウントを該連結面に連結する連結機構と、該マウント基台の該雄ねじに螺合するナットとを備え、
該連結機構は、
該マウント基台の該連結面から該スピンドルの軸心の方向に突出する首と該首の先端に形成される該首よりも大径に形成された頭とからなるピンと、
該リングマウントに形成され該ピンの該頭が挿入される穴と、該穴に該ピンが挿入された状態で該リングマウントと該マウント基台とを相対的に該スピンドルの軸心を軸に回転可能とする該穴から回転方向に繋がる円弧状の長穴と、を備え、
該長穴は、該連結面側に形成され該穴の直径より狭い幅で該ピンの該首を摺動可能とする首摺動溝と、該穴の直径と同一の幅で該ピンの該頭を摺動可能とする頭摺動溝と、を備え、
該雄ねじに該ナットを螺合させることによって該ナットと該マウント基台の連結面とによって該ハブブレードと該リングマウントとを挟持固定する、切削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、特許文献2、及び特許文献3に開示のように、切削装置は、ハブブレードをスピンドルの先端に固定して、スピンドルを回転させる事によって回転するハブブレードを用いて、チャックテーブルに保持されたウェーハを切削加工する。
【0003】
ハブブレードは、環状のアルミ基台の外周部分に砥石を電着させた後、アルミ基台の外周部分を除去して砥石だけにして環状の砥石を形成している。そのため、アルミ基台には、コーティングなどが施されていない。
そして、スピンドルにハブブレードを装着する際は、スピンドルの先端に固定したマウントにハブブレードを配置してナットをマウントの先端に締め込むことによって、ナットとマウントとによってアルミ基台を挟んで固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-150906号公報
【文献】特開2000-190155号公報
【文献】特開2000-061804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ハブブレードの装着によってアルミがマウントに付着すると、切削ブレードが偏心し、その状態で回転して、ウェーハを切削加工した際にウェーハに形成されるカーフ幅が大きくなるという問題がある。
そのため、マウントの支持面を砥石を用いて研削してアルミを除去する端面修正を実施している。この端面修正は、マウントの支持面を研削するための砥石をチャックテーブルに装着して、スピンドルを軸心方向に移動させ、マウントの支持面を砥石に接触させ、支持面に平行な方向にマウントと砥石とを相対的に移動させるというように多数のステップを含むため、時間がかかるという問題がある。
したがって、マウントにアルミが付着しないようにして切削加工の異常を発生させないようにするという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、被加工物を保持するチャックテーブルと、被加工物を切削する切削手段とを備える切削装置であって、該切削手段は、スピンドルと、中央に開口を有する環状基台の外周に環状に砥石が配置されたハブブレードと、該スピンドルの先端に固定され該スピンドルの軸心を中心とする環状の連結面と先端に雄ねじとを有するマウント基台と、該マウント基台の該連結面に連結され該環状基台の一方の面を支持する環状の支持面を有するリング状のリングマウントと、該リングマウントを該連結面に連結する連結機構と、該マウント基台の該雄ねじに螺合するナットとを備え、該連結機構は、該マウント基台の該連結面から該スピンドルの軸心の方向に突出する首と該首の先端に形成される該首よりも大径に形成された頭とからなるピンと、該リングマウントに形成され該ピンの該頭が挿入される穴と、該穴に該ピンが挿入された状態で該リングマウントと該マウント基台とを相対的に該スピンドルの軸心を軸に回転可能とする該穴から回転方向に繋がる円弧状の長穴と、を備え、該長穴は、該連結面側に形成され該穴の直径より狭い幅で該ピンの該首を摺動可能とする首摺動溝と、該穴の直径と同一の幅で該ピンの該頭を摺動可能とする頭摺動溝と、を備え、該雄ねじに該ナットを螺合させることによって該ナットと該マウント基台の連結面とによって該ハブブレードと該リングマウントとを挟持固定する切削装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、スピンドルに固定するマウント基台のハブブレードを支持する支持面を有する外周部分のリングマウントを脱着式にしている。そのため、ハブブレードの環状基台のアルミがマウントに付着した際に、リングマウントのみを外して交換することによって、マウント基台に付着したアルミによってハブブレードが偏心することカーフが広くなってしまうという問題を解決する事ができる。リングマウントを介して切削ブレードを固定しているため、リングマウントにアルミが付着する。従って、リングマウントに付着したアルミを除去することにより、リングマウントを再利用が可能である。また、マウント基台にリングマウントを連結させているので、ハブブレードの装着作業は、従来と同じように行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】切削装置の斜視図である。
図2】切削手段の分解斜視図である。
図3】切削手段の分解断面図である。
図4】リングマウントの斜視図である。
図5】リングマウントの部分拡大斜視図である。
図6】リングマウントにピンが挿入されてリングマウントが回転した際の様子を表す斜視図である。
図7】リングマウントにマウント基台が連結されている様子を表す正面図である。
図8】切削手段の断面図である。
図9】リングマウントにマウント基台が連結されている様子を表す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1 切削装置の構成
図1に示す切削装置1は、切削手段5を用いて被加工物140を切削加工する切削装置である。被加工物140が環状のフレーム141の内側に位置付けられている状態で、フレーム141の下面と被加工物140の下面とにテープ142が貼着されることにより、被加工物140、フレーム141、及びテープ142が一体化されたワークユニット14が形成される。被加工物140の上面1400には、互いに直交する複数の分割予定ライン1402が形成されており、分割予定ライン1402によって区画された領域には、デバイス1401が配設されている。以下、切削装置1の構成について説明する。
【0010】
切削装置1は、図1に示すように、略L字形状に形成されたベース10を備えている。ベース10の+X方向側かつ-Y方向側の部分は、カセットステージ100となっており、カセットステージ100には、カセット12が載置されている。カセット12には、ワークユニット14が収容されている。
【0011】
ベース10の上には、チャックテーブル2が配設されている。チャックテーブル2は、円板状の吸引部20と吸引部20を支持する環状の枠体21とを備えている。吸引部20の上面は、ワークユニット14が保持される保持面200となっている。
【0012】
チャックテーブル2に隣接された位置には、チャックテーブル2を四方から囲むようにして4つのクランプ23が配設されている。保持面200に被加工物140を載置して、フレーム141を四つのクランプ23を用いて四方から挟持することにより、ワークユニット14をチャックテーブル2に保持することができる。
【0013】
チャックテーブル2は、図示しない回転手段に接続されている。該回転手段を用いることにより、チャックテーブル2を回転させることができる。
【0014】
また、チャックテーブル2は、図示しない水平移動手段に接続されている。該水平移動手段を用いることにより、チャックテーブル2をX軸方向に水平移動させることができる。例えば、チャックテーブル2の保持面200に被加工物140が保持されている状態で、該水平移動手段を用いてチャックテーブル2をX軸方向に水平移動させることにより、被加工物140をX軸方向に移動させることが可能となっている。
【0015】
チャックテーブル2の周囲にはカバー27が配設されており、カバー27は蛇腹28に伸縮可能に連結されている。
チャックテーブル2がY軸方向に移動すると、カバー27がチャックテーブル2と一体的にY軸方向に移動して、蛇腹28が伸縮することとなる。
【0016】
ベース10の+X方向側かつ+Y方向側には、切削加工後の被加工物140を洗浄する洗浄手段13が設けられている。洗浄手段13は、被加工物140を保持するスピンナテーブル130と、スピンナテーブル130の上面に向けて洗浄水を噴射する洗浄ノズル131とを備えている。
スピンナテーブル130の上面に被加工物140が保持された状態で、スピンナテーブル130を回転させながら、洗浄ノズル131から洗浄水を噴射することによって、被加工物140を流水洗浄することができる。
【0017】
ベース10の-X方向側には、L字コラム11が立設されている。L字コラム11の+X方向側の側面には、切削手段5をY軸方向に移動させるY軸移動手段3が配設されている。
【0018】
Y軸移動手段3は、Y軸方向に延設されたボールネジ30と、ボールネジ30を回転させる図示しないY軸モータと、ボールネジ30に平行に配設された一対のガイドレール31と、側部のナットがボールネジ30に螺合し側部がガイドレール31に摺接する可動板33とを備えている。
図示しないY軸モータを用いてボールネジ30を回転させると、可動板33がガイドレール31に案内されながらY軸方向に水平移動する。可動板33をY軸方向に水平移動させることにより、切削手段5をY軸方向に水平移動させることができる。
【0019】
可動板33の+X方向側の側面には、切削手段5をZ軸方向に移動させるZ軸移動手段4が配設されている。Z軸移動手段4は、Z軸方向に延設されたボールネジ40と、ボールネジ40を回転させるZ軸モータ42と、ボールネジ40に平行に配設された一対のガイドレール41と、側部のナットがボールネジ40に螺合し側部がガイドレール41に摺接する昇降板43とを備えている。昇降板43には、切削手段5が支持されている。
Z軸モータ42を用いてボールネジ40を回転させると、昇降板43がガイドレール41に案内されながらZ軸方向に移動することとなる。昇降板43をZ軸方向に昇降移動させることにより、昇降板43に支持されている切削手段5をZ軸方向に昇降移動させることができる。
【0020】
昇降板43の+X方向側の側面には、撮像手段16が支持されている。撮像手段16を用いて被加工物140の分割予定ライン1402を撮像することにより、撮像された分割予定ライン1402を基にして切削手段5の位置合わせを行うことが可能となっている。
【0021】
切削手段5は、図2に示すように、スピンドル50と、スピンドル50の先端に固定されるマウント基台53と、マウント基台53の連結面532に連結されるリングマウント58と、リングマウント58を介してマウント基台53に装着されるハブブレード54と、ハブブレード54をマウント基台53側に押さえるナット56と、留め具57とを備えている。
【0022】
スピンドル50は、例えば、円柱状に形成されており、スピンドルハウジング51に保護されている。スピンドル50は、Y軸方向の軸心55を軸にしてスピンドル50を回転させる図示しないモータに接続されている。スピンドル50の先端には、雌ねじ500が形成されている。
【0023】
ハブブレード54は、中央に開口540を有するアルミ製の環状基台541と、環状基台541の外周に環状に配設された砥石542とを備えている。砥石542は、環状基台541の外周部分に電着されている。
【0024】
マウント基台53は、円板状のフランジ部530と、フランジ部530の中央に形成され-Y方向側に突出した円柱状のボス部533とを備えている。
フランジ部530は、図3に示すように、径方向最外周側に、+Y方向側に凹んだ凹部531を有しており、凹部531の-Y方向側の面は、リングマウント58が連結される環状の連結面532となっている。連結面532の中心は、図2に示したスピンドル50の軸心55に一致している。また、ボス部533の外側面の先端には、雄ねじ534が形成されている。
【0025】
リングマウント58は、リング状に形成された金属部材であり、環状基台541の一方の面である被支持面543を支持する支持面580と、連結面532に対面する被連結面582とを有している。
【0026】
ナット56の内側面には、マウント基台53の雄ねじ534に対応する雌ねじ560が形成されている。また、留め具57には、スピンドル50の雌ねじ500に対応する雄ねじ570が形成されている。
【0027】
切削手段5は、図3に示すように、リングマウント58を連結面532に連結させる連結機構59を備えている。連結機構59は、例えば、マウント基台53の連結面532からスピンドル50の軸心55の方向(-Y方向)に突出する首592と首592の先端に形成された頭593とを有する2つのピン591を備えている。
2つのピン591は、例えば、マウント基台53の連結面532の円周上に等しい間隔をあけて配設されており、2つのピン591を結んだ直線がマウント基台53の連結面532の中心を通るように、マウント基台53の連結面532にピン591が固定されている。ピン591の頭593の外径は首592の外径よりも大径に形成されている。
【0028】
また、連結機構59は、図4に示すように、リングマウント58に形成された穴594と、穴594からリングマウント58の回転方向に向かって円弧状に延ばされて形成された長穴595とを備えている。穴594と長穴595とは、被連結面532からリングマウント58の厚さ方向に窪んでおり、リングマウント58の円周上に等しい間隔をあけてそれぞれ4つずつ形成されている。
【0029】
図5には、穴594及び長穴595の特徴を表すために部分的に拡大されたリングマウント58とピン591とが示されている。穴594は、図5に示すように、ピン591の頭593を挿入可能な大きさの外径を有しており、また、頭593及び首592を収容可能なY軸方向の深さを有している。長穴595の円弧方向に直交する方向の幅は、穴594の直径より狭くなっている。
長穴595は、被連結面582側に形成された首摺動溝5953と、首摺動溝5953よりもリングマウント58の厚さ方向奥側(-Y方向側)に形成された頭摺動溝5954とで構成されている。頭摺動溝5954の溝幅は第1長さ5950であり、首摺動溝5953の溝幅は第2長さ5952である。第1長さ5950は、頭593の円の外径よりも僅かに大きい長さであり、第2長さ5952は、頭593の外径より小さく、かつ首592の外径よりも僅かに大きい長さである。
また、頭摺動溝5954の深さである長さ5951は、頭593の厚み5931よりも僅かに大きい長さとなっている。
連結機構59は、ピン591、ピン591に係合される穴594、及び長穴595によって、いわゆる引掛けシーリング部材を構成している。
【0030】
リングマウント58とマウント基台53とを連結させる際には、図4に示したリングマウント58の穴594にピン591の頭593及び首592を挿入してリングマウント58をマウント基台53に対して相対的に回転させる。すると、図6に示すように、ピン591の頭593が長穴595の頭摺動溝5954を摺動し、長穴595の穴594の反対側の端部まで移動する。これにより、図7に示すように、マウント基台53にリングマウント58がいわゆるシーリング固定された状態となる。このとき、図5に示した通り、ピン591の頭593の外径よりも長穴595の第2長さ5952の方が小さいため、ピン591は長穴595に対して+Y方向側へと外れない状態となっている。
なお、連結機構59に備えるピン591、穴594及び長穴595の数は、それぞれ上記の数に限定されるものではない。
【0031】
図8には、切削手段5の各種の部材が組み合わされて嵌着されている状態が示されている。図8においては、マウント基台53にリングマウント58が連結された状態で、スピンドル50の先端にマウント基台53が固定されている。また、ハブブレード54の環状基台541がマウント基台53のボス部533に貫通されて、リングマウント58の支持面580に支持されている。また、ハブブレード54は、リングマウント58の支持面580の反対側(-Y方向側)からナット56によって押さえられており、ボス部533の雄ねじ534にナット56の雌ねじ560が螺合されている。すなわち、リングマウント58とナット56とによってハブブレード54が挟まれている。そして、留め具57の雄ねじ570がスピンドル50の雌ねじ500に螺合して、マウント基台53、ハブブレード54、及びナット56が一体となっている。
【0032】
2 切削装置の動作
上記の切削装置1を用いて被加工物140を切削加工する際の切削装置1の動作について、以下に説明する。
切削装置1を用いて被加工物140を切削加工する際には、まず、図1に示したカセット12に収容されているワークユニット14を一枚取り出して、チャックテーブル2の保持面200に載置する。そして、フレーム141を四つのクランプ23を用いて四方から挟持することにより、ワークユニット14をチャックテーブル2に固定する。これにより、被加工物140がチャックテーブル2の保持面200に保持される。
【0033】
次に、被加工物140がチャックテーブル2の保持面200に保持されている状態で、図示しない水平移動手段を用いてチャックテーブル2を-X方向に移動させて、被加工物140を撮像手段16の下方に位置付ける。そして、撮像手段16を用いて分割予定ライン1402を撮像するとともに、撮像された分割予定ライン1402の画像に基づいて、Y軸移動手段3をY軸方向に適宜移動させて、分割予定ライン1402に対する切削手段5のY軸方向の位置合わせを行う。
【0034】
また、図示しないモータ等を用いてスピンドルハウジング51に収容されているスピンドル(図1においては図示せず)を回転させる。これにより、ハブブレード54が回転する。
【0035】
そして、ハブブレード54が回転している状態で、Z軸移動手段4を用いて切削手段5を-Z方向に移動させて、回転するハブブレード54を被加工物140の分割予定ライン1402に当接させるとともに、図示しない水平移動手段を用いてチャックテーブル2に保持されている被加工物140を-X方向に移動させる。これにより、被加工物140とハブブレード54とがX軸方向に相対移動して、被加工物140の分割予定ライン1402に沿って被加工物140が切削される。
【0036】
1つの分割予定ライン1402の切削を行った後、一旦、Z軸移動手段4を用いて切削手段5を+Z方向に上昇させて、ハブブレード54を被加工物140の上方へと退避させるとともに、該水平移動手段を用いてチャックテーブル2を+X方向に移動させて、切削加工の開始位置に位置づける。
そして、例えば、隣り合う分割予定ライン1402の間隔の分だけY軸移動手段3を用いて切削手段5をY軸方向に移動させてから、同様に分割予定ライン1402に対してハブブレード54を切り込ませることにより、隣り合う分割予定ライン1402を切削加工する。
【0037】
このようにして、被加工物140に形成されている同一方向の分割予定ライン1402を全て切削した後に、例えば、図示しない回転手段を用いてチャックテーブル2を例えば90度回転させてから、同様に切削加工を行うことによって、被加工物140の全ての分割予定ライン1402に対して切削加工を行う。これにより、被加工物140に形成されているすべての分割予定ライン1402が切削される。
【0038】
切削装置1に備える切削手段5においては、図8に示すように、ハブブレード54の環状基台541とマウント基台53との間にリングマウント58が配設されているため、環状基台541のアルミがリングマウント58に付着する。従って、マウント基台53の連結面532にアルミが付着するのを防止できる。
【0039】
従来は、所定の回数の切削加工した後にマウント基台53を交換していたが、切削手段5にあっては、リングマウント58を新しいものと交換する。リングマウント58はマウント基台53よりも安価であるため経済的であるというメリットがある。
また、切削手段5を用いて所定の回数の切削加工した後、リングマウント58を一旦取り外して洗浄することも可能となっている。
【0040】
切削装置1は、上記のような連結機構59にかえて、図9に示すような内壁支持部596を有する第2連結機構590を備えるものであってもよい。内壁支持部596は、マウント基台53の外周部分に設けられた第1つまみ部5960及び第1つまみ部5960を支持する第1支持部材5961、並びにマウント基台53の中心に対して第1つまみ部5960の反対側に設けられた第2つまみ部5962及び第2つまみ部5962を支持する第2支持部材5963を有している。第1つまみ部5960と第2つまみ部5962とは、両者を結んだ直線がマウント基台53の中心を通るように位置づけられている。
第1つまみ部5960及び第2つまみ部5962の内部には、図示しないバネ機構等が配設されている。
第1つまみ部5960に外力が加えられていない状態においては、第1支持部材5961は、マウント基台53の外周から-X方向に突出している。この状態から第1つまみ部5960に+X方向の力を加えて第1つまみ部5960を+X方向に押すと、第1支持部材5961が+X方向に移動してマウント基台53の内側に収容される。そして、第1つまみ部5960に加えられていた+X方向の力を解くと、第1つまみ部5960及び第1支持部材5961が-X方向に移動してもとの位置に戻される。
同様に、第2つまみ部5962に外力が加えられていない状態においては、第2支持部材5963はマウント基台53の外周から+X方向に突出した状態にある。この状態から第2つまみ部5962を-X方向に押すと、第2支持部材5963が-X方向に移動して、第2支持部材5963がマウント基台53の内側に収容される。第2つまみ部5962に加えられていた-X方向の力を解くと、第2つまみ部5962及び第2支持部材5963が+X方向に移動してもとの位置に戻される。
【0041】
図9においては、第1支持部材5961がマウント基台53の外周から-X方向に突出しており、同様に第2支持部材5963がマウント基台53の外周から+X方向に突出している状態が示されている。これにより、リングマウント58の内壁面581が第1支持部材5961及び第2支持部材5963によって支持されてマウント基台53とリングマウント58とが連結されている。
例えば、リングマウント58の交換時等に、リングマウント58をマウント基台53から取り外す際には、第1つまみ部5960を+X方向に押して第1支持部材5961をマウント基台53の内側に収容するとともに、第2つまみ部5962を-X方向に押して第2支持部材5963をマウント基台53の内側に収容する。これにより、リングマウント58の内壁面581が第1支持部材5961及び第2支持部材5963に支持されている状態から解かれて、リングマウント58をマウント基台53から取り外すことができる。
【0042】
連結機構59は、リングマウント58またはマウント基台53のいずれか一方に図示しない磁石が配置され、リングマウント58、及びマウント基台53のうち該磁石が配置されていない方に磁性体が配置されているものであってもよい。
すなわち、例えば、図2に示したリングマウント58に磁石が配設されており、マウント基台53の連結面532に磁性体が配設されている構成であってもよい。また、例えば、マウント基台53の連結面532に磁石が配設されており、リングマウント58に磁性体が配設されている構成であってもよい。このような構成においては、リングマウント58を磁力によってマウント基台53に連結させることができる。
【符号の説明】
【0043】
1:切削装置 10:ベース 100:カセットステージ 11:L字コラム
12:カセット 13:洗浄手段 130:スピンナテーブル 131:洗浄ノズル
14:ワークユニット 140:被加工物 141:フレーム 142:テープ
1400:上面 1401:デバイス 1402:分割予定ライン 16:撮像手段
2:チャックテーブル 20:吸引部 200:保持面 21:枠体
23:クランプ 27:蛇腹 28:カバー
3:Y軸移動手段 30:ボールネジ 31:ガイドレール 33:可動板
4:Z軸移動手段 40:ボールネジ 41:ガイドレール 42:Z軸モータ
43:昇降板 5:切削手段 50:スピンドル 500:雌ねじ
51:スピンドルハウジング 53:マウント基台
530:フランジ部 531:凹部 532:連結面 533:ボス部
534:雄ねじ 54:ハブブレード 540:開口 541:環状基台
542:砥石543:被支持面 55:回転軸 56:ナット
560:雌ねじ 57:留め具 570:雄ねじ 58:リングマウント
580:支持面 581:内壁面
59:連結機構 591:ピン 592:首 593:頭 5931:頭の厚み
594:穴 595:長穴 5950:第1長さ 5951:厚み方向の長さ
5952:第2長さ 5953:首摺動溝 5954:頭摺動溝
590:第2連結機構
596:内壁支持部 5960:第1つまみ部 5961:第1支持部材
5962:第2つまみ部 5963:第2支持部材
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9