(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】保護部材形成装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20240717BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20240717BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240717BHJP
B65G 49/07 20060101ALI20240717BHJP
B05C 5/00 20060101ALI20240717BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/68 B
H01L21/68 N
H01L21/304 622J
B65G49/07 C
B05C5/00 101
B05C11/10
(21)【出願番号】P 2020146721
(22)【出願日】2020-09-01
【審査請求日】2023-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桑名 一孝
【審査官】境 周一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-175647(JP,A)
【文献】特開2014-033005(JP,A)
【文献】特開2003-100727(JP,A)
【文献】特開2005-123642(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/683
H01L 21/304
B65G 49/07
B05C 5/00
B05C 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハを棚状に収納したカセットを載置するカセットステージと、該カセットから取り出したウェーハを仮置きする仮置きテーブルと、シートを載置するステージと、該ステージに載置された該シートの上に液状の樹脂を供給する液状樹脂供給ノズルと、該シートに供給された液状の該樹脂に押し付けるウェーハを保持するウェーハ保持部と、液状の該樹脂を硬化させウェーハの片面に該シートと硬化した該樹脂とからなる保護部材を形成する硬化手段と、ウェーハの片面に形成した該保護部材の該シートをウェーハの外周に沿って円形に切断するためのカットテーブルと、該仮置きテーブルと該ステージとの間、及び該ステージと該カットテーブルとの間においてウェーハを搬送するロボットと、制御手段と、を備える保護部材形成装置であって、
該ロボットは、上面に吸引面を有するU字形状のロボットハンドと、該ロボットハンドの直下に配置し片面に該保護部材を形成したウェーハをもう片方の上面側から該シートを介して吸引保持する吸引パッドと、該吸引パッドに配置され該保護部材を形成したウェーハの外に該シートがはみ出した部分を吸引保持する複数の吸盤と、該ロボットハンド、及び該吸引パッドを配置するホルダと、該ホルダを鉛直方向に移動させる昇降手段と、該ホルダを水平方向に移動させる水平移動手段と、を備え、
該仮置きテーブルは、該ロボットハンドのU字状の開口の中を通過可能に形成され、
該カットテーブルは、中心が該仮置きテーブルの中心と同一線上に位置するように該仮置きテーブルの直下に配置され、
該制御手段は、該昇降手段を制御して該ホルダを昇降させることによって、該吸引パッドで該カットテーブルに該保護部材を形成したウェーハを載置した後に該ロボットハンドで該仮置きテーブルのウェーハを受け取り可能とし、また、該ロボットハンドが保持しているウェーハを該ウェーハ保持部に受け渡して該ウェーハ保持部で保持させた後に該吸引パッドで該ステージ上の該保護部材を形成したウェーハを受け取り可能とする保護部材形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハの一方の面に保護部材を形成する保護部材形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、又は特許文献2に開示されているように、半導体ウェーハなどの製造工程においては、円柱状のインゴットをワイヤーソーによってスライスして円板状のウェーハを形成するときに、ウェーハに反りやうねりが形成されることがある。この反りやうねりを除去するために、反りやうねりが形成されたウェーハの片面にポリエチレン等の液状樹脂を塗布し、これを硬化させ保護部材を形成した後に、回転する研削砥石でウェーハの該片面の反対面を研削して平坦化し、さらに、保護部材を剥離してから、露出した該片面を研削してウェーハを所定の厚みに平坦化する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-167546号公報
【文献】特開2017-224670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記技術において、ウェーハの片面に液状樹脂を塗布して硬化させるためには、例えば、保護部材形成装置のステージ上に載置されたシートの上に所定量の液状樹脂を滴下し、ステージの上方で吸引保持部に保持されたウェーハを、その片面(下面)側から液状樹脂に対して上方から押し付けてウェーハの片面の中心から外周側に向けて液状樹脂をシートとウェーハの片面との間で拡張させ該片面の全域に液状樹脂を行きわたらせた後、この液状樹脂を加熱したり、紫外光を照射したりすることにより液状樹脂を硬化させている。
【0005】
上記のような保護部材形成装置は、カセットからウェーハを取り出し仮置きテーブルに搬送する第1ロボットと、仮置きテーブルからステージの真上に待機するウェーハ保持部にウェーハを搬送して受け渡す第2ロボットとを備える。そして、第2ロボットは、保護部材を形成したウェーハをウェーハ保持部から搬出する際にも用いられる。そのため、第2ロボットがウェーハ保持部から保護部材を形成したウェーハを搬出し、次のウェーハをウェーハ保持部に搬送するまで、一連のウェーハ搬送における待機時間が発生する。
【0006】
よって、保護部材形成装置においては、保護部材形成における一連のウェーハ搬送における待機時間を少なくして、生産性を向上させるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明は、ウェーハを棚状に収納したカセットを載置するカセットステージと、該カセットから取り出したウェーハを仮置きする仮置きテーブルと、シートを載置するステージと、該ステージに載置された該シートの上に液状の樹脂を供給する液状樹脂供給ノズルと、該シートに供給された液状の該樹脂に押し付けるウェーハを保持するウェーハ保持部と、液状の該樹脂を硬化させウェーハの片面に該シートと硬化した該樹脂とからなる保護部材を形成する硬化手段と、ウェーハの片面に形成した該保護部材の該シートをウェーハの外周に沿って円形に切断するためのカットテーブルと、該仮置きテーブルと該ステージとの間、及び該ステージと該カットテーブルとの間においてウェーハを搬送するロボットと、制御手段と、を備える保護部材形成装置であって、該ロボットは、上面に吸引面を有するU字形状のロボットハンドと、該ロボットハンドの直下に配置し片面に該保護部材を形成したウェーハをもう片方の上面側から該シートを介して吸引保持する吸引パッドと、該吸引パッドに配置され該保護部材を形成したウェーハの外に該シートがはみ出した部分を吸引保持する複数の吸盤と、該ロボットハンド、及び該吸引パッドを配置するホルダと、該ホルダを鉛直方向に移動させる昇降手段と、該ホルダを水平方向に移動させる水平移動手段と、を備え、該仮置きテーブルは、該ロボットハンドのU字状の開口の中を通過可能に形成され、該カットテーブルは、中心が該仮置きテーブルの中心と同一線上に位置するように該仮置きテーブルの直下に配置され、該制御手段は、該昇降手段を制御して該ホルダを昇降させることによって、該吸引パッドで該カットテーブルに該保護部材を形成したウェーハを載置した後に該ロボットハンドで該仮置きテーブルのウェーハを受け取り可能とし、また、該ロボットハンドが保持しているウェーハを該ウェーハ保持部に受け渡して該ウェーハ保持部で保持させた後に該吸引パッドで該ステージ上の該保護部材を形成したウェーハを受け取り可能とする保護部材形成装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る保護部材形成装置は、ロボットは、上面に吸引面を有するU字形状のロボットハンドと、ロボットハンドの直下に配置し片面に保護部材を形成したウェーハをもう片方の上面側からシートを介して吸引保持する吸引パッドと、吸引パッドに配置され保護部材を形成したウェーハの外にシートがはみ出した部分を吸引保持する複数の吸盤と、ロボットハンド、及び吸引パッドを配置するホルダと、ホルダを鉛直方向に移動させる昇降手段と、ホルダを水平方向に移動させる水平移動手段と、を備え、仮置きテーブルは、ロボットハンドのU字状の開口の中を通過可能に形成され、カットテーブルは、中心が仮置きテーブルの中心と同一線上に位置するように仮置きテーブルの直下に配置されていることで、制御手段は、昇降手段を制御してホルダを昇降させることによって、吸引パッドでカットテーブルに保護部材を形成したウェーハを載置した後にロボットハンドで仮置きテーブルのウェーハを受け取り可能とし、また、ロボットハンドが保持しているウェーハをウェーハ保持部に受け渡してウェーハ保持部で保持させた後に吸引パッドでステージ上の保護部材を形成したウェーハを受け取り可能とすることが可能となり、ウェーハ搬送における待機時間を減らして、ウェーハの搬送時間を短くすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】保護部材形成装置の一例を示す斜視図である。
【
図3】仮置きテーブルとカットテーブルとの位置関係を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に示す保護部材形成装置1は、ウェーハ90の片面900(下面)に保護部材を形成する装置の一例であり、加工室を形成する筐体100と、筐体100内に配設された装置ベース101と、装置ベース101上に立設するコラム102と、装置ベース101側面に隣接して配設された支持ベース103と、筐体100の後側(+Y方向側)に連結されX軸方向に並んだカセットステージ1041、カセットステージ1042を有するカセット収容本体104とを備える。
【0011】
カセットステージ1041には、保護部材が形成される前のウェーハ90を複数棚状に収納するカセット1043が載置され、カセットステージ1042には、保護部材が形成された後のウェーハ90が複数棚状に収納されるカセット1044が載置されている。なお、保護部材形成前のウェーハ90を収容するカセット1043と保護部材形成後のウェーハ90を収容するカセット1044とは左右の配置が逆になっていてもよい。
平面視円形のウェーハ90は、例えば、シリコンインゴットから切り出したアズスライスウェーハであるが、これに限定されるものではない。
【0012】
図1に示すコラム102の+Y方向側の背後には、カセット1043から取り出したウェーハ90を仮置きする仮置きテーブル70と、仮置きテーブル70より下方に位置しウェーハ90の片面900に形成した保護部材のシート12をウェーハ90の外周に沿って円形に切断するためのカットテーブル72とが連結されている。仮置きテーブル70の上方には、仮置きテーブル70に載置され保護部材が形成される前のウェーハ90の中心位置等を撮像画像を用いて検出するカメラ等からなるウェーハ検出部106が配設されている。カットテーブル72上には、ウェーハ90に形成された保護部材のウェーハ90の外周縁からのはみ出し部分をウェーハ90の外周に沿って円形に切断するカッター75が旋回可能に配設されている。
【0013】
カセット収容本体104と仮置きテーブル70との間には、カセット1043、カセット1044に対してウェーハ90の搬出入を行う多関節ロボット等のウェーハ搬送手段1081が配設されており、ウェーハ搬送手段1081は、ボールネジ機構等のX軸方向移動手段1082によりX軸方向に往復移動可能となっている。ウェーハ搬送手段1081は、保護部材が形成される前のウェーハ90をカセット1043から搬出して仮置きテーブル70に搬入するとともに、保護部材形成済みのウェーハ90をカットテーブル72から搬出してカセット1044に搬入することができる。
【0014】
仮置きテーブル70上でウェーハ検出部106により中心位置等が検出されたウェーハ90は、
図1に示す多関節のロボット4により保持されて搬送される。
図2に示すロボット4は、上面に吸引面400を有するU字形状のロボットハンド40と、ロボットハンド40の直下に配置し片面900に保護部材を形成したウェーハ90をもう片方の上面902側からシート12を介して吸引保持する吸引パッド42と、吸引パッド42に配置され保護部材を形成したウェーハ90の外にシート12がはみ出した部分を吸引保持する複数の吸盤44と、ロボットハンド40、及び吸引パッド42を配置するホルダ46と、ホルダ46を鉛直方向に移動させる昇降手段47と、ホルダ46を水平方向に移動させる水平移動手段48と、を備えている。
【0015】
図2に詳しく示す水平移動手段48は、例えば、長尺板状の第1のアーム481と、長尺板状の第2のアーム482と、Z軸方向に延在する円柱状のアーム連結部483と、を備えており、第1のアーム481の一端の下面には、アーム連結部483を介して、第2のアーム482の一端の上面が連結されている。第1のアーム481のもう一端には、ホルダ46が連結されており、第2のアーム482のもう一端の下面は、昇降手段47に連結されている。そして、第1のアーム481、第2のアーム482、及びアーム連結部483の内部に旋回軸等からなり旋回モータ489を駆動源とするベルトプーリ機構が配設されており、水平移動手段48は、旋回モータ489が生み出す回転力により、第1のアーム481、及び第2のアーム482を軸方向がZ軸方向(鉛直方向)である旋回軸を軸にして互いに旋回させることができる。そして、ロボットハンド40及び吸引パッド42を水平面内(X軸Y軸平面内)において旋回移動させることができるとともに、第1のアーム481、及び第2のアーム482を互いが交差した状態から互いが直線状となる状態等に変形させることができ、また、ロボットハンド40及び吸引パッド42を水平面内において直動させることができる。
【0016】
水平移動手段48の第2のアーム482の下側には例えば電動アクチュエータ等で構成される昇降手段47が接続されており、昇降手段47は、水平移動手段48と共にロボットハンド40及び吸引パッド42をZ軸方向において上下動させ、吸引パッド42を所定高さに位置づけできる。昇降手段47は、
図1に示す電動スライダ109上に配設されており、ロボット4は電動スライダ109によってY軸方向に往復移動可能となっている。
【0017】
図2に示すホルダ46は、例えば、長尺板状のハンド支持アーム461と、長尺板状のパッド支持アーム462と、Z軸方向に延在するホルダ回転軸463とを備えている。ホルダ回転軸463は、第1のアーム481の先端にZ軸方向を軸方向として回転可能に連結されており、例えば、第1のアーム481内に配設されたベルトプーリ機構によって、第1のアーム481と連動して水平面内(X軸Y軸平面内)においてハンド支持アーム461及びパッド支持アーム462を旋回移動させることができるとともに、ハンド支持アーム461及びパッド支持アーム462を、例えば第1のアーム481の延在方向に水平面内において交差した状態から第1のアーム481の延在方向と同方向に延在するように変形させることができる。
【0018】
ハンド支持アーム461の先端側の上面にロボットハンド40の下面が固定されている。また、パッド支持アーム462の先端側の下面に吸引パッド42の上面が固定されている。
ホルダ46に配置されウェーハ90を吸引保持する板状のロボットハンド40は、平面視U字形状となっており、上側を向いている面が吸引面400となる。吸引面400は平滑に仕上げられており、また、ウェーハ90に接触した場合に、ウェーハ90を傷付けないように吸引面400の端部(稜線)には面取りが施されていてもよい。
【0019】
吸引面400には、複数の吸引孔401が開口している。吸引孔401は、例えば、吸引面400に略等間隔空けて、3箇所にそれぞれ3つずつ開口している。なお、吸引孔401の数や配設箇所は本例に限定されるものではない。
なお、吸引孔401には、変形可能なゴム吸盤等が配設されていてもよい。
【0020】
各吸引孔401にはロボットハンド40の内部を通る各ハンド内吸引路403の一端がそれぞれ連通しており、ハンド内吸引路403のもう一端側は、ホルダ46側に延びて合流した後、ロボットハンド40の旋回移動を妨げないように可撓性を備える樹脂チューブ490が、図示しない継手等を介して連通している。そして、樹脂チューブ490のもう一端側は、真空発生装置、又はエジェクター機構等の吸引源49に接続されている。
なお、
図2においては、1つの吸引孔401のみにハンド内吸引路403を連通させるように図示しているが、他の吸引孔401にもそれぞれハンド内吸引路403は連通している。また、例えば、樹脂チューブ490には、吸引源49との連通状態と非連通状態とを切り換える制御弁491が配設されている。
【0021】
吸引パッド42は平面視略H状に形成されており、吸引パッド42の各先端の下面には吸盤44が配設されている。吸盤44は、例えば、変形可能なゴム等の弾性材を平面視円形状で下方に向かって拡径するように形成されている。吸盤44の下面が吸着面となる。また、吸盤44には、吸引パッド42の旋回移動を妨げないように可撓性を備える樹脂チューブ425が、図示しない継手等を介して連通している。そして、樹脂チューブ425のもう一端側は、例えば一つに合流して吸引源49に接続されている。
なお、
図2においては、1つの吸盤44のみに樹脂チューブ425を連通させるように図示しているが、他の吸盤44にもそれぞれ樹脂チューブ425は連通している。また、例えば、樹脂チューブ425には、吸引源49との連通状態と非連通状態とを切り換える制御弁493が配設されている。
【0022】
例えば、吸引パッド42の中央部分には、ロボットハンド40のU字状の開口405に平面視相似又は合同のU字状の開口426が形成されている。また、ロボットハンド40の中心と吸引パッド42の中心とは、略合致している。
【0023】
例えば、
図3に詳しく示すカットテーブル72は平面視円形に形成された吸引保持部720と、吸引保持部720を囲繞するカバー部722と、吸引保持部720とカバー部722との間に配設されウェーハ90よりも少しだけ大径の逃げ溝723とを備えている。例えば吸引保持部720の中心には、吸引孔7201が形成されており、該吸引孔7201は図示しない吸引源に連通している。
【0024】
カバー部722には、仮置きテーブル70及びカッター75を支持する支持柱77が+Z方向に立設しており、支持柱77の-X方向側の前面には上から順に仮置きテーブル70が埋設されたテーブル支持アーム773と、シリンダ支持アーム770とが-X方向に水平に延在している。
【0025】
仮置きテーブル70は、Z軸方向に上下動するロボットハンド40のU字状の開口405の中をZ軸方向に通過可能に形成されている。即ち、先端側に仮置きテーブル70が例えば埋設され-X方向に向かって長尺板状に形成されたテーブル支持アーム773は、U字状の開口405よりも幅が細く形成されており、先端側がU字状の開口405に合わせて半円形状に丸められている。
【0026】
仮置きテーブル70は、例えば、テーブル支持アーム773の上面と吸引保持面700とが面一になるようにしてテーブル支持アーム773の先端側に埋設されている。そして、仮置きテーブル70の吸引保持面700に仮置きされたウェーハ90は、テーブル支持アーム773の上面の一領域にも載置されるようになっているが、この形状に限定されるものではない。例えば、仮置きテーブル70の中心とカットテーブル72の吸引保持部720の中心とは略合致している。また、仮置きテーブル70は、ウェーハ90よりの中央部分のみに当接するように、ウェーハ90よりも小径となっている。
【0027】
平面視円形の仮置きテーブル70は、例えば、ポーラス部材からなる吸引保持面、又は
図3に示すように吸引孔703及び吸引孔703から放射方向に吸引溝701が形成された吸引保持面700を備えており、該吸引保持面700には図示しない吸引源が生み出す吸引力が伝達可能となっている。
【0028】
仮置きテーブル70の下面にはスピンドル及びモータ等で構成される仮置きテーブル回転手段709が連結されており、仮置きテーブル70は吸引保持したウェーハ90を軸方向がZ軸方向の回転軸を軸として回転させることができ、ウェーハ検出部106の下方に保持したウェーハ90の外周縁等を通過させることができる。
【0029】
シリンダ支持アーム770は、例えば、テーブル支持アーム773と同様の外形を備えており、上下動するロボットハンド40の開口405及び上下動する
図2に示す吸引パッド42の開口426をZ軸方向に通過可能となっている。そして、シリンダ支持アーム770の-X方向側の先端部分には、昇降シリンダ78が配設されている。
【0030】
昇降シリンダ78は、シリンダ支持アーム770に支持された有底筒状のシリンダケース780からZ軸方向にロッド782が伸縮する構成となっており、吸引保持部720の中心線上に重なるように位置付けられている。そして、ロッド782には水平方向に延在するカッター支持バー783が取り付けられており、カッター支持バー783の先端下面に逃げ溝723に対向するカッター75が配設されている。また、昇降シリンダ78はカッター旋回モータ76によって、軸方向がZ軸方向の回転軸回りに回転可能となっている。そして、昇降シリンダ78が回転することで、カッター75が逃げ溝723に沿って旋回する。
【0031】
なお、
図3においては、カットテーブル72は逃げ溝723を1条備えているが、例えば、吸引保持部720の中心を中心とする同心円状に逃げ溝723の外側にさらに1条の逃げ溝を備え、また、カッター支持バー783を水平方向に伸縮可能として、カッター75によって径の大きさの異なるウェーハ90の保護部材のシート12をウェーハ90の外周に沿って円形に切断可能としてもよい。
【0032】
図1に示す装置ベース101上には、回転軸、モータ、及び複数本の回転ローラ等からなるシート供給手段11と、液状樹脂が滴下されるシート12を載置する円形の上面140を有しガラス等の透明部材で構成されるステージ14とが配設されている。複数のローラ等で構成されるシート供給手段11は、所定の樹脂で構成されるシート12がロール状に巻かれて形成されたシートロール129から、所望の長さのシート12を前方(+Y方向)に位置するステージ14に向かって送り出すことができる。
【0033】
装置ベース101の上面の中位置はシート供給手段11から+Y方向側に送り出されたシート12が切断時に載置される仮置き面1011となっており、該仮置き面1011のシート供給手段11に近い領域には、シート12のX軸方向における幅程度の長さにわたって、シート吸引孔1013が例えば2列でX軸方向に等間隔を空けて複数形成されている。該シート吸引孔1013は、図示しない真空発生装置等の吸引源に連通している。なお、シート吸引孔1013は、X軸方向に延在する1本のスリット状に形成されていてもよい。
【0034】
保護部材形成装置1は、
図1に示すように、シート12の外周端(+Y方向側の外周端)を把持する把持部15と、把持部15に把持されたシート12をステージ14の上面140に平行な水平方向(+Y方向)に引き出すように移動させる水平移動機構16と、ステージ14に載置されたシート12の上に液状の樹脂を供給する液状樹脂供給ノズル179と、を備えている。
【0035】
保護部材形成装置1は、例えば、把持部15に把持され引き出されたシート12の先端側(+Y方向側)に対する後端側(-Y方向側)を切断するシート切断手段80を備えている。
シート切断手段80は、例えば、シート供給手段11の前方近傍に配設されている。シート切断手段80は、
図1に示すように、装置ベース101の仮置き面1011の2列のシート吸引孔1013の間に形成されシート12の幅方向に横断する図示しないカッター用逃げ溝と、カッター用逃げ溝の上方に配置されカッター用逃げ溝の延在方向に沿ってカッター用逃げ溝内を進行させるカッター801を昇降及びX軸方向に移動可能とするカッター移動手段802とを備えている。
【0036】
図1に示すように、水平移動機構16は、例えば、支持ベース103内に配設された図示しない電動スライダにより可動アーム160をY軸方向に移動させることができる。
【0037】
例えば、
図1に示す支持ベース103の天板には、可動アーム160をY軸方向において移動可能とする可動孔1033がY軸方向に所定の長さで延在するように貫通形成されている。そして、可動アーム160は、例えば、+Z方向に延在して可動孔1033を通り、支持ベース103から外部に露出した後、+Y方向側に所定の長さで水平に延在し、さらに+X方向にシート12を横断するように水平に伸びている。
【0038】
図1に示すように、可動アーム160のX軸方向にシート12を横断するように伸びた部分の-Y方向側の内側面に、把持部15が配置されている。把持部15は、例えば、互いがZ軸方向に接近及び離間可能な一対の把持板の間に把持対象であるシート12の外周端を挟み込む把持クランプである。
【0039】
図1に示すように、本実施形態においては、液状樹脂供給ノズル179は、把持部15に隣接して配置され水平移動機構16によって移動可能でありシート12の上に所定量の液状の樹脂を供給する。なお、液状樹脂供給ノズル179は、ステージ14上を旋回移動でき、側面視逆L字状で噴射口がステージ14の中央に向かって向けられる旋回ノズルであってもよい。
本実施形態において、液状樹脂供給ノズル179は、可動アーム160のX軸方向にシート12を横断するように伸びた部分の領域中央に配設されており、例えばZ軸方向に延在する直進ノズルである。そして、液状樹脂供給ノズル179は水平移動機構16によってステージ14の上面140の中央領域の直上に位置付け可能となっている。
【0040】
保護部材形成装置1は、
図1に示すように、液状樹脂供給ノズル179に液状樹脂を所定量送出するディスペンサ171と、液状樹脂供給ノズル179とディスペンサ171とを接続する接続管172とを備える。可撓性を有する樹脂チューブ等で構成される接続管172は、
図1に示す液状樹脂供給ノズル179の上端側の供給口に連通している。また、ディスペンサ171は、図示しない樹脂供給源に接続されている。樹脂供給源が液状樹脂供給ノズル179に供給する液状樹脂は、本実施形態においては紫外線が照射されることで硬化する紫外線硬化樹脂であるが、熱が加えられることで硬化する熱硬化樹脂であってもよい。
【0041】
例えば、保護部材形成装置1は、シート12の除電を行うイオナイザーノズルを備えていてもよい。イオナイザーノズルは、例えば、ステージ14に載置されたシート12に対して、エア供給源から供給されたエアを、正に帯電したイオン化エアと、例えば概略同じ量の負に帯電したイオン化エアとにし、シート12の上方からシート12に向かって噴出させる。
【0042】
図1に示すウェーハ90の保護部材を形成する片面900の面積より大きい面積で平坦な上面140を備え上面140より例えば大きな面積のシート12(切断された矩形状のシート12)を載置させる平面視円形のステージ14は、例えば、石英ガラスによって形成されている。そして、ステージ14は、例えば平面視矩形状の吸引カバー143によって囲繞されており、該吸引カバー143の上面には吸引孔144が四隅に配設されている。該吸引孔144には、真空発生装置等の図示しない吸引源が連通しており、切断された矩形状のシート12がステージ14の上面140及び吸引カバー143の上面に載置されると、吸引源が生み出す吸引力が該吸引孔144に伝達され、シート12がステージ14及び吸引カバー143上で吸引保持される。なお、ステージ14と吸引カバー143との間にも吸引孔が配置されていてもよい。
【0043】
ステージ14の下方となる位置には、液状の樹脂を硬化させウェーハ90の片面900にシート12と硬化した樹脂とからなる保護部材を形成する硬化手段149が配設されている。硬化手段149は、例えば、上方に向かって所定波長の紫外線を照射することが可能なUVランプを備えている。なお、シート12上に供給する液状樹脂が熱硬化樹脂である場合には、硬化手段149はヒータ等であってもよい。
【0044】
図1に示すコラム102の-Y方向側の前面には、ウェーハ保持部50とステージ14とを相対的に上面140に垂直方向(Z軸方向)に接近させ、シート12の上面に供給された液状の樹脂をウェーハ保持部50が保持したウェーハ90の下面である片面900で押し広げる拡張手段51が配設されている。
拡張手段51は、Z軸方向(鉛直方向)の軸心を有するボールネジ510と、ボールネジ510と平行に配設された一対のガイドレール511と、ボールネジ510に連結されボールネジ510を回動させるモータ512と、内部のナットがボールネジ510に螺合すると共に側部がガイドレール511に摺接する昇降ホルダ513とから構成され、モータ512がボールネジ510を回転させることに伴い昇降ホルダ513がガイドレール511にガイドされて支持するウェーハ保持部50とともに昇降する構成となっている。
【0045】
ウェーハ90を保持するウェーハ保持部50は、昇降ホルダ513によって保持されるホイール支持部502と、ホイール支持部502の下面に固定された円板状のホイール500と、を備えている。ホイール500は、枠体の中にポーラス板を下方に露出するようにはめ込んで構成されており、ホイール500の平坦な下面がウェーハ90を吸引保持する保持面503となる。保持面503は、真空発生装置等の図示しない吸引源に連通している。
【0046】
保護部材形成装置1は、上記の装置の各構成の動作を制御する制御手段19を備えている。CPU及びメモリ等の記憶素子等で構成される制御手段19は、例えば、
図2に示すロボット4の水平移動手段48を構成する旋回モータ、及び電動アクチュエータ等の昇降手段47に電気的に接続されている。
【0047】
制御手段19による制御の一例として、例えば
図2に示す旋回モータ489は、サーボモータであり、旋回モータ489の図示しないエンコーダは、サーボアンプとしての機能も有する制御手段19に接続されており、制御手段19の出力インターフェイスから旋回モータ489に対して動作信号が供給されることによって旋回モータ489が回転し、図示しないエンコーダが検知した回転数をエンコーダ信号として制御手段19の入力インターフェイスに対して出力する。そして、エンコーダ信号を受け取った制御手段19は、旋回モータ489によって旋回移動するロボットハンド40及び吸引パッド42の水平面内における位置を遂次認識できる。これと略同様の方式によって、制御手段19は昇降手段47を制御して、ロボットハンド40及び吸引パッド42をZ軸方向における所定の高さ位置に位置付け可能となる。
【0048】
以下に、上述した保護部材形成装置1を用いてウェーハ90に保護部材を形成する場合の、保護部材形成装置1の動作について説明する。
まず、
図1に示すウェーハ搬送手段1081により、カセット1043から保護部材が形成される前の狙いの一枚目のウェーハ90が取り出されて、仮置きテーブル70に搬送される。そして、例えば、
図3に示す仮置きテーブル70の吸引保持面700の中心とウェーハ90の中心とを略合致させた状態で、ウェーハ90が仮置きテーブル70によって吸引保持され、ウェーハ搬送手段1081がウェーハ90から離間する。
【0049】
仮置きテーブル70に仮置きされたウェーハ90の外周縁が、ウェーハ検出部106のカメラの撮像領域に入れられ、例えば、ウェーハ90の上面902にカメラのピントが合わせられ、ウェーハ90の外周縁が写った撮像画像が形成される。
図3に示す仮置きテーブル回転手段709により仮置きテーブル70が回転し、ウェーハ検出部106のカメラに対するウェーハ90の外周部分の位置が変えられる。そして、仮置きテーブル70に吸引保持されたウェーハ90についての同様の撮像画像が、カメラで複数箇所(例えば、先に撮像した箇所からウェーハ90の周方向に離間したさらに2か所)撮像される。即ち、ウェーハ90の外周縁が写った第2、第3の撮像画像がさらに形成される。そして、従来から知られている撮像画像中のウェーハ90の外周縁の3点のエッジ座標に基づく幾何学的演算処理により、ウェーハ90の中心が認定される。
また、仮置きテーブル70の中心に対しウェーハ90の中心のズレ量とズレ方向とが認識され、そのズレ方向にX軸方向に平行になるよう仮置きテーブル70を回転させる。
【0050】
次いで、仮置きテーブル70上のウェーハ90がロボット4によって、ウェーハ保持部50に搬送される。具体的には、制御手段19による制御の下で、
図1、
図2に示す昇降手段47によってロボットハンド40が吸引パッド42とともに上下動し、ロボットハンド40が、仮置きテーブル70上の一枚目のウェーハ90の高さ位置に位置づけられる。
【0051】
さらに、制御手段19による水平移動手段48の制御の下で、ロボットハンド40が吸引パッド42とともに旋回され、ロボットハンド40のU字状の開口405がテーブル支持アーム773にX軸方向において正対する。さらに、水平移動手段48によって、ロボットハンド40が+X方向に直動していき、テーブル支持アーム773及び仮置きテーブル70にU字状の開口405内を進入していく。なお、同時に吸引パッド42の開口426内をシリンダ支持アーム770及び昇降シリンダ78に進入していくため、吸引パッド42によってロボットハンド40の進行が阻害されることはない。
なお、ロボットハンド40を進入させる際に、カッター支持バー783をX軸方向に平行にするとよい。
【0052】
そして、例えば、ロボットハンド40の中心と既に認識されたウェーハ90の中心とが略合致するように、ロボットハンド40の水平面内における位置(X軸方向の位置)が微調整された後、昇降手段47がロボットハンド40を上昇させて、ウェーハ90の下方を向いている片面900に吸引面400を接触させる。そして、
図2に示す吸引源49の生み出す吸引力が、開かれた状態の制御弁491、樹脂チューブ490、ハンド内吸引路403を通りロボットハンド40の吸引孔401に伝達されて、ロボットハンド40が上面である吸引面400でウェーハ90の下方を向いている片面900の仮置きテーブル70からのはみ出した領域を吸引保持する。また、仮置きテーブル70によるウェーハ90の吸引保持が解除される。
なお、仮置きテーブル70がX軸方向に移動可能なX軸移動機構を備え、上記のようにロボットハンド40がウェーハ90を受け取る際のX軸方向の位置の微調整の代わりに、仮置きテーブル70をX軸方向に移動させ、ロボットハンド40の中心とウェーハ90の中心とが略合致するようにしてもよい。
【0053】
次いで、ウェーハ90を吸引保持したロボットハンド40が、例えば、-X方向へと移動していき、ウェーハ90を仮置きテーブル70から搬出する。その後、ロボット4が、
図1に示す電動スライダ109によって-Y方向に移動して、ウェーハ保持部50にウェーハ90を受け渡す。即ち、ウェーハ保持部50の保持面503の中心とウェーハ90の中心とを略合致させた状態で、ウェーハ保持部50が保持面503でウェーハ90の上面902を吸引保持する。次いで、ロボットハンド40によるウェーハ90の片面900の吸引保持が解除され、ロボットハンド40がウェーハ90の下方から退避する。
【0054】
例えば、一枚目のウェーハ90の中心位置の検出が行われ、ロボットハンド40による仮置きテーブル70からの一枚目のウェーハ90の搬出が行われると、仮置きテーブル70は空いた状態になるため、保護部材形成のスループット向上のために、
図1に示すウェーハ搬送手段1081により、カセット1043から保護部材が形成される前の狙いの二枚目のウェーハ90が取り出されて、仮置きテーブル70に搬送され、中心位置の検出がなされる。
【0055】
一枚目のウェーハ90のウェーハ保持部50への搬送と並行して、シート供給手段11がシートロール129を回転させながら、帯状となったシート12がガイドローラ等によってその先端が+Y方向に水平に送り出される。水平移動機構16によって、可動アーム160に配設された把持部15が-Y方向に移動し、把持部15が帯状のシート12の先端(外周端)を把持する。
【0056】
次いで、シート供給手段11によるシート12の送り出しとともに、把持部15が+Y方向に移動し、
図1に示すシート切断位置P2に位置付けられる。また、シート供給手段11によるシート12の送り出しが一時停止する。さらに、把持部15によって+Y方向に水平方向に所定長さ引き出された帯状のシート12が装置ベース101の仮置き面1011に仮置きされるとともに、シート吸引孔1013に図示しない吸引源が生み出す吸引力が伝達されて、シート12の後端側が仮置き面1011上で吸引保持される。この段階では、シート12の上方にシート切断手段80のカッター801が待機している。
【0057】
カッター801がカッター移動手段802によって、-X方向側の開始位置に位置づけられる。つまり、カッター801を帯状のシート12の一方の側辺側から露出した図示しないカッター用逃げ溝の一端の位置に位置づける。さらに、カッター移動手段802によって、カッター801の最下端が図示しないカッター用逃げ溝内に至るまでカッター801が下降する。さらに、カッター801がカッター用逃げ溝の延在方向に沿って+X方向に進行し、カッター801によってシート12が切断される。カッター801がシート12を幅方向に切断した後、カッター801は+Z方向に上昇して矩形状になったシート12から退避する。
【0058】
次いで、矩形状にカットされたシート12の先端側を把持する把持部15が、+Y方向にさらに移動し、ウェーハ保持部50の下方を通過してステージ14をカットされたシート12で覆う位置に付けられる。その結果、ステージ14及び吸引カバー143が矩形のシート12によって覆われ、吸引カバー143の四隅に形成された吸引孔144に図示しない吸引源が生み出す吸引力が伝達されることで、シート12がステージ14及び吸引カバー143上で吸引保持される。また、把持部15がシート12の把持を解除する。
【0059】
次に、水平移動機構16によって可動アーム160に配置した液状樹脂供給ノズル179がY軸方向において移動して、ステージ14に載置されたシート12の中央に液状樹脂を供給する位置に位置づけされる。
【0060】
続いて、
図1に示すディスペンサ171が、液状樹脂供給ノズル179に基準温度に温度管理されている液状樹脂を所定量送り出して、液状樹脂供給ノズル179がステージ14上のシート12の上面に向けて液状樹脂を滴下する。そして、所定量の液状樹脂がシート12上に堆積したら、シート12への液状樹脂の供給が停止され、液状樹脂供給ノズル179がシート12上から退避する。
【0061】
次に、拡張手段51によってウェーハ保持部50が下降され、ウェーハ保持部50に吸引保持されたウェーハ90の下面である片面900が液状樹脂に接触する。なお、シート12上の液状樹脂に対するウェーハ90の接触の前に、予めウェーハ保持部50に保持されているウェーハ90の下面の中心に液状樹脂を水滴状に少しだけ付着しておくと好ましい。さらにウェーハ保持部50が下降すると、ウェーハ90の片面900によって押圧された液状樹脂は、ウェーハ90の径方向に押し広げられる。その結果、ウェーハ90の片面900全面に液状樹脂の膜が形成される。
【0062】
所定時間、ウェーハ90の液状樹脂に対する押し付けが行われ、ウェーハ90の片面900の全面に液状樹脂の膜が形成された後、
図1に示す硬化手段149が、液状の樹脂の膜に向けて紫外線を照射する。その結果、液状の樹脂の膜は硬化して、ウェーハ90の片面900に矩形のシート12及び樹脂からなる保護部材が形成される。
なお、一枚目のウェーハ90に保護部材を形成している際中に、仮置きテーブル70には、二枚目のウェーハ90の中心が検知され、さらに、ロボットハンド40がウェーハ90を吸引保持した状態で待機している。
【0063】
保護部材を上記のように形成した後、ウェーハ90をシート12および樹脂からなる保護部材ごとステージ14から離間させる。即ち、図示しない吸引源が生み出す吸引力の吸引カバー143の吸引孔144に対する伝達が遮断される。さらに、例えば、エアが吸引孔144に供給され、吸引孔144から上方に向かって噴出し、このエアの噴出圧力でシート12をステージ14の上面140及び吸引カバー143の上面から持ち上げ、上面140とシート12との間に残存する真空吸着力を排除し、ウェーハ90、及び保護部材をステージ14から確実に離脱可能とする。また、ウェーハ保持部50がウェーハ90の吸引保持を解除した後、拡張手段51によって上昇してウェーハ90から離脱する。なお、ステージ14からウェーハ90を離間させる前に、ウェーハ保持部50へ二枚目のウェーハ90をロボットハンド40で搬送する。また、空いた仮置きテーブル70に三枚目のウェーハ90が搬送される。
【0064】
次に、保護部材が形成された後の一枚目のウェーハ90がロボット4の吸引パッド42によって、カットテーブル72に搬送される。具体的には、電動スライダ109によって、ロボット4がステージ14の近傍まで移動する。さらに、制御手段19による水平移動手段48の制御の下で、吸引パッド42がロボットハンド40とともに旋回され、吸引パッド42の中心がステージ14上のウェーハ90の中心と略合致するように、ウェーハ90の上方に吸引パッド42が位置づけされる。
【0065】
さらに、制御手段19による制御の下で、
図1、
図2に示す昇降手段47によってホルダ46が下降し、これに伴って吸引パッド42がロボットハンド40とともに下降して、吸引パッド42に配置された吸盤44が、保護部材を形成したウェーハ90の外に矩形のシート12がはみ出した部分の例えば四隅に接触する。そして、
図2に示す吸引源49の生み出す吸引力が、開かれた状態の制御弁493、及び樹脂チューブ425を通り吸盤44に伝達されて、吸引パッド42が、保護部材が形成されたウェーハ90を上面902側からシート12を介して吸引保持する。
【0066】
昇降手段47及び水平移動手段48によって、ウェーハ90をシート12を介して吸盤44で吸引保持した吸引パッド42が上昇して-X方向側へと移動しウェーハ保持部50の下方から退避した後、電動スライダ109によって、ロボット4がカットテーブル72の近傍まで移動する。なお、先に説明したように、仮置きテーブル70には、二枚目のウェーハ90がすでに中心位置が検出された状態で吸引保持されている。
【0067】
一枚目のウェーハ90をシート12を介して吸引保持した吸引パッド42が、制御手段19による水平移動手段48の制御の下で、ロボットハンド40とともに旋回され、例えば、吸引パッド42のU字状の開口426がシリンダ支持アーム770にX軸方向において正対する。また、例えば、昇降手段47によって、少なくとも吸引パッド42の吸盤44にシート12を介して吸引保持されたウェーハ90が
図2に示す昇降シリンダ78に接触しない高さに吸引パッド42が位置づけされる。なお、この際に、カッター支持バー783は、例えば、+X方向側に先端を向けるようにしてロボット4に接触しないように退避している。
【0068】
水平移動手段48によって、一枚目のウェーハ90を吸引保持する吸引パッド42が+X方向に直動していき、
図3に示すシリンダ支持アーム770及び昇降シリンダ78に
図2に示す吸引パッド42のU字状の開口426内を進入していく。なお、同時に、ロボットハンド40のU字状の開口405内にテーブル支持アーム773を進入していくため、ロボットハンド40によって吸引パッド42の進行が阻害されることはない。
【0069】
そして、例えば、吸引パッド42に保持され中心が認識されている一枚目のウェーハ90の中心とカットテーブル72の吸引保持部720の中心とが略合致するように、吸引パッド42の水平面内における位置が微調整された後、昇降手段47が吸引パッド42を下降させて、
図3に示す吸引保持部720及びカバー部722の上面に矩形の一枚目のウェーハ90の片面900に硬化した樹脂を介して貼着された状態のシート12を接触させる。そして、カットテーブル72の逃げ溝723の内側にウェーハ90が位置し、かつ、矩形のシート12が逃げ溝723を覆った状態になる。
【0070】
図示しない吸引源の生み出す吸引力が、吸引保持部720の上面に開口する吸引孔7201に伝達されて、カットテーブル72がウェーハ90に形成された保護部材の下面側となるシート12を吸引保持する。また、吸盤44によるシート12の吸引保持が解除される。
【0071】
そして、制御手段19による昇降手段47の制御の下で、ホルダ46を上昇させることによって、吸引パッド42をロボットハンド40とともに+Z方向に上昇させて、カッター75によるシート12の切断を可能にする。例えば、昇降シリンダ78によって、カッター75の最下端が逃げ溝723に至るまでカッター75が下降する。そして、カッター旋回モータ76によってカッター75が吸引保持部720の中心を回転軸として、逃げ溝723に沿って旋回して、保護部材のウェーハ90の外周からはみ出した部分を備える矩形のシート12が一枚目のウェーハ90の外周に沿って円形に切断される。
そして、保護部材が形成されシート12が円形に切断されたウェーハ90は、
図1に示すウェーハ搬送手段1081によりカットテーブル72から搬出されて、カセット1044に収容される。
【0072】
先に説明したように、カットテーブル72の直上にカットテーブル72の中心と中心を同一線上に位置するように配設された仮置きテーブル70には、既に、三枚目のウェーハ90が中心位置を検出された状態で吸引保持されているため、上記のように、制御手段19による昇降手段47の制御の下で、ホルダ46を上昇させることによって、保護部材を形成した一枚目のウェーハ90から離間する吸引パッド42をロボットハンド40とともに+Z方向に上昇させ、ロボットハンド40の吸引面400が三枚目のウェーハ90の仮置きテーブル70からはみ出した片面900の外周領域に向かっていく。
【0073】
例えば、ロボットハンド40の中心と認識された三枚目のウェーハ90の中心とが略合致するように、ロボットハンド40の水平面内における位置が微調整されつつ、昇降手段47がロボットハンド40を上昇させて、ウェーハ90の下方を向いている片面900に吸引面400を接触させる。この際に、ロボットハンド40のU字状の開口405内にテーブル支持アーム773及び仮置きテーブル70が進入する。また、同時に吸引パッド42の開口426内にシリンダ支持アーム770及び昇降シリンダ78が進入していくため、吸引パッド42によってロボットハンド40の上昇が阻害されることはない。
【0074】
ロボットハンド40が上面である吸引面400で三枚目のウェーハ90の下方を向いている片面900を吸引保持する。また、仮置きテーブル70によるウェーハ90の吸引保持が解除される。その後、先に説明した一枚目のウェーハ90と同様に、三枚目のウェーハ90のウェーハ保持部50への受け渡し、三枚目のウェーハ90の保護部材の形成等が行われていく。このように、ロボット4は、一枚目のウェーハ90のカットテーブル72に対する搬入と、三枚目のウェーハ90の仮置きテーブル70からの搬出とにおける動作の無駄が無い。なお、この間にステージ14上では二枚目のウェーハ90に対する保護部材の形成が行われている。
【0075】
このように、ウェーハ90に対する保護部材の形成が連続的に行われていき、例えば、
図1に示すステージ14上に保護部材が形成された7枚目のウェーハ90が載置されており、かつ、7枚目のウェーハ90からウェーハ保持部50が上方に既に離間しており、ウェーハ90を保持していないウェーハ保持部50に、ロボットハンド40が保持する保護部材の形成されていない8枚目のウェーハ90を受け渡す場合について説明する。
【0076】
ウェーハ保持部50の保持面503の中心と8枚目のウェーハ90の中心とを略合致させた状態で、ウェーハ保持部50が保持面503でウェーハ90の上面902を吸引保持する。次いで、ロボットハンド40によるウェーハ90の下面である片面900の吸引保持が解除された後、制御手段19による昇降手段47の制御によって、ウェーハ保持部50の直下に位置し、かつ、ウェーハ保持部50に8枚目のウェーハ90を受け渡した後の空のロボットハンド40、及び何も保持していない状態の吸引パッド42が、昇降手段47によって下降していく。
【0077】
例えば、吸引パッド42の中心とステージ14上の保護部材が形成された7枚目のウェーハ90の中心とが略合致するように、吸引パッド42の水平面内における位置が微調整されつつ、下降する吸引パッド42に配置された吸盤44が、7枚目のウェーハ90の外に矩形のシート12がはみ出した部分の四隅に接触し吸引保持し、吸引パッド42がステージ14上の保護部材を形成した7枚目のウェーハ90を受け取る。そして、昇降手段47及び水平移動手段48によって、7枚目のウェーハ90をシート12を介して吸盤44で吸引保持した吸引パッド42が上昇してから、-X方向側へと移動した後、
図1に示す電動スライダ109によって、ロボット4がカットテーブル72の近傍まで移動する。一方、ステージ14上には新たなシート12が載置され、液状樹脂がシート12上に供給され、ウェーハ保持部50が吸引保持する8枚目のウェーハ90の片面900に保護部材が形成される。このように、ロボット4は、8枚目のウェーハ90のウェーハ保持部50に対する受け渡しと、7枚目のウェーハ90のステージ14からの搬出とにおける動作の無駄が無い。
【0078】
例えば、カセット1044が、保護部材が形成されたウェーハ90で満杯になった後、カセット1044が図示しない研削装置に搬送される。そして、その後、ウェーハ90は、保護部材が形成されていない上面902が上側になるようにして、図示しない研削装置のチャックテーブルの保持面上に載置され、ウェーハ90の上方から回転する研削ホイールを降下させて、ウェーハ90の上面902に研削砥石を当接させながら研削される。その後、テープ剥離装置によりウェーハ90から保護部材が剥離され、次いで、保護部材により保護されていたウェーハ90の片面900がさらに研削されることで、両面が平坦面となるウェーハ90が製造される。
【0079】
上記のように、本発明に係る保護部材形成装置1は、ロボット4は、上面に吸引面400を有するU字形状のロボットハンド40と、ロボットハンド40の直下に配置し片面900に保護部材を形成したウェーハ90をもう片方の上面902側からシート12を介して吸引保持する吸引パッド42と、吸引パッド42に配置され保護部材を形成したウェーハ90の外にシート12がはみ出した部分を吸引保持する複数の吸盤44と、ロボットハンド40、及び吸引パッド42を配置するホルダ46と、ホルダ46を鉛直方向に移動させる昇降手段47と、ホルダ46を水平方向に移動させる水平移動手段48と、を備え、仮置きテーブル70は、ロボットハンド40のU字状の開口405の中を通過可能に形成され、カットテーブル72は、中心が仮置きテーブル70の中心と同一線上に位置するように仮置きテーブル70の直下に配置されていることで、制御手段19は、昇降手段47を制御してホルダ46を昇降させることによって、吸引パッド42でカットテーブル72に保護部材を形成したウェーハ90を載置した後にロボットハンド40で仮置きテーブル70のウェーハ90を受け取り可能とし、また、ロボットハンド40が保持しているウェーハ90をウェーハ保持部50に受け渡してウェーハ保持部50で保持させた後に吸引パッド42でステージ14上の保護部材を形成したウェーハ90を受け取り可能とすることが可能となり、ウェーハ90の搬送における待機時間を減らして、ウェーハ90の搬送時間を短くすることが可能となる。
なお、例えば、仮置きテーブル70をX軸方向に移動させるX軸移動機構を備えることにより、カットテーブル72に保護部材を形成したウェーハ90を搬送した吸引パッド42とともにロボットハンド40を上昇させる動作によって、ロボットハンド40の中心と仮置きテーブル70に仮置きされたウェーハ90の中心とを一致させ、ロボットハンド40がウェーハ90を吸引保持することが可能となり、ウェーハ90の受取時間をさらに短縮させることができる。
【0080】
本発明に係る保護部材形成装置1は上記実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。また、添付図面に図示されている保護部材形成装置1の各構成の形状等についても、これに限定されず、本発明の効果を発揮できる範囲内で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0081】
90:ウェーハ 900:ウェーハの片面(下面) 902:ウェーハの上面
1:保護部材形成装置 100:筐体 102:コラム
101:装置ベース 1011:仮置き面 1013:シート吸引孔
103:支持ベース 1033:可動孔
104:カセット収容本体 1041、1042:カセットステージ
1043、1044:カセット
70:仮置きテーブル 700:吸引保持面 703:吸引孔 701:吸引溝
709:仮置きテーブル回転手段
72:カットテーブル 720:吸引保持部 7201:吸引孔 722:カバー部 723:逃げ溝
75:カッター
77:支持柱 773:テーブル支持アーム 770:シリンダ支持アーム
78:昇降シリンダ 780:シリンダケース 782:ロッド 783:カッター支持バー
106:ウェーハ検出部
1081:ウェーハ搬送手段 1082:X軸方向移動手段
4:ロボット
40:ロボットハンド 400:吸引面 401:吸引孔 403:ハンド内吸引路 405:U字状の開口
42:吸引パッド 425:樹脂チューブ 426:開口 493:制御弁
44:吸盤
46:ホルダ 461:ハンド支持アーム 462:パッド支持アーム 463:ホルダ回転軸
47:昇降手段
48:水平移動手段 481:第1のアーム 482:第2のアーム 483:アーム連結部 489:旋回モータ
109:電動スライダ
49:吸引源 490:樹脂チューブ 491:制御弁
11:シート供給手段 12:シート 129:シートロール
14:ステージ 140:ステージの上面 143:吸引カバー 144:吸引孔
149:硬化手段
50:ウェーハ保持部 500:ホイール 502:ホイール支持部 503:保持面
51:拡張手段 510:ボールネジ 511:ガイドレール 512:モータ
16:水平移動機構 160:可動アーム 15:把持部
80:シート切断手段 カッター用逃げ溝 801:カッター 802:カッター移動手段
179:液状樹脂供給 171:ディスペンサ 172:接続管
19:制御手段